説明

セグメント継手

【課題】簡易でしかも強固な接合構造とすることで、雄型継手が雌型継手より抜けないようにした。
【解決手段】リング間継手は、雌型接合面10aに設けられていて略円筒形状をなす円筒嵌合体12を有する雌型継手10と、雄型接合面20aに設けられていて円筒嵌合体12に挿通するピン22を有する雄型継手20と、円筒嵌合体12の外周面12aに嵌合するように配置される係止リング部材30と、ピン22の挿入と共に係止リング部材30を挿入方向Eに移動させる押し込みリング部材40とを備えている。円筒嵌合体12にピン22を挿入させて係止リング部材30を挿入方向Eへ移動させるにしたがって、円筒嵌合体12が径方向内側に移動してピン22の周部を締め付けて固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄型継手と雌型継手によって接合するピン構造をなすセグメント継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シールドトンネルにおいて用いられるセグメント継手は、互いのセグメント接合面に予め連通孔を設けておき、セグメント同士を当接させた際、当該連通孔にボルトを挿通してナットにより締め付ける構造が多かった。しかし、このような継手構造は、連通孔の位置決めやボルトとナットの締め付け作業等に手間がかかるため、作業効率が悪いという現状があった。そこで、効率的に組み立て可能なピン構造によるセグメントの継手構造が提案されており、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1は、くびれ部を有するピンを備えた雄型継手と、雄型継手を挿入可能とする雌型継手とからなり、雄型継手を雌型継手に挿入したときに雄型継手のピンのくびれ部をバネの付勢力で押さえ付けるようにして係止してピンの軸方向の移動を規制するようにしたバネ部材を雌型継手に備えた継手構造である。
【特許文献1】特開2003−328693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のセグメントの継手構造では、雄型継手のピン外周部の一部を押え付けて係止すると共に、容易に雄型継手が抜けないようにしたバネ部材をセグメントに組み込んだ複雑な継手構造になるという問題があった。
また、バネ部材の付勢力のみでピンを押さえる構成であることから、例えばその付勢力で押さえる支持力より大きな力(引抜き力)が雄型継手が抜ける方向(挿入方向の反対方向)に作用したときに、ピン(雄型継手)が雌型継手から抜けてしまうというおそれがあった。
【0004】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、簡易でしかも強固な継手構造とすることで、雄型継手が雌型継手より抜けないようにしたセグメント継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係るセグメント継手では、一方のセグメントと他方のセグメントとの接合面同士を当接させることにより、セグメント同士を接合させるセグメント継手であって、一方のセグメントの接合面に設けられ、略円筒形状をなす円筒嵌合体を有する雌型継手と、他方のセグメントの接合面に設けられ、円筒嵌合体に挿通するピンを有する雄型継手と、内径寸法がピンの挿入方向に向かって大きくなるリング形状をなし、円筒嵌合体の外周面に嵌合させるようにして配置される係止リング部材と、係止リング部材と他方のセグメントとの間に配置され、ピンの挿入と共に係止リング部材を挿入方向に移動させる押し込み部材とを備え、円筒嵌合体にピンを挿入させて係止リング部材を挿入方向へ移動させるにしたがって、円筒嵌合体が径方向内側に移動することを特徴としている。
本発明では、雄型継手のピンを雌型継手の円筒嵌合体に挿入すると共に、押し込み部材は挿入方向に押し出され、押し込み部材の先端部によって係止リング部材が挿入方向に移動する。そして、係止リング部材が押し込まれるにしたがって、円筒嵌合体の外周面が押圧され、円筒嵌合体は径方向内側に移動して縮径される。このとき、円筒嵌合体の内周面にテーパ面が形成され、円筒嵌合体の内周面がピンの周面に密接した状態となる。そして、係止リング部材は、押し込み部材によって押し付けられた状態で円筒嵌合体の外周面の所定位置に係止される。このとき、ピンを締め付けている雌型継手の円筒嵌合体は係止リング部材によってロックされた状態となる。そのため、ピンは、円筒嵌合体から抜け出る方向への移動が規制されることになる。
【0006】
また、本発明に係るセグメント継手では、ピンは、挿入方向に至るにしたがって外径寸法が大きくなるようにテーパ面が形成されていることが好ましい。
本発明では、円筒嵌合体は、ピンのテーパ面に倣うように接合面側(先端側)に向かって内径寸法が小さくなって縮径し、円筒嵌合体の内周面に適宜な角度のテーパ面が形成されることになる。これにより、円筒嵌合体の内周面がピンのテーパ面に接するようになる。
