説明

スペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法

【課題】インクジェット方式でカラーフィルタ基板の遮光膜上に直接スペーサ粒子を配置・形成する方式に比べ、より位置精度が高くスペーサ粒子数密度が制御されたスペーサ粒子の配置・形成方法を提供するものである。
【解決手段】カラーフィルタ基板と該カラーフィルタ基板の所定位置に対応する位置に凹部を形成した凹版とを準備する工程、スペーサ粒子を分散したスペーサインクをインクジェット方式により凹版の凹部に吐出する工程、吐出されたスペーサインクをプレ乾燥することにより分散溶媒の一部を揮発させ残存するスペーサインクを凹部に集合させる工程、カラーフィルタ基板と凹版を位置合わせをした上で、凹部に残存するインクを前記カラーフィルタ上の所定の位置に転写する工程、残存インクの揮発成分を揮発させると共にスペーサ粒子をカラーフィルタ基板の所定位置に固着させる工程と、を有するスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット法及び凹版技術を援用し、転写法によってスペーサ粒子をカラーフィルタ基板の遮光部上に選択的に配置・固着する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶ディスプレイは、パソコン、携帯電子機器等に広く用いられている。この液晶ディスプレイにおいて対向する基板間隙を一定の間隔に保ち、適正な液晶層の厚みを維持する役割を果たすのがスペーサである。
【0003】
従来の液晶ディスプレイの製造方法においては、画素電極が形成された基板上にスペーサを散布している。したがって、該スペーサの位置制御は不可能であってランダムな配置となるため、ディスプレイ表示部の画素電極上にもスペーサが配置されてしまうという問題があった。スペーサは一般的に合成樹脂やガラス等からなり、画素電極上にスペーサが配置されると消偏作用によりスペーサ部分が光り漏れを起こす。また、スペーサ近傍で液晶の配向が乱れることによっても光り漏れが起こり、コントラストや色調が低下し表示品質が悪化する問題がある。
【0004】
このようなスペーサのランダムな分布に伴う問題を解決するために、スペーサを遮光層部位に配置することが必要であり、スペーサを特定の位置にのみ配置する方法としては、フォトリソ方式やインクジェット方式による形成方法が数多く提案されている。
【0005】
フォトリソ方式とは、カラーフィルタ基板における主流な製造方法であって、感光性レジストを基板上に全面塗布し、露光パターンを有するフォトマスクを介して露光し、その後現像することでカラーフィルタパターンを順次形成していく方法である。
【0006】
この方式はパターン精度や製造安定性に優れているため、数多くの特許出願がなされており、例えば特許文献1〜4においては、現像性の向上や寸法安定性の改善などに対応した感光性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、そもそもフォトリソ方式は、フォトマスクを介して露光し、その後不要な部分を現像除去することによりパターンを形成する方式であり、パターン形成部分が1%にも満たないスペーサ形成に対しては、材料のロスが非常に大きいというデメリットがある。
【0007】
一方、インクジェット方式とは、数十μm径の微小ノズルから所望の部位に必要な量のインクを付与することが可能な材料使用効率に優れた方法である。
【0008】
インクジェット方式は、精密ステージとの組み合わせで、所望のマイクロパターンを基材上に直接形成することが可能であり、近年、液晶関連技術への展開が盛んである。例えば、特許文献5〜7にはスペーサを所望の位置に直接形成する方法が開示されている。しかしながら、数ミクロンのスペーサ粒子を含む液滴を吐出するにはインクジェットノズル径が大きいものを選択しなければならず、基板上で形成される液滴径は50μm程度の大きさとなる。インクジェット印刷で精度良く、遮光膜上に液滴を着弾させたとしても、液滴中に含まれたスペーサ粒子の液乾燥後の位置が制御不能であるため、線幅が10μm程度と狭い遮光膜を備えるモバイル用液晶ディスプレイに対しては、遮光膜上だけに選択的にスペーサを配置することは、困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007-206328号公報
【特許文献2】特開2007-204588号公報
【特許文献3】特開2007-65640号公報
【特許文献4】特開2006-276496号公報
【特許文献5】特開2001-83524号公報
【特許文献6】特開2001-188235号公報
【特許文献7】特開平9-105946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、インクジェット方式でカラーフィルタ基板の遮光膜上に直接スペーサ粒子を配置・形成する方式に比べ、より位置精度が高くスペーサ粒子数密度が制御されたスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するための請求項1に記載の発明は、
カラーフィルタ基板とカラーフィルタ基板の所定位置に対応する位置に凹部を形成した凹版とを準備する工程と、
分散溶媒に、少なくとも、スペーサ粒子を分散したスペーサインクをインクジェット方式により前記凹版の凹部に吐出する工程と、
前記吐出されたスペーサインクをプレ乾燥することにより前記分散溶媒の一部を揮発させ残存するスペーサインクを前記凹部に集合させる工程と、
前記カラーフィルタ基板と前記凹版を位置合わせをした上で、前記凹部に残存するインクを前記カラーフィルタ上の所定の位置に転写する工程と、
