説明

セラミック−金属構造物

【課題】セラミック金属構造物の提供。
【解決手段】固体の基材;非湿潤性の流動化可能材料により湿潤性でない固体の基材の表面上に接着された、非湿潤性流動化可能材料の被膜;並びに非湿潤性の流動化可能材料の被膜中に分散された、非湿潤性流動化可能材料により湿潤性である粉末粒子、を含んでなる、構造物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的に、基材への非湿潤性材料の被覆法、テープのようなセラミック−金属構造物の製造法、2種のセラミック体相互の接着法、及びそれらの方法により形成された構造物、に関する。
【背景技術】
【0002】
改善された材料に対する今日の増加する要望により、靭性、変形性、電気伝導性、熱伝導性、及び溶接能のような金属の性状並びに、セラミックの強度及び剛性を有する材料をもつことが望ましいような時がしばしばある。このような混成材料を達成する一つの方法は、セラミック基材上に金属を被覆させることにより、金属とセラミックを層状にすることであろう。生成される層状材料は、通常の装置を製造するために使用することができるであろうが、しかしその材料は金属の利点をセラミックの利点と組み合わせるであろうため、その装置はこれまでの材料で出来た装置よりもより小型で、従ってより軽量に製造されるだろうが、しかし目的の用途のためには同様に有効のままであろう。
【0003】
しかし選択された金属及びセラミックの間の湿潤性が湿潤に対して貢献的でないため、選択された金属が選択されたセラミック上にを十分に被覆しないことがしばしば認められる。
【0004】
更に、金属酸化物は、しばしば、伝導性及び強度に有害なため、セラミックの基材上に非湿潤性の金属を被覆させそして、層状の製品中に最低量の金属酸化物をもたらすことが、望ましいであろう。
【0005】
更に、被覆される材料と基材材料の間の湿潤性の特徴が湿潤に対して貢献的でないので、その材料が室温で固体であろうと流体であろうと、選択された基材上へ材料を被覆させることが困難な、無数のその他の場合も存在する。
【0006】
セラミック−金属テープ製造の、より具体的な分野において、使用される最も一般的な方法は、テープ注型(casting)法である。この方法はしばしば、結合剤の取り外しがし
ばしば困難なため、注型テープ中に、望ましくない高含量の結合剤を必要とする。テープ注型法はまたしばしば、テープを注型するために有機溶媒の使用を必要とする。しかし、有機溶媒の使用は環境的に望ましくない。
【0007】
最近のテープの注型法に伴うもう1つの問題は、セラミック及び金属粉末の両者に対して適宜な調製物を開発することが容易な作業ではないことである。更に、最近の方法により形成されたテープの厚さを調節することは困難である。最近のテープ注型法に伴うその他の問題は、形成されたテープが多孔質で、高温における圧縮時に全次元に収縮し、そして具体的には工程に、望ましくないような高温を要する。
【0008】
セラミック産業においては、2種のセラミック体を相互に接着させる改善された方法もまた必要とされる。しばしば、2種のセラミック体を、もう1種のセラミックと相互に接着させる。このようにして形成されたセラミック結合物は良好な強度をもつが、一旦結合が破壊されると、それは破局的な動態で分離する。2種のセラミック体を相互に接着させるために金属結合物を使用する場合、金属接合物は具体的に、セラミック接合物よりも弱い強度をもつが、緩徐な亀裂の生長を伴って変形することができ、従ってセラミック結合物よりも破局的な破壊性が少ない。従ってセラミック結合物の高い強度のみならずまた、金属結合物の、特徴的に破局的な破壊度の少ないという利点を持つ、2種のセラミック体
を相互に接着させる方法を開発することが望ましい。
【発明の開示】
【0009】
従って、固体の基材上への非湿潤性材料の構造物及びその製法を提供することが、本発明の一つの目的である。
【0010】
更に、その方法が、結合剤又は有機溶媒をほとんどもしくは全く必要とせず、多数の異なったセラミック−金属調製物に応用可能で、テープの厚さの調節が容易で、高温における圧縮時に収縮がほとんどもしくは全く起こらないようなかなり稠密な(dense)テープ
を形成し、そして望ましくないほどの高い処理温度を必要としないような、テープのようなセラミック−金属構造物の製造方法を提供することも本発明のもう一つの目的である。
【0011】
更に、高度な接着強度及び緩徐な亀裂の生長を有する、互いに接着された2種のセラミック体の構造物、並びに2種のセラミック体を互いに接着させる方法を提供することも、本発明のもう一つの目的である。
【0012】
前記の目的を達成するための、本発明の一つの態様は、非湿潤性の流動化可能材料により、非湿潤性か又はごくわずかに湿潤性である、基材の表面上を非湿潤性の流動化可能材料を被覆させる方法である。その方法は、(a)基材の表面上に、非湿潤性の流動化可能材料により湿潤性である粉末粒子の層を付着させること;(b)非湿潤性の流動化可能材料を粉末粒子の層に接触させること;並びに(c)非湿潤性の流動化可能材料を、層中の粉末粒子の間に浸透させ、そして基材の表面に接触させ、それにより非湿潤性流動化材料で、基材の表面を被覆させること、を含む。
【0013】
より具体的には、非湿潤性流動化可能材料は有機流体、無機流体、ポリマー材料、ガラス、又は金属から形成されることができ、基材は、金属、ガラス、セラミック、又はセラミックと金属の複合物から形成されることができそして、粉末粒子は金属、セラミック、又はそれらの混合物か形成されることができる。好ましくは、粉末粒子は1から25マイクロメーターの厚さ及び50から90パーセントの多孔度をもつ層状で付着しており、そして粉末粒子は0.1マイクロメーターから50マイクロメーターの平均粉末度をもつ。好都合には、非湿潤性流動化可能材料の被膜は、粉末粒子の層により被覆された基材表面の少なくとも約50パーセントと接触することができる。
【0014】
直前に記載された方法により形成された層状構造物は、固体基材、固体基材の表面に接着された、非湿潤性の流動化可能材料の被膜、並びに非湿潤性流動化可能材料の被膜中に分散された粉末粒子、を含む。好ましくは、該層状構造物中では、非湿潤性流動化可能材料は、固体基材表面上に実質的に連続的に被覆されている。「実質的に連続的に被覆されている」の術語は、本明細書に使用される場合は、非湿潤性流動化可能材料が、それに被覆されている固体基材表面の少なくとも約50パーセントに接触していることを意味する。
【0015】
本発明のもう一つの態様は、セラミック−金属テープの製法である。この方法は、(a)固体成型物上に非湿潤性のセラミック粉末の層を付着させること;(b)非湿潤性のセラミック粉末の層上に湿潤性粉末の層を付着させること;(c)湿潤性粉末の層に金属を接触させること;(d)金属が熔融し、そして、湿潤性粉末の層を通って、そして非湿潤性のセラミック粉末の層と接触している湿潤性粉末の個々の粒子の周囲に浸透して、金属浸透構造物を形成するような温度に、金属を加熱すること、そして(e)金属浸透構造物を冷却して金属を固化させること、それにより固体成型物上にセラミック金属テープを形成すること、を含む。この態様においては、非湿潤性セラミック粉末は、熔融金属により湿潤性でなくそして湿潤性粉末は熔融金属により湿潤性である。
【0016】
こうして形成されたセラミック−金属テープは、一緒に層状にすることができそして、層状構造物を、層状にしたセラミック−金属テープを、互いに接着させてセラミック−金属構造物を形成させるような温度に加熱することができる。
【0017】
