スライド誤搭載検出システム
【課題】
【解決手段】スライドがカセット内に適切に搭載されたか検出するシステムである。スライドはそれぞれ、1以上の透明領域および1以上の不透明領域を具える。スライドは光源とセンサとの間に配置される。このセンサが光源からの光を検出した場合、スライドはカセット内に適切に搭載されている。センサまたは別個のコントローラは信号またはデータを生成でき、ユーザまたは処理設備に、スライドが適切に搭載または配置され、あるいはされていないかを知らせる。
【解決手段】スライドがカセット内に適切に搭載されたか検出するシステムである。スライドはそれぞれ、1以上の透明領域および1以上の不透明領域を具える。スライドは光源とセンサとの間に配置される。このセンサが光源からの光を検出した場合、スライドはカセット内に適切に搭載されている。センサまたは別個のコントローラは信号またはデータを生成でき、ユーザまたは処理設備に、スライドが適切に搭載または配置され、あるいはされていないかを知らせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド格納容器に関し、特にスライド格納容器内のスライドの向きを判断または確認するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡や患者のスライド試験などの様々な装置がスライドガラスを格納するのに利用されている。一つの周知の格納容器はスライドカセットである。カセットは通常、一対のトレイ、支持部材、またはカセットから延在するフィンガと、下側のスロットとを具える。スライドは、スロット内およびトレイにフィットする。各スロットは単一のスライドを受ける。スロットの大きさは通常、スライドの大きさよりも大きく、スライドはスロットに容易に挿入でき、またスロットから容易に取り出すことができる。
【0003】
自動または半自動画像システムは、ロボットアクチュエータまたは他の装置を利用して、カセットからスライドを抜き取り、スライドまたは標本を処理し、スライドをカセットに戻す。例えば、ある装置はカセットからスライドを取得して顕微鏡または装置の真下に配置するため、細胞検査技師が癌の標本およびその他の病状を分析できる。特に、画像システムはスライドを把持し、スライドをトレイの保持部材の上に持ち上げ、スライドをトレイおよびスロットから取り出し、スライドを顕微鏡の真下に配置する。画像システムは、分析が完了した後にスライドをカセットに再び挿入する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像システムおよび他の装置によりスライドカセット内のスライドの向きを確認する方法は改良できる。理想的には、総てのスライドが、カセット内のトレイに適切かつ平行に、また同様の方法により配置される。しかしながら、人間や機械のエラーにより、スライドが不適切にカセットに搭載されることがある。例えば、あるスライドが逆さまに挿入され、標本サンプルが下向きになる一方、他のスライドがその標本サンプルを上向きにする場合がある。さらに、スライドは回転してしまうことがある。言い換えれば、スライドが偶然に180度回転してしまうことがある。これは、例えばバーコードまたは他のデータがスライドの一方の端部に存在する場合に問題になる。また、スライドは回転し裏返ることがある。不適切に搭載されたスライドにより、処理設備に関する問題や処理エラーが生じ、システムが停止し、細胞検査技師または技術者がカセットを調べたりスライドを再配置する必要が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施例によると、スライドがスライド容器に適切に搭載されているか判断するシステムは、透明領域および不透明領域を有するスライドと、光源と、センサとを具える。前記スライドは、前記光源と前記センサとの間に配置される。前記スライドは、前記センサが前記光源から前記スライドの透明領域を透過した光を検出したときは、前記スライド容器内に適切に搭載されている。
【0006】
代替的な実施例によると、複数のスライドがスライド容器に適切に搭載されているか判断するシステムは、それぞれが透明領域および不透明領域を有する複数のスライドと、光源と、センサとを具える。前記スライドは、前記光源と前記センサとの間に配置され、前記センサが前記光源から前記スライドの整列した透明領域を透過した光を検出したときは、前記スライド容器内に適切に搭載されている。
【0007】
別の代替的な実施例によると、複数のスライドがスライド容器に適切に搭載されているか判断するシステムは、それぞれが1つの透明の角部領域および3つの不透明な角部領域を有する複数のスライドと、光源と、センサとを具える。前記スライドは、前記光源と前記センサとの間に配置され、前記センサが前記光源から前記スライドの整列した透明の角部領域を透過した光を検出したときに、前記スライド容器に内に適切に搭載されている。
【0008】
様々な実施例では、スライドの一つの角部は透明領域を具え、他の3つの角部は、吸収性または反射性のある不透明またはつや消し領域などの不透明領域を具える。異なる配置、形状、数、および大きさの透明および不透明領域を利用できる。例えば、スライドは垂直なスタックに配置または水平に配置され、光源とセンサとの間に配置される。透明領域は、スライドの縁部と不透明領域により境界が規定できる。さらに、透明領域は、三角形、長方形、正方形、円形、または半円形とすることができる。各スライドは、例えば、三角形または長方形などの様々な形状をした3つの不透明領域を有することができる。
【0009】
また、様々な実施例では、レーザなどの光源は可視光線および非可視光線を含む様々な波長の光を生成できる。センサは、1以上のスライドがスライド容器に適切に搭載されているかを示す信号またはデータを生成でき、これにより、ディスプレイスクリーンに表示されるメッセージを生成し、または光またはスピーカを始動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
これらの実施例およびその利点は、同一の参照番号が同一の形状を示す添付図面と関連させて以下の説明を参照することにより、さらに完全に理解されるであろう。
【0011】
本実施例は、マサチューセッツ州01752、モールバラ、キャンパスドライブ250所在のCytyc Corporation社から入手可能な品番70292−000などのスライド容器に、スライドが適切に搭載または配置されたが判断するのに利用できる。図1に示すように、例示的なスライド110は、試験用のサンプルまたは標本112を有する上面111と、底面113と、第1の側面114と、第2または反対の側面115と、スロット102内に配置される第1の縁部116と、第2または反対の縁部117とを具える。図2を参照すると、いくつかのスライドはつや消し部分118を有し、このつや消し部分は、数字をスライド110に容易に印刷したり、取り扱うべきスライド110の区分を特定するのに利用される。図3および4に示すスライドは通常、縁部116および117より長い側面114および115を有する長方形のスライドである。当業者であれば、その他のスライドの構成が利用できることは理解できるであろう。例えば、図3および4を参照すると、別の例示的なスライド110は、長さが同じである側面114および115と縁部116および117を有する正方形のスライドである。図示および説明のために、限定するわけではないが、本明細書では長方形のスライドについて言及する。
