説明

セッション開始プロトコル終了システム及び方法

サーバ(102、104、106及び108)上でのセッション開始プロトコル通信サポートを適正終了させるシステム(100)に、サーバ上でサポート適正終了期間を設定する手段と、サービス不能メッセージをクライアント(110、112、114及び116)に送信する手段と、セッション開始プロトコル招致のうちクライアントへのサービス不能メッセージ送信前にサーバが受け付けた未完了の招致についてサポート適正終了期間の満了時を期限としてサーバにサポートを継続させる手段と、サーバ上でのセッション開始プロトコル通信サポートをサポート適正終了期間の満了時を期限として終了させる手段と、を設ける。同様のサポートを適正終了させる方法、並びにそのコンテンツをコンピュータシステムにより実行させたとき同様にサポートが適正終了されるコンピュータ可読媒体も提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、何れもこの参照を以てその全体が本願に繰り入れられるところの「SIPサーバの適正シャットダウン」(Graceful Shutdown of a SIP Server)と題する2003年4月14日付の米国暫定出願第60/462780号及び「セッション開始プロトコル終了システム及び方法」(Systems and Methods for Termination of Session Initiation Protocol)と題する2004年2月11日付の米国特許出願第10/776659号に基づく利益を享受する出願である。
【0002】
本発明は、概略、SIP(Session Initiation Protocol:セッション開始プロトコル)による通信(以下「SIP通信」と略記)をサポートする遠隔通信ネットワークの改良に関し、より詳細にはSIP通信の終了管理技術に関する。
【背景技術】
【0003】
昨今における遠隔通信の長期的発展はインターネットを用いたデータ通信を更に増加させる方向に向かっており、この発展を支えるべく制定及び実施された無数のトラフィックフォーマットプロトコルにより各種データの目的別伝送が可能になっている。こういったプロトコルのうちSIPは、一般に、遠隔通信網における各種データの伝送経路を制御しその伝送を成立させるために用いられている。SIPは、データ種別を問わずその伝送を成立させ得るプロトコルであるが、特にライブ通信に係る伝送を成立させるのに有用且つ好適なプロトコルであり、中でも電話コールのようなライブ双方向音声通信伝送を成立させるのにことに適したプロトコルである。コスト低減及び信号品質向上の要求が否応もなく高まりつつあることからすれば、インターネット経由ライブ音声通信伝送をSIPにより成立させること、それもより高品質で成立させることが、特に嘱望されているといえよう。
【0004】
ライブ音声通信において特に求められるのはコール成立までの所要時間(遅延時間)ができるだけ短く且つできるだけ失敗せずにコールを成立させられることであり、そういった面でライブ音声通信伝送用TDM(Time Division Multiplexing:時分割多重)プロトコルその他のシステムと競合できるようにするには、その種のシステム向けに遙か以前に制定されている品質規格を同じく充足するよう、インターネットベース経路制御を行わねばならない。ここに、インターネット経由の通信は、相互遠隔配置されているサーバの動作、特にインターネット内に蜘蛛の巣のように張り巡らされている潜在的経路群の中から所与信号向けの経路を決定しその経路を介した伝送を成立させるという動作に依存しているから、仮にライブ音声通信伝送を成立させる途中でサーバがフェイルしてしまうと、通話開始が遅れるかそもそも接続すらされないこととなろう。このような事情に鑑み、通信成立サポート終了に端を発したサービス途絶/混乱を最小限に食い止められるようにすることが、望まれている。
【0005】
より詳細には、SIPは、併装されているSCTP(Stream Control Transmission Protocol:ストリームコントロールトランスミッションプロトコル)上で通信を行う。このSCTPは数ある汎用通信プロトコルのうちの一つである。また、SIPによってVoIP(Voice over Internet Protocol:ボイスオーバインターネットプロトコル)による伝送を成立させ通信を行うことができる。更に、SIPは電話通話のようなライブ双方向遠隔通信伝送を成立させるのに特に有用であるが、他種のライブデータ通信伝送やオフラインデータ通信伝送もサポートしておりそれらにも使用できる。
【0006】
SCTPには、SCTPサーバとクライアントとの接続をシャットダウンできるスリーウェイハンドシェイク方式のシャットダウンプロトコルが含まれているが、このハンドシェイクシャットダウンプロトコルではサーバに対し適当な手段が提供されていないため、受信済且つ受付済の要求(request:リクエスト)の処理を仕上げつつあるさなかにクライアントから新たにSIPサービスを請われたサーバは、受信したその招致(invite:インバイト乃至インバイトリクエスト)を無視することも拒むこともできない。即ち、あるサーバに係るSCTP接続(SCTP associations)をシャットダウンするとそのサーバが受信したサービス要求のうち幾つかに対しそのサーバが応答することができなくなるため、それらの要求に係るコールの成立が遅延し又はコール自体が成立しないといったことが起こりうる。更に、SCTPによるサポートを全てシャットダウンしない限り、SIP通信に対するサポート(以下「SIP通信サポート」と略記)をシャットダウンさせることはできない。
【0007】
以上のことから、SIP通信サポートの終了を管理でき、それにより、サービス途絶/混乱ができるだけ起こらないようにすると共により優れた遠隔通信品質を提供する個別システム及び方法が、必要とされているといえよう。
【0008】
【非特許文献1】"Internet Protocol", published September 1981, [online], インターネット<URL:http://www.ietf.org/rfc/rfc791.txt>
【非特許文献2】"Stream Control Transmission Protocol", published October 2000, [online], インターネット<URL:http://www.ietf.org/rfc/rfc2960.txt>
【非特許文献3】"Session Initiation Protocol", published June 2002, [online], インターネット<URL:http://www.ietf.org/rfc/rfc3261.txt>
