説明

セリンプロテアーゼのインヒビター

本発明は式(I):
【化1】


[式中、Cはジアステレオマー炭素を表す]
で示される化合物または医薬的に許容されるその塩またはR異性体が混合物の50%を超えるR異性体とS異性体の混合物を含むその混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本特許出願は2005年8月2日に出願した米国仮特許出願番号60/704,772(言及することにより本明細書の一部とする)の利益を主張するものである。
【0002】
本発明の分野
本発明はセリンプロテアーゼ活性、とりわけ、C型肝炎ウイルスNS3−NS4Aプロテアーゼの活性を阻害する化合物に関する。それらはそれ自体C型肝炎ウイルスのライフサイクルに干渉することにより作用し、抗ウイルス剤として有用である。本発明は、さらにエキソビボ使用のための、またはHCV感染に罹患する患者に投与するための、これらの化合物を含有してなる組成物に関する。また、本発明は本発明化合物を投与することによって、患者のHCV感染を処置する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
C型肝炎ウイルス(“HCV”)による感染は、注目せざるを得ないヒトの医学的問題である。HCVは非A、非B肝炎の殆どの事例の原因因子として認知されており、世界的規模で3%の人々に広がっているとされている[A. Alberti et al., “Natural History of Hepatitis C(C型肝炎のナチュラル・ヒストリー),” J. Hepatology, 31., (Suppl. 1), pp. 17-24 (1999)]。米国単独でもほぼ400万の個々人が感染している可能性がある[M.J. Alter et al., “The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States(合衆国におけるウイルス感染の疫学), Gastroenterol. Clin. North Am., 23, pp. 437-455 (1994); M. J. Alter “Hepatitis C Virus Infection in the United States(合衆国におけるC型肝炎ウイルス感染),” J. Hepatology, 31., (Suppl. 1), pp. 88-91 (1999)]。
【0004】
HCVへの最初の曝露により感染した個体の約20%のみが急性の臨床的肝炎を発症し、他の個体は自発的に感染から回復しているように見える。しかし、ほぼ70%の事例で、ウイルスは、数10年間持続する慢性感染症を確立する[S. Iwarson, “The Natural Course of Chronic Hepatitis(慢性肝炎の自然経過),” FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 201-204 (1994); D. Lavanchy, “Global Surveillance and Control of Hepatitis C(C型肝炎の世界的規模での監視と制御),” J. Viral Hepatitis, 6, pp. 35-47 (1999)]。通常、これが肝臓炎症の再発性および進行性の悪化を起こし、多くの場合、さらに重篤な病状、例えば、肝硬変および肝細胞癌を引き起こす[M.C. Kew, “Hepatitis C and Hepatocellular Carcinoma(C型肝炎と肝細胞癌)”, FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 211-220 (1994); I. Saito et. al., “Hepatitis C Virus Infection is Associated with the Development of Hepatocellular Carcinoma(C型肝炎ウイルス感染は肝細胞癌の発生と関係する),” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 6547-6549 (1990)]。残念ながら、慢性HCVの進行を減弱させる広範囲に有効な処置方法はない。
【0005】
HCVゲノムは3010〜3033個のアミノ酸のポリタンパク質をエンコードする[Q.L. Choo, et. al., “Genetic Organization and Diversity of the Hepatitis C Virus(C型肝炎ウイルスの遺伝機構と多様性).” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, pp. 2451-2455 (1991); N. Kato et al., “Molecular Cloning of the Human Hepatitis C Virus Genome From Japanese Patients with Non-A, Non-B Hepatitis(非A、非B肝炎の日本人患者からのヒトC型肝炎ウイルスゲノムの分子クローニング),” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 9524-9528 (1990); A. Takamizawa et. al., “Structure and Organization of the Hepatitis C Virus Genome Isolated From Human Carriers(ヒト保菌者から単離したC型肝炎ウイルスゲノムの構造と機構),” J. Virol., 65, pp. 1105-1113 (1991)]。HCVの非構造(NS)タンパク質は、ウイルス複製のための本質的な触媒機構を提供すると推定される。