説明

セボフルランの製造方法

(a)式(I)または(II):ROOC−CH(OCHX)−COOR(I)またはRHNOC−CH(OCHX)−CONHR(II)(式中、Xは、OHであるかまたは求核置換によって置換することができる脱離基であり、R、R、R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)の置換マロン酸誘導体を製造する工程、(b)前記マロン酸誘導体を、セボフルランCF−CH(OCHF)−CFの製造用の中間体としてさらに反応させる工程を含むセボフルランCF−CH(OCHF)−CFの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その出願の全体内容があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される、2009年8月10日出願の欧州特許第09167529.8号明細書に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、セボフルラン(Sevoflurane)、CF−CH(OCHF)−CFの製造方法に関する。それはまた、ある種の置換マロン酸誘導体化合物に、前記置換マロン酸誘導体化合物の合成方法に、および異なる反応における、特にセボフルランの合成における合成中間体としての前記置換マロン酸誘導体化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
セボフルランは重要な揮発性麻酔薬であり、特に外来手術中の患者への投与に好適である。セボフルランは患者を麻酔から速く回復させることが知られている。この麻酔薬の追加の利点は、刺激性ではなく、他の吸入剤で起こりうる呼吸停止または咽頭痙攣なしに速いおよび円滑な誘導を可能にするので、誘導剤(induction agent)として使用できることである。円滑で異常を引き起こさない誘導は、静脈内誘導剤の使用が数々の問題を発生させる可能性があり多くの場合禁忌である小児麻酔にとってとりわけ有益である。
【0004】
セボフルランの商業的製造方法の多くは、出発原料として、化学中間体CF−CH(OH)−CF(HFIP)を使用している。これらの方法のほとんどにおいて、未反応HFIPが生成物混合物中に残っている可能性がある。HFIPが粗セボフルラン生成物から除去することが困難であることは当該技術分野において知られている。
【0005】
総製造コストは主として、高価であるHFIPのための原材料コストに基づく。
【0006】
HFIPを使用することの不利点を考慮して、HFIPのより効率的な使用を可能にする廃棄物流れからのHFIPの回収方法が(特許文献1)に記載されている。(特許文献2)は、HFIP、ホルムアルデヒドおよびフッ化水素(HF)を反応させることによって製造された粗セボフルランの精製方法を開示している。
【0007】
セボフルラン合成のその他のより複雑な方法は、(特許文献3)および(特許文献4)に記載されており、これらの特許において前記方法はこの困難なセボフルラン/HFPI分離を回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2004/065340号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2009/085247号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,969,193号明細書
【特許文献4】米国特許第6,100,434号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特にHFIPが化学中間体として使用される公知の方法と比較して改善された収率、高い効率およびより低い製造コストを可能にするセボフルラン、CF−CH(OCHF)−CFの製造方法が見いだされた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はそれ故に、式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、OHであるかまたは求核置換によって置換することができ、好ましくはハロゲンもしくはOTosおよびOTMSなどの酸素含有官能基から選択される脱離基である。
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体のフッ素化を含む、セボフルラン、CF−CH(OCHF)−CFの製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の目的のために、用語「アリール基」は、フェニルおよびナフチル、ならびに少なくとも1つのハロゲン原子で置換されたフェニルおよびナフチルなどの芳香環基を意味する。
【0012】
本発明の目的のために、用語「アラルキル基」は、トリル、ビフェニリルなどのアルキル基で置換された芳香環基を意味する。
【0013】
意外にも、本発明による方法は、セボフルランの精製を簡単にすることができ、原材料の損失および副生物の廃棄処分の必要性を低減することができ、そして生産時間を短縮することができることを可能にする。
【0014】
