説明

スプロケット及び汚泥かき寄せ装置

【課題】耐食性及びキー溝部の耐摩耗性に優れ、構造が簡易で軽量なスプロケット及び当該スプロケットを用いた汚泥かき寄せ装置を提供する。
【解決手段】スプロケット本体3は、周囲に複数の歯5を有する円板状の部材で、中央にスプロケット1を貫通するボス穴11が設けられる。ボス7は、中央にはボス7を貫通するシャフト穴15を有する部材である。ボス7の端面には、プレート設置部19が設けられる。スプロケット本体3は、一対のボス7に挟まれ、プレート設置部19に設置されたプレート9は、ボス7とスプロケット本体3の間に挟まれる。キー溝27はプレート9の底面に設けられ、シャフト穴15に開放部を有する矩形断面の溝である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐食性に優れ、キー溝部の強度が高く、構造が簡易なスプロケットおよび、当該スプロケットを用いた汚泥かき寄せ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上水、下水、産業排水等の水処理設備における沈殿池には、沈殿池に沈殿した汚泥等をかき集める、汚泥かき寄せ機が使用される。汚泥かき寄せ機は、一対のチェーン間に、汚泥をかき寄せるためのフライトと呼ばれる板状部材が設けられ、フライトをチェーンによって移動させることで、沈殿池の底部の汚泥等をかき集める。
【0003】
チェーンは、複数のスプロケットに掛け渡され、少なくとも一つのスプロケットによって駆動される。即ち、スプロケットは、チェーンの移動方向を変える機能と、チェーンに駆動力を与える機能等を有する。また、汚泥かき寄せ機に使用されるスプロケットは、通常、水中に設置されるため、高い耐食性が要求される。従って、汚泥かき寄せ機に用いられるスプロケットには、樹脂製や表面処理の施された金属製のものが使用される場合がある。
【0004】
しかし、表面処理は高価であり、また、経時劣化により表面処理の効果が消滅すると、直ちに腐食が進行する。一方、樹脂製のスプロケットは耐食性の問題は無いものの、金属製のスプロケットと比較すると強度が劣る。特に、スプロケットを回転駆動するシャフトとスプロケットとの回転すべりを抑えるために設けられるキー部には大きな力がかかるため、樹脂製のスプロケットに設けられたキー溝の強度が問題となる。このため、スプロケットには耐食性と供に、キー溝部の強度が要求される。
【0005】
このような耐食性とキー溝部の強度を両立させたスプロケットとしては、樹脂製の歯及びボスと、金属製のブシュを設け、金属製のブシュにキー溝を設けたスプロケットホイールがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−276773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1によるスプロケットホイールでは、スプロケットホイールを駆動するシャフト周り全体が金属製であるため、スプロケットホイール自体の重量が重く、モータへの負荷が大きいという問題がある。また、金属製のブシュが大きく、形状が複雑であるため、ブッシュの製造が困難であり、製造コストがかかるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、耐食性に優れ、キー溝部の強度が高く、構造が簡易で軽量なスプロケット及び当該スプロケットを用いた汚泥かき寄せ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、本体部材と、前記本体部材を挟みこみ、シャフト穴を有する一対のボスと、前記ボスの前記シャフト穴近傍に設けられるプレートと、を具備し、前記プレートにキー溝が設けられることを特徴とするスプロケットである。
【0009】
前記プレートは金属製であってもよく、この場合、前記金属はステンレスがよい。また、前記本体部材及び/またはボスは樹脂製であってもよく、この場合、前記樹脂は、ポリアセタール、ナイロン、超高分子ポリエチレンのいずれかがよい。
【0010】
前記プレートは、前記ボスと前記本体部材の間に設けられてもよく、又は、前記プレートは、前記ボスの外側に設けられてもよい。
