説明

スルホン化コポリマー

本発明は、燃料電池に使用されるポリマー電解質膜の形成に有用なスルホン化コポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に使用されるポリマー電解質膜を形成するのに有用なスルホン化コポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、主としてその非汚染特性に起因して、携帯用電子装置、電気自動車およびその他の用途に対する前途有望な電源として開発されている。種々の燃料電池のうちで、ポリマー電解質膜に基づく燃料電池テクノロジー、例えば、直接メタノール燃料電池(DMFCs)は多大の注目を集めているが、これは該燃料電池の高い出力密度と高いエネルギー変換効率に基づくものである。ポリマー電解質膜に基づく燃料電池の核心部は、いわゆる「膜電極アセンブリー」(MEA)であり、該アセンブリーは、プロトン伝導性ポリマー電解質膜(PEM)、PEMの対置表面上に配設されて触媒被覆膜(CCM)を形成する触媒、および触媒層と電気的に接触するように配設される一対の電極(即ち、アノードとカソード)を具備する。
【0003】
DMFCs用プロトン伝導性膜は既知であり、この種の膜としては「ナフィオン(Nafion)」(登録商標)[E.I.デュポン・デ・ネムール・アンド・カンパニー社製]およびドウ・ケミカルズ社から市販されている類似製品が例示される。しかしながら、これらのペルフルオロ化炭化水素スルホネートアイオノマー製品は、DMFCsに使用する場合には重大な制限がある。ナフィオンは、燃料電池の作動温度が80℃を越えると伝導性を失う。さらに、ナフィオンは非常に高いメタノールのクロスオーバー速度(crossover rate)を示し、このためDMFCsにおける適用が妨げられる。
【0004】
バラード・パワー・システム社へ譲渡された米国特許第5773480号明細書には、α,β,β−トリフルオロスチレンを原料とする部分的にフッ素化されたプロトン伝導性膜が記載されている。この膜の1つの欠点は、α,β,β−トリフルオロスチレンモノマーの複雑な合成法に起因して膜の製造コストが高くなるだけでなく、ポリ(α,β,β−トリフルオロスチレン)のスルホン化能が低いことである。この膜の別の欠点は、非常に脆いために、支持マトリックス中へ組み込まなければならないことである。
【0005】
ケルレスらによる米国特許第6300381号および同第6194474号各明細書には、プロトン伝導性膜用の酸−塩基二成分ポリマーブレンド系が記載されている。この場合、スルホン化ポリ(エーテルスルホン)はポリ(エーテルスルホン)の後スルホン化によって調製される。
【0006】
M.ウエダは、スルホン化モノマーを使用してスルホン化ポリ(エーテルスルホンポリマー)を調製する方法を開示している[ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス、第31巻(1993年)、第853頁]。
マクグラスらは、この方法を使用してスルホン化ポリスルホンポリマーを調製している(米国特許出願2002/0091225A1)。
【0007】
燃料電池の作動に適した良好な膜を得るためには、膜の種々の特性のバランスを保つことが必要である。このような特性には、プロトン伝導性、メタノール耐性、化学的安定性、メタノールのクロスオーバー、DMFCsの速い始動および電池性能の耐久性等が含まれる。さらに、この種の膜にとっては、燃料電池の作動温度範囲にわたって寸法安定性が維持されることも重要である。DMFCsにおいては、メタノール酸化によって、電池の温度を上昇させるのに十分な熱が発生する。膜がかなり膨潤すると、該膜はメタノールのクロスオーバーを増大させる。従って、膜はメタノールのクロスオーバーを阻止する機能を徐々に失い、その結果、電池の性能は低下する。膜の寸法の変化は、膜−電極アセンブリー(MEA)の結合性に応力をもたらす。この結果、膜の過度の膨潤後に電極からの膜の剥離が発生することがしばしばある。従って、広い温度範囲にわたって寸法安定性を維持することおよび膜の過度の膨潤を回避することはDMFCへの適用にとっては重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、当該分野における上記の問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの観点においては、燃料電池において有用な膜電極アセンブリー(MEAs)、触媒被覆膜(CCMs)およびポリマー電解質膜(PEMs)の製造に使用することができるスルホン化ランダムコポリマー組成物が提供される。
【0010】
本発明には、以下の2群のスルホン化ランダムコポリマーが含まれる。この種のランダムポリマーは次のいずれかの構造式で表されるポリマーである。
【化1】

式中、a、b、cおよびdはコポリマー中に存在するモノマーのモル分率であって、相互に独立して0.01〜1の数を示し、Xはカチオンまたはプロトンを示し、また、Rは単結合、C2n−2で表される脂環式基または下記の式のいずれかで表される基を示す:
【化2】

【0011】
【化3】

式中、a、b、cおよびdはコポリマー中に存在するモノマーのモル分率であって、相互に独立して0.01〜1の数を示し、Xはカチオンまたは水素原子を示し、Rはアリールケトン、アリールスルホン、アリールニトリルまたは置換アリールニトリルを示し、RおよびRは相互に独立して単結合、C2n−2で表される脂環式基または下記の式のいずれかで表される基を示す:
【化4】

