説明

スライドテーブル付きリニアアクチュエータ

【課題】スライドテーブルの高さを抑制できるスライドテーブル付きリニアアクチュエータを提供する。
【解決手段】雄ネジ20によってピストンロッド17の先端に締め付け固定されているフローティング部材19は、円筒形状の小径部191と、第1大径部192と、第2大径部193とを備えている。第1大径部192の周縁は、ピストン16の移動方向に見て、ガイドブロック12に対するスライドテーブル13の載置方向(矢印Rの方向)と垂直な方向に平坦な平坦縁194,195を有する。第1大径部192は、ピストン16の移動方向Pに見て、ガイドブロック12に対するスライドテーブル13の載置方向(矢印Rの方向)の最大幅T(平坦縁194,195間の距離)が該載置方向Rと垂直な方向の最大幅Yよりも小さくなる形状に形成されている。ピストン16は、シリンダブロック11内で回動不能な偏平形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドテーブル付きのリニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを搬送するためのスライドテーブルを備えたリニアアクチュエータは、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示のリニアアクチュエータでは、ガイドブロックがシリンダ本体(シリンダブロック)上に載置されており、スライドテーブルがガイドブロック上にスライド可能に載置されている。シリンダ本体にスライド可能に収容されたロッドとスライドテーブルとは、エンドプレート及びフローティングブッシュ(フローティング部材)を介して連結されており、フローティングブッシュは、エンドプレートとピストンロッドとを連結している。ピストンロッドが往復動されると、スライドテーブルがピストンロッドの移動方向に往復動される。
【0003】
ピストンロッドの移動方向に見た場合のピストンの形状は、円形状であってシリンブロック内で回転可能であり、ピストンロッドの移動方向に見た場合のフローティングブッシュの形状も円形状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−61611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スライドテーブルの高さを低く抑えるには、エンドプレートとピストンロッドとを連結するフローティングブッシュの最大径を小さくすればよいが、円筒形状のフローティングブッシュは、フローティングブッシュの筒内に通した雄ネジを用いてピストンロッドの先端にねじ止めされるため、フローティングブッシュの最大径を小さくすることが困難である。つまり、エンドプレートとピストンロッドとを連結するフローティングブッシュの円形状は、スライドテーブルの高さを低く抑える際の妨げになる。
【0006】
本発明は、スライドテーブルの高さを抑制できるスライドテーブル付きのリニアアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、スライドテーブルがガイドブロックに対して流体圧シリンダのピストンロッドの移動方向と垂直な方向に載置されており、前記ピストンロッドと前記スライドテーブルとがエンドプレート及びフローティング部材を介して連結されており、前記フローティング部材は、前記エンドプレートと前記ピストンロッドとを連結しており、前記スライドテーブルが前記ピストンロッドの移動方向に往復動されるスライドテーブル付きリニアアクチュエータを対象とし、請求項1の発明では、前記移動方向に見た場合の前記フローティング部材の形状は、前記ガイドブロックに対する前記スライドテーブルの載置方向の最大幅が前記載置方向と垂直な方向の最大幅よりも小さくなるように形成されており、前記ピストンロッドを中心とする前記フローティング部材の回り止めを行なう回り止め手段が設けられている。
【0008】
回り止め手段によって回り止めを阻止されているフローティング部材の載置方向の最大幅が前記載置方向と垂直な方向の最大幅よりも小さいため、スライドテーブルの高さ(前記載置方向の高さ)を抑制することができる。
【0009】
好適な例では、前記回り止め手段は、前記流体圧シリンダのピストンと、前記ピストンを収容するシリンダブロックとを備え、前記移動方向に見た場合の前記ピストンの形状は、前記シリンダブロック内で回動不能な形状である。
【0010】
前記移動方向に見た場合のピストンの形状を前記載置方向に偏平な形状とすれば、シリンダブロックの高さも抑制することができる。
好適な例では、前記回り止め手段は、前記エンドプレートに形成された嵌め込み凹部と、前記嵌め込み凹部に嵌め込まれた前記フローティング部材とを備え、前記移動方向に見た場合の前記嵌め込み凹部の形状は、前記移動方向に見た場合の前記フローティング部材の形状と同形である。
【0011】
嵌め込み凹部の形状とフローティング部材の形状とを同形とした構成は、回り止め手段として簡便である。
好適な例では、前記流体圧シリンダと前記ガイドブロックとは、直列に連結されている。
【0012】
このような直列連結構造は、前記載置方向におけるリニアアクチュエータ全体の薄型化に有利である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスライドテーブル付きのリニアアクチュエータは、スライドテーブルの高さを抑制できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態を示す斜視図。
【図2】平断面図。