【0007】
また、本発明に係るセグメント継手では、係止リング部材が挿入方向に移動したとき、円筒嵌合体が径方向内側に移動することが好ましい。
本発明では、挿入される係止リング部材によって円筒嵌合体が径方向内側に押されることで、円筒嵌合体の内周面は挿入方向と反対方向に向かって縮径されたテーパ面が形成される。そのため、円筒嵌合体内に挿入されるピンの外周面に密接した状態となり、ピンが抜けにくくすることができる。
【0008】
また、本発明に係るセグメント継手では、押し込み部材は、雄型継手を有する他方のセグメントと切り離されていることが好ましい。
本発明では、押し込み部材によって、挿入方向に作用する力は係止リング部材に伝達されるが、例えば雄型継手を有するセグメントに引抜き方向の力が作用しても、その引抜き力は押し込み部材から係止リング部材に伝わることはない。そのため、係止リング部材は所定位置における係止状態を維持することができる。
【0009】
また、本発明に係るセグメント継手では、押し込み部材は、塑性変形可能な材料であることが好ましい。
本発明では、ピンを雌型継手の円筒嵌合体挿入させるにしたがって、ピンの外周面と円筒嵌合体の内周面とが密接した状態となり、係止リング部材は挿入方向へ移動しにくくなる。そして、さらに係止リング部材を押し込むことで、押し込み部材の先端部が係止リング部材を押圧してかしめられた状態で変形し、係止リング部材を所定位置で押さえ付けた状態で係止させることができる。
【0010】
また、本発明に係るセグメント継手では、押し込み部材は、リング状に形成されていることが好ましい。
本発明では、均等な押し込み力で係止リング部材を挿入方向に移動させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のセグメント継手によれば、雄型継手のピンを雌型継手の円筒嵌合体に挿入するにしたがって係止リング部材を挿入方向に移動させる簡易な継手構造であり、その移動に伴って円筒嵌合体の内周面でピンを締め付けて固定することができる。
そして、ピンを締め付けている雌型継手の円筒嵌合体は係止リング部材によってロックされた状態となり、挿入されたピンが挿入方向と反対方向に抜け出ることが防止されて雄型継手と雌型継手とが確実に固定される構成となることから、セグメント同士を強固に接合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るセグメント継手の実施の形態について、図1乃至図3に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態によるセグメントのリング間継手の構造を示す図であって、雄型継手を雌型継手に接合途中の状態の水平断面図、図2はリング間継手を説明する分解図、図3はリング間継手における雄型継手と雌型継手の接合状態を示す水平断面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態によるセグメントのリング間継手1(セグメント継手)は、リング方向(トンネル軸方向)に隣接配置されているセグメント10A、20A同士を接続するものである。セグメント10A、20Aは、シールドトンネルにおける円弧板状をなすコンクリート製セグメントなどであり、本実施の形態では符号10Aのセグメントが先行して組み立てられている。
そして、先行組み立てされる一方のセグメント10Aのリング間端部には雌型接合面10aを備え、他方のセグメント20Aはリング間端部には雄型接合面20aを備えている。
ここで、他方のセグメント20Aを一方のセグメント10Aに接合する方向、或いは後述する雄型継手20を挿入する方向を挿入方向Eとし、挿入方向Eの反対方向を引抜き方向Fとして以下説明する。
【0014】
図1及び図2に示すように、リング間継手1は、雌型接合面10aに設けられていて略円筒形状をなす円筒嵌合体12を有する雌型継手10と、雄型接合面20aに設けられていて円筒嵌合体12に挿通するピン22を有する雄型継手20と、円筒嵌合体12の外周面12aに嵌合するように配置される係止リング部材30と、ピン22の挿入と共に係止リング部材30を挿入方向Eに移動させる押し込みリング部材40(押し込み部材)とを備えている。
そして、トンネルのリング方向に隣接配置されたこれらセグメント10A、20Aの雌型接合面10aと雄型接合面20aとを接合させることにより、リング間が一体に接続されて構築される。なお、セグメントの周方向の接続は、適宜な継手構造によって連結されるものとする。
【0015】
