説明

スライド式携帯端末

【課題】ガタや口開きを抑制することができるスライド式携帯端末を提供すること。
【解決手段】本発明のスライド式携帯端末は、表示部を有する上筐体と、操作部を有する下筐体と、前記上筐体と前記下筐体とをスライド移動により開閉させるための連結部と、を備え、前記下筐体の前記上筐体に対向する面に対して、前記連結部のスライド方向が、開状態から閉状態へ向かう方向かつ下方向となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド式携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007−295115号公報(以下、特許文献1と記載)で開示されているスライド式の携帯端末では、上筐体のリアケースのレール溝や、下筐体のフロントケースのレール溝に、上下筐体間の隙間を一定に保つことができるサスペンション機構を備える。
【0003】
【特許文献1】特開2007−295115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のサスペンション機構は、上下筐体間の隙間を一定に保つことができても、各筐体のバラツキや下筐体の内圧によって発生するガタ、又は閉状態において下筐体に対して上筐体が離れる口開きを抑制することは難しい。
【0005】
本発明の目的は、ガタや口開きを抑制することができるスライド式携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表示部を有する上筐体と、操作部を有する下筐体と、前記上筐体と前記下筐体とをスライド移動により開閉させるための連結部と、を備え、前記下筐体の前記上筐体に対向する面に対して、前記連結部のスライド方向が、開状態から閉状態へ向かう方向かつ下方向 となるスライド式携帯端末を提供する。
【0007】
上記スライド式携帯端末では、前記上筐体の前記下筐体に対向する面及び前記下筐体の前記上筐体に対向する面は、前記開状態から前記閉状態へ向かう前記方向に沿って、所定の曲率を有し、前記連結部の前記上筐体に対向する面及び前記連結部の前記下筐体に対向する面は、前記開状態から前記閉状態へ向かう前記方向に沿って、前記所定の曲率とは異なる曲率を有する。
【0008】
上記スライド式携帯端末では、前記上筐体の前記下筐体に対向する面及び前記下筐体の前記上筐体に対向する面は、前記開状態から前記閉状態へ向かう前記方向に沿って、所定の曲率を有し、前記上筐体の前記下筐体に対向する面の円弧中心の位置が、前記下筐体の前記上筐体に対向する面の円弧中心の位置に対して、前記開状態から前記閉状態へ向かう前記方向でずれている。
【0009】
上記スライド式携帯端末では、前記上筐体の前記下筐体に対向する面及び前記下筐体の前記上筐体に対向する面、並びに、前記連結部の前記上筐体に対向する面及び前記連結部の前記下筐体に対向する面は平面である。
【0010】
上記スライド式携帯端末では、前記連結部は、前記上筐体の前記下筐体に対向する面に固定される第1連結部と、前記下筐体の前記上筐体に対向する面に固定される第2連結部とを有し、前記下筐体の前記上筐体に対向する面に対して、前記第2連結部に対する前記第1連結部のスライド方向が、開状態から閉状態へ向かう方向かつ下方向 となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るスライド式携帯端末によれば、ガタや口開きを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1を参照し、実施の形態1に係るスライド式携帯端末の一例として、携帯電話100の構成を説明する。図1は、携帯電話100の分解斜視図である。携帯電話100は、上筐体110と、下筐体130と、スライドユニット120と、を備える。
【0014】
上筐体110(本発明でいう、上筐体)は、略直方体であるが、その下面113は下向きに凸状で、上筐体110の長辺方向(図1のX軸方向)に沿って曲率Aを有する。また、その上面112には、携帯電話100の各種機能を表示する表示部111を備える。上筐体110の下面113の曲率Aは、後述する、下筐体130の上面133の曲率B及びスライダ124の上面125 及び下面126 の曲率Cと、ほぼ一致する。