【0012】
通常、スライド110はカセット内に搭載され、平行かつ適切に配置され、スライドは、標本サンプル112がスライド110の上面111にある状態で上向きに配置される。通常、総てのスライドは、処理設備が特定の方法により配置されたスライドを処理するように構成されているため、同様の方法で配置される。当業者であれば、「共通の」向きはカセットおよび設備の構成に応じて変更できるが、この仕様は、スライドが、(標本がスライドに付着している場合に)上向きである標本サンプルに対して平行であり、スライドの一方の端部が、初めにカセットに挿入されることに関連することは理解できるであろう。しかしながら、スライド110は裏返りまたは180度回転することによりカセット内に不適切に配置され、スライドがカセット内に正しく配置されないことがある。本実施例は、透明領域を利用することにより、いずれのスライドがカセット内に不適切に搭載または配置されているか判断することができる。
【0013】
特に、図5を参照すると、様々な実施例で使用されるスライド500は、スライドの一つの角部の透明領域520と、不透明領域510、512、および514(通常510)とを具える。図示した実施例では、不透明領域510および512は三角形であり、透明領域520とほぼ同じ大きさであるが、実施例はこれに限定されない。図示した実施例では、不透明領域514はスライド500の側面の間に延在している。透明領域520は、スライド500の縁部と不透明領域514により境界が規定される。
【0014】
図5に示すように、透明領域520はスライド500自体の一部であり、不透明領域510は、例えばつや消しされた518または不透明素材でコーティングされたスライド500の一部である。代替的に、不透明領域510は不透明な接着剤をスライドに塗ったり、例えばレーザエッチング、研磨、または他の適切な技術を利用してスライドの一部を他の部分よりも透明にするスライド処理などの、他の技術を利用して形成してもよい。不透明領域510は、スライドの素材、不透明領域510の素材、および不透明領域510を形成する方法に応じて、接着性または反射性を有してもよい。説明のために、限定するわけではないが、本明細書では、つや消しされた不透明領域について言及する。つや消し素材およびつや消しされた不透明部分118を形成する技術は、本技術分野で周知であるため、本明細書ではこれらについてさらに詳しく説明しない。
【0015】
当業者であれば、不透明領域510は入射光線の100%を吸収または反射せず、不透明領域510は少量の光を透過することは理解できるであろう。したがって、本明細書中の「不透明」についての言及は、完全に不透明な領域と、透明領域520よりも十分に透明でない領域を含むことを意味しており、センサが、透明領域510を透過する光と不透明領域520を透過する光とを検出および区別する。異なる透過特性を有するいずれの不透明領域510を使用するかは、例えばセンサの感度や、強さの異なる光を区別するセンサの能力により決定してもよい。
【0016】
図6を参照すると、システム600は、1以上のスライド500と、光または電磁エネルギを放出する光源610と、光源610からの光612を検出するセンサ620とを具える。この図は5枚のスライドを示しているが、当業者であれば、本システムは異なる枚数のスライド、例えば1枚のスライド、10枚のスライド、50枚のスライド等を具えることができることを理解できるであろう。
【0017】
使用される光源610の種類は、スライドの種類またはスライド500の素材、スライド500の数、光源610の強さ、およびセンサ620の感度により決定できる。例示的な光源610は、白色光源と、発光ダイオード(LED)と、レーザとを具える。光源610からの光612は視準してもよく、約400ナノメータ(nm)から約700nmの範囲の可視光線、および約700nmから約1000nmの赤外線波長や約100nmから約400nmまでの紫外線などの非可視光線を含む様々な波長であってもよい。例示的な光源610およびセンサ620の組合せは、オーストラリア、SA5950、エクスポートパーク、コルベットコート5aに所在のLaserex Technologies社から入手可能な、約635、650、670、780、808、830、および850nmの波長の光を放出するModel LDM-5の低分散レーザモジュールや、同じくLaserex社から入手可能な、約350−1100nmの帯域幅の範囲を有するModel LR-4アナログレシーバである。当業者であれば、他の光源およびセンサも利用できることが理解できるであろう。
【0018】
図示した実施例では、スライド500は、スライドカセットに配置された垂直なスタックとして示されている。この実施例では、光源610およびセンサ620は、スライド500の反対側、即ち垂直なスタックの上側および下側に配置される。光源610およびセンサ620は入れ替えて、センサ620はスライド500のスタックの上側に、光源610はスライド500の下側にしてもよい。このように、実施例はスライドの異なる構成により利用できる。
【0019】
システムまたはユーザは、図6に示すように、光源610から総てのスライド500の透明領域520を透過し、センサ620により検出される光612に基づいて、スライド500が適切にカセットに搭載されたか判断できる。これは、不透明領域510が光612の経路内に配置されていないとき、すなわち光612が、透明領域520を介してセンサ620に到達するときに可能である。
【0020】
センサ620は、センサ620が光源610から光612を検出したかどうか、即ちスライドが適切にカセット内に搭載されたかを知らせることができるデータまたは信号622を生成する。センサ信号622または追加の構成部材により、インジケーション機能を提供することができる。例えば、センサ出力622は、インジケータを直接動作させることができ、またはセンサ出力622は、図6に示すような1以上のインジケータを動作させるのに必要なデータまたは信号632を提供するマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または論理回路またはゲートなどのコントローラ630に提供され、成功/失敗を知らせることができる。さらに、コントローラ630は、他の動作または表示を初期化することができる。例えば、コントローラ630は、制御システムまたはコンピュータにより使用される信号またはデータを生成でき、この制御システムまたはコンピュータは、信号またはデータに応じてスクリーンに表示されるエラーメッセージを生成する。代替的に、コンピュータは、システムに問題がある場合、修正動作を初期化してもよい。
