説明

セラミックス押出成形用添加剤及びセラミックス押出成形用組成物

【課題】セラミックス成形体を押出成形して製造する際の押出成形用添加剤及びその押出成形用添加剤を含有する押出成形用組成物を提供する
【解決手段】[1](a)下記式(1)で示されるポリアルキレングリコール脂肪酸エステルと(b)炭素数12〜22の直鎖不飽和脂肪酸を含有し、その比率が質量比で(a):(b)=96:4〜99:1である、セラミックス押出成形用添加剤。
X−O−(AO)n−COR (1)
(式中、Xは水素原子又はCOR、CORは炭素数12〜22の直鎖不飽和脂肪酸アシル基、AOは炭素数2又は3のオキシアルキレン基の1種又は2種以上を表す。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であって、5〜8を示す。)
[2]セラミックス原料粉体、水溶性セルロース誘導体を主成分とする結合剤、水、及び上記のセラミックス押出成形用添加剤を含有する、セラミックス押出成形用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス成形体を押出成形して製造する際の押出成形用添加剤及びその押出成形用添加剤を含有する押出成形用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックス成形体の製造方法は、押出成形、射出成形、加圧成形、シート成形などが挙げられる。押出成形は、一定断面形状をもつ製品の成形方法として適しており、押出成形体の具体例としては、DPF(Diesel Particulate Filter)、ハニカム触媒担体などが挙げられる。
DPFやハニカム触媒担体は、ハニカム構造と呼ばれるセル構造を有している。DPFはディーゼル車等の排気ガスに含まれる人体に有害な微粒子を捕獲する機能を持ったフィルターであり、ハニカム触媒担体は排気ガスに含まれる有害なガスを無害なガスに浄化する機能を持った触媒の担体である。
近年の環境負荷低減や欧州で2012年から施行されるEuroVI等のディーゼル車排ガス規制強化に伴い、自動車排ガス用フィルターに使用されているDPFにはより効率よく排気ガス中に含まれる人体に有害な微粒子を捕獲することが求められ、ハニカム触媒担体には、排気ガス中に含まれる有害なガスを無害なガスにする浄化性能を高めるために、触媒と有害ガスをより効率よく反応させる能力が求められている。そのハニカム触媒担体は、排気ガスとの接触面の比表面積が大きくなるほど捕獲機能・触媒と有害ガスが反応する確率が高くなるため、ハニカム構造体のセル壁厚の薄膜化が求められている。
しかし、セル壁厚が薄膜化するにつれて、口金の形状も複雑になるため、成形用組成物の押出速度が低下し、生産性が低下する問題が生じている。そのため、セル壁厚の薄膜化に対応し、生産性を向上させるために、押出速度向上効果のある押出成形用添加剤が押出成形時に不可欠となっている。
【0003】
押出速度向上効果のある添加剤として、脂肪酸エステル等の界面活性剤が提案されている(特許文献1)。しかし、脂肪酸エステルを添加するだけでは押出速度向上効果は充分ではなく、親水性の高い脂肪酸エステルを使用すると杯土が使用機器に付着し、付着した杯土を除去する作業が必要となり作業性が低下する、又は原料切り替え時などの異物混入の原因になるといった問題があった。
また、押出速度向上効果のある添加剤として、脂肪酸塩等が提案されている(特許文献2)。しかし、脂肪酸塩等を添加するだけでは押出速度向上効果は充分なものではなく、また、口金から吐出した押出成形物が開放された圧力によって膨らむスプリングバック現象が生じる問題もあった。
これらの背景から、混練時の作業性に優れ、押出成形時の成形性に優れ、しかも押出成形時の押出速度向上効果の高い押出成形用添加剤の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−290430号公報
【特許文献2】特開2002−293645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、セラミックス押出成形時において、作業性、成形性が良く、かつ押出速度向上効果の高いセラミックス押出成形用添加剤、及びその押出成形用添加剤を含有するセラミックス押出成形用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルに特定量の直鎖不飽和脂肪酸を配合することによって、意外にも、これを押出成形用添加剤として配合したセラミックス押出成形用組成物の作業性や成形性が向上し、押出速度が大きく向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、
[1](a)下記式(1)で示されるポリアルキレングリコール脂肪酸エステルと(b)炭素数12〜22の直鎖不飽和脂肪酸を含有し、その比率が質量比で(a):(b)=96:4〜99:1である、セラミックス押出成形用添加剤、
X−O−(AO)n−COR (1)
(式中、Xは水素原子又はCOR、CORは炭素数12〜22の直鎖不飽和脂肪酸アシル基、AOは炭素数2又は3のオキシアルキレン基の1種又は2種以上を表す。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であって、5〜8を示す。)