【0015】
スライドユニット120(本発明でいう、連結部)は、図1のX軸方向に沿って延びる、ガイドレール121と、スライダ122と、を備える。
【0016】
スライダ122は、その上面123が上筐体110の下面113の一部に固定され、上筐体110と一体となって移動する。そして、図1のX軸方向に沿うスライダ122の両端には、折り曲げ加工された折り曲げ部124 が形成されている。折り曲げ部124 は、ガイドレール121に嵌合する。また、折り曲げ部124の上面125 及び下面126 は、図1のX軸方向に沿って、所定の曲率Cを有している。折り曲げ部124の上面125 及び下面126 の曲率Cは、上筐体110の下面113の曲率Aとほぼ一致する。
【0017】
ガイドレール121は、下筐体130の固定部132に固定される。ガイドレール121は、折り曲げ部124と嵌合することで、図1のX軸方向に沿って、上筐体110と一体となったスライダ122を案内する。
上述のような構成を有するスライダ122に固定された上筐体110は、下筐体130の固定部132に固定されたガイドレール121に対して、所定の曲率Cに沿って移動(以下、円弧スライド移動という)する。
【0018】
下筐体130(本発明でいう、下筐体)は、その上面133(本発明でいう、下筐体の上筐体に対向する面)に、操作部131と、固定部132と、を備える。
【0019】
操作部131は、ユーザの操作によって、表示部111に表示される携帯電話100の各種機能を実現する。固定部132は、スライドユニット120のガイドレール121を固定する。下筐体130の上面133は、所定の曲率Bを有し、上向きに凹状になっている。曲率Bは、上述した上筐体110の下面113の曲率Aとほぼ一致する。
【0020】
次に、図2及び図3を参照し、携帯電話100の2つの状態を説明する。図2は、開状態の携帯電話100の正面視図であり、図3は、閉状態の携帯電話100の正面視図である。図2、図3に示すX軸は、図1に示すX軸と同じである。
【0021】
図2に示すように、携帯電話100が開状態のとき、上筐体110の表示部111と、下筐体130の操作部131とが正面から見える。ユーザは、操作部131を操作することで、表示部111に表示される携帯電話100の各種機能を実現する。図3に示すように、携帯電話100が閉状態のとき、下筐体130が上筐体110に重なり、上筐体110の表示部111のみが正面から見える。
【0022】
上述のように、携帯電話100は、上筐体110が、スライドユニット120を介して、下筐体130に対して、図2、図3に示すX軸方向に沿って円弧スライド移動することで、図2に示す開状態と図3に示す閉状態との2つの状態の間を遷移する。
【0023】
次に、携帯電話100が、2つの状態を遷移する様子について、図4、図5を参照して説明する。図4は、開状態の携帯電話100の側面図を示し、図5は、閉状態の携帯電話100の側面図を示す。なお、図4、図5では、上筐体110及び下筐体130の動きを説明するために、上筐体110及び下筐体130のみを図示し、スライドユニット120を図示しない。また、図4、5に示すX軸は、図1に示すX軸と同じである。Y軸は、略鉛直な方向であり、X軸に対して略垂直である。
【0024】
ここで、本発明の実施の形態1に係るスライド式携帯端末のひとつの特徴として、図4に示すように、上筐体110の下面113の円弧中心Mと、下筐体130の上面133の円弧中心Nとが、図4に示すX軸方向においてずれている。
【0025】
図4で、携帯電話100が2つの状態を遷移するとき、上筐体130の下面113の軌跡を点線Fで示す。同様に、携帯電話100が2つの状態を遷移するとき、上筐体110に対して下筐体130の上面133の仮想的な軌跡を点線Gで示す。また、各筐体のバラツキや下筐体130の内圧によって発生する上筐体110と下筐体130との間の隙間S1を、斜線部で示す。
【0026】
