説明

セキュリティスレッド判別装置

【課題】 セキュリティスレッドの偽造技術の向上によってセキュリティスレッドの材質等のみで偽造紙幣か判別することは非常に困難であった。
【解決手段】 挿入された媒体に透過光を照射したときに出現するセキュリティスレッドのスレッドウィンドパタンと、予め格納されているスレッドウィンドパタン照合辞書とを照合部にて照合した結果、および特徴により挿入された媒体の真偽判別を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙葉類に埋設されたセキュリティスレッド(安全線)を判別して紙葉類の真偽を判別するセキュリティスレッド判別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行,信用金庫,郵便局,消費者金融会社等の金融機関の支点等に配置されたATM(Automatic Teller Machine:現金自動預払機),CD(Cash Dispenser:現金自動支払機)等の自動取引装置や両替機、また商店や路上に配置された自動販売機等には、紙幣等の有価証券の真偽判別するための媒体真偽判別装置が配設されている。該媒体真偽判別装置が紙幣等の媒体の真偽を判別することによって、偽造紙幣等の不正な媒体を排除できる。そこで、偽造紙幣の排除をするための真偽判別方法の1つとしてセキュリティスレッドの判別がある。
従来技術のセキュリティスレッドの判別方法としては特開平6−215223のような光を投射してその反射光の強度から判定する方法が提案されているが、最近の偽造紙幣は本物の紙幣と同じ材質を使ってセキュリティスレッドを偽造するものがほとんどであり、そのような偽造紙幣の場合はこの方法では判定が困難である。
【特許文献1】特開平6−215223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記方法で述べたように、一般にセキュリティ性が低い海外紙幣に対してはセキュリティスレッドの判別は有効な手段であるが、セキュリティスレッドの偽造技術の向上によって材質等のみで偽造紙幣か判別することは非常に困難であった。
そこで本発明は反射光ではなく透過光を当てることでセキュリティスレッドの周りに出現するセキュリティスレッドのパタン(以下、スレッドウィンドパタンと記述する)を判別することで、偽造紙幣を排除する真偽判別方法として有効な方法である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、挿入された媒体の画像を画像データとして取り込む。次に挿入された媒体を判別し、判別した媒体からスレッドウィンドパタンを切り出す。切出したスレッドウィンドパタンを二値化データ化し、二値化されたスレッドウィンドパタンと予め格納されているスレッドウィンドパタン照合辞書とを重ね、スレッドウィンドパタンの重なり度によって真偽判別を行う。
【0005】
本発明の他のセキュリティスレッド判別装置は、スレッドウィンドパタンの二値化像の対称性を解析する。スレッドウィンドパタン特徴解析部はスレッドウィンドパタンの上下対称性,左右対称性または点対称性である対称性一致率を計算し、予め格納してある判定閾値と比較することによって真偽判別を行う。
【0006】
本発明の他のセキュリティスレッド判別装置はスレッドウィンドパタン特徴解析部にてスレッドウィンドパタンの二値化像のヒストグラムを作成し、該ヒストグラムとヒストグラム照合辞書とを重ね合わせ、ヒストグラムの重なり度によって真偽判別を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、セキュリティスレッドの材質の種類が何であっても、スレッドウィンドパタンを高精度に判別することができ、高い精度で真正な媒体と不正な媒体とを識別して媒体の真偽を判別することができ、偽造媒体を適切に排除することができる。
また、スレッドウィンドパタンの上下対称性,左右対称性または点対称性である対称性一致率を計算してスレッドウィンドパタンの判別を行うことで、高精度に偽造券を判別することができる。
