説明

スライド装置並びにスライド装置を用いた電子機器

【課題】一旦縦方向に迂回スライドさせた後横方向へも迂回スライドでき、始動位置,縦方向迂回スライド位置及び横方向迂回スライド位置の三ポジションに切り替えでき、各ポジションでの回動保持機能やその間の回動付勢機能も容易に設定可能な画期的なスライド装置を提供すること。
【解決手段】第一部材1に重合した第二部材2が、直線的にスライド移動せずに偏心した位置に夫々枢着して水平ワイパー回動する回動板3の回動に対応して迂回スライドする二方向迂回スライド機構6を設け、この回動板3に対して相対回動する相対重合部8を設け、この回動板3上にカム縁9を設け、前記相対重合部8にカム縁9に押圧当接する当接部10を設け、前記相対回動によって前記カム縁9に沿って移動する前記当接部10が係脱自在に係合する係合部12と、この係合部12間に回動付勢カム縁13とをカム縁9に設けたスライド装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば本体部と重合部とを重合面方向にスライド移動自在に重合連結し、互いに重合した閉塞状態から重合部をスライドさせて開放状態とするスライド装置並びにこのスライド装置を用いた携帯電話,モバイルなどの電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば従来の折り畳み式の携帯電話は、数字キーやファンクションキーを配列した操作部を下側となる本体部の上面側に設け、この操作部のキー操作などにより所定の表示がなされる液晶パネルなどのディスプレイ部を上側となる重合部の伏面側(重合側)に設け、この本体部と重合部とをヒンジ装置を介して連結して、本体部と重合部とを二つ折り重合して操作部を重合部により隠蔽した折り畳み閉塞状態から、ヒンジ装置により重合部を起伏回動して反転し、操作部とディスプレイ部とが露出した開放状態に切り替えできるように構成している。
【0003】
そのため、従来このような起伏回動する重合部で本体部の操作部を覆う電子機器においては、折り畳み重合してコンパクト化できるものの操作部を隠蔽した重合状態ではディスプレイ部も隠蔽してしまう構造となり、コンパクト化した状態での使用が制限されざるを得なく不便である場合も多い。
【0004】
また、操作部を操作する場合には、ディスプレイ部を設けた重い重合部を立ち起こし反転回動させなければならず、この開閉動作(特に開放動作)をさせづらい欠点もある。
【0005】
そこで、起伏回動により開閉動作するのではなく、重合面に沿って前後方向に重合部をスライド移動して開閉動作するように構成すれば、重合部の上側面にディスプレイ部を設けることもできるし、また、本体部にディスプレイ部と操作部とを設け、この双方あるいは操作部のみをスライド開閉フリップとなる重合部で覆うことができ、例えば不使用時あるいはキー操作不要時に誤作動防止のために重合部で操作部を覆うことができ、またこの重合閉塞状態においても、言い換えるとたとえ重合部を本体部に重合して操作部を隠蔽したコンパクト化状態においても、ディスプレイ部が上側に露出配設され、ディスプレイ部を視認したり、機能させたりすることが可能となり、また重合した状態から操作部及びディスプレイ部を露出した状態に切り替える場合は、重合面に沿って前後方向に重合部をスライド移動することで行えるため、この開放動作(操作部の露出動作)も非常に容易になえ、機器装置として使用用途が広がり、しかも前記開閉動作も容易となる携帯電話,モバイルなどの電子機器となる。
【0006】
また、このようにスライド開閉方式に構成する場合には、本体部と重合部とをスライド移動自在に連結するスライド装置を用いることになるが、本体部の操作部などの一部や全部を重合部で隠蔽した始動位置と、重合部を位置ズレるように所定方向へスライド移動させて隠蔽していた一部や全部を露出させたスライド位置とで位置決め保持(閉じ付勢や開き付勢あるいはクリック係合)するように構成することが望ましい。
【0007】
しかし、携帯電話やモバイルなどの携帯形で片手で開閉スライドさせる電子機器の場合は特に、持った手の親指で重合部をスライド方向に押動してスライド移動させるため、開閉スライド操作がしづらいし、この操作を単にスムーズにして軽い力で行うことができるようにしたのでは、スライド装置を用いてクリック係合させたり閉じ付勢や開き付勢(スライド付勢)が所定のスライド位置で生じるように構成したり、またロックを外すと一挙に自動的にスライド移動するのではなく手を離した位置で止まりふらつくことなく適度なスライド抵抗によってフリーストップが実現できるように構成することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−186854号公報
【特許文献2】特開2008−85968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、このような問題を解決すべく試行錯誤を繰り返し、単にスライド位置まで単純に直線的にスライド移動させるのは開閉スライド操作しにくいとの前記問題点を見出し、発想の転換を図ってこれを解決し、しかもこれまで通りクリック係合やスライド付勢を生じさせたり、フリーストップなども実現可能な構成であって、且つ容易に手に持った指でスムーズに指に大きな負担をかけることなく開閉スライド移動させることが可能な画期的なスライド装置並びにスライド装置を用いた電子機器を発明した(特許文献2)。
【0010】
