説明

セラミック基板と、そのセラミック基板を用いた電子部品モジュール

【課題】その製造歩留まりを向上させることができるセラミック基板を提供する。
【解決手段】セラミック基板部2と、セラミック基板部2上に電子部品3を接続するために形成された、少なくとも1つの端子部4と、セラミック基板部2上に、所望の電気回路パターンが形成された、少なくとも1つの配線部5と、を有するセラミック基板1において、端子部4は、セラミック基板部2上に形成された第1の金属部10と、第1の金属部10の表面に形成された配線部皮膜部11とを備え、配線部5は、セラミック基板部2上に形成された第1の金属部10と、第1の金属部10上に形成された第2の金属部12と、第1の金属部10の全ての側面と第2の金属部12の表面に形成された配線部皮膜部13と、を備えたセラミック基板1としたので、セラミック基板1の製造歩留まりを向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック基板と、そのセラミック基板を用いた電子部品モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、セラミック基板上に電子部品を搭載した電子部品モジュールの開発は進んでいる。特に、電子部品として発光ダイオード(LED、Light Emitting Diode)を搭載した発光ダイオードモジュールは、そのセラミック基板部の優位点である耐熱性・耐湿性に優れ、また、素材自体が良好な反射率を有することから、高パワー発光ダイオードモジュール、また、液晶のバックライト向けの発光ダイオードモジュールとして用いられている。
【0003】
従来の電子部品モジュールに用いられるセラミック基板は、セラミック基板部と、前記セラミック基板部上に、電子部品(例えば、前述の発光ダイオード等)を接続するために形成された、少なくとも1つの端子部と、前記セラミック基板部上に、所望の電気回路パターンが形成された、少なくとも1つの配線部と、前記端子部上に形成された端子部皮膜部と、前記配線部上に形成された配線部皮膜部と、を備えたものとなっていた(例えば、これに類似する技術は下記特許文献1に記載されている)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−147210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来のセラミック基板においては、前記端子部皮膜部と、前記配線部皮膜部は、それぞれ、前記端子部と、前記配線部との上面に形成されているが、それら側面には形成されていない。そのため、前記従来のセラミック基板を用いた電子部品モジュールは、長時間使用した場合、エレクトロマイグレーションという現象に起因して、前記端子部の間、前記配線部の間、あるいは前記端子部端子と前記配線部の間にて短絡してしまうという虞があった。そこで、この前記端子部と、前記配線部とのそれぞれ表面(すなわち、前記配線部の上面、および全体の側面)に、前記端子部皮膜部と、前記配線部皮膜部を形成するということが考えられる。すなわち、前記端子部と、前記配線部とのそれぞれ表面(すなわち、前記配線部の上面、および全体の側面)に、前記端子部皮膜部と、前記配線部皮膜部を形成することによって、エレクトロマイグレーションを防止し、電子部品モジュールの長期信頼性を向上することができるとはできる。
【0006】
しかしながら、近年の電子部品モジュールの小型化に伴い、電子部品モジュールに設けられたリード端子間隔が狭く(狭間隔)なっており、それに起因して、前記端子部皮膜部を形成時(製造時)に、前記端子部の間が短絡してしまい、その結果として、セラミック基板の製造歩留まりの低下してしまうという、新たな課題が生じてしまう。
【0007】
本発明は、このように、前記端子部と、前記配線部とのそれぞれ表面(すなわち、前記配線部の上面、および全体の側面)に、前記端子部皮膜部と、前記配線部皮膜部を単に形成しただけでは、セラミック基板の製造歩留まりの低下してしまうという事に着目し、セラミック基板の製造歩留まりを向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、セラミック基板部と、前記セラミック基板部上に電子部品を接続するために形成された、少なくとも1つの端子部と、前記セラミック基板部上に、所望の電気回路パターンが形成された、少なくとも1つの配線部と、を有するセラミック基板において、前記端子部は、前記セラミック基板部上に形成された第1の金属部と、前記第1の金属部の表面に形成された配線部皮膜部と、を備え、前記配線部は、前記セラミック基板部上に形成された第1の金属部と、前記第1の金属部上の一部に形成された第2の金属部と、前記第1の金属部及び第2の金属部の全ての表面に形成された配線部皮膜部と、を備えたセラミック基板とした。