【0021】
使用されるインジケータは、ビジュアルインジケータ、可聴インジケータ、またはこれらの組合せを含む。例えば、ビジュアルインジケータは、LED640および642などのインジケータライトまたは発光ダイオード(LED)とすることができる。可聴インジケータは、スピーカ(S)644とすることができる。図示した実施例では、インジケータは、2つのLED640および642と、1つのスピーカ644とを具える。LED640は緑色(G)発光ダイオードであり、総てのスライドがカセット内に適切に搭載および整列され、処理が継続可能であることを示す。LED642は赤色(R)発光ダイオードであり、1以上のスライドがカセット内に適切に搭載されておらず、カセットがスライドの整列の修正を必要としていることを示す。当業者であれば、他の表示色の手段または情報を利用可能であることは理解できるであろう。
【0022】
スライド500がカセット内に適切に搭載された場合、図6に示すように、総ての透明領域520は互いに整列される。この構成では、光612はセンサ620により検出され、センサ620またはコントローラ630は、緑色LED640およびまたはスピーカ644などのインジケータを動作させる適切な信号を提供し、スライドが適切に搭載され、細胞検査技師が作業を続行できることを示す。
【0023】
一方、スライド500が適切に搭載されなかった場合、センサ620またはコントローラ630は光612を検出せず、赤色LED642および/またはスピーカ644を動作させる信号を生成して、1以上のスライドが不適切に搭載されていることを知らせ、これにより細胞検査技師の注意を喚起できる。信号632は、例えば、スライドが搭載された後、またはカセット内のスライドの配置を確認するためのユーザの要求の後の所定の時間内に検出された光612の欠如に基づいて生成できる。
【0024】
図7および8は、1以上のスライドが誤って搭載された起こりうる配置を示す。特に図7は、スライドが180度回転し、誤った端部がカセット内に搭載された状態を示している。この構成では、上側の2枚のスライドと下側の2枚のスライド500が適切に搭載されているが、中央のスライド500は不適切に回転している。このため、不透明領域510および520が回転し、透明領域520が、スライドが適切に搭載されたときの光612の経路内に配置されるのではなく、カセット内に配置されている。したがって、光源610からの光612は、不透明領域512により吸収または反射され、センサ620に到達しない。センサ620またはコントローラ630は、1以上のスライドが不適切に搭載されたことを知らせるインジケーションを生成し、細胞検査技師の注意を喚起する。
【0025】
図8は、スライドが不適切に搭載された別の配置を示している。この例では、スタックの下側のスライドが裏返っている。このため、不透明領域510および512は裏返り、カセット内に配置されている。不透明領域514は光612の経路内にあり、透明領域520は光612の経路の外側にある。したがって、光源610からの光612は、不透明領域により吸収または反射され、センサ620に到達しない。センサ620またはコントローラ630は、1以上のスライドが不適切に搭載されたことを知らせるインジケーションを生成し、細胞検査技師の注意を喚起する。さらに、スライドは裏返りかつ回転することもあり、これは基本的に図7および8に示す配置の組合せである。この配置により、不透明領域部分が光を遮り、1以上のスライドがカセット内に適切に配置されていないことを示すインジケーションが生成される。
【0026】
当業者であれば、代替的な実施例が、異なる種類の透明および不透明領域、光源、センサ、スライド素材、ならびにスライド配置を具えることを理解できるであろう。例えば、図6−8に示す実施例では、スライド500がカセット内の典型的な配置、即ち、垂直に積まれそれぞれが離れて配置されている様子が示されている。代替的な実施例では、スライド500が各スライドの上面に積まれ、各スライドが別のスライドに接触するようにしてもよい。さらに、図9に示すように、システム600は、水平に配置されまたは側面または端部が配置されたスライド500を利用して、同じ機能を果たすように構成できる。
【0027】
透明領域および不透明領域の異なる種類もまた使用できる。例えば、図5−8は、スライドの角部に配置された三角形の透明領域520を有するスライドを示しているが、透明領域520は、他の形状や大きさにすることができる。例えば、図10は、不透明領域1014により部分的に囲まれている正方形の透明領域1000を有するスライド1000を示している。不透明領域1010および1012は、透明領域1020とほぼ同じ形状および大きさとすることができる。図11は、不透明領域1114により部分的に囲まれている長方形の透明領域1100を有するスライド1100を示している。不透明領域1110および1112は、透明領域1120とほぼ同じ形状および大きさとすることができる。図12は、不透明領域1214により部分的に囲まれている扇形の透明領域1100を有するスライド1200を示している。不透明領域1210および1212は、透明領域1120とほぼ同じ形状および大きさ、または、図12に示すように他の形状および/または大きさにすることができ、不透明領域1201および1212は、光源610からの光612を遮断してもよい。
【0028】
さらに、図13−15は、異なる応用例に適合するために、透明領域および不透明領域がどのような異なる形状および/または大きさを取り得るかを示している。例えば、図13に示すように、透明領域1320は、スライドの縁部や不透明領域により境界が規定されていない。むしろ、図示した実施例の透明領域1320は、円形(または形状)であり、不透明領域1314により囲まれている。また、スライド1300は、円形(または形状)の不透明領域1310を具え、通常、透明領域1320を透過する光612は、スライドがカセット内に適切に搭載されていない場合、不透明領域1310により遮断される。
【0029】
別の例として、透明領域1420は、図14に示すようにスライドの一方の縁部に沿って配置できる。この実施例では、不透明領域1414は透明領域1420を部分的に囲んでおり、不透明領域1410および1412は、透明領域1420とほぼ同じ形状および大きさである。別の例として図15に示すように、透明領域1520は、図15に示す構成と同じような、不透明領域1514により囲まれた三角形の透明領域とすることができる。しかしながら、スライドの反対側の端部では、他の図に示すようにそれぞれが離れた不透明領域を利用するよりもむしろ、スライドの端部全体が不透明領域1510であり、これらの構成はいずれも、スライドがカセット内に適切に搭載されていない場合に、光源610からの光612を遮断する。
