説明

スリーブ

【課題】 穴埋め作業などが不要で、しかも高い断熱構造と防音構造とを兼ね備えたスリーブを提供する。
【解決手段】 間仕切り100の厚みとほぼ同じ厚みを有し間仕切り100の厚み方向に貫通する略箱形のスリーブ本体2と、スリーブ本体2の内側に配置されスリーブ本体2の厚み方向に貫通し両端部が空調用ダクト107、108と接続可能なスリーブ管4と、スリーブ本体2の内側に保持されスリーブ管4を弾性支持する耐火用断熱材6と、スリーブ管4の外面から半径方向外方に突出し耐火用断熱材6との接触によりスリーブ管4の軸方向の動きを規制する規制鍔5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軽量間仕切りなどの壁に空調用ダクトを通すためのスリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
建物内の軽量間仕切りに空調用ダクトを通す場合は、軽量間仕切りの所定の位置に貫通穴を開けることが必要となる。図9は、従来における空調用のスリーブ110の取付け構造を示している。図9に示すように、スリーブ110は、箱形のスリーブ本体111に円筒状のスリーブ管112を挿入したものであり、スリーブ管112は溶接Wによってスリーブ本体111に固定されている。スリーブ110を軽量間仕切り100に取付ける場合は、軽量間仕切り100の壁板101、102にスリーブ110よりも径の大きな貫通穴105を開け、この貫通穴105に空調用スリーブ110を貫通させ、スリーブ管112の両端部が壁板101、102から突出するように配置する。そして、貫通穴105と空調用スリーブ110との隙間をロックウール113などの耐火材で埋めるようにしている。
【0003】
従来から軽量間仕切りなどの壁にスリーブを取付ける技術の一例として、スリーブ本体とスリーブ管との間に防振ゴムを設けた構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3105895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図9に示すスリーブ110は、スリーブ管112が溶接Wによってスリーブ本体111に固定されているので、スリーブ管112を通過する調和空気の流れによる振動がスリーブ管112からスリーブ本体111に直接伝達され、騒音が大となる問題がある。また、図9の場合は、軽量間仕切り100が完成した後に、空調用スリーブ110の大きさに応じて壁板101、102に貫通穴105を開ける必要があるとともに、貫通穴105と空調用スリーブ110との隙間を穴埋めしなければならず、現地での作業に手間がかかり、現場施工費がかさむという問題がある。
【0006】
特許文献1のように、スリーブ本体の貫通穴周縁とスリーブ管との間に防振ゴムを設けた場合は、振動の低減が図れるが、耐火性能の点で問題がある。すなわち、耐火の観点からスリーブ管とスリーブ本体との間は、伝熱量を十分に抑制することが可能な断熱構造にするのが望ましく、火災の際にスリーブ管が高温となっても、スリーブ本体側が著しく高温になるのを抑制する必要がある。
【0007】
そこでこの発明は、穴埋め作業などが不要で、しかも高い断熱構造と防音構造とを兼ね備えたスリーブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、フレームに壁板が取付けられる間仕切りに取付けられ空調用ダクトと接続されるスリーブであって、前記間仕切りの厚みとほぼ同じ厚みを有し前記間仕切りの厚み方向に貫通する略箱形のスリーブ本体と、前記スリーブ本体の内側に配置され前記スリーブ本体の厚み方向に貫通し軸方向の両端が前記空調用ダクトと接続可能なスリーブ管と、前記スリーブ本体の内側に保持され前記スリーブ管を弾性支持する耐火用断熱材と、前記スリーブ管の外面から半径方向外方に突出し前記耐火用断熱材との接触により前記スリーブ管の軸方向の動きを規制する規制鍔と、を備えたことを特徴とするスリーブである。
【0009】
