スペーサの配置方法
【課題】 基板上の所望の位置へスペーサを簡易かつ低コストに配置できるスペーサの配置方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 スペーサ230を含有する複数の液滴200をカラーフィルタ(基板)100の表面に付着させる付着工程と、光を透過させる開口部400a及び光を透過させない遮光部400bを有する遮光板400を介して基板100に対して光を照射することにより開口部400aと対向する液滴200中のスペーサ230をカラーフィルタ100に対して固着させる固着工程と、固着工程の後に、基板100の表面から未固着のスペーサ230を除去する未乾燥液滴除去工程と、を備える。
【解決手段】 スペーサ230を含有する複数の液滴200をカラーフィルタ(基板)100の表面に付着させる付着工程と、光を透過させる開口部400a及び光を透過させない遮光部400bを有する遮光板400を介して基板100に対して光を照射することにより開口部400aと対向する液滴200中のスペーサ230をカラーフィルタ100に対して固着させる固着工程と、固着工程の後に、基板100の表面から未固着のスペーサ230を除去する未乾燥液滴除去工程と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサの配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶パネル等の製造において、基板上に複数のスペーサを配置することが行われている。このようなスペーサ配置方法として、ヘッド容器の開口からスペーサ含有液の液滴を吐出して基板上の所望の位置、例えば、ブラックマトリクス上に液滴を付着させ、その後、この液滴を乾燥させることによりスペーサを基板上の所望の位置に固着させる方法が知られている。
【0003】
液晶パネル等の製造においては、基板上における極めて多数の位置に対してスペーサをそれぞれ配置する必要がある。したがって、多数の開口が所定のピッチで配置されたヘッド容器を用い、このヘッド容器の各開口から多数の液滴を一行分吐出して基板に付着させると共に、このヘッド容器と基板とを相対的に開口の配列方向と交差する方向に移動させ、基板上に液滴をマトリクス状に付着させることが考えられる(例えば特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2005−10412号公報
【特許文献2】特開2005−4094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、カラーフィルタ上におけるスペーサの配置をより高精度に行いたいという要望がある。しかしながら、ヘッド容器をカラーフィルタに対して高精度に移動させたとしても、種々の要因により、ヘッド容器の開口から吐出された液滴が基板上における意図しない場所に飛ぶ、すなわち、液滴の目的着弾位置から大きくずれたり、また、ヘッド容器の開口から、意図した液滴以外に意図しないサテライト液滴が吐出される場合もある。そして、このような液滴がスペーサを含んでいると、スペーサの高精度な配置を妨げることとなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、基板上の所望の位置へ簡易かつ低コストにスペーサを配置できるスペーサの配置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスペーサの配置方法は、付着工程、固着工程、及び、未固着スペーサ除去工程を備える。付着工程では、複数のスペーサを含有する液膜を基板上に付着させる、又は、スペーサを含有する複数の液滴を基板上に付着させる。固着工程では、光を透過させる開口部及び光を透過させない遮光部を有する遮光板を介して基板に対して光を照射することにより、遮光板の開口部と対向するスペーサを基板に対して固着させる。未固着スペーサ除去工程では、基板の表面から未固着のスペーサを除去する。
【0007】
本発明によれば、基板に付着した液膜中の複数のスペーサ又は基板に付着した複数の液滴中のスペーサの内、遮光板の開口部に対向する場所に存在するスペーサが選択的に基板に固着する。その後、未固着のスペーサを基板上から除去することにより、付着工程での基板上におけるスペーサの配置に関わらず、遮光板の開口部の配置に応じて、基板上の所望の位置にスペーサを配置することができる。言い換えると、本発明によれば、所望の場所以外に付着したスペーサが基板と固着することを容易に防止できるため、極めて高精度なスペーサ配置方法が実現する。
【0008】
ここで、具体的には、固着工程では赤外線を照射し、遮光板の開口部と対向するスペーサ周りの液体を乾燥させることが好ましい。
【0009】
このようにして、所望の位置に存在するスペーサ周りの液膜又は液滴の液体を乾燥させることにより、スペーサの種類、材質等を問わず液滴又は液膜中のそのスペーサがほぼその場で基板の表面に良好に固着する。
【0010】
特に、スペーサの表面がポリマー等の樹脂により形成されている、又は、スペーサの表面に基板と結合可能な官能基が結合されていると、スペーサ周りの液体を乾燥させることによって極めて良好にスペーサを基板に対して固着できる。
【0011】
ここで、付着工程においてスペーサの表面が可視光線又は紫外線の照射により硬化する樹脂により形成されており、固着工程では、スペーサ周りの液体を乾燥させた後に、遮光板を介して基板に対してさらに可視光線又は紫外線を照射してもよい。
【0012】
この場合には、スペーサの表面が硬化するので、スペーサと基板との固着力をより高めることができる。
【0013】
一方、付着工程において、スペーサの表面が光の照射により硬化する樹脂により形成されており、固着工程においてその光を照射する際に、スペーサが基板の表面と接触していることも好ましい。
【0014】
これによれば、液体中において基板と接触しているスペーサの表面が光により硬化するので、液滴を乾燥させること無く所望の場所のスペーサを基板に固着させることができる。
【0015】
光の照射により硬化する樹脂としては、例えば、紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、赤外線硬化樹脂等が挙げられる。
【0016】
特に、スペーサの表面が紫外線の照射により硬化する樹脂により形成された物である場合には、紫外線を照射することにより、好適にスペーサと基板とを固着させることができる。
【0017】
また、固着工程では、液体を乾燥させることなく光によりスペーサを固着させた後、遮光板を介して基板に対してさらに赤外線を照射し、遮光板の開口部と対向するスペーサ周りの液体を乾燥させることも好ましい。こうすると、液体の乾燥によって、より強い固着が可能となる。なお、光による硬化により既にスペーサが固着しているので、その後、赤外線による液滴/液体の乾燥を行うまでの間に、基板搬送等の作業を行っても、付着した液滴や、液滴/液膜中のスペーサが所望の位置からズレ無いので好ましい。
【0018】
また、未固着スペーサ除去工程を、基板の表面に液体を供給することにより行うことが好ましい。
【0019】
これにより、未固着スペーサの除去を容易に行い得る。特に、付着工程において用いられる液膜や液滴を構成する液体と相溶する液体を用いると好適である。
【0020】
また、本発明においては、付着工程において、所定のピッチで配置された複数の開口からそれぞれスペーサを含有する液滴を吐出することにより複数の液滴を基板にマトリクス状に付着させることができる。この場合、開口部の配置に応じて、ヘッドの複数の開口の配置にとらわれない自在なかつ高精度のスペーサの配置が可能となる。
【0021】
例えば、特定の開口から吐出された液滴の列に対して光が照射されないように遮光部を配置することにより、特定の列の液滴中のスペーサが基板に固着することを防止でき、開口のピッチよりも広い幅でスペーサを配置することができる。
【0022】
また、本発明においては、付着工程において、複数のスペーサを含有する液を噴霧することにより、上述の液膜を基板上に付着させる、又は、複数の液滴を基板上に付着させることが好ましい。噴霧により多数の液滴の付着又は液膜の形成が極めて容易にかつ迅速に行える。
【0023】
また、本発明においては、付着工程において、複数のスペーサを含有する液を基板上に塗布することにより液膜を基板上に付着させることも好ましい。塗布により極めて簡易に多数のスペーサを含む液膜を基板上に配置できる。
【0024】
また、遮光板配置工程では、上記の遮光板を基板に対して対向配置させ、遮光板を介して基板に対して光を照射することが好ましい。基板に予め設計配置されている配線等の部材の内、遮光可能な部材を遮光板として用いることもできるが、基板とは異なる遮光板を用いる方が、特にブラックマトリクスを有するカラーフィルタに対するスペーサの配置には好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、基板上の所望の位置へ簡易かつ低コストにスペーサを配置できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係るスペーサの配置方法の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面においては、寸法比率は説明のものとは必ずしも一致していない。
【0027】
(第一実施形態)
まず、図1に示すような、カラーフィルタ(基板)100を用意する。このカラーフィルタ100は、透明基板110、ブラックマトリクス120、赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130B、上膜160を備えている。
【0028】
透明基板110は、ガラス等から形成された透明な平板である。
【0029】
ブラックマトリクス120は、可視光を遮光する材料からなる膜である。ブラックマトリクス120の材料としては、例えば、クロム、クロム/酸化クロム等の金属系材料や、樹脂材料等が挙げられる。このブラックマトリクス120は格子形状又はストライプ形状をなし、多数の開口120pを形成している。本実施形態に係る図面では、ストライプ形状のブラックマトリクスを採用している。ブラックマトリクスの幅120Wは、例えば、5〜30μm程度とすることができる。また、ブラックマトリクスの高さ120Hは、例えば0.1〜2μm程度とすることができる。
【0030】
赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130Bは、それぞれ、ブラックマトリクス120の各開口120p内にこの順に配置されている。赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130Bは、それぞれ、各色の可視光を選択的に透過可能な透明着色材料からなり、例えば、透明着色樹脂を使用できる。各着色部130R,130G,130Bの幅130Wは、例えば、5〜100μmとすることができる。各着色部130R,130G,130Bの高さ130Hは、例えば、1〜2μmとすることができる。
【0031】
ここで、各着色部130R,130G,130Bの高さ130Hは、ブラックマトリクス120の高さ120Hよりも十分に高くされている。
【0032】
そして、これらの各着色部130R,130G,130B及びブラックマトリクス120上に亘って上膜160が形成されている。この上膜160は、透明基板110側から順に、必要に応じて設けられる透明平坦化膜(不図示)、透明電極膜140、及び配向膜150等を有する積層体である。
【0033】
透明電極膜140は、液晶ディスプレイの駆動基板の画素電極(不図示)に対向配置されるべき共通電極であり、ITO等の透明な導電材料により形成される。透明電極膜140の厚みは、例えば、約0.1μm程度である。
【0034】
配向膜150は、液晶を所望の方向に配向させるものであり、例えば、ポリイミド等の樹脂材料等により形成できる。配向膜150の厚みは、例えば、約0.1μm程度である。