本発明の更にもう一つの態様は、セラミック体同士の接着法である。この方法は、(a)第1のセラミック体の表面を、非反応性の粉末粒子及び反応性粉末粒子で被覆させること;(b)第1のセラミック体の被覆された表面に、第2のセラミック体の表面を隣接させること;(c)第1のセラミック体及び第2のセラミック体の間の被膜を金属と接触させること;(d)金属が、個々の粉末粒子の周囲の、粉末粒子被膜を通過して浸透し、そして2種のセラミック体に接触するような温度で、十分な時間をかけて、金属を加熱すること;並びに(e)金属が固化するまで浸透した金属を冷却し、それにより2種のセラミック体を相互に接着させること、を含む。非反応性粉末粒子は、浸透する金属と非反応性であり、そして反応性粉末粒子は浸透する金属と反応性である。
【0018】
直前に記載の方法により形成された層状構造物は、(a)第1のセラミック体;(b)第1のセラミック体に接着された金属浸透層;及び(c)金属浸透層に接着された第2のセラミック体、を含む。金属浸透層は、反応性材料、非反応性材料、及び金属を含有し、ただし、反応性材料は金属に反応性でありそして非反応性材料は金属に非反応性である。
【0019】
本発明の第1の態様は、非湿潤性の流動化可能材料により非湿潤性であるかごく僅かに湿潤性である基材上に、非湿潤性の流動化可能材料を被覆させるための方法である。この方法は概括的に、(a)基材の表面に、非湿潤性の流動化可能材料により湿潤性である粉末粒子の層を付着させること、(b)粉末粒子の層に、流動化可能材料を接触させること、並びに(c)粉末粒子の間に流動化可能材料を浸透させ、そして基材表面に接触させ、それにより基材上に実質的に連続的な被膜を形成すること、の段階を含む。
【0020】
基材はどんな形態をもっても良く、そして例えば、金属、ガラス、セラミック、又はセラミック−金属複合物の形態でもよい。基材を形成することができる具体的なセラミックは、AlN、SiC、Al、Si、及びBCを含む。基材はスリップ成型、プレス成型、テープ成型、押し出し、又は射出成型のようなどんな適宜な技術により成型されてもよい。高密度の基材が要請される場合は、焼結、熱圧、熱等圧圧縮、又は基材への金属浸透等の技術により未処理物質(greenware)を圧縮することができる。
【0021】
被覆される流動化可能材料は、どんな流動化可能材料、即ち、流体であるか又は、例えば熔融により流体化されることができるどんな材料でもよい。被覆される流動化可能材料が熔融可能ならば、該熔融可能材料は、基材又は粉末粒子が熔融するか、又は互いに著しく反応するような温度よりは低い温度で熔融しなければならない。流動化可能材料の被膜は、化学的又は物理的相互作用のどちらかにより基材に付着させることができることが好ましい。
【0022】
流動化可能材料の具体的な例は、有機又は無機の流体、ガラス、ポリマー材料、及び、金属合金を含む金属、である。ポリマー材料は熱可塑性樹脂及びポリマー性流体を含む。具体的な金属はアルミナム、銅、マグネシウム、コバルト、鉄、モリブデン、及びニッケルを含む。具体的な金属合金は、モリブデン−ニッケルである。
【0023】
本発明の第1の態様の方法は、流体及び固体が、非湿潤性の動態を特徴とする時に、固体上に流体を被覆させる性能を提供する。材料(A)がある具体的な雰囲気中で、材料(B)により湿潤性か否かは、選択された雰囲気における材料(A)の稠密な物体上における、材料(B)の流体又は液体化された液滴の接触角度を測定することにより、決定する
ことができる。材料(B)が室温で固体である場合は、その接触角度を測定するためには、材料(B)を融点まで加熱しなければならない。接触角度は、流体−気体の界面及び流体−固体の界面の間の角度である。
【0024】
接触角度が90゜未満の場合に、材料(A)は材料(B)により湿潤性であると考えられる。湿潤性の組み合わせ物が望ましい場合は、接触角度が45゜未満であり、そしてより好ましくは25゜未満であることが好ましい。材料(A)は、接触角度が90゜以上である時に、材料(B)により湿潤性でないと考えられる。
【0025】
基材の表面上に付着される粉末粒子は、流動化可能材料により湿潤性でなければならない。粉末粒子の組成は、流動化可能材料が流動化され、そして粉末粒子の層と接触する時、流動化可能材料が毛細管作用により粉末粒子間を流動するように選択される。粉末粒子は基材に化学的又は機械的に接着可能である必要はない。本発明の方法の条件に暴露された後に、しばしば、粉末粒子が基材に接着しないか又はごく弱くのみ接着することが望まれることがある。
【0026】
粉末粒子を形成することができる具体的な材料は、金属、セラミック、及びそれらの混合物を含む。粉末粒子及び流動化可能材料のための物質の組み合わせ物の幾つかの例は:W及びCu、Ti及びMg、WC及びCo、TiC及びCo、WC及びFe、MoSi及びAl、TiC及びMo、BC及びAl、TiB及びAl、TiC及びAl、SiB及びAl、TiB及びNi、並びにTiC及びMo−Ni、を含む。
【0027】
粉末粒子は0.1から50マイクロメーター、より好ましくは1から25マイクロメーター、そして最も好ましくは、1から5マイクロメーターの粉末度を有することが好ましい。
【0028】
粉末粒子は多数の方法により基材の表面上に付着させることができる。例えば、粉末粒子は流体中に分散させそして、例えば噴霧、ブラシで塗ること又は印刷により付着させることができる。印刷法は基材上に粉末粒子を模様を付けて付着させることができる。化学蒸着法、プラズマに高めた溶射法又はイオン光線スパッター法のような方法も使用することができる。粉末粒子が分散物として付着される場合、粉末粒子の層は好ましくは金属を浸透させる前に乾燥される。
【0029】
粉末粒子は基材上に、1から500マイクロメーター、より好ましくは3から150マイクロメーター、そして最も好ましくは5から100マイクロメーターの乾燥した厚さで付着させることが好ましい。具体的には粉末粒子は1から20単層(monolayer)の厚さ
、好ましくは、少なくとも2単層の厚さで付着させる。
【0030】
乾燥粉末粒子の層は好ましくは、50から90パーセント、より好ましくは、60から80パーセント、そして最も好ましくは、70から80パーセントの多孔度をもつ。粉末粒子層の多孔度により、粉末粒子層は基材表面上で不連続的である。
【0031】
基材上に一旦乾燥粉末−粒子層が付着されたら、粉末−粒子層は、粉末−粒子層上に直接流動化可能材料を置くか又は、粉末−粒子層の一部に流動化可能材料を単に接触させるかのどちらかにより、流動化可能材料と接触させられる。
【0032】
図1は、流動化可能材料10(金属として示されている)のブロックが、基材14の表面上に付着された、粉末粒子層12(これも金属として示されている)上に置かれている、方法のこの段階を示している。示されたように、粉末粒子層12は多孔性で、基材14に不連続的に接触している。
【0033】
流動化可能材料が室温で流体である場合は、流動化可能材料は粉末粒子の間及びその周囲に浸透して、次第に基材表面に接触させられる。更に、流動化可能材料は基材表面に隣接する粉末粒子の下方に流入することができ、それにより、流動化可能材料と基材の間の接触面積の量を増加させることが望ましい。接触面積の増加は、基材に対する流動化可能材料の被膜の付着性を改善する補助になる。
【0034】
流動化可能材料が室温で固体の場合は、流動化可能材料が熔融して粉末粒子間に、そして好ましくは、少なくとも、粉末粒子の幾つかと基材表面の間に浸透するような高温に、そしてそれに十分な時間、流動化可能材料を加熱する。流動化可能材料の加熱は、具体的には真空下で実施される。
【0035】
流動化可能材料の浸透化の終結後、流動化可能材料は好ましくは、粉末粒子の周囲を流動し、そして、粉末粒子が元来付着していた基材表面の、少なくとも50パーセント、より好ましくは少なくとも80パーセント、最も好ましくは少なくとも95パーセントに接触する。基材表面上への流動化可能材料の被覆の結果として、粉末−粒子層は基材表面上で、不連続性のままであるか又はそれに接触しないかである。生成された流動化可能−材料の被膜は、実質的に、流動化可能材料の連続層により囲まれた孤立した粉末粒子からなる。流動化可能材料は、そうでなければ流動化可能材料により湿潤性でない基材表面に直接接触している。粉末粒子層をもたずに実施された同様な実験は、基材上における流動化可能材料の弱い湿潤性のために、流動化可能材料が基材上で広がることができないので、基材上の連続的被膜の欠乏をもたらす。