例えば、一の部材と他の部材とを重合面方向にスライド移動させるスライド装置において、仮に重合閉塞位置(スライド開始前の始動位置)やスライド位置(最大スライドのスライド開放終了位置)などにロック機構を設けずとも、簡単な構成によって例えばスライド閉じ付勢がなされ、しかも所定長開放スライドさせると逆に自動的に開放方向に開き付勢が生じ、スライド移動端部で夫々付勢されて保持させることができる回動付勢機構や回動保持機構を有するカム機構を設けたり、あるいはこれによりスライド途中で所望のスライド抵抗が生じるように構成することもでき、また所定のスライド途中位置で係合クリックさせるように構成することもでき、また設計によっては手を放しても自動的にスライド移動するように閉じ付勢と開き付勢の双方を各範囲で夫々生じさせるように構成することができる画期的なスライド装置であって、しかも、手に持った指で直線的でなく迂回スライドさせて開閉スライド移動することにより、軽い指の力で効率良くスムーズにスライド移動でき、その操作する指に指の屈伸や指のつけ根を支点とした回動以外の不自然な慣れない方向への屈伸や押動による負担がかかりにくく、簡易な構成で製作可能なため量産性に優れるなど極めて画期的なスライド装置並びにスライド装置を用いた電子機器を発明した(特許文献2)。
【0011】
本発明は、更に前記発明を改良して簡易な構成で回動保持機構や回動付勢機構を実現できる迂回スライド機構となり、簡易な構成で用途や要望に応じて前記迂回スライド長と前記回動保持位置や回動付勢範囲を設定できると共に、一方向への迂回スライドに続いてこれと直交する方向にも同じ迂回スライド機構を利用して更に迂回スライドでき、例えば重合閉塞位置からスライド開放位置の二ポジションだけでなく、このスライド方向と直交する方向にも更に迂回スライドでき、具体的には一旦縦方向に迂回スライドさせた位置からそのままこれと直交する横方向へ迂回スライドでき、始動位置,縦方向迂回スライド位置及び横方向迂回スライド位置の三ポジションに切り替え閉塞露出可能で、しかもこの一連の二動作をいずれも簡易な構成で実現でき、各ポジションでの回動保持機能や回動付勢機能を有するカム機構も容易に設計設定可能な極めて実用性に優れた画期的なスライド装置並びにスライド装置を用いた電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0013】
第一部材1と第二部材2とを重合面方向にスライド移動自在に重合連結するスライド装置であって、前記第一部材1若しくは前記第一部材1に設ける第一連結部1Aに重合面と平行に回動する回動板3を回動自在に設け、この回動板3の回動軸部4と離れた位置に設けた回動作動連結部5を、前記第二部材2若しくは前記第二部材2に設ける第二連結部に連結して、前記第一部材1に対して相対的に前記第二部材2が、重合面方向の一方向に直線的にスライド移動せずに前記回動板3の回動に対応して回動スライド移動して前記一方向のスライド移動位置に迂回スライドする迂回スライド機構6を設け、前記回動板3に重合状態に配設され回動板3に対して相対回動する相対重合部8を前記回動作動連結部5を設けた前記第二部材2若しくは前記第二連結部に設け、前記回動板3若しくは前記相対重合部8にカム縁9を有するカム部9を設け、前記相対重合部8若しくは前記回動板3に前記カム部9のカム縁9に押圧当接する当接部10とこの当接部10を押圧付勢する付勢部11とを設け、前記相対回動によって前記カム縁9に沿って移動する前記当接部10が係脱自在に係合する係合部12と、この係合部12間で前記当接部10の押圧付勢によって回動力が生じる回動付勢カム縁13とを前記カム縁9に設けて、前記迂回スライド機構6の前記回動板3に回動位置保持機能と回動付勢機能とを生じさせるカム機構14を設けたことを特徴とするスライド装置に係るものである。
【0014】
また、前記回動作動連結部5を前記回動板3に対して回動自在に設け、この回動板3に対して相対回動する前記相対重合部8を前記回動作動連結部5と共に前記第二部材2若しくは前記第二連結部に設け、この相対重合部8の相対回動中心が前記回動作動連結部5となるように構成し、この相対回動中心の周囲弧状に前記カム縁9を形成する前記カム部9を前記回動板3に設けたことを特徴とする請求項1記載のスライド装置に係るものである。
【0015】
また、前記第一部材1若しくは前記第一部材1に設ける前記第一連結部1Aに設ける前記回動板3と、前記第二部材2若しくは前記第二部材2に設ける前記第二連結部に設ける前記回動作動連結部5とから成る前記迂回スライド機構6を並設して一方の迂回スライド機構6を迂回スライドガイド機構7とした、若しくは前記迂回スライドをガイドするガイド溝とこれに係合するガイド部から成る迂回スライドガイド機構7を前記迂回スライド機構6とは別に設けたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のスライド装置に係るものである。
【0016】
また、第一部材1と第二部材2とを重合面方向にスライド移動自在に重合連結するスライド装置であって、前記第一部材1若しくは前記第一部材1に設ける第一連結部1Aに重合面と平行に回動する回動板3を回動自在に設け、この回動板3の回動軸部4と離れた位置に設けた回動作動連結部5を、前記第二部材2若しくは前記第二部材2に設ける第二連結部に連結して、前記第一部材1に対して相対的に前記第二部材2が、重合面方向の一方向に直線的にスライド移動せずに前記回動板3の回動に対応して回動スライド移動して前記一方向のスライド移動位置に迂回スライドする迂回スライド機構6を設け、前記回動板3が回動途中の所定角まで回動することで前記第一部材1に対して前記第二部材2が所定スライド方向のスライド移動位置に迂回スライドし、更に前記回動板3が回動することで前記所定スライド方向と直交する方向の次のスライド移動位置に更に迂回スライドするように前記回動板3の回動軸部4の位置と前記回動作動連結部5との連結位置とを設定して、始動位置,縦方向への迂回スライド位置及び横方向への迂回スライド位置との三ポジションを有するように前記迂回スライド機構6を構成したことを特徴とするスライド装置に係るものである。
