説明

スロットイン型ディスク装置

【課題】ディスクの排出時に、ディスクを押し込む方向の負荷が加わった場合、ディスクに加わった負荷によって、ローディングモータにより駆動されるメカニズムを構成する部材が破損することなく、負荷が除去された場合の復帰動作をスムーズに行えるスロットイン型ディスク装置を提供すること。
【解決手段】スロットイン型ディスク装置は、排出スライダー106を、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとによって構成し、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとに、第1の負荷手段106Cと第2の負荷手段106X,106Yとを付与し、ディスクの排出時に、ディスクを押し込む方向の負荷が排出レバー100に加わった場合、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとには第2の負荷手段106X,106Yによる負荷が加わり、第2の負荷手段106X,106Yによる負荷が解除された後に第1の負荷手段106Cによる負荷が加わることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVDなどのディスク状の記録媒体への記録、または再生を行うディスク装置に関し、特に外部からディスクを直接挿入し、または直接排出できるスロットイン型ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のディスク装置は、トレイまたはターンテーブル上にディスクを載置し、このトレイやターンテーブルを装置本体内に装着するローディング方式が多く採用されているが、このようなローディング方式では、トレイやターンテーブルが必要な分、ディスク装置本体を薄型化するには限度があった。このため、最近では、ローディングモータによりレバー等でディスクを直接操作する、いわゆるスロットイン方式のディスク装置が存在する。
しかしこのようなスロットイン方式のディスク装置では、ディスク装置本体の薄型化や小型化を図ることは可能であったが、ローディングモータにより駆動されるメカニズムによってディスクの出し入れを行うため、ディスクの排出時に、ディスクを押し込む方向の負荷が加わった場合、ディスクに加わった負荷によって、ローディングモータにより駆動されるメカニズムを構成する部材が破損するという課題がある(特許文献1)。
なお、ディスクを操作する駆動メカニズムは相違するが、スロットイン方式のディスク装置において、ディスクの排出時に、ディスクを押し込む方向の負荷が加わった場合の部材破損を防止することを解決するために、リンクアームのロックを解除するものが提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−352498号公報
【特許文献2】特開2005−100595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献2に開示されている従来技術では、部材破損を防止できるが、ディスクを押し込む方向の負荷が除去された場合の復帰がスムーズに行えないという問題がある。
【0004】
本発明は、ディスクの排出時に、ディスクを押し込む方向の負荷が加わった場合、ディスクに加わった負荷によって、ローディングモータにより駆動されるメカニズムを構成する部材が破損することなく、負荷が除去された場合の復帰動作をスムーズに行えるスロットイン型ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明のスロットイン型ディスク装置は、ベース本体と蓋体とからシャーシ外装を構成し、前記シャーシ外装のフロント面にディスクを直接挿入するディスク挿入口を形成し、前記ベース本体のフロント面側にはトラバースベースを配置し、前記トラバースベースを変位させるカム機構を、メインスライダーに設け、前記メインスライダーを、その一端が前記ベース本体のフロント面側、その他端が前記ベース本体のリア面側となる方向に配設し、前記メインスライダーと平行に排出スライダーを設け、前記メインスライダーと前記排出スライダーとをリンクアームによって連結し、前記排出スライダーを介して前記メインスライダーの動きと連動する排出レバーを備えたスロットイン型ディスク装置であって、前記排出スライダーを、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとによって構成し、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとに、第1の負荷手段と第2の負荷手段とを付与し、ディスクの排出時に、前記ディスクを押し込む方向の負荷が前記排出レバーに加わった場合、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとには前記第2の負荷手段による負荷が加わり、前記第2の負荷手段による負荷が解除された後に前記第1の負荷手段による負荷が加わることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置において、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとを、長手方向に摺動可能な構成とし、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとを、前記第1の負荷手段によって互いが引き合う方向に付勢し、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとに係合部を形成することで前記第2の負荷手段を構成することを特徴とする。