さらに、スレッドウィンドパタンの二値化像のヒストグラムを作成し、該ヒストグラムとヒストグラム照合辞書とを重ね合わせ、ヒストグラムの重なり度によって真偽判別を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面に従って詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の第1の実施の形態の機能構成を示すブロック図であり、図2は本発明の第1の実施の形態の説明図、図3は本発明の第1の実施の形態の照合部の説明図、図4は本発明の第2の実施の形態の機能構成を示すブロック図、図5は本発明の第2の実施の形態のスレッドウィンドパタン特徴解析部の説明図、図6は本発明の第3の実施の形態の機能構成を示すブロック図、図7は本発明の第3の実施の形態のスレッドウィンドパタン特徴解析部の説明図、図8は第3の実施の形態の照合部の説明図である。なお、各図面に共通する要素については同一の符号を付す。
【0010】
図1において、10は本実施の形態におけるセキュリティスレッド判別装置であり、自動取引装置や両替機、また商店や路上に配置された自動販売機等に配置され、媒体11の真偽を判定するための媒体真偽判定装置等に使用される。ここで前記媒体11は、真偽を判定するためのセキュリティスレッドを有するものであり、例えば紙幣であるがセキュリティスレッドを有するものであれば、ビール券,ギフト券,商品券等の金券、トラベラーズチェック,小切手,株券等の有価証券、入場券等の施設利用券であってもよくいかなる種類のものであってもよい。
【0011】
ここでは、前記媒体11が紙幣である場合について説明する。この場合媒体真偽判別装置はスレッドウィンドパタンに基ずいて前記媒体11の真偽を判別することができるものであるが、複数種類の媒体11の真偽を判別することができるものであることが望ましい。また、前記媒体真偽判別装置は外国の紙幣の真偽を判別することができるものであることが望ましい。
【0012】
そして、前記媒体真偽判別装置は自動取引装置のように媒体としての紙幣を受領する装置における紙幣の搬送経路や紙幣の取扱装置に配設され、受領した紙幣の真偽を判別する。なお前記紙幣を受領する装置は一般的には銀行,信用金庫,郵便局等の金融機関の支点等の営業店やコンビニエンスストア,スーパーマーケット等の商店の店舗に配設されているATM,CD等の自動取引装置であるが、紙幣を受領するための装置であれば鉄道,バス等の交通機関の券売機、飲料,タバコ等の自動販売機、両替機、ゲーム機等いかなる装置であってもよい。本実施の形態においては前記紙幣を受領する装置が自動取引装置である場合について説明する。そして、前記紙幣を受領する装置は媒体真偽判別装置が真券と判別した紙幣を真正な紙幣として取扱い、媒体真偽判別装置が真券と判別しなかった紙幣を偽造紙幣のような不正紙幣として排除する。
【0013】
本実施の形態において、 セキュリティスレッド判別装置10はCPU,MPU等の演算手段、磁気ディスク,半導体メモリ等の記憶手段、通信インターフェイス等を有し、特に媒体11が有するセキュリティスレッドの透過イメージを読み取って真偽判別を行うものである。ここで前記セキュリティスレッド判別装置10は画像情報取得部12,媒体判別部13,媒体判別辞書部14,スレッドウィンドパタン切り出し部15,二値化部16,制御部17,照合部18,照合辞書格納部19,照合結果情報格納部20,照合結果集計部21,真偽判定部22を有する。
【0014】
画像情報取得部12は図示されない媒体画像取得装置から出力された媒体11のデジタルイメージデータを取得する。前記媒体画像取得装置は例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源、レンズ,CCD(Charge Coupled Device)等の撮像手段、信号増幅手段、A/D変換手段等を備える。そして光源の発する光を媒体11に照射し、透過光をレンズによって縮小して撮像手段に結像させる。該撮像手段は結像された媒体11の透過イメージを光電変換しアナログイメージデータとしての透過画像信号を出力する。さらに該透過画像信号は信号増幅手段によって増幅され、A/D変換手段によって例えば8bitのデジタル信号に変換されデジタルイメージデータとして出力される。なお前記デジタルイメージデータは画像を構成する各画素(ピクセル)が256階調の輝度を有するデータである。前記画像情報取得部12は前記媒体画像取得装置から媒体11のデジタルイメージデータからスレッドウィンドパタンを含む領域の画像として媒体画像を切り出すようになっている。なお、画像の傾きは補正されているものとする。
【0015】
