スライド式ルーフキャリア
【課題】車体に近接した状態でスライダー及び荷台枠をスライド移動する。
【解決手段】車体９のルーフ上に連結手段４を介して取り付けられるスライド式ルーフキャリアであって、車体左右方向９ａに延在し車体前後方向９ｂに間隔を置いて配設されるガイドレール１と、このガイドレール１に支持されて案内されるスライダー２とを備え、ガイドレール１及びスライダー２の全体が、車体前後方向９ｂを中心軸ｃとした円弧状に湾曲して形成されており、スライダー２がガイドレール１に沿って車体９に近接した状態でスライド移動可能なよう構成されている。
【解決手段】車体９のルーフ上に連結手段４を介して取り付けられるスライド式ルーフキャリアであって、車体左右方向９ａに延在し車体前後方向９ｂに間隔を置いて配設されるガイドレール１と、このガイドレール１に支持されて案内されるスライダー２とを備え、ガイドレール１及びスライダー２の全体が、車体前後方向９ｂを中心軸ｃとした円弧状に湾曲して形成されており、スライダー２がガイドレール１に沿って車体９に近接した状態でスライド移動可能なよう構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、荷物を載せて運搬するために車体のルーフ上に取り付けられ、荷物の積卸しのためにスライド移動可能なスライド式ルーフキャリアに関する。
【背景技術】
【０００２】
例えば特許文献１及び特許文献２に示す通り、荷物を載せて運搬するために車体のルーフ上に取り付けられ、荷物を積卸しするためにスライド可能なルーフキャリアが提供されている。このルーフキャリアは、車体のルーフ上に取り付けられる固定レールと、この固定レールに沿って移動するスライダーとを有している。スライダーは、荷物を固定するための荷台枠が取り付けられている。そして、荷物の積卸しの際には、荷台枠をスライダーと共に昇降して、車体のサイド及びルーフ上に配置する。
【０００３】
しかし、従来のルーフキャリアは、荷台枠を車体から大きく離れた位置までスライドして引き出して降下する。そのため、車体の近くに歩行者がいたり、走行車輌や障害物等が存在するとき、これらに荷台枠や作業者が接触することがあり非常に危険で作業し難いという問題がある。
【特許文献１】特開２００２−３６９６３号公報
【特許文献２】実用新案登録第２５９９１７９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、車体に近接した状態でスライダー及び荷台枠をスライド移動することができるスライド式ルーフキャリアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
前記した課題を解決するために、本発明に係るスライド式ルーフキャリアは、車体のルーフ上に連結手段を介して取り付けられるスライド式ルーフキャリアであって、車体左右方向に延在し車体前後方向に間隔を置いて配設されるガイドレールと、このガイドレールに支持されて案内されるスライダーとを備えており、ガイドレール及びスライダーの全体が、車体前後方向を中心軸とした円弧状に湾曲して形成され、スライダーがガイドレールに沿って車体に近接した状態でスライド移動可能なよう構成されている。
スライダーが車体に近接した状態とは、スライダーと車体との距離が４０ｃｍ乃至６０ｃｍ程度しか離れない状態をいう。
【０００６】
好ましくは、ガイドレール及びスライダーの円弧半径が、９０ｃｍ乃至１２０ｃｍである。
【０００７】
好ましくは、ガイドレールは、スライダーのスライド移動を制動するための手段を備えている。
【０００８】
好ましくは、連結手段はガイドレールの高さを調整するための手段を備えている。
【０００９】
更に好ましくは、制動手段がロータリーダンパーである。
【発明の効果】
【００１０】
本発明に係るスライド式ルーフキャリアは、前記したように構成されており、ガイドレールと、このガイドレールに沿ってスライドするスライダーとが円弧状に湾曲している。そして、このガイドレールとスライダーの円弧半径が、スライダーを車体に近接させた状態でスライド移動できるよう構成されているので、近くに歩行者がいる歩道等であっても、スライダーに取り付けられた荷台枠が歩行者や障害物等に接触することなく、荷物を積卸しすることができる。これにより、作業者や周囲の危険性が減り、非常に作業し易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係るスライド式ルーフキャリアの一実施例について詳細に説明する。