【0017】
また、前記回動板3に重合状態に配設され回動板3に対して相対回動する相対重合部8を前記回動作動連結部5を設けた前記第二部材2若しくは前記第二連結部に設け、前記回動板3若しくは前記相対重合部8にカム縁9を有するカム部9を設け、前記相対重合部8若しくは前記回動板3に前記カム部9のカム縁9に押圧当接する当接部10とこの当接部10を押圧付勢する付勢部11とを設け、前記相対回動によって前記カム縁9に沿って移動する前記当接部10が係脱自在に係合する係合部12と、この係合部12間で前記当接部10の押圧付勢によって回動力が生じる回動付勢カム縁13とを前記カム縁9に設けて、前記迂回スライド機構6の前記回動板3に回動位置保持機能と回動付勢機能とを生じさせるカム機構14を設けたことを特徴とする請求項4記載のスライド装置に係るものである。
【0018】
また、前記回動作動連結部5を前記回動板3に対して回動自在に設け、この回動板3に対して相対回動する前記相対重合部8を前記回動作動連結部5と共に前記第二部材2若しくは前記第二連結部に設け、この相対重合部8の相対回動中心が前記回動作動連結部5となるように構成し、この相対回動中心の周囲弧状に前記カム縁9を形成する前記カム部9を前記回動板3に設けたことを特徴とする請求項5記載のスライド装置に係るものである。
【0019】
また、前記第一部材1若しくは前記第一部材1に設ける前記第一連結部1Aに設ける前記回動板3と、前記第二部材2若しくは前記第二部材2に設ける前記第二連結部に設ける前記回動作動連結部5とから成る前記迂回スライド機構6を並設して一方の迂回スライド機構6を迂回スライドガイド機構7とした、若しくは前記迂回スライドをガイドするガイド溝とこれに係合するガイド部から成る迂回スライドガイド機構7を前記迂回スライド機構6とは別に設けたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のスライド装置に係るものである。
【0020】
また、前記回動作動連結部5と共に設けられ前記回動板3に重合して前記迂回スライドに伴って回動する前記回動板3に対して相対回動する板状の前記相対重合部8に、前記付勢部11により付勢される当接部取付部15をスライド自在に設け、この当接部取付部15に前記当接部10を設けて、前記カム部9の前記カム縁9に前記付勢部11による押圧付勢によって押圧当接すると共に、前記回動板3の回動に伴って前記カム縁9に沿って移動するように構成し、前記回動板3と前記相対重合部8との相対回動中心からの距離が短い前記係合部12を前記カム縁9に設けて回動位置保持機能を生じさせる回動保持機構と、この係合部12間のカム縁9に相対回動中心からの距離が除々に短くなる前記回動付勢カム縁13を設けて前記当接部10の押圧付勢によって回動付勢機能が生じる回動付勢機構とを前記カム機構14に設けたことを特徴とする請求項1〜3,若しくは5〜7のいずれか1項に記載のスライド装置に係るものである。
【0021】
また、操作部16を設けた本体部とディスプレイ部17を設けた重合部とを重合配設し、この本体部に対して重合部を相対的に重合面に対してスライド移動して隠蔽していた本体部の一部若しくは全部を露出させることができるように本体部と重合部とをスライド装置によって連結し、このスライド装置には、前記本体部を前記第一部材1若しくは前記第二部材2とし、前記重合部を前記第二部材2若しくは前記第一部材1とした前記請求項1〜8のいずれか1項に記載のスライド装置を用いたことを特徴とするスライド装置を用いた電子機器に係るものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上述のように構成したから、直線的でなく迂回スライドさせてスライド移動することができるため、例えば軽い指の力で効率良くスムーズにスライド移動でき、また、例えば片手で持ったその親指や両手で持った一方の親指でスムーズにスライド移動でき、しかもその操作する親指に負担がかかりにくく、簡易な構成で製作可能なため量産性に優れるなど極めて画期的なスライド装置並びにスライド装置を用いた電子機器となる。
【0023】
また、簡易な構成で回動保持機構や回動付勢機構を実現できる迂回スライド機構となり、簡易な構成で用途や要望に応じて前記迂回スライド長と前記回動保持位置や回動付勢範囲を設定できると共に、一方向への迂回スライドに続いてこれと直交する方向にも同じ迂回スライド機構を利用して更に迂回スライドでき、例えば重合閉塞位置からスライド開放位置の二ポジションだけでなく、このスライド方向と直交する方向にも更に迂回スライドでき、具体的には一旦縦方向に迂回スライドさせた位置からそのままこれと直交する横方向へ迂回スライドでき、始動位置,縦方向迂回スライド位置及び横方向迂回スライド位置の三ポジションに切り替え閉塞露出可能で、しかもこの一連の二動作をいずれも簡易な構成で実現でき、各ポジションでの回動保持機能や回動付勢機能を有するカム機構も容易に設計設定可能な極めて実用性に優れた画期的なスライド装置並びにスライド装置を用いた電子機器となる。
【0024】