この発明によれば、スリーブ管とスリーブ本体との間に、スリーブ管を弾性支持する耐火用断熱材を設けられるので、スリーブ管からスリーブ本体への伝達される振動が吸収され、かつスリーブ管からスリーブ本体への伝熱量が抑制される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスリーブにおいて、前記耐火用断熱材は、第1の断熱材と第2の断熱材とから構成され、前記第1の断熱材は前記スリーブ本体の厚み方向の中央部に位置し、前記第2の断熱材は前記スリーブ本体の厚み方向の端部に位置することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、空調用ダクトと接続されるスリーブ管は耐火用断熱材によって弾性支持されるので、スリーブ管からスリーブ本体へ伝達される振動を耐火用断熱材により十分に吸収することができ、調和空気の流れによる騒音を低減することができる。また、耐火性断熱材によりスリーブ管からスリーブ本体への伝熱量を抑制することが可能となり、スリーブの耐火性能を高めることができる。さらに、スリーブ管の外面には半径方向外方に突出する規制鍔が設けられているので、規制鍔と耐火用断熱材との接触によりスリーブ管が耐火用断熱材に対して軸方向に移動するのを阻止することができる。
【0012】
さらに、耐火性断熱材はスリーブ本体の内側に配置されるので、間仕切りのフレームにスリーブを取付けてからスリーブの周囲を囲むように壁板を取付けることができる。これにより、従来のようなスリーブの間仕切りへの取付け後の穴埋め作業が不要となり、現場施工費を低減することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、第2の断熱材をスリーブ本体の厚み方向の端部に位置させるようにしているので、スリーブ本体を四角い筒状としスリーブ管を円筒状に形成した場合でも、スリーブ本体の厚み方向の端部におけるスリーブ管の外面とスリーブ本体内面との間の隙間を耐火用断熱材で満たすことができ、スリーブの耐火性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係わるスリーブの断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1のスリーブを間仕切りに取付けた状態を示す斜視図である。
【図4】図1のスリーブの変形例を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係わるスリーブの断面図である。
【図6】図5のB−Bに沿う正面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係わるスリーブの断面図である。
【図8】図7のスリーブの断面図である。
【図9】従来のスリーブの間仕切りへの取付け状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに、この発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1ないし図3は、この発明の実施の形態1を示している。図3に示すように、間仕切り100は、前面側壁板101、背面側壁板102と、縦フレーム104と、上部横フレーム104と、下部横フレーム105を有している。間仕切り100には、図1に示す空調用ダクト107、108と接続されるスリーブ1が設けられている。
【0017】
スリーブ1は、スリーブ本体2と、スリーブ管4と、規制鍔5と、耐火用断熱材としてのロックウール6を有している。スリーブ本体2は、間仕切り100の厚みTとほぼ同じ厚みを有している。スリーブ本体2は、間仕切りの厚みT方向に貫通する略箱形に形成されている。図2に示すように、スリーブ本体2は、上板2aと、下板2bと、側板2b、2cと、端板2e、2fとから構成されている。各板2a〜2fは、ネジまたはリベットなどにより接合されている。一方の端板2eには、スリーブ管4の一方が挿入される貫通穴2e1が形成されている。他方の一方の端板2eには、スリーブ管4の他方が挿入される貫通穴2f1が形成されている。スリーブ本体2の上板2aには、スリーブ1を間仕切り100の各フレーム103〜105へ取付ける際に使用する吊り具3が固定されている。吊り具3には、針金や紐(図示略)を通すために吊り穴3aが形成されている。
