セパレータ膜、その製造方法、前記膜を設けたスパーコンデンサ、電池及びコンデンサ
本発明は、電気エネルギー貯蔵のための装置のためのセパレータ膜に関し、前記セパレータ膜は。多孔性であり、方向づけられ、かつ長手方向及び前記長手方向に横断する方向に延伸されることで得られ、前記膜は、ポリプロピレンホモポリマー、少なくともプロピレン及びエチレンを含むモノマーの少なくとも1つのコポリマーが、少なくとも10重量%、少なくとも1つのベータ核化剤を含む混合物を含む。本発明によれば、前記コポリマーのエチレン含有量は前記コポリマーの1重量%以下であり、前記コポリマーのプロピレン含有量は前記コポリマーの少なくとも90重量%であり、前記膜の厚さが8μm以上で30μm以下であり、IEC−60674−3−1標準により決定される空間ファクタが145%以上に対応し、かつ両方向へ延伸された膜の密度が0.18g/cm3以上であり0.41g/cm3以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを貯蔵するために使用される装置のためのセパレータ膜に関し、前記膜は多孔性であり方向付けられている。
【0002】
従って、本発明の目標とする応用は、例えば、水溶性又は非水溶性媒体中のいずれかで機能するスパーコンデンサ、電池及び特に一次および二次リチウムイオンおよび金属ポリマー電池、また同様に電解コンデンサである。
【0003】
電気エネルギー貯蔵システムで使用されるセパレータ膜はいくつかのタイプがあり、要求される特徴を実行する機能を有する。
【0004】
スパーコンデンサの場合に、最も共通して使用されるセパレータはセルロースからなる。望まれる特徴は、非常に高多孔性、前記構造中のポアの等方性、良好な電気化学、及び使用される電解質に対する化学安定性であり、厚さは35μm未満であり、前記コンポーネント中で実装(例えば巻取)の際に低変形性などである。最近の研究によると、前記セパレータはスーパーコンデンサ劣化の潜在的原因であるということが示された:即ち、前記スパーコンデンサは徐々に時間とともに、電極の極性による反応(電気化学的劣化)及びガスの発生により劣化する。しかし、ポリマー系セパレータはいくつかの問題を提起する:それらは十分な多孔性を示さない(例えばリチウムイオン電池の分野)、又は電気化学的に十分安定ではない又は機械的に過度に変形し得る(ポリマーの可塑性)、ということである。
【0005】
有機媒体中で機能する電池、例えばリチウムイオン電池などの場合において、前記セパレータは比較的薄く(一般には25μm以下)、有機電解質又は電極材料(特にリチウム金属及びリチウムイオン)と反応してはならず、かつ耐高電圧(3Vを超える)であるが同時に前記2つの電極間を、短絡を避けるために完全に電気絶縁性としなければならない。リチウムイオン電池の分野で開発されるセパレータは一般的に、一方向に冷延伸された無機フィラーが含まれているか含まれていないポリオレフィンから製造される。これらのセパレータは一般的に不十分な機械抵抗性と高い変形可能性という欠点を持つ。前記セパレータの厚さ方向に孔を形成する欠点を持つという、冷延伸に伴う本質的な問題を解消するために、1つの解決方法はPP/PE/PP多層押出しを実行することを含む。セパレータのこのタイプは特に費用がかかるが有利な特徴を持つ。セラミックスタイプを含むセパレータのその他のタイプは、またこのタイプの応用のために開発されてきたが、しかしそれらを広く工業規模で受け入れられるには製造コストの面で制限されている。最後にベータ核化剤を用いるポリプロピレン系電池のためのセパレータが知られているが、それらはポリプロピレンのみを含むことから十分な機械的挙動を示さない。
【0006】
鉛酸電池の分野では、一般的に使用されるセパレータは、ガラスファイバからなり、これは腐食性の水溶性電解質に抵抗性であるという理由が本質的であるが、しかしその性能は特に顕著なものではない。というのはこのセパレータタイプは厚すぎ(一般的に、40μmを超える)、かつポアが大きすぎる(>5μm)からである。この理由により、無機フィラーとポリオレフィンを含むセパレータもまた開発されてきた。多層セパレータがまたこれらの問題に対処するために開発されてきた。しかしこれらのセパレータはまた、前記コンポーネントが劣化し及び/又はそれらを実装する際に機械的変形を受けるという問題を持つ。
【0007】
電解コンデンサの場合において、前記セパレータは一般的に、セルロースからなり、この理由は含浸の容易性による。電解コンデンサの操作原理は次のようである。第1に、電解質(例えば:ホウ酸溶液)で浸された2つのアルミニウム電極(アノード及びカソード)間に電流が循環される場合、電解が生じてアノード電極上にアルミニウム酸化物(アルミナ、Al2O3)の層を形成させる。第2に、アルミナは絶縁体となり、アルミナの層が絶縁体となるコンデンサが得られ、1つの電極が前記アノードにより構成され、及び他の電極、カソードは前記電解質と接触するだけの作用を持つ。この誘電絶縁体により、前記誘電層を、ポリプロピレンから製造される誘電コンデンサで使用される技術に関連して非常に薄くすることができる。最後に、前記コンデンサの容量は、電極の表面同様アルミナの層の厚さに依存する。表面積を増加させるために、前記アノードを前記酸化物層を形成させる前に化学的に攻撃して「エッチング」することが可能である。その結果、これらのコンポーネントの操作電圧(数百ボルト)を考慮して1枚又は数枚のセルロースセパレータが前記アノード及びカソードの間に追加される。それにも拘わらず、これらの絶縁破壊電圧は比較的低く、数層のセパレータに頼る必要がある場合がある。しかしポリマーセパレータは一般的に、その構造から容易に含浸されず、この用途には使用され得ない。この技術の操作原理を考慮して、エネルギー貯蔵に本質的役割を果たしていない前記カソードは、前記コンポーネントの容積と重量の点で損失となっている。このカソードのシートの厚さは一般的に15μmと60μmの間であり、かつまた電気化学的にエッチングされて電解質との接触表面を増加させている。
【0008】
ベータ核化前駆体から製造されるポリプロピレンが知られている。
【0009】
一般に、使用される核化剤は3つのカテゴリに分類される。比較的長鎖を持つアルカリ土類カルボキシレートであり、例えば米国特許出願公開第2005/212183号明細書によると10を超える連続直鎖炭素を持つもの、又は例えば欧州特許出願公開第1511797号明細書による金属酸化物ナノ粒子又はカルシウムカーボネートであり、又はより複雑な有機分子であり、例えば米国特許第7235203号明細書による環状アミド又は米国特許第3563971号明細書による環状アミンである。
【0010】
欧州特許第492942号明細書には、多孔性で方向付けられたポリマー性組成物が記載されており、前記組成物は:
(1) 5〜95重量%のエチレンープロピレン成分Aを含み、エチレン−プロピレンコポリマーがエチレン含有量10〜50重量%含み、
(2) プロピレン成分Bを95〜5重量%含み、
(i) プロピレン成分Bは、プロピレンホモポリマー又はランダムコポリマーであり、前記コポリマーにはエチレン又は4から8の炭素数のαオレフィンのコモノマーが10重量%まで含まれ、
(ii) 及び場合により、成分A及びBの100重量部につき20重量部までの成分Cを含み、これは低分子量ポリプロピレンホモポリマーであり溶融粘度がシェア速度が190℃で136秒−1で測定して50から1000ポアズであり、成分Cは、成分Bが、前記ポリマー成分中で要求される成分Cの部分が成分Bの低分子量材料中の量に含まれるような広い分布を持つ場合には成分Bにより与えられ;
(3) カルシウムカーボネートを含む成分A及びBの100重量部につき0から30部の成分D、及び
(4) ベータ球晶を製造する核化剤を含む、成分A及びBの100重量部につき0から50ppmの成分Eを含み、ただし、成分A/成分Bの重量比が5〜30/95〜70の際には成分Eは0.1から10ppmであり、成分A/成分Bの重量比が5〜30/95〜70の際には成分Cは:
(a) 前記ポリマー性組成物が実質的に成分Dがない又は成分D及びEがない場合には5から20部、及び
(b) 前記ポリマー性組成物が0.1から10ppmの成分E及び5から30重量部の成分Dを含む場合には5から20重量部を含む。
【0011】
欧州特許第492942号明細書欧州特許第492942号明細書によると、かかる膜の多孔度は少なくとも25μmの厚さで55%を超える。従って、EP−B−492942の実施例13−1、13−2、13−3及び13−4は、長手方向及び前記長手方向に横断する方向に延伸させた膜であって、組成が、70重量%のエチレン−プロピレンコポリマー、20重量%のポリプロピレン/カルシウムカーボネートで前記組成物中に8重量%までのカルシウムカーボネートを含み、10重量%の低分子ポリプロピレン及び2ppmのキナクリドン色素を含み、かつ厚さ5.6×10−2mm、7.1×10−2mm、6.9×10−2mm及び4.8×10−2mm、で多孔度がそれぞれ59.8、58.9、59.2及び62.2である、膜を提供する。一方で、長手方向及び前記長手方向に直行する方向に延伸させて得られる膜についての実施例1eでは、組成は比が特定されていないエチレン−プロピレンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー及び1.5ppmの赤キナクリドン色素であり、多孔度は厚さ19μmで51.3%に低下し、一方で実施例1a、1b、1c及び1dでは、厚さ3.94×10−2mm、3.66×10−2mm、3.30×10−2mm及び2.54×10−2mmにつき多孔度がそれぞれ58.0、53.0、58.4及び56.2である。
【0012】
欧州特許第492942号明細書には、開示の膜は電気化学セルのセパレータとしての用途を含む多数の用途に使用し得ることが記載されている。
【0013】
しかし、前記指摘した電気用途のためには、欧州特許第492942号明細書の膜は小さい厚さでの多孔度が十分ではなく、電気エネルギー貯蔵装置でのセパレータとしては十分な機械的かつ熱的安定性を持たないものである。
【0014】
特開2008−201814号公報は、生産性と機械強度を維持しつつ高浸透性を持つ多孔性ポリプロピレン膜、及び内部抵抗を低減することができる電池装置を提供する。ここで多孔性ポリプロピレン膜は、ポリプロピレン樹脂に対して0.01重量%から0.5重量%のアミド化合物及びポリプロピレン樹脂に対して0.01重量%から0.1重量%のキナクリドン化合物を含む。
【0015】
特開2008−201814号公報に開示される膜は、電気エネルギー貯蔵装置のセパレータとして使用されるために十分好ましい機械的安定性も熱的安定性も持たない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/212183号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1511797号明細書
【特許文献3】米国特許第7235203号明細書
【特許文献4】米国特許第3563971号明細書
【特許文献5】欧州特許第492942号明細書
【特許文献6】特開2008−201814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は前記従来技術による欠点を緩和できる膜を得ることを課題とする。
【0018】
膜は、特に電気エネルギー貯蔵のために使用される装置のセパレータとして適する膜である。
【0019】
特に多孔性膜として、前記膜は十分低い熱収縮性を持つ必要がある。というのは、それにより前記膜は電気エネルギー貯蔵のために使用される装置内で使用寿命の間の加熱に耐えることができるからである。前記加熱は、例えば電気エネルギー貯蔵、電気エネルギーの充電及び放電のための前記装置の使用により発生し、又は最大高温度が電気エネルギー貯蔵のための装置の使用を規定するからである。
【0020】
本発明は、電気エネルギーを貯蔵するために使用される装置のためのセパレータ膜を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明はエネルギー貯蔵用途のための、ベータ核化剤を含む2方向熱延伸により得られる膜の製造である。
【0022】
第1の本発明は、電気エネルギー貯蔵のために使用される装置のためのセパレータ膜であり、前記膜は多孔性であり方向付けられており、かつ長手方向へ延伸され及び前記長手方向を横断する方向(以下、「横断方向」、「横断する方向」とも記載される)へ延伸されて得られる膜であり、前記膜は:
−ポリプロピレンホモポリマー、
−少なくともプロピレン及びエチレンを含むモノマーの少なくとも1つのコポリマーを少なくとも10重量%、;
−少なくとも1つのベータ核化剤を含む混合物を含み、
前記コポリマーが、エチレン含有量が前記コポリマーの1重量%以上10重量%未満、及びプロピレン含有量が前記コポリマーの少なくとも90重量%であり、前記膜の厚さが8μm以上30μm以下であり、IEC−60674−3−1標準により決定される空間ファクタ145%以上に対応し、及び両方向に延伸させた膜の密度は0.18g/cm3以上0.41g/cm3以下である膜である。
【0023】
本発明の1つの実施態様では、前記混合物は少なくともプロピレン及びエチレンを含むモノマーの少なくとも1つのコポリマーを少なくとも50重量%含む。
【0024】
1つの実施態様によれば、前記コポリマーはエチレン含有量が5重量%以上である。
【0025】
1つの実施態様によれば、前記IEC−60674−3−1標準により決定した空間ファクタが150%以上である。
【0026】
1つの実施態様によれば、前記IEC−60674−3−1標準により決定した空間ファクタが200%以上である。
【0027】
本発明の1つの実施態様によれば、前記ベータ核化剤はキナクリジンを含む。
【0028】
本発明の1つの実施態様によれば、前記ベータ核化剤ははガンマキナクリジンを含む。
【0029】
1つの実施態様によれば、前記コポリマーはエチレン含有量が5%以上である。
【0030】
1つの実施態様によれば、前記ベータ核化剤は、ガンマキナクリジンを0.11重量%以上かつ0.5重量%以下で含む。
【0031】
1つの実施態様では、前記エチレンコポリマーはブチレンを含む。
【0032】
1つの実施態様では、前記混合物中のブチレン含有量は0以上かつ1重量%以下である。
【0033】
1つの実施態様では、前記膜の厚さは25μm以下である。
【0034】
1つの実施態様では、前記膜の厚さが20μm以下である。
【0035】
1つの実施態様では、両方向に延伸された膜は両方向で表面密度が0.400g/cm2以下である。
【0036】
1つの実施態様では、前記両方向に延伸された膜のガーリー気孔率が100cm3当たり50秒以上かつ300秒以下である。
【0037】
1つの実施態様では、前記両方向に延伸された膜のガーリー気孔率が100cm3当たり80秒以上かつ130秒以下、好ましくは120秒以下である。
【0038】
1つの実施態様によれば、前記両方向へ延伸された膜の多孔度は50%以上である。
【0039】
1つの実施態様では、前記両方向へ延伸された膜の多孔度は55%以上、又は60%以上である。
【0040】
1つの実施態様では、前記膜は1μm当たり絶縁破壊電圧が330V(330/μm)である。
【0041】
1つの実施態様では、前記膜はASTMD882標準により、長手方向弾性率が600MPa又は800MPa以上である。
【0042】
1つの実施態様では、前記膜はASTMD882標準により、横断方向弾性率が300MPa以上である。
【0043】
1つの実施態様では、前記膜は破壊強度が20MPa以上である。
【0044】
1つの実施態様では、前記混合物がさらにステアリン酸カルシウムを混合物1kgに対して25から250mg含む。
【0045】
1つの実施態様では、20μm厚さの前記膜の120℃での横断収縮率が8%未満である。
【0046】
本発明の1つの実施態様では、20μm±1μm厚さの前記膜の120℃での横断収縮率が8%未満である。
【0047】
本発明の1つの実施態様では、20μm±1μm厚さの前記膜の135℃での横断収縮率が18%未満である。
【0048】
本発明の1つの実施態様では、15μm±1μm厚さの前記膜の120℃での横断収縮率が7%未満である。
【0049】
本発明の1つの実施態様では、150℃以上の温度で、前記膜はガーリー気孔率が5000秒以上である。
【0050】
本発明の第2は、上で説明した膜の製造方法である。前記方法は、第1ステップで、溶融された前記混合物を前記混合物の溶融温度未満の回転冷間ロール(CR、13)に通してプライマリ膜(F)を得、さらに前記第1ステップの後の第2ステップで、前記プライマリ膜(F)を移送する長手方向(MD)に延伸し、かつ前記膜(F)を前記長手方向(MD)を横断する方向(TD)に延伸する、ことを含み、前記方法は、前記第1のステップで前記溶融された混合物が前記冷間ロール(CR、13)との接触時間が30秒以上であり、好ましくは85秒以上であることを特徴とする。
【0051】
本発明は電気エネルギー貯蔵のためのセパレータ膜を製造する方法であり、前記膜は多孔性であり、方向付けられており、前記膜は:
− ポリプロピレンホモポリマー、
− 少なくともプロピレン及びエチレンを含むモノマーの少なくとも1つのコポリマーを少なくとも10重量%、
− 少なくともベータ核化剤を含み、前記コポリマーが1重量%以上10重量%以下のエチレンを含有し、前記コポリマーが少なくとも90重量%のプロピレンを含有し、第1のステップで前記溶融された混合物が、回転し前記溶融された混合物よりも低い温度を持つ冷間ロール(CR、13)を通過してプライマリ膜(F)を得て、前記第1のステップの後の第2のステップで、前記プライマリ膜(F)はその長手移送方向(MD)で延伸され、前記膜(F)は前記長手方向を横断する方向(TD)で延伸され、前記方法は、前記第1のステップで前記溶融された混合物が前記冷間ロール(CR、13)との接触時間が30秒以上であることを特徴とする。
【0052】
