説明

セキュリティタグ

【課題】
【解決手段】磁気的に解放可能なタック保持システムを有する電子商品監視セキュリティタグと、電子商品監視タグを備えた使用のための磁気取り外しシステム。タグは、楔(1202R)および付勢部材(1302)を有するタック保持システムを保持するハウジング(114,116)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2006年8月25日に出願された、米国の特許出願番号11/467,487の一部継続出願である。当該米国特許出願は、米国仮特許出願第60/628,730号(2004年11月17日出願、発明の名称"Magnetically Releasable Grooved Tack Clutch For Reusable And NonReusable Applications")の優先権を主張しており、その内容全体が参照によってあらゆる目的のために本願に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
電子的物品監視(EAS)システムは、管理区域からの物品の不正な持ち出しを防止するために設計される。一般的なEASシステムは、監視システムと、一つ又は複数のセキュリティタグとを備えている。この監視システムは、管理区域に対するアクセス点に監視領域を形成する。衣類又は衣料品などの監視対象物品には、セキュリティタグが留め付けられる。監視対象物品が監視領域に入ると、管理区域からの監視対象物品の不正持ち出しを通知する警報が発動される。
【0003】
衣料品へセキュリティタグを取り付けるには、代表的には、大きな頭部を有する金属タックが用いられている。取り付け操作時は、生地を通してタックをセキュリティタグのタック軸穴に挿入することによって、タックシャフトが確実に保持される。取り外し操作時には、売り場でタグをセキュリティタグ及び衣類から取り外す。
【0004】
セキュリティタグは、二種類のうちの一方からなるのが通例である。一方のタイプのセキュリティタグは、再利用可能型セキュリティタグとして設計できる。例えば、セキュリティタグの完全性を外部的又は内部的に実質的に損なわずに、セキュリティタグを売り場で監視対象の物品から取り外せる。取り外した再利用可能型タグは、別の物品に再び取り付けることができる。他方のタイプのセキュリティタグは、使い捨て型セキュリティタグとして設計される。例えば、セキュリティタグを売り場で監視対象物品から取り外すと、通常はセキュリティタグの完全性が損なわれる。一旦取り外した使い捨て型セキュリティタグは、他の物品に再び取り付けることはできない。
【0005】
両タイプのセキュリティタグは、幾つかの理由により不具合なこともある。例えば、従来の再利用可能型セキュリティタグは、監視対象の物品へ連続的に取り付け及び取り外す過酷な条件に充分に耐えられるように製造されるため、比較的高価になり得る。但し、使い捨て型セキュリティタグは、所定のセキュリティシステムに対する設計制約条件を満たすほど安全又は経済的でないこともある。従って、これらの問題及び他の問題を解決するために改良されたEASシステムに対する要請がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】図1Aは、一実施形態によるセキュリティタグとタックアセンブリとを示す。
【図1B】図1Bは、一実施形態によるセキュリティタグアセンブリを示す。
【図2】図2は、一実施形態によるセキュリティタグと、タックアセンブリと、留め付けられていない状態の物品とを示す。
【図3】図3は、一実施形態によるセキュリティタグと、タックアセンブリと、留め付けられた状態の物品とを示す。
【図4】図4は、一実施形態によるセキュリティタグの第1の分解斜視図を示す。
【図5】図5は、一実施形態によるセキュリティタグの第2の分解斜視図を示す。
【図6】図6は、一実施形態による磁気取り外しデバイスに位置合わせされたセキュリティタグとタックアセンブリの切開図を示す。
【図7】図7は、一実施形態による磁気取り外しデバイスに挿入されたセキュリティタグを示す。
【図8A】図8Aは、一実施形態によるセキュリティタグの上側ハウジングの内面図を示す。
【図8B】図8Bは、一実施形態によるセキュリティタグの、楔が挿入された上側ハウジングの内面図を示す。
【図8C】図8Cは、一実施形態によるセキュリティタグの、楔とラバースプリングとが挿入された上側ハウジングの内面図を示す。
【図8D】図8Dは、一実施形態によるセキュリティタグの、楔と、ラバースプリングと、タックシャフトとが挿入された上側ハウジングの内面図を示す。
【図9A】図9Aは、一実施形態による図8Dの部分断面A−Aを示す。
【図9B】図9Bは、一実施形態による図9Aの構成要素の示力図を示す。
【図9C】図9Cは、一実施形態による図9Aの構成要素の寸法図を示す。
【図9D】図9Dは、一実施形態による図9Aの構成要素の第2の寸法図を示す。
【図9E】図9Eは、一実施形態によるセキュリティタグの上側ハウジングの内面図を示す。
【図9F】図9Fは、一実施形態によるセキュリティタグの、楔と、ラバースプリングと、タックシャフトとが挿入された上側ハウジングの内面図を示す。
【図9G】図9Gは、一実施形態による図9Fの構成要素の寸法図を示す。
【図9H】図9Hは、使い捨て型実施形態による図8Dの部分断面A−Aを示す。
【図9I】図9Iは、使い捨て型実施形態による図8Dの部分断面A−Aを示す。
【図10】図10は、幾つかの実施形態による引抜力を表す曲線群を示す。
【図11】図11は、一実施形態によるセキュリティタグの下側ハウジングの内面図を示す。
【図12A】図12Aは、一実施形態によるセキュリティタグの楔の第1の図を示す。
【図12B】図12Bは、一実施形態によるセキュリティタグの楔の第2の図を示す。
【図13】図13は、一実施形態によるセキュリティタグのラバースプリングの図を示す。
【図14】図14は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた再利用可能型セキュリティタグの線D−Dに沿った第1の断面図を示す。
【図15】図15は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた再利用可能型セキュリティタグの線D−Dに沿った第2の断面図を示す。
【図16】図16は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた再利用可能型セキュリティタグの線D−Dに沿った第3の断面図を示す。
【図17】図17は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた再利用可能型セキュリティタグの線D−Dに沿った第4の断面図を示す。
【図18】図18は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えたセキュリティタグ及び磁気取り外しデバイスの線D−Dに沿った第1の断面図を示す。
【図19】図19は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えたセキュリティタグ及び磁気取り外しデバイスの線D−Dに沿った第2の断面図を示す。
【図20】図20は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第1の断面図を示す。
【図21】図21は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第2の断面図を示す。
【図22】図22は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第3の断面図を示す。
【図23】図23は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第4の断面図を示す。
【図24】図24は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグ及び磁気取り外しデバイスの線D−Dに沿った第1の断面図を示す。
【図25】図25は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグ及び磁気取り外しデバイスの線D−Dに沿った第2の断面図を示す。
【図26】図26は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグ及び磁気取り外しデバイスの線D−Dに沿った第3の断面図を示す。
【図27】図27は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグ及び磁気取り外しデバイスの線D−Dに沿った第4の断面図を示す。
【図28】図28は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグ及び磁気取り外しデバイスの線D−Dに沿った第5の断面図を示す。
【図29】図29は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグ及び磁気取り外しデバイスの線D−Dに沿った第6の断面図を示す。
【図30】図30は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第7の断面図を示す。
【図31】図31は、一実施形態による使い捨て型セキュリティタグの上側ハウジングの内面図を示す。
【図32】図32は、一実施形態によるセキュリティタグと、タックアセンブリと、留め付けられていない状態の物品とを備えた斜視図を示す。
【図33】図33は、一実施形態による分解されたセキュリティタグの斜視図を示す。
【図34】図34は、一実施形態によるセキュリティタグの上側ハウジングの一部の内面図を示す。
【図35】図35は、一実施形態によるセキュリティタグの下側ハウジングの一部の内面図を示す。
【図36】図36は、一実施形態によるセキュリティタグ用の楔の斜視図を示す。
【図37】図37は、一実施形態によるセキュリティタグ用の付勢部材の斜視図を示す。
【図38】図38は、一実施形態によるセキュリティタグ用の付勢部材の斜視図を示す。
【図39】図39は、一実施形態によるセキュリティタグ用の挿入された楔を有する上側ハウジングの内部の部分投影図を示す。
【図40】図40は、一実施形態によるセキュリティタグ用の挿入された楔と付勢部材を有する上側ハウジングの内部の部分投影図を示す。
【図41】図41は、一実施形態によるセキュリティタグ用の挿入された楔と付勢部材を有する上側ハウジングの内部の部分投影図を示す。
【図42】図42は、一実施形態による再利用可能型セキュリティタグとタックの図32の線D−Dに沿って得られた第1の部分断面図を示す。
【図43】図43は、一実施形態による再利用可能型セキュリティタグとタックの図32の線D−Dに沿って得られた第2の部分断面図を示す。
【図44】図44は、一実施形態による再利用可能型セキュリティタグとタックの図32の線D−Dに沿って得られた第3の部分断面図を示す。
【図45】図45は、一実施形態による再利用可能型セキュリティタグとタックの図32の線E−Eに沿って得られた部分断面図を示す。
【図46】図46は、一実施形態による使い捨て型セキュリティタグとタックの図32の線D−Dに沿って得られた第1の部分断面図を示す。
【図47】図47は、一実施形態による使い捨て型セキュリティタグとタックの図32の線D−Dに沿って得られた第2の部分断面図を示す。
【図48】図48は、一実施形態による使い捨て型セキュリティタグとタックの図32の線D−Dに沿って得られた第3の部分断面図を示す。
【図49】図49は、一実施形態による付勢部材を有する他の実施例のセキュリティタグ用の図32の線D−Dに対応する線に沿って得られた部分断面図を示す。
【図50】図50は、一実施形態による付勢部材を有する他の実施例のセキュリティタグ用の図32の線D−Dに対応する線に沿って得られた部分断面図を示す。
【図51】図51は、一実施形態による付勢部材を有する他の実施例のセキュリティタグ用の図32の線D−Dに対応する線に沿って得られた部分断面図を示す。
【図52】図52は、一実施形態による付勢部材を有する他の実施例のセキュリティタグ用の図32の線D−Dに対応する線に沿って得られた部分断面図を示す。
【図53】図53は、一実施形態による楔と付勢部材を有する他の実施例のセキュリティタグ用の図32の線D−Dに対応する線に沿って得られた部分断面図を示す。
【図54】図54は、一実施形態による再設定できるセキュリティタグとタックの図32の線D−Dに対応する線に沿って得られた第1の部分断面図を示す。
【図55】図55は、一実施形態による再設定できるセキュリティタグとタックの図32の線D−Dに対応する線に沿って得られた第2の部分断面図を示す。
【図56】図56は、一実施形態による再設定できるセキュリティタグとタックの図32の線D−Dに対応する線に沿って得られた第3の部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一部の実施形態は、セキュリティシステムを対象とする。このセキュリティシステムは、例えばEASシステムを含む。EASシステムは、セキュリティタグと、取り外しデバイスと、監視システムとを含み得る。通常の運用において、セキュリティタグは、セキュリティタグが監視対象の監視領域内にあるときに検出可能な信号を発信するためのセンサを含んでもよい。このセキュリティタグは、衣類又は衣料品などの監視対象の物品に取り付けられる。このセキュリティタグは、取り外しデバイスによって物品から取り外せる。監視システムは、管理区域でこの信号を監視することによって、セキュリティタグの付いた監視対象の物品が管理区域から持ち出されていないことを確認できる。
【0008】
様々な実施形態は、再利用可能型及び使い捨て型の両セキュリティタグの使用に対応できるシステムを含む。近代的なハイパーマーケットタイプの小売店に対しては、両タイプのタグの使用に対応できるシステムが望ましいこともあろう。安価な物品の所在の監視は安価な使い捨て型セキュリティタグで経済的になす一方で、高価な物品の所在はより高価な再利用可能型タイプのセキュリティタグで監視できる。両タイプのセキュリティタグは、本願明細書の同一の取り外しデバイスによって物品から取り外すことも可能である。
【0009】
図1Aは、一実施形態によるセキュリティタグとタックアセンブリとを示す。図1Aは、セキュリティタグ100とタックアセンブリ102とを示す。セキュリティタグ100は、タック保持システムを備える。タック保持システムとは、セキュリティタグ100に挿入されたタックアセンブリ102を保持するように構成された1つ又は複数の要素を指し得る。セキュリティタグ100は、セキュリティタグ100に対して実装されるタック保持システムのタイプに応じて、再利用可能型セキュリティタグ又は使い捨て型セキュリティタグとして実現し得る。これらの実施形態は、そのような状況に限定されるものではない。
【0010】
一実施形態において、例えば、セキュリティタグ100は、再利用可能型のタック保持システムを用いて実現し得る。再利用可能型セキュリティタグは、セキュリティタグの完全性が外部的又は内部的に実質的に損なわれない方法で、監視対象物品から取り外し得る。取り外した再利用可能型セキュリティタグは、通常、別の物品に再び取り付け得る。取り外しとは、タグが係止解除された状態になることを示す。
【0011】
一実施形態においては、例えば、使い捨て型のタック保持システムを用いてセキュリティタグ100を実現し得る。使い捨て型セキュリティタグは、一般にセキュリティタグの完全性を損なう方法で、監視対象の物品から取り外し得る。いったん取り外した使い捨て型セキュリティタグは、通常、別の物品に再び取り付けることができない。取り外しとは、タグが永久的に係止解除された状態になることを示す。
【0012】
一実施形態において、タックアセンブリ102は、大きなタック頭部104と細長いタックシャフト106とを備える。タックシャフト106は、1つ又は複数の溝108と尖った端部112とを有し得る。一実施形態においては、例えば、タック頭部104の直径を約0.5インチ(約13mm)、厚みを約0.05インチ(約1.3mm)にし得る。タックシャフト106を小さな尖った釘と同様の形状にし得る。一実施形態においては、例えば、タックシャフト106の長さを0.75インチ(約19mm)、直径を0.046インチ(約1.17mm)とすることができる。溝108の直径は0.038インチ(約0.97mm)とすることができる。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0013】
セキュリティタグ100は、各種の金属及びプラスチックを含む様々な材料を用いて実現できる。例えば、タック頭部104をプラスチック及び/又は鋼材を用いて形成してもよい。タックシャフト106は、一般に鋼材を用いて形成する。セキュリティタグ100の設計制約条件には、セキュリティタグ100に使用する磁気材料の量がある。その理由は、その磁気によって一部のセンサの感知範囲が狭まるためである。従って、タックアセンブリ102の総鋼材量を減らすために、タックアセンブリ102のタック頭部104はプラスチック材料を用いて実現してもよい。別の可能な選択肢は、非磁性ステンレス鋼を用いてタックアセンブリ102を製造することである。但し、これらの実施形態は、セキュリティタグ100とセンサとが相互に連係するように設計されている限りは、特定の材料のタックアセンブリ102に限定されるものではない。
【0014】
一実施形態においては、セキュリティタグ100を物品に取り付けるためにタックアセンブリ102を用いてもよい。物品には、衣類、衣料品、梱包材料、デジタル多用途ディスク(DVD)ケース、コンパクトディスク(CD)ケース、眼鏡、箱などの何れの商品も含み得る。物品が衣類又は衣料品の場合は、尖った端部112を衣類に通してセキュリティタグ100に挿入できる。取り付け操作の詳細については以下に説明する。
【0015】
一つの実施形態におけるタックアセンブリ102には、タック頭部104に取り付けられた吊り紐又はセキュリティストラップなどの特徴を更に含めてもよい。吊り紐又はセキュリティストラップを使用すれば、貫通させることは好ましくない物品、若しくは不可能な物品に対してもセキュリティタグ100を使用し得る。例えば、スポーツ用品、電子機器、及び他の何れかの製品など梱包された物品は、梱包又は製品自体の安定した部分に吊り紐を通すことによって取り付け得る。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0016】
一つの実施形態におけるセキュリティタグ100は、一部の従来型セキュリティタグよりも小型化できる。一つの実施形態においては、例えば、セキュリティタグ100の長さを約2.6インチ(約66mm)、幅を約0.8インチ(約20mm)、厚みを約0.25インチ(約6mm)とすることができる。タックアセンブリ102をセキュリティタグ100に挿入すると、厚みは約0.67インチ(約17mm)に増加し、総重量は約6グラムとなり得る。これらの実施形態は、これらの特定寸法に限定されるものではない。
【0017】
一実施形態におけるセキュリティタグ100は、上側ハウジング114と下側ハウジング116とを備える。上側ハウジング114と下側ハウジング116とを継ぎ目118で接合することによって、閉止したセキュリティタグ100を形成することができる。一実施形態においては、ハウジング114及び116を半硬質又は硬質の材料で製造してもよい。使用可能な硬質又は半硬質材料として、射出成形アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)プラスチックなどの硬質プラスチック、又はポリカーボネートなどのプラスチックが挙げられる。プラスチック材料を使用する場合、ハウジング114及び116の嵌め合わせは、超音波溶接、スナップ嵌合、又は所定の実装に望ましい他の何れか適切な接合機構を用いて実現できる。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0018】
一実施形態において、セキュリティタグ100は、第1の端部130と第2の端部132とを備える。第1の端部130及び第2の端部132を部分的に中空にして、各端部に区画を設けることができる。第1の端部130は、タック保持システムを収容するための第1の区画を備える。一実施形態において、タック保持システムは、タックアセンブリ102のタックシャフト106を保持するために、例えば楔形の鋼製部材と付勢用のラバースプリングとを含めてもよい。本願明細書において、第1の端部130は、「取り付け端部」(attachment end)又は「タック保持システム端部」(tack retaining system end)とも称する。第2の端部132は、監視システムによって検出可能な信号を発信するセンサを収容するための第2の区画を備える。セキュリティタグ100に適したセンサの例として、Sensormatic(登録商標) Electronics Corporation製のEAS Ultra−Max(登録商標)狭ラベルセンサ(「UltraMax Sensor」)が挙げられる。本願明細書において、第2の端部132は、「検出端部」(detection end)とも称する。
【0019】
一実施形態において、第1の端部130はタグ頭部126を備える。タグ頭部126は、上側ハウジング開口部120と同心ランパート122とを更に備える。第1の端部130は、長さを約0.9インチ(約23mm)、幅を0.825インチ(約21mm)とすることができる。形状は、直径が約0.825インチ(約21mm)の半円と同様にすることができる。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0020】
一実施形態において、第1の端部130は、図6を参照して説明するような磁気取り外しデバイス602などの取り外しデバイスに対する取り外しデバイス界接面(インターフェース)を更に備える。例えば、第1の端部130は、外壁134を有する突起124を含んでもよい。突起124は、取り外しデバイスに適切に界接(インターフェース)する形状であれば、望ましい任意の形状としてもよい。一実施形態において、例えば、図1Aに示すように、突起124を円筒形状とすることができる。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0021】
一実施形態において、第2の端部132は、長さを約1.8インチ(約46mm)、幅を約0.62インチ(約15.7mm)、厚みを約0.22インチ(約5.6mm)とすることができる。形状は矩形と同様な形状にすることができる。第2の端部132の形状及び寸法によって、第2の端部132は、本願明細書の磁気取り外しデバイスに突起124を取り付けるためのハンドルとして機能し得る。
【0022】
図1Bは、一実施形態によるセキュリティタグアセンブリを示す。図1Bは、図1Aを参照して説明した実施形態と同様なセキュリティタグ100の別の可能な実施形態を示す。図1Bに示すように、第2の端部132を第1の端部130に対して90°に形成してもよい。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0023】
図1A及び1Bに示すように、セキュリティタグ100は、幾つかの異なる外部形状又は構成を用いて実現できる。但し、所定の一連の設計制約条件に対して任意の数の外部構成を用いてセキュリティタグ100を実現できることが理解されよう。特定の実装に使用される外部構成は、セキュリティタグ100を監視対象の物品から取り外すために使用される対応する磁気取り外しデバイスの設計及び構成に応じてなす必要がある。一実施形態において、例えば、セキュリティタグ100全体に対して示されている外部構成、具体的には第1の端部130は、図6を参照して説明するような磁気取り外しデバイス602の実施形態に界接するように設計されている。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0024】
一実施形態において、第1の端部130の上側ハウジング開口部120は、取り付け操作時にタックシャフト106を受け入れるために使用し得る。取り付け操作時にタックシャフト106を挿入しやすくするために、上側ハウジング開口部120の直径をタックシャフト106の直径より若干大きくしてもよい。
【0025】
