説明

スライドパネルの移動装置

【目的】 既に設置されている間仕切りパネルとスライドパネルを現地での加工を必要とせず簡単に連結でき、しかも、床面の傾斜、凹凸に影響されず、又、スライドパネルの移動方向を所定方向に案内することにより円滑な摺動を得る事が出来る、スライドパネルの移動装置を得る。
【構成】 固定キャスターが取付けられて構成されたスライドパネルを間仕切りパネルと平行に立設し、スライドパネルの上面に外嵌する上部倒れ止め金具を、間仕切りパネルの上面前端部に着脱自在に設ける一方、スライドパネルの下面に外嵌する下部振れ止め金具を、前記固定キャスター間に位置するよう間仕切りパネルの下面前端部に着脱自在に設け、間仕切りパネルのアジャスター間に渡って下面が開口する下向き略コ字形の案内レールを間仕切りパネルの下面に設ける一方、案内レールに下面から嵌合する案内ローラーを下面後端部から後方に突出するようスライドパネルに設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線状、あるいは、L字形に連結された複数枚の間仕切りパネルの端部、あるいは、コーナー部に取付けられ、引き戸状に引き延ばされたり、あるいは互いに重ね合わされたり種々の機能を発揮するスライドパネルの移動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
執務空間をセクション別に区画したり、個人のワークステーションを構成したり、あるいはコミュニケーション空間を構成したりする間仕切り用のパネルは、使用される空間の環境に適応するよう、多様な機能、サイズ、色、形状のものが提供されている。
そして、構成された空間をさらに必要に応じて手軽に区画したり、あるいは、区画された空間を開放したりすることで、間仕切り用のパネルによって区画された空間内を種々の使い方ができる機能を有するものとして、床面に対して略鉛直の間仕切りパネルを複数枚、平面視において平行に重なるよう並べて配設し、この間仕切りパネルにおける表裏両面のうち隣接する間仕切りパネルに面する側に、横方向に延びるレール溝を少なくとも上下一対設ける一方、前記間仕切りパネルの端部における上下に、前記レール溝にその長手方向に摺動可能に嵌り係合する連結体を装着したものがある。(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
しかしながら、上記構成では、上下一対の連結体の係合爪を、他方の間仕切りパネルにおける上下一対のレール溝に嵌り係合させて、パネル同士をスライド可能に連結し、摺動するパネルの荷重は固定キャスターによって支持されているので、床面の傾斜、凹凸に沿って、摺動するパネルが上下動し、結果として、上下のレール溝内で上下の連結体が摺動中上下動する事となり、レール溝と連結体の嵌り係合では前記上下動を吸収できないため、パネルが摺動しなかったり、あるいは、円滑に摺動しなかったりして使い勝手が非常に悪かった。
又、摺動するパネル下側の連結体と間仕切りパネルの下側のレール溝の連結作業を、床面と摺動するパネル下面の狭い間隙で行わねばならず作業性が非常に悪かった。
【0004】
一方、この問題を解決する為、スライドパネルを間仕切りパネルと平行に立設し、スライドパネルの上面に外嵌する上部倒れ止め金具を、間仕切りパネルの上面に着脱自在に設ける一方、スライドパネルの下面に外嵌する下部振れ止め金具を、間仕切りパネルの下面で、前記固定キャスター間に位置するよう間仕切りパネルの下面に着脱自在に設けたものがある。(例えば、特許文献2参照。)
この場合、床面の凹凸、傾斜にはある程度対応できるものの、固定キャスターがスライドパネルに対して確実に所定の状態に固定されていないと、スライドパネルは、間仕切りパネルと平行に移動せず、間仕切りパネルから次第に離間したり、あるいは逆に間仕切りパネルに接触したりすることが多々あった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−146951号公報