【0018】
スリーブ本体2の内側には、円筒状に形成されたスリーブ管4が配置されている。スリーブ管4とスリーブ本体2は、軸心Cに対して同心状に配置されている。スリーブ管4は、貫通穴2e1および貫通穴2f1を介してスリーブ本体2の厚み方向に貫通しており、スリーブ管4の内側には軸心Cに沿って流路F1が形成されている。貫通穴2e1および貫通穴2fの内径は、スリーブ本体1の内面とスリーブ管4の外面との間にロックウール6が介装された状態で、スリーブ管4の外面が貫通穴2e1および貫通穴2fの内周部に接触しない大きさに設定されている。
【0019】
スリーブ管4の一端部4aは、スリーブ本体2の軸方向の端部に位置する端板2eから突出している。同様に、スリーブ管4の他端部4bは、スリーブ本体2の軸方向の端部に位置する端板2fから突出している。スリーブ管4の一端部4aは、間仕切り100の前面側壁板101側に位置する空調用ダクト(スパイラルダクト)107と接続されている。スリーブ管4の他端部4bは、間仕切り100の背面側壁板102側に位置する空調用ダクト(スパイラルダクト)107と接続されている。
【0020】
スリーブ本体2の内面とスリーブ管4の外面との間には、耐火用断熱材としてのロックウール6が設けられている。ロックウール6は、周知の通り、人造鉱物繊維であり、断熱、吸音、耐火被覆材として適している。ロックウール6は、スリーブ管4の外面に沿って周方向に巻きつけられており、外周面はスリーブ本体2の内面に接触している。ロックウール6は、適度な外力に対して弾性変形が可能であることから、スリーブ管4はロックウール6によって弾性支持されている。この実施の形態1においては、図4に示すように、ロックウール6は円筒状に巻きつけられていることから、ロックウール6の外周面がスリーブ本体2における各板2a〜2dの内面の一部と接触している。これにより、スリーブ本体2の内側の四隅には空間Sが形成されている。
【0021】
スリーブ管4の外面には、半径方向外方に突出する規制鍔5が固定されている。規制鍔5は、スリーブ管4の軸方向のほぼ中央に位置しており、全体がロックウール6に食い込んでいる。これにより、スリーブ管4は、ロックウール6に対して軸方向の動きが阻止されている。また、規制鍔5は、スリーブ管4の軸方向の動きを規制する他に、ロックウール6との接触によりスリーブ管14の軸方向の振動を低減させる機能を有している。
【0022】
つぎに、実施の形態1におけるスリーブ1の取付け手順について説明する。
【0023】
図3に示すように、スリーブ1の間仕切り100への取付けは、壁板101、102が各フレーム103〜105に取付けられていない状態で行う。ここで、スリーブ1を各フレーム103から105に固定する場合は、まずスリーブ1の吊り具3に例えば紐(図示略)を通し、この紐を利用してスリーブ1を各フレーム103〜105の少なくともいずれかに仮固定する。その後、スリーブ1をネジなどの固定具(図示略)を用いて各フレーム103〜105に固定する。スリーブ1の固定後は、スリーブ1の周囲を壁板101、102で囲み、この壁板101、102をフレーム103〜105へ取付けて、間仕切り100を完成させる。スリーブ1を間仕切り100に取付けた状態では、スリーブ管4の端部は間仕切り100から突出しており、このスリーブ管4の両端部にそれぞれ空調用ダクト107、108を接続する。
【0024】
このように、スリーブ1は図9の従来技術とは異なり、ロックウール6がスリーブ本体4の内側に配置されるので、間仕切り100の各フレーム103〜105にスリーブ1を取付けてからスリーブ本体2の周囲を囲むように壁板101、102を取付けることができる。したがって、スリーブ1の間仕切り100への取付け後の穴埋め作業が不要となり、現場施工費を低減することができる。
【0025】
つぎに、実施の形態1におけるスリーブ1の作用について説明する。
【0026】
