説明

セメントキルン抽気ガスの処理システム及び処理方法

【課題】セメントキルン抽気ガスに含まれるダイオキシン類等の有機汚染物質を効率的に除去する。
【解決手段】セメントキルン4の窯尻からプレヒータの最下段サイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より燃焼ガスの一部を抽気するプローブ5と、プローブ5で抽気した抽気ガスG1に含まれるダストを湿式集塵する湿式集塵機10と、湿式集塵機10で生成したスラリーSを固液分離する固液分離機17と、固液分離機17で分離したケークCから有機汚染物質を除去する第1の除去手段18と、固液分離機17のろ液Wから有機汚染物質を除去する第2の除去手段19とを備えるセメントキルン抽気ガスの処理システム1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントキルン抽気ガスの処理システム及び処理方法に関し、特に、セメントキルンの窯尻からプレヒータの最下段サイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より抽気した抽気ガスに含まれる有機汚染物質等を除去するための処理システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメント製造設備におけるプレヒータの閉塞等の問題を引き起こす原因となる塩素、硫黄、アルカリ等の中で、塩素が特に問題となることに着目し、セメントキルンの窯尻からプレヒータの最下段サイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より、燃焼ガスの一部を抽気して塩素を除去する塩素バイパスシステムが用いられている。
【0003】
この塩素バイパスシステムでは、例えば、特許文献1に記載のように、抽気した燃焼ガスを冷却して生成したダストの微粉側に塩素が偏在しているため、ダストを分級機によって粗粉と微粉とに分離し、粗粉をセメントキルン系に戻すとともに、分離された塩化カリウム等を含む微粉(塩素バイパスダスト)を回収している。
【0004】
上記のように、塩素バイパスシステムにおいては、抽気した燃焼ガスから塩素を含むダストを分離して回収するが、ダストを分離した後の抽気ガスには、ダイオキシン類(PCDD、PCDF、co−PCB)、ポリ塩化ビフェニル(PCBs)等の残留性有機汚染物質(POPs)や揮発性有機汚染物質(VOC)が含まれる場合もあり、それらについても適切に処理する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第97/21638号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
POPsやVOC等の有機汚染物質を除去する方法の1つとして、触媒を用いて分解処理する方法が知られており、塩素バイパスシステムにおいても、排気路上に触媒装置を設けることにより、塩素バイパス排気から有機汚染物質を除去することが考えられる。
【0007】
しかし、塩素バイパス排気中には硫黄酸化物(SOx)に由来する酸性ガスが多量に存在し、これらは触媒を被毒して触媒活性を低下させるため、単に触媒装置を排気路上に設置するのみでは実用化が困難である。また、今後、廃棄物のセメント原料化又は燃料化によるリサイクルが増加し続けると、塩素バイパス排気中のPOPs、VOC成分の含有量の増加が懸念されるため、有機汚染物質のより効率的な除去を求められることが予想される。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、セメントキルン抽気ガスに含まれる有機汚染物質を効率的に除去することが可能なセメントキルン抽気ガスの処理システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、セメントキルン抽気ガスに含まれるダストを湿式集塵機により湿式集塵した際に、抽気ガスに含まれる有機汚染物質の多くが湿式集塵機で生成されるスラリー側に偏在することを見出した。
【0010】
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、セメントキルン抽気ガスの処理システムであって、セメントキルンの窯尻からプレヒータの最下段サイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より燃焼ガスの一部を抽気する抽気手段と、該抽気手段で抽気した抽気ガスに含まれるダストを湿式集塵する湿式集塵機と、該湿式集塵機で生成したスラリーから有機汚染物質を除去する除去手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