【0009】
これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明は、セラミック基板部と、前記セラミック基板部上に電子部品を接続するために形成された、少なくとも1つの端子部と、前記セラミック基板部上に、所望の電気回路パターンが形成された、少なくとも1つの配線部と、を有するセラミック基板において、前記端子部は、前記セラミック基板部上に形成された第1の金属部と、前記第1の金属部の表面に形成された配線部皮膜部と、を備え、前記配線部は、前記セラミック基板部上に形成された第1の金属部と、前記第1の金属部上の一部に形成された第2の金属部と、前記第1の金属部及び第2の金属部の全ての表面に形成された配線部皮膜部と、
を備えたセラミック基板としたので、セラミック基板の製造歩留まりを向上させることができる。
【0011】
すなわち、本発明においては、前記端子部に、前記セラミック基板部上に形成された第1の金属部と、前記第1の金属部の表面に形成された配線部皮膜部とを設け、さらに、前記配線部に、前記セラミック基板部上に形成された第1の金属部と、前記第1の金属部上の一部に形成された第2の金属部と、前記第1の金属部及び第2の金属部の全ての表面に形成された配線部皮膜部とを設ける構成としたので、前記端子部の厚みは第1の金属部と端子部皮膜部との合計の厚みとなり、前記配線部の厚みは第1の金属部と第2の金属部と配線部皮膜部との合計の厚みとなるため、前記端子部の厚さを薄くすることができ、前記端子部皮膜部を形成時(製造時)の前記端子部間の短絡を防止することができるので、その結果として、セラミック基板の製造歩留まりを向上させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1におけるセラミック基板を用いた電子部品モジュールの断面図を示し、図1(a)は、電子部品モジュールの断面図、図1(b)は、図1(a)中の点線A−Aにおける切断面の上面図
【図2】実施の形態1におけるセラミック基板の製造方法を示すフローチャート
【図3】実施の形態1におけるセラミック基板の製造方法におけるセラミック基板部準備工程後のセラミック基板の断面図
【図4】実施の形態1におけるセラミック基板の製造方法における第1の金属部形成工程後のセラミック基板の断面図
【図5】実施の形態1におけるセラミック基板の製造方法における第2の金属部形成工程後のセラミック基板の断面図
【図6】実施の形態1におけるセラミック基板の製造方法における皮膜部形成工程後のセラミック基板の断面図
【図7】実施の形態2におけるセラミック基板を用いた電子部品モジュールの断面図を示し、図7(a)は、電子部品モジュールの断面図、図7(b)は、図7(a)中の点線A−Aにおける切断面の上面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の電子部品モジュールの実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
[1]本実施形態におけるセラミック基板1を用いた電子部品モジュール6の構成
まず、はじめに、本発明の実施の形態1におけるセラミック基板を用いた電子部品モジュールの構成に関して説明する。
図1は、実施の形態1における電子部品モジュールの断面図を示し、図1(a)は、電子部品モジュールの断面図、図1(b)は、図1(a)中の点線A−Aにおける切断面の上面図を示すものである。
【0015】
図1(a)、図1(b)に示すように、セラミック基板1は、セラミック基板部2と、セラミック基板部2上に電子部品3を接続するために形成された端子部4と、セラミック基板部2上に、所望の電気回路パターンが形成された配線部5とが形成されている。
また、このセラミック基板1を用いた電子部品モジュール6は、セラミック基板1の端子部4上に電子部品3が、電子部品3に備えられた半田ボール8によって実装され、電子部品3とセラミック基板1は電気的に接続されている。本実施形態においては、電子部品3として、発光ダイオード(LED)を用いた。