また、前記媒体判別部13は前記媒体11の媒体画像と媒体判別辞書部14に格納されている媒体種別の辞書データによって媒体種別と方向(表裏および正逆方向)を判別する。15はスレッドウィンドパタン切り出し部であり、媒体判別部13で決定した媒体の種類と方向に対して、スレッドウィンドパタンを切り出す。16は二値化部であり、前記スレッドウィンドパタン切り出し部15切り出されたスレッドウィンドパタンに対して二値化処理を行いスレッドウィンドパタンの二値化像を作成する。具体的には所定の諧調を閾値として二値化処理を実行して、前記スレッドウィンドパタンを前記閾値を基準として二値化し黒の画素と白の画素に二分する。
【0016】
そして、照合部18は前記スレッドウィンドパタンの二値化像の上に基準となるスレッドウィンドパタンを重ね、前記スレッドウィンドパタンの二値化像と基準となるスレッドウィンドパタンとの一致率を算出し、該一致率を照合結果情報格納部20に格納する。17は制御部であり、前記前記照合部18や照合結果情報格納部20などを制御する。21は照合結果集計部であり、照合結果情報格納部20に格納されている照合結果を集計する。22は真偽判定部であり、照合結果集計部21で集計された結果を受けて、予め持っている判定閾値と比較し、例えば入力された媒体のスレッドウィンドパタンが本物であるか否かの結果を出力する。
【0017】
次に前記構成のセキュリティスレッド判別装置10の動作について説明する。
【0018】
図2は本発明の実施の形態の説明図である。
11は挿入される媒体である。25は図示されない媒体画像取得装置から出力された全体画像である。26は全体画像25から媒体11を切り出した画像であり、27は透過光を照射することにより出現したセキュリティスレッドのスレッドウィンドパタンである。30は媒体画像26からスレッドウィンドパタン切り出し部15で切り出され二値化部16で二値化されたスレッドウィンドパタンである。
【0019】
図3は本発明の実施の形態の照合部18の説明図である。
30はスレッドウィンドパタン切出し部15で切出されたスレッドウィンドパタンに対して、二値化部16にて二値化処理を行った二値化画像である。32は照合辞書格納部に予め格納されている照合辞書である。33は照合部18で照合する処理を画像的に表したものであり、30は入力された媒体11のスレッドウィンドパタンであり、32は照合辞書に格納されたデータである。すなわち照合辞書のデータに媒体11のスレッドウィンドパタン34を重ね合わせた画像である。
【0020】
以下、本発明の実施の形態の動作を説明する。
【0021】
まず、媒体11が自動取引装置,自動販売機,両替機,ゲーム機等の装置における媒体搬送経路に挿入され、搬送装置に搬送されて、媒体画像取得装置の位置に到達すると、該媒体画像取得装置は撮像手段によって該媒体11のアナログイメージデータを取得し、該アナログイメージデータをA/D変換してデジタルイメージデータとして全体画像25を取得する。該全体画像25から挿入された媒体画像を切り出してスキュウ補正を行った画像が26である。媒体判別部13は該画像26と媒体判別辞書部14に格納されている媒体種別の辞書データによって媒体種別と方向(表裏および正逆方向)を判別する。媒体判別部13で判別された媒体に対して媒体種別と方向(表裏および正逆方向)を考慮してスレッドウィンドパタン切出し部15でセキュリティスレッドの画像スレッドウィンドパタン27を切り出す。スレッドウィンドパタン切り出し部15で切り出されたスレッドウィンドパタン27に対して二値化部16では所定の閾値にて二値化処理を行いその画像が30である。この際の二値化閾値は、絶対値でも良いし相対値でも良い。
【0022】
この場合、スレッドウィンドパタン27は画像を構成する各画素が例えば256階調の輝度を有する。この場合輝度が0であると最も暗いことを示し輝度が255であると最も明るいことを示している。具体的には所定の諧調を閾値として二値化処理を実行して、前記スレッドウィンドパタンを前記閾値を基準として二値化し黒の画素と白の画素に二分する。
【0023】
前記スレッドウィンドパタンの二値化像30と前記照合辞書格納部19に格納されているスレッドウィンドパタンの辞書データ32とを重ねあわせ、スレッドウィンドパタンの重なり度によって真偽判別を行う。
【0024】
