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スリップを起こさないスリット糸とこれを用いた布地。
説明

スリップを起こさないスリット糸とこれを用いた布地。

【課題】金属蒸着スリット糸は基材である合成樹脂フィルムなどや金属皮膜自体の平滑さがスリップを起こし、又当該スリット糸を短繊維化して紡績糸、布地や不織布を製造する際には滑脱を引き起こすため、この解決を課題としてきた。
又、他の糸との撚りなどで強度補強をすることなく単体で織、編に使用でき布地上のスリット糸の目寄りを防ぐことのできる金属蒸着スリット糸が求められていた。
【解決手段】
金属蒸着スリット糸を撚糸機にかけ、1000回/メーター程度の寄りをかけ、ヒートセットを施すと丸断面になりながらスリップが防げるスリット糸を得ることができる。この糸を含む布地ではスリット糸が目寄りすることを防げる。
更に撚糸したスリット糸を短繊維化し、主原料と混綿するとスリップを防げるため均等分散が可能になり、金属蒸着糸が滑脱することのない紡績糸、不織布など布地が提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙、合成紙、合成樹脂フィルムなどを基材にして基材表面上に金属皮膜を有しスリットして得た扁平糸が、基材並びに金属皮膜の特徴である平滑性によるスリップ特性を取り除き、織物に織り込まれたスリット糸の目寄りを防止でき、又、当該スリット糸を短繊維状に断裁したスリット糸を構成原料の一部とすれば紡績が可能であり、不織布製造の際に起こる繊維のウエブからスリット糸の滑落をなくす技術に関するものであり、さらには金属皮膜を構成する金属乃至はその化合物、合金によっては永続的な抗菌性、帯電防止性や熱遮断性を、紡績糸或いは布地に付与できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、真空蒸着法やスパッタリング法など周知の技術で合成樹脂フィルムや紙乃至は合成紙などの基材の少なくても片面に、アルミニウム、錫、クロム、ニッケル、鉄、ステンレス、銅、銀、金などの金属皮膜を設け、その基材をスリットすることによって得られるスリット糸はよく知られているし、短繊維状に断裁された短冊状のスリット糸も周知である。(特許文献2を参照)
【0003】
場合によっては金属皮膜を有する基材を2枚、皮膜同士を内側にラミネートしスリットして得た糸や、金属皮膜を持つ基材と同様の皮膜を持たない基材とをラミネートしスリットして得た糸の、金属皮膜の物理的あるいは化学的乃至は光化学的変化を緩和乃至は防止するよう製造されたスリット糸もよく知られている。(特許文献1を参照)
【0004】
更には皮膜を構成する金属が銀、亜鉛、銅などの抗菌性金属である場合、得られたスリット糸が抗菌性や帯電防止性や光線を反射する特性から熱遮断性を持たせることが出来るスリット糸もよく知られている。(特許文献1を参照)
【0005】
従来技術からなる金属蒸着皮膜を有するスリット糸を芯糸とし、周知の繊維を鞘構造に持つコアヤーンも良く知られているが(特許文献3を参照)、当該コアヤーンは短繊維を外部に持つため、その繊維がスリップを防止できるが金属の光輝性、装飾性が殆ど生かされることはなく、金属蒸着膜を持つスリット糸というより一般の紡績糸というべきものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4096175号公報
【特許文献2】特許第3803825号公報
【特許文献3】特許公開2002−285443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
周知の技術や上記した背景技術によれば、従来のスリット糸はその基材の特徴である表面の平滑性及び金属皮膜の平滑性から、スリット面をジグザクに切断してあっても、特に目付けの甘い布地ではスリップして目寄りが起こった。
【0008】
又、スリット糸を構成原料の一部とする紡績糸を製造する場合には、主たる繊維に短冊型である短繊維状に断裁されたスリット糸を混綿しカード機に掛け均等分散をはかり、スライバーを得て紡績しようとしても、当該金属蒸着糸はスリップしてスライバーから滑脱するという問題点もあった。
【0009】
