スペクトル純度フィルタ、リソグラフィ装置、及びスペクトル純度フィルタを製造する方法
【課題】比較的単純であり且つ所望の仕様を有するEUVスペクトル純度フィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】極端紫外放射を透過させ、かつ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成された複数のアパーチャを有するスペクトル純度フィルタの製造方法である。基材に、アパーチャ間に形成される壁に対応するパターンに溝が形成される。グリッド材料の壁を形成するために、溝がグリッド材料で充填される。アパーチャを形成するために、グリッド材料が露出し、グリッド材料の壁間に空間が生じるまで、基材が選択的に除去される。
【解決手段】極端紫外放射を透過させ、かつ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成された複数のアパーチャを有するスペクトル純度フィルタの製造方法である。基材に、アパーチャ間に形成される壁に対応するパターンに溝が形成される。グリッド材料の壁を形成するために、溝がグリッド材料で充填される。アパーチャを形成するために、グリッド材料が露出し、グリッド材料の壁間に空間が生じるまで、基材が選択的に除去される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年8月27日に出願された米国特許仮出願第61/237,610号の利益を主張し、参照によりそれら両出願の全体が本明細書に引用される。
【0002】
(分野)
本発明は、スペクトル純度フィルタ、そのようなスペクトル純度フィルタを含むリソグラフィ装置、及びスペクトル純度フィルタを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板、通常は基板のターゲット部分に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えば集積回路(IC)の製造に用いられる。この場合、例えばマスクまたはレチクルとも称されるパターニングデバイスが、集積回路の個々の層に形成されるべき回路パターンを形成するために使用されうる。このパターンが基板(例えばシリコンウエハ)の(例えばダイの一部、あるいは1つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分に転写される。パターン転写は典型的には基板に形成された放射感応性材料(レジスト)層への結像による。一般に一枚の基板にはネットワーク状に隣接する一群のターゲット部分が含まれ、これらは連続的に露光される。公知のリソグラフィ装置には所謂ステッパと所謂スキャナとがある。ステッパにおいては、ターゲット部分にパターン全体が一度に露光されるようにして各ターゲット部分は照射を受ける。スキャナにおいては、所与の方向(「走査」方向)に放射ビームによりパターンを走査するとともに基板をこの方向に平行または逆平行に同期して走査するようにして各ターゲット部分は照射を受ける。パターニングデバイスから基板へのパターン転写は、基板にパターンをインプリントすることによっても可能である。
【0004】
パターン印刷を制限する重要な要因は、使用される放射の波長λである。さらに小さな構造を基板上に投影できるようにするために、10〜20nmの範囲、例えば13〜14nmの範囲の波長を有する電磁放射である極端紫外(EUV)放射を使用することが提案されている。さらに、10nmより小さい波長、例えば6.7nmまたは6.8nmといったように5〜10nmの範囲の波長を有するEUV放射が使用されてもよいことが提案されている。このようなEUV放射を軟X線と呼ぶことがある。可能な放射源としては、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源または電子蓄積リングからのシンクロトロン放射が挙げられる。
【0005】
錫(Sn)プラズマに基づくEUV源は、所望の帯域内EUV放射だけでなく、帯域外放射、特に深UV(DUV)範囲(100〜400nm)内の放射も放出する。さらに、レーザ生成プラズマ(LPP)EUV源の場合、通常10.6μmのレーザからの赤外放射は、かなりの量の望ましくない放射を表す。EUVリソグラフィシステムの光学系は通常これらの波長においてかなりの反射率を有するため、何らかの手段がとられない場合、望ましくない放射はかなりのパワーを有してリソグラフィツールへと伝搬する。
【0006】
リソグラフィ装置においては、帯域外放射はいくつかの理由により最小化されるべきである。第1に、レジストは帯域外波長に対して敏感であり、よって画像品質が低下し得る。第2に、望ましくない放射、特にLPP源における10.6μmの放射は、マスク、ウェハおよび光学系の望ましくない加熱を引き起こす。望ましくない放射を特定の範囲内とするために、スペクトル純度フィルタ(SPF)が開発されている。
【0007】
スペクトル純度フィルタは、EUV放射に対して反射型または透過型のいずれかであってよい。反射型SPFの実施は、典型的には、既存のミラーの変形または追加の反射要素の挿入を必要とする。透過型SPFは、典型的には、コレクタとイルミネータとの間に配置され、原理上、少なくとも放射経路に影響を与えない。これは、他のSPFとの柔軟性および互換性という結果をもたらすので、利点になり得る。
【0008】
グリッドSPFは、望ましくない放射がEUV放射よりかなり大きい波長を有する場合、例えばLPP源における10.6μmの放射であった場合に使用され得る透過型SPFの種類を形成する。グリッドSPFは、抑制される波長程度のサイズを有するアパーチャを含む。抑制のメカニズムは、従来技術および本明細書中の詳細な実施形態においてさらに説明されるように、種々のタイプのグリッドSPFの間で異なり得る。EUV放射の波長(13.5nm)はアパーチャのサイズ(典型的には、>3μm)よりかなり小さいため、EUV放射は実質的な回折なしにアパーチャを通過する。
【0009】
いくつかの従来のスペクトル純度フィルタ(SPF)は、望ましくない放射を抑制するためにミクロンサイズのアパーチャを有するグリッドに基づく。米国特許出願公開第2006/0146413号は、20μmまでの直径を有するアパーチャのアレイを含むスペクトル純度フィルタ(SPF)を開示している。
【0010】
放射波長と比較したアパーチャのサイズによって、SPFは、異なるメカニズムによって望ましくない放射を抑制し得る。アパーチャサイズが(望ましくない)波長の約半分より小さい場合、SPFはこの波長の実質的に全ての放射を反射する。アパーチャサイズはより大きいが依然として波長程度であった場合、放射は少なくとも部分的に回折されてアパーチャ内の導波路で吸収され得る。
【0011】
これらのSPFに対するおおよその材料パラメータおよび仕様は周知である。しかしながら、これらの仕様における製造は簡単ではない。最も難しい仕様は、典型的には直径4μmのアパーチャ、典型的には5〜10μmのグリッドの厚さ、および最大EUV透過を確実にするためのアパーチャ間の非常に薄くて(典型的には<1μm)平行な(テーパ状ではない)壁である。
【0012】
半導体製造によってよく理解されているフォトリソグラフィ・パターニングおよび異方性エッチングプロセスを用いてこのようなグリッドを製造のための有望な材料として、シリコン(Si)が浮上している。所望の仕様を有するEUVスペクトル純度フィルタを製造する方法を提供するのに課題は残るが、十分に制御された断面を有する深いアパーチャに対しては、ディープ・リアクティブ・イオンエッチング(DRIE)が有望なものとして見出されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明のある態様は、比較的単純であり且つ所望の仕様を有するEUVスペクトル純度フィルタをもたらすEUVスペクトル純度フィルタの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、極端紫外放射を透過させ、かつ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成された複数のアパーチャを備えるスペクトル純度フィルタの製造方法が提供される。この方法は、第1主要面および第2主要面を有する基材を準備するステップと、基材の第1面に、スペクトル純度フィルタのアパーチャ間に形成される壁に対応するパターンに溝を形成するステップと、溝をグリッド材料で充填し、グリッド材料の壁を形成するステップと、アパーチャを形成するために、グリッド材料が露出し、グリッド材料の壁間に空間を生じるまで、基材の少なくとも一部を選択的に除去するステップとを備える。
【0015】
トレンチは、導電性材料で充填されてもよい。溝を充填するプロセスは、電気めっきプロセスであってもよい。溝は、多結晶シリコンで充填されてもよい。溝を多結晶シリコンで充填するプロセスは、低圧化学蒸着(LPCVD)またはプラズマ化学蒸着(PECVD)プロセスを含んでもよい。溝は、2μmから10μmの範囲の深さ、および/または1μm未満の幅を有してもよい。必須ではないが、好ましくは、溝は、5:1から20:1の範囲の幅に対する深さの比を有する。
【0016】
本発明の一態様によれば、上記方法に従って製造されたスペクトル純度フィルタが提供される。
【0017】
本発明の一態様によれば、スペクトル純度フィルタが提供される。このスペクトル純度フィルタは、スペクトル純度フィルタの第1領域内の複数の連結された壁であって、該壁はスペクトル純度フィルタを貫く複数のアパーチャを規定し、複数のアパーチャは極端紫外放射を透過させ且つ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成されている、壁と、第1領域に隣接するスペクトル純度フィルタの第2領域にある支持フレームであって、壁を支持するよう構成された支持フレームとを備える。連結された壁が形成される材料は、支持フレームと連結された壁との間の機械的結合を与えるために、支持フレームの一つ以上の孔の中に延びている。支持フレームは、単結晶シリコンなどの第1材料から形成されてよく、連結された壁は、第1材料とは異なる第2材料から形成されてよい。第2材料は、例えば、金属または多結晶シリコンであってよい。壁の第2材料がその中に延びる支持フレームの孔(opening)では、第1および第2材料と異なる第3材料の層が支持フレームの第1材料を第2材料から分離してもよい。
【0018】
本発明の一態様によれば、上述のスペクトル純度フィルタを備える放射源およびリソグラフィ装置が提供される。
【0019】
本発明の一態様によれば、極端紫外放射を透過させ且つ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成された複数のアパーチャと、スペクトル純度フィルタの第1領域内の複数の連結された壁であって、スペクトル純度フィルタを貫く複数のアパーチャを規定する壁と、第1領域に隣接するスペクトル純度フィルタの第2領域にある支持フレームであって、壁を支持するよう構成された支持フレームとを備えるスペクトル純度フィルタを含む放射源が提供される。連結された壁が形成される材料は、支持フレームと連結された壁との間の機械的結合を与えるために、支持フレームの一つ以上の孔の中に延びている。
【0020】
本発明の一態様によれば、極端紫外放射および第2のタイプの放射を生成するよう構成された放射源と、スペクトル純度フィルタとを含むリソグラフィ装置が提供される。スペクトル純度フィルタは、スペクトル純度フィルタの第1領域内の複数の連結された壁であって、該壁はスペクトル純度フィルタを貫く複数のアパーチャを規定し、複数のアパーチャは極端紫外放射を透過させ且つ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成されている、壁と、第1領域に隣接するスペクトル純度フィルタの第2領域にある支持フレームであって、壁を支持するよう構成された支持フレームとを備える。連結された壁が形成される材料は、支持フレームと連結された壁との間の機械的結合を与えるために、支持フレームの一つ以上の孔の中に延びている。この装置はまた、パターニングデバイスを支持するよう構成された支持部と、極端紫外放射にパターンを付与するよう構成されたパターニングデバイスと、パターン付与された放射を基板上に投影するよう構成された投影系とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の実施形態が付属の図面を参照して以下に説明されるがこれらは例示に過ぎない。各図面において対応する参照符号は対応する部分を指し示す。
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示す図である。
【0023】
【図2】本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置のレイアウトを示す図である。
【0024】
【図3】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの正面図である。
【0025】
【図4】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの変形の詳細を示す図である。
【0026】
【図5】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【0027】
【図14】本発明に係るスペクトル純度フィルタの一部の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係るリソグラフィ装置を模式的に示す。リソグラフィ装置は、放射ビームB(例えばUV放射またはEUV放射)を調整するよう構成された照明系(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構成されるとともに、パターニングデバイスを特定のパラメータに従って正確に位置決めするよう構成された第1位置決め装置PMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコーティングされたウェハ)Wを保持するとともに特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするよう構成された第2位置決め装置PWに接続された基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するよう構成された投影系(例えば屈折投影レンズ系)PSとを備える。
