セラミックス粒子の製造方法
【課題】粒子自体を小径化することなく、溶離液との反応面積を大きくすることができ、かつ、単分散性に優れたセラミックス粒子の提供。
【解決手段】スラリ(W)中に第1の油で構成された油滴粒子(O)が分散されたO/Wエマルションを作製し、O/Wエマルションを第1の流路に供給し、第2の油及び親油性の界面活性剤を含む油性溶剤を、前記第1の流路に対して任意の角度をもって双方向から対向して合流する第2の流路に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めた微小液滴を形成し、前記形成した微小液滴を焼成する。
【解決手段】スラリ(W)中に第1の油で構成された油滴粒子(O)が分散されたO/Wエマルションを作製し、O/Wエマルションを第1の流路に供給し、第2の油及び親油性の界面活性剤を含む油性溶剤を、前記第1の流路に対して任意の角度をもって双方向から対向して合流する第2の流路に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めた微小液滴を形成し、前記形成した微小液滴を焼成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロキシアパタイトなどのリン酸カルシウム系化合物は、蛋白質等に対する吸着性に優れていることからHPLC(High Performance Liquid Chromatography)などの分取・分離用カラム充填剤として使用されている。
【0003】
このようなセラミックス粒子には、カラムに送る溶離液に含まれる他の物質との大きな反応面積を備えていること、また、カラムの圧力損失の増加を防止するために、均一な粒径を備えていること(単分散性に優れていること)が望まれている。
【0004】
このような要求に対し、溶離液との反応面積を向上させるために粒子自体を小径化する技術が一般的に知られている。また、均一な粒径を備える微小粒子の製造方法としては、Y字型や十字型の微小流路構造体を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−122107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、溶離液との反応面積を向上させるために粒子自体を小径化する技術は、小径化した粒子をカラムに充填すると、カラムに送る溶離液の送流抵抗が大きくなるため、圧力損失が増加し、装置負荷が大きくなるという問題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の技術は、均一な粒径を備える微小粒子の製造方法について記載されているものの、セラミックス粒子が製造できる点を開示しているものではない。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、粒子自体を小径化することなく、溶離液との反応面積を大きくすることができ、かつ、単分散性に優れたセラミックス粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係わるセラミックス粒子の製造方法は、セラミックス粉体、バインダ、分散剤及び純水を含むスラリ(W)に、第1の油及び親水性の界面活性剤を添加し、前記第1の油にせん断応力を与えることにより、前記スラリ(W)中に前記第1の油で構成された油滴粒子(O)が分散されたO/Wエマルションを作製し、前記O/Wエマルションを第1の流路に供給し、第2の油及び親油性の界面活性剤を含む油性溶剤を、前記第1の流路に対して任意の角度をもって双方向から対向して合流する第2の流路に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を形成し、前記形成した微小液滴を焼成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係わるセラミックス粒子の製造方法は、セラミックス粉体、バインダ、分散剤及び純水を含むスラリ(W)に、第1の油及び親水性の界面活性剤を添加し、前記第1の油にせん断応力を与えることにより、前記スラリ(W)中に前記第1の油で構成された油滴粒子(O)が分散されたO/Wエマルションを作製し、前記O/Wエマルションを内壁面が親水性である第1の流路に供給し、第2の油及び親油性の界面活性剤を含む油性溶剤を、前記第1の流路に対して任意の角度をもって双方向から対向して合流する第2の流路に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を形成し、前記形成された微小液滴を、内壁面が疎水性である第3の流路を経由して排出し、前記排出された微小液滴を焼成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るセラミックス粒子の製造方法によれば、粒子自体を小径化することなく、溶離液との反応面積を大きくすることができ、かつ、単分散性に優れたセラミックス粒子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】O/Wエマルションで構成された分散相を作製する際の工程概念図。
【図2】微小液滴を形成する際に用いられる製造装置の全体を示す概念図。
【図3】図2に示す製造装置に使用される微小流路構造体の概念図。
【図4】図2に示す製造装置に使用される微小流路構造体を保持するホルダの概念図。
【図5】図2に示す微小液滴回収部における回収容器の部分を拡大させた概念図。
【図6】本発明に係わる製造方法を用いて製造されたセラミックス粒子の外観図。
【図7】図6に示すセラミックス粒子の表面から内部にかけての断面図。
【図8】本発明に係わる分散相と連続相を用いて、図3に示すような微小流路構造体内に送液したときの液滴の生成状況を表す顕微鏡写真。
【図9】実施例1において製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真。
【図10】比較例1において製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真。
【図11】比較例2において製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真。
【図12】T字形の微小流路構造体内に送液したときの微小液滴の生成状況を表す顕微鏡写真。
【図13】実施例2における微小流路構造体内に送液したときの液滴の生成状況を表す顕微鏡写真。
【図14】実施例2において製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真。
【図15】比較例3における微小流路構造体内に送液したときの液滴の生成状況を表す顕微鏡写真。
【図16】比較例3において製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明について図面を参照しながら説明を行う。なお、本発明は、以下の説明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様で実施することができる。
【0014】
本発明に係るセラミックス粒子の製造方法の概略は次の通りである。すなわち、O/Wエマルションで構成された分散相と、油性溶剤で構成された連続相とを作製し、作製した分散相と連続相とを微小流路構造体に供給して、前記分散相で構成された微小液滴を形成し、前記形成した微小液滴を焼成する。
【0015】
本発明の実施形態に係るセラミックス粒子の製造方法について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0016】
O/Wエマルションで構成された分散相の作製について、以下に説明する。
【0017】
図1に、O/Wエマルションで構成された分散相を作製する際の工程概念図を示す。
【0018】
O/Wエマルションは、セラミックス粉体、バインダ、分散剤及び純水を所定量混合したスラリ(W)10を作製し(図1(a))、作製したスラリ(W)10に、第1の油12及び界面活性剤14を添加し、前記第1の油12にせん断応力16を与えることにより(図1(b))、前記スラリ(W)10中に第1の油12で構成された油滴粒子(O)18を形成する(図1(c))。これによって、スラリ(W)10中に油滴粒子(O)18が分散されたO/Wエマルション20が作製される。
【0019】
セラミックス粉体は、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、リン酸カルシウム系化合物(リン酸カルシウムを含む)等の無機酸化物、炭化珪素、炭化硼素又は窒化珪素のいずれかの粉体が用いられる。
【0020】
バインダとしては、後述する焼成において気化するものであれば特に限定されない。また、バインダとしては、温度などの条件の変化により、粘性が変化する性質を有する材料を用いるのが好ましい。このような性質を有する材料の一例として、寒天が挙げられる。寒天は、高温では流動性があり、低温ではゲル化する性質を有するからである。
【0021】
分散剤においても、後述する焼成において気化するものであれば特に限定されない。例えば、分散剤としては、ポリアクリル酸アンモニウムを用いることができる。
【0022】
純水は、半導体製造の分野で一般的に使用されているもので、工業用水、水道水等を原水として、その中の不純物を高純度イオン交換樹脂、高機能膜、脱気装置等を用いて精製分離されたものである。精製分離の程度としては比抵抗値を用いることができる。一般家庭に用いられる水道水の比抵抗値は0.01〜0.05MΩ・cmであるのに対して、本実施形態における純水としては、1MΩ・cm以上に精製されているものが用いることが好ましい。
【0023】
前記セラミックス粉体、バインダ、分散剤及び純水の混合は、例えば、ボールミルを用いて行うことができる。
【0024】
第1の油12は、後述する焼成において気化するものであれば特に限定されない。例えば、第1の油12としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ヘキサデカン等を好適に用いることができる。
【0025】