本発明の1つの実施態様では、前記第2のステップで、前記膜は、第2の長手方向延伸入口ーゾーン(2)を、第2の駆動ロール(20)により、前記移送長手方向(MD)での前記膜(F)の駆動速度で通過し、その後前記膜(F)は、第3の長手方向延伸出口ゾーン(3)を、前記長手移送方向(MD)での前記第2の駆動ロール(20)での前記膜(F)の駆動速度よりも大きい前記長手移送方向(MD)での速度で通過し、ここで前記第2の長手延伸入口ゾーン(2)での少なくとも1つの前記第2のロール(20)の温度が45℃以上、好ましくは80℃以上であり、かつ110℃以下、好ましくは100℃以下である。
【0053】
本発明の1つの実施態様では、前記第2の長手方向延伸入口ゾーン(2)での少なくとも1つの前記第2のロール(20)の温度が、80℃以上かつ110℃以下である。
【0054】
本発明の1つの実施態様では、前記第2の長手方向延伸入口ゾーン(2)での少なくとも1つの前記第2のロール(20)の温度が、45℃以上かつ100℃以下である。
【0055】
本発明の1つの実施態様では、前記冷間ロール(CR、13)は、前記第1のステップで235から260℃の温度を持つ溶融された混合物につき、110℃以上かつ145℃以下の温度である。
【0056】
本発明の1つの実施態様では、前記第2のステップで、前記膜は、第2の駆動ロール(20)により、前記長手移送方向(MD)での前記膜の駆動速度で、第2の長手方向延伸入口ゾーン(2)を通過し、その後前記膜(F)は、前記膜を前記長手移送方向(MD)へ延伸するために、前記長手移動方向(MD)での前記第2のロール(20)での前記膜(F)の駆動速度よりも大きい速度で長手移送方法(MD)での速度で第3のロール(30)により第3の長手方向延伸出口ゾーン(3)を通過し、
前記第2の長手方向延伸入口ゾーン(2)と前記第3の長手方向延伸出口ゾーン(3)の間の長手方向延伸による前記膜の横断方向幅低減速度(NIR)が、0.20以上、好ましくは0.28以上である。
【0057】
本発明の1つの実施態様では、前記膜は前記冷間ロール(CR、13)と接触する第1の表面(F10)と前記第1の表面(F10)と対抗する第2の表面(F20)を含み、ここで前記第1ステップでは、前記冷間ロール(CR、13)の温度よりも低い温度を持つエアーナイフが前記第2の表面を通過する。
【0058】
本発明の第3は、電解スーパーコンデンサであり、少なくとも2つの使用端子に接続される少なくとも2つの電気導電体を含み、上で説明した少なくとも1つの多孔性膜と前記膜に浸漬させた電解質が前記2つの電気導電体の間にある。
【0059】
本発明の1つの実施態様では、前記電気導電体は前記多孔性膜で巻き取られた形状である。
【0060】
本発明の第4は、電気エネルギー貯蔵のための電池又はセルであり、少なくとも2つの使用端子に接続された少なくとも2つの電気導電体を含み、上で説明した多孔性膜と前記膜に浸漬させた電解質が前記2つの電気導電体の間にある。
【0061】
本発明の1つの実施態様では、前記電気導電体は前記多孔性膜に巻き取られた形状である。
【0062】
本発明の第5は、電解コンデンサであり、アノード(A)とカソード(CATH)を含み、その間に上で説明した多孔性セパレータ膜が少なくとも1つと前記膜に浸漬させた電解質を含む。
【0063】
本発明の1つの実施態様では、前記アノード及びカソードは、少なくとも1つの前記多孔性膜に巻き取られた形状である。
【0064】
本発明の1つの実施態様では、カソードは前記少なくとも1つの多孔性膜の1つの表面上にのみ金属堆積(M)により形成され得る。
【0065】
前記金属堆積は、プラズマ(イオン化ガス)による前処理をして、又は前処理せずに実施される。
【0066】
本発明の1つの実施態様では、前記アノード及びカソードは前記少なくとも1つの多孔性膜に巻き取られた形状であり、前記コンデンサは少なくとも1組みの前記多孔性セパレータ膜(F1、F2)を含み、それぞれは1つの表面上のみ金属堆積されてカソードを形成し、前記金属堆積はお互いに対してなされており、前記アノードは金属堆積されていない前記多孔性膜の1つの表面(F1)の1つに対抗する。
【0067】
本発明の1つの実施態様では、前記アノード及びカソードは前記少なくとも1つの多孔性膜に巻き取られた形状であり、前記コンデンサは、少なくとも1組みの、第1及び第2の前記多孔性膜(F1、F2)を含み、前記第1の膜は1つの表面だけ金属堆積されてカソードを形成し、前記第1の膜の金属堆積は前記第2の金属堆積されていない膜に対抗して位置され、前記アノードは前記金属堆積されていない多孔性膜の1つの表面(F1)の1つの対抗する。
【0068】
本発明はさらに、前記セパレータと水溶液(酸性、塩基性又は中性)の相互作用(濡れ性)を改善するものである。
【0069】
本発明は以下の記載を、非制限的な添付図面とともに考慮することでよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、ポリプロピレン溶融曲線を示す。
【図2】図2は、ポリエチレン及びポリプロピレン溶融曲線を示す。
【図3】図3は、本発明の膜製造ラインを表す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の膜及び2つの比較実施例の延伸の際応力抵抗を表す図である。
【図5】図5は、本発明の膜の走査電子顕微鏡写真である。
【図6】図6は、本発明の膜の2つの表面の走査電子顕微鏡写真である。
【図7】図7は、図6の膜の断面図である。
【図8】図8は、電解コンデンサの原理的構造を模式的に表す。
【図9】図9は、巻取形状の電解コンデンサの原理的構造を模式的に表す。
【図10】図10は、第1の実施態様での図8及び図9の電解コンデンサの巻取を模式的に表す。
【図11】図11は、第2の実施態様での図8及び図9の電解コンデンサの巻取を模式的に表す。
【図12】図12は、図11により製造される電解コンデンサでの電流の原理を模式的に表す。
【図13】図13は、ポリプロピレン系膜の断面図であり、2つのタイプの膜厚さを示す。
【図14】図14は、本発明の1つの実施態様による、膜の長手方向での温度の関数としての収縮を表すグラフである。
【図15】図15は、図14と同じ実施態様での、膜の横断方向での温度の関数としての収縮を表すグラフである。
【図16】図16は、本発明の他の実施態様での、膜の横断方向での温度の関数としての収縮を表すグラフである。
【図17】図17は、図16と同じ実施態様での、膜の長手方向での温度の関数としての収縮を表すグラフである。
【図18】図18は、膜の1つの実施態様での、秒を単位として測定されたガーリー気孔率を温度の関数として表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下記載される実施例において、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)及びベータ核化剤、ガンマキナクリジンを同時に含む膜が製造される。本発明者は、前記膜の大きい空間ファクタ(Fe)と密度間隔の組合せが、前記膜を電気エネルギー貯蔵用途のセパレータとして使用できるための決定的事項であることを見出した。
【0072】
本発明による膜の空間ファクタは、IEC−60674−3−1標準により決定される。
【0073】
本発明の膜に空間ファクタFeは150%以上、好ましくは200%以上である。
【0074】
本発明の膜の密度が、0.18g/cm3以上0.41g/cm3以下である。空間ファクタFeは以下の式で計算される。
Fe(%)=((MT−WT)/WT)x100
図13は、ポリプロピレン系膜の模式的断面図であり、重量(重量に基づく)厚さWT及び長さ(長さに基づく)厚さMTを示す。
【0075】
長さ厚さMTは最も普通に使用されるものであり、前記膜のピークからピークであり、即ち最大ピークと最小ピークとの距離である。
【0076】
対照的に、重量厚WTは重量測定により決定され、長さ厚MTはより小さい。
【0077】
膜の空間ファクタFeの決定方法
区間ファクタFe、重量厚さWT及び長さ厚さMTは、IEC60674−3−1国際標準により決定される。
【0078】
膜の12層サンプルを組立て、知られたサイズの領域をテンプレートを用いて切り出した。前記サンプルは膜のロールから、膜のほぼ0.5mmを前記ロールの外側表面から切断し、かつその後前記テンプレートを用いて膜の8層が切り出される。前記テンプレートは、250mmx500mmである。
【0079】
重量厚さWTはスケール計量を用いて決定される。
【0080】
ミクロメーターが長さ厚さMTをを測定するために使用される。長さ厚さMTは、2cm2のフラットな表面で1.96daNにて測定される。長さ厚さMTを測定するために、前記最初及び最後の層は8層で作業するために除かれる。前記サンプルの表面に分布される10の個々の測定値が取得される。長さ厚さMTはこれらの10の結果の平均である。
【0081】
膜の組成
核化剤としてのガンマキナクリジンは前記混合物に対して2重量%未満、好ましくは、0.1%<ガンマキナクリジン<0.5%である。
【0082】
前記コポリマーは、例えばポリプロピレン、エチレン及びブチレンのターポリマーである。
【0083】
このコポリマーでは、プロピレンは前記コポリマーの90重量%以上である。
【0084】
このコポリマーでは、エチレンは1重量%以上、好ましくは5%以上であり、かつ10重量%以下である。
【0085】
このコポリマーでは、ブチレンはコポリマーの0.10重量%以上であり、かつ1重量%以下である。
【0086】
前記混合物はさらに、ステアリン酸カルシウムを含むことができ、例えば混合部物1kg当たり25から250mgである。ステアリン酸カルシウムは、(以下例示する実施態様の場合)チーグラーナッタ触媒を用いて製造される際にポリプロピレン中に残存する塩素残留物を中和する。
【0087】
1つの例示的実施態様では、ポリエチレンコポリマーは約9%のポリエチレン(PE)を含む。次の例は、PPホモポリマー及びPEコポリマーの両方を使用する必要があることを示す。
【0088】
本発明の第1の実施例によると、膜の組成は、第1の組成C1を持ち、これはエチレンが5重量%以上含まれ、例えば試験1から29であり、以下の組成C1である:
− ポリプロピレン:≧混合物の90重量%、
− ポリエチレン:混合物の約6.5重量%、
− ブチレン:混合物の約0.1重量%、
− ガンマキナクリジン:混合物の0.2重量%。
【0089】
試験1から29はこの第1の組成C1を持つ膜で実施された。
【0090】
本発明の第2の例示的実施態様によれば、前記膜の組成は第2の組成C2を持ち、これにはエチレンが1重量%以上で5重量%以下であり、例えば試験30から44及び101から110であり、以下の組成C2である:
− ポリプロピレン:≧混合物の95重量%、
− ポリエチレン:混合物の約2重量%、
− ブチレン:混合物の約0.1重量%、
− ガンマキナクリジン:混合物の0.2重量%。
【0091】
以下で試験1から110は、顆粒材料から1軸スクリュ押出機で実施された。前記ホモポリマーは強いかつ抵抗性材料を製造する。前記コポリマーは、前記材料及びホモポリマーに延伸の際に特定の延性を与える利点を有する。
【0092】
前記試験で前記膜として使用される材料は以下のものである:
− エチレンコポリマー:Clyrell EC310K、Basellから入手、
− ホモポリマー:絶縁グレードPP樹脂HB311BF、Borealisから入手、
− ベータ核化剤ガンマキナクリジン、PPマスタバッチ中:MP1113(マスタバッチ中の濃度2%)、Mayzoから入手。
【0093】
アルファ及びベータ相の形成率は、ポリオレフィンから製造される多孔性膜を得るための特徴である。
【0094】
アルファ核化相とベータ核化相の量を決定する方法
簡略化のために、この方法は最初図1を参照してエチレンコポリマーなしのポリプロピレンの場合を説明する。この測定は、図1による押し出しにより得られるプライマリ膜について示差走査熱量測定により調製された溶融曲線を組み込むことで作られる。前記プライマリ膜は、ポリプロピレン結晶化後得られ、温度制御ロール後、即ち長手方向伸長直前に回収される。結晶化は、前記冷間ロール(CR)の前記ダイの出口から生じることから、これは、β相リッチな第1の膜を得るために前記冷間ロールの理想的動力学的及び熱的パラメータを目標とするために本質的なことである。2つの最も重要なパラメータは、従って、冷間ロール温度と回転速度である。
【0095】
図1の全溶融曲線を積分することで前記ポリマーの全結晶化を与える。測定されたエンタルピーは、ΔΗ=(ΔΗα+ΔΗβ)(J/gで)と表される。形成されるβ相を評価するためには部分積分が可能である。
【0096】
図1の場合、値59.5%が、前記曲線と前記垂直マークの左へのベースラインで区切られた領域に対応する。これは結晶化で生成されるβ相のパーセントである。β核化相の比率は、PPのβ%=100%x[βピーク面積/(αピーク面積+βピーク面積)]である。
【0097】
図1で、ポリプロピレン(プライマリ膜)は、融点を超えるまで10℃/分で加熱される。
【0098】
本発明の図2のポリオレフィン(PP+PE)の場合には、容易にPEの寄与と分かる追加のピークを積分することで図1と同じように決定される(図2)。
【0099】
本発明の膜製造方法は、図3を参照して以下説明される。
【0100】
本発明の膜Fの製造では、膜は第1のキャストゾーン1、第2の長手方向延伸入口ゾーン2、第2の長手方向延伸出口ゾーン3及び第4の横断方向延伸ゾーン4を連続して移動する。
【0101】
第1のキャストゾーン1では、本発明の材料混合物は最初に押し出し装置11内に入れられ溶融状態で前記冷間ロール13のダイ12に到達して前記プライマリ膜Fを形成する。
【0102】
ゾーン1でのプライマリ膜Fは次の特徴を持つ:
−厚さ:275±25μm、
−前記プライマリ膜出口(長手方向延伸前)でのβ結晶比率:≧60%(上で説明したDSC測定による面積)、好ましくは≧65%、特には≧75%。
【0103】
冷間ロール13の温度(冷却温度)
β相を形成するためには結晶化はできるだけゆっくりと行う必要があることが分かる。β結晶の形成領域は知られており、即ち90℃と130℃の間であり、最も関連する試験がこの温度範囲で得られる。β相形成の理想的温度は120℃と130℃の間である。
【0104】
冷間ロール13の回転速度
冷間ロール13の回転速度は2つの大きく異なる現象でそれぞれ役割を果たす。即ち前記ダイ中に存在する材料の結晶化時間と方向付けである。方向付けされる際に、材料はそれに与えられる応力により安定なα形に追従する。冷間ロール13が材料が前記ダイ12を出る流れに関して迅速に回転する場合には、前記材料は従って、方向付けされる。材料がダイ12を出る速度は、しかし、前記流れの速度を変更することなくダイ12内の圧力を調節することで変更され得る。
【0105】
本発明によれば、多孔度は、前記溶融材料と冷間ロール13との接触時間が少なくとも30秒とすることで増加させ得る。
【0106】
例えば、以下の試験1から28で、前記溶融物と冷間ロール13との接触時間は約40秒である。例えば、上で示される第1の実施態様では、40秒の接触時間のために、冷間ロール13の直線速度は1分間に3メートル未満、例えば1分間に2メートルである。
【0107】
上で示される第2の実施例では、前記溶融物と冷間ロール13との接触時間は85秒以上である。例えば、以下の試験30から44及び101から110では、前記溶融物と冷間ロール13との接触時間は約110秒である。例えば、上で示される第2の実施例では、115秒の接触時間について冷間ロール13の直線速度は1分間で1メートル未満、例えば1分間で0.6メートルである。
【0108】
本発明による1つのかかる接触時間は膜に孔形成を改善する。
【0109】
キャストゾーン1でのパラメータは、例えば、上で示された第1の例示実施態様では次のようである:
− 溶融交代での混合物の温度:235℃から260℃、
− 冷間ロールCR、13への接触時間:40±10秒、
− 冷間ロールCR、13の温度:110℃から145℃、
− エアナイフにより又はエアナイフなしでプレスし冷却する。
【0110】
キャストゾーン1でのパラメータは、例えば上で示した例示実施態様では次のようである:
− 溶融交代での混合物の温度:235℃から260℃、
− 冷間ロールCR、13への接触時間:110±10秒、
− 冷間ロールCR、13の温度:110℃から145℃、
− エアナイフにより又はエアナイフなしでプレスし冷却する。
【0111】
前記第2の長手方向延伸入口ゾーン2では、冷間ロール13から前記第1の膜Fは、ロール20間を長手方向、又は前記膜の移送の方向に対応して機械方向MDへ移送される。
【0112】
前記第2の長手方向延伸入口ゾーン2で前記駆動ロール20の温度は、例えば前記第1の例示的実施態様及び試験1から29では80℃から100℃であり、また例えば前記第2の例示的実施態様及び試験30から44と101から110では前記膜の移送の方向MDでの少なくとも第1のロール20、R1、R2、R3、R4、R5は50℃から90℃であり、これらの第1のロール20、R1、R2、R3、R4、R5は例えば同じ温度を持つ。
【0113】
第1のロール20、R1、R2、R3、R4、R5のこの温度は前記膜中の孔形成を改善する。
【0114】
前記膜の移送の方向MDでの前記最後のロール20、R6は、例えば最初のロール20、R1、R2、R3、R4、R5の温度よりも高い温度を持ち、例えば試験1から29では約115℃、試験30から44及び101から110では約100℃である。
【0115】
前記第3の長手方向延伸出口ゾーン3では、膜Fは前記長手方向延伸ロール30間を通り、前記延伸ロール30は前記膜を、前記入口ゾーン2での速度よりも大きい速度、例えばより高速回転速度で出口ゾーン3を進めるものであることから、膜Fを前記第2のゾーン2と第3のゾーン3との間で機械方向MDへ伸長される。前記膜はロールR7、R8及びR9、これらはロール30であるが、を順次通る。
【0116】
前記第3の長手方向延伸出口ゾーン3でのパラメータは次の通りである:
− (ゾーン3での速度/ゾーン2での速度)≧5.5、