前記残存インクの揮発成分を揮発させると共に前記スペーサ粒子をカラーフィルタ基板の所定位置に固着させる工程と、
を有することを特徴とするスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、
前記スペーサインクは、前記分散溶媒が沸点150℃以上の有機溶剤を主成分とし、粒子径1〜10μmのスペーサ粒子を0.1〜10重量%含有し、23℃条件下での粘度が30cps以下で、表面張力が20〜50mN/mの範囲である、ことを特徴とする請求項1記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、
前記プレ乾燥工程において、プレ乾燥後のインクの体積は凹部容積の1.0〜3.0倍の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記スペーサインクは接着成分を含み、前記接着成分は熱硬化/またはエネルギー線硬化/または紫外線硬化することを特徴とする請求項1から請求項3の記載のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記凹版の版深が前記スペーサ粒子の粒子径以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【0016】
請求項6に記載の発明は、
前記凹版の凹部の寸法が前記カラーフィルタ基板の遮光膜幅の30〜100%の範囲であ
ることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【0017】
請求項7に記載の発明は、
前記凹版表面は、前記分散溶媒の接触角が100°以上となるように表面処理が施されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【0018】
請求項8に記載の発明は、
前記凹版がガラス基板からなることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【0019】
請求項9に記載の発明は、
前記転写工程において、凹版、もしくはカラーフィルタ基板の少なくとも一方に熱を付与することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【0020】
請求項10に記載の発明は、
前記カラーフィルタ基板の所定位置に配置されたスペーサ粒子の数密度が1000〜50000個/cmの範囲であるあることを特徴とする請求項1から請求項9の記載のいずれか1項にスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【0021】
請求項11に記載の発明は、前記カラーフィルタ基板は、
ロール状のフレキシブル基材上にカラーフィルタをロールの延長方向に面付したものであって、前記カラーフィルタ基板を間欠に繰り出しながら、カラーフィルタごとにプレ乾燥後の前記凹版と位置合わせをした上で、凹部に残存するインクを前記カラーフィルタの所定位置に転写すること特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は以上の特徴を持つことから、下記に示す効果がある。
【0023】
請求項1に係る発明によれば、位置精度が高く形成された凹版の凹部にスペーサ粒子を、乾燥過程を利用して、自己組織的に集合させてから後、カラーフィルタ基板側に転写する方式をとったことで、スペーサ粒子を遮光膜上という所定の位置へ、所定の密度で高精度に配置することが可能となる。
【0024】
請求項2に係る発明によれば、かかるスペーサインク組成とすることで、一般的なピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いた場合においても、正確で安定した吐出を行うことが可能であると共に、プレ乾燥で低沸点溶媒が揮発して高沸点成分が残存するように揮発が進行することから、スペーサ微粒子及び高沸点溶媒とその可溶物を凹部内に集合させることが可能となる。
【0025】
請求項3に係る発明によれば、プレ乾燥工程において、プレ乾燥後のスペーサインクの体積が凹版パターン容積の1.0〜3.0倍であると、凹部パターンを含む広域に着弾したスペーサインクを乾燥過程で容易に凹部内に集合させることが可能である。体積が3倍を超えると集合しにくくなり、スペーサ粒子が凹部内に収まらず、周囲に残ることになる。
さらにこのようにしておくことで、転写工程で、スペーサ粒子の基板への転写性、固着性が高まるという意義がある。
【0026】
請求項4に係る発明によれば、スペーサインク中に接着成分を含む組成とすることで、これらが熱硬化/またはエネルギー線硬化/または紫外線硬化することにより、スペーサ粒子を遮光膜上部に固定することが可能となる。したがって、カラーフィルタ基板上に転写されたスペーサ粒子が後工程やパネル形成後にあっても脱離したり移動することがない。
【0027】
請求項5に係る発明によれば、凹版に形成された凹部パターンを含む広域に着弾したスペーサインクを、プレ乾燥過程で作用する自己集合現象を利用して凹部に集合させた後転写する場合、凹版の版深がスペーサ粒子径以下であるとカラーフィルタ基板側へのスペーサ粒子の転写性を高めることが可能となる。
【0028】
請求項6に係る発明によれば、凹版凹部の開口部の寸法がカラーフィルタ上の遮光膜幅の30〜100%の範囲にあることで、カラーフィルタ上の遮光パターン上に精度よくスペーサ粒子を設置することが可能となる。
【0029】
