説明

スラスト軸受

【課題】 転動体の直径相互差が適正値であって、非繰り返し振れを十分に小さくすることができ、かつ比較的低コストで製作できるスラスト軸受を提供する。
【解決手段】 スラスト軸受1Aは、互いに軸方向に真っ直ぐまたは斜めに対向する一対の軌道輪2,3の各軌道面2a,3a間に複数の転動体4が介在する。このスラスト軸受1Aにおいて、最小負荷荷重時に転動体4に作用するスラスト荷重による転動体4の直径の弾性変形量をδ、各転動体4の直径相互差をΔDaとしたとき、δ≧ΔDaの関係が成り立つようにする。例えば、各軌道輪2,3と転動体4とが互いに線接触する場合、最小負荷荷重時に転動体4に作用するスラスト荷重をp、線接触の長さをlとしたとき、
δ=0.003p0.9/l0.8≧ΔDa
とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば切削用工作機械のワークを載せる回転テーブルの支持に用いられ、非繰り返し振れを小さくするのに優れたスラスト軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受に支持された構造体に高い位置精度を求める場合、転がり軸受の回転精度のうち回転に同期しない振れ、いわゆる非繰り返し振れを小さく管理する必要がある。非繰り返し振れは転がり軸受の公転精度によるところが大きく、非繰り返し振れを小さくするには、転動体の直径相互差を小さくするのが有効であることが分かっている。例えば特許文献1には、ころ軸受についての有効な直径相互差が開示され、特許文献2には、玉軸受についての有効な直径相互差が開示されている。スラスト軸受については、現時点では、非繰り返し振れについての研究があまり進められておらず、転動体の直径相互差の適正値が不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−308822号公報
【特許文献2】特開2004−353692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スラスト軸受にスラスト荷重が作用したときのメカニズムについて考察する。
図7に示すスラスト軸受1は、下側の軌道輪2に対し上側の軌道輪3が鉛直方向に沿う中心軸O回りに回転している。上側の軌道輪3に下向きのスラスト荷重が作用すると、軌道輪2,3および転動体4に弾性変形が生じる。このとき、各転動体4の直径相互差が転動体4の直径の弾性変形量よりも大きいと、同図(A)のように上側の軌道輪3に傾きが生じる。上側の軌道輪3が1回転する間に転動体4は1/2回転することから、同図(B),(C)のように1回転毎に傾きは逆位相となる。その結果、上側の軌道輪3における円周方向の特定点Pが上下動する。
【0005】
さらに、転動体4にかかる荷重が不均一となるため、各転動体4の自転速度が異なり、上側の軌道輪3が複数回回転すると、転動体4の公転回転数が変化する。それにより、高さのピークとなる特定点Pの位置が徐々に変化していく。これが、スラスト軸受1の非繰り返し振れである。
【0006】
図8は、非繰り返し振れが起きるスラスト軸受1を切削加工用工作機械の回転テーブル12の支持に用いた状態を示す。スラスト軸受1の非繰り返し振れにより、上側の軌道輪3に結合された回転テーブル12は、1回転する毎に傾きが変化し、ある一点における傾き量は徐々に変化する。よって、例えば回転テーブル12上に被加工物14を載せ、位置固定した工具(図示せず)で切削加工を行った場合、加工深さHが回転テーブル12の回転角度によって変化する。図8(A)は、切削加工時の一状態を、同図(B)は回転テーブル12が1回転した時の状態を、同図(C)は回転テーブル12が2回転した時の状態をそれぞれ示す。このように、加工深さHが回転角度によって変化するため、被加工物14の外周面における中心軸Oと平行な直線上について見ると、表面形状が不均一となる。この表面形状の不均一は、視覚的に加工むらとして認知されるものであり、品質上問題である。