また、請求項4記載の発明においては、前述のように一方向への迂回スライドに続いてこれと直交する方向にも同じ迂回スライド機構を利用して更に迂回スライドでき、具体的には一旦縦方向に迂回スライドさせた位置からそのままこれと直交する横方向へ迂回スライドでき、始動位置,縦方向迂回スライド位置及び横方向迂回スライド位置の三ポジションに切り替え閉塞露出可能となり、使用用途が広がる上に非常に操作し易く使い易い画期的なスライド装置並びにスライド装置を用いた電子機器となり、特に請求項5記載の発明は、更にこの一連の二動作をいずれも簡易な構成で実現でき、各ポジションでの回動保持機能や回動付勢機能も容易に設計設定可能な極めて実用性に優れた画期的なスライド装置並びにスライド装置を用いた電子機器となる。
【0025】
また、請求項2,3,6,7,8記載の発明においては、一層本発明を容易に実現できる実用性に優れたスライド装置となる。特に請求項3,7記載の発明においては、ふらつくことなく所定の迂回スライドが確実に果たされ、また請求項8記載の発明においては、前記カム機構も一層簡易な構成で実現できる一層優れた画期的なスライド装置となる。
【0026】
また、請求項9記載の発明においては、このような作用効果を発揮する電子機器を提供でき、特に前述のように片手や両手で持ってその親指でスライド移動操作する携帯電話やモバイルやデジカメなどにおいては、前述のようにこの指操作がスムーズに行え指への負担もかからず非常に使い易く、また三ポジションも実現可能で、いずれの操作もスムーズに行える極めて優れたスライド装置を用いた電子機器となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施例の第三ポジションでの説明斜視図である。
【図2】本実施例の第一ポジションでの説明平面図である。
【図3】本実施例の第二ポジションでの説明平面図である。
【図4】本実施例の第三ポジションでの説明平面図である。
【図5】本実施例の三つのポジションの説明底面図である。
【図6】本実施例の迂回スライド機構及びカム機構を示す説明斜視図である。
【図7】本実施例のカム機構の作動説明斜視図である。
【図8】本実施例の迂回スライド機構及びカム機構の説明分解斜視図である。
【図9】本実施例のカム機構の作動説明平面図である。
【図10】本実施例の説明側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0029】
例えば図示した後述する実施例に示すように第一部材1と第二部材2とを上下に重合した状態で前後方向(縦方向)にすれ違いスライド移動させて一方の部材の上面(重合面)の一部を露出させる構成を例に説明する。
【0030】
例えばこのように第一部材1に対して上側に重合した第二部材2を所定長スライドさせる場合、本発明は単に直線的に前後方向(縦方向)にスライド移動するのではなく、本発明は回動板3の回動に応じて弧を描くように側方へ迂回して前方所定位置へ戻るように回動スライドする。
【0031】
即ち、例えば重合閉塞位置からスライド開放位置(手前が開放するが反対の先端側が隠蔽される場合も含む)までスライド移動させる場合、スライド移動距離の最も短い直線移動によってスライド移動させるのではなく、この間を回動板3の回動に伴って弧を描いて迂回するように回動移動させる。
【0032】
従って、片手で持ってあるいは両手で持ってその親指で押しやってスライド移動させる場合、従来のように単に前後方向に直線的にスライド移動する場合は、手に持った第一部材1上の第二部材2を、曲げた親指をスライド方向に向けて延ばすようにして第二部材2を押しやってスライド移動させることになるが、曲げた指を延ばす方向とスライドさせる前後方向が異なるため、押動操作しづらく指に不自然な捩れが生じたり指を不自然な方向へ押動することになりがちで指に負担がかかり操作しづらい。
【0033】
これに対して本発明は側方へ一旦迂回しつつブーメランのように戻るいわば弧を描く迂回スライドのため、側方へ迂回する方向を操作する親指の延びる方向に設定すれば、この曲げた指を延ばす方向と側方への迂回方向が略同方向となり、その後は延ばしたあるいは延ばしかけた親指を戻り方向に指を回すようにして回動するように動かせば良いから、不自然な捩れや慣れない方向への動きを要しないからスムーズに動かせ指に負担無く所望のスライド開放位置へスムーズに一連の動きで効率良くスライド移動できる。
【0034】
つまり曲げた親指の延ばし方向へ迂回させつつその指を回して戻すように押して迂回スライドさせるため、回動保持機構などによるスライド抵抗があったり、移動させる部材に重量があっても軽い力で効率良くスムーズに親指により押動操作でき、この指に掛かる負担も少なく、それでいて単に回動板3と回動作動連結部5とによって迂回スライド機構6を構成できるため、量産性に優れると共に、前述のように回動保持機構や回動付勢機構やフリーストップなども従来通り容易に実現することも設計可能な画期的なスライド装置並びにスライド装置を用いた電子機器となる。
【0035】
そして更に例えばこの迂回スライド機構6を用いて、始動位置から迂回スライドして一方向に迂回スライドした位置から、更にそのまま今度はこれと直交する左右方向(横方向)へもスライド移動でき、しかもこのスライド移動も前記迂回スライド機構6による迂回スライドによって行えるように設計できる。
【0036】
例えば、後述する実施例のように、例えば一端側上面が露出して他端側上面が隠蔽された始動位置(第一ポジション)からこの一方向(縦方向)に迂回スライドして逆に一端側が隠蔽され他端側が開放露出した縦方向迂回スライド位置(第二ポジション)に切り替えでき、更に今度は持ち替えたり両手で持つなどしても良いがやはり少なくとも単に一方の親指の曲げ伸ばしと回動操作によりスムーズにして負担のない軽い操作で迂回スライドして左右方向(横方向)にスライド移動し隠蔽されていた部分を一挙に開放できる横方向迂回スライド位置(第三ポジション)に切り替えできることとなる。
【0037】