【0029】
照明系は、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み得るものであり、放射の向きや形状を整え、あるいは放射を制御するためのものである。
【0030】
支持構造MTは、パターニングデバイスを支持する、すなわち、パターニングデバイスの重みを支える。支持構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されるか否か等のその他の条件に応じた方式で、パターニングデバイスを保持する。支持構造は、機械的固定、真空固定、静電固定、またはパターニングデバイスを保持するその他の固定技術を用いてもよい。支持構造は、例えばフレームまたはテーブルであってよく、これらは固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影系に対して所望の位置にあることを保証してもよい。本明細書で使用される「レチクル」または「マスク」という用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義であると見なしてよい。
【0031】
本明細書で用いられる「パターニングデバイス」なる用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するために放射ビーム断面にパターンを与えるのに使用される何らかのデバイスを表すと広義に解釈すべきである。放射ビームに付与されたパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ、すなわち所謂アシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分の所望のパターンに厳密に対応していなくてもよいことを留意されたい。通常、放射ビームに付与されたパターンは、ターゲット部分に生成される集積回路等のデバイスにおける特定の機能層に対応している。
【0032】
パターニングデバイスは、透過型であってもよいし、反射型であってもよい。EUVリソグラフィに対する本提案は、図1に示されるような反射型のパターニングデバイスを採用している。パターニングデバイスにはマスクやプログラム可能ミラーアレイ、プログラム可能LCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリマスク、レベンソン型位相シフトマスク、減衰型位相シフトマスク、さらには多様なハイブリッド型マスクが含まれる。プログラム可能ミラーアレイは例えば、小型ミラーのマトリックス配列で構成される。各ミラーは、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個別的に傾斜可能である。ミラーマトリックスにより反射された放射ビームには、傾斜されたミラーによってパターンが付与されている。
【0033】
本明細書で用いられる「投影系」なる用語は、使用される露光放射に応じて、あるいは浸液の使用や真空の使用等のその他の要因に応じて適切とされる、屈折光学素子、反射光学素子、反射屈折光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、またはこれらの組合せを含む何らかの投影系であると広義に解釈されるべきである。
【0034】
本明細書において「投影レンズ」なる用語の使用は、より一般的な「投影系」なる用語と同じ意味であると見なしてよい。EUV波長に対し、透過性材料は容易には利用できない。従って、EUVシステムにおける照明及び投影用の「レンズ」は通常、反射型、すなわちカーブミラーである。
【0035】
リソグラフィ装置は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブル(及び/または2つ以上のマスクテーブル)を備えてもよい。こうした多重ステージ型の装置においては、複数のテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルが露光のために使用されている間に、1以上の他のテーブルで準備工程が実行されるようにしてもよい。
【0036】
また、リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が比較的屈折率の高い液体、たとえば水で覆われ、それにより投影系と基板との間の空間が充填されるタイプの装置であってもよい。液浸液は例えばマスクと投影系との間などの、リソグラフィ装置の他の空間に与えられてもよい。液浸技術は、投影系の開口数を大きくするため技術として周知である。本明細書で使用される「液浸(immersion)」という用語は、基板などの構造が液体の中に沈められなければならないことを意味するものではなく、むしろ露光中に投影系と基板との間に液体がある程度のことを意味するものである。
【0037】
図1に示されるように、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば放射源がエキシマレーザである場合には、放射源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされず、放射ビームは放射源SOからイルミネータILへとビーム搬送系を介して受け渡される。ビーム搬送系は、例えば適当な方向変更用のミラー及び/またはビームエキスパンダを備える。他の場合においては、例えば放射源が水銀ランプである場合には、放射源はリソグラフィ装置に一体に構成されていてもよい。放射源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送系が必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系と総称される。
【0038】
イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調整するための調整装置(アジャスタ)を備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径の大きさ(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えてイルミネータILは、インテグレータ及びコンデンサなどの種々の他の要素を備えてもよい。イルミネータは、ビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。
【0039】
放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されているパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。マスクMAを横切った後、放射ビームBは、投影系PSを通過する。投影系PSは、ビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2位置決め装置PWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により、基板テーブルWTは、例えば放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cを位置決めするように正確に移動される。同様に、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めするために、第1位置決め装置PMと別の位置センサIF1が使用されてもよい。この位置決めは、例えばマスクライブラリからのマスクの機械検索後や走査中に行われる。
【0040】
一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1の位置決め装置PMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現されうる。同様に基板テーブルWTの移動は、第2の位置決め装置PWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使用して実現されうる。ステッパでは(スキャナとは異なり)、マスクテーブルMTはショートストロークのアクチュエータにのみ接続されているか、あるいは固定されていてもよい。マスクMAと基板Wとは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。図においては基板アライメントマークが専用のターゲット部分を占拠しているが、アライメントマークはターゲット部分間のスペースに配置されてもよい(これはスクライブライン・アライメントマークとして公知である)。同様に、マスクMAに複数のダイがある場合には、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0041】
図示の装置は以下のモードのうち少なくとも1つで使用することができる。
【0042】
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射で1つのターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一の静的露光で転写されるターゲット部分Cのサイズを制限することになる。
【0043】
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一の動的露光でのターゲット部分の(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離がターゲット部分の(走査方向の)長さを決定する。
【0044】
3.別のモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMTはプログラム可能パターニングデバイスMAを実質的に静止状態で保持し続け、基板テーブルWTは移動または走査される。このモードでは一般にパルス放射源が用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは1回の走査中において基板テーブルWTが移動するたびに、または1回の走査中において連続するパルスとパルスの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、上述の形式のプログラム可能ミラーアレイ等のプログラム可能パターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0045】
上記の使用モードを組み合わせて動作させてもよいし、使用モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別の使用モードを用いてもよい。
【0046】
図2は、実際のEUVリソグラフィ装置の概略側面図を示す。物理的な配置は図1に示す装置と異なるが、動作原理は同様であることを留意されたい。この装置は、ソースコレクタモジュールまたは放射ユニット3と、照明系ILと、投影系PSとを備える。放射ユニット3は、例えばキセノン(Xe)ガスやリチウム(Li)、ガドリニウム(Gd)または錫(Sn)の蒸気などのガスまたは蒸気を用いた放射源SOを備える。この放射源では、電磁放射スペクトルのEUV範囲の放射を放出するよう非常に高温の放電プラズマが生成される。放電プラズマは、電気放電の一部イオン化したプラズマを光軸O上に崩壊させることにより生成される。Xe,Li,Gd,Sn蒸気またはその他の適切なガスまたは蒸気の例えば10Pa0.1mbarの分圧が、放射の効率的な発生に望ましい。一実施形態においては、EUV源としてSn源が適用される。
【0047】
図2の主要部は、放電形成プラズマ(DPP)形式の放射源7を示している。図面の左下の代替的な詳細図は、レーザ形成プラズマ(LPP)を用いた放射源の代替形態を示している。LPP型の放射源では、着火領域7aは、燃料供給系7bからの例えば溶解したSnの液滴などのプラズマ燃料で満たされている。レーザビーム生成部7c及び関連する光学系は、放射ビームを着火領域に供給する。生成部7cは、例えば10.6マイクロメートルまたは9.4マイクロメートルの赤外線波長を有するCO2レーザであってよい。あるいは、例えば1〜11マイクロメートルの範囲の個別の波長を有する他の適切なレーザが用いられてもよい。レーザビームとの相互作用により、燃料の液滴は、例えば6.7nmの放射または5〜20nmの範囲から選択された他のEUV放射を放出することのできるプラズマ状態に転移する。ここではEUVが関連する実施例であるが、異なるタイプの放射が他のアプリケーションで生成されてもよい。プラズマで生成された放射は、楕円形または他の適切なコレクタ7dにより集められ、中間焦点12を有する放射ビーム源を生成する。
【0048】
図2の主要部に戻り、放射源SOにより放出された放射は、DPP源チャンバ7からガス・バリアまたは「フォイル・トラップ」形式の汚染物質トラップ(contaminant trap)9を経由してコレクタ・チャンバ8内に通過する。これは、以下でさらに説明される。コレクタ・チャンバ8は、放射コレクタ10を含んでもよい。放射コレクタ10は、例えば、所謂かすめ入射リフレクタの入れ子式アレイを備えるかすめ入射コレクタである。この目的に適した放射コレクタは、従来より知られている。コレクタ10から放出されるEUV放射ビームは、光軸Oのどちらかの側に恐らく10度程度の一定の角拡散を有する左下に示すLPP源においては、放射源からの放射を集めるために垂直入射コレクタ7dが設けられている。
【0049】
コレクタ10を通過した放射は、本発明の実施形態に係るスペクトル純度フィルタ11を通り抜けて伝搬する。反射型格子スペクトル純度フィルタとは対照的に、透過型スペクトル純度フィルタ11は、放射ビームの方向を変えないことに留意されたい。フィルタ11の実施形態を以下に説明する。放射は、コレクションチャンバ8内のアパーチャから仮想源点12(すなわち、中間焦点)に合焦される。放射ビーム16は、チャンバ8から照明系IL内で垂直入射リフレクタ13、14を介してレチクルまたはマスクテーブルMT上に位置決めされたレチクルまたはマスクへと反射される。パターン付けされたビーム17が形成され、投影系PSによって反射エレメント18、19を介してウェハステージまたは基板テーブルWTに搭載されたウェハW上へと結像される。図示されたものより多いエレメントが照明系IL及び投影系PSの中に通常存在してもよい。反射エレメント19のうちの1つは、その前にNAディスク20を有しており、NAディスク20はそこを通るアパーチャ21を有する。アパーチャ21のサイズは、ビームが基板テーブルWTに当たるときにパターン付けされた放射ビーム17によって定められる角度αiを決定する。