一実施形態において、同心ランパート122は、タック頭部104を受け入れるスペースを画定するランパートとし得る。取り付け操作時にタック頭部104が正しく着座するように、同心ランパート122の直径をタック頭部104の直径より若干大きくしてもよい。一実施形態においては、例えば、同心ランパート122の内径を約0.66インチにし得る。同心ランパート122の1つの用途は、物品をタック頭部104とセキュリティタグ100との間により良好に固定することである。結果として、この構成は、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から強引に取り外そうとする不正な試みに対して一層に強固に耐え得る。タック頭部104のサイズ及び構成、ならびに相手方ランパート122の形状及びサイズはそのような関係に限定されるものではない。
【0026】
図2は、一実施形態によるセキュリティタグと、タックアセンブリと、留め付けられていない状態の物品とを示す。図2は、セキュリティタグ100を衣料品などの物品に留め付ける取り付け操作の開始を示し得る。取り付け操作時、タック本体106の尖った端部112を物品202に挿通し得る。タック頭部104のサイズにより、物品202を傷つけずには物品202をタックアセンブリ102から外せないようになる。
【0027】
図3は、一実施形態によるセキュリティタグと、タックアセンブリと、留め付けられた状態の物品とを示す。図3は、セキュリティタグ100を物品202などの物品に留め付ける取り付け操作の終了時を示す。タックシャフト106の尖った端部112を物品202に挿通すると、尖った端部112が上側ハウジング開口部120に挿入され得る。タック頭部104が同心ランパート122に着座するまで、タック頭部104に力を加え得る。タックアセンブリ102をセキュリティタグ100に取り付けた状態は、タック保持システムによって保持される。一実施形態において、例えば、タック保持システムは、以下により詳細に説明するように、ラバースプリングによって付勢される楔を含んでもよい。いったん着座したタックアセンブリ102とセキュリティタグ100とは、物品202に確実に取り付けられ得る。取り付け操作が正しくなされると、物品202からのセキュリティタグ100の取り外しは、磁気取り外しデバイス602を用いて実行できる。
【0028】
図4は、一実施形態によるセキュリティタグの第1の分解斜視図を示す。図4は、再利用可能型セキュリティタグとしての使用に適したセキュリティタグ100を分解した状態の第1の斜視図を示す。第1の斜視図は、特に上側ハウジング114の外側と、下側ハウジング116の内側とを示す。
【0029】
一実施形態におけるセキュリティタグ100はセンサ402を含んでもよい。センサ402としては、検出可能な信号を生成可能な任意のセンサ、例えば磁気センサ、音響磁気センサ、無線周波(RF)センサ、又は他の種類のセンサなどがある。一実施形態においては、センサ402は、例えばUltraMax Sensorを備える。信号は、EAS監視システムによって検出し得る。EAS監視システムは、信号を検出し、監視領域におけるセキュリティタグ100の有無を監視システムに通知するために、例えば送信機/受信機(「トランシーバ」)を含んでもよい。
【0030】
一実施形態において、下側ハウジング116は、センサ用区画404を備える。センサ用区画404は、例えば、図1Aを参照して説明した第2の区画を表す。センサ用区画404は、所定のセンサに充分な大きさの領域を規定するために複数の壁416を備える。一実施形態において、センサ404は、例えば長さ1.73インチ(約44mm)、幅0.46インチ(約11.7mm)、厚み0.085インチ(約2.2mm)の寸法のUltraMax Sensorとすることができる。他の長さ及びサイズにすると、他の検出技術を収容できる。壁416は、上側ハウジング114の同様の壁に対応させることができる。
【0031】
一実施形態において、下側ハウジング116は、図11を参照して説明するように、ポケット1110を更に備え得る。ポケット1110は、図13を参照してより詳細に説明するように、ラバースプリング1302に対する支承面1111Bを提供し得る。上側ハウジング114と下側ハウジング116とを相互に接合してセキュリティタグ100を形成するとき、以下で説明する図5に示すように、円筒状の内壁1113は、上側ハウジング114の円筒状の突起809を案内して固定し得る。
【0032】
図5は、一実施形態によるセキュリティタグの第2の分解斜視図を示す。図5は、再利用可能型セキュリティタグとしての使用に適したセキュリティタグ100を分解した状態の第2の斜視図を示す。第2の斜視図は、特に上側ハウジング114の内側と、下側ハウジング116の外側とを示す。
【0033】
一実施形態において、上側ハウジング114は、図8Aを参照してより詳細に説明するように、突起809内に形成された楔用区画802を含んでもよい。楔用区画802は、例えば、図1Aを参照して説明した第1の区画を表す。楔用区画802は、図12Aを参照してより詳細に説明するような楔1202Rと、図13を参照してより詳細に説明するようなラバースプリング1302とのために充分な大きさの領域を規定するための複数の側壁803を備える。例えば、楔用区画802は、楔1202R及びラバースプリング1302を収容して緩く拘束するように設計してもよい。区画802は、複数の支柱、窪み、又は楔1202Rとラバースプリング1302とを収容する領域を規定するための他の構造によって規定してもよい。ハウジング114及び116を継ぎ目118でいったん接合すると、第1及び第2の区画が閉じられて密閉される。センサ402は、センサ用区画404内に緊密に、しかし変形しないように、収容される。楔1202Rとラバースプリング1302とを楔用区画802内に確実に収容することによって、図5と同様に図8(以下で説明する)に示すように、タック保持システムを形成できる。
【0034】
ラバースプリング1302を楔の面1205Rと支承面1111Bとの間に配置することによって、楔1202Rを楔用区画802の内側に付勢できる。タックアセンブリ102を線412に沿って上側ハウジング開口部120に挿通すると、タックシャフト106が楔1202Rのタック保持縁部1213Rと交わるため、楔1202Rは、ラバースプリング1302の付勢に抗して、枢支縁部1215Rを概ね中心として枢動する。タックシャフト106は、タック保持縁部1213Rに沿って摺動し、ラバースプリング1302によって付勢されて、通過するタックシャフト106のタック溝108に入り得る。取り付け操作時、タックシャフト106の一部は、下側ハウジングの軸穴1115に入り得る。タック保持縁部1213Rが付勢されてタック溝108に入り、タックリップ107で止まると(図8D及び9A参照)、タック保持システムのタック保持強さに打ち勝たない限り、タックシャフト106を開口部120から引き抜くことはできない。このようにして、セキュリティタグ100とタックアセンブリ102とを相互に係止するか、又は留め付けることによって、取り付け操作を完了し得る。本願明細書においては、これを「係止状態」又は「被係止状態」(lock condition又はlocked condition)と称する。
【0035】
一実施形態において、下側ハウジング116は面508を有する。面508には、突起124を一体に形成できる。突起124の直径は、タグ頭部126のサイズより小さくすることができる。一実施形態においては、突起124の直径を約0.55インチ(約14.0mm)、突出高さを0.45インチ(約11.4mm)としてもよい。突起124のサイズを小さくすることによって、肩領域504を形成できる。肩領域504を比較的に平坦にすることは、取り外し操作時に第1の端部130及び突起124の磁気取り外しデバイスへの着座を容易にすることができる。
【0036】
一実施形態において、取り外し操作とは、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100の楔1202Rから取り外すこと、即ち解放することを意味する。タックアセンブリ102を楔1202Rから解放すると、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から引き抜ける。タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から引き抜くと、物品202をタック本体106から外しせる。これで取り外し操作が完了する。本願明細書においては、これを「係止解除状態」と称する。取り外し操作の詳細については、図6を参照して説明する。
【0037】
図6は、一実施形態による磁気取り外しデバイスに位置合わせされたセキュリティタグとタックアセンブリの切開図を示す。図6は、磁気取り外しデバイス602の上に位置合わせされているセキュリティタグ100を示す。磁気取り外しデバイス602は、明確化のために切開図で示してある。磁気取り外しデバイス602は、例えば、磁石アセンブリ603とハウジング610とを備える。ハウジング610は、例えば、タグ受け入れ穴611をカウンタートップの表面上に設け、カウンタートップ装着に適したものにすることができる。タグ受け入れ穴611の開口がカウンタートップの表面と面一又は概ね面一になるようにするには、カウンタートップの穴に装着するためのベゼル付きの他のハウジングが適するであろう。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0038】
一実施形態において、磁気取り外しデバイス602は、タグ界接面を備える。このタグ界接面は、セキュリティタグ100の取り外しデバイス界接面と界接するように構成できる。一実施形態において、例えば、タグ界接面は、タグ受け入れ穴611を備える。タグ受け入れ穴611の開口の直径は、利用者が挿入しやすいようにタグ突起124を緩く受け入れると共に、取り外しのための正しいタグ位置を保証するように設計できる。タグ受け入れ穴611の深さは、一般にタグ突起124の長さよりも僅かに短くし、タックをタグから正しく取り外せるように構成できる。一実施形態において、例えば、磁気取り外しデバイス602のための図示されている外部構成は、図1A及び1Bを参照して説明したセキュリティタグ100の各実施形態と界接するように設計されている。但し、取り外しデバイス界接面とタグ界接面とが連係可能である限りは、これらの実施形態はそのような関係に限定されるものではない。
【0039】
図7は、一実施形態による磁気取り外しデバイスに挿入されたセキュリティタグを示す。図7は、磁気取り外しデバイス602内に据えられたセキュリティタグ100を示す。より具体的には、図7は、磁気取り外しデバイス602の内部又は上に着座しているセキュリティタグ100とタックアセンブリ102とを示す。この姿勢は、セキュリティタグ100からのタックアセンブリ102の取り外しを容易にする。
【0040】
図8Aは、一実施形態によるセキュリティタグの上側ハウジングの内面図を示す。図8Aは、上側ハウジング114の楔用区画802、特に、端部130内に構成されたタック保持システムのための楔用区画802の詳細図を示す。この構成は、再利用可能型セキュリティタグ又は使い捨て型セキュリティタグのどちらにも適する。この二つの実装の一つの違いは、楔の形状である。再利用可能型セキュリティタグには、図12Aに示すように楔に複数のアクセル突起が設けられている。図12Bに示すように、使い捨て型セキュリティタグ用の楔には、これらのアクセル突起がない場合もある。楔の識別符号に付けられた接尾辞「R」は、再利用可能型セキュリティタグ用のタック保持システムを指す(例えば、1202R、1213Rなど)。楔の識別符号に付けられた接尾辞「S」は、使い捨て型セキュリティタグ用のタック保持システムを指す(例えば、1202S、1213Sなど)。楔の識別符号に何も接尾辞が付いていない場合(例えば1202、1213など)、その説明は再利用可能型楔1202R及び使い捨て型楔1202Sの一方又は両方に関連する。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0041】
図8Aに示すように、楔用区画802は、幾つかの内壁を備える。タック軸穴807は、タックシャフト106が、図3、図4に示すように、線412に沿って移動し占有できる空間を備え得る。タック軸穴807は、上側ハウジング114を貫通して延在する。即ち、開口部120から天壁808Aを貫通し、楔用区画802に入り、また部分的に前壁803Cを貫通し、突起809の天面814に達する。
【0042】
前壁803Cの位置は、所望の実装に応じて変化させてもよい。例えば、前壁803Cを、図8Aに示す位置より更に後壁803Dから離して位置付けてもよい。図8Aでは、前壁803Cの位置は、壁803Tの位置に一致している。図8Aに示すように、壁803Cは、壁803Tより約0.016インチ(約0.4mm)後壁803Dに近い。更に、壁803Cは、タック軸穴807のための空間を設けるために切り抜かれた半円面を備える。後壁803Dから最も遠いタックシャフト支承面803Sの部分は、支承壁803Tを備え得る。この半円面は、幾つかの利点を提供する。例えば、挿入時にタックシャフト106を案内しやすくするほか、円柱状のタックシャフト106に対して半円形の支承面803Sを提供するため、平坦な支承面を有する場合に比べ、若干大きい引抜力(Fpo)を提供する。引抜力Fpoとは、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から力ずくで引き抜くときに必要な、セキュリティタグ100とタックアセンブリ102との間の分離力の量を指す。壁803Cの位置決めに関しては、以下に説明するように、他の要因も存在する。
【0043】
下側ハウジング116を上側ハウジング114に接合すると、タック軸穴807は更に下側ハウジングの軸穴1115の中まで延在し、そこで穴807が終端する(図4参照)。以下で説明する図9Aに示すように、タック軸穴807が塞がっていないとき、楔1202の面1203は天壁808Aに平らに接し、タック保持縁部1213は前壁803Cに接触しているか、又は概ね接触している。楔1202は、楔用区画802に緊密に、しかし楔1202が枢支縁部1215を概ね中心として自由に枢動できる充分な隙間を設けて嵌合させることができる。例えば、以下で説明する図12A、図12Bに示すように、楔の側面1211は、側壁803Eに可動に近接し、楔の側面1214(同様に図12A、図12B参照)は、側壁803Jに可動に近接し、楔の枢軸側面1207(同様に図12A、図12B参照)は、後壁803Dに可動に近接又は接触し、タック保持縁部1213(同様に図12A、図12B参照)は前壁803Cに可動に近接してタック穴807の大部分を覆う。再利用可能型セキュリティタグでは、楔のアクセル突起1221R及び1222Rが実質的な抵抗を受けずに枢動できるように、アクセル突起1221R及び1222Rをそれぞれの凹部821及び822に緩く嵌合させる。
【0044】
図8Bは、一実施形態によるセキュリティタグの、楔が挿入された上側ハウジングの内面図を示す。図8Bは、楔用区画802に挿入され、天壁808A上に平らに載っている楔1202を示す。楔1202を所定の位置に配置してから、ラバースプリング1302を楔用区画802のその部分に配置する。再利用可能型セキュリティタグでは、突起1221R及び1222Rをそれぞれの凹部821及び822に配置する。
【0045】
図8Cは、一実施形態によるセキュリティタグの、楔とラバースプリングとが挿入された上側ハウジングの内面図を示す。図8Cは、一実施形態による楔用区画802内に配置された楔1202とラバースプリング1302とを示す。図9Aに示すように、ラバースプリングの面1308Dを後壁803Dに隣接させて、ラバースプリング1302の側面1304Aを楔用区画802に挿入する。ラバースプリングの側面1304Aが楔1202の面1205に載るまで、ポケットの側壁803F、803G、803H、及び8031によってラバースプリング1302を更に案内する。一実施形態においては、楔用区画802の側壁803Gから側壁8O3Hまでの延在部分にラバースプリング1302が緊密に嵌入するように、ラバースプリング1302の幅を楔1202の幅より大きくする。この方法で、楔1202上のラバースプリング1302の位置を制御する。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0046】
ラバースプリング1302の位置を制御すると、楔1202に対するラバースプリングの付勢が再現可能になるので、生産環境で組み立てられるタグの取り外しの信頼性と一貫性とを保証する。ラバースプリング1302の位置によって、使い捨て型セキュリティタグにおける「激突」の影響も低減又は防止する。激突とは、利用者が突起124の底を硬い表面に打ち当てることを指す。この激突によって、磁気取り外しデバイス602を使用せずに、使い捨て型セキュリティタグを永久的な係止解除状態にする。これは、ラバースプリング1302の付勢が楔1202Sの一方の端部に向かうことによって生じる。激突による鉛直力が楔1202Sの重心に作用すると、楔1202Sは激突力の存在下で捩れるか、又は回転する。但し、図31を参照して説明するように、ラバースプリング1302の付勢を楔1202Sの重心に移動することによって激突の影響を低減又は排除する。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0047】
一実施形態において、楔の面1205から支承面1111Bまでの距離は、ラバースプリング1302の高さより短い。従って、上側ハウジング114と下側ハウジング116とを接合してセキュリティタグ100を構成すると、ラバースプリング1302は圧縮され得る。この結果、楔1202は、楔用区画802の天壁808Aに対して付勢され得る。再利用可能型セキュリティタグでは、更にアクセル突起1221R及び1222Rがそれぞれの凹部821及び822内に付勢される。
【0048】
図8Dは、一実施形態によるセキュリティタグの、楔と、ラバースプリングと、タックシャフトとが挿入された上側ハウジングの内面図を示す。図8Dは、楔用区画802の別の内視図を示す。この図は、あたかも透明な下側ハウジング116が上側ハウジング114に接合されているように示されている。従って、楔の面1203は、セキュリティタグ100が完成したときのように、楔用区画802の天壁808Aに対して付勢されている。
【0049】
図9Aは、一実施形態による図8Dの部分断面A−Aを示す。アクセル突起1221Rが参考のために示されている。図9Aは、セキュリティタグ100へのタックアセンブリ102の挿入操作の説明に役立つ。図8D及び図9Aに示すように、タックシャフト106の尖った端部112を開口部120からセキュリティタグ100に差し込み、タック穴807に挿入する。挿入時、尖った端部112が楔1202の傾斜面1209に接触すると、楔1202が、ラバースプリング1302の付勢に抗して、楔の縁部1215を概ね中心として反時計方向に枢動するので、タックシャフト106は楔1202のタック保持縁部1213の脇を摺動し始める。更に深く挿入すると、タックシャフト106のタック溝108及びリップ107がタック保持縁部1213に近接するので、タック保持縁部1213はラバースプリング1302によってタック溝108内に付勢されてリップ107に当接する。従って、タック保持縁部1213がタック溝108内に位置付けられるため、タック保持システムの保持強さに打ち勝たない限り、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から引き抜くことはできない。この状態で、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100に留め付けるか、又は係止すると、係止状態が達成される。一実施形態においては、例えば、係止状態における楔の角度θを約34°にする。
【0050】
図9Aは、再利用可能型タック保持システムの取り外し工程に関する特徴も示している。図9Aは、突起1221Rが収まる凹部821を示しているが、突起1222Rが収まる対称凹部822は図示されていない。凹部821/822の深さは、壁803L/803Kの鉛直寸法である。取り外し時、図6のようにタグ100を取り外しデバイスに近づけると、楔1202Rが付勢されて、縁部1215Rを概ね中心として反時計方向に回転する。タグが取り外しデバイス内の座に更に近づくと、磁気引力がより強まるので、楔1202Rが更に回転し、縁部1213Rがリップ107を越えるために、タックがタグから解放される。タグが取り外しデバイスに完全に着座する直前に(図7参照)、タックを解放する。一般には、タグが取り外しデバイスに完全に着座し、楔1202Rを引き寄せる磁気力によってタグが取り外しデバイス内に保持されてから、タックをタグから取り外す。タグの着座時に、与えられる磁気強度「S」がタックを解放するのに(係止解除状態)充分になったとき、又は磁気強度が値「S」を例えば25%超えたときに、タック保持システムがタックを解放するように、タック保持システムを設計してもよい。取り外しデバイスの磁気強度が値「S」を大幅に超えると、運用上の問題が発生する。楔が更に回転すると、ラバースプリング1302が更に圧縮され、楔が鉛直に近づき、楔1202Rの縁部1213Rが引き寄せられて壁1111Bに接触する。この結果、突起1221R及び1222Rがそれぞれの凹部821及び822から引き出され、膨張するラバースプリング1302によって縁部1216Rの突起部分が壁816/818に押し付けられて永久的な係止解除状態になり得る。この状態を是正するには、壁803L及び803Kを鉛直に充分に長くし、かつ楔の長さを充分にし、縁部1213Rが壁1111Bに接触したときに、突起1221R及び1222Rがそれぞれの凹部821及び822から引き出されないように、タック拘束システムの寸法設計をなす。
【0051】
図9Aを再び参照すると、セキュリティタグの設計上の1つの制約条件は、取り外しデバイス602を使わずにアセンブリ102をセキュリティタグ100から力ずくで引き離すために必要な引張力(Fp)の量を含み得る。この力は、「引抜力」(Fpo)と称する。例えば、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100の面138から引き離そうとするときに「タックを引き抜く」方向の引張力(Fp)がタックアセンブリ102に加えられると想定する。これは、人間が布202とタックアセンブリ102とをセキュリティタグ100から鉛直方向に引っ張ろうとしたときに発生する。タック溝108の溝リップ107はタック保持縁部1213に係合しているので、鉛直力によってタック保持縁部1213が引っ張られると、楔1202が縁部1215を概ね中心として時計方向に枢動しようとする。但し、楔1202が時計方向に枢動すると、タック保持縁部1213がタック穴807の中に入ろうとするが、そこにはタックシャフト106が依然として存在する。従って、タックシャフト106はセキュリティタグ100に食い込む。本願明細書において、これを「楔効果」と称する。タック保持システムのタック保持強さが打破されない限り(例えば、Fp>Fpo)、楔1202はタックアセンブリ102をセキュリティタグ100内に保持する。
【0052】
図9Aに示すように、タック保持縁部1213がリップ107に接触し、タックアセンブリ102がセキュリティタグ100内に係止されているとき、タック頭部104の下端とタグ面138との間には若干の鉛直距離が存在する。この距離を「タックの初期」隙間(ITC)と称する。Fpを増やすと、タック保持システムの構成要素の多少の歪み及び/又は変形が生じることによって、「タックの付加隙間」(ATC)がタックの初期隙間に追加され得る。これらの構成要素の歪み又は変形が生じなかった場合は、タックの付加隙間は発生しない。タックの付加隙間は一般に望ましくない。その理由は、曲げ又は切断され、タックシャフト106の部分が増えることによって、セキュリティタグ100がより脆弱化し、打破されやすくなるからである。以下に詳細に説明するように、タックの付加隙間を減らすか、又は吸収するための設計技法が幾つかある。
【0053】
図9Bは、一実施形態による図9Aのタック保持システムの構成要素の静的示力図を示す。Fpによってタックアセンブリ102がセキュリティタグ100から引き抜かれないようにするには、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100内に保持するFp’が等しい強度で反対方向に存在する必要がある。これは、静的即ち非移動状態を表する。Fpがタックを係止状態のタグから引き抜くに充分な大きさになると、このFp値は前述のように引抜力Fpoと称される。
【0054】
図9Bに示す静的示力図において、Fpは、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から引き抜くためにタックアセンブリ102に加わる引張力を示し、Pt−Wは、タック保持縁部1213が溝108の溝リップ107に係合する点を指す。更に、この静的示力図及び導出された静力学式は、タック拘束システムの壁803D、808A、803T、楔1202、及びタックシャフト106を含む全ての構成要素が歪みも変形もしないことを想定している。