【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明はランダムスルホン化コポリマーを提供する。この種のポリマー材料の1つの用途はDMFCsにおいて使用してもよいポリマー電解質膜(PEMs)、触媒被覆膜(CCM)および膜電極アセンブリー(MEAs)の製造である。
【0013】
本発明の1つの態様においては、スルホン化コポリマーは次式(I)で表される:
【化5】

式中、Rは単結合、C2n−2で表される脂環式基または下記のいずれかの式で表される基を示す。
【化6】

【0014】
上記のスルホン化コポリマーにおいて、a、b、cおよびdはコポリマー中に存在するモノマーのモル分率であって、相互に独立して0.01〜約1の数を示し、またXはカチオンまたはプロトンを示す。1つの特定の態様においては、Rはイソプロピリデンまたはシクロヘキシリデンを示す。
【0015】
一般に、スルホン化コポリマーには、上式において(a+c)=(b+d)である反応生成物が包含される。この場合、aは約0.05〜約0.95であり、bは約0.01〜約0.95であり、cは約0〜約0.95であり、dは約0〜約0.99である。好ましくは、aは約0.10〜約1.00であり、bは約0.05〜約0.85であり、cは約0〜約0.90であり、dは約0.15〜約0.95である。最も好ましくは、aは約0.20〜約0.9であり、bは約0.10〜約0.45であり、cは約0〜約0.80であり、dは約0.55〜約0.90である。
【0016】
別の態様においては、本発明は、次式IIで表されるランダムスルホン化コポリマーおよびプロトン交換膜を提供する:
【化7】

式中、Rはアリールケトン、アリールスルホン、アリールニトリルまたは置換アリールニトリルを示し、RまたはRは単結合、C2n−2で表される脂環式基または下記のいずれかの式で表される基を示す:
【化8】

【0017】
上記のスルホン化コポリマーにおいては、a、b、cおよびdはコポリマー中に存在する各々のモノマーのモル分率であって、相互に独立して0.01〜約1の数を示し、また、Xはカチオンまたは水素原子を示す。好ましい態様においては、Rはシクロヘキシジルを示し、Rはフルオレニルを示す。
【0018】
一般に、スルホン化コポリマーには、(a+c)=1.00および(b+d)=1.00である反応生成物が包含される。この場合、aは約0.05〜約1.00であり、bは約0.01〜約1.00であり、cは約0〜約0.95であり、dは約0〜約0.99である。好ましくは、aは約0.10〜約1.00であり、bは約0.05〜約0.85であり、cは約0〜約0.90であり、dは約0.15〜約0.95である。最も好ましくは、aは約0.20〜約1.00であり、bは約0.10〜約0.45であり、cは約0〜約0.80であり、dは約0.55〜約0.90である。
【0019】
特に好ましいランダムコポリマーは次式で表されるポリマーである:
【化9】