【0030】
当業者であれば、長方形、正方形、円形、および他の形状の透明領域および不透明領域の様々な組合せを利用して、あるスライド配置では光は透明領域を透過し、別のスライド配置では不透明領域により遮断することができる。透明領域および不透明領域の形状は一致していてもよく、または一致していなくてもよい。また、不透明領域の大きさは、必要に応じて変更できる。別の例では、スライドが共通の透明領域を具えている限り、スライドの端部全体を不透明領域とすることができる。さらに、透明領域は大きさが異なっていてもよい。透明領域の形状および大きさは、例えば、スライドの大きさや、使用される光源に依存してもよく、例えば、光源はコリメート光源または拡散光源のいずれかであり、コリメート光源は大きな透明領域と小さな透明領域の双方に利用してもよい。さらに、透明領域および対応する不透明領域は、スライド上の異なる位置を占有してもよい。さらに、透明部分はスライドの縁部や不透明領域に境界を規定してもよく、また不透明領域により囲まれてもよい。したがって、図10−15に示す構成は、説明としての実施例であり限定を意図するものではない。
【0031】
したがって、当業者であれば、様々な数、形状、大きさ、および位置の透明領域および不透明領域が存在し、光源から整列した透明領域を介してセンサに到達する光により、透明領域の固有の配置のインジケーションを提供し、スライドがカセット内に適切に搭載されていることを知らせることは理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、前面または縁部よりも長い側面を有する従来のスライドの斜視図である。
【図2】図2は、前面または縁部よりも長い側面を有し、つや消し端部を有する従来のスライドの平面図である。
【図3】図3は、同一の長さを有する側面または縁部を有する正方形の従来のスライドの斜視図である。
【図4】図4は、従来の正方形のスライドの平面図である。
【図5】図5は、様々な実施例で使用される透明領域および不透明領域を有するスライドを示している。
【図6】図6は、総てのスライドが適切に搭載されたことにより透明部分が整列されたスライドを具えるシステムてある。
【図7】図7は、スライドが回転したことにより、透明部分が間違って整列されたスライドを有するシステムを示す。
【図8】図8は、スライドの裏表が反対になったことにより透明部分が間違って整列されたスライドを有するシステムである。
【図9】図9は、側面および端部が配置され、透明部分が配列されたスライドを有するシステムを示す。
【図10】図10は、代替的な実施例に使用される、正方形の透明領域および不透明領域の代替的な構成を示す。
【図11】図11は、代替的な実施例に使用される、長方形の透明領域および不透明領域の別の代替的な構成を示す。
【図12】図12は、代替的な実施例に使用される、扇形の透明領域および不透明領域の別の代替的な構成を示す。
【図13】図13は、代替的な実施例に使用される、不透明領域により囲まれた円形の透明領域の別の代替的な構成を示す。
【図14】図14は、代替的な実施例に使用される、図12に対して反対側に扇形の透明領域を有し、透明領域が不透明領域により囲まれた別の代替的な構成を示す。
【図15】図15は、透明領域と、スライドの端から端および側面から側面に延在する不透明領域の別の代替的な構成を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド格納容器に関し、特にスライド格納容器内のスライドの向きを判断または確認するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡や患者のスライド試験などの様々な装置がスライドガラスを格納するのに利用されている。一つの周知の格納容器はスライドカセットである。カセットは通常、一対のトレイ、支持部材、またはカセットから延在するフィンガと、下側のスロットとを具える。スライドは、スロット内およびトレイにフィットする。各スロットは単一のスライドを受ける。スロットの大きさは通常、スライドの大きさよりも大きく、スライドはスロットに容易に挿入でき、またスロットから容易に取り出すことができる。
【0003】
自動または半自動画像システムは、ロボットアクチュエータまたは他の装置を利用して、カセットからスライドを抜き取り、スライドまたは標本を処理し、スライドをカセットに戻す。例えば、ある装置はカセットからスライドを取得して顕微鏡または装置の真下に配置するため、細胞検査技師が癌の標本およびその他の病状を分析できる。特に、画像システムはスライドを把持し、スライドをトレイの保持部材の上に持ち上げ、スライドをトレイおよびスロットから取り出し、スライドを顕微鏡の真下に配置する。画像システムは、分析が完了した後にスライドをカセットに再び挿入する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像システムおよび他の装置によりスライドカセット内のスライドの向きを確認する方法は改良できる。理想的には、総てのスライドが、カセット内のトレイに適切かつ平行に、また同様の方法により配置される。しかしながら、人間や機械のエラーにより、スライドが不適切にカセットに搭載されることがある。例えば、あるスライドが逆さまに挿入され、標本サンプルが下向きになる一方、他のスライドがその標本サンプルを上向きにする場合がある。さらに、スライドは回転してしまうことがある。言い換えれば、スライドが偶然に180度回転してしまうことがある。これは、例えばバーコードまたは他のデータがスライドの一方の端部に存在する場合に問題になる。また、スライドは回転し裏返ることがある。不適切に搭載されたスライドにより、処理設備に関する問題や処理エラーが生じ、システムが停止し、細胞検査技師または技術者がカセットを調べたりスライドを再配置する必要が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施例によると、スライドがスライド容器に適切に搭載されているか判断するシステムは、透明領域および不透明領域を有するスライドと、光源と、センサとを具える。前記スライドは、前記光源と前記センサとの間に配置される。前記スライドは、前記センサが前記光源から前記スライドの透明領域を透過した光を検出したときは、前記スライド容器内に適切に搭載されている。
【0006】
代替的な実施例によると、複数のスライドがスライド容器に適切に搭載されているか判断するシステムは、それぞれが透明領域および不透明領域を有する複数のスライドと、光源と、センサとを具える。前記スライドは、前記光源と前記センサとの間に配置され、前記センサが前記光源から前記スライドの整列した透明領域を透過した光を検出したときは、前記スライド容器内に適切に搭載されている。