界面活性剤14は、親水性であるものが用いられる。すなわち、HLB値(Hydrophile−Lipophile Balance値)が高い界面活性剤が用いられる。このような界面活性剤を用いることにより、スラリ10と第1の油12が混合され、O/Wエマルションを作製した際に、スラリ10中に含まれることになる油滴粒子(O)18の合一化を防ぐことができる。例えば、界面活性剤14は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを用いることができる。
【0026】
せん断応力16は、攪拌機等によって与えることができる。
【0027】
なお、第1の油12及び界面活性剤14の添加は、図1(b)に示すように、別々に添加してもよく、第1の油12と界面活性剤14とを混合させたものを同時に添加してもよい。
【0028】
油性溶剤で構成された連続相の作製について、以下に説明する。油性溶剤は、第2の油及び界面活性剤を混合することで作製する(図示せず)。第2の油及び界面活性剤の混合は、例えば、マグネットスターラーを用いて行うことができる。
【0029】
第2の油は、第1の油12と同様に、後述する焼成において気化するものであれば特に限定されない。例えば、第2の油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ヘキサデカン等を好適に用いることができる。
【0030】
この連続相に使用される界面活性剤は、親油性であるものが用いられる。すなわち、HLB値が低い界面活性剤が用いられる。このような界面活性剤を用いることにより、O/Wエマルションからなる液滴同士の合一化を防ぐことができる。例えば、親油性の界面活性剤は、ソルビタンセスキオレエートを用いることができる。
【0031】
次に、各々作製した分散相と連続相とを微小流路構造体に供給して、前記分散相で構成される微小液滴を形成する。
【0032】
図2から図4に、微小液滴を形成する際に用いられる製造装置の概念図をそれぞれ示す。図2は、微小液滴を形成する際に用いられる製造装置の全体を示す概念図である。図3は、図2に示す製造装置に使用される微小流路構造体101の上面図(A)と、上面図(A)のA−A断面線における微小流路構造体101の断面図(B)と、上面図(A)のB−B断面線における微小流路構造体101の断面図(C)である。図4は、図2に示す製造装置に使用される微小流路構造体101を保持するホルダ201の上面図(A)と、上面図(A)のC−C断面線におけるホルダ201の断面図(B)である。
【0033】
図2に示すように、微小液滴を形成する際に用いられる製造装置100は、微小流路構造体101と、微小流路構造体101を保持するホルダ201と、微小流路構造体101内に分散相を供給する分散相供給部301と、微小流路構造体101内に連続相を供給する連続相供給部401と、微小流路構造体101内で形成された微小液滴を回収する微小液滴回収部501とを備える。
【0034】
図3(A)に示すように、微小流路構造体101は、分散相が供給される分散相供給口103と、分散相供給口103から延びる第1流路105と、連続相を供給する連続相供給口113と、連続相供給口113から延び、第1の流路105に対して任意の角度θ(例えば、45°)をもって双方向から対向して合流する第2流路115と、第1流路105と第2流路115と繋がり、連続相供給口113から供給された連続相と、連続相中に分散相供給口103から供給された分散相が送り込まれることによって生成される微小液滴とが流れる第3流路135と、第3流路135を流れる連続相及び微小液滴を排出する排出口138とを備える。
【0035】
図3(B)、(C)に示すように、微小流路構造体101は、例えば3枚の板状体が積層された構成を有する。具体的には、微小流路構造体101は、第1流路105、第2流路115及び第3流路135が形成された第1の板状体150と、分散相供給口103、連続相供給口113及び排出口138が形成された第2の板状体160とが、分散相供給口103と第1流路105、連続相供給口113と第2流路115、及び排出口138と第3流路135が各々連通するように接合され、更に、第1の板状体150の第2の板状体160と接合した面に対向する面に第3の板状体170が接合されている構成を備えている。
【0036】
微小流路構造体101を構成する板状体150、160、170に用いられる材質としては、前述したような流路等を形成可能であり、かつ、ある程度の耐薬品性を備えていれば特に限定されない。微小流路構造体101は、例えば、石英、ガラス、Al2O3、YAG等のセラミックス、シリコン、樹脂等で構成されている。なお、本実施形態では、ガラスを用いた例で説明する。
【0037】
微小流路構造体101は、例えば、第1の板状体150の表面に、前記流路105、115、135となる凹部を周知の方法(エッチング、レーザー加工等)などを用いて形成し、第2の板状体160に、前記供給口103、113及び排出口138となる貫通口を周知の方法(機械加工、レーザー加工等)などを用いて形成し、第1の板状体150と第2の板状体160とを前記凹部と前記貫通口とが各々連通するように接合し、その後、第3の板状体170を、第1の板状体150の前記第2の板状体160が接合させた面に対向する面に接合させることで製造することができる。
【0038】
前記第3流路135の内壁面は疎水性であることが好ましい。このように構成されていると、分散相として使用するO/Wエマルションからなる微小液滴が、第3流路135の内壁面に付着するのを防止することができる。したがって、形成された微小液滴の排出を第3流路135内にてスムーズに行うことができる。また、第3流路135の内壁面に付着した微小液滴に他の微小液滴が衝突し、微小液滴が合一化することを防止できる。
【0039】
また、前記第1流路105の内壁面は親水性であることが好ましい。このように構成されていると、分散相として使用するO/Wエマルションの油滴粒子が第1流路105の内壁面に付着することを防止できる。したがって、第1流路105内にて油滴粒子が合一化し、油滴粒子の大きさのばらつきが増大することを防止することができる。油滴粒子の大きさのばらつきの増大を防ぐことにより、連続相によりせん断されて形成される微小液滴を焼成した場合に、気孔径のばらつきの増大を防ぐことができる。
【0040】
第1流路105の内壁面を親水性とし、第3流路135の内壁面を疎水性とするためには、微小流路構造体101の素材が親水性であれば、例えば、供給口103を閉塞し、供給口113を開放した状態で、排出口138より疎水性の液状のコーティング剤を供給する。例えば、排出口138にコーティング剤を滴下する。すると、毛細管力により排出口138から第3流路135内をコーティング剤が移動する。なお、供給口113を開放していることによってコーティング剤が第2流路115内にも移動すると、第2流路115の内壁面は疎水性となる。しかし、供給口103が閉塞されていることにより、第1流路105内の空気の存在により、コーティング剤は第1流路105内に移動できない。
【0041】
逆に微小流路構造体101の素材が疎水性であれば、第1流路105の内壁面を親水性とするために、例えば、排出口138を閉塞し、供給口113を開放した状態で、供給口103より親水性の液状のコーティング剤を供給する。例えば、供給口103にコーティング剤を滴下する。すると、毛細管力により供給口113に向けてそのコーティング剤が移動する。もし、供給口113を開放していることによってコーティング剤が第2流路115内にも移動をすると、第2流路115の内壁面は親水性となる。
【0042】
なお、供給されたコーティング剤のうち、第1流路105または第3流路135の内壁面のコーティングに使われなかったものは、供給口103、113、排出口138を開放し、あるいは、板状体160を取り外し、微小流路構造体101を加熱などして除去を行う。
【0043】
図4に示すように、ホルダ201は、微小流路構造体101を装着する凹部(保持部)203と、微小流路構造体101の分散相供給口103と連通する第1のホルダ流路210と、微小流路構造体101の連続相供給口113と連通する第2のホルダ流路220と、微小流路構造体101の排出口138と連通する第3のホルダ流路230と、第1のホルダ流路210、第2のホルダ流路220及び第3のホルダ流路230と各々連通するコネクタ部215、225、235とで構成されている。ホルダ201を構成する材料は、例えば、アクリル、テフロン(登録商標)、ステンレス等が用いられる。前述したホルダ流路210、220、230及びコネクタ部215、225、235は、周知の方法(エッチング、レーザー加工等)などを用いて形成することができる。
【0044】
微小流路構造体101は、図3に示す微小流路構造体101の供給口103、113及び排出口138が形成された上面を、前記ホルダ201の保持部203の底面に、分散相供給口103と第1のホルダ流路210が、連続相供給口113と第2のホルダ流路220が、及び、排出口138と第3のホルダ流路230がそれぞれ連通するようにホルダ201に装着される。
【0045】
図2に示すように、分散相供給部301は、分散相を所定量保持すると共に、保持された分散相を、例えば、供給管320を介して微小流路構造体101の分散相供給口103に供給する分散相供給装置310(例えば、注射器)で構成されている。具体的には、供給管320は、ホルダ201のコネクタ部215に接続されており、分散相供給装置310から供給された分散相は、供給管320及び第1のホルダ流路210を通って分散相供給口103に供給される。また、分散相供給装置310には、例えば、分散相の供給量を制御する制御部(図示せず)が設けられている。
【0046】
図2に示すように、連続相供給部401は、連続相を所定量保持すると共に、保持された連続相を、例えば、供給管420を介して微小流路構造体101の連続相供給口113に供給する連続相供給装置410(例えば、注射器)で構成されている。具体的には、供給管420は、ホルダ201のコネクタ部225に接続されており、連続相供給装置410から供給された連続相は、供給管420及び第2のホルダ流路220を通って連続相供給口113に供給される。また、連続相供給装置410には、例えば、連続相の供給量を制御する制御部(図示せず)が設けられている。
【0047】
微小液滴回収部501は、ホルダ201のコネクタ部235に接続された排出管520を介して、微小流路構造体101で生成された微小液滴560と連続相580とを回収する回収容器540(例えば、ガラス製のビーカー)で構成されている。
【0048】