【0050】
図2は、仮想源点12の上流近傍に位置決めされたスペクトル純度フィルタ11を示す。図示されていないが別の実施形態では、スペクトル純度フィルタ11は、仮想源点12に位置決めされてもよく、またはコレクタ10と仮想源点12との間のあらゆる箇所に位置決めされてもよい。このフィルタは、例えば仮想原点12の下流など放射経路における他の位置に配置されてもよい。複数のフィルタが配置されてもよい。
【0051】
ガス・バリアは、本明細書に参照により援用される例えば米国特許第6,614,505号及び米国特許第6,359,969号に詳細に説明されるチャネル構造を含む。この汚染物質トラップの目的は、光学システムのエレメント上に衝突する燃料材料または副生成物の入射、及び時間にわたるその性能の低下を防ぐか、または少なくとも減少させることである。これらのエレメントは、コレクタ10と、スペクトル純度フィルタ11とを含む。図2の左下に詳細に説明されるLPP源の場合、汚染物質トラップは楕円コレクタ7dを保護する第1トラップ構成9aを含み、さらに任意選択として符号9bで示される更なるトラップ構成を含む。ガス・バリアは、汚染物質との化学的相互作用によって、及び/または荷電粒子の静電または電磁偏向によって(流体逆流によって)物理的バリアとして機能することができる。実際、できる限り大きな範囲でプラズマ材料を遮断する一方、照明系への放射の移動を可能とするためにこれらの方法の組み合わせが採用されてもよい。上記の米国特許で説明されるように、Snまたは他のプラズマ材料を化学修飾するために特に水素ラジカルが注入されてもよい。
【0052】
水素ラジカルは、Sn及び光学面上に既に堆積し得る他の汚染物質を洗浄するために適用されてもよい。さらに、水素ガスは、システム内のより大きな真空空間へと入るウェハからの汚染物質に対するバッファとして、ウェハ支持構造WTの付近に展開されてもよい。真空環境では、典型的なフォトレジスト材料は、(支持構造及び位置決めシステムのコンポーネントについては言及しないが)、時間にわたって光コンポーネントを汚染し得る有機及び他のガス状材料を放出する傾向がある。
【0053】
これらの全ての目的のために、水素源HSは、水素ガスを各汚染物質トラップ構成9a及び9bに供給するために配置され、照明系IL及び投影系PSのチャンバへの出口に配置されて示されている。他のものがHラジカルを生成する一方、一部の放射源は、単一のバッファとして水素分子ガス(H2)を供給し得る。真空環境に浸透する水素分子は、環境における放射、放電等によってラジカル化され得る。
【0054】
図3は、例えばリソグラフィ装置の上記のフィルタ11として適用することができるスペクトル純度フィルタ100の一実施形態の概略正面図である。本フィルタ100は、極端紫外(EUV)放射を透過させるように構成されている。更なる実施形態では、フィルタ100は、放射源によって生成される第2のタイプの放射(例えば、赤外(IR)放射、例えば約1μmより大きい、特に10μmより大きい波長の赤外放射)を実質的に遮断する。特に、透過されるEUV放射及び(遮断される)第2のタイプの放射は、同じ放射源、例えばリソグラフィ装置のLPP源SOから発せられていてもよい。
【0055】
後述の実施形態におけるスペクトル純度フィルタ100は、スペクトル純度フィルタの第1領域に略平面フィルタ部分102(例えば、フィルタ膜またはフィルタ層)を備える。フィルタ部分102は、「フィルタ基板」と呼ぶことができる。フィルタ部分102は、極端紫外放射を透過させ、かつ第2のタイプの放射の透過を抑制するために複数(好ましくは平行の)アパーチャ104を有する。放射源SOから放射が衝突する面を前面と呼ぶ一方、放射が照明系ILへと出る面を後面と呼ぶことができる。上述したように、例えば、EUV放射は、放射の方向を変化することなくスペクトル純度フィルタによって透過される。一実施形態では、各アパーチャ104は、アパーチャ104を画定して前面から後面へと完全に延在する平行側壁を有する。
【0056】
スペクトル純度フィルタ100は、第1領域に隣接したスペクトル純度フィルタの第2領域に、支持フレーム108を含んでもよい。支持フレーム108は、フィルタ部分102への構造的な支持を与えるよう構成されてよい。支持フレーム108は、スペクトル純度フィルタ100を使用される装置に取り付けるための部材を含んでもよい。特定の構成において、支持フレーム108はフィルタ部分100を囲んでいてもよい。
【0057】
フィルタ100は、独立型(freestanding)の薄膜のシリコン(Si)102及び略垂直(すなわち、膜表面に対して垂直な)側壁106を有するアパーチャ104のアレイを含んでもよい。アパーチャ104の直径は、EUV放射が実質的な回折を伴わずにスペクトル純度フィルタ100を通り抜けることを可能とするために、望ましくは約100nmより大きい、さらに望ましくは約1μmより大きい。アパーチャ104は、円形断面を有するように概略的に示されているが(図3)、他の形状も可能であり、好適である。例えば、機械的安定性の観点から、図4に示すような六角形のアパーチャが有利であり得る。フィルタ100によって抑制される波長は、透過されるEUV波長の少なくとも10xであってもよい。特に、フィルタ100は、(約100〜400nmの範囲の波長を有する)DUV放射及び/または1μmより大きい(例えば、1〜11ミクロンの範囲)の波長を有する赤外放射の透過を抑制するように構成されてよい。
【0058】
本発明の実施形態によれば、スペクトル純度フィルタ100の製造は、異方性エッチング方法を含んでもよい。違法性エッチングの適切な例としては、以下に簡潔に説明するディープ・リアクティブ・イオンエッチング(DRIE)の技術が挙げられる。DRIEは、いわゆるボッシュ(Bosch)法を用いてSiに垂直エッチプロファイルを製造できるようにする高異方性エッチ率を有するエッチング法である。これは、例えば、S.Tachi,K.Tsujimoto,S.OkudairaによるAppl.Phys.Lett.52(1988),616の「Low−temperature reactive ion etching and microwave plasma etching of silicon」に記載されている。ボッシュ法は、Si表面をSF6プラズマ及びフルオロカーボン(例えばC4F8)プラズマへ交互にさらすことからなる。第1のステージでは、シリコンはほぼ等方にエッチングされる一方、第2ステージでは、エッチングされたプロファイルはパッシベーション層によって覆われる。次のエッチングでは、このパッシベーション層は主にイオン衝撃によって好ましくは底部が開放され、エッチングが再び開始する。エッチング/パッシベーションサイクルの繰り返しにより、エッチングは、横の広がりを伴わずに層ごとにシリコン表面へと下方に進行する。
【0059】
一実施形態においては、大きな角拡散を有するEUV透過を可能とするのに十分なほどアパーチャのアスペクト比を低く保つために、EUV放射は、好ましくは比較的薄いフィルタ100を利用して、アパーチャ104を直接通過する。フィルタ部分102の厚さ(すなわち、各アパーチャ104の長さ)は、例えば約20μmより小さく、例えば約2μm〜約10μmの範囲、例えば約5μm〜約10μmの範囲である。また、一実施形態において、各アパーチャ104は、約100nm〜約10μmの範囲の直径を有してよい。アパーチャ104は、例えば、それぞれ約1.5μm〜約6μmの範囲、例えば約2μm〜約4μmの範囲の直径を有してよい。
【0060】
フィルタアパーチャ104間の壁105の厚さQ1は、約1μmより小さくてもよく、例えば約0.4μm〜約0.6μmの範囲、特に約0.5μmであってよい。一般的に、アパーチャのアスペクト比は、すなわちフィルタアパーチャ104間の壁の厚さに対するフィルタ部分102の比は、5:1から20:1の範囲であってよい。EUV透過型フィルタ100のアパーチャは、約3μm〜約6μmの範囲、特に約3μm〜約4μmの範囲、例えば約4μmの周期Q2(図4に示す)を有してもよい。その結果、アパーチャは、フィルタ前面全体の約70〜80%の開口領域(open area)を提供し得る。
【0061】
フィルタ100は、多くて5%の赤外光(IR)透過を提供するように構成されてよい。また、フィルタ100は、法線入射で入射したEUV放射の少なくとも約60%を透過させるように構成されてもよい。さらに、フィルタ100は、(法線方向に対して)約10°の入射角を有するEUV放射の少なくとも約40%の透過を提供してもよい。
【0062】
一実施形態では、上述したスペクトル純度フィルタの製造方法が提供される。概して、この方法は、基材に溝を形成するステップ、例えば単結晶シリコンのウェハに溝をエッチングするステップと、溝をモールドとして用いてスペクトル純度フィルタのグリッド壁を形成するステップとを備える。例えば、一旦溝が形成されると、溝は多結晶シリコンなどのグリッド材料で充填され、その後、グリッド材料で形成された壁のみを残して基材の残りの部分が取り除かれる。壁は、基の溝により決まる形状を有する。従って、スペクトル純度フィルタのグリッド壁、すなわちスペクトル純度フィルタのアパーチャを分離する壁105を形成する精度は、基材に溝を形成する精度により決定される。エッチングにより単結晶シリコンに明確な溝を形成する技術はよく知られており、上述したスペクトル純度フィルタの壁の望ましい寸法およびアスペクト比を有する溝の望ましい配置を正確に提供することができる。
【0063】
図5から図13は、上述したようなスペクトル純度フィルタ100を形成するために本発明の実施形態に従って実行される一連のステップの例を示す。図のように、このプロセスは、少なくとも形成すべきスペクトル純度フィルタ100のサイズを有する基材120の一部で始まっている。例えば、基材は、上述した単結晶シリコンのウェハであってよい。基材120は、第1主要面121および第2主要面122を有する。
【0064】
第1ステップでは、溝125が基材120の第1面121に形成される。図のように、基材120の第1面121に形成された溝125は、基材120を貫いて第2面122まで延びていない。溝125は、スペクトル純度フィルタにおいてアパーチャ104間に形成される壁に対応する。従って、溝125は、形成されるスペクトル純度フィルタ100のアパーチャ104間の壁と実質的に同じパターンで配置され、実質的に同じ寸法を有する。特に、溝125の幅は、フィルタのアパーチャ104間の壁の厚さに実質的に相当し、溝125の深さは、スペクトル純度フィルタ100のフィルタ部分102の厚さに実質的に相当する。
【0065】
基材120の第1面121における溝125は、例えば、基材120の第1面121における溝125が形成されるべきでない領域に、例えばリソグラフィパターニングにより保護マスクを形成することにより、形成されてもよい。その後、上述したディープ・リアクティブ・イオンエッチングなどのプロセスにより、マスクで保護されていない領域に溝125が形成される。しかしながら、他のエッチングプロセス、特に他の異方性エッチングプロセスが用いられてもよいことを理解されたい。[110]配向シリコンウェハに溝125をエッチングするために、例えばKOHエッチングを用いたウェット化学エッチングが用いられてもよい。
【0066】
図7に示されるように、溝の表面はその後、エッチング停止層130、すなわち特定のエッチングプロセスに耐性を示す材料の層でコーティングされる。この場合、エッチング停止層130は、後述するようなその後基材120の一部を除去するのに用いられるエッチングプロセスに耐性を示すようよう選択されるべきである。例えば、エッチング停止層130はSiO2であってよい。エッチング停止層は、具体的には、基材120の第1面121における溝125の表面に被膜130aを与える。加えて、エッチング停止層130は、基材120の第1面121における溝125の間およびその周囲の部分にコーティング130bを与える。
【0067】
エッチング停止層130は、低圧化学蒸着(LPCVD)プロセスまたはプラズマ化学蒸着(PECVD)プロセスを用いて蒸着可能な熱成長酸化物や、例えばシリコン窒化物であってよい。エッチング停止層130を形成するためのこのような方法は、良好なステップカバレッジを与える、すなわち側壁に対しおよび溝内に適切な被膜を与えるので、有益である。あるいは、例えばエッチング停止層130として異なる材料を用いることが望まれる場合には、スパッタ蒸着などの他の蒸着プロセスが用いられてもよい。
【0068】
図8に示すように、溝125はその後、スペクトル純度フィルタ100のアパーチャ104間の壁ために、適切な材料135で充填される。例えば、溝125は、例えば低圧化学蒸着(LPCVD)プロセスまたはプラズマ化学蒸着(PECVD)プロセスを用いて、多結晶シリコンで充填されてよい。スペクトル純度フィルタ100のアパーチャ104間の壁の最終的な寸法は、用いられる場合にはエッチング停止層130の被膜130aを含んだ溝125の寸法に相当することが理解されるであろう。その場合、基材120の第1面121に初期に形成される溝125は、エッチング停止層の被膜130aにより一旦覆われた溝の結果として生じる寸法がアパーチャ104間の壁の所望の寸法を正確に有するような寸法で形成される。
【0069】
溝をグリッド材料135で充填するプロセスの間に、グリッド材料層136が基材120の第1面121の全体にわたって形成される。この余分なグリッド材料層136は、図9に示すように、例えばリアクティブ・イオンエッチングまたは他の適切なプロセスにより除去される。
【0070】
図10に示すように、その後、後続のプロセスステップ間におけるグリッド材料135への損傷を防ぐために、保護層140が基材120の第1面121に与えられる。保護層140は、例えばポリイミドであってよい。しかしながら、別の適切な材料が用いられてもよいことが理解されるであろう。
