説明

セメント質組成物に耐凍結融解性をもたらす作用剤の供給方法

セメント質組成物に、少なくとも1種のポリマー微小球、少なくとも部分的に分解性のポリマー粒子、又はガス発生添加剤を含有する粘度変性剤を添加すること含むセメント質組成物に耐凍結融解性を提供する混和剤の供給方法を提供する。ポリマー微小球、少なくとも部分的に分解性のポリマー粒子、及びガス発生添加剤は、材料のマトリクス中に空所を提供し、並びにかかる空所は、材料の耐凍結融解性の増加に作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願に対する相互参照
本願は、2005年6月14日に出願された米国の仮特許出願の通し番号60/690/235号の出願日付の利益を請求する。
【0002】
背景
凍結融解サイクルは、水で飽和させた硬化セメント組成物、例えばコンクリートに極めて影響を及ぼしうることがよく知られている。起きた損傷を防止又は低減するための最も知られている技術は、微視的に微孔もしくは微空孔を組成物中へ取り入れることである。孔又は空隙は、内部の膨張室として機能し、及び従ってコンクリート中の凍結前線の進行に起因する水圧の軽減により、コンクリートを凍害から保護しうる。コンクリート中のかかる空隙を人工的に製造するための先行技術において使用される方法は、混合中にコンクリート中に閉じこめられた空気の小泡を安定化する空気連行剤によるものである。
【0003】
それら気泡は、一般に、ウェットキャストのコンクリートの混合工程中の界面活性剤の使用によって、安定化される。残念ながら、コンクリート中に気泡を連行するこの手法は、多数の製造及び配置の問題によって悩まされており、これらの問題のいくつかは下記のものである。
【0004】
セメント質混合物の空気含有量における空気含有量の変化は、空気含有量が経時的に低下する場合に、低い耐凍結融解性を有するコンクリートを生じ、又は、空気含有量が経時的に増加する場合に、コンクリートの圧縮強度を減少しうる。実例は、コンクリートのポンピング(圧縮によって空気含有量を減少)、流動化剤の作業現場添加(しばしば空気含有量を上昇し、または気泡系を不安定にする)、特定の混和剤と空気連行界面活性剤との相互反応(空気含有量を増加又は減少しうる)である。
【0005】
気泡の安定化:気泡を安定化することができないことは、安定化のための界面活性剤を吸着する材料、すなわち高表面積の炭素を有するフライアッシュの存在、又は界面活性剤が適正に働くためには不十分な水、すなわち低スランプコンクリートであることによってでありうる。
【0006】
気泡の特性:耐凍結融解性を提供するには大きすぎる泡の形成は、低品質又は低級の骨材、泡を不安定にする他の混和剤の使用等の結果でありうる。かかる空隙は、しばしば不安定であり、及びフレッシュコンクリートの表面に浮かぶ傾向がある。
【0007】
過度の仕上げ:過度の仕上げによる空気の除去は、コンクリートの表面から空気を除去し、一般に、過度に仕上げされた表面に隣接するセメントペーストの吐出し域のスケーリングによって損害をもたらす。
【0008】
空気を混合の時点で発生させ、かつ安定化し、コンクリートが硬化するまでその空気が適切な量及び気泡サイズで残ることを確実にすることは、北米国のレディーミクストコンクリート製造社の最大の日々の課題である。
【0009】
十分に空気を連行させたコンクリートは依然として、製造することが最も難しい型のコンクリートの1つである。コンクリート中に連行される空気含有量及び気泡系の特性は、直接的な定量手段によって制御されることができないが、しかし間接的に混合物に添加される空気連行剤の量/種類だけによって制御される。骨材の組成及び粒形、混合物中のセメントの種類及び量、コンクリートの粘稠度、使用されるミキサーの型、混合時間、並びに温度のような要因は、すべて空気連行剤の性能に影響する。通常の空気連行コンクリート中の空隙サイズ分布は、10〜3000マイクロメートル(μm)又はそれ以上の非常に広範囲の変動を示しうる。かかるコンクリートにおいて、周期的な凍結融解の抵抗性に重要である小さな空隙を除いて、コンクリートの耐久性をほとんど与えず、コンクリートの強度を低下しうる大きい空隙の存在が、1つの不可避な特徴として受け入れられなければならない。
【0010】
硬化コンクリート中の気泡系の特性は、硬化コンクリートにおける気泡系のパラメータの、顕微鏡的決定のためのASTM C457標準テスト法によって決定される。それら特性は、平均空隙サイズの表示(比表面積)、容積存在度(空気含有量)、及び空隙間の平均距離(間隔係数)を示す一連のパラメータとして表わされる。それらの値は、コンクリート産業で使用され、予測される性能及び水で飽和された周期的な凍害環境におけるコンクリートの耐久性を決定する。ACIガイドラインは、凍結融解サイクルに対する耐性を確実にするために、比表面積が600in-1よりも大きく、かつ間隔係数が0.008in以下であることを推奨する。
【0011】
当業者は、空気連行コンクリートを製造するための適切な条件の適用によるそれらの影響を制御することを学んできた。かかるコンクリートの製造は、特定の配慮を行うことを必要とする。特に、空気含有量は、定期的に調査されなければならない。空気含有量が低すぎる場合には、コンクリートの耐凍結性は、不十分となりうる。しかし、空気含有量が高すぎる場合には、圧縮強度は、悪影響を受けうる。
【0012】
先行技術における気泡の制御方法は、しばしば不整合の性能をもたらす。許容できるサイズの気泡及び空間が、混合作用によって連行されない場合には、気泡を安定化する化学系はどのような量であっても、硬化コンクリート中の適切な気泡構造を発生させることはできない。
【0013】