式中、n=1〜20、m=0〜50およびk=50〜150であり、スルホン化度(x)はn/(n+m)で表される。
【0020】
ポリマー膜は、イオン伝導性コポリマーの溶液流延によって製造してもよい。あるいは、ポリマー膜は、酸性ポリマーと塩基性ポリマーのブレンドであるイオン伝導性ポリマーの溶液流延によって製造してもよい。
【0021】
燃料電池用膜へ注型する場合には、膜厚が好ましくは1〜10ミル、より好ましくは2〜6ミル、最も好ましくは3〜4ミルになるようにする。
【0022】
ここで使用するように、プロトン束(proton flux)が約0.005S/cmよりも大きいとき、より好ましくは0.01S/cmよりも大きいとき、最も好ましくは0.02S/cmよりも大きいときには、膜はプロトンを透過させる。
【0023】
ここで使用するように、所定の厚さを有する膜を横断するメタノールの輸送が、同じ厚さを有するナフィオン膜を横断するメタノールの移動よりも劣るならば、膜はメタノールを実質上透過させない。好ましい態様においては、メタノールの透過度は、ナフィオン膜の場合に比べて50%小さく、より好ましくは75%小さく、最も好ましくは80%よりも大きな割合で小さい。
【0024】
スルホン化ランダムコポリマーから膜(PEM)を形成させた後、該膜は触媒被覆膜(CCM)を製造するのに使用してもよい。ここで使用するように、CCMはPEMを含有しており、PEMの少なくとも一方の側(好ましくは両側)は、部分的もしくは全面的に触媒層によって被覆される。触媒は、触媒とアイオノマーから構成される層であるのが好ましい。好ましい触媒はPtおよびPt−Ruである。好ましいアイオノマーにはナフィオンおよびその他のイオン伝導性ポリマーが含まれる。
【0025】
一般に、アノード触媒とカソード触媒は、十分に確立された標準的な技法によって膜上へ塗布される。直接メタノール燃料電池に対しては、アノード側には白金/ルテニウム触媒が一般に使用され、カソード側には白金触媒が使用され、またカソード側には白金が適用される。触媒は、所望により、カーボン上に担持されていてもよい。触媒は、最初は少量の水に分散させる(水1g中に触媒約100mg)。この分散液に、水/アルコールを溶媒とする5%ナフィオン溶液(0.25〜0.75g)を添加する。得られる分散液はポリマー膜上へ直接的に塗布してもよい。あるいは、イソプロパノール(1〜3g)を添加した分散液を膜上へ直接的に噴霧してもよい。触媒は、次の公知文献に記載のようにして転写法によって膜上へ塗布してもよい:エレクトロキミカ・アクタ、第40巻、第297頁(1995年)。
【0026】
CCMはMEAの製造に使用される。ここで使用するように、MEAは、本発明によるCCMから製造されるイオン伝導性ポリマー膜に、CCMの触媒層と電気的に接触するように配置されたアノード電極とカソード電極を組合せたものを示す。
【0027】
電極と膜との電気的接触は、ポリマー膜と電流が供給される負荷を含む電気回路を該電極が完成することができるならば、直接的におこなってもよく、あるいは間接的におこなってもよい。特に、第1触媒は、有機燃料の酸化を促進するように、膜のアノード側と電気触媒的に連絡する。一般に、このような酸化によって、プロトン、エレクトロン、二酸化炭素および水が生成する。膜はメタノールのような有機燃料および二酸化炭素を実質上透過させないので、このような成分は膜のアノード側に保持される。電気触媒反応によって生成するエレクトロンはカソードから負荷へ伝達され、次いでアノードへ伝達される。この直接的なエレクトロンの流れのバランスは、当量数のプロトンが膜を通過してアノードコンパートメントへ移動することである。該コンパートメントにおいては、移動したプロトンの存在下での酸素の還元がおこなわれ、水が生成する。1つの態様においては、空気が酸素源となる。別の態様においては、酸素に富む空気が使用される。
【0028】
膜電極アセンブリーは一般に燃料電池をアノードコンパートメントとカソードコンパートメントに分割するのに使用される。この種の燃料電池系においては、メタノールのような有機燃料はアノードコンパートメントに加えられ、一方、酸素もしくは周囲空気のようなオキシダントはカソードコンパートメントに導入される。燃料電池の特定の用途に応じて多数の電池を組合せることによって適当な電圧と電力出力を達成することができる。このような用途には、住宅用、工業用および商業用の電力システムまたは自動車におけるような移動力に使用するための電力源が含まれる。本発明が特に適用できる他の用途には次に例示するような携帯用電子機器類における燃料電池に含まれる:セル電話およびその他の遠距離通信用機器、消費者用のビデオとオーディオ機器、ラップトップコンピューター、ノートブックコンピューター、パーソナルデジタル補助機器および他の計算装置並びにGPS装置等。さらに、このような燃料電池は、高出力な用途(例えば、工業用および住宅用供給施設)に供するために設置して電圧と電流容量を高めるのに使用してもよく、あるいは、乗物に移動力を供給するのに使用してもよい。この種の燃料電池構造体には、次の米国特許の明細書に開示されているものが含まれる:6,416,895、6,413,664、6,106,964、5,840,438、5,773,160、5,750,281、5,547,776、5,527,363、5,521,018、5,514,487、5,482,680、5,432,021、5,382,478、5,300,370、5,252,410および5,230,966。
【0029】
このようなCCMおよびMEMは、例えば、次の米国特許の明細書に開示されているような燃料電池において一般に有用であり、これらの明細書の開示内容は本明細書の一部を成すものである:5,945,231、5,773,162、5,992,008、5,723,229、6,057,051、5,976,725、5,789,093、4,612,261、4,407,905、4,629,664、4,562,123、4,789,917、4,446,210、4,390,603、6,110,613、6,020,083、5,480,735、4,851,377、4,420,544、5,759,712、5,807,412、5,670,266、5,916,699、5,693,434、5,688,613および5,688,614。
【0030】
別の観点においては、本発明は、ポリマー電解質膜として有用なイオン伝導性(例えば、スルホネート)ランダムコポリマーの製造法に関する。一般に、この製造法には、少なくとも1つのイオン伝導性基(例えば、スルホネート基)を有する第1コモノマーと第2コモノマーと化合させることが含まれる。第1コモノマーは少なくとも2つの脱離基を有しているべきであり、また、第2コモノマーは、第1コモノマーの少なくとも1つの脱離基と置換できる少なくとも2つの基を有しているべきである。第3コモノマーには、少なくとも2つの脱離基を有するコモノマーであって、第2コモノマーの少なくとも1つの置換基が第3コモノマーの少なくとも1つの脱離基と置換できるようなコモノマーが含まれる。
【0031】
この種のポリマーの製造法の特定の態様においては、さらに第4コモノマーを化合させる工程が含まれる。第4コモノマーは第1コモノマーまたは第3コモノマーのいずれかの脱離基と反応できる少なくとも2つの置換基を有する。
【0032】
「脱離基」という用語は、一般的には別のモノマー中に存在する求核性部分によって置換されることができる官能性部分を意味する。脱離基は当該分野においては周知であり、ハロゲン化物(塩化物、フッ化物、ヨウ化物、臭化物)、トシルおよびメシル等が例示される。特定の態様においては、モノマーは少なくとも2つの脱離基を有しており、これらの脱離基は、これらが結合する芳香族モノマーに関して相互に「パラ」の関係にある。
【0033】
「置換基」という用語は、一般的には求核試薬として作用することによって適当なモノマーの脱離基と置換する官能性部分を意味する。従って、置換基が結合したモノマーは、脱離基が結合したモノマーと結合する(一般的には共有結合する)。このような置換例としては、芳香族モノマーのフッ化物基が芳香族モノマーに結合したフェノキシドイオンまたはアルコキシドイオンによって置換される反応が例示される。
【実施例】
【0034】
実施例1
スルホン化PEEK/ビスフェノールA組成
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、ビスフェノールA(9.128g)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.6732g)、スルホン化4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.9108g)および無水炭酸カリウム(7.2g)を、DMSOとトルエンとの混合溶剤中に溶解させた(固形分濃度:約20%)。混合物を撹拌下でトルエンの還流温度まで加熱し、150℃で4時間保持した後、温度を175〜180℃まで上昇させ、該温度で6時間保持した。反応混合物をアセトンまたはメタノールで沈殿させることによって粗生成物を得た。粗生成物は熱水を用いる水洗処理に4回付した後、乾燥させた。乾燥ポリマーをDMACに溶解させることによって20%被覆溶液を得た。該被覆溶液から得られた膜(厚さ:2ミル)を1.5MのHSO中に16時間(一夜)浸漬した後、残存HSOが検出されなくなるまで脱イオン水を用いるすすぎ処理に数回付した。
【0035】
得られたポリマー膜を室温下において水中で膨潤させた後、該膜の伝導度をACインピーダンスによって測定した。また、ポリマー膜を8Mメタノール水溶液(80℃)中における膨潤処理に24時間付した後、寸法安定性を測定した。
メタノールのクロスオーバーは、H−電池を用いた8MのMeOH中で測定し、透過速度はガスクロマトフラフィー分析によって測定した。
膜伝導度:0.021S/cm
膨潤度(80℃、8M−MeOH):620%(面積)
8M−MeOHクロスオーバー:6.9×10−7cm/sec
【0036】
実施例2
スルホン化PEEK/50%ビスフェノールA/50%ヒドロキノン組成