NSタンパク質はポリタンパク質のタンパク分解切断により誘導される[R. Bartenschlager et. al., “Nonstructural Protein 3 of the Hepatitis C Virus Encodes a Serine-Type Proteinase Required for Cleavage at the NS3/4 and NS4/5 Junctions(C型肝炎ウイルスの非構造タンパク質3は、NS3/4およびNS4/5結合点での切断に必要なセリン型プロティナーゼをエンコードする),” J. Virol., 67, pp. 3835-3844 (1993); A. Grakoui et. al., “Characterization of the Hepatitis C Virus-Encoded Serine Proteinase: Determination of Proteinase-Dependent Polyprotein Cleavage Sites(C型肝炎ウイルスがエンコードするセリンプロティナーゼの特性化;プロティナーゼ依存ポリタンパク質切断部位の決定),” J. Virol., 67, pp. 2832-2843 (1993); A. Grakoui et. al., “Expression and Identification of Hepatitis C Virus Polyprotein Cleavage Products(C型肝炎ウイルス・ポリタンパク質切断生成物の発現と同定),” J. Virol., 67, pp. 1385-1395 (1993); L. Tomei et. al., “NS3 is a serine protease required for processing of hepatitis C virus polyprotein(NS3はC型肝炎ウイルスポリタンパク質のプロセシングに必要なセリンプロテアーゼである)”, J. Virol., 67, pp. 4017-4026 (1993)]。
【0006】
HCVのNSタンパク質3(NS3)は、ウイルス複製と感染のために必須のものである[Kolykhalov, Journal of Virology, Volume 74, pp. 2046 -2051 2000 “Mutations at the HCV NS3 Serine Protease Catalytic Triad abolish infectivity of HCV RNA in Chimpanzees(HCV NS3セリンプロテアーゼ触媒三つ組み残基での突然変異は、チンパンジーにおいてHCV RNAの感染性を無効にする)]。黄熱病ウイルスNS3プロテアーゼの突然変異は、ウイルスの感染性を低下させることが知られている[Chambers, T.J. et. al., “Evidence that the N-terminal Domain of Nonstructural Protein NS3 From Yellow Fever Virus is a Serine Protease Responsible for Site-Specific Cleavages in the Viral Polyprotein(黄熱病ウイルスからの非構造タンパク質NS3のN−末端ドメインが、ウイルスポリタンパク質における部位特異的切断の働きをするセリンプロテアーゼであるといる証明)”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 8898-8902 (1990)]。NS3の最初の181個のアミノ酸(ウイルスポリタンパク質の残基1027〜1207)は、HCVポリタンパク質の4つの下流部位すべてを加工処理するNS3のセリンプロテアーゼドメインを含むことが示されている。[C. Lin et al., “Hepatitis C Virus NS3 Serine Proteinase: Trans-Cleavage Requirements and Processing Kinetics(C型肝炎ウイルスNS3セリンプロティナーゼ:トランス切断の要件とプロセシングの速度論)”, J. Virol., 68, pp. 8147-8157 (1994)]。
【0007】
HCV NS3セリンプロテアーゼおよびその関連する補助因子NS4Aは、ウイルス酵素すべてのプロセスを介助し、従って、ウイルス複製に必須であると考えられる。このプロセシングはヒト免疫不全ウイルスのアスパルチルプロテアーゼが遂行するプロセシングに類似していると思われる;このプロテアーゼはウイルスの酵素プロセシングにも関わっている。ウイルスタンパク質のプロセシングを阻害するHIVプロテアーゼインヒビターは、ヒトにおける強力な抗ウイルス剤であり、このことはウイルスのライフサイクルのこの段階を中断することが、治療的に活性な作用因子となることを示している。結果として、HCV NS3セリンプロテアーゼは薬物発見のための魅力的な標的でもある。
【0008】
最近まで、唯一の確立されたHCV疾患の治療法は、インターフェロンでの処置であった。しかし、インターフェロンは著しい副作用を有し[M. A. Walker et al., “Hepatitis C Virus: An Overview of Current Approaches and Progress(C型肝炎ウイルス;最新の対処法と進歩の概説),” DDT, 4, pp. 518-29 (1999); D. Moradpour et al., “Current and Evolving Therapies for Hepatitis C(C型肝炎に対する最新の進展した治療法),” Eur. J. Gastroenterol. Hepatol., 11, pp. 1199-1202 (1999); H. L. A. Janssen et al. “Suicide Associated with Alfa-Interferon Therapy for Chronic Viral Hepatitis(慢性ウイルス肝炎のためのアルファ−インターフェロン治療と関連する自殺),” J. Hepatol., 21, pp. 241-243 (1994); P.F. Renault et al., “Side Effects of Alpha Interferon(アルファ−インターフェロンの副作用),” 肝臓病セミナー, 9, pp. 273-277. (1989)]、長期間の寛解を誘導するのは、疾患のほんの僅かな割合(≒25%)においてである[O. Weiland, “Interferon Therapy in Chronic Hepatitis C Virus Infection(慢性C型肝炎ウイルス感染におけるインターフェロン療法)”, FEMS Microbiol. Rev., 14, pp. 279-288 (1994)]。