説明

セラミック材料の熱水液相焼結方法及びそれによって得られる生成物

【課題】比較的穏やかな温度及び圧力条件の下で焼結する。
【解決手段】(i)間質腔を有し、少なくとも第1の反応物質を含んで構成された多孔性マトリックスを準備するステップと、(ii)前記多孔性マトリックスと少なくとも第2の反応物質を運ぶ溶浸媒体とを接触させるステップと、(iii)前記溶浸媒体を前記少なくとも第1の反応物質と前記少なくとも第2の反応物質との間の反応を促進する条件下で前記多孔性マトリックスの間質腔の少なくとも一部分に浸み込ませ、少なくとも第1の生成物を作り出すステップと、(iv)チタン酸バリウムを含まない前記少なくとも第1の生成物が生じて、前記多孔性マトリックスの前記間質腔の少なくとも一部分を満たすことを可能とし、それによって少なくとも単一体を製造するステップと、を含んで構成された多孔性マトリックスから単一体を製造する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年11月15日に出願された米国暫定特許出願番号第61/003,272の優先権を主張し、その全内容が参照により本出願に含まれるものである。
【背景技術】
【0002】
様々な周知の溶浸方法が、多成分のセラミックやセラミック複合体を製造するために使用されてきた。これらの方法は、(1)金属マトリックス溶浸、(2)溶融加工、(3)化学蒸気溶浸(CVI)、(4)窒化物形成、(5)化学的に結合されたセラミック加工、及び(6)セラミック硬化溶浸を含んでいる。上記6つの方法の全ては、多孔性ファイバー又は予め形成されたセラミック微粒子のマトリックス又はプリフォームを溶浸させるために使用されてもよい。しかしながら、これらの方法において、初期のファイバーやプリフォームの気孔率は、焼結製品の形態が初期のプリフォームの形態と大きく異ならないように、しばしば各プロセスの初めに最小化される必要がある。
【0003】
さらに、従前の取り組みは、しばしば、ウィスカー、ファイバー又は微粒子のようなセラミック化合物の充填材又はプリフォームの形成と、液体か鋳造溶浸材、又はガス(CVI)を用いたこの成形体又はセラミック充填材のベッドの溶浸とを含んで構成された多段階加工方法に基づく。上記セラミック体又はベッドは、溶浸材によって十分に可溶性にされるべきであり、溶浸が毛管現象によって発生するように相互に連結した開放気孔の特定部分を有しているべきである。上記溶浸材は、高温及び/又は高圧の下で数回加熱又は溶融されて、成形体又は充填材のベッドを溶浸するのに十分な流動性を持つようにしなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、比較的穏やかな温度及び圧力条件の下で行なうことができる焼結方法が必要となる。好ましくは、そのような方法は、低コストであり、汎用的であり、所望の最終製品の様々な材料、試薬、及び形態並びに大きさを提供できることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、多孔性マトリックスから単一体を製造する方法が提供される。この方法は、(i)間質腔を有し、少なくとも第1の反応物質を含んで構成された多孔性マトリックスを準備するステップと、(ii)前記多孔性マトリックスを少なくとも第2の反応物質を運ぶ溶浸媒体と接触させるステップと、(iii)前記少なくとも第1の反応物質と前記少なくとも第2の反応物質との間の反応を促進する条件下で前記溶浸媒体を前記多孔性マトリックスの間質腔の少なくとも一部分に浸み込ませ、少なくとも第1の生成物を作り出すステップと、そして、(iv)前記少なくとも第1の生成物であって、チタン酸バリウム(BaTiO3)を含まない第1の生成物が生じて、前記多孔性マトリックスの間質腔の少なくとも一部分を満たすことよって単一体を製造することを可能とするステップと、を含んで構成されている。
【0006】
別の実施形態は、非チタン酸バリウム(non-barium titanate)焼結セラミックを製造する方法を提供する。この方法は、(i)間質腔を有し、少なくとも第1の反応物質を含んで構成された多孔性マトリックスを準備するステップと、(ii)前記多孔性マトリックスを少なくとも第2の反応物質を運ぶ溶浸媒体と接触させるステップと、(iii)約1000℃未満の反応温度、及び約70000psi未満の反応圧力を含み、前記少なくとも第1の反応物質と前記少なくとも第2の反応物質との間の反応を促進する条件下で前記溶浸媒体を前記多孔性マトリックスの間質腔の少なくとも多くの部分に浸み込ませ、少なくとも第1の生成物を作り出すステップと、そして、(iv)前記第1の生成物を形成し、前記多孔性マトリックスの間質腔の少なくとも多くの部分を満たすことによって非チタン酸バリウム焼結セラミックの製造を可能とするステップと、を含んで構成されている。
【0007】
一実施形態は、熱水液相焼結方法によって製造される組成物を提供する。この方法は、多孔性マトリックスの少なくとも一成分が液体によって運ばれる少なくとも第1の反応物質との反応を可能にすることを含んで構成され、反応中に、前記多孔性マトリックスの残りが前記液体から前記第1の生成物の形成を促進するための足場として作用し、それによって、熱水液相焼結組成物を形成する。好ましい実施形態においては、この焼結組成物はチタン酸バリウムを含まない。
【0008】
別の実施形態は、組成物を製造する方法を提供する。この方法は、(i)モル体積を有する多孔性マトリックスを準備するステップと、(ii)反応物質を有する溶剤中に前記多孔性マトリックスの少なくとも一部を浸すステップと、そして、(iii)少なくとも前記反応物質のうちからいくらかを前記マトリックスの少なくとも一部と反応させて一生成物を形成するステップと、を含んで構成され、前記生成物はモル体積を有し、ステップ(iii)前の前記マトリックスのモル体積がステップ(iii)後の前記生成物のモル体積と略同じである、ことを特徴とする。さらにもう一つの実施形態によれば、前記マトリックスと前記生成物との間のモル体積は、増加か減少のいずれか一方に異なっていてもよい。
【0009】
別の実施形態は、前記固体マトリックス、又は前記溶浸媒体の成分を操作して、前記固体マトリックスと同じ形状を保有する焼結多成のセラミック生成物を作ることを含む方法を提供する。また、更なる一実施形態によれば、全体の大きさ又は体積は、前記固体マトリックス(又は、「圧粉体(green compact )」)からセラミック生成物に至るまで略保存される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態における、イオン付加反応のための溶浸時間の関数として生成物中のマトリックスの分別的なモル変化の代表的なグラフを示す。
【図2】一実施形態における溶浸前及び90℃の反応温度で1時間〜72時間処理された反応後に組成物に対して測定された固体密度と見掛け密度の代表的なグラフを示す。
【図3】一実施形態における様々な溶浸時間で検査された様々な組成物中に存在する細孔サイズと累積細孔体積のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここに引用された全ての参考文献における全内容が、参考によって本明細書に組み入れられる。
熱水液相焼結用一般条件
熱水液相焼結(HLPS)の好ましい実施形態によれば、近接する間質腔を有する「未焼結の(green)」又は部分的に焼結された多孔性の固体マトリックスは、液相溶浸媒体の作用によって焼結セラミックに変換される。HLPSは、機能的加圧滅菌器の中で過度の温度及び過度の圧力を繰り返し受けることなく、比較的穏やかな条件の下で実行することができる。HLPSは、広範囲の温度及び圧力の下で行なうことができる。例えば、いくつかの実施形態によれば、HLPSの条件は、約2000℃未満の温度であって、約1000℃未満、約500℃未満、約200℃未満、約100℃未満、約50℃未満、室温などの温度を含むことができる。反応圧力は、約100000psi未満であって、例えば70000psi未満、約50000psi未満、約10000psi未満、約5000psi未満、約1000psi未満、約500psi未満、約100psi未満、約50psi未満、約10psi未満などである。一実施形態によれば、熱水焼結法は、約80℃〜約180℃の範囲の温度及び約1気圧〜約3気圧(1気圧は約15psi)の範囲の圧力で行なうことができる。
【0012】
理論上、溶浸種と熱水反応させて異なった物質を作ることができるどんな出発物質も、熱水焼結生成物を製造するために使用されてもよい。したがって、種々の出発物質は、意図された最終用途に応じて選択され、所望の形状及び大きさを有する多孔性の固体マトリックスに形成され、続いて、本方法のステップに従って焼結された完成品に変換される。