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、ビスフェノールA(4.564g)、ヒドロキノン(2.202g)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.6732g)、スルホン化4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.9108g)および無水炭酸カリウム(7.2g)を、DMSOとトルエンの混合溶剤に溶解させた(固形分:約20%)。混合物をトルエンの還流温度まで加熱し、150℃の温度で4時間保持した後、温度を180℃まで上昇させ、該温度において6時間保持した。反応混合物をアセトンまたはメタノールで沈殿させることによって粗生成物を得た。該粗生成物は熱水を用いる水洗処理に4回付した後、乾燥させた。乾燥ポリマーをDMACに溶解させることによって20%被覆溶液を得た。得られた膜(厚さ:2ミル)を1.5M−HSO中に16時間(一夜)浸漬した後、残存するHSOが検出されなくなるまで脱イオン水を用いるすすぎ処理に数回付した。膜の伝導度は0.027S/cmであった。
【0037】
実施例3
スルホン化PEEK/4,4’−チオジフェノール組成
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、4,4’−チオジフェノール(8.728g)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.6732g)、スルホン化4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.9108g)および無水炭酸カリウム(7.2g)を、DMSOとトルエンの混合溶剤に溶解させた(固形分:約20%)。混合物をトルエンの還流温度まで加熱し、150℃の温度で4時間保持した後、温度を175〜180℃まで上昇させ、該温度において6時間保持した。反応混合物をアセトンまたはメタノールで沈殿させることによって粗生成物を得た。該粗生成物は熱水を用いる水洗処理に4回付した後、乾燥させた。膜の伝導度:0.021S/cm。
【0038】
実施例4
スルホン化PEEK/4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピルデン)ジフェノール組成
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピルデン)ジフェノール(13.452g)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.6732g)、スルホン化4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.9108g)および無水炭酸カリウム(7.2g)を、DMSOとトルエンの混合溶剤に溶解させた(固形分:約20%)。混合物をトルエンの還流温度まで加熱し、150℃の温度で4時間保持した後、温度を175〜180℃まで上昇させ、該温度において6時間保持した。反応混合物をアセトンまたはメタノールで沈殿させることによって粗生成物を得た。該粗生成物は熱水を用いる水洗処理に4回付した後、乾燥させた。乾燥ポリマーをDMACに溶解させることによって20%被覆溶液を得た。得られた膜(厚さ:2ミル)を1.5M−HSO中に16時間(一夜)浸漬した後、残存するHSOが検出されなくなるまで脱イオン水を用いるすすぎ処理に数回付した。膜の伝導度は0.020S/cmであった。
【0039】
実施例5
スルホン化PEEK/50%4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピルデン)ジフェノール/50%ヒドロキノン組成
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピルデン)ジフェノール(6.726g)、ヒドロキノン(2.202g)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.6732g)、スルホン化4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.9108g)および無水炭酸カリウム(7.2g)を、DMSOとトルエンの混合溶剤に溶解させた(固形分:約20%)。混合物をトルエンの還流温度まで加熱し、150℃の温度で4時間保持した後、温度を180℃まで上昇させ、該温度において6時間保持した。反応混合物をアセトンまたはメタノールで沈殿させることによって粗生成物を得た。該粗生成物は熱水を用いる水洗処理に4回付した後、乾燥させた。乾燥ポリマーをDMACに溶解させることによって20%被覆溶液を得た。得られた膜(厚さ:2ミル)を1.5M−HSO中に16時間(一夜)浸漬した後、残存するHSOが検出されなくなるまで脱イオン水を用いるすすぎ処理に数回付した。膜の伝導度は0.021S/cmであった。
【0040】
実施例6
スルホン化PEEK/4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール−ヒドロキノン(95:5)組成
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(10.1977g)、ヒドロキノン(0.2202g)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(6.1096g)、スルホン化4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.0664g)および無水炭酸カリウム(7.2g)を、DMSOとトルエンの混合溶剤に溶解させた(固形分:約20%)。混合物をトルエンの還流温度まで加熱し、150℃の温度で4時間保持した後、温度を175〜180℃まで上昇させ、該温度において6時間保持した。反応混合物をアセトンまたはメタノールで沈殿させることによって粗生成物を得た。該粗生成物は熱水を用いる水洗処理に4回付した後、乾燥させた。乾燥ポリマーをDMACに溶解させることによって20%被覆溶液を得た。得られた膜(厚さ:2ミル)を1.5M−HSO中に16時間(一夜)浸漬した後、残存するHSOが検出されなくなるまで脱イオン水を用いるすすぎ処理に数回付した。
膜の伝導度:0.01S/cm
膨潤度(80℃、8M−MeOH):120%(面積)
8M−MeOHのクロスオーバー:2.4×10−7cm/sec
【0041】
実施例7
この実施例においては、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(BisZ)/スルホン化ジフルオロベンゾフェノン(SBK)/ジフルオロベンゾフェノン(BK)に基づくランダムコポリマーについて説明する。
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(10.7344g)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(6.546g)、スルホン化4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(4.222g)および無水炭酸カリウム(7.2g)を、DMSOとトルエンの混合溶剤に溶解させた(固形分:約20%)。混合物をトルエンの還流温度まで加熱し、150℃の温度で4時間保持した後、温度を175〜180℃まで上昇させ、該温度において6時間保持した。反応混合物をアセトンまたはメタノールで沈殿させることによって粗生成物を得た。該粗生成物は熱水を用いる水洗処理に4回付した後、乾燥させた。得られた生成物の室温における伝導度と吸水性(膨潤度)を下記の表1に示す。
【0042】
実施例8
この実施例においては、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(BisZ)/スルホン化ジフルオロベンゾフェノン(SBK)/ジフルオロベンゾフェノン(BK)に基づくランダムコポリマーについて説明する。
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(10.7344g)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(6.3714g)、スルホン化4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(4.5598g)および無水炭酸カリウム(7.2g)を、DMSOとトルエンの混合溶剤に溶解させた(固形分:約20%)。混合物をトルエンの還流温度まで加熱し、150℃の温度で4時間保持した後、温度を175〜180℃まで上昇させ、該温度において6時間保持した。反応混合物をアセトンまたはメタノールで沈殿させることによって粗生成物を得た。該粗生成物は熱水を用いる水洗処理に4回付した後、乾燥させた。得られた生成物の室温における伝導度と吸水性(膨潤度)を下記の表1に示す。乾燥ポリマーをDMACに溶解させることによって20%被覆溶液を得た。得られた膜(厚さ:2ミル)を1.5M−HSO中に16時間(一夜)浸漬した後、残存するHSOが検出されなくなるまで脱イオン水を用いるすすぎ処理に数回付した。膜の伝導度は0.027S/cmであった。
【0043】
実施例9
この実施例においては、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(BisZ)/スルホン化ジフルオロベンゾフェノン(SBK)/ジフルオロベンゾフェノン(BK)に基づくランダムコポリマーについて説明する。
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(10.7344g)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.6732g)、スルホン化4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.9108g)および無水炭酸カリウム(7.2g)を、DMSOとトルエンの混合溶剤に溶解させた(固形分:約20%)。混合物をトルエンの還流温度まで加熱し、150℃の温度で4時間保持した後、温度を175〜180℃まで上昇させ、該温度において6時間保持した。反応混合物をアセトンまたはメタノールで沈殿させることによって粗生成物を得た。該粗生成物は熱水を用いる水洗処理に4回付した後、乾燥させた。得られた生成物の室温における伝導度と吸水性(膨潤度)を下記の表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
実施例10
スルホン化PEEK/20%ヒドロキノン−80%4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール組成