従って、例えば後述する一実施例のように、始動位置の第一ポジションでは露出部に設けた操作部あるいは重合部上面部のタッチパネルなどの操作によるカメラ使用ポジションあるいは音楽視聴や映像視聴やTVゲーム使用ポジションなどの通常家電機器ポジションとなり、縦方向に迂回スライドした第二ポジションは、露出部が隠蔽される代わりに隠蔽部が開放して例えば電話操作部や集音マイクなどが露出して電話使用ができる携帯電話ポジションとなり、そして更に横方向へ迂回スライドさせた第三ポジションは中央部の隠蔽部のキーボード部もすべて露出し、重合部の上面部をディスプレイとしたパソコンポジションとなるなどその使用用途が広がり、最近望まれている多機能をすべて網羅し、これを効率良く使用できるだけでなく、夫々の切り替えが分かり易く且つ切り替え易くスムーズな親指操作で順次スピーディーに軽く切り替えできる極めて使い易い画期的な電子機器が実現できることとなる。
【0038】
また本発明は、このような理想的な仕様を簡易な構成で、しかも迂回スライド方式によっていずれへのポジションへも簡単に切り替え可能に実現できる構成でありながら、各ポジションでの回動保持機能や戻り付勢あるいは進み付勢などの回動付勢機能を有するカム機構14を迂回スライド機構6に極めて容易に組み込み実現可能な構成で、このカム機構14を組み込んだ迂回スライド機構6によるスライド装置が構成され、この組み付け、即ち第一部材1と第二部材2との連結も極めて容易に行え、スライド装置も量産性に優れ、取扱いが容易であると共に、この組み付けも容易で多機能電子機器の量産性も向上することとなるなど、極めて優れたスライド装置並びにスライド装置を用いた電子機器となるものである。
【実施例】
【0039】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0040】
本実施例は、図面に示すようにモバイルとしての小型パソコン使用ができる電子機器に本発明を適用したもので、始動位置から縦方向にスライド移動し、更に横方向にスライド移動でき、互いに直交する方向への二方向のスライド移動によって合計三ポジションに切り替え可能で、始動位置では、例えばデジタルカメラ,音楽や映像再生,あるいはTVゲームなどのいずれか又はすべての使用が行える家電機器使用ポジションとなり、縦方向迂回スライド位置では、携帯電話使用ポジションとなり、横方向迂回スライド位置では、重合面が略全面露出してキーボードとしての操作部16が露出して小型パソコンとなるパソコン使用ポジションとなり、多機能な電子機器となるものとしている。
【0041】
具体的には、回路基板,電源などの電子部品をケースに内装した板状の第一部材1(本体部1)の上面に、数字キーやファンクションキーなどを配列したキーボード機能を果たす操作部16と、各使用ポジションでの使用モード専用の操作部や集音マイクやスピーカーやサブディスプレイ部などを設け、この操作部16などの操作などにより表示作動するディスプレイ部17を、この本体部1の操作部16などを覆うようにスライド自在に重合する開閉フリップとしての同形の第二部材2(重合部2)に設け、この下側の本体部1に対して上側の重合部2を略水平前後・左右方向(長さ方向となる縦方向と横方向)にスライド自在に連結する本発明のスライド装置によって互いを重合連結した構成としている。
【0042】
即ち、第一部材1としての本体部1と第二部材2としての重合部2とを重合して中央のメインの操作部16を隠蔽してコンパクト化した重合閉塞位置から、横方向にスライドして操作部16を露出してパソコンとして使用できる構成でありながらも、縦方向にもスライド往復できる構成で、下側の本体部1(第一部材1)の長さ方向の縦方向の一端側上面の集音マイクや電話使用モード用の操作部やディスプレイ部などが隠蔽していて反対端上面のスピーカーや家電機器としての使用モード用の操作部やサブディスプレイ部などが開放露出している家電機器使用ポジションの始動位置(第一ポジション)から、この縦方向に先ずは迂回スライドして逆に反端側の操作部やサブディスプレイ部が隠蔽閉塞し、一端側の操作部などが今度は開放露出する携帯電話使用ポジションの縦方向迂回スライド位置(第二ポジション)に切り替えでき、更に前述のようにこのまま横方向に迂回スライドしてそれまで中央にあって隠蔽されていたキーボードとしての操作部16が露出してパソコンとして使用できるパソコン使用ポジションの横方向迂回スライド位置(第三ポジション)に切り替えられるように構成している。
【0043】
即ち、手に持った親指で本体部1に対して重合部2をスライド移動して本体部1上面の各部を各ポジションに応じて隠蔽・露出するスライド位置へスライド移動する構成としている。
【0044】
この本実施例のスライド装置は、具体的には前記重合部2となる第二部材2の重合面にベース板となる相対重合部8を埋め込み状態に設けると共にこの相対重合部8の中央にピン状の回動作動連結部5を突設した構成としている。即ち、本実施例は上側の重合部2の下面に回動作動連結部5を設けると共に、この回動作動連結部5や重合部2と一体にしてベース板となる相対重合部8を重合部2の裏面に付設した構成としている。
【0045】
一方、下側の本体部1となる第一部材1に重合面と平行に回動する回動板3を回動自在に設け、この回動板3は回動軸部4を支点に前記本体部1の外へはみ出さない範囲でワイパーのように回動するように構成し、この回動板3の回動軸部4と離れた偏心位置で前記回動作動連結部5と回動自在に連結して、前記重合部2となる第二部材2(前記第二部材2に設ける第二連結部でも良い)と前記本体部1となる第一部材1(第一部材1に設ける第一連結部1Aでも良い)とを迂回スライド自在に固定連結して、下にする第一部材1に対して上の第二部材2を回動作動連結部5と回動軸部4とを支点に回動板3を回動しつつ水平に迂回スライド自在に連結している。