【0013】
一実施形態によれば、上記多孔性の固体マトリックスは、金属酸化物の粉末から得られる。この粉末は、非結晶質又は結晶質、好ましくは結晶質であるとよい。さらに、上記金属酸化物の粉末は、例えば約0.02μ〜約50μ、約0.04μ〜約20μ、約0.08μ〜約10μなど、平均粒子径が約0.01μ〜約100μに及ぶ広範な微粒子の大きさを有していてもよい。一実施形態において、上記粉末は、約0.1μ〜約5μに及ぶ平均粒子径を有している。
【0014】
上記金属酸化物中の金属は、IIa族金属群、IIb族金属群、IIIb族金属群、IVb族金属群、Vb族金属群、遷移金属、ランタニド金属、アクチニド金属又はそれらの混合物の酸化物から選択することができる。望ましくは、上記選択された金属酸化物又は焼結された完成品は、化学、セラミック、磁気、電子、超電導、機械、構造物の潜在用途、又は生物学の潜在用途さえも有している。上記焼結された完成品は、産業用又は家庭用としての有用性がある。完成品は、必ずしも反応物と同じ材料を含んで構成される必要はない。例えば、チタン酸バリウムを略含まない製品が、バリウム及び/又はチタンを含んで構成された反応物によって製造されてもよい。1つの例示的実施形態においては、一つの反応物(又は複数の反応物)を構成するバリウム及び/又はチタンは、ほとんど中間反応種として作用する。したがって、最終生成物には含まれない。
【0015】
本明細書に記述されている「熱水反応」は、水性又は非水性の液体媒体中で起こる変換を含んでいる。更に、そのような変換は、同じ化学種の溶解及び再沈殿、1つの化学種の溶解及び別の化学種と組合せて最初の化学種が明らかに残存する複合材料を形成すること、又は1つの化学種と別の化学種とを反応させて開始種と異なる新規な化学物質部分(moiety)を作り出すことを含んでいてもよい。このように、熱水焼結法は、沈殿(又は再沈殿)、イオン添加、イオン置換又はそれらの組合せによって多孔性固体マトリックス中の間質腔又はボイドを部分(moiety)で埋めることができる。この部分(moiety)は、固体マトリックス中の化学種と同じ化学種、2つの異なる化学種の相互の再沈殿によって生じる混合物、2つの化学種間の反応によって生じる新たな生成物、媒体に含まれた溶浸種から生じる再沈殿材料、又はそれらの組合せを含んで構成される。
【0016】
一実施形態によれば、HLPSは、上記未焼結の(green)多孔性固体マトリックスの塊の少なくとも一部が上記媒体中に存在する予め選択された溶浸種と反応するという条件下で実行され、新たな生成物を製造することができる。例えば、上記多孔性固体マトリックス及び溶浸種は、次の代表的な反応が起きるように選択され、指示された広範な機能的及び構造物のセラミック生成物を産出することができる。これらの不平衡反応の一般化された形式は、明細書の後で明確にする。
【0017】
(i)強誘電体−Pb(Zr,Ti)O3
1.1Pb2+ + xZr(OH)4 + (1-x)TiO2 → Pb(Zrx,Ti1-x)O3
(ii)強誘電体−BaSnO3
1.1Ba2+ + 1SnO2 → BaSnO3
(iii)磁性体−CoFe2O4
2.2Fe2+ + 1/2Co2O3 → CoFe2O4
(iv)触媒−NiMoO4
1NiO + 1.1MoO4 → NiMoO4
(v)セラミック−SrCrO4
1Sr2+ + 0.55Cr2O7 → SrCrO4
(vi)生物学−Ca10(PO4)6(OH)2
4Ca2+ + 3Ca2P2O7 + H2O → Ca10(PO4)6(OH)2
(vii)セラミック−SrTiO3
1.1Sr+2 + 1TiO2 → SrTiO3
(viii)セラミック−Ba0.5Sr0.5TiO3
0.55Ba2+ + 0.55Sr2+ + 1TiO2 → Ba0.5Sr0.5TiO3
(ix)セラミック−BaTiO3
1.1Ba2+ + 1TiO2 → BaTiO3
(x)セラミック−BaZr0.1Ti0.9O3
1.1Ba2+ + 0.11Zr+4 + 0.9TiO2 → BaZr0.1Ti0.9O3
(xi)セラミック−Ba0.87Ca0.13Ti0.88Zr0.12O3
0.96Ba2+ + 0.14Ca+2 + 0.13Zr+4 + 0.88TiO2 → Ba0.87Ca0.13Ti0.88Zr0.12O3
【0018】
多孔性固体マトリックスの準備
上記固体マトリックスは、溶液に容易に溶けない材料を含んで構成してもよい。上記マトリックスが水に可溶である場合には、温度を変化させるか、又は本明細書の項「溶浸媒体の準備」において説明されているアルコール又は他の溶剤のような非水性の液体を加えることによって、上記マトリックスの溶解度を低下させるために上記条件を選択することができる。一実施形態において、上記多孔性の固体マトリックスは、粉末から得られる。この粉末は、どんな種類のものであってもよい。例えば、それは、金属酸化物粉末であってもよい。適した金属酸化物粉末の例としては、以下のものが含まれる。即ち、ベリリウムの酸化物(例えば、BeO)、マグネシウムの酸化物(例えば、MgO)、カルシウムの酸化物(例えば、CaO,CaO2)、ストロンチウムの酸化物(例えば、SrO)、バリウムの酸化物(例えば、BaO)、スカンジウムの酸化物(例えば、Sc2O3)、チタンの酸化物(例えば、TiO,TiO2,Ti2O3)、アルミニウムの酸化物(例えば、Al2O3)、バナジウムの酸化物(例えば、VO,V2O3,VO2,V2O5)、クロムの酸化物(例えば、CrO,Cr2O3,CrO3,CrO2)、マンガンの酸化物(例えば、MnO,Mn2O3,MnO2,Mn2O7)、鉄の酸化物(例えば、FeO,Fe2O3)、コバルトの酸化物(例えば、CoO,Co2O3,Co3O4)、ニッケルの酸化物(例えば、NiO,Ni2O3)、銅の酸化物(例えば、CuO,Cu2O)、亜鉛の酸化物(例えば、ZnO)、ガリウムの酸化物(例えば、Ga2O3,Ga2O)、ゲルマニウムの酸化物(例えば、GeO,GeO2)、錫の酸化物(例えば、SnO,SnO2)、アンチモンの酸化物(例えば、Sb2O3,Sb2O5)、インジウムの酸化物(例えば、In2O3)、カドミウムの酸化物(例えば、CdO)、銀の酸化物(例えば、Ag2O)、ビスマスの酸化物(例えば、Bi2O3,Bi2O5,Bi2O4,Bi2O3,BiO)、金の酸化物(例えば、Au2O3,Au2O)、亜鉛の酸化物(例えば、ZnO)、鉛の酸化物(例えば、PbO,PbO2,Pb3O4,Pb2O3,Pb2O)、ロジウムの酸化物(例えば、RhO2,Rh2O3)、イットリウムの酸化物(例えば、Y2O3)、ルテニウムの酸化物(例えば、RuO2,RuO4)、テクネチウム(例えば、Ti2O,Ti2O3)、モリブデンの酸化物(例えば、MoO2,Mo2O5,Mo2O3,MoO3)、ネオジムの酸化物(例えば、Nd2O3)、ジルコニウムの酸化物(例えば、ZrO2)、ランタンの酸化物(例えば、La2O3)、ハフニウムの酸化物(例えば、HfO2)、タンタルの酸化物(例えば、TaO2,Ta2O5)、タングステンの酸化物(例えば、WO2,W2O5)、レニウムの酸化物(例えば、ReO2,Re2O3)、オスミウムの酸化物(例えば、PdO,PdO2)、イリジウムの酸化物(例えば、IrO2,Ir2O3)、白金の酸化物(例えば、PtO,PtO2,PtO3,Pt2O3,Pt3O4)、水銀の酸化物(例えば、HgO,Hg2O)、タリウムの酸化物(例えば、TiO2,Ti2O3)、パラジウムの酸化物(例えば、PdO,PdO2)、ラザナイド(lathanide)系酸化物、アクチニド系などである。その例のいくつかは、表1に提供されている。さらに、関連する特定の用途に応じて、金属酸化物の混合物もプリフォームを作るのに使用されてもよい。
【0019】
【表1】

【0020】
さらに、上記マトリックスは、金属水酸化物のような水酸化物を含んで構成してもよい。例えば、それは、水酸化マグネシウム(例えば、Mg(OH)2)、水酸化カルシウム(例えば、Ca(OH)2)、水酸化ストロンチウム(例えば、Sr(OH)2)、及び水酸化バリウム(例えば、Ba(OH)2)、水酸化クロム(例えば、Cr(OH)2)、水酸化チタン(例えば、Ti(OH)2)、水酸化ジルコニウム(例えば、Zr(OH)4)、水酸化マンガン(例えば、Mn(OH)2)、水酸化鉄(例えば、Fe(OH)2)、水酸化銅(例えば、Cu(OH)2)、水酸化亜鉛(例えば、Zn(OH)2)、水酸化アルミニウム(例えば、Al(OH)3)、又はそれらの組合せを含んで構成することができる。その例のいくつかは、表2に提供されている。
【0021】