雌型継手10は、雌型接合面10aの一部に形成された箱形状の凹陥部11と、先端部を凹陥部11内に露出した状態でセグメントコンクリートに埋設されている円筒嵌合体12とからなる。この雌型継手10は、所定の内径寸法を略有する円筒形状をなし、開口部をなす接合面10a側の円筒嵌合体12が凹陥部11内に突出している。このとき、凹陥部11の大きさは、円筒嵌合体12の外径寸法より大きくなるように形成されている。つまり、円筒嵌合体12の外周面12aと凹陥部11の内壁部11aとの間には所定の大きさを有する空間Rが形成されている。
【0016】
円筒嵌合体12は、その内周面12b側で後述する雄型継手20のピン22が挿入され、円筒嵌合体12の外周面12aの接合面側においてセグメント10Aの中心部から接合面10aに向けて外径が小さくなる外周テーパ面12cが形成されている。
そして、円筒嵌合体12には、その軸方向(リング方向)に図示しないスリットが形成されている。
このような構造の雌型継手10は、詳しくは後述するが係止リング部材30が挿入方向Eに移動すると、円筒嵌合体12の外周テーパ面12cが径方向内側に押され、円筒嵌合体12の接合面10a側が径方向内側に所定の内径まで動いて(曲がって)縮径されることになる。
【0017】
一方、図1及び図2に示すように、雄型継手20は、雄型接合面20aの一部が雌側接合面10a側に張り出した円形断面形状をなす凸状部21と、雌型継手10の円筒嵌合体12に同軸に挿通するように設けられたピン22とからなる。つまり、雄型接合面20aは、その凸状部21の端面21aからピン22が突出している。そして、ピン22は、一端に雄ネジ部23を有し、その雄ネジ部23が予めセグメントコンクリートに埋設されている図示しないメネジなどに螺合して接続されている。
ピン22は、先端部22aと胴部22bとからなる。胴部22bは、凸状部21側から先端部22aに至るにしたがって外径寸法が大きくなるように雄側テーパ面22cが形成されている。
【0018】
図2に示すように、係止リング部材30は、リング形状をなし、その内周面30aが軸方向に内径が変わるようにテーパが形成されている。そして、雄型継手20側の端面外周部には、面取り状の斜面をなす押圧部30bが形成されている。この押圧部30bは、後述する押し込みリング部材40の先端部40bが当接する位置をなしている。
このように構成される係止リング部材30は、内径の大きい側を挿入方向Eに向けた状態でその内周面30aを円筒嵌合体12の外周テーパ面12cに嵌め込むようにして配置される。
【0019】
図2に示すように、押し込みリング部材40は、リング形状をなし、塑性変形可能な材料からなる。その内径寸法は、雄型接合面20aに形成されている凸状部21の外径より少し大きな寸法をなしている。つまり、押し込みリング部材40は、雌型継手10に雄型継手20を接続する際において、ピン22を円筒嵌合体12に挿通させた状態で押し込みリング部材40の一端40aが凸状部21に係合するように配置されることで位置決めできるようになっている。なお、押し込みリング部材40の他端は、先端部40bとされ、上述したように係止リング部材30の押圧部30bに当接する位置に相当する。
【0020】
次に、このような構成によるリング間継手1の作用及びセグメントの接合方法について図面に基づいて説明する。
先ず、図3に示すように、リング間継手1によってセグメント10A、20Aを接合するとき、雄型継手20のピン22が雌型継手10の円筒嵌合体12の内側に入るように、雄型接合面20aを雌型接合面10aに対向させて、先行して配置されているセグメント10Aにセグメント20Aを位置合わせする。
そして、雌型継手10の凹陥部11の空間Rにおいて円筒嵌合体12に係止リング部材30を嵌合させるようにして配置させると共に、雄型接合面20aの凸状部21に押し込みリング部材40を嵌め込むようにして配置する。このとき、雌型継手10、雄型継手20、係止リング部材30及び押し込みリング部材40は、略同軸に配置されることになる。
【0021】
さらに、ピン22の先端部22aを円筒嵌合体12に挿入するようにして雄型接合面10aに雌型接合面20aを近付けると、押し込みリング部材40は雄型接合面20aによって雌型継手10側(挿入方向E)に押し出される。このとき、押し込みリング部材40は、その先端部40bで係止リング部材30の押圧部30bを当接して挿入方向Eに押し込む。そうすると、係止リング部材30は、円筒嵌合体12の外周テーパ面12cに沿って挿入方向Eに移動する。
【0022】
そして、係止リング部材30が挿入方向Eに押し込まれるにしたがって、円筒嵌合体12の外周テーパ面12cがその径方向内側に向けて押圧される。つまり、円筒嵌合体12は、係止リング部材30の内周面30aのテーパに沿うように、或いはピン22の雄側テーパ面22cに倣うように接合面側(先端側)に向かって内径寸法が小さくなって縮径し、円筒嵌合体12の内周面12bに適宜な角度のテーパ面が形成されることになる。これにより、円筒嵌合体12の内周面12bがピン22の胴部22bの周面(雄側テーパ面22c)に接するようになる。なお、円筒嵌合体12は、上述したように図示しないスリット部が形成されていることから、縮径が容易になされる構造となっている。