以上の製造装置100を用いて、分散相で構成された微小液滴を形成する。
【0049】
具体的には、作製したO/Wエマルションを分散相供給装置310に充填し、作製した油性溶剤を連続相供給装置410に充填し、各々、微小流路構造体101に供給する。
【0050】
分散相供給口103に供給された分散相は、第1流路105内を流れ、また、連続相供給口113に供給された連続相は、第2流路115内を流れ、分散相と連続相は、第1流路105と、第2流路115との交差箇所で合流し、分散相が連続相によってせん断されて微小液滴が形成され、形成された微小液滴は連続相と共に、第3流路135を流れ、排出口138より排出され、微小液滴回収部501で回収される。
【0051】
図5は、図2に示す微小液滴回収部501における回収容器540の部分を拡大させた概念図である。図5に示すように、上述した方法で回収される微小液滴560は、油滴粒子18を内部に閉じ込めたスラリ10で構成されている。
【0052】
このように、本発明においては、O/Wエマルションを分散相として第1の流路に供給し、油性溶剤を連続相として、第1の流路に対して任意の角度をもって双方向から対向して合流する第2の流路に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を、均一な粒径で複数形成することができる。
【0053】
なお、O/Wエマルションを分散相として、油性溶剤を連続相として、T字型の微細流路構造体に導入した場合には、前記微小液滴を形成することができない。詳しくは、後述する比較例3にて説明する。
【0054】
なお、微小液滴560の形成において、バインダとして、高温では流動性があり低温ではゲル化するゲル化剤(例えば、寒天)を使用した場合には、図2に示す微小流路構造体101、ホルダ201、分散相供給部301及び連続相供給部401を含む微小液滴生成領域100aは加熱環境中にあり、微小液滴回収部501を含む微小液滴回収領域100bは冷却環境中にあることが好ましい。
【0055】
このような構成を備えることで、バインダとしてゲル化剤を用いた場合には、分散相が微小液滴560形成前に固化されることなく、更に、形成した微小液滴560に含まれるスラリ10を急速に硬化させることができるため、生成した微小液滴560の形状を悪化させることがなく、単分散性に優れた微小液滴560を効率的に得ることができる。なお、このような場合には、微小液滴560はスラリ10の部分が固化され球状ゲルとなる。
【0056】
なお、前記加熱環境や冷却環境の温度は、使用するゲル化剤によって適宜設定される。上述のようにゲル化剤に寒天を用いた場合には、前記加熱環境における温度は40℃以上、前記冷却環境における温度は10℃以下であることが好ましい。
【0057】
最後に、回収した微小液滴(又は球状ゲル)を焼成する。
【0058】
この焼成における雰囲気ガス、焼成温度等は使用するセラミックス粉体、バインダや第1の油等の材質によって適宜設計される。例えば、バインダとして寒天を用いた場合には、酸素雰囲気ガスを用いることにより、前記寒天を好適に除去することが可能である。また、例えば、セラミックス粉体としてリン酸カルシウム系化合物を用いた場合には、焼成温度を600℃〜700℃程度で行えばよい。
【0059】
図6及び図7は、以上のような製造方法を経て製造されるセラミックス粒子の概念図である。すなわち、図6は、本発明に係わる製造方法を用いて製造されたセラミックス粒子の外観図であり、図7は、図6に示すセラミックス粒子の表面から内部にかけての断面図である。
【0060】
前記回収した微小液滴(又は球状ゲル)を焼成することにより、スラリ10の内部に存在する油滴粒子18は焼成、気化され、その部分は気孔として形成され、図6、図7に示すように、外表面1aからその内部にかけて、連通された開気孔2、2a、2b・・・・を有するセラミックス粒子1を得ることができる。なお、前記スラリ10の部分は、セラミックス粒子1の骨格部3となる。
【0061】
以上の製造方法を用いて製造されるセラミックス粒子は、平均気孔径が500nm以上20μm以下である開気孔2、2a、2b・・・が複数設けられ、かつ、粒度分布がCV(coefficient of variation value)値で10%以下と単分散性に優れている(CV値の定義は後述する)。また、前記セラミックス粒子の骨格部3は、例えば、比表面積50m2/g以上のアパタイト原料を用いた場合には、平均気孔径が10nm以上200nm以下の微細孔が設けられている。
【0062】
前記開気孔2、2a、2b・・・の平均気孔径の制御は、O/Wエマルション20の作製時に第1の油12に与えるせん断応力16の強弱により制御することができる。また、前記骨格部3の平均気孔径の制御は、スラリ10の作製の際に使用されるセラミックス粉体の粒径の制御や、焼成時の焼成温度の制御により行うことができる。
【0063】
このように、本実施形態に係わるセラミックス粒子の製造方法は、スラリ及び油滴粒子で構成されるO/Wエマルションを作製して、図3に示すような第1の流路105に供給し、油性溶剤を連続相として図3に示すような第1の流路105に対して任意の角度θをもって双方向から対向して合流する第2の流路115に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を、均一な粒径で複数製造することができる。また、焼成後得られるセラミックス粒子1は、図6及び図7に示すように、その外表面1aからその内部にかけて、連通された開気孔2、2a、2b・・・が複数形成されているため、溶離液との反応面積を大きくすることができる。そのため、セラミックス粒子自体を小径化する必要は無く、表面積を大きくすることができる。
【0064】
すなわち、本実施形態に係わるセラミックス粒子の製造方法では、粒子自体を小径化することなく、溶離液との反応面積を大きくすることができ、かつ、単分散性に優れたセラミックス粒子を製造することができる。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
アガロース(寒天)を純水に対して重量比0.5%の割合で添加したアガロース水溶液に、ハイドロキシアパタイト粉末を重量比30%の割合で混合したものに、ポリアクリル酸アンモニウムをハイドロキシアパタイト粉末に対して重量比で5%添加し、ボールミルにて10時間以上処理し、ハイドロキシアパタイト含有スラリを作製した。なお、このスラリの作製は、バインダであるアガロース(寒天)が硬化しないように、スラリ温度が40℃以上に保持できるような加温環境の下で実施した。
【0066】
次に、作製したスラリに、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを水に対して1%添加し、また、イソパラフィンを水に対して30wt%添加して攪拌した。これによって、前記スラリ中でイソパラフィンは乳化し、油滴粒子が均一に分散したO/Wエマルションを形成し、これを分散相とした。
【0067】
また、連続相として、ソルビタンセスキオレエートを重量比で4%添加したイソパラフィンを使用した。
【0068】
上記分散相と、連続相とを用いて、図2に示すような製造装置により微小液滴を形成した。なお、本実施例に使用した微小流路構造体は、流路が形成された横30mm×縦30mm×厚さ1.5mmの石英ガラス基板と、供給口及び排出口が形成された横30mm×縦30mm×厚さ1.5mmの石英ガラス基板と、流路、供給口及び排出口が形成されていない横30mm×縦30mm×厚さ1.5mmの石英ガラス基板とを、図3に示されるように、3枚積層して接合されたものを用いた。
【0069】
図8は、生成した分散相と連続相を用いて、図3に示すような微小流路構造体内に送液したときの液滴の生成状況を表す顕微鏡写真を示す。図8に示すように、分散相からなる均一な微小液滴が生成されていることがわかる。
【0070】
次に、生成された微小液滴を冷却してゲル化とした後、ゲル化した球状ゲルをエタノールで洗浄し、その後、減圧下で真空乾燥したのち、酸素雰囲気下で、700℃で焼成処理を行った。
【0071】
図9は、本実施例で製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真を示す。図9(a)は、倍率100倍、図9(b)は倍率1000倍、図9(c)は倍率10000倍である。
【0072】
図9に示すように、本実施例で製造したセラミックス粒子は、その外表面からその内部にかけて、連通された開気孔が形成させていることが確認できる。また、本実施例で製造されたセラミックス粒子のCV(coefficient of variation value)値を測定した。CV値は粒径の均一さを示す指標で、以下の式で表される。
【0073】
CV値=標準偏差/平均粒子径×100(%)
【0074】
なお、本実施例で製造したセラミックス粒子のCV値は、5%であった。
【0075】
(比較例1)
アガロース(寒天)を純水に対して重量比0.5%の割合で添加したアガロース水溶液に、ハイドロキシアパタイト粉末を重量比30%の割合で混合したものに、ポリアクリル酸アンモニウムをハイドロキシアパタイト粉末に対して重量比で5%添加し、ボールミルにて10時間以上混合し、ハイドロキシアパタイト含有スラリを作製し、これを分散相とした。その他は、実施例1と同様な条件で行った。
【0076】
図10は、比較例1で製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真を示す。図10(a)は、倍率100倍、図10(b)は倍率1000倍、図10(c)は倍率10000倍である。
【0077】
図10に示すように、比較例1で製造したセラミックス粒子は、実施例1で見られたような連通された開気孔は確認されなかった。なお、比較例1で製造したセラミックス粒子のCV値は、6%であった。
【0078】
(比較例2)
アガロース(寒天)を純水に対して重量比0.5%の割合で添加したアガロース水溶液に、ハイドロキシアパタイト粉末を重量比30%の割合で混合したものに、ポリアクリル酸アンモニウムをハイドロキシアパタイト粉末に対して重量比で5%添加し、ボールミルにて10時間以上混合処理し、ハイドロキシアパタイト含有スラリを作製した。なお、このスラリの作製は、バインダであるアガロース(寒天)が硬化しないように、スラリ温度が40℃以上に保持できるような環境の下で実施した。
【0079】