【0011】
第1の発明によれば、キー溝部に金属製のプレートが設けられるため、キー溝部の強度が高く、耐摩耗性に優れ、本体部材およびボスが樹脂製であるため耐食性が高く、プレートはキー溝部位にのみ設けられるため、構造が簡易で軽量であり、製造も容易なスプロケットを提供することができる。
【0012】
第2の発明は、モータにより駆動される駆動スプロケットと、自由に回転可能な従動スプロケットと、前記駆動スプロケット及び前記従動スプロケットに掛け渡されるチェーンと、前記チェーンに設けられるフライトと、を具備し、前記駆動スプロケットは、請求項1から請求項7のいずれかに記載のスプロケットであることを特徴とする汚泥かき寄せ装置である。
【0013】
第2の発明によれば、駆動スプロケットは、金属製のプレートにキー溝が設けられるため、特に力を受けるキー溝部の強度が高く、耐摩耗性に優れ、また、本体部材およびボスが樹脂製であるため耐食性が高く、プレートはキー溝部のみに用いられるため、スプロケットの重量が軽量であり、スプロケットを回転させるモータへの負荷が小さい汚泥かき寄せ装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、耐食性に優れ、キー溝部の強度が高く、構造が簡易なスプロケットおよび、当該スプロケットを用いた汚泥かき寄せ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本実施の形態に係るスプロケット1の構成図であり、図2はスプロケット1の組み立て図である。スプロケット1は、主に、スプロケット本体3、ボス7、プレート9等から構成される。
【0016】
スプロケット本体3は、周囲に複数の歯5を有する円板状の部材で、中央にスプロケット1を貫通するボス穴11が設けられる。歯5はチェーンと噛み合う部分であり、スプロケット本体3の周囲に一定間隔で設けられる。また、ボス穴11の周囲にはボルト穴13が設けられる。
【0017】
ボス7は、中央にはボス7を貫通するシャフト穴15を有する円筒状の部材である。シャフト穴15はスプロケット1を回転させるシャフトが設けられる部位である。ボス7の一方の端面におけるシャフト穴15の周囲は、シャフト穴15と同心円にリング状の凸部20が設けられる。凸部20の外径はスプロケット1のボス穴11の径と略等しく、凸部20はボス穴11へ嵌められる。
【0018】
ボス7の凸部20が設けられた面の上部には、プレート設置部19が設けられる。プレート設置部19は、後述するプレート9が設置される部位であり、プレート9と略同幅、同厚みで、シャフト穴15近傍までの深さで設けられる。凸部20(シャフト穴15)の周囲には、ボス7を貫通する複数のボルト穴17が設けられる。ボルト穴17の少なくとも一箇所は、プレート設置部19を貫通する位置に設けられる。ボルト穴17は、ボルト23が挿入可能な形状で設けられる。
【0019】
プレート9は、板状の部材であり、プレート9を貫通するボルト穴21が設けられる。プレート9は、前述の通り、ボス7に設けられたプレート設置部19と略同幅、同厚みである。プレート9の形状は、直方体であっても良いが、プレート9をプレート設置部19に設置した際に、プレート9がボス7の円周からはみ出すのを防ぐため、図1に示すように、プレート9の上部の角をボス7の円周形状に合わせるにように切除し、六角形としても良い。
【0020】
スプロケット本体3は、一対のボス7に挟まれる。プレート9はプレート設置部19へ設置される。プレート9は、スプロケット本体3の両側において同じ位置となるように配置される。この際、スプロケット本体3のボルト穴13の位置は、ボス7、プレート9のそれぞれのボルト穴17、ボルト穴21の位置と一致する。従って、ボルト23は、ボス7のボルト穴17に挿入され、スプロケット本体3のボルト穴13およびプレート9のボルト穴21を貫通して、反対側のボス7まで差し込まれる。ボルト23の端部にはナット25が設けられ、一対のボス7によって、スプロケット本体3及びプレート9を挟み込むように固定される。
【0021】