請求項3記載の本発明のスロットイン型ディスク装置は、ベース本体と蓋体とからシャーシ外装を構成し、前記シャーシ外装のフロント面にディスクを直接挿入するディスク挿入口を形成し、前記ベース本体のフロント面側にはトラバースベースが配置され、前記トラバースベースを変位させるカム機構を、メインスライダーとサブスライダーにそれぞれ設け、前記メインスライダーを、その一端が前記ベース本体のフロント面側、その他端が前記ベース本体のリア面側となる方向に配設し、前記メインスライダーと平行に排出スライダーを設け、前記メインスライダーと前記排出スライダーとをリンクアームによって連結し、前記排出スライダーを介して前記メインスライダーの動きと連動する排出レバーを備えたスロットイン型ディスク装置であって、前記排出スライダーを、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとによって構成し、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとを、長手方向に摺動可能な構成とし、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとに係合部を形成することで負荷手段を構成し、ディスクの排出時に、前記ディスクを押し込む方向の負荷が前記排出レバーに加わった場合、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとには前記負荷手段による負荷が加わることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載のスロットイン型ディスク装置において、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとの離間状態を、前記トラバースベースなどの他の部材に前記メイン排出スライダーを押し当てることで、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとを嵌合状態とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ディスク排出時に加わる多少の負荷では、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとが引き離されないように構成するとともに、ディスクの排出時にディスクを押し込む方向の負荷が加わった場合には、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとを引き離すことで、排出スライダーなどの部材が破損することを防止することができる。また本発明によれば、負荷が除去された場合の復帰動作をスムーズに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1の実施の形態によるディスク装置は、排出スライダーを、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとによって構成し、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとに、第1の負荷手段と第2の負荷手段とを付与し、ディスクの排出時に、ディスクを押し込む方向の負荷が排出レバーに加わった場合、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとには第2の負荷手段による負荷が加わり、第2の負荷手段による負荷が解除された後に第1の負荷手段による負荷が加わるものである。本実施の形態によれば、ディスクの排出時にディスクを押し込む方向の負荷が加わった場合、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとを引き離す構成としているので、排出スライダーなどの部材が破損することを防止することができる。更に、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとを引き離す負荷として、第1の負荷手段以外に第2の負荷手段を設けることで、ディスク排出時に加わる多少の負荷では、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとが引き離されないように構成することができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるディスク装置において、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとを、長手方向に摺動可能な構成とし、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとを、第1の負荷手段によって互いが引き合う方向に付勢し、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとに係合部を形成することで第2の負荷手段を構成するものである。本実施の形態によれば、係合部によって第2の負荷を構成することで、ディスクの表面摩擦や寸法ばらつきなどの軽負荷時には、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとが引き離されないように構成でき、ディスクを確実に排出することができる。