【0023】
さらにセグメント20Aを挿入方向Eに移動させて、ピン22を円筒嵌合体12に押し込むことにより、円筒嵌合体12がさらに縮径され、それと共にピン22の雄側テーパ面22cと円筒嵌合体12の内周面12bとのテーパ面同士が密接した状態となるため、係止リング部材30は挿入方向Eへ移動しにくくなる。このような状態となったときに、押し込みリング部材40の先端部40bが係止リング部材30を押圧してかしめられた状態、すなわち押圧部30bをなす斜面に倣った形状で潰れた状態で変形し、係止リング部材30を所定位置で押さえ付けた状態で係止させることができる。
このとき、ピン22を締め付けている円筒嵌合体12は、係止リング部材30によってロックされた状態となる。そのため、ピン22は、円筒嵌合体12から抜け出る方向(矢印F方向)への移動が規制される。
【0024】
また、押し込みリング部材40では、雄型継手20を有するセグメント20Aに作用する挿入方向Eの力は係止リング部材30に伝達される。しかし、例えばセグメント20Aに引抜き方向の力が作用しても、押し込みリング部材40は雄型接合面20aと切り離されているため、その引抜き力は直接押し込みリング部材40を介して係止リング部材30に伝わらない構成となっている。したがって、係止リング部材30は、所定位置における係止状態を維持することができる。なお、押し込みリング部材40は、リング状をなしているため、均等な押し込み力で係止リング部材30を挿入方向Eに移動させることができる。
このような手順によりセグメント20Aは所定の位置で固定され、セグメント10A、20Aの接合が完了となる。
【0025】
本実施の形態によるセグメント継手では、雄型継手20のピン22を雌型継手10の円筒嵌合体12に挿入するにしたがって係止リング部材30を挿入方向Eに移動させる簡易な継手構造であり、その移動に伴って円筒嵌合体12の内周面12bでピン22を締め付けて固定することができる。
そして、ピン22を締め付けている雌型継手10の円筒嵌合体12は係止リング部材30によってロックされた状態となり、挿入されたピン22が挿入方向Eと反対方向(引抜き方向F)に抜け出ることが防止されて雄型継手20と雌型継手10とが確実に固定される構成となることから、セグメント同士を強固に接合することができる。
【0026】
次に、本発明の実施の形態の第一及び第二変形例について、図4、図5などを基づいて説明するが、上述の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、実施の形態と異なる構成について説明する。
図4は本実施の形態の第一変形例によるリング間継手の構造を示す図であって、図1に対応する図である。
図4に示すように、第一変形例による係止リング部材31では、実施の形態における面取り状の斜面をなす押圧部30b(図1参照)に代えて段差部32を形成させたものである。この段差部32は、挿入方向Eに直交する段差面32aを有し、さらに段差周面32bの外径寸法が押し込みリング部材40の内周径寸法とほぼ一致する寸法をなしている。つまり、リング間継手の組み立て時には、段差周面32bが押し込みング部材40に嵌合された状態となり、押し込みング部材40の先端部42bが段差面32aを押圧することで係止リング部材31が挿入方向Eに移動する構成となっている。
【0027】
図5は本実施の形態の第二変形例によるリング間継手の構造を示す図であって、図1に対応する図である。
図5に示すように、第二変形例によるリング間継手1では、第一変形例の段差部32に加えて、雄型継手20のピン22の周面にのこぎり刃形状をなす雄側歯部23を形成させたものである。さらに、雌型継手10の円筒嵌合体12の内周面12bにも、雄側歯部23に噛合してなる雌側歯部13が形成されている。雄側歯部23はその山部が引抜き方向F外方に向けて傾斜した形状をなし、雌側歯部13はその山部が挿入方向E外方に向けて傾斜した形状をなしている。つまり、雄側歯部23は、雌側歯部13と山谷部が一致して係合し、しかも挿入されたピン22は引抜き方向Fへの移動が規制される構成となっている。したがって、ピン22が円筒嵌合体12に挿入されると、雄側歯部23が雌側歯部13に噛合しながら挿入される。それと同時に、係止リング部材31が押し込みング部材40によって押し込まれ、係止リング部材31の内周面で外周テーパ面12cを押して円筒嵌合体12が径方向内側に移動する。このとき、ピン22は雌側歯部13によってロックされた状態となり、矢印F方向への引抜きが防止される構成となっている。
【0028】