なお、スプロケット本体3およびボス7の材質は、耐食性を有する材料であれば良く、耐食性を考慮すると望ましくは樹脂製であり、更に望ましくは、耐食性、加工性等に優れるポリアセタール、ナイロン又は超高分子ポリエチレンが使用できる。また、プレート9の材質は、ある程度以上の強度を有すれば良く、強度を考慮すると望ましくは金属製であり、更に望ましくは、耐摩耗性、耐食性にも優れるステンレスが使用できる。
【0022】
図3は、スプロケット1を示す図で、図3(a)はスプロケット1の正面図、図3(b)は図3(a)のA−A断面図である。図3(a)に示すように、プレート9はボス7のプレート設置部19に設置され、この際、ボス7の円周からはみ出すことは無い。また、プレート設置部19の底面は、シャフト穴15近傍まで設けられるため、プレート設置部19に嵌められたプレート9は、プレート9の底面がボス7に設けられたシャフト穴15近傍までくるように設置される。
【0023】
図3(b)に示すように、ボス7の凸部20はスプロケット本体3のボス穴11に嵌められる。従って、対向して設けられるそれぞれのボス7のシャフト穴15の軸は一致する。プレート9は、ボス7とスプロケット本体3との間に設けられ、スプロケット本体3を挟んで同一の位置に設けられる。ボス7、プレート9は、ボルト23によって、スプロケット本体3に固定される。なお、プレート設置部19とプレート9の厚みはほぼ同一であるため、プレート9はボス7とプレート本体3で挟まれた状態で、がたつきにより動くことは無い。
【0024】
図4は、スプロケット1にキー溝27が設けられた状態を示す図で、図4(a)はスプロケット1の正面図、図4(b)は図4(a)のA−A断面図である。キー溝27は、図4(a)の斜線部に設けられ、シャフト穴15からプレート9にかかるように設けられた矩形断面形状の溝である。図4(b)に示すように、キー溝27はボス7、プレート9を貫通して設けられる。即ち、キー溝27はプレート9の底面に設けられ、シャフト穴15に開放部を有する矩形断面の溝である。
【0025】
なお、図4に示すように、キー溝27をスプロケット1の組み立て後に加工することで、スプロケット1を挟み込むそれぞれのプレート9のキー溝27の位置がずれることは無い。従って、後述するキー溝27へのキー29の設置が容易となる。しかし、キー溝27の加工精度等に問題が無ければ、組み立て前に予めキー溝27を有するプレート9及びボス7を使用することもできる。この場合は、スプロケット1の組み立て時に、一対のプレート9のそれぞれに設けられたキー溝27の位置が、スプロケット本体3を挟んで一致するように組み立てる必要がある。
【0026】
図5は、スプロケット1にシャフト33およびキー29が設けられた状態を示す図である。スプロケット1のシャフト穴15にはシャフト33が挿入される。シャフト33は、スプロケット1を回転させる軸であり、キー溝31を有する。キー溝31はキー溝27と略同一幅の溝であり、シャフト33の軸方向に設けられる。シャフト33のキー溝31とスプロケット1に設けられたキー溝27の位置が合わせられ、キー溝27、キー溝31で形成される矩形断面部には、キー29が挿入される。
【0027】
キー29は、キー溝27、キー溝31と略同一幅の矩形断面の板状部材である。キー29は一対のプレート9にまたがって設けられ、各プレート9に設けられたキー溝27に嵌められる。即ち、キー29の長さは、少なくともスプロケット本体3を挟み込む一対のプレート9をまたがることができる長さであり、また、シャフト33に設けられるキー溝31の長さは、少なくとも、キー29が設置可能な長さの溝である。また、キー29の厚みは、キー29をキー溝27、キー溝31へ設置した際に、キー29がキー溝27とキー溝31の両方の溝に渡って嵌ることができるだけの厚みである。
【0028】
シャフト33に回転力が加えられると、シャフト33からスプロケット1へは、キー29により回転力が伝達される。即ち、シャフト33による回転力は、キー溝31に設けられたキー29へ伝達され、キー29は、プレート9に設けられたキー溝27に回転力を伝達し、プレート9が設けられたスプロケット1全体を回転させる。従って、シャフト33とスプロケット1は回転すべりを生じることなく一体となって回転動作する。
【0029】
