説明

セフジニルの合成に有用な中間体及びこれを用いるセフジニルの製造方法

【課題】セフジニルの製造に有効に使用可能な新規な中間体化合物、及びこれを用いてセフジニルを効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、(a)一般式(4)の化合物を一般式(5)の活性化剤と反応させて、一般式(1)の化合物を製造し、(b)工程(a)で製造された一般式(1)の化合物を一般式(6)の化合物とカップリング反応させ、次いで塩基として、第2級または第3級アミンを添加して一般式(2)の化合物を製造し、そして(c)工程(b)で製造された一般式(2)の化合物を弱塩基の条件下で反応させることを特徴として、一般式(7)のセフジニルを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セフジニル((6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセチルアミノ]−8−オキソ−3−ビニル−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸)の新規な中間体として有用な下記一般式(1)及び(2)の化合物及びその製造方法に関する。
【0002】
【化1】

【0003】
【化2】

【0004】
式中の、RはC−C−アルキルカルボニルまたはテトラヒドロピラニルを表し、
はC−C−アルキルまたはフェニルを表し、
baseは第2級または第3級アミンを表す。
また、本発明は、本発明に係る新規な中間体を用いて、目的とするセフジニルを効率的に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
特許文献1及び2は、チオウレアを用いてセフェム環の7−位にチアゾール環を形成し、トリフルオロ酢酸を用いてカルボン酸保護基を除去してセフジニルを製造する方法を開示している(反応式1 参照)。
【0006】
【化3】

【0007】
しかし、前記反応式1の方法は、チアゾール環を形成する反応の収率が低く、反応物質としてチオウレアを使用するために精製に困難がある。また、トリフルオロ酢酸を用いて脱保護させる反応中に、不純物[E−異性体が基準(0.8%以下)以上に過量生成され、未知(unknown)の2種の不純物が生成される]が過量生成されるため、カラム及びレジンを用いるクロマトグラフィーをさらに実施しなければならない短所があり、大量生産に適していない。
【0008】
また、特許文献3は、下記一般式(3)の化合物を中間体として使用するセフジニルの製造方法を開示している。
【0009】
【化4】

【0010】
式中、Zはアセチルまたはテトラヒドロピラニルを表す。
しかし、一般式(3)の中間体化合物は、その製造過程が複雑で、且つ反応がよく完結されないだけでなく、生成された中間体化合物自体も極めて不安定で、保管中に分解され得る。また、一般式(3)の中間体からヒドロキシ基が保護されたセフジニルまでの製造収率が約50〜60%に過ぎないので、収率の側面においても一般式(3)の中間体を用いることは極めて不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4559334号
【特許文献2】米国特許第4935507号
【特許文献3】国際公開公報WO2005/121154号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明者らは、新しい中間体を用いることによって、目的とするセフジニルを高収率で製造できる方法を提供するために、鋭意研究を行った。
【課題を解決するための手段】
【0013】
その結果、一般式(1)及び(2)の新規な中間体を開発して、これらの中間体を用いればセフジニルを效果的に製造できることを見出し、本発明の完成に至った。
従って、本発明は、一般式(1)及び(2)の新規な中間体化合物及びこの化合物の製造方法を提供する。
また、本発明は、一般式(1)及び(2)の中間体化合物を用いることを特徴とする、セフジニルを製造する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、下記一般式(1)及び(2)の中間体化合物に関する。
【0015】
【化5】

【0016】
【化6】

【0017】
式中、RはC−C−アルキルカルボニルまたはテトラヒドロピラニルを表し、
はC−C−アルキルまたはフェニルを表し、
baseは第2級または第3級アミンを表す。
【0018】
前記一般式(1)の化合物において好ましい化合物は、Rがアセチルまたはテトラヒドロピラニルであり、Rがエチルまたはフェニルである化合物である。また、一般式(2)の化合物において好ましい化合物は、Rがアセチルまたはテトラヒドロピラニルであり、baseがジイソプロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン及びジシクロヘキシルアミンからなる群から選択される化合物である。特に好ましい一般式(1)の化合物は、Rがアセチルであり、Rがエチルである下記構造式の化合物である。
【0019】
【化7】