最近導入されたペグ化形態のインターフェロン(ペグ−イントロン(登録商標)およびペガシス(登録商標))およびリバビリンとインターフェロン(レベトロール(REBETROL);登録商標)との併用療法は、寛解率の僅かながらの改善と副作用の部分的な低下を生じている。さらに、有効な抗−HCVワクチンの見通しについては、不確かなままである。
【0009】
従って、より有効な抗−HCV療法の必要性がある。かかるインヒビターはプロテアーゼインヒビターとして、とりわけ、セリンプロテアーゼインヒビターとして、さらにはHCV NS3セリンプロテアーゼインヒビターとして治療上有力である。特に、かかる化合物は抗ウイルス剤として、とりわけ、抗−HCV剤として有用であり得る。
【発明の開示】
【0010】
発明の要約
本発明は式(I):
【化1】

[式中、可変記号は本明細書に記載されたとおりである]
で示される化合物、または医薬的に許容されるその塩またはそれらの混合物に関する。
【0011】
別の側面において、本発明はまた、上記化合物を含む医薬組成物およびその使用に関する。かかる組成物は、患者に挿入される器具類を前処理するために、生体サンプルを処理するために、また患者への直接投与のために使用され得る。各事例において、該組成物はHCV感染症の危険性または重篤度を低下させるために使用されよう。
【0012】
有利なことに、C位置におけるR異性体が50%を超える量で存在する式(I)で示される化合物の混合物は、予期しないことに、C位置でのS異性体が50%以上の量で存在する混合物よりも、実質的に高いバイオアベイラビリティーを有する。予期しないことに、C位置でのR異性体は、C位置でのS異性体よりも約2倍以上高いバイオアベイラビリティーを有する。さらに、C位置におけるR異性体は、C位置でのS異性体がインビボでR異性体に変換されるよりも高い割合で、C位置でのS異性体にインビボで変換される。これらの性質は、C型肝炎ウイルスNS3−NS4Aプロテアーゼの活性を阻害するなど、セリンプロテアーゼ活性のインヒビターとして、50%を超えるC位置でのR異性体を含有する式(I)の化合物の治療有効性を高めるものである。
【0013】
高いバイオアベイラビリティーとC位置での好適な異性体変換性は、C位置でのS異性体が50%を超える化合物と比較して、本発明化合物、例えば、(1S,3aR,6aS)−2−[(2S)−2−[[(2S)−2−シクロヘキシル−1−オキソ−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]エチル]アミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−N−[(1R)−1−[2−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソエチル]ブチル]オクタヒドロ−シクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキサミドの治療効果を高める働きがある。
【0014】
図面の詳細な説明
図1A−Bは、C位置でのR異性体が50%を超える式(I)の化合物と、C位置でのR異性体が50%以下である化合物との平均(±SD)血漿濃度を、該化合物の経口投与後に経時的にプロットしたものである。
【0015】
図2A−Bは、C位置でのR異性体が50%を超える式(I)の化合物と、C位置でのR異性体が50%以下である化合物との平均(±SD)血漿濃度を、該化合物の経口投与後に経時的にプロットしたものである。
【0016】
図3A−Bは、C位置でのR異性体が50%を超える式(I)の化合物と、C位置でのR異性体が50%以下である化合物との平均(±SD)血漿濃度を、該化合物の経口投与後に経時的にプロットしたものである。
【0017】
発明の詳細な説明
I.定義
本発明の目的上、元素は理化学事典(Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.)CAS版の周期律表に従って同定される。さらに、有機化学の一般原理は、“Organic Chemistry”, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999、および“March's Advanced Organic Chemistry”, 5th Ed., Ed.: Smith, M.B. and March, J., John Wiley & Sons, New York: 2001 (言及することによりその全文を本明細書の一部とする)に記載されている。
【0018】
本明細書に記載される場合、本発明の化合物は所望により1個以上の置換基によって置換されており、例えば、一般的に上で説明されるものか、または本発明の特定のクラス、サブクラス、および化学種により例示されるものである。
【0019】
本明細書にて使用される場合、「脂肪族基」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニルという用語を包含し、そのそれぞれが下に示されるように、所望により置換されている。