【0036】
図2は、本発明の第1の態様の方法により形成された層状構造物を示している。金属10は、それが基材表面14と連続的に接触するまで、粉末粒子の層12中及び個々の粉末粒子の周囲に浸透した。
【0037】
粉末粒子/流動化可能材料複合物の層中の粉末粒子の含量は、具体的には複合物の層の重量の5から25重量パーセントにすることができる。
【0038】
流動化可能材料が金属である場合は、この方法の一つの利点は、生成される基材−被膜の界面が、望ましくない金属酸化物の最低量を含有する点である。本方法は、被覆化過程中、流体金属が流動性で、それが粉末粒子層中に浸透する時に、酸化された表面層を残していくので、基材−流動化可能材料の界面に少量の金属酸化物をもたらす。従って、この界面には、金属フォイル又は粒子を使用するその他の方法により製造される製品において典型的に含有される、表面の酸化物がない。基材表面と接触している、新鮮で清浄な金属表面をもつことは、金属及び基材間の化学的拡散を増加させる補助になり、それにより2種の物質間の付着及び接着を改善させる。
【0039】
層構造物の金属−浸透層は、熱伝導体、電気伝導体、強化遮断層、又は溶接帯として使用することができるか、あるいは反応させるか酸化されて、化学的及び/又は機械的−遮蔽層を形成することができる。
【0040】
本発明の第2の態様は、セラミック−金属テープを製造するための方法である。この方法は、(a)付形された固体の成型物上に非湿潤性セラミック粉末の層を付着させること;(b)非湿潤性のセラミック粉末の層上に湿潤性の粉末層を付着させること;(c)湿潤性粉末の層に金属を接触させること;(d)金属が、湿潤性粉末層の粒子間に浸透して、非湿潤性のセラミック粉末層に接触して金属−浸透構造物を形成するような温度に金属を加熱すること、そして(e)金属−浸透構造物を冷却して、金属を固化させ、そして固体成型物上のセラミック−金属テープを形成させること、の段階を含む。非湿潤性のセラ
ミック粉末は金属流動を停止させ、それが、浸透及び冷却が終結するとき、固体の成型物からテープを分離させる。
【0041】
第2の態様の方法は、第1の態様の方法を使用する。第1の態様において、流動化可能材料は、基材の表面上の粉末粒子間及びその周囲に浸透させられる。第2の態様においては、流動化可能材料は熔融金属であり、基材はその上に非湿潤性のセラミック粉末層をもつ固体成型物である。
【0042】
本発明の第2の態様に使用される固体成型物は、平坦な表面か起伏をもった面にすることができ、具体的にはセラミックで形成される。固体成型物が型表面として使用され、後に除去される場合は、該固体成型物は好ましくは、本方法の条件(温度及び圧力)に暴露した後に非湿潤性セラミック粉末に非接着性の材料から形成される。更に、固体成型物を取り外す場合、固体成型物は本方法における具体的な金属により湿潤性でない材料から形成されることが好ましい。
【0043】
固体成型物が最終的構造物の一部に留まる場合は、固体成型物は、本発明の第2の態様の条件(温度及び圧力)に暴露される時に、非湿潤性セラミック粉末に接着する材料から形成されることが好ましい。
【0044】
固体成型物とその他の材料間の接着性、非接着性、及び湿潤性相互作用は経験的に決定することができる。
【0045】
前記のように、非湿潤性のセラミック粉末は本方法で使用される金属により非湿潤性である。非湿潤性の定義は、本発明の第1の態様で考察されたものと同様である。非湿潤性セラミック粉末は金属を固体成型物に接触させることを遮蔽することにより、遮蔽層として作用するために含有される。
【0046】
好ましくは、非湿潤性セラミック粉末は0.01から100マイクロメーター、より好ましくは、0.01から10マイクロメーター、そして最も好ましくは、0.01から1マイクロメーターの粉末度をもつ。
【0047】
非湿潤性セラミック粉末層は前記の本発明の第1の態様の粉末粒子について提唱されたものと同様の方法により付着させることができる。非湿潤性セラミック粉末層が分散物として適用される場合は、その層は乾燥される。
【0048】
非湿潤性セラミック粉末の乾燥層は0.1から100マイクロメーター、より好ましくは1から50マイクロメーター、そして最も好ましくは1から25マイクロメーターの厚さを有することが好ましい。具体的には非湿潤性セラミック粉末層は1から10単層の厚さである。
【0049】
非湿潤性セラミック粉末の乾燥層は40から80パーセント、より好ましくは、40から70パーセント、そして最も好ましくは40から60パーセントの多孔度を有することが好ましい。前記のように、湿潤性粉末粒子は、その間に浸透される金属により湿潤性である。湿潤性及び好ましい接触角度の定義は、本発明の第1の態様で考察されたものと同様である。湿潤性粉末の組成は、金属が熔融されそして湿潤性粉末と接触させられる場合に、熔融金属が、毛細管作用により湿潤性粉末の粒子間を流動するように選択される。湿潤性粉末は基材に化学的又は機械的に接着可能である必要はない。具体的には湿潤性粉末はセラミック又は金属から形成される。
【0050】
湿潤性粉末は本発明の第1の態様における粉末粒子の被覆化に対して記載のものと同様
の方法により付着させることができる。
【0051】
湿潤性粉末の好ましい粉末度、及び厚さ及び多孔度のような湿潤性粉末層の好ましい性状は、所望のテープの性状に左右される。具体的には、湿潤性粉末の粉末度は、0.1から50マイクロメーターであり、湿潤性粉末層の固体含量は、10から50パーセント(すなわち、湿潤性粉末層の多孔度が50から90パーセントである)であり、そしてテープの厚さは5から1000マイクロメーターの範囲にある。
【0052】
湿潤性粉末の粒子間に浸透される金属は、元素金属、合金、又はそれらの混合物でよい。粒子間に金属を浸透させるために、金属を最初に湿潤性粉末層に接触させる。接触方法は重要ではない。例えば、金属は湿潤性粉末層上に全体的に置くこともできるし、又は湿潤性粉末層の一部にのみ接触させることもできる。
【0053】
図3は、その中で、金属20が、順次、セラミック成型物26上に付着された非湿潤性の粉末の被膜24上に付着された、湿潤性粉末の被膜22上に存在するような、湿潤性粉末の被膜に金属を接触させることを示している。
【0054】
湿潤性粉末に金属を接触させた後、図4に示されるように、金属が非湿潤性セラミック粉末に接触するまで、金属が湿潤性粉末の間及び周囲に浸透するような温度に金属を加熱する。金属は概括的に、非湿潤性セラミック粉末の粒子間には浸透しない。第2の態様の加熱段階は具体的には真空下又は不活性気体雰囲気中で実施される。
【0055】
金属を加熱し、そして所望のように、粒子間にそれを浸透させた後に、固体成型物、固体成型物の表面上に付着された非湿潤性セラミック粉末層、金属の連続的母材により囲まれた湿潤性粉末層、を含む層状構造物を冷却させて金属を固化させる。固体成型物及び非湿潤性セラミック粉末の組成が、その2種がその方法の過程中接着しないように選択された場合は、固体成型物は、非湿潤性セラミックからなる第1の層及び、金属で浸透された湿潤性粉末からなる第2の層、を有する層構造物からなる構造物の残りから取り外すことができる。非湿潤性セラミック粉末の層は、機械的粉砕又はブラッシかけを含む幾つかの方法により、金属に浸透された湿潤性粉末の層から容易に取り外すことができる。金属で浸透された湿潤性粉末は図5に示されるような、セラミック−金属テープと考えることができる。
【0056】
セラミック−金属テープ中のセラミックの量は、セラミック粉末の付着法及びセラミック粉末の粉末度に左右されるが、具体的にはテープの重量の10から50重量パーセントの間で変動させることができる。
