説明

スポーツ競技におけるスタート標示灯システム

【課題】観戦者が出場選手と反射神経の俊敏さを競いたいとの潜在的願望が満たされていない従来スポーツ競技の問題点を解決すること。
【解決手段】スポーツ競技開始の合図となるスタート合図標示灯とそれに反応してスタート動作を起こす出場選手達のスタート動作に連動して点灯するスタート動作標示灯とを観戦者が同一画像内に写真撮影できるよう設置することにより、観戦者が自らスタート合図標示灯に反応しシャッターボタンを押下して撮影した写真画像のスタート合図標示灯とスタート動作標示灯の点滅状態で自分の反射神経の俊敏さを出場選手達と比較できるようにして、この課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ競技におけるスタート標示灯に関するものであり、スタート合図に反応して出場選手達がスタート動作を起こすまでの所要時間を可視化す工夫を加えることにより、観戦者が出場選手達と反射神経の俊敏さを競えるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、スポーツ競技における出場選手のスタート動作の速さは競技の勝敗を左右する重要な要素になっており、出場選手は持ち前の鋭敏な反射神経を互いに競い合い、競技観戦者は固唾を呑んでスタート合図標示灯が点灯する一瞬を注目している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スポーツ競技の観戦者の一部は、競技を観戦するだけでなく、自分の競技能力を出場選手のそれと比較したいとの願望を潜在的に持っている。例えば、自動車レースのように、コース上に整列した競争用車両がスタート合図標示灯の点灯とともに一斉に発進するスタート場面において、観戦者もレース出場ドライバーと同一条件でスタート合図から発進クラッチを操作するまでの反応動作の速さを競うことが出来れば、観戦者の楽しみが倍加するのであるが、そのような機会は現在までのところ提供されていない。本発明は、このような、競技観戦者が出場選手と反射神経の俊敏さを競いたいとの潜在的願望が満たされていない従来スポーツ競技の問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するための請求項1の発明は、競技開始の合図となるスタート合図標示灯とそれに反応してスタート動作を起こす出場選手各々のスタート動作標示灯とを観戦者が同一画像内に写真撮影できるように配置することにより、観戦者はスタート合図標示灯に自ら反応してカメラのシャッターボタンを押下して撮影した写真画像に写しだされているスタート合図標示灯とスタート動作標示灯の点滅状態により自分のスタート合図反応動作の速さを出場選手達との比較で成績判定することが出来る。
スタート合図標示灯が点灯してない写真画像の場合は、前記観戦者がフライング・スタートで反則だったということになる。スタート合図標示灯と全出場選手のスタート動作標示灯が点灯している写真画像の場合は、前記観戦者のスタート合図反応動作が何れの出場選手よりも遅かったということになる。前記観戦者の成績順位は、写真画像でスタート動作標示灯が点灯している出場選手と点灯していない出場選手との間ということになる。
スタート動作標示灯の構造は、追突事故防止のため制動操作を後続車に知らせるために従来の自動車に装着されている制動灯システムと同様の電気回路で構成することが出来る。すなわち、発進操作用のクラッチ・レバーまたはアクセル・ペダルの動きを検出するスイッチを設けて電源バッテリーを介して電気回路を組むことにより、出場選手のスタート動作に連動してスタート動作標示灯が点灯するようにできる。なお、スタート動作標示灯は、自動車の前照灯や後尾灯を兼用させても良いし、専用の補助灯を装着しても良い。
【0005】
また、請求項2の発明は、前記成績判定の精度を高める手段である。例えば、白熱灯をスタート動作標示灯に用いた場合には、電源スイッチを入れてから点灯するまでの応答時間に約0.2秒から0.25秒を要す。一方、自動車レースに出場する一流選手がスタート合図標示灯に反応してクラッチ・レバーを操作するまでの応答時間は、0.2秒から0.3秒の間に分布するとの測定結果がある。従って、白熱灯を用いるスタート動作標示灯では、選手のスタート合図反応動作が実際より約2倍の時間を要し点灯標示されることになる。観戦者が出場選手と反射神経を競う場合に、出場選手が不利な扱いになってしまい競技の公平性面で問題が生じる。この問題を解決するための手段として、電源スイッチを入れてから点灯するまでの応答時間が0.01秒以下の例えば発光ダイオード製の照明具をスタート動作標示灯に用いることで、観戦者と出場選手との競技の公平性を改善することが出来る。
【0006】
また、請求項4の発明は、スポーツ競技中継動画像を観戦する視聴者が、当該中継動画像を写真撮影した静止画像に写しだされているスタート合図標示灯とスタート動作標示灯の点滅状態により、自分のスタート合図反応動作の速さを出場選手達との比較で成績判定することが出来る。
【0007】
また、請求項6の発明は、前記成績判定の精度を高める手段である。自動車レースに出場する一流選手がスタート合図標示灯に反応してクラッチ・レバーを操作するまでの応答時間は0.2秒から0.3秒の間に分布するとの測定結果からして、この差の0.1秒間に全出場選手がスタート動作を行うことになる。一方、NTSC方式のテレビ放送画面は毎秒30フレームの動画像であり、0.1秒間に表示されるのは3画面である。この3画面の間に、前記自動車レースで一斉にスタートする選手数が例えば12名の場合には、1画面に平均4名以上の選手のスタート動作標示灯の点灯が見られ、成績判定の精度は3段階評価にとどまる。そこで、スポーツ競技中継動画像を毎秒100フレーム以上の速度で表示することで、前記0.1秒間に10画面すなわち10段階評価以上の成績判定精度を得ることが出来る。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、スポーツ競技の観戦者が、競技を観戦するだけの受動的な立場に甘んずることなく自分の競技能力を出場選手のそれと比較したいとの潜在的願望を満たし、スタート合図から反応動作を起こすまでの反射神経の俊敏さを競技出場選手と比較することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、競技開始を合図するスタート合図標示灯1およびコース上に整列してスタート合図を待つ競技車両の外観図である。