図4に示すように、点線Fが点線Gと交わっている。そのため、隙間S1が、携帯電話100が開状態から閉状態に遷移するまでに、徐々に狭くなっている。これは、携帯電話100が開状態から閉状態に遷移する間、上筐体110が下筐体130に対して、図4に示すX軸方向へ円弧スライド移動して、隙間S1が徐々に狭くなっているからである。
【0027】
そして、図5に示す閉状態で、携帯電話100のガタや、下筐体130の端部で下筐体130に対して上筐体110が離れる口開きを抑制することができる。これは、図5に示す方向に、スライダ122を押す力F1が、開状態から閉状態に携帯電話100が遷移するまで常に加わっているからである。この力F1は、上筐体110の下面113の円弧中心Dと下筐体130の上面133の円弧中心Eとが、図4に示すX軸方向においてずれていることで発生する。
【0028】
また、力F1は、図5に示すX軸方向の成分F1と、Y軸方向の成分F1とに分解できる。図5に示すX軸方向は、携帯電話100が開状態から閉状態へ遷移する方向であり、図5に示すY軸方向は、略鉛直方向である。言い換えると、上筐体110と一体となったスライダ120(本発明でいう、連結部)のスライド方向が、携帯電話100の開状態から閉じる状態へ向う方向の成分と、略鉛直な方向の成分とで構成されている。
したがって、実施の形態1に係るスライド式携帯端末では、携帯電話100のガタや口開きを抑制することができる。
【0029】
(変形例1)
また、図4に示すように各筐体の円弧中心が描く軌跡を実現するために、上筐体110の下面113の円弧中心Mと下筐体130の上面133の円弧中心Nとを、携帯電話100の長手方向においてずらしているが、これに限らない。例えば、実施の形態1の携帯電話100において、携帯電話100が閉状態のときに、上筐体110の下面113の円弧中心Mと下筐体130の上面133の円弧中心Nとを一致させておき、スライドユニット120の円弧中心Lを、円弧中心D、Eと異ならせるように構成することで、閉状態において、携帯電話100のガタや下筐体130の端部で下筐体130に対して上筐体110が離れる口開きを抑制することができる。なお、変形例1の携帯電話の上述した構成以外は、実施の形態1の携帯電話100と同じであり、その説明を省略する。
【0030】
(変形例2)
また、図4に示すように各筐体の円弧中心が描く軌跡を実現するために、上筐体110の下面113の円弧中心Mと下筐体130の上面133の円弧中心Nとを、携帯電話100の長手方向においてずらしているが、これに限らない。例えば、携帯電話100において、上筐体110の下面113の円弧中心Mと下筐体130の上面133の円弧中心Nとを、図4に示すX軸方向にずらさずに、上筐体110の下面113の曲率Aを下筐体130の上面133の曲率Bと異ならせることで、閉状態において、携帯電話100のガタや下筐体130の端部で下筐体130に対して上筐体110が離れる口開きを抑制することができる。なお、変形例1の携帯電話の上述した構成以外は、実施の形態1の携帯電話100と同じであり、その説明を省略する。
【0031】
(実施の形態2)
図6を参照し、実施の形態2に係るスライド式携帯端末の一例として、携帯電話200の構成を説明する。図6は、携帯電話200の分解斜視図である。実施の形態2の携帯電話200が実施の形態1の携帯電話100と異なる点は、上筐体210の下面213の曲率Aと、曲率Aとほぼ一致する下筐体230の上面233の曲率Bとが、折り曲げ部224の上面225 及び下面226 の曲率Cよりも小さいことである。
携帯電話200は、上筐体210と、下筐体230と、スライドユニット220とから構成される。
【0032】
上筐体210(本発明でいう、上筐体)は、略直方体であるが、その下面213は下向きに凸状であり、上筐体210の長辺方向(図1のX軸方向)に沿って曲率Aを有する。また、その上面112には、携帯電話200の各種機能を表示する表示部111を備える。なお、上筐体210の下面213の曲率Aは、後述する、上向きに凹状に形成された下筐体230の上面233の曲率Bとほぼ一致する。
【0033】