空調時には、空調ダクト107側から調和空気Kがスリーブ1のスリーブ管4を介して空調ダクト108側に流れる。この状態では、スリーブ管4は流入した調和空気Kによって振動することになるが、スリーブ管4はロックウール6によって弾性支持されるので、スリーブ管4からスリーブ本体2へ伝達される軸方向と直交する方向(軸心Cと直交する方向)の振動はロックウール6により十分に吸収することができ、調和空気Kによる騒音を低減することができる。また、ロックウール6によりスリーブ管4からスリーブ本体2への伝熱量を抑制することが可能となり、スリーブ1の耐火性を高めることができる。すなわち、火災発生時にはスリーブ管4に高温の空気が流入することが考えられるが、スリーブ管4とスリーブ本体2との間には、耐火性を十分に考慮した厚さを有するロックウール6が介在されているので、スリーブ管4からスリーブ本体2への伝熱量を著しく抑えることができ、スリーブ本体2が高温に至るのを防止することができる。
【0027】
また、スリーブ管4の外面には、半径方向外方に突出する規制鍔5が固定されているので、規制鍔5とロックウール6との接触によりスリーブ管4がロックウール6に対して軸方向に移動するのを阻止することができる。さらに、規制鍔5の全体がロックウール6に食い込んだ状態となっているので、規制鍔5とロックウール6とが十分接触することになり、調和空気Kによるスリーブ管4の軸方向の振動も吸収でき、騒音低減効果をさらに高めることができる。
【0028】
(実施の形態2)
図5および図6は、この発明の実施の形態2を示している。
【0029】
図5に示すように、スリーブ11は、スリーブ本体12と、スリーブ管14と、規制鍔15と、耐火用断熱材としてのロックウール16を有している。図6に示すように、スリーブ本体12は、上板12aと、下板12bと、側板12b、12cと、端板12e、12fとから構成されている。各板12a〜12fは、ネジまたはリベットなどにより接合されている。一方の端板12eには、スリーブ管14の一方が挿入される貫通穴12e1が形成されている。他方の一方の端板12eには、スリーブ管14の他方が挿入される貫通穴12f1が形成されている。スリーブ本体12の上板12aには、スリーブ1を間仕切り100の各フレーム103〜105へ取付ける際に使用する吊り具13が固定されている。吊り具13には、針金や紐(図示略)を通すために吊り穴13aが形成されている。
【0030】
スリーブ本体12の内側には、断面形状が四角形のスリーブ管14が配置されている。スリーブ管14とスリーブ本体12は、軸心Cに対して同心状に配置されている。スリーブ管14は、貫通穴12e1および貫通穴12f1を介してスリーブ本体12の厚み方向に貫通しており、スリーブ管14の内側には軸心Cに沿って流路F2が形成されている。貫通穴12e1および貫通穴12fの内径は、スリーブ本体11の内面とスリーブ管14の外面との間にロックウール16が介装された状態で、スリーブ管14の外面が貫通穴12e1および貫通穴12fの内周部に接触しない大きさに設定されている。
【0031】
スリーブ管14の一端部14aは、スリーブ本体12の軸方向の端部に位置する端板12eから突出している。同様に、スリーブ管14の他端部14bは、スリーブ本体12の軸方向の端部に位置する端板12fから突出している。スリーブ管14の一端部14aは、空調用ダクト107と接続されている。スリーブ管14の他端部14bは、空調用ダクト107と接続されている。
【0032】
スリーブ本体12の内面とスリーブ管14の外面との間には、耐火用断熱材としてのロックウール16が設けられている。ロックウール16は、スリーブ管14の外面に沿って周方向に巻きつけられており、外周面はスリーブ本体12の内面に接触している。ロックウール16は、適度な外力に対して弾性変形が可能であることから、スリーブ管14はロックウール16によって弾性支持されている。この実施の形態2においては、ロックウール16はスリーブ管14の外周面に沿って四角形に巻きつけられていることから、ロックウール16の外周面がスリーブ本体12における各板12a〜12dの内面のほぼ全面と接触している。
【0033】
スリーブ管14の外面には、半径方向外方に突出する規制鍔15が固定されている。規制鍔15は、スリーブ管14の軸方向のほぼ中央に位置しており、全体がロックウール16に食い込んでいる。スリーブ管14は、規制鍔5によりロックウール16に対する軸方向の動きが阻止されている。規制鍔15は、スリーブ管14の動きを規制する他に、ロックウール16との接触によりスリーブ管14の軸方向の振動を低減させる機能を有している。
