説明

スプロケットホール加工装置

【課題】バリや凹凸の少ない滑らかな壁面を有するスプロケットホールを形成できるスプロケットホール加工装置を提供する。
【解決手段】スプロケットホール加工装置10のように、樹脂フィルム3を打ち抜いてスプロケットホール5を形成するパンチ11に、パンチ11を振動させるための振動子12を取り付ける。さらに、パンチ11の振動の伝達を抑制するダンパー13を介してパンチ11をパンチプレート14に取り付ける。これによりパンチ11を効率よく振動させることができる。スプロケットホール加工装置10は、パンチ11を振動させながら打ち抜きを行なうので、スプロケットホールに発生したバリの大部分は振動によって脱落して除去される。また、一部の凹凸やバリなどは、パンチ11との摩擦熱で軟化して滑らかな表面となるように変形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールツーロール方式で搬送を行なう樹脂フィルムにスプロケットホールを形成するスプロケットホール加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置やフレキシブルプリント配線板等の製造方法の一つとして、ロールツーロール方式がある。ロールツーロール方式は、フレキシブルな基板を一枚ずつ整列させて搬送する方式に比べて搬送する手間が省け、量産性に優れるという特徴がある。
【0003】
このロールツーロール方式には、例えば図1に示すように、スプロケットホール5が形成された樹脂フィルム基板4が用いられる(特許文献1〜3参照)。樹脂フィルム基板4は、供給側ロール1から巻き解かれる。そして、樹脂フィルム基板4は両端部に設けられたスプロケットホール5にスプロケット6の係合ピンをかみ合わせてスプロケット6を回転させて搬送され、所定の加工が施される。加工後の樹脂フィルム基板4は巻取側ロール2に巻き取られる。
【0004】
ところで、スプロケットホール5の形成は、従来、図2に示すようにダイ205及びパンチ201を備えたスプロケットホール加工装置200で行なっていた。このスプロケットホール加工装置200では、ダイ205の上で樹脂フィルム3を搬送させつつ、パンチ201をダイ205側に押し込むことで樹脂フィルム3を打ち抜いてスプロケットホール5を形成していた。
【特許文献1】特開平8−166597号公報
【特許文献2】特開2001−343631号公報
【特許文献3】特開平10−96933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のスプロケットホール加工装置200では、形成されたスプロケットホール5の壁面付近にバリや凹凸が発生してしまうという問題がある。
【0006】
図3に示すように、バリや凹凸のあるスプロケットホール5にスプロケット6の係合ピン6aをかみ合わせて樹脂フィルム基板4の搬送を行なうと、係合ピン6aとスプロケットホール5との間に擦れが生じる。そして、スプロケットホール5の壁面のバリや凹凸が脱落して異物4bが発生してしまう。この異物4bが樹脂フィルム基板4の加工を行う部分に付着すると、例えば、フォトリソグラフィ法を用いて配線を形成するときに配線パターンの不良が発生して、短絡等の原因となる。
【0007】
このようなスプロケットホール5のバリや凹凸の脱落を防ぐため、従来の樹脂フィルム基板の製造方法ではスプロケットホール5の形成後に樹脂フィルム3を洗浄していた。しかし、スプロケットホール5の壁面に形成されたバリや凹凸は洗浄のみでは十分に除去しきれず、異物4bの発生を防ぐのが困難であった。
【0008】
そこで、バリや凹凸の少ない滑らかな壁面を有するスプロケットホールを形成できるスプロケットホール加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、樹脂フィルムを打ち抜いて前記樹脂フィルムにスプロケットホールを形成するパンチと、前記パンチに振動を与える振動子と、を備えたことを特徴とするスプロケットホール加工装置により達成することができる。
【0010】
すなわち、上述のスプロケットホール加工装置では、パンチに振動を与える振動子が設けられており、パンチを振動させながら樹脂フィルムを打ち抜いてスプロケットホールを形成する。パンチの打ち抜きによりスプロケットホールの壁面にバリや凹凸が発生するが、パンチの振動で生じた加速度によって大部分のバリは除去される。また、凹凸やバリの一部は、パンチの振動で生じた摩擦熱によって軟化して平滑化され、脱落しにくくなる。このため、上述のスプロケットホール加工装置によれば、脱落して異物となり得るようなバリや凹凸が少なく、滑らかな壁面を有するスプロケットホールを形成できる。