【0071】
図11に示されるように、その後、基材120は、第2面122から取り除かれる。特に、基材120は、第2面122の第1領域122aから選択的に取り除かれる。この第1領域122aは、スペクトル純度フィルタ100のアパーチャ104が形成される基材120の第1面121における第1領域121aに対応している。
【0072】
基材120は、第1領域122aに隣接する第2面122の第2領域122bからは取り除かれない。取り除かれない基材120は、上述した支持フレーム108を提供する。
【0073】
図11に示されるように、基材120を第2面側122から取り除くために用いられるプロセスは、エッチング停止層130により止められる。エッチング停止層130は、グリッド材料135を囲んでおり、グリッド材料135が取り除かれるのを阻止する。基材120を第2面122の第1領域122aから取り除くために、このプロセスは、例えば、上述したリソグラフィプロセスを用い、その後リアクティブ・イオンエッチングプロセスを用いて基材120の第2面122の第2領域122b上にマスクを形成することにより行われてもよい。別のエッチングプロセスが用いてもよいが、上述のようにその場合には異なるエッチング停止層130が必要となるかもしれない。基材120は、ウェット化学エッチング、例えばKOHエッチングを用いて除去されてもよい。この場合、エッチング停止層130はシリコン窒化物であってよい。
【0074】
最終的に、図12に示されるように、例えばプラズマエッチングまたは他の適切なプロセスにより、エッチング停止層130および用いられる場合には保護層140が取り除かれ、スペクトル純度フィルタ100のアパーチャ104間に所望の壁105を形成するグリッド材料135と、支持フレーム108とを備えるスペクトル純度フィルタ100が残される。エッチング停止層130および用いられる場合には保護層140は、ウェット化学エッチングにより除去されてもよい。シリコン窒化物が用いられる場合には、それを除去するために例えばHFが用いられてもよい。
【0075】
本発明に係るスペクトル純度フィルタを形成するためのプロセスの上記の例は、変更されてもよいし、および/または、追加的な処理ステップが含まれてもよい。
【0076】
例えば、図13に示すように、スペクトル純度フィルタ100の少なくとも1つの面が、第2の種類の放射、すなわち透過率が最小化されるべき放射に対する、放射が入射する面の反射率を向上するよう選択された追加層150でコーティングされてもよい。例えば、赤外線放射に対する反射率を高めるために、薄い金属層150が設けられてもよい。
【0077】
代替的または追加的な変形においては、グリッド材料135は、例えばモリブデンなどの金属や、例えばTiNなどの別の導電体から形成されてもよい。この場合、スペクトル純度フィルタ100におけるアパーチャ104間の壁105は、赤外線放射などの放射に対して本質的に反射性であってもよい。そのような場合、スペクトル純度フィルタに追加的な反射層を形成する必要はない。望ましくは、支持フレーム108を形成するシリコンに近い熱膨張を有するよう材料が選択される。
【0078】
グリッド材料が導電性材料である場合、グリッド材料135は、電気めっきプロセスを用いて材料を堆積することにより充填されてもよい。このプロセスを実行するために、最初にめっきのベースコーティングが溝の基部に対して与えられてもよい。あるいは、基材120は、高度にドープされたシリコンであってもよい。この場合、めっきのベースコーティングは用いられなくてもよい。
【0079】
代替的にまたは追加的に、溝125は、化学蒸着プロセス、物理蒸着プロセス、スパッタ蒸着プロセス、または原子層蒸着プロセスを用いてグリッド材料135で充填されてもよい。
【0080】
代替的にまたは追加的に、グリッド材料135は、基材120を除去するために用いられるエッチングプロセスに対して耐性があるように選択されてもよい。この場合、エッチング停止層130は用いられなくてもよく、その結果、エッチング停止層130を与えそして除去するプロセスが省略されてもよい。同様に、用いられる他のプロセスに応じて、保護層140が用いられず、省略されてもよい。
【0081】
代替的または追加的な変形においては、グリッド材料135を露出させてアパーチャ104を形成するために除去される基材120は、第2面122から基材120を除去するのに代えて、または加えて、基材120の第1面121から除去されてもよい。例えば、図9に示すように余分なグリッド材料層136が除去された後、露出されたエッチング停止層130、すなわち基材120の第1面121における溝125間およびその周囲の部分のコーティング130bが除去されてもよい。その結果、グリッド材料135で充填された溝125間の基材120の第1面121が露出され、その後エッチングされる。エッチング停止層130の上面は、例えばプラズマエッチングまたは他の適切なプロセスにより除去されてもよい。同様に、基材120を除去するために用いられるエッチングプロセスに対して耐性を示すようにグリッド材料135が選択された上記の実施例の場合には、基材120は、基材120の第1面121および第2面122の一方または両方から除去されてもよい。
【0082】
図14は、本発明の実施形態に従って形成されたスペクトル純度フィルタ100の支持フレームの一部を詳細に示す。図のように、スペクトル純度フィルタのアパーチャ104間の壁105を形成するグリッド材料135の部分135aに加えて、グリッド材料135の第2部分135bが支持フレーム108を形成する基材120、すなわち、基材120の第2面122の第2領域122bに相当する基材120の中に延びている。従って、グリッド材料135の第2部分135bは、アパーチャ104間の壁を形成するグリッド材料135の部分135aを支持フレーム108に接続している。
【0083】
上記のようにエッチング停止層130がスペクトル純度フィルタの形成に用いられている場合、図14に示すように、エッチング停止層130は、支持フレーム108の中に延びるグリッド材料の部分135bと、支持フレームを形成する基材120との間の境界に保持されている。従って、エッチング停止層130は、基材120をグリッド材料135から分離している。
【0084】
スペクトル純度フィルタを組み込んだ図1及び図2の装置は、リソグラフィ製造プロセスに使用されてもよいことが理解されるであろう。このようなリソグラフィ装置は、IC、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造に使用されてもよい。当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、計測ツール、及び/または検査ツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板処理ツール及びその他の基板処理ツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよい。従って、本明細書で使用される基板という用語は、すでに複数の処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0085】
上記の説明は、限定することを意図するものではなく、例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更が加えられてもよいことを理解されたい。本発明の実施形態は、放電生成プラズマ源(DPP源)またはレーザ生成プラズマ源(LPP源)を含むがそれらに限定されない、あらゆるタイプのEUV源に対して使用されてもよいことが理解されるであろう。しかしながら、本発明の一実施形態は、典型的にはレーザ生成プラズマ源の一部を形成するレーザ源からの放射を抑制するのに特に適していてもよい。これは、そのようなプラズマ源が、多くの場合、レーザから発生する二次放射を出力するからである。
【0086】
スペクトル純度フィルタは、実際には放射経路の任意の位置に配置されてもよい。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、EUV放射源からのEUVを含む放射を受け、EUV放射を適切な下流のEUV放射光学系へと運ぶ領域内に配置されている。ここで、EUV放射源からの放射は、光学系に入る前にスペクトル純度フィルタを通るように構成されている。一実施形態では、スペクトル純度フィルタはEUV放射源内にある。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、EUVリソグラフィ装置内、例えば照明系または投影系内にある。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、プラズマの後ではあるがコレクタの前の放射経路に配置される。
【0087】
以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明は説明したものとは別の方法で行われてもよいことを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年8月27日に出願された米国特許仮出願第61/237,610号の利益を主張し、参照によりそれら両出願の全体が本明細書に引用される。
【0002】
(分野)
本発明は、スペクトル純度フィルタ、そのようなスペクトル純度フィルタを含むリソグラフィ装置、及びスペクトル純度フィルタを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板、通常は基板のターゲット部分に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えば集積回路(IC)の製造に用いられる。この場合、例えばマスクまたはレチクルとも称されるパターニングデバイスが、集積回路の個々の層に形成されるべき回路パターンを形成するために使用されうる。このパターンが基板(例えばシリコンウエハ)の(例えばダイの一部、あるいは1つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分に転写される。パターン転写は典型的には基板に形成された放射感応性材料(レジスト)層への結像による。一般に一枚の基板にはネットワーク状に隣接する一群のターゲット部分が含まれ、これらは連続的に露光される。公知のリソグラフィ装置には所謂ステッパと所謂スキャナとがある。ステッパにおいては、ターゲット部分にパターン全体が一度に露光されるようにして各ターゲット部分は照射を受ける。スキャナにおいては、所与の方向(「走査」方向)に放射ビームによりパターンを走査するとともに基板をこの方向に平行または逆平行に同期して走査するようにして各ターゲット部分は照射を受ける。パターニングデバイスから基板へのパターン転写は、基板にパターンをインプリントすることによっても可能である。
【0004】
パターン印刷を制限する重要な要因は、使用される放射の波長λである。さらに小さな構造を基板上に投影できるようにするために、10〜20nmの範囲、例えば13〜14nmの範囲の波長を有する電磁放射である極端紫外(EUV)放射を使用することが提案されている。さらに、10nmより小さい波長、例えば6.7nmまたは6.8nmといったように5〜10nmの範囲の波長を有するEUV放射が使用されてもよいことが提案されている。このようなEUV放射を軟X線と呼ぶことがある。可能な放射源としては、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源または電子蓄積リングからのシンクロトロン放射が挙げられる。
【0005】
錫(Sn)プラズマに基づくEUV源は、所望の帯域内EUV放射だけでなく、帯域外放射、特に深UV(DUV)範囲(100〜400nm)内の放射も放出する。さらに、レーザ生成プラズマ(LPP)EUV源の場合、通常10.6μmのレーザからの赤外放射は、かなりの量の望ましくない放射を表す。EUVリソグラフィシステムの光学系は通常これらの波長においてかなりの反射率を有するため、何らかの手段がとられない場合、望ましくない放射はかなりのパワーを有してリソグラフィツールへと伝搬する。
【0006】
リソグラフィ装置においては、帯域外放射はいくつかの理由により最小化されるべきである。第1に、レジストは帯域外波長に対して敏感であり、よって画像品質が低下し得る。第2に、望ましくない放射、特にLPP源における10.6μmの放射は、マスク、ウェハおよび光学系の望ましくない加熱を引き起こす。望ましくない放射を特定の範囲内とするために、スペクトル純度フィルタ(SPF)が開発されている。
【0007】
スペクトル純度フィルタは、EUV放射に対して反射型または透過型のいずれかであってよい。反射型SPFの実施は、典型的には、既存のミラーの変形または追加の反射要素の挿入を必要とする。透過型SPFは、典型的には、コレクタとイルミネータとの間に配置され、原理上、少なくとも放射経路に影響を与えない。これは、他のSPFとの柔軟性および互換性という結果をもたらすので、利点になり得る。
【0008】
グリッドSPFは、望ましくない放射がEUV放射よりかなり大きい波長を有する場合、例えばLPP源における10.6μmの放射であった場合に使用され得る透過型SPFの種類を形成する。グリッドSPFは、抑制される波長程度のサイズを有するアパーチャを含む。抑制のメカニズムは、従来技術および本明細書中の詳細な実施形態においてさらに説明されるように、種々のタイプのグリッドSPFの間で異なり得る。EUV放射の波長(13.5nm)はアパーチャのサイズ(典型的には、>3μm)よりかなり小さいため、EUV放射は実質的な回折なしにアパーチャを通過する。
【0009】
いくつかの従来のスペクトル純度フィルタ(SPF)は、望ましくない放射を抑制するためにミクロンサイズのアパーチャを有するグリッドに基づく。米国特許出願公開第2006/0146413号は、20μmまでの直径を有するアパーチャのアレイを含むスペクトル純度フィルタ(SPF)を開示している。
【0010】
放射波長と比較したアパーチャのサイズによって、SPFは、異なるメカニズムによって望ましくない放射を抑制し得る。アパーチャサイズが(望ましくない)波長の約半分より小さい場合、SPFはこの波長の実質的に全ての放射を反射する。アパーチャサイズはより大きいが依然として波長程度であった場合、放射は少なくとも部分的に回折されてアパーチャ内の導波路で吸収され得る。