シャフト33およびキー29は、強度及び耐摩耗性を考慮して金属製であることが望ましい。シャフト33及びキー29を金属製とする場合は、耐食性を考慮すると、シャフト33とキー29はプレート9と同材質であることが望ましい。
【0030】
このように、本実施の形態にかかるスプロケット1によれば、スプロケット本体3、ボス7が耐食性を有する樹脂等で形成されるため、耐食性に優れ、また、スプロケット1に設けられたキー溝27とスプロケット1を回転するシャフト33に設けられたキー溝31にキー29が嵌められるため、シャフト33とスプロケット1とが回転すべりを生じることが無く、スプロケット1に設けられたキー溝27は、強度を有する金属等からなるプレート9に設けられるため、キー29から大きな力を受けるキー溝27が破損することがなく、また摩耗も少なく、更に、プレート9はキー溝27近傍のみに設けられる板状部材であるため、プレート9の製造が容易でかつ軽量であるスプロケット1を得ることができる。
【0031】
次に、スプロケット1を用いた、汚泥かき寄せ機50について説明する。図6は汚泥かき寄せ機50を示す図である。汚泥かき寄せ機50は、沈殿池51内に設置され、主に駆動スプロケット61、従動スプロケット63、チェーン57、フライト59等から構成される。チェーン57は、沈殿池51の幅方向(図6の奥行き方向)の両側壁近傍にそれぞれ設けられる。すなわち、図6に示すチェーン57、駆動スプロケット61、従動スプロケット63は、それぞれ沈殿池51の幅方向の両側壁近傍に計2組設けられる。
【0032】
駆動スプロケット61は図示しないモータによって回転駆動される。従動スプロケット63は自由に回転可能である。駆動スプロケット61と従動スプロケット63にはチェーン57が掛け渡される。チェーン57には、図示を省略したアタッチメントにより、長板状のフライト59が一定間隔で複数設けられる。フライト59は、沈殿池51の幅と略同長さの板状部材であり、沈殿池51の幅方向に一対設けられたチェーン57を連結して、沈殿池51の幅方向略全長に渡るように設けられる。
【0033】
駆動スプロケット61および従動スプロケット63は、チェーン57に設けられたフライト59が、沈殿池51の底部に沿って移動可能なように沈殿池51へ配置され、フライト59は沈殿池51内でチェーン57の移動に伴い、駆動スプロケット61及び従動スプロケット63の周囲を循環移動する。
【0034】
駆動スプロケット61を図示しないモータによって矢印C方向へ回転駆動させると、駆動スプロケット61と噛み合うチェーン57は、駆動スプロケット61の回転に応じて、駆動スプロケット61及び従動スプロケット63間を矢印D方向で移動する。チェーン57の移動に応じてフライト59も沈殿池51内を回転移動する。沈殿池51の底部に沿って移動するフライト59は、沈殿池51底部に沈殿した汚泥等をかき寄せる。沈殿池51の端部にはピット55が設けられており、フライト59によりかき寄せられた汚泥等はピット55に廃棄される。
【0035】
図7は図6のE部拡大図である。汚泥かき寄せ機50の駆動スプロケットには、本発明の実施の形態にかかるスプロケット1が使用される。前述の通り、駆動スプロケット61(以下「スプロケット1」と呼ぶ)は、図示しないモータによって回転力を与えられる。
【0036】
モータと連結されたシャフト33が回転すると、シャフト33に設けられたキー溝31とスプロケット1のプレート9に設けられたキー溝27に嵌められた、キー29によって、スプロケット1に回転力が伝達され、スプロケット1は矢印F方向へ回転する。
【0037】
スプロケット1の外周部にはチェーン57が掛けられており、チェーン57のブッシュ73と駆動スプロケット61の歯5とが噛み合っている。スプロケット1が矢印F方向へ回転すると、歯5より、歯5と噛み合うチェーン57へ駆動力が伝達される。
【0038】
即ち、駆動スプロケット61に使用されるスプロケット1は、シャフト33の回転力をチェーン57に伝達する必要があるため、チェーン57駆動時には、シャフト33から回転力を伝達されるキー溝27近傍に、特に大きな力が加えられる。また、キー溝27は、キー29との接触により摩耗が進行しやすい。従って、駆動スプロケット61として使用されるスプロケット1のキー溝27近傍には高い強度が要求される。スプロケット1は、キー溝27が強度の高いプレート9に設けられるため、キー溝27近傍に破損が生じることがなく、耐摩耗性に優れ、駆動スプロケット61として好適である。なお、従動スプロケット63は、チェーン57と噛み合って自由に回転するのみであり、チェーン57へ駆動力を与えないため、プレート9を有しない通常のスプロケットが使用できる。