好ましくは、本発明による方法において、R、R、RおよびRは互いに同一でも異なっていてもよく、多くの場合、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている、C1〜C4アルキル基、アリール基、たとえば、フェニルから独立して選択される。より好ましくは、R、R、RおよびRは互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立してH、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている、線状もしくは分岐のC1〜C4アルキル基であり、特に好ましくはR、R、RおよびRは、互いに独立してH、それぞれが少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されているメチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピル、非常に好ましくはH、それぞれが少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されているメチルまたはエチル基である。最も好ましくは、R、RはHである。
【0015】
Xは好ましくは臭素、塩素、ヨウ素、OH、OTosまたはOTMSから選択され;より好ましくはXは塩素またはOHであり、最も好ましくはXは塩素またはフッ素である。
【0016】
好ましい態様においては、R、RはHであり、XはOHである。
【0017】
特に好ましい態様においては、R、RはHであり、Xは塩素またはフッ素であり、式(I)の化合物は、HOOC−CH(OCHCl)−COOHおよびHOOC−CH(OCHF)−COOHである。
【0018】
別の特に好ましい態様においては、RおよびRはエチル基であり、Xは塩素またはフッ素であり、式(I)の化合物は、EtOOC−CH(OCHCl)−COOEtおよびEtOOC−CH(OCHF)−COOEtである。
【0019】
一般に、反応は液相で行われる。
【0020】
本発明による方法においては、フッ素化は一般にフッ素化剤で実施される。前記フッ素化剤は好ましくは、ハロゲン、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびその他の酸素含有官能基をフッ素化すること、特に炭素−酸素官能基を炭素−フッ素基で置換することを可能にする。前記フッ素化剤の典型的な例は、たとえばSF(四フッ化硫黄);ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST)、ジメチルアミノ硫黄トリフルオリド(DMAST)およびビス(2−メトキシエチル)アミノ硫黄トリフルオリド(Deoxofluor)である。
【0021】
SFがフッ素化剤として最も好ましい。SFの製造は、英国特許出願公開第1374054号明細書に記載されている手順に従って実現することができる。
【0022】
一実施形態によれば、SFでのフッ素化は無水HFの存在下に実施される。HFは多くの場合、SFの1モル当たり、約1〜約1000モル、好ましくは約1〜約500モルの量で使用される。
【0023】
本発明による方法において、フッ素化は溶媒の存在下に実施することができる。使用されるべき溶媒はまた、たとえば、ベンゼン、トルエンもしくはキシレンなどの芳香族炭化水素;ペンタンもしくはヘキサンなどの脂肪族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、二塩化エチレン、ハイドロフルオロカーボン、たとえば1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(Solkane(登録商標)365mfc)もしくはパーフルオロカーボン、たとえばパーフルオロシクロヘキサンなどのハロゲン化炭化水素;またはジエチルエーテル、ジブチルエーテルもしくはテトラヒドロフランなどのエーテルであってもよい。それらの中で、ハロゲン化炭化水素が好ましい。塩化メチレンが最も好ましい。これらの溶媒は、単独でまたは混合物として組み合わせて使用されてもよい。適切な場合、溶媒は、反応媒体の総重量に対して50〜99重量%、好ましくは60〜99重量%、より好ましくは75〜99重量%の溶媒の量で通常使用される。
【0024】
反応混合物が反応条件下に液体である場合、溶媒は必要とされない。必要ならば、出発化合物または反応生成物を溶媒として使用することができる。溶媒としてのセボフルランの使用が特に好ましい。好ましくは、セボフルランが溶媒として使用される場合、それは初めから反応混合物中に存在する。
【0025】
圧力および温度は、反応混合物が液相に留まるように選択される。
【0026】
本発明による方法は一般に、フッ素化を30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上の温度で実施する工程を含む。それは一般に、90℃以下の温度で、好ましくは80℃以下の温度で、より好ましくは70℃以下の温度で実施される。50〜70℃の範囲の温度が最も好ましい。
【0027】
本発明による方法は一般に、フッ素化を圧力下に実施する工程を含む。フッ素化の圧力は有利には、約5バール(絶対)以上、好ましくは約10バール(絶対)〜約25バール(絶対)以下である。
【0028】
化学量論的に、1つのC(O)基のCF基への変換は、1モルのSFを消費する。C−ORまたはC−OR基のC−F基への変換は、半分子のSFを消費し、OCHF基を形成するためのOCHX基の変換と同様である。それ故に、本発明による方法においては、置換マロン酸誘導体対SFのモル比の範囲は好ましくは1:3〜1:5、特に好ましくは1:3.5〜1:4.5である。
【0029】