また、上記マトリックスは、金属フッ化物のようなフッ化物を含んで構成してもよい。例えば、それは、フッ化マグネシウム(例えば、MgF2)、フッ化カルシウム(例えば、CagF2)、フッ化ストロンチウム(例えば、SrF2)及びフッ化バリウム(例えばBagF2)、フッ化クロム(例えば、CrF2)、フッ化チタン(例えばTiF3)、フッ化ジルコニウム(例えば、ZrF4)、フッ化マンガン(例えば、MnF2)、フッ化鉄(例えばFeF2)、フッ化銅(例えば、CuF2)、フッ化ニッケル(例えば、NiF2)、フッ化亜鉛(例えば、ZnF2)、フッ化アルミニウム(例えば、AlF3)、又はそれらの組合せを含んで構成することができる。その例のいくつかは、表3に提供されている。
【0022】
また、上記マトリックスは、金属チタン酸塩のような混合金属酸化物を含んで構成してもよい。例えば、それは、チタン酸マグネシウム(例えば、MgTiO3)、チタン酸カルシウム(例えば、CaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(例えば、SrTiO3)、チタン酸バリウム(例えば、BaTiO3)、又はそれらの組合せを含んで構成することができる。その例のいくつかは、表4に提供されている。
【0023】
さらに、上記マトリックスは、金属硫酸塩のような硫酸塩を含んで構成してもよい。例えば、それは、硫酸マグネシウム(例えば、MgSO4)、硫酸カルシウム(例えば、CaSO4)、硫酸ストロンチウム(例えば、SrSO4)、及び硫酸バリウム(例えば、BaSO4)、硫酸クロム(例えば、Cr2(SO4)3)、硫酸チタン(例えば、TiSO4、Ti2(SO4)3)、硫酸ジルコニウム(例えば、ZrSO4)、硫酸マンガン(例えば、MnSO4)、硫酸鉄(例えば、FeSO4)、硫酸銅(例えば、CuSO4)、硫酸ニッケル(例えばNiSO4)、硫酸亜鉛(例えば、ZnSO4)、硫酸アルミニウム(例えば、Al2(SO4)3)、又はそれらの組合せを含んで構成することができる。その例のいくつかは、表5に提供されている。
【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

【0027】
【表5】

【0028】
また、上記マトリックスは、金属ケイ酸塩のようなケイ酸塩を含んで構成してもよい。例えば、それは、メタケイ酸リチウム、オルトケイ酸リチウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸ベリリウム、ケイ酸カルシウム、ストロンチウムのオルトケイ酸塩、バリウムのメタケイ酸塩、ケイ酸ジルコニウム、マンガンのメタケイ酸塩、ケイ酸鉄、コバルトオルトケイ酸塩、オルトケイ酸亜鉛、カドミウムのメタケイ酸塩、アンダルサイト、シリマナイト、カヤナイト、カオリナイト、又はそれらの組合せを含んで構成することができる。その例のいくつかは、表6に提供されている。
【0029】
また、上記マトリックスは、金属ハイドロキシアパタイトのようなハイドロキシアパタイトを含んで構成してもよい。例えば、それは、炭酸カルシウム 、硝酸カルシウム四水和物、水酸化カルシウム、又はそれらの組合せを含んで構成することができる。いくつかの例は、表7に提供されている。
【0030】
さらに、上記マトリックスは、上述の物質及び他の物質のうちのいずれかに加えて不活性充填物質を含んで構成してもよい。不活性充填物質は、固体マトリックスの中に取り入れられて細孔を埋め、且つ溶浸材とほとんど反応せず化学結合しないいかなる物質であってもよい。例えば、上記不活性物質は、木材、プラスチック、ガラス、金属、セラミック、灰、又はそれらの組合せであってもよい。
【0031】
上記粉末は、約0.01μm〜約100μmなど、約0.005μm〜500μmに及ぶ平均粒径、粒径分布及び特定の表面積によって特徴づけられる。微粒子の平均粒径及び狭い範囲の粒径分布は、強化溶解にとって好ましい。
【0032】
上記粉末は、押し出し、射出成形、型成形、静水圧プレス成形、及及び滑り鋳造を含む任意の従来技術によって、いかなる所望形状及び大きさの素地(green body)を作ることができる。セラミックの薄膜も形成することができる。いかなる潤滑油、上記成形体を形作るのに使用される同様の物質の結合剤が使用でき、またその結果生じる材料にいかなる悪影響も及ぼさない。好ましくは、そのような物質は、比較的低温、できれば500℃以下の加熱で蒸発し、又は燃え尽きて、多くの残留物を残さないタイプのものであるとよい。
【0033】
【表6】

【0034】
【表7】

【0035】
開始粉末成形体中の細孔は、例えば、約0.1μmから約1μmのような約0.01μmと約100μm間の小さなものであり、上記成形体の全体にわたって均一に分配している。これにより、溶浸液を粉末成形体に完全に浸み込ませることができる。
細孔の体積含有量、閉・開両気孔率、及び細孔の大きさは、標準方法によって測定することができる。例えば、水銀圧入式細孔寸法測定器は、これらの3つのパラメータを評価するために使用することができる。
【0036】
その後、上記のようにして得られたプリフォームは、以下に述べるようなステップに従う。
溶浸媒体の準備
前述のように、熱水焼結は、水性又は非水性の媒体を利用することができる。液体溶媒の選択は、溶浸媒体の一部である溶浸種に依存する。溶浸種は、熱水焼結法の条件下で液体溶媒にかなりの溶解性を有するとよい。例えば、溶浸種がイオンの場合、液体溶媒は水であるとよい。また、一定の非イオンの溶浸材は、水性媒体に十分な溶解性を有していてもよい。
【0037】
さらに、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)、多価アルコール(例えば、エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールなど)、一定の低分子量エーテル(例えば、フラン、テトラヒドロフラン)、アミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、ピリジンなど)、低分子量ケトン(例えば、アセトン)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、アセトニトリルなどの水溶性有機溶剤もまた水性混合物中に存在し得る。場合によっては、界面活性剤(例えば、ポリシロキサン、ポリエチレングリコール、及びアルキルジメチルアミンオキシドなど)を水性混合物に添加してもよい。
【0038】
上記溶浸媒体は、望ましくは、水溶性の金属塩類(即ち、イオン型金属)を含んでいるとよい。例えば、そのような塩類の陽イオンは、次の金属から生じる。即ち、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅亜鉛、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、錫、アンチモン、インジウム、カドミウム、銀、鉛、ロジウム、ルテニウム、テクネチウム、モリブデン、ネオジム、ジルコニウム、イッテルビウム、ランタンハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、パラジウム、ランタノイド系金属の陽イオン、アクチニド系金属の陽イオン、又はそれらの混合物である。一般に、溶浸溶液に溶解する塩類のアニオンは、例えば次の群から生じる。即ち、水酸化物、硝酸エステル、塩化物、アセテート、蟻酸エステル、プロピオナート、酢酸フェニル、安息香酸エステル、パラオキシ安息香酸エステル、アミノ安息香酸エステル、メトキシ安息香酸エステル、ニトロ安息香酸エステル、硫酸塩、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、オキザラート、リン酸塩、クエン酸塩、及びケイ酸塩、又はそれらの混合物である。上記酸化物粉末の金属イオンに対する溶浸材に含まれている金属イオンのモル比は、所望の化学量論的反応生成物を得るために選択することができる。溶液中の過剰金属イオンは、反応の完了達成を促進するうえでも必要とされている。
【0039】
上記溶浸媒体及びマトリックス次第では、結果として得られる焼結生成物が、例えば、チタンを含んで構成した材料が含まれている場合には、チタン酸塩になり得る。例えば、イルメナイト構造を有するチタン酸塩は、水中で、TiO2及びFe2+,Mg2+,Mn2+,Co2+,Ni2+又はそれらの組合せの塩類から得ることができる。ペロブスカイト構造を有するチタン酸塩は、Ca2+,Sr2+,Ba2+又はそれの組合せの水性の塩溶液から作ることができる。さらに、スピネル構造を有する化合物は、Mg2TiO4,Zn2TiO4及びCo2TiO4を含めて得ることができる。さらに、一実施形態において、例えば化学式BaxTiyOx+2y(ここで、x及びyは整数)を有するチタン酸バリウムの異なった相は、x≠1、y≠1及びx+2y≠3であれば、本発明の方法によって得ることができる。