【0016】
ここで、端子部4は、セラミック基板1上に形成された第1の金属部10と、第1の金属部10の表面に形成された配線部皮膜部11とによって形成されている。
さらに、配線部5は、セラミック基板1上に形成された第1の金属部10と、第1の金属部10上に形成された第2の金属部12と、第1の金属部10の全ての側面と第2の金属部12の側面と上面とを含む表面に形成された配線部皮膜部13とが形成されている。
【0017】
また、本実施形態においては、第1の金属部10は、セラミック基板1上に形成されたシード層14と、前記シード層上に形成された金属層15とによって形成されている。
【0018】
また、本実施形態において、セラミック基板部2は、一般にHTCC(High Temperature Co−fired Ceramic、高温同時焼成型セラミック)と呼ばれる焼成されたアルミナ(Al2O3)を焼成することによって形成してある。
また、本実施形態において、第1の金属部10のシード層14は、乾式めっき法の一つであるRFスパッタ(Radio Frequency sputtering)法によって、チタン(Ti)の薄膜を50[nm]形成し、さらに、第1の金属部10の金属層15は、そのチタン(Ti)の薄膜上に、金属層15として、RFスパッタ法によって、銅(Cu)の薄膜を100[nm]形成している。
【0019】
また、本実施形態において、第1の金属部10の金属層15は、湿式めっき法の一つである電解めっき法によって銅(Cu)を5[um]から30[um]の膜厚にて形成した。この第1の金属部10の金属層15は、使用用途等によって、適宜ある一定値に設定してする。
【0020】
また、本実施形態において、第2の金属部12は、前述の第1の金属部10の金属層15と同様に、湿式めっき法の一つである電解めっき法によって銅(Cu)を20[um]から50[um]の膜厚にて形成した。この第2の金属部12は、使用用途等によって、適宜ある一定値に設定する。
【0021】
また、本実施形態において、配線部皮膜部11と配線部皮膜部13は、まず、湿式めっき法の一つである無電解めっき法によって、リン(P)を含有したニッケル(Ni−P)の薄膜を3[um]の膜厚にて形成し、その後、無電解めっき法によって、金(Au)の薄膜を0.3[um]形成している。すなわち、本実施形態における端子部皮膜部11および配線部皮膜部13は、ニッケル(Ni)薄膜を1層目とし、金(Au)薄膜を2層目という2層構造になるように形成した。
【0022】
なお、本実施形態においては、セラミック基板部2として、HTCCと呼ばれる焼成されたアルミナ(Al2O3)を焼成することによって形成したが、その他、同じHTCCに分類される焼成された窒化アルミ(Al−N)や、LTCC(Low Temperature Co−fired Ceramics、高温同時焼成型セラミック)と呼ばれるアルミナ(Al2O3)とガラス(SiO2)とを混合し、焼成して形成することもできる。
【0023】
また、本実施形態において、シード層14の材料として、チタン(Ti)を用いたが、その他、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、金(Au)、ニッケルクロム合金(NiCr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)の中から選択されたいずれか1つ、もしくはその合金を用いることも可能である。
【0024】
また、本実施形態において、金属層15の材料として、銅(Cu)を用いたが、その他、電気抵抗の低い物質、例えば金(Au)や銀(Ag)等を電解めっき法にて形成することもできる。
【0025】
また、本実施形態において、第1の金属部10のシード層14、金属層15は、RFスタッパ法を用いたが、例えば、真空蒸着法、イオンビーム蒸着法等、その他の乾式めっき法や、無電界めっき法等の湿式めっきを用いることもできる。
【0026】
また、本実施形態においては、端子部皮膜部11および配線部皮膜部13は、ニッケル(Ni)薄膜を1層目とし、金(Au)薄膜を2層目という2層構造になるように形成したが、1層目のニッケル(Ni)薄膜の材料としては、特にニッケル(Ni)に限定するものではく、例えば、ニッケルリン(Ni−P)、銅ニッケルリン(Cu−Ni−P)等をはじめとする、ニッケルを含む合金を用いることもできる。
【0027】