[2] セラミックス原料粉体、水溶性セルロース誘導体を主成分とする結合剤、水、及び上記[1]に記載のセラミックス押出成形用添加剤を含有する、セラミックス押出成形用組成物。
[3] セラミックス原料粉体がコージェライトである、上記[2]に記載のセラミックス押出成形用組成物、に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の押出成形用添加剤をセラミックス原料粉末と混合した押出成形用組成物は、混練時に混練機へ付着するなどのトラブルが発生し難く、作業性が良好である。また、薄膜の成形物の成形に際しても押出速度が低下することがなく、生産性を向上させることができ、成形物のスプリングバック現象が抑制されて、変形の少ない優れた成形性を達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、(a)下記式(1)で示されるポリアルキレングリコール脂肪酸エステルと(b)炭素数12〜22の直鎖不飽和脂肪酸を含むセラミックス押出成形用添加剤である。
X−O−(AO)n−COR (1)
式(1)において、Xは水素原子又はCORであり、CORは炭素数12〜22の直鎖不飽和脂肪酸アシル基を表す。直鎖不飽和脂肪酸の炭素数は12〜22
、好ましくは14〜20、より好ましくは18である。炭素数が12より小さいと、押出速度向上効果が低下するので好ましくない。また、炭素数が22より大きいと疎水性が強くなり、水への溶解性が低下するので好ましくない。詳細は不明であるが、不飽和結合を含有することで、長鎖アルキルでありながら弱い親水性を示し、飽和脂肪酸にオキシアルキレン基を付加しただけでは得られない親水性が得られるものと考えられる。
直鎖不飽和アシル基の由来となる直鎖不飽和脂肪酸としては、例えば、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、リノール酸、ヒラゴ酸、α‐エレオステアリン酸、β‐エレオステアリン酸、プニカ酸、リノレン酸、モロクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、及びイワシ酸などの脂肪酸が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合脂肪酸を用いても良い。好ましくは、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸であり、より好ましくはオレイン酸である。
【0010】
式(1)において、AOは炭素数2又は3のオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、及びオキシプロピレン基が挙げられ、80モル%以上がオキシエチレン基であると、得られるポリアルキレングリコール脂肪酸エステルの水への溶解性が向上するため好ましい。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であって、5〜8であり、好ましくは6〜7である。nが8を超えると、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルの押出速度向上効果が低下するので好ましくない。nが5より小さいと、疎水性が強くなり、水への溶解性が低下するので好ましくない。
【0011】
式(1)で示されるポリアルキレングリコール脂肪酸エステルは自体公知の方法により製造することができる。例えば、ポリアルキレングリコールと脂肪酸を反応させる方法、ポリアルキレングリコールと脂肪酸ハライドを反応させる方法、ポリアルキレングリコールと脂肪酸エステルを酸触媒下又はアルカリ触媒下でエステル交換反応する方法、脂肪酸にオキシアルキレンを付加させる方法等があるが、ポリアルキレングリコールと脂肪酸を酸触媒下でエステル化反応させる方法が好ましい。
ポリアルキレングリコールと脂肪酸を酸触媒下でエステル化反応を行う際の酸触媒の種類及び使用量は、特に限定されないが、酸触媒としてはメタンスルホン酸又はトルエンスルホン酸が好ましく、使用量はポリアルキレングリコールと脂肪酸の全量100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。反応温度は、特に限定されないが、80〜160℃
が好ましく、より好ましくは100〜140℃である。また、反応率を向上させるために、窒素など不活性ガスを吹き込みながら減圧状態にて反応させることが好ましい。圧力は、特に限定されないが、−0.088MPaG以下の減圧(100mmHg以下)とすることが好ましい。
ポリアルキレングリコールと脂肪酸の仕込み量や反応時間は、ポリアルキレングリコールの分子量、使用する脂肪酸の種類等を考慮して、適宜設定することができる。
【0012】
本発明のセラミックス押出成形用添加剤は、(b)直鎖不飽和脂肪酸を必須とする。直鎖不飽和脂肪酸の炭素数は12〜22
、好ましくは14〜20、より好ましくは18である。炭素数が12より小さいと、押出速度向上効果が低下するので好ましくない。また、炭素数が22より大きいと、粘性が高くなるため、作業性が低下するので好ましくない。