【0020】
特に好ましい一般式(2)の化合物は、Rがアセチルであり、baseがジイソプロピルアミンである下記構造式の化合物である。
【0021】
【化8】

【0022】
一般式(1)の化合物は下記一般式(4)の化合物を下記一般式(5)の活性化剤と反応させて製造することができる。
【0023】
【化9】

【0024】
【化10】

【0025】
式中、R及びRは前記と同義であり、
及びRはそれぞれ独立して、C−C−アルキルまたはC−C−シクロアルキルを表す。
【0026】
一般式(1)の化合物を製造するための前記方法は、具体的に、一般式(4)の化合物を一般的に活性化反応に使用される溶媒に溶解するか、または懸濁させて反応を進める。適した溶媒は、酢酸エチル、塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドであり、特に適した溶媒は、N,N−ジメチルアセトアミドである。一般式(4)の化合物に対して、一般式(5)の活性化剤化合物、例えば、ジエチルクロロチオホスフェートを1〜3当量の量で使用すると、反応が完結し、反応完結のための必須触媒であるDabcoを一般式(4)の化合物の重量に対して1%だけ添加しても、反応が完結する。活性化反応は、10℃以下の温度で行うのが好ましく、適した温度は0〜5℃である。活性化反応は1時間以内に完結する。
【0027】
出発物質として使用される一般式(4)及び(5)の化合物は商業的に購入可能であるか、または当業界に汎用化された方法で製造することができる。特に、一般式(4)の化合物はアルカリ水溶液中で、ヒドロキシイミノ基にR保護基を導入した後、第2級アミンを添加する方法によって簡単に製造できる。一般式(5)の化合物において好ましい化合物は、O,O−ジエチルホスホロクロリドチオエートまたはO,O−ジフェニルホスホロクロリドチオエートである。
【0028】
一般式(2)の化合物は、前記のようにして製造された一般式(1)の化合物を下記一般式(6)の化合物とカップリング反応させ、次いで塩基として、第2級または第3級アミンを添加して製造できる。
【0029】
【化11】

【0030】
一般式(2)の化合物を製造するための前記方法は、具体的に、一般式(6)の化合物を溶解することができる溶媒を用いて反応を進める。一般的に、炭素数1〜6のアルコールを用いて塩基を添加すれば、一般式(6)の化合物が溶解する。好ましい溶媒はメタノールであり、塩基としては無機塩基または有機塩基が使用可能であるが、適した塩基は、トリエチルアミンまたはジイソプロピルアミンである。一般式(6)の化合物に対して、一般式(1)の化合物を1〜2当量添加しないと、反応が完結されず、過量添加された一般式(1)の化合物は後処理工程で除去可能である。反応後、塩基塩状態の化合物を得るための第2級アミンまたは第3級アミンの添加は、一般的に10℃以下の温度で行うのがよく、0〜5℃の温度で行うのがさらに好ましい。反応時間は、一般式(6)の化合物が完全に消耗されるように長くするのがよく、好ましい反応時間は3〜4時間である。
【0031】
カップリング反応後に添加する塩基として、一般式(2)の化合物に関して説明したものを使用することが好ましい。好ましくは、第2級または第3級アミン塩基を一般式(6)の化合物に対して、0.8〜1.2当量の量で使用する。
【0032】
最後に、前記のようにして製造された一般式(2)の化合物を弱塩基の条件下で反応させると、下記一般式(7)の目的とするセフジニルが得られる。
【0033】
【化12】

【0034】
この時、弱塩基としては塩化アンモニウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム及び水酸化カルシウムからなる群から選択されたものが用いられ、好ましくは、塩化アンモニウムが用いられる。ヒドロキシ保護基の除去において、酸を用いることなく、弱塩基のような温和な条件を使用することができることは、本願発明に係る方法の追加的な利点であり、これにより、産業的適用性が増大する。
【0035】
一般式(7)のセフジニルを製造するための前記方法では、一般式(2)の化合物を溶解できる溶媒である蒸留水と炭素数1〜3のアルコールとの混合溶媒が使用され、好ましくは蒸留水とメタノールとの混合溶媒が使用される。蒸留水は一般式(2)の化合物だけでなく、塩化アンモニウムも溶解することができるため好ましい。反応温度は10℃以下が適切であり、特に0〜5℃が好ましい。反応は1時間以内に完了する。
【0036】
一般式(4)の化合物から出発して一般式(1)及び(2)の中間体を経て目的とする一般式(7)のセフジニルを製造する過程は下記反応式の通りである。
【0037】
【化13】