【0055】
静的力学に従って、以下の式を導出する。
【0056】
Fp’=Fp=Fv+Ff、
Fv=Fa×sinφ、
Ff=β×Fh、及び
Fh=Fa×cosφ
式中、βは、タックシャフトと壁803S/803Tとの間の静的摩擦係数を表する。例えば、βは、4ポンド(lbs)(約1.8kg)及び26lbs(約11.8kg)のFhで測定された実験によって求めると、0.5に近似する。これらの式は、以下の形に書き直される。
【0057】
Ff=β×Fa×cosφ、
Fp=Fv+Ff=Fa×sinφ+β×Fa×cosφ=Fa(sinφ+β×cosφ)、及び
Fa=Fp/(sinφ+β×cosφ)
楔の角度φが34°の場合は、以下の式を導出する。
【0058】
Fp’=Fp=Fv+Ff、
Fa=1027×Fp、
Fh=Fa×cosφ=0.851×Fp、
Ff=β×Fh=β×Fa×cosφ=0.426×Fp、及び
Fv=Fa×sinφ=0.574×Fp
これらの式に基づき、FpにはFpに等しいFp’が必ず対抗するので、Fp値が増加してもタックアセンブリ102の移動が引き起こされないため、タックの付加隙間(ATC)は発生しない。図10の曲線Aは、このような理想的制約条件の場合のFpとタックの付加隙間との関係を示す。図8Dに示されている実施形態についてのテストでは、引張力Fpが増え続けると、タック保持システムの構成要素が徐々に歪み、ついにはタックアセンブリ102が強制的にセキュリティタグ100から解放されることが示された。図10の曲線Cは、増加するFpの重圧下でタック拘束構成要素が徐々に撓むことによってタックの付加隙間が発生する様子を示す例である。曲線Cをもたらす図8Dの実施形態に対して改良を幾つか行うことによって、以下に説明するように、理想曲線Aに大幅に近づいた曲線D、E、F、G、H、及びIなどの曲線を得られる。図10の曲線A及びCは、これらの曲線が提供する情報において相対的である。例えば、Fpのスケールが160ポンド(約73kg)まででなく、0.5ポンド(約227g)までであったら、曲線Aと曲線Cとはよく似ているように見えるであろう。また、Fpのスケールが百万ポンド(約45万kg)までであったら、曲線Aと曲線Cとは約0lbs(約0kg)で解放するように見えるであろう。ここで使用する各スケールは、小売フロアにおいて人間が試みる大半の盗みに対して商品を保護するために好ましい値の範囲を包含する。例えば、人間が両手を使って素手で発生できる引張力は、約80ポンドである。従って、衣類に付けるセキュリティタグのFpoは、タックがタグから素手で引き抜かれることを打破モード候補とするならば、少なくとも80ポンド(約36kg)にする必要がある。通常、セキュリティタグのFpoが高いほど、知覚されるタグ品質は高くなる。別の品質要素は、Fpによって生じるタックの付加隙間であり、これは小さいほど良い。タックの付加隙間によって、窃盗候補者はタックシャフト(106)又はタック頭部を例えば曲げ、梃子、又は切断装置によってより一層攻撃しやすくなる。今日の業界における各種のセキュリティタグにおいて、所与のFpに対するタックの付加隙間の量は大幅に異なる。タグ実施形態のFp及びタックの変位に関する良好な性能とは、曲線が図10の曲線Aと曲線Bとの間になるものであろう。セキュリティタグのための良好なFpoは、例えば少なくとも125ポンド(約57kg)の仕様値を有する。
【0059】
上述のように、特定の理想的制約条件下では、Fpの増加によってタックの付加隙間は生じえない。図9Aの構成の場合、これらの理想的制約条件は、以下の条件を含み得る。(1)後壁803Dからタック支承壁803Tまでの距離が増加しない、(2)タック溝108の直径が減らない、(3)枢支縁部1215からタック保持縁部1213までの楔1202の長さが減らない、(4)壁901の厚さが減らない、及び(5)面136と面138との間の鉛直距離が減らない。但し、これらの条件だけに限定されるものではない。但し、力が加わると、全ての材料は或る程度は撓むので、実際の実装ではこれらの理想的制約条件を維持することは難しい。
【0060】
第1の制約条件は、後壁803Dからタック支承壁803Tまでの距離を含む。引張力Fpが加わると、溝リップ107はタック保持縁部1213を天壁808Aに向けて引っ張る。これによって、楔1202が付勢されて時計方向に枢動し、タック挿入前の楔位置に戻り得る。但し、タック保持縁部1213がリップ107で溝108に係合しているので、タック108によって縁部1213の水平移動が防止され、縁部1213が溝108の中実金属に入り込まないため、楔1202は枢動してタック挿入前の位置に戻ることができない。これによって、引っ掛かり効果即ち楔効果が生じるので、タック溝108へのタック保持縁部1213の何らかの水平運動が同時に生じない限り、タック保持縁部1213の鉛直方向の「タック引き抜き」運動は生じない。結果として、タック保持縁部1213に作用するFpによって溝108に対して水平力(Fh)が生じ、タックシャフト106がタック支承壁803T(支承面803S)に押し付けられ、楔枢支縁部1215が後壁803Dに押し付けられ得る。生じた鉛直力(Fv)によって、楔の縁部1216が天壁808Aに押し付けられ得る。別の鉛直力として摩擦力(Ff)も生じ得る。摩擦力Ffは支承壁803T(支承面803S)に鉛直に掛かり得る。これらの壁はすべて、一般にABSプラスチックなどの材料でできた中実成形部品である上側ハウジング114の構成部分である。或いは、これらの部品を上記材料の中実片から機械加工してもよい。ABSプラスチックはある程度弾力性があるが、力が加わると永久的変形がある程度生じ得る。従って、楔1202に接触している楔用区画壁803Dと、タックシャフト106に接触している楔用区画壁803T/803Sとが応力Fp下で若干撓むことによって、タックの付加隙間が僅かに生じる。
【0061】
第2の制約条件は、タック溝108の直径を含む。一実施形態において、タックシャフト106は、例えば鋼材などの材料を備え得る。鋼製シャフトは、タック保持縁部1213によって溝108に加えられる力Fhの存在下での変形を防止できるほど充分に硬質にする。例えば、ロックウェル硬度が約RC48の硬化鋼を用いてタックシャフト106を実現する。従って、タック保持縁部1213がRC48より充分に軟質であれば、例えばRC40であれば、タック溝108の歪みは無視できる。タックシャフト106/溝108の硬度が縁部1213より充分に軟質であれば、更に撓むので、更なるタックの付加隙間がこの発生源から予想される。これは、リップ107でのタックシャフト106の押し出し、及び/又は溝108でのシャフト106の切断を含み得る。
【0062】
第3の制約条件は、枢支縁部1215からタック保持縁部1213までの楔1202の長さLwを含む。一部の実施形態は、硬度が約RC40の楔と、硬度が約RC48のより硬質なタックとを有する。更に、一部の実施形態においては、タック保持縁部1213の角度が約30°(1220)であり、先端部の半径が0.002”(約0.05mm)以下であるため、タック溝108とタックリップ107との交差部に良好に嵌合する。リップ107と溝108との交差は約90°であり、内半径は0.002”(約0.05mm)以下であり、図9Bによるタック接触点Pt−Wとして画定される。各寸法はそのような関係に限定されないが、タック保持縁部1213がPt−Wに適切に嵌入する必要がある。加えられたFpの影響と生じた力成分Fhとの存在下で、Pt−Wでタックと接触しているタック保持縁部1213の部分が変形する。一般により軟質のタック保持縁部1213は、一般により硬質のタック接触点Pt−Wの上/中に押しやられるので、Fpが増すほど、縁部1213がPt−Wの周囲及び内部に形成され、タックのPt−W接触領域の逆形状となる。この結果、半円形の凹状レッジがタック保持縁部1213に形成される。この半円形の凹状レッジはタックリップ107の最大1/2と、シャフト106の一部の周囲と、接触領域の溝108の一部とに合わさって嵌る。基本的に、楔及びタックシャフトの硬度及び相対硬度が適正であれば、タックリップ107に合った形状の座が形成され得る。半円レッジ(座)のサイズと深さとは、加わる最大Fpの他、楔及びタックのために選択された硬度値により異なる。加わるFpが大きいほど、形状に合わせて形成される座は大きくなり(タックリップ107の最大1/2)、一般にタック保持システムの保持強さも大きくなる。楔1202がRC58などのより硬質の材料でできていると、接触領域の周囲にタック保持縁部1213が形成されないこともある。代わりに、Fvの影響下でRC58の楔1202がより軟質のタック(RC48)をPt−Wでせん断する。楔ひいては縁部1213の硬度がRC30の場合は、半円レッジは形成されるが、縁部1213が軟質すぎるために、より低いFp値で剥ぎ取られるか、又は押し出される可能性がある。楔の硬度が約RC48であり、タックの硬度が約RC40である場合は、半円レッジがある程度形成されるが、Fpが増加すると、タックが部分的に押し出される。楔1202及びタックシャフト106の硬度及び相対硬度をそれぞれ異なる値にしてもよく、タグ/タックは最大約15ポンドのFpまでは正常に機能するが、Fp/タックの付加隙間曲線が大きく変化する。一実施形態においては、楔の硬度がRC40、タックの硬度がRC48の場合に、均衡の取れた結果を達成する。均衡した望ましい結果が他の硬度によってもたらされることもあり、値はそのような関係に限定されるものではない。このように、形成された半円レッジの深さによって楔の長さLwが短縮するため、タックの永久的な付加隙間が形成される。
【0063】
第4の制約条件は、壁901の厚さを含む。一般に中実プラスチック壁901の圧縮は、>200ポンド(約91kg)までのFp値では比較的小さいため、タックの付加隙間の増加は無視できるほど小さい。生じた力Fvの一部によって縁部1216は壁808Aに押し付けられるが、タックの付加隙間に対する影響は比較的小さく、楔の角度が0°になると完全に消失する。正味分離力Fpの存在下での壁901の圧縮は、タックの正味付加隙間に比べると、重大ではない。
【0064】
第5の制約条件は、面136と面138との間の鉛直距離を含む。面138全体とタック頭部104の裏面全体との間に分離力Fpがあり、タックシャフト106が面136の下のプラスチック壁(例えば、808A及び803S)に係合するため、面136と面138との間の距離がわずかに縮小する傾向がある。面136及び138はランパート122で食い違っているので、ハウジングはこの食い違い位置において弾性的な歪み及び/又は変形を起こす傾向があり、面136及び138が力Fpの存在下で互いに引き寄せられる傾向がある。ランパート122の直径及び壁厚を適正に設計すると、Fp値が100ポンドを優に超える場合でも、この問題によって、タックの正味付加隙間に比べ、相当量のタックの付加隙間が増加することを防止する。ランパート122がなければ、このような問題はない。
【0065】
図9Cは、一実施形態による図9Aの構成要素の寸法図を示す。図9Cは、セキュリティタグ100とタックアセンブリ102とが係止状態にあり、タック保持縁部1213をリップ107に係合させるために正に充分な小さなFp値が加えられているときの寸法及び初期状態を示す。より具体的には、図9Cは、楔用区画802の様々な寸法、例えば、縁部1215から、溝リップ107の下のタック溝108内のPt−Wまでの楔1202の長さ(Lw)、及び後壁803DからPt−Wの直下の点までの水平長(La)などの寸法を示す。水平長(La)は、図8D及び9Aの実施形態に対しては設計上0.195インチ(約5.0mm)に設定されている。これらの所与の寸法から、楔の角度θは34°であると計算され、可能なタックの付加隙間は0.131インチ(約3.3mm)であり、以下に更に説明する過回転の問題が防止される。タックの付加隙間の大きさ0.131インチ(約3.3mm)は、図10の曲線Cの切り込みに概ね一致することに留意されたい。タックの付加隙間0.131インチ(約3.3mm)を実現するには、楔1202が壁808Aに平らに接触する必要があり得る。これに応じて、楔1202は、縁部1215を概ね中心としてθ=34°からθ=0°まで枢動する必要がある。つまり、0.235インチ(約6.0mm)のLwが、0.195インチ(約5.0mm)に設定された長さLaに平らになる。これは、一部の制約条件を譲歩しない限り、二分状態である。実際、65ポンド(約30kg)のFpが加えられた場合、図8Dの実施形態において楔は壁808Aに対して平らになる。65ポンド(約30kg)のFpでは、タック溝108、溝リップ107、及びタックシャフト106の周囲に、深さ約0.020インチ(約0.5mm)の半円レッジがタック保持縁部1213に形成される。つまり、Lwが0.235インチ(約6.0mm)から0.215インチ(約5.5mm)に減る。Fpが65ポンド(約30kg)のとき、約0.010インチ(約0.25mm)のくぼみが壁803T(803S)に生じ、更に縁部1215及び楔の面1207によって作られる約0.010インチ(約0.25mm)の窪みが壁803Dに生じる。この結果、Laの寸法が0.195インチ(約5.0mm)から0.215インチ(約5.5mm)に増加する。従って、Fpが65ポンド(約30kg)に等しいとき、タック保持縁部1213、壁803T(803S)、及び後壁803Dの正味歪みにより、楔1202は壁808Aに平らに嵌合する。
【0066】
タック保持システムの全構成要素の総歪み量は、加わる力Fpの増分ごとに増える。従って、Fp値0からの第1の増分によって、タックの付加隙間の第1の増分が引き起こされる。例えば、Fpが0ポンドから5ポンド(約2.3kg)に増えると、タックの隙間は0インチから0.0033インチ(約0.08mm)に増える。以降も同様である。この結果、図10の直線Bになる。この曲線率1500ポンド/インチ(約26.8[kg/mm])は、従来の一部のセキュリティタグの曲線に近似する。但し、タックの付加隙間の増分は、一般に、Fpが大きくなるにつれ、Fpの同じ増分に対してより大きくなる。図10の曲線Cは、この非直線性を示す。
【0067】
タックアセンブリ102をタグ100から力ずくで引き離そうとすると、タック保持システムの1つ又は複数の構成要素がわずかに撓むことによって、タックの付加隙間が多少生じ得る。一般に2種類の歪みが存在する。これらは、「弾性」歪み及び「永久」歪みと称される。金属要素(例えば、金属タック及び/又は金属楔)の歪みは、前述のように、ほとんどが永久的な歪みである。金属は永久的に変形するので、この歪みによるタックの付加隙間の増加は永久的である。但し、プラスチック要素の歪みは弾性成分と永久成分とを有する。Fpを除くと、プラスチック要素の歪みによって増加したタックの付加隙間の一部は回復可能であり、一部は回復不能である。従って、所与の引張力Fpに対するタックの正味付加隙間は、永久成分と回復成分とを有する。例えば、引張力FpがFpo以下の50ポンドであると、タックの付加隙間は約0.040インチ(約1.0mm)になり得る。但し、Fpを除くと、タックの付加隙間は0.020インチ(約0.5mm)に復帰する。即ち、タックの永久的な付加隙間は0.020インチ(約0.5mm)、タックの弾性的な(回復可能な)付加隙間は0.020インチ(約0.5mm)である。第2のFpが加えられても、この第2のFpが第1のFpより大きくなければ、タックの永久的な付加隙間が更に増えることはないはずである。一般に、通常使用時の最大Fpは20ポンド(約9.1kg)未満であり、タックの永久的な付加隙間は0.007インチ(約0.2mm)未満である。一般に0.040インチ(約1.0mm)であるタックの初期隙間に追加されたとしても、このタックの永久的な付加隙間は問題にならない。一部の実施形態では、加えられたFpに応じて、タックの永久的な付加隙間がタックの正味付加隙間の25〜80%になることが実験により証明されている。
【0068】
加えられた力Fpとタックの付加隙間との関係は、図10の曲線Cとして表されている。曲線Cが曲線Aと曲線Bとの間の望ましい領域の外側にあることに留意されたい。加えられた力Fpが約65ポンド(約30kg)であると、タックの付加隙間は0.131インチ(約3.3mm)になり、曲線Cの切り込みに対応する。曲線Cにおける切り込みから折点までのタックの付加隙間は、Fpがわずかに増加したためにタックが楔の角度0°の位置を越えて更に0.032インチ(約0.8mm)移動した結果である。これが発生する理由は、楔が縁部1215を概ね中心として時計方向に0°まで回転して楔が壁808Aに接触した後、縁部1217を中心として時計方向に更に回転して楔の面1209が壁808Aに対して平らになるからである。縁部1217を中心としたこの回転は、本願明細書において、「過回転」と称される。これによって、リップ107に接触している縁部1213が更に下方へ移動するため、タックの付加隙間が生じ、曲線Cの切り込みと折点との間が最大0.032インチ(約0.8mm)になる。このタックの付加隙間が生じると、縁部1215は鉛直に移動して壁808Dをこするため、過回転に対していくらかの抵抗を生じ得る。曲線Cにおいて折点位置の65ポンド(約30kg)からFpo位置の105ポンド(約48kg)までの部分は、過回転のために楔の角度が0°又はそれ以下であるときに、溝108及びリップ107が、楔のタック保持縁部1213に形成された半円レッジと面803Sとの間の開口に押し込まれた結果である。楔の角度が約0°のとき、タック保持縁部1213の半円レッジは、タック溝108の一方の側の周囲のリップ107の下に充分に形成されるので、反対側のタック溝108とリップ107とは面803Sに押し込まれて面803Sを或る程度に変形させる。従って、タックシャフト106を「溝108のサイズ」の開口から引き抜くには、開口を強制的に拡大する必要がある。従って、図8D、9A、9B、及び9Cを参照して説明した実施形態において、タックシャフト106を「溝108のサイズ」の開口から引き抜くために必要な引張力Fpは、約105ポンド(約48kg)(曲線Cの解放点)に等しくなり得る。タックシャフト106と、溝108と、溝リップ107とを「溝108のサイズ」の開口から引き抜く工程は、半円レッジの一部又は全体をタック保持縁部1213から押し出すステップか、面803Sの一部又は全体を押し出すステップか、溝リップ107の一部又は全体を押し出すステップか、又はプラスチック壁を楔1202に接触させて更に撓ませるステップを含み得る。折点からFpoまでの正味歪みは、図10の曲線Cに示すように約0.030インチ(約0.76mm)のタックの付加隙間である。
【0069】
図8A、8B、8C、8D、9A、9B、9C、及び図10の曲線Cを参照して説明した実施形態をEASセキュリティシステムに使用してもよいが、この実施形態は改良可能な幾つかの特性を有する。これらの特性は以下を含む。即ち、(1)図10の曲線Cが曲線Aと曲線Bとの間の望ましい領域の外側にある。(2)Fpoが望ましい値である125ポンド以下である。(3)主として以下に説明する摩擦力Ffの作用によって、Fpによって引っ張られた楔1202が約25°又はそれ以下にしかならないと、楔1202とタック100とが実質的に引っ掛かるので、図6の取り外しデバイスでは取り外すことができない。(4)特定のFp値を超えるFpを加えてからこのFpを除いた後に、タグの「引っ掛かりを解消する」と、楔はタックの溝リップ107を再捕捉しない。(5)楔1202の角度が0°に達した後に、過回転によってタックの付加隙間が生じる。(6)使い捨て型構成は、少なくとも強度「S」より弱い磁気取り外しデバイスによって永久的な係止解除状態にする。
【0070】
タック100をタグ102から取り外すには、楔1202を「自由状態」にする必要がある。「自由状態」とは、図6の取り外しデバイスの影響下で自由に回転することを指す。保護されている衣類によって、楔の自由状態への移行が多少邪魔されることもある。例えば、保護されている衣類がタック頭部とタグ(図3参照)との間にぴったりと嵌ると、小さな「タック引き抜き」圧力がタックにかかり、タック保持縁部1213がリップ107で溝108内に保持されるため、図6の取り外しデバイスがタック保持システムを容易に解放できない。タック頭部に対してわずかな「タック押し込み」指圧(Fi)を加えてタックを0.003”(約0.076mm)から0.004”(約0.1mm)移動させるだけで楔を自由状態に解放できるようになるので、タグが図7の取り外しデバイスに据えられていれば、楔の縁部1213は係止解除位置に回転する。タック頭部に小さなFiを加えるだけでタックをタグから取り外せることは、今日のセキュリティタグに使用されている磁気的に解放可能な殆ど全てのボールクラッチに特徴的であり、問題があるとしても稀である。衣類によって提供されるこの「タック引き抜き」圧力は、本願明細書においては「衣類圧力」と称する。
【0071】
自由状態において楔1202の回転を妨げている唯一のタック保持システム要素はラバースプリング1302の付勢であるが、この付勢に図6の取り外しデバイスが打ち勝つことができればタックが解放される。手でタック頭部を押してタックシャフト106をタグ102に押し込むことによって、引っ掛かっている楔1202を自由状態にさせることができる。必要な押し込み力(Fi)は、複数の要因によって決まるが、主として加えられるFp量によって決まる。楔の角度が約34°のとき、楔は自由状態になり得る。Fpを加えるにつれて楔の角度が小さくなるので、プラスチック壁及び楔の弾性的な歪み及び/又は変形が生じる。前に導出した式から、摩擦力Ff(Ff=Fp×β×cosθ/sinθ+β×cosθ)はタックの何れの移動をも妨げ、鉛直力Fv(Fv=Fp×sinθ/sinθ+β×cosθ)はタックを引っ張ってタグ内に保持する。これらの力は、「タック押し込み」方向に効果的に働き、加えられたFpに対抗する。ある点でFpが除かれる。ここで、正味歪みの弾性部分が回復しようとする。この回復力Fh’は主として水平であり(プラスチックは引っ張られる前の元の位置に向かって回復する)、生じた力が楔とタックとに加えられる。ここで、タックの何れの移動をも妨げる新しいFf’(Ff’=Fh’×β)が存在する。ここで、新しいFv’(Fv’=Fh’×tanθ)が「タック押し込み」方向に存在する。Fv’がFf’より大きい場合は、正味力は「タック押し込み」方向であるので、手でタック頭部に押し込み力(Fi)を一切加えなくとも、タック及び楔は移動して自由状態になる。Ff’がFv’より大きい場合は、正味力によってタック及び楔が移動されないので、タック保持システムは自動的に自由状態に移動せず、自由状態に達する(例えば、タックの引っ掛かりを外す)には、いくらかの量のFiをタック頭部に加える必要がある。約15lbs(約6.8kg)のFpを加えてからこのFpを除くと、例えば、手による押し込みFiをタックに加えなくても、自由状態に到達できることが複数のテストで証明されている。20ポンド(約9.1kg)のFpの後に自由状態に達するために必要なFiは約5ポンド(約2.3kg)である。40lbs(約18kg)から50lbs(約23kg)のFpの後に自由状態に達するには、約15lbs(約6.8kg)のFiが必要である(楔の角度は約20°)。65lbs(約30kg)(楔の角度=0°)のFpの後に自由状態に達するには、約35lbs(約16kg)のFiが必要である。
【0072】
従って、タックシャフト106と面803S/壁808Tとの間の摩擦力Ffによって楔1202とタックアセンブリ102とが必ずしも自動的に自由状態になるとは限らないことが分かる。むしろ、楔1202を自由状態にするには、摩擦力Ffに勝る力Fiをタック頭部に加える必要があり得る。タック保持システムを自由状態にさせるために必要なFiの具体値は、加えられたFpと、対応する楔の角度θと、ある程度まではリップ109の傾斜及び形状とによって異なり得る。他の要素として、Fp及びFiを加えた時点間の経過時間と、Fp及びFiを加えた時点間の温度差とが含まれることもある。従って、望ましい特性は、Fpが20lbs(約9kg)から30lbs(約14kg)に達する通常使用時に、又は更に大きなFpが加えられたときに、必要なFiが皆無か又は小さいことである(例えば、必要なFiを最小化する必要がある)。
【0073】