【0040】
また、結果として得られる焼結生成物は、炭酸塩、硫酸塩、オキザラート又はそれの組合せであってもよい。この場合、使用される材料は、従来の焼結方法が使用される場合、例えば、炭酸塩が従来の焼結方法で焼結される前に加熱されると、その酸化物に分解するように焼結される前に分解する材料を含むことができる。
【0041】
焼結されたセラミックを製造する一般的なHLPS方法
HLPS反応装置
【0042】
一実施形態において、「未焼結の(green)」又は部分的に焼結された多孔性の固体マトリックスは、液相溶浸媒体の作用によるHLPSによって焼結セラミックに変換される。溶浸ステップを行なうために、部分的に焼結された多孔性の固体マトリックスは、溶浸溶液中につけられる。この部分的に焼結された多孔性の固体マトリックスは、固体マトリックスの全表面が溶浸媒体にさらされるようにするために、テフロン(登録商標)メッシュの支持部材上に載せる。もし、テフロン反応室が密閉され熱水反応条件がコントロールされると、該テフロン反応室内部で溶浸が生じることになる。さらに、テフロン反応室を加圧滅菌器の内部に配置するとよい。溶浸媒体の初期のpHは、反応物によって規定されるが、反応温度と圧力は、加圧滅菌器によって提供される温度及び圧力を使用することにより、要望通りに制御することができる。一実施形態において、熱水反応プロセス中の上記温度及び圧力は、夫々250℃未満及び5気圧である。
【0043】
HLPS反応
HLPSプロセスは、様々な化学反応を含むことができる。例えば、熱水反応プロセスが溶解再沈降反応メカニズムによって生じてもよい。あるいは、その反応がイオン置換反応によって生じてもよい。前者の場合、圧縮された多孔性固体マトリックスのほんの一部が、溶浸溶液中でイオンと反応できる備え付けの溶存種を溶かすことができる。即ち、溶浸溶液中のイオンが金属イオンになり得る。一実施形態においては、添加される溶浸材の量は、単一ステップにおいて完全に反応させるのに十分なものとすることができる。あるいは、複数のステップを含んでもよい。例えば、複合の溶浸を含むことができる。一実施形態において、チタン酸ストロンチウムをチタニアマトリックスから形成した後、別の溶浸によってストロンチウムリン灰石を形成することができる。あるいは、複数の溶浸によって、炭酸塩を形成することができ、次に、保護用オキザラート層を形成することができる。別の実施形態においては、成形体を部分的に溶浸し乾燥させ、そして、最終生成物が製造されるまで、この溶浸ステップを繰り返し行ってもよい。
【0044】
製造された単一体の形状は、固体マトリックスの形状を留めている。一実施形態において、マトリックスの気孔率の範囲内で形成された反応生成物のモル体積が酸化物粉末のモル体積よりも大きい(即ち、正のモル体積変化、即ち、より大きなモル体積への変化)場合、有核生成物は、成形体の間隙を満たし、その密度を増加させる。モル体積の変化は正である必要はなく、イオン種及び反応メカニズム次第では、負であって(即ち、より小さなモル体積への変化)、又は何の変化がなくてもよい。例えば、マトリックスの一部は、反応中に先に溶けて、新たな化学結合及び負のモル体積変化を引き起こす間に気孔率を増加させる場合がある。同様に、形成された新素材が、マトリックスが失ったものと同量のモル体積を有している場合、モル体積の変化は実質的にない。
【0045】
HLPS反応は、例えばイオン添加及び/又はイオン置換によって生じることがある。付加反応とは、溶浸媒体中のイオン(陰イオン又は陽イオン)がマトリックス中の別のイオンに置き換わることなく、マトリックスホスト(matrix host)に付加される場合のことを言う。イオン添加の例は、酸化物から水酸化物へ、又は酸化物から炭酸塩への変化を含む。イオン置換の例は、水酸化物から炭酸塩へ、又は水酸化物からシュウ酸塩への変化を含む。さらに、その反応は、不均化によって生じることがある。この場合、不溶性の無機のホスト/マトリックス物質は、2つの不溶性無機生成物に分けられる。不均化は、例えば、酸化物、フッ化物及び硫酸塩に対して行なうことができる。一般的な反応を以下に記述する。
【0046】
ここで留意すべきは、A,A′,Cの塩類は、選択された溶媒(水又は他のある溶媒混合液)に全て可溶であるということである。AOH,A(OH)2及びCOHは、強アルカリである。Cは、一価の有機(NR4+)又は無機陽イオン(NH4+,K+,Na+及びLi+)になり得る。Xは、硝酸塩又は塩化物のような可溶性イオンである。Aは、Mg2+,Ca2+,Sr2+又はBa2+のような二価のアルカリ土類イオン、又は一価のイオンLi+,Na+,K+,NH4+又はNR4+の混合物である。A′は、アルカリ土類でも鉛のようなアルカリでもない二価の陽イオンである。Bは、+2,+3,+4又は+5原子価を有する遷移金属、希土類、アクチニド又は主族金属イオンである。上記B金属は、溶浸媒体に難溶性のホストを含んで構成される。この場合、Bは様々な化学的性質を含むことができる。例えば、Bは酸化物又は水和酸化物である。しかし、Bは金属硫酸塩又はリン酸塩のような他の化合物であってもよい。特に他の指定がなければ、全ての種は可溶であり、全ての不溶性化合物は一つ又は複数の指定(designation)を有する。
【0047】
付加反応
酸化物の生成物
2AOH + BO2 (s) = A2BO3 (s) + H2O
2AX + 2COH + BO2(s) = A2BO3 (s) + H2O + 2CX
A(OH)2 + BO2 (s) = ABO3 (s) + H2O
A(OH)2 + B2O3 (s) = AB2O4 (s) + H2O
AX2 + 2COH + BO2 (s) = ABO3 (s) + H2O + 2CX
AX2 + 2COH + B2O3 (s) = AB2O4 (s) + H2O + 2CX
2AOH + B2O5(s) = 2ABO3 (s) + H2O
A(OH)2 + 3B’ (OH)2 (s) + B2O5 (s) = 3[B’(A1/3B2/3)O3] (s) + 4H2O (マトリックスは2つの不溶性ホストを含んで構成される)
AX2 + 3B’X2 + 8COH + B2O5 (s) = 3[B’(A 1/3B2/3)O3] (s) + 8CX + 4H2O
【0048】
置換反応
炭酸塩
A2CO3 + BSO4 (s) = BCO3 (s) + A2SO4
A2CO3 + B(OH)2 (s) = BCO3 (s) + 2AOH
B(OH)2(s) + CO2 = BCO3 (s) + H2O
【0049】
シュウ酸塩
A2C2O4 + B(OH)2 (s) = BC2O4 (s) + 2AOH
A2C2O4 + BSO4 (s) = BC2O4 (s) + A2SO4
A2C2O4 + BO (s) = BC2O4 (s) + A2O
A2SO4 + B(OH)2 (s) = BSO4 (s) + 2AOH
A2SO4 + BCO3 (s) = BSO4 (s) + A2CO3
【0050】
フッ化物
2CF + H2O + BO (s) = BF2 (s) + 2COH
6CF + 3H2O + B2O3 (s) = 2BF3 (s) + 6COH
2CF + B(OH)2(s) = BF2 (s) + 2COH
3CF + B(OH)3(s) = BF3 (s) + 3COH
【0051】
不均化反応
C2CO3 + H2O + BB’O3 (s) = BCO3 (s) + B’O2 + 2COH
CO2 + BB’O3 (s) = BCO3 (s) + B’O2 (s)
【0052】
スピネル
A(OH)2 + B2O3 = BA2O4 + H2O
AO + B2O3 = BA2O4
ACO3 + B2O3 = BA2O4 + CO2
ASO4 + B2O3 + H2O = BA2O4 + H2SO4
A(C2O4) + B2O3 + H2O = BA2O4 + H2C2O4
【0053】
ハイブリッド反応−添加及び置換
リン酸塩
3C3PO4 + 5B(OH)2 (s) = B5(PO4)3OH (s) + 9COH
3C3PO4 + 5H2O + 5BO (s) = B5(PO4) 3OH (s) + 9COH
フルオロ燐酸塩
3C3PO4 + 5BF2 (s) = B5(PO4)3F (s) + 9CF
【0054】
また、不均一核形成は、反応中にも起こる。前述したように、密度の変化は、マトリックス物質の種類及び/又は形成される生成物の種類によって決まる。さらに、一旦、熱水反応が完了すれば、開口気孔は例えばエージングすることによって除去される。