− NIR≧0.20、さらには0.28、0.29又は0.30であり、ここでNIR=(ゾーン2での膜幅−ゾーン3での膜幅)/ゾーン2での膜幅)を示す、
− 長手方向延伸ロール30の温度:50℃から150℃、及び前記第1の例示実施態様(試験1から29)では100℃から150℃、及び前記第2及び第3の例示実施態様「試験30から44及び101から110)では50℃から100℃である。
【0117】
MIRとして参照されるパラメータは、長手方向延伸による幅の収縮と、前記長手方向MDに関して横断する方向TDでの幅の収縮の比率である。
【0118】
この幅における収縮の効果は、膜のミクロポアを長手方向に方向付けるだけでなく、またそれらを狭い幅に圧縮し、それによりこれらのミクロポアを垂直、即ち広げるように伸長するために横断方向へ伸長させることを可能とする。この方法は従って、多孔度を増加させ、膜により均一に分布させることとなる。対象となる用途に関連して多孔度を達成するためには、この収縮率は少なくとも20%、好ましくは少なくとも28%である必要がある。
【0119】
長手方向延伸ロール20と30間の距離は直接NIR比率に関連付けられる。さらに、大きな延伸表面(横断方向延伸TDx長手方向延伸MD)が前記膜の密度を低減させる。
【0120】
前記第4の横断方向延伸ゾーン4では、ゾーン3からの膜Fが、同じ長手方向MDに進行しながら、前記膜の平面で長手方向MDと垂直な横断方向TDで延伸される。この目的で、前記膜はゾーン4でその2つの対抗する長手方向端部41、42を矢印40で示されるようにグリップ(図示されていない)でグリップされ、グリップは長手方向MDへ進行しながら徐々に横断方向TDで前記膜の端部41、42を離すように動く。ゾーン4で横断方向延伸温度は、前記第1の例示実施態様(試験1から29)では120度から170度であり、前記第2の例示実施態様(試験30から44)では120度から170度であり、前記第3の例示実施態様(試験101から110)では135度から149度である。横断方向延伸ゾーン4での横断方向延伸率は、例えば4以上又は6以上である。
【0121】
前記膜Fはゾーン5に進行し、やや緩和される。すなわち膜の横断方向はやや減少し、その後、例えば先で使用するためにコア6に巻き取られ得る。
【0122】
前記第1の試験1から29について上で示した製造条件下で前記第1の組成C1を用いて製造された二方向延伸膜Fについて、以下の特徴が測定された(精度が括弧内に示される):
− 空間ファクタ:217%(±12%)、
− 長さ厚さ:20μm(±6μm)、
− 密度:0.285g/cm3(±0.025g/cm3)、
− 多孔度:65%(±10%)、
− ガーリー気孔率:100cm3当たり100秒(100cm3当たり±15秒)。
【0123】
前記第2の試験30から44について上で示した製造条件下で前記第2の組成C2を用いて製造された二方向延伸膜Fについて、以下の特徴が測定された(精度が括弧内に示される):
− 空間ファクタ:203%(±11%)、
− 長さ厚さ:20μm(±2μm)、
− 密度:0.299g/cm3(±0.01g/cm3)、
− 多孔度:67%(±1%)、
− ガーリー気孔率:100cm3当たり119秒(±23秒)。
【0124】
パーセント多孔度の決定
%での多孔度は次の式により決定される:
多孔度=1−(X/Y)
ここでYは使用されたポリプロピレンホモポリマーの密度及びXは前記膜の密度である。%多孔度は100を掛けて得られる。例えば、上の例では、Y=0.905g/cm3及び膜の全多孔度は次に式で得られる:
多孔度(%)=(1−(X/0.905))x100
以下に示す表1、2、3及び4は本発明により製造された10試験を表す。ここで、Tは温度を表す。これらの表の試験は試験1から10であり、上で示された条件で実施された。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【0128】
【表4】
試験6は上で示した本発明による多孔度が実質的に55%持つとされる。
【0129】
他の試験21、22、23、25、26、29では、本発明の膜製造方法は次のパラメータを用いて実施された:
− 融点:246℃、ただし試験29では250℃、
− 冷間ロール(CR)温度:120℃、冷間ロール(CR)速度:1分間2メートル、
− 前記第1のロール20、R1、R2、R3、R4、R5の温度:90℃、
− 前記最後のロール20、R6の温度:115℃、
− 長手方向延伸比率MD:5.1、ただし試験29では5.2、
− TR7=115℃、TR8=140℃、TR9=125℃。
【0130】
横断方向延伸条件は以下の表5、6及び7に与えられる。ここでTZ1、TZ2、TZ3、TZ4、TZ5及びTZ6はそれぞれ、6つの連続する横断方向延伸トンネルのゾーンでの温度であり、前記トンネルは前記膜の端部を保持するグリップを支持する鎖のギャップとして膜空間距離DZ1、DZ2、DZ3、DZ4、DZ5、DZ6(cmで)を有し、TDは横断方向延伸比率、Copol/PPhomoはエチレンコポリマー/PPホモポリマーの重量比を表し、βは上で示した方法で決定されたβ相の%比率を表す。
【0131】
【表5】
【0132】
【表6】
【0133】
【表7】
第2のシリーズ試験30から44(表8)では、本発明の膜製造方法は次のパラメータを用いた:
− 融点:244℃から248℃、
− 冷間ロールCR温度:125℃;冷間ロールCRの速度:0.6メートル/分、
− 前記第1のロール20、R1、R2、R3、R4、R5の温度は50℃と90℃の間、
− 前記最後のロールの温度20、R6:100℃、
− 長手方向延伸比率MD:5.7、
− TR7=100℃、TR8=50℃、TR9=70℃、
− TZ1=148℃、
− TZ2=150℃、ただし試験33ではTZ2=151℃、
− TZ3=試験30と31以外は151℃、ここで試験33では150.5℃、試験33では151.5℃、
− TZ4=試験32以外は146℃、試験32では147℃、
− TZ5=試験33、34、35以外は140℃、試験33、34、35ではTZ5=135℃、
− TZ6=試験33、34以外は140℃、試験33、34ではTZ6=130℃、
− NIR:0.28、
− β相比率:≧70%、
− ガーリー気孔率POR1は秒/100cm3で表され、
− 加熱後ガーリー気孔率POR2は秒/100cm3で表され、指示された温度での加熱はそれぞれ15分間であった。
【0134】
【表8】
さらに、試験30と44で、本発明の第2の実施態様による膜については、長さ厚さが20μm(又は21μm)以下又は20μm±1μmを持ち、ガーリー気孔率が150℃で5000秒以上(図18)であり、図18で曲線C3はガーリー気孔率POR1(秒)で表し、曲線C4は前記ガーリー気孔率を温度の関数として秒で測定された値を表す。図から、約110℃までは、前記膜の秒での実際のガーリー気孔率C4はPOR1と等しく、従って最小秒となり、これは高度に多孔性膜であることを示す。温度が110℃をさらに超えると、測定されるガーリー気孔率(秒での値)が上がり、このことは温度上昇に伴い気孔率が低下することを表す。150℃を超えると、ガーリー気孔率C4の測定値は5000秒でプラトーを示したが、これは前記測定装置の測定範囲が0から5000秒であるからであった。従って、150以上の温度で、ガーリー気孔率は5000秒以上である。150℃からガーリー気孔率は5000以上となり、膜のポアは実質的に閉じており、これは関連する用途で自己保護の好ましい挙動である。実際に、膜がエネルギー貯蔵装置で使用される場合には、150℃でポアが閉じることは、この温度でエネルギー貯蔵を停止することを可能とする。というのは膜はもはやセパレータとしては作用せず、電気化学的種を通過させないからである。これらの温度で、これは、前記膜が含まれるエネルギー貯蔵装置を保護し、エネルギー貯蔵装置の劣化を防止する。他方で、110℃まで前記膜は、電気化学種を通過させ、ガーリー気孔率POR1(これはエネルギー貯蔵装置でセパレータ膜として作用する通常の値であり、エネルギー貯蔵装置の作用を可能とする)を持つことでセパレータとして作用する。
【0135】
第3のシリーズ試験101から110(表9)で、本発明の膜製造は次のパラメータで実施された:
− 前記混合物の成分は試験30から44と同じ、
− 冷間ロール13の125℃での接触時間:約88秒(速度=0.8/秒)、
− 溶融温度:239℃から257℃、
− 連関ロールCrno温度:125℃;冷間ロールCRの速度:0.7から0.8メートル/分、
− 第1のロール20、R1、R2、R3、R4、R5の温度:50℃から90℃の間、
− 最後のロール20、R6の温度:100℃、
− 長手方向延伸比率MD:5.7から5、
− TR7=100℃、TR8=50℃、TR9=70℃、
− TZ1=試験110以外は145℃、試験110ではTZ1=143℃、
− TZ2=試験101以外は148℃、試験110ではTZ2=147℃、TZ2=146℃、
− TZ3=試験101以外は149℃、試験101ではTZ3=148.5℃、試験110ではTZ3=147℃、
− TZ4=試験101以外は146℃、試験101ではTZ4=148℃、
− TZ5=140℃、
− TZ6=135℃、
− 長手方向延伸比率:4、
− NIR=:0.28、
− β相比率:≧70%、
− ガーリー気孔率POR1は100cm3当たりの秒で表され、
− 加熱後のガーリー気孔率POR2は、120℃で20分加熱後の100cm3当たりの秒で表され、
− 表中の横断方向収縮は120℃で測定された。
【0136】
以下の特徴が測定された:
− 両方向の表面密度≦0.400g/cm2;
− ガーリー気孔率測定値:<180秒及び>100秒、
− 多孔度(%):>55%、
− 膜長手方向弾性率:≧1000MPa(ASTMD882)、
− 膜横断方向弾性率:≧300MPa(ASTMD882)、
− 厚さ16μm又は17μm以下(又は15μm±1μm)膜の長手方向収縮が120℃15分後で3%未満、
− 厚さ16μm又は17μm以下(又は15μm±1μm)膜の横断方向収縮が120℃15分後で7%未満、
− 空間ファクタが145%以上。
【0137】
【表9】
一般に、本発明の膜はまた、長手方向MD及び横断方向TDでASTMD882に基づく大きなヤング率(弾性率)を持つ。長手方向弾性率は600MPa以上であり、さらには700MPa以上であり、例えば本発明により製造される多孔性膜の一例では730MPaを示す。横断方向弾性率は300MPa以上であり、さらには400MPa以上であり、例えば本発明により製造される多孔性膜の一例では445MPaを示す。
【0138】
本発明の膜はまた、破壊電圧が330V/μm(厚さ)以上を持つ。
【0139】
本発明の膜はまた、長手方向及び横断方向で低収縮を示す。
【0140】
図14および15は、厚さ25μm±2μmの本発明の膜の収縮を示す。一般に、収縮値は記載された温度で15分間加熱の条件で示される。
【0141】
図14によると、本発明の多孔性膜について、長手方向MDでの収縮が、120℃で4%以下、140℃で9%以下である。
【0142】
図15によると、本発明の多孔性膜について、横断方向TDでの収縮が、120℃で13%以下、140℃で27%以下である。
【0143】
図16によると、試験34から35では、厚さ20μm(又は21μm)又は厚さ20μm±1μmの膜の120℃での横断方向収縮は8%未満である。これらの試験34、35では、厚さ20ミクロン(又は21μm)又は厚さ20μm±1μmの膜の135℃での横断方向収縮は18%未満である。
【0144】
図17によると、試験34から35では、厚さ20μm(又は21μm)又は厚さ20μm±1μmの膜の120℃での長手方向収縮は3%未満である。これらの試験34、35では、厚さ20ミクロン(又は21μm)又は厚さ20μm±1μmの膜の135℃での横断方向収縮は7%未満である。
【0145】
これらの特徴は、前記膜を電気エネルギー貯蔵のための部材を製造するために、特にその多孔性膜の熱安定性と低収縮率のために適するものにする。
【0146】
さらに、前記膜はその機械的強度のために製造時に破壊されにくい。
【0147】
種々のエネルギー貯槽用途への膜の実施態様を以下説明する。
【0148】
スーパーコンデンサ
本発明の膜は、例えばスーパーコンデンサでのセパレータを形成し、前記セパレータは電解質とともに前記コンデンサの誘電体を形成する。セルロースセパレータに伴う問題を解決するために、その解決方法は膜に向けられ、その性能が、標準の有機電解質(TEABF4塩を含むアセトニトリル、TEABF4塩を含むプロピレンカーボネート)又は水溶性電解質(水中のKOH、又は高濃度硫酸)に関して電気化学的及び化学的に不活性と組み合わされる。同時に、前記セパレータは、変形されることなく巻取に耐える必要があり、安価であり、ガーリー気孔率が150未満の多孔性(多孔度が55%、好ましくは70%を超える)を有するものが必要である。最後に、前記セパレータは、容易に堅固化される必要があるが、これはセルロース膜の場合にそうであるが、ポリマーセパレータの場合は稀であり異方性である。
【0149】
実施例1による本発明の膜から製造されたセパレータは、その機械的特徴が、比較実施例1と2のセルロースセパレータで得られるよりも顕著に優れたものであり、特に引張破断ひずみ(図4及び表10)に関して本発明の多孔性膜は50MPaを超える値を示す。示される試験はISO1924/2−1985、ASTMD882標準に従った。
【0150】
【表10】
結果から、実施例1のセパレータは、セルロースセパレータよりも軽いけれども特に機械的観点から抵抗性があることが分かる。これは、その連続的な3次元構造によるものであり、ポリマー鎖が化学的にお互いに支えあうことによる(図5、密度0.319を持つ膜の例)。図5(SEM画像)で示されるように、前記構造は、いわば交差したスパゲティと比較し得るものである。この特別の構造はそのように製造された膜に、特に高い多孔度と、前記セパレータのそれぞれの側に位置される2つの電極間の短絡の問題を避けるための十分な耐性を持たせるものである。セルロースの場合に、前記セパレータはお互いに重ねられた繊維からなり、変形のリスクはより大きく、従って、その壊れやすさから電極間の短絡の問題を生じやすくなり得る。
【0151】
本発明のセパレータの電気化学的性能(実施例1、試験10に対応)はまた、セルロース系膜で得られた寿命よりも(+20%)大きい(表10)。試験は、Batscap650Fスーパーコンデンサ(フロート)を用いて70℃、単位電圧2.8Vで行った。
【0152】
液状又はゲル上の有機媒体中で機能するセル又は電池
本発明の膜はかかるセル又は電池のセパレータを形成するために使用され得る。
【0153】
試験は、有機媒体中で機能する電池のための用途につき前記膜で実施された。ここで記載される実施例はリチウムイオン(Liイオン)電池であり、それに必要な特徴は、電気化学的及び化学的にみて最も制限されるものである。
【0154】
Liイオン電池の場合には、使用される電解質は、EC/DEC/DMC1:1:1の混合物中の1MのLiPF6
である。
【0155】
これらの電池の安全性(短絡により、成分の非可逆的分解(引火)を生じる虞がある)を改善するため、本発明により製造される膜は、その製造の際に2つの表面の間を非対称的にされ得る。例えば、前記冷間ロールCRと接触する膜Fの第1の表面F10と膜Fの反対側の表面F20へ異なる温度が適用される。例えば前記冷間ロールCRより低温度のエアナイフ又は空気風を前記膜Fの反対側第2表面F20へ適用される。前記第1の表面F10の粗度は従って前記第2の表面F20の粗度よりも大きくなる。前記第1の表面F10の粗度は、例えば第2の表面F20の粗度の150%以上であり得る。冷間ロールCRへ向かう前記第1の表面F10は前記他の第2の表面F20よりも低多孔性を有する。これはかかるコンポーネントの劣化及び安全性という点から性能を改善する。留意すべきことは、前記コンポーネントが過熱(T>160℃)されると、熱の上昇の際に前記膜は透明となりその多孔性を失い、前記2つの電極間の電気的及び電気化学的絶縁をもたらすこととなる、ということである。このことは前記コンポーネントが引火するリスクを下げることを意味する。非対称的膜の例(冷間ロールCRの異なる温度及びこの同じ冷間ロールCRに膜をプレスするための熱エアナイフにより得られる)が図6に示され、図6の上部には前記冷間ロールCRに向かう表面F10の拡大された図が示され、下部にはエアナイフへ向かう表面F20の拡大された図が示される。この原理が、図7で、厚さプロフィルとして示される。
【0156】
この非対称的膜は、リチウムイオン電池(イオン又は金属ポリマー)で見られる樹状突起形成を避けることができ、従って、この欠陥構造による短絡を避けることができコンポーネントが引火することを避けることができる。
【0157】
高すぎる温度にされたコンポーネントを調べる場合に、前記膜は前記コンポーネントの熱履歴に関してトレーサとして反論できない証拠となり得る。
【0158】
このタイプの電池で使用される膜は薄くする必要があり(25μm未満、より好ましくは15μm未満)、リチウムイオンが2つの電極間を通過するために十分多孔性である必要がある。この膜の多孔性は少なくとも30%を超える必要があるが、また機械的に強いものである必要がある。本発明は、多孔度が50%を超え、かつ機械的にも強い(穿刺強度はASTMD3420標準で測定され、同じ厚さで、一軸冷間引張りで製造された膜に関して少なくとも2倍である)膜を製造することができる。試験6はこれらの特徴を示す(19.4μm厚さで55%多孔度)。
【0159】
ポリレフィンは疎水性であり、前記セパレータの残留水分量は非常に少ない(数十ppm)。さらに、前記膜は無機物フィラーを含まず、劣化の悪影響はない。これらの特徴は、水分を除去するために高温(通常は110℃を超える)で前記コンポーネントを脱ガスする必要性をなくすことを工業的に可能とする(時間及び費用の節約)。
【0160】
液状又はゲル状で水溶性媒体中で機能するセル又は電池
本発明による膜はかかるセル又は電池のセパレータを形成するために使用され得る。
【0161】