ここで、有機汚染物質とは、ダイオキシン類(PCDD、PCDF、co−PCB)、ポリ塩化ビフェニル(PCBs)等の残留性有機汚染物質(POPs)や揮発性有機汚染物質(VOC)をいう。
【0012】
そして、本発明によれば、キルン排ガス流路より抽気した抽気ガスに含まれるダストを湿式集塵した後、湿式集塵機から排出されるスラリーを対象にして有機汚染物質の除去処理を行うため、抽気ガス中の有機汚染物質を効率よく除去することが可能になる。
【0013】
尚、抽気ガス中の有機汚染物質の多くが湿式集塵で生成されるスラリーに偏在する理由は、必ずしも明らかではないが、湿式集塵機において、抽気ガスを水分と接触させた際に抽気ガスの温度が低下し、その影響で、抽気ガス中の有機汚染物質が固体状となって気体(ガス)から分離し、結果的にスラリー中に取り込まれるためではないかと推測される。
【0014】
前記セメントキルン抽気ガスの処理システムにおいて、前記スラリーを固液分離する固液分離機を備え、前記除去手段が、該固液分離機で分離したケークから有機汚染物質を除去することができる。これによれば、湿式集塵機のスラリーに含まれる有機汚染物質を効率的に除去することができる。
【0015】
前記セメントキルン抽気ガスの処理システムにおいて、前記固液分離機のろ液から有機汚染物質を除去する第2の除去手段を備えることができる。これによれば、ろ液に残留する有機汚染物質を除去することができ、一層の安全対策を図ることができる。
【0016】
前記セメントキルン抽気ガスの処理システムにおいて、前記スラリーに含まれる有機汚染物質を浮上させ、該スラリーから有機汚染物質を分離する浮選機を備え、前記除去手段が、前記浮選機のフロスから有機汚染物質を除去することができる。これによれば、湿式集塵機のスラリーに含まれる有機汚染物質を効率的に除去することができる。
【0017】
前記セメントキルン抽気ガスの処理システムにおいて、前記湿式集塵機が、該湿式集塵機の排ガスの温度が30℃以上、100℃未満となるように前記抽気ガスを冷却することができる。排ガスの温度が30℃未満の場合には、凝縮水が増加し、その結果、後工程に持ち出される水が増加するとともに、後工程のダクト、ファン等の装置類が腐食する虞がある。さらに、本システムに必要な新規水量の増大を招くことにもなる。一方、排ガスの温度が100℃以上の場合には、有機汚染物質を適切に捕集することができない虞がある。
【0018】
前記セメントキルン抽気ガスの処理システムにおいて、前記除去手段が、低温還元熱分解法、酸化雰囲気低温加熱法、化学分解法又は溶媒抽出法により、前記有機汚染物質を除去することができる。
【0019】
また、本発明は、セメントキルンの窯尻からプレヒータの最下段サイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より燃焼ガスの一部を抽気し、該抽気された抽気ガスに含まれるダストを湿式集塵し、該湿式集塵で生成したスラリーから有機汚染物質を除去することを特徴とする。本発明によれば、前記発明と同様に、抽気ガスに含まれる有機汚染物質を効率よく除去することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、セメントキルン抽気ガスに含まれる有機汚染物質を効率的に除去することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にかかるセメントキルン抽気ガスの処理システムの第1の実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明にかかるセメントキルン抽気ガスの処理システムの第2の実施形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明にかかるセメントキルン抽気ガスの処理システムの第1の実施形態を示し、この処理システム1は、大別して、ガス抽気部2と、ガス処理部3とで構成される。
【0024】
ガス抽気部2は、セメントキルン4の窯尻からプレヒータの最下段サイクロン(不図示)に至るまでのキルン排ガス流路より、燃焼ガスの一部を抽気するための設備である。このガス抽気部2は、燃焼ガスを抽気するプローブ5と、プローブ5内に冷風を供給して抽気ガスG1を急冷する冷却ファン6と、抽気ガスG1に含まれるダストの粗粉D1を分離する分級機としてのサイクロン7等から構成される。
【0025】