【特許文献2】特開2005−120614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、既に設置されている間仕切りパネルとスライドパネルを現地での加工を必要とせず簡単に連結でき、しかも、床面の傾斜、凹凸に影響されず、又、スライドパネルの移動方向を所定方向に案内することにより円滑な摺動を得る事が出来る、スライドパネルの移動装置を得る事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記課題を解決する為、本発明が第1の手段として構成したところは、間仕切りパネルのアジャスターの代わりに固定キャスターが取付けられて構成されたスライドパネルを間仕切りパネルと平行に立設し、スライドパネルの上面に外嵌する上部倒れ止め金具を、間仕切りパネルの上面前端部に着脱自在に設ける一方、スライドパネルの下面に外嵌する下部振れ止め金具を、前記固定キャスター間に位置するよう間仕切りパネルの下面前端部に着脱自在に設け、間仕切りパネルのアジャスター間に渡って下面が開口する下向き略コ字形の案内レールを間仕切りパネルの下面に設ける一方、案内レールに下面から嵌合する案内ローラーを下面後端部から後方に突出するようスライドパネルに設けることにより、間仕切りパネルに対しスライドパネルを所定範囲で移動可能としたものである。
【0008】
次に、本発明が第2の手段として構成したところは、前記第1の手段に加え、上部倒れ止め金具と下部振れ止め金具は、間仕切りパネル同士を連結する連結孔を利用して取付けられるものである。
本発明が第3の手段として構成したところは、前記第2の手段に加え、スライドパネルの閉鎖時と開放時に上部倒れ止め金具の開放側端部と閉鎖側端部に当接する閉鎖用上部ストッパーと開放用上部ストッパーがスライドパネル開閉側端部上面に設けられているものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によると、アジャスターに代えて固定キャスターを取付けることで、間仕切りパネルをスライドパネルとして使用することが出来、間仕切りパネルに設けた下面が開口する案内レールに下方から嵌合する案内ローラーをスライドパネルの後端に設けているので、スライドパネルが固定キャスターに支持され状態で、スライドパネルの後端部の前後方向への移動範囲が一定し、間仕切りパネルと平行に移動させることが可能で、かつ、床面の凹凸、傾斜にも対応する事ができる。
又、スライドパネルは固定キャスターによって床面に支持されているので、スライドパネルの転倒を防止する倒れ止め金具を間仕切りパネルに設けるだけでスライドパネルは円滑に移動し、倒れ止め金具は、倒れ止めの機能を必要とするだけの金具であるから、スライドパネルの上面と下面に外嵌する簡単な構造にすることが出来、結果として安価に製作出来る。
【0010】
請求項2に記載の発明によると、請求項1の効果に加え、上部倒れ止め金具と下部振れ止め金具は、間仕切りパネルを連結する連結孔を利用して取付けられるので、上下部振れ止め金具を取付ける取付孔を形成するなどの加工が一切現場で必要としないので、専門業者でなくてもエンドユーザーが必要な時にスライドパネルを間仕切りパネルに追加的に取付けることが出来る。
【0011】
請求項3に記載の発明によると、請求項1、2の発明の効果に加え、閉鎖用上部ストッパーと開放用上部ストッパーをスライドパネルの上面に設けているので、スライドパネルのスライド幅を、固定キャスター間の寸法から下部振れ止め金具の開閉方向の寸法を差し引いた寸法内であれば、使用場所によってスライドパネルのスライド幅を適宜選択することが出来るので非常に使い勝手がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
間仕切りパネルのアジャスターの代わりに固定キャスターが取付けられて構成されたスライドパネルを間仕切りパネルと平行に立設し、スライドパネルの上面に外嵌する上部倒れ止め金具を、間仕切りパネルの上面前端部に着脱自在に設ける一方、スライドパネルの下面に外嵌する下部振れ止め金具を、前記固定キャスター間に位置するよう間仕切りパネルの下面前端部に着脱自在に設け、間仕切りパネルのアジャスター間に渡って下面が開口する下向き略コ字形の案内レールを間仕切りパネルの下面に設ける一方、案内レールに下面から嵌合する案内ローラーを下面後端部から後方に突出するようスライドパネルに設け、上部倒れ止め金具と下部振れ止め金具は、間仕切りパネル同士を連結する連結孔を利用して取付けられ、スライドパネルの閉鎖時と開放時に上部倒れ止め金具の開放側端部と閉鎖側端部に当接する閉鎖用上部ストッパーと開放用上部ストッパーがスライドパネル開閉側端部上面に設けられることにより、間仕切りパネルに対しスライドパネルを所定範囲で移動可能としたものである。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明斜視図を示している。