【0007】
別の代替的な実施例によると、複数のスライドがスライド容器に適切に搭載されているか判断するシステムは、それぞれが1つの透明の角部領域および3つの不透明な角部領域を有する複数のスライドと、光源と、センサとを具える。前記スライドは、前記光源と前記センサとの間に配置され、前記センサが前記光源から前記スライドの整列した透明の角部領域を透過した光を検出したときに、前記スライド容器に内に適切に搭載されている。
【0008】
様々な実施例では、スライドの一つの角部は透明領域を具え、他の3つの角部は、吸収性または反射性のある不透明またはつや消し領域などの不透明領域を具える。異なる配置、形状、数、および大きさの透明および不透明領域を利用できる。例えば、スライドは垂直なスタックに配置または水平に配置され、光源とセンサとの間に配置される。透明領域は、スライドの縁部と不透明領域により境界が規定できる。さらに、透明領域は、三角形、長方形、正方形、円形、または半円形とすることができる。各スライドは、例えば、三角形または長方形などの様々な形状をした3つの不透明領域を有することができる。
【0009】
また、様々な実施例では、レーザなどの光源は可視光線および非可視光線を含む様々な波長の光を生成できる。センサは、1以上のスライドがスライド容器に適切に搭載されているかを示す信号またはデータを生成でき、これにより、ディスプレイスクリーンに表示されるメッセージを生成し、または光またはスピーカを始動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
これらの実施例およびその利点は、同一の参照番号が同一の形状を示す添付図面と関連させて以下の説明を参照することにより、さらに完全に理解されるであろう。
【0011】
本実施例は、マサチューセッツ州01752、モールバラ、キャンパスドライブ250所在のCytyc Corporation社から入手可能な品番70292−000などのスライド容器に、スライドが適切に搭載または配置されたが判断するのに利用できる。図1に示すように、例示的なスライド110は、試験用のサンプルまたは標本112を有する上面111と、底面113と、第1の側面114と、第2または反対の側面115と、スロット102内に配置される第1の縁部116と、第2または反対の縁部117とを具える。図2を参照すると、いくつかのスライドはつや消し部分118を有し、このつや消し部分は、数字をスライド110に容易に印刷したり、取り扱うべきスライド110の区分を特定するのに利用される。図3および4に示すスライドは通常、縁部116および117より長い側面114および115を有する長方形のスライドである。当業者であれば、その他のスライドの構成が利用できることは理解できるであろう。例えば、図3および4を参照すると、別の例示的なスライド110は、長さが同じである側面114および115と縁部116および117を有する正方形のスライドである。図示および説明のために、限定するわけではないが、本明細書では長方形のスライドについて言及する。
【0012】
通常、スライド110はカセット内に搭載され、平行かつ適切に配置され、スライドは、標本サンプル112がスライド110の上面111にある状態で上向きに配置される。通常、総てのスライドは、処理設備が特定の方法により配置されたスライドを処理するように構成されているため、同様の方法で配置される。当業者であれば、「共通の」向きはカセットおよび設備の構成に応じて変更できるが、この仕様は、スライドが、(標本がスライドに付着している場合に)上向きである標本サンプルに対して平行であり、スライドの一方の端部が、初めにカセットに挿入されることに関連することは理解できるであろう。しかしながら、スライド110は裏返りまたは180度回転することによりカセット内に不適切に配置され、スライドがカセット内に正しく配置されないことがある。本実施例は、透明領域を利用することにより、いずれのスライドがカセット内に不適切に搭載または配置されているか判断することができる。
【0013】
特に、図5を参照すると、様々な実施例で使用されるスライド500は、スライドの一つの角部の透明領域520と、不透明領域510、512、および514(通常510)とを具える。図示した実施例では、不透明領域510および512は三角形であり、透明領域520とほぼ同じ大きさであるが、実施例はこれに限定されない。図示した実施例では、不透明領域514はスライド500の側面の間に延在している。透明領域520は、スライド500の縁部と不透明領域514により境界が規定される。
【0014】
図5に示すように、透明領域520はスライド500自体の一部であり、不透明領域510は、例えばつや消しされた518または不透明素材でコーティングされたスライド500の一部である。代替的に、不透明領域510は不透明な接着剤をスライドに塗ったり、例えばレーザエッチング、研磨、または他の適切な技術を利用してスライドの一部を他の部分よりも透明にするスライド処理などの、他の技術を利用して形成してもよい。不透明領域510は、スライドの素材、不透明領域510の素材、および不透明領域510を形成する方法に応じて、接着性または反射性を有してもよい。説明のために、限定するわけではないが、本明細書では、つや消しされた不透明領域について言及する。つや消し素材およびつや消しされた不透明部分118を形成する技術は、本技術分野で周知であるため、本明細書ではこれらについてさらに詳しく説明しない。
【0015】
当業者であれば、不透明領域510は入射光線の100%を吸収または反射せず、不透明領域510は少量の光を透過することは理解できるであろう。したがって、本明細書中の「不透明」についての言及は、完全に不透明な領域と、透明領域520よりも十分に透明でない領域を含むことを意味しており、センサが、透明領域510を透過する光と不透明領域520を透過する光とを検出および区別する。異なる透過特性を有するいずれの不透明領域510を使用するかは、例えばセンサの感度や、強さの異なる光を区別するセンサの能力により決定してもよい。
【0016】
図6を参照すると、システム600は、1以上のスライド500と、光または電磁エネルギを放出する光源610と、光源610からの光612を検出するセンサ620とを具える。この図は5枚のスライドを示しているが、当業者であれば、本システムは異なる枚数のスライド、例えば1枚のスライド、10枚のスライド、50枚のスライド等を具えることができることを理解できるであろう。
【0017】