不飽和結合を含有することで、長鎖アルキルでありながら弱い親水性が得られるため好ましい。直鎖不飽和脂肪酸としては、例えば、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、リノール酸、ヒラゴ酸、α‐エレオステアリン酸、β‐エレオステアリン酸、プニカ酸、リノレン酸、モロクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、イワシ酸などの脂肪酸が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いても良い。好ましくは、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸であり、より好ましくはオレイン酸である。
【0013】
(a)と(b)の比率は、質量比で(a):(b)=96:4〜99:1であり、より好ましくは(a):(b)=96:4〜98:2である。(a)と(b)の比率は、(a)ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルに、(b)炭素数12〜22の直鎖不飽和脂肪酸を添加して調製することができる。
脂肪酸とポリアルキレングリコール脂肪酸エステルは、セラミックス原料粉体への作用機構が異なると考えられ、脂肪酸はセラミックス原料粉体に吸着するのに対して、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルはセラミックス原料粉体に配位すると考えられる。これら二つの作用機構が同時に働くことで相乗効果が得られ、押出速度を高めることができると考えられる。本発明のセラミックス押出成形用添加剤中の(b)の比率が質量比で1未満であると相乗効果が小さく押出速度の向上が充分得られないので好ましくない。また(b)の比率が質量比で4を超えると、混練を続けても押出成形可能な杯土が得られず押出成形物が得られない。
【0014】
本発明のセラミックス押出成形用添加剤の添加方法及び使用形態については特に制限はない。添加方法としては、セラミックス原料粉体に添加してもよいし、混練中に添加してもよく、また杯土調製後に添加してもよい。使用形態については、そのまま用いてもよいし、必要に応じて水で希釈又は乳化してもよく、また、湿潤剤、他の界面活性剤等と併用して用いることも可能である。湿潤剤としては、例えば、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等が、他の界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシアルキレン誘導体、高級アルコールエチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等の非イオン性界面活性剤、高級アルコールから誘導したカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、りん酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が使用可能であり、これらの1種又は2種以上を用いることができる。2種以上の場合の組み合わせについては特に制限は無い。
【0015】
本発明のセラミックス押出成形用添加剤の添加量は、セラミックス原料粉体100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部であり、より好ましくは1〜5質量部、さらに好ましくは1〜4質量部である。
本発明に係るセラミックス押出成形用組成物に使用されるセラミックス原料粉体としては、例えば、ケイ素、チタン、ジルコニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ムライト、コージェライト、チタン酸アルミニウム、サイアロン、カオリン、タルク、ゼオライト、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、又は石英等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合の組み合わせについては特に制限は無い。好ましくは、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ムライト、コージェライト、ゼオライトであり、より好ましくはコージェライトである。
【0016】
本発明に係るセラミックス押出成形用組成物は、セラミックス原料粉体と前記セラミックス押出成形用添加剤のほか、水溶性セルロース誘導体を主成分とする結合剤、及び水を含有する。
水溶性セルロース誘導体を主成分とする結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、若しくはカルボキシルメチルセルロースが挙げられる。また、その他の結合剤としてポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合の組み合わせについては特に制限は無い。
水溶性セルロース誘導体を主成分とする結合剤の添加量は、セラミックス原料粉体100質量部に対して1〜20質量部、好ましくは3〜15質量部であり、水分量は、セラミックス原料粉体100質量部に対して15〜85質量部、好ましくは20〜50 質量部である。
【0017】