【0007】
このように、スラスト軸受の場合も、非繰り返し振れが工作機械等の構造体の位置精度に与える影響は大きいため、非繰り返し振れを抑制する必要がある。それには、転動体の直径相互差を適正に定めなければならない。直径相互差が大きすぎると、非繰り返し振れを十分に小さくすることができず、スラスト軸受に支持された構造体の満足な位置精度が得られない。ただし、直径相互差を必要以上に抑制するのは、高コスト化の原因となる。
【0008】
この発明の目的は、転動体の直径相互差が適正値であって、非繰り返し振れを十分に小さくすることができ、かつ比較的低コストで製作できるスラスト軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のスラスト軸受は、互いに軸方向に真っ直ぐまたは斜めに対向する一対の軌道輪の各軌道面間に複数の転動体が介在し、最小負荷荷重時に転動体に作用するスラスト荷重による転動体の直径の弾性変形量をδ、各転動体の直径相互差をΔDaとしたとき、δ≧ΔDaの関係が成り立つことを特徴とする。
上記最小負荷荷重時とは、A:テーブル重量、B:軸受予圧荷重、C:上側軌道輪重量のいずれか、もしくはこれらの組合せの和(A+B、B+C、A+C、A+B+C)が転動体に作用する時のことを言う。軸受単独の状態で成立することもあれば、機械へ組込み後に他の荷重が加算された状態で成立することもある。例えば、軸受単独の状態では、上側軌道輪重量だけが転動体に作用する。軸受が機械に取付けられた状態では、上側軌道輪重量に加えて、軸受予圧荷重およびテーブル重量も転動体に作用する。なお、軸受予圧荷重は、運転によって大きくなるため、運転状態を考慮して定まる値である。
【0010】
スラスト軸受の非繰り返し振れを防ぐには、各転動体にかかる負荷の不均一を抑制することが有効である。それには、各転動体の直径相互差ΔDaを、転動体の直径の初期弾性変形量すなわち最小負荷荷重時における転動体の直径の弾性変形量δ以下とするのが良い。したがって、δ≧ΔDaの関係とすることにより、非繰り返し振れを防ぐことができる。
【0011】
δ≧ΔDaの関係を満足させるには、転動体の直径相互差ΔDaを小さくする方法と、最小負荷荷重時における転動体の直径の弾性変形量δを大きくする方法とがある。前者の方法は、加工や測定に高精度が要求され、製造コストに影響する。よって、後者の方法を採用することが現実的である。具体的に弾性変形量δを大きくする手法として、以下が挙げられる。
・転動体数を減らす。
・転動体の直径を小さくする。
・初期に予圧を負荷する。
・転動体と軌道輪との接触幅を減らす。
・軌道輪の軌道面における転動体との接触位置の断面形状を変更する。例えば、軌道面が平面である場合、凸形状とする。また、軌道面が円弧形状の溝状である場合、円弧の曲率を小さくする。
これらの手法の中から、スラスト軸受の用途、サイズ、製造コスト等を総合判断して、適切な手法を1つ、または複数採用すればよい。
【0012】
この発明において、前記転動体がころであって、前記各軌道輪と前記転動体とが互いに線接触する場合、前記最小負荷荷重時に転動体に作用するスラスト荷重をp、線接触の長さをlとしたとき、
δ=0.003p0.9/l0.8≧ΔDa
の関係が成り立つようにするのが良い。ここで、pは、1個の転動体に作用する荷重であり、(軸受に負荷される荷重)÷(転動体の個数)で表される。pの単位はkgf、lの単位はmmである。
【0013】
また、前記転動体が玉であって、前記各軌道輪と前記転動体とが互いに点接触する場合、前記最小負荷荷重時に転動体に作用するスラスト荷重をp、ヘルツの誘導により求められる係数を2k/πμ、転動体の半径をr、軌道輪の曲率半径をriとしたとき、
【数1】

の関係が成り立つようにするのが良い。r,riの単位は、いずれもmmである。
【0014】