従って、混合中の適切なサイズの気泡の発生のための剪断条件を要求することなしに、直接ウェットキャストのセメント質混合物中の耐凍結融解性を有する空隙の構造を製造する混和剤を提供することが望ましい。該空隙の構造は、改善された耐凍結融解性を有するセメント質組成物を提供するウェットキャストの混合物に対する最適なサイズの空隙を含む。該混和剤は、通常の空気連行剤を有するウェットキャストの混合物から製造された生成物についての圧縮強度の低下も、減少又は排除すべきである。
【0014】
発明の概要
セメント質組成物に、少なくとも1種のポリマー微小球、少なくとも部分的に分解性のポリマー粒子、ガス発生添加剤、又はそれらの混合物を含有する粘度変性剤を添加することを含み、その際、少なくとも1種のポリマー微小球、少なくとも部分的に分解性のポリマー粒子、又はガス発生添加剤を有する該粘度変性剤は、セメント質組成物に単独の混和剤として添加されるセメント質組成物に耐凍結融解性をもたらす混和剤の供給方法を提供する。
【0015】
少なくとも1種のポリマー微小球、少なくとも部分的に分解性のポリマー粒子、ガス発生添加剤、又はそれらの混合物を含有する粘度変性剤を含む非従来型の耐凍害性混和剤を提供する。
【0016】
セメント質組成物に、少なくとも1種のポリマー微小球、少なくとも部分的に分解性のポリマー粒子、又はそれらの混合物含を有する粘度変性剤を添加することを含み、その際、ポリマー微小球、又は分解性のポリマー粒子を含有する該粘度変性剤は、セメント質組成物に単独の混和剤として添加されるセメント質組成物に耐凍結融解性をもたらす混和剤の供給方法を提供する。
【0017】
少なくとも1種のポリマー微小球、少なくとも部分的に分解性のポリマー粒子、又はそれらの混合物を含有する粘度変性剤を含む非従来型の耐凍害性混和剤を提供する。
【0018】
セメント質組成物にガス発生添加剤を含有する粘度変性剤を添加することを含み、その際、ガス発生添加剤を含有する該粘度変性剤は、セメント質組成物に単独の混和剤として添加されるセメント質組成物に耐凍結融解性をもたらす混和剤の供給方法を提供する。
【0019】
ガス発生添加剤を含有する粘度変性剤を含む非従来型の耐凍害性混和剤を提供する。
【0020】
詳細な説明
ポリマー微小球、少なくとも部分的に分解性のポリマー粒子、及び/又はガス発生添加剤を、それらのための液状ビヒクルとして粘度変性剤を使用してセメント質組成物に添加することを含む、セメント質組成物に耐凍結融解性をもたらす作用剤の供給方法を提供する。非従来型の耐凍害性のための作用剤、例えば微小球又はガス発生剤は、使用することが難しい乾燥粉末の形状で供給される。それらは一般に、少量でセメント質組成物に添加され、かつセメント質組成物全体にわたる均質分布を困難にする。粘度変性剤中の分散液としてのこのような非従来型の耐凍害性作用剤の供給は、特に水の比重とは異なる比重(高いか低いか)を有する微小球及びガス発生剤のより一層扱いやすい操作及び計量分配を提供する。
【0021】
粘度変性剤の使用により、使用者は、より簡単でかつ良好な再現性でポリマー微小球、ポリマー粒子、及び/又はガス発生剤を供給することが可能となる。
【0022】
微小球及び他の低比重の固体は、それらの低比重が簡単な空中分散をもたらすため、使用することが非常に難しい。粘度変性剤における安定した分散液としてのこれら材料の供給は、ポリマー微小球、分解性粒子、及びガス発生剤のより簡単な取り扱いを提供する。
【0023】
非従来型の耐凍害性作用剤、例えばポリマー微小球、分解性ポリマー粒子、又はガス発生剤は、粘度変性剤、例えばセルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース、もしくはヒドロキシプロピルセルロース;ポリエチレングリコール;又はポリサッカライド、例えばジウタン(diutan)ガム水溶液、もしくはウェランガム水溶液を含んでよい高分子量のポリマー溶液中に高剪断混合によって分散される。該材料は、低剪断混合によって湿潤され、次いで少なくとも約2分間の高剪断混合によって完全に分散される。分散液の濃度は、約30〜約40質量%(固体)の高さまでであってよい。該濃度は、注型できる粘度を保っている間にできるだけ濃縮された分散液を得るという所望によって主に決定される。この方法で、20%(固体)で、製造された分散液は、1年を超える安定性を示す。セメント系における分散液の使用は、より高いスランプとより簡単な配置によって明らかにされたように、改良された加工性を示す。
【0024】
非従来型の耐凍害性作用剤、例えばポリマー微小球、分解性ポリマー粒子、及びガス発生剤を導入する方法が、提供される。該方法は、粘度変性剤を使用して、ガスもしくは液体が充填されたポリマー微小球、分解性ポリマー粒子、及び/又はセメント質混合物に分散した場合に、ガスを発生する付加的な化学物質もしくは化学物質の配合物を添加する。ポリマー微小球は、様々な商品名のもと製造及び市販され、並びに粒子の壁を形成するための様々なポリマー材料を使用する。
【0025】
ポリマー微小球、分解性ポリマー粒子、及び/又はガス発生剤の使用は、実質上、目下の技術における殆どの問題を除去する。分解性ポリマー粒子は、完全に分解性の粒子、及び少なくとも部分的に分解性の粒子を含む。部分的な分解性とは、粒子構造の一部が、加水分解に影響されにくく、従って部分的に満たされた空隙を残すことを意味する。さらなる処理なしに、通常空気連行コンクリートにおいて使用可能ではないために、現在埋め立てられるいくつかの材料、すなわち、低級の、高炭素フライアッシュを使用することも可能になる。このことが、セメントの節約、ひいては経済的な節約をもたらす。
【0026】
混和剤が使用されるセメント質組成物は、一般に環境にさらされる、すなわちセメント質組成物が、気候、及び凍結融解サイクルにさらされる環境中に配置されるだろう。
【0027】