【0011】
これらのSPFに対するおおよその材料パラメータおよび仕様は周知である。しかしながら、これらの仕様における製造は簡単ではない。最も難しい仕様は、典型的には直径4μmのアパーチャ、典型的には5〜10μmのグリッドの厚さ、および最大EUV透過を確実にするためのアパーチャ間の非常に薄くて(典型的には<1μm)平行な(テーパ状ではない)壁である。
【0012】
半導体製造によってよく理解されているフォトリソグラフィ・パターニングおよび異方性エッチングプロセスを用いてこのようなグリッドを製造のための有望な材料として、シリコン(Si)が浮上している。所望の仕様を有するEUVスペクトル純度フィルタを製造する方法を提供するのに課題は残るが、十分に制御された断面を有する深いアパーチャに対しては、ディープ・リアクティブ・イオンエッチング(DRIE)が有望なものとして見出されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明のある態様は、比較的単純であり且つ所望の仕様を有するEUVスペクトル純度フィルタをもたらすEUVスペクトル純度フィルタの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、極端紫外放射を透過させ、かつ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成された複数のアパーチャを備えるスペクトル純度フィルタの製造方法が提供される。この方法は、第1主要面および第2主要面を有する基材を準備するステップと、基材の第1面に、スペクトル純度フィルタのアパーチャ間に形成される壁に対応するパターンに溝を形成するステップと、溝をグリッド材料で充填し、グリッド材料の壁を形成するステップと、アパーチャを形成するために、グリッド材料が露出し、グリッド材料の壁間に空間を生じるまで、基材の少なくとも一部を選択的に除去するステップとを備える。
【0015】
トレンチは、導電性材料で充填されてもよい。溝を充填するプロセスは、電気めっきプロセスであってもよい。溝は、多結晶シリコンで充填されてもよい。溝を多結晶シリコンで充填するプロセスは、低圧化学蒸着(LPCVD)またはプラズマ化学蒸着(PECVD)プロセスを含んでもよい。溝は、2μmから10μmの範囲の深さ、および/または1μm未満の幅を有してもよい。必須ではないが、好ましくは、溝は、5:1から20:1の範囲の幅に対する深さの比を有する。
【0016】
本発明の一態様によれば、上記方法に従って製造されたスペクトル純度フィルタが提供される。
【0017】
本発明の一態様によれば、スペクトル純度フィルタが提供される。このスペクトル純度フィルタは、スペクトル純度フィルタの第1領域内の複数の連結された壁であって、該壁はスペクトル純度フィルタを貫く複数のアパーチャを規定し、複数のアパーチャは極端紫外放射を透過させ且つ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成されている、壁と、第1領域に隣接するスペクトル純度フィルタの第2領域にある支持フレームであって、壁を支持するよう構成された支持フレームとを備える。連結された壁が形成される材料は、支持フレームと連結された壁との間の機械的結合を与えるために、支持フレームの一つ以上の孔の中に延びている。支持フレームは、単結晶シリコンなどの第1材料から形成されてよく、連結された壁は、第1材料とは異なる第2材料から形成されてよい。第2材料は、例えば、金属または多結晶シリコンであってよい。壁の第2材料がその中に延びる支持フレームの孔(opening)では、第1および第2材料と異なる第3材料の層が支持フレームの第1材料を第2材料から分離してもよい。
【0018】
本発明の一態様によれば、上述のスペクトル純度フィルタを備える放射源およびリソグラフィ装置が提供される。
【0019】
本発明の一態様によれば、極端紫外放射を透過させ且つ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成された複数のアパーチャと、スペクトル純度フィルタの第1領域内の複数の連結された壁であって、スペクトル純度フィルタを貫く複数のアパーチャを規定する壁と、第1領域に隣接するスペクトル純度フィルタの第2領域にある支持フレームであって、壁を支持するよう構成された支持フレームとを備えるスペクトル純度フィルタを含む放射源が提供される。連結された壁が形成される材料は、支持フレームと連結された壁との間の機械的結合を与えるために、支持フレームの一つ以上の孔の中に延びている。
【0020】
本発明の一態様によれば、極端紫外放射および第2のタイプの放射を生成するよう構成された放射源と、スペクトル純度フィルタとを含むリソグラフィ装置が提供される。スペクトル純度フィルタは、スペクトル純度フィルタの第1領域内の複数の連結された壁であって、該壁はスペクトル純度フィルタを貫く複数のアパーチャを規定し、複数のアパーチャは極端紫外放射を透過させ且つ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成されている、壁と、第1領域に隣接するスペクトル純度フィルタの第2領域にある支持フレームであって、壁を支持するよう構成された支持フレームとを備える。連結された壁が形成される材料は、支持フレームと連結された壁との間の機械的結合を与えるために、支持フレームの一つ以上の孔の中に延びている。この装置はまた、パターニングデバイスを支持するよう構成された支持部と、極端紫外放射にパターンを付与するよう構成されたパターニングデバイスと、パターン付与された放射を基板上に投影するよう構成された投影系とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の実施形態が付属の図面を参照して以下に説明されるがこれらは例示に過ぎない。各図面において対応する参照符号は対応する部分を指し示す。
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示す図である。
【0023】
【図2】本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置のレイアウトを示す図である。
【0024】
【図3】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの正面図である。
【0025】
【図4】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの変形の詳細を示す図である。
【0026】
【図5】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係るスペクトル純度フィルタの製造の段階を示す図である。
【0027】
【図14】本発明に係るスペクトル純度フィルタの一部の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係るリソグラフィ装置を模式的に示す。リソグラフィ装置は、放射ビームB(例えばUV放射またはEUV放射)を調整するよう構成された照明系(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構成されるとともに、パターニングデバイスを特定のパラメータに従って正確に位置決めするよう構成された第1位置決め装置PMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコーティングされたウェハ)Wを保持するとともに特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするよう構成された第2位置決め装置PWに接続された基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するよう構成された投影系(例えば屈折投影レンズ系)PSとを備える。
【0029】
照明系は、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み得るものであり、放射の向きや形状を整え、あるいは放射を制御するためのものである。
【0030】
支持構造MTは、パターニングデバイスを支持する、すなわち、パターニングデバイスの重みを支える。支持構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されるか否か等のその他の条件に応じた方式で、パターニングデバイスを保持する。支持構造は、機械的固定、真空固定、静電固定、またはパターニングデバイスを保持するその他の固定技術を用いてもよい。支持構造は、例えばフレームまたはテーブルであってよく、これらは固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影系に対して所望の位置にあることを保証してもよい。本明細書で使用される「レチクル」または「マスク」という用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義であると見なしてよい。
【0031】
本明細書で用いられる「パターニングデバイス」なる用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するために放射ビーム断面にパターンを与えるのに使用される何らかのデバイスを表すと広義に解釈すべきである。放射ビームに付与されたパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ、すなわち所謂アシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分の所望のパターンに厳密に対応していなくてもよいことを留意されたい。通常、放射ビームに付与されたパターンは、ターゲット部分に生成される集積回路等のデバイスにおける特定の機能層に対応している。
【0032】
パターニングデバイスは、透過型であってもよいし、反射型であってもよい。EUVリソグラフィに対する本提案は、図1に示されるような反射型のパターニングデバイスを採用している。パターニングデバイスにはマスクやプログラム可能ミラーアレイ、プログラム可能LCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリマスク、レベンソン型位相シフトマスク、減衰型位相シフトマスク、さらには多様なハイブリッド型マスクが含まれる。プログラム可能ミラーアレイは例えば、小型ミラーのマトリックス配列で構成される。各ミラーは、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個別的に傾斜可能である。ミラーマトリックスにより反射された放射ビームには、傾斜されたミラーによってパターンが付与されている。
【0033】
本明細書で用いられる「投影系」なる用語は、使用される露光放射に応じて、あるいは浸液の使用や真空の使用等のその他の要因に応じて適切とされる、屈折光学素子、反射光学素子、反射屈折光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、またはこれらの組合せを含む何らかの投影系であると広義に解釈されるべきである。
【0034】
本明細書において「投影レンズ」なる用語の使用は、より一般的な「投影系」なる用語と同じ意味であると見なしてよい。EUV波長に対し、透過性材料は容易には利用できない。従って、EUVシステムにおける照明及び投影用の「レンズ」は通常、反射型、すなわちカーブミラーである。
【0035】
リソグラフィ装置は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブル(及び/または2つ以上のマスクテーブル)を備えてもよい。こうした多重ステージ型の装置においては、複数のテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルが露光のために使用されている間に、1以上の他のテーブルで準備工程が実行されるようにしてもよい。
【0036】
また、リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が比較的屈折率の高い液体、たとえば水で覆われ、それにより投影系と基板との間の空間が充填されるタイプの装置であってもよい。液浸液は例えばマスクと投影系との間などの、リソグラフィ装置の他の空間に与えられてもよい。液浸技術は、投影系の開口数を大きくするため技術として周知である。本明細書で使用される「液浸(immersion)」という用語は、基板などの構造が液体の中に沈められなければならないことを意味するものではなく、むしろ露光中に投影系と基板との間に液体がある程度のことを意味するものである。
【0037】
図1に示されるように、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば放射源がエキシマレーザである場合には、放射源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされず、放射ビームは放射源SOからイルミネータILへとビーム搬送系を介して受け渡される。ビーム搬送系は、例えば適当な方向変更用のミラー及び/またはビームエキスパンダを備える。他の場合においては、例えば放射源が水銀ランプである場合には、放射源はリソグラフィ装置に一体に構成されていてもよい。放射源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送系が必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系と総称される。
【0038】
イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調整するための調整装置(アジャスタ)を備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径の大きさ(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えてイルミネータILは、インテグレータ及びコンデンサなどの種々の他の要素を備えてもよい。イルミネータは、ビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。