【0046】
本実施例では、後述するように第一部材1,第二部材2の長さ方向となる縦方向に、この回動板3と回動作動連結部5とから成る迂回スライド機構6を並設するが、第一部材1の上面に回動板3を縦方向に二体設ける構成であって、各回動板3の回動軸部4は第一部材1上面の第二部材2を更に横方向へスライドさせる側寄りに設け、また第一部材1とこれに重合する第二部材2の開放時重合部分となる常時隠蔽位置に各回動板3の回動軸部4を設けている。
【0047】
また本実施例のこの回動板3の形状は中心に回動作動連結部5を枢着する円形部に方形腕部を突出した形状で、この腕部に回動軸部4を設けた構成としている。この迂回スライド機構6によって、第二部材2が重合方向に直線的にスライド移動せずに前記回動板3の回動に対応して回動スライド移動してスライド開放位置へ迂回スライドするように構成している。
【0048】
即ち、前記第一部材1と前記第二部材2とを少し長さ違いの同形状として片側が合致するが反対側が合致せず露出した重合閉塞位置から、下となる第一部材1に対して上となる第二部材2が重合方向にスレ違いスライド移動して隠蔽されていた重合面が露出するスライド開放位置となるように構成するが、本実施例では、これが縦方向のスライド移動によって各側の露出隠蔽が切り替わるスライド移動と、横方向のスライド移動によって略全面が開放露出するスライド移動との二動作が一連にして行える構成で、いずれも前記迂回スライド機構6による迂回スライドとなる。即ち、いずれも直線的にスライド移動せず前記回動板3と回動作動連結部5とによる前記迂回スライド機構6によって側方にスレ違いながら所定角度スライド回動し円弧を描くように迂回スライドしてスライド開放位置までスライド移動するように構成している。
【0049】
本実施例では、回動板3を設けた指操作する上側の第二部材2を迂回スライドさせるため、図面に示すように回動作動連結部5を基準にして回動軸部4が周回するように回動板3が回動して、第一部材1上の第二部材2が一旦側方にスレ違い突出してブーメランのように再び円弧を描いて戻り、直線的にスライド移動させたと同じ位置に回動スライド移動し、下の第一部材1の一部が露出するように構成している。この露出度合い、即ち、直線的なスライド距離や側方への迂回量などは図面に示すように回動軸部4と回動作動連結部5との偏心度合いなどによって変化するものである。
【0050】
本実施例では、前記回動板3と前記回動作動連結部5とから成る迂回スライド機構6を、前記縦方向に並設している。即ち、前述のように第一部材1の上面の横方向一側にして縦方向に長さを有する取付板となる第二連結部上の縦方向に夫々前記形状の回動板3を回動軸部4を軸として回動自在に設け、この回動板3の円形部の中心に回動作動連結部5を枢着し、これを夫々第二部材2に差し込み固定して、迂回スライドする際、夫々の回動板3が同調回動して一方が迂回スライドのガイドとしての役目を果たし、ふらつくことなく規制されて迂回スライドするように構成している。本実施例では、更にこの同調が確実となるように連結リンク板18を双方の回動板3に夫々枢着連結架設して同調回動するように構成している。
【0051】
尚、このように回動板3を二体設けなくても、動き規制すれば良いため、前記迂回スライドをガイドするガイド溝とこれに係合するガイド部とから成る迂回スライドガイド機構7を前記迂回スライド機構6とは別に設けても良い。即ち、例えば弧状のガイド溝とこれに係合するガイドピンとによって迂回スライド機構6の迂回スライドの動きをガイドする迂回スライドガイド機構7を構成し、この迂回スライド機構6と迂回スライドガイド機構7とで第一部材1と第二部材2とをスライド自在に連結する構成としても良い。
【0052】
更に説明すると、本実施例では下側となる第一部材1(本体部1)に設ける第一連結部1Aに重合面と平行に回動する回動板3を回動自在に設け、この回動板3の回動軸部4と離れた位置に回動自在に設けた回動作動連結部5を、上側となる第二部材2(重合部2)に連結して、前記第一部材1に対して相対的に前記第二部材2が、重合面方向の一方向に直線的にスライド移動せずに前記回動板3の回動に対応して回動スライド移動して前記一方向のスライド移動位置に迂回スライドする迂回スライド機構6を設け、前記回動板3が回動途中の所定角まで回動することで前記第一部材1に対して前記第二部材2が縦方向にスライド移動位置に迂回スライドし、更に前記回動板3が回動することで前記縦方向と直交する横方向のスライド移動位置に迂回スライドするように前記回動板3の回動軸部4の位置と前記回動作動連結部5との連結位置とを設定して、始動位置,縦方向への迂回スライド位置及び横方向への迂回スライド位置との三ポジションを有するように前記迂回スライド機構6を構成している。
【0053】
前述のように本実施例ではこの迂回スライド機構6を並設してその一方を迂回スライドガイド機構7として構成しているが、この迂回スライド機構6の回動板3(本実施例では一方の迂回スライド機構6として設けている回動板3)には重合状態に配設され回動板3に対して相対回動する相対重合部8を前記回動作動連結部5と共に第二部材2に設けている。即ち、前述のように重合部2の裏面にベース板としてこの相対重合部8を回動板3に対して相対回動するように重合配設し、この相対重合部8と共に重合部2に設けた回動作動連結部5を、回動板3の中央に回動自在に枢着している。この一方の回動板3上に一体にカム縁9を有する板状のカム部9を重合状態に設け、前記相対重合部8には前記カム部9のカム縁9に押圧当接する当接部10とこの当接部10を押圧付勢する付勢部11とを設け、更に前記相対回動によって前記カム縁9に沿って移動する前記当接部10が係脱自在に係合する係合部12と、この係合部12間で前記当接部10の押圧付勢によって回動力が生じる回動付勢カム縁13とを前記カム縁9に設けて、前記迂回スライド機構6の前記回動板3に回動位置保持機能と回動付勢機能とを生じさせるカム機構14を設けている。