【0011】
また、上述のスプロケットホール加工装置では、パンチを支持するパンチプレートとパンチとの間には振動を緩和するダンパーが設けられている。これにより、パンチ側のみを効率よく振動させることができる。
【0012】
尚、上述のスプロケットホール加工装置において、更に、前記パンチの先端部を加熱する加熱部材を設けると好適である。加熱部材を設けることにより、凹凸やバリの一部を更に効果的に加熱して軟化させることができ、滑らかな壁面を有するスプロケットホールを形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図4は、本発明の第1実施形態に係るスプロケットホール加工装置を示す断面図である。図5は、本発明の第1実施形態に係るスプロケットホール加工装置の動作を示す模式図である。
【0015】
第1実施形態に係わるスプロケットホール加工装置10は、図4に示すように、パンチ11及び開口部16aを備えたダイ16を有している。パンチ11はダンパー13を介してパンチプレート14に取り付けられている。パンチプレート14の上には押圧部15が設けられおり、押圧部15によりパンチプレート14及びパンチ11を上下方向に移動させることができる。ダイ16は台座17に固定されている。以下、各部の構成についてさらに説明する。
【0016】
パンチ11の先端側(下側)には打ち抜きピン11aが形成されている。打ち抜きピン11aの断面はダイ16の開口部16aとほぼ同じ形状に形成されている。このため、パンチ11を押し下げると、打ち抜きピン11aがダイ16の開口部16aに隙間無く押し込まれる。打ち抜きピン11aの断面形状及びダイ16の開口部16aの形状は、必要とするスプロケットホールの形状に合わせて適宜選択することができ、例えば、直径2mm程度の円形とすることができる。
【0017】
パンチ11の基端側(上側)の端部には、振動子12が取り付けられている。この振動子12は、パンチ11に上下方向、すなわちパンチを押し込む方向の振動を与えることができる。振動子12は、例えば、圧電素子等を用いた超音波振動子を用いることができる。なお、本願発明者が種々の実験を行なった結果、パンチ11に与える振動としては、振幅50μm〜100μm程度及び周波数を40kHz〜100kHz程度とすると好適である。
【0018】
ダンパー13は、パンチ11の基端側の端部に取り付けられており、パンチ11とパンチプレート14とを連結する。ダンパー13は、パンチプレート14にパンチ11の振動が伝達されるのを抑制する。これにより、振動子12でパンチ11側のみを効率よく振動させることができる。ダンパー13としては、例えばゴムなどの弾性部材を用いることができる。
【0019】
次に、図5を参照しつつ、本実施形態に係るスプロケットホール加工装置10の動作について説明する。
【0020】
図5に示すように、ダイ16の上の所定位置に樹脂フィルム3を載置した状態で、振動させながらパンチ11を押し下げる。これにより、パンチ11の打ち抜きピン11aは樹脂フィルム3を打ち抜いてダイ16の開口部16aに押し込まれる。このとき、図5の拡大図に模式的に示すように、スプロケットホールの壁面付近にバリ(破線部)が発生する。しかし、パンチ11は矢印Aに示す方向に振動しているため、振動による加速度でバリが脱落して除去される。このとき除去されたバリは異物4bとなり飛散するが、異物4bは洗浄で容易に除去することができる。また、凹凸やバリの一部は、パンチ11の振動によって生じた摩擦熱で軟化して、矢印Bに示すように滑らかな表面となるように変形し、樹脂フィルム3に強固に固着する。このため、本実施形態のスプロケットホール加工装置10によれば、スプロケットの係合ピンと擦れて脱落するバリや凹凸が除去され、滑らかな壁面を有するスプロケットホール5を形成することができる。
【0021】
その後、樹脂フィルム3を一定距離(例えば5mm程度)移動させて、再びパンチ11により樹脂フィルム3を打ち抜いてスプロケットホール5を形成する。以上の動作を繰り返すことで、樹脂フィルム3の搬送方向に一定の間隔で並んだスプロケットホール5を形成する。
【0022】
なお、樹脂フィルム3の両側方にそれぞれ一列ずつ並んだスプロケットホール5を形成する場合には、図4に示すスプロケットホール加工装置10を樹脂フィルム3の幅方向(搬送方向と直交する方向)に間隔を開けて2列設ければよい。
【0023】
