説明

セメント混和剤及びセメント組成物

【課題】セメントモルタルやセメントコンクリート等の硬化体の乾燥収縮率が小さく且つひび割れの発生が少ないセメント混和剤及びセメント組成物を提供すること。詳しくは、膨張材と乾燥収縮低減剤を併用するときの硬化体の最大膨張率が大きく、硬化体の乾燥収縮率が小さく且つ硬化体のひび割れの発生が少ないセメント混和剤及びセメント組成物を提供すること。
【解決手段】膨張材と乾燥収縮低減剤に加え、特定の無機塩を併用する。即ち、膨張材、乾燥収縮低減剤及びアルカリ金属塩を含有するセメント混和剤。アルカリ金属塩が、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属硫酸塩から選ばれる一種又は二種以上であると好適である。膨張材100重量部に対して、乾燥収縮低減剤が2〜30重量部、アルカリ金属塩が0.01〜2.0重量部であると好適である。また、セメントと、上記セメント混和剤を含むセメント組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント混和剤及びこれを用いたセメント組成物に関し、詳しくは、硬化体の乾燥収縮率が小さく、且つ膨張性状が良好でその保持に優れるセメント組成物が得られるセメント混和剤及びこれを用いたセメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、セメントモルタルやセメントコンクリート等は、硬化後に乾燥収縮が起こる。この乾燥収縮により、ひび割れが発生することがある。この乾燥収縮によるひび割れの発生を低減する方法として、膨張材を用いる方法がある。この膨張材を用いる方法は、膨張材中の成分からエトリンガイトや消石灰等の水和生成物の結晶が成長することを利用し、セメントモルタル等の硬化体を予め膨張させておくことにより、その後に硬化体が乾燥収縮してもこの収縮による応力を小さくし、硬化体のひび割れを発生し難くする。また、別な乾燥収縮によるひび割れの発生を低減する方法として、乾燥収縮低減剤を用いる方法がある。この乾燥収縮低減剤は、硬化体中の自由水の表面張力を低減することにより、乾燥収縮率を低減し、硬化体のひび割れ発生を低減する。このような膨張材と乾燥収縮低減剤を併用することも知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【0003】
しかし、発明者等の研究により、膨張材と乾燥収縮低減剤を単に併用するだけでは、乾燥収縮低減剤を用いずに同量の膨張材単独使用のときに比べ最大膨張率が著しく低下するため、硬化体の乾燥収縮率が大きく且つひび割れ発生の低減が不充分となるという問題があることが分かった。図1は、この事実を示す長さ変化試験結果の模式的なグラフである。
【特許文献1】特開2002−68813号公報
【特許文献2】特開平7−10625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、セメントモルタルやセメントコンクリート等の硬化体の乾燥収縮率が小さく且つひび割れの発生が少ないセメント混和剤及びセメント組成物を提供することであり、詳しくは、膨張材に乾燥収縮低減剤を併用することによる硬化体の最大膨張率の低下を防ぎ、即ち膨張材と乾燥収縮低減剤を併用するときの硬化体の最大膨張率が大きく、硬化体の乾燥収縮率が小さく且つ硬化体のひび割れの発生が少ないセメント混和剤及びセメント組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、鋭意検討した結果、膨張材と乾燥収縮低減剤に加え、特定の無機塩を併用することで上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は、以下の(1)〜(3)で表すセメント混和剤及び(4)で表すセメント組成物である。