符号1・・・は、間仕切りパネルを示し、符号6はスライドパネルを示している。
スライドパネル6は、間仕切りパネル1に着脱自在に取付けられる上部倒れ止め金具7、下部振れ止め金具8、間仕切りパネル1のアジャスター200、200間に渡って設けられた案内レール3に下面から嵌合する案内ローラー931によって、間仕切りパネル1に対し所定範囲で移動可能に支持されている。
【0014】
間仕切りパネル1は、アルミ材の押出し成形により形成された上枠11、下枠12と、アルミ材の押出し成形により形成された左右の縦枠13、13と、上枠11、下枠12、左右の縦枠13、13の各角部を連結する上下及び左右のコーナー金具2・・・(図2に示す。)と、上枠11と下枠12と左右の縦枠13、13間の表裏両面にペーパーハニカム15を介して圧着された表面板16・・・(図5に示す。)等より構成されている。
【0015】
図6に示すように、上枠11は、上縁部111と、上縁部111の下方に突出して形成された表面板上支持突部114よりなり、上表面板上支持突部114内部が空洞とされ、空洞の左右端部を左右の上側のコーナー金具2、2の一部が圧入嵌合する上側の圧入嵌合孔116、116としている。
【0016】
下枠12は、上枠11の一部を加工して形成され、上枠11と上下対称に配設されている。
すなわち、下枠12は、下縁部121と、下縁部121の上方に突出して形成された表面板下支持突部124よりなり、表面板下支持突部124の内部が空洞とされ、空洞の左右端部を左右の下側のコーナー金具2、2の一部が圧入嵌合する下側の圧入嵌合孔126、126とし、下縁部121の所定位置にアジャスター200、あるいは固定キャスター300の取付孔129(図4に示す。)が形成されている。
【0017】
左右の縦枠13、13は左右対称形に形成されているので、一方側についてのみ説明する。
縦枠13は、側端面の上下方向に端面側が小さく奥部側が大きく形成された横向き台形状の連結用嵌合溝131を有する基部130と、基部130の奥部側に形成された表面板側支持突部133と、表面板側支持突部133の内部の上下方向に円形空洞部を有し、円形空洞部の上下端部を左右の上下のコーナー金具2、2との連結孔134、134とした連結用突条135より構成され、基部130と表面板側支持突部133、連結用突条135にて形成された空洞の上下端部を、上側のコーナー金具2の一部および下側のコーナー金具2の一部が圧入嵌合する、圧入嵌入孔136、136としている。
【0018】
左右の上下のコーナー金具2・・・は、上枠11、下枠12、左右の縦枠13、13の各端部を互いに連結する際、上下、左右対称に各角部に同一のものが配置して使用されている。
ここでは、先ず、上枠11と左右の縦枠13、13のうち一方の縦枠13の上端とを連結する上側のコーナー金具2として使用される場合について説明する。
すなわち、コーナー金具2は、端部に縦枠13の連結用嵌合溝131と同形の嵌合切り欠き部21を有するコーナー基板23と、コーナー基板23の下面より下方に突出し、前記縦枠13の上側の圧入嵌入孔136に圧入嵌合する縦枠圧入嵌合突部24と、コーナー基板23から突出し、前記上枠11の上側の圧入嵌合孔116に圧入嵌合する上下枠圧入嵌合突部25と、コーナー基板23の上面より上方に突出し、表裏両側にスライド凹溝を有する上支持突条26より構成され、コーナー基板23には、縦枠13の連結孔134に対応して、貫通孔20が形成されている。
【0019】
そして、間仕切りパネル1が他の間仕切りパネル1と連結されない場合のみ、上コーナー金具2に上コーナーキャップ28が取付けられる。