ポリマー微小球、分解性ポリマー粒子、及びガス発生剤によって発生させたガスは、最終硬化前にセメント質材料のマトリクス中に空所を提供し、かつかかる空所が、セメント質材料の耐凍結融解性の増大に作用する。ポリマー微小球、分解性ポリマー粒子、及び現場でのガス発生は、ウェットキャストのセメント質組成物中に空隙を提供し、凍結融解サイクルにより生じる劣化に抵抗があり、かつウェットキャストのセメント質組成物の混合中に、気泡の安定化に依存しないコンクリート中に、完全に形成された空隙構造を製造する。現場でのガス発生及びポリマー微小球又は分解性ポリマー粒子によって製造された耐凍結融解性の強化は、セメント質材料中で水が凍結した場合に生じる圧力を除去するための物理機構に基づく。通常の実地において、適切な大きさで、かつ間隔をあけた空隙は、化学混和剤の使用によって硬化された材料中で発生され、混合中にコンクリート混合物に連行された気泡を安定化する。通常のコンクリート混合物において、分類として、それら化学混和剤は、空気連行剤と呼ばれている。
【0028】
水硬性セメントは、ポルトランドセメント、アルミン酸カルシウムセメント、リン酸マグネシウムセメント、リン酸マグネシウムカリウムセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメント、又は任意の他の適切な水硬性結合剤であってよい。骨材は、セメント質のウェットキャスト混合物中に含まれてよい。該骨材は、ケイ酸、石英、砂、破砕された大理石、ガラス玉、花崗岩、石灰岩、方解石、長石、沖積砂、あらゆる他の耐久性のある骨材、及びそれらの混合物であってよい。
【0029】
アルミニウム粉末の使用は、歴史的にセメント系中に気泡を製造する1つの手段であった。アルミニウム粉末以外にガス発生剤を使用することは、多くの利点がある。第一に、水素ガス(アルカリ性pHの水とアルミニウム粉末との反応により形成される)の代わりに、不燃性ガス、例えば窒素または二酸化炭素の形成である。第二に、アルミニウム粉末の粒子は、一般に多くのガス発生剤の粉末より大きく、かつそれら粉末は、より大きい気泡を発生させ、構造中に溝を作る傾向がある。結果として、アルミニウム粉末は、必ずしも耐凍結融解性の目的のための硬化コンクリート系における良好な泡の構造を製造するとは限らない。第三の利点は、アルミニウム粉末の反応が、殆どのガス発生剤の分解経路とは異なって、極めて温度依存性であることである。
【0030】
ガス発生添加剤は、ドライセメントの約0.005質量%〜約2質量%(固体)の量でセメント質組成物に添加されてよい。該ガス発生添加剤は、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、アンモニア、又はメタンガスを発生し、かつ広範囲の化学に由来する任意の化合物、例えば窒素ガス発生化合物、例えばヒドラジン、ヒドラジド、アジド、アゾ化合物、アゾジカルボンアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルアセトンヒドラゾン、トルエンスルホニルセミカルバジド、フェニルテトラゾール、ジニトロソ−ペンタメチレンテトラミン;水素ガス発生化合物、例えば水酸化ホウ素ナトリウム;酸素ガス発生化合物、例えば有機ペルオキシド及び無機ペルオキシド;二酸化炭素発生化合物、例えば炭酸水素ナトリウム、又は他のアルカリ金属もしくはアルカリ土類炭酸塩;並びに空気発生化合物、例えば活性炭である。ヒドラジドの一例は、4,4’’−オキシジベンゼンスルホニルヒドラジドである。4,4’’−オキシジベンゼンスルホニルヒドラジドのいくつかの特性は、4,4’’−オキシジベンゼンスルホニルヒドラジドが、セメント質組成物を適所に置いた後で分解し、及び相対的に水に不溶性であることである;従って、4,4’’−オキシジベンゼンスルホニルヒドラジドは、輸送中に機械的作用によって有意な影響を受けない。この材料は、ある膨張性の偏りをモルタル及びグラウト中の化学収縮に提供するために歴史的に使用されているが、しかし凍結融解サイクルにさらされたセメント質組成物に起こる損傷を低減する方法に使用されていなかった。
【0031】
ポリマー微小球は、平均直径約100マイクロメートル以下であり、並びに特定の実施態様では平均直径約25マイクロメートル以下を有し、及び他の実施態様では平均直径約10マイクロメートル以下を有する。該ポリマー微小球は、中空のコア及び圧縮性の壁を有してよい。ポリマー微小球の内部は、ガスを含む(ガス入り)か、もしくは液体を含む(液体入り)1つの空隙又は多数の空隙を含む。
【0032】
該ポリマー微小球は、少なくとも1種のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ−o−クロロスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレン、並びにそれらのコポリマー、例えば塩化ビニリデン−アクリルニトリル、ポリアクリロニトリル−コポリメタクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン−ポリアクリロニトリル、又は塩化ビニル−塩化ビニリデン等のコポリマーであるポリマーを含んでいてよい。該ポリマー微小球は、ポリマーからなるので、壁は、可撓性であり、例えば圧力に応じて動く。このことは、圧力にさらされた場合に破損する剛構造を有する微小球を製造するガラス、セラミック、又は他の可撓性でない材料と対照的である。従って、ポリマー微小球が製造される材料は、可撓性があり、かつセメント質組成物のアルカリ性環境に耐性がある。
【0033】
加えて、該微小球又は他の分解性ポリマー粒子は、分解性ポリマーからなっていてよい。理論によって制限されることを意図しない一方で、分解性ポリマーは、強アルカリ性の環境(セメント質組成物中にみられるような)において不安定であり、かつ数時間、数日、数週間にわたって分解する。分解性ポリマーの微小球及び粒子は、酵素及び細菌による分解、並びにセメント質組成物中に存在する遷移金属による触媒作用にも影響を受けやすい。従って、空所は、水和の過程中、硬化中、及びさらにセメント質組成物が硬化された後に製造される。分解性ポリマー微小球粒子は、中空のコア及び圧縮性の壁を有してよい。分解性ポリマー微小球又は分解性ポリマー粒子の内部は、ガスを含む(ガス入り)か、もしくは液体を含む(液体入り)1つの空隙又は多数の空隙を含んでよい。