【発明の開示】
【0009】
本発明に係るシステム及び方法を利用すれば、IP(Internet Protocol:インターネットプロトコル)網内にあるサーバ上でのSIP通信サポートを適正終了させることができ、この適正終了プロトコルによって、その種のサーバ上でSIP通信サポートを秩序立ってサービス対象外にすることができる。その結果、通信伝送成立を求めるSIP要求のうち未完了のものが残ったために伝送不成立乃至混乱が生じることは少なくなる。その際に、サーバ動作の他の部分に影響が及ぶこともない。
【0010】
本発明の一実施形態に係るシステムは、クライアントとのSIP通信をサポートするサーバと、SIP通信についてサーバ上でサポート適正終了期間(time period for gracefully terminating support)を設定する手段と、サービス不能メッセージ(Service Unavailable Message)をクライアントに送信する手段と、SIPによる招致(以下「SIP招致」と略記)のうちクライアントへのサービス不能メッセージ送信前にサーバが受け付けた未完了の招致についてサポート適正終了期間の満了時を期限としてサーバにサポートを継続させる手段と、サーバ上でのSIP通信サポートをサポート適正終了期間の満了時を期限として終了させる手段と、を備え、サーバ上でSIP通信サポートを適正終了させるシステムである。
【0011】
本発明の他の実施形態に係る方法は、サーバとクライアントとの間にSIP通信を確立するステップと、SIP通信についてサーバ上でサポート適正終了期間を設定するステップと、サービス不能メッセージをクライアントに送信するステップと、SIP招致のうちクライアントへのサービス不能メッセージ送信前にサーバが受け付けた未完了の招致についてサポート適正終了期間の満了時を期限としてサーバにサポートを継続させるステップと、サーバ上でのSIP通信サポートをサポート適正終了期間の満了時を期限として終了させるステップと、を有し、サーバ上でSIP通信サポートを適正終了させる方法である。
【0012】
本発明の更に他の実施形態に係るコンピュータ可読媒体は、サーバ上でSIP通信サポートを適正終了させる方法をコンピュータシステムに実行させるコンテンツを有し、その方法が、サーバとクライアントとの間にSIP通信を確立するステップと、SIP通信についてサーバ上でサポート適正終了期間を設定するステップと、サービス不能メッセージをクライアントに送信するステップと、SIP招致のうちクライアントへのサービス不能メッセージ送信前にサーバが受け付けた未完了の招致についてサポート適正終了期間の満了時を期限としてサーバにサポートを継続させるステップと、サーバ上でのSIP通信サポートをサポート適正終了期間の満了時を期限として終了させるステップと、を有するコンピュータ可読媒体である。
【0013】
本発明並びにその特徴事項及び利点については、以下に示す詳細な説明及び添付する図面から、より深く理解できよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について添付図面を参照しつつより全面的に説明する。添付図面には、本発明の実施形態のうち現段階において好ましいと思われる幾つかの実施形態を示してあるが、本発明は様々な形態で実施できるものであるから、本願中で説明する実施形態に限定して解釈されることがあってはならない。これらの実施形態を提示した目的は、むしろ、本願における記載を一貫した完全なものにし、また本願中において本件技術分野における習熟者(いわゆる当業者)に本発明の技術的範囲を全面的に提示することにある。
【0015】
本発明に係るシステム及び方法を用いれば、IP網内にあるサーバ上でのSIP通信サポートを適正終了させることができる。本発明に係る適正終了プロトコルによれば、好適にも、その種のサーバ上でのSIP通信サポートをサービス対象から秩序立って除外することができ、それによって、SIPによる伝送のうち未成立のものをできるだけ途絶/混乱に終わらせないようにすることができる。
【0016】
図1に例示するシステム100はサーバ102、104、106及び108並びにクライアント110、112、114及び116を有しており、これらのサーバ及びクライアントは全体としてIP網118を形成している。このシステム100内には、通信路によって相互リンクされた幾多のサーバ及びクライアントを設けることができ、それらによって非常に広い地理的エリア乃至世界規模のエリアをカバーすることができる。これらのサーバ及びクライアントは、常にそのうち何個かが、SIP通信サポート対象サービスから離脱して然るべき状態となっていることであろう。例えば、サーバ及びクライアントには修理や保守や交換が必要になることがある。SIP通信サポート対象サービスから特定のサーバを離脱させる必要が生じたときは、そのサーバ上でのそのサポートを秩序立って終了させるのが望ましい。そうしなければ、例えばポイントAにいる発呼者からポイントBに宛てた電話コールがIP網経由で接続され成立するまでに時間がかかることとなろうし、コール成立に至らないことにもなりかねない。
【0017】
オペレーションコントローラ120及び121は、サーバ102〜108及びクライアント110〜116を外部から制御している。インタフェース122、124、126及び128は、それぞれ、このIP網のローカルユーザとクライアント110〜116のうち対応するものとの通信に使用されている。なお、本願では、「クライアント」という用語を、システム100のコンポーネントのうちSIPフォーマットに従いサーバにデータを送信することができ且つサーバからデータを受信できるコンポーネント、例えばスイッチや他のサーバという意味で、使用している。クライアントの中には人間のユーザとやりとりをするものもあるししないものもある。
【0018】