【0035】
そして、ブラックマトリクス120の上面と、各着色部130R,130G,130Bの上面と、の段差に対応して、カラーフィルタ100の表面、すなわち、上膜160の表面においては、ブラックマトリクス120上に窪み部160aが形成されている。ブラックマトリクス120は格子状又はストライプ状であり、この窪み部60aは、ブラックマトリクス120に沿う溝形状となっている。また、各着色部130R,130G,130Bのブラックマトリクス120側の端部はそれぞれ盛り上がっている。
【0036】
このようなカラーフィルタ100は、例えば、透明基板110上に、フォトリソグラフィー法等によってブラックマトリクス120を形成した後、ブラックマトリクス120の開口120pに、フォトリソグラフィー法等によって順次各着色部130R,130G,130Bをブラックマトリクス120よりもそれぞれ高くなるように形成し、その後、ブラックマトリクス120及び各着色部130R,130G,130B上にスパッタリング法や蒸着法等によって所定の厚みの透明電極膜140を形成し、透明電極膜140の上にさらにポリイミド樹脂等の配向膜材料を所定の厚み塗布して固化し、その表面をラビングして配向膜150とすることにより容易に得られる。
【0037】
続いて、このようなカラーフィルタ100の上膜160上に、図2に示すようなスペーサ配置装置1を用いて、スペーサを含む液滴を付着させる。このスペーサ配置装置1は、ヘッド装置41から上方のカラーフィルタ100に対してスペーサ含有液をそれぞれ噴射して、カラーフィルタ100の下面にスペーサ含有液の液滴を付着させる装置である。
【0038】
スペーサ配置装置1は、主として、スペーサ含有液12を攪拌する攪拌槽20と、攪拌槽20内から供給されるスペーサ含有液12を上方のカラーフィルタ100に向けて液滴200として噴射するヘッド装置41と、カラーフィルタ100をヘッド装置41の上方で移動させる基板移動ユニット80と、ヘッド装置41や基板移動ユニット80等を制御するコントローラ90と、を主として備えている。
【0039】
ヘッド装置41は、ヘッド容器42を有している。ヘッド容器42は、カラーフィルタ100の幅方向に延在した箱状をなす。ヘッド容器42の上面には開口37が所定のピッチ37Pで多数一列に並んで形成されている。開口37の配列方向はカラーフィルタの幅方向と平行であり、カラーフィルタの移動方向と垂直である。
【0040】
ここで、開口37の径は、例えば、10〜50μm程度とすることができる。また、開口37のピッチ37Pは、例えば、100μm程度とされる。このピッチ37Pは、開口37から吐出されカラーフィルタ100の表面に付着する液滴の径(例えば80μm)に基づいて、開口37の配列方向に隣り合う液滴同士が互いに合一しないように定めればよい。
【0041】
ヘッド容器42内には上から順にハンマー52及びピエゾ素子54が設けられている。ピエゾ素子54の底部はヘッド容器42の底部に固定されている。また、ピエゾ素子54は、コントローラ90に接続されており、コントローラ90からの信号に応じて上下に伸縮する。
【0042】
ハンマー52はピエゾ素子54上に固定されている。ハンマー52の上面は各開口37に対して下から対向すると共に各開口37に対して所定間隔離間している。
【0043】
そして、ピエゾ素子54が、コントローラ90からの信号により上方に伸びると、ハンマー52が上方に動く。したがって、開口37近傍のスペーサ含有液12がハンマー52の上端面52dによって開口37から押し出され、上方に向かってスペーサ含有液12の液滴が噴射される。
【0044】
攪拌槽20はモータ17aにより回転する攪拌翼17を備え、スペーサ含有液12を攪拌してスペーサ230をスペーサキャリア液11中に分散させる。スペーサ230としては、例えば、粒径1〜7μm程度のシリカ等の珪素酸化物粒子や、シリコン変性ポリマー等のプラスチック粒子等を使用できる。また、スペーサ230が分散されるスペーサキャリア液11としては、例えば、水とIPAの混合液等が利用できる。
【0045】
なお、スペーサの表面がポリマー等の樹脂により形成されている、又は、スペーサの表面にカラーフィルタの表面と結合可能な官能基、例えば、エポキシ基、グリシジル基、オキセタン基、酸無水物基、ラクトン基、アミド基、カルボキシル基等が結合されていると固着力を強くできて好ましい。
【0046】
例えば、スペーサの表面が樹脂により形成されていると、後述する乾燥時の熱等によりスペーサとカラーフィルタとの固着性をより高められる。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び、光の照射により硬化する樹脂、例えば、可視光線硬化樹脂、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化樹脂等が挙げられる。ここで、スペーサ全体が樹脂から形成されていても、表層のみが樹脂から形成されていてもよい。また、スペーサの表面に上述の官能基がついていても、官能基とカラーフィルタとの化学的結合等によりスペーサとカラーフィルタとの固着性を高められる。
【0047】
ヘッド容器42の一端はラインL1により攪拌槽20と接続されている。また、ヘッド容器42の他端は、循環ポンプ70を備えるラインL2により攪拌槽20と接続されている。循環ポンプ70は、ヘッド容器42内のスペーサ含有液を吸引し攪拌槽20内に排出する。これに対応して、攪拌槽20内のスペーサ含有液がラインL1を介してヘッド容器42内に供給される。
【0048】
基板移動ユニット80は、基板吸引部82と基板移動部84とを有している。基板吸引部82は、ヘッド装置41の上方でカラーフィルタ100を静電気や減圧等によって吸引してカラーフィルタ100を支持する。ここでは、上膜160の窪み部160aが下向きかつ開口37の配列方向と平行となるように基板吸引部82がカラーフィルタ100を支持する。
【0049】
また、基板移動部84は、カラーフィルタ100を吸引した基板吸引部82をカラーフィルタ移動方向、すなわち、カラーフィルタの幅方向と直交する方向に水平に移動させる。また、基板移動部84は、カラーフィルタ100をカラーフィルタの幅方向にも所定距離動かせるようになっており、カラーフィルタ100のアラインメントが可能となっている。基板移動部84としては、カラーフィルタ100を高精度に移動可能なリニアモータ式のものが好ましい。
【0050】
コントローラ90は、予め定められたプログラムに基づいて処理を行うコンピュータ装置であり、基板移動ユニット80、ピエゾ素子54、循環ポンプ70、及び、モータ17aに接続され、これらの駆動を制御する。
【0051】
そして、本実施形態では、カラーフィルタ100をカラーフィルタ移動方向に移動させつつ、ヘッド容器42の各開口37から液滴を繰り返し吐出し、複数の液滴からなる行(ライン)を基板表面に繰り返し付着させることにより、図3及び図4に示すように、カラーフィルタ100の表面に複数の液滴200をマトリクス状に付着させる。液滴200はスペーサ230を含んでいる。
【0052】
ここでは、基板移動ユニット80及びピエゾ素子54を制御することにより、上膜160の表面のうちの窪み部160a上に液滴200が付着するようにカラーフィルタ100の移動を制御する。各窪み部160a上における液滴200のピッチ37Pは、ヘッド容器42の開口37のピッチ37Pに対応する。カラーフィルタ100上における液滴200の径は、例えば、50〜100μm程度とすることができる。
【0053】
ここで、図3及び図4において、液滴200Aは、スペーサ配置装置1により意図した通りにくぼみ部160a上にマトリクス状に配置された複数の液滴の内、スペーサ230を固着させたい場所に存在する液滴200である。また、液滴200Bは、スペーサ配置装置1により意図した通りにくぼみ部160a上にマトリクス状に配置された液滴の内、スペーサ230を固着させたくない場所Bに存在する液滴である。液滴200A中のスペーサをスペーサ230A、液滴200B中のスペーサをスペーサ230Bと呼ぶ。
【0054】
さらに、図3に示すように、液滴200Cは、何らかの事情(例えば、外乱等)によりヘッド容器42の開口37から意図しない方向に射出され、予定された場所から図示右にずれた場所に付着した液滴である。また、液滴200Dは、ヘッド容器42の開口37から、意図しないで副次的に形成及び吐出された、他の液滴に比べて径が小さなサテライトといわれる液滴であり、これも意図しない場所に付着している。液滴200Cはスペーサ230Cを含み、液滴200Dはスペーサ230Dを含む。さらに、液滴200Eは、液滴自体は意図した通りの場所に付着したものの、その中のスペーサ230(230E)がブラックマトリクス120上でなく透明着色樹脂130R上に存在する液滴である。
【0055】
ここで整理すると、カラーフィルタ100に固着させたいスペーサは液滴200A中のスペーサ230Aのみであり、これ以外の液滴200B〜200E中のスペーサ230B〜230Eは、カラーフィルタに固着させたくないスペーサである。
【0056】
なお、本実施形態では、光を照射する段階で、図4のように、液滴200中のスペーサ230がカラーフィルタ100の表面に接触するようにカラーフィルタ100の向きが調整されている。具体的には、液滴200中のスペーサ230をカラーフィルタ100に接触させる方法としては、例えば、スペーサ230の比重が液の比重よりも大きい場合には、図4に示すようにカラーフィルタ100の上面側に液滴200が存在するようにカラーフィルタ100を配置すればよく、スペーサ230の比重が液の比重よりも小さい場合には、カラーフィルタ100の下面側に液滴が存在するようにカラーフィルタを配置すればよい。なお、カラーフィルタ100とは、前述のように、透明基板110、ブラックマトリクス120、赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130B、及び、上膜160を含む全体を指す。
【0057】
続いて、図5及び図6に示すように、光を遮光可能な遮光板400を用意し、これをカラーフィルタ100の表面に対向して配置する。なお遮光板400は、カラーフィルタ100の液滴付着面、又は、液滴非付着面のいずれに対向させても良いが、液滴付着面に対向させることが好ましい。
【0058】
この遮光板400にはマトリクス状に配置された複数の開口部400aが形成されている。開口部400aの幅400Wは、ブラックマトリクス120の幅120Wとほぼ対応している。また、開口部400aの長さ400Lは、例えば、液滴200の径と同程度〜2倍程度とされている。
【0059】
この遮光板400の開口部400aは、カラーフィルタ100のブラックマトリクス120上の内でも特にスペーサ230を固着させたい部分と対向するように配置され、遮光部400bは、カラーフィルタ100上におけるスペーサを固着させたくない部分と対向するように配置されている。
【0060】
すなわち、図6に示すように、開口部400aが液滴200A中のスペーサ230Aに対向する一方、遮光部400bが液滴200B中のスペーサ230Bと対向し、さらに、図示は省略するが、遮光部400bが、液滴200C中の各スペーサ230C、液滴200D中の各スペーサ230D、液滴200E中のスペーサ230Eにそれぞれ対向することとなる。
【0061】
このような遮光板400は、金属や樹脂等の材料を、公知のパターニング方法でパターニングすることにより容易に製造できる。また、遮光板400は、赤外線の遮光性に加えてさらに断熱効果を有する材料、例えば、セラミック等から形成することもできる。この場合には、遮光板400自体が加熱されにくくなり、遮光板400の熱が液滴200へ到達し難くなるので好ましい。また、後述するようにさらに紫外線の照射により固着強度を挙げる場合には、遮光板400は、紫外線を遮光できるものであることが好ましい。
【0062】