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、ヒドロキノン(0.8808g)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(8.5875g)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.6732g)、スルホン化4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.9108g)および無水炭酸カリウム(7.2g)を、DMSOとトルエンの混合溶剤に溶解させた(固形分:約20%)。混合物をトルエンの還流温度まで加熱し、150℃の温度で4時間保持した後、温度を175〜180℃まで上昇させ、該温度において6時間保持した。反応混合物をアセトンまたはメタノールで沈殿させることによって粗生成物を得た。該粗生成物は熱水を用いる水洗処理に4回付した後、乾燥させた。
膜の伝導度:0.030S/cm
膨潤度(80℃、8M−MeOH):92%(面積)
8M−MeOHのクロスオーバー:5.4×10−7cm/sec
【0046】
実施例11
スルホン化PEEK/50%ヒドロキノン−50%4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール組成
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、ヒドロキノン(2.202g)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(5.3672g)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.6732g)、スルホン化4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.9108g)および無水炭酸カリウム(7.2g)を、DMSOとトルエンの混合溶剤に溶解させた(固形分:約20%)。混合物をトルエンの還流温度まで加熱し、150℃の温度で4時間保持した後、温度を175〜180℃まで上昇させ、該温度において6時間保持した。反応混合物をアセトンまたはメタノールで沈殿させることによって粗生成物を得た。該粗生成物は熱水を用いる水洗処理に4回付した後、乾燥させた。
膜の伝導度:0.033S/cm
8M−MeOHのクロスオーバー:4.3×10−7cm/sec
【0047】
実施例12
SO2−Z/35(JC58−68):
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口に接続されたプローブ(probe)およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン(BisS)(24.79g;0.0975mol)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SbisK)(22.16g;0.0525mol)、BisZ(40.25g;0.15mol)および無水炭酸カリウム(26.95g;0.19mol)を、DMSO(270ml)とトルエン(135ml)との混合溶剤に溶解させた。反応混合物を、遅い窒素気流下においてゆっくりと撹拌した。約85℃で1時間加熱し、さらに約120℃で1時間加熱した後、反応温度を約135℃まで上昇させ、この温度で3時間加熱し、最後に約170℃で2時間加熱した。撹拌を続行しながら約70℃まで冷却させた後、粘性溶液を、冷却したメタノール(1リットル)中へ激しく撹拌しながら滴下した。ヌードル(noodle)状沈殿物を切断し、脱イオン水を用いて4回洗浄後、80℃で一夜乾燥させた。ナトリウム型ポリマーを、熱硫酸溶液(0.5M)中で2回洗浄した後(各々1時間)、冷脱イオン水中で2回洗浄することによって酸型ポリマーに変換させた。このポリマーを80℃で一夜乾燥させた後、さらに真空下において80℃で2日間乾燥させた。このポリマーのDMAc中での内部粘度は0.60dl/gであった(0.25g/dl)。8M−MeOH(80℃)中に1日浸漬させたときの膨潤度は142%であり、8M−MeOH中のクロスオーバーは0.009mg・mil/cc・min・cmであり(沸騰状態)、伝導度は0.013S/cm(非沸騰状態)および0.041S/cm(沸騰状態)であった。
【0048】
実施例13
SO2−Z/40(JC58−72):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:ビス(4−フルオロフェニル)スルホン(BisS)(22.88g;0.090mol)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SbisK)(25.34g;0.060mol)、BisZ(40.25g;0.15mol)および無水炭酸カリウム(26.95g;0.19mol)(反応溶剤:DMSO 270mlおよびトルエン135ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は0.67dl/gであった。
【0049】
実施例14
CN−K−Z/35(JC58−79):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:BisK(10.69g;0.049mol)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(5.86g;0.042mol)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SBisK)(20.69g;0.049mol)、BisZ(31.57g;0.14mol)および無水炭酸カリウム(25.15g;0.18mol)(反応溶剤:DMSO 270mlおよびトルエン135ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は0.86dl/gであった。
【0050】
実施例15
FL/35(JC58−11):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(BisK)(14.18g;0.065mol)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SBisK)(14.78g;0.035mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(35.04g;0.10mol)および無水炭酸カリウム(17.97g;0.13mol)(反応溶剤:無水DMSO 180mlおよび蒸留直後のトルエン90ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は0.67dl/gであった。8M−MeOH(80℃)中に1日浸漬した後の膨潤度は26%であり、8M−MeOH中でのクロスオーバーは0.013mg・mil/cc・min・cm(非沸騰状態)および0.016mg・mil/cc・min・cm(沸騰状態)であり、伝導度は0.010S/cc(非沸騰状態)および0.019S/cm(沸騰状態)であった。
【0051】
実施例16
FL/40(JC58−43):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(BisK)(19.64g;0.09mol)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SBisK)(25.34g;0.060mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(52.56g;0.15mol)および無水炭酸カリウム(26.95g;0.19mol)(反応溶剤:DMSO 270mlおよびトルエン135ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は0.77dl/gであった。8M−MeOH(80℃)中に1日浸漬した後の膨潤度は35%であり、8M−MeOH中でのクロスオーバーは0.016mg・mil/cc・min・cm(非沸騰状態)および0.016mg・mil/cc・min・cm(沸騰状態)であり、伝導度は0.010S/cc(非沸騰状態)および0.015S/cm(沸騰状態)および0.023S/cm(沸騰状態)であった。
【0052】
実施例17
Z−FL/40(JC58−51):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(BisK)(18.33g;0.084mol)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SBisK)(23.65g;0.056mol)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BisZ)(18.78g;0.070mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(FL)(24.53g;0.070mol)および無水炭酸カリウム(25.15g;0.18mol)(反応溶剤:DMSO 250mlおよびトルエン125ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は0.97dl/gであった。8M−MeOH(80℃)中に1日浸漬した後の膨潤度は54%であり、8M−MeOH中でのクロスオーバーは0.015mg・mil/cc・min・cm(非沸騰状態)および0.025mg・mil/cc・min・cm(沸騰状態)であり、伝導度は0.018S/cc(非沸騰状態)および0.042S/cm(沸騰状態)であった。
【0053】
実施例18
FL−O/35(JC58−57):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(BisK)(21.27g;0.0975mol)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SBisK)(22.17g;0.0525mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(FL)(26.28g;0.075mol)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(O)(15.16g;0.075mol)および無水炭酸カリウム(26.95g;0.19mol)(反応溶剤:DMSO 270mlおよびトルエン135ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は1.21dl/gであった。8M−MeOH(80℃)中に1日浸漬した後の膨潤度は50%であり、8M−MeOH中でのクロスオーバーは0.023mg・mil/cc・min・cm(非沸騰状態)であり、伝導度は0.030S/cc(非沸騰状態)および0.039S/cm(沸騰状態)であった。