【0034】
該分解性ポリマーは、ポリエステルポリマー、又はポリラクトンポリマーからなっていてよい。他のいくつかの実施態様において、ポリエステルは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、又はそれらのコポリマー、もしくは混合物、例えば、制限されることなく、ポリ乳酸−ポリ乳酸、ポリグリコール酸−ポリグリコール酸、及びポリ乳酸−ポリグリコール酸、ラクチド−カプロラクトン、ラクチド−酸化エチレン、ラクチド−環状カーボネート、ラクチド派生のポリ(エステルアミド)、及びポリ(L−ラクチド−co−D−ラクチド)のコポリマーを含んでいてよい。加えて、微小球又は粒子がポリ乳酸、ポリ乳酸のコポリマー、もしくはポリ乳酸の混合物を含有する特定の実施態様において、微小球又は粒子がセメント質組成物中で分解されるために、公知の強度増強剤である乳酸が製造される。ポリマー粒子がポリマーからなるので、壁は、可撓性があり、圧力に応じて動く。このことは、圧力にさらされた場合に破損する剛構造を有する微小球を製造するガラス、セラミック、又は他の可撓性のない材料と比較される。
【0035】
特定の実施態様において、微小球又は分解性ポリマー粒子の寸法は、約10μmより小さい平均直径でありうる。ポリマー微小球又はポリマー粒子の直径が小さければ小さいほど、所望の間隔係数(耐凍結融解性の予測変数である)を達成することは要求されない。このことは、必要とされる球体の質量の減少が小さいため、経済的観点と同様に、それらの添加によって圧縮強度における低下の減少が、起こる性能的観点から有利である。同様に、ポリマー微小球の壁厚は、材料費を最小限にするために、できるだけ薄く、しかしセメント質組成物の混合、打込み、硬化、及び仕上げの過程中の損傷/破損に耐えるために十分な厚さであるべきである。
【0036】
セメント質組成物に添加されるポリマー微小球又は分解性ポリマー粒子の量は、全体積の約0.05%〜4%、もしくはドライセメントセメントの約0.01質量%〜約4質量%である。
【0037】
本明細書に記載された方法によって製造される混和剤組成物は、他の添加剤又は成分を含有してよく、かつ記載した配合物に制限されるべきではない。添加されうる添加剤は、分散剤、硬化及び強度の促進剤/増強剤、硬化遅延剤、減水剤、腐食防止剤、湿潤剤、水溶性ポリマー、レオロジー改質剤、撥水剤、非劣化繊維、防湿剤、透水性低減剤、殺真菌剤、殺菌剤、殺虫剤、アルカリ反応性低減剤、結合剤、収縮低減剤、並びにあらゆる他の混和剤、又はセメント質組成物の性質に悪影響を及ぼさない添加剤を含むが、これらに制限されない。セメント質組成物は、それぞれの上記添加剤の1つを含む必要はない。
【0038】
本明細書に記載された方法によって提供されるセメント質組成物は、他の添加剤又は成分を含有してよく、かつ記載した配合物に制限されるべきではない。添加されうるセメント添加剤は、空気連行剤、骨材、ポゾラン、分散剤、硬化及び強度の促進剤/増強剤、硬化遅延剤、減水剤、腐食防止剤、湿潤剤、水溶性ポリマー、レオロジー改質剤、撥水剤、繊維、防湿剤、透水性低減剤、殺真菌剤、殺菌剤、殺虫剤、微細鉱物質添加剤、アルカリ反応性低減剤、結合剤、収縮低減剤、及びあらゆる他の混和剤、又はセメント質組成物の性質に悪影響を及ぼさない添加剤を含むが、これらに制限されない。セメント質組成物は、それぞれの上記添加剤の1つを含む必要はない。
【0039】
骨材は、細骨材を有するモルタル、及び粗骨材を有するコンクリートを提供するためのセメント質組成物中に含まれてよい。細骨材は、4番ふるい(ASTM C 125及びASTM C 33)をほぼ完全に通過する物質、例えばケイ砂である。粗骨材は、4番ふるい(ASTM C 125及びASTM C 33)上にほとんど残っている物質、例えばケイ石粉、石英、破砕された大理石、ガラス玉、花崗岩、石灰岩、方解石、長石、沖積砂、砂、もしくはあらゆる他の耐久性のある骨材、並びにそれらの混合物である。
【0040】
ポゾランは、セメント質の価値をほとんど又は全く持たないが、水の存在下及び微分散形状において、セメント質の特性を有する材料を形成するためのポルトランドセメントの水和の間に製造された水酸化カルシウムと化学的に反応しうるケイ質材料又はアルミノケイ質材料である。ケイ藻土、オパール質チャート、粘土、頁岩、フライアッシュ、スラグ、シリカヒューム、火山凝灰岩、及び軽石が、既知のポゾランの一部である。特定の高炉スラグ微粉末及び高カルシウムのフライアッシュは、ポゾランの性質とセメントの性質とを有する。天然ポゾランは、自然に生じるポゾラン、例えば火山凝灰岩、軽石、火山土、ケイ藻土、オパール質、チャート、及びある種の頁岩を定義するために使用される技術用語である。名目上、不活性材料は、微分散された粗石英、ドロマイト、石灰岩、大理石、花崗岩、及びその他を含んでもよい。フライアッシュは、ASTM C618で定義されている。
【0041】
使用する場合には、シリカヒュームは、圧縮されなくてよく、もしくは部分的に圧縮されてよく、又はスラリーとして添加されてもよい。シリカヒュームは、付加的に、セメント結合剤の水和の副産物と反応し、完成品の強度の増加をもたらし、及び完成品の透水性を低下する。シリカヒューム、又は他のポゾラン、例えばフライアッシュ、もしくは焼成クレー、例えばメタカオリンを、セメント質材料の質量に対して約5%〜約70%の量でセメント質のウェットキャスト混合物に添加してよい。
【0042】