【0038】
式中、R、R、R、R及びbaseは前記と同義である。
従って、本発明は、究極的に、
(a)一般式(4)の化合物を一般式(5)の活性化剤と反応させて、一般式(1)の化合物を製造し、
(b)工程(a)で製造された一般式(1)の化合物を一般式(6)の化合物とカップリング反応させ、次いで塩基として、第2級または第3級アミンを添加して一般式(2)の化合物を製造し、
(c)工程(b)で製造された一般式(2)の化合物を弱塩基の条件下で反応させることを特徴とする、一般式(7)のセフジニルの製造方法を提供する。
【0039】
以下、本発明を下記実施例で具体的に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明に対する理解を助けるためだけであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【実施例】
【0040】
実施例1
(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノ酢酸ジイソプロピルアンモニウム塩の製造
蒸留水(877mL)に、(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノ酢酸(175.3g)を懸濁させた。5N−NaOH水溶液(228mL)を反応容器に加え、懸濁液を完全に溶解した。20〜25℃で、5N−NaOH水溶液を用いてpH7.0〜7.5程度を保持しながら、無水酢酸(239g)をゆっくり加えた。20〜25℃で1時間撹拌した後、5〜10℃に冷却した。c−HClを用いてpH2.8〜3.2に調節した。生成した結晶をろ過し、冷たい蒸留水(789mL)で洗浄した。ろ過した結晶をジメチルアセトアミド(DMAc、1753mL)に完全に溶解した。ジイソプロピルアミン(175mL)を加えた。10分撹拌後、アセトン(1753mL)を加え、10〜15℃で1時間撹拌した。結晶をろ過した後、酢酸エチル(877mL)で洗浄した。25〜30℃で真空乾燥して表題化合物(232.1g、収率75.0%)を得た。
H2O:0.36%
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6):δ(ppm)1.11(12H,d,J=6.36Hz),1.85(3H,s),3.13(2H,s),6.81(1H,s)
【0041】
実施例2
(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノ酢酸−(O,O−ジエチルホスホロチオ酸)無水物の製造
反応容器に、ジメチルアセトアミド(DMAc、2321mL)を加え、0〜5℃に冷却した。ここに、(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノ酢酸ジイソプロピルアンモニウム塩(232.1g)を加えて懸濁させ、Dabco(2.3g)を加えた。ジエチルクロロチオホスフェート(159g)を30分に亘ってゆっくり加えた。0〜5℃で1時間攪拌した。蒸留水(2321.0mL)と酢酸エチル(2321mL)を加えて層分離し、有機層を分離して水層を廃棄した。 有機層を5%−NaCl水溶液(2321mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。減圧濃縮中に結晶が生成したら、ジイソプロピルアルコール(232mL)を加え、n−ヘキサン(1393mL)をゆっくり加えた。添加完了後、15〜20℃で1時間撹拌した。結晶をろ過し、n−ヘキサン(464mL)で洗浄した。25〜30℃で真空乾燥して表題化合物(214.33g、収率80.0%)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3):δ(ppm)1.38(6H,t,J=6.33Hz),2.21(3H,s),4.33(4H,m),6.95(1H,s),7.40(2H,br)
【0042】
実施例2−1
(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノ酢酸−(O,O−ジフェニルホスホロチオ酸)無水物の製造
反応容器に、ジメチルアセトアミド(DMAc、1000mL)を加え、0〜5℃に冷却した。ここに、(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノ酢酸ジイソプロピルアンモニウム塩(100.0g)を加えて懸濁させ、Dabco(1.0g)を加えた。ジフェニルクロロチオホスフェート(103.4g)を30分に亘ってゆっくり加えた。0〜5℃で1時間撹拌した。蒸留水(1000mL)と酢酸エチル(1000mL)を加えて層分離し、有機層を分離して水層を廃棄した。有機層を5%−NaCl水溶液(1000mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。減圧濃縮中に結晶が生成したら、ジイソプロピルアルコール(100mL)を加え、n−ヘキサン(600mL)をゆっくり添加した。添加完了後、15〜20℃で1時間撹拌した。結晶をろ過し、n−ヘキサン(200mL)で洗浄した。25〜30℃で真空乾燥して表題化合物(102.60g、収率72.0%)を得た。
【0043】
実施例3
(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノアセチルアミノ]−8−オキソ−3−ビニル−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸ジイソプロピルアンモニウム塩の製造
反応容器に、メタノール(1356mL)を加え、0〜5℃に冷却した。ここに、(6R,7R)−7−アミノ−8−オキソ−3−ビニル−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸(79.5g)を加えた。トリエチルアミン(71g)を加え、反応物を完全に溶解した。(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノ酢酸−(O,O−ジエチルホスホロチオ酸)無水物(214.3g)をゆっくり添加し、0〜5℃で3時間撹拌した。反応が終結した後、酢酸エチル(795mL)と蒸留水(795mL)を加えて水層を分離し、有機層を廃棄した。酢酸エチル(397mL)を分離した水層に加え、撹拌した後、層分離して有機層を廃棄した。水層に酢酸エチル(760mL)を加え、6N−HClを用いてpHを2.9〜3.1に調節した。撹拌後、層分離して有機層を分離し、水層を廃棄した。MgSO(20g)を加え、10分撹拌した後、ろ過した。0〜5℃でジイソプロピルアミン(DIPA、33.8g)を加えた。結晶生成後、4時間撹拌した。結晶をろ過し、酢酸エチル(304mL)で洗浄した。25〜30℃で真空乾燥して表題化合物(151.3g、収率80.0%)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6):δ(ppm)1.22(12H,s),2.15(3H,s),3.27(2H,m),3.51(2H,dd,J1=42.03Hz,J2=17.01Hz),4.96(1H,d,J=11.52Hz),5.10(1H,d,J=4.86Hz),5.18(1H,d,J=17.76Hz),7.00(1H,dd,J1=7.95Hz,J2=4.83Hz),7.07(1H,s),7.36(2H,s),9.04(2H,br),9.84(1H,d,J=8.01Hz)