すなわち、上コーナーキャップ28は、縦枠13の上側の連結孔134およびコーナー金具2の貫通孔20に対応して、取付け孔280が形成され、上支持突条26に外嵌し、連結用嵌合溝131、及び、嵌合切り欠き部21の上端を隠蔽する。
又、下枠12と左右の縦枠13、13のうち一方の縦枠13の下端とを連結する下側のコーナー金具2として使用される場合には、上下枠圧入嵌合突部25に形成されたアジャスー取付用保持孔29に、下枠12のアジャスター取付孔129を貫通したアジャスター200(固定キャスター300)が螺合して使用される。
そして、スライド凹溝27、27にスライド自在に保持される受け部材201が取付けられる。
【0020】
そして、左右の縦枠13、13の上下圧入嵌入孔136、136にコーナー金具2の縦枠圧入嵌合突部24・・・を圧入嵌合させ、上下枠11、12の上下の圧入嵌合孔116、126にコーナー金具2の上下枠圧入嵌合突部25・・・圧入嵌合させて、それぞれを互いに連結することにより基枠が構成され、基枠の表裏両面に、ペーパーハニカム材15を介して表面板16・・・を圧着する事により、間仕切りパネル1が構成される。
上記の如く構成された間仕切りパネル1は、上コーナーキャップ28に代わる直線連結金具30、支柱用直線連結金具、T字形連結金具、十字形連結金具、L字形連結金具、段違い連結金具、支柱用端部連結金具90、及び、支柱5によって間仕切りパネル1の上部同士が連結され、下部同士は支柱用端部連結金具90、及び、支柱5によって連結される。
そして、直線的あるいはL字形等に連結された複数枚の間仕切りパネルのうち、端部に位置する間仕切パネル1の下面のアジャスター200、200間にだけ、後述する案内レール3が取付けられる。
なお、間仕切りパネル1・・・同士の連結に関する構成、間仕切りパネル1と支柱5の連結に関する構成については、特開2005−120614号公報に開示された発明と同一であるので省略する。
【0021】
本発明のスライドパネル6は、直線的に連結された間仕切りパネル1・・・の端部に位置する間仕切りパネル1に取付けられて使用されるか、あるいは、L字形に連結された間仕切りパネル1・・・のコーナー部分の間仕切りパネル1に取付けられて使用される。
そして、いずれの場合においても、間仕切りパネル1・・・の端部に位置する間仕切りパネル1には、支柱用端部連結金具90を介して支柱5が(間仕切りパネル1同士を、L形、T字形等に連結する時に使用される。)連結される。
【0022】
支柱5は、間仕切りパネル1のアジャスター200・・・を除いた高さとほぼ同高さに、アルミの押出し成形によって四角柱状に形成され、上下端部を、支柱用直線連結金具、T字形連結金具、十字形連結金具、L字形連結金具、支柱用端部連結金具90等との連結孔51、51とした補強リブ52を中央部に有し、4隅上下端部を上記金具の嵌合突起が嵌入する上下嵌入孔53・・・とし、四角柱状の4側端面には上下方向に渡って、縦枠13の嵌合溝131と同形の支柱嵌合溝54・・・が形成されている。
【0023】
支柱用端部連結金具90(図8に示す。尚、上側で使用される支柱用端部連結金具90は、図8に示す支柱用端部連結金具90は上下対称形状となる。)は下側のコーナー金具2の下支持突条26に外嵌し、コーナー基板23と支柱5の下面に位置する外装部901と、外装部901の支柱5側の下面から下方に突出し、支柱5の下嵌入孔53・・・に嵌入する嵌入突起903・・・と、外装部901の間仕切りパネル1側の下面から下方に突出し、縦枠13の連結用嵌合溝131、支柱5の支柱嵌合溝54に嵌合する連結脚部904と、縦枠13の連結孔134に一致する連結孔905を有する連結用筒部907と、外装部901の支柱5側端部中央に形成された支柱5の連結孔51に対応する支柱用連結孔909より構成されている。
【0024】
以下、スライドパネル6が間仕切りパネル1の端部に対して延出する方向を閉鎖側、スライドパネル6が間仕切りパネル1の端部に対して退行する方向を開放側とし、開放側と閉鎖側の方向に直交する方向で、スライドパネル6側の方向を前側、間仕切りパネル1側の方向を後側として説明する。