【0057】
このようにして形成されたセラミック−金属テープは具体的には、理論的最大密度の少なくとも約95パーセントの密度を有する。固体成型物の形状に応じて、テープは平坦でも複雑な幾何学的形態をもってもよい。
【0058】
このようにして形成されたセラミック−金属テープは相互に層状にすることができ、そして層状にされたテープを、そのテープを相互に接着させるような温度に加熱することができる。接着の温度は、金属の熔融温度より低いが、圧力下で金属を変形可能にさせるに十分高い、金属変形温度にすることができる。その他の様態においては、2種のテープを互いに接着させる温度は、金属を隣接セラミック層中に拡散させるに十分に高い温度である拡散焼結温度にすることができる。セラミック−金属テープの層は2種類以上の層を巻き込むことができそして、異なった組成の層を巻き込むことができる。
【0059】
固体成型物を加熱過程後に取り外すことができる材料の具体的組み合わせ物は次の表に
示されている。
組み合わせ物 セラミック成型物 非湿潤性粉末 湿潤性粉末 金属
I AlN AlN TiB2 Al
II AlN AlN B4C Al
III AlN AlN TiC Mo-Ni
IV Al2O3 Si3N4 WC Co
V Al2O3 AlN TiB Al
VI Al2O3 AlN Al2O3 Nd
VII AlN B4C W Cu
【0060】
本発明の第2の態様の方法により形成された、1本のテープ及び数本のテープの複合物は電子基材及びハードディスクドライブ部品のための電子産業において使用することができる。テープ及び複合体はまた、軽量の自動車ブレーキ、ロボットの腕、及びクラッチのような構造的用途に使用することもできる。
【0061】
本発明の第3の態様は概括的に、反応性粉末、非反応性粉末、及び金属を使用することによる、セラミック体の相互の接着方法である。その方法は、第1に、反応性粉末粒子及び非反応性粉末粒子による、第1のセラミック体の表面の被覆を含む。場合によっては、第2のセラミック体の表面も被覆することができる。反応性粉末粒子は、選択された具体的な金属と化学的に反応性であり、そして非反応性粉末粒子は選択された金属と化学的に非反応性である。次いで第2のセラミック体の表面を、第1のセラミック体の被覆された表面に対して隣接させる。2種のセラミック体間の被膜が接着領域を区画する。次いで第1のセラミック体及び第2のセラミック体間の被膜を金属と接触させ、そして、その金属が被膜を通って、そして被膜の個々の粒子の周囲に浸透して、最後に2種のセラミック体と接触するような温度に、十分の時間にわたり、金属を加熱する。金属を冷却し固化させると、2種のセラミック体は互いに接着される。
【0062】
互いに接着されるセラミック体は、ほとんどもしくは全く金属を含まないセラミックで形成されても、又はセラミック−金属複合物で形成されていてもよい。セラミック体はどんな大きさでも形状でもよい。セラミック体は浸透金属により湿潤性でも非湿潤性でもよい。更に、セラミック体は浸透金属と化学的に反応性でも化学的に非反応性でもよい。記載のように、反応性の粉末粒子は接着領域へ浸透する金属と化学的に反応性である。すなわち、本発明において使用される反応性粉末粒子は、浸透性金属と新規な材料相(materialphase)を形成するものである。それに対して、本発明において使用される、非反応性の粉末粒子は、浸透性金属と新規な材料相を形成しないものである。
【0063】
反応性及び非反応性粉末粒子の両者が、本発明の第1の態様に対して前記のような湿潤性としての定義に従う、浸透性金属により湿潤性でなければならない。前記の好ましい接触角度もまた本発明のこの第3の態様にも適用される。
【0064】
反応性及び非反応性の粉末粒子は好ましくは、0.1から10マイクロメーターそして、より好ましくは、0.5から5マイクロメーターの粉末度を有する。具体的には反応性及び非反応性粉末粒子はセラミック又はセラミック混合物である。
【0065】
セラミック体もしくはセラミック体類への反応性及び非反応性粉末粒子の被覆は、幾つかの方法のどれによって実施されてもよい。一つの被覆方法としては、2種のセラミック体を最初に、反応性粉末粒子の層で被覆し、そしてその後に非反応性粉末粒子の層で被覆する。次いで2種の物体を、互いに接着させるために、それらの被覆された表面を隣接させることができる。この被覆方法においては、反応性粉末粒子の層は0.5から15マイクロメーター、より好ましくは1から15マイクロメーターの厚さを有することが好まし
く、そして非反応性粉末粒子の2層は1から50マイクロメーター、より好ましくは1から10マイクロメーターの合計の厚さを有することが好ましい。非反応性粉末粒子の層は個々には、好ましくは、0.5か25マイクロメーター、そしてより好ましくは、0.5から5マイクロメーターの厚さを有する。
【0066】
被覆の第2の方法としては、第1のセラミック体を始めに、反応性粉末粒子の層で被覆しそして次に非反応性粉末粒子層で被覆し、そして第2のセラミック体を反応性粉末粒子層のみで被覆することができる。次いで2種の物体を、互いに接着させるために、それらの被覆された表面を隣接させることができる。この被覆方法では、反応性粉末粒子の層はそれぞれ、0.5から50マイクロメーター、より好ましくは、1から5マイクロメーターの厚さを有し、そして非反応性粉末粒子の層は1から25マイクロメーターの厚さを有することが好ましい。
【0067】
被覆の第3の方法として、第1のセラミック体を最初に、反応性粉末粒子の層で被覆し、その後反応性粉末粒子及び非反応性粉末粒子の混合物の層で被覆し、そして第2のセラミック体を反応性粉末粒子のみの層で被覆することができる。次いで2種の物体を、互いに接着させるために、それらの被覆された表面を隣接させることができる。反応性及び非反応性粉末粒子の混合物は、所望の接着特性に応じて、非反応性粉末粒子に対する反応性粉末粒子の種々の比率をもつことができる。好ましくは、非反応性粉末粒子に対する反応性粉末粒子の比率は、75:25から25:75、より好ましくは、50:50から25:75である。この被覆方法においては、反応性粉末粒子の層それぞれは、1から10マイクロメーター、より好ましくは、1か5マイクロメーターの厚さを有し、そして、反応性及び非反応性粉末粒子の混合物の層は5から50マイクロメーター、より好ましくは、10から20マイクロメーターの厚さを有することが好ましい。
【0068】
第4のしかしそれほど好ましくはない被覆法として、第1のセラミック体を反応性粉末粒子及び非反応性粉末粒子の混合物の層で被覆することができる。この混合物は好ましくは、75:25から25:75の、そしてより好ましくは、50:50から25:75の非反応性粉末粒子に対す反応性粉末粒子の比率を有する。次いで2種の物体を互いに接着させるために、第2のセラミック体を第1のセラミック体の被覆された表面に隣接させることができる。この被覆法において、反応性及び非反応性粉末粒子の混合物の層は、1から50マイクロメーター、より好ましくは、5から20マイクロメーターの厚さを有することが好ましい。
【0069】
反応性粉末粒子の層は好ましくは、50から90パーセント、そしてより好ましくは、75から85パーセントの多孔度を有する。非反応性粉末粒子の層は好ましくは、60から90パーセント、そしてより好ましくは、70から85パーセントの多孔度を有する。反応性及び非反応性粉末粒子の混合物の層は好ましくは50から90パーセント、そしてより好ましくは70から85パーセントの多孔度を有する。
【0070】
反応性及び非反応性粉末粒子は、多数の方法によりセラミック体上に被覆させることができる。例えば、粉末粒子を水に分散させ、そして例えば、噴霧、ブラッシで塗ること、又は印刷により付着させることができる。更に、化学的蒸着、プラズマ溶射付着法又はイオン光線スパッター法のような方法も使用することができる。粉末粒子を分散物として付着させる場合、粉末粒子の層は好ましくは、金属を浸透させる前に乾燥させる。