(1)膨張材、乾燥収縮低減剤及びアルカリ金属塩を含有するセメント混和剤。(2)アルカリ金属塩が、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属硫酸塩から選ばれる一種又は二種以上である上記(1)のセメント混和剤。(3)膨張材100重量部に対して、乾燥収縮低減剤が2〜30重量部、アルカリ金属塩が0.01〜2.0重量部である上記(1)又は(2)のセメント混和剤。(4)セメントと、上記(1)〜(3)のセメント混和剤一種又は二種以上を含むセメント組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、セメントモルタルやセメントコンクリート等の硬化体の乾燥収縮率が小さく且つひび割れの発生が少ないセメント混和剤及びセメント組成物が得られる。本発明によれば、土木学会コンクリート標準示方書「膨張コンクリート設計施工指針」に示されている収縮補償用コンクリートに必要な、材齢7日の膨張率を150〜250×10−6の範囲に保持でき、材齢28日の乾燥収縮ひずみが150×10−6以下の物性を有するセメント混和剤、及びセメント組成物が得られる。本発明のセメント混和剤及びセメント組成物は、セメントモルタルやセメントコンクリート等の硬化体の乾燥収縮率が小さく且つひび割れの発生が少ないので、高耐久性の硬化体が得られる。特に、壁、柱、梁、床等の外気と接する面積が大きいときでも、乾燥収縮によるひび割れが少ない壁、柱、梁、床等が得られる。また、鉄筋等の金属を内蔵するコンクリート等に本発明を用いると、乾燥収縮によるひび割れが著しく低減し、このようなコンクリートを用いる構造物は、乾燥収縮によるひび割れが少ない高耐久性の構造物となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で使用する膨張材としては、水和により例えば水酸化カルシウムやエトリンガイト等の水和物の結晶が成長し、嵩体積が大きくなる物質であれば何れのものでも良く、具体的には、生石灰、カルシウムサルホアルミネート、石膏、マグネシア、石灰系膨張材、エトリンガイト系膨張材などがあり、これら又はこれらに類する物質の一種又は二種以上を使用することが可能である。JIS A 6202「コンクリート用膨張材 」に適合する石灰系膨張材又はエトリンガイト系膨張材が、混和量に対する膨張率が安定しているので、混和量に対するモルタルやコンクリート等の硬化体のひび割れ発生を抑制する性能も安定しているので好ましい。
【0008】
本発明で使用する乾燥収縮低減剤としては、硬化体中の水分が蒸発する際に発生する応力を低下させる機能を有する物質であれば何れのものでも良く、例えば、ポリオキシアルキレン化合物、ポリエーテル系化合物あるいはアルキレンオキシド化合物等があり、具体的には、ポリオキシエチレン・アルキルアリルエーテル、ポリプロピレングリコール、低級アルコールアルキレンオキシド付加物、グリコールエーテル・アミノアルコール誘導体、ポリエーテル、ポリオキシアルキレングリコール、エチレンオキシドメタノール付加物、エチレンオキシド・プロピレンオキシド重合体、フェニル・エチレンオキシド重合体、シクロアルキレン・エチレンオキシド重合体あるいはジメチルアミン・エチレンオキシド重合体等が例示でき、これらの一種又は二種以上を使用できる。このような乾燥収縮低減剤は、モルタルやコンクリート等の硬化体中の水分が蒸発する際に発生する応力を低下させることにより、モルタル・コンクリート硬化体の乾燥収縮を低減させる性質を有し、より詳しくは、収縮を支配する毛細管空隙の水に溶解して表面張力を低下させ、その結果、乾燥時の毛細管張力を小さくして収縮を低減させるものである。特に、乾燥収縮低減剤が、下記式(1)で表される化合物を有効成分とするものであると、膨張材と混合し長期間貯蔵した場合に品質が安定するので好ましい。
RO(AO)H (1)
(式中、Rは水素、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数5〜6のシクロアルキル基、Aは炭素数2〜3の1種または2種のアルキレン基、nは1〜100の数)
【0009】
本発明のセメント混和剤中の乾燥収縮低減剤の割合は、膨張材100重量部に対して、乾燥収縮低減剤2〜30重量部が最大膨張率が高く且つ乾燥収縮率が小さいので好ましい。より好ましくは5〜10重量部とする。2重量部未満では充分な乾燥収縮低減効果が得られず最大膨張率からの収縮率が大きいため、乾燥収縮率が大きくなる。30重量部を超えると、最大膨張率からの収縮量は小さいが、最大膨張率が小さいため乾燥収縮率が大きく、また硬化遅延を生じ易い。