上記の引っ掛かり特性(3)の説明では、図8D及び9Aの主題の実施形態についての一般的な結果を記述している。この実施形態では、ハウジング114及び116がABSプラスチック製であり、タックシャフト106がタックシャフト106の周りに2つの円周溝108を有し、これらの溝108の長さが約0.040インチ(約1.0mm)であり、溝108間の間隔が約0.040インチ(約1.0mm)であり、タックシャフトの硬度が約RC40、楔の硬度が約RC45、溝108の表面がシャフト106の表面に平行であり、深さが0.003”(約0.076mm)/0.004”(約0.1mm)、シャフト106の表面に対する両溝リップ107及び109の角度が90°、及び第1の溝リップ107が先端から約0.12インチ(約3.0mm)の位置にある。
【0074】
一部の実施形態においては、例えば、楔の角度を約15°又はそれ以上に限定することが望ましいこともある。楔の角度が約15°又はそれ以下のときに半円レッジが形成されてから、タックアセンブリがFiによって自由状態に押し戻されると、半円レッジが溝リップ107を「再捕捉」しないため、タックをタグから手で簡単に取り外せるようになる。これは、不正な利用者が充分な力でタックアセンブリ102を引っ張って楔の角度を約15°又はそれ以下にすることができれば、簡単に打破されることになる。この問題が発生する一つの理由は、楔のタック拘束縁部1213に形成される面の長さが半円レッジの下約0.011インチ(約0.28mm)になるためである。タックアセンブリ102をセキュリティタグ100内に押し戻すと、プラスチックの歪みがいくらか回復するので、形成された半円レッジの端部がタック溝108に係合する角度が形成時の角度と異なる。溝リップ107の深さは約0.003インチ(約0.076mm)である。つまり、楔の角度をアークタンジェント0.003/0.011=15°より小さくすることができない。この値は、タックアセンブリ102及び楔1202のそれぞれの硬度値ごとに、及びそれぞれのプラスチック歪みの回復量ごとに異なる。
【0075】
一部の実施形態においては、例えば、0°を超える楔1202の枢動を防止することが望ましいこともある。楔1202が時計方向に34°から0°まで回転すると、楔1202と楔の縁部1217とが天壁808に対して平らになる。充分なFpが追加されると、楔1202が縁部1217を中心として更に時計方向に回転する。結果として、楔1202は縁部1217を中心として時計方向に更に枢動することによって、縁部1215が主に鉛直に移動して、後壁803Dをこする。縁部1217を中心とした枢動が始まると、縁部1213の半円レッジは楔1202の厚み分だけ下に移動してタックリップ107/溝108から僅かに遠ざかるので、タック溝108に対する把持圧力が減り、引き抜きに必要な壁808S及び縁部1213の半円レッジの押し出しが小さくなる。縁部1217を中心とした枢動によって、タック保持システムのタックの付加隙間が更に0.032インチ(約0.8mm)増え、引抜力がより小さくなり得る。図10の曲線Cは、このタックの付加隙間を切り込みと折点との間の距離として示している。楔の角度が例えば15°又はそれ以上に制限され、及び/又は楔の面901が完全に支持されていれば、縁部1217を中心とした枢動は発生せず、Fpoが影響されることもない。
【0076】
再び図8D、9A、及び9Iを参照すると、図9Iは、使い捨て型の一実施形態による図8Dの部分断面A−Aを示す。図9Iは、使い捨て型タック保持システムにおけるラチェッティング効果の説明を助け得る。図8D及び図9Iの実施形態の潜在的に望ましくない特性は、使い捨て型タック保持システムがタック操作によって打破されやすいことである。図9Aの構成は、再利用可能型(R)タック保持システムのみとして想定されたい。楔1202Rは、アクセル突起1221R及び1222Rを中心とした回転運動を強いられる。タグ100が少なくとも充分な強度「S」の磁気取り外しデバイスに据えられると、楔はラバースプリング1302の付勢に充分抗って回転するので(場合によっては衣類圧力を抑えるためにタック頭部をわずかに押し下げる必要がある)、タック保持縁部1213Rがリップ107を越えるため、タック102をタグ100から引き抜くことができる。タグを磁気取り外しデバイスから取り出すと、タグは休止状態に戻る。
【0077】
図9Iの使い捨て型構成では、少なくとも充分な強度「S」の磁気取り外しデバイスにタグ100を据えることによってタックアセンブリ102をタグ100から解放することが望ましい。楔1202Sが回転し、縁部1216Sがラバースプリング1302の付勢に充分抗って平行移動すると(場合によっては衣類圧力を抑えるためにタック頭部をわずかに押し下げる必要がある)、タック保持縁部1213Sがリップ107を越え、楔1202Sが回転してタックシャフト106と平行になるので、タック102をタグ100から引き抜けるようになる(タグは係止状態から永久的な係止解除状態になる)。タグを磁気取り外しデバイスから取り出すと、タグは永久的な係止解除状態になる。
【0078】
再利用可能型構成と使い捨て型構成との間の一つの違いは、永久的な係止解除状態にするために必要な楔1202Sの平行移動である。図9Iから分かるように、楔の縁部1216Sの右への移動を抑制するものは、楔の縁部1216Sが壁808Aに寄り掛かっている接触点における摩擦力のみである。この摩擦力は、ラバースプリング1302の圧縮力による付勢の鉛直成分と、関連する摩擦係数ωとに応じて決まる。更に、ラバースプリング1302の圧縮力の水平成分が存在する。この水平成分は、楔の縁部1216Sをその第1の位置から右方に押す傾向があるので、摩擦力と圧縮力の水平成分とが等しくなるまで縁部1216Sは右方に移動する。タックが係止状態を超えるまで押し込まれて溝108が縁部1213S上を摺動し、その後に更にリップ109が縁部1213Sを溝108の深さだけ左方に押すと、縁部1216Sは僅かに右方に移動して第2の位置に達する。この点において、タックを「タック引き抜き」方向に引っ張ると、縁部1213Sがリップ107に引っ掛かるので、更に引っ張ると、縁部1216Sは、図9Iに示すように、縁部1215Sが壁808Dに接触する点まで戻る。但し、タックが引っ張られても縁部1213Sが溝108に戻るだけでは、縁部1213Sは第2の位置に留まる。この結果、タックの操作によって、縁部1213Sは右方にわずかに移動している。強度が「S」未満の取り外し用磁石にタグを据え、タックに対してこの簡単な押し引き操作を繰り返して縁部1213Sをリップ109を越えて上下させると、より弱い磁石の磁気バイアスによって縁部1216Sが右方に「徐々に動き」、ついには楔1202Sが永久的な係止解除状態まで進む。このように、ラチェッティングは「激突」と同様に打破の一形態であるので、修正が必要である。
【0079】
タックを挿入する前は、楔1202Sの面1203Sが壁808Aに対して平らであり、ラバースプリング1302の圧縮力によって壁808Aに向かって付勢されていることに留意されたい。楔が約34°になる点までタックを挿入すると、楔1202Sに対するラバースプリングの圧縮力の相対的な鉛直及び水平成分のために、縁部1215Sがわずかに壁808Dの右方になり得る。この状態が存在すると、縁部1216Sの第1の位置は、図9Iに示すように、縁部1215Sが壁808Dに接触する位置ではなく、わずかに右方に寄り得る。
【0080】
この問題の1つの特徴は、タックの操作によって縁部1216が水平面808Aに沿って移動すると、少なくとも強度「S」を有する適正な取り外しデバイスより強度が弱い取り外しデバイスを用いて永久的な係止解除状態に到達させることが可能になるため、楔1202Sの位置の不安定性が存在することである。
【0081】
図9Dは、一実施形態による図9Aの構成要素の第2の寸法図を示す。図9Dは、図8A、8B、8C、8D、9A、9B、9C、9I、及び図10の曲線Cに示した実施形態の動作を改良するために実現した幾つかの可能な修正のうちの最初のものを説明するために役立ち得る。例えば、楔1202の到達角度15°又はそれ以下に依存する特性である再捕捉特性(4)と過回転特性(5)とを排除し、引っ掛かり特性(3)を大幅に向上させるために、第1の修正は、楔の角度が22°未満にならないようにするための楔止め(例えば、図9D及び他の図に示し、以下に説明する楔止め902)の据え付けを含む。楔止め902は、図9DにATC2として示されているように、タックの付加隙間を0°における0.131インチ(約3.3mm)から22°における0.043インチ(約1.1mm)に低減させる。(0.131インチ−0.235インチ×sin22°=0.131インチ−0.088インチ=0.043インチ(約1.1mm))。タック保持システムの構成要素の製造公差及び歪み公差のため、ここで論じる導出寸法は近似値であることに留意されたい。楔止め902の追加が唯一行われる修正である場合は、Fpoが低減する。楔の面1205の角度が22°までしか回転しない場合に比べ、楔の面1205の角度が0°まで回転する図9Dについて考える。タック保持システムの水平歪みの正味量は、タックを楔の縁部1213と壁803Tとの間に保持する力の大きさである。例えば、楔1202が34°から0°まで回転すると、正味水平歪みは0.235インチ×cos0°−0.235インチ×cos34°=0.235インチ−0.195インチ=0.040インチ(約1.0mm)になる(図9DのHY1を参照)。楔1202が34°から22°まで回転するときの楔止め902付きタック保持システムの水平歪みの正味量は、0.235インチ×cos22°−0.235インチ×cos34°=0.218インチ−0.195インチ=0.023インチ(約0.6mm)になり得る(図9DのHY2を参照)。従って、課せられる総水平歪みが0.040インチ(約1.0mm)から0.023インチ(約0.6mm)に減るので、リップ107/溝108に対して縁部1213に形成される座のサイズが小さくなり、ひいてはタックを解放するために必要な押し出し量が減るため、例えば引抜力Fpoが減り得る。この構成によって、特性(4)及び(5)の問題が解決され、特性(3)が改良されるが、可能な引抜力が更に小さくなるので、Fpoを改良するための他の修正によって相殺する必要がある。
【0082】
図9Eは、第2の実施形態によるセキュリティタグの上側ハウジングの内面図を示す。図9Eは、上側ハウジング114の改良後の楔用区画802の詳細図を示す。特に、楔止め902が図示され、「くり抜き」領域及び以下に説明する幾つかの他の特徴が示されている。この構成は、再利用可能型タグにも使い捨て型タグにも適する。図9Fは、第2の実施形態によるセキュリティタグの楔と、ラバースプリングと、タックシャフトとが挿入された、改良後の上側ハウジングの内面図を示す。図9Fでは、あたかも下側ハウジング116が好適な上側ハウジング114に取り付けられて完全なタック保持システムが形成されているかのように、ラバースプリング1302が圧縮された状態で示されている。
【0083】
図9Gは、第2の実施形態による図9Fの構成要素の寸法図を示す。図9Gは、図9Fの部分断面A−Aであり、一部の寸法が示されており、図8A、8B、8C、8D、9A、9B、9C、9I、及び図10の曲線Cの実施形態に加えられた改良点を説明するための助けとなり得る。上記の曲線Cの特性(1)及びFpoの特性(2)を向上させるため、及び楔止め902の導入によって引き起こされたFpoの損失を相殺するために、第2の修正を実施する。曲線C及びFpoを更に改良するには、Laを図9Dの0.195インチ(約5.0mm)から図9Gの0.185インチ(約4.7mm)に減らすと、楔の初期角度θがより大きい値に設定されやすくなる。更に、初期Lwを図9Dの0.235インチ(約6.0mm)から図9Gの0.240(約6.1mm)インチに増やす。この結果、楔の初期角度は34°から39.6°に増加した。これらの変更によって、楔止め902が組み込まれていなければ、最大可能なタックの付加隙間が図9Dの0.131インチ(約3.3mm)から図9Gの0.153インチ(約3.9mm)になった(前述の過回転の問題が防止される)。これで、楔1202が39.6°から22°に回転したときの正味水平歪みは0.038インチ(約0.97mm)(0.240インチ×cos22°−0.024インチ×cos39.6°=0.223インチ−0.185インチ=0.038インチ)に等しい(図9GのHY3を参照)。これは、第1の修正による上述の0.023インチ(約0.58mm)を超える改良である。更に別の改良点は、可能なタックの付加隙間が、楔の角度が図9Cによる34°から0°に回転したときの0.131インチ(約3.3mm)から、図9GにATC3で示すように、楔の角度が39.6°から22°に回転したときのわずか0.063インチ(約1.60mm)(0.240インチ×sin39.6°−0.240インチ×sin22°=0.153インチ−0.090インチ=0.063インチ)に減ったことである。タック穴807の長さを長くし(図8Aから図9E)、楔止め902を貫通して延在させるようにしたことにより、タックシャフト106が充分に支持されるので、壁803Cは図9Eに示すように壁803Tに一致している。別の際立った理由は、超音波溶接に関する問題の改良である。楔止め902の傾斜した天面は、タックが進入する前の楔の面1209を支持する。上記の特性(1)及び(2)を更に向上させ、楔止め902の導入によって引き起こされたFpoの損失を相殺するために、第3の修正を実施してもよい。塑性降伏量を減らすことによって図10の曲線C及びFpoを更に改良するために、図9Eに示す実施形態を耐衝撃性ABSプラスチック又はポリカーボネートプラスチックを用いて成形してもよい。上記の特性(1)及び(2)を更に改良し、楔止め902の導入によって引き起こされたFpoの損失を相殺するために、第4の修正を実施してタック及び楔の硬度を変えてもよい。今日使用されている一般的なセキュリティタックの硬度は、約RC40である。図8Dの実施形態の楔の硬度は、約RC45である。従って、より軟質のタックがFpの応力下で楔によって切断及び/又は押し出される傾向があり、半円レッジが縁部1213に充分に形成されないこともある。このため、レッジが良好に形成された場合に比べ、Fpo値が低下する。タックの硬度が約RC50で、楔の硬度が約RC43であれば、より高い値が可能であることがテストによって示されているので、この変更によって図10の曲線Cを改良する。
【0084】
図9Hは、第2の使い捨て型実施形態による図8Dの部分断面A−Aを示す。図9Hは、使い捨て型実施形態における楔1202Sに対する傾斜面808aの影響を説明するために役立ち得る。ラチェッティングは、図9H及び9Iにおける、また図9Eに一部関する、使い捨て型タック保持システムにのみ関係する。一実施形態において、天壁808Aの一部を水平から約22°に傾斜させてもよい(これと対照的に、図9Iでは表面が傾斜していない)。この傾斜部分は、図9Hに示すように後壁803Dから約0.032インチ(約0.8mm)離れた位置から始まる。タック102を挿入する前に、楔1202Sは、上記のようにラバースプリング1302の圧縮力によって付勢されて壁808Aに平らに接触しているので、縁部1216Sは傾斜面808aの直上にある壁808Dに接触しているか、又は概ね接触している。傾斜部分は、図9Hに示すように面808aを含み得る。楔の角度が約34°のところへタックシャフト106を挿入すると、楔の枢支端の縁部1216Sが傾斜面808aにもたれる。タックシャフト106と楔1202Sとが係止状態のとき、縁部1216Sは後壁803Dから約0.018”(約0.46mm)の位置にある第1の位置で傾斜面808aにもたれている。図9Iに関して上で説明したように、ラバースプリング1302の圧縮力は、縁部1216Sを右方に付勢する正味水平成分を有するほか、正味鉛直成分を有する。正味鉛直成分は、摩擦係数ωと結合されて、移動を付勢しない摩擦力を縁部1216Sにもたらす。水平力成分が摩擦力に打ち勝つと、縁部1216Sは、正味鉛直成分が漸減して摩擦力と正味水平力とが等しくなる位置まで、右方に移動する。傾斜面808aを追加すると、縁部1216Sを付勢して左方に移動する別の力成分が縁部1216Sに加えられる。この左方への付勢は、少なくともラバースプリング1302の圧縮力の正味鉛直成分と、傾斜面808aの角度と、摩擦係数ωとの関数である。左方への付勢と何れかの摩擦力とが、右方への付勢を打ち消する。傾斜面808aの角度が充分であれば、左方への付勢が右方への付勢を圧倒する。充分な強度「S」の磁気取り外しデバイスにタグ100を据えると、楔1202Sが回転して充分に引き寄せられるので、左方への正味付勢に打ち勝ち、縁部1216Sを傾斜面808aから平坦面808Aへと平行移動させ得る。平坦面808Aでは、左方への付勢が排除されるので、縁部1216Sの平行移動に対する抵抗が大幅に減る。従って、縁部1216Sを傾斜面808aから平坦面808Aに平行移動させるには、磁気取り外しデバイスの強度として少なくとも「S」を必要とする条件が確立されている。この傾斜面は、図9E及び9Fの構成においても同様に有効であるので、この傾斜面を適合化させてもよい。唯一の違いは、係止状態における楔の角度(即ち、34°に対して39.6°)によって、縁部1216Sが表面808Aに達するために面808a上の移動距離に小さな差が生じることである{図9Fの実施形態では0.016(約0.41mm)から0.013インチ(約0.33mm)}。壁901の全体又は一部を表面808Aから取り除くか、又は「くり抜く」ことによって(図9E及び図20の「CO」を参照)さらなる改良が導入される。この結果、縁部1216Sは、図Eに示す傾斜面808aから平行移動した後に、表面808A上を摺動せず、図9E及び図14乃至図31に示すくり抜き穴に「落ちる」ので、縁部1216Sの平行移動又は楔1202Sの回転移動が一切の抵抗を受けないため、膨張するラバースプリングを中心として楔1202S全体が実質的に制約のない反時計方向の回転を直ちに開始して永久的な係止解除状態になる。従って、膨張するラバースプリング1302の助けによって縁部1216Sが傾斜面808a(レッジ808b)の端部を越えて前進し、楔1202Sの無制約回転を引き起こし、永久的な係止解除状態に至らせるために必要な少なくとも強度「S」の磁気取り外しデバイスの閾値が設定されている。同じ傾斜面808aによってラチェッティングを防止する。タックシャフト106が充分なタック隙間を有する場合にタックシャフト106が押し込まれてラチェッティングが試みられると、楔の縁部1216Sは、第1の位置からわずかに右方にある、傾斜面808a上にある第2の位置に移動する。タックシャフト106がその第1の位置に引き戻されると、傾斜面808aの充分な傾斜により楔の縁部1216Sがその第1の位置に戻り得る。ラバースプリング1302の付勢は、図9Iに示すように水平面808Aとの接触時に、縁部1216Sを第2の位置に保持する傾向がある一方で、傾斜面808aの充分な傾斜により、同じ付勢によって縁部1216Sが押されて傾斜面808aを下り、第1の位置に戻る傾向がある。このように、傾斜面808aの傾斜が充分であれば、ラチェッティング特性が低減又は排除される。この実施形態においては、滑らかな傾斜面808aの傾斜が22°であれば充分である。組み立て時は、面808aによって楔の枢支端もより良好に制御する。傾斜面808aは、縁部1216Sのレッジ808bへの滑らかな走行を提供するための選択肢であることに留意されたい。この構成の代わりに、平坦面808aと、楔1202Sが無制約回転を行い永久的な係止解除状態に至る前に、縁部1216Sが越えなくてはならない閾を提供するフェンス状の仕切りとを設けることもできる。傾斜面808aは、縁部1216Sの滑らかな平行移動と、成形の容易さのために選択される。
【0085】
一実施形態においては、上記のように使い捨て型タック保持システムの操作を容易にするために、天壁808Aの表面から壁901の一部を取り除くか、又は「くり抜いて」もよい。再利用可能型タック保持システムにおいては必ずしも壁901の一部をくり抜く必要はない。その理由は、凹部821及び822に嵌っている突起1221R及び1222Rによって楔1202Rの回転が防止され、くり抜かれた領域に入ることがないからである。但し、壁901を図9E及び図14乃至図31に示す程度までくり抜くことによって、タグの強度を実質的に弱めることなく成形工程を助けるので、以降の使い捨て型及び再利用可能型の両タック保持システムの図には、壁901のくり抜き領域が示されている。図9Eに見られる別の変更は、壁816及び818と、壁803K及び803Lの位置の改良である。壁816及び818は傾斜しているので、休止状態の楔の面1205と平行になるため、そこに押し当たるラバースプリングの表面1304A全体に対して実質的に平らな表面を提供する。更に、再利用可能型の実施形態に関して、壁803K及び803Lは鉛直に延在し、それぞれの改良された位置において壁816及び818に交わる。この結果、より深い凹部821及び822が提供され、楔の突起1221R及び1222Rがより良好に収容される。
【0086】
図11は、一実施形態によるセキュリティタグの下側ハウジングの内面を示す。前述のように、下側ハウジング116にポケット1110を備え得る。ポケット1110は、図13を参照してより詳細に説明するように、ラバースプリング1302に対して支承面1111Bを提供する。上側ハウジング114及び下側ハウジング116を互いに接合してセキュリティタグ100を形成するときに、円筒状の内壁1113によって上側ハウジング114の円筒状の突起809を案内して固定する。
【0087】
図12Aは、一実施形態によるセキュリティタグのための楔の第1の図を示す。図12Aは、再利用可能型のタック保持システムでの使用に適した楔1202Rを示す。一実施形態においては、例えば、磁気的に引き寄せられる鋼材を用いて楔1202Rを形成する。楔1202Rは、約0.240インチ(約6.1mm)×0.240インチ(約6.1mm)×0.032インチ(約0.8mm)厚の形状にする。突起1221R及び1222Rによって、楔1202Rの再利用が容易になり得る。突起1221R及び1222Rのそれぞれの寸法を0.032インチ(約0.8mm)×0.032インチ(約0.8mm)×0.032インチ(約0.8mm)にする。これらの実施形態はそのような関係に限定されるものではない。
【0088】
楔1202Rを代替的な構成にしてもよい。例えば、アクセル突起1221R及び1222Rを含む楔の枢軸側面1207Rの端部から端部までに丸みを付け、この丸みを帯びた枢軸側面1207Rが可動に嵌まるように、天壁808Aと後壁803Dとの交差部に丸みを持たせてもよい。この構成は、丸みを帯びた枢軸側面1207Rに対してより良好な支承面を提供するが、楔の製造コストが増す。これらの実施形態はそのような関係に限定されるものではない。
【0089】
図12Bは、一実施形態によるセキュリティタグのための楔の第2の図を示す。図12Bは、使い捨て型のタック保持システムでの使用に適した楔1202Sを示す。一実施形態において、例えば、楔1202Sを楔1202Rと同様にしてもよい。但し、楔1202Sにおいては、アクセル突起1221R及び1222Rを省き得る。楔1202Sはアクセル突起1221R及び1222Rを有しないので、セキュリティタグ100の区画802は、アクセル突起1221R及び1222Rを保持するための対応する凹部821及び822は必要ない。これらの実施形態はそのような関係に限定されるものではない。
【0090】
使い捨て型タック保持システムにおいては、例えば、楔1202Sは、磁気面に引き寄せられるばかりでなく、膨張しているラバースプリング1302を中心とした回転運動を付勢する磁気力によって鉛直姿勢に押しやられる。磁石の磁気引力の磁界方向は、一般に磁極面の面中心に直交するので、楔1202Sの長手方向が磁気引力の磁界に整合される。使い捨て型タック保持システムは、楔1202Sと磁気回転効果特性を利用することによって、セキュリティタグ100の永久的な係止解除状態を達成する。
【0091】
取り外し操作時に、タック保持縁部1213Sが回転し、タックシャフト106の溝リップ107の下から出るように、使い捨て型タック保持システムの1つ又は複数の要素に対して特定の寸法を選択してもよい。同時に、縁部1216Sを面808aの縁部808b(図25及び26を参照)から壁808AのCO領域に押し出す必要がある。縁部1216Sの動きは、回転運動であり、更に面808a及び縁部808bからわずかに下方及び横に移動してCOに入る。
【0092】
図13は、一実施形態によるセキュリティタグのためのラバースプリングの図を示す。図13は、再利用可能型セキュリティタグ又は使い捨て型セキュリティタグでの使用に適したラバースプリング1302を示す。一実施形態においては、ラバースプリング1302の形状を、幅w、高さh、及び奥行きtを有する矩形ブロックに近いものにする。ラバースプリング1302は、所与の一連の設計制約条件に対して望ましい他の形状を用いて実現してもよい。ラバースプリングの1つの特徴は、ゴムボールと同様にあらゆる方向に相対的に一様な弾力性のある付勢をもたらすことである。この特徴によって、タック保持システムの機能に基本的な鉛直及び水平の付勢成分が提供される。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0093】