続いて、固着工程を行う。具体的には、図6に示すように、この遮光板400をはさんでカラーフィルタ100と反対側にある赤外線ランプ450Iから、遮光板400の開口部400aを介して赤外線(熱線)をカラーフィルタ100に対して照射する。
【0063】
ここで、赤外線の好適な波長範囲は0.76μm〜1000μm程度、特に、遠赤外線、すなわち、4μm〜1000μmが好適である。
【0064】
そうすると、赤外線は、遮光板400の開口部400aを通過して液滴200A中のスペーサ230A及びその周りに選択的に照射され、スペーサ230A及びその周りの液体の温度上昇により、スペーサ230A周りのスペーサキャリア液が蒸発する。したがって、図7に示すように、液滴200Aに含まれていたスペーサ230Aがカラーフィルタ100のブラックマトリクス120上に固着する。
【0065】
一方、遮光板400の遮光部400bにより遮蔽される液滴200B〜200E中のスペーサ230B〜230Eには赤外線が照射されない。したがって、これらのスペーサ230B〜230Eはカラーフィルタ100と固着しない。
【0066】
ここで、スペーサ230の表面が可視光線により硬化する樹脂や紫外線により硬化する樹脂により形成されている場合には、乾燥による固着後に、遮光板400を介してさらに可視光線や紫外線を照射すると、既に固着したスペーサ230Aの表面の硬化によりスペーサ230Aとカラーフィルタ100とのより強固な固着が実現する。
【0067】
続いて、残った未固着のスペーサ230B〜スペーサ230Eをカラーフィルタ100上から除去する。
【0068】
ここでは、図8に示すように、カラーフィルタ100を斜めに配置し、その表面にノズル480から液体490を供給して未固着のスペーサ230B〜230Eを未乾燥の液体と共に洗い流すことにより、これら未固着のスペーサ230B〜230Eをカラーフィルタ100の表面から除去できる。このとき、既述の固着工程によってカラーフィルタ100と固着したスペーサ230Aは、液体490によって洗い流されることは殆どない。
【0069】
ここで、液体490は特に限定されないが、残存する液滴200と相溶する液体、例えば、スペーサキャリア液等を用いると、未固着スペーサ230B〜230Eの除去が容易である。
【0070】
この後、カラーフィルタ100上の液体を乾燥させればよい。そうすると、図9に示すように、スペーサを配置したくない場所Bにはスペーサ230が配置されない。また、サテライト液滴200D中のスペーサ230Dや、所望の場所に配置されなかった液滴200C中のスペーサ230Cはカラーフィルタ100に固着しない。さらに、液滴自体は所望の場所に付着したものの、その液滴200E中においてブラックマトリクス上に配置されなかったスペーサ230Eもカラーフィルタ100上には固着しない。これでスペーサ配置工程が終了する。
【0071】
その後、このスペーサ230Aを挟んで、図示しない電極基板を重ね、カラーフィルタ100と電極基板との間に液晶を封入することにより液晶ディスプレイが完成する。なお、一度スペーサがカラーフィルタに固着すると、電極基板を重ねる際にスペーサが動いてしまうことも殆ど無く、また、電極基板を重ねる前等にカラーフィルタを搬送等する際のカラーフィルタの取り扱いも極めて容易である。
【0072】
本実施形態によれば、遮光板400の開口部400a及び遮光部400bの配置に応じて、カラーフィルタ100に付着した多数の液滴200中のスペーサ230の内、所望の位置に配置されたスペーサ230Aのみを乾燥によりカラーフィルタに固着させることができる。そして、その後、未固着のスペーサ230B〜230Eをカラーフィルタ100上から除去することにより、付着工程での液滴200の配置等に関わらず、所望の位置にスペーサ230を配置することができる。
【0073】
これにより、特に、所定の固定ピッチで開口が配置されたヘッド容器を用いて、個々の開口毎に液滴の吐出の有無を制御することを不要としつつ、このピッチよりも広いピッチで液滴、すなわち、スペーサを散布することもできる。また、種々の外乱により、カラーフィルタ上の意図しない位置に液滴が配置された場合や、液滴自体は所望の場所に配置されたものの液滴中でスペーサが意図しない場所に配置された場合に、そのようなスペーサがカラーフィルタ上の意図しない位置に固着することを防止できる。
【0074】
また、未固着スペーサを含む液滴200B〜200Eの除去を、カラーフィルタ100の表面に液体を供給することにより行っているので、これらの除去を容易に行い得る。
【0075】
なお、上記実施形態では、液滴200中のスペーサ230がカラーフィルタ100に接触した状態で赤外線の照射を行っているが、固着工程開始時、すなわち、赤外線の照射の際に、液滴200中におけるスペーサ230の位置は特に限定されず、例えば、カラーフィルタに接触せずに液滴200内を浮遊していてもよく、また、液滴200内で浮上していてもよい。本実施形態は、固着させたい部分上の液体を乾燥させることによりスペーサ230を固着させるので、液滴200中のスペーサ230がどのような状態であっても、遮光板によってスペーサを付着させたい部分上の液体を乾燥させると、スペーサ230は、乾燥した位置に固着しているか、乾燥しなかった残りの液体内に取り残されるかのいずれかとなる。
【0076】
(第2実施形態)
続いて本発明に係る第2実施形態について説明する。本実施形態が第一実施形態と異なる点は、固着工程において、スペーサ周りの液体を乾燥させないでスペーサ230Aをカラーフィルタ100の表面に固着させる点である。
【0077】
具体的には、液滴200中に含有させるスペーサ230として、光の照射により硬化する樹脂により表面が形成されたスペーサを用いる。
【0078】
ここでのスペーサ230は、全体が光の照射により硬化する樹脂により形成されていてもよく、表面のみが光の照射により硬化する樹脂により形成されていてもよい。光の照射により硬化する樹脂としては、例えば、紫外線硬化樹脂、可視光線硬化樹脂、赤外線硬化樹脂等が挙げられる。光により硬化する樹脂としては、例えば、所望の波長の光に感応する光重合開始剤及びモノマーやオリゴマーを混合したものが挙げられる。
【0079】
そして、光を照射する前に、予め、図6の状態のように、液滴200中のスペーサ230がカラーフィルタ100の表面に接触するようにカラーフィルタ100の向きを調整しておく。
【0080】
具体的には、液滴200中のスペーサ230をカラーフィルタ100に接触させる方法としては、例えば、スペーサ230の比重が液の比重よりも大きい場合には、図6に示すようにカラーフィルタ100の上面側に液滴200が存在するようにカラーフィルタ100を配置すればよく、スペーサ230の比重が液の比重よりも小さい場合には、カラーフィルタ100の下面側に液滴が存在するようにカラーフィルタを配置すればよい。
【0081】
そして、このようにスペーサ230がカラーフィルタ100と接触した状態において、遮光板400の開口部400aを通して、ランプ450Uから、スペーサの表面を硬化させるための光、例えば、紫外線(波長4〜400nm)、可視光線(波長400〜760nm)、赤外線等を照射する。
【0082】
遮光板400の開口部400aから液滴200A中のスペーサ230Aに光が照射されると、スペーサ230Aの表面が硬化し、スペーサ230Aがカラーフィルタ100、例えば、ブラックマトリクス120上に固着する。
【0083】
一方、遮光板400の遮光部400bに対向する液滴200B〜200E中のスペーサ230B〜230Eには光が照射されず、各スペーサ230B〜230Eはカラーフィルタと固着しない。なお、紫外線や可視光線では液滴200は乾燥しないが、赤外線を照射する場合でも第一実施形態と異なりスペーサ230周りの液体を乾燥させる必要はない。
【0084】
なお、必要に応じて、スペーサの固着後に、遮光板400の開口部400aを介してさらに赤外線を照射してスペーサ230周りの液体を乾燥させると、スペーサ230Aの固着力をより一層増加できる場合が多い。
【0085】
その後、第一実施形態における図8と同様にして、カラーフィルタ100上から未固着のスペーサ230B〜230Eを除去し、必要に応じて乾燥等を行うことにより、所望の位置へスペーサ230Aを配置させることができる。
【0086】
本実施形態によれば、固着すべきスペーサ周りの液体を乾燥させなくてもよいので、短時間での効率のよい固着処理が可能となる。
【0087】
(第3実施形態)
続いて、本発明に係る第3実施形態について説明する。第3実施形態では、図10に示すように、第1実施形態及び第2実施形態のようなスペーサ配置装置1でなく、液滴噴霧ノズル202を有する噴霧装置2を用いてカラーフィルタ100上に液滴200を付着させる。
【0088】
液滴噴霧ノズル202としては、通常の2流体ノズル等を利用できる。この液滴噴霧ノズル202には、ラインL20を介してブロア204が接続されていると共に、ラインL22を介してポンプ206及び第1実施形態と同様の攪拌槽20が接続されている。そして、ポンプ206によりスペーサ含有液12が液滴噴霧ノズル202に供給されると共に、ブロア204によりエアーが液滴噴霧ノズル202に供給され、液滴噴霧ノズル202からスペーサ含有液の液滴200が多数形成される。この多数の液滴200は、液滴噴霧ノズル202に対向して配置されるカラーフィルタ100の表面に付着する。なお、液滴噴霧ノズル202のオリフィス径、スペーサ含有液やエアーの圧力等の噴霧条件は、液滴の径が所望の大きさとなるように設定される。なお、各液滴200は、それぞれスペーサ230を含んでいる。
【0089】
このような噴霧法では、カラーフィルタ100上における液滴200の付着位置を第1実施形態のように制御することは困難であり、図11に示すように、スペーサ230を含む液滴200はカラーフィルタ100上にほぼランダムに配置されることとなる。そして、液滴200中のスペーサ230は、ブラックマトリクス120上に配置されるスペーサ230Gと、ブラックマトリクス120以外の部分の上に配置されるスペーサ230Hとに区別される。
【0090】
続いて、図12に示すように、カラーフィルタ100のブラックマトリクス120の部分に対応する部分が開口部402aとされ、他の部分が遮光部402bとされたストライプ状の遮光板402を用意する。
【0091】
そして、この遮光板402を、開口部402aがブラックマトリクス120と対向するように配置して、この開口部402aを介してカラーフィルタ100のブラックマトリクス120に対して光を照射する。
【0092】
例えば、第1実施形態のように遮光板402を介して赤外線を照射すると、液滴200におけるブラックマトリクス120上の部分が乾燥する、すなわち、ブラックマトリクス120上にあるスペーサ230Gの周りの液体が乾燥するので、スペーサ230Gがブラックマトリクス120上に固着する。一方、ブラックマトリクス120以外の部分には赤外線が照射されないので、ブラックマトリクス120以外の部分の上にあるスペーサ230Hはカラーフィルタ100と固着しない。
【0093】
そして、スペーサ230の表面が紫外線により硬化する樹脂や可視光線による硬化する樹脂から形成されている場合には、さらに、乾燥後に遮光板402を介して赤外線や紫外線を照射してより強固にスペーサ230Aをカラーフィルタ100に固着させることもできる。
【0094】
一方、第2実施形態のように、液滴を乾燥させずに固着させることもできる。例えば、スペーサ230の表面が光の照射により硬化する樹脂により形成されている場合には、液滴200中のスペーサ230がカラーフィルタ100に接触している状態で、遮光板402を介して、カラーフィルタ100に対して樹脂硬化用の光、例えば、紫外線、赤外線、可視光線等を照射する。そうすると、液滴200中のスペーサ230Gの表面が硬化してスペーサ230がブラックマトリクス120上に固着する。一方、液滴200中のスペーサ230Hには光が照射されないので、このスペーサ230Hがブラックマトリクス120と固着することはない。なお、硬化による固着と同時、又は、硬化による固着の後に、遮光板402を介してカラーフィルタ100に対して赤外線を照射し、スペーサ230G周りの液体を乾燥させてスペーサ230Gとカラーフィルタ100との固着力を増加させることも可能である。