【0039】
放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されているパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。マスクMAを横切った後、放射ビームBは、投影系PSを通過する。投影系PSは、ビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2位置決め装置PWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により、基板テーブルWTは、例えば放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cを位置決めするように正確に移動される。同様に、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めするために、第1位置決め装置PMと別の位置センサIF1が使用されてもよい。この位置決めは、例えばマスクライブラリからのマスクの機械検索後や走査中に行われる。
【0040】
一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1の位置決め装置PMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現されうる。同様に基板テーブルWTの移動は、第2の位置決め装置PWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使用して実現されうる。ステッパでは(スキャナとは異なり)、マスクテーブルMTはショートストロークのアクチュエータにのみ接続されているか、あるいは固定されていてもよい。マスクMAと基板Wとは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。図においては基板アライメントマークが専用のターゲット部分を占拠しているが、アライメントマークはターゲット部分間のスペースに配置されてもよい(これはスクライブライン・アライメントマークとして公知である)。同様に、マスクMAに複数のダイがある場合には、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0041】
図示の装置は以下のモードのうち少なくとも1つで使用することができる。
【0042】
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射で1つのターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一の静的露光で転写されるターゲット部分Cのサイズを制限することになる。
【0043】
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一の動的露光でのターゲット部分の(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離がターゲット部分の(走査方向の)長さを決定する。
【0044】
3.別のモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMTはプログラム可能パターニングデバイスMAを実質的に静止状態で保持し続け、基板テーブルWTは移動または走査される。このモードでは一般にパルス放射源が用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは1回の走査中において基板テーブルWTが移動するたびに、または1回の走査中において連続するパルスとパルスの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、上述の形式のプログラム可能ミラーアレイ等のプログラム可能パターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0045】
上記の使用モードを組み合わせて動作させてもよいし、使用モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別の使用モードを用いてもよい。
【0046】
図2は、実際のEUVリソグラフィ装置の概略側面図を示す。物理的な配置は図1に示す装置と異なるが、動作原理は同様であることを留意されたい。この装置は、ソースコレクタモジュールまたは放射ユニット3と、照明系ILと、投影系PSとを備える。放射ユニット3は、例えばキセノン(Xe)ガスやリチウム(Li)、ガドリニウム(Gd)または錫(Sn)の蒸気などのガスまたは蒸気を用いた放射源SOを備える。この放射源では、電磁放射スペクトルのEUV範囲の放射を放出するよう非常に高温の放電プラズマが生成される。放電プラズマは、電気放電の一部イオン化したプラズマを光軸O上に崩壊させることにより生成される。Xe,Li,Gd,Sn蒸気またはその他の適切なガスまたは蒸気の例えば10Pa0.1mbarの分圧が、放射の効率的な発生に望ましい。一実施形態においては、EUV源としてSn源が適用される。
【0047】
図2の主要部は、放電形成プラズマ(DPP)形式の放射源7を示している。図面の左下の代替的な詳細図は、レーザ形成プラズマ(LPP)を用いた放射源の代替形態を示している。LPP型の放射源では、着火領域7aは、燃料供給系7bからの例えば溶解したSnの液滴などのプラズマ燃料で満たされている。レーザビーム生成部7c及び関連する光学系は、放射ビームを着火領域に供給する。生成部7cは、例えば10.6マイクロメートルまたは9.4マイクロメートルの赤外線波長を有するCO2レーザであってよい。あるいは、例えば1〜11マイクロメートルの範囲の個別の波長を有する他の適切なレーザが用いられてもよい。レーザビームとの相互作用により、燃料の液滴は、例えば6.7nmの放射または5〜20nmの範囲から選択された他のEUV放射を放出することのできるプラズマ状態に転移する。ここではEUVが関連する実施例であるが、異なるタイプの放射が他のアプリケーションで生成されてもよい。プラズマで生成された放射は、楕円形または他の適切なコレクタ7dにより集められ、中間焦点12を有する放射ビーム源を生成する。
【0048】
図2の主要部に戻り、放射源SOにより放出された放射は、DPP源チャンバ7からガス・バリアまたは「フォイル・トラップ」形式の汚染物質トラップ(contaminant trap)9を経由してコレクタ・チャンバ8内に通過する。これは、以下でさらに説明される。コレクタ・チャンバ8は、放射コレクタ10を含んでもよい。放射コレクタ10は、例えば、所謂かすめ入射リフレクタの入れ子式アレイを備えるかすめ入射コレクタである。この目的に適した放射コレクタは、従来より知られている。コレクタ10から放出されるEUV放射ビームは、光軸Oのどちらかの側に恐らく10度程度の一定の角拡散を有する左下に示すLPP源においては、放射源からの放射を集めるために垂直入射コレクタ7dが設けられている。
【0049】
コレクタ10を通過した放射は、本発明の実施形態に係るスペクトル純度フィルタ11を通り抜けて伝搬する。反射型格子スペクトル純度フィルタとは対照的に、透過型スペクトル純度フィルタ11は、放射ビームの方向を変えないことに留意されたい。フィルタ11の実施形態を以下に説明する。放射は、コレクションチャンバ8内のアパーチャから仮想源点12(すなわち、中間焦点)に合焦される。放射ビーム16は、チャンバ8から照明系IL内で垂直入射リフレクタ13、14を介してレチクルまたはマスクテーブルMT上に位置決めされたレチクルまたはマスクへと反射される。パターン付けされたビーム17が形成され、投影系PSによって反射エレメント18、19を介してウェハステージまたは基板テーブルWTに搭載されたウェハW上へと結像される。図示されたものより多いエレメントが照明系IL及び投影系PSの中に通常存在してもよい。反射エレメント19のうちの1つは、その前にNAディスク20を有しており、NAディスク20はそこを通るアパーチャ21を有する。アパーチャ21のサイズは、ビームが基板テーブルWTに当たるときにパターン付けされた放射ビーム17によって定められる角度αiを決定する。
【0050】
図2は、仮想源点12の上流近傍に位置決めされたスペクトル純度フィルタ11を示す。図示されていないが別の実施形態では、スペクトル純度フィルタ11は、仮想源点12に位置決めされてもよく、またはコレクタ10と仮想源点12との間のあらゆる箇所に位置決めされてもよい。このフィルタは、例えば仮想原点12の下流など放射経路における他の位置に配置されてもよい。複数のフィルタが配置されてもよい。
【0051】
ガス・バリアは、本明細書に参照により援用される例えば米国特許第6,614,505号及び米国特許第6,359,969号に詳細に説明されるチャネル構造を含む。この汚染物質トラップの目的は、光学システムのエレメント上に衝突する燃料材料または副生成物の入射、及び時間にわたるその性能の低下を防ぐか、または少なくとも減少させることである。これらのエレメントは、コレクタ10と、スペクトル純度フィルタ11とを含む。図2の左下に詳細に説明されるLPP源の場合、汚染物質トラップは楕円コレクタ7dを保護する第1トラップ構成9aを含み、さらに任意選択として符号9bで示される更なるトラップ構成を含む。ガス・バリアは、汚染物質との化学的相互作用によって、及び/または荷電粒子の静電または電磁偏向によって(流体逆流によって)物理的バリアとして機能することができる。実際、できる限り大きな範囲でプラズマ材料を遮断する一方、照明系への放射の移動を可能とするためにこれらの方法の組み合わせが採用されてもよい。上記の米国特許で説明されるように、Snまたは他のプラズマ材料を化学修飾するために特に水素ラジカルが注入されてもよい。
【0052】
水素ラジカルは、Sn及び光学面上に既に堆積し得る他の汚染物質を洗浄するために適用されてもよい。さらに、水素ガスは、システム内のより大きな真空空間へと入るウェハからの汚染物質に対するバッファとして、ウェハ支持構造WTの付近に展開されてもよい。真空環境では、典型的なフォトレジスト材料は、(支持構造及び位置決めシステムのコンポーネントについては言及しないが)、時間にわたって光コンポーネントを汚染し得る有機及び他のガス状材料を放出する傾向がある。
【0053】
これらの全ての目的のために、水素源HSは、水素ガスを各汚染物質トラップ構成9a及び9bに供給するために配置され、照明系IL及び投影系PSのチャンバへの出口に配置されて示されている。他のものがHラジカルを生成する一方、一部の放射源は、単一のバッファとして水素分子ガス(H2)を供給し得る。真空環境に浸透する水素分子は、環境における放射、放電等によってラジカル化され得る。
【0054】
図3は、例えばリソグラフィ装置の上記のフィルタ11として適用することができるスペクトル純度フィルタ100の一実施形態の概略正面図である。本フィルタ100は、極端紫外(EUV)放射を透過させるように構成されている。更なる実施形態では、フィルタ100は、放射源によって生成される第2のタイプの放射(例えば、赤外(IR)放射、例えば約1μmより大きい、特に10μmより大きい波長の赤外放射)を実質的に遮断する。特に、透過されるEUV放射及び(遮断される)第2のタイプの放射は、同じ放射源、例えばリソグラフィ装置のLPP源SOから発せられていてもよい。
【0055】
後述の実施形態におけるスペクトル純度フィルタ100は、スペクトル純度フィルタの第1領域に略平面フィルタ部分102(例えば、フィルタ膜またはフィルタ層)を備える。フィルタ部分102は、「フィルタ基板」と呼ぶことができる。フィルタ部分102は、極端紫外放射を透過させ、かつ第2のタイプの放射の透過を抑制するために複数(好ましくは平行の)アパーチャ104を有する。放射源SOから放射が衝突する面を前面と呼ぶ一方、放射が照明系ILへと出る面を後面と呼ぶことができる。上述したように、例えば、EUV放射は、放射の方向を変化することなくスペクトル純度フィルタによって透過される。一実施形態では、各アパーチャ104は、アパーチャ104を画定して前面から後面へと完全に延在する平行側壁を有する。
【0056】
スペクトル純度フィルタ100は、第1領域に隣接したスペクトル純度フィルタの第2領域に、支持フレーム108を含んでもよい。支持フレーム108は、フィルタ部分102への構造的な支持を与えるよう構成されてよい。支持フレーム108は、スペクトル純度フィルタ100を使用される装置に取り付けるための部材を含んでもよい。特定の構成において、支持フレーム108はフィルタ部分100を囲んでいてもよい。
【0057】
フィルタ100は、独立型(freestanding)の薄膜のシリコン(Si)102及び略垂直(すなわち、膜表面に対して垂直な)側壁106を有するアパーチャ104のアレイを含んでもよい。アパーチャ104の直径は、EUV放射が実質的な回折を伴わずにスペクトル純度フィルタ100を通り抜けることを可能とするために、望ましくは約100nmより大きい、さらに望ましくは約1μmより大きい。アパーチャ104は、円形断面を有するように概略的に示されているが(図3)、他の形状も可能であり、好適である。例えば、機械的安定性の観点から、図4に示すような六角形のアパーチャが有利であり得る。フィルタ100によって抑制される波長は、透過されるEUV波長の少なくとも10xであってもよい。特に、フィルタ100は、(約100〜400nmの範囲の波長を有する)DUV放射及び/または1μmより大きい(例えば、1〜11ミクロンの範囲)の波長を有する赤外放射の透過を抑制するように構成されてよい。
【0058】