必要ならば、フッ素化は、2工程または3工程でさえ実施することができる。第1工程において、あらゆるヒドロキシル基が変換される。第2工程において、その他の基、たとえばカルボニル基が変換される。第1工程は多くの場合、より低い温度範囲で、たとえば−80℃〜0℃で行われる。第2工程は好ましくは、上に示された温度で行われる。
【0030】
本発明はまた、式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、Xは、OHであるかまたは求核置換によって置換することができる脱離基である)
の置換マロン酸誘導体の製造に関する。製造は主に、2つに代替手段で行うことができ:一実施形態によれば、合成はO−求核試薬で行われ、別の実施形態によれば、合成はCH−求電子試薬で行われる。
【0031】
このように、一実施形態によれば、本発明は、式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、OHであるかまたは求核置換によって置換することができる脱離基である。前記脱離基は好ましくは、ハロゲンもしくはOTosおよびOTMSなどの酸素含有官能基から選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体の製造方法であって、
式(III)または(IV):
OOC−CH(Y)−COOR (III)
HNOC−CH(Y)−CONHR (IV)
(式中、
− Yは、求核置換によって置換することができる脱離基である。Yは好ましくは、ハロゲンもしくはOTosおよびOTMSなどの酸素含有官能基から選択され、
− R、R、RおよびRは上に定義された通りである)
のマロン酸誘導体を
O−求核試薬と反応させることによる
製造方法に関する。
【0032】
本発明によるセボフルランの製造方法について上に記載された定義および好ましさが等しく、前記置換マロン酸誘導体の製造方法に適用される。
【0033】
O−求核試薬の典型的な例は、ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド誘導体である。
【0034】
ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド誘導体は好ましいO−求核試薬である。
【0035】
本発明の目的のためには、用語「ホルムアルデヒド誘導体」は、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、水和ホルムアルデヒド、式(V):HO−CH−X(式中、Xは、求核置換によって置換することができる、好ましくはハロゲンもしくは酸素含有官能基から選択される脱離基である)のホルムアルデヒドのヘミアセタール構造体などの、重合、三量化または付加反応によってホルムアルデヒドから形成される部類の分子を意味する。前記ヘミアセタール化合物の典型的な例は、たとえばHO−CH−OTosおよびHO−CHOTMSである。
【0036】
一般に、パラホルムアルデヒドまたはトリオキサンが、たとえば熱的にまたは化学的に、分解されてモノマーのホルムアルデヒドを形成する。
【0037】
本発明による方法は一般に、O−求核試薬との反応を溶媒の存在下に実施する工程を含む。使用されるべき溶媒は、たとえば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、セボフルラン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサンなどの極性溶媒、塩化メチレン、クロロホルムまたは二塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素;またはジエチルエーテル、ジブチルエーテルもしくはテトラヒドロフランなどのエーテルであってもよい。それらの中で、極性溶媒が好ましい。ジメチルホルムアミド、スルホランまたはセボフルランがそれらの中で特に好ましい。これらの溶媒は、単独で、または混合物として組み合わせて使用されてもよい。適切な場合、溶媒は、反応媒体の総重量に対して50〜99重量%、好ましくは60〜99重量%、より好ましくは75〜99重量%の溶媒の量で通常使用される。
【0038】
必要ならば、O−求核試薬との反応は任意選択的に、塩基の存在下に実施されてもよい。塩基が使用される場合、それは無機塩基または有機塩基であってもよい。無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、ならびに炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素カリウムなどの塩基性アルカリ金属塩からなる群から選択されてもよい。好ましい塩基は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムである。最も好ましい塩基は水酸化ナトリウムである。有機塩基は、ピリジン、キノリンもしくはピコリンなどの窒素含有複素環化合物;ならびにトリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリンおよび4−ジメチルアミノピリジンなどの第三級塩基からなる群から選択されてもよい。それらの中で、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリンおよび4−ジメチルアミノピリジンが好ましい。それらの中で、ピリジンが特に好ましい。これらの塩基は、単独でまたは混合物として組み合わせて使用されてもよい。
【0039】