【００１２】
図１は、本発明に係るスライド式ルーフキャリアを車体に取り付けた状態を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図である。図２は、スライド式ルーフキャリアを示す正面図である。図３は、スライド式ルーフキャリアの一端側を拡大して示しており、（ａ）は正面図、（ｂ）は（ａ）のＩ−Ｉ線断面図である。図４は、スライド式ルーフキャリアの他端側を拡大して示しており、（ａ）は正面図、（ｂ）は（ａ）のＩＩ−ＩＩ線断面図である。図５は、連結手段を示す正面図である。
【００１３】
図１に示す通り、本発明に係るスライド式ルーフキャリアは、車体９のルーフ上に連結手段４を介して取り付けられる。スライド式ルーフキャリアは、一対のガイドレール１，１を備えている。ガイドレール１，１は、車体左右方向９ａに延在しており（図１（ａ）参照）、車体前後方向９ｂに間隔を置いて配設されている（図１（ｂ）参照）。スライド式ルーフキャリアは、各ガイドレール１に支持され案内されるスライダー２を備えている。
【００１４】
図１（ａ）の如く、スライダー２は、支持部材３０を介して荷台枠３が取り付けられている。荷台枠３は、各スライダー２に掛け渡され、車体９のルーフ上に配置される際に、水平状態になるよう取り付けられている。ガイドレール１及びスライダー２は、車体前後方向９ｂを中心軸ｃとする円弧状に湾曲して形成されている。従って、スライダー２は、この中心軸ｃを中心としてガイドレール１に沿ってスライド移動する。スライダー２は、車体９のルーフ上（以下、第一位置という。）と、車体９のサイド（以下、第二位置という。）との間を昇降移動する。スライダー２を第二位置まで下降して、荷台枠３を作業し易い位置まで下ろして荷卸しする（図１（ａ）の二点鎖線で示す。）。
【００１５】
ガイドレール１及びスライダー２の円弧半径は、スライダー２が車体９に近接した状態で昇降可能なように構成されている。即ち、図１（ａ）の二点鎖線で示すように、車体９のサイドとスライダー２との距離Ｗが４０ｃｍ乃至６０ｃｍ程度しか離れずに、スライダー２を昇降可能な状態をいう。これにより、車体９の近くに歩行者や走行車輌等が存在する場合でも、スライダー２を車体９に近接した状態で昇降できるので、荷台枠３から荷物を安全に荷卸しすることができる。
【００１６】
図２に示す通り、ガイドレール１及びスライダー２の円弧半径Ｄは、９０ｃｍ乃至１２０ｃｍ程度である。前記したように、ガイドレール１は、車体９のルーフ上に連結されており、このガイドレール１に沿って、スライダー２がスライド移動して昇降するよう構成されている。後述で詳細に説明するように、このスライド式ルーフキャリアは、ロック機構５を備えている。このロック機構５は、スライダー２を第一位置に固定するためのものである。車体９を走行する時は、ロック機構５をロックしてスライダー２及び荷台枠３をガイドレール１に固定して、スライダー２を昇降する時は、ロック機構５を解除してスライダー２を昇降移動する。更に、スライド式ルーフキャリアは、制動手段２０を備えている。この制動手段２０は、スライダー２のスライド移動を制動して、急落下（急移動）を防止するためのものである。
【００１７】
図３（ａ）に示す通り、スライド式ルーフキャリアの一端側（図２の左端側）に、ロック機構５が設けられている。ロック機構５はフック体５０を有している。フック体５０は、スライダー２に対して回転自在な回転軸５０ａに軸支されている。フック体５０は、ガイドレール１に設けられた掛止部５１に掛止できるようになっている。従って、スライダー２を第一位置に固定するとき、フック体５０を掛止部５１に掛止して、ガイドレール１に固定する。回転軸５０ａには、スプリング部材（図示略）が設けられており、このスプリング部材によって、常時ではフック体５０が掛止部５１に掛止する状態に位置するように弾性制動されている。そして、スライダー２を第二位置へ移動するとき、フック体５０を回転して掛止部５１から解除し（図３（ａ）の二点鎖線で示す。）、スライダー２をガイドレール１に沿ってスライド移動する。
【００１８】