すなわち、二値化部16で二値化された画像30に対して制御部17は照合処理や照合結果の格納などの制御を行い、二値化部で二値化された画像30と予め格納されている照合辞書32とを照合部18で重ねあわせ照合する。照合結果情報格納部20に格納された照合結果である黒画素数と白画素数から、照合結果集計部21では照合辞書32との黒画素の一致率と白画素の一致率を集計する。ここで、一致率とは照合辞書32の全黒画素数に対する照合結果情報格納部20に格納されている黒画素数と、照合辞書32の全白画素数に対する照合結果情報格納部20に格納されている白画素数の比率で表す。
【0025】
照合結果集計部21で集計された黒画素の一致率と白画素の一致率に対して、真偽判定部12では、予め格納してある真偽判定閾値とを比較し、黒画素の一致率と白画素の一致率が真偽判定閾値以上の場合は、入力された媒体11のセキュリティスレッドが本物であると判定し、真偽判定閾値未満なら入力された媒体11のセキュリティスレッドが偽物と判定し、その結果を出力する。
【0026】
<本発明の第2の実施の形態>
【0027】
本発明の第2の実施の形態について説明する。なお実施の形態と同じ構造を有するものについては同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また前記実施の形態と同じ動作及び同じ効果についてもその説明を省略する。
図4は本発明の第2の実施の形態における機能構成を示すブロック図である。
【0028】
本発明の第2の実施の形態においてセキュリティスレッド判別装置10はセキュリティスレッドの特徴を判別するようになっている。なお媒体11におけるセキュリティスレッドの位置は前記第1の実施の形態において特定されているものとする。そして前記セキュリティスレッド判別装置10は機能の観点から図4に示されるように画像情報取得部12、スレッドウィンドパタン特徴解析部43、特徴値格納部44、真偽判定部22を有する。
【0029】
ここで、スレッドウィンドパタン特徴解析部43は画像情報取得部12が切り出したスレッドウィンドパタンの二値化像30の画像の対称性を解析する。22は真偽判定部であり、特徴値格納部44で集計された結果を受けて、予め持っている判定閾値と比較し、入力された媒体が本物であるか否かの結果を出力する。
【0030】
図5は図4のスレッドウィンドパタン特徴解析部43の説明図であり、(a)は左右対称性、(b)は上下対称性の説明図である。ここで30は二値化部16の二値化処理されたスレッドウィンドパタン画像である。52は、画像30の横に対して中央で折り曲げたことを示す画像である。53aは、対称性を示す基準線である。58は、基準線53bに対して画像30の上下に対して中央で折り曲げ重なった画像を示している。55、59は、基準線53で折り返す前の元画像の跡を示している。
【0031】
以下、第2の実施の形態の動作を説明する。
【0032】
図4における画像情報取得部12から二値化部16までの動作は、第1実施例と同様であるためにここでは省略する。二値化部16で二値化された画像30に対してスレッド画像特徴解析部43では、左右の対称性の解析および上下の対称性の解析を行う。左右の対称性は、基準線53aに対して、図5(a)に示すように左右に画像を折る方法で折り曲げることで重なった黒画素が54である。また、上下の対称性は、基準線53bに対して、図5(b)に示すように上下に画像を折る方法で、折り曲げることで重なった黒画素が58である。上記のように、画像を基準線に対して折り曲げ、重なった黒画素54および58の画素数を集計し、特徴値格納部44に格納する。
【0033】
真偽判別部22では、特徴値格納部44に格納されている黒画素数と画像30の全黒画素数との比率である対称性一致率を計算し、予め格納してある判定閾値とを比較し、対称性一致率が真偽判定閾値以上の場合は、入力された媒体11のセキュリティスレッドが本物であると判定し、真偽判定閾値未満なら入力された媒体11のセキュリティスレッドが偽物と判定し、その結果を出力する。
【0034】
本発明の第2の実施の形態では、切り出したセキュリティスレッド画像に対して二値化処理を行い照合処理を行っているが、多値画像を用いて照合処理を行っても良い。
また、対称性は左右対称と上下対称により判別しているが、その他の対称性、例えば点対称など別の対称性を用いて判別しても良い。
更にまた、判別処理について対称性一致率を用いて説明したが、黒画素数とにより判別するとしても良い。
【0035】
<本発明の第3の実施の形態>
【0036】