【0095】
そして、このようにして、ブラックマトリクス120上のスペーサ230Gをカラーフィルタに固着させた後に、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、未固着スペーサ230Bをカラーフィルタ表面から除去すれば、図13のように、ブラックマトリクス120上に選択的にスペーサ230(230G)を配置することができる。
【0096】
(第4実施形態)
本実施形態では、図14及び図15に示すように、液滴200でなく、スペーサ含有液12の液膜203をカラーフィルタ100上に付着させる。具体的には、公知の種々の塗布装置を用いてスペーサ含有液12の液膜203をカラーフィルタ100上に形成できる。例えば、図14に示すダイコータ3等を用いて、液膜203の形成が可能である。また、第3実施形態のようなスプレーノズルによる液滴の噴霧を十分長時間行うことによっても液膜の形成は可能である。
【0097】
このような液膜203を形成すると、図14及び図15に示すように、液膜203中において、スペーサ230はカラーフィルタ100上にほぼランダムに配置される。ここで、ブラックマトリクス120上に配置されたスペーサを230Gとし、ブラックマトリクス120以外の部分の上に配置されたスペーサを230Hとする。
【0098】
その後、第3実施形態と同様に、遮光板402を介して光を照射すればよい。第3実施形態と同様に、赤外線によりブラックマトリクス120上のスペーサ230G周りの液体を乾燥させることによりスペーサ230Gをカラーフィルタ100に固着させても良く、また、光によりスペーサ230Gの表面を硬化させてスペーサ230Gとカラーフィルタ100とを固着させてもよい。そして、固着後に、未固着のスペーサ230Hを洗浄等により除去すればよい。これにより、図13のように、ブラックマトリクス120上に選択的にスペーサ230が配置されることとなる。
【0099】
本発明は上記実施形態に限定されず、さまざまな変形態様が可能である。例えば、上記第1実施形態等では、未乾燥の液滴200B及びスペーサ230Bの除去をすべくカラーフィルタを斜めにしてその表面に液体490を流下させることにより液体をカラーフィルタの表面に供給しているが、例えば、液体を貯留する槽内にカラーフィルタを浸漬させることによっても除去可能できる。また、カラーフィルタ100の表面に液体を供給しなくても実施は可能であり、例えば、カラーフィルタ100の表面にガス等を吹き付けて液滴200B及びスペーサ230を吹き飛ばしても良い。
【0100】
また、上記第1実施形態では、マトリクス状に配置された液滴200の内の一つの液滴200Bを未乾燥としその後除去しているが、未乾燥としその後除去する液滴200Bの位置や個数は任意であり、遮光板400の開口部400a及び遮光部400bの位置の選択により任意の形態での実施が可能である。例えば、特定の開口37から形成されカラーフィルタ100の移動方向に並ぶ1列の液滴群に対して光が照射され無いように遮光板400の遮光部を設定することにより、特定の開口37から形成された液滴中のスペーサがカラーフィルタに固着しないようにすることができ、開口37のピッチ37Pを広げたのと同じ効果を得ることができる。
【0101】
また、上記第1及び第2実施形態において、スペーサ配置装置1は下から上に向けて液滴200を吐出し、上膜160が下向きに配置されたカラーフィルタ100の下面に液滴を付着させているが、スペーサ配置装置1によって上から下に向けて液滴200を吐出し、上膜160が下向きに配置されたカラーフィルタ100の上面に液滴200を付着させてもよい。
【0102】
また、開口37の配列やピッチ、さらには、開口37の配列方向と、カラーフィルタ移動方向との関係も特に限定されないことは言うまでもない。
【0103】
また、遮光板の開口部の幅と、スペーサを配置させたい場所(例えば、ブラックマトリクス)の幅との関係は、概ね同等の関係とすればよく、光の種類(紫外線/可視光線/赤外線:種類によって直線性が異なる)、遮光板とカラーフィルタとの距離、カラーフィルタの凹凸の程度、光源からカラーフィルタまで光がどのように到達するか(平行光か収束光か)等の性質に応じて、開口部の幅と、スペーサを配置させたい場所の幅との関係は任意好適に設定できる。通常は、(開口部の幅)≦(スペーサを配置させたい場所の幅)とすればよい。
【0104】
さらに、第1及び第2実施形態では開口部がマトリクス状に形成された遮光板400を用い、第3実施形態及び第4実施形態では開口部がストライプ状に形成された遮光板402を用いているが、第1及び第2実施形態で開口部がストライプ状に形成された遮光板402を用い、第3実施形態及び第4実施形態で開口部がマトリクス状に形成された遮光板402を用いてもよく、これ以外でも、遮光板の開口部は、スペーサを固着させたい場所の形状に応じて任意好適に設定可能である。
【0105】
具体的には、例えば、上記各実施形態では、開口部の形状及び位置を、カラーフィルタ100のブラックマトリクス120と対応させることによりブラックマトリクス上にスペーサを固着させているが、ブラックマトリクス以外の部分にスペーサを配置させたい場合には、その場所に対応する位置に開口部を設ければよい。例えば、透明着色樹脂上にスペーサを配置したい場合には、透明着色樹脂に対応する開口部を設定すればよい。
【0106】
また、上述の各実施形態では、カラーフィルタ上の液膜/液体に対して、カラーフィルタとは異なるマスク(遮光板)をカラーフィルタに対して対向配置して光を照射している、すなわち、/光源/遮光板/液滴/ブラックマトリクスを含む基板/という構成であったが、遮光板として、ブラックマトリクス自体を使用する、すなわち、/液滴/ブラックマトリクスを含む基板/光源/のような背面露光をすることもできる。例えば、図14の状態では、基板100における液滴/液体が付着した面とは反対側の面(図の下面)から光を照射すると、光はブラックマトリクス120を透過しないので、透明着色樹脂130R、130G、130Bが開口部として、ブラックマトリクス120が遮光部として機能する。したがって、スペーサ230Hを透明着色樹脂130R,130G,130B上に固着させることができる一方、スペーサ230Gがブラックマトリクス120上に固着することを防止できる。特に、カラーフィルタ以外の基板ではこのような散布方法も考えられ得る。また、図14において、参照符号120が紫外線及び/又は赤外線を透過する膜であり、かつ、透明着色樹脂130R,130G,130Bが赤外線及び/又は紫外線を透過しない膜である場合には、透明着色樹脂130R,130G,130Bが遮光部として機能し、膜120が開口部として機能するので、透明着色樹脂130R,130G,130B上でなく膜120上にスペーサを固着させることができる。要するに、本発明の遮光板において、開口部及び遮光部は、固着工程で用いる光の透過率が互いに十分に異なればよい。
【0107】
また、カラーフィルタ以外の製造の際、例えば、TFT基板、また、球状スペーサによるセルギャップを必要とする液晶表示素子、さらにはギャップ制御を必要とするマルチモード光導波路やコネクターなどの光学デバイスなどを製造する際に、基板等に対してスペーサを配置するのに上記各実施形態の方法を用いることももちろん可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、各実施形態で用いるカラーフィルタを説明する概略断面図である。
【図2】図2は、第1及び第2実施形態でカラーフィルタ上にスペーサを含む液滴を付着させる方法を示す概略斜視図である。
【図3】図3は、カラーフィルタ上に液滴が付着した状態を示す平面図である。
【図4】図4は、図3の断面図である。
【図5】図5は、遮光板の平面図である。
【図6】図6は、カラーフィルタに対して遮光板を対向配置し、遮光板を解してカラーフィルタに光を照射する状態を示す概略断面図である。
【図7】図7は、第1実施形態において液滴200Aが乾燥した後の状態を示す図6に続く概略断面図である。
【図8】図8は、カラーフィルタの表面から液滴200B及びスペーサ230Bを除去する様子を示す図7に続く概略断面図である。
【図9】図9は、カラーフィルタの場所B等を除く部分にスペーサ230が配置された状態を示す図8に続く概略断面図である。
【図10】図10は、第3実施形態に係るスペーサ含有液滴散布方法を示す概念図である。
【図11】第3実施形態でカラーフィルタ上に液滴が付着した状態を示す平面図である。
【図12】図12は、遮光板の平面図である。
【図13】図13は、ブラックマトリクス上のみにスペーサが固着した様子を示すカラーフィルタの平面図である。
【図14】図14は、第4実施形態に係るスペーサ含有液膜形成方法を示す概念断面図である。
【図15】図15は、図14の平面図である。
【符号の説明】
【0109】
1…スペーサ配置装置、120…ブラックマトリクス、120p…開口、130R,130G,130B…着色部、140…透明電極膜、150…配向膜、160…上膜、160a…窪み部、100…カラーフィルタ、200,200A,200B、200C,300D,200E…液滴、230,230A、230B、230C,230D,230E…スペーサ、400、402…遮光板、400a…開口部、400b…遮光部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサの配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶パネル等の製造において、基板上に複数のスペーサを配置することが行われている。このようなスペーサ配置方法として、ヘッド容器の開口からスペーサ含有液の液滴を吐出して基板上の所望の位置、例えば、ブラックマトリクス上に液滴を付着させ、その後、この液滴を乾燥させることによりスペーサを基板上の所望の位置に固着させる方法が知られている。
【0003】
液晶パネル等の製造においては、基板上における極めて多数の位置に対してスペーサをそれぞれ配置する必要がある。したがって、多数の開口が所定のピッチで配置されたヘッド容器を用い、このヘッド容器の各開口から多数の液滴を一行分吐出して基板に付着させると共に、このヘッド容器と基板とを相対的に開口の配列方向と交差する方向に移動させ、基板上に液滴をマトリクス状に付着させることが考えられる(例えば特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2005−10412号公報
【特許文献2】特開2005−4094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、カラーフィルタ上におけるスペーサの配置をより高精度に行いたいという要望がある。しかしながら、ヘッド容器をカラーフィルタに対して高精度に移動させたとしても、種々の要因により、ヘッド容器の開口から吐出された液滴が基板上における意図しない場所に飛ぶ、すなわち、液滴の目的着弾位置から大きくずれたり、また、ヘッド容器の開口から、意図した液滴以外に意図しないサテライト液滴が吐出される場合もある。そして、このような液滴がスペーサを含んでいると、スペーサの高精度な配置を妨げることとなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、基板上の所望の位置へ簡易かつ低コストにスペーサを配置できるスペーサの配置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスペーサの配置方法は、付着工程、固着工程、及び、未固着スペーサ除去工程を備える。付着工程では、複数のスペーサを含有する液膜を基板上に付着させる、又は、スペーサを含有する複数の液滴を基板上に付着させる。固着工程では、光を透過させる開口部及び光を透過させない遮光部を有する遮光板を介して基板に対して光を照射することにより、遮光板の開口部と対向するスペーサを基板に対して固着させる。未固着スペーサ除去工程では、基板の表面から未固着のスペーサを除去する。