以上のように、本発明の第1実施形態に係るスプロケットホール加工装置10によれば、パンチ11を振動させながら樹脂フィルム3を打ち抜くので、滑らかな表面を有するスプロケットホール5を形成できる。これにより、スプロケットホール5の壁面にスプロケットの係合ピンと擦れたときに脱落して異物となり得るようなバリや凹凸が残るのを防止できる。
【0024】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態のスプロケットホール加工装置は上述の構成に限定されるものではなく、例えば、図6に示すような構成とすることができる。ここに、図6は本発明の第1実施形態の変形例に係る樹脂フィルム基板の製造装置を示す断面図である。
【0025】
図6に示すように、本実施形態の変形例に係るスプロケットホール加工装置20は、パンチ21と開口部16aを有するダイ16とを備えている。パンチ21の上端部には振動子12が形成されている。また、パンチ21はダンパー13を介してパンチプレート14に支持されている。パンチプレート14の上方には押圧部15が設けられ、これによりパンチ11を上下方向に移動させることができる。ダイ16は台座17に固定されている。尚、振動子12、ダンパー13の構成は上述のスプロケットホール加工装置10と同様である。
【0026】
本変形例のパンチ21の先端側(下側)には、断熱材22、加熱部材(ヒータ)23及び打ち抜きピン24が形成されている。打ち抜きピン24は、断熱材22及び加熱部材23を介してパンチ21に取り付けられている。加熱部材23は、例えば抵抗発熱体などを用いることができる。この加熱部材23により、打ち抜きピン24部分を樹脂フィルム3(被加工物)の融点付近の温度(少なくとも樹脂が軟化する温度)まで加熱することができる。断熱材22は例えば炭化ケイ素等のセラミックスや、ガラス繊維とケイ酸系バインダー又はリン酸塩系バインダーとを含む材料等を用いることができる。この断熱材22により、打ち抜きピン24部分を効率よく加熱することができる。
【0027】
本変形例のスプロケットホール加工装置20は、振動子12でパンチ21を振動させるとともに、打ち抜きピン24の部分を加熱しながら、樹脂フィルムの打ち抜きを行なう。打ち抜きピン24の部分には振動子12による上下方向の振動が与えられているため、樹脂フィルムの打ち抜きの際に発生するバリの大部分は振動による加速度でスプロケットホールの壁面から脱落して除去される。また、凹凸やバリの一部はパンチ21の振動による摩擦熱に加えて加熱された打ち抜きピン24からの熱で軟化が進む。そして、凹凸やバリの一部は、表面が滑らかとなるように変形して樹脂フィルムに固着する。
【0028】
このように、本変形例によるスプロケットホール加工装置20によれば、脱落して異物となり得るようなバリや凹凸が少なく、滑らかな壁面を有するスプロケットホールを形成できる。
【0029】
(実験例及び比較例)
図7は、比較例に係る樹脂フィルム基板の切断面を電子顕微鏡で観察した結果を示す図である。図8は、実験例に係る樹脂フィルム基板の切断面を電子顕微鏡で観察した結果を示す断面図である。
【0030】
次に、本願発明者が行なった実験結果について説明する。本願発明者は、比較例としてパンチに振動を与えずに樹脂フィルムを打ち抜いて平面状の切断面を形成した。このとき用いた樹脂フィルムは厚さ0.12mmであり、材料はポリカーボネートである。比較例で形成した切断面を走査電子顕微鏡で観察した結果を図7に示す。図7に示すように、パンチに振動を与えずに形成した切断面の場合、切断面にバリや凹凸が形成される。
【0031】
一方、本願発明者は、実験例として、パンチを振動させながら樹脂フィルムを打ち抜いて平面状の切断面を形成する実験を行なった。このとき、パンチには40kHzの振動を与えながら加工を行なった。なお、実験例に用いた樹脂フィルムは比較例のときと同様のものを用いた。実験例で形成した切断面を電子顕微鏡で観察した結果を図8に示す。図8に示すように、実験例の切断面はバリや凹凸が比較例に比べて少なく、滑らかな表面を有する切断面が形成されることが確認できた。
【0032】
以上のように、上記実施形態に係るスプロケットホール加工装置によれば、バリや凹凸が少なく、滑らかな壁面を有するスプロケットホールを形成することができる。
【0033】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、第1実施形態に係るスプロケットホール加工装置を樹脂フィルム基板の製造に用いたものである。ここに、図9は、本発明の第2実施形態に係る樹脂フィルム基板の製造装置を示す模式図である。
【0034】
本実施形態に係る樹脂フィルム基板の製造装置40は、図9に示すように、樹脂フィルム3の搬送方向に、順に、スプロケットホール加工装置10と、洗浄装置41と、乾燥装置42とを有している。