【0055】
熱水プロセスの温度設定は、単一又は複合の工程であってもよい。例えば、熱サイクルは、等温であるが、2つの異なる温度設定が使用されてもよい。例えば、最初に、約250℃のような比較的高い温度が使用されて均一核生成を増進させ、続いて、高密度化された材料が、例えば約90℃の低温でエージングされる。
【0056】
上述の反応が完了した後、上記高密度化されたマトリックスは、溶液ですすぐか又は溶液に浸して余分な溶浸溶液が洗い落とされる。リンス液は、pH5の酢酸アンモニウムである。一実施形態においては、上記高密度化されたマトリックスは、その後、約90℃〜約250℃の温度のオーブン中で乾燥される。焼結セラミック中に存在する残余の気孔は、約600℃以下の高温に加熱することによりさらに除去することができる。
【0057】
HLPSプロセスによって焼結されたセラミック生成物は、様々な用途を有している。例えば、構造材料(例えば、セメント)、化学薬品(例えば、触媒、濾過)、電気材料又はそれらの組合せに使用することができる。
【0058】
焼結材料の特性評価
焼結材料の気孔率
HLPSは、非常に均質で非常に細かいミクロ構造の焼結生成物を製造することができる。焼結材料の気孔率は、例えば、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満という具合に約40%未満であればよく、又は実質的には、十分に緻密でさえあればよい。成形体の全気孔率は、例えば、水銀細孔寸法測定器を備えた標準的な方法で決定することができる。密度は、アルキメデスの方法又は水銀侵入穴寸法測定アナライザーのような従来技術を使用して測定することができる。
【0059】
焼結材料の大きさ及び形
HLPSプロセスを受ける焼結材料の一特性は、焼結材料が開始圧粉体と同じ形状、又は大きささえも有してということである。生成物のモル体積が実質的に変化しない一実施形態において、多くのセラミック製造プロセスとは対照的に、成形体の収縮は生じない。したがって、焼結材料の機械加工は殆ど必要ない。
【0060】
焼結材料の組成
一例として図示されているように、広範囲の化学成分が焼結材料を作るために用いることができる。さらに、焼結材料の組成に含まれる異なった金属酸化物及び塩類の数は、いかなる特定方法においても制限されない。さらに、最終生成物の化学量論は、圧粉体及び溶浸媒体中に存在する反応物質のモル比で決定することができる。焼結材料の組成は、定量X線回折(QXRD)及び誘導結合プラズマ(ICP)を使用して判断することができる。
【0061】
ミクロ構造及び関連する機械的性質
HLPSプロセスの焼結生成物は、略網状相互接続ネットワークに似たミクロ構造を有している。さらに、HLPSプロセスから得られるモノリスは、コアシェル構造のような合成構造を示す。さらに、生成物は、高い引張強度、高い圧縮強さ及び好適な引張係数などの優れた機械的性質を有している。この初期強度は、物理的粒子間結合(ファンデルワールス力)処理中にイオン置換、イオン添加、オストワルド熟成(即ち、新しいネットワークを形成することができる再結晶)又はそれらの組合せによって形成される化学結合から発生する。一実施形態において、オストワルド熟成は、アルカリ性媒体中で炭酸塩材料をエージングすることを含む。さらに、正のモル体積の変化がある場合、前述したように、高密度化が達成できる。
【0062】
〔制限されない実施例〕
(実施例1)焼結チタン酸バリウム(BaTiO3)セラミック材料の形成
圧粉体の生成
チタニアアナターゼ(TiO2)の成形体(直径1インチ、幅2~3mm)が、約100Mpaの圧力で丸いダイス状に加圧形成された。これにより、50%の高密度なチタニア成形体が得られた。その後、「未焼結の(green)」成形体を500℃以下の温度Pで焼成し、予備成形の段階で使用されたバインダを焼いて除いた。
上記圧粉体は、焼成後、重さが約2.5gであった。
【0063】
熱水液相焼結成形体
圧粉体は、90℃の温度で1時間から194時間に及ぶ様々な反応時間で、1モルの水酸化バリウムBa(OH)2・8H2O溶液41.2mL 中に浸漬された。加圧滅菌器中の充填度は、75~80%程度であり、約2気圧の水蒸気圧を含んでいる。その処理は、過剰のバリウムイオン中で行なわれた。その結果、チタンに対するバリウムのモル比(Ba:Ti)は略1.2:1であった。その後、焼結成形体は、ろ過され、すすがれ、乾燥された。
【0064】
緻密化されたセラミックの特性
15%ZrSiO4標準及び誘導結合プラズマと共にマトリックスフラッシング方法(Chung, F. H.Appl. Cryst., 1974,7,579)を使用する定量X線分析がサンプルに対して行なわれた。その結果は、図1に概略的に描かれている。
【0065】
図2に示されているように、密度は、見掛け密度及びかさ密度の両方について水銀細孔寸法測定器を使用して測定された。72時間の反応時間後、成形体は理論密度の85%であった。図3は、累積的気孔寸法分布の反応時間の経時的展開を示す。その結果は、圧粉体の高密度化がHLPS処理の結果として生じ、焼結処理がサンプルの全体にわたって一様に生じたことを明示している(即ち、残余の気孔率はそのままである)。
【0066】
(実施例2)焼結チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)の形成
混合されて重さが7.402gの2つの成形体が、二酸化チタン粉末の乾式プレスによって実施例1に記述されたものと同様の手順によって得られた。次に、脱イオン蒸留水(DI)(53.01g)中でSr(OH)2・8H2O(27.00g)の水溶液が生成された。その後、上記成形体は、テフロン(登録商標)ネットに置かれ、水酸化ストロンチウム溶液を入れた90mLテフロン(登録商標)容器内に浸漬された。この容器は、密閉され予め熱せられた(105℃)オーブンの中に24時間置かれた。続いて、上記成形体は、50 mLの水性酢酸アンモニウムバッファー(pH 約5.0)中で10分間すすがれ、真空下でろ過された。その後、上記焼結成形体は、100℃の電気炉内で一晩乾燥された。
【0067】
(実施例3)焼結チタン酸ストロンチウムバリウム(Ba0.5Sr0.5TiO3)の形成
混合されて重さが7.565gの2つの二酸化チタン成形体が、テフロン(登録商標)ネットに置かれ、DI水(59.430g)にSr(OH)2・8H2O(13.975g)及びBa(OH)2・8H2O(16.612g)を溶かして生成された塩基性溶液を入れた90mLテフロン(登録商標)容器内に浸漬された。その後、密封された容器は、予め熱せられた(105℃)オーブンの中に置かれ、そこに26時間保持された。その後、上記成形体は、50 mLの酢酸アンモニウムバッファー(pH 約5.0)中で10分間すすがれ、ろ過された。その後、作られた成形体は、100℃の電気炉内で一晩乾燥された。
【0068】
(実施例4)焼結ジルコニウム酸チタン酸バリウム(BaZr0.1Ti0.9O3)の形成
ジルコニウム酸チタン酸バリウムの焼結成形体は、2つの二酸化チタン成形体が6.230gの重さであり、塩基性の溶浸溶液が30.105gのBa(OH)2・8H2O,3.005gのZrO(NO3)2及び48.75gのDI水から生成されたものである点を除いて、実施例3に記述されたものと同様の手順によって得られた。
【0069】
(実施例5)焼結チタン酸ジルコ酸バリウムカルシウム(Ba0.87Ca0.13Ti0.88Zr0.12O3)の形成
共に重さが7.910gである2つの酸化チタン成形体が実施例3に記述されているようにして、33.985gのBa(OH)2・8H2O,1.200g のCa(OH)2,4.694gのZrO(NO3)2及び25.200gのDI水から生成された塩基性の溶液中に浸漬されて得られた。上記成形体及び溶浸溶液を入れて密封された容器は、予め熱せられた(115℃)オーブンの中に30時間の間置かれた。その後、上記成形体は取り出され、50mLの酢酸アンモニウムバッファー(pH 約5.0)の中ですすがれ、真空の下でろ過された。それから、これらの焼結体は、100℃の電気炉内で一晩乾燥された。
【0070】
(実施例6)焼結強誘電体セラミック材料の形成
Pb(Zr,Ti)O3の生成
2.5gのTiO2粉末が前述の手順に従って成形体に圧縮された。塩化鉛(水酸化ナトリウムでpHが約12に調節された68.9mL)の1M水溶液をオキシ塩化ジルコニウム(31.3 mL)の1M水溶液と混合した。混合された溶液は、TiO2成形体(Pb:Zr:Tiモル比が略1.1:0.5:0.5)と一緒に60mLテフロン(登録商標)容器内に入れられた。