サーバ102はSCTPリンク130、132、134、136によりクライアント110、112、114、116に、サーバ104はSCTPリンク138、140、142、144によりクライアント110、112、114、116に、サーバ106はSCTPリンク146、148、150、152によりクライアント110、112、114、116に、サーバ108はSCTPリンク154、156、158、160によりクライアント110、112、114、116に、それぞれ同順でリンクされている。これらのSCTPリンクはこのIP網上にあるルータを介した下位層伝送によって形成されている。また、オペレーションコントローラ120はリンク162、164によりクライアント110、112に、オペレーションコントローラ121はリンク166、168によりクライアント114、116に、オペレーションコントローラ120はリンク170、172によりサーバ102、104に、オペレーションコントローラ121はリンク174、176によりサーバ106、108に、それぞれ同順で接続されている。本実施形態におけるリンク162〜176はIP網118を横断(構成)していないが、望みに応じ、IP網118を横断(構成)するようリンク162〜176のうち幾つか又は全てを設けてもよい。更に、オペレーションコントローラ120及び121はリンク177により相互接続されている。また、クライアント110、112、114、116は、リンク178、180、182、184によりインタフェース122、124、126、128と、それぞれ同順で通信しており、クライアント110及び112はリンク186により、クライアント112及び114はリンク188により、クライアント114及び116はリンク190により、それぞれ相互通信している。望みなら、サーバ102〜108間の直接リンク、クライアント110〜116の追加直接リンク等、図示されていないリンクを確立することもできる。以上のリンクは、例えば光ファイバ、マイクロ波、無線、有線又はそれらの組合せ等、どのような伝送媒体でも好適に実現できるし、その他どのような通信技術又はその組合せでも好適に実現できる。
【0019】
インタフェース122〜128はIP網118外のシステムユーザとの通信に用いられている。IP網118は、短距離でも長距離でも更には大陸間でもサーバ102〜108とクライアント110〜116とが通信できるようにしており、インタフェース122〜128は、クライアント110〜116のうち対応するものの近傍にいるユーザを、このIP網に接続するのに用いられている。なお、インタフェース122〜128は、クライアント110〜116のうち対応するものと完全に又は部分的に一体化させてもよいし、或いはそれらとは別システムにしてリンク178〜184により接続してもよい。
【0020】
クライアント110〜116は各々コンピュータシステムであり、各クライアントに搭載されている実行可能なソフトウェアの中には、そのクライアントがIPフォーマットに従い送受双方向に通信を行えるようにするソフトウェアや、そのクライアントがSCTPフォーマットに従い送受双方向に通信を行えるようにするソフトウェアや、そのクライアントがSIPフォーマットに従い送受双方向に通信を行えるようにするソフトウェアが、含まれている。SCTPフォーマットによる通信はIPにより、SIPフォーマットによる通信はSCTPにより、それぞれサポートされており、SIPはVoIPによる通信の実行をサポートしている。IP、SCTP及びSIPの全容は、それぞれこの参照を以て本願に繰り入れられるところの非特許文献1、2及び3に同順に記載されている。IP、SCTP及びSIPの改訂版が、今後、IETF(Internet Engineering Task Force:インターネット特別技術調査委員会)等により公開されることもあろう。
【0021】
サーバ102〜108もまた各々コンピュータシステムであり、各サーバに搭載されている実行可能なソフトウェアの中には、そのサーバがIPフォーマットに従い送受双方向に通信を行えるようにするソフトウェアや、そのサーバがSCTPフォーマット及びSIPフォーマットに従い送受双方向に通信を行えるようにするソフトウェアが、含まれている。サーバ102〜108は、望みに応じ、それぞれIP網118内に集中配置することもできるし、IP網118内で互いに離れた位置に配置することもできる。例えば、サーバ102〜108は、同一室内に配置することもできるし、別々の街に配置することもできるし、更には別々の国に配置することもできる。
【0022】
オペレーションコントローラ120及び121もまた各々コンピュータシステムであり、各オペレーションコントローラに搭載されている実行可能なソフトウェアの中には、そのオペレーションコントローラが典型的にはTCP−IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol:トランスミッションコントロールプロトコル/インターネットプロトコル)フォーマットに従い送受双方向に通信を行えるようにするソフトウェアが、含まれている。オペレーションコントローラ120及び121は、サーバ102〜108及びクライアント110〜116を外部から制御できるよう構成されており、システム100を管理する役割を負っている。図1に示したシステムの動作制御はこれら互いに別体の2個のオペレーションコントローラ120及び121によって行われているが、オペレーションコントローラ120及び121を一体化しこの動作制御を単一のオペレーションコントローラに行わせるようにしてもよい。従って、一般的にいえば、システム100に設けるオペレーションコントローラの個数は1個でもよいし複数個でもよい。複数個とする場合は、ここで例示しているオペレーションコントローラ120及び121のように、リンク177やIP網118内リンク等のリンクを介して相互接続するのが望ましい。
【0023】
動作中のシステム100においては、SCTP及びIPによるサポート下にSIP通信を行えるようサーバ102〜108及びクライアント110〜116を起動する。サーバ102〜108及びクライアント110〜116は、個々に直接起動してもよいし、オペレーションコントローラ120及び121による管理下に起動させてもよい。クライアント110〜116は、サーバ102〜108とのSIP通信をサポートするため、通常は、起動されるとリンク130〜160を介したSCTP接続を成立させ確立する。これによって、IP網118を介した潜在的SIP通信リンクのメッシュ状ネットワークが確立され、サーバ102〜108及びクライアント110〜116を使用してSIP通信を行う準備が整う。
【0024】
このメッシュ状ネットワークの使用形態を例示説明するため、今、ポイントAにいる発呼者からインタフェース122を介し“ポイントBにいる受呼者への電話コールを確立されたし”との要求を受信したとする。図1に示されているように、インタフェース122及びクライアント110はポイントAの近くに、インタフェース124及びクライアント112はポイントBの近くに、それぞれ所在している。ポイントAとポイントBは離れた場所であるかもしれない。このときクライアント110は、宛先ポイントBを示すURI(Uniform Resource Identifier:統一様式資源識別子)を取得し、自分が保持しているSIP通信用対サーバアクティブSCTP接続リストを参照することによって、IP網118を介した電話コール伝送を成立させる際に使用できるかもしれないサーバ、例えばサーバ102〜108を認識・識別する。クライアント110は、SIP招致用の要求先リスト(request target list)に従いポイントAからポイントBへのコールの伝送を成立させるため、それぞれサーバ102〜108につながっているリンク130、138、146及び154上に所定優先順位に従いSIP招致メッセージを送出する。このとき、要求先リスト内で筆頭の優先順位を有しているのがサーバ102でありまたそのサーバ102がサービス中で且つ十分な容量を有しているのであれば、そのサーバ102は、そのSIP招致を受け付ける旨のメッセージをクライアント110に送信した上でそのサービス招致を処理し、それによってポイントAにいる発呼者とポイントBにいる受呼者との間の電話コールを成立させる。この電話コールが通る経路は経路制御によって決まり、例えばインタフェース122、リンク178、クライアント110、IP網118内のリンク186、クライアント112、リンク180及びインタフェース124を順に巡って最終的にポイントBの受呼者に達する経路となる。