請求項7に係る発明によれば、かかる表面特性を付与することで、着弾したスペーサインクが乾燥する過程で、インク液膜端面がスペーサ粒子の移動を促すことにより、凹版上に設けられた凹部パターン中への自己組織化現象を効果的に誘導することが可能となる。
【0030】
請求項8および請求項9に係る発明によれば、スペーサ粒子の転写工程で凹版側もしくはカラーフィルタ基板側の少なくとも一方に熱や圧力を加えることが可能で、その場合においても基板の収縮・膨張などによる位置ズレを少なくすることが可能となる。また、スペーサ粒子の転写性を高めることが可能となる。
【0031】
請求項10に係る発明によれば、スペーサ粒子数密度をかかる範囲に設定することにより、パネル化によるセル厚の不均一が起こりにくく、パネル化工程での配向膜や液晶の塗布の際に障害となることがない。
【0032】
請求項11に係る発明によれば、フレキシブル基材を用いたロールツーロール方式とすることで、フォトリソ方式などによるスペーサ形成と比較し安価で、セルギャップにムラの無いカラーフィルタ基板の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明になるスペーサ形成の概念を模式的に説明する工程図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
【0035】
本発明になる、カラーフィルタ基板上の所定位置(好ましくは遮光膜上)にスペーサを配置する方法は、まず、スペーサを分散溶媒中に分散したスペーサインク(以下、簡単のためインクとも記す)をインクジェット方式で、凹パターンを形成した凹版の当該凹部に、選択的に吐出することからなる。これによりカラーフィルタ上の平坦部に直接吐出するのに比べて、凹部にインクを吐出した場合は、インクは凹部内に先ず貯留され残りがその近傍と極めて限定された範囲に収まることになり、位置精度も基本的には凹版に予め形成した凹部の精度で決まることになる。
カラーフィルタ上に直接吐出した場合は、着弾精度は優れていても堰き止める壁がないので液滴がある程度の範囲に広がり、乾燥過程でスペーサを一定位置に留めておくのが困難である。
【0036】
次の主要な点は、インクをプレ乾燥することで、凹部外のスペーサインクを凹部内へスペーサ粒子と高沸点溶媒他と共に自己組織的に集合させるという点にある。この現象は、スペーサインクの揮発成分の放散に対応して、滴下インクの外周が内側に移動してきて最終的には凹部に引き込まれるが、その際スペーサ粒子も同時に内側に寄ってくるからで、これを本発明では自己組織化、自己組織的とも呼んでいる。
滴下後の液滴の拡がりが凹部を覆う程度の範囲に限定されていれば、多少の位置ズレがあっても、その乾燥過程でスペーサは物理的に凹部へ自己組織化的に集合させることができるということである。
【0037】
さらに別の主要な点は、プレ乾燥においては、完全に溶媒を揮発させずスペーサ粒子以外のインク成分も一部凹部内に残存させることである。残存成分があることで、スペーサ粒子がバラバラな粒とならずインクとしての一体性が維持されるので、その後のカラーフィルター上への転写性が向上する。すなわち、この過程で完全に乾燥させてしまうと転写性が著しく低下するため、スペーサ粒子を高密度且つ所定密度で配置することが困難となる。
【0038】
次に、カラーフィルタ側および凹版側のアライメントマークにより双方の位置合わせを行い、カラーフィルタ上の所定位置にスペーサを残存成分とともに転写する。カラーフィルタ側および凹版側の複数のアライメントマークにより位置合わせを行うことで、スペーサを精度良く所望の位置に配置することができ、また、スペーサ粒子と共に残存成分を含ませることで安定した転写が可能である。
【0039】
次に、熱処理によりスペーサ粒子を基板に固着させると共に、残存している成分中に含まれる揮発可能な成分を揮発させるか、またはエネルギー線もしくは紫外線照射によりスペーサ粒子周囲の硬化成分を反応させてスペーサ粒子を基板に固着させるのが好ましい。硬化処理を行わなければ、転写後のスペーサ粒子は任意に動くため、表示品質の優れたディスプレイを形成することは困難となる。
【0040】
本発明に係るスペーサインクに用いるスペーサ粒子を分散させる分散溶媒としての有機溶剤としては沸点150℃以上、好ましくは180℃以上のものが用いられ、1種または2種以上を混合して用いることができる。沸点が150℃以下であるとインクジェットノズル近傍での乾燥性が著しく高くなり、ノズル詰まりの原因となるため好ましくない。
【0041】
有機溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、2,2‘−チオジエタノール等の高沸点低揮発性の多価アルコール類が用いられ、その他にN−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等の有機溶剤を添加することが出来る。
【0042】
また、本発明における沸点150℃以上の有機溶剤の添加量は50〜90%であることが好ましい。添加量が50%以下であるととスペーサインクの揮発性が高くなり、インク安定性を低下させ、また、90%以上であるとスペーサインクの粘度が上昇し、インクジェット吐出時の吐出不良の原因となるため好ましくない。
【0043】
本発明のスペーサインクに用いるスペーサ粒子としては、液晶表示装置のギャップとして好ましい範囲の粒子径1〜10μmの球状粒子を、1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0044】