【0039】
なお、汚泥かき寄せ機50は沈殿池51内で使用されるため、汚泥かき寄せ機50を構成する駆動スプロケット61以外の部品についても耐食性を有する材質が用いられる。例えば、従動スプロケット63、チェーン57には、耐食性を考慮して、樹脂製等の耐食性を有する部品が使用され、例えば、耐食性、加工性等に優れるポリアセタール、ナイロン又は超高分子ポリエチレンが使用できる。
【0040】
このように、本実施の形態にかかる汚泥かき寄せ機50によれば、駆動スプロケット61としてスプロケット1が用いられ、チェーン57を駆動する際に特に力の加わるキー溝27が、強度の高いプレート9に設けられるため、稼動時の駆動スプロケット61の破損がなく、摩耗も少ない汚泥かき寄せ機50を得ることができる。また、駆動スプロケット61及び従動スプロケット63のチェーン57との噛み合い部とチェーン57が双方樹脂製であると、チェーン57と駆動スプロケット61、従動スプロケット63との噛み合い時のすべりが良いため、チェーン57駆動時のロスが少ない。
【0041】
次に、第2の実施の形態について説明する。図8は第2の実施の形態に係るスプロケット40を示す斜視図であり、図9(a)はスプロケット40の正面図、図9(b)は図9(a)のB−B断面図である。以下の実施の形態において、図1から図5に示すスプロケット1と同一の機能を果たす構成要素には、図1から図5と同一番号を付し、重複した説明を避ける。
【0042】
スプロケット40は、主にスプロケット本体3、ボス7、プレート9等から構成され、スプロケット1と同様の構成であるが、プレート設置部19がボス7の外側に設けられ、プレート9がスプロケット40の外側に、ボス7及びスプロケット本体3を挟みこむように設けられる点でスプロケット1と異なる。
【0043】
図9(b)に示すように、ボス7の一方の端面には凸部20が設けられ、スプロケット本体3のボス穴11に嵌められる。ボス7の他方の端面には、プレート9が設置可能なプレート設置部19が設けられる。プレート設置部19の幅、厚みは、プレート9と略同一であり、プレート設置部19の深さ方向は、シャフト穴15近傍まで設けられる。
【0044】
スプロケット本体3は、ボス7によって挟まれ、更に、プレート設置部19に設置されたプレート9がボス7及びスプロケット本体3を挟み込むように設けられる。スプロケット本体3及びボス7を挟み込む一対のプレート9は、スプロケット本体3を挟んで同一の位置に設けられる。なお、ボス7、プレート9とスプロケット本体3との接合は、ボルト23及びナット25により行われる。
【0045】
プレート9にはキー溝27が設けられる。キー溝27は、シャフト穴15からプレート9にかかるように設けられた矩形断面形状の溝であり、プレート9及びボス7を貫通して設けられる。なお、キー溝27は、スプロケット本体3、ボス7、プレート9を組み立てた後で加工しても良く、また、予めキー溝27が設けられたプレート9等を組み立てても良い。後者の場合、スプロケット40の組み立てに際して、プレート9に設けたキー溝27がスプロケット本体3を挟んで同一の位置となるようにプレート9を設置する必要がある。
【0046】
図10は、スプロケット40にシャフト33及びキー29が設けられた状態を示す正面図である。スプロケット40は、図10に示すように、シャフト穴15にキー溝31を有するシャフト33が挿入される。キー溝27、キー溝31にはキー29が設けられる。従って、シャフト33が回転すると、シャフト33とスプロケット40とが回転すべり等生じずに、シャフト33からの回転に伴いスプロケット40が回転する。
【0047】