一実施形態において、ラバースプリング1302は、ゴム又は発砲ゴムなどの材料から作成してもよい。ゴム材料は、所与の実装に適した一定量の付勢(又は圧縮力)を与える。ラバースプリング1302によってもたらされる付勢量は、ラバースプリング1302の製造に使用するゴム製品の組成によって変えることができる。従って、磁気取り外しデバイス602に必要な磁気強度の量は、ラバースプリング1302によってもたらされる付勢量に応じて異なり得る。例えば、ラバースプリング1302を作っているゴム製品の保形性が低く、生じる付勢が小さい場合は、より低い磁気強度を用いて取り外し操作を行うように磁気装置602を構成する。別の例では、ラバースプリング1302を作っているゴム製品の保形性が高く、生じる付勢が大きい場合は、より高い磁気強度を用いて取り外し操作を行うように磁気装置602を構成する。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0094】
一実施形態において、ラバースプリング1302は、幾つかの異なるゴム製品を用いて実現する。例えば、ゴム材料は、PORON Urethane Foam番号4701−40 Soft、又は4701−50 Firm、又は4701−60 Very Firmを含んでもよい。これらの製造元はすべてRogers Corporationである。上記の特性に加え、ラバースプリング1302用に選択された特定のゴム材料は、セキュリティタグ100の所与の実装に望ましい充分な安定性と耐久性とを提供する必要がある。適正な取り外しのためには、ラバースプリング1302の寸法も重要である。ラバースプリング1302の一つ又は複数の特性の変更可能とすることにより設計上の柔軟性がもたらされるので、設計に拡張性を与えることが可能となり、様々なセキュリティタグ100に対してそれぞれ異なる取り外し特性を持たせることが可能である。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0095】
図9Eは、図14乃至図31で用いられている上側カバー構成を示す。壁816及び818と、壁803K及び803Lの改良後の位置は、再利用可能型タグの断面図14乃至図19に参照用に示されている。図14は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた再利用可能型セキュリティタグの線D−Dに沿った第1の断面図を示す。図14は、図1Aの再利用可能型タック保持システムの部分断面D−Dであり、タックシャフト106がタック穴807に部分的に挿入された状態が示されている。この再利用可能型タック保持システムは、休止状態にあり、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100に取り付けるための操作が開始されたところである。尖った端部112を開口部120とタック穴807とに挿入する。尖った端部112は、楔1202Rの傾斜面1209Rに接近している。アクセル突起1221R及び1222Rは、それぞれの凹部821及び822に拘束されているが、凹部821及び822内で回転可能である。一実施形態においては、休止状態のとき、ラバースプリング1302によって楔1202Rを約22°の楔の角度θに付勢し、面1209Rを楔止め902に当て、縁部1216Rを傾斜面808aに当て得る。縁部1216Rは、後壁808Dから約0.012インチ(約0.3mm)の位置にある。
【0096】
図15は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた再利用可能型セキュリティタグの線D−Dに沿った第2の断面図を示す。図15は、タックシャフト106が更にタック穴807に挿入され、尖った端部112は面1209Rに接触している状態を示す。このような接触によって、楔1202Rは、概ね縁部1215Rを中心として反時計方向に回転し始め、縁部1216Rは面808a上をわずかに摺動する。楔1202Rの回転中心が必ずしも縁部1215Rと後壁803Dとの接触点ではないことに留意されたい。楔の角度θが変わるにつれて、この接触点は壁808D上で少し移動する。楔の角度θが22°から40°に変わると、後壁803D上の移動は、合計で0.002インチ(約0.05mm)に近づき得る。この移動は、タックの初期隙間にわずかに影響する。尖った端部112は、面1209Rを摺動してタック保持縁部1213Rに接触する。ラバースプリング1302は、楔1202Rと面1111Bとの間で更に多少圧縮され得る。タックアセンブリ102がセキュリティタグ100から依然として後退可能であるため、再利用可能型タック保持システムは必ずしも係止状態に入るとは限らない。
【0097】
図16は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた再利用可能型セキュリティタグの線D−Dに沿った第3の断面図を示す。図16は、タックシャフト106がタック穴807に更に挿入されてタック保持縁部1213Rに接触し、タック保持縁部1213Rの脇を摺動し始める状態を示す。楔の角度θは約40°である。タックシャフト106を更に挿入すると、タック保持縁部1213Rが最初の溝108に隣接して位置付けられる。タック保持縁部1213Rがタックシャフト106に接触しているときは、楔1202Rはそれ以上反時計方向に回転しない。タックアセンブリ102がセキュリティタグ100から依然として後退可能であるため、再利用可能型タック保持システムは係止状態にまだ達しえない。
【0098】
図17は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた再利用可能型セキュリティタグの線D−Dに沿った第4の断面図を示す。図17は、タックシャフト106が更にタック穴807に挿入され、タック溝108がタック保持縁部1213Rに隣接している状態を示す。この時点において、楔1202Rと壁1111B及び808Dとの間のラバースプリング1302の付勢によって、楔1202Rが時計方向に回転し、タック保持縁部1213Rがタック溝108に押し込まれ得る。楔の角度θは約39.6°であり、縁部1216Rは後壁808Dから約0.019インチ(約0.48mm)の位置にある。この時点では、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から引き抜こうとしても、上記のように楔によって妨げられる。タック保持縁部1213Rの尖った先端部はラバースプリング1302によって付勢されて溝リップ107とタック溝108との交差部に入るので、タグ100からのタック102の引き抜きが防止される。この時点において、再利用可能型タック保持システムは係止状態にある。
【0099】
一実施形態においては、磁気取り外しデバイス602を用いて、再利用可能型タック保持システムを備えたセキュリティタグ100からタックアセンブリ102を取り除くか、又は取り外する。タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から取り外すには、セキュリティタグ100を磁気取り外しデバイス602に着座させるか、又は概ね着座させる必要がある。タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から取り外す際の再利用可能型タック保持システムに対する磁気取り外しデバイス602の効果を図18及び19を参照しながらより詳細に説明する。
【0100】
図18は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングと、磁気取り外しデバイスとを備えた再利用可能型セキュリティタグの線D−Dに沿った第1の断面図を示す。図18は、図17と同じ部分断面であるが、磁気取り外しデバイス602に着座している状態を示す。更に、タグ100が磁気取り外しデバイス602に着座したときに楔1202Rの姿勢を係止状態に保持する充分なFpが加えられていると想定する。Fpを除いたとき、タック保持縁部1213Rが充分に回転してタックシャフト106の溝リップ107から外れるように、磁気取り外しデバイス602は、ラバースプリング1302の付勢に抗して楔1202Rを引き寄せ、それぞれの凹部821及び822に収容されているアクセル突起1221R及び1222Rと縁部1215Rとを中心に楔1202Rを反時計方向に回転させるために充分な強度を有する必要がある。
【0101】
図18に示す状態は、係止状態を保持するためにFpを必ずしも加えなくても起こり得る。その理由は、タック頭部104とセキュリティタグ100との間に衣類202を固定したときに衣類202によって充分なFpが既に加えられている可能性があり得るためである。場合によっては、セキュリティタグ100を磁気取り外しデバイス602に着座させたときに、挿入力Fiをタック頭部104に加えることによって、タックシャフト106をセキュリティタグ100に充分に押し込み、タック保持縁部1213Rを溝リップ107から解放して取り外し操作を行い得る。一般に、タックシャフト106に必要な移動は、0.004インチ(約0.10mm)に近い。取り外しを助けるためのこの種の押し込み操作は、あらゆる磁気クラッチに対して一般にある程度存在する。但し、大部分の取り外しにおいては、単にセキュリティタグ100を磁気取り外しデバイス602に着座させるだけでタックアセンブリ102がセキュリティタグ100から自由になるので、取り外し操作が完了する。
【0102】
図19は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングと、磁気取り外しデバイスとを備えた再利用可能型セキュリティタグの線D−Dに沿った第2の断面図を示す。図19は、Fpを除いた後の係止解除状態を示す。溝リップ107がタック保持縁部1213Rから外れているので、セキュリティタグ100が磁気取り外しデバイス602に着座していれば、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から引き抜くことができる。タックアセンブリ102を引き抜き、セキュリティタグ100を磁気取り外しデバイス602から外すと、楔1202Rの状態が図14に示す休止状態に戻る。タックシャフト106がタック穴807に残っている状態でセキュリティタグ100を磁気取り外しデバイス602から外すと、楔1202Rは図17に示す状態に戻り得る。但し、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から取り外すことが目的であるので、この操作は逆効果となる。
【0103】
図20は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第1の断面図を示す。図20は、図1Aの使い捨て型タック保持システムの部分断面D−Dであり、タックシャフト106がタック穴807に部分的に挿入された状態を示す。図20に示すように、この使い捨て型タック保持システムは、休止状態にあり、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100に取り付けるための取り付け操作が開始されている。尖った端部112が開口部120とタック穴807とに挿入されていてもよい。尖った端部112が楔1202Sの傾斜面1209Sに近づいていてもよい。ラバースプリング1302によって楔1202Sが付勢され、楔止め902と傾斜面808aとに当たっていてもよい。休止状態においては、楔1202Sがラバースプリング1302によって約22°の楔角度θに付勢され、面1209Sが楔止め902(完全には図示せず)に当たり、縁部1216Sが傾斜面808aに当たっていてもよい。縁部1216Sは、後壁808Dから約0.012インチ(約0.3mm)の位置にあり、レッジ808bから約0.020インチ(約0.5mm)に位置にある。
【0104】
図21は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第2の断面図を示す。図21は、タックシャフト106が更にタック穴807に挿入され、尖った端部112が面1209Sに接触している状態を示す。この接触によって、楔1202Sは縁部1215Sを概ね中心として反時計方向に回転し始め、縁部1216Sは面808a上をわずかに左方に摺動する。楔1202Sの回転中心が正確には必ずしも休止状態の縁部1215Sと後壁803Dとの接触点ではないことに留意されたい。角度θが変わるにつれて、この接触点は少し移動する。楔の角度が22°から40°に変わると、後壁803D上の総移動距離は、例えば0.002インチ(約0.05mm)となるであろう。この移動は、初期の追加タック隙間に多少影響する。尖った端部112は、面1209Sを摺動してタック保持縁部1213Sに接触する。ラバースプリング1302は、楔1202Sと面1111Bとの間で僅かではあるが、更に圧縮され得る。タックアセンブリ102がセキュリティタグ100から依然として引抜き可能であるため、使い捨て型タック保持システムは依然として係止状態になりえない。
【0105】
図22は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第3の断面図を示す。図22は、タックシャフト106がタック穴807に更に挿入されてタック保持縁部1213Sに接触し、タック保持縁部1213Sに沿って摺動し始めている状態を示す。タックシャフト106を更に挿入すると、タック保持縁部1213Sが最初のタック溝108に隣接する。タック保持縁部1213Sがタックシャフト106に接触しているときは、楔1202Sはそれ以上反時計方向に回転しえない。楔の角度θは約40°である。タックアセンブリ102がセキュリティタグ100から依然として引抜き可能であるため、使い捨て型タック保持システムは依然として係止状態になりえない。
【0106】
図23は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第4の断面図を示す。図23は、タックシャフト106がタック穴807に更に挿入され、タック溝108がタック保持縁部1213Sに隣接している状態を示す。この時点において、楔1202Sと壁1111B及び808Dとの間のラバースプリング1302の付勢によって、楔1202Sが時計方向に回転し、タック保持縁部1213Sがタック溝108に押し込まれ得る。楔の角度θは約39.6°である。縁部1216Sは、後壁808Dから約0.019インチ(約0.48mm)の位置にあり、レッジ808bから約0.013インチ(約0.33mm)の位置にある。この時点では、タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から引き抜こうとしても、上記のように楔1202Sによって妨げられる。タック保持縁部1213Sの尖った先端部が付勢されて溝リップ107とタック溝108の交差部に入り込むので、タグ100からのタック102の引き抜きが防止される。これで、使い捨て型タック保持システムが係止状態になる。
【0107】
一実施形態においては、使い捨て型タック保持システムを備えたセキュリティタグ100からタックアセンブリ102を取り除く、又は取り外すために、磁気取り外しデバイス602を使用する。タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から外すには、セキュリティタグ100を磁気取り外しデバイス602内に着座させるか、又は概ね着座させる必要がある。タックアセンブリ102をセキュリティタグ100から取り外す際の使い捨て型タック保持システムに対する磁気取り外しデバイス602の効果を図24乃至図30を参照しながらより詳細に説明する。
【0108】
図24は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングと、磁気取り外しデバイスとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第1の断面図を示す。図24は、図23と同じ部分断面であるが、磁気取り外しデバイス602に着座している状態を示す。更に、タグ100が磁気取り外しデバイス602に着座させられたときに、楔1202Sの姿勢を係止状態に保持するために充分なFpが加えられていると想定する。Fpを除くと、取り外しが始まる。磁気取り外しデバイス602は、ラバースプリング1302の付勢に抗して楔1202Sを引き寄せ始める。これによって、楔1202Sが縁部1215Sを概ね中心として反時計方向に付勢されて回転するため、縁部1216Sが左方に付勢されて傾斜面808a上をレッジ808bに向かって平行移動する。
【0109】
図24に示す状態は、係止状態を保持するためのFpを加えなくても起こり得る。その理由は、タック頭部104とセキュリティタグ100との間に衣類202が固定されたときに衣類202によって充分なFpが既に加えられている可能性があり得るためである。場合によっては、セキュリティタグ100を磁気取り外しデバイス602に着座させたときに、挿入力Fiをタック頭部104に加えてタックシャフト106をセキュリティタグ100に充分に押し込み、溝リップ107からタック保持縁部1213Sを解放することによって取り外しを行い得る。場合によっては、タック保持縁部1213Sを解放するには、例えば、タックシャフト106を約0.004インチ(約0.1mm)だけ押すか、又は移動させる必要がある。場合に応じて追加の挿入力Fiを用いて取り外しを補助することは、あらゆる磁気クラッチにおいて一般にある程度あり得る。但し、大部分の取り外しにおいては、セキュリティタグ100を磁気取り外しデバイス602に据えるだけで、使い捨て型タック保持システムは永久的な係止解除状態になる。
【0110】
図25は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングと、磁気取り外しデバイスとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第2の断面図を示す。図25は、磁気アセンブリ603から楔1202Sに対する吸引力の効果を示す。この磁気吸引力によって楔1202Sがラバースプリング1302を図24に示されている状態よりわずかに多く圧縮され、タック保持縁部1213Sがわずかに回転して溝リップ107の下から出て、磁気アセンブリの磁極面604に向かってわずかに引き寄せられ得る。概ね同時に、縁部1216Sが808aを横切ってレッジ808bに到達する。再利用可能型タック保持システムの場合は、アクセル突起1221R及び1222Rの横移動はそれぞれの凹部821及び822によって規制されるため、楔の縁部1216Rは面808a上を横移動できないことに留意されたい。
【0111】
図26は、一実施形態によるタックと、楔と、ラバースプリングと、磁気取り外しデバイスとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第3の断面図を示す。図26は、楔1202Sのタック保持縁部1213Sが磁気アセンブリの面604に向かって引き寄せられる一方で、縁部1216Sがレッジ808bを越える状態を示す。また、ラバースプリング1302は、図25に示された圧縮状態から膨張し始め、縁部1216Sをタックアセンブリ102に向かって押す。
【0112】
図27は、一実施形態によるタックと、楔と、ラバースプリングと、磁気取り外しデバイスとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第4の断面図を示す。図27は、楔1202Sの縁部1213Sが磁気アセンブリの面604に向かって更に引き寄せられる一方で、縁部1215Sがレッジ808bを越える状態を示す。更に、ラバースプリング1302は、図26に示された圧縮状態から更に膨張し続け、縁部1216Sを更にタックアセンブリ102に向けて押す。
【0113】
図28は、一実施形態によるタックと、楔と、ラバースプリングと、磁気取り外しデバイスとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第5の断面図を示す。図28は、膨張状態のラバースプリング1302が楔1202Sを実質的に鉛直姿勢にさせる一方で、磁気アセンブリ603がタック保持縁部1213Sを磁気アセンブリの面604に向けて引き寄せ続けるので、楔1202Sは鉛直姿勢になる。
【0114】
図29は、一実施形態によるタックと、楔と、ラバースプリングと、磁気取り外しデバイスとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第6の断面図を示す。図29は、充分に膨張したラバースプリング1302の傍らで概ね鉛直姿勢になっている楔1202Sを示す。タック保持縁部1213Sは、可能な限り磁極面604に近づき、面1111Bに接触している。タックアセンブリ102は、一切の拘束から完全に自由であるので、セキュリティタグ100から引き抜くことができる。これで、セキュリティタグ100が永久的な係止解除状態になる。
【0115】
図30は、一実施形態による、タックと、楔と、ラバースプリングとを備えた使い捨て型セキュリティタグの線D−Dに沿った第7の断面図を示す。図30は、セキュリティタグ100を磁気取り外しデバイス602から取り外したときに、同じ永久的な係止解除状態が存在することを示す。タックアセンブリ102の引き抜きは、セキュリティタグ100を磁気取り外しデバイス602から取り外す前でも後でも行い得る。図29及び図30に示す構成では、セキュリティタグ100を分解して組み立てなおさない限り、楔1202Sを図20の休止状態に戻すことができないので再利用はできない。
【0116】
図31は、一実施形態による使い捨て型セキュリティタグの上側ハウジングの内面図を示す。図31は、激突の影響を減らすか、又は排除するために、使い捨て型タック保持システムの区画802に可能な1つの構成を示す。比較のために、図31の識別子は、図9Gに使用した識別子と同様である。ラバースプリング1302の位置を制御する壁が移動され、ラバースプリング1302の中心が基本的に楔1202Sの重心に合わせられていることに留意されたい。楔用区画802のこの構成によって、上で定義した激突の影響が実質的に排除される。
【0117】
図8Dの実施形態は、図10のFp−ATC曲線Cになった。図8Dの実施形態は、Fp値が約20ポンド(約9.1kg)を超えないときは実用的な機能を有するが、Fp値が20ポンド(約9.1kg)を超えると、望ましくない特性を生じる。これらの望ましくない特性を克服するための改良を行った結果が図9Fのタック保持システムの実施形態である。セキュリティタグ100及びタック102の外観及び基本的機能は変わっていないが、再利用可能型と使い捨て型の両セキュリティタグ100に改良点が導入されている。これらの改良点は、主としてFpoを増やし、各Fp値に対するタックの付加隙間を減らす手段を含むが、「激突」又は「ラチェッティング」による使い捨て型版の打破を防止することに特に注意が払われている。
【0118】
図8Dの第1のタック保持システムの実施形態を変更した結果である図9Fのタック保持システムの実施形態に所望の改良が実際にもたらされたことが確認するために、幾つかの「引っ張り」試験を実施した。6つの引っ張り試験のすべてと、対応する曲線に関する以降の考察は、図9E、9F、及び9Gに示す改良後のタック保持システムの実施形態に反映されている。各引っ張り試験では、Chatillon Model USTM機を使用し、引っ張り速度を1分当たり3インチとした。引っ張り試験1〜6のそれぞれにおいて、4つの同じタグ及びタックを引っ張った。第1の引っ張り試験では15ポンドまでのFpを加え、第2の引っ張り試験では50ポンド(約22.7kg)までのFpを加え、第3の引っ張り試験では100ポンド(約45kg)までのFpを加え、第4の引っ張り試験ではFpoまでのFpを加えた。第5の引っ張り試験では、追加の引っ張りを2つ追加した。即ち、5番目の同じタグを25ポンド(約11.3kg)までのFpで引っ張り、6番目の同じタグを120ポンド(約54.5kg)までのFpで引っ張った。第6の引っ張り試験でも、追加の引っ張りを2つ追加した。即ち、5番目の同じタグを25ポンド(約11.3kg)までのFpで引っ張り、6番目の同じタグを140ポンド(約63.6kg)までのFpで引っ張った。タグハウジングは、後述のように、ABSプラスチック製又はポリカーボネートプラスチック製とした。得られたすべての曲線を図10に示す。すべての引っ張り試験において、望ましくない特性番号(4)、(5)、及び(6)がそれぞれの対策によって完全に克服されたことが明らかになった。望ましくない特性(1)及び(2)に対する改良は、図10の各曲線に直接示されている。(3)に対する改良については引っ張り試験ごとに論じる。永久的なATC値についても論じる。