【0025】
また、このサーバ102がリダイレクトモードである場合、そのサーバ102はクライアント110からの要求をサーバ104にリダイレクトし、そのサーバ104に対しSIP招致を処理しコールを成立させるよう要求する。これによって成立した電話コールが通る経路はサーバ104による経路制御によって決まり、例えば前の例と同様にリンク186を通る経路となる。また、特定の性質を有するSIP招致を拒むよう、サーバ102にプログラミングしておくこともできる。例えば、システム100内の特定部分から発せられたSIP招致を拒むよう、或いは当該特定部分にて終端させるべきSIP招致を拒むよう、サーバ102にプログラミングしておくことができる。
【0026】
本発明におけるサーバ102〜108各々に搭載されている実行可能なソフトウェアには、更に、そのサーバにてSIP通信サポートを適正終了させる処理を開始させ実行しそして監視するのに使用できるソフトウェアが含まれている。そのため、サーバ102〜108は、それぞれ、SIPメッセージを用いた通信を成立させるためのサービスから適正に離脱することができる。即ち、このシステム100では、サーバ例えば102をSIPサポート終了対象に指定することによってそのサーバ102によるSIPサポートを適正終了させることができる。こういった適正終了が必要になるのは例えば過負荷が発生したときやそのサーバ102を計画に従い修理、保守又は交換しなければならないときであり、その場合には、そのサーバ102に対しそのサーバ102上でのSIP通信サポートを適正終了させよとの命令を発行する。この命令は、例えば、オペレーションコントローラ120から送信するか、サーバ102自身にて発生させるか、或いはシステムアドミニストレータとして行動している人間からサーバ102が受け取るようにする。このとき、サーバ102がオペレーションコントローラ120から“その命令は正当権限により裏付けられている”というセキュリティ上の確認を受信することとしてもよいし、自分自身で確認することとしてもよい。この命令についてクライアント110〜116から同意・承認を受ける必要はないが、そういった同意・承認を要求・取得することとしてもよい。
【0027】
その後、このサーバ102は、引き続き計時すべき期間をガードタイマにセットして計時させる。設定される期間は、サーバ102が受付済SIP招致全ての処理を済ませ対応する電話コールその他の通信を成立させ終えるのに十分と認め得る長さとする。ここに、サーバ102は、専ら経路制御及び通信成立のための処理要求に関わっており、その結果として行われる通信それ自体にはそれほど関わってはいない。また、サーバ102にはシャットダウン前に伝送を完了させるべき個々のメッセージがキューイングされているから、このサーバ102はガードタイマ計時期間を適切な長さにまた適切な正確さで決定することができる。このようにサーバ102は通信を成立させる処理を終えたらその通信に係る伝送に関わらないのであるから、通信に遅延、阻害乃至途絶・混乱を引き起こすことなく適正に(円滑に)、それ以後に到着したSIP招致の受付を拒絶することができる。また、ガードタイマを用いているため、ガードタイマ計時期間満了時以前の時点で確実に、そのサーバ102に係るSIP通信用SCTP接続を休止させることができ、従って適切な時点でオンラインによるSIP通信サービスからサーバ102を除外することができる。サーバ102が受付済SIP招致全てを処理し終え対応する電話コールその他の通信を全て成立させ終えたら、その時点がガードタイマによる計時終了前であってもガードタイマによる計時終了を待たずにそれらSCTP接続は休止される。
【0028】
更にその後、サーバ102は“当面サーバ102上ではSIPサービスを利用できない”旨のサービス不能メッセージ即ちSIPサービス不能メッセージをクライアント110〜116に送信する。このサービス不能メッセージは、例えば、その時点でサーバ102がアクティブなSCTP接続を保っている全てのクライアント例えばクライアント110〜116に送信することとしてもよいし、事後的にサーバ102に到着したSIP招致に対しサーバ102からサービス不能メッセージにより返答することとしてもよい。後者の場合、サーバ102からサービス不能メッセージを送信する先はSIP招致を送信してきた特定のクライアントに限られ、送信する機会はそのSIP招致にサーバ102が応答するときだけとなる。また、この適正終了システムを試験するには、クライアントに対してではなくオペレーションコントローラ120のみに対してSIPサービス不能メッセージを送信して分析させればよい。その際オンラインクライアントの動作に影響が及ぶことはない。
【0029】
また、サーバ102にて所定リトライ延引期間/タイマを設定/使用し、設定したリトライ延引期間をサービス不能メッセージに含めてクライアントに伝えるようにしてもよい。このリトライ延引期間は最短でもガードタイマ計時期間と同じ長さになるよう設定する。即ち、キューイングしてある受付済SIP招致メッセージの処理を済ませ、クライアント110〜116に対するあらゆる必要な応答を送信し、自分に係るSIP通信用SCTP接続を休止させる、という動作を、サーバ102自身が実行し終えるのに十分な長さに設定する。このようにすれば、サーバ102は、受付済SIP招致に係る通信を全てリトライ延引タイマ満了前に成立させきることができる。また、リトライ延引期間の長さをデフォルト設定してもよい。このデフォルト期間長は、例えば、ガードタイマ計時期間長に所定時間を加算した長さとする。この設定はオペレーションコントローラ120又はサーバ102自身が行えばよい。
【0030】