従来技術では、水溶性媒体中で機能するエネルギー貯蔵システムで使用されるセパレータは一般的にガラスファイバを含む。鉛酸電池の場合には、これらのセパレータは高価であり、比較的厚い(40μmを超える)、かつ機械的に壊れ易いが(このことは、取扱が容易なミクロン程度の厚さの必要性を意味する)、非常の高多孔性(70%を超える)であるという利点を持つ。さらに、必要なミクロン厚さが一般的に、前記エネルギー貯蔵システムで使用される電解質を含むために使用される。
【0162】
本発明により製造された膜(試験1)は、電解質を含む厚さと高い多孔性を有する(試験1で62%)という利点を持つ。製造された膜は前記のとおり非常に機械的に丈夫であり、化学的強度(硫酸のような強酸性についてもカリウム又はナトリウムなどの強塩基についても不活性)及び電気化学的強度(5Vを超える電圧でも膜の破壊は起こらない)の両方の特徴を持つ。
【0163】
前記膜は従って、鉛酸及びニッケル金属水素(Ni−MH)電池で好ましく使用され得る。
【0164】
電解コンデンサ
本発明の膜はかかる電解コンデンサのセパレータを形成するために使用され得る。本発明の膜は金属化され得る。
【0165】
本発明により製造された膜は、この技術分野で使用される標準のセルロースセパレータと容易に置換され得る。
【0166】
本発明で記載される膜の絶縁破壊電圧は、3500V(試験9の膜)の程度である。その結果、25μm厚さの膜が、それぞれ25μmの厚さの3枚(容積及び重量において増加する)のセルロースセパレータと置換され得る。
【0167】
技術的にいえば、集電のために使用される金属、例えばアルミニウム(カソード)は、前記電解質との接触を増加させるために電気化学的にエッチングされる。アルミニウムのこの層の使用を回避する1つの手段は、本発明による膜で形成されたセパレータ上に直接真空下アルミニウムを蒸着させることである。この手段はセルロース膜では困難である。というのはセルロース繊維と蒸着金属間の機械的強度が乏しいからである。
【0168】
図8及び9は、電解コンデンサCの連続層を模式的に示し、これは連続的に金属アノードA、例えばアルミニウム膜で形成され又はアルミニウム蒸着を含むアノードA、電解質EDB、本発明による多孔性膜Fで形成されるセパレータ及びカソードCATHを含む。
【0169】
本発明で記載される多孔性膜Fは、その一方の表面をカソードCATHを形成する蒸着金属で被覆されることができる。この金属Mは例えば真空下で例えばアルミニウムの蒸着により堆積され得る。
【0170】
金属Mは、アルミニウム、亜鉛、銀又はその他の電解コンデンサ技術で使用される金属であり得る。
【0171】
図9は、アノードA、膜F、S及びカソードM、CATHの巻取の際の構成を示す。巻取の後、全体に電解質Eを浸漬し、電解質はアノードA及びセパレータF、Sの間を浸透する。電荷コンデンサの巻取コンポーネントCの2つの実施態様が図10及び11に説明される。
【0172】
図10の実施態様では、巻取りは、標準アノードA及び本発明の2つの第1及び第2の膜F1、F2を含み、これらの膜は一方面に金属M、例えばアルミニウムを堆積している。コンポーネントCが巻き取られる際に、前記堆積表面Mはお互いに反対に面し、前記多孔性ポリマーの膜F1、F2の間にサンドイッチされる。アノードAの膜は、セパレータSを形成する2つの膜F1、F2の間にサンドイッチされ、前記アノードAが前記2つの膜F1、F2のお互いにの非金属化表面に対して面している。
【0173】
表面対表面に設けられた1つの表面に堆積を持つ2つの同じ膜F1、F2を使用することは。収電表面を増加させるという点で有利である。
【0174】
留意すべきことは、多孔性のポリマー膜が金属Mの堆積が前記電解質(E)との非常に大きな接触表面を与える(少なくとも標準膜と同じ大きさ)ということである。実際に、多孔性膜の粗性度は特に高い。
【0175】
図11の実施態様では、標準アノード膜A、本発明によるアルミニウムなどの金属Mを堆積させた1つの表面を含む第1の多孔性膜F1、及び金属を堆積させていない本発明による多孔性ポリマー膜F2の他の第2のスプールが、連続して巻き取られている。金属化膜F1の1つのスプールのみが使用される。前記アノード膜Aは前記第1の膜F1の非金属化表面に対する1つの面、及び前記第2の非金属化膜F2に対する他の面を持つ。これにより、提案1に近い特徴を安価に得ることを可能とする(堆積させていない膜の方が堆積させた膜よりも安価)。
【0176】
この実施態様では、堆積されていない膜のスプールはまた、セルロースであり得る。
【0177】
図10及び11の実施態様では、アノード膜Aが以外の膜F1及びF2のスプールは複数であり得る(絶縁体のいくつかの連続する層のスタック)。
【0178】
図12では、黒矢印は、端子が図11の金属化膜から製造され得る提案された構成の側面を示す。これらの端子は例えばシューページ(shoopage)で製造され得る。これらの端子はお互いから離れた端部に設けられる。
【0179】
アノードAの場合は、種々のアルミニウム膜の接合が、種々の特許で記載される従来方法により生成され得る。
【0180】
カソードCATHについては、アルミニウムが前記側100上に設けられ得る。これはワイヤを加えることで可能である。この技術はすでに大型誘電体コンデンサにおいて広く使用されている。
【0181】
他の方法はまた、広く使用されているものであり、ワイヤを直接膜(アノード又はカソード)に溶接することを含む。これは、アルミニウム堆積を有する多孔性の場合に可能となる(堆積のために上で説明したように材料を追加して設けることもまた可能である)。このカソード膜については、前記堆積は、前最後の巻の外側でなされ得る。一方アノードのためのワイヤは前記中心に設けられ得る。
【0182】
この広く使用される方法により、図12の構成ではできない2つの端子を同じ側に設けることが可能となる。
【0183】
巻取に続けて、前記コンポーネントは電解質に浸漬される。
【0184】
電解質は一般的には、蒸発を棒するために種々の糖成分又はエチレングリコールを添加したホウ酸又はホウ酸ナトリウム水溶液である。
【0185】
アルミニウム電解コンデンサのための水系電解質の3つの広いタイプがあり:標準水系(40〜70%水)、及びエチレングリコール又はジプロピルケトン(25%未満の水とともに)を含むものである。いくつかの非水系電解質があり、水はほとんど使用されない。電解質は一般には、弱酸、弱酸塩及び溶媒増粘剤からなり、場合により種々の添加物が含まれる。
【0186】
弱酸は一般的には、有機性酸(酢酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、クロトン酸、アクリル酸、フェノール、クレゾールなど)又はホウ酸である。使用される塩はしばしば、アルミニウム塩であるか、又は有機酸の金属塩(酢酸アンモニウム、クエン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、酪酸カルシウム、シュウ酸アンモニウムなど)又は弱無機酸(過ホウ酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムなど)である。
【0187】
多孔性ポリマー膜の利点は、化学的に不活性であり、かつ上で説明した全ての電解質に電気化学的に不活性である、ということでる。その結果、このタイプのセパレータの使用は、全ての液状電解質コンデンサへ一般化され得る。
【0188】
ここで説明された原理はまた、固体電解質技術(固体電解質)及びタンタル液状電解コンデンサへ一般化され得る。
【0189】
金属はアルミニウム以外でもよい。
【0190】
膜F1、F2上への金属Mの堆積は、蒸発で達成され得るが、またその純度が制御されその方法が前記ポリマー膜を溶融させることのない(膜の多孔性は金属の堆積される反対側で保存される必要がある)、堆積のための全ての適する方法で達成され得る。
【0191】
1つの実施態様では、空間ファクタFeは、300%以下であるように選択される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを貯蔵するために使用される装置のためのセパレータ膜に関し、前記膜は多孔性であり方向付けられている。
【0002】
従って、本発明の目標とする応用は、例えば、水溶性又は非水溶性媒体中のいずれかで機能するスパーコンデンサ、電池及び特に一次および二次リチウムイオンおよび金属ポリマー電池、また同様に電解コンデンサである。
【0003】
電気エネルギー貯蔵システムで使用されるセパレータ膜はいくつかのタイプがあり、要求される特徴を実行する機能を有する。
【0004】
スパーコンデンサの場合に、最も共通して使用されるセパレータはセルロースからなる。望まれる特徴は、非常に高多孔性、前記構造中のポアの等方性、良好な電気化学、及び使用される電解質に対する化学安定性であり、厚さは35μm未満であり、前記コンポーネント中で実装(例えば巻取)の際に低変形性などである。最近の研究によると、前記セパレータはスーパーコンデンサ劣化の潜在的原因であるということが示された:即ち、前記スパーコンデンサは徐々に時間とともに、電極の極性による反応(電気化学的劣化)及びガスの発生により劣化する。しかし、ポリマー系セパレータはいくつかの問題を提起する:それらは十分な多孔性を示さない(例えばリチウムイオン電池の分野)、又は電気化学的に十分安定ではない又は機械的に過度に変形し得る(ポリマーの可塑性)、ということである。
【0005】
有機媒体中で機能する電池、例えばリチウムイオン電池などの場合において、前記セパレータは比較的薄く(一般には25μm以下)、有機電解質又は電極材料(特にリチウム金属及びリチウムイオン)と反応してはならず、かつ耐高電圧(3Vを超える)であるが同時に前記2つの電極間を、短絡を避けるために完全に電気絶縁性としなければならない。リチウムイオン電池の分野で開発されるセパレータは一般的に、一方向に冷延伸された無機フィラーが含まれているか含まれていないポリオレフィンから製造される。これらのセパレータは一般的に不十分な機械抵抗性と高い変形可能性という欠点を持つ。前記セパレータの厚さ方向に孔を形成する欠点を持つという、冷延伸に伴う本質的な問題を解消するために、1つの解決方法はPP/PE/PP多層押出しを実行することを含む。セパレータのこのタイプは特に費用がかかるが有利な特徴を持つ。セラミックスタイプを含むセパレータのその他のタイプは、またこのタイプの応用のために開発されてきたが、しかしそれらを広く工業規模で受け入れられるには製造コストの面で制限されている。最後にベータ核化剤を用いるポリプロピレン系電池のためのセパレータが知られているが、それらはポリプロピレンのみを含むことから十分な機械的挙動を示さない。
【0006】
鉛酸電池の分野では、一般的に使用されるセパレータは、ガラスファイバからなり、これは腐食性の水溶性電解質に抵抗性であるという理由が本質的であるが、しかしその性能は特に顕著なものではない。というのはこのセパレータタイプは厚すぎ(一般的に、40μmを超える)、かつポアが大きすぎる(>5μm)からである。この理由により、無機フィラーとポリオレフィンを含むセパレータもまた開発されてきた。多層セパレータがまたこれらの問題に対処するために開発されてきた。しかしこれらのセパレータはまた、前記コンポーネントが劣化し及び/又はそれらを実装する際に機械的変形を受けるという問題を持つ。
【0007】
電解コンデンサの場合において、前記セパレータは一般的に、セルロースからなり、この理由は含浸の容易性による。電解コンデンサの操作原理は次のようである。第1に、電解質(例えば:ホウ酸溶液)で浸された2つのアルミニウム電極(アノード及びカソード)間に電流が循環される場合、電解が生じてアノード電極上にアルミニウム酸化物(アルミナ、Al2O3)の層を形成させる。第2に、アルミナは絶縁体となり、アルミナの層が絶縁体となるコンデンサが得られ、1つの電極が前記アノードにより構成され、及び他の電極、カソードは前記電解質と接触するだけの作用を持つ。この誘電絶縁体により、前記誘電層を、ポリプロピレンから製造される誘電コンデンサで使用される技術に関連して非常に薄くすることができる。最後に、前記コンデンサの容量は、電極の表面同様アルミナの層の厚さに依存する。表面積を増加させるために、前記アノードを前記酸化物層を形成させる前に化学的に攻撃して「エッチング」することが可能である。その結果、これらのコンポーネントの操作電圧(数百ボルト)を考慮して1枚又は数枚のセルロースセパレータが前記アノード及びカソードの間に追加される。それにも拘わらず、これらの絶縁破壊電圧は比較的低く、数層のセパレータに頼る必要がある場合がある。しかしポリマーセパレータは一般的に、その構造から容易に含浸されず、この用途には使用され得ない。この技術の操作原理を考慮して、エネルギー貯蔵に本質的役割を果たしていない前記カソードは、前記コンポーネントの容積と重量の点で損失となっている。このカソードのシートの厚さは一般的に15μmと60μmの間であり、かつまた電気化学的にエッチングされて電解質との接触表面を増加させている。
【0008】
ベータ核化前駆体から製造されるポリプロピレンが知られている。
【0009】
一般に、使用される核化剤は3つのカテゴリに分類される。比較的長鎖を持つアルカリ土類カルボキシレートであり、例えば米国特許出願公開第2005/212183号明細書によると10を超える連続直鎖炭素を持つもの、又は例えば欧州特許出願公開第1511797号明細書による金属酸化物ナノ粒子又はカルシウムカーボネートであり、又はより複雑な有機分子であり、例えば米国特許第7235203号明細書による環状アミド又は米国特許第3563971号明細書による環状アミンである。
【0010】
欧州特許第492942号明細書には、多孔性で方向付けられたポリマー性組成物が記載されており、前記組成物は:
(1) 5〜95重量%のエチレンープロピレン成分Aを含み、エチレン−プロピレンコポリマーがエチレン含有量10〜50重量%含み、
(2) プロピレン成分Bを95〜5重量%含み、
(i) プロピレン成分Bは、プロピレンホモポリマー又はランダムコポリマーであり、前記コポリマーにはエチレン又は4から8の炭素数のαオレフィンのコモノマーが10重量%まで含まれ、
(ii) 及び場合により、成分A及びBの100重量部につき20重量部までの成分Cを含み、これは低分子量ポリプロピレンホモポリマーであり溶融粘度がシェア速度が190℃で136秒−1で測定して50から1000ポアズであり、成分Cは、成分Bが、前記ポリマー成分中で要求される成分Cの部分が成分Bの低分子量材料中の量に含まれるような広い分布を持つ場合には成分Bにより与えられ;
(3) カルシウムカーボネートを含む成分A及びBの100重量部につき0から30部の成分D、及び
(4) ベータ球晶を製造する核化剤を含む、成分A及びBの100重量部につき0から50ppmの成分Eを含み、ただし、成分A/成分Bの重量比が5〜30/95〜70の際には成分Eは0.1から10ppmであり、成分A/成分Bの重量比が5〜30/95〜70の際には成分Cは:
(a) 前記ポリマー性組成物が実質的に成分Dがない又は成分D及びEがない場合には5から20部、及び
(b) 前記ポリマー性組成物が0.1から10ppmの成分E及び5から30重量部の成分Dを含む場合には5から20重量部を含む。
【0011】
欧州特許第492942号明細書欧州特許第492942号明細書によると、かかる膜の多孔度は少なくとも25μmの厚さで55%を超える。従って、EP−B−492942の実施例13−1、13−2、13−3及び13−4は、長手方向及び前記長手方向に横断する方向に延伸させた膜であって、組成が、70重量%のエチレン−プロピレンコポリマー、20重量%のポリプロピレン/カルシウムカーボネートで前記組成物中に8重量%までのカルシウムカーボネートを含み、10重量%の低分子ポリプロピレン及び2ppmのキナクリドン色素を含み、かつ厚さ5.6×10−2mm、7.1×10−2mm、6.9×10−2mm及び4.8×10−2mm、で多孔度がそれぞれ59.8、58.9、59.2及び62.2である、膜を提供する。一方で、長手方向及び前記長手方向に直行する方向に延伸させて得られる膜についての実施例1eでは、組成は比が特定されていないエチレン−プロピレンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー及び1.5ppmの赤キナクリドン色素であり、多孔度は厚さ19μmで51.3%に低下し、一方で実施例1a、1b、1c及び1dでは、厚さ3.94×10−2mm、3.66×10−2mm、3.30×10−2mm及び2.54×10−2mmにつき多孔度がそれぞれ58.0、53.0、58.4及び56.2である。
【0012】
欧州特許第492942号明細書には、開示の膜は電気化学セルのセパレータとしての用途を含む多数の用途に使用し得ることが記載されている。
【0013】
しかし、前記指摘した電気用途のためには、欧州特許第492942号明細書の膜は小さい厚さでの多孔度が十分ではなく、電気エネルギー貯蔵装置でのセパレータとしては十分な機械的かつ熱的安定性を持たないものである。
【0014】
特開2008−201814号公報は、生産性と機械強度を維持しつつ高浸透性を持つ多孔性ポリプロピレン膜、及び内部抵抗を低減することができる電池装置を提供する。ここで多孔性ポリプロピレン膜は、ポリプロピレン樹脂に対して0.01重量%から0.5重量%のアミド化合物及びポリプロピレン樹脂に対して0.01重量%から0.1重量%のキナクリドン化合物を含む。
【0015】
特開2008−201814号公報に開示される膜は、電気エネルギー貯蔵装置のセパレータとして使用されるために十分好ましい機械的安定性も熱的安定性も持たない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/212183号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1511797号明細書
【特許文献3】米国特許第7235203号明細書
【特許文献4】米国特許第3563971号明細書