【図3】(a)は、図2のA−A線断面図。(b)は、図2のB−B線断面図。(c)は、図2のC−C線断面図。(d)は、図2のD−D線断面図。
【図4】第2の実施形態を示し、(a),(b)は、断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図1に示すように、偏平な四角柱形状のシリンダブロック11にはガイドブロック12が連結されている。ガイドブロック12には四角板形状のスライドテーブル13が載置されており、スライドテーブル13の端面にはエンドプレート14がネジ15によって締め付け固定されている。
【0016】
図3(d)に示すように、ガイドブロック12の上面には一対のレール121,122が平行に一体形成されており、スライドテーブル13の下面には一対の被ガイドレール131,132が平行に一体形成されている。レール121,122と被ガイドレール131,132とは、複数の転動ボール21を介して連結されており、被ガイドレール131,132は、転動ボール21を介してレール121,122の長さ方向への移動を案内される。
【0017】
図2に示すように、シリンダブロック11内にはピストン16がスライド可能に収容されており、ピストン16にはピストンロッド17が連結して固定されている。ピストンロッド17は、シリンダブロック11の端部に連結されたガイドプレート18の通し孔181を通ってスライドテーブル13側へ突出している。ピストンロッド17の移動方向(矢印Pの方向)は、被ガイドレール131,132の移動方向と同じ方向である。
【0018】
シリンダブロック11及びピストンロッド17と共に流体圧シリンダを構成するピストン16は、シリンダブロック11に連結された蓋22とピストン16との間に第1圧力室111を区画すると共に、ガイドプレート18とピストン16との間に第2圧力室112を区画する。第1圧力室111は、図示しない3方弁を介して圧力エア供給源に接続されており、第2圧力室112は、図示しない3方弁を介して圧力エア供給源に接続されている。
【0019】
図3(a)に示すように、ピストン16は、ピストンロッド17の移動方向Pに見て偏平な形状に形成されている。つまり、ガイドブロック12に対するスライドテーブル13の載置方向(矢印Rの方向)におけるピストン16の幅は、載置方向Rと垂直な方向かつピストンロッド17の移動方向Pと垂直な方向(矢印Qの方向)の幅よりも小さくしてある。シリンダブロック11及びピストン16は、シリンダブロック11内でピストンロッド17を中心とする回転を阻止する回り止め手段を構成する。
【0020】
スライドテーブル13側へ突出するピストンロッド17の突出端面には筒形状のフローティング部材19が雄ネジ20によって締め付け固定されている。フローティング部材19は、円筒形状の小径部191と、第1大径部192と、第2大径部193とを備えている。
【0021】
図3(c)に示すように、第1大径部192の周縁は、ピストン16の移動方向Pに見て、ガイドブロック12に対するスライドテーブル13の載置方向(矢印Rの方向)と垂直な方向に平坦な平坦縁194,195を有する。平坦縁194,195は、互いに平行である。つまり、第1大径部192は、ピストン16の移動方向Pに見て、ガイドブロック12に対するスライドテーブル13の載置方向(矢印Rの方向)の最大幅T(平坦縁194,195間の距離)が該載置方向Rと垂直な方向の最大幅Yよりも小さくなる形状に形成されている。
【0022】
図3(b)に示すように、ピストン16の移動方向Pに見た第2大径部193は、第1大径部192の形状と同形同大であって一対の平坦縁194,195を備えている。
図3(c)に示すように、エンドプレート14には嵌め込み凹部23が形成されている。嵌め込み凹部23は、小径部191を嵌め込む幅狭部231と、第1大径部192を嵌め込む幅広部232とからなる。小径部191は、幅狭部231に嵌め込まれており、第1大径部192は、幅広部232に嵌め込まれている。第2大径部193は、ガイドプレート18に対向するエンドプレート14の対向面141に接合可能に、エンドプレート14とガイドプレート18との間に配置される。
【0023】
第1圧力室111に圧力エアが供給されると共に、第2圧力室112から圧力エアが排気されると、ピストン16が突出方向へ移動する。この移動運動は、第2大径部193及びエンドプレート14を介してスライドテーブル13に伝えられ、スライドテーブル13がシリンダブロック11から遠ざかる方向へ移動する。
【0024】
第2圧力室112に圧力エアが供給されると共に、第1圧力室111から圧力エアが排気されると、ピストン16がシリンダブロック11内に没入する方向へ移動する。この移動運動は、第1大径部192及びエンドプレート14を介してスライドテーブル13に伝えられ、スライドテーブル13がシリンダブロック11に近付く方向へ移動する。
【0025】
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
(1)シリンダブロック11内で回動不能なピストン16によって回り止めを阻止されているフローティング部材19の載置方向Rの最大幅Tが載置方向Rと垂直な方向の最大幅Yよりも小さいため、円形状のフローティング部材に比べてスライドテーブル13の高さ(載置方向Rの高さ)を抑制することができる。
【0026】
(2)ピストン16の移動方向Pに見た場合のピストン16の形状が載置方向Rに偏平な形状であるため、シリンダブロック11の高さも抑制することができる。
(3)シリンダブロック11とガイドブロック12とを直列に連結した構造は、シリンダブロック11とガイドブロック12とを載置方向Rに重ね合わせた場合に比べて、載置方向Rにおけるリニアアクチュエータ全体の薄型化に有利である。