この発明のスラスト軸受は、固定部に対して回転部が回転運動を行い、前記回転部に前記固定部と反対方向からスラスト荷重が作用する構造体に用いることができる。その場合、構造体の前記固定部にスラスト軸受の前記一対の軌道輪のうちの一方の軌道輪が結合され、構造体の前記回転部にスラスト軸受の前記一対の軌道輪のうちの他方の軌道輪が結合される。
【0015】
前記構造体が工作機械である場合、前記固定部は同工作機械の基台であり、前記回転部は同工作機械の回転テーブルであってよい。
この発明のスラスト軸受を工作機械の回転テーブルの支持に用いると、非繰り返し振れによる回転テーブルの傾きの変化を抑制することができ、精度良く加工を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明のスラスト軸受は、互いに軸方向に真っ直ぐまたは斜めに対向する一対の軌道輪の各軌道面間に複数の転動体が介在し、最小負荷荷重時に転動体に作用するスラスト荷重による転動体の直径の弾性変形量をδ、各転動体の直径相互差をΔDaとしたとき、δ≧ΔDaの関係が成り立つため、転動体の直径相互差が適正値であって、非繰り返し振れを十分に小さくすることができ、かつ比較的低コストで製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかるスラスト軸受の断面図である。
【図2】この発明の第2の実施形態にかかるスラスト軸受の断面図である。
【図3】この発明の第3の実施形態にかかるスラスト軸受の断面図である。
【図4】この発明の第4の実施形態にかかるスラスト軸受の断面図である。
【図5】この発明の第4の実施形態にかかるスラスト軸受の断面図である。
【図6】同スラスト軸受を用いた工作機械の一例の概略断面図である。
【図7】スラスト軸受の非繰り返し振れの説明図である。
【図8】非繰り返し振れが工作機械の加工に与える影響の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、第1の実施形態である複列スラスト円筒ころ軸受形式のスラスト軸受を示す。このスラスト軸受1Aは、互いに軸方向に対向する一対の軌道輪2,3の各軌道面2a,3a間に、複列の円筒ころからなる転動体4が円周方向に複数介在している。各軌道面2a,3aは平面状である。各転動体4は、保持器5に保持されている。転動体4は単列であってもよい。
【0019】
このスラスト軸受1Aは、転動体4が円筒ころであるため、各軌道輪2,3と転動体4とが互いに線接触している。軌道輪2,3と転動体4が線接触する場合の転動体4の直径の弾性変形量δは、転動体4に作用するスラスト荷重をp、線接触の長さをlとしたとき、
δ=0.003p0.9/l0.8・・・(式1)
で表される。
【0020】
スラスト軸受1Aの非繰り返し振れを防ぐには、各転動体4にかかる負荷の不均一を抑制することが有効である。それには、転動体4の直径相互差ΔDaを、転動体4の初期弾性変形量すなわち最小負荷荷重時の弾性変形量δ以下とするのが良い。これを関係式にすると、
δ=0.003p0.9/l0.8≧ΔDa・・・(式2)
となる。但し、pは最小負荷荷重時に転動体4に作用するスラスト荷重である。
【0021】
このスラスト軸受1Aは、上記式2の関係が成り立つように、転動体4の直径相互差ΔDaが定められている。それにより、各転動体4にかかる負荷の不均一を抑制して、スラスト荷重を受ける側の軌道輪2の傾きを小さくすると同時に、転動体4の公転周期を均一化し、軸受の非繰り返し振れを防ぐことができる。
【0022】
上記式2の関係を満足させるには、転動体4の直径相互差ΔDaを小さくする方法と、最小負荷荷重時における転動体4の直径の弾性変形量δを大きくする方法とがある。前者の方法は、加工や測定に高精度が要求され、製造コストに影響する。よって、後者の方法を採用することが現実的である。具体的に転動体4の直径の弾性変形量δを大きくする手法として、以下が挙げられる。
・転動体数を減らす。
・転動体の直径を小さくする。
・初期に予圧を負荷する。
・転動体と軌道輪との接触幅を減らす。
・軌道輪の軌道面における転動体との接触位置の断面形状を凸形状とする。例えば、クラウニング形状とする。