【特許文献5】欧州特許第492942号明細書
【特許文献6】特開2008−201814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は前記従来技術による欠点を緩和できる膜を得ることを課題とする。
【0018】
膜は、特に電気エネルギー貯蔵のために使用される装置のセパレータとして適する膜である。
【0019】
特に多孔性膜として、前記膜は十分低い熱収縮性を持つ必要がある。というのは、それにより前記膜は電気エネルギー貯蔵のために使用される装置内で使用寿命の間の加熱に耐えることができるからである。前記加熱は、例えば電気エネルギー貯蔵、電気エネルギーの充電及び放電のための前記装置の使用により発生し、又は最大高温度が電気エネルギー貯蔵のための装置の使用を規定するからである。
【0020】
本発明は、電気エネルギーを貯蔵するために使用される装置のためのセパレータ膜を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明はエネルギー貯蔵用途のための、ベータ核化剤を含む2方向熱延伸により得られる膜の製造である。
【0022】
第1の本発明は、電気エネルギー貯蔵のために使用される装置のためのセパレータ膜であり、前記膜は多孔性であり方向付けられており、かつ長手方向へ延伸され及び前記長手方向を横断する方向(以下、「横断方向」、「横断する方向」とも記載される)へ延伸されて得られる膜であり、前記膜は:
−ポリプロピレンホモポリマー、
−少なくともプロピレン及びエチレンを含むモノマーの少なくとも1つのコポリマーを少なくとも10重量%、;
−少なくとも1つのベータ核化剤を含む混合物を含み、
前記コポリマーが、エチレン含有量が前記コポリマーの1重量%以上10重量%未満、及びプロピレン含有量が前記コポリマーの少なくとも90重量%であり、前記膜の厚さが8μm以上30μm以下であり、IEC−60674−3−1標準により決定される空間ファクタ145%以上に対応し、及び両方向に延伸させた膜の密度は0.18g/cm3以上0.41g/cm3以下である膜である。
【0023】
本発明の1つの実施態様では、前記混合物は少なくともプロピレン及びエチレンを含むモノマーの少なくとも1つのコポリマーを少なくとも50重量%含む。
【0024】
1つの実施態様によれば、前記コポリマーはエチレン含有量が5重量%以上である。
【0025】
1つの実施態様によれば、前記IEC−60674−3−1標準により決定した空間ファクタが150%以上である。
【0026】
1つの実施態様によれば、前記IEC−60674−3−1標準により決定した空間ファクタが200%以上である。
【0027】
本発明の1つの実施態様によれば、前記ベータ核化剤はキナクリジンを含む。
【0028】
本発明の1つの実施態様によれば、前記ベータ核化剤ははガンマキナクリジンを含む。
【0029】
1つの実施態様によれば、前記コポリマーはエチレン含有量が5%以上である。
【0030】
1つの実施態様によれば、前記ベータ核化剤は、ガンマキナクリジンを0.11重量%以上かつ0.5重量%以下で含む。
【0031】
1つの実施態様では、前記エチレンコポリマーはブチレンを含む。
【0032】
1つの実施態様では、前記混合物中のブチレン含有量は0以上かつ1重量%以下である。
【0033】
1つの実施態様では、前記膜の厚さは25μm以下である。
【0034】
1つの実施態様では、前記膜の厚さが20μm以下である。
【0035】
1つの実施態様では、両方向に延伸された膜は両方向で表面密度が0.400g/cm2以下である。
【0036】
1つの実施態様では、前記両方向に延伸された膜のガーリー気孔率が100cm3当たり50秒以上かつ300秒以下である。
【0037】
1つの実施態様では、前記両方向に延伸された膜のガーリー気孔率が100cm3当たり80秒以上かつ130秒以下、好ましくは120秒以下である。
【0038】
1つの実施態様によれば、前記両方向へ延伸された膜の多孔度は50%以上である。
【0039】
1つの実施態様では、前記両方向へ延伸された膜の多孔度は55%以上、又は60%以上である。
【0040】
1つの実施態様では、前記膜は1μm当たり絶縁破壊電圧が330V(330/μm)である。
【0041】
1つの実施態様では、前記膜はASTMD882標準により、長手方向弾性率が600MPa又は800MPa以上である。
【0042】
1つの実施態様では、前記膜はASTMD882標準により、横断方向弾性率が300MPa以上である。
【0043】
1つの実施態様では、前記膜は破壊強度が20MPa以上である。
【0044】
1つの実施態様では、前記混合物がさらにステアリン酸カルシウムを混合物1kgに対して25から250mg含む。
【0045】
1つの実施態様では、20μm厚さの前記膜の120℃での横断収縮率が8%未満である。
【0046】
本発明の1つの実施態様では、20μm±1μm厚さの前記膜の120℃での横断収縮率が8%未満である。
【0047】
本発明の1つの実施態様では、20μm±1μm厚さの前記膜の135℃での横断収縮率が18%未満である。
【0048】
本発明の1つの実施態様では、15μm±1μm厚さの前記膜の120℃での横断収縮率が7%未満である。
【0049】
本発明の1つの実施態様では、150℃以上の温度で、前記膜はガーリー気孔率が5000秒以上である。
【0050】
本発明の第2は、上で説明した膜の製造方法である。前記方法は、第1ステップで、溶融された前記混合物を前記混合物の溶融温度未満の回転冷間ロール(CR、13)に通してプライマリ膜(F)を得、さらに前記第1ステップの後の第2ステップで、前記プライマリ膜(F)を移送する長手方向(MD)に延伸し、かつ前記膜(F)を前記長手方向(MD)を横断する方向(TD)に延伸する、ことを含み、前記方法は、前記第1のステップで前記溶融された混合物が前記冷間ロール(CR、13)との接触時間が30秒以上であり、好ましくは85秒以上であることを特徴とする。
【0051】
本発明は電気エネルギー貯蔵のためのセパレータ膜を製造する方法であり、前記膜は多孔性であり、方向付けられており、前記膜は:
− ポリプロピレンホモポリマー、
− 少なくともプロピレン及びエチレンを含むモノマーの少なくとも1つのコポリマーを少なくとも10重量%、
− 少なくともベータ核化剤を含み、前記コポリマーが1重量%以上10重量%以下のエチレンを含有し、前記コポリマーが少なくとも90重量%のプロピレンを含有し、第1のステップで前記溶融された混合物が、回転し前記溶融された混合物よりも低い温度を持つ冷間ロール(CR、13)を通過してプライマリ膜(F)を得て、前記第1のステップの後の第2のステップで、前記プライマリ膜(F)はその長手移送方向(MD)で延伸され、前記膜(F)は前記長手方向を横断する方向(TD)で延伸され、前記方法は、前記第1のステップで前記溶融された混合物が前記冷間ロール(CR、13)との接触時間が30秒以上であることを特徴とする。
【0052】
本発明の1つの実施態様では、前記第2のステップで、前記膜は、第2の長手方向延伸入口ーゾーン(2)を、第2の駆動ロール(20)により、前記移送長手方向(MD)での前記膜(F)の駆動速度で通過し、その後前記膜(F)は、第3の長手方向延伸出口ゾーン(3)を、前記長手移送方向(MD)での前記第2の駆動ロール(20)での前記膜(F)の駆動速度よりも大きい前記長手移送方向(MD)での速度で通過し、ここで前記第2の長手延伸入口ゾーン(2)での少なくとも1つの前記第2のロール(20)の温度が45℃以上、好ましくは80℃以上であり、かつ110℃以下、好ましくは100℃以下である。
【0053】
本発明の1つの実施態様では、前記第2の長手方向延伸入口ゾーン(2)での少なくとも1つの前記第2のロール(20)の温度が、80℃以上かつ110℃以下である。
【0054】
本発明の1つの実施態様では、前記第2の長手方向延伸入口ゾーン(2)での少なくとも1つの前記第2のロール(20)の温度が、45℃以上かつ100℃以下である。
【0055】
本発明の1つの実施態様では、前記冷間ロール(CR、13)は、前記第1のステップで235から260℃の温度を持つ溶融された混合物につき、110℃以上かつ145℃以下の温度である。
【0056】
本発明の1つの実施態様では、前記第2のステップで、前記膜は、第2の駆動ロール(20)により、前記長手移送方向(MD)での前記膜の駆動速度で、第2の長手方向延伸入口ゾーン(2)を通過し、その後前記膜(F)は、前記膜を前記長手移送方向(MD)へ延伸するために、前記長手移動方向(MD)での前記第2のロール(20)での前記膜(F)の駆動速度よりも大きい速度で長手移送方法(MD)での速度で第3のロール(30)により第3の長手方向延伸出口ゾーン(3)を通過し、
前記第2の長手方向延伸入口ゾーン(2)と前記第3の長手方向延伸出口ゾーン(3)の間の長手方向延伸による前記膜の横断方向幅低減速度(NIR)が、0.20以上、好ましくは0.28以上である。
【0057】
本発明の1つの実施態様では、前記膜は前記冷間ロール(CR、13)と接触する第1の表面(F10)と前記第1の表面(F10)と対抗する第2の表面(F20)を含み、ここで前記第1ステップでは、前記冷間ロール(CR、13)の温度よりも低い温度を持つエアーナイフが前記第2の表面を通過する。
【0058】
本発明の第3は、電解スーパーコンデンサであり、少なくとも2つの使用端子に接続される少なくとも2つの電気導電体を含み、上で説明した少なくとも1つの多孔性膜と前記膜に浸漬させた電解質が前記2つの電気導電体の間にある。
【0059】
本発明の1つの実施態様では、前記電気導電体は前記多孔性膜で巻き取られた形状である。
【0060】
本発明の第4は、電気エネルギー貯蔵のための電池又はセルであり、少なくとも2つの使用端子に接続された少なくとも2つの電気導電体を含み、上で説明した多孔性膜と前記膜に浸漬させた電解質が前記2つの電気導電体の間にある。
【0061】
本発明の1つの実施態様では、前記電気導電体は前記多孔性膜に巻き取られた形状である。
【0062】
本発明の第5は、電解コンデンサであり、アノード(A)とカソード(CATH)を含み、その間に上で説明した多孔性セパレータ膜が少なくとも1つと前記膜に浸漬させた電解質を含む。
【0063】
本発明の1つの実施態様では、前記アノード及びカソードは、少なくとも1つの前記多孔性膜に巻き取られた形状である。
【0064】
本発明の1つの実施態様では、カソードは前記少なくとも1つの多孔性膜の1つの表面上にのみ金属堆積(M)により形成され得る。
【0065】
前記金属堆積は、プラズマ(イオン化ガス)による前処理をして、又は前処理せずに実施される。
【0066】
本発明の1つの実施態様では、前記アノード及びカソードは前記少なくとも1つの多孔性膜に巻き取られた形状であり、前記コンデンサは少なくとも1組みの前記多孔性セパレータ膜(F1、F2)を含み、それぞれは1つの表面上のみ金属堆積されてカソードを形成し、前記金属堆積はお互いに対してなされており、前記アノードは金属堆積されていない前記多孔性膜の1つの表面(F1)の1つに対抗する。
【0067】
本発明の1つの実施態様では、前記アノード及びカソードは前記少なくとも1つの多孔性膜に巻き取られた形状であり、前記コンデンサは、少なくとも1組みの、第1及び第2の前記多孔性膜(F1、F2)を含み、前記第1の膜は1つの表面だけ金属堆積されてカソードを形成し、前記第1の膜の金属堆積は前記第2の金属堆積されていない膜に対抗して位置され、前記アノードは前記金属堆積されていない多孔性膜の1つの表面(F1)の1つの対抗する。
【0068】
本発明はさらに、前記セパレータと水溶液(酸性、塩基性又は中性)の相互作用(濡れ性)を改善するものである。
【0069】
本発明は以下の記載を、非制限的な添付図面とともに考慮することでよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、ポリプロピレン溶融曲線を示す。
【図2】図2は、ポリエチレン及びポリプロピレン溶融曲線を示す。
【図3】図3は、本発明の膜製造ラインを表す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の膜及び2つの比較実施例の延伸の際応力抵抗を表す図である。
【図5】図5は、本発明の膜の走査電子顕微鏡写真である。
【図6】図6は、本発明の膜の2つの表面の走査電子顕微鏡写真である。
【図7】図7は、図6の膜の断面図である。
【図8】図8は、電解コンデンサの原理的構造を模式的に表す。
【図9】図9は、巻取形状の電解コンデンサの原理的構造を模式的に表す。
【図10】図10は、第1の実施態様での図8及び図9の電解コンデンサの巻取を模式的に表す。
【図11】図11は、第2の実施態様での図8及び図9の電解コンデンサの巻取を模式的に表す。
【図12】図12は、図11により製造される電解コンデンサでの電流の原理を模式的に表す。
【図13】図13は、ポリプロピレン系膜の断面図であり、2つのタイプの膜厚さを示す。
【図14】図14は、本発明の1つの実施態様による、膜の長手方向での温度の関数としての収縮を表すグラフである。
【図15】図15は、図14と同じ実施態様での、膜の横断方向での温度の関数としての収縮を表すグラフである。
【図16】図16は、本発明の他の実施態様での、膜の横断方向での温度の関数としての収縮を表すグラフである。
【図17】図17は、図16と同じ実施態様での、膜の長手方向での温度の関数としての収縮を表すグラフである。
【図18】図18は、膜の1つの実施態様での、秒を単位として測定されたガーリー気孔率を温度の関数として表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下記載される実施例において、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)及びベータ核化剤、ガンマキナクリジンを同時に含む膜が製造される。本発明者は、前記膜の大きい空間ファクタ(Fe)と密度間隔の組合せが、前記膜を電気エネルギー貯蔵用途のセパレータとして使用できるための決定的事項であることを見出した。
【0072】
本発明による膜の空間ファクタは、IEC−60674−3−1標準により決定される。
【0073】
本発明の膜に空間ファクタFeは150%以上、好ましくは200%以上である。
【0074】
本発明の膜の密度が、0.18g/cm3以上0.41g/cm3以下である。空間ファクタFeは以下の式で計算される。
Fe(%)=((MT−WT)/WT)x100
図13は、ポリプロピレン系膜の模式的断面図であり、重量(重量に基づく)厚さWT及び長さ(長さに基づく)厚さMTを示す。
【0075】
長さ厚さMTは最も普通に使用されるものであり、前記膜のピークからピークであり、即ち最大ピークと最小ピークとの距離である。
【0076】
対照的に、重量厚WTは重量測定により決定され、長さ厚MTはより小さい。
【0077】
膜の空間ファクタFeの決定方法
区間ファクタFe、重量厚さWT及び長さ厚さMTは、IEC60674−3−1国際標準により決定される。
【0078】
膜の12層サンプルを組立て、知られたサイズの領域をテンプレートを用いて切り出した。前記サンプルは膜のロールから、膜のほぼ0.5mmを前記ロールの外側表面から切断し、かつその後前記テンプレートを用いて膜の8層が切り出される。前記テンプレートは、250mmx500mmである。
【0079】
重量厚さWTはスケール計量を用いて決定される。
【0080】
ミクロメーターが長さ厚さMTをを測定するために使用される。長さ厚さMTは、2cm2のフラットな表面で1.96daNにて測定される。長さ厚さMTを測定するために、前記最初及び最後の層は8層で作業するために除かれる。前記サンプルの表面に分布される10の個々の測定値が取得される。長さ厚さMTはこれらの10の結果の平均である。
【0081】
膜の組成
核化剤としてのガンマキナクリジンは前記混合物に対して2重量%未満、好ましくは、0.1%<ガンマキナクリジン<0.5%である。
【0082】
前記コポリマーは、例えばポリプロピレン、エチレン及びブチレンのターポリマーである。
【0083】
このコポリマーでは、プロピレンは前記コポリマーの90重量%以上である。
【0084】
このコポリマーでは、エチレンは1重量%以上、好ましくは5%以上であり、かつ10重量%以下である。
【0085】
このコポリマーでは、ブチレンはコポリマーの0.10重量%以上であり、かつ1重量%以下である。
【0086】
前記混合物はさらに、ステアリン酸カルシウムを含むことができ、例えば混合部物1kg当たり25から250mgである。ステアリン酸カルシウムは、(以下例示する実施態様の場合)チーグラーナッタ触媒を用いて製造される際にポリプロピレン中に残存する塩素残留物を中和する。
【0087】
1つの例示的実施態様では、ポリエチレンコポリマーは約9%のポリエチレン(PE)を含む。次の例は、PPホモポリマー及びPEコポリマーの両方を使用する必要があることを示す。
【0088】
本発明の第1の実施例によると、膜の組成は、第1の組成C1を持ち、これはエチレンが5重量%以上含まれ、例えば試験1から29であり、以下の組成C1である:
− ポリプロピレン:≧混合物の90重量%、
− ポリエチレン:混合物の約6.5重量%、
− ブチレン:混合物の約0.1重量%、
− ガンマキナクリジン:混合物の0.2重量%。
【0089】
試験1から29はこの第1の組成C1を持つ膜で実施された。
【0090】
本発明の第2の例示的実施態様によれば、前記膜の組成は第2の組成C2を持ち、これにはエチレンが1重量%以上で5重量%以下であり、例えば試験30から44及び101から110であり、以下の組成C2である:
− ポリプロピレン:≧混合物の95重量%、
− ポリエチレン:混合物の約2重量%、
− ブチレン:混合物の約0.1重量%、
− ガンマキナクリジン:混合物の0.2重量%。
【0091】
以下で試験1から110は、顆粒材料から1軸スクリュ押出機で実施された。前記ホモポリマーは強いかつ抵抗性材料を製造する。前記コポリマーは、前記材料及びホモポリマーに延伸の際に特定の延性を与える利点を有する。