次に、作製したスラリに、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを水に対して1%添加し、また、イソパラフィンを水に対して30wt%添加して攪拌した。これによって、前記スラリ中でイソパラフィンは乳化し、油滴粒子が均一に分散したO/Wエマルションが得られた。
【0080】
次に、ビーカーにイソパラフィン及び界面活性剤(ソルビタンセスキオレエート:重量比で4%)を添加し、加熱しながら攪拌し、攪拌させた状態で、前記作製したO/Wエマルションを少量ずつ添加した。この攪拌により、前記ビーカー内に油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を形成された。
【0081】
次に、生成された微小液滴を冷却してゲル化した後、ゲル化した球状ゲルをエタノールで洗浄し、その後、減圧下で真空乾燥したのち、酸素雰囲気下で、700℃で焼成処理した。
【0082】
図11に、本比較例2で製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真を示す。図11(a)は、倍率100倍、図10(b)は倍率500倍である。
【0083】
図11に示すように、比較例2で製造したセラミックス粒子は、実施例1で見られたような連通された開気孔は確認されたものの、図11(a)に示すように、明らかに、均一な粒径を備えておらず、CV値は測定しなかった。
【0084】
(比較例3)
実施例1で説明したのと同様な方法で、分散相で構成された微小液滴を生成した。ただし、使用する微小流路構造体は、T字形の微小流路構造体を用いて行った。
【0085】
図12に、T字形の微小流路構造体内に送液したときの微小液滴の生成状況を表す顕微鏡写真を示す。図12では、紙面下から上にかけて設けられている分散相流路に前記分散相が供給され、紙面左から右にかけて設けられている連続相流路に前記連続相が供給されている。しかしながら、合流箇所より右側の流路では、連続相と分散相との層流が生じてしまったため、均一な液滴径の微小液滴を形成することが出来なかった。
【0086】
(実施例2)
実施例1で製造したセラミックス粒子が、その外表面からその内部にかけて連通された開気孔を有している理由の一つは、微小流路構造体により形成される微小液滴が油滴粒子を含み、その油滴粒子が微小液滴の焼成により気化するためであると考えられる。そこで、スラリに添加するイソパラフィンの量を増加し、連通孔の量を増加させ、セラミックス粒子を充填剤として用いた場合の反応面積を大きくする実施例について説明する。
【0087】
本実施例においても、実施例1と同じく、アガロース(寒天)を純水に対して重量比0.5%の割合で添加したアガロース水溶液に、ハイドロキシアパタイト粉末を重量比30%の割合で混合したものに、ポリアクリル酸アンモニウムをハイドロキシアパタイト粉末に対して重量比で5%添加し、ボールミルにて10時間以上処理し、ハイドロキシアパタイト含有スラリを作製した。なお、このスラリの作製は、バインダであるアガロース(寒天)が硬化しないように、スラリ温度が40℃以上に保持できるような加温環境の下で実施した。
【0088】
そして、作製したスラリに、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを水に対して1%添加した。
【0089】
ただし、本実施例2では、このスラリとイソパラフィンの混合比を体積比で1:2とするために、スラリにイソパラフィンを加えながら撹拌した。具体的には、スラリを容量50mLの試薬瓶に入れ、それにイソパラフィンを少量ずつ入れ、せん断応力を与えるために試薬瓶を手で振って振動を加えた。これにより、イソパラフィンが乳化され、最終的にスラリとイソパラフィンの混合比を体積比で1:2とするO/Wエマルションを作成した。
【0090】
実施例1では、石英ガラスを用いて作成された微小流路構造体を用いた。したがって、微小流路構造体の流路の内壁面は全て親水性となる。一方、本実施形態では、実施例1において説明した手順に従って作成された微小流路構造体に対して、スラリが供給される流路の部分の内壁面を親水性とし、また、形成された微小液滴が流れる流路の内壁面を疎水性とした。
【0091】
そこで、微小流路構造体の連続相供給口を開放したまま分散相供給口を閉塞する。具体的には、分散相供給口の閉塞にはテープを用いて分散相供給口を閉塞した。そして、排出口にコーティング剤を滴下した。コーティング剤は、毛細管力によって、微小液滴が流れることになる向きとは逆向きに排出口から第3流路を通り、第1流路への第2流路の合流箇所へ移動する。分散相供給口が閉塞され、連続相供給口が開放されているために、コーティング剤は第1流路に実質的に進入せず、第2流路に進入することになる。その後、コーティング剤を乾燥させる。これにより、第1流路の内壁面は親水性としたまま、排出流路の内壁面を疎水性とすることができる。なお、「第1流路実質的に進入せず」とは、毛細管力によりわずかにコーティング剤が第1流路に進入する場合があることを意味する。
【0092】
なお、コーティング剤を排出口に滴下するかわりに、連続相供給口に滴下して第3流路まで移動させてもよい。
【0093】
このようにして得られた微小流路構造体を用いて、図2に示す製造装置を組み立て、上述したO/Wエマルションを分散相とし、実施例1で説明した手順で得られた油性溶剤を連続相として、ゲル化した微小液滴を生成し、エタノールで洗浄して、減圧下で真空乾燥したのち、酸素雰囲気下で、700℃で焼成処理を行った。
【0094】
図13は、本実施例において、生成した分散相と連続相を用い、上述した処理を行った微小流路構造体に送液したときの液滴の生成状況を表す顕微鏡写真を示す。図13に示すように、分散相からなる均一な微小液滴が生成され、排出流路を流れていることがわかる。また、第1流路内において、分散相中に白く見えるのはイソパラフィンであるが、第1流路の内壁面には付着していないことがわかる。
【0095】
図14は、本実施例で製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真を示す。図14(a)は倍率200倍、図14(b)は、倍率1000倍である。図14(b)によれば、気孔径1〜20μmの連通孔と気孔径10〜200nmの微細孔を備えたアパタイト粒子が得られることがわかる。また、図14(a)と図9(a)とを比べると、本実施例では、実施例1よりも、セラミックス粒子の形状が均一になっていることがわかる。また、図14(b)と図9(b)とを比べると、本実施例では、実施例1よりも、セラミックス粒子の形状はより球形に近いことがわかる。
【0096】
(比較例4)
第1流路の内壁面を親水性にすることにより得られる効果を比較するために、微小流路構造体の流路の全ての内壁面を疎水性にコーティングし、実施例2で説明した手順で作成した分散相を供給して微小液滴を生成し、ゲル化した微小液滴を生成し、エタノールで洗浄して、減圧下で真空乾燥したのち、酸素雰囲気下で、700℃で焼成処理を行った。
【0097】
図15は、本比較例において、生成した分散相と連続相を用いて、全ての内壁面が疎水性の微小流路構造体に送液したときの液滴の生成状況を表す顕微鏡写真を示す。図13と比較すると、本比較例では、第1流路において、分散相内のイソパラフィンの油滴が合一化していることがわかる。
【0098】
図16は、本比較例において製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真を示す。図16(a)は倍率200倍、図16(b)は、倍率1000倍である。図16(a)を参照すると、割れたセラミックス粒子の存在が確認され、また、図14(a)と比較すると、割れていないセラミックス粒子の大きさにおいても、本比較例では、ばらつきが大きい。また、図16(b)と図14(b)とを比較すると、本比較例では、10μm程度の大きなマクロ孔が存在しているのに対し、実施例2では、マクロ孔が観察されず、また、数μmのマクロ孔のサイズが、均一化している。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、本発明に係る製造方法により、高速クロマトグラフィの充填剤として好ましい性質を有するセラミックス粒子を製造することができる。なお、本発明に係る製造方法で製造されたセラミックス粒子の用途は液体クロマトグラフィの充填剤に限定されることはない。例えば、歯科用の顆粒などの生体材料としても使用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 セラミックス粒子
2 開気孔
20 O/Wエマルション
101 微小流路構造体
201 ホルダ
301 分散相供給部
401 連続相供給部
501 微小液滴回収部
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロキシアパタイトなどのリン酸カルシウム系化合物は、蛋白質等に対する吸着性に優れていることからHPLC(High Performance Liquid Chromatography)などの分取・分離用カラム充填剤として使用されている。
【0003】
このようなセラミックス粒子には、カラムに送る溶離液に含まれる他の物質との大きな反応面積を備えていること、また、カラムの圧力損失の増加を防止するために、均一な粒径を備えていること(単分散性に優れていること)が望まれている。
【0004】