必要ならば、塩基は、水溶液または水および有機溶媒中の塩基の溶液の形態で適用することができる。有機溶媒は特に、上に記載されたような溶媒である。
【0040】
本発明の目的のために、用語「水溶液」は、水中の水可溶性化合物の溶液、たとえば塩水またはあらゆるその他の水性鉱物塩溶液を意味する。
【0041】
本発明による方法においては、塩基対O−求核試薬のモル比は、有利には0.5:1〜2:1、好ましくは0.7:1〜1.5:1、より好ましくは0.8:1〜1.2:1である。最も好ましくは、モル比は約1である。
【0042】
その他の実施形態によれば、本発明は、式(VI)または(VII):
OOC−CH(OCHOH)−COOR (VI)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (VII)
(式中、R、R、RおよびRは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
のヒドロキシル置換マロン酸誘導体の製造方法であって、式(VIII)または(IX):ROOC−CH(OH)−COOR(VIII)またはRHNOC−CH(OH)−CONHR(IX)(式中、R、R、RおよびRは上に定義された通りである)のヒドロキシルマロン酸誘導体をCH−求電子試薬と反応させることを含む、製造方法に関する。
【0043】
ホルムアルデヒドが最も好ましいCH−求電子試薬である。
【0044】
任意選択的に、式(VI)または(VII):ROOC−CH(OCHOH)−COOR(VI)またはRHNOC−CH(OCHOH)−CONHR(VII)のヒドロキシルマロン酸誘導体は、式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、Xは、上に記載されたような、特に脱離基である)
の置換マロン酸誘導体に変換することができる。この変換は、前記ヒドロキシル置換マロン酸誘導体とPCl、PCl、TosOH、MesOHまたはPy・HClのようなアミン・nHClとの反応によって実現することができる。
【0045】
最も好ましい実施形態によれば、本発明は、式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、求核置換によって置換することができる脱離基である。前記脱離基は好ましくは、ハロゲンもしくはOTosおよびOTMSなどの酸素含有官能基から選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体の製造方法であって、
式(VIII)または(IX):ROOC−CH(OH)−COOR(VIII)またはRHNOC−CH(OH)−CONHR(IX)(式中、R、R、RおよびRは上に定義された通りである)のヒドロキシルマロン酸誘導体を、脱離基変形剤(transfer agent)の存在下、CH−求電子試薬と反応させることを含む
製造方法に関する。
【0046】
本発明の目的のためには、用語「脱離基変形剤」は、それらの脱離基を別の化合物に変えることができる部類の化合物を意味する。脱離基変形剤の典型的な例は、たとえば、塩化オキサリル、三塩化リン、五塩化リンまたはオキシ塩化リンからなる群から選択される塩素化剤、塩化チオニルおよびフッ化チオニルなどのチオニル化合物;塩化スルフリルおよびフッ化スルフリルなどのスルフリル化合物;p−トルエンスルホニルクロリド(トシルクロリド)およびp−トルエンスルホニルフルオリド(トシルフルオリド)などのトシル化剤、またはメタンスルホニルクロリド(メシルクロリド)およびメタンスルホニルフルオリド(メシルフルオリド)などの、メシル化剤である。
【0047】
好ましい脱離基変形剤は、チオニルおよびスルフリル化合物である。最も好ましい脱離基変形剤はチオニル化合物である。好ましいチオニル化合物は塩化チオニルおよびフッ化チオニルである。
【0048】
この実施形態の特定の態様においては、式(VIII)または(IX):ROOC−CH(OH)−COOR(VIII)またはRHNOC−CH(OH)−CONHR(IX)(式中、R、R、RおよびRは上に定義された通りである)のヒドロキシルマロン酸誘導体を、脱離基変形剤の存在下、CH−求電子試薬と反応させることは、さらに強酸の存在下に実施されてもよい。この強酸は、発煙硫酸、発煙硝酸および特に塩化水素、フッ化水素などのハロゲン化水素からなる群からたとえば選択されてもよい。
【0049】
第1の具体的な実施形態においては、強酸は発煙硫酸である。
【0050】
第2の具体的な実施形態においては、強酸は塩化水素またはフッ化水素である。
【0051】
好ましい態様においては、R、RはHであり、Xは塩素またはフッ素であり、式(I)の化合物は、HOOC−CH(OCHCl)−COOHおよびHOOC−CH(OCHF)−COOHである。
【0052】
本発明はまた、
(a)上記のような本発明による方法に従って、式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、OHであるかまたは求核置換によって置換することができる脱離基である。前記脱離基は好ましくは、ハロゲンもしくはOTosおよびOTMSなどの酸素含有官能基から選択される。
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体を製造する工程と、
(b)前記マロン酸誘導体を、セボフルランCF−CH(OCHF)−CFの製造用の中間体として、上記のような、本発明による方法に従った反応条件下にさらに反応させる工程と
を含むセボフルランCF−CH(OCHF)−CFの製造方法に関する。