また、本実施形態において、電子部品3として、発光ダイオード(LED)を用いたが、その他、例えば、LSI(Large Scale Integration)回路をはじめとする半導体IC(Integrated Circuit)チップを用いることもできる。
【0028】
[2]本実施形態におけるセラミック基板1の製造方法
次に、本実施形態におけるセラミック基板1の製造方法に関して説明する。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態1におけるセラミック基板の製造方法を示すフローチャートである。
【0030】
図2に示すように、本実施形態における多層基板の製造方法は、
S1:セラミック基板部準備工程
S2:第1の金属部形成工程
S3:第2の金属部形成工程
S4:皮膜層形成工程
という4つの工程から構成されるものである。
【0031】
以下に、S1、及びS2の製造工程の詳細を説明する。
【0032】
[2]−(1)セラミック基板部準備工程S1
まずはじめに、セラミック基板部準備工程S1にて、セラミック基板部2を作成する。
【0033】
本実施形態においては、アルミナ(Al2O3)粉末の固体成分と、有機溶剤等からなる有機バインダーを、固体成分と有機バインダーとの割合が、固体成分84:有機バインダー16の重量比の割合で混合された組成物をシート状に形成したグリーンシートと呼ばれるものを、所望の厚さになるように複数枚積層し、その後、加圧しながら焼成することによって形成する。図3は、実施の形態1におけるセラミック基板の製造方法におけるセラミック基板部準備工程後のセラミック基板1(すなわち、セラミック基板部2)の断面図を示すものである。
【0034】
図3に示すように、セラミック基板部準備工程S1を行うことによって、セラミック基板部2を形成することができる。
【0035】
[2]−(2)第1の金属部形成工程S2
次に、第1の金属部形成工程S2にて、セラミック基板部2上に、第1の金属部10を形成する。
【0036】
本実施形態においては、第1の金属部10としては、まず初期層としてシード層14を形成し、その後、成長層として金属層15を形成するという、多層構造の第1の金属部10とした。
【0037】
それでは、まず、シード層14の形成方法に関して説明する。
【0038】
本実施形態においては、シード層14として、前述のように、チタン(Ti)を1層目とし、銅(Cu)を2層目という2層構造のシード層14を用いた。ここで、まずセラミック基板部2上にシード層14を形成しない領域にレジストを塗布し、マスキングを行う。
【0039】
その後、乾式めっき法によって、シード層14の1層目であるチタン(Ti)層を形成する。本実施形態においては、前述のように、RFスパッタ法によって形成した。ここで、本実施形態においては、スパッタリングターゲットとしてチタン(Ti)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス雰囲気中で、シード層14の1層目としてチタン(Ti)薄膜を、セラミック基板部2をスパッタリング基板として、スパッタリングターゲットとスパッタリング基板間に高周波電圧を印加することによって、50[nm]形成した。この具体的なスパッタリング条件は、スパッタリングを開始する前のスパッタリング装置内の真空度(背圧)を7×10−4[Pa]以下にした後、スパッタ時のパワーを250W、アルゴンガス圧力を3.3Pa、設定温度を30℃とした。
【0040】
その次に、乾式めっき法によって、シード層14の2層目である銅(Cu)層を形成する。本実施形態においては、シード層14の1層目のチタン(Ti)と同じく、RFスパッタ法によって形成した。ここで、本実施形態においては、スパッタリングターゲットとして銅(Cu)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス雰囲気中で、シード層14の2層目として銅(Cu)薄膜を、シード層14の1層目のチタン(Ti)が形成されたセラミック基板部2をスパッタリング基板として、スパッタリングターゲットとスパッタリング基板間に高周波電圧を印加することによって、100[nm]形成した。この具体的なスパッタリング条件は、前述のシード層14の1層目としてチタン(Ti)薄膜を形成後、スパッタリング装置内の真空を割らずに、連続的に、2層目としての銅(Cu)薄膜を形成した。その際、スパッタ時のパワーを200W、アルゴンガス圧力を2.4Pa、設定温度を30℃とした。
【0041】