スペーサ粒子の材質としては特に限定されず、例えば、樹脂、有機物、無機物、これらの化合物や混合物等が挙げられる。上記樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール等の線状又は架橋高分子重合体;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアヌレート重合体等の架橋構造を有する樹脂等が挙げられる。また、無機物としてはシリカ等が挙げられる。
【0045】
本発明のスペーサインク中におけるスペーサの固形分濃度は、特に限定されないが、例えばインク液全体の0.1〜10%であることが好ましい。
【0046】
スペーサインクにおけるスペーサ粒子の固形分濃度が0.1%未満であると、吐出された液滴中にスペーサ粒子が含まれなくなり易く、カラーフィルタ基板上のスペーサ粒子密度が低下し、また10%を超えると、スペーサ粒子同士が集合し、インクジェットヘッドのノズルが詰まりったり、また、吐出された液滴中のスペーサの含有量が過剰となり易くなる傾向があるため好ましくない。
【0047】
本発明のスペーサインク中の接着樹脂成分の例としては、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル、ポリエチルアクリル酸エステル、スチレンーブタジエン共重合体、ブタジエン共重合体、アクリロニトリルーブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、ベンゾグアナミン樹脂、フエノール樹脂、ポリオレフィン樹脂、セルロース、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、スチレン−アクリルアミド共重合体、n−イソブチルアクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリルアミド、シリコーン樹脂、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ロジン系樹脂、ポリエチレン、ポリカーボネート、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0048】
上記樹脂成分にアクリル基、カルボキシル基、イソシアネート基などの反応性部位を付与したもの、更にはこれらに必要に応じて架橋剤、光開始剤などを添加したものを硬化型樹脂として使用できる。これらは熱硬化、エネルギー線硬化、または紫外線硬化が可能であり、プロセスに応じ、適宜選択することができる。
【0049】
また、本発明における接着樹脂成分の添加量はスペーサ粒子の添加量に準じて0.2〜20%であり、且つスペーサ粒子と同量以上であることが好ましい。添加量が0.2%以下であるとカラーフィルタ基板上での密着性が乏しくなり、また、20%以上であるとスペーサインクの粘度が著しく上昇し、インクヘッドがノズル詰まりを起こすため好ましくない。
【0050】
また、必要に応じ、カラーフィルタ基板およびインクジェットヘッドとスペーサインクとの濡れ性を制御する目的でアルコール類や界面活性剤を用いられ、1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0051】
アルコール類としてはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール
、i−プロピルアルコール等が使用でき、界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性、ノニオン性の界面活性剤を一種類または複数種を添加できる。
【0052】
本発明におけるペーサーインクは、スペーサ粒子が単粒子状に分散していることが好ましく、その効果を阻害しない範囲で、各種添加剤、例えば、粘接着性付与剤、粘性調整剤、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤が添加されていても良い。
【0053】
本発明におけるスペーサインクは、23℃条件下での粘度が30cps以下、表面張力が20〜50mN/mであることが好ましく、この範囲外の物性であるとインクジェットヘッドに対する吐出適性が著しく低下するため好ましくない。
【0054】
本発明における凹版の材質としては、ソーダガラスや無アルカリガラス等のガラス基材やプラスチック等の基材を加工し用いることが可能である。さらに光透過性の基材を用いることにより、パターンの重ね合わせ時にアライメントを容易とすることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ナイロン、アラミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースなどのフィルム、シートを用いることができるが、寸法安定性の点からガラス基材が好ましい。
【0055】
本発明における凹版のパターン加工方法としては、版材表面に感光性樹脂を塗布し、マスクを介した露光処理によりパターン形成、現像処理後、既存のドライエッチング処理やウエットエッチング処理、もしくはサンドブラスト処理を用いて、使用するスペーサの粒子径や設置密度に応じた版深に加工した後、該感光性樹脂を剥離して形成する方法を用いることができる。
【0056】
また、同じく凹版のパターン加工方法としては、版材表面に感光性樹脂を使用するスペーサの粒子径や設置密度に応じた厚みで塗布し、マスクを介した露光処理によりパターン形成、現像処理する方法を用いることができる。
【0057】
また、凹版の版深は、使用するスペーサの粒子径以下の版深とし、設置密度により0.1〜10μmに設けるのが好ましい。版深が0.1μm以下では、スペーサを凹部へ集合させるのが困難となる。また、スペーサ粒子以上の版深であると版内への粒子の残存が著しく増加して転写量が低下するため好ましくない。