【0053】
本発明のこの方法の好ましい実施形態においては、セボフルランCF−CH(OCHF)−CFの製造は、
(a)上記のような本発明による方法の最も好ましい実施形態に従って、式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、求核置換によって置換することができる脱離基である。前記脱離基は、ハロゲン、特に塩素から選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体を製造する工程と、
(c)前記マロン酸誘導体を、セボフルランCF−CH(OCHF)−CFの製造用の中間体として、上記のような、本発明による方法に従った反応条件下にさらに反応させる工程と
を含む。
【0054】
特に好ましい態様においては、R、RはHであり、Xは塩素またはフッ素であり、式(I)の化合物は、HOOC−CH(OCHCl)−COOHおよびHOOC−CH(OCHF)−COOHである。
【0055】
別の特に好ましい態様においては、R、Rはエチル基であり、Xは塩素またはフッ素であり、式(I)の化合物は、EtOOC−CH(OCHCl)−COOEtおよびEtOOC−CH(OCHF)−COOEtである。
【0056】
中間体置換マロン酸誘導体の製造のための、およびセボフルランを形成するための前記中間体の反応のための本発明による方法ならびにその特定の実施形態は、回分式にかまたは連続的に実施することができる。
【0057】
本発明およびその特定の実施形態による前記方法は、あらゆる好適な反応器中で、たとえばオートクレーブ中で行うことができる。
【0058】
具体的な実施形態においては、本発明による方法は、公知の方法によって、例えば蒸留、沈澱および/または結晶化によって、既に本明細書において開示された方法のいずれかまたはそれらの組み合わせに従って得られる反応混合物からセボフルランを分離する工程をさらに含む。
【0059】
蒸留、特に分別蒸留が、反応混合物から、フッ化水素から、マロン酸誘導体およびその置換誘導体などの未反応反応剤ならびに未反応ヘミアセタール化合物から、SOF、アルコール化合物またはハロゲン化アルキル副生物などの副生物からセボフルランを分離するための分離技術として好ましい。典型的な例はたとえばEtOHまたはEtClである。これらの副生物は、HOまたはHClを脱離することができ、エチレンとして液体混合物から分離することができる。
【0060】
本発明はまた、式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、OHであるかまたは求核置換によって置換することができ、好ましくはハロゲンもしくはOTosおよびOTMSなどの酸素含有官能基から選択される脱離基である。
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体に関する。
【0061】
本発明による置換マロン酸誘導体の製造方法について上に記載された定義および好ましさがここで等しく適用される。
【0062】
好ましい置換マロン酸誘導体は、HOOC−CH(OCHCl)−COOHおよびHOOC−CH(OCHF)−COOHである。
【0063】
本発明はまた、式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、OHであるまたは求核置換によって置換することができ、好ましくはハロゲンもしくはOTosおよびOTMSなどの酸素含有官能基から選択される脱離基である。
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体の、
セボフルランの製造用の中間体としての使用に関する。好ましくは、HOOC−CH(OCHCl)−COOHまたはHOOC−CH(OCHF)−COOHが使用される。
【0064】
このように、本発明は、式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、R、R、RおよびRならびにXは、上に示された意味を有する)
の置換マロン酸誘導体が出発原料として使用されるセボフルランの製造方法を提供する。
【0065】
好ましくは、本発明による方法において、R、R2、、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、多くの場合、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されているC1〜C4アルキル基、アリール基、たとえば、フェニルから独立して選択される。より好ましくは、R、R2、、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、互いに独立してH、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている線状もしくは分岐のC1〜C4アルキル基であり、特に好ましくはR、R2、およびRは、互いに独立してH、それぞれ少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されているメチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピル、非常に好ましくはH、それぞれ少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されているメチルまたはエチル基である。最も好ましくは、R、RはHである。
【0066】