本発明の第3の実施の形態によるディスク装置は、排出スライダーを、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとによって構成し、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとを、長手方向に摺動可能な構成とし、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとに係合部を形成することで負荷手段を構成し、ディスクの排出時に、ディスクを押し込む方向の負荷が排出レバーに加わった場合、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとには負荷手段による負荷が加わるものである。本実施の形態によれば、係合部によって負荷手段を構成しているので、ディスクの表面摩擦や寸法ばらつきなどの軽負荷時には、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとが引き離されないように構成でき、ディスクを確実に排出することができる。
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態によるディスク装置において、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとの離間状態を、トラバースベースなどの他の部材にメイン排出スライダーを押し当てることで、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとを嵌合状態とするものである。本実施の形態によれば、ばねなどの負荷手段を設けることなく、ディスクを押し込む方向の負荷が除去された場合の復帰動作をスムーズに行うことができる。
【実施例1】
【0008】
以下本発明の一実施例によるディスク装置について説明する。
図1は本実施例によるディスク装置のベース本体の平面図、図2は同ディスク装置の排出スライダーの通常状態を示す斜視図、図3は同排出スライダーのディスク強制押し込み時による動作状態を示す斜視図、図4は同排出スライダーの要部斜視図である。
本実施例によるディスク装置は、ベース本体と蓋体とからシャーシ外装が構成され、このシャーシ外装のフロント面にベゼルが装着される。また本実施例によるディスク装置は、ベゼルに設けたディスク挿入口からディスクを直接挿入するスロットイン型ディスク装置である。
図1に示すように、ディスクへの記録再生機能やディスクのローディング機能を行う各部品は、ベース本体10に装着される。
ベース本体10は、蓋体に対する深底部10Aと浅底部10Bが形成され、浅底部10Bによってフロント面からリア面に至るウイング部が形成されている。
ベース本体10のフロント側にはディスクを直接挿入するディスク挿入口11を形成し、ベース本体10のリア面の端部にはコネクタ12を配設している。ベース本体10のディスク挿入口11側にはトラバースベース30が配置され、ベース本体10のコネクタ12側にはリアベース13が配置されている。トラバースベース30とリアベース13とは互いが重ならないように配置されている。リアベース13のベース本体10面側にはプリント基板14が設けられている。
【0009】
トラバースベース30は、スピンドルモータ31とピックアップ32とピックアップ32を移動させる駆動手段33とを保持している。スピンドルモータ31はトラバースベース30の一端側に設けられ、ピックアップ32はトラバースベース30の一端側から他端側までを移動可能に設けられている。またピックアップ32はスタンバイ時にはトラバースベース30の他端側に配置される。
トラバースベース30において、スピンドルモータ31がベース本体10の中央部に位置し、またピックアップ32の往復動範囲がスピンドルモータ31よりもディスク挿入口11側に位置し、またピックアップ32の往復移動方向がディスクの挿入方向と異なるように配設されている。ここで、ピックアップ32の往復移動方向とディスクの挿入方向とは、40度から45度の範囲の角度としている。
トラバースベース30は、一対のインシュレータ34A、34Bによってベース本体10に支持されている。
一対のインシュレータ34A、34Bは、スピンドルモータ31の位置よりもピックアップ32の静止位置側に配設し、ピックアップ32のスタンバイ位置よりもディスク挿入口11側の位置に配設することが好ましい。本実施例では、インシュレータ34Aはディスク挿入口11の内側近傍の一端側に、インシュレータ34Bはディスク挿入口11の内側近傍の中央部に設けている。インシュレータ34A、34Bは、弾性材料からなるダンパー機構を備えている。インシュレータ34A、34Bは、このダンパー機構によって、トラバースベース30がベース本体10から離間する方向に変位することができる。従って、トラバースベース30は、インシュレータ34A、34Bを支点として、スピンドルモータ31側をベース本体10と近接離間させるように動作する。
【0010】
以下に、このトラバースベース30を動作させるカム機構を備えたメインスライダー40とサブスライダー50について説明する。
トラバースベース30を変位させるカム機構は、メインスライダー40とサブスライダー50にそれぞれ設けている。ここで、メインスライダー40とサブスライダー50とは、スピンドルモータ31の側方に位置するように配設されている。メインスライダー40は、その一端がベース本体10のフロント面側、その他端がベース本体10のリア面側となる方向に配設されている。また、サブスライダー50は、トラバースベース30とリアベース13との間に、メインスライダー40と直交する方向に配設されている。
トラバースベース30を変位させるカム機構は、第1のカム機構41と第2のカム機構51によって構成される。第1のカム機構41は、メインスライダー40のスピンドルモータ31側の面に、第2のカム機構51は、サブスライダー50のスピンドルモータ31側の面にそれぞれ設けられている。