【0058】
また、凹版のパターン径は、相応するカラーフィルタ上の遮光膜幅の30〜100%であることが好ましい。30%以下では総じて複数個含まれるスペーサ粒子をすべて版内に収めるのが困難になるため、転写性が損なわれる恐れがあり、また、100%以上では遮光膜外の表示部にスペーサが転写される恐れがあるため好ましくない。
【0059】
凹版上に設ける表面処理層には、シリコーンオイル、シリコーンワニスで代表される離型剤を用いても良いし、あるいはシリコーンゴムを薄く設けてもをよい。また同じ目的でフッ素系樹脂、フッ素系ゴムも利用され得るし、フッ素樹脂微粉末をシリコーンゴムあるいは、普通のゴムに混ぜて剥離性を出すなどの使い方をしてもよい。
【0060】
具体的なシリコーンとしては、ジメチルポリシロキサンの各種分子量のもの、その他メチルハイドロジエンポリシロキサン、メチルフェニルシリコーンオイル、メチル塩素化フェニルシリコーンオイル、あるいはこれらポリシロキサンと有機化合物との共重合体など、変成したものを用いることができる。シリコーンゴムとしては、二液型のジオルガノポリシロキサンと架橋剤としての三官能性以上のシラン、またはシロキサン及び硬化触媒を
組み合わせたもの、あるいは一液型ではジオルガノポリシロキサンとアセトンオキシム、各種メトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等の組み合わせなどが用いられ、その他ゴム硬度を調節するためのポリシロキサンが適宜用いられる。
【0061】
上記に示した凹版上に設ける表面処理層を形成する方法としては、インクの粘度や溶媒の乾燥性によって公知の塗工方法を用いることができる。例えば、スピンコート、ディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等が挙げられる。中でも、ダイコート、キャップコート、ロールコート、アプリケータは、広い範囲の粘度のインクについて均一なインク液膜を形成することができる。
【0062】
凹版上に設ける表面処理層の膜厚は、凹版表面におけるスペーサインクの分散溶媒の接触角が100°以上となる機能を発現し、且つ版深に影響のない範囲の膜厚で良く、0.05〜5μmに設けるのが好ましい。0.05μm以下では、スペーサインクの分散溶媒の接触角100°以上を確保するのが困難であり、5μm以上では、版深に影響し、転写性を低下させる恐れがあるため好ましくない。また、スペーサインクの分散溶媒の接触角が100°未満であると凹版内へのスペーサインクの集合性を安定して発現するのが困難となり好ましくない。
【0063】
上記凹版内に残存させるスペーサ以外の成分の体積は凹版パターン容積の1.0〜3.0倍であることが好ましい。1.0倍以下であると版内への残存が著しく高くなり、基板への転写性が低下するため好ましくない。また、3.0倍以上であると転写時に凹部パターン外部への流出が起こり、位置精度が著しく低くなるため好ましくない。
【0064】
本発明ではスペーサ粒子をインクジェット方式で凹版上の所定位置に配置する。インクジェット方式は、インク滴の生成原理により、連続ジェット(コンティヌアス)方式とドロップ・オン・デマンド方式の2方式に分類される。本発明では、いずれの方式も好ましく採用できる。
【0065】
連続ジェット方式は、インク滴を連続して生成させ、記録信号に応じてインク滴を選択して記録を行う方式であり、Sweet型、マイクロドット型、Herz型、IRIS型などがある。また、ドロップ・オン・デマンド方式は、記録信号に応じてスペーサ分散液を噴出させる方式であり、圧力パルス方式、サーマルジェット方式、ERF方式などがある。
【0066】
また必要に応じ、スペーサを形成するカラーフィルタ基板をスペーサインクとの濡れ性を制御し、転写性能を向上させる目的で表面処理を施してもよい。表面処理の方法としては、コロナ処理、常圧プラズマ処理、UVオゾン処理など任意の方法が選択できる。
【0067】
また必要に応じ、凹版からカラーフィルタ基板への転写処理を行う際に、凹版側、もしくはカラーフィルタ基板側の少なくとも一方に熱を付与することで、転写性能を向上させることが可能である。
【0068】
基板上におけるスペーサ粒子の配置は、特に限定されるものではなく、ランダム配置であっても良いし、特定の位置にパターン化して配置したパターン配置であってもよい。スペーサ粒子に起因する光抜けなどの表示品質の低下を抑制するという観点からは、パネルの非表示部分にスペーサ粒子を配置することが好ましい。また、基板上におけるスペーサの粒子密度は、特に限定されるものではないが、通常1cm平方の領域に1000〜50000個であることが好ましい。1000個未満では、一定のギャップを保持するのが困難となり、また、50000個以上では表示エリアへ影響を及ぼす恐れがあるため好まし
くない。
【0069】
本発明の応用展開として、フレキシブル基材上に連続で形成したカラーフィルタ基版をロール状に供給し、間欠に繰り出しながら連続的にスペーサを転写形成することが可能である。
【0070】
本発明の対象となる基板としては、スペーサ粒子を配置する用途に用いられ、各種表示素子やタッチスイッチ等に使用可能であるが、特に液晶ディスプレイに好適である。この基板は、特に限定されるものではなく、ガラス板や樹脂板等の一般的に液晶ディスプレイとして用いられているものであってよい。
【0071】
液晶ディスプレイは2枚の基板を重ね合わせて形成される。このため、通常は一方の基板に本発明のスペーサが間接基板を介した転写工程にて配置される。そして他方の基板と重ね合わせて液晶表示素子を作製する。スペーサを吐出する基板は、位置合わせの点からは、遮光部を有するカラーフィルタ基板とすることが好ましい。