【0119】
引っ張り試験1の結果は、曲線Dに反映されている。曲線Dは、ABSプラスチック製ハウジングを備え、楔の硬度がRC47、タックの硬度がRC40の使い捨て型タック保持システムの実施形態の典型である。Fp=15lbs(約6.8kg)での引っ張りによって永久的なATCが0.007インチ(約0.2mm)になり、自由状態に達するには「0」ポンドのFiを必要とした。Fp=50lbs(約22.7kg)での引っ張りによって永久的なATCが0.025インチ(約0.64mm)になり、自由状態に達するには2ポンド(約0.9kg)のFiを必要とした。Fp=100lbs(約45kg)での引っ張りによって永久的なATCが0.038インチ(約0.97mm)になり、自由状態に達するには5ポンド(約2.3kg)のFiを必要とした。第4の引っ張りテストでは、110ポンド(約50kg)のFpoでATCが0.097インチ(約2.5mm)になった。
【0120】
引っ張り試験2の結果は、曲線Eに反映されている。引っ張り試験2は、再利用可能型楔を用いた以外は、基本的には引っ張り試験1の繰り返しである。唯一の重要な違いは、Fpoが120ポンド(約54.5kg)である点である。追加の10ポンド(約4.5kg)は、再利用可能型楔が有する壁808Dに対するより大きな支承面のためである。FpoでのATCは0.097インチ(約2.5mm)から0.102インチ(約2.59mm)に増えた。
【0121】
引っ張り試験3の結果は、曲線Fに反映されている。引っ張り試験3は、ハウジングの材料がより硬質のポリカーボネートプラスチックである以外は、基本的には引っ張り試験1の繰り返しである。なお、大きな違いは、Fpoが110ポンド(約50kg)から130ポンド(約59kg)に増加し、ATCが0.097インチ(約2.5mm)から0.104インチ(約2.64mm)に増加したことである。永久的なATCは、各Fp値で約20%向上し、Fiは各Fp値で概ね同じであった。
【0122】
引っ張り試験4の結果は、曲線Gに反映されている。引っ張り試験4は、再利用可能型楔を用いた以外は、基本的には引っ張り試験3の繰り返しである。なお、大きな違いは、Fpoが130ポンド(約59kg)から140ポンド(約63.5kg)に増加し、FpoでのATCが0.104インチ(約2.64mm)から0.107インチ(約2.72mm)に増加したことである。
【0123】
引っ張り試験5の結果は、曲線Hに反映されている。引っ張り試験3は、楔の硬度が約RC42であり、タックの硬度が約RC48である以外は、基本的には引っ張り試験1の繰り返しである。Fpoが110ポンド(約50kg)から125ポンド(約57kg)に向上し、FpoでのATCが0.097インチ(約2.5mm)から0.082インチ(約2.1mm)に減った。Fp=15lbs(約6.8kg)での引っ張りによって永久的なATCが0.008インチ(約0.2mm)になり、自由状態に達するには「0」ポンドのFiを必要とした。Fp=25lbs(約11.3kg)での引っ張りによって永久的なATCが0.012インチ(約0.3mm)になり、自由状態に達するには0.4ポンドのFiを必要とした。Fp=50lbs(約22.7kg)での引っ張りによって永久的なATCが0.020インチ(約0.5mm)になり、自由状態に達するには2ポンドのFiを必要とした。Fp=100lbs(約45kg)での引っ張りによって永久的なATCが0.029インチ(約0.74mm)になり、自由状態に達するには5ポンド(約2.3kg)のFiを必要とした。Fp=120lbs(約54.5kg)での引っ張りによって永久的なATCが0.034インチ(約0.86mm)になり、自由状態に達するには6ポンドのFiを必要とした。第4の引っ張りテストでは、125ポンド(約56.8kg)のFpoでATCが0.082インチ(約2.1mm)になった。
【0124】
引っ張り試験6の結果は、曲線Iに反映されている。引っ張り試験6は、ハウジングの材料がより硬質のポリカーボネートプラスチックである以外は、基本的には引っ張り試験5の繰り返しである。Fpoが125ポンド(約56.8kg)から145ポンド(約65.8kg)に向上した。FpoでのATCは同じままであった。Fp=15lbs(約6.8kg)での引っ張りによって永久的なATCが0.004インチ(約0.10mm)になり、自由状態に達するには「0」ポンドのFiを必要とした。Fp=25lbs(約11.3kg)での引っ張りによって永久的なATCが0.007インチ(約0.2mm)になり、自由状態に達するには0.5ポンド(約227kg)のFiを必要とした。Fp=50lbs(約22.7kg)での引っ張りによって永久的なATCが0.012インチ(約0.3mm)になり、自由状態に達するには2ポンド(約0.9kg)のFiを必要とした。Fp=100lbs(約45kg)での引っ張りによって永久的なATCが0.025インチ(約0.63mm)になり、自由状態に達するには5ポンド(約2.3kg)のFiを必要とした。Fp=140lbs(約63.6kg)での引っ張りによって永久的なATCが0.026インチになり、自由状態に達するには7ポンド(約3.2kg)のFiを必要とした。第6の引っ張りテストでは、145ポンド(約65.8kg)のFpoでATCが0.082インチ(約2.1mm)になった。
【0125】
引っ張り試験6の結果は、望ましくない各特性を克服するためのすべての改良を反映している。Fpoは125ポンド(約56.8kg)を優に超え、曲線Iは曲線Aと曲線Bとの間にあり、Fi要件が大幅に改良された。例えば、20ポンド(約9.1kg)のFpではFiが7ポンド(約3.2kg)から0.5ポンド(約227kg)未満に減り、50ポンド(約22.7kg)のFpではFiが15ポンド(約6.8kg)から2ポンド(約0.9kg)に減り、65ポンド(約30kg)のFpでは必要なFiが35ポンド(約15.9kg)から約3ポンド(約1.36kg)に減った。要するに、曲線Cにおける主要な向上は、上記のように、楔止めと、係止状態における楔の角度の拡大と、より硬質の材料と、楔より硬質のタックとによってもたらされた。これらの曲線からは分からない操作上の機能拡張として以下が含まれた。即ち、(1)Fiの向上は主として楔止めによるものであり、(2)永久的なATCの改良は、主としてより硬質のハウジング材料を使用したことにより、(3)ラチェッティングの低減又は排除は、傾斜面808aと、縁部808bと、くり抜き領域とを組み込んだことにより、(4)激突の低減又は排除は、図31に示すようにラバースプリングの位置を変えたことにより、(5)Fpoまでの強さでの引っ張りの後にタックが必ず楔を再捕捉することは、主として楔止めによるものであり、(6)過剰な回転の低減又は排除は楔止めによるものである。
【0126】
実施したこれらの6つの引っ張り試験から、生産環境に適した再利用可能型構成を導出する。一実施形態においては、例えば以下の構成と値とを使用してもよい。即ち、(1)ハウジングをポリカーボネートプラスチックで形成し、(2)タックシャフト106の硬度をRC47〜50にし、(3)タック溝108及び溝リップ107の深さを0.003インチ(約0.076mm)から0.004インチ(約0.10mm)にし、溝の長さを最短でも0.040インチ(約1.0mm)にし、間隔を約0.040インチ(約1.0mm)にし、(4)楔の寸法を幅0.235インチ(約6.0mm)から0.240インチ(約6.1mm)、厚みを0.032インチ(約0.8mm)+/−0.001インチ(約0.025mm)にし、アクセル突起1221R及び1222Rを(図12Aに示すように)それぞれ約0.032インチ(約0.8mm)の立方体にし、鋭角の縁部1220の角度を30°+/−1度、長さを0.236インチ(約5.96mm)から0.242インチ(約6.1mm)にし、楔1202Rの硬度をRC40からRC43にする。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0127】
上記の構成を使用した実施形態では、Fpとタックの付加隙間との関係を示す曲線(図10に曲線Iとして示す)がFp値が0ポンドから145ポンド(約66kg)までほとんど直線になり、Fpoでのタックの付加隙間は約0.080インチ(約2.0mm)になり、約1800ポンド/インチ(約32.2[kg/mm])の比率となり得る。この比率及び引き抜き値に対する制限は、一次的には到達された。さらなる試験では、上記の構成を使用し、タックの硬度をRC50からRC52に変え、楔の測定硬度をRC45にしたところ、一般に0.090インチ(約2.3mm)のATCにおいてFpoが一般に170lbs(約77kg)になった。ハウジングにABSプラスチックを用いて同じ試験を実施したところ、一般に0.090インチ(約2.3mm)のATCにおいて代表的なFpoが150lbs(約68kg)になった。
【0128】
他の改良も可能であるが、対応するコスト上昇を考慮する必要がある。例えば、プラスチックの歪みを減らすにはポリカーボネートなどのより硬質のプラスチックを使用するが、より軟質でより安価なABSプラスチックを使用した場合のわずかに低いFpo(及びタックの付加隙間の多少の増加)も許容するので、コスト上昇は割に合わないであろう。ABSプラスチックで達成する100ポンド(約45kg)のFpにおけるタックの付加隙間約0.070インチ(約1.8mm)での約125ポンド(約56.8kg)のFpoは、従来の大半の再利用可能型セキュリティタグより優れている。別の例では、803Dと808Aとの交差角の丸みに緩く嵌るように、楔1202Rの面1207Rに丸みを付けてもよい。この結果、Fpoが約5ポンド(約2.3kg)増加するが、この付加的な増加は面1207Rに丸みを付けるための追加コストに見合わないこともある。これらの実施形態は、そのような関係に限定されるものではない。
【0129】
図32は、一実施形態によるセキュリティタグ2100と、タックアセンブリ2102と、留め付けられていない状態の物品202の斜視図を示す。図33は、一実施形態によるタックアセンブリ2102の斜視図および分解されたセキュリティタグ2100を示す。
【0130】
図32、図33に示すタックアセンブリ2102には(図42から図44と、図46から図55の1個以上についてと同様に)、図1から図31に関して上述されるように、タックアセンブリ102の一個以上の実施例の対応する部位をそれぞれに有してもよい。例えば、タックアセンブリ2102は、様々な実施例における、タックアセンブリ102のそれぞれの構成要素104、106、107、108、109および112に対応する構成要素2104、2106、2107、2108、2109および2112の一個以上を有するが、設計では1個以上の構成要素について変更されてもよい。
【0131】
セキュリティタグ2100はハウジング2113、タック保持システムおよびセンサを備える。図33の実施例の中で示されるように、まず最初にセンサを参照する。一実施例において、センサは1個以上の線状アモルファス共振器2402Aと磁化バイアス2402B以上を有し、ハウジング2113で囲まれ保護されている。スペーサー2403は1個以上の線状アモルファス共振器2402Aと磁化されたバイアス2402Bを区切る。別の実施例では、センサは、上に説明されたセンサ402の実施例のうちのどの形式でもよく、例えばRF、RFID、電磁気、フェライトアセンブリ、あるいは前述の2個以上の任意の組合せ、並びに別の電子商品監視(EAS)や別のセンサなどがある。
【0132】
図32、図33に示すセキュリティタグ2100には、図1から図31に関して上述されるように、セキュリティタグ100の構成要素についての異なる実施例を有する。図34から図48に示されるセキュリティタグ2100の部分についても同様である。例えば、様々な実施例では、セキュリティタグ2100は、上側ハウジング2114と下側ハウジング2116を有するハウジング2113をそれぞれ含む。それはセキュリティタグ100の上側ハウジング114と下側ハウジング116の構成要素118、120、122、124、126、130、132、134、136、138、504、508、802、807、808a、808A、809、814、1110、1111B、1113、および1115にそれぞれ対応する1個以上の構成要素2118、2120、2122、2124、2126、2130、2132、2134、2136、2138、2504、2508、2802、2807、2808a、2808A、2809、2814、3110、3111B、3113および3115を有する。
【0133】
さらに、図32、図33の線2412と横断面D−Dは、例えば図1、図4、図5並びに上述したように、線412と横断面D−Dに対応している。
【0134】
ハウジング2113は、壁2803によって輪郭づけられた楔用区画2802を有する。楔用区画2802がタック保持システム又はその部分を収容するように、壁2803は形成される。一実施例として、例えば、図34に示され、下記に説明されるように、壁2803は一個以上の構成要素2803C−2803D、2803F−2803Iおよび2803K−2803Lを有する。ここで、これらはそれぞれここで説明されたセキュリティタグ100の楔用区画802の壁803の構成要素803C−803D、803F−803Iおよび803K−803Lに対応している。
【0135】
図34は、一実施形態によるセキュリティタグ2100の上側ハウジング2114の一部の内面図を示す。この実施例では、楔用区画2802が再利用可能型楔3202R又は使い捨て型楔の実施例のいずれかを収容し、また付勢部材3302又は付勢部材4302の一方を収容するように、壁2803が形成されている。ここで、使い捨て型楔の実施例は、突起3221R又は3222Rの有無にかかわらず、再利用可能型楔3202Rと類似の形状である。再利用可能型楔3202R、使い捨て型楔、付勢部材3302、4302の実施例が下記に述べられる。
【0136】
例えば、一実施例では、後壁2803Dの輪郭は、付勢部材4302の部分に同じように、凹部を輪郭づける後壁部材2804A、2804Bで成形されてもよい。なお、付勢部材4302の凹部については、図38の実施例に関して下で説明されている。この実施例では、後壁部材2804A、2804Bは凹面で、これにより、付勢部材4302の位置決め要素4335A−4335Bと同様に成形された凸面の凹部を輪郭づけてもよい。そのような配置は位置決め、及び/または、楔用区画2802内で付勢部材4302の保護することを容易にする。
【0137】
壁2803K、2803Lは少なくとも部分的にそれぞれ凹部2821、2822を輪郭づける。これらの要素2803K、2803L、2821及び2822は、ここに説明されたセキュリティタグ100の803K、803L、821及び822にそれぞれ対応している。例えば、セキュリティタグ2100の再利用可能型の実施例では、図36に関して下記に述べられるように、タック保持システムの楔3202Rは突起3221R、3222Rを有するもので、それは少なくとも部分的に配置され、回転し、平行移動し、回転と平行移動の組合せで移動し、及び/または、凹部2821、2822の内で移動する。
【0138】
図35は、一実施形態によるセキュリティタグ2100の下側ハウジング2116の一部の内面図を示す。スプリング1302である付勢部材について、図1から図31のセキュリティタグ100の下側ハウジング116に関して説明されるように、下側ハウジング2116は、図37、図38にそれぞれ説明された付勢部材3302、4302のように、付勢部材に支承面3111Bを提供する対応するポケット3110を有してもよい。また、セキュリティタグ2100を組み立てる場合、上側ハウジング2114および下側ハウジング2116がともに連結される場合、円筒形側壁3113は、上側ハウジング2114の円筒形突起2809を案内し保護する。一実施例では、ここで説明されるように、力が楔3202Rや別の楔によって加えられる場合、支承面3111Bは、楔用区画2802から、付勢部材3302又は4302の一方が垂直方向に位置からはずれる動きを制限する力をある程度供給する。下側ハウジング2116は、また楔3202Rや別の楔より加えられる力に応じて、楔用区画2802の両端やその楔用区画内に、付勢部材3302又は4302の横方向に位置からはずれる動きを制限する支承突起3114を有するとよい。
【0139】
例えば、支承面3111B、並びに恐らく支承突起3114も、付勢部材3302の板ばね3350ではなくボディ3304の移動を制限する。付勢部材3302は図37に示され、図に関して下記に述べられる。ここで、セキュリティタグ2100が係止状態になるように、楔3202Rがタックシャフト2106の有する力によって回転及び/または別の動作を強要される場合、板ばね3350に対して楔3202Rから適用される合成のトルクや別の力は、板ばね3350を回転し、屈曲し、曲げ、前述の3個の動作のある組合せで移動し、及び/または他の方法で移動させる。そして、それは楔3202Rの上の対抗する力と同様に適用する。しかしながら、支承面3111Bおよび支承突起3114が、セキュリティタグ100に関して説明された別の対応する表面も考慮に加えて、楔3202Rの力を垂直抗力や摩擦力等で相殺するので、ボディ3304はほとんど移動しないように制限される。
【0140】
セキュリティタグ2100のタック保持システムは、楔3202Rや使い捨て型楔のような楔と付勢部材とを備える。ここで、使い捨て型楔は、下記に述べられるように、突起3221R、3222Rの有無にかかわらず楔3202Rのようなものである。付勢部材は、上述された付勢部材1302や、以下で説明する付勢部材3302、4302の任意の実施例のようなものである。
【0141】
図36は、一実施形態によるセキュリティタグ2100用のタック保持システムの楔3202Rの斜視図を示す。楔3202Rは、再利用可能型タック保持システムに用いられ、したがって、楔1202Rを含むセキュリティタグ100のタック保持システム実施例に関して上述されたように、再利用可能型セキュリティタグ2100向けである。楔1202に関してここで記載されたように、楔3202Rは磁気的に引きつけられてもよく、及び/または、鉄、ニッケル、コバルトや、鉄、ニッケル、コバルトの合金から作られるような磁性材料により、楔3202Rが構成され、又は成形される。例えば、一実施例では、楔3202Rは、鍛えられた炭素鋼のような鋼を含んでいる。別の実施例では、楔3202Rは1つ以上の磁性材料、更にまた1つ以上の非磁性体を含んでいる。
【0142】
様々な実施例において、楔3202Rの構成要素3203R、3205R、3207R、3209R、3211R、3214R、3215R、3216R、3217R、3221Rおよび3222Rは、それぞれ楔1202Rの1203R、1205R、1207R、1209R、1211R、1214R、1215R、1216R、1217R、1221Rおよび1222Rに対応している。
【0143】
しかしながら、一実施例において、楔の側面3211R、3214Rはタック保持部分の方へ次第に細くなる。タック保持部分は、縁が形成された表面に沿って、楔3202Rの1つ以上の縁を含み、当該縁はタックリップ2107と係合し、それはセキュリティタグ2100が係止状態である場合、タック2102のタック溝2108とはたぶん別の面である。そのような先細の具体例として、楔の側面3211R、3214Rはそれぞれ本質的に平面の部分3211AR、3214ARと、本質的に平面の部分3211BR、3214BRを有する。ここで、平面の部分3211AR、3214ARは、互いに平行か、又は平行に近い。また、平面の部分3211BR、3214BRは、タック保持部分の方へ次第に細くなっている。別の実施例では、上記の図12Aで示される楔1202Rの楔の側面1211R、1214Rのように、楔の側面3211R、3214Rは本質的に平行でもよく、また他の形態で形成されてもよい。
【0144】
別の実施例では、楔3202Rの傾斜面3209Rは、面3205Rと縁を形成しない(図12Aで示される楔1202Rの実施例中の楔表面1205と傾斜面1209Rの交差によって形成されたタック保持縁1213Rと異なる)。代わりに、楔3202Rは傾斜面3223Rを有してもよい。傾斜面3223Rは、面3205Rから傾斜面3209Rの縁3213Rまで、又はその近くまで延びてもよい。
【0145】
例えば、一実施例では、傾斜面3223Rは面3205Rと縁3226Rの間まで拡張する。前側側面3228Rは縁3213Rと縁3226Rの間に伸び、楔面3203R、3205R、3211ARおよび3214ARの1つ以上と垂直又は垂直に近い状態であり、および/又は3207Rと平行か並行に近い状態である。面3209Rはタック保持部分上で第1の面取りを形成する。面3223Rは第2の面取りを形成する。また、タック保持部分の前側側面3228Rはこれらの面取りの間に伸びて、タック保持縁3213Rおよび3226Rによって制限されてもよい。図43の実施例で示すように、セキュリティタグ2100とタックアセンブリ2102が「係止状態」(locked condition)である場合、2つの面取りを有するこのタック保持部分は、少なくとも部分的にタックアセンブリ2102のタックシャフト2106の溝2108へ伸びている。係止状態では、2つの面取りがあるタック保持部分は、その溝2108のリップ2107と隣接している。例えば、一実施例では、タック保持部分の縁3213Rはそのリップ2107に接する。その実施例では、縁3226Rは、溝2108のリップ2107とリップ2109の間に伸びる溝2108面に接している。
【0146】
別の実施例では、2つの面取りは縁で会う。したがって、縁3213R、3226R等と交差する面取り面3209Rと面取り面3223Rは一致し、タック保持部分は断面において三角形である。そのような場合、図12Aのタック保持縁1213Rに関して説明されるように、同時に形成された縁は、係止状態のタック溝2108のリップ2107に隣接して位置する。
【0147】
別の実施例では、楔面3209R、3223R、3228Rが一体に湾曲タック保持部分を形成するように、縁3213R、3226Rは角が取れている。
【0148】
一実施例では、楔面3209R、3223Rを含む楔3202Rは、楔面3203R、3205Rに平行であって等距離の平面に本質的に対称的で、また楔面部分3211AR、3214ARにも平行であって等距離の平面に本質的に対称的である。この楔3202Rの実施例はここに「対称的な楔」と呼ばれる。様々な実施例では、この対称性は、3類型の前述のタック保持部分(面取り、三角形、湾曲)うち任意の類型を有する楔3202Rや、対称性先細の楔面3203R/3205Rや3209R/3223Rのような、対称性を保持するタック保持部分の任意の構成を有する楔3202Rに適用できる。例えば、実施例では、3209Rと3223Rは含まれず、また、3203Rと3205Rは前側側面3228Rに向かって、あるいは一致する縁になるように先細になる。
【0149】
別の実施例では、楔3202Rはただ1個の面取り、即ち面3223Rを有する。この実施例では、楔3202Rが楔面3209Rを有しないように、タック保持部分の前側側面3228Rが面3203Rまで延び、単一のタック保持縁3213Rが面3228Rと面3203Rによって形成される。
【0150】
別の実施例では、楔3202Rは、楔面3209R、3223Rの一部分によって2つのタック保持縁3213R、3226Rを形成する。この楔面3209R、3223Rの一方又は両方が面取りでないが、しかし凹面、凸面、凹面と凸面の組合せのような湾曲面でもよく、または少なくとも表面の一部を形成する別の湾曲面も含まれる。前側側面3228Rは、平面でもよく、また本実施例や前述の実施例中の任意の類型の湾曲面でもよい。別の実施例では、楔3202Rは、面3228R、3203Rによって形成される一個のタック保持縁3213Rを有する。ここで、面3228R、3203Rの一方又は両方の表面は湾曲面である。
【0151】
様々な実施例では、使い捨て型用のタック保持システムは、使い捨て型用の楔を有する。使い捨て型用の楔は、楔1202Sや楔3202Rを含むタック保持システムの実施例に関して上述されている。使い捨て型楔は、突起3221R、3222Rの有無にかかわらず、上述の説明された楔3202Rの実施例を含む。使い捨て型楔が突起3221R、3222Rを有する楔3202R(即ち、楔3202R)の実施例では、セキュリティタグ2100のタック保持システムの中で使用される付勢部材は、セキュリティタグ2100の上側ハウジング2114中のそれぞれの凹部2822、2821から外れるような突起3221R、3222Rの移動を制限する別の構成要素や位置決め部材を有しない。