【0027】
(4)四角板形状のスライドテーブル13に対してその板厚方向へ大きな荷重が掛かった場合、スライドテーブル13が板厚方向に撓み変形しようとする。このような撓み変形を生じさせるような荷重は、エンドプレート14を傾かせる。このように傾いたエンドプレート14とフローティング部材19の大径部192,193の周縁との間でこじりが生じると、エンドプレート14やフローティング部材19が摩耗し、摩耗粉が発生する。
【0028】
フローティング部材19の載置方向Rの最大幅Tが載置方向Rと垂直な方向の最大幅Yよりも小さいフローティング部材19では、スライドテーブル13に対してその板厚方向へ大きな荷重が掛かった場合にエンドプレート14とフローティング部材19との間でこじりが生じる場合には、平坦縁194,195とエンドプレート14との間でこじりが生じる。しかし、最大幅Yを直径とする円形のフローティング部材に比べて、平坦縁194,195間の距離が小さいフローティング部材19では、平坦縁194,195とエンドプレート14との間でのこじりが低減する。従って、摩耗粉の発生が抑制される。
【0029】
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○図4(b)に示すように、嵌め込み凹部23の幅広部232を形成する平坦部233と、第1大径部192の平坦縁194とが互いに面接触状態にあり、平坦部233を備えた第1大径部192及び平坦縁194嵌め込み凹部23が回り止め手段を構成するようにしてもよい。この場合、図4(a)に示すように、ピストン16Aの移動方向に見た場合のピストン16Aの形状が円形であってもよい。
【0030】
○フローティング部材19を固定するピストンロッド17の形状がピストンロッド17の移動方向に見た場合に非円形(例えば四角あるいは楕円)であってもよい。ガイドプレート18の通し孔181が非円形(例えば四角あるいは楕円)であれば、ピストンロッド17が回動することはない。この場合、非円形の通し孔181及び非円形のピストンロッド17が回り止め手段を構成する。
【0031】
○シリンダブロック11上にガイドブロック12を載置し、ガイドブロック12上にスライドテーブル13を載置したリニアアクチュエータに本発明を適用してもよい。
前記した実施形態から把握できる技術思想について以下に記載する。
【0032】
〔1〕前記回り止め手段は、前記ピストンロッドを通す通し孔と前記ピストンロッドとを備え、前記移動方向に見た場合の前記通し孔及び前記ピストンロッドの形状は、非円形である請求項1に記載のスライドテーブル付きリニアアクチュエータ。
【符号の説明】
【0033】
11…流体圧シリンダ及び回り止め手段を構成するシリンダブロック。12…ガイドブロック。13…スライドテーブル。14…エンドプレート。16…流体圧シリンダ及び回り止め手段を構成するピストン。17…流体圧シリンダを構成するピストンロッド。19…フローティング部材。192…回り止め手段を構成する第1大径部。23…回り止め手段を構成する嵌め込み凹部。R…載置方向。P…移動方向。T,Y…最大幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドテーブルがガイドブロックに対して流体圧シリンダのピストンロッドの移動方向と垂直な方向に載置されており、前記ピストンロッドと前記スライドテーブルとがエンドプレート及びフローティング部材を介して連結されており、前記フローティング部材は、前記エンドプレートと前記ピストンロッドとを連結しており、前記スライドテーブルが前記ピストンロッドの移動方向に往復動されるスライドテーブル付きリニアアクチュエータにおいて、
前記移動方向に見た場合の前記フローティング部材の形状は、前記ガイドブロックに対する前記スライドテーブルの載置方向の最大幅が前記載置方向と垂直な方向の最大幅よりも小さくなるように形成されており、
前記ピストンロッドを中心とする前記フローティング部材の回り止めを行なう回り止め手段が設けられているスライドテーブル付きリニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記回り止め手段は、前記流体圧シリンダのピストンと、前記ピストンを収容するシリンダブロックとを備え、前記移動方向に見た場合の前記ピストンの形状は、前記シリンダブロック内で回動不能な形状である請求項1に記載のスライドテーブル付きリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記回り止め手段は、前記エンドプレートに形成された嵌め込み凹部と、前記嵌め込み凹部に嵌め込まれた前記フローティング部材とを備え、前記移動方向に見た場合の前記嵌め込み凹部の形状は、前記移動方向に見た場合の前記フローティング部材の形状と同形である請求項1に記載のスライドテーブル付きリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記流体圧シリンダと前記ガイドブロックとは、直列に連結されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスライドテーブル付きリニアアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−223305(P2010−223305A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70213(P2009−70213)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】