【実施例】
【0072】
以下、本発明を更に詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0073】
〜スペーサインクの調製〜
エチレングリコール/グリセリン/イソプロピルアルコール/水=70/5/5/20(重量比)の混合溶媒に平均粒径6μmの接着性スペーサ粒子(ナトコ社製XC−610)を1.5重量%で混合、超音波分散させ、目開き50μmのステンレスメッシュで濾過し、スペーサインクを得た。得られた分散液の粘度は9.4mPa・s(23℃)であった。
【0074】
〜ガラス凹版の作成〜
無アルカリガラス(コーニング社、1737ガラス、300mm角、1.1mm厚)にポジ型レジスト(シプレイ製、S1813)をスピンコート法で塗布し、遮光部幅10〜30μmの種々の解像度パターンを有するカラーフィルタ基板の遮光部上に配置できるように凹部サイズが10〜30μmφのパターンをデザインしたマスクを介して露光し、アルカリ現像液(シプレイ製、MFCD−26)で現像処理を行うことでパターンを形成した。このパターンの開口部分をフッ酸により、版深1.0μmとなるようにエッチング処理をし、レジスト剥膜剤(シプレイ製、リムーバ1165)により、レジストを剥膜してガラス凹版を得た。このガラス凹版上にフッ素系撥水処理剤(3M製、EGC−1720)をディップコーティング、80℃で30分間乾燥処理することにより表面処理層を設けた。
【0075】
〜カラーフィルタ基板上へのスペーサ形成〜
吐出量40plのピエゾ式インクジェットヘッド、およびアライメント機構を有する精密ステージを搭載したインクジェット印刷装置に、上記スペーサインクを真空脱泡処理した後、充填し、上記ガラス凹版のアライメントを行った後、パターンに相当する位置にスペーサインク液滴を定点配置し、80℃のホットプレート上で5分間乾燥を行った。この版を上下基板のアライメント機構を有する転写装置に搭載し、カラーフィルタ基板、ガラス凹版の位置合わせを行った後、転写ローラーにより転写処理を行った。このスペーサを形成したカラーフィルタ基板を180℃で30分間硬化処理を行い、スペーサ付カラーフィルタ基板を得た。
【実施例2】
【0076】
実施例1のスペーサインクの調製を下記の通り実施した以外は実施例1と同様の方法で行った。
【0077】
〜スペーサインクの調製〜
エチレングリコール/グリセリン/イソプロピルアルコール/水=70/5/5/20(重量比)の混合溶媒に平均粒径6μmの接着性スペーサ粒子(ナトコ社製XC−610)を3重量%で混合、超音波分散させ、目開き50μmのステンレスメッシュで濾過し、スペーサインクを得た。得られた分散液の粘度は11.6mPa・s(23℃)であった。
【実施例3】
【0078】
実施例1のガラス凹版の作成を下記の通り実施した以外は実施例1と同様の方法で行った。
【0079】
〜ガラス凹版の作成〜
無アルカリガラス(コーニング社、1737ガラス、300mm角、1.1mm厚)にポジ型レジスト(シプレイ製、S1813)をスピンコート法で塗布し、遮光部幅10〜30μmの種々の解像度パターンを有するカラーフィルタ基板の遮光部上に配置できるように凹部サイズが10〜30μmφのパターンをデザインしたマスクを介して露光し、アルカリ現像液(シプレイ製、MFCD−26)で現像処理を行うことでパターンを形成した。このパターンの開口部分をフッ酸により、版深2.0μmとなるようにエッチング処理をし、レジスト剥膜剤(シプレイ製、リムーバ1165)により、レジストを剥膜してガラス凹版を得た。このガラス凹版上にフッ素系撥水処理剤(3M製、EGC−1720)をディップコーティング、80℃で30分間乾燥処理することにより表面処理層を設けた。
【実施例4】
【0080】
実施例2のガラス凹版の作成を下記の通り実施した以外は実施例2と同様の方法で行った。
【0081】
〜ガラス凹版の作成〜
無アルカリガラス(コーニング社、1737ガラス、300mm角、1.1mm厚)にポジ型レジスト(シプレイ製、S1813)をスピンコート法で塗布し、遮光部幅10〜30μmの種々の解像度パターンを有するカラーフィルタ基板の遮光部上に配置できるように凹部サイズが10〜30μmφのパターンをデザインしたマスクを介して露光し、アルカリ現像液(シプレイ製、MFCD−26)で現像処理を行うことでパターンを形成した。このパターンの開口部分をフッ酸により、版深2.0μmとなるようにエッチング処理をし、レジスト剥膜剤(シプレイ製、リムーバ1165)により、レジストを剥膜してガラス凹版を得た。このガラス凹版上にフッ素系撥水処理剤(3M製、EGC−1720)をディップコーティング、80℃で30分間乾燥処理することにより表面処理層を設けた。
【実施例5】
【0082】
実施例1のスペーサインクの調製を下記の通り実施した以外は実施例1と同様の方法で行った。
【0083】
〜スペーサインクの調製〜
エチレングリコール/グリセリン/イソプロピルアルコール/水=70/10/5/15(重量比)の混合溶媒に平均粒径6μmの接着性スペーサ粒子(ナトコ社製XC−610)を1.5重量%で混合、超音波分散させ、目開き50μmのステンレスメッシュで濾過
し、スペーサインクを得た。得られた分散液の粘度は12.4mPa・s(23℃)であった。
【実施例6】
【0084】
実施例5のスペーサインクの調製を下記の通り実施した以外は実施例5と同様の方法で行った。
【0085】
〜スペーサインクの調製〜
エチレングリコール/グリセリン/イソプロピルアルコール/水=70/10/5/15(重量比)の混合溶媒に平均粒径6μmの接着性スペーサ粒子(ナトコ社製XC−610)を3重量%で混合、超音波分散させ、目開き50μmのステンレスメッシュで濾過し、スペーサインクを得た。得られた分散液の粘度は13.1mPa・s(23℃)であった。