以上のようにして、セラミック基板部2上に、第1の金属部10の初期層としてシード層14が形成されるのである。
【0042】
その次に、第1の金属部10のシード層14上に、第1の金属部10の成長層として、金属層15を形成する。本実施形態においては、湿式めっきとして、電解めっき法を用い、銅(Cu)を25[um]の膜厚にて形成した。
【0043】
以上のようにして、セラミック基板部2上に、第1の金属部10(初期層としてシード層14、および、成長層として金属層15)が形成されるのである。
【0044】
その後、前述のレジストを除去する。
【0045】
図4は、実施の形態1におけるセラミック基板の製造方法における第1の金属部形成工程後のセラミック基板の断面図を示すものである。
【0046】
図4に示すように、第1の金属部形成工程S2を行うことによって、セラミック基板部2上に、第1の金属部10(初期層としてシード層14、および、成長層として金属層15)を形成することができる。
【0047】
[2]−(3)第2の金属部形成工程S3
次に、第2の金属部形成工程S3にて、セラミック基板部2上の配線部5に相当する第1の金属部10上に、第2の金属部12を形成する、
まず、まずセラミック基板部2上に第2の金属部12を形成しない領域、すなわち、セラミック基板部2上における第1の金属部10が形成されていない領域と、この工程後に端子部4になる第1の金属部10上にレジストを塗布し、マスキングを行う。
【0048】
次に、この工程後に配線部5になる第1の金属部10上(金属層15上)に、第2の金属部12を形成する。本実施形態においては、湿式めっきとして、電解めっき法を用い、銅(Cu)を50[um]の膜厚にて形成した。
【0049】
以上のようにして、セラミック基板部2上の配線部5になる第1の金属部10上に、第2の金属部12が形成されるのである。
その後、前述のレジストを除去する。
【0050】
図5は、実施の形態1におけるセラミック基板の製造方法における第1の金属部形成工程後のセラミック基板の断面図を示すものである。
【0051】
図5に示すように、第2の金属部形成工程S3を行うことによって、セラミック基板部2上の配線部5になる第1の金属部10上に、第2の金属部12を形成することができる。
【0052】
[2]−(4)皮膜部形成工程S4
次に、皮膜部形成工程S4にて、セラミック基板部2上の端子部4となる第1の金属部10の表面に端子部皮膜部11と、セラミック基板部2上の配線部5となる第1の金属部10の全ての側面と第2の金属部12の側面と上面とを含む表面に形成された配線部皮膜部13とを、同時に形成する。
【0053】
本実施形態においては、前述のように、端子部皮膜部11および配線部皮膜部13は、ニッケル(Ni)薄膜を1層目とし、金(Au)薄膜を2層目という2層構造になるように形成した。
【0054】
まずはじめに、前処理として、セラミック基板部2上の端子部4となる第1の金属部10の表面、および、セラミック基板部2上の配線部5となる第1の金属部10の全ての側面と第2の金属部12の側面と上面とを含む表面に付着している異物及び油分などを除去する。この前処理は、本発明に必須の工程ではなく、それら表面がきれいな状態であれば不要である。
【0055】
次に、セラミック基板部2上の端子部4となる第1の金属部10の表面、および、セラミック基板部2上の配線部5となる第1の金属部10の全ての側面と第2の金属部12の側面と上面とを含む表面を、金属触媒を含む水溶液に接触させる。この金属触媒としては、ニッケル(Ni)薄膜を形成するための触媒となり得るもの、例えばパラジウム(Pd)触媒、銅(Cu)触媒等を用いることができる。本実施形態においては、パラジウム(Pd)触媒を用いた。また、触媒付与工程における触媒の濃度、処理時間、温度等の諸条件は、適宜変更可能である。こうして、セラミック基板部2上の端子部4となる第1の金属部10の表面、および、セラミック基板部2上の端子部4となる第1の金属部10の表面に、これら金属触媒(本実施形態においてはパラジウム(Pd)触媒)が結合する。
次に、無電解めっき法によって、セラミック基板部2上の端子部4となる第1の金属部10の表面、および、セラミック基板部2上の配線部5となる第1の金属部10の全ての側面と第2の金属部12の側面と上面とを含む表面にニッケル(Ni)薄膜を形成するが、このとき無電解めっき液に含まれる還元成分により、それら表面の金属触媒が還元されるため、触媒作用が働き、触媒金属を核として、無電解めっき膜が形成される。本実施形態においては、前述のように、無電解めっき法によって、ニッケル(Ni)薄膜を形成した。