【0034】
このように構成された実施の形態2においては、スリーブ管14が四角形に形成されているので、ロックウール16はスリーブ本体12の内面全体と接触することになる。これにより、実施の形態1における図2に示すような空間Sがほとんど形成されず、実施の形態1よりも耐火性能を高めることができる。また、スリーブ管14の外面には、半径方向外方に膨出する規制鍔15が固定されているので、規制鍔15とロックウール16との接触によりスリーブ管14がロックウール16に対して軸方向に移動するのを阻止することができる。さらに、規制鍔15の全体がロックウール16に食い込んだ状態となっているので、規制鍔15とロックウール16とが十分接触することになり、調和空気Kによるスリーブ管14の軸方向の振動も吸収でき、騒音低減効果をさらに高めることができる。
【0035】
(実施の形態3)
図7および図8は、この発明の実施の形態3を示している。
【0036】
図7に示すように、スリーブ21は、スリーブ本体22と、スリーブ管24と、規制鍔25と、耐火用断熱材としてのロックウール26を有している。図8に示すように、略箱形に形成されたスリーブ本体22は、軸方向(軸心Cに沿う方向)に分割可能な上流側端板22aと下流側端板22bを有している。上流側端板22aには、スリーブ管24の一方が挿入される貫通穴22a1が形成されている。下流側端板22bには、スリーブ管24の他方が挿入される貫通穴22b1が形成されている。スリーブ本体22には、スリーブ21を間仕切り100の各フレーム103〜105へ取付ける際に使用する吊り具23が固定されている。
【0037】
スリーブ本体22の内側には、円筒状に形成されたスリーブ管24が配置されている。スリーブ管24は、スリーブ本体22の厚み方向に貫通しており、スリーブ管24の内側には軸心Cに沿って流路F3が形成されている。スリーブ管24の一端は、スリーブ本体24の上流側端板22aから突出している。同様に、スリーブ管24の他端は、スリーブ本体22の下流側端板22bから突出している。
【0038】
スリーブ本体22の内面とスリーブ管24の外面との間には、耐火用断熱材としてのロックウール26が設けられている。この実施の形態3においては、ロックウール26は、第1の断熱材26aと第2の断熱材26b、26cとから構成されている。第1の断熱材6aはスリーブ本体22の厚み方向の中央部に位置し、第2の断熱材26b、26cはスリーブ本体22の厚み方向の端部に位置している。
【0039】
第1の断熱材26aは、スリーブ管24の外面に沿って周方向に巻きつけられており、外周面はスリーブ本体22の内面に接触している。第1の断熱材26aは、適度な外力に対して弾性変形が可能であることから、スリーブ管24は第1の断熱材26aによって弾性保持されている。この実施の形態3においては、第1の断熱材26aはスリーブ管24の外周面に沿って円筒状に巻きつけられていることから、第1の断熱材26aの外周面は、上流側端板22aと下流側端板22bを除くスリーブ本体22の中央部内面の一部分と接触している。
【0040】
上流側端板22aの内面には、第2の断熱材26bが設けられている。第2の断熱材26bは、スリーブ管24の一方を弾性支持するとともに、上流側端板22aの内面側の耐火性能を高める機能を有している。同様に、下流側端板22bの内面には、第2の断熱材26cが設けられている。第2の断熱材26cは、スリーブ管24の他方を弾性支持するとともに、下流側端板22bの内面側の耐火性能を高める機能を有している。
【0041】
スリーブ管24の外面には、半径方向外方に突出する2つの規制鍔25が固定されている。各規制鍔25は、スリーブ管24の軸方向に所定の間隔をもって設けられている。一方の規制鍔25は、中央の第1の断熱材26aと上流側端板22a側の第1の断熱材26bとにより挟持されている。他方の規制鍔25は、中央の第1の断熱材26aと下流側端板22b側の第2の断熱材26cとにより挟持されている。スリーブ管24は、二つの規制鍔5により軸方向の動きが阻止されている。各規制鍔25は、スリーブ管24の軸方向の動きを規制する他に、各断熱材26a、26b、26cとの接触によりスリーブ管24の軸方向の振動を低減させる機能を有している。