なお、メインスライダー40とトラバースベース30との間にはベース部材15が設けられ、サブスライダー50とトラバースベース30との間にはベース部材16が設けられている。ここでベース部材15とベース部材16はベース本体10に固定され、ベース部材15に設けた縦溝によってトラバースベース30のカムピン36を位置規制し、ベース部材16に設けた縦溝によってトラバースベース30のカムピン37を位置規制している。
【0011】
ここで、ベース部材16とサブスライダー50とは、第3のカム機構(図1では図示せず)によって連結している。そしてこの第3のカム機構は、第2のカム機構51によってトラバースベース30をベース本体10に対して離間する方向に移動させる時に、サブスライダー50をベース本体10に対して離間する方向に移動させる機能を備えている。
【0012】
メインスライダー40の一端側にはローディングモータ60が配設されている。ローディングモータ60とメインスライダー40の一端側とは歯車機構を介して連結されている。
ローディングモータ60の駆動軸にはギア63が設けられ、これにかみ合うウオームギア群62が設けられておりギア群を構成している。
このローディングモータ60の駆動によってメインスライダー40を長手方向に摺動させることができる。またメインスライダー40は、カムレバー70によってサブスライダー50と連結している。
カムレバー70は、回動支点71、ピン72、ピン73、及びピン74を有している。ピン72及びピン73でメインスライダー40の上面に設けたカム溝と係合し、ピン74でサブスライダー50の上面に設けたカム溝と係合している。
このカムレバー70は、メインスライダー40の第1のカム機構41によってトラバースベース30を変位させるタイミングで、サブスライダー50を移動させ、サブスライダー50の移動によって第2のカム機構51を動作させてトラバースベース30を変位させる機能を有する。
【0013】
以上説明した、コネクタ12、トラバースベース30、リアベース13、プリント基板14、インシュレータ34A、34B、メインスライダー40、サブスライダー50、ベース部材15、ベース部材16、及びローディングモータ60は、ベース本体10の深底部10Aに設けられ、これらの部材と蓋体との間に、ディスク挿入空間を形成する。
【0014】
次に、ディスクを挿入するときにディスクを支持するガイド部材と、ディスクを挿入するときに動作するレバー部材について説明する。
深底部10Aのディスク挿入口11近傍の一端側には、所定長さの第1のディスクガイド17が設けられている。この第1のディスクガイド17は、ディスク挿入側から見た断面が、「コ」の字状の溝を有している。この溝によってディスクは支持される。
一方、ディスク挿入口11の他端側のベース本体10内には、引き込みレバー80が設けられ、この引き込みレバー80の可動側端部に第2のディスクガイド81を備えている。第2のディスクガイド81は、円筒状のローラで構成され、引き込みレバー80の可動側端部に回動自在に設けられている。また、第2のディスクガイド81のローラ外周には溝が形成され、この溝によってディスクは支持される。
引き込みレバー80は、可動側端部が固定側端部よりもディスク挿入口11側で動作するように配置され、固定側端部に回動支点82を有している。
また、引き込みレバー80の裏面(ベース本体10側の面)の可動側端部と固定側端部との間には長溝83が設けられている。
【0015】
引き込みレバー80は、サブレバー90によって動作する。
サブレバー90は、可動側の一端に凸部91を備え、他端側に回動支点92を備えている。サブレバー90の凸部91は、引き込みレバー80の長溝83内を摺動する。また、サブレバー90の回動支点92は、メインスライダー40上に位置している。なお、回動支点92は、メインスライダー40とは連動せず、ベース本体10にベース部材15を介して固定されている。またサブレバー90の回動支点92よりも凸部91側の下面には、ピン93を備えている。このピン93は、メインスライダー40の上面に設けられたカム溝内を摺動する。従って、サブレバー90は、メインスライダー40の移動にともなって角度が変更され、このサブレバー90の角度の変更によって引き込みレバー80の旋回角度を変更する。すなわち、サブレバー90の動作によって、引き込みレバー80の第2のディスクガイド81がスピンドルモータ31に近接離間するように動作する。
【0016】
ベース本体10の引き込みレバー80と異なる側部には、排出レバー100が設けられている。この排出レバー100の一端側の可動側端部には、ガイド101が設けられている。また、排出レバー100の他端側には、回動支点102が設けられている。また、排出レバー100の可動側端部には、ガイド101よりもリア面側に当接部103が設けられている。また、排出レバー100には、弾性体104が設けられている。この弾性体104の一端は排出レバー100に固定されており、他端はリアベース13に固定されている。当接部103は、弾性体104によってリア面側に引き込まれた場合に、リアベース13の当接部13Aと当接する。また排出レバー100は、弾性体104の弾性力によってディスク挿入口11側に引き出される。なお、排出レバー100は、リンクアーム105と排出スライダー106を介してメインスライダー40の動きと連動する。
ここでリンクアーム105は、軸105Aによってリアベース13に回動自在に設けられ、その一端側をピン105Bを介してメインスライダー40と連接し、その他端側をピン105Cによって排出スライダー106の孔106Dと連接している。排出レバー100はカムピン107によって排出スライダー106のカム溝106Eと係合している。なお、排出スライダー106は、その一端がベース本体10のフロント面側、その他端がベース本体10のリア面側となる方向に配設している。また、メインスライダー40は、ベース本体10の深底部10Aの一方の側部に、排出スライダー106は、ベース本体10の深底部10Aの他方の側部に設けている。従って、メインスライダー40と排出スライダー106とは、平行に配設されている。そして、メインスライダー40のリア面側端部と排出スライダー106のリア面側端部とは、リンクアーム105に係合している。