【実施例7】
【0086】
実施例5のガラス凹版の作成を下記の通り実施した以外は実施例5と同様の方法で行った。
【0087】
〜ガラス凹版の作成〜
無アルカリガラス(コーニング社、1737ガラス、300mm角、1.1mm厚)にポジ型レジスト(シプレイ製、S1813)をスピンコート法で塗布し、遮光部幅10〜30μmの種々の解像度パターンを有するカラーフィルタ基板の遮光部上に配置できるように凹部サイズが10〜30μmφのパターンをデザインしたマスクを介して露光し、アルカリ現像液(シプレイ製、MFCD−26)で現像処理を行うことでパターンを形成した。このパターンの開口部分をフッ酸により、版深2.0μmとなるようにエッチング処理をし、レジスト剥膜剤(シプレイ製、リムーバ1165)により、レジストを剥膜してガラス凹版を得た。このガラス凹版上にフッ素系撥水処理剤(3M製、EGC−1720)をディップコーティング、80℃で30分間乾燥処理することにより表面処理層を設けた。
【実施例8】
【0088】
実施例6のガラス凹版の作成を下記の通り実施した以外は実施例6と同様の方法で行った。
【0089】
〜ガラス凹版の作成〜
無アルカリガラス(コーニング社、1737ガラス、300mm角、1.1mm厚)にポジ型レジスト(シプレイ製、S1813)をスピンコート法で塗布し、遮光部幅10〜30μmの種々の解像度パターンを有するカラーフィルタ基板の遮光部上に配置できるように凹部サイズが10〜30μmφのパターンをデザインしたマスクを介して露光し、アルカリ現像液(シプレイ製、MFCD−26)で現像処理を行うことでパターンを形成した。このパターンの開口部分をフッ酸により、版深2.0μmとなるようにエッチング処理をし、レジスト剥膜剤(シプレイ製、リムーバ1165)により、レジストを剥膜してガラス凹版を得た。このガラス凹版上にフッ素系撥水処理剤(3M製、EGC−1720)をディップコーティング、80℃で30分間乾燥処理することにより表面処理層を設けた。
【0090】
<比較例1>
実施例1のガラス凹版の作成を下記の通り実施した以外は実施例1と同様の方法で行った。
【0091】
〜ガラス凹版の作成〜
無アルカリガラス(コーニング社、1737ガラス、300mm角、1.1mm厚)にポジ型レジスト(シプレイ製、S1813)をスピンコート法で塗布し、遮光部幅10〜30μmの種々の解像度パターンを有するカラーフィルタ基板の遮光部上に配置できるように凹部サイズが10〜30μmφのパターンをデザインしたマスクを介して露光し、アルカリ現像液(シプレイ製、MFCD−26)で現像処理を行うことでパターンを形成した。このパターンの開口部分をフッ酸により、版深6.0μmとなるようにエッチング処理をし、レジスト剥膜剤(シプレイ製、リムーバ1165)により、レジストを剥膜してガラス凹版を得た。このガラス凹版上にフッ素系撥水処理剤(3M製、EGC−1720)をディップコーティング、80℃で30分間乾燥処理することにより表面処理層を設けた。
【0092】
<比較例2>
実施例1のスペーサインクの調製を下記の通り実施した以外は実施例1と同様の方法で行った。
【0093】
〜スペーサインクの調製〜
エチレングリコール/グリセリン/イソプロピルアルコール/水=70/5/5/20(重量比)の混合溶媒に平均粒径6μmの接着性スペーサ粒子(ナトコ社製XC−610)を15重量%で混合、超音波分散させ、目開き50μmのステンレスメッシュで濾過し、スペーサインクを得た。得られた分散液の粘度は12.4mPa・s(23℃)であった。
【0094】
<比較例3>
実施例1のスペーサインクの調製を下記の通り実施した以外は実施例1と同様の方法で行った。
【0095】
〜スペーサインクの調製〜
エチレングリコール/グリセリン/イソプロピルアルコール/水=70/20/5/5(重量比)の混合溶媒に平均粒径6μmの接着性スペーサ粒子(ナトコ社製XC−610)を1.5重量%で混合、超音波分散させ、目開き50μmのステンレスメッシュで濾過し、スペーサインクを得た。得られた分散液の粘度は16.8mPa・s(23℃)であった。
【0096】
<比較例4>
実施例1のスペーサインクの調製を下記の通り実施した以外は実施例1と同様の方法で行った。
【0097】
〜スペーサインクの調製〜
エチレングリコール/グリセリン/イソプロピルアルコール/水=70/1/5/24(重量比)の混合溶媒に平均粒径6μmの接着性スペーサ粒子(ナトコ社製XC−610)を1.5重量%で混合、超音波分散させ、目開き50μmのステンレスメッシュで濾過し、スペーサインクを得た。得られた分散液の粘度は8.9mPa・s(23℃)であった。
【0098】
以上のようにして得られたスペーサ付カラーフィルタ基板を下記基準に基づいて評価した。
【0099】
〜インクジェットのインク吐出性〜
インクジェットヘッドからの吐出性能を吐出ノズルをカウントして吐出率を算出し、下記
基準で評価した。
○;吐出率が90%以上
△;吐出率が50%以上、90%未満
×;吐出率が50%以下
【0100】
〜転写性〜
カラーフィルタ上へのスペーサの転写性を顕微鏡観察により規定範囲の転写ドットをカウントして転写率を算出し、下記基準で評価した。
○;転写率が90%以上
△;転写率が50%以上、90%未満
×;転写率が50%以下
【0101】
〜転写位置精度〜
カラーフィルタ内の遮光部(幅10,20,30μm)上のスペーサ配置位置精度を顕微鏡観察によりスペーサ配置位置を確認して遮光部上の存在率を算出し、下記基準で評価した。
○;遮光部上の存在率が90%以上