スライドパネル6は、間仕切りパネル1と同一の上下枠11、12、左右の縦枠13、13、コーナー金具2・・・と、上コーナーキャップ28、28と、上枠11と下枠12と左右の縦枠13、13間の前後側両面にペーパーハニカム15を介して圧着された表面板16、16からなるスライドパネル本体60と、スライドパネル本体60の下面に取付けられた固定キャスター300、300と、スライドパネル本体60の開放側端部より開放側に突出し間仕切りパネル1側に延出する案内ローラー931を有するローラー支持部材9、スライドパネル本体60の閉鎖側の縦枠13に取付けられた移動操作用の把手600等より構成されている。
【0025】
すなわち、スライドパネル6は、間仕切りパネル1に取付けられているアジャスター200に代わって固定キャスター300が取付けられ、閉鎖側の縦枠13に把手600が取付けられ、受け部材201、201に代わって下コーナーキャップ29、連結用下コーナーキャップ4が取付けられ、開放側端部より開放側に突出し間仕切りパネル1側に延出する案内ローラー931を有するローラー支持部材9が取付けられることで、既設の間仕切りパネル1を転用して使用することも可能である。
【0026】
連結用下コーナーキャップ4は、開放側の縦枠13の下側の連結孔134およびコーナー金具2の貫通孔20に対応して取付け孔40を有し、基板43から上向きに突出する金具保持筒41と、コーナー金具2の下支持突条26に外嵌する基板43の前後端部から上方に突出する上向き突壁42、42等を有している
【0027】
尚、実施例では、間仕切りパネル1のアジャスター200・・・の代わりに取付けられるキャスターとして、移動間仕切りに使用される自在キャスター310を転用しているので、自在キャスター310を固定キャスター300として機能するよう、自在キャスター310の上部に首振り防止部材320を取付けている。
【0028】
開放側の首振り防止部材320は、連結用下コーナーキャップ4の基板43の下面と連結される上面板321と、上面板321の前後側端部から下方に突出する前後下向き突片322、322と、上面板321、前後下向き突片322、322の開放側の端面に一体に形成された側面板323より形成され、上面版321の開放側端部に連結用下コーナーキャップ4の取付け孔40に対応して透孔324が形成され、上面版321の閉鎖側端部に自在キャスター310の取付け軸311が挿通する、閉鎖側端面が開口する挿通用切り欠き325が形成され、前後下向き突片322、322の閉鎖側端部に自在キャスター310の車輪カバー体312の上面に当接するよう、車輪カバー体312の上面に沿った形状の端面を有する当接用切欠き326、326が形成されている。
【0029】
開放側の首振り防止部材320は上記のように形成され、ローラー支持部材9、連結用下コーナーキャップ4と共に連結ネジ900にてスライドパネル6の開放側端部下面に連結され、その後、自在キャスター310が取付けられ、車輪カバー体312の上面に首振り防止部材320の当接用切欠き326、326の端面が当接し、自在キャスター310は固定キャスター300して機能する。閉鎖側の首振り防止部材320は開放側と対向した対称形に形成されている。
尚、実施例では、自在キャスター310と首振り防止部材320で固定キャスター300を構成しているが、自在キャスター310の代わりに固定キャスターを使用しても良いことは云うまでもない。
【0030】
そして、固定キャスター300、300間に位置して間仕切りパネル1に取付けられる下部振れ止め金具8の開閉側端部に固定キャスター300、300が当接することによってスライドパネル6の開閉方向への移動が制限される。
すなわち、固定キャスター300、300の間隔と、下部振れ止め金具8の開閉方向の寸法とによってスライドパネル6の移動幅が決定されるが、スライドパネル6の閉鎖時と開放時に、上部倒れ止め金具7の開放側端部と閉鎖側端部に当接する閉鎖用上部ストッパー611と開放用上部ストッパー612をスライドパネル6の開閉側端部上面に着脱自在に設ける事により、固定キャスター300、300の間隔から下部振れ止め金具8の開閉方向の寸法を差し引いた寸法内であれば、スライドパネル6の移動幅を適宜決定することが可能である。
【0031】