スライドユニット220(本発明でいう、連結部)は、図6のX軸方向に沿って延びる、ガイドレール121とスライダ222とを備える。
【0034】
スライダ222は、その上面223が上筐体210の下面213の一部に固定され、上筐体210と一体となって移動する。そして、スライダ222の長辺には、その全長に亘って折り曲げ加工された折り曲げ部224が形成されている。折り曲げ部224 が、ガイドレール121 に嵌合する。また、折り曲げ部124 の上面225 及び下面226 は、図6のX軸方向に沿って、所定の曲率Cを有している。スライダ折り曲げ部224 の上面225 及び下面226 の曲率Cは、上筐体210の下面213の曲率Aよりも大きい。
【0035】
ガイドレール121は、下筐体230の固定部132に固定される。ガイドレール121は、折り曲げ部224と嵌合することで、図6のX軸方向に沿って、上筐体210と一体となったスライダ222を案内する。
上述のような構成を有するスライダ222に固定された上筐体210は、下筐体230の固定部132に固定されたガイドレール121に対して、所定の曲率Cに沿って移動(以下、円弧スライド移動と記載)する。
【0036】
下筐体230(本発明でいう、下筐体)は、その上面233(本発明でいう、下筐体の上筐体に対向する面)に、操作部131と、固定部132と、を備える。
【0037】
操作部131は、ユーザの操作によって、表示部111に表示される携帯電話200の各種機能を実現する。固定部132は、スライドユニット220のガイドレール121を固定する。下筐体230の上面233は、所定の曲率Bを有し、上向きに凹状になっている。曲率Bは、上述した上筐体210の下面213の曲率Aとほぼ一致する。
【0038】
次に、図7、8を参照して、折り曲げ部224の上面225 及び下面226 の曲率Cと、下筐体230の上面233の所定の曲率Bと、を比較する。図7は、携帯電話200の分解側面視図であり、図8は図7のスライドユニット220の構成を省略した図である。
【0039】
図7の2点鎖線Hは、折り曲げ部224 の上面225 及び下面226 の曲率Cを示し、図7の2点鎖線Iは、下筐体230の上面233の曲率Bを示す。また、図8に示すように、携帯電話200では、折り曲げ部224 の上面225 及び下面226 の曲率C(図8の2点鎖線H)は、下筐体230の上面233の曲率B(図8の2点鎖線I)よりも大きい。
【0040】
次に、図9及び図10を参照し、携帯電話200の2つの状態を説明する。図9は、開状態の携帯電話200の正面視図であり、図10は、閉状態の携帯電話200の正面視図である。図9、10に示すX軸は、図6に示すX軸と同じである。
【0041】
図9に示すように、携帯電話200が開状態のとき、上筐体210の表示部111と、下筐体230の操作部131とが正面から見える。ユーザは、操作部131を操作することで、表示部111に表示される携帯電話200の各種機能を実現する。また、図10に示すように、携帯電話200が閉状態のとき、下筐体230が上筐体210に重なり、上筐体210の表示部111のみが正面から見える。
【0042】
上述のように、携帯電話200の状態は、上筐体210が、スライドユニット220を介して、下筐体230に対して図9、10に示すX軸方向に沿って円弧スライド移動することで、図9に示す開状態と図10に示す閉状態とのの2つの状態の間を遷移する。
【0043】
次に、携帯電話200が2つの状態を遷移する様子について、図11、図12を参照して説明する。図11は、開状態の携帯電話200の側面図を示し、図12は、閉状態の携帯電話200の側面図を示す。なお、図11、図12では、上筐体210及び下筐体230の動きを説明するために、上筐体210及び下筐体230のみを図示し、スライドユニット220を図示しない。また、図11、12に示すX軸は、図6に示すX軸と同じである。Y軸は、略鉛直な方向であり、X軸に対して略垂直である。
【0044】
ここで、実施の形態2に係るスライド式携帯端末のひとつの特徴として、上述のように、携帯電話200では、折り曲げ部224の上面225 及び下面226 の曲率Cが、下筐体230の上面233は、所定の曲率B(及び曲率A)よりも大きい。