△;遮光部上の存在率が50%以上、90%未満
×;遮光部上の存在率が50%以下
【0102】
〜固着性〜
形成したスペーサのカラーフィルタ基板上への固着性をエアブラシにより水を流体とした0.25MPa、30secの条件下のテスト前後のドット数を顕微鏡観察で確認し、固着率を算出し、下記基準に基づいて評価した。
○;固着率が90%以上
△;固着率が70%以上90%未満
×;固着率が70%未満
上記評価基準に基づく、実施例1〜8、比較例1〜4の評価結果一覧を下表1に示す。
【0103】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は微小な粒を一定位置に選択的に配置・形成する用途、例えば各種表示素子やタッチパネル等の数ミクロンのギャップで狭持することが必要な用途に使用可能であるが、特にガラス基材やフィルム基材を用いた液晶ディスプレイのスペーサ形成に利用可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 インクジェットヘッド
2 ノズル
3 スペーサインク
4 スペーサ粒子
5 凹版
6 高沸点溶剤が残存したスペーサインク
7 カラーフィルタ基板
8 赤色画素
9 緑色画素
10 青色画素
11 遮光膜
12 透明導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルタ基板とカラーフィルタ基板の所定位置に対応する位置に凹部を形成した凹版とを準備する工程と、
分散溶媒に、少なくとも、スペーサ粒子を分散したスペーサインクをインクジェット方式により前記凹版の凹部に吐出する工程と、
前記吐出されたスペーサインクをプレ乾燥することにより前記分散溶媒の一部を揮発させ残存するスペーサインクを前記凹部に集合させる工程と、
前記カラーフィルタ基板と前記凹版を位置合わせをした上で、前記凹部に残存するインクを前記カラーフィルタ上の所定の位置に転写する工程と、
前記残存インクの揮発成分を揮発させると共に前記スペーサ粒子をカラーフィルタ基板の所定位置に固着させる工程と、
を有することを特徴とするスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項2】
前記スペーサインクは、前記分散溶媒が沸点150℃以上の有機溶剤を主成分とし、粒子径1〜10μmのスペーサ粒子を0.1〜10重量%含有し、23℃条件下での粘度が30cps以下で、表面張力が20〜50mN/mの範囲である、ことを特徴とする請求項1記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項3】
前記プレ乾燥工程において、プレ乾燥後のインクの体積は凹部容積の1.0〜3.0倍の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項4】
前記スペーサインクは接着成分を含み、前記接着成分は熱硬化/またはエネルギー線硬化/または紫外線硬化することを特徴とする請求項1から請求項3の記載のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項5】
前記凹版の版深が前記スペーサ粒子の粒子径以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項6】
前記凹版の凹部の幅が前記カラーフィルタ基板の遮光膜幅の30〜100%の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項5の記載のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項7】
前記凹版表面は、前記分散溶媒の接触角が100°以上となるように表面処理が施されていることを特徴とする請求項1から請求項6の記載のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項8】
前記凹版がガラス基板からなることを特徴とする請求項1から請求項7の記載のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項9】
前記転写工程において、凹版、もしくはカラーフィルタ基板の少なくとも一方に熱を付与することを特徴とする請求項1から請求項8の記載のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項10】
前記カラーフィルタ基板の所定位置に配置されたスペーサ粒子の数密度が1000〜50000個/cmの範囲であるあることを特徴とする請求項1から請求項9の記載のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項11】
前記カラーフィルタ基板は、
ロール状のフレキシブル基材上にカラーフィルタをロールの延長方向に面付したものであって、前記カラーフィルタ基板を間欠に繰り出しながら、カラーフィルタごとにプレ乾燥後の前記凹版と位置合わせをした上で、凹部に残存するインクを前記カラーフィルタの所定位置に転写すること特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のスペーサ付カラーフィルタ基板の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−2549(P2011−2549A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144079(P2009−144079)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】