ガス処理部3は、サイクロン7の排ガスG2に含まれる微粉D2を湿式集塵する湿式集塵機10と、湿式集塵機10の排ガスG3を誘引する排気ファン16と、湿式集塵機10で生成されたスラリーSを固液分離する固液分離機17と、固液分離機17で分離したケークCから有機汚染物質を除去する第1の除去手段18と、固液分離機17のろ液Wから有機汚染物質を除去する第2の除去手段19とを備える。
【0026】
湿式集塵機10は、排ガスG2に含まれる水溶性成分及びダストを捕集するとともに、ダイオキシン類(PCDD、PCDF、co−PCB)、ポリ塩化ビフェニル(PCBs)等の残留性有機汚染物質(POPs)や揮発性有機汚染物質(VOC)等の有機汚染物質を捕集するために備えられる。
【0027】
この湿式集塵機10は、ミキシングスクラバー11、循環液槽12及び洗浄塔13から構成され、ミキシングスクラバー11と循環液槽12との間には、スラリーSを循環させるためのポンプ12aが設けられる。また、スラリー循環路12bには、消石灰を補う目的で、消石灰スラリーを供給する消石灰スラリー貯槽14とポンプ14aが接続される。さらに、循環液槽12には、消石灰が過剰になった場合に備え、硫酸を供給して循環スラリーSのpH値を4〜8に調整する硫酸貯槽15及びポンプ15aが備えられる。
【0028】
固液分離機17は、湿式集塵機10から排出されるスラリーSから固相分(ケークC)を分離することで、スラリーS中の有機汚染物質を取り出すために備えられる。
【0029】
第1の除去手段18は、固液分離機17で分離したケークCに含まれる有機汚染物質を除去するために備えられる。ケークC中の有機汚染物質を除去する方法としては、低温還元熱分解法、酸化雰囲気低温加熱法、化学分解法及び溶媒抽出法等の各種処理方法を用いることができる。
【0030】
第2の除去手段19は、固液分離機17のろ液Wに残留する有機汚染物質を除去するために備えられる。ろ液W中の有機汚染物質を除去する方法としては、上記の低温還元熱分解法、酸化雰囲気低温加熱法、化学分解法及び溶媒抽出法の他、促進酸化処理法(脱臭、COD処理)、吸着材を用いた吸着除去及び触媒による分解処理を用いることができる。
【0031】
尚、固液分離機17でのろ過効率を厳密に管理し、スラリーS中の固相分を完全に分離することができれば、ろ液W中に有機汚染物質が残留しなくなるため、その場合には、第2の除去手段19を省略することができる。
【0032】
次に、上記処理システム1の動作について、図1を参照しながら説明する。
【0033】
セメントキルン4の窯尻から最下段サイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より、燃焼ガスの一部をプローブ5によって抽気すると同時に、冷却ファン6からの冷風によって、塩素化合物の融点である600〜700℃以下にまで急冷する。次いで、サイクロン7において、プローブ5から排気される抽気ガスG1を、粗粉D1と、微粉D2を含む排ガスG2とに分離し、粗粉D1をセメントキルン系に戻す一方で、100〜600℃の排ガスG2を湿式集塵機10のミキシングスクラバー11に導入する。
【0034】
そして、湿式集塵機10において、ミキシングスクラバー11と循環液槽12との間でスラリーSを循環させる。湿式集塵機10で生成されるスラリーSには、微粉D2中の生石灰(CaO)が水と反応して生じた消石灰(Ca(OH)2)が存在するため、排ガスG2中に存在する硫黄分(SO2)は、以下のように反応する。
SO2+Ca(OH)2→CaSO3・1/2H2O+1/2H2
CaSO3・1/2H2O+1/2O2+3/2H2O→CaSO4・2H2
これにより、排ガスG2中の硫黄分が分解処理され、石膏(CaSO4・2H2O)が生成される。また、消石灰が不足している場合には、消石灰スラリー貯槽14から消石灰を適宜追加する。さらに、消石灰が過剰となり、所定のpHより高くなる場合には、硫酸貯槽15からの硫酸を適宜添加する。
【0035】
これと併行して、排ガスG2からPOPsやVOC等の有機汚染物質を捕集し、スラリーS側に移動させる。尚、湿式集塵の過程で排ガスG2中の有機汚染物質の多くがスラリーS側に移動する理由は、必ずしも明らかではないが、湿式集塵機10において、排ガスG2を水分と接触させた際に排ガスG2の温度が低下し、その影響で、排ガスG2中の有機汚染物質が固体状となって気体(ガス)から分離し、結果的にスラリーS中に取り込まれるためではないかと推測される。
【0036】