【0010】
本発明で使用するアルカリ金属塩としては、何れのものでも使用でき、例えば、アルミン酸塩、硫酸塩、及び炭酸塩が挙げられる。特に、本発明において配合する膨張材及び乾燥収縮低減剤との併用において、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属硫酸塩から選ばれる一種又は二種以上を使用することが最大膨張率が大きくなるので好ましく、この中でも炭酸ナトリウム又は/及び硫酸ナトリウムを使用することが、流動性のモルタルやコンクリートに本発明のセメント混和剤を用いたときに、流動性保持性が良好な点で好ましい。本発明において、アルカリ金属塩、特に、炭酸ナトリウムや硫酸ナトリウムを使用することで、セメントの水和反応を刺激し、膨張材と乾燥収縮低減剤を併用するときの硬化体の最大膨張率が大きく、硬化体の乾燥収縮率が小さく且つ硬化体のひび割れの発生が少ない。
【0011】
本発明のセメント混和剤中のアルカリ金属塩各々の割合は、膨張材100重量部に対して、アルカリ金属塩0.01〜2.0重量部が好ましい。より好ましくは0.1〜1.0重量部とする。0.01重量部未満では、最大膨張率が小さいため乾燥収縮率が大きく好ましくない。一方、2.0重量部を越えると、使用環境の温度変化による流動性の変動が大きくなり、安定した流動性を得ることが困難になる場合があり、また、流動性や軟度を維持する時間が短く、使用に適し難い。
【0012】
本発明のセメント混和剤には、膨張材、乾燥収縮低減剤及びアルカリ金属塩以外に、本発明の効果を損なわない範囲でモルタルやコンクリートに使用できる混和材料を添加することができる。この混和材料としては、例えば高性能減水剤,高性能AE減水剤,AE減水剤及び流動化剤を含む減水剤、シリカフューム等のポゾラン、高炉スラグ等の潜在水硬性物質、急結剤、合成樹脂、保水剤、増粘剤、起泡剤、発泡剤、防錆剤、防凍剤、顔料、繊維、撥水剤、消泡剤、遅延剤、硬化促進剤等が挙げられる。
【0013】
本発明のセメント混和剤の製造方法は、特に限定されない。例えば、ミキサで混合することにより製造する。また、本発明のセメント混和剤の使用方法は、特に限定されない。
【0014】
本発明のセメント組成物で使用するセメントは、水和反応により硬化する水硬性セメントであれば何れのものでも良く、例えば、普通,早強,超早強,低熱,中庸熱,白色などの各種ポルトランドセメント、エコセメント、並びにこれらポルトランドセメントまたはエコセメントにフライアッシュ,高炉スラグ,シリカフューム等を混合した各種混合セメント、アルミナセメント、カルシウムアルミネート・カルシウムナトリウムアルミネート・カルシウムサルホアルミネート等の急硬成分を主体とする急硬性セメント、超速硬セメント、ドロマイト、半水石膏等が例示でき、これらを単独で使用又は二種以上を併用できる。
【0015】
上記セメント混和剤の使用量は、セメント組成物100重量部に対して、膨張材、乾燥収縮低減剤及びアルカリ金属塩の合計が0.3〜5.0重量部となる量とすることが好ましく、0.5〜2.0重量部となる量とすることがより好ましい。0.3重量部未満となる量では膨張率が不足する場合があり、5.0重量部となる量を超えると膨張率が過大になり、強度が低下する場合があるため好ましくない。
【0016】
本発明のセメント組成物には、セメントと上記セメント混和剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲でモルタルやコンクリートに使用できる混和材料及び骨材を添加することができる。この混和材料としては、例えば高性能減水剤,高性能AE減水剤,AE減水剤及び流動化剤を含む減水剤、シリカフューム等のポゾラン、高炉スラグ等の潜在水硬性物質、急結剤、合成樹脂、保水剤、増粘剤、起泡剤、発泡剤、防錆剤、防凍剤、顔料、繊維、撥水剤、消泡剤、遅延剤、硬化促進剤等が挙げられ、これらを単独で使用又は二種以上を併用できる。また、骨材としては、例えば川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、川砂利、陸砂利、砕石、スラグ細骨材、再生細骨材及び人工骨材が挙げられ、これらを単独で使用又は二種以上を併用できる。