使用される場合に分散剤は、あらゆる好適な分散剤、例えばリグノスルホネート、ベータナフタレンスルホネート、スルホン化メラミンホルムアルデヒド縮合体、ポリアスパラギン酸塩、ポリエステル単位を有する及び有さないポリカルボン酸塩、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合樹脂、例えばLOMAR D(登録商標)分散剤(オハイオ州シンシナティ在、Cognis Inc.製)、又はオリゴマー分散剤であってよい。
【0043】
ポリカルボン酸分散剤を使用することができるが、これは、ペンダント側鎖を有する炭素主鎖をし、側鎖の少なくとも一部分が、カルボキシル基又はエーテル基を通して主鎖に結合しているものを意味する。分散剤という用語は、可塑剤、高性能減水剤、流動化剤、凝集防止剤、又はセメント質組成物の流動化剤としても機能する化学物質を含むことを意味する。ポリカルボン酸分散剤の例は、米国の公開番号2002/0019459A1号、米国の特許番号6,267,814号、米国の特許番号6,290,770号、米国の特許番号6,310,143号、米国の特許番号6,187,841号、米国の特許番号5,158,996号、米国の特許番号6,008,275号、米国の特許番号6,136,950号、米国の特許番号6,284,867号、米国の特許番号5,609,681号、米国の特許番号5,494,516;米国の特許番号5,674,929号、米国の特許番号5,660,626号、米国の特許番号5,668,195号、米国の特許番号5,661,206号、米国の特許番号5,358,566号、米国の特許番号5,162,402号、米国の特許番号5,798,425号、米国の特許番号5,612,396号、米国の特許番号6,063,184号、及び米国の特許番号5,912,284号、米国の特許番号5,840,114号、米国の特許番号5,753,744号、米国の特許番号5,728,207号、米国の特許番号5,725,657号、米国の特許番号5,703,174号、米国の特許番号5,665,158号、米国の特許番号5,643,978号、米国の特許番号5,633,298号、米国の特許番号5,583,183号、並びに米国の特許番号5,393,343号において見ることができ、参照をもって、下記に完全に書き記されたものとして、に本願にすべて取り入れる。
【0044】
オリゴマー分散剤という用語は、構成要素A、場合により構成要素B、又は構成要素Cの反応生成物であり、その際、それぞれの構成要素Aが、独立してポリマーではなく、セメント質粒子上に吸着する機能的成分であり、構成要素Bは、任意の成分であり、存在する場合には、それぞれの構成要素Bは、独立して構成要素A成分と構成要素C成分との間に配置された、ポリマーではない成分であり、並びに構成要素Cは、直鎖又は分枝鎖状の水溶性の、実質上セメント粒子に吸着しない非イオンポリマーである少なくとも1つの成分である反応生成物であるオリゴマーを示す。オリゴマー分散剤は、米国の特許番号6,133,347号、米国の特許番号6,492,461号、米国の特許番号6,451,881号に開示され、参照をもって、下記に完全に書き記されたものとして、本願に取り入れる。
【0045】
使用されうる硬化及び強度の促進剤/増強剤は、制限されることなく、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアルミニウムの硝酸塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアルミニウムの亜硝酸塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアルミニウムのチオシアン酸塩;アルカノールアミン;アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアルミニウムのチオ硫酸塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアルミニウムの水酸化物;アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアルミニウムのカルボン酸塩(有利にはギ酸カルシウム);ポリヒドロキシルアルキルアミン;アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン塩(有利には臭化物)を含み、使用されうる促進剤の例は、制限されることなく、POZZOLITH(登録商標)NC534、非塩化物型促進剤、及び/又はRHEOCRETE(登録商標)の亜硝酸カルシウムに基づく腐食防止剤を含み、どちらもオハイオ州クリーヴランド在、Degussa Admixtures Inc.による商標のもとで販売される。
【0046】
硝酸の塩は、一般式M(NO3aを有し、式中、Mは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属、又はアルミニウムであり、並びにaは、アルカリ金属塩に対して1、アルカリ土類塩に対して2、及びアルミニウム塩に対して3である。Na、K、Mg、Ca、及びAlの硝酸塩が好ましい。
【0047】
亜硝酸塩は、一般式M(NO2aを有し、式中、Mは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属、又はアルミニウムであり、並びにaは、アルカリ金属塩に対して1、アルカリ土類塩に対して2、及びアルミニウム塩に対して3である。Na、K、Mg、Ca、及びAlの亜硝酸塩が好ましい。
【0048】
チオシアン酸の塩は、一般式M(SCN)bを有し、式中、Mは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属、又はアルミニウムであり、並びにbは、アルカリ金属塩に対して1、アルカリ土類塩に対して2、及びアルミニウム塩に対して3である。それら塩は、スルホシアン酸塩、硫シアン化物塩、ロダン酸塩、又はロダン化物塩として様々に知られている。Na、K、Mg、Ca、及びAlのチオシアン酸塩が好ましい。