本発明の押出成形用組成物は、例えば、所定量のセラミックス原料粉体と結合剤を均一に混合し、ついで、水とセラミックス押出成形用添加剤を加えて混練することによって得られ、引き続き、ハニカム体等の構造を有する口金を備えた押出機に搬送することによって、所期の構造を有する成形体を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0018】
[杯土(押出成形用組成物)調製方法]
混練機(ニーダーN−5型、(株)石川時鐵工所製)にコージェライト(P)(SS−600、丸ス釉薬合資会社製)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(MC)(メトローズ65SH−4000、信越化学工業(株)製)を入れ、均一になるまで混練し、続いて水(W)(水道水)及び押出成形用添加剤(Ad)を添加し、さらに混練を行い、杯土を調製した。表1に使用比率及び配合質量を示す。この際に、硬度計(CLAY HARDNESS TESTER、日本ガイシ(株)製)を用いて杯土硬度を測定し、杯土硬度が一定の範囲内(11.5±0.5)になっていることを確認した。
【0019】
【表1】

【0020】
[押出試験方法]
調製した杯土を押出機(小型土練機SY−05S型、(株)石川時鐵工所製)に投入し、押出試験を行い、押出圧力、押出速度、及び杯土を移送する際の作業性(○:混練機に杯土が付着しない、△:混練機に杯土が付着するが剥がし易い、×:混練機に杯土が付着し剥がし難い)を評価した。また、口金はシート状(5mm×45mm)のものを使用し、スプリングバックの評価として押出成形物の横幅を測定した。押出試験は、押出試験機のスクリュー回転数を一定にするために、押出機のインバーター制御を、周波数30Hzに設定して行った。
押出成形においては、押出圧力が低く、押出速度が速く、横幅の拡幅が小さいことが求められるが、これらの測定値を個別に評価するだけでなく、これらの測定値に基づく成形性の総合評価を、以下の式に従って行った。
同じセラミックス原料粉体を含有する杯土であれば、成形性の数値が小さいほど成形性が優れていることを表す。
[成形性]=[押出圧力(MPa)]/[押出速度(cm/s)]×[横幅(mm)]
【0021】
[実施例1]
セラミックス押出成形用添加剤(Ad)として質量比で、ポリオキシエチレン(n=7)モノオレエート:オレイン酸=96.5:3.5の配合物を使用した。杯土硬度、作業性、押出圧力、押出速度、横幅、成形性の結果を表2に示す。
[実施例2及び比較例1〜5]
実施例1のセラミックス押出成形用添加剤を、表2に示す(a)ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルと(b)脂肪酸に変更して、押出試験を行った。実施例1の結果と併せて、表2に、使用した(a)ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルと(b)脂肪酸の質量比、及び杯土硬度、作業性、押出圧力、押出速度、横幅、成形性の結果を示す。
【0022】
【表2】

【0023】
表2中の実施例1と比較例1、及び実施例2と比較例2の比較により、本発明のセラミックス押出成形用添加剤は、(b)の脂肪酸を含有しているため、得られた杯土の硬度は同じであっても、押出速度の向上効果が高くなっており、成形性が優れていることが分かる。
また、実施例1及び2と比較例3の比較により、本発明のセラミックス押出成形用添加剤は(a)のポリアルキレングリコール脂肪酸エステルを含有しているため、押出速度の向上効果が高くなっており、成形性も優れていることが分かる。
さらに実施例1及び2と比較例4の比較により、本発明のセラミックス押出成形用添加剤は不飽和結合を含有する脂肪酸エステルを使用しているので、押出速度の向上効果が高くなっており、成形性も、作業性も優れていることが分かる。
また、比較例5のように、(b)の脂肪酸の質量比が4を超える場合は、混練しても、外観上の変化はみられず、押出可能な杯土が得られなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式(1)で示されるポリアルキレングリコール脂肪酸エステルと(b)炭素数12〜22の直鎖不飽和脂肪酸を含有し、その比率が質量比で(a):(b)=96:4〜99:1である、セラミックス押出成形用添加剤。
X−O−(AO)n−COR (1)
(式中、Xは水素原子又はCOR、CORは炭素数12〜22の直鎖不飽和脂肪酸アシル基、AOは炭素数2又は3のオキシアルキレン基の1種又は2種以上を表す。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であって、5〜8を示す。)
【請求項2】
セラミックス原料粉体、水溶性セルロース誘導体を主成分とする結合剤、水、及び請求項1に記載のセラミックス押出成形用添加剤を含有する、セラミックス押出成形用組成物。
【請求項3】
セラミックス原料粉体がコージェライトである、請求項2に記載のセラミックス押出成形用組成物。





【公開番号】特開2011−240618(P2011−240618A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115116(P2010−115116)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】