【0045】
図11で、携帯電話200が2つの状態を遷移するとき、上筐体210の下面213の軌跡を点線Jで示す。同様に、携帯電話200が2つの状態を遷移するとき、上筐体210に対して下筐体230の上面233の仮想的な軌跡を点線Kで示す。また、各筐体のバラツキや下筐体230の内圧によって発生する上筐体210と下筐体230との間の隙間Sを、斜線部で示す。
【0046】
図11に示すように、点線Jが点線Kと交わっている。そのため、隙間Sが、携帯電話200が開状態から閉状態に遷移するまでに、徐々に狭くなっている。これは、携帯電話200が開状態から閉状態に遷移する間、上筐体210が下筐体230に対して、図11に示すX軸方向へ円弧スライド移動して、隙間Sが徐々に狭くなっているからである。
【0047】
そして、図12に示す閉状態で、携帯電話200のガタや、下筐体230の端部で下筐体230に対して上筐体210が離れる口開きを抑制することができる。これは、図12に示す方向に、スライダ122を押す力F2が、開状態から閉状態に携帯電話200が遷移するまで常に加わっているからである。この力F2は、上筐体210と一体となって円弧スライド移動する折り曲げ部224の上面225 及び下面226 の曲率Cが、下筐体230の上面233は、所定の曲率B(及び曲率A)よりも大きいことで発生する。
【0048】
また、力F2は、図12に示すX軸方向の成分F2と、Y軸方向の成分F2とに分解できる。図12に示すX軸方向は、携帯電話200が開状態から閉状態へ遷移する方向であり、図12に示すY軸方向は、略鉛直方向である。言い換えると、上筐体210と一体となったスライダ220(本発明でいう、連結部)のスライド方向が、携帯電話200の開状態から閉じる状態へ向う方向の成分と、略鉛直な方向の成分とで構成されている。
したがって、実施の形態2に係るスライド式携帯端末では、携帯電話200のガタや口開きを抑制することができる。
【0049】
(実施の形態3)
図13を参照し、実施の形態3に係るスライド式携帯端末の一例である、携帯電話300の構成を説明する。図13は、携帯電話300の分解斜視図である。実施の形態3に係る携帯電話300が実施の形態2に係る携帯電話200と異なる点は、上筐体310の下面313及び下筐体330の上面333が曲率を持たない平面である点である。この点以外は実施の形態2と同様であり、図13において、図7と共通する構成要素には同じ参照符号が付されている。
携帯電話300は、上筐体310と、下筐体330と、スライドユニット220とから構成される。
【0050】
上筐体310(本発明でいう、上筐体)は、略直方体である。上筐体310の上面112には、携帯電話300の各種機能を表示する表示部111を備える。上筐体310の下面313は、曲率を持たない平面である。
【0051】
スライドユニット220(本発明でいう、連結部)は、図13のX軸方向に沿って延びる、ガイドレール121とスライダ222とを備える。
【0052】
スライダ222は、その上面223が上筐体310の下面313の一部に固定され、上筐体310と一体となって移動する。そして、スライダ222の長辺には、その全長に亘って折り曲げ加工された、折り曲げ部224が形成されている。折り曲げ部224が、ガイドレール121に嵌合する。また、折り曲げ部224 の上面225 及び下面226 は、図13のX軸方向に沿って、所定の曲率Cを有している。
【0053】
ガイドレール121は、下筐体330の固定部132に固定される。ガイドレール121は、折り曲げ部225 と嵌合することで、図13のX軸方向に沿って、上筐体310と一体となったスライダ222を案内する。
上述のような構成を有するスライダ222に固定された上筐体310は、下筐体330の固定部132に固定されたガイドレール121に対して、所定の曲率Cに沿って移動(以下、円弧スライド移動と記載)する。
【0054】
下筐体330(本発明でいう、下筐体)は、その上面333(本発明でいう、下筐体の上筐体に対向する面)に、操作部131と、固定部132と、を備える。下筐体330の上面333は、曲率を持たない平面である。