Xは好ましくは、臭素、塩素、ヨウ素、OH、OTosまたはOTMSから選択され;より好ましくはXは塩素またはOHである。
【0067】
好ましい態様においては、R、RはHであり、XはOHである。
【0068】
別の好ましい態様においては、R、RはHであり、Xは塩素またはフッ素であり、式(I)の化合物は、HOOC−CH(OCHCl)−COOHおよびHOOC−CH(OCHF)−COOHである。
【実施例】
【0069】
本明細書において以下の実施例は本発明を例示することを意図されるが、それを限定しない。
【0070】
実施例1:式(I):EtOOC−CH(OCHCl)−COOEtの化合物の一般的な製造手順
手順A:パラホルムアルデヒド(1.82g;1.2当量)および2−ヒドロキシマロン酸ジエチル(10g;1当量)の氷冷した懸濁液中へ、5.7ml(1.75当量)塩化チオニルおよびその後、3.6ml(1.6当量)濃硫酸を滴加した。3時間後に、反応混合物を氷に加え、NaHCOで中和した。抽出をジエチルエーテルで行い、生じた溶液をNaSOで乾燥させた。溶媒の除去後に、約8gの粗生成物が得られた。
【0071】
手順B:手順Aを繰り返したが、代わりに抽出を行うためにSolkane(登録商標)365mfcを使用した。匹敵する結果が得られた。
【0072】
【表1】

【0073】
実施例2:セボフルランの製造
実施例1で手順に従って得られた10.0g(0.045モル)EtOOC−CH(OCHCl)−COOEtを12.5g(0.08モル)Solkane(登録商標)365mfcに溶解させ、1.6g(0.08モル)HF、21.8g(0.202モル)のSFガスを、Rothオートクレーブ(高品位ステンレススチール1.4571)中の液体媒体へ導入する。温度は、SFを導入している間に23℃から28℃に上がる。オートクレーブを一夜100℃に加熱し、60バールの最終圧力に到達させる。冷却後にオートクレーブ内容物を展開し、氷水中へ注ぐ。有機相のGC分析はセボフルランの存在を示す。
【0074】
実施例3aおよび3b:セボフルランの製造
実施例2を繰り返すが、代わりにSolkane(登録商標)365mfcに溶解されたHOOC−CH(OCHOH)−COOH(実施例3a)またはHOOC−CH(OCHCl)−COOH(実施例3b)を含有する液体媒体を使用する。GC分析は実施例3aおよび3bの両方について生成物ガスがセボフルランを含有することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、OHであるか、または求核置換によって置換することができる、好ましくはハロゲンもしくは酸素含有官能基から選択される脱離基であり;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、または、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体のフッ素化を含むセボフルラン(CF−CH(OCHF)−CF)の製造方法。
【請求項2】
、RがHである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Xが塩素、フッ素またはOHである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Xが塩素またはフッ素であり、R、RがHである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
、RがHであり、XがOHである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
およびRがエチル基であり、Xが塩素またはフッ素である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フッ素化剤がSFである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
置換マロン酸誘導体対SFのモル比の範囲が1:3.5〜1:4.5である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記フッ素化が50〜70℃の範囲の温度で実施される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記フッ素化の圧力が5バール〜25バールである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、OHであるか、または求核置換によって置換することができる脱離基であり、前記脱離基は好ましくは、ハロゲンもしくは酸素含有官能基から選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体の製造方法であって、
式(III)または(IV):
OOC−CH(Y)−COOR (III)
HNOC−CH(Y)−CONHR (IV)
(式中、
− Yは、求核置換によって置換することができる脱離基であり、Yは好ましくは、ハロゲンもしくはOTosおよびOTMSなどの酸素含有官能基から選択され、
− R、R、RおよびRは上に定義された通りである)
のマロン酸誘導体を
O−求核試薬と反応させることによる
製造方法。
【請求項12】
前記O−求核試薬がホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応が塩基の存在下に実施される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