【0056】
次に、無電解めっき法によって、セラミック基板部2上の端子部4となる第1の金属部10の表面、および、セラミック基板部2上の配線部5となる第1の金属部10の全ての側面と第2の金属部12の側面と上面とを含む表面に形成されたニッケル(Ni)薄膜上に、金(Au)を形成する。
【0057】
以上のようにして、セラミック基板部2上の端子部4となる第1の金属部10の表面に端子部皮膜部11と、セラミック基板部2上の配線部5となる第1の金属部10の全ての側面と第2の金属部12の側面と上面とを含む表面に形成された配線部皮膜部13とが形成されるのである。
【0058】
図6は、実施の形態1におけるセラミック基板の製造方法における皮膜部形成工程後のセラミック基板の断面図を示すものである。
【0059】
図6に示すように、皮膜部形成工程S4を行うことによって、セラミック基板部2上の配線部5になる第1の金属部10上に、第2の金属部12を形成することができる。
【0060】
以上が、本実施形態におけるセラミック基板1の製造方法に関する説明である。
【0061】
[3]本実施形態におけるセラミック基板1の効果
以上のように本実施形態のセラミック基板1は、セラミック基板部2と、セラミック基板部2上に電子部品3を接続するために形成された、少なくとも1つの端子部4と、セラミック基板部2上に、所望の電気回路パターンが形成された、少なくとも1つの配線部5と、を有するセラミック基板1において、端子部4は、セラミック基板部2上に形成された第1の金属部10と、第1の金属部10の表面に形成された配線部皮膜部11と、を備え、配線部5は、セラミック基板部2上に形成された第1の金属部10と、第1の金属部10上に形成された第2の金属部12と、第1の金属部10の全ての側面と第2の金属部12の表面に形成された配線部皮膜部13と、を備えたセラミック基板1としたので、セラミック基板1の製造歩留まりを向上させることができる。
【0062】
すなわち、本発明においては、端子部4に、セラミック基板部2上に形成された第1の金属部10と、第1の金属部10の表面に形成された配線部皮膜部11とを設け、さらに、配線部5に、セラミック基板部2上に形成された第1の金属部10と、第1の金属部10上に形成された第2の金属部12と、第1の金属部10の全ての側面と第2の金属部12の表面に形成された配線部皮膜部13とを設ける構成としたので、端子部4の厚みは第1の金属部10と端子部皮膜部13との合計の厚みとなり、配線部5の厚みは第1の金属部10と第2の金属部12と配線部皮膜部13との合計の厚みとなるため、端子部4の厚さを薄くすることができ、端子部皮膜部11を形成時(製造時)の端子部4間の短絡を防止することができるので、その結果として、セラミック基板1の製造歩留まりを向上させることができるのである。
【0063】
(実施の形態2)
[4]本実施形態におけるセラミック基板16を用いた電子部品モジュール17の構成と効果
それでは、次に、本発明の実施2におけるセラミック基板16を用いた電子部品モジュール17の構成に関して説明する。
【0064】
図7は、実施の形態2におけるセラミック基板を用いた電子部品モジュールの断面図を示し、図7(a)は、電子部品モジュールの断面図、図7(b)は、図7(a)中の点線A−Aにおける切断面の上面図を示すものである。
【0065】
このセラミック基板16を用いた電子部品モジュール17において、前述の実施の形態2と異なるのは、図7に示すように、電子部品3の実装領域(図7中の点線Bで囲まれた領域)の外周部(本実施形態においては左右両端の外周部)における少なくとも1つの端子部4(本実施形態においては4つ)における第1の金属部10と、電子部品3の左右に設けられたすくなくとも1つ(本実施形態においては4つ)の配線部5における第1の金属部10とが一体化されている点と、その配線部5は、セラミック基板部2上に形成された第1の金属部10と、第1の金属部10上の一部に形成された第2の金属部12と、第1の金属部10及び第2の金属部12の全ての表面に形成された配線部皮膜部13とから形成されている点、の2点であり、その他は、前述の実施の形態1と同じである。
【0066】
[5]本実施形態2におけるセラミック基板16の効果