【0055】
操作部131は、ユーザの操作によって、表示部111に表示される携帯電話300の各種機能を実現する。固定部132は、スライドユニット220のガイドレール121を固定する。
【0056】
図14は、携帯電話300の分解側面視図である。図14の2点鎖線Qで示すように、折り曲げ部224 の上面225 及び下面226 は、曲率Cを有する。一方、上筐体310の下面313及び下筐体330の上面333は、曲率を持たない平面である。
【0057】
次に、図15及び図16を参照し、携帯電話300の2つの状態を説明する。図15は、開状態の携帯電話300の正面視図であり、図16は、閉状態の携帯電話300の正面視図である。図15、16に示すX軸は、図13に示すX軸と同じである。
【0058】
図15に示すように、携帯電話300が開状態のとき、上筐体310の表示部111と、下筐体330の操作部131とが正面から見える。ユーザは、操作部131を操作することで、表示部111に表示される携帯電話300の各種機能を実現する。また、図16に示すように、携帯電話300が閉状態のとき、下筐体330が上筐体310に重なり、上筐体310の表示部111のみが正面から見える。
【0059】
上述のように、携帯電話300の状態は、上筐体310が、スライドユニット220を介して、下筐体330に対して図15、16に示すX軸方向に沿って、円弧スライド移動することで、開状態(図15)及び閉状態(図16)の2つの状態の間を遷移する。
【0060】
次に、携帯電話300が2つの状態を遷移する様子について、図17、図18を参照して説明する。図17は、開状態の携帯電話300の側面図を示し、図18は、閉状態の携帯電話300の側面図を示す。なお、図17、図18では、上筐体310及び下筐体330の動きを説明するために、上筐体310及び下筐体330のみを図示し、スライドユニット220を図示しない。また、図17、18に示すX軸は、図13に示すX軸と同じ方向である。Y軸は、略鉛直な方向であり、X軸に対して略垂直である。
【0061】
ここで、実施の形態3に係るスライド式携帯端末のひとつの特徴として、上述のように、携帯電話300では、折り曲げ部224の上面225 及び下面226 が、曲率Cを有し、上筐体310の下面313と、下筐体330の上面333とは、曲率を持たない平面である。
【0062】
図17で、携帯電話300が2つの状態を遷移するとき、上筐体310がスライダ222と一体となって動く軌跡を点線Rで示す。また、各筐体のバラツキや下筐体330の内圧によって発生する上筐体310と下筐体330との間の隙間Sを、斜線部で示す。
【0063】
図17に示すように、点線Rは、携帯電話300が閉じ状態へ遷移するにつれて、下筐体330の上面333に近づいている。そのため、隙間Sが、携帯電話300が開状態から閉状態に遷移するまでに、徐々に狭くなっている。これは、携帯電話300が開状態から閉状態に遷移する間、上筐体310が下筐体330に対して、図17に示すX軸方向へ円弧スライド移動して、隙間Sが徐々に狭くなっているからである。
【0064】
そして、図18に示す閉状態では、携帯電話300のガタや、下筐体330の端部で、下筐体330に対して上筐体310が離れる口開きを抑制することができる。これは、図18に示す方向に、スライダ122を押す力F3が、開状態から閉状態に携帯電話300が遷移するまで常に加わっているからである。この力F3は、折り曲げ部224 の上面225 及び下面226 が曲率Cを有し、かつ上筐体310の下面313と下筐体330の上面333とが曲率を持たない平面であることに起因して発生する。
【0065】
また、力F3は、図18に示すX軸方向の成分F3と、Y軸方向の成分F3とに分解できる。図18に示すX軸方向は、携帯電話300が開状態から閉状態へ遷移する方向であり、図18に示すY軸方向は、略鉛直方向である。言い換えると、上筐体310と一体となったスライダ220(本発明でいう、連結部)のスライド方向が、携帯電話300の開状態から閉じる状態へ向う方向の成分と、略鉛直な方向の成分とで構成されている。