上部倒れ止め金具7は、スライドパネル6の上端部に上方から外嵌し、スライドパネル6の上端面と所定間隔を有して上方に位置する上方基板73と、上方基板73の前側端部が下方に折り曲げられ、スライドパネル6の前側に位置する前側上突壁71と、前側上突壁71と所定間隔を有してスライドパネル6の後側に位置するよう上方基板73の下面に下方に突出して溶接等にて設けられた後側上突壁72と、上方基板73の後側が間仕切りパネル1の上端面上方に延出された上連結用突片74より構成されている。
【0032】
そして、上連結用突片74には、縦枠13の上側の連結孔134と支柱5の上側の連結孔51に一致する倒れ止め金具上連結孔75、75が形成されると共に、スライドパネル6上に位置する上方基板73の一部には、開放側端部が開口するスライド領域調整用きり欠き731が形成され、前側上突壁71と後側上突壁72の内面には、スライドパネル6の円滑な移動を補助する滑り部材76、76が貼付けられている。
そして、スライドパネル6の閉鎖用上部ストッパー611がスライド領域調整用きり欠き731の閉鎖側端面に当接することで、スライドパネル6の閉鎖側への移動が停止される。
又、開放側上部ストッパー612が上部倒れ止め金具7(上方基板73)の閉鎖側端面
に当接することでスライドパネル6の開放側への移動が停止される。
【0033】
下部振れ止め金具8は、スライドパネル6の下端部に下方から外嵌して固定キャスター300、300間に位置し、スライドパネル6の下端面と所定間隔を有して下方に位置する下方基板83と、下方基板83の前側と後側の端部が上方に折り曲げられ、スライドパネル6の前後側に位置する前後側下突壁81、82からなる上向きコ字形の下部倒れ止め部材84と、下部倒れ止め部材84の下方基板83の下面に溶接等にて連結され、間仕切りパネル側1の下面に延出された下連結部材85より構成され、下連結部材85には縦枠13の下側の連結孔134と支柱5の下側の連結孔51に一致する倒れ止め金具下連結孔86、86が形成され、外側下突壁81と内側下突壁82の内面には、スライドパネル6の円滑な移動を補助する滑り部材87、87が貼付けられている。
そして、スライドパネル6の開放側の固定キャスター300(取付け軸311)が下部振れ止め金具8(下方基板83)の開放側端面に当接してスライドパネル6の閉鎖側への移動が停止される。
又、閉鎖側の固定キャスター300(取付け軸311)が下部振れ止め金具8(下方基板83)の閉鎖側端面に当接してスライドパネル6の開放側への移動が停止される。
【0034】
ローラー支持部材9は、連結用下コーナーキャップ4のスライドパネル6に対する連結状態で、連結用下コーナーキャップ4とコーナー金具2間に挟持される連結基板91と、スライドパネル6から開放側に突出する連結基板91の開放側端部で、間仕切りパネル1側に下方に突出して連設され、間仕切りパネル1の下面で開閉方向に渡って設けられた案内レール3の下方に位置するローラー取付け面93を有するL字形のローラー取付け板92より構成されている。
そして、ローラー取付け面93の上面には案内レール3に下方から嵌合する案内ローラー931が回転自在に取付けられている。
【0035】
すなわち、連結基板91は、閉鎖側端部に連結用下コーナーキャップ4の金具保持筒41に外嵌する嵌合孔911を有し、さらに上向き突壁42、42間に嵌合する前後幅に形成される事で、首振り防止部材320、連結用下コーナーキャップ4と共にスライドパネル6に取付けられた状態で、ローラー支持部材9は、スライドパネル6に対して回動する事も又連結用下コーナーキャップ4より抜け出す事もない。
【0036】
ローラー支持部材9の案内ローラー931が嵌合する案内レール3は、間仕切りパネル1の下枠12の下縁部121の下面にネジ止めされる上部基板31と、上部基板31の前後側端部に連設された前後側垂下突片32、33より下面が開口する下向き略コ字形に形成され、間仕切りパネル1のアジャスター200、200間に渡って配設されている。
そして、前側垂下突片32は後側垂下突片33より短めに形成されている。
【0037】
スライドパネル6と、上部倒れ止め金具7と、下部振れ止め金具8と、ローラー支持金具9と、案内レール3は上記の如く構成され、次の様にして、スライドパネル6は間仕切りパネル1に取付けられる。