本実施形態においては、電子部品3の実装領域(図7中の点線Aで囲まれた領域)の外周部(本実施形態においては左右両端の外周部)における少なくとも1つの端子部4(本実施形態においては4つ)における第1の金属部10と、電子部品3の左右に設けられたすくなくとも1つ(本実施形態においては4つ)の配線部5における第1の金属部10とが一体化されて、さらに、その配線部5は、セラミック基板部2上に形成された第1の金属部10と、第1の金属部10上の一部に形成された第2の金属部12と、第1の金属部10及び第2の金属部12の全ての表面に形成された配線部皮膜部13とから形成されているため、前述の実施の形態1と同様の効果のみならず、図7中の矢印Cにしめすごとく、電子部品3内部で発生した熱を、外周部における端子部4を経由して、配線部5の表面から放熱することができ、電子部品3にかかる熱ストレスを低下させることができるので、その結果として、セラミック基板を用いた電子部品モジュールの信頼性を高めることができる。
【0067】
特に、電子部品3が発光ダイオードであるような場合、発光ダイオードからの発熱は比較的大きいため、より有用である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明にかかるセラミック基板と、そのセラミック基板を用いた電子部品モジュールは、セラミック基板の製造歩留まりを向上させることができるので、特に、最近普及の進んでいる液晶テレビや携帯電話の液晶画面用のバックライト向けの電子部品として発光ダイオードを搭載したような電子部品モジュール用の基板として有用である。
【符号の説明】
【0069】
1、16 セラミック基板
2、セラミック基板部
3 電子部品
4 端子部
5 配線部
6、17 電子部品モジュール
8 半田ボール
10 第1の金属部
11 配線部皮膜部
12 第2の金属部
13 配線部皮膜部
14 シード層
15 金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板部と、
前記セラミック基板部上に電子部品を接続するために形成された、少なくとも1つの端子部と、
前記セラミック基板部上に、所望の電気回路パターンが形成された、少なくとも1つの配線部と、
を有するセラミック基板において、
前記端子部は、前記セラミック基板部上に形成された第1の金属部と、前記第1の金属部の表面に形成された配線部皮膜部と、
を備え、
前記配線部は、前記セラミック基板部上に形成された第1の金属部と、
前記第1の金属部上の一部に形成された第2の金属部と、
前記第1の金属部及び第2の金属部の全ての表面に形成された配線部皮膜部と、
を備えたセラミック基板。
【請求項2】
セラミック基板部と、
前記セラミック基板部上に電子部品を接続するために形成された、少なくとも1つの端子部と、
前記セラミック基板部上に、所望の電気回路パターンが形成された、少なくとも1つの配線部と、
を有するセラミック基板において、
前記端子部は、前記セラミック基板部上に形成された第1の金属部と、
前記第1の金属部の表面に形成された配線部皮膜部と、
を備え、
前記配線部は、前記セラミック基板部上に形成された第1の金属部と、
前記第1の金属部上に形成された第2の金属部と、
前記第1の金属部の全ての側面と前記第2の金属部の表面に形成された配線部皮膜部とを備えたセラミック基板。
【請求項3】
前記第1の金属部は、前記セラミック基板上に形成されたシード層と、前記シード層上に形成された金属層と、から形成される請求項1乃至2に記載のセラミック基板。
【請求項4】
前記第2の金属部と、前記金属層とが、同一の金属にて形成される請求項3に記載のセラミック基板。
【請求項5】
前記第2の金属部と、前記金属層とが、銅(Cu)を含む金属で形成される請求項4に記載のセラミック基板。
【請求項6】
前記第2の金属部と、前記金属層とが、無電解めっき法にて形成される請求項1乃至5に記載のセラミック基板。
【請求項7】
少なくとも1つの前記配線部における前記第1の金属部と、少なくとも1つの前記端子部における前記第1の金属部とが、一体となっている請求項1乃至6に記載のセラミック基板。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載のセラミック基板の前記端子部上に電子部品が搭載された電子部品モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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