更にスリット糸を短繊維状にカットして得られた、所謂短冊状グリッターでは、不織布を製造する際に主たる繊維に当該グリッターを均等に分散する工程であるカード機を通過した際には、当該グリッターの摩擦係数が非常に低く、繊維ウエブから簡単に滑落してしまい、不織布製造には全く不適合であった。
【0010】
スリット糸を芯糸に、精紡交撚により短繊維の鞘に納めたコアヤーンは、鞘構造を構成する短繊維により、布地上のスリット糸のスリップを防ぎ、短繊維状に断裁され紡績糸や不織布に使用された場合に、滑落は防止できても光輝性や装飾性を失うという問題があった。
【0011】
従来技術による金属蒸着スリット糸では、蒸着された金属皮膜の光輝性や装飾性を活かすこと、よりコストを掛けないことから多回数の撚りを掛けるという発想が無かった。
【0012】
多くの撚りを掛けることで蒸着膜と基材の層間剥離を防ぎ層間の接着を強固にする技術改善よりコスト追求が優先されてきた。
【0013】
更に、ほぼ扁平なままで使用する従来技術によるスリット糸は金属色の光沢と装飾性がより重要視され、スリット糸自体のスリップを防ぐより扁平な状態での使用が基材の強度や蒸着膜の強度を守る点でも重要と考えられてきた。
【0014】
加えて、従来技術によるスリット糸は扁平糸ながら所謂モノフィラメント的な糸であり、縦への引張力に弱く、引き伸ばされると切断に至るまでに50%程度伸び切って蒸着皮膜が破壊され光輝性も装飾性も損ない、他の糸を撚糸して強度を補強しなければ単体では布地の製造には使用できなかった。
【0015】
例えば、12ミクロンのポリエステルフィルムに純銀皮膜をサンドイッチ状にしたスリット糸では、綿糸30/1と当該純銀糸を300回/メーター程度撚りあわせた糸、20dのポリエステル糸を2本、当該純銀糸を中心に左右逆に400回/メーター程度撚りあわせた糸、当該純銀糸を精紡交撚し綿の鞘に純銀糸を芯としたコアヤーンなどが上市さている。
【0016】
これらは何れもスリット糸自体を撚糸するという意図はなく、他の糸と撚りあわせることで強度を保管するためであり、基本的にはほぼ扁平糸の状態で使用されてきた。それがスリット糸としての強度が十分であったし、コスト面でも合理的であった。いわば当業者間の常識とされてきた訳である。
【0017】
そこで本発明は、従来技術の問題点に鑑みて、扁平なまま乃至は少しの撚りしかかけられていないスリット糸の金属蒸着糸としての光輝性や装飾性を維持しながら、スリップを止められるスリット糸とこれを用いた織物、編物や不織布といった布地を提供することを目的とするものである。
【0018】
又、本発明による撚糸したスリット糸を短繊維状に断裁して、それを素材構成の一部として紡績する時も、又不織布を製造する時にでも滑落を起こしてしまう従来のスリット糸の致命的な欠点を補うことが出来、光輝性、審美性を維持しスリップしない、更に引張強度の高い金属蒸着スリット糸を提供することを目的とするものでもある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1に記載するスリット糸は、紙、合成紙、合成樹脂フィルムを基材として、少なくともその片面に金属皮膜を設け、その基材をスリットし、更に多数回撚りをかけて紙縒り状に撚糸したことを特徴とする。
【0020】
請求項2に記載するスリット糸は、請求項1に記載の構成において、金属皮膜が銀、銅、亜鉛から選択される、抗菌性を備えた金属であることを特徴とする。
【0021】
請求項3に記載のスリット糸は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、請求項1又は請求項2に記載のスリット糸の金属皮膜面を、同様の金属皮膜を持たない基材のみで覆う、又は金属皮膜を持つ2枚の基材の金属皮膜面同士を合わせて接着しスリットして、スリット面にのみ金属皮膜を露出させることを特徴とする。
【0022】
請求項4に記載のスリット糸は、請求項1乃至は請求項3に記載の構成を持つスリット糸を短繊維状に断裁したことを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の織物、編物、不織布から選択される布地は、請求項1乃至は請求項4に記載のスリット糸を少なくともその構成原料の一部とする布地であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明により得られた紙縒り状に撚糸された金属蒸着皮膜を持つスリット糸やそれを断裁して得られた単繊維状のスリット糸は、布地上のスリット糸の目寄りを防止できるし、金属独特の光輝性や審美性も維持できる。