【0007】
本発明によれば、基板に付着した液膜中の複数のスペーサ又は基板に付着した複数の液滴中のスペーサの内、遮光板の開口部に対向する場所に存在するスペーサが選択的に基板に固着する。その後、未固着のスペーサを基板上から除去することにより、付着工程での基板上におけるスペーサの配置に関わらず、遮光板の開口部の配置に応じて、基板上の所望の位置にスペーサを配置することができる。言い換えると、本発明によれば、所望の場所以外に付着したスペーサが基板と固着することを容易に防止できるため、極めて高精度なスペーサ配置方法が実現する。
【0008】
ここで、具体的には、固着工程では赤外線を照射し、遮光板の開口部と対向するスペーサ周りの液体を乾燥させることが好ましい。
【0009】
このようにして、所望の位置に存在するスペーサ周りの液膜又は液滴の液体を乾燥させることにより、スペーサの種類、材質等を問わず液滴又は液膜中のそのスペーサがほぼその場で基板の表面に良好に固着する。
【0010】
特に、スペーサの表面がポリマー等の樹脂により形成されている、又は、スペーサの表面に基板と結合可能な官能基が結合されていると、スペーサ周りの液体を乾燥させることによって極めて良好にスペーサを基板に対して固着できる。
【0011】
ここで、付着工程においてスペーサの表面が可視光線又は紫外線の照射により硬化する樹脂により形成されており、固着工程では、スペーサ周りの液体を乾燥させた後に、遮光板を介して基板に対してさらに可視光線又は紫外線を照射してもよい。
【0012】
この場合には、スペーサの表面が硬化するので、スペーサと基板との固着力をより高めることができる。
【0013】
一方、付着工程において、スペーサの表面が光の照射により硬化する樹脂により形成されており、固着工程においてその光を照射する際に、スペーサが基板の表面と接触していることも好ましい。
【0014】
これによれば、液体中において基板と接触しているスペーサの表面が光により硬化するので、液滴を乾燥させること無く所望の場所のスペーサを基板に固着させることができる。
【0015】
光の照射により硬化する樹脂としては、例えば、紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、赤外線硬化樹脂等が挙げられる。
【0016】
特に、スペーサの表面が紫外線の照射により硬化する樹脂により形成された物である場合には、紫外線を照射することにより、好適にスペーサと基板とを固着させることができる。
【0017】
また、固着工程では、液体を乾燥させることなく光によりスペーサを固着させた後、遮光板を介して基板に対してさらに赤外線を照射し、遮光板の開口部と対向するスペーサ周りの液体を乾燥させることも好ましい。こうすると、液体の乾燥によって、より強い固着が可能となる。なお、光による硬化により既にスペーサが固着しているので、その後、赤外線による液滴/液体の乾燥を行うまでの間に、基板搬送等の作業を行っても、付着した液滴や、液滴/液膜中のスペーサが所望の位置からズレ無いので好ましい。
【0018】
また、未固着スペーサ除去工程を、基板の表面に液体を供給することにより行うことが好ましい。
【0019】
これにより、未固着スペーサの除去を容易に行い得る。特に、付着工程において用いられる液膜や液滴を構成する液体と相溶する液体を用いると好適である。
【0020】
また、本発明においては、付着工程において、所定のピッチで配置された複数の開口からそれぞれスペーサを含有する液滴を吐出することにより複数の液滴を基板にマトリクス状に付着させることができる。この場合、開口部の配置に応じて、ヘッドの複数の開口の配置にとらわれない自在なかつ高精度のスペーサの配置が可能となる。
【0021】
例えば、特定の開口から吐出された液滴の列に対して光が照射されないように遮光部を配置することにより、特定の列の液滴中のスペーサが基板に固着することを防止でき、開口のピッチよりも広い幅でスペーサを配置することができる。
【0022】
また、本発明においては、付着工程において、複数のスペーサを含有する液を噴霧することにより、上述の液膜を基板上に付着させる、又は、複数の液滴を基板上に付着させることが好ましい。噴霧により多数の液滴の付着又は液膜の形成が極めて容易にかつ迅速に行える。
【0023】
また、本発明においては、付着工程において、複数のスペーサを含有する液を基板上に塗布することにより液膜を基板上に付着させることも好ましい。塗布により極めて簡易に多数のスペーサを含む液膜を基板上に配置できる。
【0024】
また、遮光板配置工程では、上記の遮光板を基板に対して対向配置させ、遮光板を介して基板に対して光を照射することが好ましい。基板に予め設計配置されている配線等の部材の内、遮光可能な部材を遮光板として用いることもできるが、基板とは異なる遮光板を用いる方が、特にブラックマトリクスを有するカラーフィルタに対するスペーサの配置には好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、基板上の所望の位置へ簡易かつ低コストにスペーサを配置できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係るスペーサの配置方法の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面においては、寸法比率は説明のものとは必ずしも一致していない。
【0027】
(第一実施形態)
まず、図1に示すような、カラーフィルタ(基板)100を用意する。このカラーフィルタ100は、透明基板110、ブラックマトリクス120、赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130B、上膜160を備えている。
【0028】
透明基板110は、ガラス等から形成された透明な平板である。
【0029】
ブラックマトリクス120は、可視光を遮光する材料からなる膜である。ブラックマトリクス120の材料としては、例えば、クロム、クロム/酸化クロム等の金属系材料や、樹脂材料等が挙げられる。このブラックマトリクス120は格子形状又はストライプ形状をなし、多数の開口120pを形成している。本実施形態に係る図面では、ストライプ形状のブラックマトリクスを採用している。ブラックマトリクスの幅120Wは、例えば、5〜30μm程度とすることができる。また、ブラックマトリクスの高さ120Hは、例えば0.1〜2μm程度とすることができる。
【0030】
赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130Bは、それぞれ、ブラックマトリクス120の各開口120p内にこの順に配置されている。赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130Bは、それぞれ、各色の可視光を選択的に透過可能な透明着色材料からなり、例えば、透明着色樹脂を使用できる。各着色部130R,130G,130Bの幅130Wは、例えば、5〜100μmとすることができる。各着色部130R,130G,130Bの高さ130Hは、例えば、1〜2μmとすることができる。
【0031】
ここで、各着色部130R,130G,130Bの高さ130Hは、ブラックマトリクス120の高さ120Hよりも十分に高くされている。
【0032】
そして、これらの各着色部130R,130G,130B及びブラックマトリクス120上に亘って上膜160が形成されている。この上膜160は、透明基板110側から順に、必要に応じて設けられる透明平坦化膜(不図示)、透明電極膜140、及び配向膜150等を有する積層体である。
【0033】
透明電極膜140は、液晶ディスプレイの駆動基板の画素電極(不図示)に対向配置されるべき共通電極であり、ITO等の透明な導電材料により形成される。透明電極膜140の厚みは、例えば、約0.1μm程度である。
【0034】
配向膜150は、液晶を所望の方向に配向させるものであり、例えば、ポリイミド等の樹脂材料等により形成できる。配向膜150の厚みは、例えば、約0.1μm程度である。
【0035】
そして、ブラックマトリクス120の上面と、各着色部130R,130G,130Bの上面と、の段差に対応して、カラーフィルタ100の表面、すなわち、上膜160の表面においては、ブラックマトリクス120上に窪み部160aが形成されている。ブラックマトリクス120は格子状又はストライプ状であり、この窪み部60aは、ブラックマトリクス120に沿う溝形状となっている。また、各着色部130R,130G,130Bのブラックマトリクス120側の端部はそれぞれ盛り上がっている。
【0036】
このようなカラーフィルタ100は、例えば、透明基板110上に、フォトリソグラフィー法等によってブラックマトリクス120を形成した後、ブラックマトリクス120の開口120pに、フォトリソグラフィー法等によって順次各着色部130R,130G,130Bをブラックマトリクス120よりもそれぞれ高くなるように形成し、その後、ブラックマトリクス120及び各着色部130R,130G,130B上にスパッタリング法や蒸着法等によって所定の厚みの透明電極膜140を形成し、透明電極膜140の上にさらにポリイミド樹脂等の配向膜材料を所定の厚み塗布して固化し、その表面をラビングして配向膜150とすることにより容易に得られる。
【0037】
続いて、このようなカラーフィルタ100の上膜160上に、図2に示すようなスペーサ配置装置1を用いて、スペーサを含む液滴を付着させる。このスペーサ配置装置1は、ヘッド装置41から上方のカラーフィルタ100に対してスペーサ含有液をそれぞれ噴射して、カラーフィルタ100の下面にスペーサ含有液の液滴を付着させる装置である。
【0038】
スペーサ配置装置1は、主として、スペーサ含有液12を攪拌する攪拌槽20と、攪拌槽20内から供給されるスペーサ含有液12を上方のカラーフィルタ100に向けて液滴200として噴射するヘッド装置41と、カラーフィルタ100をヘッド装置41の上方で移動させる基板移動ユニット80と、ヘッド装置41や基板移動ユニット80等を制御するコントローラ90と、を主として備えている。
【0039】
ヘッド装置41は、ヘッド容器42を有している。ヘッド容器42は、カラーフィルタ100の幅方向に延在した箱状をなす。ヘッド容器42の上面には開口37が所定のピッチ37Pで多数一列に並んで形成されている。開口37の配列方向はカラーフィルタの幅方向と平行であり、カラーフィルタの移動方向と垂直である。
【0040】
ここで、開口37の径は、例えば、10〜50μm程度とすることができる。また、開口37のピッチ37Pは、例えば、100μm程度とされる。このピッチ37Pは、開口37から吐出されカラーフィルタ100の表面に付着する液滴の径(例えば80μm)に基づいて、開口37の配列方向に隣り合う液滴同士が互いに合一しないように定めればよい。
【0041】
ヘッド容器42内には上から順にハンマー52及びピエゾ素子54が設けられている。ピエゾ素子54の底部はヘッド容器42の底部に固定されている。また、ピエゾ素子54は、コントローラ90に接続されており、コントローラ90からの信号に応じて上下に伸縮する。
【0042】
ハンマー52はピエゾ素子54上に固定されている。ハンマー52の上面は各開口37に対して下から対向すると共に各開口37に対して所定間隔離間している。
【0043】
そして、ピエゾ素子54が、コントローラ90からの信号により上方に伸びると、ハンマー52が上方に動く。したがって、開口37近傍のスペーサ含有液12がハンマー52の上端面52dによって開口37から押し出され、上方に向かってスペーサ含有液12の液滴が噴射される。
【0044】
攪拌槽20はモータ17aにより回転する攪拌翼17を備え、スペーサ含有液12を攪拌してスペーサ230をスペーサキャリア液11中に分散させる。スペーサ230としては、例えば、粒径1〜7μm程度のシリカ等の珪素酸化物粒子や、シリコン変性ポリマー等のプラスチック粒子等を使用できる。また、スペーサ230が分散されるスペーサキャリア液11としては、例えば、水とIPAの混合液等が利用できる。