【0071】
反応性及び非反応性粉末粒子を一旦適宜なセラミック体上に被覆させた後、セラミック体を接着させる表面を互いに隣接させる。次いで、第1のセラミック体と第2のセラミック体の間の被膜を金属に接触させる。金属は元素金属でも金属合金でもよい。接触過程は例えば、被覆された表面の間に金属を置くこと、又は粉末粒子被膜の外側部分に単に接触させることにより実施することができる。
【0072】
次いで、接触された金属を、その金属が、被膜を通って、そして被膜の個々の粒子の周囲に浸透し、そして最後に2種のセラミック体に接触するような温度に、十分な時間にわたり加熱する。その加熱過程の間に、金属は接着領域中に浸透するが、セラミック体中に浸透する必要はない。セラミック体が稠密でありそして/又は金属により非湿潤性である場合は、金属は概括的にセラミック体中に浸透しないであろう。
【0073】
移動する熔融金属は最低量の金属酸化物を含むので、末梢から接着領域中へ金属を誘導する方法は、最終接着製品中の金属酸化物の量を最小にするので、通常、粉末粒子被膜の末梢部分を浸透金属と単に接触させることが好ましい。それに対し、金属及びそれに伴う金属酸化物が被膜により挟まれる場合は、金属酸化物は最終接着製品の一部として残留する。
【0074】
具体的には、金属がアルミナム又はアルミナム合金である場合は、浸透温度は1000℃から1200℃であり、そして十分な時間は5から45分間である。好ましくは、加熱過程は真空下で実施される。代替的には不活性気体の雰囲気を使用することができる。
【0075】
加熱過程後、セラミック体構造物を、具体的には室温に冷却させ、それにより金属を固化させそしてセラミック体を互いにに接着させる。冷却後、接着されたセラミック体をせいぜい約800℃に加熱することにより熱−処理することができる。
【0076】
第3の態様において使用することができる材料類の具体的組み合わせ物は:セラミック体を形成する材料としてBC−Al、反応性粉末粒子としてBC粉末、非反応性粉末粒子としてTiB粉末、及び金属としてアルミナム又はアルミナム合金、である。この組み合わせ物においては、セラミック体(BC−Al)は金属(アルミナム又はアルミナム合金)により湿潤性であると考えられる。
【0077】
第3の態様のための材料の代替的組み合わせ物は、セラミック体が窒化アルミナムから形成されることを除いて、前記の組み合わせ物と同様である。この組み合わせ物において、セラミック体(AlN)は金属(アルミナム又はアルミナム合金)により非湿潤性であると考えられる。
【0078】
このように形成された製品は、第1のセラミック体、第1のセラミック体に接着された金属の浸透された層、及び金属の浸透された層に更に接着された第2のセラミック体、を含む層状構造物である。金属の浸透した層は反応性材料、非反応性材料、及び浸透された金属を含有する。反応性材料は、反応性粉末粒子及び浸透された金属から形成され、そして非反応性材料は非反応性粉末粒子から形成される。
【0079】
反応性及び非反応性粉末粒子の被覆法に応じて、層状構造物の金属浸透層は、異なった材料の傾度曲線(gradient)を有する可能性がある。例えば、反応性粉末粒子が最初にセラミック体上に付着される場合は、金属浸透層はセラミック体の近辺において、非反応性材料に比してより高い濃度の反応性材料を含むであろう。より高い濃度の反応性材料を含むこの部分は、高濃度反応性材料層と称することができる。高濃度反応性材料層は、存在する場合は、0.5から100マイクロメーター、しかし好ましくは0.5から15マイクロメーターの厚さである可能性がある。
【0080】
層状構造物において、反応性粉末粒子により形成された材料は強力な接着性及び界面強度を提供し、金属は亀裂の生長反応に対する延性の経路(ductile path)を提供し、そして非反応性粉末粒子により形成された材料は反応に対する遮蔽層を提供する。層状構造物における亀裂は、具体的には、反応性粉末粒子及び金属により形成される脆弱な界面において開始するであろう。次いで亀裂は、非反応性粉末粒子/金属複合物の、より弱い、し
かしより延性の層を通って生長させられ、そして金属中の亀裂に類似の動態を示す。
【0081】
第3の態様の方法を使用することによる2種のセラミック体の相互の接着の利点は、界面の強度及び、典型的に発生する破断の種類を、より良く調節できる点である。更に、接着された製品は、セラミックの有効な特性と金属の有効な特性の融合をもたらすであろう。
【0082】
従って、本発明は通常、非湿潤性材料により通常は湿潤性でない固体の基材上に被覆された非湿潤性材料から形成された新規な構造物、並びにそれらを製造する方法、を提供する。本発明はまた、ほとんどもしくは全く結合剤もしくは有機溶媒を必要とせず、多数の異なったセラミック−金属調製物に適用でき、テープの厚さの容易な調節を可能にし、焼結時にほとんどもしくは全く収縮が起こらないようなかなり稠密なテープを形成し、そして、望ましくないほど高い処理温度を必要としない、テープのようなセラミック−金属構造物を製造する方法を提供する。更に、本発明は、強力な接着強度及び緩徐な亀裂生長を有する、互いに接着された2種のセラミック体の構造物、並びにこのような構造物の形成方法、を提供する。
【0083】
下記の実施例は、例示的目的のみのためのものであり、そして本明細書又は請求の範囲の、範囲を限定するものと解釈してはならない。特記されない限り、すべての部及び百分率は重量に基づいている。
【0084】
実施例として、種々の基材上の種々の金属の接触角度を測定した。AlN、BC、Si、TiB及びWの稠密な基材を1ミクロンの表面仕上げに研磨した。種々の金属の0.5グラムのサンプルを仕上げ表面の1cm面積上に置いた。金属/基材組み立て物を、タングステンの加熱装置、組み立て物を観察する顕微鏡、及び組み立て物を撮影することができる撮影機器、を設置した炉内に置いた。炉内に組み立て物を設置後、炉内を10トル(Torr)真空下に維持し、そして20℃/分の速度で、1200℃まで加熱した。1200℃で10分間維持後、基材上の金属の接触角度を、組み立て物を撮影した写真から測定した。基材上の金属の接触角度は下表に示されている。最初の3種の組み合わせ物は非湿潤性動態を示しそして後の3種の組み合わせ物は湿潤性の動態を示している。
基材 金属 接触角度
AlN Al 130゜
C Cu 135゜
SiAl 105゜
TiB Al 25゜
C Al 20゜
W Cu 10゜
【実施例】
【0085】
実施例1
約3マイクロメーターの平均粉末度を有する、規格1500の、Elektroschemeltzwerk Kempten, Munich, German社により製造された炭化ホウ素粉末を、1400℃のアルゴン雰囲気内で焼結して、炭化ホウ素の表面を不動態化させそしてアルミナムと化学的に相容性にさせた。焼結された炭化ホウ素を、NHOHの添加により調節されたpH7をもつ水中に、25重量パーセントの固体に分散させた。
【0086】
AlN基材の表面に、幹から伸びている3本の枝をもつ木の形状に、炭化ホウ素粉末の分散物を噴霧被覆させた。次いでAlN基材上の噴霧被膜を乾燥させた。噴霧被膜は約10マイクロメーターの厚さを有した。アルミナム金属を木の形状の炭化ホウ素被覆表面の
底部で噴霧被膜に接触させ、次いでアルミナムに接触されたAlN基材を真空下で1160℃に加熱した。温度を12分間1160℃に維持した。この実験では、熔融金属は窒化アルミナムを典型的には湿潤化させないが、木の形状の炭化ホウ素被覆面全体が、窒化アルミナムに十分に接着されたアルミナムの薄い層を有した。被覆基材の研磨された切断面は、窒化アルミナム基材に接着された炭化ホウ素−アルミナム複合物の実質的な連続層を示した。アルミナムの、窒化アルミナムとの直接的接触面積は75パーセントを越えることが観察された。