【0054】
即ち、この相対重合部8の相対回動中心が前記回動作動連結部5となるように構成し、この相対回動中心の周囲弧状に前記カム縁9を形成する板状の前記カム部9を前記回動板3に重合付設している。
【0055】
更に具体的に説明すると、前記回動作動連結部5が架設されて回動板3と枢着され、この回動板3に重合して前記迂回スライドに伴って回動する回動板3に対して相対回動する板状の前記相対重合部8に、これをベース板として左右にコイルバネにより構成した付勢部11を設け、この付勢部11により引き寄せ付勢される当接部取付部15をガイド溝に沿ってスライド自在に設け、この当接部取付部15にピン状の当接部10を設けて、前記カム部9の前記カム縁9に前記付勢部11による押圧付勢によって当接部10を押圧当接すると共に、前記回動板3の回動に伴って前記カム縁9に沿って移動するように構成している。即ち、本実施例では、スライダーとしての前記当接部取付部15がベース板としての前記相対重合部8に対して付勢部11により引き寄せ付勢されて、この当接部取付部15に設けたピン状の当接部10が引き寄せ付勢によってカム部9に押圧当接し、カム部9の相対回動中心からの距離の変化によって相対重合部8に設けたガイド溝に沿って当接部取付部15が進退移動すると共に、ピンガイド溝に沿って当接部10が進退して常にカム縁9に沿って移動するように構成している。
【0056】
また、回動板3と相対重合部8との相対回動中心(回動作動連結部5)からの距離が短い係合部12を前記カム縁9に設けて回動位置保持機能を生じさせる回動保持機構と、この係合部12間のカム縁9に相対回動中心からの距離が除々に短くなる前記回動付勢カム縁13を設けて前記当接部10の押圧付勢によって回動付勢機能が生じる回動付勢機構とを前記カム機構14に設けている。
【0057】
また本実施例のカム部9は、カム縁9を外縁とした板状体で、回動板3の円形部に重合付設したもので、回動板3の凹状上面に重合付設し、このカム部9の切り欠いた弧状の外縁をカム縁9としている。そしてこの回動板3上に形成したこのカム縁9は、210度の弧状縁として、第一ポジションから第三ポジションまで当接部10を当接案内しつつ各ポジションで回動保持させる凹状の係合部12やその間で所望の回動付勢を生じさせる回動付勢カム縁13を形成している。
【0058】
即ち、その始動位置(第一ポジション)と、その途中の縦方向迂回スライド位置(第二ポジション)と、最後の横方向迂回スライド位置(第三ポジション)とに凹縁を設けてこれを係合部12とし、この第一ポジションの係合部12と第二ポジションの係合部12との55度回動範囲のカム縁9はその相対回動中心からの距離は同じとして、押圧付勢によるトルクだけが生じて回動付勢は生じないようにし、この第二ポジションの係合部12から第三ポジションの係合部12までの回動範囲は最初から最後まで相対回動中心(回動作動連結部5)からの距離が除々に短くなる回動付勢カム縁13をこの全範囲に形成してこの範囲では常時進み回動付勢が生じるように構成している。
【0059】
また係合部12はこのように凹状縁のため、これから脱出する位置まで回動しなければ、戻り付勢(落ち込み付勢)が生じるため、回動保持機能が生じるように構成している。
【0060】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0061】
1 第一部材(本体部)
1A 第一連結部
2 第二部材(重合部)
3 回動板
4 回動軸部
5 回動作動連結部
6 迂回スライド機構
7 迂回スライドガイド機構
8 相対重合部
9 カム縁(カム部)
10 当接部
11 付勢部
12 係合部
13 回動付勢カム縁
14 カム機構
15 当接部取付部
16 操作部
17 ディスプレイ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材と第二部材とを重合面方向にスライド移動自在に重合連結するスライド装置であって、前記第一部材若しくは前記第一部材に設ける第一連結部に重合面と平行に回動する回動板を回動自在に設け、この回動板の回動軸部と離れた位置に設けた回動作動連結部を、前記第二部材若しくは前記第二部材に設ける第二連結部に連結して、前記第一部材に対して相対的に前記第二部材が、重合面方向の一方向に直線的にスライド移動せずに前記回動板の回動に対応して回動スライド移動して前記一方向のスライド移動位置に迂回スライドする迂回スライド機構を設け、前記回動板に重合状態に配設され回動板に対して相対回動する相対重合部を前記回動作動連結部を設けた前記第二部材若しくは前記第二連結部に設け、前記回動板若しくは前記相対重合部にカム縁を有するカム部を設け、前記相対重合部若しくは前記回動板に前記カム部のカム縁に押圧当接する当接部とこの当接部を押圧付勢する付勢部とを設け、前記相対回動によって前記カム縁に沿って移動する前記当接部が係脱自在に係合する係合部と、この係合部間で前記当接部の押圧付勢によって回動力が生じる回動付勢カム縁とを前記カム縁に設けて、前記迂回スライド機構の前記回動板に回動位置保持機能と回動付勢機能とを生じさせるカム機構を設けたことを特徴とするスライド装置。
【請求項2】