【0045】
なお、スペーサの表面がポリマー等の樹脂により形成されている、又は、スペーサの表面にカラーフィルタの表面と結合可能な官能基、例えば、エポキシ基、グリシジル基、オキセタン基、酸無水物基、ラクトン基、アミド基、カルボキシル基等が結合されていると固着力を強くできて好ましい。
【0046】
例えば、スペーサの表面が樹脂により形成されていると、後述する乾燥時の熱等によりスペーサとカラーフィルタとの固着性をより高められる。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び、光の照射により硬化する樹脂、例えば、可視光線硬化樹脂、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化樹脂等が挙げられる。ここで、スペーサ全体が樹脂から形成されていても、表層のみが樹脂から形成されていてもよい。また、スペーサの表面に上述の官能基がついていても、官能基とカラーフィルタとの化学的結合等によりスペーサとカラーフィルタとの固着性を高められる。
【0047】
ヘッド容器42の一端はラインL1により攪拌槽20と接続されている。また、ヘッド容器42の他端は、循環ポンプ70を備えるラインL2により攪拌槽20と接続されている。循環ポンプ70は、ヘッド容器42内のスペーサ含有液を吸引し攪拌槽20内に排出する。これに対応して、攪拌槽20内のスペーサ含有液がラインL1を介してヘッド容器42内に供給される。
【0048】
基板移動ユニット80は、基板吸引部82と基板移動部84とを有している。基板吸引部82は、ヘッド装置41の上方でカラーフィルタ100を静電気や減圧等によって吸引してカラーフィルタ100を支持する。ここでは、上膜160の窪み部160aが下向きかつ開口37の配列方向と平行となるように基板吸引部82がカラーフィルタ100を支持する。
【0049】
また、基板移動部84は、カラーフィルタ100を吸引した基板吸引部82をカラーフィルタ移動方向、すなわち、カラーフィルタの幅方向と直交する方向に水平に移動させる。また、基板移動部84は、カラーフィルタ100をカラーフィルタの幅方向にも所定距離動かせるようになっており、カラーフィルタ100のアラインメントが可能となっている。基板移動部84としては、カラーフィルタ100を高精度に移動可能なリニアモータ式のものが好ましい。
【0050】
コントローラ90は、予め定められたプログラムに基づいて処理を行うコンピュータ装置であり、基板移動ユニット80、ピエゾ素子54、循環ポンプ70、及び、モータ17aに接続され、これらの駆動を制御する。
【0051】
そして、本実施形態では、カラーフィルタ100をカラーフィルタ移動方向に移動させつつ、ヘッド容器42の各開口37から液滴を繰り返し吐出し、複数の液滴からなる行(ライン)を基板表面に繰り返し付着させることにより、図3及び図4に示すように、カラーフィルタ100の表面に複数の液滴200をマトリクス状に付着させる。液滴200はスペーサ230を含んでいる。
【0052】
ここでは、基板移動ユニット80及びピエゾ素子54を制御することにより、上膜160の表面のうちの窪み部160a上に液滴200が付着するようにカラーフィルタ100の移動を制御する。各窪み部160a上における液滴200のピッチ37Pは、ヘッド容器42の開口37のピッチ37Pに対応する。カラーフィルタ100上における液滴200の径は、例えば、50〜100μm程度とすることができる。
【0053】
ここで、図3及び図4において、液滴200Aは、スペーサ配置装置1により意図した通りにくぼみ部160a上にマトリクス状に配置された複数の液滴の内、スペーサ230を固着させたい場所に存在する液滴200である。また、液滴200Bは、スペーサ配置装置1により意図した通りにくぼみ部160a上にマトリクス状に配置された液滴の内、スペーサ230を固着させたくない場所Bに存在する液滴である。液滴200A中のスペーサをスペーサ230A、液滴200B中のスペーサをスペーサ230Bと呼ぶ。
【0054】
さらに、図3に示すように、液滴200Cは、何らかの事情(例えば、外乱等)によりヘッド容器42の開口37から意図しない方向に射出され、予定された場所から図示右にずれた場所に付着した液滴である。また、液滴200Dは、ヘッド容器42の開口37から、意図しないで副次的に形成及び吐出された、他の液滴に比べて径が小さなサテライトといわれる液滴であり、これも意図しない場所に付着している。液滴200Cはスペーサ230Cを含み、液滴200Dはスペーサ230Dを含む。さらに、液滴200Eは、液滴自体は意図した通りの場所に付着したものの、その中のスペーサ230(230E)がブラックマトリクス120上でなく透明着色樹脂130R上に存在する液滴である。
【0055】
ここで整理すると、カラーフィルタ100に固着させたいスペーサは液滴200A中のスペーサ230Aのみであり、これ以外の液滴200B〜200E中のスペーサ230B〜230Eは、カラーフィルタに固着させたくないスペーサである。
【0056】
なお、本実施形態では、光を照射する段階で、図4のように、液滴200中のスペーサ230がカラーフィルタ100の表面に接触するようにカラーフィルタ100の向きが調整されている。具体的には、液滴200中のスペーサ230をカラーフィルタ100に接触させる方法としては、例えば、スペーサ230の比重が液の比重よりも大きい場合には、図4に示すようにカラーフィルタ100の上面側に液滴200が存在するようにカラーフィルタ100を配置すればよく、スペーサ230の比重が液の比重よりも小さい場合には、カラーフィルタ100の下面側に液滴が存在するようにカラーフィルタを配置すればよい。なお、カラーフィルタ100とは、前述のように、透明基板110、ブラックマトリクス120、赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130B、及び、上膜160を含む全体を指す。
【0057】
続いて、図5及び図6に示すように、光を遮光可能な遮光板400を用意し、これをカラーフィルタ100の表面に対向して配置する。なお遮光板400は、カラーフィルタ100の液滴付着面、又は、液滴非付着面のいずれに対向させても良いが、液滴付着面に対向させることが好ましい。
【0058】
この遮光板400にはマトリクス状に配置された複数の開口部400aが形成されている。開口部400aの幅400Wは、ブラックマトリクス120の幅120Wとほぼ対応している。また、開口部400aの長さ400Lは、例えば、液滴200の径と同程度〜2倍程度とされている。
【0059】
この遮光板400の開口部400aは、カラーフィルタ100のブラックマトリクス120上の内でも特にスペーサ230を固着させたい部分と対向するように配置され、遮光部400bは、カラーフィルタ100上におけるスペーサを固着させたくない部分と対向するように配置されている。
【0060】
すなわち、図6に示すように、開口部400aが液滴200A中のスペーサ230Aに対向する一方、遮光部400bが液滴200B中のスペーサ230Bと対向し、さらに、図示は省略するが、遮光部400bが、液滴200C中の各スペーサ230C、液滴200D中の各スペーサ230D、液滴200E中のスペーサ230Eにそれぞれ対向することとなる。
【0061】
このような遮光板400は、金属や樹脂等の材料を、公知のパターニング方法でパターニングすることにより容易に製造できる。また、遮光板400は、赤外線の遮光性に加えてさらに断熱効果を有する材料、例えば、セラミック等から形成することもできる。この場合には、遮光板400自体が加熱されにくくなり、遮光板400の熱が液滴200へ到達し難くなるので好ましい。また、後述するようにさらに紫外線の照射により固着強度を挙げる場合には、遮光板400は、紫外線を遮光できるものであることが好ましい。
【0062】
続いて、固着工程を行う。具体的には、図6に示すように、この遮光板400をはさんでカラーフィルタ100と反対側にある赤外線ランプ450Iから、遮光板400の開口部400aを介して赤外線(熱線)をカラーフィルタ100に対して照射する。
【0063】
ここで、赤外線の好適な波長範囲は0.76μm〜1000μm程度、特に、遠赤外線、すなわち、4μm〜1000μmが好適である。
【0064】
そうすると、赤外線は、遮光板400の開口部400aを通過して液滴200A中のスペーサ230A及びその周りに選択的に照射され、スペーサ230A及びその周りの液体の温度上昇により、スペーサ230A周りのスペーサキャリア液が蒸発する。したがって、図7に示すように、液滴200Aに含まれていたスペーサ230Aがカラーフィルタ100のブラックマトリクス120上に固着する。
【0065】
一方、遮光板400の遮光部400bにより遮蔽される液滴200B〜200E中のスペーサ230B〜230Eには赤外線が照射されない。したがって、これらのスペーサ230B〜230Eはカラーフィルタ100と固着しない。
【0066】
ここで、スペーサ230の表面が可視光線により硬化する樹脂や紫外線により硬化する樹脂により形成されている場合には、乾燥による固着後に、遮光板400を介してさらに可視光線や紫外線を照射すると、既に固着したスペーサ230Aの表面の硬化によりスペーサ230Aとカラーフィルタ100とのより強固な固着が実現する。
【0067】
続いて、残った未固着のスペーサ230B〜スペーサ230Eをカラーフィルタ100上から除去する。
【0068】
ここでは、図8に示すように、カラーフィルタ100を斜めに配置し、その表面にノズル480から液体490を供給して未固着のスペーサ230B〜230Eを未乾燥の液体と共に洗い流すことにより、これら未固着のスペーサ230B〜230Eをカラーフィルタ100の表面から除去できる。このとき、既述の固着工程によってカラーフィルタ100と固着したスペーサ230Aは、液体490によって洗い流されることは殆どない。
【0069】
ここで、液体490は特に限定されないが、残存する液滴200と相溶する液体、例えば、スペーサキャリア液等を用いると、未固着スペーサ230B〜230Eの除去が容易である。
【0070】
この後、カラーフィルタ100上の液体を乾燥させればよい。そうすると、図9に示すように、スペーサを配置したくない場所Bにはスペーサ230が配置されない。また、サテライト液滴200D中のスペーサ230Dや、所望の場所に配置されなかった液滴200C中のスペーサ230Cはカラーフィルタ100に固着しない。さらに、液滴自体は所望の場所に付着したものの、その液滴200E中においてブラックマトリクス上に配置されなかったスペーサ230Eもカラーフィルタ100上には固着しない。これでスペーサ配置工程が終了する。
【0071】
その後、このスペーサ230Aを挟んで、図示しない電極基板を重ね、カラーフィルタ100と電極基板との間に液晶を封入することにより液晶ディスプレイが完成する。なお、一度スペーサがカラーフィルタに固着すると、電極基板を重ねる際にスペーサが動いてしまうことも殆ど無く、また、電極基板を重ねる前等にカラーフィルタを搬送等する際のカラーフィルタの取り扱いも極めて容易である。
【0072】
本実施形態によれば、遮光板400の開口部400a及び遮光部400bの配置に応じて、カラーフィルタ100に付着した多数の液滴200中のスペーサ230の内、所望の位置に配置されたスペーサ230Aのみを乾燥によりカラーフィルタに固着させることができる。そして、その後、未固着のスペーサ230B〜230Eをカラーフィルタ100上から除去することにより、付着工程での液滴200の配置等に関わらず、所望の位置にスペーサ230を配置することができる。
【0073】