【0152】
したがって、例えば、下記に述べられる図37に示される付勢部材3302を含むセキュリティタグ2100では、一実施例として、付勢部材3302は位置決め部材3336A、3336Bを有しない。または、例えば図46から図48の実施例中で示されるように、これらの構成要素は、それぞれの凹部2822、2821からの楔3202Rの突起3221R、3222Rの移動を制限しないように形成され、及び/又は位置決めされる。下記に述べられる図38に示される付勢部材4302を含むセキュリティタグ2100では、付勢部材4302は位置決め部材4336A、4336Bを対応して除外してもよく、また形状を変更してもよい。
【0153】
図37は、一実施形態による楔3202R又は使い捨て型楔(それは突起3221R、3222Rの有無にかかわらず楔3202Rを含む)のどちらかを有するタック保持システムに含まれる付勢部材3302の斜視図を示す。付勢部材3302は、支持ボディ3304、一個以上の位置決め部材3335、3336A、3336B、並びに板ばね3350と同一またはこれを有する付勢部分を有する。
【0154】
付勢部材3302は、鋼、別の単一金属、別の複数の金属等の金属や、非金属や複数の非金属を含有する。別の実施例では、例えば、付勢部材3302はプラスチック、ゴム、あるいは、金属、ゴム及び/又はプラスチックの組合せを含有する。別の実施例では、付勢部材3302は楔3202Rと共に形成され、付着させ、一体化され、または他の方法で固定されてもよく、楔3202Rの材料の1個以上で形成されてよく、形成されなくてもよい。
【0155】
付勢部材3302の支持ボディ3304は、少なくとも、部分的に長方形の正面3304A及び背面3304Bがある薄い平坦部である。正面3304A及び背面3304Bは各々第1の側3306、第2の側3308、天井端部3310および底部端3312を共有する。実施例では、天井端部3310は陥凹部3310A、3310Bを有し、及び/又は、底部端3312は陥凹部3312A、3312Bを有する。
【0156】
位置決め部材3335は天井端部3310又はこの近くの支持ボディ3304から伸び、陥凹部3310Aと陥凹部3310Bの間から伸びていてもよい。陥凹部3310Aと陥凹部3310Bの間の位置決めは一定の柔軟性をもたらし、陥凹部3310A、3310Bの近くの位置決め部材3335の一部に別の特性をもたらす。陥凹部3310A、3310Bは、別の実施例の中で要望通り変更されてもよく省略されてもよい。
【0157】
位置決め部材3335はセキュリティタグ2100が組み立てられる場合に、ハウジング2113の一部に一致するように形成される。例えば、一実施例では、付勢部材3302の側面3308から見た場合に、位置決め部材3335には丸いか、他の方法で曲がったコーナーを有する少なくとも、部分的に大文字「L」断面状の部分を有する。セキュリティタグ2100が組み立てられる場合、位置決め部材3335は、楔用区画2802の後壁2803Dおよび突起2809の天面2814の両方の一部に少なくとも隣接して位置してもよい。これは、図40の実施例の中で示され、以下で述べられる。
【0158】
位置決め部材3336A、3336Bが、底部端3312又はこの近くの支持ボディ3304から延び、或いは第1の側3306と第2の側3308のそれぞれ又はこの近くの底部端3312の部分から延びてもよい。
【0159】
セキュリティタグ2100が組み立てられる場合に、ハウジング2113の一部に一致するように、位置決め部材3336A、3336Bが各々形成されてもよい。例えば、一実施例では、付勢部材3302の側面3308から見た場合に、位置決め部材3336A、3336Bは各々少なくとも部分的に丸いか、他の方法で曲がったコーナーを有する「L」断面状部分を有する。セキュリティタグ2100が組み立てられる場合、位置決め部材3336Aは、楔用区画2802のポケット側壁2803I、2803Hの各々の部分に少なくとも隣接して位置する。また、位置決め部材3336Bも、楔用区画2802のポケット側壁2803F、2803Gの各々の部分に少なくとも隣接して位置する。これは、図40の実施例の中で示され、以下で述べられる。位置決め部材4335A、4335Bおよび4336A、4336Bは、組立品中に付勢部材3302の位置決めを容易にし、またセキュリティタグ2100の使用の間の付勢部材4302に対して支持を行い、また移動を制限する。
【0160】
一実施例において、セキュリティタグ2100が組み立てられる場合、位置決め部材3336A、3336Bは楔用区画2802の凹部2821、2822の各々に対して少なくとも部分的に位置決めする。楔3202Rを有する組立てられたセキュリティタグ2100では、位置決め部材3336A、3336Bは、このように各々の凹部2821、2822からの楔突起3221R、3222Rの移動を制限する。このような制限は、取り外しデバイス(detacher)を使用せずに、タック保持システムを無力にすることの困難さを増加させる。
【0161】
別の実施例では、位置決め部材3335および3336A、3336Bは、突起、凹部、表面、或いは位置決めを容易にし、また支持に供されるような別の形状等に部分的にあるいは完全に置換され、変更され、及び/又は補完される。これらは、さらにセキュリティタグ2100の使用の間に付勢部材3302の移動を制限する。位置決め部材はスプリング状で、及び/又は別の特性を有してもよい。凹部2821、2822は特定の実施例の位置決め部材あるいは構成要素を収容するために相応して形成される。
【0162】
一実施例では、付勢部材3302の付勢部分は板ばね3350である。楔3202Rがタックアセンブリ2102の溝2108と係合する状態である係止状態に向かい、そして係止状態に組立てられたセキュリティタグ2100で、板ばね3350が楔3202Rや使い捨て型楔(突起3221R、3222Rの有無にかかわらず、楔3202Rを含む)を付勢するように構成される。この関係は、図1から図31に示し、セキュリティタグ102の楔1202やスプリング1302の実施例に関して上に説明されたものと同様である。板ばね3350も、商品からセキュリティタグ2100を取り除くための多くの又は大部分の無許可の試み(例えば、この中で説明された「激突」によって、タックを引っ張ること等)を随伴する一連の力によって係止状態から楔3202Rを移動させることに抵抗するように構成される。しかしながら、板ばね3350は、一実施例として図6、図7の磁気取り外しデバイス602のような取り外しデバイスからの力のように、より高い一連の力により、板ばね3350の付勢に対抗して、係止状態から楔3202Rを移動させることを許容するように構成される。この関係は、図1から図31に示し、セキュリティタグ102の楔1202やスプリング1302の実施例に関して説明されたものと同様である。また、図1から図31のスプリング1302やセキュリティタグ102の他の構成要素に関して説明したように、板ばね3350の希望の特性は、板ばね3350と一個以上の楔3202R又は別の楔、ハウジング2113、またセキュリティタグ・システムの中で使用される磁気取り外しデバイス602あるいは別の取り外しデバイスの特性や相対的な位置決めに依存する。
【0163】
一実施例では、板ばね3350は底部端3312又はこの近くに支持ボディ3304から延びてもよく、また陥凹部3312Aと陥凹部3312Bの間から延びてもよい。板ばね3350は、付勢部材3302の側面3308から見た場合に、丸いか、他の方法で曲がったコーナーを有する少なくとも部分的に「L」断面状部分を有する。セキュリティタグ2100が組み立てられる場合、図40の実施例に示すように、板ばね3350の少なくとも一部が、楔3202Rの少なくとも一部に隣接するように位置していてもよい。また、例えば、突起3221R、3222Rの有無にかかわらず、使い捨て型楔に対応してもよい。陥凹部3312Aと陥凹部3312Bの間の位置決めと、板ばね3350の形状と大きさが、板ばね3350のスプリング力や別の特性をもたらす。凹部及び/又は形状と大きさは、板ばね3350の希望の特性に基づいた様々な実施例の中で変更されてもよいし省略されてもよい。例えば、様々な実施例では、関連する取り外しデバイスの磁力特性に基づいて、長さ、幅および厚さの1つ以上が変更される。
【0164】
図38は、一実施形態による、楔3202Rと使い捨て型楔(突起3221R、3222Rの有無にかかわらず、楔3202Rを含む)のどちらかを有するタック保持システムに含まれる付勢部材4302の斜視図を示す。付勢部材4302は、支持ボディ4304、一個以上の位置決め部材4335A、4335Bおよび位置決め部材4336A、4336B、板ばね4350又はこれを含む付勢部分を有する。
【0165】
付勢部材4302にはプラスチックを含む。例えば別の実施例では、付勢部材4302は金属、ゴム、あるいは金属、ゴム及び/又はプラスチックの組合せを含む。
【0166】
付勢部材4302の支持ボディ4304は、少なくとも、部分的に長方形の正面4304Aおよび背面4304Bを有する部分があり、また、第1の側面4306、第2の側面4308、天井端部4310および底部端4312がある。支持ボディ4304は、支持ボディ4304に隣接した部分に関して角のある部分4304C、4304Dを有する。それらの隣接した部分は、支持ボディ4304の中央の部分4304Eの一方の側の正面4304Aに「ステップ」を形成するように平行又はこれに近くなっている。
【0167】
位置決め部材4335A、4335Bが支持ボディ4304の背面4304Bから延びている。セキュリティタグ2100が組み立てられる場合に、位置決め部材4335A、4335Bはハウジング2113の一部に一致するように形作られる。例えば、一実施例の中で、位置決め部材4335A、4335Bは凸面の突起である。この突起は、ハウジング2113の楔用区画2802の後壁2803Dの後壁部分2804A、2804Bによって形成された凹部に一致するもので、図41の実施例の中で示され、下で議論される。
【0168】
位置決め部材4336A、4336Bは、第1の側面4306と第2の側面4308に沿って支持ボディ4304からそれぞれ伸び、セキュリティタグ2100が組み立てられる場合に、ハウジング2113の一部に一致するように形作られる。例えば、一実施例では、位置決め部材4336A、4336Bは各々支持ボディ4304の中央部分4304Eまでほぼ垂直に延長してもよい。セキュリティタグ2100が組み立てられる場合、位置決め部材4336Aは楔用区画2802のポケット側壁2803I、2803Hの各部分に少なくとも隣接して位置し、位置決め部材4336Bは、楔用区画2802のポケット側壁2803F、2803Gの各部分に少なくとも隣接して位置する。これは、図41の実施例の中で示され、下記に述べられる。位置決め部材4335A、4335Bおよび位置決め部材4336A、4336Bは、組立品中に付勢部材3302の位置決めを容易にし、またセキュリティタグ2100の使用中の付勢部材4302を支持し、また移動を制限する。
【0169】
一実施例の中で、再利用可能型セキュリティタグ2100が組み立てられる場合、位置決め部材4336A、4336Bは、凹部2822、2821の少なくとも部分的に覆う状態で其々位置し、したがって楔3202Rの突起3221R、3222Rの移動を制限する。この関係は、図41の実施例の中で示され、また図37と図40の付勢部材3302の位置決め部材3336A、3336Bに関して説明される。
【0170】
実施例では、付勢部材4302の付勢部分は板ばね4350である。板ばね4350は、組立てられたセキュリティタグ2100の中で、楔3202Rや使い捨て型楔(突起3221R、3222Rの有無にかかわらず、楔3202Rを含む)に対して適切な付勢をするように構成され位置決めされる。この関係は、図37と図40の付勢部材3302の板ばね3350に関して説明された。一実施例では、板ばね4350は底部端4310又はこの近くの支持ボディ4304から伸びて、少なくとも、部分的に長方形の平坦形状である。
【0171】
様々な別の実施例では、付勢部材3302又は付勢部材4302は、上側ハウジング2114の楔用区画2802内に少なくとも部分的に適合し、かつその中で頑丈に固定されるように他の方法で構成される。例えば、付勢部材3302又は付勢部材4302は、位置決め部材やハウジング2113とは別の支持ボディなしで、それぞれ板ばね3350又は板ばね4350のような、付勢部分を専ら有してもよい。代わりに、板ばね3350又は板ばね4350は、壁2803の一部のようなハウジング2113の一部の終端と一体化され、又は他の方法で頑丈に固定されてもよい。別の実施例では、付勢部材3302又は付勢部材4302の一方の1個以上の位置決め部材は変更されてもよいし省略されてもよく、あるいは、別の位置決め部材が加えられてもよい。
【0172】
例えば、一実施例では、付勢部材3302はセキュリティタグ2100のハウジング2113と一体化している。それ故、支持ボディ3304はハウジング2113又はこの一部でもよく、この場合には、位置決め部材3335、3336A、3336Bは付勢部材3302から除外される。付勢部材3302の板ばね3350は、ハウジング2113の後壁2803Dから伸びる板ばねである。
【0173】
図39は、一実施形態によるセキュリティタグ2100に対して挿入された楔3202Rを有する上側ハウジング2114の内部の部分投影図を示す。この実施例では、突起3221R、3222Rが凹部2822、2821内にそれぞれ少なくとも部分的に配置されるように、タック保持システムの楔3202Rが楔用区画2802に配置される。楔3202Rのタック保持部分は、縁3226Rと縁3213Rの一方又は両方、及び/又は楔面3209R、3223R、3228Rの一個以上とのように、係止状態で挿入されたタックアセンブリ2102の溝2108のリップ2107と係合するように位置決められる。
【0174】
上記の実施例に説明されたように、楔3202Rが対称性の実施例において、楔3202Rは、突起3221R、3222Rが凹部2821、2822内にそれぞれ少なくとも部分的に配置される、「反転」(flipped)位置関係にあってもよい。これにより、組立品における間違いがより少なくなる。そのような対称は、また楔3202Rの製作を単純化する。
【0175】
楔の使い捨て型実施例(突起3221R、3222Rの有無にかかわらず、楔3202Rを含む)では、一方の凹部2821、2822内に楔の何れの部分も配置されない類型を除いて、楔は同様に位置決めされる。使い捨て型楔は、以下の図40、図41の実施例のどちらかの楔3202Rに代用される。
【0176】
図40は、一実施形態によるセキュリティタグ2100に対して挿入された、楔3202Rおよび付勢部材3302を有する上側ハウジング2114の内部の部分投影図を示す。この実施例に示されるように、付勢部材3302は楔3202Rに隣接して、そして楔用区画2802の壁2803の内に緊密に位置決めされる。そのような位置決めは、それぞれの凹部2822、2821からの楔3202Rの突起3221R、3222Rの移動を制限する。付勢部材3302は、セキュリティタグ2100の動作中に少なくとも突起3221R、3222Rに関する楔3202Rの回転運動を可能にする。この関係は、セキュリティタグ100の凹部821、822と、楔1202Rのアクセル突起1221R、1222Rに関して、上述されている。
【0177】
図41は、一実施形態によるセキュリティタグ2100に対して挿入された、楔3202Rおよび付勢部材4302を有する上側ハウジング2114の内部の部分投影図を示す。この実施例の中で示されるように、付勢部材4302は楔3202Rに隣接して、そして楔用区画2802の壁2803の内に緊密に位置決めされる。付勢部材4302は、それぞれの凹部2822、2821からの楔3202Rの突起3221R、3222Rの移動を制限してもよいが、セキュリティタグ2100の動作中に少なくとも突起3221R、3222Rに関する回転運動を可能にする。この関係は、セキュリティタグ100の凹部821、822と、楔1202Rのアクセル突起1221R、1222Rに関して、上述されている。
【0178】
図42は、一実施形態による楔3202Rおよび付勢部材3302を含むタック保持システムとタック2102を有する再利用可能型セキュリティタグ2100の第1の部分断面図を示すもので、断面は図32のD−D線に沿って得られている。図42は、タックアセンブリ2102のタックシャフト2106がタック穴2807へ部分的に差し込まれているが、まだ楔3202Rに接していない点で、図14に対応している。タック保持システムは原位置中での休止状態にある。楔3202Rは、楔角θ1で付勢部材3202の板ばね3350に付勢される。そこで、面3205Rが楔止め2902上にあり、縁3216Rが頂壁2808Aの傾斜した面2808aの上にある。楔角θ1は、図14の実施例中の大略22°やφのような角度であるが、別の角度でもよい。一実施例では、頂壁2808Aは傾斜した面2808aを有しない。楔突起3221R、3222R(図示せず)が、それぞれの凹部2822、2821(図示せず)に拘束されているが、しかし、回転し、平行移動し、回転と平行移動のある組合せや、凹部2822、2821内での他の移動が許容される。
【0179】
図43は、一実施形態による楔3202Rおよび付勢部材3302を含むタック保持システムとタック2102を有する再利用可能型セキュリティタグ2100の第2の部分断面図を示すもので、断面は図32のD−D線に沿って得られている。図43は、タック溝2108が楔3202Rのタック保持部分に隣接するように、タックアセンブリ2102のタックシャフト2106がタック穴2807にさらに挿入される点で、図17に対応している。タックの保持する部分は、上述されたように、1個以上の面取りを有するもので、楔面3209R、3223R、3228R並びにそれらの共通の縁3213R、3226Rを含む。この点では、付勢部材3302の板ばね3350は、タック溝2108へ楔3202Rの面取りされたタックを保持する部分を少なくとも部分的に押し付ける。セキュリティタグ2100からタックアセンブリ2102を引っ込ませる攻撃は、楔3202Rにより防止されるか、より困難になる。その理由は、縁3213R、3226Rが、溝リップ2107の交差に隣接する位置と、付勢部材3302の板ばね3350によって、タック溝2108のリップ2107とリップ2109の間の面に付勢される為である。従って、タック2102がタグ2100から抜き取られることを抑止する。この点では、再利用可能型タック保持システムは係止状態である。
【0180】
図44は、一実施形態による楔3202Rおよび付勢部材3302を含むタック保持システムとタック2102を有する再利用可能型セキュリティタグ2100の第3の部分断面図を示すもので、断面は図32のD−D線に沿って得られている。この実施例では、ハウジング2113は、楔3202Rが停止部5000を行過ぎて回転しないように、楔3202Rを制限する停止部5000を有する。図6、図7の磁気取り外しデバイス602の磁力あるいは別の取り外しデバイスによって、楔3202Rが係止状態を離れるように移動する。そして、停止部5000は、隣接した楔3202Rの移動によって引き起こされるスプリング3350の曲げを低減する。上述したように、その後の使用にわたって、その曲げの制限によって、スプリング3350は、楔3202Rに希望の付勢力を付与するためにその特性を維持又はほぼ維持してもよい。
【0181】
図45は、一実施形態による楔3202Rと付勢部材の3302を含むタック保持システムがある、再利用可能型セキュリティタグ2100とタック2102の部分断面図を示すもので、断面は図32のE−E線に沿って得られている。この図は、上に説明されたように、位置決め部材3336Aが少なくとも部分的に凹部2822を覆うように位置して、凹部2822を離れる楔突起3221Rの移動を制限する実施例についての別の見方を示す。
【0182】
図46は、タック2102とタック保持システムを有する使い捨てのセキュリティタグ2100の第1の部分断面図を示すもので、断面は図32のD−D線に沿って得られている。この実施例では、タック保持システムは使い捨て型楔(突起3221R、3222Rの有無にかかわらず、楔3202R)および付勢部材3302を含んでいる。例えば、実施例では、タック保持システムは使い捨て型楔として楔3202R(つまり突起3221R、3222Rを有する)を有し、また、付勢部材3302は位置決め部材3336A、3336Bを有しない。図46に示される実施例では、付勢部材3302は位置決め部材3336A、3336B(3336Aは図示せず)を有する。しかし、図37の実施例と比較して、天井端部3310に接近している付勢部材3302の一部から伸びるように、位置決め部材3336A、3336Bが位置決めされている。そのような位置では、位置決め部材3336A、3336Bは、それぞれのハウジング凹部2822、2821を離れるような楔突起3221R、3222Rの移動を制限しない。位置決め部材3336A、3336Bは、他の方法で、楔突起3221R、3222Rがそれぞれの凹部2822、2821から転出することを許容するように位置し、及び/又は形作られる。図38に示し説明したように、付勢部材4302を使用するセキュリティタグ2100の実施例の中で、付勢部材4302の位置決め部材4336A、4336Bは、使い捨て型楔3202Rの楔突起3221R、3222Rがそれぞれの凹部2822、2821から出るように動くことを許容するように除外され、位置し、及び/又は形作られる。
【0183】
使い捨て型楔は、付勢部材3302の板ばね3350によって、原位置に対して楔角θ2で付勢される。ここで、楔角θ2は楔角θ1の楔3202Rの位置に対応している。その結果、面3205Rが元来楔止め2902上にあり、縁3216Rが頂壁2808の傾斜した面2808aの上にある (位置は図示しないが、しかし図42の楔3202Rの位置に対応している)。楔角θ1は、図14の実施例中の大略22°やφのような角度であるが、別の角度でもよい。他の実施例では、頂壁2808Aは傾斜した面2808aを有しない。
【0184】
一実施例では、タックアセンブリ2102は、磁気取り外しデバイス(例えば602)の使用を通じて使い捨てのタック保持システムで実現されるように、セキュリティタグ2100から取り出されてもよいし取り外されてもよい。この関係は、例えば、タックアセンブリ102とセキュリティタグ100に関して上に説明されている。したがって、セキュリティタグ2100からタックアセンブリ2102を取り外すために、セキュリティタグ2100は磁気取り外しデバイス602に据え付けられ、又はほとんど着座している。取り外しデバイス602は、枢軸側面3207Rに関する回転運動、平行移動運動、回転および平行移動運動のある組合せ、及び/又は停止部5110を通り越したり、係止状態を離れる別の動きによって、付勢部材3302の板ばね3350に対抗すべく使い捨て型楔を磁気的に強制する。使い捨て型楔は、タックシャフト2106又は停止部5110によって係止解除状態となり、図示するように、さらに部分的にトラップ空洞5100の上の位置からトラップ空洞5100内の位置へ磁気的に強制される。トラップ空洞5100は空洞あるいは下側ハウジング2116の別の陥凹部である。トラップ空洞5100は、形において少なくとも、部分的に立方形でもよく、また使い捨て型楔の少なくとも一部分を収容するために他の方法で形作られてもよい。
【0185】
図47は、図46の実施例の第2の部分投影図を示す。使い捨て型楔はトラップ空洞5100へ磁力によってさらに移動しており、一旦セキュリティタグ2100が取り外しデバイスから取り除かれたならば、この位置又はほぼこの位置に止まる(図48に関して下記に述べられるように、外力のない状態では)。
【0186】
図48は、図46の実施例の第3の部分投影図を示す。使い捨て型楔は、磁力によってトラップ空洞5100の中への移動を完了し、セキュリティタグ2100は取り外しデバイス602から取り除かれる。もはや取り外しデバイス602が付勢部材3302の板ばね3350に対抗して使い捨て型楔を付勢しないので、板ばね3350はトラップ空洞側壁5100Aに対して楔を付勢する。使い捨て型楔に適用された外力(例えば、ここに説明されるような「激突」によって引き起こされたもの、重力、その他)は、部分的な平行移動、部分的な回転、及び/又は別の移動等の、トラップ空洞5100を離れる方向に楔を移動させる傾向を有する。一実施例では、ハウジング2113は楔捕らえ部5120を有する。これは、枢軸側面3207Rの近くの一部のような使い捨て型楔の一部を収容するために形作られた空洞又は別の凹部である。説明したように、使い捨て型楔がトラップ空洞5100を外力により離れて移動中に、楔捕らえ部5120はこの楔部分を収容する。使い捨て型楔は、トラップ空洞5100と楔捕らえ部5120の両方内に少なくとも部分的に配置され、板ばね3350によってそのままの状態を保持するように付勢されている。従って、この使い捨て型楔は、もはや係止状態でタックアセンブリ2102のタックシャフト2106と係合することができなくなり、セキュリティタグ2100を作動不能にする。