前記回動作動連結部を前記回動板に対して回動自在に設け、この回動板に対して相対回動する前記相対重合部を前記回動作動連結部と共に前記第二部材若しくは前記第二連結部に設け、この相対重合部の相対回動中心が前記回動作動連結部となるように構成し、この相対回動中心の周囲弧状に前記カム縁を形成する前記カム部を前記回動板に設けたことを特徴とする請求項1記載のスライド装置。
【請求項3】
前記第一部材若しくは前記第一部材に設ける前記第一連結部に設ける前記回動板と、前記第二部材若しくは前記第二部材に設ける前記第二連結部に設ける前記回動作動連結部とから成る前記迂回スライド機構を並設して一方の迂回スライド機構を迂回スライドガイド機構とした、若しくは前記迂回スライドをガイドするガイド溝とこれに係合するガイド部から成る迂回スライドガイド機構を前記迂回スライド機構とは別に設けたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のスライド装置。
【請求項4】
第一部材と第二部材とを重合面方向にスライド移動自在に重合連結するスライド装置であって、前記第一部材若しくは前記第一部材に設ける第一連結部に重合面と平行に回動する回動板を回動自在に設け、この回動板の回動軸部と離れた位置に設けた回動作動連結部を、前記第二部材若しくは前記第二部材に設ける第二連結部に連結して、前記第一部材に対して相対的に前記第二部材が、重合面方向の一方向に直線的にスライド移動せずに前記回動板の回動に対応して回動スライド移動して前記一方向のスライド移動位置に迂回スライドする迂回スライド機構を設け、前記回動板が回動途中の所定角まで回動することで前記第一部材に対して前記第二部材が所定スライド方向のスライド移動位置に迂回スライドし、更に前記回動板が回動することで前記所定スライド方向と直交する方向の次のスライド移動位置に更に迂回スライドするように前記回動板の回動軸部の位置と前記回動作動連結部との連結位置とを設定して、始動位置,縦方向への迂回スライド位置及び横方向への迂回スライド位置との三ポジションを有するように前記迂回スライド機構を構成したことを特徴とするスライド装置。
【請求項5】
前記回動板に重合状態に配設され回動板に対して相対回動する相対重合部を前記回動作動連結部を設けた前記第二部材若しくは前記第二連結部に設け、前記回動板若しくは前記相対重合部にカム縁を有するカム部を設け、前記相対重合部若しくは前記回動板に前記カム部のカム縁に押圧当接する当接部とこの当接部を押圧付勢する付勢部とを設け、前記相対回動によって前記カム縁に沿って移動する前記当接部が係脱自在に係合する係合部と、この係合部間で前記当接部の押圧付勢によって回動力が生じる回動付勢カム縁とを前記カム縁に設けて、前記迂回スライド機構の前記回動板に回動位置保持機能と回動付勢機能とを生じさせるカム機構を設けたことを特徴とする請求項4記載のスライド装置。
【請求項6】
前記回動作動連結部を前記回動板に対して回動自在に設け、この回動板に対して相対回動する前記相対重合部を前記回動作動連結部と共に前記第二部材若しくは前記第二連結部に設け、この相対重合部の相対回動中心が前記回動作動連結部となるように構成し、この相対回動中心の周囲弧状に前記カム縁を形成する前記カム部を前記回動板に設けたことを特徴とする請求項5記載のスライド装置。
【請求項7】
前記第一部材若しくは前記第一部材に設ける前記第一連結部に設ける前記回動板と、前記第二部材若しくは前記第二部材に設ける前記第二連結部に設ける前記回動作動連結部とから成る前記迂回スライド機構を並設して一方の迂回スライド機構を迂回スライドガイド機構とした、若しくは前記迂回スライドをガイドするガイド溝とこれに係合するガイド部から成る迂回スライドガイド機構を前記迂回スライド機構とは別に設けたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のスライド装置。
【請求項8】
前記回動作動連結部と共に設けられ前記回動板に重合して前記迂回スライドに伴って回動する前記回動板に対して相対回動する板状の前記相対重合部に、前記付勢部により付勢される当接部取付部をスライド自在に設け、この当接部取付部に前記当接部を設けて、前記カム部の前記カム縁に前記付勢部による押圧付勢によって押圧当接すると共に、前記回動板の回動に伴って前記カム縁に沿って移動するように構成し、前記回動板と前記相対重合部との相対回動中心からの距離が短い前記係合部を前記カム縁に設けて回動位置保持機能を生じさせる回動保持機構と、この係合部間のカム縁に相対回動中心からの距離が除々に短くなる前記回動付勢カム縁を設けて前記当接部の押圧付勢によって回動付勢機能が生じる回動付勢機構とを前記カム機構に設けたことを特徴とする請求項1〜3,若しくは5〜7のいずれか1項に記載のスライド装置。
【請求項9】
操作部を設けた本体部とディスプレイ部を設けた重合部とを重合配設し、この本体部に対して重合部を相対的に重合面に対してスライド移動して隠蔽していた本体部の一部若しくは全部を露出させることができるように本体部と重合部とをスライド装置によって連結し、このスライド装置には、前記本体部を前記第一部材若しくは前記第二部材とし、前記重合部を前記第二部材若しくは前記第一部材とした前記請求項1〜8のいずれか1項に記載のスライド装置を用いたことを特徴とするスライド装置を用いた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−138645(P2012−138645A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83156(P2009−83156)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(396019022)株式会社ストロベリーコーポレーション (88)
【Fターム(参考)】