【0035】
スプロケットホール加工装置10は、第1実施形態に係るスプロケットホール加工装置10と同様の構成であり、パンチを振動させながら樹脂フィルム3に押し込んでスプロケットホールを形成する。尚、スプロケットホール加工装置10に代えて、第1実施形態の変形例に示したスプロケットホール加工装置20を用いてもよい。
【0036】
洗浄装置41は、スプロケットホール加工装置10で加工を行なった際に発生する加工屑を除去すべく、例えば薬液や水等を用いて樹脂フィルム3の洗浄を行う。乾燥装置42は、洗浄装置41で洗浄した樹脂フィルム3の乾燥を行なう。
【0037】
樹脂フィルム基板の製造装置40による樹脂フィルム基板の製造は以下のように行なわれる。まず、供給側ロール1から巻取側ロール2に向けて樹脂フィルム3を搬送しながら、スプロケットホール加工装置10で樹脂フィルム3にスプロケットホールを形成する。スプロケットホールの形成は、上述の第1実施形態と同様にして行なわれる。これにより、バリや凹凸が少なく、滑らかな壁面を有するスプロケットホールが形成される。次に洗浄装置41でスプロケットホールが形成された樹脂フィルム基板3を洗浄する。これにより、スプロケットホールの形成の際に脱落したバリの破片(異物4b、図5参照)が樹脂フィルム3から洗い流される。つぎに、洗浄した樹脂フィルム3を乾燥装置42で乾燥させた後、巻取側ロール2で樹脂フィルム3を巻き取って樹脂フィルム基板が完成する。
【0038】
以上のように、本実施形態の樹脂フィルム基板の製造装置40によれば、第1実施形態で説明したスプロケットホール加工装置10又は20によりスプロケットホールを形成するので、壁面にバリや凹凸が少なく、滑らかな壁面を有するスプロケットホールを形成できる。また、スプロケットホールの形成時に発生した異物は洗浄装置41で除去できる。これにより、ロールツーロール方式の製造工程に用いても異物の発生や混入のおそれの少ない樹脂フィルム基板を製造することができる。
【0039】
(第3実施形態)
図10は、液晶表示装置の一例を示す断面図である。図11は、図10に示す液晶表示装置の一部を構成する液晶表示パネルを拡大して示す断面図である。図12は、本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を示すフロー図である。図13は、本発明の第3実施形態に係わる液晶表示装置の製造方法に使用する製造装置を示す模式図である。
【0040】
図10に示す液晶表示装置100は、反射型の液晶表示装置であり、青色の光を反射する第1の液晶表示パネル110B、緑色の光を反射する第2の液晶表示パネル120G及び赤色の光を反射する第3の液晶表示パネル130Rが積層されている。各液晶表示パネルは表示領域の周辺部分で周辺回路基板106と接続されている。このうち、第1の液晶表示パネル110Bは、図11に示す構造を有している。液晶表示パネル110Bにおいて、上側樹脂フィルム基板101aには透明電極パターン105aが形成され、下側樹脂フィルム基板101bには透明電極パターン105bが形成されている。透明電極パターン105a及び105bは、例えば単純マトリクスを構成するように形成されている。
【0041】
下側樹脂フィルム基板101bには、さらに、画素同士の境界部分に上側フィルム基板101aとの間隔を一定に保つためのスペーサ104が形成されている。また、下側樹脂フィルム基板101bの表示領域の周辺部には液晶を保持するためのシール部材102が形成されている。そして、上下の樹脂フィルム基板105a、105b及びシール部材102で封じられた部分にコレステリック液晶103Bが封入されている。このコレステリック液晶103Bは制御信号の印加により青色の光の反射率が変化する。
【0042】
尚、液晶表示パネル120G及び液晶表示パネル130Rも封入されているコレステリック液晶の種類が異なる他は同様の構造である。
【0043】
以下、本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置の製造方法及び製造装置について、上述の液晶表示装置100を製造する場合を例に説明する。
【0044】
液晶表示装置100の製造は、図12に示すように、初めに、樹脂フィルムにスプロケットホールを形成して樹脂フィルム基板101a、101bを製造する(ステップS10)。樹脂フィルム基板101a、101bの製造は、第2実施形態の樹脂フィルム基板の製造装置40(図9参照)を用いて、第2実施形態のときと同様の手法で行なうことができる。すなわち、スプロケットホールの形成を、第1実施形態のスプロケットホール加工装置10(又はスプロケットホール加工装置20)で行ない、その後、洗浄装置41による洗浄と乾燥装置42による乾燥を行なった後、ロール状に巻き取る。これにより、バリや凹凸の少ない滑らかな壁面のスプロケットホールを有する樹脂フィルム基板101a、101bが製造される。