使用される光源610の種類は、スライドの種類またはスライド500の素材、スライド500の数、光源610の強さ、およびセンサ620の感度により決定できる。例示的な光源610は、白色光源と、発光ダイオード(LED)と、レーザとを具える。光源610からの光612は視準してもよく、約400ナノメータ(nm)から約700nmの範囲の可視光線、および約700nmから約1000nmの赤外線波長や約100nmから約400nmまでの紫外線などの非可視光線を含む様々な波長であってもよい。例示的な光源610およびセンサ620の組合せは、オーストラリア、SA5950、エクスポートパーク、コルベットコート5aに所在のLaserex Technologies社から入手可能な、約635、650、670、780、808、830、および850nmの波長の光を放出するModel LDM-5の低分散レーザモジュールや、同じくLaserex社から入手可能な、約350−1100nmの帯域幅の範囲を有するModel LR-4アナログレシーバである。当業者であれば、他の光源およびセンサも利用できることが理解できるであろう。
【0018】
図示した実施例では、スライド500は、スライドカセットに配置された垂直なスタックとして示されている。この実施例では、光源610およびセンサ620は、スライド500の反対側、即ち垂直なスタックの上側および下側に配置される。光源610およびセンサ620は入れ替えて、センサ620はスライド500のスタックの上側に、光源610はスライド500の下側にしてもよい。このように、実施例はスライドの異なる構成により利用できる。
【0019】
システムまたはユーザは、図6に示すように、光源610から総てのスライド500の透明領域520を透過し、センサ620により検出される光612に基づいて、スライド500が適切にカセットに搭載されたか判断できる。これは、不透明領域510が光612の経路内に配置されていないとき、すなわち光612が、透明領域520を介してセンサ620に到達するときに可能である。
【0020】
センサ620は、センサ620が光源610から光612を検出したかどうか、即ちスライドが適切にカセット内に搭載されたかを知らせることができるデータまたは信号622を生成する。センサ信号622または追加の構成部材により、インジケーション機能を提供することができる。例えば、センサ出力622は、インジケータを直接動作させることができ、またはセンサ出力622は、図6に示すような1以上のインジケータを動作させるのに必要なデータまたは信号632を提供するマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または論理回路またはゲートなどのコントローラ630に提供され、成功/失敗を知らせることができる。さらに、コントローラ630は、他の動作または表示を初期化することができる。例えば、コントローラ630は、制御システムまたはコンピュータにより使用される信号またはデータを生成でき、この制御システムまたはコンピュータは、信号またはデータに応じてスクリーンに表示されるエラーメッセージを生成する。代替的に、コンピュータは、システムに問題がある場合、修正動作を初期化してもよい。
【0021】
使用されるインジケータは、ビジュアルインジケータ、可聴インジケータ、またはこれらの組合せを含む。例えば、ビジュアルインジケータは、LED640および642などのインジケータライトまたは発光ダイオード(LED)とすることができる。可聴インジケータは、スピーカ(S)644とすることができる。図示した実施例では、インジケータは、2つのLED640および642と、1つのスピーカ644とを具える。LED640は緑色(G)発光ダイオードであり、総てのスライドがカセット内に適切に搭載および整列され、処理が継続可能であることを示す。LED642は赤色(R)発光ダイオードであり、1以上のスライドがカセット内に適切に搭載されておらず、カセットがスライドの整列の修正を必要としていることを示す。当業者であれば、他の表示色の手段または情報を利用可能であることは理解できるであろう。
【0022】
スライド500がカセット内に適切に搭載された場合、図6に示すように、総ての透明領域520は互いに整列される。この構成では、光612はセンサ620により検出され、センサ620またはコントローラ630は、緑色LED640およびまたはスピーカ644などのインジケータを動作させる適切な信号を提供し、スライドが適切に搭載され、細胞検査技師が作業を続行できることを示す。
【0023】
一方、スライド500が適切に搭載されなかった場合、センサ620またはコントローラ630は光612を検出せず、赤色LED642および/またはスピーカ644を動作させる信号を生成して、1以上のスライドが不適切に搭載されていることを知らせ、これにより細胞検査技師の注意を喚起できる。信号632は、例えば、スライドが搭載された後、またはカセット内のスライドの配置を確認するためのユーザの要求の後の所定の時間内に検出された光612の欠如に基づいて生成できる。
【0024】
図7および8は、1以上のスライドが誤って搭載された起こりうる配置を示す。特に図7は、スライドが180度回転し、誤った端部がカセット内に搭載された状態を示している。この構成では、上側の2枚のスライドと下側の2枚のスライド500が適切に搭載されているが、中央のスライド500は不適切に回転している。このため、不透明領域510および520が回転し、透明領域520が、スライドが適切に搭載されたときの光612の経路内に配置されるのではなく、カセット内に配置されている。したがって、光源610からの光612は、不透明領域512により吸収または反射され、センサ620に到達しない。センサ620またはコントローラ630は、1以上のスライドが不適切に搭載されたことを知らせるインジケーションを生成し、細胞検査技師の注意を喚起する。
【0025】
図8は、スライドが不適切に搭載された別の配置を示している。この例では、スタックの下側のスライドが裏返っている。このため、不透明領域510および512は裏返り、カセット内に配置されている。不透明領域514は光612の経路内にあり、透明領域520は光612の経路の外側にある。したがって、光源610からの光612は、不透明領域により吸収または反射され、センサ620に到達しない。センサ620またはコントローラ630は、1以上のスライドが不適切に搭載されたことを知らせるインジケーションを生成し、細胞検査技師の注意を喚起する。さらに、スライドは裏返りかつ回転することもあり、これは基本的に図7および8に示す配置の組合せである。この配置により、不透明領域部分が光を遮り、1以上のスライドがカセット内に適切に配置されていないことを示すインジケーションが生成される。
【0026】
当業者であれば、代替的な実施例が、異なる種類の透明および不透明領域、光源、センサ、スライド素材、ならびにスライド配置を具えることを理解できるであろう。例えば、図6−8に示す実施例では、スライド500がカセット内の典型的な配置、即ち、垂直に積まれそれぞれが離れて配置されている様子が示されている。代替的な実施例では、スライド500が各スライドの上面に積まれ、各スライドが別のスライドに接触するようにしてもよい。さらに、図9に示すように、システム600は、水平に配置されまたは側面または端部が配置されたスライド500を利用して、同じ機能を果たすように構成できる。