ガイドレール１は、上部が開口する角パイプからなるガイド本体１０を備えている（図３（ｂ）参照）。ガイド本体１０は、内側底面の全長に渡る台座部１１が設けられている。ガイドレール１は、ガイド本体１０の台座部１１上に、回転自在な複数のピンローラ１２が略全長に渡って設けられている。ピンローラ１２は、台座部１１に設けられた軸受に回転支持されている。このピンローラ１２上にスライダー２が載置して、ピンローラ１２の回転により、スライダー２のスライド移動が円滑になる。
【００１９】
スライダー２は、下部が開口する角パイプからなるスライダー上部２１と、上部が開口する角パイプからなるスライダー下部２２とを備えている（図３（ａ）参照）。スライダー上部２１とスライダー下部２２とは、連結一体化されており、ガイド本体１０の上部開口に配置されている（図３（ｂ）参照）。スライダー下部２２は、内側底面の略全長に渡る歯車レール２３が設けられている。ガイドレール１に回転支持された歯車１３が、この歯車レール２３に係合するよう構成されている。歯車１３は、ガイド本体１０に回転支持された歯車軸１４を中心にして回転する。スライダー下部２２は、両側板に略全長に渡る長孔部２２ａ，２２ａが設けられており、この長孔部２２ａ，２２ａに歯車軸１４が挿通している。従って、スライダー２がスライド移動する際、スライダー２に設けられた歯車レール２３が移動するので、歯車軸１４が長孔部２２ａに挿通した状態で相対的に移動し、歯車１３が同位置で回転する。そして、歯車軸１４は、ロータリーダンパーからなる制動手段２０に接続されており、歯車１３の回転が抑制された状態で歯車１３と歯車レール２３とが係合するので、スライダー２の急落下（急なスライド移動）を防止することができる。本実施例のロータリーダンパー２０は、スライダー２が下降する時における歯車軸１４の回転については制動し、スライダー２が上昇する時における歯車軸１４の回転については制動しないよう構成されている。これにより、スライダー２を持ち上げる時の力は抑制されない。
【００２０】
図４に示す通り、スライダー２の他端側（図２の右端側）には、一対の車輪２５，２５が設けられている。各車輪２５，２５は、車輪軸２５ａに回転支持されている。車輪軸２５ａは、スライダー２に固定された連結部２５ｂを介して連結されている。各車輪２５，２５は、ガイドレール１のガイド本体１０の内側に位置しており、ピンローラ１２の両側に配置されている。そして、この車輪２５によって、スライダー２がスライド移動する際に、スライダー２の他端側が安定して移動するので、スライダー２の移動をスムーズにすることができる。
【００２１】
図５の如く、連結手段４は、固定部４０及び可動部４１を備えている。固定部４０は、車体９のルーフ上の凹部に係止する第一係止部４０ａと、車体９のサイドウィンドウに係止する第二係止部４０ｂとを有しており、各係止部４０ａ，４０ｂによって車体９に固定される。可動部４１は、固定部４０に対して上下方向に移動可能なよう構成されている。可動部４１の上部には、管部材４２が設けられている。この管部材４２に、ガイドレール１の下部に設けられた差込部材１５を差し込み、ガイドレール１を連結手段４に連結する。従って、車体９の車幅が多少異なる場合でも、差込部材１５を管部材４２に差し込んで連結することができる。そして、固定部４０及び可動部４１は、夫々に貫通する固定螺子孔（図示略）を上下方向に複数個有しており、所望の固定螺子孔に、位置固定ボルト４１ａを螺合することにより、可動部４１の位置を固定して、連結手段４の高さを調整することができる。車体９の幅や高さに応じて、この連結手段４の高さを調整することにより、スライダー２が車体９に近接した状態で昇降可能なよう調整することができる。
【００２２】
この発明は前記した実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、荷台枠を用いず、直接、荷物をスライダーに固定することができる。又、スライダーの制動手段は、バネ、ゴム、油圧等を用いた種々の方式を採用することもできる。そして、連結手段の高さ調整手段が、螺子の回転で上下移動する方式やピニオン・ラック方式等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明に係るスライド式ルーフキャリアを車体に取り付けた状態を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図。