【0045】
次に、樹脂フィルム基板101a、101bの上に透明電極パターン105a、105bを形成する(ステップS20)。透明電極パターン105a、105bの形成はロールツーロール方式で行なうことができる。
【0046】
この工程では、まず、樹脂フィルム基板101aを搬送しながら、樹脂フィルム基板101aの上に例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料をスパッタして透明導電膜(図示せず)を形成する。
【0047】
つづいて、図13(a)に示すようなレジスト塗布装置45を用いて、透明導電膜の上にレジスト膜(図示せず)を形成する。レジスト塗布装置45には、スプロケット(図示せず)を用いた搬送装置46が設けられており、スプロケットの係合ピンをスプロケットホールにかみ合わせながら樹脂フィルム基板101a、101bを搬送する。そして、レジスト膜塗布装置45は樹脂フィルム基板101aを搬送しつつレジスト膜の形成を行なう。その後、特に図示しないが、樹脂フィルム基板の洗浄及び乾燥を行った後、巻取側ロール2で巻き取ってレジスト塗布が完了する。
【0048】
以下、同様にして順番に、露光装置50(図13(b))によるレジスト膜の露光、現像装置55(図13(c))によるレジスト膜の現像、エッチング装置60(図13(d))による透明導電膜のエッチング、レジスト剥離装置65(図13(e))によるレジスト膜の剥離を行なう。これらの工程でも、スプロケットを用いた搬送装置46で樹脂フィルム基板の搬送を行ないつつ処理を行う。このようにして、上側樹脂フィルム基板101aの上に透明電極パターン105aを形成する。尚、下側樹脂フィルム基板101bにも同様にして透明電極パターン105bを形成する。
【0049】
次に、下側樹脂フィルム基板101bにフォトレジスト膜(図示せず)を形成し、そのフォトレジスト膜をパターニングしてスペーサ104を形成する(ステップS30)。その後、下側樹脂フィルム基板101bにシール部材102を塗布する(ステップS40)。スペーサ104の形成及びシール部材102の形成も、スプロケットを用いた搬送装置で樹脂フィルム基板101bの搬送を行ないつつ、ロールツーロール方式で行なうことができる。
【0050】
次に、上側樹脂フィルム基板101aと下側樹脂フィルム基板101bとを貼り合わせる(ステップS50)。つづいて、コレステリック液晶103Bを上下の樹脂フィルム基板110a、110bの間に封入する(ステップS60)。このようにして、液晶表示パネル110Bが完成する。なお、液晶表示パネル120G及び表示パネル130Rも同様にして作製できる。
【0051】
その後、液晶表示装置の組み立て(ステップS70)を行なう。この工程では、周辺回路基板106を各液晶表示パネル110B,120G、130Rに取り付けた後、液晶表示パネル110B、120G及び130Rを張り合わせる。このようにして、液晶表示装置100が完成する。
【0052】
以上のように、本実施形態では、樹脂フィルム基板の製造工程(ステップS10)で製造された樹脂フィルム基板101a、101bのスプロケットホールは、バリや凹凸が少なく平滑な壁面を有している。このため、透明電極パターン105a等の形成(ステップS20〜S40)等の工程でスプロケットを用いた搬送装置で搬送しても、異物の発生や混入の恐れが少ない。このため、製造工程での製品不良発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、樹脂フィルム基板の搬送の様子を示す模式図である。
【図2】図2は、従来の樹脂フィルム基板の製造装置を示す断面図である。
【図3】図3は、従来の方法で製造された樹脂フィルム基板の搬送の際に異物が発生する様子を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態に係るスプロケットホール加工装置を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態に係るスプロケットホール加工装置の動作を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態の変形例に係る樹脂フィルム基板の製造装置を示す断面図である。