その後、上記焼結成形体は取り出され、酢酸アンモニウムバッファー中で約10分間すすがれ、ろ過され、続いて室温の真空中で乾燥された。
【0071】
BaSnO3の生成
5.0gのSnO2粉末が前述の手順に従ってほぼ等しい重量の2つの成形体に圧縮された。水酸化バリウム(36.5mL)の1M水溶液は、SnO2成形体(Ba:Snモル比が略1.1:1.0)と一緒に60mLのテフロン(登録商標)容器内に入れられた。
その後、上記焼結成形体は取り出され、酢酸アンモニウムバッファー中で約10分間すすがれ、ろ過され、続いて室温の真空中で乾燥された。
焼結スズ酸ストロンチウム(SrSnO3)成形体も同様にして生成することができる。
【0072】
(実施例7)磁気特性を有する焼結セラミック材料の形成(CoFe2O4
前述した手順に従って、5.0gのCO2O3粉末が略等しい重量の2つの成形体に圧縮された。硫酸鉄(II)(33.2 mL、pHが水酸化ナトリウムで約12に調節されている)の1M水溶液は、Co2O3成形体(Fe:Coモル比が略2.2:1.0)と一緒に60mLのテフロン(登録商標)容器内に入れられた。
その後、焼結成形体は取り出され、酢酸アンモニウムバッファー中で約10分間すすがれ、ろ過され、続いて室温の真空中で乾燥された。
この手順は、Ba2+,Sr2+,Ca2+,Pb2+及びMn2+のような他の二価のイオンでも同様に行なうことができるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
(実施例8)触媒活性を有する焼結セラミックの形成
NiMoO4の生成
前述した手順に従って、5.0gのNiO粉末が略等しい重量の2つの成形体に圧縮された。モリブデン酸アンモニウム(Vl)((NH4)2MoO4)(73.6 mL、溶液のpHは約6)の1M水溶液は、NiO成形体(Mo:Niモル比が略1.1:1.0)と一緒に60mLのテフロン(登録商標)容器内に入れられた。
その後、焼結成形体は取り出され、酢酸アンモニウムバッファー中で約10分間すすがれ、ろ過され、続いて室温の真空中で乾燥された。
この手順は、修正してストロンチウムとカルシウムのような他の混合二価金属酸化モリブデンを提供することができる。
【0074】
SrCrO4の生成
前述した手順に従って、5.0gのSrO粉末が略等しい重量の2つの成形体に圧縮された。濃硫酸に7.8gのK2Cr2O7を混合することにより生成された二クロム酸塩(26.5 mL)の1M水溶液は、SrO成形体(Cr: Srモル比が略1.1:1.0)と一緒に60mLのテフロン(登録商標)容器内に入れられた。
その後、焼結成形体は取り出され、酢酸アンモニウムバッファー中で約10分間すすがれ、ろ過され、続いて室温の真空中で乾燥された。
他の二価のイオンもストロンチウムの代わりに使用することができる。例えば、バリウム、カルシウム、マグネシウム又は亜鉛を含む化合物も生成することができる。
【0075】
(実施例9)生物学的応用のある焼結セラミックの形成
生物学的応用のある焼結セラミック材料も、簡単な方法によって生成することができる。例えば、人工の成分は、金属酸化物粉末から成形され、続いて、焼結されて整形外科で使用するのに適した骨の交換部品を提供することができる。
【0076】
Ca10(OH)2(PO4)6の生成
前述した手順に従って、5.0gのCaO粉末が略等しい重量の2つの成形体に圧縮された。ピロリン酸二カルシウム(Ca2P2O7)(73.6mL)の1M水溶液は、CaO成形体(Ca:Pの合計モル比が略1.6:1.0)と一緒に60mLのテフロン(登録商標)容器内に入れられた。
その後、焼結成形体は取り出され、酢酸アンモニウムバッファー中で約10分間すすがれ、ろ過され、続いて室温の真空中で乾燥された。
【0077】
フッ素燐灰石(フルオロアパタイト)の生成
CaF2(0.4g)粉末が超音波手段によって2.5重量% PVAバインダと混合された。その後、それは凍結乾燥され、〜300MPaの圧力で圧縮乾燥されて〜0.3インチ角のペレットにされた。そのサンプルは、大気圧の下、400 ℃の箱形炉の中で3時間アニールされた。テフロン製ジャーが100mlの脱イオン水で満たされ、1gのK3PO4及び50gのKOHが加えられた。ジャーのキャップが閉じられ、室温まで冷やされた。CaF2ペレットは、テフロン製トレー上に置かれ、テフロン製ジャーに入れられた。ジャーのキャップは閉められ、95℃に予め加熱したオーブン内に入れられた。それは7日間保持された。上記サンプルは、脱イオン水ですすがれた。
【0078】
12gのチタン酸(TiO2)ストロンチウム粉末(フィッシャー)で覆われたストロンチウムリン灰石の生成は、1%のPVAを添加した140mlの脱イオン水中で分散された。その混合物は、30分間超音波で分解された。その混合物は、-40℃でシェル凍結され、次に、凍結乾燥された。それから、それは、水圧機を使用して20000ポンドの負荷で1インチのペレットに圧縮された。その後、グリーン体は、550 ℃の炉内で一晩か焼されてバインダが除去された。
【0079】
水酸化ストロンチウム溶液は、100mlの脱イオン水中に14gのSr(OH)2を溶かすことによって生成された。ペレットは、上記溶液中に入れられ、90℃で5日間反応させられた。ペレットは、取り出され、脱イオン水で洗われた。その後、それは、100ml の脱イオン水及び10gのK3PO4を含む別の溶液中に7日間置かれた。
【0080】
上記開示を考慮すれば、他の手順は、当業者にとって明白である。それは、上記実施例に特に示されたものと異なるかもしれないが、本発明の範囲及び思想から外れるものではない。上記実施例は、単に本発明の特定の実施形態を示すために用いられたに過ぎず、したがって、ここに含まれるか又は省略された対象は、決して本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。これらの他の明白な手順も、それから得られた焼結材料同様、本発明の範囲以内にあると考えられる。その制限は、この直ぐ後に続く請求項によって規定される。
【0081】
(実施例10)HLPSプロセスの結果としての体積変化
表1〜7は、酸化物、水酸化物、フッ化物、混合金属酸化物、硫酸塩、ケイ酸塩及びハイドロキシアパタイトを含む固体マトリックスを有するサンプルのモル体積変化を夫々提供している。図示されているように、モル体積変化は、正又は負のいずれか一方である必要はない。
【0082】
〔さらに好ましい実施形態〕
本発明の好ましい実施形態において、多孔性固体マトリックスから焼結セラミックを生成するための方法(及び結果的に生じる生成物)が開示されている。その方法は、次のものを含んで構成されている。即ち、(a)隣接して間質孔を有する固体マトリックスと予め選択された溶浸媒体とを接触させるステップと、(b)上記マトリックスから密集体の溶解を引き起こすのに有効な条件下で上記媒体を上記マトリックスの間質孔に浸み込ませるステップと、(c)密集体を再沈殿させるのに有効な条件下で上記溶解された密集体を上記媒体に輸送させ、上記マトリックス内でこの輸送された密集体を再沈殿させて焼結セラミックを得るステップと、を含んで構成されている。特に、予め選択された溶浸媒体は、適切な液体と溶け合う予め選択された溶浸種を好適に含んで構成されている。より好適には、上記方法は、上記マトリックスに由来する密集体を上記媒体の溶浸種と結合させて上記マトリックス内で再度沈殿する生成物を作り出すステップをさらに含んでいる。
【0083】
好ましい実施形態において、上記方法は、マトリックスから得られた密集体と溶浸種との間の化学量論の反応に起因する化合物である生成物を製造する。[Amatrix+Binfiltrant=AB]
【0084】
好ましい実施形態において、上記方法は、マトリックスから得られる密集体、及び溶浸種が化学的に別個のものとして存在する混合物である生成物を製造する。[Amatrix+Binfiltrant=まだ(A+B)のままであるが、混合物として存在]
【0085】
本発明のさらに別の実施形態においては、焼結セラミック内に存在するあらゆる残余の細孔を取除くように設計された少なくとも1つの付加的なステップに焼結セラミックを従わせることをさらに含んで構成された方法が提供される。上記少なくとも1つの付加的なステップは、焼結セラミックが十分な温度で加熱されて完全に緻密なセラミックを提供し得る加熱ステップであってもよい。好ましくは、この加熱ステップの温度は、約600℃以下である。
【0086】