【図２】スライド式ルーフキャリアを示す正面図。
【図３】スライド式ルーフキャリアの一端側を拡大して示しており、（ａ）は正面図、（ｂ）は（ａ）のＩ−Ｉ線断面図。
【図４】スライド式ルーフキャリアの他端側を拡大して示しており、（ａ）は正面図、（ｂ）は（ａ）のＩＩ−ＩＩ線断面図。
【図５】連結手段を示す正面図。
【符号の説明】
【００２４】
１ ガイドレール
２ スライダー
４ 連結手段
９ 車体
９ａ 車体左右方向
９ｂ 車体前後方向
２０ 制動手段
４０，４１ 高さ調整手段
ｃ 中心軸
Ｄ 円弧半径
【技術分野】
【０００１】
本発明は、荷物を載せて運搬するために車体のルーフ上に取り付けられ、荷物の積卸しのためにスライド移動可能なスライド式ルーフキャリアに関する。
【背景技術】
【０００２】
例えば特許文献１及び特許文献２に示す通り、荷物を載せて運搬するために車体のルーフ上に取り付けられ、荷物を積卸しするためにスライド可能なルーフキャリアが提供されている。このルーフキャリアは、車体のルーフ上に取り付けられる固定レールと、この固定レールに沿って移動するスライダーとを有している。スライダーは、荷物を固定するための荷台枠が取り付けられている。そして、荷物の積卸しの際には、荷台枠をスライダーと共に昇降して、車体のサイド及びルーフ上に配置する。
【０００３】
しかし、従来のルーフキャリアは、荷台枠を車体から大きく離れた位置までスライドして引き出して降下する。そのため、車体の近くに歩行者がいたり、走行車輌や障害物等が存在するとき、これらに荷台枠や作業者が接触することがあり非常に危険で作業し難いという問題がある。
【特許文献１】特開２００２−３６９６３号公報
【特許文献２】実用新案登録第２５９９１７９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、車体に近接した状態でスライダー及び荷台枠をスライド移動することができるスライド式ルーフキャリアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
前記した課題を解決するために、本発明に係るスライド式ルーフキャリアは、車体のルーフ上に連結手段を介して取り付けられるスライド式ルーフキャリアであって、車体左右方向に延在し車体前後方向に間隔を置いて配設されるガイドレールと、このガイドレールに支持されて案内されるスライダーとを備えており、ガイドレール及びスライダーの全体が、車体前後方向を中心軸とした円弧状に湾曲して形成され、スライダーがガイドレールに沿って車体に近接した状態でスライド移動可能なよう構成されている。
スライダーが車体に近接した状態とは、スライダーと車体との距離が４０ｃｍ乃至６０ｃｍ程度しか離れない状態をいう。
【０００６】
好ましくは、ガイドレール及びスライダーの円弧半径が、９０ｃｍ乃至１２０ｃｍである。
【０００７】
好ましくは、ガイドレールは、スライダーのスライド移動を制動するための手段を備えている。
【０００８】
好ましくは、連結手段はガイドレールの高さを調整するための手段を備えている。
【０００９】
更に好ましくは、制動手段がロータリーダンパーである。
【発明の効果】
【００１０】
本発明に係るスライド式ルーフキャリアは、前記したように構成されており、ガイドレールと、このガイドレールに沿ってスライドするスライダーとが円弧状に湾曲している。そして、このガイドレールとスライダーの円弧半径が、スライダーを車体に近接させた状態でスライド移動できるよう構成されているので、近くに歩行者がいる歩道等であっても、スライダーに取り付けられた荷台枠が歩行者や障害物等に接触することなく、荷物を積卸しすることができる。これにより、作業者や周囲の危険性が減り、非常に作業し易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係るスライド式ルーフキャリアの一実施例について詳細に説明する。
【００１２】