上記の際、排ガスG2に含まれる有機汚染物質を効率的に捕集するためには、湿式集塵機10の排ガスG3(洗浄塔13から排出されるガス)の温度が30℃以上、100℃未満となるように温度調整することが好ましい。排ガスG3の温度が30℃未満の場合には、凝縮水が増加し、その結果、後工程に持ち出される水が増加するとともに、後工程のダクト、ファン等の装置類が腐食する虞がある。さらに、本システムに必要な新規水量の増大を招くことにもなる。一方、排ガスG3の温度が100℃以上の場合には、有機汚染物質を適切に捕集することができない虞がある。
【0037】
ダストを除去した後の排ガス(清浄ガス)G3は、排気ファン16により誘引されて大気に放出されたり、他のセメント製造工程において利用される。尚、より一層の安全を図るため、吸着処理や触媒による分解処理を施して排ガスG3に残留する有機汚染物質を除去するようにしてもよいし、排ガスG3をセメントキルン4等に戻し、有機汚染物質を完全燃焼させるようにしてもよい。
【0038】
一方、石膏、ダスト分及び有機汚染物質を含むスラリーSは、固液分離機17に導入し、固相分(ケークC)と液相分(ろ液W)に分離する。次いで、ケークC及びろ液Wを第1及び第2の除去手段18、19に導入し、第1の除去手段18において、ケークCに含まれる有機汚染物質を除去するとともに、第2の除去手段19において、ろ液Wに残留する有機汚染物質を除去する。
【0039】
有機汚染物質を除去した後のケークC(石膏分)は、セメントミルに添加してクリンカとともに粉砕し、セメントの一部として利用することができる。一方、有機汚染物質を除去した後のろ液Wは、別途、高度排水処理を施して塩分(KCl)を回収した後、本システム1で循環利用されたり、下水又は海洋に放流される。
【0040】
以上のように、本実施の形態によれば、サイクロン7の排ガスG2を湿式集塵機10により湿式集塵した後に、スラリーSを対象として有機汚染物質の除去処理を行うため、抽気ガスG1中の有機汚染物質を効率的に除去することが可能になる。
【0041】
尚、上記実施の形態においては、サイクロン7で粗粉D1を分級した後に、微粉D2を含む排ガスG2を湿式集塵機10に導入するが、サイクロン7を設けることなく、プローブ5で抽気した抽気ガスG1を湿式集塵機10に直接導入してもよい。また、サイクロンでの回収効率を調整し、回収する粗粉D1と湿式集塵機10に導入される微粉D2との量比を変更してもよい。
【0042】
次に、本発明にかかるセメントキルン抽気ガスの処理システムの第2の実施形態について、図2を参照しながら説明する。尚、同図において、図1と同一の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
ガス処理部21は、湿式集塵機10と、排気ファン16と、湿式集塵機10で生成されたスラリーSに含まれる有機汚染物質を気泡に付着させ、浮上させて分離する浮選機22と、浮選機22からのフロスFを固液分離する第1の固液分離機23と、第1の固液分離機23で分離したケークC1から有機汚染物質を除去する第1の除去手段24と、第1の固液分離機23のろ液W1から有機汚染物質を除去する第2の除去手段25と、浮選機22からのテールTを固液分離する第2の固液分離機26とを備える。
【0044】
次に、上記処理システム20の動作について、図2を参照しながら説明する。
【0045】
湿式集塵機10から排出された有機汚染物質を含むスラリーSを浮選機22に供給し、浮選機22において、捕集剤としての疎水化材をスラリーSに添加するとともに、空気を供給して気泡を発生させる。有機汚染物質は、親油性を有することから、気泡に付着して浮上するため、フロスFを回収することで、有機汚染物質を取り出すことができる。このとき、スラリーSに含まれる石膏は、浮選機22からテールTとして排出される。尚、スラリーSに活性炭等の吸着材を添加した後に、同様の操作(浮選処理)を行ってもよい。
【0046】
次に、第1の固液分離機23において、浮選機22からのフロスFを固液分離し、固相分(ケークC1)と液相分(ろ液W1)に分離する。次いで、第1の実施形態と同様、ケークC1及びろ液W1を第1及び第2の除去手段24、25に導入し、第1の除去手段24において、ケークC1に含まれる有機汚染物質を除去するとともに、第2の除去手段25において、ろ液W1に残留する有機汚染物質を除去する。
【0047】
一方、浮選機22から排出されるテールTは、第2の固液分離機26により固液分離されて石膏分(C2)が回収される。尚、第2の固液分離機26から排出されるろ液W2は、水処理された後、本システム20で循環利用されたり、下水等に放流される。
【0048】