【0187】
セキュリティタグ2100に関して上に説明された使い捨て型か再利用可能型の実施例のうちのどれでも、タック保持システムは、付勢部材3302、4302の代用物を有する。図49から図53は様々な他の実施例を示す。これらの他の実施例では、楔は図の中で楔3202Rであると確認される。しかしながら、図49から図53のうちの1つの特別のセキュリティタグ6100、7100、8100、9100、10100が使い捨て型向けである実施例では、突起3221R、3222Rの有無にかかわらず使用される楔は楔3202Rである。これが適用可能であるなら、それぞれのハウジング凹部2822、2821を離れる突起3221R、3222Rの動きを許容するように、その対応する付勢部材6350、7350、8350、9350、10350等のセキュリティタグの別の部分が、適切に形作られ及び/又は位置する。上述の形作り及び/又は位置決めは、楔3202R(突起3221R、3222Rの有無にかかわらず)と付勢部材3302、4302を使用する使い捨て型タック保持システムに関して上に説明された通りである。
【0188】
図49は、付勢部材の他の実施例を有するセキュリティタグ6100とタック2102の部分断面図を示すもので、断面は図32のD−D線に沿って得られている。セキュリティタグ6100の別の部分は図示されないが、セキュリティタグ2100のそれと同一又は類似の構成要素を有している。この点は、下記に述べられるセキュリティタグ7100、8100、9100および10100も同様である。
【0189】
この実施例では、タック保持システムは、楔曲げ要素6350である付勢部分を有する付勢部材6302を含む。楔曲げ要素6350は、楔3202R(突起3221R、3222Rを含んでいても)、又は枢軸側面3207Rに関する使い捨て型の楔の自由な回転運動を阻む。楔曲げ要素6350は、一実施例としては、薄いプラスチック部材である。楔曲げ要素6350は、壁3111Bあるいは別の壁から突出していて、セキュリティタグ2100のハウジング2113と一体でもよく、また他の方法で堅固に固定されていてもよい。一実施例としては、楔曲げ要素6350は下側ハウジング2116と一体化している。
【0190】
タックシャフト2106がセキュリティタグ2100に差し込まれて、楔3202Rと接触する場合に、タックシャフト2106の溝2108と係合した係止状態の方へ楔3202Rが付勢されるように、楔曲げ要素6350は、楔3202Rを楔曲げ要素端面6350Aのまわりで屈曲させる。取り外し中に、タックアセンブリ2102がセキュリティタグ6100から取り除かれるように、磁気取り外しデバイス602あるいは別の取り外しデバイスは、溝2108を離れるように楔3202Rをさらに曲げる。セキュリティタグ6100が取り外しデバイスから取り除かれる場合、セキュリティタグ6100が再使用されるように、楔3202Rが回復力のある材料で作られており、及び/又は形作られた場合、楔3202Rはその最初の形又はそれに近い形状に戻る。その材料が回復力のない実施例では、楔3202Rは曲げられたままで、セキュリティタグ6100は使い捨て型向けである。
【0191】
セキュリティタグ6100の別の実施例では、楔3202Rは突起3221R、3222Rの有無にかかわらず、その対応する使い捨て型楔と置換される。または、力の下で楔曲げ要素6350のまわりで曲がり、かつ係止状態でタックシャフト2106と係合するように構成された別の楔を使用してもよい。
【0192】
図50は、付勢部材の別の実施例があるセキュリティタグ7100とタック2102の部分断面図を示すもので、断面は図32のD−D線に沿って得られている。この実施例では、タック保持システムは、ねじりばね7350である付勢部分を有する付勢部材7302を含んでいる。付勢部材3202の板ばね3350に関して説明されたように、ねじりばね7350は、係止位置へ楔3202R又は別の楔を付勢する。ねじりばね7350はハウジング2113と一体でもよく、また堅固に固定されてもよい。あるいは、ねじりばね7350以外の付勢部材7302の一部の移動を抑止するために、ねじりばね7350は楔用区画2802に他の方法で構成され、及び/又は配置されてもよい。
【0193】
図51は、付勢部材の別の実施例を有するセキュリティタグ8100とタック2102の部分断面図を示すもので、断面は図32のD−D線に沿って得られている。この実施例では、タック保持システムは、板ばね8350である付勢部分を有する付勢部材8302を含んでいる。この板ばね8350は、ハウジング2113に固定され、係止状態の方へ楔3202R又は別の楔を付勢する曲がった端を有する。板ばね8350は、例えば、下側ハウジング2116内に埋設され、及び/又はエポキシ樹脂によって固定され、或いは他の方法で固定されることで、ハウジング2113に堅固に固定されている。
【0194】
図52は、付勢部材の別の実施例とタック2102を有するセキュリティタグ9100の部分断面図を示すもので、断面は図32のD−D線に沿って得られている。この実施例では、楔3202Rあるいは別の楔に付勢力を提供するために、付勢部材8302の板ばね8350は付勢部材9302の線バネ9350A、9350Bと置換される。線バネは、様々な実施例の中で示されるもの以外の様々な形から作られてもよい。
【0195】
図53は、付勢部材の別の実施例とタック2102を有するセキュリティタグ10100の部分断面図を示すもので、断面は図32のD−D線に沿って得られている。この実施例では、セキュリティタグ10100の楔3202Rあるいは別の楔に付勢力を提供するために、付勢部材8302の板ばね8350は付勢部材10302の圧縮バネ10350と置換される。圧縮バネ10350は、一体化、エポキシ樹脂及び/又は摩擦によって堅固に固定され、あるいは別の確保手段等によって、バネ金具10360で楔3202Rに固定されてもよく、あるいはそれに固定されなくてもよい。
【0196】
図54から図56に示されるように、別の実施例の中で、セキュリティタグ11100は再設定可能でもよい。これら図中のセキュリティタグ11100は、この実施例の楔捕らえ部5120が案内傾斜路11120と置換された以外は、図46から図48のセキュリティタグ2100の実施例と同様である。案内傾斜部11120は上側ハウジング2114の曲線部でもよく、下記に述べられ図56に示されるように、その原位置に対して行ったり来たりする楔3202Rの移動を案内するために、様々な実施例の、楔3202Rが接触し滑ってもよい一個以上の傾斜した部分である。例えば、そのような実施例の一つでは、以下に説明されるように、楔3202Rの楔突起3221R、3222Rの一つが、セキュリティタグ11100の動作中に楔3202Rの移動の間の傾斜に沿って滑るように、案内傾斜部11120は各々位置合わせした2個の傾斜を有する。
【0197】
図54は、一実施形態による切除可能なセキュリティタグ11100およびタック2102の第1の部分断面図を示すもので、断面は図32のD−D線に沿って得られている。図54に示されるセキュリティタグ11100は図46のそれに対応しており、楔3202Rは取り外しデバイスからの磁力によって、その原位置を離れて部分的にトラップ空洞5100内の位置へ移動する。
【0198】
図55は、一実施形態による再設定可能なセキュリティタグ11100およびタック2102の第2の部分断面図を示すもので、断面は図32のD−D線に沿って得られている。図55のセキュリティタグ2100は図47のそれに対応しており、楔3202Rがトラップ空洞5100へさらに移動したものである。
【0199】
図56は、一実施形態によるセキュリティタグをリセットするための再設定可能なセキュリティタグ11100および磁気デバイス11300の第3の部分断面図を示すもので、断面は図32のD−D線に沿って得られている。この実施例では、顧客の現場か工場等で、楔3202Rは、磁気デバイス11300の力によって、図55の楔3202Rの位置からリセットされる。磁気デバイス11300は、図示されるような楔3202Rの原位置に楔3202Rの移動を引き起こし、その結果、楔3202Rが再び使用可能になる。この移動は、案内傾斜部11120及び/又は別の移動に沿った楔3202Rの滑りを含む。
【0200】
上述された一個以上のセキュリティタグ実施例、即ちセキュリティタグ2100の実施例に加えてセキュリティタグ6100、7100、8100、9100、10100、11100等は、図6の磁気取り外しデバイス602のような磁気取り外しデバイスの使用によって、商品202から取り外される。磁気取り外しデバイスは、特別のセキュリティタグの少なくとも一部分を収容するように形作られている。例えば、一実施例では、磁気セキュリティ装置602のタグ受容孔611はセキュリティタグ2100の突起2124の少なくとも一部分を収容するように形作られる。
【0201】
図32から図56の前述のセキュリティタグ実施例の任意のものにおいて、図1から図31のスプリング1302の実施例は付勢要素と交換してよく、また図1から図31の楔1202の実施例は楔3202Rあるいは別の楔と交換してもよい。
【0202】
本願明細書においては、各実施形態が完璧に理解されるように、多数の具体的な詳細を述べてきた。但し、これらの具体的な詳細がなくてもこれらの実施形態を実施することは当業者には明白であろう。他の例としては、各実施形態を不明瞭にしないように、周知の操作、構成要素、及び回路を詳細には説明しなかった。本願明細書に開示されている構造上及び機能上の具体的な詳細は代表的なものであり、必ずしも各実施形態の範囲を限定するものではないことは明らかである。
【0203】
「一つの実施形態」又は「一実施形態」への言及は、何れにおいても、その実施形態に関連して記述されている特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味することに留意されたい。明細書本文中の様々な個所において用いられる「一実施形態において」という句は、必ずしも全てが同一の実施形態を言及しているものではない。
【0204】
本願明細書では各実施形態の特定の特徴について図示及び説明したが、当業者は多くの修正、置換、変更、及び均等物を想到し得るであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、各実施形態の真の目的に含まれるこれらの修正及び変更を全て包含することに留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タック保持システムを保持するハウジングと;
タックアセンブリを保持すると共に、磁場にさらされた時前記タックアセンブリを解放するように配置された楔と付勢部材を有する前記タック保持システムを;
備えることを特徴とするセキュリティタグ。
【請求項2】
前記楔はタック保持部分を有し、前記タック保持部分が第1のタック保持縁を有することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項3】
前記タック保持縁は二つの面によって形成され、少なくとも一方は湾曲していることを特徴とする請求項2に記載のセキュリティタグ。
【請求項4】
前記タック保持部分は少なくとももう1個のタック保持縁をさらに有することを特徴とする請求項2に記載のセキュリティタグ。
【請求項5】
前記タック保持部分はさらに前側側面を有し、前記前側側面は前記第1のタック保持縁と第2のタック保持縁の間に延びることを特徴とする請求項4に記載のセキュリティタグ。
【請求項6】
前記楔はタック保持部分を有し、前記タック保持部分が第1の面取りを有することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項7】
前記タック保持部分はさらに第2の面取りを有することを特徴とする請求項6に記載のセキュリティタグ。
【請求項8】
前記第1の面取りと前記第2の面取りが一致する縁を有することを特徴とする請求項7に記載のセキュリティタグ。
【請求項9】
前記楔は丸いタック保持部分を有することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項10】
前記楔は対称性の楔であることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項11】
前記対称性の楔はタック保持部分を有し、前記タック保持部分はタック保持縁を有することを特徴とする請求項10に記載のセキュリティタグ。
【請求項12】
前記対称性の楔はタック保持部分を有し、前記タック保持部分は二個のタック保持縁または三個以上の保持縁を有することを特徴とする請求項10に記載のセキュリティタグ。
【請求項13】
前記対称性の楔はタック保持部分を有し、前記タック保持部分は湾曲していることを特徴とする請求項10に記載のセキュリティタグ。
【請求項14】
前記付勢部材はスプリングを有することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項15】
前記スプリングは金属よりなることを特徴とする請求項14に記載のセキュリティタグ。
【請求項16】
前記スプリングはプラスチックよりなることを特徴とする請求項14に記載のセキュリティタグ。
【請求項17】
前記ばねは板ばねを有することを特徴とする請求項14に記載のセキュリティタグ。
【請求項18】
前記スプリングはねじりばねを有することを特徴とする請求項14に記載のセキュリティタグ。
【請求項19】
前記スプリングは線バネを有することを特徴とする請求項14に記載のセキュリティタグ。
【請求項20】
前記スプリングは前記ハウジングと一体化されていることを特徴とする請求項14に記載のセキュリティタグ。
【請求項21】
前記スプリングは圧縮バネを有することを特徴とする請求項14に記載のセキュリティタグ。
【請求項22】
前記付勢要素は楔を曲げる要素を有することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項23】
前記楔と前記付勢部材は互いに固定されることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項24】
前記楔と前記付勢部材は、互いに一体化されることで、互いに固定されることを特徴とする請求項23に記載のセキュリティタグ。
【請求項25】
前記付勢部材は少なくとも一個の位置決め部材を有することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項26】
前記セキュリティタグは再利用可能であることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項27】
前記セキュリティタグは使い捨て型向けであることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項28】
前記楔が係止状態を離れて移動する場合、前記ハウジングは少なくとも前記楔の一部分を収容するためのトラップ空洞を有することを特徴とする請求項27に記載のセキュリティタグ。
【請求項29】
前記ハウジングは、前記トラップ空洞から離れて、前記セキュリティタグが使用可能な位置に入る前記楔の動きを制限する楔捕らえ部を有することを特徴とする請求項28に記載のセキュリティタグ。
【請求項30】
セキュリティタグは再設定可能であることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項31】
前記楔が係止状態を離れて移動する場合、前記ハウジングは少なくとも前記楔の一部分を収容するためのトラップ空洞を有することを特徴とする請求項30に記載のセキュリティタグ。
【請求項32】
前記ハウジングは、前記トラップ空洞から離れて、前記セキュリティタグが使用可能な位置に入る前記楔の移動をガイドする案内傾斜部を有することを特徴とする請求項31に記載のセキュリティタグ。
【請求項33】
さらに前記ハウジングはセンサを保持することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項34】
前記センサは磁気センサを有することを特徴とする請求項33に記載のセキュリティタグ。
【請求項35】
前記センサは音響磁気センサを有することを特徴とする請求項33に記載のセキュリティタグ。
【請求項36】
前記センサは無線周波数センサを有することを特徴とする請求項33に記載のセキュリティタグ。
【請求項37】
前記センサはRFIDセンサを有することを特徴とする請求項33に記載のセキュリティタグ。
【請求項38】
前記センサはフェライトアセンブリを有することを特徴とする請求項33に記載のセキュリティタグ。
【請求項39】
前記センサは2個以上の型式のセンサを有することを特徴とする請求項33に記載のセキュリティタグ。
【請求項40】
前記ハウジングは楔止めを有し、前記楔止めは前記楔の移動を制限することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項41】
請求項1に記載のセキュリティタグにおいて;
前記楔はタック保持部分を有し;
前記タックアセンブリはタックシャフトを有すると共に;
前記タックシャフトが前記ハウジングへ差し込まれる場合に、前記タック保持部分と接触する溝を有する;
ことを特徴とするセキュリティタグ。
【請求項42】
前記溝は溝リップを有し;
前記タックシャフトが前記ハウジングへ差し込まれる場合に、前記付勢部材が前記溝へ前記タック保持部分を付勢し;
係止状態を形成するために前記溝リップが前記タック保持部分と接触するように構成されたことを特徴とする請求項41に記載のセキュリティタグ。
【請求項43】
請求項1に記載のセキュリティタグにおいて;
前記楔は第1の突起と第2の突起を有し;
前記ハウジングは第1の突起と第2の突起をそれぞれ収容するべき第1の凹部と第2の凹部を有する;
ことを特徴とするセキュリティタグ。
【請求項44】
前記ハウジングは磁気取り外しシステムのための取り外しシステム界接面(インターフェース)を有することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項45】
前記磁気取り外しシステムが前記取り外しシステム界接面の少なくとも一部分を収容するタグ界接面(インターフェース)を有することを特徴とする請求項44に記載のセキュリティタグ。
【請求項46】
係止状態に前記タックアセンブリと係合する前記楔であって、前記タグ界接面が前記取り外しシステム界接面の少なくとも一部を受け取る場合に、前記係合を離れて移動される前記楔を有することを特徴とする請求項45に記載のセキュリティタグ。
【請求項47】
前記係合を離れる前記楔の前記移動には回転運動を含むことを特徴とする請求項46に記載のセキュリティタグ。
【請求項48】
前記係合を離れる前記楔の前記移動には平行移動運動を含むことを特徴とする請求項46に記載のセキュリティタグ。
【請求項49】
前記係合を離れる前記楔の前記移動には回転運動と平行移動運動の組合せを含むことを特徴とする請求項46に記載のセキュリティタグ。
【請求項50】
タック保持システムを保持するために第1の区画を有する取り付け端部と;
電子商品監視センサを保持するための第2の区画を有する検出端部と;
を備えるセキュリティタグであって;
前記タック保持システムが前記タックアセンブリを保持し、かつ磁場にさらされた時前記タックアセンブリを解放するように配置された楔と付勢部材を有することを特徴とする前記セキュリティタグ。
【請求項51】
前記磁場は磁気取り外しシステムから来ることを特徴とする請求項50に記載のセキュリティタグ。
【請求項52】
前記電子商品監視センサは磁気センサを有することを特徴とする請求項50に記載のセキュリティタグ。
【請求項53】
前記電子商品監視センサは音響磁気センサを有することを特徴とする請求項50に記載のセキュリティタグ。
【請求項54】
前記センサは無線周波数センサを有することを特徴とする請求項50に記載のセキュリティタグ。
【請求項55】
前記電子商品監視センサはRFIDセンサを有することを特徴とする請求項50に記載のセキュリティタグ。
【請求項56】
前記電子商品監視センサはフェライトアセンブリを有することを特徴とする請求項50に記載のセキュリティタグ。
【請求項57】
前記電子商品監視センサは2個以上の型式のセンサを有することを特徴とする請求項50に記載のセキュリティタグ。
【請求項58】
タック保持システムと電子商品監視センサをその中に収容するハウジングと;
前記タックアセンブリを保持するように配置された楔と付勢部材を有する前記タック保持システムと;
を備え、磁場にさらされた時前記タックアセンブリを解放するように構成されたことを特徴とするセキュリティタグ。
【請求項59】
前記ハウジングは前記楔と前記付勢部材を収容するための楔用区画を有する上側ハウジングを有することを特徴とする請求項58に記載のセキュリティタグ。
【請求項60】
前記タックアセンブリはタックシャフトを有し、さらに、前記ハウジングは前記タックシャフトを収容する開口部を有し、前記開口部は前記楔用区画へ延ばされることを特徴とする請求項59に記載のセキュリティタグ。
【請求項61】
さらに、前記楔用区画は前記タックアセンブリの少なくとも一部分を収容し、前記楔は係止状態で前記タックアセンブリに係合することを特徴とする請求項59に記載のセキュリティタグ。
【請求項62】
前記タックアセンブリは1個以上の溝があるタックシャフトと、前記楔が前記係止状態で前記1個以上の溝のうちの1個と係合している位置へ前記楔を付勢する前記付勢部材とを有する請求項61に記載のセキュリティタグ。
【請求項63】
さらに、前記上側ハウジングは取り外しシステム界接面を有することを特徴とする請求項59に記載のセキュリティタグ。
【請求項64】
さらに、前記ハウジングは下側ハウジングを有し、前記下側ハウジングは前記楔用区画を離れる前記付勢部材の移動を制限する支承面を有することを特徴とする請求項59に記載のセキュリティタグ。
【請求項65】
さらに、前記ハウジングは下側ハウジングを有し、前記下側ハウジングは前記楔用区画内の前記付勢部材の移動を制限する支承突起を有することを特徴とする請求項59に記載のセキュリティタグ。
【請求項66】
係止状態でハウジング内のタックアセンブリと係合する手段であって、前記タックアセンブリ係合手段は楔を有し;
前記係止状態から前記タックアセンブリの前記係合を解放する手段と;
を備えることを特徴とするセキュリティタグ。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図8D】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図9D】
image rotate

【図9E】
image rotate

【図9F】
image rotate

【図9G】
image rotate

【図9I】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate

【図51】
image rotate

【図52】
image rotate

【図53】
image rotate

【図54】
image rotate

【図55】
image rotate

【図56】
image rotate


【公表番号】特表2010−501958(P2010−501958A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526649(P2009−526649)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/018680
【国際公開番号】WO2008/027289
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(592192642)センサーマティック・エレクトロニクス・コーポレーション (92)
【氏名又は名称原語表記】SENSORMATIC ELECTORONICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6600 Congress Avenue,Boca Raton,Florida 33487,United State of America
【Fターム(参考)】