本発明の第3の実施の形態について説明する。なお実施の形態と同じ構造を有するものについては同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また前記実施の形態と同じ動作及び同じ効果についてもその説明を省略する。
図6は本発明の第3の実施の形態における機能構成を示すブロック図である。
【0037】
本発明の第3の実施の形態においてセキュリティスレッド判別装置10はセキュリティスレッドの特徴を判別するようになっている。なお媒体11におけるセキュリティスレッドの位置は前記実施の形態において特定されているものとする。そして前記セキュリティスレッド判別装置10は機能の観点から図6に示されるように画像情報取得部12、スレッドウィンドパタン特徴解析部70、照合部18、照合辞書が格納された照合辞書格納部19、照合結果情報格納部20、照合部18や照合結果情報格納部20などを制御する制御部17、真偽判定部22を有する。
【0038】
ここで、スレッドウィンドパタン特徴解析部43は画像情報取得部12が切り出したスレッドウィンドパタンの二値化像30を用いて画像の水平方向黒画素ヒストグラムを作成する。前記スレッドウィンドパタンの水平方向黒画素ヒストグラムと前記照合辞書格納部19に格納されている水平方向黒画素ヒストグラムの辞書データとを照合してスレッドウィンドパタンの真偽の判別を行う。
【0039】
図7は図6のスレッドウィンドパタン特徴解析部70の説明図である。71は二値化部16で二値化処理されたスレッドウィンドパタン画像である。72は水平方向ヒストグラム作成処理であり画像71に対して水平方向の黒画素のヒストグラムを作成する。73は黒画素ヒストグラムであり、スレッドウィンドパタン71に対して水平方向(横方向)に対して黒画素数を集計し作成したヒストグラムである。73の横軸左方向が黒画素が多いことを示している。また、縦方向はスレッドウィンドパタンの長さを示している。
【0040】
図8は、図6の照合部の説明図である。73は、スレッド特徴解析部70で抽出された水平方向黒画素ヒストグラムのグラフである。82は照合辞書格納部19に格納されている辞書データである。83は照合する処理を表している。84は入力パタンと照合辞書のデータを重ね合わせたものである。85は、重ね合わせたデータ84について相関性を計算する処理を示し結果を出力する。
【0041】
以下、第3の実施の形態の動作を説明する。
【0042】
図6における画像情報取得部12から二値化部16までの動作は、実施の形態と同様であるためにここでは省略する。二値化された画像71に対してスレッド画像特徴解析部70では、水平方向黒画素ヒストグラム作成72の処理が実行され、作成された水平方向黒画素ヒストグラムが73である。スレッド画像特徴解析部70で作成された水平方向黒画素ヒストグラム73と予め格納されている照合辞書82を照合部18で図8の84で示すように重ね合わせ、73と82の相関性を計算する処理85を実行し、計算された相関性結果を照合結果情報格納部10に格納する。照合結果情報格納部20に格納されている相関性結果に対して、真偽判定部12では予め格納してある真偽判定閾値とを比較し、相関性結果が真偽判定閾値以上の場合は、入力された紙幣1のセキュリティスレッドが本物であると判定し、真偽判定閾値未満なら入力された紙幣1のセキュリティスレッドが偽物と判定しその結果を出力する。
【0043】
以上のように、本発明は、切出したセキュリティスレッド画像に対して二値化処理を行い照合処理を行っているが、多値画像を用いて照合処理を行っても良い。
【0044】
また、対称性は左右対称と上下対称により判別しているが、その他の対称性、例えば点対称など別の対称性を用いて判別しても良い。
【0045】
さらに、判別処理について対称性一致率を用いて説明したが、黒画素数とにより判別するとしても良い。
【0046】
また、水平方向黒画素ヒストグラムの特徴により真偽判別するとしたが、白画素のヒストグラムを作成することで真偽判別しても良いし、黒画素ヒストグラムと白画素ヒストグラム両方を用いて真偽判別しても良い。
【0047】
さらに、相関性により真偽判別を行うとしているが、入力パタンと辞書の差分を取り、その差分特徴値により真偽判別しても良い。
【0048】