本発明の別個の実施形態においては、多孔性の固体金属酸化物マトリックスから焼結セラミックを生成する方法が提供される。この方法は次のものを含んで構成されている。即ち、(a)隣接して間質孔を有する固体金属酸化物マトリックスと予め選択された溶浸液媒体とを接触させるステップと、(b)上記マトリックスから密集体の溶解を引き起こすのに有効な条件下で上記液媒体を上記マトリックスの間質孔に浸み込ませるステップと、(c)密集体を再沈殿させるのに有効な条件下で上記溶解された密集体を上記液媒体に輸送させ、上記マトリックス内でこの輸送された密集体を再沈殿させて焼結セラミックを得るステップと、を含んで構成されている。前と同じように、予め選択された溶浸液媒体は、適切な液体と混合された予め選択された溶浸種を含んで構成されてもよい。さらに、焼結セラミックは、混合金属酸化物を含んでいてもよい。好適に、混合金属酸化物は、IIa族金属群、IIb族金属群、IIIb族金属群、IVb族金属群又はVb族金属群の酸化物から選択されてもよい。さらに、上記金属酸化物は、遷移金属の酸化物、ランタニド金属の酸化物又はアクチニド金属の酸化物を含んで構成されてもよい。本発明の一実施形態においては、溶浸種は、少なくとも1種類の金属塩又は金属塩類の混合物を含んで構成されている。あるいは、溶浸種は、IIa族金属群、IIb族金属群、IIIb族金属群、IVb族金属群、Vb族金属群、遷移金属、ランタニド金属、アクチニド金属又はそれらの混合物のイオンを提供する化学種から選択されてもよい。前述のイオンの対イオンもまた、逆に変化する無機質又は有機質部分から選択されてもよい。
【0087】
好ましい実施形態において、本発明の方法によって製造される焼結セラミックは、略緻密な固体、より好適には十分に緻密な固体を含んで構成されている。また、望ましいものは、容量で約15パーセント以下の残余の気孔率を有していると見なされる焼結セラミックである。開始多孔性マトリックスの形状及び大きさは、好ましい方法によれば、焼結セラミックにおいて略保存される。しかしながら、本発明の方法により、さらに、モル体積が開始金属酸化物マトリックスのモル体積よりも大きい混合金属酸化物を含んで構成された焼結セラミックを製造することができる。また、別の実施形態においては、本発明は、モル体積が開始金属酸化物マトリックスのモル体積より小さい混合金属酸化物を含んで構成された焼結セラミックを製造することができる。好適には、前述の方法におけるステップ(b)、ステップ(c)又はその両方の条件は、機能している加圧滅菌器内で直面する条件よりも厳しくない条件を含んでいる。言い換えれば、前述の方法におけるステップ(b)、ステップ(c)又はその両方の条件は、約250℃の温度を超えず、且つ約5気圧の圧力を超えないことが好ましい。
【0088】
先の実施例及び好ましい実施形態は、本発明の範囲の広さを示すのが目的であり、決して本発明を制限するために挙げたものではない。この開示で提供された詳細な説明を考慮すれば、他の実施形態は、間違いなく、当業者に明白になるであろう。そのような他の実施形態は、次の請求項によってのみ制限される本発明の範囲及び思想内にあると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)間質腔を有し、少なくとも第1の反応物質を含んで構成された多孔性マトリックスを準備するステップと、
(ii)前記多孔性マトリックスと少なくとも第2の反応物質を運ぶ溶浸媒体とを接触させるステップと、
(iii)前記少なくとも第1の反応物質と前記少なくとも第2の反応物質との間の反応を促進する条件下で前記溶浸媒体を前記多孔性マトリックスの間質腔の少なくとも一部分に浸み込ませ、少なくとも第1の生成物を作り出すステップと、
(iv)チタン酸バリウムを含まない前記少なくとも第1の生成物が生じて、前記多孔性マトリックスの前記間質腔の少なくとも一部分を満たすことを可能とし、それによって少なくとも単一体を製造するステップと、
を含んで構成された多孔性マトリックスから単一体を製造する方法。
【請求項2】
前記第1の生成物は、前記多孔性マトリックスより大きなモル体積を有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の生成物は、前記多孔性マトリックスと略同じモル体積を有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の生成物は、前記多孔性マトリックスよりも小さなモル体積を有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記単一体は、相互に接続する微細構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の反応物質は、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫酸塩、金属フッ化物、金属チタン酸塩又はそれらの組合せを含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属は、カルシウム、マグネシウムストロンチウム、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム又はそれらの組合せを含んで構成されたことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記多孔性マトリックス、前記第1の反応生成物及び前記単一体の少なくとも1つは、従来の焼結法が使用されたとき、焼結される前に加熱されると分解する材料を含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の反応物質は、シュウ酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸エステル、クエン酸塩、金属イオン又はそれらの組合せを含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の反応物質は、金属塩の混合物を含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記溶浸媒体は、液体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記単一体は、複合微細構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記単一体は、コアシェル構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(iv)は、さらに、前記単一体をエージングすることを含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記単一体は、ステップ(iv)において、オストワルド熟成によって製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の生成物は、イオン添加、イオン置換、不均化、沈殿又はそれらの組合せによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の生成物は、化学結合を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記単一体は、容量で約15%以下の残余の気孔率を有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記単一体は、セラミックであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ステップ(ii)〜(iv)を少なくとも一度だけ繰り返すことをさらに含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
(i)間質腔を有し、少なくとも第1の反応物質を含んで構成された多孔性マトリックスを準備するステップと、
(ii)前記多孔性マトリックスと少なくとも第2の反応物質を運ぶ溶浸媒体とを接触させるステップと、
(iii)約1000℃未満の反応温度、及び約70000psi未満の反応圧力を含み、前記少なくとも第1の反応物質と前記少なくとも第2の反応物質との間の反応を促進する条件下で前記溶浸媒体を前記多孔性マトリックスの間質腔の少なくとも多くの部分に浸み込ませ、少なくとも第1の生成物を作り出すステップと、
(iv)前記少なくとも第1の生成物が生じて、前記多孔性マトリックスの間質腔の少なくとも多くの部分を満たすことを可能とし、それによって非チタン酸バリウム焼結セラミックを製造するステップと、
を含んで構成された非チタン酸バリウム焼結セラミックの製造方法。
【請求項22】