これらの手法の中から、スラスト軸受1Aの用途、サイズ、製造コスト等を総合判断して、適切な手法を1つ、または複数採用すればよい。
【0023】
図2は、第2の実施形態である円すいころ軸受形式のスラスト軸受を示す。このスラスト軸受1Bは、互いに軸方向に対向する一対の軌道輪2,3の各軌道面2a,3a間に、複列の円すいころからなる転動体4が円周方向に複数介在している。各軌道面2a,3aは円すい面状である。各転動体4は、保持器5に保持されている。
【0024】
このスラスト軸受1Bも、各軌道輪2,3と転動体4とが互いに線接触しており、最小負荷荷重時の弾性変形量δと最小負荷荷重時に転動体4に作用するスラスト荷重pとの関係につき、前記式2の関係が成り立つように定められている。それにより、前記実施形態と同様に、軸受の非繰り返し振れを防ぐことができる。第1の実施形態で列挙した手法と同様の手法で、転動体4の直径の弾性変形量δを大きくすることができる。
【0025】
図3は、第3の実施形態である玉軸受形式のスラスト軸受を示す。このスラスト軸受1Cは、互いに軸方向に対向する一対の軌道輪2,3の各軌道面2a,3a間に、玉からなる転動体4が円周方向に複数介在している。各軌道面2a,3aは断面円弧形状の溝状である。各転動体4は、保持器5に保持されている。
【0026】
このスラスト軸受1Cは、転動体4が玉であるため、各軌道輪2,3と転動体4とが互いに点接触している。その場合、転動体4の最小負荷荷重時の弾性変形量δと転動体4の直径相互差ΔDaとの関係は、
【数1】

となるようにしてある。それにより、前記実施形態と同様に、軸受の非繰り返し振れを防ぐことができる。
【0027】
上記式3の関係を満足させるために、転動体4の直径の弾性変形量δを大きくする手法として、以下が挙げられる。
・転動体数を減らす。
・転動体の直径を小さくする。
・初期に予圧を負荷する。
・転動体と軌道輪との接触幅を減らす。
・軌道輪の軌道面における転動体との接触位置を、円弧の曲率の大きい断面形状とする。または、軌道輪の軌道面を、曲率の異なる複数の面からなるゴシックアーチ形状とする。
これらの手法の中から、スラスト軸受1Cの用途、サイズ、製造コスト等を総合判断して、適切な手法を1つ、または複数採用すればよい。
【0028】
図4は、第4の実施形態であるクロスローラ軸受形式のスラスト軸受を示す。このスラスト軸受1Dは、互いに直交する複列の軌道面2a,2bが形成された内周側の軌道輪2と、前記軌道面2a,2bに対向する軌道面3a,3bがそれぞれ個別に形成された上下一対の外周側の軌道輪3A,3Bとを有し、互いに対向する軌道面2a,3a間、および軌道面2b,3b間に円筒ころからなる転動体4が転動自在に介在している。各一対の軌道面2a,3aおよび軌道面2b,3bは、互いに軸方向に対向し、軌道面2a,3a間に介在する転動体4および軌道面2b,3b間に介在する転動体4は、互いに交互に配置されている。各転動体4は、共通の保持器5にそれぞれ保持されている。このスラスト軸受1Dは、スラスト荷重とラジアル荷重の両方を受けることができる。
【0029】
このスラスト軸受1Dは、転動体4が円筒ころであり、各軌道輪2,3A,3Bと転動体4とが互いに線接触しているため、最小負荷荷重時の弾性変形量δと最小負荷荷重時に転動体4に作用するスラスト荷重pとの関係につき、前記式2が適用される。それにより、前記各実施形態と同様に、軸受の非繰り返し振れを防ぐことができる。
【0030】
図5は、第5の実施形態である4点接触玉軸受形式のスラスト軸受を示す。このスラスト軸受1Eは、互いに直交する複列の軌道面2a,2bが形成された内周側の軌道輪2と、前記軌道面2a,2bに対向する軌道面3a,3bがそれぞれ個別に形成された上下一対の外周側の軌道輪3A,3Bとを有し、互いに対向する軌道面2a,3a間、および軌道面2b,3b間に玉からなる転動体4が転動自在に介在している。各一対の軌道面2a,3aおよび軌道面2b,3bは、互いに軸方向に対向し、軌道面2a,3a間に介在する転動体4および軌道面2b,3b間に介在する転動体4は、互いに交互に配置されている。各転動体4は、共通の保持器5にそれぞれ保持されている。このスラスト軸受1Eも、スラスト荷重とラジアル荷重の両方を受けることができる。