【0054】
実施例19
Z−O/35(JC58−58):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(BisK)(21.27g;0.0975mol)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SBisK)(22.17g;0.0525mol)、BisZ(20.12g;0.075mol)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(O)(15.16g;0.075mol)および無水炭酸カリウム(26.95g;0.19mol)(反応溶剤:DMSO 270mlおよびトルエン135ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は1.61dl/gであった。8M−MeOH(80℃)中に1日浸漬した後の膨潤度は117%であり、8M−MeOH中でのクロスオーバーは0.019mg・mil/cc・min・cm(非沸騰状態)であり、伝導度は0.026S/cc(非沸騰状態)および0.057S/cm(沸騰状態)であった。
【0055】
実施例20
FL−O/40(JC58−59):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(BisK)(19.64g;0.09mol)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SBisK)(25.34g;0.06mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(26.28g;0.075mol)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(15.16g;0.075mol)および無水炭酸カリウム(26.95g;0.19mol)(反応溶剤:DMSO 270mlおよびトルエン135ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は1.50dl/gであった。8M−MeOH(80℃)中に1日浸漬した後の膨潤度は72%であり、8M−MeOH中でのクロスオーバーは0.023mg・mil/cc・min・cm(非沸騰状態)であり、伝導度は0.026S/cc(非沸騰状態)および0.056S/cm(沸騰状態)であった。
【0056】
実施例21
AF−O/35(JC58−65):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(BisK)(21.27g;0.0975mol)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SBisK)(22.17g;0.0525mol)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジフェノール(25.21g;0.075mol)、4,4’−ヒドロキシフェニルエーテル(15.16g;0.075mol)および無水炭酸カリウム(26.95g;0.19mol)(反応溶剤:DMSO 270mlおよびトルエン135ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は1.10dl/gであった。8M−MeOH(80℃)中に1日浸漬した後の膨潤度は232%であり、8M−MeOH中でのクロスオーバーは0.020mg・mil/cc・min・cm(非沸騰状態)および0.079mg・mil/cc・min・cm(沸騰状態)であり、伝導度は0.024S/cc(非沸騰状態)および0.061S/cm(沸騰状態)であった。
【0057】
実施例22
MB/35(JC58−77):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:BisK(17.02g;0.078mol)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SBisK)(17.73g;0.042mol)、BisZ(24.03g;0.12mol)、2,5−ジヒドロキシ−4’−メチルビフェノール(MB)(24.03g;0.12mol)および無水炭酸カリウム(12.57g;0.091mol)(反応溶剤:DMSO 126mlおよびトルエン63ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は1.07dl/gであった。
【0058】
実施例23
TPM/35(JC58−81):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:BisK(9.93g;0.046mol)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SBisK)(10.34g;0.025mol)、(24.67g;0.050mol)、4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン(24.67g;0.050mol)および無水炭酸カリウム(12.57g;0.091mol)(反応溶剤:DMSO 126mlおよびトルエン63ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は1.01dl/gであった。
【0059】
実施例24
Z50−FL50/30(JC58−123):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:BisK(19.85g)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SBisK)(16.47g)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(22.77g)、BisZ(17.44g)および無水炭酸カリウム(23.36g)(反応溶剤:DMSO 240mlおよびトルエン120ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は0.74dl/gであった。
【0060】
実施例25
Z75−FL25/30(JC58−124):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:BisK(19.85g)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SBisK)(16.47g)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(11.39g)、BisZ(26.16g)および無水炭酸カリウム(23.36g)(反応溶剤:DMSO 240mlおよびトルエン120ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は0.63dl/gであった。
【0061】
実施例26
Z25−FL75/30(JC58−125):
このポリマーは実施例1に記載の方法に準拠し、次の成分を使用して合成した:BisK(19.85g)、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(SBisK)(16.47g)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(34.16g)、BisZ(8.72g)および無水炭酸カリウム(23.36g)(反応溶剤:DMSO 240mlおよびトルエン120ml)。得られたポリマーのDMAc溶液(0.25g/dl)中での内部粘度は1.05dl/gであった。
【0062】
実施例27
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、4,4’−(1,4−フェニルジイソプロピルジエン)ビスフェノール(17.30g)、BisK(7.091g)、S−BisK(7.3885g)および無水炭酸カリウム(9.0g)を、DMSOとトルエンの混合溶剤に溶解させた(固形分:約20%)。混合物をトルエンの還流温度まで撹拌下で加熱し、140℃の温度で6時間保持した後、温度を173〜175℃まで上昇させ、該温度において6時間保持した。反応混合物をメタノールで沈殿させることによって粗生成物を得た。
伝導度:0.0168S/cm(沸騰状態:0.0436S/cm)
8M−MeOH中での膨潤度:67%(面積)
8M−MeOHのクロスオーバー:0.013mg/min・ml・mls
【0063】
実施例28
機械的撹拌機、温度計、窒素導入口およびディーン−スタークトラップ/コンデンサーを備えた3つ口丸底フラスコ(500ml)内において、4,4’−(1,4−フェニルジイソプロピルジエン)ビスフェノール(17.30g)、BisK(7.637g)、S−BisK(6.333g)および無水炭酸カリウム(9.0g)を、DMSOとトルエンの混合溶剤に溶解させた(固形分:約20%)。混合物をトルエンの還流温度まで撹拌下で加熱し、140℃の温度で6時間保持した後、温度を173〜175℃まで上昇させ、該温度において6時間保持した。反応混合物をメタノールで沈殿させることによって粗生成物を得た。
伝導度:0.00786S/cm[0.0315S/cm(沸騰状態)]
膨潤度(8M−MeOH):41%(面積)
クロスオーバー(8M−MeOH):0.011mg/min・mil・mls
【0064】
本明細書に引用された全ての文献(背景技術の部分で引用した文献も含む)の開示内容も本明細書の一部を成すものである。
また、本発明は、上記の好ましい態様に関連して説明したが、当業者であれば、本発明の技術的思想の範囲を逸脱することなく、上記の開示内容の形式と細目に関して適宜変更させることができる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式で表されるスルホン化コポリマー:
【化1】