【0092】
前記試験で前記膜として使用される材料は以下のものである:
− エチレンコポリマー:Clyrell EC310K、Basellから入手、
− ホモポリマー:絶縁グレードPP樹脂HB311BF、Borealisから入手、
− ベータ核化剤ガンマキナクリジン、PPマスタバッチ中:MP1113(マスタバッチ中の濃度2%)、Mayzoから入手。
【0093】
アルファ及びベータ相の形成率は、ポリオレフィンから製造される多孔性膜を得るための特徴である。
【0094】
アルファ核化相とベータ核化相の量を決定する方法
簡略化のために、この方法は最初図1を参照してエチレンコポリマーなしのポリプロピレンの場合を説明する。この測定は、図1による押し出しにより得られるプライマリ膜について示差走査熱量測定により調製された溶融曲線を組み込むことで作られる。前記プライマリ膜は、ポリプロピレン結晶化後得られ、温度制御ロール後、即ち長手方向伸長直前に回収される。結晶化は、前記冷間ロール(CR)の前記ダイの出口から生じることから、これは、β相リッチな第1の膜を得るために前記冷間ロールの理想的動力学的及び熱的パラメータを目標とするために本質的なことである。2つの最も重要なパラメータは、従って、冷間ロール温度と回転速度である。
【0095】
図1の全溶融曲線を積分することで前記ポリマーの全結晶化を与える。測定されたエンタルピーは、ΔΗ=(ΔΗα+ΔΗβ)(J/gで)と表される。形成されるβ相を評価するためには部分積分が可能である。
【0096】
図1の場合、値59.5%が、前記曲線と前記垂直マークの左へのベースラインで区切られた領域に対応する。これは結晶化で生成されるβ相のパーセントである。β核化相の比率は、PPのβ%=100%x[βピーク面積/(αピーク面積+βピーク面積)]である。
【0097】
図1で、ポリプロピレン(プライマリ膜)は、融点を超えるまで10℃/分で加熱される。
【0098】
本発明の図2のポリオレフィン(PP+PE)の場合には、容易にPEの寄与と分かる追加のピークを積分することで図1と同じように決定される(図2)。
【0099】
本発明の膜製造方法は、図3を参照して以下説明される。
【0100】
本発明の膜Fの製造では、膜は第1のキャストゾーン1、第2の長手方向延伸入口ゾーン2、第2の長手方向延伸出口ゾーン3及び第4の横断方向延伸ゾーン4を連続して移動する。
【0101】
第1のキャストゾーン1では、本発明の材料混合物は最初に押し出し装置11内に入れられ溶融状態で前記冷間ロール13のダイ12に到達して前記プライマリ膜Fを形成する。
【0102】
ゾーン1でのプライマリ膜Fは次の特徴を持つ:
−厚さ:275±25μm、
−前記プライマリ膜出口(長手方向延伸前)でのβ結晶比率:≧60%(上で説明したDSC測定による面積)、好ましくは≧65%、特には≧75%。
【0103】
冷間ロール13の温度(冷却温度)
β相を形成するためには結晶化はできるだけゆっくりと行う必要があることが分かる。β結晶の形成領域は知られており、即ち90℃と130℃の間であり、最も関連する試験がこの温度範囲で得られる。β相形成の理想的温度は120℃と130℃の間である。
【0104】
冷間ロール13の回転速度
冷間ロール13の回転速度は2つの大きく異なる現象でそれぞれ役割を果たす。即ち前記ダイ中に存在する材料の結晶化時間と方向付けである。方向付けされる際に、材料はそれに与えられる応力により安定なα形に追従する。冷間ロール13が材料が前記ダイ12を出る流れに関して迅速に回転する場合には、前記材料は従って、方向付けされる。材料がダイ12を出る速度は、しかし、前記流れの速度を変更することなくダイ12内の圧力を調節することで変更され得る。
【0105】
本発明によれば、多孔度は、前記溶融材料と冷間ロール13との接触時間が少なくとも30秒とすることで増加させ得る。
【0106】
例えば、以下の試験1から28で、前記溶融物と冷間ロール13との接触時間は約40秒である。例えば、上で示される第1の実施態様では、40秒の接触時間のために、冷間ロール13の直線速度は1分間に3メートル未満、例えば1分間に2メートルである。
【0107】
上で示される第2の実施例では、前記溶融物と冷間ロール13との接触時間は85秒以上である。例えば、以下の試験30から44及び101から110では、前記溶融物と冷間ロール13との接触時間は約110秒である。例えば、上で示される第2の実施例では、115秒の接触時間について冷間ロール13の直線速度は1分間で1メートル未満、例えば1分間で0.6メートルである。
【0108】
本発明による1つのかかる接触時間は膜に孔形成を改善する。
【0109】
キャストゾーン1でのパラメータは、例えば、上で示された第1の例示実施態様では次のようである:
− 溶融交代での混合物の温度:235℃から260℃、
− 冷間ロールCR、13への接触時間:40±10秒、
− 冷間ロールCR、13の温度:110℃から145℃、
− エアナイフにより又はエアナイフなしでプレスし冷却する。
【0110】
キャストゾーン1でのパラメータは、例えば上で示した例示実施態様では次のようである:
− 溶融交代での混合物の温度:235℃から260℃、
− 冷間ロールCR、13への接触時間:110±10秒、
− 冷間ロールCR、13の温度:110℃から145℃、
− エアナイフにより又はエアナイフなしでプレスし冷却する。
【0111】
前記第2の長手方向延伸入口ゾーン2では、冷間ロール13から前記第1の膜Fは、ロール20間を長手方向、又は前記膜の移送の方向に対応して機械方向MDへ移送される。
【0112】
前記第2の長手方向延伸入口ゾーン2で前記駆動ロール20の温度は、例えば前記第1の例示的実施態様及び試験1から29では80℃から100℃であり、また例えば前記第2の例示的実施態様及び試験30から44と101から110では前記膜の移送の方向MDでの少なくとも第1のロール20、R1、R2、R3、R4、R5は50℃から90℃であり、これらの第1のロール20、R1、R2、R3、R4、R5は例えば同じ温度を持つ。
【0113】
第1のロール20、R1、R2、R3、R4、R5のこの温度は前記膜中の孔形成を改善する。
【0114】
前記膜の移送の方向MDでの前記最後のロール20、R6は、例えば最初のロール20、R1、R2、R3、R4、R5の温度よりも高い温度を持ち、例えば試験1から29では約115℃、試験30から44及び101から110では約100℃である。
【0115】
前記第3の長手方向延伸出口ゾーン3では、膜Fは前記長手方向延伸ロール30間を通り、前記延伸ロール30は前記膜を、前記入口ゾーン2での速度よりも大きい速度、例えばより高速回転速度で出口ゾーン3を進めるものであることから、膜Fを前記第2のゾーン2と第3のゾーン3との間で機械方向MDへ伸長される。前記膜はロールR7、R8及びR9、これらはロール30であるが、を順次通る。
【0116】
前記第3の長手方向延伸出口ゾーン3でのパラメータは次の通りである:
− (ゾーン3での速度/ゾーン2での速度)≧5.5、
− NIR≧0.20、さらには0.28、0.29又は0.30であり、ここでNIR=(ゾーン2での膜幅−ゾーン3での膜幅)/ゾーン2での膜幅)を示す、
− 長手方向延伸ロール30の温度:50℃から150℃、及び前記第1の例示実施態様(試験1から29)では100℃から150℃、及び前記第2及び第3の例示実施態様「試験30から44及び101から110)では50℃から100℃である。
【0117】
MIRとして参照されるパラメータは、長手方向延伸による幅の収縮と、前記長手方向MDに関して横断する方向TDでの幅の収縮の比率である。
【0118】
この幅における収縮の効果は、膜のミクロポアを長手方向に方向付けるだけでなく、またそれらを狭い幅に圧縮し、それによりこれらのミクロポアを垂直、即ち広げるように伸長するために横断方向へ伸長させることを可能とする。この方法は従って、多孔度を増加させ、膜により均一に分布させることとなる。対象となる用途に関連して多孔度を達成するためには、この収縮率は少なくとも20%、好ましくは少なくとも28%である必要がある。
【0119】
長手方向延伸ロール20と30間の距離は直接NIR比率に関連付けられる。さらに、大きな延伸表面(横断方向延伸TDx長手方向延伸MD)が前記膜の密度を低減させる。
【0120】
前記第4の横断方向延伸ゾーン4では、ゾーン3からの膜Fが、同じ長手方向MDに進行しながら、前記膜の平面で長手方向MDと垂直な横断方向TDで延伸される。この目的で、前記膜はゾーン4でその2つの対抗する長手方向端部41、42を矢印40で示されるようにグリップ(図示されていない)でグリップされ、グリップは長手方向MDへ進行しながら徐々に横断方向TDで前記膜の端部41、42を離すように動く。ゾーン4で横断方向延伸温度は、前記第1の例示実施態様(試験1から29)では120度から170度であり、前記第2の例示実施態様(試験30から44)では120度から170度であり、前記第3の例示実施態様(試験101から110)では135度から149度である。横断方向延伸ゾーン4での横断方向延伸率は、例えば4以上又は6以上である。
【0121】
前記膜Fはゾーン5に進行し、やや緩和される。すなわち膜の横断方向はやや減少し、その後、例えば先で使用するためにコア6に巻き取られ得る。
【0122】
前記第1の試験1から29について上で示した製造条件下で前記第1の組成C1を用いて製造された二方向延伸膜Fについて、以下の特徴が測定された(精度が括弧内に示される):
− 空間ファクタ:217%(±12%)、
− 長さ厚さ:20μm(±6μm)、
− 密度:0.285g/cm3(±0.025g/cm3)、
− 多孔度:65%(±10%)、
− ガーリー気孔率:100cm3当たり100秒(100cm3当たり±15秒)。
【0123】
前記第2の試験30から44について上で示した製造条件下で前記第2の組成C2を用いて製造された二方向延伸膜Fについて、以下の特徴が測定された(精度が括弧内に示される):
− 空間ファクタ:203%(±11%)、
− 長さ厚さ:20μm(±2μm)、
− 密度:0.299g/cm3(±0.01g/cm3)、
− 多孔度:67%(±1%)、
− ガーリー気孔率:100cm3当たり119秒(±23秒)。
【0124】
パーセント多孔度の決定
%での多孔度は次の式により決定される:
多孔度=1−(X/Y)
ここでYは使用されたポリプロピレンホモポリマーの密度及びXは前記膜の密度である。%多孔度は100を掛けて得られる。例えば、上の例では、Y=0.905g/cm3及び膜の全多孔度は次に式で得られる:
多孔度(%)=(1−(X/0.905))x100
以下に示す表1、2、3及び4は本発明により製造された10試験を表す。ここで、Tは温度を表す。これらの表の試験は試験1から10であり、上で示された条件で実施された。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【0128】
【表4】
試験6は上で示した本発明による多孔度が実質的に55%持つとされる。
【0129】
他の試験21、22、23、25、26、29では、本発明の膜製造方法は次のパラメータを用いて実施された:
− 融点:246℃、ただし試験29では250℃、
− 冷間ロール(CR)温度:120℃、冷間ロール(CR)速度:1分間2メートル、
− 前記第1のロール20、R1、R2、R3、R4、R5の温度:90℃、
− 前記最後のロール20、R6の温度:115℃、
− 長手方向延伸比率MD:5.1、ただし試験29では5.2、
− TR7=115℃、TR8=140℃、TR9=125℃。
【0130】
横断方向延伸条件は以下の表5、6及び7に与えられる。ここでTZ1、TZ2、TZ3、TZ4、TZ5及びTZ6はそれぞれ、6つの連続する横断方向延伸トンネルのゾーンでの温度であり、前記トンネルは前記膜の端部を保持するグリップを支持する鎖のギャップとして膜空間距離DZ1、DZ2、DZ3、DZ4、DZ5、DZ6(cmで)を有し、TDは横断方向延伸比率、Copol/PPhomoはエチレンコポリマー/PPホモポリマーの重量比を表し、βは上で示した方法で決定されたβ相の%比率を表す。
【0131】
【表5】
【0132】
【表6】
【0133】
【表7】
第2のシリーズ試験30から44(表8)では、本発明の膜製造方法は次のパラメータを用いた:
− 融点:244℃から248℃、
− 冷間ロールCR温度:125℃;冷間ロールCRの速度:0.6メートル/分、
− 前記第1のロール20、R1、R2、R3、R4、R5の温度は50℃と90℃の間、
− 前記最後のロールの温度20、R6:100℃、
− 長手方向延伸比率MD:5.7、
− TR7=100℃、TR8=50℃、TR9=70℃、
− TZ1=148℃、
− TZ2=150℃、ただし試験33ではTZ2=151℃、
− TZ3=試験30と31以外は151℃、ここで試験33では150.5℃、試験33では151.5℃、
− TZ4=試験32以外は146℃、試験32では147℃、
− TZ5=試験33、34、35以外は140℃、試験33、34、35ではTZ5=135℃、
− TZ6=試験33、34以外は140℃、試験33、34ではTZ6=130℃、
− NIR:0.28、
− β相比率:≧70%、
− ガーリー気孔率POR1は秒/100cm3で表され、
− 加熱後ガーリー気孔率POR2は秒/100cm3で表され、指示された温度での加熱はそれぞれ15分間であった。
【0134】
【表8】
さらに、試験30と44で、本発明の第2の実施態様による膜については、長さ厚さが20μm(又は21μm)以下又は20μm±1μmを持ち、ガーリー気孔率が150℃で5000秒以上(図18)であり、図18で曲線C3はガーリー気孔率POR1(秒)で表し、曲線C4は前記ガーリー気孔率を温度の関数として秒で測定された値を表す。図から、約110℃までは、前記膜の秒での実際のガーリー気孔率C4はPOR1と等しく、従って最小秒となり、これは高度に多孔性膜であることを示す。温度が110℃をさらに超えると、測定されるガーリー気孔率(秒での値)が上がり、このことは温度上昇に伴い気孔率が低下することを表す。150℃を超えると、ガーリー気孔率C4の測定値は5000秒でプラトーを示したが、これは前記測定装置の測定範囲が0から5000秒であるからであった。従って、150以上の温度で、ガーリー気孔率は5000秒以上である。150℃からガーリー気孔率は5000以上となり、膜のポアは実質的に閉じており、これは関連する用途で自己保護の好ましい挙動である。実際に、膜がエネルギー貯蔵装置で使用される場合には、150℃でポアが閉じることは、この温度でエネルギー貯蔵を停止することを可能とする。というのは膜はもはやセパレータとしては作用せず、電気化学的種を通過させないからである。これらの温度で、これは、前記膜が含まれるエネルギー貯蔵装置を保護し、エネルギー貯蔵装置の劣化を防止する。他方で、110℃まで前記膜は、電気化学種を通過させ、ガーリー気孔率POR1(これはエネルギー貯蔵装置でセパレータ膜として作用する通常の値であり、エネルギー貯蔵装置の作用を可能とする)を持つことでセパレータとして作用する。
【0135】
第3のシリーズ試験101から110(表9)で、本発明の膜製造は次のパラメータで実施された:
− 前記混合物の成分は試験30から44と同じ、
− 冷間ロール13の125℃での接触時間:約88秒(速度=0.8/秒)、
− 溶融温度:239℃から257℃、
− 連関ロールCrno温度:125℃;冷間ロールCRの速度:0.7から0.8メートル/分、
− 第1のロール20、R1、R2、R3、R4、R5の温度:50℃から90℃の間、
− 最後のロール20、R6の温度:100℃、
− 長手方向延伸比率MD:5.7から5、
− TR7=100℃、TR8=50℃、TR9=70℃、
− TZ1=試験110以外は145℃、試験110ではTZ1=143℃、
− TZ2=試験101以外は148℃、試験110ではTZ2=147℃、TZ2=146℃、
− TZ3=試験101以外は149℃、試験101ではTZ3=148.5℃、試験110ではTZ3=147℃、
− TZ4=試験101以外は146℃、試験101ではTZ4=148℃、
− TZ5=140℃、
− TZ6=135℃、
− 長手方向延伸比率:4、
− NIR=:0.28、
− β相比率:≧70%、
− ガーリー気孔率POR1は100cm3当たりの秒で表され、
− 加熱後のガーリー気孔率POR2は、120℃で20分加熱後の100cm3当たりの秒で表され、
− 表中の横断方向収縮は120℃で測定された。
【0136】
以下の特徴が測定された:
− 両方向の表面密度≦0.400g/cm2;
− ガーリー気孔率測定値:<180秒及び>100秒、
− 多孔度(%):>55%、
− 膜長手方向弾性率:≧1000MPa(ASTMD882)、
− 膜横断方向弾性率:≧300MPa(ASTMD882)、
− 厚さ16μm又は17μm以下(又は15μm±1μm)膜の長手方向収縮が120℃15分後で3%未満、
− 厚さ16μm又は17μm以下(又は15μm±1μm)膜の横断方向収縮が120℃15分後で7%未満、
− 空間ファクタが145%以上。
【0137】
【表9】
一般に、本発明の膜はまた、長手方向MD及び横断方向TDでASTMD882に基づく大きなヤング率(弾性率)を持つ。長手方向弾性率は600MPa以上であり、さらには700MPa以上であり、例えば本発明により製造される多孔性膜の一例では730MPaを示す。横断方向弾性率は300MPa以上であり、さらには400MPa以上であり、例えば本発明により製造される多孔性膜の一例では445MPaを示す。
【0138】
本発明の膜はまた、破壊電圧が330V/μm(厚さ)以上を持つ。
【0139】
本発明の膜はまた、長手方向及び横断方向で低収縮を示す。
【0140】
図14および15は、厚さ25μm±2μmの本発明の膜の収縮を示す。一般に、収縮値は記載された温度で15分間加熱の条件で示される。
【0141】
図14によると、本発明の多孔性膜について、長手方向MDでの収縮が、120℃で4%以下、140℃で9%以下である。
【0142】