【0017】
本発明のセメント組成物の製造方法は、特に限定されない。例えば、各使用材料をミキサで混合すれば良い。また、本発明のセメント組成物の使用方法は、特に限定されない。通常は、混合容器内に本発明のセメント組成物及び水を投入、混合容器内でミキサにより混練することにより、セメントペースト、セメントモルタル又はセメントコンクリート等として用いる。グラウトミキサ、強制練りミキサ又は傾胴式ミキサ等のように、ミキサが混合容器を兼ねていても良い。混練時にセメント組成物中の各材料及び水を別々に混合容器に投入しても良いし、事前に一部又は全部をミキサで混合しておいても良い。混合する順序は特に限定されない。
【0018】
本発明のセメント組成物をグラウトモルタルに用いる場合には、セメント100重量部に対し、水30〜60重量部、砂50〜300重量部の配合とすることが好ましい。より好ましくは、砂80〜220重量部とし、最も好ましくは砂100〜200重量部とする。砂の量がセメント100重量部に対し300重量部を超えると、グラウトモルタル中に含まれるセメントの量が少なくなるために、目標とする強度が得られなくなる場合があり、流動性を得難い。また、50重量部未満では、硬化体の乾燥収縮率が大きく、またセメントの水和熱によるひび割れを生じ易い。
【実施例】
【0019】
[実施例1]
以下に、本発明について実施例を挙げて更に詳しく説明する。
【0020】
膨張材、乾燥収縮低減剤及びアルカリ金属塩を混合して、表1に示す各配合のセメント混和剤を作製した。表1中の膨張材、乾燥収縮低減剤及びアルカリ金属塩の各配合量は、膨張材100重量部に対する重量部である。普通ポルトランドセメント100重量部、該セメント混和剤2重量部及び細骨材200重量部を混合し、セメント組成物を作製した。更に、該セメント組成物中の普通ポルトランドセメント100重量部に対して水30重量部を加えてハンドミキサで混練してグラウトモルタルを作製した。作製した各グラウトモルタルの品質試験を実施し、最大膨張率及び長さ変化率を求め、ひび割れ抵抗性試験によるひび割れ発生の有無を調べた。その結果をセメント混和剤の配合とともに表1に示す。このときの使用材料及び品質試験の試験方法を、以下に示す。
<使用材料>
乾燥収縮低減剤:n−ブチルアルコールのアルキレンオキシド付加物(プロピレンオキサイド(付加モル数2)及びエチレンオキサイド(付加モル数3))。
アルカリ金属塩A:炭酸ナトリウム(市販品)。
アルカリ金属塩B:硫酸ナトリウム(市販品)。
アルカリ金属塩C:アルミン酸ナトリウム(市販品)。
普通ポルトランドセメント:太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント。
細骨材:石灰石砕砂(比重2.6、粗粒率2.70)。
膨張材:太平洋マテリアル株式会社製石灰系膨張材、商品名「太平洋エクスパン」、JIS A 6202「コンクリート用膨張材 」に適合。
水:水道水。
<試験方法>
膨張率:
JIS A 6202「コンクリート用膨張材」の付属書2(参考)「膨張コンクリートの拘束膨張及び収縮試験方法」に規定するA法に従ってグラウトモルタルの一軸拘束状態における膨張率を測定し、材齢7日までの最大値を求めた。全てのグラウトモルタルとも、材齢7日の膨張率は、材齢7日までの最大値であった。
長さ変化率:
JIS A 1129−1「モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法−第一部:コンパレータ方法」に規定する試験方法に従って、作製したグラウトモルタルの長さ変化率を求めた。このとき、基長の測定は、グラウトモルタルの供試体を成型後1日湿空養生(温度20±3℃、相対湿度90%以上)し、脱型後7日間水中養生を行った直後に行った。基長の測定後、直ちに20℃、相対湿度60%の恒温室内に供試体を移し、28日間保存した。28日間保存後に測長し、このときの長さ変化率を算出した。長さ変化率の値は、全て負の値であったので、全て乾燥により収縮した。長さ変化率の絶対値が、ここでは乾燥収縮率であった。