【0025】
紙縒り状に撚られた金属蒸着皮膜をもつスリット糸を短繊維状に断裁したスリット糸を、主素材である綿、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレン繊維などやそれらの繊維の複合綿と混綿する際に、当該スリット糸は主素材と均等に分散され且つ高い摩擦係数を示しスリップして滑脱することはなくなり、紡績糸や不織布の一素材として十分な光輝性、装飾性や蒸着金属の特性による機能を発揮できる。
【0026】
従来はスリット糸を芯糸に短繊維を鞘にした所謂コアヤーンを作るか、そのコアヤーン断裁して短繊維状にしたものでないと摩擦係数を上げるため所謂クリンプが無い滑りやすい糸しか提供できなかったが、金属の光輝性、装飾性をなくすというその問題を合理的に解決できる。
【0027】
本発明によるスリット糸では、スリップを引き起こすスリット糸の表面摩擦係数を多回数撚糸することで上げることができ、金属蒸着スリット糸の光輝性、審美性を維持しながら、織り込まれても、編み込まれても、特に目付けの甘い布地ではスリップが原因で目寄りを起こすことを防げるし、金属蒸着糸特有の光輝性や審美性も維持できる。
【0028】
又、他の糸と撚り合わせ強度を持たせたスリット糸と違い、スリップを止めるだけでなく強度も飛躍的に増すため、従来技術によるスリット糸とは違い、この糸単体での布地製造への利用が可能になる。
【0029】
この撚糸を織物の経糸又は緯糸の一部として織物を得れば、この撚糸は基材フィルム自体や金属皮膜が複雑に絡み合い摩擦係数が高いため、スリット糸が目寄りせず安定した布地を得ることが出来る。又、強度を補強するための綿糸やポリエステル糸、ナイロン糸など他の糸との撚糸をすることなく単体で織、編や不織布などの布地の製造に使用できる。
【0030】
金属蒸着糸を短繊維と一対一で撚糸したり、長繊維2本を左右逆に巻きつけたり、コアヤーン化した糸を、原料素材の一部として丸編を製造する場合にボーダー柄が出てしまうが、本発明で得た短繊維状の糸を原料素材の一部と使用し、丸編の主原料素材と同一の繊維を主素材に紡績された糸に混合して丸編を作ると独特のボーダーは無く、且つ金属光沢を所々に散りばめた編物が得られ、ファッション的要請に応えることが出来る。
【0031】
詰まり、従来技術によるスリット糸を短繊維状に断裁して、紡績素材の一部として例え紡績糸を得られても、該スリット糸は簡単に抜け落ちるし、従来技術によるスリット糸を他の糸と撚糸して補強した後に、丸編素材糸の一部として編み込むと、光輝性や光の屈折率の差からボーダー柄が目立つが、上記紡績糸は主要繊維と同一繊維に短繊維状の金属蒸着糸が散りばめられただけの、ボーダー柄ではない外観を得ることが出来る。
【0032】
なお、請求項1に記載の基材の片面にのみ金属蒸着皮膜を設け、多数回の撚りをかけて得た紙縒り状撚糸のみならず、請求項2に記載のスリット糸は皮膜を形成する金属が銀、銅、亜鉛から選択されると抗菌性や静電気除去或いは熱遮断機能を持つことができる。
【0033】
更に基材2枚に金属蒸着皮膜1層、或いは金属蒸着皮膜2層をサンドイッチ状にした構成のスリット糸でも請求項1に記載と同様の手法で、多数回撚糸したスリット糸を得ることができるし、そのスリット糸を少なくとも構成原料の一部とする織物、編物、不織布といった布地を得ることも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
厚み4〜25ミクロンの合成樹脂フィルムを基材としてその片面に、膜厚30〜100ナノメーターで鉄、ステンレス、銅、錫、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、モリブデン、クロム、銀、金、プラチナなどの金属若しくは合金で真空蒸着法あるいはスパッタリング法などの周知の技術により皮膜を得る。
【0035】
基材となる合成樹脂フィルムはポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系など公知のものでよく、基材の厚みは求めるスリット糸の柔らかさや強度などを勘案して適宜変更可能である。又、皮膜を設ける基材としては、紙や合成紙でも構わない。ただ基材の強度は重要な要素となるため、ポリエステル系フィルムがより好ましい。
【0036】