SIPサービス不能メッセージは例えばクライアント110により受信される。クライアント110を、例えば、SIPサービス不能メッセージを受信したときそのメッセージ内のリトライ延引期間長をカウントダウンタイマに設定し、その後リトライ延引期間中はサーバ102にSIP招致を送信するのを憚る構成としてもよい。更に、サーバ102を、リトライ延引期間中は自分に送信されてきたSIP招致を全て断る構成としてもよい。また、クライアント110を、将来的にSIP招致メッセージを発行するために自分が保持しているSIP通信用対サーバアクティブSCTP接続リストから、リトライ延引期間中はサーバ102を削除しておく構成としてもよい。クライアント112、114及び116にも、これと同様の動作を実行させることができる。
【0031】
その後、サーバ102は、クライアントに送信しなければならないサービスメッセージを全て送信する処理を含め、自分にキューイングしてある全ての受付済SIP招致メッセージについての処理を完遂しようと試みる。更に、サーバ102は、ガードタイマ計時期間満了時以前の時点で、自分に係るSCTP接続をSIPサービス対象から除外する。サーバ102は、SIP通信を適正終了させる処理がこのようにして終了したときにそのことをオペレーションコントローラ120に報告する構成としてもよい。自分に係るSCTP接続をSIPサービスから排除した時点で、サーバ102は、他の通信プロトコルに対するサポートを部分的に又は全面的に終了させる処理に移行することができ、また保守その他のオフライン作業を実施できる状態となる。
【0032】
サーバ102が自分に係るSIP通信用SCTP接続を除去した後は、クライアント110〜116からサーバ102にSIP招致メッセージを送信しても仕方がなくなるが、例えばクライアント110は、それ以外のサーバ104、106及び108と自分との間のアクティブなSCTP接続を使用して、SIP招致を送信することができる。例えば、ポイントAにて発呼された電話コールをポイントBにて受呼させるには、IP網118を介した経路制御をサーバ104に行わせればよい。
【0033】
クライアント110を、SIP招致メッセージにきちんと優先順位を付ける構成としてもよい。例えば、クライアント110を、自分に対してサーバ102〜108がどのような位置にあるかに応じ或いは所与伝送経路に沿って見た場合にサーバ102〜108がどのような位置にあるかに応じ、サーバ102〜108に対するSIP招致メッセージの引き渡し優先順位を決める構成としてもよいし、ラウンドロビン方式、一次/二次方式等により引き渡し優先順位を決め、決めた順位に従いサーバ102、104、106及び108を選択していき、そして決めた順位を変えずに繰り返し且つ循環的に引き渡しを試行する構成としてもよい。また、クライアント110は、オペレーションコントローラ120等から命令を受け、その命令により指定されたサーバをスキップすることもある。クライアント110は、こうして決めた優先順位を、自分が保持しているSIP通信用対サーバアクティブSCTP接続リストに反映させることができる。そのためには、例えば、このSCTP接続リスト内にポインタを設定すればよい。このポインタはそのクライアント110が一番最近にSIP招致を送信した先がどのサーバかを示すポインタであり、クライアント110は、SIP招致メッセージを作成するときに、その次にSCTP招致メッセージの送信に使用する予定のSCTP接続をアクティブSCTP接続リストから選択して、ポインタをそのSCTP接続へとずらす。送信したSIP招致メッセージに対し所定SIP招致メッセージ応答期間内に応答がない場合は、クライアント110は、アクティブSCTP接続リストからこのように選択指定されている次のサーバに宛てて、SIP招致メッセージを送信する。こういった手順を繰り返し行い、例えばアクティブSCTP接続リスト内にあるサーバ全てにSIP招致メッセージを送信したにもかかわらず、その何れに対しても適切な時点までに応答がなかった場合、クライアント110は、例えばTDMサーバ等の非IPサーバと通信して経路制御を行い必要なコールを成立させる。
【0034】
また、クライアント110〜116を、サーバ102上でSIPサポートが利用できないとされている間もそのサーバ102によるSIPサポート状態を監視する構成としてもよい。例えば、クライアント110〜116を、自分が保持しているSIP通信用対サーバアクティブSCTP接続リストを常時完全な状態に保つべくサーバ102にサーバ状態試験メッセージ(server status test message)を試行的に送信できる構成としておく。更に、サーバ102がSIPサービスに復帰する予定時間についてクライアント110〜116が通知を受けられるようにしておけば、それらクライアント110〜116は、サーバ102をSIP通信に利用できるかどうかをチェックすることができ、またサーバ102がオンラインによるSIP通信に予定通りに復帰していない場合はそのことをオペレーションコントローラ120に通知することができる。このような通知は、サーバ102に対する直接監視をバックアップするものとして利用できる。
【0035】
サーバ102は最終的にはSIP通信サポートを再確立するに至るであろう。そうなった場合、サーバ102宛のサーバ状態試験メッセージへの応答として、そのサーバ102がオンラインによるSIP通信に復帰したことを示す応答が返送され、クライアント110〜116がこれを受信することとなる。これを受信したクライアント110〜116は、例えば、そのサーバ102を自分が保持しているSIP通信用対サーバアクティブSCTP接続リストに追加し、そのサーバ102へのSIP招致送信を再開できる状態となる。
【0036】
以上、システム100の動作につき電話コール伝送を想定して説明を行ったが、SCTP及びIPによりサポートされているSIPは、他種のデータストリームの電子伝送を成立させるのにも有用である。電話通信を成立させるのにもまたそういったデータストリームの伝送を成立させるのにも、同様の構成を有し同様の動作手順に従うシステムを利用できる。
【0037】
図2に、一例に係るSIP通信適正終了方法200を示す。例示した方法200は、サーバ102〜108、クライアント110〜116並びにオペレーションコントローラ120及び121を、図1に基づき説明した如く通信路によりリンクさせた構成を有するシステム100により、実行される。このシステム100はSIP、SCTP及びIPの各プロトコルによる通信をサポートしている。
【0038】
ステップ205、210及び215を含むフェーズIにおいては、SIP通信をサポートするようシステムが通常動作モードで確立され、このシステムにてSIP通信サポートを適正シャットダウンさせる旨の決定が下される。
【0039】