競技車両上部に装着する灯火は、発進用のクラッチ・レバーまたはアクセル・ペダルを操作する動作に連動して点灯するスタート動作標示灯2〜7である。スタート合図標示灯1と全競技車両のスタート動作標示灯2〜7は、観客席から写真撮影して同一画像内に収まるように配置されている。すなわち、図1は、観客席からカメラのファインダーで見る競技スタート風景である。競技開始の合図となるスタート合図標示灯1が点灯するや否や、出場選手が発進用クラッチ・レバーを操作し全競技車両のスタート動作標示灯2〜7が次々と点灯していくが、それらのスタート合図標示灯1とスタート合図反応動作標示灯2〜7を撮影した写真画像に写る点滅状況により、観客は自らの反射神経の俊敏さを出場選手と比較することが出来る。
【0010】
図3は、スポーツ競技中継動画像を表示するテレビ受像機8の外観図である。画面中央には、競技開始を合図するスタート合図標示灯1およびコース上に整列してスタート合図を待つ競技車両が表示されている。画面上部には、スタート合図標示灯9と各競技車両のスタート動作信号灯10〜15がズームアップ表示されている。視聴者は、スタート合図標示灯1の点灯に反応してカメラのシャッターボタンを押下して撮影した中継画面の写真画像におけるスタート合図標示灯1と全競技車両のスタート動作標示灯2〜7の点滅状況により、自らの反射神経の俊敏さを出場選手と比較することが出来る。なお、画面上部にスタート合図標示灯9とスタート動作信号灯10〜15をズームアップ表示することは、映画や大画面テレビの場合には不要であるが、携帯電話端末のように表示画面が小さい場合においては灯火の点滅状態を判定するに必要な写真解像度を得るために有効である。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明に係るスポーツ競技におけるスタート標示灯システムは、スポーツ界がオリンピックやF1グランプリ・レースなどのように世界的規模での巨大イベント化に伴い急騰する運営経費を賄うべく入場券販売やテレビ放映権料などのビジネス開拓を進める商業主義化の道を歩んでいる中で、専用のゲーム機コントローラを使用せずともカメラやカメラ付き携帯電話端末さえ所持していれば全ての競技場観戦者および実況中継番組視聴者が参加できる反射神経ゲームという新たなエンターテインメントを提供することが可能であるため、産業上の利用可能性を有す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】スポーツ競技におけるスタート標示灯システムの外観図である。(観客席にいる観戦者が写真撮影する競技スタート風景)
【図2】スタート動作標示灯の外観図
【図3】スポーツ中継テレビ画面上に表示されるスタート標示灯システムの外観図である。(テレビ視聴者が写真撮影する競技スタート風景)
【符号の説明】
【0013】
1 スタート合図標示灯
2 競技車両1号車のスタート動作標示灯
3 競技車両2号車のスタート動作標示灯
4 競技車両3号車のスタート動作標示灯
5 競技車両4号車のスタート動作標示灯
6 競技車両5号車のスタート動作標示灯
7 競技車両6号車のスタート動作標示灯
8 スポーツ競技中継動画像を表示するテレビ受像機
9 スタート合図標示灯(ズームアップ映像)
10 競技車両1号車のスタート動作標示灯(ズームアップ映像)
11 競技車両2号車のスタート動作標示灯(ズームアップ映像)
12 競技車両3号車のスタート動作標示灯(ズームアップ映像)
13 競技車両4号車のスタート動作標示灯(ズームアップ映像)
14 競技車両5号車のスタート動作標示灯(ズームアップ映像)
15 競技車両6号車のスタート動作標示灯(ズームアップ映像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピード競争用車両に装着され選手の発進操作に連動して点灯するスタート動作標示灯と、競技開始の合図となるスタート合図標示灯とからなることを特徴とする、スポーツ競技におけるスタート標示灯システム。
【請求項2】
前記スタート動作標示灯に、電源スイッチを入れてから点灯するまでの応答時間が0.01秒以下の照明具を用いることを特徴とする、請求項1記載のスポーツ競技におけるスタート標示灯システム。
【請求項3】
前記スピード競争用車両が、自動車、オートバイ、ゴーカート、スノーモビルおよび無線操縦模型自動車であることを特徴とする、請求項1または2記載のスポーツ競技におけるスタート標示灯システム。
【請求項4】
スピード競争用車両に装着され選手の発進操作に連動して点灯するスタート動作標示灯と、競技開始の合図となるスタート合図標示灯とを同一画面内に表示するスポーツ競技中継動画像として視聴者に提供することを特徴とする、スポーツ競技におけるスタート標示灯システム。
【請求項5】
前記スポーツ競技中継動画像が、テレビ放送、インターネット動画ストリーミング、映画、およびビデオ・ゲームにより視聴者に提供されることを特徴とする、請求項4記載のスポーツ競技におけるスタート標示灯システム。
【請求項6】
請求項4記載の動画像を毎秒100フレーム以上の速度で表示するスポーツ競技中継画面を提供することを特徴とする、スポーツ競技におけるスタート標示灯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−6095(P2009−6095A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192604(P2007−192604)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【特許番号】特許第4161083号(P4161083)
【特許公報発行日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(507250173)株式会社ジェイ・エー・シー (1)
【Fターム(参考)】