【0087】
実施例2
約4マイクロメーターの平均粉末度を有する、ドイツのHerman Starck社により製造さ
れた、ホウ化チタン粉末を、25重量パーセントの固体含量になるようにメタノールに分散させた。熱圧縮窒化ケイ素のブロックを、ホウ化チタン分散物で噴霧被覆させた。次いでホウ化チタンの層を乾燥させると、それは約150マイクロメーターの乾燥厚さを有した。アルミナム金属を、ホウ化チタン層と接触して置き、そして該構造物を真空下で、毎時540℃の割合で1160℃まで加熱し、そして温度を30分間1160℃に維持した。通常、アルミナムは窒化ケイ素を湿潤化させずそして1200℃未満の接触角度は90゜より大きい。しかし本実験においては、アルミナムは大部分の窒化ケイ素を湿潤化させ、十分なホウ化チタンで被覆されていない僅かな点のみを残した。窒化ケイ素とのアルミナムの直接的接触面積は約80パーセントであることが認められた。
【0088】
実施例3
タングステン粉末のスラリーを、15重量パーセントの固体含量になるようにヘプタンに、1から3マイクロメーターの平均粉末度をもつタングステン粉末を分散させることにより調製した。
【0089】
2種の熱圧した炭化ホウ素の基材を、それぞれの1表面を機械で平滑にした。第1の炭化ホウ素基材の、機械処理した面にタングステン粉末スラリーを噴霧した。次いで、タングステン被膜を乾燥させると約25マイクロメーターの厚さを有した。第2の炭化ホウ素基材の機械処理した面はタングステンで被覆しなかった。次いで炭化ホウ素基材それぞれの上部に銅金属を置き、その構造物を加熱し、30分間1160℃で維持した。タングステンで被覆された炭化ホウ素の表面上の銅は、1160℃で60゜の接触角度をもつ半球を形成し、炭化ホウ素を湿潤化させた。それに対して、被覆されなかった炭化ホウ素の表面上の銅は、1160℃で135゜の接触角度をもつ球を形成し、そして炭化ホウ素を湿潤化させなかった。
【0090】
実施例4
ホウ化チタン粉末のスラリーを、20重量パーセントの固体含量になるようにメタノール中で調製した。使用されたホウ化チタン粉末は、約4マイクロメーターの平均粉末度を有した。窒化アルミナムの2種の基材のそれぞれの一方の面に、ホウ化チタンスラリーを噴霧被覆させた。次いで、ホウ化チタン被膜を乾燥させると、10から25マイクロメーターの厚さを有した。次いで2種の被覆された窒化アルミナムの基材を、ホウ化チタン層が互いに直接接触するようにサンドイッチ状に挟んだ。次いでAlN−TiB−AlNサンドイッチを、TiB被膜においてアルミナムと接触させて1160℃に加熱した。1160℃において、熔融されたアルミナムが多孔性のTiB層に浸透して、アルミナム−TiB及びAlN間に強力な界面結合を形成した。
【0091】
実施例5
窒化アルミナム粉末及びホウ化チタン粉末のスラリーを、25重量パーセントの固体含量に、メタノール中で調製した。窒化アルミナムの基材を、窒化アルミナム基材が、窒化アルミナム粉末の1層、並びに、窒化アルミナム粉末の層の上のホウ化チタン粉末の2層
、を有するように、スラリーを噴霧被覆させた。窒化アルミナム粉末は3から4マイクロメーターの粉末度を有し、ホウ化チタン粉末は4から6マイクロメーターの粉末度を有した。被覆された基材を乾燥させた。乾燥した窒化アルミナム層の厚さは約10マイクロメーターであり、そして乾燥したホウ化チタン層の全体の厚さは約125マイクロメーターであった。ホウ化チタン層をアルミナムと接触させ、そして該構造物を真空下で1160℃に加熱し、そして18分間その温度で維持した。1160℃において、熔融アルミナムはホウ化チタン層に浸透して、窒化アルミナム−被覆された窒化アルミナム基材の上部に、140から180マイクロメーターの厚さを有する、薄い、平坦なテープを形成した。アルミナム金属は窒化アルミナム粉末層に浸透しなかった。その結果、アルミナムは窒化アルミナム基材に接着しなかった。テープは約20容量パーセントのホウ化チタン含量を有した。ホウ化チタン−アルミナムのテープは窒化アルミナム基材から容易に剥がれた。
【0092】
実施例6
窒化アルミナム粉末のスラリーをメタノール中で調製し、そして炭化ホウ素粉末のスラリーをNHOHの添加により調節されたpH7をもつ水中で調製した。窒化アルミナム粉末は約1マイクロメーターの平均粉末度をもち、そして炭化ホウ素粉末は約3マイクロメーターの平均粉末度を有した。窒化アルミナム基材を最初に、窒化アルミナム粉末のスラリーで、そしてその後に炭化ホウ素粉末のスラリーで噴霧被覆させた。次いで被覆された窒化アルミナム基材を乾燥させた。乾燥された被膜は約180マイクロメーターの全体的な、乾燥の厚さを有した。炭化ホウ素粉末層をアルミナムと接触させそして次いで該構造物を真空下で1160℃に加熱しそして30分間その温度で維持した。冷却後、炭化ホウ素/アルミナムのテープは、テープと基材間の熱膨張の差により窒化アルミナム基材から分離した。テープは160から200マイクロメーターの厚さを有し、そしてテープのセラミック含量は15から20重量パーセントであった。
【0093】
実施例7及び7Cにおいて、セラミック体の間の界面の引っ張り強さを、0.002インチ/分のクロスヘッド速度及び10,000ポンドの負荷セルを有する、Instron、1
125型を使用する、引っ張りテストにより測定した。結果は引っ張りテスト中にもたらされた、負荷に対する変位曲線から決定された。
【0094】
実施例7
C−Alの2種の稠密な物体それぞれの表面に最初、反応性粉末としてBC粉末層を、そしてその後に非反応性粉末としてTiB粉末の層を噴霧した。BC及びTiB粉末両者はメタノール中の分散物として噴霧した。BC粉末は約3マイクロメーターの平均粉末度を有した。次いで被覆した層を乾燥させた。BC粉末の乾燥した層は約10マイクロメーターの厚さであり、理論密度の約20パーセントの密度(すなわち、約80パーセントの多孔度)を有した。TiB粉末は約6マイクロメーターの平均粉末度を有した。TiB粉末の乾燥された層は約20マイクロメーターの厚さを有し、理論密度の約25パーセントの密度(すなわち、約75パーセントの多孔度)を有した。粉末層の密度(又は多孔度)は、下記に考察するように、金属の浸透後に測定した。次いでセラミック体の2種の被覆された表面の間にアルミナムフォイルを挟んだ。次いでサンドイッチ状のセラミック体を1160℃の温度に15分間暴露させて、アルミナムを浸透させて、2種のセラミック体を相互に接着させた。生成された接着強度は、結合領域の脆弱な層、B−C−Alで、亀裂が発生する点で、約1830psiであると測定された。亀裂はB
C−BC−Al界面を通って生長せずに、TiB−Al−Al界面を通って生長した。亀裂は、引っ張りテストからの、負荷に対する変位の結果により示されたような、延性の態様で生長した。
【0095】
セラミック体上の粉末層の密度(又は対応する多孔度)は、金属−に接着されたセラミック体の切断面を観察しそして粉末及び金属の表面積を測定することにより決定された。
粉末層の密度(パーセント)は金属−粉末複合物の総表面積により金属の表面積を割り、100をかけることにより計算した。一方、粉末層の多孔度(パーセント)は、金属−粉末複合物の総表面積により粉末の表面積を割り、100をかけることにより計算した。
【0096】
比較例7A
C−Alの2種の稠密な物体の間にアルミナムのフォイルを挟み、そのサンドイッチ構造物を15分間1160℃に暴露させた。生成された接着強度は350から375psiと測定された。
【0097】
比較例7B
C−Alの2種の稠密な物体を一緒に平坦な表面上に置き、そしてアルミナムフォイルを接合面の末端に接触させた。次いで構造物を15分間、1160℃に暴露した。2種の物体間の界面中にアルミナムの浸透は見られなかった。結果として、2種の物体間に接着は得られなかった。
【0098】
比較例7C