前記焼結セラミックは、混合金属酸化物を含んで構成されたことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記多孔性マトリックスは、IIa族金属群の酸化物を含んで構成された金属酸化物を含んで構成されたことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記多孔性マトリックスは、IIb族金属群の酸化物を含んで構成された金属酸化物を含んで構成されたことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記多孔性マトリックスは、IIIb族金属群の酸化物を含んで構成された金属酸化物を含んで構成されたことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記多孔性マトリックスは、IVb族金属群の酸化物を含んで構成された金属酸化物を含んで構成されたことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記多孔性マトリックスは、Vb族金属群の酸化物を含んで構成された金属酸化物を含んで構成されたことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記多孔性マトリックスは、遷移金属の酸化物を含んで構成された金属酸化物を含んで構成されたことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記多孔性マトリックスは、ランタニド金属の酸化物を含んで構成された金属酸化物を含んで構成されたことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記多孔性マトリックスは、アクチニド金属の酸化物を含んで構成された金属酸化物を含んで構成されたことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の反応物質は、少なくとも1種類の金属塩を含んで構成されたことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の反応物質は、IIa族金属群、IIb族金属群、IIIb族金属群、IVb族金属群、Vb族金属群、遷移金属、ランタニド金属、アクチニド金属又はそれらの混合物のイオンを含んで構成されたことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の生成物は、前記多孔性マトリックスより大きなモル体積を有していることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の生成物は、前記多孔性マトリックスと略同じモル体積を有していることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の生成物は、前記多孔性マトリックスより小さなモル体積を有していることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記焼結セラミックは、容量で約15%以下の残余の気孔率を有していることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項37】
前記焼結セラミックは、容量で約5%以下の残余の気孔率を有していることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項38】
前記焼結セラミックは、略十分に緻密であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項39】
前記ステップ(iv)における反応物質は、イオン添加、イオン置換、不均化又はそれらの組合せによって形成されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項40】
前記ステップ(iv)における反応物質は、沈殿によって形成されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項41】
多孔性マトリックスの少なくとも一成分が、液体によって運ばれる少なくとも第1の反応物質と反応して、少なくとも第1の生成物を作ることを可能とし、この反応の間に、前記多孔性マトリックスの残りの部分が前記液体からの前記少なくとも第1の生成物の製造を促進するための足場としての機能し、それによって、熱水液相焼結組成物を製造することを特徴とする熱水液相焼結プロセスによって製造される組成物。
【請求項42】
前記第1の生成物は、前記多孔性マトリックスと略同じモル体積を有していることを特徴とする請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記第1の生成物は、前記多孔性マトリックスより大きなモル体積を有していることを特徴とする請求項41に記載の組成物。
【請求項44】
前記第1の生成物は、前記多孔性マトリックスより小さなモル体積を有していることを特徴とする請求項41に記載の組成部。
【請求項45】
前記多孔性マトリックスは、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫酸塩、金属フッ化物、金属チタン酸塩又はそれらの組合せを含んで構成されたことを特徴とする請求項41に記載の組成物。
【請求項46】
前記第1の反応物質は、オキザラート、炭酸塩、硫酸塩、リン酸エステル、クエン酸塩、金属イオン又はそれらの組合せを含んで構成されたことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記多孔性マトリックスは、カルシウム、マグネシウムストロンチウム、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム又はそれらの組合せを含んで構成されたことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記多孔性マトリックスは、従来の焼結法が使用されたとき、焼結される前に分解する材料を含んで構成されたことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記組成物は、複合微細構造を有していることを特徴とする請求項41に記載の組成物。
【請求項50】
請求項41に記載の組成物を含んで構成された構造材料、電気材料、化学物質、又はそれらの組合せ。
【請求項51】
(i)モル体積を有する多孔性マトリックスを準備するステップと、
(ii)前記多孔性マトリックスの少なくとも一部分を、反応物質を有する溶浸媒体中に浸すステップと、
(iii)少なくともある程度の前記反応物質を前記マトリックスの少なくとも一部と反応させることにより生成物を形成するステップと、
を備えて構成され、
前記生成物は、モル体積を有しており、
前記ステップ(iii)前のマトリックスの前記モル体積は、前記ステップ(iii)後の生成物の前記モル体積と略同じか又は異なっている、
ことを特徴とする組成物を製造する方法。
【請求項52】
前記ステップ(iii)前のマトリックスの前記モル体積は、前記ステップ(iii)後の生成物のそれよりも小さいことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ステップ(iii)前のマトリックスの前記モル体積は、前記ステップ(iii)後の生成物のそれより大きいことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記固体マトリックスは、前記溶浸媒体に容易に溶けないことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記ステップ(iii)前のマトリックスの形状は、前記ステップ(iii)後の生成物のそれより小さいことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記マトリックスは、不活性な充填材を含んで構成されたことを特徴とする請求項51に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−520739(P2011−520739A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534221(P2010−534221)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/083606
【国際公開番号】WO2009/102360
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(502155611)ラトガーズ, ザ ステイト ユニバーシティ オブ ニュー ジャージー (8)
【Fターム(参考)】