更に、片側に金属皮膜をもつ基材を2枚、金属皮膜同士を内側にしてラミネートしそれをスリットしてスリット糸を得ても構わないし、金属皮膜を保護するために当該皮膜を持たない同じ基材をラミネートしスリットによりスリット糸を得てもよい。
【0037】
スリット幅を0.1〜5mm程度として得た扁平糸を1メーターあたり700回〜1500回程度紙縒り状に撚り、基材が合成樹脂フィルムや合成紙である場合は基材の熱可塑性を活かしてヒートセットすることで撚り戻りを防ぎ、多数回の撚糸で得た基材や金属膜の複雑な絡み合い状態を維持できる糸ができる。
【0038】
本発明による多数回撚糸されたスリット糸の断面は長方形からほぼ丸型に変化する。従来はスリット糸単体での使用が出来ないことから補強の為の糸1本乃至は2本と300回〜400回程度の回数で撚糸することがあってもスリット糸の断面が丸型になることはないので引張りに弱いままだし、より多回数撚糸しそれを紙縒り状に仕上げることで基材同士および金属皮膜同士が複雑に絡み合い、糸表面の摩擦係数を高める強い糸が出来る。
【0039】
又、この糸をとう状態に纏め38mm〜66mm程度に切断すれば、紡績工程でカード機にかけて主素材と均等に分散させスライバーを得て紡績することが出来る。
【0040】
また、不織布の製造工程でもカード機にかけ主素材の繊維中に均等に分散させながらウエブを構成し、且つスリップによる滑落を防ぐことが出来、接着樹脂による固定を施したり、ニードルパンチやウオーターパンチを施せば不織布が出来る。
【0041】
金属皮膜を形成する金属が銀、銅、亜鉛など常温常圧では化学変化を起こしにくい、若しくは化学変化を起こしても抗菌性を失わない金属、例えば銅とすると、紙縒り状に撚糸した本発明によるスリット糸は元より、その糸を断裁し、主素材と混綿して得た紡績糸乃至は、編物、織物、不織布いった布地にも抗菌性を付与できるし、金属や合金、それらの化合物を選別し、銀や銅といった金属の物性によって帯電防止性や熱遮断性も付与できる。
【0042】
更に、この撚糸をとう状態に束ね38mmから66mmの長さに断裁し短繊維状の糸を得て同じ長さの繊維と、主繊維90〜99%、金属蒸着繊維10〜1%程度の割合で、時には別の比率で、カード機にかけ均等分散後スライバーを得れば、紡績機に掛けて金属蒸着繊維が混紡された紡績糸を得ることが出来る。短繊維化した金属蒸着繊維の長さは意図する紡績糸と混紡する主原料繊維によっては、公知の手法に則り適宜変更可能である。
【0043】
又、単繊維状の金属蒸着スリット糸と不織布の主原料繊維の比率を、金属蒸着スリット糸1〜10%:主原料繊維99〜90%としてカード機に掛け、均等分散しながら繊維ウエブを構成し、接着剤による繊維同士の固定やニードルパンチ、ウオーターパンチを施せば金属蒸着繊維の混合された不織布を得ることが出来る。尚、不織布を構成する主原料繊維は公知の手法に則り適宜変更が可能であり、短繊維上に断裁された紙縒り状の撚糸であるスリット糸の配合率も同様である。
【0044】
このようにして得られた紡績糸、織物、編物、不織布といった布地からは従来技術による金属蒸着スリット糸やそれを単純に短繊維化した糸では必ず起こったスリップによる糸や繊維の目寄りや滑脱の恐れはなくなり、蒸着する金属、化合物や合金のもつ機能を兼ね備えた糸、織物、編物、不織布といった布地を得ることが出来る。
【0045】
勿論、本発明によるスリット糸を混入させる布地並びに短繊維状にしたスリット糸を使用して紡績糸や不織布の求められる機能を実現するために該スリット糸をどの割合で主素材に混入するかは糸や織物、編物、不織布といた布地の主素材や形状や重量により適宜変更が可能である。
【0046】
なお、紡績糸を作る際の主構成原料は天然繊維、化学繊維、合成繊維を問わず、又それぞれの繊維の複合でも構わないし、前もって染色されていても構わない。
【0047】
不織布の主構成原料は天然繊維、化学繊維、合成繊維を問わず、更に長繊維でも短繊維でも構わないし、前もって染色されていても構わない。
【実施例】
【0048】
ここで本発明の更なる詳細を説明するため、実施例を挙げる。
厚み9ミクロンのポリエステルフィルムの片面に銅を真空蒸着し、それを1.5mm幅にスリットして扁平糸を得る。蒸着膜の厚みは30〜100ナノメーター、より好ましくは50〜70ナノメーターであり、本実施例では60ナノメーターとした。
【0049】
真空蒸着の前処理、或いは基材の前処理として金属蒸着する面にアンカーコートを施しガスバリア、紫外線バリア処理を行ってもよい。