【0042】
このように構成された実施の形態3においては、上流側端板22aの内面側に第2の断熱材26bを設け、下流側端板22bの内面側に第2の断熱材26cを設けているので、スリーブ管24が円筒状に形成された場合でも、スリーブ本体22の厚み方向の端部におけるスリーブ管24の外面と上流側端板22aの内面および下流側端板22bの内面との間の隙間を耐火用断熱材で満たすことができ、スリーブ21の耐火性能を高めることができる。すなわち、実施の形態1では、ロックウール6を円筒状に巻きつけるため、図2に示すように、スリーブ本体22の厚み方向の端部の四隅に大きな空間Sが形成されるが、実施の形態3においては、第2の断熱材26b、26cを用いることによって図2の空間Sに対応する隙間が形成されず、スリーブ21の耐火性能を高めることができる。
【0043】
また、スリーブ管24の外面には第1の断熱材26aと第2の断熱材26bとによって挟持される一方の規制鍔25と、第1の断熱材26aと第2の断熱材26cとによって挟持される他方の規制鍔25とが設けられているので、振動によってスリーブ管24が各断熱材26a、26b、26cの軸方向に移動するのを阻止することができる。さらに、各規制鍔25と各断熱材26a、26b、26cとが接触することにより、調和空気Kによるスリーブ管24の軸方向の振動も吸収でき、騒音低減効果をさらに高めることができる。
【0044】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、実施の形態1において、スリーブ本体2にスリーブ管4を一つ設ける構成としているが、図4に示すように、スリーブ本体2に複数のスリーブ管4を設ける構成としてもよい。また、各実施の形態においては、耐火用断熱材としてロックウール6、16、26を用いる構成としたが、適度な弾性を有する部材で十分な耐火性能を有するものであれば、ロックウールに限定されることはない。
【符号の説明】
【0045】
1 スリーブ
2 スリーブ本体
4 スリーブ管
5 規制鍔
6 ロックウール(耐火用断熱材)
11 スリーブ
12 スリーブ本体
14 スリーブ管
15 規制鍔
16 ロックウール(耐火用断熱材)
21 スリーブ
22 スリーブ本体
22a 上流側端板
22b 下流側端板
24 スリーブ管
25 規制鍔
26 ロックウール(耐火用断熱材)
26a 第1の断熱材
26b 第2の断熱材
26c 第2の断熱材
100 間仕切り
101 壁板
102 壁板
103 フレーム
104 フレーム
105 フレーム
K 調和空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに壁板が取付けられる間仕切りに取付けられ空調用ダクトと接続されるスリーブであって、
前記間仕切りの厚みとほぼ同じ厚みを有し前記間仕切りの厚み方向に貫通する略箱形のスリーブ本体と、
前記スリーブ本体の内側に配置され前記スリーブ本体の厚み方向に貫通し軸方向の両端が前記空調用ダクトと接続可能なスリーブ管と、
前記スリーブ本体の内側に保持され前記スリーブ管を弾性支持する耐火用断熱材と、
前記スリーブ管の外面から半径方向外方に突出し前記耐火用断熱材との接触により前記スリーブ管の軸方向の動きを規制する規制鍔と、
を備えたことを特徴とするスリーブ。
【請求項2】
前記耐火用断熱材は、第1の断熱材と第2の断熱材とから構成され、前記第1の断熱材は前記スリーブ本体の厚み方向の中央部に位置し、前記第2の断熱材は前記スリーブ本体の厚み方向の端部に位置することを特徴とする請求項1に記載のスリーブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−80245(P2011−80245A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232976(P2009−232976)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(591225394)株式会社新富士空調 (17)
【Fターム(参考)】