ステップ205においては、例示システム100にて例示サーバ102〜108と例示クライアント110〜116との間にSIP通信用SCTP接続を確立する。SCTP接続は必要に応じてサーバ側からでもクライアント側からでも成立させられるが、通常は、それまでオフラインであったクライアントをシステム100内のサービスに組み込むときにそのクライアント側から成立させる。ここでは、説明の都合上、クライアント110〜116それぞれとサーバ102〜108それぞれとの間にSIP通信用SCTP接続を確立してあるが、サーバ/クライアント間に選択的にSCTP接続を確立してもよい。どのようにするかは、どのような接続がそのシステム100上で現在要求されているか、またどのような接続がこれから要求されるかによる。希望通りのSCTP接続が確立された暁にはシステム100の動作モードは通常動作モードとなり、この通常動作モードにおいてはSCTP通信がサポートされるため、システム100を用いSCTPサービス要求を充足させることができる。このSCTPサービス要求は、例えば、電話コールが末端ユーザに届くよう経路制御せよとの要求が例示インタフェース122〜128によって受信されたときに、発生する。これら末端ユーザは例えば例示ポイントA及びBに所在しており、これらポイントA及びBは例えば互いに遠く隔たった位置にあり且つシステム100を介して接続されている。
【0040】
ステップ210においては、サーバ例えば102が、適正終了によりSIP通信サービスから離脱せよとの命令を、自分自身で発生させ、オペレーションコントローラ120から受信し、或いはシステムアドミニストレータとして行動している人間から受け取る。このとき、ステップ215において適正終了命令が有効な権限に基づくものであることを確認することとしてもよい。この確認は例えばサーバ102自身でもオペレーションコントローラ120でも行うことができる。なお、サーバにおけるSIP通信の無権限終了はシステムにおけるサービス能力・容量を不必要に減らすものである。
【0041】
ステップ220、225、230及び235を含むフェーズIIにおいては、サーバ例えば102が、適正終了を管理すべくガードタイマをセットし好ましくは終了予定をクライアントに通知する。
【0042】
ステップ220においてはサーバ例えば102がガードタイマをセットする。このタイマは、そのサーバのSIP通信用SCTP接続が適切なタイミングで除去されるよう、管理するためのものである。サーバ102がガードタイマにセットする時間の長さは、キューイングしてある通信成立要求全てを処理し、更に必要ならSIPサービスからの離脱が切迫している旨のメッセージを送信し、そして自分に係るSIP通信用SCTP接続を休止させる、という動作を、サーバ102自身がやり遂げるのに十分であると認められる長さとする。
【0043】
ステップ225においては、サーバ例えば102が、クライアントのうちどれか例えばクライアント110から更なるSIP招致が到来したときに、これに応答してサービス不能メッセージを送信する。ステップ230においては、サーバ例えば102が、アクティブSCTP接続により自分にリンクされているクライアント全てに、SIPサービス不能メッセージを送信する。ステップ225及び230のいずれによっても、そのサーバ例えば102を介したSIP通信の適正終了に関しクライアント110〜116に通知することができる。従って、システム100内でステップ225及び230を両方実行してもよいし一方だけを実行してもよい。またある特定のサーバのSIP通信適正終了に際しそのうち一方だけを実行することとしてもよい。また、ステップ235において、サーバ102がリトライ延引期間を設定しこれをサービス不能メッセージ内に含めるようにしてもよい。
【0044】
ステップ240、245及び250を含むフェーズIIIにおいては、クライアントがこの終了予定に応答し自分の動作を計画・設定する。
【0045】
このとき、ステップ240において、サーバ102から受信したリトライ延引期間に基づきカウントダウン期間を定めてカウントダウンタイマにセットし、カウントダウン期間中は自分が保持しているSIP通信用対サーバアクティブSCTP接続リストにおける指定対象からこのサーバ例えば102を除外しておく、という動作を、クライアント例えば110がサービス不能メッセージに応じて実行することとしてもよい。この場合、クライアント例えば110は、サーバ102がオンライン状態に復帰するまでの間、自分が保持しているこのアクティブSCTP接続リスト上で指定されている他のサーバに対し、SIP招致を送信して通信に係る経路制御を要求する。
【0046】
また、ステップ245において、サーバ102が自分とクライアント例えば110とのSIP通信用にSCTP接続を再確立するまでの間に、そのクライアント例えば110がそのサーバ102にサーバ状態試験メッセージを送信しようと試みるように、してもよい。クライアント110は、例えばリトライ延引時間が満了するまで待ち、サーバ例えば102へのサーバ状態試験メッセージの送信を開始する。
【0047】
ステップ250においては、クライアント110は、サーバ102から、そのサーバ上でのSIPサービス回復予定時刻について通知を受けることができる。通知された予定時刻が経過してもなおサーバ例えば102がシステム100上でのオンラインSIP通信に復帰してこない場合、クライアント例えば110は、オペレーションコントローラ120にそのことを通知できる。
【0048】
ステップ255、260及び265を含むフェーズIVにおいてはサーバ例えば102により適正終了処理が実行される。
【0049】
ステップ255においては、サーバ例えば102が、キューイングしてある受付済SIP招致全ての処理、並びにクライアント110〜116に送信すべきあらゆるメッセージの送信を、やり遂げようと試みる。ステップ260においては、ガードタイマ計時期間満了時以前の時点で、サーバ102が自分に係るSCTP接続をSIPサービス対象から除外する。
【0050】
また、ステップ265において、SIP通信適正終了処理が完了したことをサーバ例えば102からオペレーションコントローラ120に報告することとしてもよい。これは、オペレーションコントローラ120及び121がシステム100全体を管理できるようにするのに有用である。また、SIP通信適正終了によってサーバ例えば102とのSIP通信がシャットダウンされることとなるが、その後もそのサーバに電源を供給し続け他のSCTP通信乃至通信プロトコルをサポートできる状態を維持することが可能であるし、また全通信プロトコルについてオフライン状態にし又はその電源を切断することによってそのサーバ102についてオフライン保守その他の作業を行えるようにすることも可能である。
【0051】