ひび割れ抵抗性試験によるひび割れ発生の有無:
JIS A 6909「建築用仕上塗材」の「7.9 初期乾燥によるひび割れ抵抗性試験」に準じ、28日間風洞内(温度20±3℃、相対湿度湿度60%)に入れた試験体のひび割れの発生の有無を目視で調べた。試験体は、繊維強化セメント板(クラレ社製商品名「パワロンボード」、縦300×横150×厚み5.5mm、平板)に断面正方形(10×10mm)の木製角材により作製した枠を貼り付け、この枠内(縦280×横130×深さ10mm)にグラウトモルタルを塗り付け1日湿空養生(温度20±3℃、相対湿度90%以上)したものを用いた。
【0021】
【表1】

【0022】
本発明のセメント混和剤を使用した全てのグラウトモルタルは、材齢7日までの最大膨張率即ち材齢7日における膨張率が150〜250×10−6の範囲、且つ長さ変化率が−150×10−6以下の物性を有し、ひび割れの発生を抑制できることが確認された。本発明のセメント混和剤を使用した全てのグラウトモルタルは、材齢7日における膨張率が150〜250×10−6の範囲であるので、土木学会コンクリート標準示方書「膨張コンクリート設計施工指針」に示されている収縮補償用コンクリートに適合するので、膨張性状が良好であった。参考品1は、最大膨張率は大きいが、長さ変化率が−403×10−6と大きく収縮している。また、参考品1は、ひび割れ抵抗性試験においてひび割れが発生した。また、参考品2〜4は、乾燥収縮低減剤の含有量が増えるに従い乾燥収縮が抑制されているが、最大膨張率が小さくなり、ひび割れが発生した。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の本発明のセメント混和剤及びセメント組成物は、セメントモルタルやセメントコンクリート等の硬化体の乾燥収縮率が小さく且つひび割れの発生が少ないので、鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート、充填モルタル、セルフレベリング材、壁・床・柱・梁等の補修用又は補強用モルタル等に好適に用いることができる。特に、ボックスカルバートやコンクリート製矢板等のように膨張材によるケミカルプレストレスを導入し且つ乾燥収縮ひび割れを抑制したいコンクリート二次製品、壁、屋根及び床等のように単位体積当りの表面積の大きな部位の構築に好適に用いることができる。本発明のセメント混和剤又はセメント組成物を用いた構造物は、乾燥収縮率が小さく且つひび割れの発生が少ないので、高耐久性の構造物となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】長さ変化試験結果を示す模式的なグラフである。
【符号の説明】
【0025】
1 膨張材を単独で使用する場合
2 乾燥収縮低減剤を単独で使用する場合
3 膨張材と乾燥収縮低減剤を単に併用する場合
4 本発明のセメント混和剤を使用する場合

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張材、乾燥収縮低減剤及びアルカリ金属塩を含有するセメント混和剤。
【請求項2】
アルカリ金属塩が、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属硫酸塩から選ばれる一種又は二種以上である請求項1記載のセメント混和剤。
【請求項3】
膨張材100重量部に対して、乾燥収縮低減剤が2〜30重量部、アルカリ金属塩が0.01〜2.0重量部である請求項1又は請求項2記載のセメント混和剤。
【請求項4】
セメントと、請求項1〜請求項3記載のセメント混和剤一種又は二種以上を含むセメント組成物。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−182619(P2006−182619A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379747(P2004−379747)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【Fターム(参考)】