これにより、特に、所定の固定ピッチで開口が配置されたヘッド容器を用いて、個々の開口毎に液滴の吐出の有無を制御することを不要としつつ、このピッチよりも広いピッチで液滴、すなわち、スペーサを散布することもできる。また、種々の外乱により、カラーフィルタ上の意図しない位置に液滴が配置された場合や、液滴自体は所望の場所に配置されたものの液滴中でスペーサが意図しない場所に配置された場合に、そのようなスペーサがカラーフィルタ上の意図しない位置に固着することを防止できる。
【0074】
また、未固着スペーサを含む液滴200B〜200Eの除去を、カラーフィルタ100の表面に液体を供給することにより行っているので、これらの除去を容易に行い得る。
【0075】
なお、上記実施形態では、液滴200中のスペーサ230がカラーフィルタ100に接触した状態で赤外線の照射を行っているが、固着工程開始時、すなわち、赤外線の照射の際に、液滴200中におけるスペーサ230の位置は特に限定されず、例えば、カラーフィルタに接触せずに液滴200内を浮遊していてもよく、また、液滴200内で浮上していてもよい。本実施形態は、固着させたい部分上の液体を乾燥させることによりスペーサ230を固着させるので、液滴200中のスペーサ230がどのような状態であっても、遮光板によってスペーサを付着させたい部分上の液体を乾燥させると、スペーサ230は、乾燥した位置に固着しているか、乾燥しなかった残りの液体内に取り残されるかのいずれかとなる。
【0076】
(第2実施形態)
続いて本発明に係る第2実施形態について説明する。本実施形態が第一実施形態と異なる点は、固着工程において、スペーサ周りの液体を乾燥させないでスペーサ230Aをカラーフィルタ100の表面に固着させる点である。
【0077】
具体的には、液滴200中に含有させるスペーサ230として、光の照射により硬化する樹脂により表面が形成されたスペーサを用いる。
【0078】
ここでのスペーサ230は、全体が光の照射により硬化する樹脂により形成されていてもよく、表面のみが光の照射により硬化する樹脂により形成されていてもよい。光の照射により硬化する樹脂としては、例えば、紫外線硬化樹脂、可視光線硬化樹脂、赤外線硬化樹脂等が挙げられる。光により硬化する樹脂としては、例えば、所望の波長の光に感応する光重合開始剤及びモノマーやオリゴマーを混合したものが挙げられる。
【0079】
そして、光を照射する前に、予め、図6の状態のように、液滴200中のスペーサ230がカラーフィルタ100の表面に接触するようにカラーフィルタ100の向きを調整しておく。
【0080】
具体的には、液滴200中のスペーサ230をカラーフィルタ100に接触させる方法としては、例えば、スペーサ230の比重が液の比重よりも大きい場合には、図6に示すようにカラーフィルタ100の上面側に液滴200が存在するようにカラーフィルタ100を配置すればよく、スペーサ230の比重が液の比重よりも小さい場合には、カラーフィルタ100の下面側に液滴が存在するようにカラーフィルタを配置すればよい。
【0081】
そして、このようにスペーサ230がカラーフィルタ100と接触した状態において、遮光板400の開口部400aを通して、ランプ450Uから、スペーサの表面を硬化させるための光、例えば、紫外線(波長4〜400nm)、可視光線(波長400〜760nm)、赤外線等を照射する。
【0082】
遮光板400の開口部400aから液滴200A中のスペーサ230Aに光が照射されると、スペーサ230Aの表面が硬化し、スペーサ230Aがカラーフィルタ100、例えば、ブラックマトリクス120上に固着する。
【0083】
一方、遮光板400の遮光部400bに対向する液滴200B〜200E中のスペーサ230B〜230Eには光が照射されず、各スペーサ230B〜230Eはカラーフィルタと固着しない。なお、紫外線や可視光線では液滴200は乾燥しないが、赤外線を照射する場合でも第一実施形態と異なりスペーサ230周りの液体を乾燥させる必要はない。
【0084】
なお、必要に応じて、スペーサの固着後に、遮光板400の開口部400aを介してさらに赤外線を照射してスペーサ230周りの液体を乾燥させると、スペーサ230Aの固着力をより一層増加できる場合が多い。
【0085】
その後、第一実施形態における図8と同様にして、カラーフィルタ100上から未固着のスペーサ230B〜230Eを除去し、必要に応じて乾燥等を行うことにより、所望の位置へスペーサ230Aを配置させることができる。
【0086】
本実施形態によれば、固着すべきスペーサ周りの液体を乾燥させなくてもよいので、短時間での効率のよい固着処理が可能となる。
【0087】
(第3実施形態)
続いて、本発明に係る第3実施形態について説明する。第3実施形態では、図10に示すように、第1実施形態及び第2実施形態のようなスペーサ配置装置1でなく、液滴噴霧ノズル202を有する噴霧装置2を用いてカラーフィルタ100上に液滴200を付着させる。
【0088】
液滴噴霧ノズル202としては、通常の2流体ノズル等を利用できる。この液滴噴霧ノズル202には、ラインL20を介してブロア204が接続されていると共に、ラインL22を介してポンプ206及び第1実施形態と同様の攪拌槽20が接続されている。そして、ポンプ206によりスペーサ含有液12が液滴噴霧ノズル202に供給されると共に、ブロア204によりエアーが液滴噴霧ノズル202に供給され、液滴噴霧ノズル202からスペーサ含有液の液滴200が多数形成される。この多数の液滴200は、液滴噴霧ノズル202に対向して配置されるカラーフィルタ100の表面に付着する。なお、液滴噴霧ノズル202のオリフィス径、スペーサ含有液やエアーの圧力等の噴霧条件は、液滴の径が所望の大きさとなるように設定される。なお、各液滴200は、それぞれスペーサ230を含んでいる。
【0089】
このような噴霧法では、カラーフィルタ100上における液滴200の付着位置を第1実施形態のように制御することは困難であり、図11に示すように、スペーサ230を含む液滴200はカラーフィルタ100上にほぼランダムに配置されることとなる。そして、液滴200中のスペーサ230は、ブラックマトリクス120上に配置されるスペーサ230Gと、ブラックマトリクス120以外の部分の上に配置されるスペーサ230Hとに区別される。
【0090】
続いて、図12に示すように、カラーフィルタ100のブラックマトリクス120の部分に対応する部分が開口部402aとされ、他の部分が遮光部402bとされたストライプ状の遮光板402を用意する。
【0091】
そして、この遮光板402を、開口部402aがブラックマトリクス120と対向するように配置して、この開口部402aを介してカラーフィルタ100のブラックマトリクス120に対して光を照射する。
【0092】
例えば、第1実施形態のように遮光板402を介して赤外線を照射すると、液滴200におけるブラックマトリクス120上の部分が乾燥する、すなわち、ブラックマトリクス120上にあるスペーサ230Gの周りの液体が乾燥するので、スペーサ230Gがブラックマトリクス120上に固着する。一方、ブラックマトリクス120以外の部分には赤外線が照射されないので、ブラックマトリクス120以外の部分の上にあるスペーサ230Hはカラーフィルタ100と固着しない。
【0093】
そして、スペーサ230の表面が紫外線により硬化する樹脂や可視光線による硬化する樹脂から形成されている場合には、さらに、乾燥後に遮光板402を介して赤外線や紫外線を照射してより強固にスペーサ230Aをカラーフィルタ100に固着させることもできる。
【0094】
一方、第2実施形態のように、液滴を乾燥させずに固着させることもできる。例えば、スペーサ230の表面が光の照射により硬化する樹脂により形成されている場合には、液滴200中のスペーサ230がカラーフィルタ100に接触している状態で、遮光板402を介して、カラーフィルタ100に対して樹脂硬化用の光、例えば、紫外線、赤外線、可視光線等を照射する。そうすると、液滴200中のスペーサ230Gの表面が硬化してスペーサ230がブラックマトリクス120上に固着する。一方、液滴200中のスペーサ230Hには光が照射されないので、このスペーサ230Hがブラックマトリクス120と固着することはない。なお、硬化による固着と同時、又は、硬化による固着の後に、遮光板402を介してカラーフィルタ100に対して赤外線を照射し、スペーサ230G周りの液体を乾燥させてスペーサ230Gとカラーフィルタ100との固着力を増加させることも可能である。
【0095】
そして、このようにして、ブラックマトリクス120上のスペーサ230Gをカラーフィルタに固着させた後に、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、未固着スペーサ230Bをカラーフィルタ表面から除去すれば、図13のように、ブラックマトリクス120上に選択的にスペーサ230(230G)を配置することができる。
【0096】
(第4実施形態)
本実施形態では、図14及び図15に示すように、液滴200でなく、スペーサ含有液12の液膜203をカラーフィルタ100上に付着させる。具体的には、公知の種々の塗布装置を用いてスペーサ含有液12の液膜203をカラーフィルタ100上に形成できる。例えば、図14に示すダイコータ3等を用いて、液膜203の形成が可能である。また、第3実施形態のようなスプレーノズルによる液滴の噴霧を十分長時間行うことによっても液膜の形成は可能である。
【0097】
このような液膜203を形成すると、図14及び図15に示すように、液膜203中において、スペーサ230はカラーフィルタ100上にほぼランダムに配置される。ここで、ブラックマトリクス120上に配置されたスペーサを230Gとし、ブラックマトリクス120以外の部分の上に配置されたスペーサを230Hとする。
【0098】
その後、第3実施形態と同様に、遮光板402を介して光を照射すればよい。第3実施形態と同様に、赤外線によりブラックマトリクス120上のスペーサ230G周りの液体を乾燥させることによりスペーサ230Gをカラーフィルタ100に固着させても良く、また、光によりスペーサ230Gの表面を硬化させてスペーサ230Gとカラーフィルタ100とを固着させてもよい。そして、固着後に、未固着のスペーサ230Hを洗浄等により除去すればよい。これにより、図13のように、ブラックマトリクス120上に選択的にスペーサ230が配置されることとなる。
【0099】
本発明は上記実施形態に限定されず、さまざまな変形態様が可能である。例えば、上記第1実施形態等では、未乾燥の液滴200B及びスペーサ230Bの除去をすべくカラーフィルタを斜めにしてその表面に液体490を流下させることにより液体をカラーフィルタの表面に供給しているが、例えば、液体を貯留する槽内にカラーフィルタを浸漬させることによっても除去可能できる。また、カラーフィルタ100の表面に液体を供給しなくても実施は可能であり、例えば、カラーフィルタ100の表面にガス等を吹き付けて液滴200B及びスペーサ230を吹き飛ばしても良い。
【0100】
また、上記第1実施形態では、マトリクス状に配置された液滴200の内の一つの液滴200Bを未乾燥としその後除去しているが、未乾燥としその後除去する液滴200Bの位置や個数は任意であり、遮光板400の開口部400a及び遮光部400bの位置の選択により任意の形態での実施が可能である。例えば、特定の開口37から形成されカラーフィルタ100の移動方向に並ぶ1列の液滴群に対して光が照射され無いように遮光板400の遮光部を設定することにより、特定の開口37から形成された液滴中のスペーサがカラーフィルタに固着しないようにすることができ、開口37のピッチ37Pを広げたのと同じ効果を得ることができる。
【0101】
また、上記第1及び第2実施形態において、スペーサ配置装置1は下から上に向けて液滴200を吐出し、上膜160が下向きに配置されたカラーフィルタ100の下面に液滴を付着させているが、スペーサ配置装置1によって上から下に向けて液滴200を吐出し、上膜160が下向きに配置されたカラーフィルタ100の上面に液滴200を付着させてもよい。
【0102】
また、開口37の配列やピッチ、さらには、開口37の配列方向と、カラーフィルタ移動方向との関係も特に限定されないことは言うまでもない。