また、ステップ270及び275を含むフェーズVにてサーバ例えば102に関し更なる動作を実行することもできる。まず、ステップ270においてサーバ例えば102についてオフライン保守その他の作業を実施することができる。適正終了処理の実行目的が例えばサーバ102をサービス上の過負荷から救済することであった場合は、このステップは省略することができる。また、ステップ275において、クライアント例えば110がサーバ例えば102からサーバ状態試験メッセージへの応答としてサービス可能メッセージ(Service Available Message)を受け取ったとき、そのクライアント110が自分が保持しているSIP通信用対サーバアクティブSCTP接続リスト上でそのサーバ102を指定対象として再びアクティブにする動作を、実行することもできる。そして、クライアント例えば110は、自分が保持している利用可能サーバ優先順位付けリストに従い、サーバ102へのSIP招致の送信を再開することができる。
【0052】
図3に、他の例に係るSIP通信適正終了方法300を示す。例示した方法300の実行には、図1に関して説明した如く配置され且つ通信路により相互リンクされたサーバ102、クライアント110及びオペレーションコントローラ120を用いる。
【0053】
ステップ305においては、サーバ102がクライアント110とのSCTP接続を確立する。サーバ102及びクライアント110は共にSIP、SCTP及びIPの各プロトコルによりサポートを受け通信を行う。
【0054】
ステップ310においては、サーバ102を適正終了によりSIP通信サービスサポートから離脱させよとの命令を、サーバ102が自分で発生させ、オペレーションコントローラ120自身が発生させてサーバ102が受信し、又はシステムアドミニストレータとして行動している人間が発してサーバ102が受け取る。
【0055】
ステップ315においてはサーバ102がクライアント110にサービス不能メッセージを送信する。このサービス不能メッセージは、例えば、サーバ102にこれ以上SIP招致を送信してはいけないこと、或いは送信されてもセット済リトライ延引期間経過後でなければ受け付けないことを、表している。
【0056】
ステップ320においては、サーバ102は、キューイングしてあるSIP招致の処理及びこれに関連したクライアントとの通信を完了させよう、という試みを、セット済ガードタイマ計時期間満了時点を限度として継続する。また、サービス不能メッセージの受信からセット済リトライ延引期間の満了までの間、サーバ102との間に更なるSIP通信が成立することをクライアント110側で憚るようにしてもよい。
【0057】
ステップ325においては、ガードタイマ計時期間満了時以前の時点にて、サーバ102がクライアント110とのSCTP接続をSIP通信サポート対象から除外する。即ち、キューイングしてあるSIP招致全ての処理及びこれに関連したクライアントとの通信を、ガードタイマ計時期間満了前にサーバ102が完了させた場合、このSCTP接続はガードタイマ計時期間満了前であっても除外され得る。
【0058】
以上、適正終了プロトコルに関し図1〜図3を参照して説明を行った。この説明においてはソフトウェア的実施形態を示したが、ソフトウェア的に実行される命令ステップ群の全部又は一部をファームウェア内又は他種プログラム格納媒体内に組み込んだ形態でも実施し得る。それらファームウェア又はプログラム格納媒体は、遠隔通信システムと通信する機能を備えIP、SCTP及びSIPの各プロトコルをサポート可能な1台又は複数台のコンピュータにて使用する。本願における「ソフトウェア」なる用語はその種の実行可能な命令をくまなく包含する意味で用いられており、同じく「サーバ」なる用語はSIPプロトコル実現用ソフトウェアコードを実行可能なあらゆるマイクロプロセッサシステムを包含する意味で用いられている。
【0059】
本願における教示は、本願中の記載及び別紙特許請求の範囲の記載に合致する限り、広範な状況に変形適用することができる。例えば、図2及び図3に基づく上記説明では図1に例示したシステム100を参照しているが、図2又は図3に例示されている方法は他種システムにて実施することもできる。また、システム100は本願中の記載の通り変形することができる。例えば、サーバやクライアントは、1個でも複数個でもまた何個でも、このシステム内に組み込むことができる。図2に関する説明中で必須なものとしていなかったステップ及び構成を、図3に基づき説明した方法に付加することもできる。説明した動作は、ある単一のセンタにて実行してもよいし、複数個のセンタにて実行してもよいし、アレイをなす複数個のノードにて相互通信しつつ分散実行してもよい。その他、望みに応じ様々な構成を採ることができる。インタフェースの個数は何個としてもよい。またインタフェースが実行するタスクのうち一部又は全部をクライアントにて実行させてもよい。適正終了に関連した判断、制御及び通信について、その責任機能、例えばタイマセット機能や通知送信機能の一部又は全部を、サーバに担わせてもよいし、オペレーションコントローラ(オペレーションセンタ)に担わせてもよいし、その他システム上の適切なコンポーネントに担わせることもできる。上掲の図2及び図3に示したステップの実行順序は一例に過ぎず、特にこれに限る意図はない。例えば、適正終了に関わる判断が下されクライアントに通知された後にサーバにより実行されるステップの実行タイミングは、クライアントにより実行されるステップの実行タイミングと同時でもよいし、先でもよいし、後でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係りサーバ上でSIP通信を適正終了させるシステムを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係りサーバ上でSIP通信を適正終了させる方法を示す図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係りサーバ上でSIP通信を適正終了させる方法を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セッション開始プロトコルによるクライアントとの通信をサポートするサーバと、
セッション開始プロトコルによる通信について上記サーバ上でサポート適正終了期間を設定する手段と、
サービス不能メッセージを上記クライアントに送信する手段と、
セッション開始プロトコルによる招致のうち上記クライアントへのサービス不能メッセージ送信前に上記サーバが受け付けた未完了の招致について上記サポート適正終了期間の満了時を期限として上記サーバにサポートを継続させる手段と、
セッション開始プロトコルによる通信に対する上記サーバ上でのサポートを上記サポート適正終了期間の満了時を期限として終了させる手段と、