図１は、本発明に係るスライド式ルーフキャリアを車体に取り付けた状態を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図である。図２は、スライド式ルーフキャリアを示す正面図である。図３は、スライド式ルーフキャリアの一端側を拡大して示しており、（ａ）は正面図、（ｂ）は（ａ）のＩ−Ｉ線断面図である。図４は、スライド式ルーフキャリアの他端側を拡大して示しており、（ａ）は正面図、（ｂ）は（ａ）のＩＩ−ＩＩ線断面図である。図５は、連結手段を示す正面図である。
【００１３】
図１に示す通り、本発明に係るスライド式ルーフキャリアは、車体９のルーフ上に連結手段４を介して取り付けられる。スライド式ルーフキャリアは、一対のガイドレール１，１を備えている。ガイドレール１，１は、車体左右方向９ａに延在しており（図１（ａ）参照）、車体前後方向９ｂに間隔を置いて配設されている（図１（ｂ）参照）。スライド式ルーフキャリアは、各ガイドレール１に支持され案内されるスライダー２を備えている。
【００１４】
図１（ａ）の如く、スライダー２は、支持部材３０を介して荷台枠３が取り付けられている。荷台枠３は、各スライダー２に掛け渡され、車体９のルーフ上に配置される際に、水平状態になるよう取り付けられている。ガイドレール１及びスライダー２は、車体前後方向９ｂを中心軸ｃとする円弧状に湾曲して形成されている。従って、スライダー２は、この中心軸ｃを中心としてガイドレール１に沿ってスライド移動する。スライダー２は、車体９のルーフ上（以下、第一位置という。）と、車体９のサイド（以下、第二位置という。）との間を昇降移動する。スライダー２を第二位置まで下降して、荷台枠３を作業し易い位置まで下ろして荷卸しする（図１（ａ）の二点鎖線で示す。）。
【００１５】
ガイドレール１及びスライダー２の円弧半径は、スライダー２が車体９に近接した状態で昇降可能なように構成されている。即ち、図１（ａ）の二点鎖線で示すように、車体９のサイドとスライダー２との距離Ｗが４０ｃｍ乃至６０ｃｍ程度しか離れずに、スライダー２を昇降可能な状態をいう。これにより、車体９の近くに歩行者や走行車輌等が存在する場合でも、スライダー２を車体９に近接した状態で昇降できるので、荷台枠３から荷物を安全に荷卸しすることができる。
【００１６】
図２に示す通り、ガイドレール１及びスライダー２の円弧半径Ｄは、９０ｃｍ乃至１２０ｃｍ程度である。前記したように、ガイドレール１は、車体９のルーフ上に連結されており、このガイドレール１に沿って、スライダー２がスライド移動して昇降するよう構成されている。後述で詳細に説明するように、このスライド式ルーフキャリアは、ロック機構５を備えている。このロック機構５は、スライダー２を第一位置に固定するためのものである。車体９を走行する時は、ロック機構５をロックしてスライダー２及び荷台枠３をガイドレール１に固定して、スライダー２を昇降する時は、ロック機構５を解除してスライダー２を昇降移動する。更に、スライド式ルーフキャリアは、制動手段２０を備えている。この制動手段２０は、スライダー２のスライド移動を制動して、急落下（急移動）を防止するためのものである。
【００１７】
図３（ａ）に示す通り、スライド式ルーフキャリアの一端側（図２の左端側）に、ロック機構５が設けられている。ロック機構５はフック体５０を有している。フック体５０は、スライダー２に対して回転自在な回転軸５０ａに軸支されている。フック体５０は、ガイドレール１に設けられた掛止部５１に掛止できるようになっている。従って、スライダー２を第一位置に固定するとき、フック体５０を掛止部５１に掛止して、ガイドレール１に固定する。回転軸５０ａには、スプリング部材（図示略）が設けられており、このスプリング部材によって、常時ではフック体５０が掛止部５１に掛止する状態に位置するように弾性制動されている。そして、スライダー２を第二位置へ移動するとき、フック体５０を回転して掛止部５１から解除し（図３（ａ）の二点鎖線で示す。）、スライダー２をガイドレール１に沿ってスライド移動する。
【００１８】
ガイドレール１は、上部が開口する角パイプからなるガイド本体１０を備えている（図３（ｂ）参照）。ガイド本体１０は、内側底面の全長に渡る台座部１１が設けられている。ガイドレール１は、ガイド本体１０の台座部１１上に、回転自在な複数のピンローラ１２が略全長に渡って設けられている。ピンローラ１２は、台座部１１に設けられた軸受に回転支持されている。このピンローラ１２上にスライダー２が載置して、ピンローラ１２の回転により、スライダー２のスライド移動が円滑になる。