【0027】
透明領域および不透明領域の異なる種類もまた使用できる。例えば、図5−8は、スライドの角部に配置された三角形の透明領域520を有するスライドを示しているが、透明領域520は、他の形状や大きさにすることができる。例えば、図10は、不透明領域1014により部分的に囲まれている正方形の透明領域1000を有するスライド1000を示している。不透明領域1010および1012は、透明領域1020とほぼ同じ形状および大きさとすることができる。図11は、不透明領域1114により部分的に囲まれている長方形の透明領域1100を有するスライド1100を示している。不透明領域1110および1112は、透明領域1120とほぼ同じ形状および大きさとすることができる。図12は、不透明領域1214により部分的に囲まれている扇形の透明領域1100を有するスライド1200を示している。不透明領域1210および1212は、透明領域1120とほぼ同じ形状および大きさ、または、図12に示すように他の形状および/または大きさにすることができ、不透明領域1201および1212は、光源610からの光612を遮断してもよい。
【0028】
さらに、図13−15は、異なる応用例に適合するために、透明領域および不透明領域がどのような異なる形状および/または大きさを取り得るかを示している。例えば、図13に示すように、透明領域1320は、スライドの縁部や不透明領域により境界が規定されていない。むしろ、図示した実施例の透明領域1320は、円形(または形状)であり、不透明領域1314により囲まれている。また、スライド1300は、円形(または形状)の不透明領域1310を具え、通常、透明領域1320を透過する光612は、スライドがカセット内に適切に搭載されていない場合、不透明領域1310により遮断される。
【0029】
別の例として、透明領域1420は、図14に示すようにスライドの一方の縁部に沿って配置できる。この実施例では、不透明領域1414は透明領域1420を部分的に囲んでおり、不透明領域1410および1412は、透明領域1420とほぼ同じ形状および大きさである。別の例として図15に示すように、透明領域1520は、図15に示す構成と同じような、不透明領域1514により囲まれた三角形の透明領域とすることができる。しかしながら、スライドの反対側の端部では、他の図に示すようにそれぞれが離れた不透明領域を利用するよりもむしろ、スライドの端部全体が不透明領域1510であり、これらの構成はいずれも、スライドがカセット内に適切に搭載されていない場合に、光源610からの光612を遮断する。
【0030】
当業者であれば、長方形、正方形、円形、および他の形状の透明領域および不透明領域の様々な組合せを利用して、あるスライド配置では光は透明領域を透過し、別のスライド配置では不透明領域により遮断することができる。透明領域および不透明領域の形状は一致していてもよく、または一致していなくてもよい。また、不透明領域の大きさは、必要に応じて変更できる。別の例では、スライドが共通の透明領域を具えている限り、スライドの端部全体を不透明領域とすることができる。さらに、透明領域は大きさが異なっていてもよい。透明領域の形状および大きさは、例えば、スライドの大きさや、使用される光源に依存してもよく、例えば、光源はコリメート光源または拡散光源のいずれかであり、コリメート光源は大きな透明領域と小さな透明領域の双方に利用してもよい。さらに、透明領域および対応する不透明領域は、スライド上の異なる位置を占有してもよい。さらに、透明部分はスライドの縁部や不透明領域に境界を規定してもよく、また不透明領域により囲まれてもよい。したがって、図10−15に示す構成は、説明としての実施例であり限定を意図するものではない。
【0031】
したがって、当業者であれば、様々な数、形状、大きさ、および位置の透明領域および不透明領域が存在し、光源から整列した透明領域を介してセンサに到達する光により、透明領域の固有の配置のインジケーションを提供し、スライドがカセット内に適切に搭載されていることを知らせることは理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、前面または縁部よりも長い側面を有する従来のスライドの斜視図である。
【図2】図2は、前面または縁部よりも長い側面を有し、つや消し端部を有する従来のスライドの平面図である。
【図3】図3は、同一の長さを有する側面または縁部を有する正方形の従来のスライドの斜視図である。
【図4】図4は、従来の正方形のスライドの平面図である。
【図5】図5は、様々な実施例で使用される透明領域および不透明領域を有するスライドを示している。
【図6】図6は、総てのスライドが適切に搭載されたことにより透明部分が整列されたスライドを具えるシステムてある。
【図7】図7は、スライドが回転したことにより、透明部分が間違って整列されたスライドを有するシステムを示す。
【図8】図8は、スライドの裏表が反対になったことにより透明部分が間違って整列されたスライドを有するシステムである。
【図9】図9は、側面および端部が配置され、透明部分が配列されたスライドを有するシステムを示す。
【図10】図10は、代替的な実施例に使用される、正方形の透明領域および不透明領域の代替的な構成を示す。
【図11】図11は、代替的な実施例に使用される、長方形の透明領域および不透明領域の別の代替的な構成を示す。
【図12】図12は、代替的な実施例に使用される、扇形の透明領域および不透明領域の別の代替的な構成を示す。
【図13】図13は、代替的な実施例に使用される、不透明領域により囲まれた円形の透明領域の別の代替的な構成を示す。
【図14】図14は、代替的な実施例に使用される、図12に対して反対側に扇形の透明領域を有し、透明領域が不透明領域により囲まれた別の代替的な構成を示す。
【図15】図15は、透明領域と、スライドの端から端および側面から側面に延在する不透明領域の別の代替的な構成を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドがスライド容器に適切に搭載されているか判断するシステムであって、
それぞれが透明領域および不透明領域を有する複数のスライドと、
光源と、
センサとを具え、