直線的あるいはL字形等に連結された複数枚の間仕切りパネル1・・・の端部の間仕切りパネル1にスライドパネル6を取付ける時は、まず、他の間仕切りパネル1との連結状態を解除し、複数枚の間仕切りパネル1・・・の端部の間仕切りパネル1のアジャスター200、200間に渡って案内レール3をネジ止めし、次に、縦枠13の閉鎖側に支柱5を当接させて、支柱用端部連結金具90の連結脚部904を縦枠13の嵌合溝131の下側と支柱5の支柱嵌合溝54の下側に嵌入し、さらに、外装部901を下側のコーナー金具2の下支持突条26に外嵌させ、縦枠13の連結孔134の下側と支柱5の連結孔51の下側に、連結用筒部の連結孔905と支柱用連結孔909を一致させ、さらに、下部倒れ止め部材84を上向きの状態で、振れ止め金具下連結孔86、86を、支柱5の連結孔51、支柱用連結孔909、連結孔905、縦枠13の連結孔134を一致させ、連結ネジ50・・・にて下部振れ止め金具8、支柱用端部連結金具90、支柱5と間仕切りパネル1の下端部を連結する。
次に、支柱5と上側のコーナー金具2(間仕切りパネル1の上端部)を支柱用端部連結金具90で仮連結する。
【0038】
そして、既に他の間仕切りパネル1と連結されている間仕切りパネル1の端部に、支柱5が連結された間仕切りパネル1の端部と反対側の端部を連結部材、直線形連結金具30等にて連結し、間仕切りパネル1を立設する。
次に、下コーナーキャップ4と共に連結ネジ900、900にてローラー支持部材9、固定キャスター300、300が取付けられたスライドパネル6の開放側端部を、間仕切りパネル1を持ち上げた状態の案内レール3内に、やや斜め下方から案内ローラー931が嵌合するよう移動させ、案内ローラー931を案内レール3に嵌合させ、さらにスライドパネル6を間仕切りパネル1と平行にする段階で、閉鎖側端部を持ち上げて下部振れ止め金具8の前後側下突壁81、82間に上方より固定キャスター300、300間のスライドパネル6の下端部を嵌入させる。
【0039】
この状態で、支柱5と上側のコーナー金具2を仮連結している支柱端部連結金具90の連結ネジ50、50を取り外し、支柱用端部連結金具90の連結脚部904を縦枠13の上側の嵌合溝131、支柱5の上側の支柱嵌合溝54に上端より嵌入し、外装部901を上側のコーナー金具2の上支持突条26に外嵌し、縦枠13の連結孔134と支柱5の連結孔51に、連結用筒部907の連結孔905と支柱用連結孔909を一致させた状態で、上部倒れ止め金具7を下向きの状態で、スライドパネル6の上端部が前側上突壁71と後側上突壁72間に位置するように、金具上連結孔75、75を支柱5の連結孔51、支柱用連結孔909、連結孔905、縦枠13の連結孔134を一致させ、取り外した連結ネジ50・・・にて上部倒れ止め金具7、支柱用端部連結金具90、支柱5と間仕切りパネル1の上端部を連結し、スライドパネル6を間仕切りパネル1に対して移動自在に保持する。
この時、上部倒れ止め金具7の上方基板73とスライドパネル6の上枠11間、および、スライドパネル6の下枠12と下部振れ止め金具8の下方基板83間に所定の間隙が形成される。
【0040】
そして、スライドパネル6が閉鎖側に移動した際、下部振れ止め金具8の開放側端部に開放側の固定キャスター300の閉鎖側(固定キャスター300の取付けボルト311の閉鎖側)が当接して停止すると同時に、上部触れ止め金具7の開放側端部に閉鎖用上部ストッパー611が当接するよう、スライドパネル6の上端面に閉鎖用上部ストッパー611を着脱自在に取付ける。
又、スライドパネル6が開放側に移動した際、下部振れ止め金具8の閉鎖側端部に閉鎖側の固定キャスター300の開放側(固定キャスター300の取付けボルト311の開放側)が当接して停止すると同時に、上部触れ止め金具7の閉鎖側端部に開放用上部ストッパー612が当接するよう、スライドパネル6の上端面に開放用上部ストッパー612を着脱自在に取付ける。
【0041】
尚、実施例では、上部倒れ止め金具7、下部振れ止め金具8は、支柱5の上下の連結孔51、51、間仕切りパネル1の縦枠13の上下の連結孔134、134を利用して取付けるため、間仕切りパネル1に現場での加工を一切不要としているが、スライドパネル6が取付く間仕切りパネル1に支柱5を取付けない時は、金具上連結孔75、75、及び、振れ止め金具下連結孔86、86に対応する連結孔を現場で上枠11と下枠12に加工をすればよい。