【0049】
アルカノールアミンは、三価の窒素が、直接アルキルアルコールの炭素原子に結合する化合物の群の総称である。代表的な式は、N[H]c[(CH2dCHRCH2R]eであり、式中、Rは、独立して、H又はOHであり、cは3−eであり、dは0〜約4であり、及びeは1〜約3である。事例は、制限されることなく、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びトリイソプロパノールアミンを含む。
【0050】
チオ硫酸塩は、一般式Mf(S23gを有し、式中、Mは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属、又はアルミニウムであり、並びにfは、1又は2であり、及びgは、1、2、又は3であり、金属元素Mの原子価に依存する。Na、K、Mg、Ca、及びAlのチオ硫酸塩が好ましい。
【0051】
カルボン酸塩は、一般式RCOOMを有し、式中、Rは、H又はC1〜約C10のアルキルであり、かつMは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属、又はアルミニウムである。Na、K、Mg、Ca、及びAlのカルボン酸塩が好ましい。カルボン酸塩の一例は、ギ酸カルシウムである。
【0052】
ポリヒドロキシルアルキルアミンは、一般式
【化1】

を有し、式中、hは1〜3であり、iは1〜3であり、jは1〜3であり、及びkは0〜3である。好ましいポリヒドロキシアルキルアミンは、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンである。
【0053】
硬化抑制、又は遅延硬化、又は水和制御としても知られている混和剤を、セメント質組成物の硬化速度を抑制するため、遅延するため、又は減速するために使用する。硬化遅延剤を使用することによって、セメント質組成物の硬化に対して暑い気候の促進効果を相殺し、又は配置の難しい状況が生じた場合、もしくは仕事場への供給の問題が生じた場合に、セメント質組成物の初期硬化を遅らせ、又は特別な仕上げの過程の時間を与える。ほとんどの硬化遅延剤は、低レベルの減水剤としても作用し、かつセメント質組成物中に多少の空気を連行するためにも使用されうる。リグノスルホン酸塩、水素化カルボン酸、ホウ砂、グルコン酸、酒石酸、及び他の有機酸、及びそれらに相当する塩、ホスホン酸塩、特定の炭水化物、例えば糖、ポリサッカライド、及び糖酸、並びにそれらの混合物が、遅延剤として使用されうる。
【0054】
腐食防止剤は、埋め込まれた強化スチールを腐食から保護する役割を果たす。セメント質組成物の高アルカリの性質は、該スチール上に不動態の腐食しない酸化物保護膜を形成させる。しかしながら、中性化、又は除氷剤もしくは海水からの塩化物イオンが酸素と共に存在することが、該膜を破壊又は貫通し、腐食の結果となりうる。腐食防止剤は、化学的にこの腐食反応を遅らせる。腐食を防止するために最も一般に使用される物質は、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、特定のリン酸塩又はフルオロケイ酸塩、フルオロアルミン酸塩、アミン、有機に基づく撥水剤、及び関連化学物質である。
【0055】
建設分野において、引張応力及び続くひび割れからセメント質組成物を保護する多くの方法が、何年にもわたって開発されている。1つの近代的方法は、フレッシュセメント混合物の全体にわたって繊維を分散させることに関する。硬化にあたり、このセメント質組成物は、繊維強化セメントと呼ばれる。繊維は、ジルコニウム材料、炭素、スチール、ガラス繊維、もしくは合成材料、例えばポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、高強度アラミド、又はそれらの混合物から製造されうる。
【0056】
防湿剤は、低いセメント含有量、高い水−セメント比、又は骨材部分における微粉の欠如を有するコンクリートの透水性を減少する。それら混和剤は、湿ったコンクリート中への透湿を抑制し、一定の石けん、ステアリン酸塩、及び石油製品を含む。
【0057】
透水性低減剤は、加圧水がセメント質組成物を通して透過される比率を減少するために使用される。シリカヒューム、フライアッシュ、粉砕スラグ、メタカオリン、天然ポゾラン、減水剤、及びラテックスが、セメント質組成物の透水性を減少するために使用されてよい。
【0058】
硬化されたセメント質組成物の上又は中の細菌及び真菌の成長は、殺真菌剤、殺菌剤、並びに殺虫剤の使用によって部分的に制御されうる。それらの目的のための最も有効な材料は、ポリハロゲン化フェノール、ジアルドリン乳剤、及び銅化合物である。
【0059】
着色剤は通常、顔料、有機顔料、例えばフタロシアニン、又は無機顔料、例えば酸化金属及びその他を含有する金属含有顔料のいずれかを含有するが、これらに制限されず、並びに酸化鉄含有顔料、例えばCHROMIX(登録商標)L(オハイオ州クリーヴランド在、Degussa Admixtures,Inc.製)、酸化クロム、酸化アルミニウム、クロム酸鉛、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、鉄マンガンブラック、コバルトグリーン、マンガンブルー、マンガンバイオレット、硫セレン化カドミウム、クロムオレンジ、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、亜鉛黄、ウルトラマリンブルー、及びコバルトブルーを含んでよいが、これらに制限されない。
【0060】
アルカリ反応性低減剤は、アルカリ骨材反応を減少させ、この反応が硬化されたセメント質組成物中で生じうる破壊膨張力を制限することができる。ポゾラン(フライアッシュ、シリカヒューム)、高炉スラグ、リチウム及びバリウムの塩は、特に有効である。