前記スライドは、前記光源と前記センサとの間に配置され、前記スライドは、前記センサが前記光源から前記スライドの整列した透明領域を透過した光を検出したときは、前記スライド容器内に適切に搭載されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記透明領域は透明の角部領域であることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記透明領域は、前記スライドの縁部および不透明領域により境界が規定されることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記透明領域は、三角形、長方形、正方形、円形、または半円形であることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記不透明領域は不透明であることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記不透明領域はつや消しであることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記不透明領域は吸収性があることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記不透明領域は反射性があることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記透明領域および前記不透明領域は、同じ形状であることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記光源はレーザであることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記センサは、前記センサが、前記光源から整列した透明領域を透過する光を検出することより、前記複数のスライドが前記スライド容器内に適切に搭載されているかを知らせる信号またはデータを生成することを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記光源および前記センサは、前記複数のスライドの上面および下面に対して垂直に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記スライドは垂直なスタック内に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記スライドは水平に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記複数のスライドは、前記光源からの光が不透明領域により遮断されたときは、前記スライドカセット内に不適切に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項1】
スライドがスライド容器に適切に搭載されているか判断するシステムであって、
それぞれが透明領域および不透明領域を有する複数のスライドと、
光源と、
センサとを具え、
前記スライドは、前記光源と前記センサとの間に配置され、前記スライドは、前記センサが前記光源から前記スライドの整列した透明領域を透過した光を検出したときは、前記スライド容器内に適切に搭載されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記透明領域は透明の角部領域であることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記透明領域は、前記スライドの縁部および不透明領域により境界が規定されることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記透明領域は、三角形、長方形、正方形、円形、または半円形であることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記不透明領域は不透明であることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記不透明領域はつや消しであることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記不透明領域は吸収性があることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記不透明領域は反射性があることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記透明領域および前記不透明領域は、同じ形状であることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記光源はレーザであることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記センサは、前記センサが、前記光源から整列した透明領域を透過する光を検出することより、前記複数のスライドが前記スライド容器内に適切に搭載されているかを知らせる信号またはデータを生成することを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記光源および前記センサは、前記複数のスライドの上面および下面に対して垂直に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記スライドは垂直なスタック内に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記スライドは水平に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記複数のスライドは、前記光源からの光が不透明領域により遮断されたときは、前記スライドカセット内に不適切に配置されていることを特徴とするシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2008−528967(P2008−528967A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552139(P2007−552139)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/046290
【国際公開番号】WO2006/078402
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(507130015)サイテック コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/046290
【国際公開番号】WO2006/078402
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(507130015)サイテック コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】
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