【0020】
本明細書にて使用される場合、「アルキル」基とは1〜8個(例えば、1〜6個または1〜4個)の炭素原子を含む飽和の脂肪族炭化水素基をいう。アルキル基は直鎖または分枝鎖であり得る。アルキル基の例は、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチル、または2−エチルヘキシルを含む。アルキル基は1個以上の置換基、例えば、ハロ、環状脂肪族基[例えばシクロアルキルまたはシクロアルケニル]、ヘテロ環状脂肪族基[例えばヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル]、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル[例えば(脂肪族)カルボニル、(環状脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル]、ニトロ、シアノ、アミド[例えば(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル]、アミノ[例えば脂肪族アミノ、環状脂肪族アミノ、またはヘテロ環状脂肪族アミノ]、スルホニル[例えば脂肪族−SO−]、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、環状脂肪族オキシ、ヘテロ環状脂肪族オキシ、アリールオキシ、へテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、へテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、またはヒドロキシで置換され得る(すなわち所望により置換されている)。限定するものではないが、置換アルキルの幾つかの例は、カルボキシアルキル(例えばHOOC−アルキル、アルコキシカルボニルアルキル、およびアルキルカルボニルオキシアルキル)、シアノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシルアルキル、アラルキル、(アルコキシアリール)アルキル、(スルホニルアミノ)アルキル(例えば(アルキル−SO−アミノ)アルキル)、アミノアルキル、アミドアルキル、(環状脂肪族)アルキル、またはハロアルキルを含む。
【0021】
本明細書にて使用される場合、「アルケニル」基とは2〜8個(例えば、2〜6個または2〜4個)の炭素原子および少なくとも1つの二重結合を含む脂肪族炭素基をいう。アルキル基と同様に、アルケニル基は直鎖または分枝鎖であり得る。アルケニル基の例は、限定されるものではないが、アリル、イソプレニル、2−ブテニル、および2−ヘキセニルを含む。アルケニル基は所望により1個以上の置換基、例えば、ハロ、環状脂肪族基[例えばシクロアルキルまたはシクロアルケニル]、ヘテロ環状脂肪族基[例えばヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル]、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル[例えば(脂肪族)カルボニル、(環状脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル]、ニトロ、シアノ、アミド[例えば(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル]、アミノ[例えば脂肪族アミノ、環状脂肪族アミノ、ヘテロ環状脂肪族アミノ、または脂肪族スルホニルアミノ]、スルホニル[例えばアルキル−SO−、環状脂肪族−SO−、またはアリール−SO−]、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、環状脂肪族オキシ、ヘテロ環状脂肪族オキシ、アリールオキシ、へテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、へテロアラルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、またはヒドロキシで置換され得る。限定するものではないが置換アルケニルの幾つかの例は、シアノアルケニル、アルコキシアルケニル、アシルアルケニル、ヒドロキシアルケニル、アラルケニル、(アルコキシアリール)アルケニル、(スルホニルアミノ)アルケニル(例えば(アルキル−SO−アミノ)アルケニル)、アミノアルケニル、アミドアルケニル、(環状脂肪族)アルケニル、またはハロアルケニルを含む。
【0022】
本明細書にて使用される場合、「アルキニル」基は、2〜8個(例えば、2〜6個または2〜4個)の炭素原子および少なくとも1つの三重結合を含む脂肪族炭素基をいう。アルキニル基は直鎖または分枝鎖であり得る。アルキニル基の例は、限定されるものではないが、プロパルギルおよびブチニルを含む。アルキニル基は所望により1個以上の置換基、例えば、アロイル、ヘテロアロイル、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、へテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、スルホ、メルカプト、スルファニル[例えば脂肪族スルファニルまたは環状脂肪族スルファニル]、スルフィニル[例えば脂肪族スルフィニルまたは環状脂肪族スルフィニル]、スルホニル[例えば脂肪族−SO−、脂肪族アミノ−SO−、または環状脂肪族−SO−]、アミド[例えばアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、へテロアラルキルカルボニルアミノ、へテロアリールカルボニルアミノまたはヘテロアリールアミノカルボニル]、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、環状脂肪族基、ヘテロ環状脂肪族基、アリール、ヘテロアリール、アシル[例えば(環状脂肪族)カルボニルまたは(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル]、アミノ[例えば脂肪族アミノ]、スルホキシ、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、(環状脂肪族)オキシ、(ヘテロ環状脂肪族)オキシ、または(ヘテロアリール)アルコキシで置換され得る。