【0061】
使用できる収縮低減剤は、制限されることなく、RO(AO)1-10Hを含有し、式中、Rは、C1-5のアルキル基、又はC5-6のシクロアルキル基であり、並びにAは、C2-3のアルキレン基、硫酸アルカリ金属塩、硫酸アルカリ土類金属塩、酸化アルカリ土類、有利には硫酸ナトリウム、及び酸化カルシウムである。TETRAGUARD(登録商標)混和剤(オハイオ州クリーヴランド在、Degussa Admixture,Inc.から入手可能である)は、使用されうる収縮低減剤の一例である。
【0062】
一実施態様において、セメント質組成物に耐凍結融解性を提供する方法は、セメント質組成物に、少なくとも1種のポリマー微小球、分解性ポリマー粒子、ガス発生添加剤、又はそれらの混合物を含有する粘度変性剤を添加することを含む。ポリマー微小球は、ガス入り又は液体入りであってよい。さらに該ポリマー微小球は、少なくとも1種のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ−o−クロロスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレン、又はそれらのコポリマー、もしくは混合物、例えば、制限されることなく、塩化ビニリデン−アクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−コポリメタクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン−コポリアクリロニトリル、もしくは塩化ビニル−塩化ビニリデンのコポリマーを含んでよい。別の実施態様において、分解性ポリマーは、ポリエステルポリマー、又はポリラクトンポリマーを含んでよい。他のいくつかの実施態様において、ポリエステルは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、又はそれらのコポリマー、もしくは混合物、例えば、制限されることなく、ポリ乳酸−ポリ乳酸、ポリグリコール酸−ポリグリコール酸、及びポリ乳酸−ポリグリコール酸のコポリマー、ラクチド−カプロラクトン、ラクチド−酸化エチレン、ラクチド−環状カーボネート、ラクチド派生のポリ(エステルアミド)、及びポリ(L−ラクチド−co−D−ラクチド)を含んでよい。特定の実施態様において、粘度変性剤は、セルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース、もしくはヒドロキシプロピルセルロース;ポリエチレングリコール;又はポリサッカライド、例えばジウタンガム水溶液、もしくはウェランガム水溶液からなっていてもよい高分子量ポリマー溶液を含有する。特定の他の実施態様において、ガス発生添加剤は、ヒドラジドであってよい。
【0063】
別の実施態様において、セメント質組成物に耐凍結融解性を提供する方法は、少なくとも1つの次の特徴を有する:ガス発生添加剤を、ドライセメントの約0.005質量%〜約5質量%の範囲で添加し、ポリマー微小球又は分解性ポリマー粒子を、ドライセメントの約0.01質量%〜約4質量%の範囲で添加する。
【0064】
一実施態様において、少なくとも1種のポリマー微小球、少なくとも部分的に分解性のポリマー粒子、又はガス発生添加剤を含有する粘度変性剤を含む非従来型の耐凍害性混和剤を提供する。該粘度変性剤は、セルロース、例えばヒドロキシエチルセルロースもしくはヒドロキシプロピルセルロース;ポリエチレングリコール;又はポリサッカライド、例えばジウタンガム水溶液、もしくはウェランガム水溶液からなっていてもよい高分子量のポリマー溶液を含有する。特定の実施態様において、ポリマー微小球は、少なくとも1種のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ−o−クロロスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレン、もしくはコポリマー、又はそれらの混合物であるポリマーからなっていてもよい。別の実施態様において、分解性ポリマーは、ポリエステル、又はポリラクトンポリマーを含んでよい。他のいくつかの実施態様において、ポリエステルは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、又はそれらのコポリマー、もしくは混合物、例えば、制限されることなく、ポリ乳酸−ポリ乳酸、ポリグリコール酸−ポリグリコール酸、及びポリ乳酸−ポリグリコール酸のコポリマー、ラクチド−カプロラクトン、ラクチド−酸化エチレン、ラクチド−環状カーボネート、ラクチド派生のポリ(エステルアミド)、及びポリ(L−ラクチド−co−D−ラクチド)を含んでよい。他の実施態様において、ガス発生添加剤は、硬化する前にセメント質組成物中で、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、アンモニア、又はメタンガスを発生する化合物を含んでよい。
【0065】
実施例
ガス発生剤を有する粘度変性剤の混和剤配合物
市販されている粘度変性剤を、アゾジカルボンアミドの既知の量と3〜5分間高剪断混合し、滑らかで均質な混和剤を提供した。
【0066】
【表1】

【0067】
混合している間に、混合容器の壁から付着物を時々削り落とし、粘度変性剤中で確実に固体の完全な分散させた。得られた分散液は、易流動性であり、かつ明黄色であった。それらを、現場で使用する前に、室温で2週間貯蔵した。
【0068】
微小球を有する粘度変性剤の混和剤配合物
市販されている微小球水性分散液を、既知の量のジウタンガムと高剪断混合し、滑らかで均質な混和剤を提供した。ジウタンガム粉末を、数回に分けて添加した。
【0069】
【表2】

【0070】