図15によると、本発明の多孔性膜について、横断方向TDでの収縮が、120℃で13%以下、140℃で27%以下である。
【0143】
図16によると、試験34から35では、厚さ20μm(又は21μm)又は厚さ20μm±1μmの膜の120℃での横断方向収縮は8%未満である。これらの試験34、35では、厚さ20ミクロン(又は21μm)又は厚さ20μm±1μmの膜の135℃での横断方向収縮は18%未満である。
【0144】
図17によると、試験34から35では、厚さ20μm(又は21μm)又は厚さ20μm±1μmの膜の120℃での長手方向収縮は3%未満である。これらの試験34、35では、厚さ20ミクロン(又は21μm)又は厚さ20μm±1μmの膜の135℃での横断方向収縮は7%未満である。
【0145】
これらの特徴は、前記膜を電気エネルギー貯蔵のための部材を製造するために、特にその多孔性膜の熱安定性と低収縮率のために適するものにする。
【0146】
さらに、前記膜はその機械的強度のために製造時に破壊されにくい。
【0147】
種々のエネルギー貯槽用途への膜の実施態様を以下説明する。
【0148】
スーパーコンデンサ
本発明の膜は、例えばスーパーコンデンサでのセパレータを形成し、前記セパレータは電解質とともに前記コンデンサの誘電体を形成する。セルロースセパレータに伴う問題を解決するために、その解決方法は膜に向けられ、その性能が、標準の有機電解質(TEABF4塩を含むアセトニトリル、TEABF4塩を含むプロピレンカーボネート)又は水溶性電解質(水中のKOH、又は高濃度硫酸)に関して電気化学的及び化学的に不活性と組み合わされる。同時に、前記セパレータは、変形されることなく巻取に耐える必要があり、安価であり、ガーリー気孔率が150未満の多孔性(多孔度が55%、好ましくは70%を超える)を有するものが必要である。最後に、前記セパレータは、容易に堅固化される必要があるが、これはセルロース膜の場合にそうであるが、ポリマーセパレータの場合は稀であり異方性である。
【0149】
実施例1による本発明の膜から製造されたセパレータは、その機械的特徴が、比較実施例1と2のセルロースセパレータで得られるよりも顕著に優れたものであり、特に引張破断ひずみ(図4及び表10)に関して本発明の多孔性膜は50MPaを超える値を示す。示される試験はISO1924/2−1985、ASTMD882標準に従った。
【0150】
【表10】
結果から、実施例1のセパレータは、セルロースセパレータよりも軽いけれども特に機械的観点から抵抗性があることが分かる。これは、その連続的な3次元構造によるものであり、ポリマー鎖が化学的にお互いに支えあうことによる(図5、密度0.319を持つ膜の例)。図5(SEM画像)で示されるように、前記構造は、いわば交差したスパゲティと比較し得るものである。この特別の構造はそのように製造された膜に、特に高い多孔度と、前記セパレータのそれぞれの側に位置される2つの電極間の短絡の問題を避けるための十分な耐性を持たせるものである。セルロースの場合に、前記セパレータはお互いに重ねられた繊維からなり、変形のリスクはより大きく、従って、その壊れやすさから電極間の短絡の問題を生じやすくなり得る。
【0151】
本発明のセパレータの電気化学的性能(実施例1、試験10に対応)はまた、セルロース系膜で得られた寿命よりも(+20%)大きい(表10)。試験は、Batscap650Fスーパーコンデンサ(フロート)を用いて70℃、単位電圧2.8Vで行った。
【0152】
液状又はゲル上の有機媒体中で機能するセル又は電池
本発明の膜はかかるセル又は電池のセパレータを形成するために使用され得る。
【0153】
試験は、有機媒体中で機能する電池のための用途につき前記膜で実施された。ここで記載される実施例はリチウムイオン(Liイオン)電池であり、それに必要な特徴は、電気化学的及び化学的にみて最も制限されるものである。
【0154】
Liイオン電池の場合には、使用される電解質は、EC/DEC/DMC1:1:1の混合物中の1MのLiPF6
である。
【0155】
これらの電池の安全性(短絡により、成分の非可逆的分解(引火)を生じる虞がある)を改善するため、本発明により製造される膜は、その製造の際に2つの表面の間を非対称的にされ得る。例えば、前記冷間ロールCRと接触する膜Fの第1の表面F10と膜Fの反対側の表面F20へ異なる温度が適用される。例えば前記冷間ロールCRより低温度のエアナイフ又は空気風を前記膜Fの反対側第2表面F20へ適用される。前記第1の表面F10の粗度は従って前記第2の表面F20の粗度よりも大きくなる。前記第1の表面F10の粗度は、例えば第2の表面F20の粗度の150%以上であり得る。冷間ロールCRへ向かう前記第1の表面F10は前記他の第2の表面F20よりも低多孔性を有する。これはかかるコンポーネントの劣化及び安全性という点から性能を改善する。留意すべきことは、前記コンポーネントが過熱(T>160℃)されると、熱の上昇の際に前記膜は透明となりその多孔性を失い、前記2つの電極間の電気的及び電気化学的絶縁をもたらすこととなる、ということである。このことは前記コンポーネントが引火するリスクを下げることを意味する。非対称的膜の例(冷間ロールCRの異なる温度及びこの同じ冷間ロールCRに膜をプレスするための熱エアナイフにより得られる)が図6に示され、図6の上部には前記冷間ロールCRに向かう表面F10の拡大された図が示され、下部にはエアナイフへ向かう表面F20の拡大された図が示される。この原理が、図7で、厚さプロフィルとして示される。
【0156】
この非対称的膜は、リチウムイオン電池(イオン又は金属ポリマー)で見られる樹状突起形成を避けることができ、従って、この欠陥構造による短絡を避けることができコンポーネントが引火することを避けることができる。
【0157】
高すぎる温度にされたコンポーネントを調べる場合に、前記膜は前記コンポーネントの熱履歴に関してトレーサとして反論できない証拠となり得る。
【0158】
このタイプの電池で使用される膜は薄くする必要があり(25μm未満、より好ましくは15μm未満)、リチウムイオンが2つの電極間を通過するために十分多孔性である必要がある。この膜の多孔性は少なくとも30%を超える必要があるが、また機械的に強いものである必要がある。本発明は、多孔度が50%を超え、かつ機械的にも強い(穿刺強度はASTMD3420標準で測定され、同じ厚さで、一軸冷間引張りで製造された膜に関して少なくとも2倍である)膜を製造することができる。試験6はこれらの特徴を示す(19.4μm厚さで55%多孔度)。
【0159】
ポリレフィンは疎水性であり、前記セパレータの残留水分量は非常に少ない(数十ppm)。さらに、前記膜は無機物フィラーを含まず、劣化の悪影響はない。これらの特徴は、水分を除去するために高温(通常は110℃を超える)で前記コンポーネントを脱ガスする必要性をなくすことを工業的に可能とする(時間及び費用の節約)。
【0160】
液状又はゲル状で水溶性媒体中で機能するセル又は電池
本発明による膜はかかるセル又は電池のセパレータを形成するために使用され得る。
【0161】
従来技術では、水溶性媒体中で機能するエネルギー貯蔵システムで使用されるセパレータは一般的にガラスファイバを含む。鉛酸電池の場合には、これらのセパレータは高価であり、比較的厚い(40μmを超える)、かつ機械的に壊れ易いが(このことは、取扱が容易なミクロン程度の厚さの必要性を意味する)、非常の高多孔性(70%を超える)であるという利点を持つ。さらに、必要なミクロン厚さが一般的に、前記エネルギー貯蔵システムで使用される電解質を含むために使用される。
【0162】
本発明により製造された膜(試験1)は、電解質を含む厚さと高い多孔性を有する(試験1で62%)という利点を持つ。製造された膜は前記のとおり非常に機械的に丈夫であり、化学的強度(硫酸のような強酸性についてもカリウム又はナトリウムなどの強塩基についても不活性)及び電気化学的強度(5Vを超える電圧でも膜の破壊は起こらない)の両方の特徴を持つ。
【0163】
前記膜は従って、鉛酸及びニッケル金属水素(Ni−MH)電池で好ましく使用され得る。
【0164】
電解コンデンサ
本発明の膜はかかる電解コンデンサのセパレータを形成するために使用され得る。本発明の膜は金属化され得る。
【0165】
本発明により製造された膜は、この技術分野で使用される標準のセルロースセパレータと容易に置換され得る。
【0166】
本発明で記載される膜の絶縁破壊電圧は、3500V(試験9の膜)の程度である。その結果、25μm厚さの膜が、それぞれ25μmの厚さの3枚(容積及び重量において増加する)のセルロースセパレータと置換され得る。
【0167】
技術的にいえば、集電のために使用される金属、例えばアルミニウム(カソード)は、前記電解質との接触を増加させるために電気化学的にエッチングされる。アルミニウムのこの層の使用を回避する1つの手段は、本発明による膜で形成されたセパレータ上に直接真空下アルミニウムを蒸着させることである。この手段はセルロース膜では困難である。というのはセルロース繊維と蒸着金属間の機械的強度が乏しいからである。
【0168】
図8及び9は、電解コンデンサCの連続層を模式的に示し、これは連続的に金属アノードA、例えばアルミニウム膜で形成され又はアルミニウム蒸着を含むアノードA、電解質EDB、本発明による多孔性膜Fで形成されるセパレータ及びカソードCATHを含む。
【0169】
本発明で記載される多孔性膜Fは、その一方の表面をカソードCATHを形成する蒸着金属で被覆されることができる。この金属Mは例えば真空下で例えばアルミニウムの蒸着により堆積され得る。
【0170】
金属Mは、アルミニウム、亜鉛、銀又はその他の電解コンデンサ技術で使用される金属であり得る。
【0171】
図9は、アノードA、膜F、S及びカソードM、CATHの巻取の際の構成を示す。巻取の後、全体に電解質Eを浸漬し、電解質はアノードA及びセパレータF、Sの間を浸透する。電荷コンデンサの巻取コンポーネントCの2つの実施態様が図10及び11に説明される。
【0172】
図10の実施態様では、巻取りは、標準アノードA及び本発明の2つの第1及び第2の膜F1、F2を含み、これらの膜は一方面に金属M、例えばアルミニウムを堆積している。コンポーネントCが巻き取られる際に、前記堆積表面Mはお互いに反対に面し、前記多孔性ポリマーの膜F1、F2の間にサンドイッチされる。アノードAの膜は、セパレータSを形成する2つの膜F1、F2の間にサンドイッチされ、前記アノードAが前記2つの膜F1、F2のお互いにの非金属化表面に対して面している。
【0173】
表面対表面に設けられた1つの表面に堆積を持つ2つの同じ膜F1、F2を使用することは。収電表面を増加させるという点で有利である。
【0174】
留意すべきことは、多孔性のポリマー膜が金属Mの堆積が前記電解質(E)との非常に大きな接触表面を与える(少なくとも標準膜と同じ大きさ)ということである。実際に、多孔性膜の粗性度は特に高い。
【0175】
図11の実施態様では、標準アノード膜A、本発明によるアルミニウムなどの金属Mを堆積させた1つの表面を含む第1の多孔性膜F1、及び金属を堆積させていない本発明による多孔性ポリマー膜F2の他の第2のスプールが、連続して巻き取られている。金属化膜F1の1つのスプールのみが使用される。前記アノード膜Aは前記第1の膜F1の非金属化表面に対する1つの面、及び前記第2の非金属化膜F2に対する他の面を持つ。これにより、提案1に近い特徴を安価に得ることを可能とする(堆積させていない膜の方が堆積させた膜よりも安価)。
【0176】
この実施態様では、堆積されていない膜のスプールはまた、セルロースであり得る。
【0177】
図10及び11の実施態様では、アノード膜Aが以外の膜F1及びF2のスプールは複数であり得る(絶縁体のいくつかの連続する層のスタック)。
【0178】
図12では、黒矢印は、端子が図11の金属化膜から製造され得る提案された構成の側面を示す。これらの端子は例えばシューページ(shoopage)で製造され得る。これらの端子はお互いから離れた端部に設けられる。
【0179】
アノードAの場合は、種々のアルミニウム膜の接合が、種々の特許で記載される従来方法により生成され得る。
【0180】
カソードCATHについては、アルミニウムが前記側100上に設けられ得る。これはワイヤを加えることで可能である。この技術はすでに大型誘電体コンデンサにおいて広く使用されている。
【0181】
他の方法はまた、広く使用されているものであり、ワイヤを直接膜(アノード又はカソード)に溶接することを含む。これは、アルミニウム堆積を有する多孔性の場合に可能となる(堆積のために上で説明したように材料を追加して設けることもまた可能である)。このカソード膜については、前記堆積は、前最後の巻の外側でなされ得る。一方アノードのためのワイヤは前記中心に設けられ得る。
【0182】
この広く使用される方法により、図12の構成ではできない2つの端子を同じ側に設けることが可能となる。
【0183】
巻取に続けて、前記コンポーネントは電解質に浸漬される。
【0184】
電解質は一般的には、蒸発を棒するために種々の糖成分又はエチレングリコールを添加したホウ酸又はホウ酸ナトリウム水溶液である。
【0185】
アルミニウム電解コンデンサのための水系電解質の3つの広いタイプがあり:標準水系(40〜70%水)、及びエチレングリコール又はジプロピルケトン(25%未満の水とともに)を含むものである。いくつかの非水系電解質があり、水はほとんど使用されない。電解質は一般には、弱酸、弱酸塩及び溶媒増粘剤からなり、場合により種々の添加物が含まれる。
【0186】
弱酸は一般的には、有機性酸(酢酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、クロトン酸、アクリル酸、フェノール、クレゾールなど)又はホウ酸である。使用される塩はしばしば、アルミニウム塩であるか、又は有機酸の金属塩(酢酸アンモニウム、クエン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、酪酸カルシウム、シュウ酸アンモニウムなど)又は弱無機酸(過ホウ酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムなど)である。
【0187】
多孔性ポリマー膜の利点は、化学的に不活性であり、かつ上で説明した全ての電解質に電気化学的に不活性である、ということでる。その結果、このタイプのセパレータの使用は、全ての液状電解質コンデンサへ一般化され得る。
【0188】
ここで説明された原理はまた、固体電解質技術(固体電解質)及びタンタル液状電解コンデンサへ一般化され得る。
【0189】
金属はアルミニウム以外でもよい。
【0190】
膜F1、F2上への金属Mの堆積は、蒸発で達成され得るが、またその純度が制御されその方法が前記ポリマー膜を溶融させることのない(膜の多孔性は金属の堆積される反対側で保存される必要がある)、堆積のための全ての適する方法で達成され得る。
【0191】
1つの実施態様では、空間ファクタFeは、300%以下であるように選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー貯蔵のための装置のためのセパレータ膜であり、多孔性であり、方向づけられ、かつ長手方向及び前記長手方向に横断する方向に延伸されることで得られ、前記膜は:
− ポリプロピレンホモポリマー、
− 少なくともプロピレン及びエチレンを含むモノマーの少なくとも1つのコポリマーが、少なくとも10重量%、
− 少なくとも1つのベータ核化剤を含む混合物を含み、
前記コポリマーのエチレン含有量は前記コポリマーの1重量%以下であり、前記コポリマーのプロピレン含有量は前記コポリマーの少なくとも90重量%であり、前記膜の厚さが8μm以上で30μm以下であり、IEC−60674−3−1標準により決定される空間ファクタが145%以上に対応し、かつ両方向へ延伸された膜の密度が0.18g/cm3以上であり0.41g/cm3以下である、膜。
【請求項2】
請求項1に記載の膜であり、前記ベータ核化剤がキナクリジンを含む、膜。
【請求項3】
請求項1に記載の膜であり、前記ベータ核化剤がガンマキナクリジンを含む、膜。
【請求項4】
請求項1に記載の膜であり、前記ベータ核化剤が、ガンマキナクリジン0.11重量%以上で0.5重量%以下含まれる、膜。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の膜であり、前記エチレンコポリマーがブチレンを含む、膜。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の膜であり、前記混合物中のブチレンの含有量が0以上で1重量%以下である、膜。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の膜であり、前記膜の厚さが25μm以下である、膜。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の膜であり、前記膜の厚さが20μm以下である、膜。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の膜であり、前記両方向に延伸された膜の表面密度が、両方向で0.400g/cm2以下である、膜。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の膜であり、前記両方向に延伸された膜のガーリー気孔率が、100cm3あたり50秒以上で300秒以下である、膜。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の膜であり、前記両方向に延伸された膜のガーリー気孔率が、100cm3あたり80秒以上で130秒以下である、膜。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の膜であり、前記両方向に延伸された膜の多孔度が、50%以上である、膜。
【請求項13】