したがって、実施の形態3に係るスライド式携帯端末では、携帯電話300のガタや口開きを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係るスライド式携帯端末は、ガタや口開きを抑制することができる効果を有し、携帯電話等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】携帯電話100の分解斜視図。
【図2】携帯電話100が開状態のときの正面視図。
【図3】携帯電話100が閉状態のときの正面視図。
【図4】開状態の携帯電話100の側面図。
【図5】閉状態の携帯電話100の側面図。
【図6】携帯電話200の分解斜視図。
【図7】携帯電話200の分解側面視図。
【図8】図7のスライドユニット220の構成を省略した図。
【図9】開状態の携帯電話200の正面視図。
【図10】閉状態の携帯電話200の正面視図。
【図11】開状態の携帯電話200の側面図。
【図12】閉状態の携帯電話200の側面図。
【図13】携帯電話300の分解斜視図。
【図14】携帯電話300の分解側面視図。
【図15】開状態の携帯電話300の正面視図
【図16】閉状態の携帯電話300の正面視図
【図17】開状態の携帯電話300の側面図
【図18】閉状態の携帯電話300の側面図
【符号の説明】
【0068】
100、200、300 携帯電話
110、210、310 上筐体
112 上面
113、213、313 下面
120、220、 スライドユニット
121 ガイドレール
122、222 スライダ
126、226 下面
124、224 折り曲げ部
130、230、330 下筐体
131 操作部
132 固定部
133、233、333 上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を有する上筐体と、
操作部を有する下筐体と、
前記上筐体と前記下筐体とをスライド移動により開閉させるための連結部と、を備え、
前記下筐体の前記上筐体に対向する面に対して、前記連結部のスライド方向が、開状態から閉状態へ向かう方向かつ下方向 となるスライド式携帯端末。
【請求項2】
前記上筐体の前記下筐体に対向する面及び前記下筐体の前記上筐体に対向する面は、前記開状態から前記閉状態へ向かう前記方向に沿って、所定の曲率を有し、
前記連結部の前記上筐体に対向する面及び前記連結部の前記下筐体に対向する面は、前記開状態から前記閉状態へ向かう前記方向に沿って、前記所定の曲率とは異なる曲率を有する請求項1に記載のスライド式携帯端末。
【請求項3】
前記上筐体の前記下筐体に対向する面及び前記下筐体の前記上筐体に対向する面は、前記開状態から前記閉状態へ向かう前記方向に沿って、所定の曲率を有し、
前記上筐体の前記下筐体に対向する面の円弧中心の位置が、前記下筐体の前記上筐体に対向する面の円弧中心の位置に対して、前記開状態から前記閉状態へ向かう前記方向でずれている請求項1に記載のスライド式携帯端末。
【請求項4】
前記上筐体の前記下筐体に対向する面及び前記下筐体の前記上筐体に対向する面、並びに、前記連結部の前記上筐体に対向する面及び前記連結部の前記下筐体に対向する面は平面である請求項1に記載のスライド式携帯端末。
【請求項5】
前記連結部は、前記上筐体の前記下筐体に対向する面に固定される第1連結部と、前記下筐体の前記上筐体に対向する面に固定される第2連結部とを有し、
前記下筐体の前記上筐体に対向する面に対して、前記第2連結部に対する前記第1連結部のスライド方向が、開状態から閉状態へ向かう方向かつ下方向 となる請求項1に記載のスライド式携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−166345(P2010−166345A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7193(P2009−7193)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】