本発明の実施形態によれば、スペクトル純度フィルタ100の製造は、異方性エッチング方法を含んでもよい。違法性エッチングの適切な例としては、以下に簡潔に説明するディープ・リアクティブ・イオンエッチング(DRIE)の技術が挙げられる。DRIEは、いわゆるボッシュ(Bosch)法を用いてSiに垂直エッチプロファイルを製造できるようにする高異方性エッチ率を有するエッチング法である。これは、例えば、S.Tachi,K.Tsujimoto,S.OkudairaによるAppl.Phys.Lett.52(1988),616の「Low−temperature reactive ion etching and microwave plasma etching of silicon」に記載されている。ボッシュ法は、Si表面をSF6プラズマ及びフルオロカーボン(例えばC4F8)プラズマへ交互にさらすことからなる。第1のステージでは、シリコンはほぼ等方にエッチングされる一方、第2ステージでは、エッチングされたプロファイルはパッシベーション層によって覆われる。次のエッチングでは、このパッシベーション層は主にイオン衝撃によって好ましくは底部が開放され、エッチングが再び開始する。エッチング/パッシベーションサイクルの繰り返しにより、エッチングは、横の広がりを伴わずに層ごとにシリコン表面へと下方に進行する。
【0059】
一実施形態においては、大きな角拡散を有するEUV透過を可能とするのに十分なほどアパーチャのアスペクト比を低く保つために、EUV放射は、好ましくは比較的薄いフィルタ100を利用して、アパーチャ104を直接通過する。フィルタ部分102の厚さ(すなわち、各アパーチャ104の長さ)は、例えば約20μmより小さく、例えば約2μm〜約10μmの範囲、例えば約5μm〜約10μmの範囲である。また、一実施形態において、各アパーチャ104は、約100nm〜約10μmの範囲の直径を有してよい。アパーチャ104は、例えば、それぞれ約1.5μm〜約6μmの範囲、例えば約2μm〜約4μmの範囲の直径を有してよい。
【0060】
フィルタアパーチャ104間の壁105の厚さQ1は、約1μmより小さくてもよく、例えば約0.4μm〜約0.6μmの範囲、特に約0.5μmであってよい。一般的に、アパーチャのアスペクト比は、すなわちフィルタアパーチャ104間の壁の厚さに対するフィルタ部分102の比は、5:1から20:1の範囲であってよい。EUV透過型フィルタ100のアパーチャは、約3μm〜約6μmの範囲、特に約3μm〜約4μmの範囲、例えば約4μmの周期Q2(図4に示す)を有してもよい。その結果、アパーチャは、フィルタ前面全体の約70〜80%の開口領域(open area)を提供し得る。
【0061】
フィルタ100は、多くて5%の赤外光(IR)透過を提供するように構成されてよい。また、フィルタ100は、法線入射で入射したEUV放射の少なくとも約60%を透過させるように構成されてもよい。さらに、フィルタ100は、(法線方向に対して)約10°の入射角を有するEUV放射の少なくとも約40%の透過を提供してもよい。
【0062】
一実施形態では、上述したスペクトル純度フィルタの製造方法が提供される。概して、この方法は、基材に溝を形成するステップ、例えば単結晶シリコンのウェハに溝をエッチングするステップと、溝をモールドとして用いてスペクトル純度フィルタのグリッド壁を形成するステップとを備える。例えば、一旦溝が形成されると、溝は多結晶シリコンなどのグリッド材料で充填され、その後、グリッド材料で形成された壁のみを残して基材の残りの部分が取り除かれる。壁は、基の溝により決まる形状を有する。従って、スペクトル純度フィルタのグリッド壁、すなわちスペクトル純度フィルタのアパーチャを分離する壁105を形成する精度は、基材に溝を形成する精度により決定される。エッチングにより単結晶シリコンに明確な溝を形成する技術はよく知られており、上述したスペクトル純度フィルタの壁の望ましい寸法およびアスペクト比を有する溝の望ましい配置を正確に提供することができる。
【0063】
図5から図13は、上述したようなスペクトル純度フィルタ100を形成するために本発明の実施形態に従って実行される一連のステップの例を示す。図のように、このプロセスは、少なくとも形成すべきスペクトル純度フィルタ100のサイズを有する基材120の一部で始まっている。例えば、基材は、上述した単結晶シリコンのウェハであってよい。基材120は、第1主要面121および第2主要面122を有する。
【0064】
第1ステップでは、溝125が基材120の第1面121に形成される。図のように、基材120の第1面121に形成された溝125は、基材120を貫いて第2面122まで延びていない。溝125は、スペクトル純度フィルタにおいてアパーチャ104間に形成される壁に対応する。従って、溝125は、形成されるスペクトル純度フィルタ100のアパーチャ104間の壁と実質的に同じパターンで配置され、実質的に同じ寸法を有する。特に、溝125の幅は、フィルタのアパーチャ104間の壁の厚さに実質的に相当し、溝125の深さは、スペクトル純度フィルタ100のフィルタ部分102の厚さに実質的に相当する。
【0065】
基材120の第1面121における溝125は、例えば、基材120の第1面121における溝125が形成されるべきでない領域に、例えばリソグラフィパターニングにより保護マスクを形成することにより、形成されてもよい。その後、上述したディープ・リアクティブ・イオンエッチングなどのプロセスにより、マスクで保護されていない領域に溝125が形成される。しかしながら、他のエッチングプロセス、特に他の異方性エッチングプロセスが用いられてもよいことを理解されたい。[110]配向シリコンウェハに溝125をエッチングするために、例えばKOHエッチングを用いたウェット化学エッチングが用いられてもよい。
【0066】
図7に示されるように、溝の表面はその後、エッチング停止層130、すなわち特定のエッチングプロセスに耐性を示す材料の層でコーティングされる。この場合、エッチング停止層130は、後述するようなその後基材120の一部を除去するのに用いられるエッチングプロセスに耐性を示すようよう選択されるべきである。例えば、エッチング停止層130はSiO2であってよい。エッチング停止層は、具体的には、基材120の第1面121における溝125の表面に被膜130aを与える。加えて、エッチング停止層130は、基材120の第1面121における溝125の間およびその周囲の部分にコーティング130bを与える。
【0067】
エッチング停止層130は、低圧化学蒸着(LPCVD)プロセスまたはプラズマ化学蒸着(PECVD)プロセスを用いて蒸着可能な熱成長酸化物や、例えばシリコン窒化物であってよい。エッチング停止層130を形成するためのこのような方法は、良好なステップカバレッジを与える、すなわち側壁に対しおよび溝内に適切な被膜を与えるので、有益である。あるいは、例えばエッチング停止層130として異なる材料を用いることが望まれる場合には、スパッタ蒸着などの他の蒸着プロセスが用いられてもよい。
【0068】
図8に示すように、溝125はその後、スペクトル純度フィルタ100のアパーチャ104間の壁ために、適切な材料135で充填される。例えば、溝125は、例えば低圧化学蒸着(LPCVD)プロセスまたはプラズマ化学蒸着(PECVD)プロセスを用いて、多結晶シリコンで充填されてよい。スペクトル純度フィルタ100のアパーチャ104間の壁の最終的な寸法は、用いられる場合にはエッチング停止層130の被膜130aを含んだ溝125の寸法に相当することが理解されるであろう。その場合、基材120の第1面121に初期に形成される溝125は、エッチング停止層の被膜130aにより一旦覆われた溝の結果として生じる寸法がアパーチャ104間の壁の所望の寸法を正確に有するような寸法で形成される。
【0069】
溝をグリッド材料135で充填するプロセスの間に、グリッド材料層136が基材120の第1面121の全体にわたって形成される。この余分なグリッド材料層136は、図9に示すように、例えばリアクティブ・イオンエッチングまたは他の適切なプロセスにより除去される。
【0070】
図10に示すように、その後、後続のプロセスステップ間におけるグリッド材料135への損傷を防ぐために、保護層140が基材120の第1面121に与えられる。保護層140は、例えばポリイミドであってよい。しかしながら、別の適切な材料が用いられてもよいことが理解されるであろう。
【0071】
図11に示されるように、その後、基材120は、第2面122から取り除かれる。特に、基材120は、第2面122の第1領域122aから選択的に取り除かれる。この第1領域122aは、スペクトル純度フィルタ100のアパーチャ104が形成される基材120の第1面121における第1領域121aに対応している。
【0072】
基材120は、第1領域122aに隣接する第2面122の第2領域122bからは取り除かれない。取り除かれない基材120は、上述した支持フレーム108を提供する。
【0073】
図11に示されるように、基材120を第2面側122から取り除くために用いられるプロセスは、エッチング停止層130により止められる。エッチング停止層130は、グリッド材料135を囲んでおり、グリッド材料135が取り除かれるのを阻止する。基材120を第2面122の第1領域122aから取り除くために、このプロセスは、例えば、上述したリソグラフィプロセスを用い、その後リアクティブ・イオンエッチングプロセスを用いて基材120の第2面122の第2領域122b上にマスクを形成することにより行われてもよい。別のエッチングプロセスが用いてもよいが、上述のようにその場合には異なるエッチング停止層130が必要となるかもしれない。基材120は、ウェット化学エッチング、例えばKOHエッチングを用いて除去されてもよい。この場合、エッチング停止層130はシリコン窒化物であってよい。
【0074】
最終的に、図12に示されるように、例えばプラズマエッチングまたは他の適切なプロセスにより、エッチング停止層130および用いられる場合には保護層140が取り除かれ、スペクトル純度フィルタ100のアパーチャ104間に所望の壁105を形成するグリッド材料135と、支持フレーム108とを備えるスペクトル純度フィルタ100が残される。エッチング停止層130および用いられる場合には保護層140は、ウェット化学エッチングにより除去されてもよい。シリコン窒化物が用いられる場合には、それを除去するために例えばHFが用いられてもよい。
【0075】
本発明に係るスペクトル純度フィルタを形成するためのプロセスの上記の例は、変更されてもよいし、および/または、追加的な処理ステップが含まれてもよい。
【0076】
例えば、図13に示すように、スペクトル純度フィルタ100の少なくとも1つの面が、第2の種類の放射、すなわち透過率が最小化されるべき放射に対する、放射が入射する面の反射率を向上するよう選択された追加層150でコーティングされてもよい。例えば、赤外線放射に対する反射率を高めるために、薄い金属層150が設けられてもよい。
【0077】
代替的または追加的な変形においては、グリッド材料135は、例えばモリブデンなどの金属や、例えばTiNなどの別の導電体から形成されてもよい。この場合、スペクトル純度フィルタ100におけるアパーチャ104間の壁105は、赤外線放射などの放射に対して本質的に反射性であってもよい。そのような場合、スペクトル純度フィルタに追加的な反射層を形成する必要はない。望ましくは、支持フレーム108を形成するシリコンに近い熱膨張を有するよう材料が選択される。
【0078】
グリッド材料が導電性材料である場合、グリッド材料135は、電気めっきプロセスを用いて材料を堆積することにより充填されてもよい。このプロセスを実行するために、最初にめっきのベースコーティングが溝の基部に対して与えられてもよい。あるいは、基材120は、高度にドープされたシリコンであってもよい。この場合、めっきのベースコーティングは用いられなくてもよい。
【0079】
代替的にまたは追加的に、溝125は、化学蒸着プロセス、物理蒸着プロセス、スパッタ蒸着プロセス、または原子層蒸着プロセスを用いてグリッド材料135で充填されてもよい。
【0080】
代替的にまたは追加的に、グリッド材料135は、基材120を除去するために用いられるエッチングプロセスに対して耐性があるように選択されてもよい。この場合、エッチング停止層130は用いられなくてもよく、その結果、エッチング停止層130を与えそして除去するプロセスが省略されてもよい。同様に、用いられる他のプロセスに応じて、保護層140が用いられず、省略されてもよい。
【0081】
代替的または追加的な変形においては、グリッド材料135を露出させてアパーチャ104を形成するために除去される基材120は、第2面122から基材120を除去するのに代えて、または加えて、基材120の第1面121から除去されてもよい。例えば、図9に示すように余分なグリッド材料層136が除去された後、露出されたエッチング停止層130、すなわち基材120の第1面121における溝125間およびその周囲の部分のコーティング130bが除去されてもよい。その結果、グリッド材料135で充填された溝125間の基材120の第1面121が露出され、その後エッチングされる。エッチング停止層130の上面は、例えばプラズマエッチングまたは他の適切なプロセスにより除去されてもよい。同様に、基材120を除去するために用いられるエッチングプロセスに対して耐性を示すようにグリッド材料135が選択された上記の実施例の場合には、基材120は、基材120の第1面121および第2面122の一方または両方から除去されてもよい。
【0082】
図14は、本発明の実施形態に従って形成されたスペクトル純度フィルタ100の支持フレームの一部を詳細に示す。図のように、スペクトル純度フィルタのアパーチャ104間の壁105を形成するグリッド材料135の部分135aに加えて、グリッド材料135の第2部分135bが支持フレーム108を形成する基材120、すなわち、基材120の第2面122の第2領域122bに相当する基材120の中に延びている。従って、グリッド材料135の第2部分135bは、アパーチャ104間の壁を形成するグリッド材料135の部分135aを支持フレーム108に接続している。
【0083】
上記のようにエッチング停止層130がスペクトル純度フィルタの形成に用いられている場合、図14に示すように、エッチング停止層130は、支持フレーム108の中に延びるグリッド材料の部分135bと、支持フレームを形成する基材120との間の境界に保持されている。従って、エッチング停止層130は、基材120をグリッド材料135から分離している。
【0084】