【0017】
ベース本体10のリア面側には規制レバー110が設けられている。この規制レバー110は、リア面側端部を回動支点111とし、可動側端部にガイド112を備えている。この規制レバー110は、弾性体113によってガイド112側が常にフロント側に突出するように付勢されている。また、この規制レバー110は所定位置でリミットスイッチを動作させる。すなわち、ディスクが所定位置まで挿入されると、リミットスイッチがオフし、ローディングモータ60を駆動する。このローディングモータ60の駆動によって、メインスライダー40が摺動する。
【0018】
次に、図2から図4を用いて排出スライダー106の構成について説明する。
排出スライダー106は、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとばね(第1の負荷手段)106Cとから構成されている。メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとは、長手方向に摺動可能な構成となっており、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとは、ばね106Cによって互いが引き合う方向に付勢されている。メイン排出スライダー106Aは、一端側にカム溝106Eが形成され、他端側にサブ排出スライダー106Bとの摺動溝106Fが形成されている。サブ排出スライダー106Bは、一端側に摺動溝106Fに係合する凸部106Gが形成され、他端側にピン105Cに対応する孔106Dが形成されている。
また、メイン排出スライダー106Aの他端側には凹部からなる係合部106Xが形成され、サブ排出スライダー106Bの一端側には凸部からなる係合部106Yが形成されている。この係合部106Xと係合部106Yによって第2の負荷手段を構成している。
上記構成により、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとを引き離すには、まず係合部106Xを係合部106Yから離脱させるための第2の負荷が必要となり、係合部106Xを係合部106Yから離脱させた後には、ばね106Cに対抗する第1の負荷が必要となる。すなわち、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとを引き離すには、初期に置いて第2の負荷以上の負荷が必要となる。
【0019】
以下に、通常ディスク排出時の排出スライダーの動作状態と、ディスク排出時に強制押し込み負荷が加わった場合の排出スライダーの動作状態とを説明する。
図5は、通常ディスク排出時の排出スライダーの動作状態を示す要部平面図、図6は、ディスク排出時に強制押し込み負荷が加わった場合の排出スライダーの動作状態を示す要部平面図である。
まず、図5に示すように、通常ディスク排出時には、リンクアーム105の回動によって、ピン105Cがリア面側に移動し、排出スライダー106もまたリア面側に移動する。この排出スライダー106の移動によって、カム溝106E内に位置するカムピン107もリア面側に移動し、排出レバー100は、回転支点102を中心として回動する。この排出レバー100の回動によって、ディスクは排出される。
次に、上記のディスクの排出時に、ディスクを押し込む方向の負荷が排出レバー100に加わった場合、図6に示すように、ディスクに加わった負荷によって、排出レバー100は、その可動側端部がリア面側に回動する。この排出レバー100の回動によって、カムピン107は、排出スライダー106の移動方向とは反対にフロント面側に移動する。そして、このカムピン107に加わるフロント面側への負荷が所定の大きさを越えると、図3に示すように係合部106Xを係合部106Yから離脱させ、その後、ばね106Cは圧縮されるとともに、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとは、カムピン107に加わる負荷に応じて引き離される。
【0020】
このように、本実施例によれば、ディスクの排出時に、ディスクを押し込む方向の負荷が加わった場合、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとを引き離す構成としているので、排出スライダー106などの部材が破損することを防止することができる。
また本実施例によれば、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとを引き離す負荷として、係合部106Xを係合部106Yから離脱させるための初期負荷(第2の負荷)を与えているため、ディスク排出時に加わる多少の負荷では、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとが引き離されることはない。従って、ディスクの表面摩擦や寸法ばらつきなどの軽負荷時には、ディスクを確実に排出することができる。
【実施例2】
【0021】
次に、本発明の他の実施例によるディスク装置を説明する。
図7は本発明の他の実施例によるディスク装置のベース本体の斜視図である。なお、上記実施例と同一部材には、同一番号を付すとともに、説明に必要な部材のみを図示する。
本実施例による排出スライダー106は、ばね(第1の負荷手段)106Cを備えていない点以外は、上記実施例と同じ構成である。