このような要求に対し、溶離液との反応面積を向上させるために粒子自体を小径化する技術が一般的に知られている。また、均一な粒径を備える微小粒子の製造方法としては、Y字型や十字型の微小流路構造体を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−122107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、溶離液との反応面積を向上させるために粒子自体を小径化する技術は、小径化した粒子をカラムに充填すると、カラムに送る溶離液の送流抵抗が大きくなるため、圧力損失が増加し、装置負荷が大きくなるという問題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の技術は、均一な粒径を備える微小粒子の製造方法について記載されているものの、セラミックス粒子が製造できる点を開示しているものではない。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、粒子自体を小径化することなく、溶離液との反応面積を大きくすることができ、かつ、単分散性に優れたセラミックス粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係わるセラミックス粒子の製造方法は、セラミックス粉体、バインダ、分散剤及び純水を含むスラリ(W)に、第1の油及び親水性の界面活性剤を添加し、前記第1の油にせん断応力を与えることにより、前記スラリ(W)中に前記第1の油で構成された油滴粒子(O)が分散されたO/Wエマルションを作製し、前記O/Wエマルションを第1の流路に供給し、第2の油及び親油性の界面活性剤を含む油性溶剤を、前記第1の流路に対して任意の角度をもって双方向から対向して合流する第2の流路に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を形成し、前記形成した微小液滴を焼成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係わるセラミックス粒子の製造方法は、セラミックス粉体、バインダ、分散剤及び純水を含むスラリ(W)に、第1の油及び親水性の界面活性剤を添加し、前記第1の油にせん断応力を与えることにより、前記スラリ(W)中に前記第1の油で構成された油滴粒子(O)が分散されたO/Wエマルションを作製し、前記O/Wエマルションを内壁面が親水性である第1の流路に供給し、第2の油及び親油性の界面活性剤を含む油性溶剤を、前記第1の流路に対して任意の角度をもって双方向から対向して合流する第2の流路に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を形成し、前記形成された微小液滴を、内壁面が疎水性である第3の流路を経由して排出し、前記排出された微小液滴を焼成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るセラミックス粒子の製造方法によれば、粒子自体を小径化することなく、溶離液との反応面積を大きくすることができ、かつ、単分散性に優れたセラミックス粒子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】O/Wエマルションで構成された分散相を作製する際の工程概念図。
【図2】微小液滴を形成する際に用いられる製造装置の全体を示す概念図。
【図3】図2に示す製造装置に使用される微小流路構造体の概念図。
【図4】図2に示す製造装置に使用される微小流路構造体を保持するホルダの概念図。
【図5】図2に示す微小液滴回収部における回収容器の部分を拡大させた概念図。
【図6】本発明に係わる製造方法を用いて製造されたセラミックス粒子の外観図。
【図7】図6に示すセラミックス粒子の表面から内部にかけての断面図。
【図8】本発明に係わる分散相と連続相を用いて、図3に示すような微小流路構造体内に送液したときの液滴の生成状況を表す顕微鏡写真。
【図9】実施例1において製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真。
【図10】比較例1において製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真。
【図11】比較例2において製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真。
【図12】T字形の微小流路構造体内に送液したときの微小液滴の生成状況を表す顕微鏡写真。
【図13】実施例2における微小流路構造体内に送液したときの液滴の生成状況を表す顕微鏡写真。
【図14】実施例2において製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真。
【図15】比較例3における微小流路構造体内に送液したときの液滴の生成状況を表す顕微鏡写真。
【図16】比較例3において製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明について図面を参照しながら説明を行う。なお、本発明は、以下の説明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様で実施することができる。
【0014】
本発明に係るセラミックス粒子の製造方法の概略は次の通りである。すなわち、O/Wエマルションで構成された分散相と、油性溶剤で構成された連続相とを作製し、作製した分散相と連続相とを微小流路構造体に供給して、前記分散相で構成された微小液滴を形成し、前記形成した微小液滴を焼成する。
【0015】
本発明の実施形態に係るセラミックス粒子の製造方法について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0016】
O/Wエマルションで構成された分散相の作製について、以下に説明する。
【0017】
図1に、O/Wエマルションで構成された分散相を作製する際の工程概念図を示す。
【0018】
O/Wエマルションは、セラミックス粉体、バインダ、分散剤及び純水を所定量混合したスラリ(W)10を作製し(図1(a))、作製したスラリ(W)10に、第1の油12及び界面活性剤14を添加し、前記第1の油12にせん断応力16を与えることにより(図1(b))、前記スラリ(W)10中に第1の油12で構成された油滴粒子(O)18を形成する(図1(c))。これによって、スラリ(W)10中に油滴粒子(O)18が分散されたO/Wエマルション20が作製される。
【0019】
セラミックス粉体は、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、リン酸カルシウム系化合物(リン酸カルシウムを含む)等の無機酸化物、炭化珪素、炭化硼素又は窒化珪素のいずれかの粉体が用いられる。
【0020】
バインダとしては、後述する焼成において気化するものであれば特に限定されない。また、バインダとしては、温度などの条件の変化により、粘性が変化する性質を有する材料を用いるのが好ましい。このような性質を有する材料の一例として、寒天が挙げられる。寒天は、高温では流動性があり、低温ではゲル化する性質を有するからである。
【0021】
分散剤においても、後述する焼成において気化するものであれば特に限定されない。例えば、分散剤としては、ポリアクリル酸アンモニウムを用いることができる。
【0022】
純水は、半導体製造の分野で一般的に使用されているもので、工業用水、水道水等を原水として、その中の不純物を高純度イオン交換樹脂、高機能膜、脱気装置等を用いて精製分離されたものである。精製分離の程度としては比抵抗値を用いることができる。一般家庭に用いられる水道水の比抵抗値は0.01〜0.05MΩ・cmであるのに対して、本実施形態における純水としては、1MΩ・cm以上に精製されているものが用いることが好ましい。
【0023】
前記セラミックス粉体、バインダ、分散剤及び純水の混合は、例えば、ボールミルを用いて行うことができる。
【0024】
第1の油12は、後述する焼成において気化するものであれば特に限定されない。例えば、第1の油12としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ヘキサデカン等を好適に用いることができる。
【0025】
界面活性剤14は、親水性であるものが用いられる。すなわち、HLB値(Hydrophile−Lipophile Balance値)が高い界面活性剤が用いられる。このような界面活性剤を用いることにより、スラリ10と第1の油12が混合され、O/Wエマルションを作製した際に、スラリ10中に含まれることになる油滴粒子(O)18の合一化を防ぐことができる。例えば、界面活性剤14は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを用いることができる。
【0026】
せん断応力16は、攪拌機等によって与えることができる。
【0027】
なお、第1の油12及び界面活性剤14の添加は、図1(b)に示すように、別々に添加してもよく、第1の油12と界面活性剤14とを混合させたものを同時に添加してもよい。
【0028】
油性溶剤で構成された連続相の作製について、以下に説明する。油性溶剤は、第2の油及び界面活性剤を混合することで作製する(図示せず)。第2の油及び界面活性剤の混合は、例えば、マグネットスターラーを用いて行うことができる。
【0029】
第2の油は、第1の油12と同様に、後述する焼成において気化するものであれば特に限定されない。例えば、第2の油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ヘキサデカン等を好適に用いることができる。
【0030】
この連続相に使用される界面活性剤は、親油性であるものが用いられる。すなわち、HLB値が低い界面活性剤が用いられる。このような界面活性剤を用いることにより、O/Wエマルションからなる液滴同士の合一化を防ぐことができる。例えば、親油性の界面活性剤は、ソルビタンセスキオレエートを用いることができる。
【0031】
次に、各々作製した分散相と連続相とを微小流路構造体に供給して、前記分散相で構成される微小液滴を形成する。
【0032】
図2から図4に、微小液滴を形成する際に用いられる製造装置の概念図をそれぞれ示す。図2は、微小液滴を形成する際に用いられる製造装置の全体を示す概念図である。図3は、図2に示す製造装置に使用される微小流路構造体101の上面図(A)と、上面図(A)のA−A断面線における微小流路構造体101の断面図(B)と、上面図(A)のB−B断面線における微小流路構造体101の断面図(C)である。図4は、図2に示す製造装置に使用される微小流路構造体101を保持するホルダ201の上面図(A)と、上面図(A)のC−C断面線におけるホルダ201の断面図(B)である。
【0033】
図2に示すように、微小液滴を形成する際に用いられる製造装置100は、微小流路構造体101と、微小流路構造体101を保持するホルダ201と、微小流路構造体101内に分散相を供給する分散相供給部301と、微小流路構造体101内に連続相を供給する連続相供給部401と、微小流路構造体101内で形成された微小液滴を回収する微小液滴回収部501とを備える。