実施の形態では、セキュリティスレッドに対して本発明の説明をしたが、画像の照合を行う場合であれば応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態の照合部の説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態のスレッドウインドパタンの特徴解析部の説明図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の機能構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態のスレッドウインドパタンの特徴解析部の説明図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の照合部の説明図である。
【符号の説明】
【0050】
11 媒体
12 画像情報取得部
13 媒体判別部
14 媒体判別辞書部
15 スレッドウィンドパタン切り出し部
16 二値化部
18 照合部
19 照合辞書格納部
20 照合結果情報格納部
22 真偽判定部
43,70 スレッドウィンドパタン特徴解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入された媒体の画像を画像データとして取り込む画像情報取得部と、前記画像データと媒体判別辞書を用いて挿入された媒体を判別する媒体判別部と、前記媒体判別部にて判別した媒体からスレッドウィンドパタンを切り出すスレッドウィンドパタン切り出し部と、
前記切出したスレッドウィンドパタンを二値化データとする二値化部と、
前記二値化されたスレッドウィンドパタンと予め格納されているスレッドウィンドパタン照合辞書とを照合するスレッドウィンドパタン照合部とを有し、
前記スレッドウィンドパタン照合部にて前記スレッドウィンドパタンと前記スレッドウィンドパタン照合辞書を重ね合わせ、スレッドウィンドパタンの重なり度によって真偽判別を行うことを特徴とするセキュリティスレッド判別装置。
【請求項2】
請求項1のセキュリティスレッド判別装置において、
前記スレッドウィンドパタン切り出し部にて切り出したスレッドウィンドパタンは透過光を照射することにより出現したセキュリティスレッドのスレッドウィンドパタンであることを特徴とするセキュリティスレッド判別装置。
【請求項3】
挿入された媒体の画像を画像データとして取り込む画像情報取得部と、前記画像データと媒体判別辞書を用いて挿入された媒体を判別する媒体判別部と、前記媒体判別部にて判別した媒体からスレッドウィンドパタンを切り出すスレッドウィンドパタン切り出し部と、
前記切出したスレッドウィンドパタンを二値化データとする二値化部と、
前記スレッドウィンドパタンの対称性を解析するスレッドウィンドパタン特徴解析部とを有し、
前記スレッドウィンドパタン特徴解析部にて前記スレッドウィンドパタンの対称性一致率を計算し、予め格納してある判定閾値と比較することによって真偽判別を行うことを特徴とするセキュリティスレッド判別装置。
【請求項4】
請求項3のセキュリティスレッド判別装置において、
前記スレッドウィンドパタンの対称性一致率は左右の対称性,上下の対称性または点対称性であることを特徴とするセキュリティスレッド判別装置。
【請求項5】
挿入された媒体の画像を画像データとして取り込む画像情報取得部と、前記画像データと媒体判別辞書を用いて挿入された媒体を判別する媒体判別部と、前記媒体判別部にて判別した媒体からスレッドウィンドパタンを切り出すスレッドウィンドパタン切り出し部と、
前記切出したスレッドウィンドパタンを二値化データとする二値化部と、
前記スレッドウィンドパタンのヒストグラムを作成するスレッドウィンドパタン特徴解析部と、
前記ヒストグラムと予め格納されているヒストグラム照合辞書とを照合するスレッドウィンドパタン照合部とを有し、
前記スレッドウィンドパタン照合部にて前記ヒストグラムと前記ヒストグラム照合辞書とを重ね合わせ、ヒストグラムの重なり度によって真偽判別を行うことを特徴とするセキュリティスレッド判別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−92139(P2006−92139A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275254(P2004−275254)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】