従って、図2から図4に示すように、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとは、長手方向に摺動可能な構成となっている。また、メイン排出スライダー106Aは、一端側にカム溝106Eが形成され、他端側にサブ排出スライダー106Bとの摺動溝106Fが形成されている。サブ排出スライダー106Bは、一端側に摺動溝106Fに係合する凸部106Gが形成され、他端側にピン105Cに対応する孔106Dが形成されている。
また、メイン排出スライダー106Aの他端側には凹部からなる係合部106Xが形成され、サブ排出スライダー106Bの一端側には凸部からなる係合部106Yが形成されている。この係合部106Xと係合部106Yによって負荷手段を構成している。
上記構成により、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとを引き離すには、係合部106Xを係合部106Yから離脱させるための負荷が必要となる。
ここで、本実施例では、上記実施例のようなばねによる負荷手段を備えていないので、係合部106Xを係合部106Yから離脱させた後には、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとは、離間した状態のままとなる。
本実施例では、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとの離間状態を、例えばトラバースベース30などの他の部材にメイン排出スライダー106Aを押し当てることで、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとを元の状態に戻す構成としている。
【0022】
以下にこの動作について説明する。
図6に示すように、ディスクの排出時に、ディスクを押し込む方向の負荷が排出レバー100に加わった場合、ディスクに加わった負荷によって、排出レバー100は、その可動側端部がリア面側に回動する。この排出レバー100の回動によって、カムピン107は、排出スライダー106の移動方向とは反対にフロント面側に移動する。そして、このカムピン107に加わるフロント面側への負荷が、所定の大きさを越えると、係合部106Xを係合部106Yから離脱させ、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとは、カムピン107の負荷に応じて引き離される。ただし、本実施例ではばね106Cを持たないために、カムピン107に加わる負荷が除去されても、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとは引き離された状態が維持される。
しかし、ディスクを押し込む方向の負荷によって、排出レバー100が所定量回動した場合には、ディスクは規制レバー110のガイド112に当接し、規制レバー110が回動動作を行う。
そして、規制レバー110が所定角度回動することで、リミットスイッチが動作し、ローディングモータ60の駆動が開始される。このローディングモータ60の駆動によって、メインスライダー40はリア面側に摺動を開始する。そしてメインスライダー40の動作によって、サブレバー90のピン93が、対応するメインスライダー40に設けられたカム溝に沿って移動する。このとき、ピン93は、対応するカム溝によってスピンドルモータ31側に移動する。このピン93の移動によってサブレバー90は、引き込みレバー80をその可動側端部がスピンドルモータ31側に旋回移動する方向に付勢する。従って、引き込みレバー80はディスクを挿入方向に付勢する。この引き込みレバー80の付勢力によって、ディスクは人為的な操作を離れ更に押し込まれる。そして、ローディングモータ60は駆動し続け、メインスライダー40もリア面側に摺動動作を継続する。
【0023】
上記の動作の結果、図7に示す動作を行う。
すなわち、メインスライダー40の動作によって、リンクアーム105は、軸105Aを中心に回動する。従って、サブ排出スライダー106Bはフロント面側に移動する。このとき、メイン排出スライダー106Aへの係合部106Yの摩擦によって、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとは近接することなく移動する。そして、メイン排出スライダー106Aが、トラバースベース30などの他の部材に当接すると、メインスライダー106Aは移動できないため、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとは徐々に近接し、係合部106Yが係合部106Xの位置まで移動すると、係合部106Yと係合部106Xが嵌合状態となり元の状態に復帰する。
【0024】
以上のように本実施例によれば、ディスクの排出時に、ディスクを押し込む方向の負荷が加わった場合、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとを引き離す構成としているので、排出スライダー106などの部材が破損することを防止することができる。
また本実施例によれば、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとの離間状態を、トラバースベース30などの他の部材にメイン排出スライダー106Aを押し当てることで、メイン排出スライダー106Aとサブ排出スライダー106Bとを元の状態に戻すことができるので、ばねなどの負荷手段を設けることなく、ディスクを押し込む方向の負荷が除去された場合の復帰動作をスムーズに行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、CD、DVD等のディスク状記録媒体の記録または再生を行うディスク装置において、特に家庭用映像機器やコンピュータの周辺装置として用いられる薄型化の必要なディスク装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例によるディスク装置のベース本体の平面図