【0044】
実施例3−1
(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノアセチルアミノ]−8−オキソ−3−ビニル−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸ピリジン塩の製造
反応容器に、メタノール(850mL)を加え、0〜5℃に冷却した。ここに、(6R,7R)−7−アミノ−8−オキソ−3−ビニル−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸(50.0g)を加えた。トリエチルアミン(44.7g)を加え、反応物を完全に溶解した。(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノ酢酸−(O,O−ジエチルホスホロチオ酸)無水物(134.85g)をゆっくり加え、0〜5℃で3時間撹拌した。反応が終結した後、酢酸エチル(500mL)と蒸留水(500mL)を加えて水層を分離し、有機層を廃棄した。 酢酸エチル(250mL)を分離した水層に加え、撹拌した後、層分離して有機層を廃棄した。水層に酢酸エチル(480mL)を加え、6N−HClを用いてpHを2.9〜3.1に調節した。撹拌後、層分離して有機層を分離し、水層を廃棄した。MgSO(14g)を加え、10分撹拌した後、ろ過した。0〜5℃でピリジン(16.6g)を加えた。結晶生成後、4時間撹拌した。結晶をろ過し、酢酸エチル(200mL)で洗浄した。25〜30℃で真空乾燥して表題化合物(69.6g、収率61.0%)を得た。
【0045】
実施例3−2
(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノアセチルアミノ]−8−オキソ−3−ビニル−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸トリブチルアンモニウム塩の製造
反応容器に、メタノール(850mL)を加え、0〜5℃に冷却した。ここに、(6R,7R)−7−アミノ−8−オキソ−3−ビニル−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸(50.0g)を加えた。トリエチルアミン(44.7g)を加え、反応物を完全に溶解した。(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノ酢酸−(O,O−ジエチルホスホロチオ酸)無水物(134.85g)をゆっくり加え、0〜5℃で3時間撹拌した。反応が終結した後、酢酸エチル(500mL)と蒸留水(500mL)を加えて水層を分離し、有機層を廃棄した。酢酸エチル(250mL)を分離した水層に加え、撹拌した後、層分離して有機層を廃棄した。水層に酢酸エチル(480mL)を加え、6N−HClを用いてpHを2.9〜3.1に調節した。撹拌後、層分離して有機層を分離し、水層を廃棄した。MgSO(14g)を加え、10分撹拌した後、ろ過した。0〜5℃でトリブチルアミン(39.11g)を加えた。結晶生成後、4時間撹拌した。結晶をろ過し、酢酸エチル(200mL)で洗浄した。25〜30℃で真空乾燥して表題化合物(100.47g、収率73.0%)を得た。
【0046】
実施例3−3
(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノアセチルアミノ]−8−オキソ−3−ビニル−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸ジエチルアンモニウム塩の製造
反応容器に、メタノール(850mL)を加え、0〜5℃に冷却した。ここに、(6R,7R)−7−アミノ−8−オキソ−3−ビニル−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸(50.0g)を加えた。トリエチルアミン(44.7g)を加え、反応物を完全に溶解した。ここに、(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノ酢酸−(O,O−ジエチルホスホロチ酸)無水物(134.85g)をゆっくり加え、0〜5℃で3時間撹拌した。反応が終結した後、酢酸エチル(500mL)と蒸留水(500mL)を加えて水層を分離し、有機層を廃棄した。酢酸エチル(250mL)を分離した水層に加え、撹拌した後、層分離して有機層を廃棄した。水層に酢酸エチル(480mL)を加え、6N−HClを用いてpHを2.9〜3.1に調節した。撹拌後、層分離して有機層を分離し、水層を廃棄した。MgSO(14g)を加え、10分撹拌した後、ろ過した。0〜5℃でジエチルアミン(15.35g)を加えた。結晶生成後、4時間撹拌した。結晶をろ過し、酢酸エチル(200mL)で洗浄した。25〜30℃で真空乾燥して表題化合物(80.11g、収率71.0%)を得た。
【0047】
実施例4
(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセチルアミノ]−8−オキソ−3−ビニル−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸の製造
反応容器に、蒸留水(756.80mL)とメタノール(756.80mL)を加え、0〜5℃に冷却した。ここに、(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メチルカルボニルオキシイミノアセチルアミノ]−8−オキソ−3−ビニル−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸ジイソプロピルアンモニウム塩(151.3g)を加えて溶解した。NHCl(78.01g)を加え、0〜5℃で1時間撹拌した。3N−HClを用いてpHを2.5〜3.0)に調節した。生成した結晶をろ過した後、 結晶を0〜5℃の蒸留水(1,164mL)で洗浄した。28〜32℃で真空乾燥して表題化合物(98g、収率88.0%)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6):δ(ppm)3.81(2H,dd,J1=85.68HzJ2=17.7Hz),5.18(1H,d,J=7.44Hz),5.31(1H,d,J=11.43Hz),5.58(1H,d,J=17.46Hz),5.78(1H,dd,J1=8.13Hz,J2=2.4Hz),6.66(1H,s),6.90(1H,dd,J1=17.52Hz,J2=11.10Hz),7.14(2H,s),9.49(1H,d,J=8.13Hz),11.32(1H,s)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)の化合物:
【化14】