C−Alの2種の稠密な物体の表面に、約6マイクロメーターの平均粉末度を有する非反応性粉末として、TiBの層を噴霧した。TiBの層は約20マイクロメーターの厚さであり、理論密度の20から25パーセントの密度(すなわち、75から80パーセントの多孔度)を有した。次いで稠密な物体の被覆面を隣接させ、そしてアルミナムを、隣接された表面の末端に接触させた。次いで該構造物を15分間、1160℃の温度に暴露させると、アルミナムが毛細管作用により被膜中に流入し、そして稠密な物体は互いに接着された。生成された界面の強度は、亀裂が接着領域で発生した点で、約1800psiであると測定された。亀裂はセラミック−サーメット(TiB−BC−Al)界
面を通って自然に生長した。亀裂は引っ張りテストからの、負荷に対する変位の結果により示されるような、典型的な脆弱な動態で生長した。
【0099】
以下に本発明の主な特徴と態様を列挙する。
【0100】
1. 非湿潤性の流動化可能材料により湿潤性でない、基材の表面上に、非湿潤性の流動化可能材料を被覆させる方法であって、その方法は:
(a)基材表面上に、非湿潤性の流動化可能材料により湿潤性である粉末粒子の層を付着させること;
(b)粉末粒子の層に、非湿潤性の流動化可能材料を接触させること;並びに
(c)非湿潤性の流動化可能材料が、層中の粉末粒子の間に浸透しそして基材の表面に接触することを可能にさせ、それにより基材の表面を、非湿潤性の流動化可能材料で被覆させること、
を含んでなる。
【0101】
2. 非湿潤性の流動化可能材料が熔融可能材料であり、そして前記の方法が更に、粉末粒子の層と接触している間に、熔融可能材料を加熱することを含んでなり、ただし該加熱が、熔融可能材料が粉末粒子間に浸透するような高温で、そして十分な時間にわたり実施される、1項の方法。
【0102】
3. 基材が金属、ガラス、セラミック、及びセラミックと金属の複合物から選択される物質から形成されている、1項の方法。
【0103】
4. 粉末粒子が、金属、セラミック及びそれらの混合物から選択された物質から形成されている、1項の方法。
【0104】
5. 粉末粒子の層が1から500マイクロメーターの厚さを有する、1項の方法。
【0105】
6. 粉末粒子が、0.1マイクロメーターから50マイクロメーターの平均粉末度を有する、1項の方法。
【0106】
7. 粉末粒子の層が、50から90パーセントの多孔度を有する、1項の方法。
【0107】
8. 非湿潤性の流動化可能材料が有機流体、無機流体、ポリマー材料、ガラス、及び金属から選択される、1項の方法。
【0108】
9. 非湿潤性流動化可能材料が流動化された時、それと、粉末粒子を形成している物質の稠密な物体(dense body)との間の接触角度が45゜未満である、1項の方法。
【0109】
10. 非湿潤性の流動化可能材料が、その上に非湿潤性流動化可能材料が被覆されている基材の表面の、少なくとも50パーセントと接触している、1項の方法。
【0110】
11. 非湿潤性金属により湿潤性でないセラミック基材の表面上に、非湿潤性の金属を被覆させる方法であって、該方法は:
(a)セラミック基材の表面上に、非湿潤性金属により湿潤性であり、0.1マイクロメーターから50マイクロメーターの平均粉末度を有し、そして、金属、セラミック、及びそれらの混合物から選択される物質から形成されている粉末粒子の層を、1から500マイクロメーターの厚さで、50から90パーセントの多孔度で付着させること;
(b)粉末粒子層に非湿潤性金属を接触させること;並びに
(c)粉末粒子の層と接触させている間に、非湿潤性金属を加熱すること、ただし、該加熱は、非湿潤性金属が粉末粒子間に浸透して、セラミックの基材の表面に接触し、それによりセラミック基材表面を非湿潤性金属で被覆させ、そして非湿潤性金属が、粉末粒子層により被覆された基材表面の少なくとも50パーセントに接触するような高温にそして十分な期間にわたり実施される、
を含んでなる。
【0111】
12. 固体の基材上に、非湿潤性の流動化可能材料を含む層状構造物であって、該構造物は:
(a)固体の基材;
(b)非湿潤性の流動化可能材料により湿潤性でない固体の基材の表面上に接着された、非湿潤性流動化可能材料の被膜;並びに
(c)非湿潤性の流動化可能材料の被膜中に分散された、非湿潤性流動化可能材料により湿潤性である粉末粒子、
を含んでなる。
【0112】
13. 非湿潤性の流動化可能材料が熔融可能な材料である、12項の構造物。
【0113】
14. 固体基材が、金属、ガラス、セラミック、及び、セラミックと金属の複合物からなる群から選択される物質から形成されている、12項の構造物。
【0114】
15. 粉末粒子が、金属、セラミック、及びそれらの混合物からなる群から選択される物質から形成されている、12項の構造物。
【0115】
16. 分散粉末粒子が、1から500マイクロメーターの厚さをもつ層状である、12項の構造物。
【0116】
17. 粉末粒子が0.1マイクロメーターから50マイクロメーターの平均粉末度を有する、12項構造物。
【0117】
18. 非湿潤性流動化可能な材料が、有機流体、無機流体、ポリマー材料、ガラス、及び金属から選択される、12項の構造物。
【0118】
19. 非湿潤性の流動化可能な材料が、流動化された場合、それと粉末粒子を形成している物質の稠密な物体との間の接触角度が45゜未満である、12項の構造物。
【0119】
20. 非湿潤性流動化可能な材料の層が、その上に非湿潤性流動化可能な材料が被覆されている固体基材の表面に、実質的に連続的に接触している、12項の構造物。
【0120】
21. セラミック基材上に非湿潤性金属を含む層状構造物であって、該構造物が:
(a)セラミック基材;
(b)非湿潤性の金属材料により湿潤性でない、セラミック基材の表面上に実質的に連続的に付着された非湿潤性の金属被膜;並びに
(c)非湿潤性金属の被膜中に分散された、0.1マイクロメーターから50マイクロメーターの平均粉末度を有し、非湿潤性流動化可能な材料により湿潤性であり、金属、セラミック、及びそれらの混合物から選択される物質から形成され、そして、1から500マイクロメーターの厚さを有する層状になっている粉末粒子、
を含んでなる。
【0121】
22. セラミック−金属テープの製造方法であって:
(a)固体の成型物上に非湿潤性のセラミックの粉末粒子の層を付着させること;
(b)非湿潤性セラミック粉末の層上に湿潤性の粉末の層を付着させること;
(c)湿潤性粉末の層に金属を接触させること;
(d)金属が熔融し、そして、湿潤性粉末の層を通過して、そして非湿潤性セラミック粉末の層に接触している湿潤性粉末の個々の粒子の周囲に浸透して、金属浸透構造物を形成するような温度に、金属を加熱すること;並びに
(e)金属浸透構造物を冷却して金属を固化させ、それにより固体成型物上にセラミック−金属テープを形成させること、
を含んでなる方法であって、
ただし非湿潤性のセラミック粉末は熔融金属により湿潤性でなく、そして湿潤性粉末は熔解金属により湿潤性である。
【0122】
23. 加熱過程に暴露される時、非湿潤性セラミック粉末が固体成型物に接着しない、22項の方法。
【0123】
24. 更に、
(f)固体成型物からセラミック−金属テープを取り外す:
過程を含んでなる、22項の方法。
【0124】
25. セラミック−金属構造物の製造方法であって、
(a)固体成型物上に、非湿潤性のセラミック粉末の層を付着させること;
(b)非湿潤性のセラミック粉末の層上に湿潤性粉末の層を付着させること;
(c)湿潤性粉末の層に金属を接触させること;
(d)金属が熔融し、そして湿潤性粉末の層を通過して、そして非湿潤性のセラミック粉末の層に接触している湿潤性粉末の個々の粒子の周囲に浸透して、金属浸透構造物を形成するような温度に、金属を加熱すること;
(e)金属浸透構造物を冷却して金属を固化させ、それにより固体成型物上にセラミッ