混合容器の壁、及び混合回転翼取り付け部から付着物を、頻繁に削り落とし、ジウタンガムを確実に完全に分散液させた。該混合物を、それぞれ次の添加前に充分に均質化した。全体の添加過程及び混合過程は、約20〜25分要した。得られた分散液は、濃く、注型でき、かつ白色であった。それらを、現場で使用する前に、室温で1週間まで貯蔵した。
【0071】
本明細書に記載された実施態様は、単に例示的性質であると理解され、当業者は、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく変更及び修正してよい。すべてのかかる変更及び修正は、上記本明細書に記載される本発明の範囲内に包含されることを意図する。さらに、すべての開示された実施態様は、必ずしも代替形態ではなく、本発明の様々な実施態様として、結果を提供するために組み合わされてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリマー微小球、少なくとも部分的に分解性のポリマー粒子、ガス発生添加剤、又はそれらの混合物を含む粘度変性剤を含有する非従来型の耐凍害性混和剤。
【請求項2】
前記粘度変性剤が、高分子量のポリマー溶液を含有する請求項1に記載の混和剤。
【請求項3】
前記粘度変性剤が、少なくとも1種のセルロース、ポリエチレングリコール、ポリサッカライド、又はそれらの混合物を含有し、その際、該粘度変性剤がポリサッカライドを含有する場合には、前記ポリサッカライドは、有利には、ジウタンガム水溶液、ウェランガム水溶液、又はそれらの混合物の少なくとも1種であり、かつ該粘度変性剤がセルロースを含有する場合には、前記セルロースが、有利には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又はそれらの混合物の少なくとも1つである請求項1に記載の混和剤。
【請求項4】
前記ポリマー微小球が、i)少なくとも1種のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ−o−クロロスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレン、又はそれらのコポリマー、もしくは混合物であるポリマー、又はii)少なくとも1種の塩化ビニリデン−アクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン−コポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−コポリメタクリロニトリル、塩化ビニル−塩化ビニリデンのコポリマー、又はそれらの混合物を含有する請求項1に記載の混和剤。
【請求項5】
ポリマー微小球、又は少なくとも部分的に分解性のポリマー粒子が、i)少なくとも1種のポリ乳酸、ポリグリコール酸、又はそれらのコポリマー、もしくは混合物である分解性ポリマー、又はii)少なくとも1種のポリ乳酸−ポリグリコール酸、ラクチド−カプロラクトン、ラクチド−酸化エチレン、ラクチド−環状カーボネート、ラクチド派生のポリ(エステルアミド、ポリ(L−ラクチド−co−D−ラクチド)、又はそれらの混合物である分解性コポリマーを含有する請求項1に記載の混和剤。
【請求項6】
ポリマー微小球、又は分解性ポリマー粒子が、硬化中にセメント質組成物中で分解する請求項5に記載の混和剤。
【請求項7】
ポリマー微小球、又は少なくとも部分的に分解性のポリマー粒子が、約100μm以下の平均直径、有利には、約10μm以下の平均直径を有する請求項1から6までのいずれか1項に記載混和剤。
【請求項8】
ポリマー微小球が、少なくとも1種のガス入り又は液体入りである請求項1に記載の混和剤。
【請求項9】
ガス発生添加剤が、硬化する前のセメント質組成物中に窒素、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、アンモニア、又はメタンガスを発生する化合物を含有する請求項1に記載の混和剤。
【請求項10】
ガス発生添加剤が、少なくとも1種のヒドラジド、ヒドラジン、アジド、又はアゾ化合物である請求項1に記載の混和剤。
【請求項11】
ガス発生添加剤が、少なくとも1種のアゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、有機過酸化物、無機過酸化物、トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルアセトンヒドラゾン、トルエンスルホニルセミカルバジド、フェニルテトラゾール、水素化ホウ素ナトリウム、活性炭、又はジニトロソ−ペンタメチレンテトラミンである請求項1に記載の混和剤。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の粘度変性剤をセメント質組成物に添加することを含む、セメント質組成物に耐凍結融解性をもたらす混和剤の供給方法であって、少なくとも1種のポリマー微小球、少なくとも部分的に分解性のポリマー粒子、ガス発生添加剤、又はそれらの混合物を含有する該粘度変性剤を、セメント質組成物に単独の混和剤として添加する方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法によって製造されるセメント質組成物。

【公表番号】特表2008−543707(P2008−543707A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516194(P2008−516194)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005540
【国際公開番号】WO2006/133855
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】