【0023】
本明細書にて使用される場合、「アミド」は、「アミノカルボニル」および「カルボニルアミノ」の両方を包含する。これらの用語は、単独または別の基と組合わせて使用される場合には−N(R)−C(O)−Rまたは−C(O)−N(R)、そして末端基として使用される場合には−C(O)−N(R)−または−N(R)−C(O)−のアミド基をいい、また内側部分で使用する場合には−C(O)−N(R)−または−N(R)−C(O)−などであるアミド基をいう(ここで、RおよびRは下記定義のとおりである)。アミド基の例は、アルキルアミド(例えばアルキルカルボニルアミノまたはアルキルアミノカルボニル)、(ヘテロ環状脂肪族)アミド、(ヘテロアラルキル)アミド、(ヘテロアリール)アミド、(ヘテロシクロアルキル)アルキルアミド、アリールアミド、アラルキルアミド、(シクロアルキル)アルキルアミド、またはシクロアルキルアミドを含む。
【0024】
本明細書にて使用される場合、「アミノ」基とは−NRをいう(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、脂肪族基、環状脂肪族基、(環状脂肪族)脂肪族基、アリール、アリール脂肪族基、ヘテロ環状脂肪族基、(ヘテロ環状脂肪族)脂肪族基、ヘテロアリール、カルボキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、(脂肪族)カルボニル、(環状脂肪族)カルボニル、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、アリールカルボニル、(アリール脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、(ヘテロアリール)カルボニルまたは(ヘテロアリール脂肪族)カルボニルである;それぞれは本明細書に定義したものであり、そして所望により置換されている)。アミノ基の例は、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、またはアリールアミノを含む。用語の「アミノ」が末端基(例えば、アルキルカルボニルアミノ)ではない場合、そのアミノは−NR−によって表される。Rは上記定義と同じ意味を有する。
【0025】
本明細書にて使用される場合、単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」中の大きな構造部分の一部として使用される「アリール」基は、単環式(例えばフェニル);二環式(例えばインデニル、ナフタレニル、テトラヒドロナフチル、テトラヒドロインデニル);および三環式(例えばフルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、またはテトラヒドロアントラセニル、アントラセニル)環系をいい、ここで、単環式環系は芳香族であるか、または二環式環系もしくは三環式環系の少なくとも1つは芳香族である。二環式および三環式基は、ベンゾ縮合2〜3員の炭素環状環を含む。例えば、ベンゾ縮合基は2つ以上のC4−8炭素環状部分と縮合したフェニルを含む。アリールは所望により脂肪族基[例えばアルキル、アルケニル、またはアルキニル];環状脂肪族基;(環状脂肪族)脂肪族基;ヘテロ環状脂肪族基;(ヘテロ環状脂肪族)脂肪族基;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(環状脂肪族)オキシ;(ヘテロ環状脂肪族)オキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;(アリール脂肪族)オキシ;(ヘテロアリール脂肪族)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;オキソ(ベンゾ縮合二環式または三環式アリールの非芳香族炭素環状環上);ニトロ;カルボキシ;アミド;アシル[例えば脂肪族カルボニル;(環状脂肪族)カルボニル;((環状脂肪族)脂肪族)カルボニル;(アリール脂肪族)カルボニル;(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル;((ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニル;または(ヘテロアリール脂肪族)カルボニル];スルホニル[例えば脂肪族−SO−またはアミノ−SO−];スルフィニル[例えば脂肪族−S(O)−または環状脂肪族−S(O)−];スルファニル[例えば脂肪族−S−];シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホキシ;ウレア;チオウレア;スルファモイル;スルファミド;またはカルバモイルを含む1個以上の置換基により置換されている。あるいは、アリールは非置換であり得る。
【0026】