以上、本発明によるセグメント継手の実施の形態、第一及び第二変形例について説明したが、本発明は上記の実施の形態、第一及び第二変形例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態、第一及び第二変形例ではリング間継手1の接続状態において、雌型接合面10aと雄型接合面20aとの間に隙間が形成されている状態(図3参照)とされているが、この隙間寸法はセグメントの設計によって任意に設定されればよく、例えば接合状態において隙間を形成させず密着した状態としてもよい。
また、円筒嵌合体12、ピン22、係止リング部材30、31、押し込みリング部材40などの形状、挿入方向の長さ寸法その他の構成は、本実施の形態、第一及び第二変形例に限定されることはなく、任意に設定することができる。とくに、本実施の形態では押し込みリング部材40はリング形状をなす部材としているが、この形状に限定されることはなく、例えば、非リング状をなすブロック形状の部材であってもかまわない。
そして、本実施の形態では押し込みリング部材40の先端部40bは係止リング部材30の押圧部30bを押圧してかしめられる構成をなしているが、このような構成に限定されることはない。つまり、第一及び第二変形例のような段差部32を形成した係止リング部材31を用いた構造であってもよい。要は、任意の形状をなす押し込み部材によって、任意の形状をなす係止リング部材を挿入方向Eに移動できればよいのである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態によるセグメントのリング間継手の構造を示す図であって、雄型継手を雌型継手に接合途中の状態の水平断面図である。
【図2】リング間継手を説明する分解図である。
【図3】リング間継手における雄型継手と雌型継手の接合状態を示す水平断面図である。
【図4】本実施の形態の第一変形例によるリング間継手の構造を示す図であって、図1に対応する図である。
【図5】本実施の形態の第二変形例によるリング間継手の構造を示す図であって、図1に対応する図である。
【符号の説明】
【0030】
1 リング間継手
10A、20A セグメント
10a 雌側接合面
20a 雄側接合面
10 雌型継手
12 円筒嵌合体
20 雄型継手
22 ピン
30、31 係止リング部材
30b 押圧部
40 押し込みリング部材(押し込み部材)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のセグメントと他方のセグメントとの接合面同士を当接させることにより、セグメント同士を接合させるセグメント継手であって、
前記一方のセグメントの接合面に設けられ、略円筒形状をなす円筒嵌合体を有する雌型継手と、
前記他方のセグメントの接合面に設けられ、前記円筒嵌合体に挿通するピンを有する雄型継手と、
内径寸法が前記ピンの挿入方向に向かって大きくなるリング形状をなし、前記円筒嵌合体の外周面に嵌合させるようにして配置される係止リング部材と、
前記係止リング部材と前記他方のセグメントとの間に配置され、前記ピンの挿入と共に前記係止リング部材を挿入方向に移動させる押し込み部材と、
を備え、
前記円筒嵌合体に前記ピンを挿入させて前記係止リング部材を前記挿入方向へ移動させるにしたがって、前記円筒嵌合体が径方向内側に移動することを特徴とするセグメント継手。
【請求項2】
前記ピンは、前記挿入方向に至るにしたがって外径寸法が大きくなるようにテーパ面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のセグメント継手。
【請求項3】
前記係止リング部材が前記挿入方向に移動したとき、前記円筒嵌合体が径方向内側に移動することを特徴とする請求項1又は2に記載のセグメント継手。
【請求項4】
前記押し込み部材は、前記雄型継手を有する前記他方のセグメントと切り離されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のセグメント継手。
【請求項5】
前記押し込み部材は、塑性変形可能な材料であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のセグメント継手。
【請求項6】
前記押し込み部材は、リング状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のセグメント継手。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−106499(P2008−106499A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289757(P2006−289757)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000198307)石川島建材工業株式会社 (139)
【出願人】(591160279)小林工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】