【００１９】
スライダー２は、下部が開口する角パイプからなるスライダー上部２１と、上部が開口する角パイプからなるスライダー下部２２とを備えている（図３（ａ）参照）。スライダー上部２１とスライダー下部２２とは、連結一体化されており、ガイド本体１０の上部開口に配置されている（図３（ｂ）参照）。スライダー下部２２は、内側底面の略全長に渡る歯車レール２３が設けられている。ガイドレール１に回転支持された歯車１３が、この歯車レール２３に係合するよう構成されている。歯車１３は、ガイド本体１０に回転支持された歯車軸１４を中心にして回転する。スライダー下部２２は、両側板に略全長に渡る長孔部２２ａ，２２ａが設けられており、この長孔部２２ａ，２２ａに歯車軸１４が挿通している。従って、スライダー２がスライド移動する際、スライダー２に設けられた歯車レール２３が移動するので、歯車軸１４が長孔部２２ａに挿通した状態で相対的に移動し、歯車１３が同位置で回転する。そして、歯車軸１４は、ロータリーダンパーからなる制動手段２０に接続されており、歯車１３の回転が抑制された状態で歯車１３と歯車レール２３とが係合するので、スライダー２の急落下（急なスライド移動）を防止することができる。本実施例のロータリーダンパー２０は、スライダー２が下降する時における歯車軸１４の回転については制動し、スライダー２が上昇する時における歯車軸１４の回転については制動しないよう構成されている。これにより、スライダー２を持ち上げる時の力は抑制されない。
【００２０】
図４に示す通り、スライダー２の他端側（図２の右端側）には、一対の車輪２５，２５が設けられている。各車輪２５，２５は、車輪軸２５ａに回転支持されている。車輪軸２５ａは、スライダー２に固定された連結部２５ｂを介して連結されている。各車輪２５，２５は、ガイドレール１のガイド本体１０の内側に位置しており、ピンローラ１２の両側に配置されている。そして、この車輪２５によって、スライダー２がスライド移動する際に、スライダー２の他端側が安定して移動するので、スライダー２の移動をスムーズにすることができる。
【００２１】
図５の如く、連結手段４は、固定部４０及び可動部４１を備えている。固定部４０は、車体９のルーフ上の凹部に係止する第一係止部４０ａと、車体９のサイドウィンドウに係止する第二係止部４０ｂとを有しており、各係止部４０ａ，４０ｂによって車体９に固定される。可動部４１は、固定部４０に対して上下方向に移動可能なよう構成されている。可動部４１の上部には、管部材４２が設けられている。この管部材４２に、ガイドレール１の下部に設けられた差込部材１５を差し込み、ガイドレール１を連結手段４に連結する。従って、車体９の車幅が多少異なる場合でも、差込部材１５を管部材４２に差し込んで連結することができる。そして、固定部４０及び可動部４１は、夫々に貫通する固定螺子孔（図示略）を上下方向に複数個有しており、所望の固定螺子孔に、位置固定ボルト４１ａを螺合することにより、可動部４１の位置を固定して、連結手段４の高さを調整することができる。車体９の幅や高さに応じて、この連結手段４の高さを調整することにより、スライダー２が車体９に近接した状態で昇降可能なよう調整することができる。
【００２２】
この発明は前記した実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、荷台枠を用いず、直接、荷物をスライダーに固定することができる。又、スライダーの制動手段は、バネ、ゴム、油圧等を用いた種々の方式を採用することもできる。そして、連結手段の高さ調整手段が、螺子の回転で上下移動する方式やピニオン・ラック方式等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明に係るスライド式ルーフキャリアを車体に取り付けた状態を示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図。
【図２】スライド式ルーフキャリアを示す正面図。
【図３】スライド式ルーフキャリアの一端側を拡大して示しており、（ａ）は正面図、（ｂ）は（ａ）のＩ−Ｉ線断面図。
【図４】スライド式ルーフキャリアの他端側を拡大して示しており、（ａ）は正面図、（ｂ）は（ａ）のＩＩ−ＩＩ線断面図。
【図５】連結手段を示す正面図。
【符号の説明】