(式中の、RはC−C−アルキルカルボニルまたはテトラヒドロピラニルを表し、
はC−C−アルキルまたはフェニルを表す)。
【請求項2】
がアセチルまたはテトラヒドロピラニルであり、Rがエチルまたはフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下記構造式を有する請求項1に記載の化合物。
【化15】

【請求項4】
下記一般式(2)の化合物:
【化16】

(式中の、RはC−C−アルキルカルボニルまたはテトラヒドロピラニルを表し、
baseは第2級または第3級アミンを表す)。
【請求項5】
がアセチルまたはテトラヒドロピラニルであり、baseがジイソプロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン及びジシクロヘキシルアミンからなる群から選択されるものである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
下記構造式を有する請求項4に記載の化合物。
【化17】

【請求項7】
下記一般式(4)の化合物を、下記一般式(5)の活性化剤と反応させることを特徴とする、請求項1に記載の一般式(1)の化合物の製造方法:
【化18】

【化19】

(式中の、R及びRは請求項1の定義と同義であり、
及びRは、それぞれ独立して、C−C−アルキルまたはC−C−シクロアルキルを表す)。
【請求項8】
一般式(5)の活性化剤が、O,O−ジエチルホスホロクロリドチオエートまたはO,O−ジフェニルホスホロクロリドチオエートである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の一般式(1)の化合物を下記一般式(6)の化合物とカップリング反応させ、次いで塩基として、第2級または第3級アミンを添加することを特徴とする、請求項4に記載の一般式(2)の化合物の製造方法:
【化20】

【請求項10】
第2級または第3級アミンを一般式(6)の化合物に対して、0.8〜1.2当量の量で使用する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(a)下記一般式(4)の化合物を下記一般式(5)の活性化剤と反応させて、請求項1に記載の一般式(1)の化合物を製造し、
(b)工程(a)で製造された一般式(1)の化合物を下記一般式(6)の化合物とカップリング反応させ、次いで塩基として、第2級または第3級アミンを添加して請求項4に記載の一般式(2)の化合物を製造し、
(c)工程(b)で製造された一般式(2)の化合物を弱塩基の条件下で反応させることを特徴とする、下記一般式(7)のセフジニルの製造方法:
【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

(式中の、R、R、R及びRは、それぞれ、請求項7の定義と同義である)。


【公開番号】特開2009−249380(P2009−249380A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88796(P2009−88796)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(500409840)ダエウン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド (13)
【出願人】(509092960)ダエウォン バイオ インク. (3)
【Fターム(参考)】