【0034】
図3(A)に示すように、微小流路構造体101は、分散相が供給される分散相供給口103と、分散相供給口103から延びる第1流路105と、連続相を供給する連続相供給口113と、連続相供給口113から延び、第1の流路105に対して任意の角度θ(例えば、45°)をもって双方向から対向して合流する第2流路115と、第1流路105と第2流路115と繋がり、連続相供給口113から供給された連続相と、連続相中に分散相供給口103から供給された分散相が送り込まれることによって生成される微小液滴とが流れる第3流路135と、第3流路135を流れる連続相及び微小液滴を排出する排出口138とを備える。
【0035】
図3(B)、(C)に示すように、微小流路構造体101は、例えば3枚の板状体が積層された構成を有する。具体的には、微小流路構造体101は、第1流路105、第2流路115及び第3流路135が形成された第1の板状体150と、分散相供給口103、連続相供給口113及び排出口138が形成された第2の板状体160とが、分散相供給口103と第1流路105、連続相供給口113と第2流路115、及び排出口138と第3流路135が各々連通するように接合され、更に、第1の板状体150の第2の板状体160と接合した面に対向する面に第3の板状体170が接合されている構成を備えている。
【0036】
微小流路構造体101を構成する板状体150、160、170に用いられる材質としては、前述したような流路等を形成可能であり、かつ、ある程度の耐薬品性を備えていれば特に限定されない。微小流路構造体101は、例えば、石英、ガラス、Al2O3、YAG等のセラミックス、シリコン、樹脂等で構成されている。なお、本実施形態では、ガラスを用いた例で説明する。
【0037】
微小流路構造体101は、例えば、第1の板状体150の表面に、前記流路105、115、135となる凹部を周知の方法(エッチング、レーザー加工等)などを用いて形成し、第2の板状体160に、前記供給口103、113及び排出口138となる貫通口を周知の方法(機械加工、レーザー加工等)などを用いて形成し、第1の板状体150と第2の板状体160とを前記凹部と前記貫通口とが各々連通するように接合し、その後、第3の板状体170を、第1の板状体150の前記第2の板状体160が接合させた面に対向する面に接合させることで製造することができる。
【0038】
前記第3流路135の内壁面は疎水性であることが好ましい。このように構成されていると、分散相として使用するO/Wエマルションからなる微小液滴が、第3流路135の内壁面に付着するのを防止することができる。したがって、形成された微小液滴の排出を第3流路135内にてスムーズに行うことができる。また、第3流路135の内壁面に付着した微小液滴に他の微小液滴が衝突し、微小液滴が合一化することを防止できる。
【0039】
また、前記第1流路105の内壁面は親水性であることが好ましい。このように構成されていると、分散相として使用するO/Wエマルションの油滴粒子が第1流路105の内壁面に付着することを防止できる。したがって、第1流路105内にて油滴粒子が合一化し、油滴粒子の大きさのばらつきが増大することを防止することができる。油滴粒子の大きさのばらつきの増大を防ぐことにより、連続相によりせん断されて形成される微小液滴を焼成した場合に、気孔径のばらつきの増大を防ぐことができる。
【0040】
第1流路105の内壁面を親水性とし、第3流路135の内壁面を疎水性とするためには、微小流路構造体101の素材が親水性であれば、例えば、供給口103を閉塞し、供給口113を開放した状態で、排出口138より疎水性の液状のコーティング剤を供給する。例えば、排出口138にコーティング剤を滴下する。すると、毛細管力により排出口138から第3流路135内をコーティング剤が移動する。なお、供給口113を開放していることによってコーティング剤が第2流路115内にも移動すると、第2流路115の内壁面は疎水性となる。しかし、供給口103が閉塞されていることにより、第1流路105内の空気の存在により、コーティング剤は第1流路105内に移動できない。
【0041】
逆に微小流路構造体101の素材が疎水性であれば、第1流路105の内壁面を親水性とするために、例えば、排出口138を閉塞し、供給口113を開放した状態で、供給口103より親水性の液状のコーティング剤を供給する。例えば、供給口103にコーティング剤を滴下する。すると、毛細管力により供給口113に向けてそのコーティング剤が移動する。もし、供給口113を開放していることによってコーティング剤が第2流路115内にも移動をすると、第2流路115の内壁面は親水性となる。
【0042】
なお、供給されたコーティング剤のうち、第1流路105または第3流路135の内壁面のコーティングに使われなかったものは、供給口103、113、排出口138を開放し、あるいは、板状体160を取り外し、微小流路構造体101を加熱などして除去を行う。
【0043】
図4に示すように、ホルダ201は、微小流路構造体101を装着する凹部(保持部)203と、微小流路構造体101の分散相供給口103と連通する第1のホルダ流路210と、微小流路構造体101の連続相供給口113と連通する第2のホルダ流路220と、微小流路構造体101の排出口138と連通する第3のホルダ流路230と、第1のホルダ流路210、第2のホルダ流路220及び第3のホルダ流路230と各々連通するコネクタ部215、225、235とで構成されている。ホルダ201を構成する材料は、例えば、アクリル、テフロン(登録商標)、ステンレス等が用いられる。前述したホルダ流路210、220、230及びコネクタ部215、225、235は、周知の方法(エッチング、レーザー加工等)などを用いて形成することができる。
【0044】
微小流路構造体101は、図3に示す微小流路構造体101の供給口103、113及び排出口138が形成された上面を、前記ホルダ201の保持部203の底面に、分散相供給口103と第1のホルダ流路210が、連続相供給口113と第2のホルダ流路220が、及び、排出口138と第3のホルダ流路230がそれぞれ連通するようにホルダ201に装着される。
【0045】
図2に示すように、分散相供給部301は、分散相を所定量保持すると共に、保持された分散相を、例えば、供給管320を介して微小流路構造体101の分散相供給口103に供給する分散相供給装置310(例えば、注射器)で構成されている。具体的には、供給管320は、ホルダ201のコネクタ部215に接続されており、分散相供給装置310から供給された分散相は、供給管320及び第1のホルダ流路210を通って分散相供給口103に供給される。また、分散相供給装置310には、例えば、分散相の供給量を制御する制御部(図示せず)が設けられている。
【0046】
図2に示すように、連続相供給部401は、連続相を所定量保持すると共に、保持された連続相を、例えば、供給管420を介して微小流路構造体101の連続相供給口113に供給する連続相供給装置410(例えば、注射器)で構成されている。具体的には、供給管420は、ホルダ201のコネクタ部225に接続されており、連続相供給装置410から供給された連続相は、供給管420及び第2のホルダ流路220を通って連続相供給口113に供給される。また、連続相供給装置410には、例えば、連続相の供給量を制御する制御部(図示せず)が設けられている。
【0047】
微小液滴回収部501は、ホルダ201のコネクタ部235に接続された排出管520を介して、微小流路構造体101で生成された微小液滴560と連続相580とを回収する回収容器540(例えば、ガラス製のビーカー)で構成されている。
【0048】
以上の製造装置100を用いて、分散相で構成された微小液滴を形成する。
【0049】
具体的には、作製したO/Wエマルションを分散相供給装置310に充填し、作製した油性溶剤を連続相供給装置410に充填し、各々、微小流路構造体101に供給する。
【0050】
分散相供給口103に供給された分散相は、第1流路105内を流れ、また、連続相供給口113に供給された連続相は、第2流路115内を流れ、分散相と連続相は、第1流路105と、第2流路115との交差箇所で合流し、分散相が連続相によってせん断されて微小液滴が形成され、形成された微小液滴は連続相と共に、第3流路135を流れ、排出口138より排出され、微小液滴回収部501で回収される。
【0051】
図5は、図2に示す微小液滴回収部501における回収容器540の部分を拡大させた概念図である。図5に示すように、上述した方法で回収される微小液滴560は、油滴粒子18を内部に閉じ込めたスラリ10で構成されている。
【0052】
このように、本発明においては、O/Wエマルションを分散相として第1の流路に供給し、油性溶剤を連続相として、第1の流路に対して任意の角度をもって双方向から対向して合流する第2の流路に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を、均一な粒径で複数形成することができる。
【0053】
なお、O/Wエマルションを分散相として、油性溶剤を連続相として、T字型の微細流路構造体に導入した場合には、前記微小液滴を形成することができない。詳しくは、後述する比較例3にて説明する。
【0054】
なお、微小液滴560の形成において、バインダとして、高温では流動性があり低温ではゲル化するゲル化剤(例えば、寒天)を使用した場合には、図2に示す微小流路構造体101、ホルダ201、分散相供給部301及び連続相供給部401を含む微小液滴生成領域100aは加熱環境中にあり、微小液滴回収部501を含む微小液滴回収領域100bは冷却環境中にあることが好ましい。
【0055】
このような構成を備えることで、バインダとしてゲル化剤を用いた場合には、分散相が微小液滴560形成前に固化されることなく、更に、形成した微小液滴560に含まれるスラリ10を急速に硬化させることができるため、生成した微小液滴560の形状を悪化させることがなく、単分散性に優れた微小液滴560を効率的に得ることができる。なお、このような場合には、微小液滴560はスラリ10の部分が固化され球状ゲルとなる。
【0056】
なお、前記加熱環境や冷却環境の温度は、使用するゲル化剤によって適宜設定される。上述のようにゲル化剤に寒天を用いた場合には、前記加熱環境における温度は40℃以上、前記冷却環境における温度は10℃以下であることが好ましい。
【0057】