式中、a、b、cおよびdはコポリマー中に存在するモノマーのモル分率であって、相互に独立して0.01〜1の数を示し、Xはカチオンまたはプロトンを示し、また、Rは単結合、C2n−2で表される脂環式基または次式のいずれかで表される基を示す:
【化2】

【請求項2】
Rはイソプロピリデン基またはシクロヘキシリデン基を示す請求項1記載のスルホン化コポリマー。
【請求項3】
請求項1記載のスルホン化コポリマーを含有するプロトン交換膜(PEM)。
【請求項4】
請求項3記載のPEMを含有する触媒被覆膜(CCM)であって、該膜の対置する表面の少なくとも一方の全部もしくは一部が触媒層を含有する該触媒被覆膜。
【請求項5】
請求項4記載のCCMを含有する膜電極アセンブリー(MEA)。
【請求項6】
請求項5記載のMEAを含有する燃料電池。
【請求項7】
請求項6記載の燃料電池を含有する電子装置。
【請求項8】
Rはイソプロピル基またはシクロヘキシル基を示す請求項3記載のプロトン交換膜。
【請求項9】
次式で表されるスルホン化コポリマー:
【化3】

式中、Rはアリールケトン、アリールスルホン、アリールニトリルまたは置換アリールニトリルを示し、a、b、cおよびdはコポリマー中に存在するモノマーのモル分率であって、相互に独立して0.01〜1の数を示し、Xはカチオンもしくは水素原子を示し、また、RもしくはRは単結合、C2n−2で表される脂環式基または次式のいずれかで表される基を示す:
【化4】