以上のように、本実施の形態においても、湿式集塵機10のスラリーSに対して有機汚染物質の除去処理を行うため、抽気ガスG1に含まれる有機汚染物質を効率的に除去することが可能になる。
【0049】
また、本実施の形態においては、浮選機22によりスラリーS中の石膏分等を取り除いてから第1の固液分離機23で固液分離するため、第1及び第2の除去手段24、25に対し、有機汚染物質以外の物質の含有量を少なくした状態で、ケークC1やろ液W1を導入することができる。このため、第1及び第2の除去手段24、25において、有機汚染物質を除去し易くなり、有機汚染物質をより効率的に除去することが可能になる。
【0050】
尚、上記実施の形態においては、湿式集塵機10の循環液槽12の直後に浮選機22を設けるが、抽気ガスG1に含まれる鉛化合物、セレン化合物、タリウム化合物等の重金属類を除去するため、循環液槽12と浮選機22との間に、鉛化合物等を硫化させる硫化剤をスラリーSに添加するための調整槽や、硫化剤を添加した後のスラリーSに硫酸等のpH調整剤を添加するための調整槽を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 セメントキルン抽気ガスの処理システム
2 ガス抽気部
3 ガス処理部
4 セメントキルン
5 プローブ
6 冷却ファン
7 サイクロン
10 湿式集塵機
11 ミキシングスクラバー
12 循環液槽
12a ポンプ
12b 循環路
13 洗浄塔
14 消石灰スラリー貯槽
14a ポンプ
15 硫酸貯槽
15a ポンプ
16 排気ファン
17 固液分離機
18 第1の除去手段
19 第2の除去手段
20 セメントキルン抽気ガスの処理システム
21 ガス処理部
22 浮選機
23 第1の固液分離機
24 第1の除去手段
25 第2の除去手段
26 第2の固液分離機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントキルンの窯尻からプレヒータの最下段サイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より燃焼ガスの一部を抽気する抽気手段と、
該抽気手段で抽気した抽気ガスに含まれるダストを湿式集塵する湿式集塵機と、
該湿式集塵機で生成したスラリーから有機汚染物質を除去する除去手段とを備えることを特徴とするセメントキルン抽気ガスの処理システム。
【請求項2】
前記スラリーを固液分離する固液分離機を備え、
前記除去手段は、該固液分離機で分離したケークから有機汚染物質を除去することを特徴とする請求項1に記載のセメントキルン抽気ガスの処理システム。
【請求項3】
前記固液分離機のろ液から有機汚染物質を除去する第2の除去手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のセメントキルン抽気ガスの処理システム。
【請求項4】
前記スラリーに含まれる有機汚染物質を浮上させ、該スラリーから有機汚染物質を分離する浮選機を備え、
前記除去手段は、前記浮選機のフロスから有機汚染物質を除去することを特徴とする請求項1に記載のセメントキルン抽気ガスの処理システム。
【請求項5】
前記湿式集塵機は、該湿式集塵機の排ガスの温度が30℃以上、100℃未満となるように前記抽気ガスを冷却することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のセメントキルン抽気ガスの処理システム。
【請求項6】
前記除去手段は、低温還元熱分解法、酸化雰囲気低温加熱法、化学分解法又は溶媒抽出法により、前記有機汚染物質を除去することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のセメント抽気ガスの処理システム。
【請求項7】
セメントキルンの窯尻からプレヒータの最下段サイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より燃焼ガスの一部を抽気し、
該抽気された抽気ガスに含まれるダストを湿式集塵し、
該湿式集塵で生成したスラリーから有機汚染物質を除去することを特徴とするセメントキルン抽気ガスの処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−195615(P2010−195615A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40851(P2009−40851)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】