最後に、回収した微小液滴(又は球状ゲル)を焼成する。
【0058】
この焼成における雰囲気ガス、焼成温度等は使用するセラミックス粉体、バインダや第1の油等の材質によって適宜設計される。例えば、バインダとして寒天を用いた場合には、酸素雰囲気ガスを用いることにより、前記寒天を好適に除去することが可能である。また、例えば、セラミックス粉体としてリン酸カルシウム系化合物を用いた場合には、焼成温度を600℃〜700℃程度で行えばよい。
【0059】
図6及び図7は、以上のような製造方法を経て製造されるセラミックス粒子の概念図である。すなわち、図6は、本発明に係わる製造方法を用いて製造されたセラミックス粒子の外観図であり、図7は、図6に示すセラミックス粒子の表面から内部にかけての断面図である。
【0060】
前記回収した微小液滴(又は球状ゲル)を焼成することにより、スラリ10の内部に存在する油滴粒子18は焼成、気化され、その部分は気孔として形成され、図6、図7に示すように、外表面1aからその内部にかけて、連通された開気孔2、2a、2b・・・・を有するセラミックス粒子1を得ることができる。なお、前記スラリ10の部分は、セラミックス粒子1の骨格部3となる。
【0061】
以上の製造方法を用いて製造されるセラミックス粒子は、平均気孔径が500nm以上20μm以下である開気孔2、2a、2b・・・が複数設けられ、かつ、粒度分布がCV(coefficient of variation value)値で10%以下と単分散性に優れている(CV値の定義は後述する)。また、前記セラミックス粒子の骨格部3は、例えば、比表面積50m2/g以上のアパタイト原料を用いた場合には、平均気孔径が10nm以上200nm以下の微細孔が設けられている。
【0062】
前記開気孔2、2a、2b・・・の平均気孔径の制御は、O/Wエマルション20の作製時に第1の油12に与えるせん断応力16の強弱により制御することができる。また、前記骨格部3の平均気孔径の制御は、スラリ10の作製の際に使用されるセラミックス粉体の粒径の制御や、焼成時の焼成温度の制御により行うことができる。
【0063】
このように、本実施形態に係わるセラミックス粒子の製造方法は、スラリ及び油滴粒子で構成されるO/Wエマルションを作製して、図3に示すような第1の流路105に供給し、油性溶剤を連続相として図3に示すような第1の流路105に対して任意の角度θをもって双方向から対向して合流する第2の流路115に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を、均一な粒径で複数製造することができる。また、焼成後得られるセラミックス粒子1は、図6及び図7に示すように、その外表面1aからその内部にかけて、連通された開気孔2、2a、2b・・・が複数形成されているため、溶離液との反応面積を大きくすることができる。そのため、セラミックス粒子自体を小径化する必要は無く、表面積を大きくすることができる。
【0064】
すなわち、本実施形態に係わるセラミックス粒子の製造方法では、粒子自体を小径化することなく、溶離液との反応面積を大きくすることができ、かつ、単分散性に優れたセラミックス粒子を製造することができる。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
アガロース(寒天)を純水に対して重量比0.5%の割合で添加したアガロース水溶液に、ハイドロキシアパタイト粉末を重量比30%の割合で混合したものに、ポリアクリル酸アンモニウムをハイドロキシアパタイト粉末に対して重量比で5%添加し、ボールミルにて10時間以上処理し、ハイドロキシアパタイト含有スラリを作製した。なお、このスラリの作製は、バインダであるアガロース(寒天)が硬化しないように、スラリ温度が40℃以上に保持できるような加温環境の下で実施した。
【0066】
次に、作製したスラリに、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを水に対して1%添加し、また、イソパラフィンを水に対して30wt%添加して攪拌した。これによって、前記スラリ中でイソパラフィンは乳化し、油滴粒子が均一に分散したO/Wエマルションを形成し、これを分散相とした。
【0067】
また、連続相として、ソルビタンセスキオレエートを重量比で4%添加したイソパラフィンを使用した。
【0068】
上記分散相と、連続相とを用いて、図2に示すような製造装置により微小液滴を形成した。なお、本実施例に使用した微小流路構造体は、流路が形成された横30mm×縦30mm×厚さ1.5mmの石英ガラス基板と、供給口及び排出口が形成された横30mm×縦30mm×厚さ1.5mmの石英ガラス基板と、流路、供給口及び排出口が形成されていない横30mm×縦30mm×厚さ1.5mmの石英ガラス基板とを、図3に示されるように、3枚積層して接合されたものを用いた。
【0069】
図8は、生成した分散相と連続相を用いて、図3に示すような微小流路構造体内に送液したときの液滴の生成状況を表す顕微鏡写真を示す。図8に示すように、分散相からなる均一な微小液滴が生成されていることがわかる。
【0070】
次に、生成された微小液滴を冷却してゲル化とした後、ゲル化した球状ゲルをエタノールで洗浄し、その後、減圧下で真空乾燥したのち、酸素雰囲気下で、700℃で焼成処理を行った。
【0071】
図9は、本実施例で製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真を示す。図9(a)は、倍率100倍、図9(b)は倍率1000倍、図9(c)は倍率10000倍である。
【0072】
図9に示すように、本実施例で製造したセラミックス粒子は、その外表面からその内部にかけて、連通された開気孔が形成させていることが確認できる。また、本実施例で製造されたセラミックス粒子のCV(coefficient of variation value)値を測定した。CV値は粒径の均一さを示す指標で、以下の式で表される。
【0073】
CV値=標準偏差/平均粒子径×100(%)
【0074】
なお、本実施例で製造したセラミックス粒子のCV値は、5%であった。
【0075】
(比較例1)
アガロース(寒天)を純水に対して重量比0.5%の割合で添加したアガロース水溶液に、ハイドロキシアパタイト粉末を重量比30%の割合で混合したものに、ポリアクリル酸アンモニウムをハイドロキシアパタイト粉末に対して重量比で5%添加し、ボールミルにて10時間以上混合し、ハイドロキシアパタイト含有スラリを作製し、これを分散相とした。その他は、実施例1と同様な条件で行った。
【0076】
図10は、比較例1で製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真を示す。図10(a)は、倍率100倍、図10(b)は倍率1000倍、図10(c)は倍率10000倍である。
【0077】
図10に示すように、比較例1で製造したセラミックス粒子は、実施例1で見られたような連通された開気孔は確認されなかった。なお、比較例1で製造したセラミックス粒子のCV値は、6%であった。
【0078】
(比較例2)
アガロース(寒天)を純水に対して重量比0.5%の割合で添加したアガロース水溶液に、ハイドロキシアパタイト粉末を重量比30%の割合で混合したものに、ポリアクリル酸アンモニウムをハイドロキシアパタイト粉末に対して重量比で5%添加し、ボールミルにて10時間以上混合処理し、ハイドロキシアパタイト含有スラリを作製した。なお、このスラリの作製は、バインダであるアガロース(寒天)が硬化しないように、スラリ温度が40℃以上に保持できるような環境の下で実施した。
【0079】
次に、作製したスラリに、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを水に対して1%添加し、また、イソパラフィンを水に対して30wt%添加して攪拌した。これによって、前記スラリ中でイソパラフィンは乳化し、油滴粒子が均一に分散したO/Wエマルションが得られた。
【0080】
次に、ビーカーにイソパラフィン及び界面活性剤(ソルビタンセスキオレエート:重量比で4%)を添加し、加熱しながら攪拌し、攪拌させた状態で、前記作製したO/Wエマルションを少量ずつ添加した。この攪拌により、前記ビーカー内に油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を形成された。
【0081】
次に、生成された微小液滴を冷却してゲル化した後、ゲル化した球状ゲルをエタノールで洗浄し、その後、減圧下で真空乾燥したのち、酸素雰囲気下で、700℃で焼成処理した。
【0082】
図11に、本比較例2で製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真を示す。図11(a)は、倍率100倍、図10(b)は倍率500倍である。
【0083】
図11に示すように、比較例2で製造したセラミックス粒子は、実施例1で見られたような連通された開気孔は確認されたものの、図11(a)に示すように、明らかに、均一な粒径を備えておらず、CV値は測定しなかった。
【0084】
(比較例3)
実施例1で説明したのと同様な方法で、分散相で構成された微小液滴を生成した。ただし、使用する微小流路構造体は、T字形の微小流路構造体を用いて行った。
【0085】
図12に、T字形の微小流路構造体内に送液したときの微小液滴の生成状況を表す顕微鏡写真を示す。図12では、紙面下から上にかけて設けられている分散相流路に前記分散相が供給され、紙面左から右にかけて設けられている連続相流路に前記連続相が供給されている。しかしながら、合流箇所より右側の流路では、連続相と分散相との層流が生じてしまったため、均一な液滴径の微小液滴を形成することが出来なかった。
【0086】
(実施例2)
実施例1で製造したセラミックス粒子が、その外表面からその内部にかけて連通された開気孔を有している理由の一つは、微小流路構造体により形成される微小液滴が油滴粒子を含み、その油滴粒子が微小液滴の焼成により気化するためであると考えられる。そこで、スラリに添加するイソパラフィンの量を増加し、連通孔の量を増加させ、セラミックス粒子を充填剤として用いた場合の反応面積を大きくする実施例について説明する。
【0087】