」請求項1乃至12のいずれか1項に記載の膜であり、前記両方向に延伸された膜の多孔度が、55%以上である、膜。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の膜であり、前記膜の絶縁破壊電圧が330V/μm以上である、膜。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の膜であり、前記膜が、ASTM D882標準により、長手方向弾性率が800MPa以上である、膜。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の膜であり、前記膜が、ASTM D882標準により、長手方向に横断する方向の弾性率が300MPa以上である、膜。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の膜であり、前記膜が、破断強度が50MPa以上である、膜。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の膜であり、前記混合物がさらに、ステアリン酸カルシウムを25から250mg/kg(混合物)含む、膜。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の膜であり、前記20μm以下の厚さの膜の横断方向収縮が120℃で8%未満である、膜。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の膜であり、150℃以上の温度で、前記膜はガーリー気孔率が5000秒を超える、膜。
【請求項21】
電気エネルギー貯蔵のために使用される装置のためのセパレータ膜を製造する方法であり、前記膜が多孔性であり、方向付けられており、前記膜が:
− ポリプロピレンホモポリマー、
− 少なくともプロピレン及びエチレンを含むモノマーのコポリマーを少なくとも10重量%、
− 少なくとも1つのベータ核化剤を含む混合物を含み、
前記コポリマーが、前記コポリマーの1重量%以上で10重量%以下のエチレンを含有し、前記コポリマーの少なくとも90重量%のプロピレンを含有し、第1のステップで、前記溶融された混合物を、回転する、前記溶融された混合物の温度未満の温度である冷間ロールを通過させてプライマリ膜を得、前記第1のステップの後第2のステップで、前記プライマリ膜はその長手方向移送方向に前記長手方向に延伸され、前記膜は前記長手方向を横断する方向に延伸され、前記方法が、前記第1のステップで、前記溶融された混合物が前記冷間ロールと30秒以上接触させることを含むことを特徴とする、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であり、前記第2のステップで、前記膜は第2の長手方向延伸入口ゾーンへ、第2の駆動ロールにより、前記移送長手方向での前記膜の駆動速度で通過し、
その後、前記膜は第3の長手方向延伸出口ゾーンへ、第3のロールで、前記膜を前記長手移送方向へ前記長手移送方向での前記第2の駆動ロールでの前記膜の駆動速度よりも大きな長手移送方向速度で移送され、
前記第2の長手延伸入口ゾーンでの前記第2のロールの少なくとも1つのロールの温度が45℃以上で100℃以下である、方法。
【請求項23】
請求項21又は22のいずれか1項に記載の方法であり、前記第1のステップで溶融される混合物が235℃から260℃の温度であり、前記冷間ロールが110℃以上で145℃以下の温度を持つ、方法。
【請求項24】
請求項21乃至23のいずれか1項に記載の方法であり、前記第2のステップで、前記膜が第2の長手方向延伸ゾーンに、第2の駆動ロールにより、前記長手移送方向で前記膜の駆動速度で通過し、
その後前記膜が、第3の長手方向延伸出口ゾーンへ、第3のロールで、前記長手移送方向へ前記第2のロール上の前記膜の駆動速度よりも大きい速度で通過させて前記膜を前記長手移送方向で延伸させ、
前記第2の長手方向延伸入口ゾーンと前記第3長手方向延伸出口ゾーンとの間での長手方向延伸による前記膜の前記横断方向での縮小率(NIR)が0.20以上である、方法。
【請求項25】
請求項21乃至24のいずれか1項に記載の方法であり、前記膜が前記冷間ロールと接触する第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面を持ち、前記第1のステップで、前記冷間ロールの温度よりも低い温度を持つエアナイフが、前記第2の表面上を通過する、方法。
【請求項26】
電解スーパーコンデンサであり、少なくとも2つの使用端子に接続され少なくとも2つの導電体を含み、請求1乃至20のいずれか1項に記載の少なくとも1つの多孔性セパレータ膜と前記膜を浸漬する電解質が前記2つの導電体間にある、電解スーパーコンデンサ。
【請求項27】
請求項26に記載の電解コンデンサであり、前記導電体が前記多孔性膜と巻き取られる形状である、電解コンデンサ。
【請求項28】
電気エネルギー貯蔵のための電池であり、少なくとも2つの使用端子に接続され少なくとも2つの導電体を含み、請求1乃至20のいずれか1項に記載の少なくとも1つの多孔性セパレータ膜と前記膜を浸漬する電解質が前記2つの導電体間にある、電池。
【請求項29】
請求項28に記載の電池であり、前記電気導電体が前記多孔性膜と巻き取られる形状である、電池。
【請求項30】
電解コンデンサであり、前記電解コンデンサは、アノードとかソードを含み、それらの間に、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の少なくとも1つ多孔性セパレータ膜及び前記膜を浸漬する電解質がある、電解コンデンサ。
【請求項31】
請求項30に記載の電解コンデンサであり、前記アノードとカソードが、前記少なくとも1つの多孔性膜と巻き取られる形状である、電解コンデンサ。
【請求項32】
請求項30又は31のいずれか1項に記載の電解コンデンサであり、カソードが、前記少なくとも1つの多孔性膜の1つの表面のみに金属堆積されて形成される、電解コンデンサ。
【請求項33】
請求項32に記載の電解コンデンサであり、前記アノード及びカソードが前記少なくとも1つの多孔性膜と巻き取られる形状であり、前記コンデンサが、少なくとも1組みの前記多孔性セパレータ膜を含み、それぞれが1つの面のみに金属堆積されて前記カソードを形成し、前記金属堆積は、お互いに対抗するようにされ、前記アノードが、金属堆積されていない前記多孔性膜の1つの表面に対抗する、電解コンデンサ。
【請求項34】
請求項32に記載の電解コンデンサであり、前記アノードとカソードが前記少なくとも1つの多孔性膜と巻取られる形状であり、前記コンデンサが少なくとも1組みの第1及び第2の前記多孔性セパレータ膜を含み、前記第1の膜は1つの面のみに金属堆積されてカソードを形成し、前記第1の膜の金属堆積が、金属堆積されていない第2の膜に対抗して位置され、前記アノードが、金属堆積されていない前記多孔性膜の1つの面に対抗している、電解コンデンサ。
【請求項1】
電気エネルギー貯蔵のための装置のためのセパレータ膜であり、多孔性であり、方向づけられ、かつ長手方向及び前記長手方向に横断する方向に延伸されることで得られ、前記膜は:
− ポリプロピレンホモポリマー、
− 少なくともプロピレン及びエチレンを含むモノマーの少なくとも1つのコポリマーが、少なくとも10重量%、
− 少なくとも1つのベータ核化剤を含む混合物を含み、
前記コポリマーのエチレン含有量は前記コポリマーの1重量%以下であり、前記コポリマーのプロピレン含有量は前記コポリマーの少なくとも90重量%であり、前記膜の厚さが8μm以上で30μm以下であり、IEC−60674−3−1標準により決定される空間ファクタが145%以上に対応し、かつ両方向へ延伸された膜の密度が0.18g/cm3以上であり0.41g/cm3以下である、膜。
【請求項2】
請求項1に記載の膜であり、前記ベータ核化剤がキナクリジンを含む、膜。
【請求項3】
請求項1に記載の膜であり、前記ベータ核化剤がガンマキナクリジンを含む、膜。
【請求項4】
請求項1に記載の膜であり、前記ベータ核化剤が、ガンマキナクリジン0.11重量%以上で0.5重量%以下含まれる、膜。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の膜であり、前記エチレンコポリマーがブチレンを含む、膜。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の膜であり、前記混合物中のブチレンの含有量が0以上で1重量%以下である、膜。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の膜であり、前記膜の厚さが25μm以下である、膜。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の膜であり、前記膜の厚さが20μm以下である、膜。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の膜であり、前記両方向に延伸された膜の表面密度が、両方向で0.400g/cm2以下である、膜。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の膜であり、前記両方向に延伸された膜のガーリー気孔率が、100cm3あたり50秒以上で300秒以下である、膜。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の膜であり、前記両方向に延伸された膜のガーリー気孔率が、100cm3あたり80秒以上で130秒以下である、膜。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の膜であり、前記両方向に延伸された膜の多孔度が、50%以上である、膜。
【請求項13】
」請求項1乃至12のいずれか1項に記載の膜であり、前記両方向に延伸された膜の多孔度が、55%以上である、膜。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の膜であり、前記膜の絶縁破壊電圧が330V/μm以上である、膜。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の膜であり、前記膜が、ASTM D882標準により、長手方向弾性率が800MPa以上である、膜。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の膜であり、前記膜が、ASTM D882標準により、長手方向に横断する方向の弾性率が300MPa以上である、膜。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の膜であり、前記膜が、破断強度が50MPa以上である、膜。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の膜であり、前記混合物がさらに、ステアリン酸カルシウムを25から250mg/kg(混合物)含む、膜。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の膜であり、前記20μm以下の厚さの膜の横断方向収縮が120℃で8%未満である、膜。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の膜であり、150℃以上の温度で、前記膜はガーリー気孔率が5000秒を超える、膜。
【請求項21】
電気エネルギー貯蔵のために使用される装置のためのセパレータ膜を製造する方法であり、前記膜が多孔性であり、方向付けられており、前記膜が:
− ポリプロピレンホモポリマー、
− 少なくともプロピレン及びエチレンを含むモノマーのコポリマーを少なくとも10重量%、
− 少なくとも1つのベータ核化剤を含む混合物を含み、
前記コポリマーが、前記コポリマーの1重量%以上で10重量%以下のエチレンを含有し、前記コポリマーの少なくとも90重量%のプロピレンを含有し、第1のステップで、前記溶融された混合物を、回転する、前記溶融された混合物の温度未満の温度である冷間ロールを通過させてプライマリ膜を得、前記第1のステップの後第2のステップで、前記プライマリ膜はその長手方向移送方向に前記長手方向に延伸され、前記膜は前記長手方向を横断する方向に延伸され、前記方法が、前記第1のステップで、前記溶融された混合物が前記冷間ロールと30秒以上接触させることを含むことを特徴とする、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であり、前記第2のステップで、前記膜は第2の長手方向延伸入口ゾーンへ、第2の駆動ロールにより、前記移送長手方向での前記膜の駆動速度で通過し、
その後、前記膜は第3の長手方向延伸出口ゾーンへ、第3のロールで、前記膜を前記長手移送方向へ前記長手移送方向での前記第2の駆動ロールでの前記膜の駆動速度よりも大きな長手移送方向速度で移送され、
前記第2の長手延伸入口ゾーンでの前記第2のロールの少なくとも1つのロールの温度が45℃以上で100℃以下である、方法。
【請求項23】
請求項21又は22のいずれか1項に記載の方法であり、前記第1のステップで溶融される混合物が235℃から260℃の温度であり、前記冷間ロールが110℃以上で145℃以下の温度を持つ、方法。
【請求項24】
請求項21乃至23のいずれか1項に記載の方法であり、前記第2のステップで、前記膜が第2の長手方向延伸ゾーンに、第2の駆動ロールにより、前記長手移送方向で前記膜の駆動速度で通過し、
その後前記膜が、第3の長手方向延伸出口ゾーンへ、第3のロールで、前記長手移送方向へ前記第2のロール上の前記膜の駆動速度よりも大きい速度で通過させて前記膜を前記長手移送方向で延伸させ、
前記第2の長手方向延伸入口ゾーンと前記第3長手方向延伸出口ゾーンとの間での長手方向延伸による前記膜の前記横断方向での縮小率(NIR)が0.20以上である、方法。
【請求項25】
請求項21乃至24のいずれか1項に記載の方法であり、前記膜が前記冷間ロールと接触する第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面を持ち、前記第1のステップで、前記冷間ロールの温度よりも低い温度を持つエアナイフが、前記第2の表面上を通過する、方法。
【請求項26】
電解スーパーコンデンサであり、少なくとも2つの使用端子に接続され少なくとも2つの導電体を含み、請求1乃至20のいずれか1項に記載の少なくとも1つの多孔性セパレータ膜と前記膜を浸漬する電解質が前記2つの導電体間にある、電解スーパーコンデンサ。
【請求項27】
請求項26に記載の電解コンデンサであり、前記導電体が前記多孔性膜と巻き取られる形状である、電解コンデンサ。
【請求項28】
電気エネルギー貯蔵のための電池であり、少なくとも2つの使用端子に接続され少なくとも2つの導電体を含み、請求1乃至20のいずれか1項に記載の少なくとも1つの多孔性セパレータ膜と前記膜を浸漬する電解質が前記2つの導電体間にある、電池。
【請求項29】
請求項28に記載の電池であり、前記電気導電体が前記多孔性膜と巻き取られる形状である、電池。
【請求項30】
電解コンデンサであり、前記電解コンデンサは、アノードとかソードを含み、それらの間に、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の少なくとも1つ多孔性セパレータ膜及び前記膜を浸漬する電解質がある、電解コンデンサ。
【請求項31】
請求項30に記載の電解コンデンサであり、前記アノードとカソードが、前記少なくとも1つの多孔性膜と巻き取られる形状である、電解コンデンサ。
【請求項32】
請求項30又は31のいずれか1項に記載の電解コンデンサであり、カソードが、前記少なくとも1つの多孔性膜の1つの表面のみに金属堆積されて形成される、電解コンデンサ。
【請求項33】
請求項32に記載の電解コンデンサであり、前記アノード及びカソードが前記少なくとも1つの多孔性膜と巻き取られる形状であり、前記コンデンサが、少なくとも1組みの前記多孔性セパレータ膜を含み、それぞれが1つの面のみに金属堆積されて前記カソードを形成し、前記金属堆積は、お互いに対抗するようにされ、前記アノードが、金属堆積されていない前記多孔性膜の1つの表面に対抗する、電解コンデンサ。
【請求項34】
請求項32に記載の電解コンデンサであり、前記アノードとカソードが前記少なくとも1つの多孔性膜と巻取られる形状であり、前記コンデンサが少なくとも1組みの第1及び第2の前記多孔性セパレータ膜を含み、前記第1の膜は1つの面のみに金属堆積されてカソードを形成し、前記第1の膜の金属堆積が、金属堆積されていない第2の膜に対抗して位置され、前記アノードが、金属堆積されていない前記多孔性膜の1つの面に対抗している、電解コンデンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2013−515368(P2013−515368A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545300(P2012−545300)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070409
【国際公開番号】WO2011/076805
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512163299)
【氏名又は名称原語表記】BOLLORE
【住所又は居所原語表記】Odet Ergue−Gaberic F−29500 Ergue Gaberic,France
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070409
【国際公開番号】WO2011/076805
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512163299)
【氏名又は名称原語表記】BOLLORE
【住所又は居所原語表記】Odet Ergue−Gaberic F−29500 Ergue Gaberic,France
【Fターム(参考)】
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