式(VI)または(VII):ROOC−CH(OCHOH)−COOR(VI)またはRHNOC−CH(OCHOH)−CONHR(VII)(式中、R、R、RおよびRは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)のヒドロキシル置換マロン酸誘導体の製造方法であって、式(VIII)または(IX):ROOC−CH(OH)−COOR(VIII)またはRHNOC−CH(OH)−CONHR(IX)(式中、R、R、RおよびRは上に定義された通りである)のヒドロキシルマロン酸誘導体をCH−求電子試薬と反応させることを含む製造方法。
【請求項15】
式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、求核置換によって置換することができる脱離基であり、前記脱離基は好ましくは、ハロゲンもしくはOTosおよびOTMSなどの酸素含有官能基から選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体の製造方法であって、式(VIII)または(IX):ROOC−CH(OH)−COOR(VIII)またはRHNOC−CH(OH)−CONHR(IX)(式中、R、R、RおよびRは上に定義された通りである)のヒドロキシルマロン酸誘導体を、脱離基変形剤の存在下、CH−求電子試薬と反応させることを含む製造方法。
【請求項16】
前記CH−求電子試薬がホルムアルデヒドである、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記脱離基変形剤がチオニル化合物、好ましくは塩化チオニルまたはフッ化チオニルである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
(a)請求項11〜14のいずれかに記載の方法に従って、式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、OHであるかまたは求核置換によって置換することができる脱離基であり、前記脱離基は好ましくは、ハロゲンもしくは酸素含有官能基から選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体を製造する工程と、
(b)前記マロン酸誘導体を、セボフルランCF−CH(OCHF)−CFの製造用の中間体として請求項1〜10のいずれかに記載の方法に従った反応条件下にさらに反応させる工程と
を含むセボフルランCF−CH(OCHF)−CFの製造方法。
【請求項19】
(a)請求項15〜17のいずれかに従って、式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、求核置換によって置換することができる脱離基であり、前記脱離基は、ハロゲン、特に塩素またはフッ素から選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体を製造する工程と、
(b)前記マロン酸誘導体を、セボフルランCF−CH(OCHF)−CFの製造用の中間体として請求項1〜10のいずれかに記載の方法に従った反応条件下にさらに反応させる工程と
を含むセボフルランCF−CH(OCHF)−CFの製造方法。
【請求項20】
式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、OHであるかまたは求核置換によって置換することができ、好ましくはハロゲンもしくは酸素含有官能基から選択される脱離基であり;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体。
【請求項21】
セボフルランの製造用の中間体としての
式(I)または(II):
OOC−CH(OCHX)−COOR (I)
HNOC−CH(OCHX)−CONHR (II)
(式中、
− Xは、OHであるかまたは求核置換によって置換することができ、好ましくはハロゲンもしくはOTosおよびOTMSなどの酸素含有官能基から選択される脱離基であり;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択され;
− R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、H、少なくとも1つのハロゲン原子で場合により置換されている1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基から独立して選択される)
の置換マロン酸誘導体の使用。

【公表番号】特表2013−501750(P2013−501750A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524225(P2012−524225)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061645
【国際公開番号】WO2011/018466
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(592165314)ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Fluor GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20,D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】