【0103】
また、遮光板の開口部の幅と、スペーサを配置させたい場所(例えば、ブラックマトリクス)の幅との関係は、概ね同等の関係とすればよく、光の種類(紫外線/可視光線/赤外線:種類によって直線性が異なる)、遮光板とカラーフィルタとの距離、カラーフィルタの凹凸の程度、光源からカラーフィルタまで光がどのように到達するか(平行光か収束光か)等の性質に応じて、開口部の幅と、スペーサを配置させたい場所の幅との関係は任意好適に設定できる。通常は、(開口部の幅)≦(スペーサを配置させたい場所の幅)とすればよい。
【0104】
さらに、第1及び第2実施形態では開口部がマトリクス状に形成された遮光板400を用い、第3実施形態及び第4実施形態では開口部がストライプ状に形成された遮光板402を用いているが、第1及び第2実施形態で開口部がストライプ状に形成された遮光板402を用い、第3実施形態及び第4実施形態で開口部がマトリクス状に形成された遮光板402を用いてもよく、これ以外でも、遮光板の開口部は、スペーサを固着させたい場所の形状に応じて任意好適に設定可能である。
【0105】
具体的には、例えば、上記各実施形態では、開口部の形状及び位置を、カラーフィルタ100のブラックマトリクス120と対応させることによりブラックマトリクス上にスペーサを固着させているが、ブラックマトリクス以外の部分にスペーサを配置させたい場合には、その場所に対応する位置に開口部を設ければよい。例えば、透明着色樹脂上にスペーサを配置したい場合には、透明着色樹脂に対応する開口部を設定すればよい。
【0106】
また、上述の各実施形態では、カラーフィルタ上の液膜/液体に対して、カラーフィルタとは異なるマスク(遮光板)をカラーフィルタに対して対向配置して光を照射している、すなわち、/光源/遮光板/液滴/ブラックマトリクスを含む基板/という構成であったが、遮光板として、ブラックマトリクス自体を使用する、すなわち、/液滴/ブラックマトリクスを含む基板/光源/のような背面露光をすることもできる。例えば、図14の状態では、基板100における液滴/液体が付着した面とは反対側の面(図の下面)から光を照射すると、光はブラックマトリクス120を透過しないので、透明着色樹脂130R、130G、130Bが開口部として、ブラックマトリクス120が遮光部として機能する。したがって、スペーサ230Hを透明着色樹脂130R,130G,130B上に固着させることができる一方、スペーサ230Gがブラックマトリクス120上に固着することを防止できる。特に、カラーフィルタ以外の基板ではこのような散布方法も考えられ得る。また、図14において、参照符号120が紫外線及び/又は赤外線を透過する膜であり、かつ、透明着色樹脂130R,130G,130Bが赤外線及び/又は紫外線を透過しない膜である場合には、透明着色樹脂130R,130G,130Bが遮光部として機能し、膜120が開口部として機能するので、透明着色樹脂130R,130G,130B上でなく膜120上にスペーサを固着させることができる。要するに、本発明の遮光板において、開口部及び遮光部は、固着工程で用いる光の透過率が互いに十分に異なればよい。
【0107】
また、カラーフィルタ以外の製造の際、例えば、TFT基板、また、球状スペーサによるセルギャップを必要とする液晶表示素子、さらにはギャップ制御を必要とするマルチモード光導波路やコネクターなどの光学デバイスなどを製造する際に、基板等に対してスペーサを配置するのに上記各実施形態の方法を用いることももちろん可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、各実施形態で用いるカラーフィルタを説明する概略断面図である。
【図2】図2は、第1及び第2実施形態でカラーフィルタ上にスペーサを含む液滴を付着させる方法を示す概略斜視図である。
【図3】図3は、カラーフィルタ上に液滴が付着した状態を示す平面図である。
【図4】図4は、図3の断面図である。
【図5】図5は、遮光板の平面図である。
【図6】図6は、カラーフィルタに対して遮光板を対向配置し、遮光板を解してカラーフィルタに光を照射する状態を示す概略断面図である。
【図7】図7は、第1実施形態において液滴200Aが乾燥した後の状態を示す図6に続く概略断面図である。
【図8】図8は、カラーフィルタの表面から液滴200B及びスペーサ230Bを除去する様子を示す図7に続く概略断面図である。
【図9】図9は、カラーフィルタの場所B等を除く部分にスペーサ230が配置された状態を示す図8に続く概略断面図である。
【図10】図10は、第3実施形態に係るスペーサ含有液滴散布方法を示す概念図である。
【図11】第3実施形態でカラーフィルタ上に液滴が付着した状態を示す平面図である。
【図12】図12は、遮光板の平面図である。
【図13】図13は、ブラックマトリクス上のみにスペーサが固着した様子を示すカラーフィルタの平面図である。
【図14】図14は、第4実施形態に係るスペーサ含有液膜形成方法を示す概念断面図である。
【図15】図15は、図14の平面図である。
【符号の説明】
【0109】
1…スペーサ配置装置、120…ブラックマトリクス、120p…開口、130R,130G,130B…着色部、140…透明電極膜、150…配向膜、160…上膜、160a…窪み部、100…カラーフィルタ、200,200A,200B、200C,300D,200E…液滴、230,230A、230B、230C,230D,230E…スペーサ、400、402…遮光板、400a…開口部、400b…遮光部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスペーサを含有する液膜を基板上に付着させる、又は、スペーサを含有する複数の液滴を基板上に付着させる付着工程と、
光を透過させる開口部及び前記光を透過させない遮光部を有する遮光板を介して前記基板に対して光を照射することにより、前記遮光板の開口部と対向するスペーサを前記基板に対して固着させる固着工程と、
前記基板の表面から未固着のスペーサを除去する未固着スペーサ除去工程と、
を備えるスペーサ配置方法。
【請求項2】
前記固着工程において赤外線を照射し、前記遮光板の開口部と対向するスペーサ周りの液体を乾燥させる請求項1に記載のスペーサ配置方法。
【請求項3】
前記スペーサの表面が樹脂により形成されている、又は、前記スペーサの表面に前記基板と結合可能な官能基が結合されている請求項2に記載のスペーサの配置方法。
【請求項4】
前記付着工程において、前記スペーサの表面が可視光線又は紫外線の照射により硬化する樹脂により形成されており、
前記固着工程では、前記スペーサ周りの液体を乾燥させた後に、前記遮光板を介して前記基板に対してさらに可視光線又は紫外線を照射する請求項2に記載のスペーサの配置方法。
【請求項5】
前記付着工程において、前記スペーサの表面は前記光の照射により硬化する樹脂により形成され、
前記固着工程において前記光を照射する際に、前記スペーサは前記基板の表面と接触している請求項1に記載のスペーサ配置方法。
【請求項6】
前記樹脂は紫外線の照射により硬化する樹脂であり、前記固着工程では紫外線を照射する請求項5に記載のスペーサ配置方法。
【請求項7】
前記固着工程において、前記遮光板を介して前記基板に対してさらに赤外線を照射し、前記遮光板の開口部と対向するスペーサ周りの液体を乾燥させる請求項5又は6に記載のスペーサ配置方法。
【請求項8】
前記未固着スペーサ除去工程を、前記基板の表面に液体を供給することにより行う請求項1〜7のいずれかに記載のスペーサの配置方法。
【請求項9】
前記供給する液体は、前記付着工程において用いられる液膜又は液滴を構成する液体と相溶する液体である請求項8に記載のスペーサの配置方法。
【請求項10】
前記付着工程において、所定のピッチで配置された複数の開口からそれぞれ前記スペーサを含有する液滴を吐出することにより、前記複数の液滴を前記基板に付着させる請求項1〜9のいずれかに記載のスペーサ配置方法。
【請求項11】
前記付着工程において、複数のスペーサを含有する液を噴霧することにより、前記液膜を基板上に付着させる、又は、前記複数の液滴を基板上に付着させる請求項1〜9のいずれかに記載のスペーサ配置方法。
【請求項12】
前記付着工程において、複数のスペーサを含有する液を前記基板上に塗布することにより、前記液膜を基板上に付着させる請求項1〜9のいずれかに記載のスペーサ配置方法。
【請求項13】
前記遮光板配置工程では、前記遮光板を前記基板に対して対向配置させ、前記遮光板を介して前記基板に対して光を照射する請求項1〜12のいずれかに記載のスペーサ配置方法。
【請求項1】
複数のスペーサを含有する液膜を基板上に付着させる、又は、スペーサを含有する複数の液滴を基板上に付着させる付着工程と、
光を透過させる開口部及び前記光を透過させない遮光部を有する遮光板を介して前記基板に対して光を照射することにより、前記遮光板の開口部と対向するスペーサを前記基板に対して固着させる固着工程と、
前記基板の表面から未固着のスペーサを除去する未固着スペーサ除去工程と、
を備えるスペーサ配置方法。
【請求項2】
前記固着工程において赤外線を照射し、前記遮光板の開口部と対向するスペーサ周りの液体を乾燥させる請求項1に記載のスペーサ配置方法。
【請求項3】
前記スペーサの表面が樹脂により形成されている、又は、前記スペーサの表面に前記基板と結合可能な官能基が結合されている請求項2に記載のスペーサの配置方法。
【請求項4】
前記付着工程において、前記スペーサの表面が可視光線又は紫外線の照射により硬化する樹脂により形成されており、
前記固着工程では、前記スペーサ周りの液体を乾燥させた後に、前記遮光板を介して前記基板に対してさらに可視光線又は紫外線を照射する請求項2に記載のスペーサの配置方法。
【請求項5】
前記付着工程において、前記スペーサの表面は前記光の照射により硬化する樹脂により形成され、
前記固着工程において前記光を照射する際に、前記スペーサは前記基板の表面と接触している請求項1に記載のスペーサ配置方法。
【請求項6】
前記樹脂は紫外線の照射により硬化する樹脂であり、前記固着工程では紫外線を照射する請求項5に記載のスペーサ配置方法。
【請求項7】
前記固着工程において、前記遮光板を介して前記基板に対してさらに赤外線を照射し、前記遮光板の開口部と対向するスペーサ周りの液体を乾燥させる請求項5又は6に記載のスペーサ配置方法。
【請求項8】
前記未固着スペーサ除去工程を、前記基板の表面に液体を供給することにより行う請求項1〜7のいずれかに記載のスペーサの配置方法。
【請求項9】
前記供給する液体は、前記付着工程において用いられる液膜又は液滴を構成する液体と相溶する液体である請求項8に記載のスペーサの配置方法。
【請求項10】
前記付着工程において、所定のピッチで配置された複数の開口からそれぞれ前記スペーサを含有する液滴を吐出することにより、前記複数の液滴を前記基板に付着させる請求項1〜9のいずれかに記載のスペーサ配置方法。
【請求項11】
前記付着工程において、複数のスペーサを含有する液を噴霧することにより、前記液膜を基板上に付着させる、又は、前記複数の液滴を基板上に付着させる請求項1〜9のいずれかに記載のスペーサ配置方法。
【請求項12】
前記付着工程において、複数のスペーサを含有する液を前記基板上に塗布することにより、前記液膜を基板上に付着させる請求項1〜9のいずれかに記載のスペーサ配置方法。
【請求項13】
前記遮光板配置工程では、前記遮光板を前記基板に対して対向配置させ、前記遮光板を介して前記基板に対して光を照射する請求項1〜12のいずれかに記載のスペーサ配置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−114280(P2007−114280A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303046(P2005−303046)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]