【請求項10】
とRが相互に独立してシクロヘキシル基もしくはフルオレニル基を示し、Rがアリールケトンを示す請求項9記載のスルホン化コポリマー。
【請求項11】
請求項9記載のスルホン化コポリマーを含有するプロトン交換膜(PEM)。
【請求項12】
請求項11記載のPEMを含有する触媒被覆膜(CCM)であって、該PEMの対置する表面の少なくとも一方の全部もしくは一部が触媒層を含有する該触媒被覆膜。
【請求項13】
請求項12記載のCCMを含有する膜電極アセンブリー(MEA)。
【請求項14】
請求項13記載のMEAを含有する燃料電池。
【請求項15】
請求項14記載の燃料電池を含有する電子装置。
【請求項16】
下記の工程を含むスルホン化ポリマーの調製方法:
(i)少なくとも1つのスルホネート基と少なくとも2つの脱離基を有する第1コモノマー、(ii)第1コモノマーの少なくとも1つの脱離基と置換することができる少なくとも2つの基を有する第2コモノマー、(iii)少なくとも2つの脱離基を有する第3コモノマー、および(iv)第1コモノマーもしくは第3コモノマーの脱離基と反応することができる少なくとも2つの置換基を有する第4コモノマー(この場合、第2コモノマーの少なくとも1つの置換基は第3コモノマーの少なくとも1つの脱離基と置換することができる)を化合させることにより、
第1コモノマーから−SO−Ar−C(O)−Ar−SO−O−を形成させ、
第2コモノマーから−Ar−R−Ar−O−を形成させ、
第3コモノマーから−Ar−R−Ar−O−を形成させ、また、
第4コモノマーから−R−Oを形成させる。
式中、Rはアリールケトン、アリールスルホン、アリールニトリルまたは置換アリールニトリルを示し、RとRは相互に独立して下記の群から選択される基を示す:
【化5】




【公表番号】特表2006−506472(P2006−506472A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−503520(P2004−503520)
【出願日】平成15年5月13日(2003.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2003/015178
【国際公開番号】WO2003/095509
【国際公開日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【出願人】(502435797)ポリフューエル・インコーポレイテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】POLYFUEL, INC.
【Fターム(参考)】