このように、第2の実施形態にかかるスプロケット40によれば、スプロケット1と同様の効果を奏する。また、プレート9がスプロケット40の外側に配置され、ボス7とスプロケット本体3との間に挟まれないため、プレート9の厚みがプレート設置部19の厚みより薄くなっても、プレート9をボルト23で締めこめば、プレート9ががたつくことが無く、このため、プレート9及びプレート設置部19の厚みの加工精度が必要なく、また、プレート9の交換作業が容易なスプロケット40を得ることができる。
【0048】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の実施の形態に係るスプロケット1の構成図。
【図2】スプロケット1の組み立て図。
【図3】スプロケット1を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図。
【図4】スプロケット1にキー溝27が設けられた状態を示す図で。(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図。
【図5】スプロケット1にシャフト33及びキー29が設けられた状態を示す図。
【図6】汚泥かき寄せ機50を示す図。
【図7】駆動スプロケット61を示す図で、図6のE部拡大図。
【図8】第2の実施の形態にかかるスプロケット40を示す斜視図。
【図9】スプロケット40を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のB部。
【図10】スプロケット40にシャフト33及びキー29が設けられた状態を示す図。断面図。
【符号の説明】
【0050】
1、40………スプロケット
3………スプロケット本体
5………歯
7………ボス
9………プレート
11………ボス穴
13………ボルト穴
15………シャフト穴
17………ボルト穴
19………プレート設置部
20………凸部
21………ボルト穴
23………ボルト
25………ナット
27………キー溝
29………キー
31………キー溝
33………シャフト
50………汚泥かき寄せ機
51………沈殿池
53………汚泥
55………ピット
57………チェーン
59………フライト
61………駆動スプロケット
63………従動スプロケット
65………連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部材と、
前記本体部材を挟みこみ、シャフト穴を有する一対のボスと、
前記ボスの前記シャフト穴近傍に設けられるプレートと、
を具備し、前記プレートにキー溝が設けられることを特徴とするスプロケット。
【請求項2】
前記プレートは金属製であることを特徴とする請求項1記載のスプロケット。
【請求項3】
前記金属はステンレスであることを特徴とする請求項2記載のスプロケット。
【請求項4】
前記本体部材及び/またはボスは樹脂製であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のスプロケット。
【請求項5】
前記樹脂は、ポリアセタール、ナイロン、超高分子ポリエチレンのいずれかであることを特徴とする請求項4記載のスプロケット。
【請求項6】
前記プレートは、前記ボスと前記本体部材の間に設けられることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のスプロケット。
【請求項7】
前記プレートは、前記ボスの外側に設けられることを特徴とする請求項1から請求項5記載のいずれかに記載のスプロケット。
【請求項8】
モータにより駆動される駆動スプロケットと、
自由に回転可能な従動スプロケットと、
前記駆動スプロケット及び前記従動スプロケットに掛け渡されるチェーンと、
前記チェーンに設けられるフライトと、
を具備し、
前記駆動スプロケットは、請求項1から請求項7のいずれかに記載のスプロケットであることを特徴とする汚泥かき寄せ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−103162(P2009−103162A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273603(P2007−273603)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】