ク−金属テープを形成させること、ただし、非湿潤性セラミック粉末は熔融金属により湿潤性でなく、そして湿潤性粉末は熔融金属により湿潤性である;
(g)少なくとも1種類のその他のセラミック−金属テープとともに、セラミック−金属テープを層状にすること;並びに
(h)層状のセラミック−金属テープを互いに接着させそしてセラミック−金属構造物を形成させるような温度に、層状セラミック−金属テープを加熱すること;
を含んでなる方法。
【0125】
26. セラミック体を互いに接着させる方法であって:
(a)第1のセラミック体の表面を非反応性の粉末粒子及び反応性粉末粒子で被覆すること;
(b)第2のセラミック体の表面を第1のセラミック体の被覆された表面に隣接させること;
(c)第1のセラミック体及び第2にセラミック体の間の被膜を金属と接触させること、ただし、非反応性粉末粒子は金属と非反応性であり、そして反応性粉末粒子は金属と反応性である;
(d)金属が、個々の粉末粒子の周囲の、粉末粒子の被膜を通過して浸透して、そして2種のセラミック体に接触するような温度に、十分な時間にわたり、金属を加熱すること;並びに
(e)金属が固化するまで浸透金属を冷却し、それにより2種のセラミック体を互いに接着させること:
を含んでなる方法。
【0126】
27. 非反応性粉末粒子及び反応性粉末粒子の被膜が非反応性粉末粒子及び反応性粉末粒子の混合物である、26項の方法。
【0127】
28. 非反応性粉末粒子及び反応性粉末粒子の被膜が、第1のセラミック体の表面に隣接する反応性粉末粒子の層、並びに、反応性粉末粒子の層上に被覆された非反応性粉末粒子の層、を含み、
該方法が更に、反応性粉末粒子の層で、第2のセラミック体の表面を被覆することを含んでなり、
第2のセラミック体の表面を、第1のセラミック体の被覆された表面と接触させる過程が、第2のセラミック体の被覆された表面を、第1のセラミック体の被覆された表面と接触させることを含む、26項の方法。
【0128】
29. 反応性及び非反応性粉末粒子の粒子の大きさが0.1から10マイクロメーターである、26項の方法。
【0129】
30. 反応性及び非反応性粉末粒子がセラミックである、26項の方法。
【0130】
31. 非反応性粉末粒子及び反応性粉末粒子の被膜が、第1のセラミック体の表面に隣接している反応性粉末粒子の層、及び、反応性粉末粒子の層上に被覆された非反応性粉末粒子の層、を含み、反応性粉末粒子の層が、0.5から100マイクロメーターの厚さであり、そして非反応性粉末粒子の層が0.5から25マイクロメーターの厚さである、26項の方法。
【0131】
32. 非反応性粉末粒子及び反応性粉末粒子の被膜が、第1のセラミック体の表面に隣接する反応性粉末粒子の層、並びに反応性粉末粒子の層上に被覆された非反応性粉末粒子の層、を含み、反応性粉末粒子の層が、50から90パーセントの多孔度を有し、そして非反応性粉末粒子の層が60から90パーセントの多孔度を有する、26項の方法。
【0132】
33. 金属の接触が、2種のセラミック体の間に金属を置くことにより実施される、26項の方法。
【0133】
34. 金属の接触が、被膜の外側部分を金属と接触させることにより実施される、26項の方法。
【0134】
35. 少なくとも2種のセラミックの物体を有する層状の構造物であって、該層状構造物が:
(a)第1のセラミック体;
(b)第1のセラミック体に接着された、反応性材料、非反応性材料、及び金属を含有する金属浸透層;並びに
(c)金属浸透層に接着された第2のセラミック体、
を含んでなり、
ただし、反応性材料は金属に反応性であり、そして非反応性材料は金属に非反応性である。
【0135】
36. 金属浸透層中で、セラミック体の近辺に、非反応性材料よりも、より高い濃度の反応性材料が存在する、35項の層状構造物。
【0136】
37. 反応性及び非反応性材料がセラミックである、35項の層状構造物。
【0137】
38. 金属浸透層が、セラミック体それぞれの近辺に、0.5から100マイクロメーターの厚さの、反応性材料の高濃度層を含む、35項の層状構造物。
【0138】
本発明のその他の目的、特徴及び利点は、付記された図面に関連して採られた下記の記載を読むので、より良く理解されることが容易に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】流動化可能材料が、基材上に付着された粉末粒子層に接触している、本発明の一つの態様の方法の一段階を示している。
【図2】図1に部分的に示された方法により形成された層状構造物を示している。
【図3】金属がセラミック成型物上の湿潤性粉末層に接触している、本発明のもう一つの態様の方法の一段階を示している。
【図4】図3に示された態様の方法のもう一つの段階を示している。
【図5】図3及び図4で示された方法から形成されたセラミック−金属テープを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体の基材上に、非湿潤性の流動化可能材料を含む層状構造物であって、該構造物は:
(a)固体の基材;
(b)非湿潤性の流動化可能材料により湿潤性でない固体の基材の表面上に接着された、非湿潤性流動化可能材料の被膜;並びに
(c)非湿潤性の流動化可能材料の被膜中に分散された、非湿潤性流動化可能材料により湿潤性である粉末粒子、
を含んでなる、上記構造物。
【請求項2】
非湿潤性の流動化可能材料が熔融可能な材料である、請求の範囲第1項の構造物。
【請求項3】
固体基材が、金属、ガラス、セラミック、及び、セラミックと金属の複合物からなる群から選択される物質から形成されている、請求の範囲第1項の構造物。
【請求項4】
粉末粒子が、金属、セラミック、及びそれらの混合物からなる群から選択される物質から形成されている、請求の範囲第1項の構造物。
【請求項5】
分散粉末粒子が、1から500マイクロメーターの厚さをもつ層状である、請求の範囲第1項の構造物。
【請求項6】
粉末粒子が0.1マイクロメーターから50マイクロメーターの平均粉末度を有する、請求の範囲第1項の構造物。
【請求項7】
非湿潤性流動化可能な材料が、有機流体、無機流体、ポリマー材料、ガラス、及び金属から選択される、請求の範囲第1項の構造物。
【請求項8】
非湿潤性の流動化可能な材料が、流動化された場合、それと粉末粒子を形成している物質の稠密な物体との間の接触角度が45゜未満である、請求の範囲第1項の構造物。
【請求項9】
非湿潤性流動化可能な材料の層が、その上に非湿潤性流動化可能な材料が被覆されている固体基材の表面に、実質的に連続的に接触している、請求の範囲第1項の構造物。
【請求項10】
セラミック基材上に非湿潤性金属を含む層状構造物であって、該構造物が:
(a)セラミック基材;
(b)非湿潤性の金属材料により湿潤性でない、セラミック基材の表面上に実質的に連続的に付着された非湿潤性の金属被膜;並びに
(c)非湿潤性金属の被膜中に分散された、0.1マイクロメーターから50マイクロメーターの平均粉末度を有し、非湿潤性流動化可能な材料により湿潤性であり、金属、セラミック、及びそれらの混合物から選択される物質から形成され、そして、1から500マイクロメーターの厚さを有する層状になっている粉末粒子、
を含んでなる、上記構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−24589(P2008−24589A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212986(P2007−212986)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【分割の表示】特願2007−179433(P2007−179433)の分割
【原出願日】平成8年6月24日(1996.6.24)
【出願人】(502177071)ダウ・グローバル・テクノロジーズ・インコーポレーテツド (4)
【Fターム(参考)】