【００２４】
１ ガイドレール
２ スライダー
４ 連結手段
９ 車体
９ａ 車体左右方向
９ｂ 車体前後方向
２０ 制動手段
４０，４１ 高さ調整手段
ｃ 中心軸
Ｄ 円弧半径
【特許請求の範囲】
【請求項１】
車体（９）のルーフ上に連結手段（４）を介して取り付けられるスライド式ルーフキャリアであって、車体左右方向（９ａ）に延在し車体前後方向（９ｂ）に間隔を置いて配設されるガイドレール（１）と、このガイドレール（１）に支持されて案内されるスライダー（２）とを備え、前記ガイドレール（１）及び前記スライダー（２）の全体が、車体前後方向（９ｂ）を中心軸（ｃ）とした円弧状に湾曲して形成されており、前記スライダー（２）が前記ガイドレール（１）に沿って車体（９）に近接した状態でスライド移動可能なよう構成されていることを特徴とするスライド式ルーフキャリア。
【請求項２】
前記ガイドレール（１）及び前記スライダー（２）の円弧半径（Ｄ）が、９０ｃｍ乃至１２０ｃｍであることを特徴とする請求項１に記載のスライド式ルーフキャリア。
【請求項３】
前記ガイドレール（１）は、前記スライダー（２）のスライド移動を制動するための手段（２０）を備えていることを特徴とする請求項１に記載のスライド式ルーフキャリア。
【請求項４】
前記連結手段（４）は、前記ガイドレール（１）の高さを調整するための手段（４０，４１）を備えていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のスライド式ルーフキャリア。
【請求項５】
前記制動手段（２０）が、ロータリーダンパーであることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載のスライド式ルーフキャリア。
【請求項１】
車体（９）のルーフ上に連結手段（４）を介して取り付けられるスライド式ルーフキャリアであって、車体左右方向（９ａ）に延在し車体前後方向（９ｂ）に間隔を置いて配設されるガイドレール（１）と、このガイドレール（１）に支持されて案内されるスライダー（２）とを備え、前記ガイドレール（１）及び前記スライダー（２）の全体が、車体前後方向（９ｂ）を中心軸（ｃ）とした円弧状に湾曲して形成されており、前記スライダー（２）が前記ガイドレール（１）に沿って車体（９）に近接した状態でスライド移動可能なよう構成されていることを特徴とするスライド式ルーフキャリア。
【請求項２】
前記ガイドレール（１）及び前記スライダー（２）の円弧半径（Ｄ）が、９０ｃｍ乃至１２０ｃｍであることを特徴とする請求項１に記載のスライド式ルーフキャリア。
【請求項３】
前記ガイドレール（１）は、前記スライダー（２）のスライド移動を制動するための手段（２０）を備えていることを特徴とする請求項１に記載のスライド式ルーフキャリア。
【請求項４】
前記連結手段（４）は、前記ガイドレール（１）の高さを調整するための手段（４０，４１）を備えていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のスライド式ルーフキャリア。
【請求項５】
前記制動手段（２０）が、ロータリーダンパーであることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載のスライド式ルーフキャリア。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００７−１１２３４６（Ｐ２００７−１１２３４６Ａ）
【公開日】平成１９年５月１０日（２００７．５．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−３０７３３０（Ｐ２００５−３０７３３０）
【出願日】平成１７年１０月２１日（２００５．１０．２１）
【出願人】（３０３０６３５４０）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年５月１０日（２００７．５．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年１０月２１日（２００５．１０．２１）
【出願人】（３０３０６３５４０）
【Ｆターム（参考）】
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