【図2】同ディスク装置の排出スライダーの通常状態を示す斜視図
【図3】同排出スライダーのディスク強制押し込み時による動作状態を示す斜視図
【図4】同排出スライダーの要部斜視図
【図5】通常ディスク排出時の同排出スライダーの動作状態を示す要部平面図
【図6】ディスク排出時に強制押し込み負荷が加わった場合の同排出スライダーの動作状態を示す要部平面図
【図7】本発明の他の実施例によるディスク装置のベース本体の斜視図
【符号の説明】
【0027】
10 ベース本体
11 ディスク挿入口
30 トラバースベース
40 メインスライダー
100 排出レバー
106 排出スライダー
106A メイン排出スライダー
106B サブ排出スライダー
106C ばね(第1の負荷手段)
106X 係合部(第2の負荷手段)
106Y 係合部(第2の負荷手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース本体と蓋体とからシャーシ外装を構成し、
前記シャーシ外装のフロント面にディスクを直接挿入するディスク挿入口を形成し、
前記ベース本体のフロント面側にはトラバースベースを配置し、
前記トラバースベースを変位させるカム機構を、メインスライダーに設け、
前記メインスライダーを、その一端が前記ベース本体のフロント面側、その他端が前記ベース本体のリア面側となる方向に配設し、
前記メインスライダーと平行に排出スライダーを設け、
前記メインスライダーと前記排出スライダーとをリンクアームによって連結し、
前記排出スライダーを介して前記メインスライダーの動きと連動する排出レバーを備えたスロットイン型ディスク装置であって、
前記排出スライダーを、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとによって構成し、
前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとに、第1の負荷手段と第2の負荷手段とを付与し、
ディスクの排出時に、前記ディスクを押し込む方向の負荷が前記排出レバーに加わった場合、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとには前記第2の負荷手段による負荷が加わり、前記第2の負荷手段による負荷が解除された後に前記第1の負荷手段による負荷が加わることを特徴とするスロットイン型ディスク装置。
【請求項2】
前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとを、長手方向に摺動可能な構成とし、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとを、前記第1の負荷手段によって互いが引き合う方向に付勢し、
前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとに係合部を形成することで前記第2の負荷手段を構成することを特徴とする請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置。
【請求項3】
ベース本体と蓋体とからシャーシ外装を構成し、
前記シャーシ外装のフロント面にディスクを直接挿入するディスク挿入口を形成し、
前記ベース本体のフロント面側にはトラバースベースが配置され、
前記トラバースベースを変位させるカム機構を、メインスライダーとサブスライダーにそれぞれ設け、
前記メインスライダーを、その一端が前記ベース本体のフロント面側、その他端が前記ベース本体のリア面側となる方向に配設し、
前記メインスライダーと平行に排出スライダーを設け、
前記メインスライダーと前記排出スライダーとをリンクアームによって連結し、
前記排出スライダーを介して前記メインスライダーの動きと連動する排出レバーを備えたスロットイン型ディスク装置であって、
前記排出スライダーを、メイン排出スライダーとサブ排出スライダーとによって構成し、
前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとを、長手方向に摺動可能な構成とし、
前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとに係合部を形成することで負荷手段を構成し、
ディスクの排出時に、前記ディスクを押し込む方向の負荷が前記排出レバーに加わった場合、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとには前記負荷手段による負荷が加わることを特徴とするスロットイン型ディスク装置。
【請求項4】
前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとの離間状態を、前記トラバースベースなどの他の部材に前記メイン排出スライダーを押し当てることで、前記メイン排出スライダーと前記サブ排出スライダーとを嵌合状態とすることを特徴とする請求項3に記載のスロットイン型ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−207373(P2007−207373A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26566(P2006−26566)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】