【0042】
本発明は上記の如く構成されているので、把手600をもって手動にてスライドパネル6を開閉方向に移動させると、固定キャスター300、300が床面に接触しているので、スライドパネル6は、床面の凹凸や傾斜によって若干の上下動はするものの、下部振れ止め金具8はスライドパネル6に下方から外嵌し、上部倒れ止め金具7はに上方から外嵌しているので、上部倒れ止め金具7の上方基板73とスライドパネル6の上枠11間に形成される所定の間隙、および、スライドパネル6の下枠12と下部振れ止め金具8の下方基板83間に形成される所定の間隙によって、スライドパネル6が移動中に上下動しても他の部材と干渉することはなく、スライドパネル6の移動に悪影響を及ぼす事がない。
さらに、間仕切りパネル1に案内レール3を設け、スライドパネル6に案内レール3に嵌合する案内ローラー931を設けているので、前後方向(開閉方向と交わる方向)に床面が傾斜していてもスライドパネル6の後端部の前後方向への移動範囲が一定し、そのため、スライドパネル6の開放側端部の前後方向へのブレ(移動)が小さくなり、したがって、間仕切りパネルと平行に移動させることが可能となる。
また、案内レール3は、間仕切パネル1の下面のアジャスター200、200間に渡って配設されているため、目立たず、間仕切パネル1の意匠性を損なわない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の斜視図
【図2】本発明の要部分解斜視図
【図3】本発明の正面図
【図4】図3のA―A線拡大断面図
【図5】図3のB―B線拡大断面図
【図6】間仕切りパネルの構成の一部を示す要部分解斜視図
【図7】ローラー支持金具の取付け状態を示す要部分解斜視図
【図8】下部振れ止め金具の取付け状態を示す要部分解斜視図
【符号の説明】
【0044】
1 間仕切りパネル
134 縦枠の連結孔
2 コーナー金具
200 アジャスター
3 案内レール
300 固定キャスター
51 支柱の連結孔
6 スライドパネル
611 閉鎖用上部ストッパー
612 開放用上部ストッパー
7 上部倒れ止め金具
8 下部振れ止め金具
9 ローラー支持金具
931 案内ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間仕切りパネルのアジャスターの代わりに固定キャスターが取付けられて構成されたスライドパネルを間仕切りパネルと平行に立設し、スライドパネルの上面に外嵌する上部倒れ止め金具を、間仕切りパネルの上面前端部に着脱自在に設ける一方、スライドパネルの下面に外嵌する下部振れ止め金具を、前記固定キャスター間に位置するよう間仕切りパネルの下面前端部に着脱自在に設け、間仕切りパネルのアジャスター間に渡って下面が開口する下向き略コ字形の案内レールを間仕切りパネルの下面に設ける一方、案内レールに下面から嵌合する案内ローラーを下面後端部から後方に突出するようスライドパネルに設けることにより、間仕切りパネルに対しスライドパネルを所定範囲で移動可能としたことを特徴とするスライドパネルの移動装置。
【請求項2】
上部倒れ止め金具と下部振れ止め金具は、間仕切りパネル同士を連結する連結孔を利用して取付けられることを特徴とする請求項1に記載のスライドパネルの移動装置。
【請求項3】
スライドパネルの閉鎖時と開放時に上部倒れ止め金具の開放側端部と閉鎖側端部に当接する閉鎖用上部ストッパーと開放用上部ストッパーがスライドパネル開閉側端部上面に設けられている事を特徴とする請求項1、および2に記載のスライドパネルの移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−321390(P2007−321390A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151103(P2006−151103)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000125990)株式会社くろがね工作所 (84)
【Fターム(参考)】