【図7】図7は、比較例に係る樹脂フィルム基板の切断面を電子顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図8】図8は、実験例に係る樹脂フィルム基板の切断面を電子顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第2実施形態に係る樹脂フィルム基板の製造装置を示すも模式図である。
【図10】図10は、液晶表示装置の一例を示す断面図である。
【図11】図11は、図10に示す液晶表示装置の一部を構成する液晶表示パネルを拡大して示す断面図である。
【図12】図12は、本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を示すフロー図である。
【図13】図13は、本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置の製造方法に使用する製造装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0054】
1…供給側ロール、2…巻取側ロール、3…樹脂フィルム、4…樹脂フィルム基板、4b…異物、5…スプロケットホール、6…スプロケット、6a…係合ピン、10、20、30…樹脂フィルム基板の製造装置、11、21、201…パンチ、11a、24…打ち抜きピン、12…振動子、13…ダンパー、14…パンチプレート、15…押圧部材、16、205…ダイ、16a…開口部、17…台座、22…断熱材、23…発熱体、41…洗浄装置、42…乾燥装置、45…レジスト塗布装置、46…搬送装置、50…露光装置、55…レジスト現像装置、60…エッチング装置、65…レジスト剥離装置、100…液晶表示装置、110B…第1の液晶表示パネル、120G…第2の液晶表示パネル、130R…第3の液晶表示パネル、101a…上側樹脂フィルム基板、101b…下側樹脂フィルム基板、102…シール部材、103B、103G、103R…コレステリック液晶、104…スペーサ、105a、105b…透明電極パターン、106…周辺回路基板、200…樹脂フィルム基板の製造装置(従来例)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムを打ち抜いて前記樹脂フィルムにスプロケットホールを形成するパンチと、
前記パンチに振動を与える振動子と、
を備えたことを特徴とするスプロケットホール加工装置。
【請求項2】
更に、前記パンチを支持するパンチプレートと、
前記パンチと前記パンチプレートとの間に配置されて前記パンチの振動の前記パンチプレートへの伝達を抑制するダンパーと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のスプロケットホール加工装置。
【請求項3】
更に、前記パンチの先端部を加熱する加熱部材を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプロケットホール加工装置。
【請求項4】
前記加熱部材は前記パンチの先端部を前記樹脂フィルムの溶融温度まで加熱することを特徴とする請求項3に記載のスプロケットホール加工装置。
【請求項5】
樹脂フィルムを打ち抜いて前記樹脂フィルムにスプロケットホールを形成するパンチと、前記パンチに振動を与える振動子と、を備えたスプロケットホール加工装置と、
前記スプロケットホールが形成された樹脂フィルムを洗浄する洗浄装置と、
を備えたことを特徴とする樹脂フィルム基板の製造装置。
【請求項6】
樹脂フィルムを搬送しつつ、振動子により振動するパンチで前記樹脂フィルムを打ち抜いてスプロケットホールを形成する工程と、
前記スプロケットホールを形成した前記樹脂フィルムを洗浄する工程と、
を有することを特徴とする樹脂フィルム基板の製造方法。
【請求項7】
樹脂フィルムを搬送しつつ、振動子により振動するパンチで前記樹脂フィルムを打ち抜いてスプロケットホールを形成する工程と、
前記スプロケットホールを形成した前記樹脂フィルムを洗浄する工程と、
前記樹脂フィルムのスプロケットホールにスプロケットの係合ピンを通して前記樹脂フィルムを搬送しつつ前記樹脂フィルムの上に液晶表示素子を形成する工程と、
を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−220227(P2009−220227A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68254(P2008−68254)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】