【0050】
特に金属皮膜と基材フィルムの接着性を高める処理アンカーコートは重要であり、本発明による紙縒り状撚糸は700回を超え適正な撚糸回数は1000回前後から1500回程度となるため、この撚糸による基材と金属蒸着層、及び基材が2枚の場合は基材間の層間剥離を防ぐことは重要であり、接着剤樹脂分子間に架橋できる2液タイプの樹脂の選別が重要であり、ポリウレタン系樹脂によるアンカーコートが好ましく、本実施例では2液型ポリウレタン樹脂を接着剤として使用した。
【0051】
幅1.5mmにスリットされた糸を撚糸機にかけ、撚り回数を700回〜1500回/メーター、より好ましくは900回〜1200回/メーター程度して撚糸を得て、100〜190℃、より好ましくは140〜190℃程度のヒートセットを行うと撚糸状態が安定する。
本実施例では撚り回数を1200回、ヒートセットの温度は180℃とした。
【0052】
こうして得たスリット糸を綿糸20番の糸を縦横各々1インチ間60本x60本という基本構造で且つドビー装置により格子柄を得る生地の横糸の一部として1インチ間に2本の割合で織物を得たが、格子部分で縦糸と絡まずにやや浮いている状態のスリット糸もスリップによる目寄りは起こらなかった。
【0053】
更に、この撚糸をとう状態に束ね38mmに断裁し短繊維状の糸を得て、同じく38mmの長さの綿繊維に綿98%、金属蒸着繊維2%程度の割合で、カード機にかけ均等分散後にスライバーを得て、紡績機に掛けて金属蒸着繊維が混紡された綿番手40番の紡績糸を得ることが出来た。なお、短繊維化した金属蒸着繊維の長さや混合比率は意図する紡績糸と混紡する主原料繊維によって公知の手法に則り適宜変更可能である。
【0054】
又、基材面が内側になるよう撚糸された38mm長の単繊維状の銅蒸着スリット糸と不織布の主原料繊維は38mmにカットされたレーヨンとして、比率を銅蒸着スリット糸2%:レーヨン98%としてカード機に掛け、均等分散しながら繊維ウエブを構成し、接着剤による繊維同士の固定やニードルパンチ、ウオーターパンチを施せば金属蒸着繊維の混合された不織布を得ることが出来る。本実施例はニードルパンチを施して不織布を得た。
【0055】
このようにして得られた織物、紡績糸や不織布からは従来技術による金属蒸着スリット糸やそれを短繊維化した糸では必ず起こったスリップによる糸や繊維の目寄りや滑脱の恐れはなくなり、蒸着する金属、化合物や合金のもつ機能を兼ね備えた紡績糸や布地を得ることが出来た。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明による金属蒸着スリット糸を紙縒り状に撚糸した糸、乃至はその糸を断裁した単繊維状の糸は、合成樹脂フィルム等を基材とする扁平糸特有の平滑性による摩擦係数の低さから引き起こされる糸のスリップによる布地の目寄りや滑脱を防ぐことができ、繊維に金属特性を活かした機能や光輝性、装飾性も引き出すことができる。
金属蒸着皮膜をもつスリット糸の更なる用途と市場の開発に寄与するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙、合成紙、合成樹脂フィルムを基材として、少なくともその片面に金属皮膜を設け、その基材をスリットし、更に多回数撚りを掛けて紙縒り状撚糸とし、基材並びに金属皮膜特有のスリップを止めたスリット糸。
【請求項2】
金属皮膜が銀、銅又は亜鉛から選択される抗菌性を持つ金属であることを特徴とする請求項1に記載のスリット糸。
【請求項3】
請求項1乃至は請求項2に記載のスリット糸の金属皮膜面を同様の基材のみで覆う、又は同じ金属皮膜を持つ2枚の基材の金属皮膜同士を合わせ接着し、スリット断面にのみ金属皮膜が露出することを特徴とする、請求項1ないしは請求項2に記載のスリット糸。
【請求項4】
請求項1乃至は請求項3に記載のスリット糸を短繊維状に断裁したスリット糸。
【請求項5】
請求項1乃至は請求項4に記載のスリット糸を少なくともその構成原料の一部とする織物、編物、不織布から選択される布地。

【公開番号】特開2012−87443(P2012−87443A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246777(P2010−246777)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(509170796)
【Fターム(参考)】