【0031】
このスラスト軸受1Eは、転動体4が玉であり、各軌道輪2,3A,3Bと転動体4とが互いに点接触しているため、最小負荷荷重時の弾性変形量δと最小負荷荷重時に転動体4に作用するスラスト荷重pとの関係につき、前記式3が適用される。それにより、前記各実施形態と同様に、軸受の非繰り返し振れを防ぐことができる。
【0032】
図6は、第1の実施形態のスラスト軸受1Aを用いた構造物の一例を示す。この構造物は、切削加工用の工作機械10である。工作機械10は、固定部である基台11に、スラスト軸受1Aを介して、回転部である回転テーブル12が回転自在に支持されている。詳しくは、スラスト軸受1Aの一方の軌道輪2が基台11に結合され、他方の軌道輪3が回転テーブル12に結合されている。回転テーブル12の軸部12aは、ジャーナル軸受13により、基台11に対し回転自在に支持されている。回転テーブル12上に被加工物14を載せた状態で、回転駆動機構(図示せず)により回転テーブル12を回転させ、位置固定で設けた工具(図示せず)により回転する被加工物14に対して切削加工を行う。
【0033】
この工作機械10は、回転テーブル12がスラスト軸受1Aで支持されているため、軸受の非繰り返し振れによる回転テーブル12の傾きの変化を抑制することができ、精度良く加工を行うことができる。
【0034】
図6の例では、回転テーブル12の支持に第1の実施形態のスラスト軸受1Aが用いられているが、他の実施形態のスラスト軸受1B,1C,1D,1Eを用いてもよい。その場合も、精度良く加工を行うことができる。
【符号の説明】
【0035】
1,1A,1B,1C,1D,1E…スラスト軸受
2…軌道輪
2a,2b…軌道面
3,3A,3B…軌道輪
3a,3b…軌道面
4…転動体
10…工作機械(構造物)
11…基台(固定部)
12…回転テーブル(回転部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに軸方向に真っ直ぐまたは斜めに対向する一対の軌道輪の各軌道面間に複数の転動体が介在するスラスト軸受において、最小負荷荷重時に転動体に作用するスラスト荷重による転動体の直径の弾性変形量をδ、各転動体の直径相互差をΔDaとしたとき、δ≧ΔDaの関係が成り立つことを特徴とするスラスト軸受。
【請求項2】
請求項1において、前記転動体がころであって、前記各軌道輪と前記転動体とが互いに線接触し、前記最小負荷荷重時に転動体に作用するスラスト荷重をp、線接触の長さをlとしたとき、
δ=0.003p0.9/l0.8≧ΔDa
の関係が成り立つスラスト軸受。
【請求項3】
請求項1において、前記転動体が玉であって、前記各軌道輪と前記転動体とが互いに点接触し、前記最小負荷荷重時に転動体に作用するスラスト荷重をp、ヘルツの誘導により求められる係数を2k/πμ、転動体の半径をr、軌道輪の曲率半径をriとしたとき、
【数1】

の関係が成り立つスラスト軸受。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、固定部に対して回転部が回転運動を行い、前記回転部に前記固定部と反対方向からスラスト荷重が作用する構造体に用いられ、前記固定部に前記一対の軌道輪のうちの一方の軌道輪が結合され、前記回転部に他方の軌道輪が結合されるスラスト軸受。
【請求項5】
請求項4において、前記固定部は工作機械の基台であり、前記回転部は同工作機械の回転テーブルであるスラスト軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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