を備え、サーバ上でセッション開始プロトコルによる通信に対するサポートを適正終了させるシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、上記サーバが上記クライアントから受信したセッション開始プロトコルによる招致に応答して上記サービス不能メッセージを送信する手段を備えるシステム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムにおいて、上記サーバが、上記クライアントに上記サービス不能メッセージと共に上記サポート適正終了期間を通知する手段を備えるシステム。
【請求項4】
請求項1記載のシステムにおいて、上記サーバが、上記クライアントへのサービス不能メッセージ送信後に受信したセッション開始プロトコルによるサービス招致を拒む手段を備えるシステム。
【請求項5】
請求項1記載のシステムにおいて、セッション開始プロトコルによる上記クライアントとの通信をサポートする第2のサーバを備えるシステム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムにおいて、上記クライアントが、セッション開始プロトコルによる上記クライアントとの通信に対するサポートが上記サーバにより再確立されるまでの間に上記サーバにサーバ状態試験メッセージを送信する手段を備えるシステム。
【請求項7】
請求項3記載のシステムにおいて、上記クライアントが、上記サポート適正終了期間の満了時までストリームコントロールトランスミッションプロトコル接続リストから上記サーバを削除しておく手段を備えるシステム。
【請求項8】
サーバとクライアントとの間にセッション開始プロトコルによる通信を確立するステップと、
セッション開始プロトコルによる通信について上記サーバ上でサポート適正終了期間を設定するステップと、
サービス不能メッセージを上記クライアントに送信するステップと、
セッション開始プロトコルによる招致のうち上記クライアントへのサービス不能メッセージ送信前に上記サーバが受け付けた未完了の招致について上記サポート適正終了期間の満了時を期限として上記サーバにサポートを継続させるステップと、
セッション開始プロトコルによる通信に対する上記サーバ上でのサポートを上記サポート適正終了期間の満了時を期限として終了させるステップと、
を有し、サーバ上でセッション開始プロトコルによる通信に対するサポートを適正終了させる方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、上記サーバが上記クライアントから受信したセッション開始プロトコルによる招致に応答して上記クライアントに上記サービス不能メッセージを送信するステップを有する方法。
【請求項10】
請求項8記載の方法において、上記クライアントに上記サービス不能メッセージと共に上記サポート適正終了期間を通知するステップを有する方法。
【請求項11】
請求項8記載の方法において、上記クライアントへのサービス不能メッセージ送信後に上記サーバが受信したセッション開始プロトコルによるサービス招致を拒むステップを有する方法。
【請求項12】
請求項8記載の方法において、セッション開始プロトコルによる上記クライアントとの通信を第2のサーバによりサポートさせるステップを有する方法。
【請求項13】
請求項8記載の方法において、セッション開始プロトコルによる上記クライアントとの通信に対するサポートが上記サーバにより再確立されるまでの間に上記サーバにサーバ状態試験メッセージを送信するステップを有する方法。
【請求項14】
請求項10記載の方法において、上記サポート適正終了期間の満了時までクライアント側のストリームコントロールトランスミッションプロトコル接続リストから上記サーバを削除しておくステップを有する方法。
【請求項15】
サーバ上でセッション開始プロトコルによる通信に対するサポートを適正終了させる方法をコンピュータシステムに実行させるコンテンツを有するコンピュータ可読媒体であって、その方法が、
サーバとクライアントとの間にセッション開始プロトコルによる通信を確立するステップと、
セッション開始プロトコルによる通信について上記サーバ上でサポート適正終了期間を設定するステップと、
サービス不能メッセージを上記クライアントに送信するステップと、
セッション開始プロトコルによる招致のうち上記クライアントへのサービス不能メッセージ送信前に上記サーバが受け付けた未完了の招致について上記サポート適正終了期間の満了時を期限として上記サーバにサポートを継続させるステップと、
セッション開始プロトコルによる通信に対する上記サーバ上でのサポートを上記サポート適正終了期間の満了時を期限として終了させるステップと、
を有するコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
請求項15記載の媒体において、上記方法が、上記サーバが上記クライアントから受信したセッション開始プロトコルによる招致に応答して上記クライアントに上記サービス不能メッセージを送信するステップを有する媒体。
【請求項17】
請求項15記載の媒体において、上記方法が、上記クライアントに上記サービス不能メッセージと共に上記サポート適正終了期間を通知するステップを有する媒体。
【請求項18】
請求項15記載の媒体において、上記方法が、上記クライアントへのサービス不能メッセージ送信後に上記サーバが受信したセッション開始プロトコルによるサービス招致を拒むステップを有する媒体。
【請求項19】
請求項15記載の媒体において、上記方法が、セッション開始プロトコルによる上記クライアントとの通信に対するサポートが上記サーバにより再確立されるまでの間に上記サーバにサーバ状態試験メッセージを送信するステップを有する媒体。
【請求項20】
請求項17記載の媒体において、上記方法が、上記サポート適正終了期間の満了時までクライアント側のストリームコントロールトランスミッションプロトコル接続リストから上記サーバを削除しておくステップを有する媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−521547(P2007−521547A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509914(P2006−509914)
【出願日】平成16年4月12日(2004.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/011170
【国際公開番号】WO2004/092899
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(390035493)エイ・ティ・アンド・ティ・コーポレーション (130)
【氏名又は名称原語表記】AT&T CORP.
【Fターム(参考)】