本実施例においても、実施例1と同じく、アガロース(寒天)を純水に対して重量比0.5%の割合で添加したアガロース水溶液に、ハイドロキシアパタイト粉末を重量比30%の割合で混合したものに、ポリアクリル酸アンモニウムをハイドロキシアパタイト粉末に対して重量比で5%添加し、ボールミルにて10時間以上処理し、ハイドロキシアパタイト含有スラリを作製した。なお、このスラリの作製は、バインダであるアガロース(寒天)が硬化しないように、スラリ温度が40℃以上に保持できるような加温環境の下で実施した。
【0088】
そして、作製したスラリに、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを水に対して1%添加した。
【0089】
ただし、本実施例2では、このスラリとイソパラフィンの混合比を体積比で1:2とするために、スラリにイソパラフィンを加えながら撹拌した。具体的には、スラリを容量50mLの試薬瓶に入れ、それにイソパラフィンを少量ずつ入れ、せん断応力を与えるために試薬瓶を手で振って振動を加えた。これにより、イソパラフィンが乳化され、最終的にスラリとイソパラフィンの混合比を体積比で1:2とするO/Wエマルションを作成した。
【0090】
実施例1では、石英ガラスを用いて作成された微小流路構造体を用いた。したがって、微小流路構造体の流路の内壁面は全て親水性となる。一方、本実施形態では、実施例1において説明した手順に従って作成された微小流路構造体に対して、スラリが供給される流路の部分の内壁面を親水性とし、また、形成された微小液滴が流れる流路の内壁面を疎水性とした。
【0091】
そこで、微小流路構造体の連続相供給口を開放したまま分散相供給口を閉塞する。具体的には、分散相供給口の閉塞にはテープを用いて分散相供給口を閉塞した。そして、排出口にコーティング剤を滴下した。コーティング剤は、毛細管力によって、微小液滴が流れることになる向きとは逆向きに排出口から第3流路を通り、第1流路への第2流路の合流箇所へ移動する。分散相供給口が閉塞され、連続相供給口が開放されているために、コーティング剤は第1流路に実質的に進入せず、第2流路に進入することになる。その後、コーティング剤を乾燥させる。これにより、第1流路の内壁面は親水性としたまま、排出流路の内壁面を疎水性とすることができる。なお、「第1流路実質的に進入せず」とは、毛細管力によりわずかにコーティング剤が第1流路に進入する場合があることを意味する。
【0092】
なお、コーティング剤を排出口に滴下するかわりに、連続相供給口に滴下して第3流路まで移動させてもよい。
【0093】
このようにして得られた微小流路構造体を用いて、図2に示す製造装置を組み立て、上述したO/Wエマルションを分散相とし、実施例1で説明した手順で得られた油性溶剤を連続相として、ゲル化した微小液滴を生成し、エタノールで洗浄して、減圧下で真空乾燥したのち、酸素雰囲気下で、700℃で焼成処理を行った。
【0094】
図13は、本実施例において、生成した分散相と連続相を用い、上述した処理を行った微小流路構造体に送液したときの液滴の生成状況を表す顕微鏡写真を示す。図13に示すように、分散相からなる均一な微小液滴が生成され、排出流路を流れていることがわかる。また、第1流路内において、分散相中に白く見えるのはイソパラフィンであるが、第1流路の内壁面には付着していないことがわかる。
【0095】
図14は、本実施例で製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真を示す。図14(a)は倍率200倍、図14(b)は、倍率1000倍である。図14(b)によれば、気孔径1〜20μmの連通孔と気孔径10〜200nmの微細孔を備えたアパタイト粒子が得られることがわかる。また、図14(a)と図9(a)とを比べると、本実施例では、実施例1よりも、セラミックス粒子の形状が均一になっていることがわかる。また、図14(b)と図9(b)とを比べると、本実施例では、実施例1よりも、セラミックス粒子の形状はより球形に近いことがわかる。
【0096】
(比較例4)
第1流路の内壁面を親水性にすることにより得られる効果を比較するために、微小流路構造体の流路の全ての内壁面を疎水性にコーティングし、実施例2で説明した手順で作成した分散相を供給して微小液滴を生成し、ゲル化した微小液滴を生成し、エタノールで洗浄して、減圧下で真空乾燥したのち、酸素雰囲気下で、700℃で焼成処理を行った。
【0097】
図15は、本比較例において、生成した分散相と連続相を用いて、全ての内壁面が疎水性の微小流路構造体に送液したときの液滴の生成状況を表す顕微鏡写真を示す。図13と比較すると、本比較例では、第1流路において、分散相内のイソパラフィンの油滴が合一化していることがわかる。
【0098】
図16は、本比較例において製造されたセラミックス粒子の顕微鏡写真を示す。図16(a)は倍率200倍、図16(b)は、倍率1000倍である。図16(a)を参照すると、割れたセラミックス粒子の存在が確認され、また、図14(a)と比較すると、割れていないセラミックス粒子の大きさにおいても、本比較例では、ばらつきが大きい。また、図16(b)と図14(b)とを比較すると、本比較例では、10μm程度の大きなマクロ孔が存在しているのに対し、実施例2では、マクロ孔が観察されず、また、数μmのマクロ孔のサイズが、均一化している。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、本発明に係る製造方法により、高速クロマトグラフィの充填剤として好ましい性質を有するセラミックス粒子を製造することができる。なお、本発明に係る製造方法で製造されたセラミックス粒子の用途は液体クロマトグラフィの充填剤に限定されることはない。例えば、歯科用の顆粒などの生体材料としても使用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 セラミックス粒子
2 開気孔
20 O/Wエマルション
101 微小流路構造体
201 ホルダ
301 分散相供給部
401 連続相供給部
501 微小液滴回収部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス粉体、バインダ、分散剤及び純水を含むスラリ(W)に、第1の油及び親水性の界面活性剤を添加し、前記第1の油にせん断応力を与えることにより、前記スラリ(W)中に前記第1の油で構成された油滴粒子(O)が分散されたO/Wエマルションを作製し、
前記O/Wエマルションを第1の流路に供給し、第2の油及び親油性の界面活性剤を含む油性溶剤を、前記第1の流路に対して任意の角度をもって双方向から対向して合流する第2の流路に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を形成し、
前記形成した微小液滴を焼成することを特徴とするセラミックス粒子の製造方法。
【請求項2】
前記セラミックス粉体は、リン酸カルシウム系化合物であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス粒子の製造方法。
【請求項3】
セラミックス粉体、バインダ、分散剤及び純水を含むスラリ(W)に、第1の油及び親水性の界面活性剤を添加し、前記第1の油にせん断応力を与えることにより、前記スラリ(W)中に前記第1の油で構成された油滴粒子(O)が分散されたO/Wエマルションを作製し、
前記O/Wエマルションを内壁面が親水性である第1の流路に供給し、第2の油及び親油性の界面活性剤を含む油性溶剤を、前記第1の流路に対して任意の角度をもって双方向から対向して合流する第2の流路に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を形成し、
前記形成された微小液滴を、内壁面が疎水性である第3の流路を経由して排出し、
前記排出された微小液滴を焼成することを特徴とするセラミック粒子の製造方法。
【請求項1】
セラミックス粉体、バインダ、分散剤及び純水を含むスラリ(W)に、第1の油及び親水性の界面活性剤を添加し、前記第1の油にせん断応力を与えることにより、前記スラリ(W)中に前記第1の油で構成された油滴粒子(O)が分散されたO/Wエマルションを作製し、
前記O/Wエマルションを第1の流路に供給し、第2の油及び親油性の界面活性剤を含む油性溶剤を、前記第1の流路に対して任意の角度をもって双方向から対向して合流する第2の流路に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を形成し、
前記形成した微小液滴を焼成することを特徴とするセラミックス粒子の製造方法。
【請求項2】
前記セラミックス粉体は、リン酸カルシウム系化合物であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス粒子の製造方法。
【請求項3】
セラミックス粉体、バインダ、分散剤及び純水を含むスラリ(W)に、第1の油及び親水性の界面活性剤を添加し、前記第1の油にせん断応力を与えることにより、前記スラリ(W)中に前記第1の油で構成された油滴粒子(O)が分散されたO/Wエマルションを作製し、
前記O/Wエマルションを内壁面が親水性である第1の流路に供給し、第2の油及び親油性の界面活性剤を含む油性溶剤を、前記第1の流路に対して任意の角度をもって双方向から対向して合流する第2の流路に供給することで、前記O/Wエマルションにせん断応力を与えることにより、前記油滴粒子を内部に閉じ込めたスラリで構成された微小液滴を形成し、
前記形成された微小液滴を、内壁面が疎水性である第3の流路を経由して排出し、
前記排出された微小液滴を焼成することを特徴とするセラミック粒子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−46654(P2010−46654A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67722(P2009−67722)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(507182807)コバレントマテリアル株式会社 (506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(507182807)コバレントマテリアル株式会社 (506)
【Fターム(参考)】
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