スペクトル純度フィルタを組み込んだ図1及び図2の装置は、リソグラフィ製造プロセスに使用されてもよいことが理解されるであろう。このようなリソグラフィ装置は、IC、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造に使用されてもよい。当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、計測ツール、及び/または検査ツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板処理ツール及びその他の基板処理ツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよい。従って、本明細書で使用される基板という用語は、すでに複数の処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0085】
上記の説明は、限定することを意図するものではなく、例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更が加えられてもよいことを理解されたい。本発明の実施形態は、放電生成プラズマ源(DPP源)またはレーザ生成プラズマ源(LPP源)を含むがそれらに限定されない、あらゆるタイプのEUV源に対して使用されてもよいことが理解されるであろう。しかしながら、本発明の一実施形態は、典型的にはレーザ生成プラズマ源の一部を形成するレーザ源からの放射を抑制するのに特に適していてもよい。これは、そのようなプラズマ源が、多くの場合、レーザから発生する二次放射を出力するからである。
【0086】
スペクトル純度フィルタは、実際には放射経路の任意の位置に配置されてもよい。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、EUV放射源からのEUVを含む放射を受け、EUV放射を適切な下流のEUV放射光学系へと運ぶ領域内に配置されている。ここで、EUV放射源からの放射は、光学系に入る前にスペクトル純度フィルタを通るように構成されている。一実施形態では、スペクトル純度フィルタはEUV放射源内にある。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、EUVリソグラフィ装置内、例えば照明系または投影系内にある。一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、プラズマの後ではあるがコレクタの前の放射経路に配置される。
【0087】
以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明は説明したものとは別の方法で行われてもよいことを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外放射を透過させ、かつ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成された複数のアパーチャを備えるスペクトル純度フィルタの製造方法であって、
第1主要面および第2主要面を有する基材を準備するステップと、
前記基材の第1面に、スペクトル純度フィルタのアパーチャ間に形成される壁に対応するパターンに溝を形成するステップと、
前記溝をグリッド材料で充填し、グリッド材料の壁を形成するステップと、
アパーチャを形成するために、グリッド材料が露出し、グリッド材料の壁間に空間を生じるまで、前記基材の少なくとも一部を選択的に除去するステップと、
を備えることを特徴とするスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項2】
グリッド材料で前記溝を充填する前に、前記溝の少なくとも表面をエッチングプロセスに耐性を示す材料の層でコーティングするステップと、
前記基材の少なくとも一部を選択的に除去するステップのために、前記エッチングプロセスを用いるステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項3】
前記基材の第2面から前記基材の一部を選択的に除去するために用いられる第1エッチングプロセスとは異なる第2エッチングプロセス用いて、前記基材の少なくとも一部を選択的に除去するステップの後に前記第1エッチングプロセスに耐性を示す材料を除去するステップをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項4】
前記溝をグリッド材料で充填するステップは、グリッド材料が前記溝に入るようにグリッド材料層を前記基材の第1面上に堆積させるステップと、グリッド材料が前記溝内にのみ残るように前記基材の第1面を選択的にエッチングするステップと、を備えることを特徴とする請求項1,2,または3に記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項5】
前記溝が充填された後に、前記基材の第1面上に保護カバー層が形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項6】
前記第2エッチングプロセスを用いるステップは、前記保護カバー層を除去するために用いられることを特徴とする、請求項3に従属するときの請求項5に記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項7】
前記基材は、単結晶シリコンを備え、前記基材の第1面に溝を形成するステップは、リアクティブ・イオンエッチングを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項8】
前記溝の表面をコーティングするために用いられる前記材料は、酸化ケイ素を備え、前記基材の少なくとも一部を選択的に除去するステップは、リアクティブ・イオンエッチングを備えることを特徴とする請求項2および請求項2の従属請求項のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項9】
前記第2エッチングプロセスは、プラズマエッチングを備えることを特徴とする請求項3および請求項3の従属請求項のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項10】
前記第2のタイプの放射に対して反射性である材料で前記アパーチャが形成された後、前記グリッド材料の少なくとも一つの面をコーティングするステップをさらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項11】
前記基材の第1面に形成された溝は、スペクトル純度フィルタのアパーチャ間に形成される壁に対応する、前記基材の第1面の第1領域にある溝を含み、且つ、前記第1領域に隣接する、前記基材の第1面の第2領域の中に延びる溝を含み、
前記基材の少なくとも一部を選択的に除去するステップは、前記第1面の第2領域に対応する前記第2面の領域からではなく、前記第1面の第1領域に対応する前記基材の第2面の領域から前記基材が除去されるよう構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の方法に従って製造されたスペクトル純度フィルタ。
【請求項13】
スペクトル純度フィルタにおいて、
スペクトル純度フィルタの第1領域内の複数の連結された壁であって、該壁はスペクトル純度フィルタを貫く複数のアパーチャを規定し、複数のアパーチャは極端紫外放射を透過させ且つ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成されている、壁と、
前記第1領域に隣接するスペクトル純度フィルタの第2領域にある支持フレームであって、前記壁を支持するよう構成された支持フレームと、
を備え、
前記連結された壁が形成される材料は、前記支持フレームと前記連結された壁との間の機械的結合を与えるために、前記支持フレームの一つ以上の孔の中に延びていることを特徴とするスペクトル純度フィルタ。
【請求項14】
請求項12または13に記載のスペクトル純度フィルタを備えることを特徴とする放射源。
【請求項15】
請求項12または13に記載のスペクトル純度フィルタを備えることを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項1】
極端紫外放射を透過させ、かつ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成された複数のアパーチャを備えるスペクトル純度フィルタの製造方法であって、
第1主要面および第2主要面を有する基材を準備するステップと、
前記基材の第1面に、スペクトル純度フィルタのアパーチャ間に形成される壁に対応するパターンに溝を形成するステップと、
前記溝をグリッド材料で充填し、グリッド材料の壁を形成するステップと、
アパーチャを形成するために、グリッド材料が露出し、グリッド材料の壁間に空間を生じるまで、前記基材の少なくとも一部を選択的に除去するステップと、
を備えることを特徴とするスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項2】
グリッド材料で前記溝を充填する前に、前記溝の少なくとも表面をエッチングプロセスに耐性を示す材料の層でコーティングするステップと、
前記基材の少なくとも一部を選択的に除去するステップのために、前記エッチングプロセスを用いるステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項3】
前記基材の第2面から前記基材の一部を選択的に除去するために用いられる第1エッチングプロセスとは異なる第2エッチングプロセス用いて、前記基材の少なくとも一部を選択的に除去するステップの後に前記第1エッチングプロセスに耐性を示す材料を除去するステップをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項4】
前記溝をグリッド材料で充填するステップは、グリッド材料が前記溝に入るようにグリッド材料層を前記基材の第1面上に堆積させるステップと、グリッド材料が前記溝内にのみ残るように前記基材の第1面を選択的にエッチングするステップと、を備えることを特徴とする請求項1,2,または3に記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項5】
前記溝が充填された後に、前記基材の第1面上に保護カバー層が形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項6】
前記第2エッチングプロセスを用いるステップは、前記保護カバー層を除去するために用いられることを特徴とする、請求項3に従属するときの請求項5に記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項7】
前記基材は、単結晶シリコンを備え、前記基材の第1面に溝を形成するステップは、リアクティブ・イオンエッチングを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項8】
前記溝の表面をコーティングするために用いられる前記材料は、酸化ケイ素を備え、前記基材の少なくとも一部を選択的に除去するステップは、リアクティブ・イオンエッチングを備えることを特徴とする請求項2および請求項2の従属請求項のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項9】
前記第2エッチングプロセスは、プラズマエッチングを備えることを特徴とする請求項3および請求項3の従属請求項のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項10】
前記第2のタイプの放射に対して反射性である材料で前記アパーチャが形成された後、前記グリッド材料の少なくとも一つの面をコーティングするステップをさらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項11】
前記基材の第1面に形成された溝は、スペクトル純度フィルタのアパーチャ間に形成される壁に対応する、前記基材の第1面の第1領域にある溝を含み、且つ、前記第1領域に隣接する、前記基材の第1面の第2領域の中に延びる溝を含み、
前記基材の少なくとも一部を選択的に除去するステップは、前記第1面の第2領域に対応する前記第2面の領域からではなく、前記第1面の第1領域に対応する前記基材の第2面の領域から前記基材が除去されるよう構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のスペクトル純度フィルタの製造方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の方法に従って製造されたスペクトル純度フィルタ。
【請求項13】
スペクトル純度フィルタにおいて、
スペクトル純度フィルタの第1領域内の複数の連結された壁であって、該壁はスペクトル純度フィルタを貫く複数のアパーチャを規定し、複数のアパーチャは極端紫外放射を透過させ且つ第2のタイプの放射の透過を抑制するよう構成されている、壁と、
前記第1領域に隣接するスペクトル純度フィルタの第2領域にある支持フレームであって、前記壁を支持するよう構成された支持フレームと、
を備え、
前記連結された壁が形成される材料は、前記支持フレームと前記連結された壁との間の機械的結合を与えるために、前記支持フレームの一つ以上の孔の中に延びていることを特徴とするスペクトル純度フィルタ。
【請求項14】
請求項12または13に記載のスペクトル純度フィルタを備えることを特徴とする放射源。
【請求項15】
請求項12または13に記載のスペクトル純度フィルタを備えることを特徴とするリソグラフィ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−503463(P2013−503463A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525957(P2012−525957)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060536
【国際公開番号】WO2011/023470
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060536
【国際公開番号】WO2011/023470
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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