置換されているアリールの非限定的な例は、ハロアリール[例えばモノ−、ジ−(p、m−ジハロアリールなど)、および(トリハロ)アリール];(カルボキシ)アリール[例えば(アルコキシカルボニル)アリール、((アラルキル)カルボニルオキシ)アリール、および(アルコキシカルボニル)アリール];(アミド)アリール[例えば(アミノカルボニル)アリール、(((アルキルアミノ)アルキル)アミノカルボニル)アリール、(アルキルカルボニル)アミノアリール、(アリールアミノカルボニル)アリール、および(((ヘテロアリール)アミノ)カルボニル)アリール];アミノアリール[例えば((アルキルスルホニル)アミノ)アリールまたは((ジアルキル)アミノ)アリール];(シアノアルキル)アリール;(アルコキシ)アリール;(スルファモイル)アリール[例えば(アミノスルホニル)アリール];(アルキルスルホニル)アリール;(シアノ)アリール;(ヒドロキシアルキル)アリール;((アルコキシ)アルキル)アリール;(ヒドロキシ)アリール、((カルボキシ)アルキル)アリール;((ジアルキル)アミノ)アルキル)アリール;(ニトロアルキル)アリール;(((アルキルスルホニル)アミノ)アルキル)アリール;((ヘテロ環状脂肪族)カルボニル)アリール;((アルキルスルホニル)アルキル)アリール;(シアノアルキル)アリール;(ヒドロキシアルキル)アリール;(アルキルカルボニル)アリール;アルキルアリール;(トリハロアルキル)アリール;p−アミノ−m−アルコキシカルボニルアリール;p−アミノ−m−シアノアリール;p−ハロ−m−アミノアリール;または(m−(ヘテロ環状脂肪族)−o−(アルキル))アリールを含む。
【0027】
本明細書にて使用される場合、「アラルキル」基などの「アリール脂肪族」基は、アリール基で置換されている脂肪族基(例えば、C1−4アルキル基)をいう。「脂肪族」、「アルキル」、および「アリール」は本明細書に定義されている。アラルキル基などのアリール脂肪族の例はベンジルである。
【0028】
本明細書にて使用される場合、「アラルキル」基はアリール基で置換されているアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)をいう。「アルキル」および「アリール」は共に上で定義されている。アラルキル基の例はベンジルである。アラルキルは所望により1個以上の置換基、例えば、脂肪族基[例えばアルキル、アルケニル、またはアルキニル {カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルまたはトリフルオロメチルなどのハロアルキルを含む}]、環状脂肪族基[例えばシクロアルキルまたはシクロアルケニル]、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、へテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、へテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミド[例えばアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、へテロアリールカルボニルアミノ、またはヘテロアラルキルカルボニルアミノ]、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルにより置換されている。
【0029】
本明細書にて使用される場合、「二環式環系」は2つの環を形成する8〜12(例えば、9、10、または11)員構造を含み、ここで、2つの環は少なくとも1個の共通の原子(例えば、共通の2個の原子)を有する。二環式環系は二環式脂肪族(例えばビシクロアルキルまたはビシクロアルケニル)、ビシクロへテロ脂肪族、二環式アリール、および二環式へテロアリールを含む。
【0030】
本明細書にて使用される場合、「環状脂肪族」基は「シクロアルキル」基および「シクロアルケニル」基を包含し、それぞれは所望により以下に示すように置換されている。
【0031】
本明細書にて使用される場合、「シクロアルキル」基は炭素原子3〜10個(例えば、5〜10個)の飽和炭素環状単環式または二環式(縮合または架橋)環をいう。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニル、キュビル、オクタヒドロ−インデニル、デカヒドロ−ナフチル、ビシクロ[3,2,1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.3.2]デシル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、アザシクロアルキル、または((アミノカルボニル)シクロアルキル)シクロアルキルを含む。「シクロアルケニル」基は、本明細書にて使用される場合、炭素原子3〜10個(例えば、4〜8個)の、1つ以上の二重結合を有する非芳香族炭素環状環をいう。シクロアルケニル基の例は、シクロペンテニル、1,4−シクロヘキサ−ジ−エニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ヘキサヒドロ−インデニル、オクタヒドロ−ナフチル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、ビシクロ[2.2.2]オクテニル、またはビシクロ[3.3.1]ノネニルを含む。シクロアルキルまたはシクロアルケニルは所望により1個以上の置換基、例えば、脂肪族基[例えばアルキル、アルケニル、またはアルキニル]、環状脂肪族基、(環状脂肪族)脂肪族基、ヘテロ環状脂肪族基(ヘテロ環状脂肪族)脂肪族基、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(環状脂肪族)オキシ、(ヘテロ環状脂肪族)オキシ、アリールオキシ、へテロアリールオキシ、(脂肪族)オキシ、(ヘテロアリール脂肪族)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、アミド[例えば(脂肪族)カルボニルアミノ、(環状脂肪族)カルボニルアミノ、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(アリール脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロアリール脂肪族)カルボニルアミノ]、ニトロ、カルボキシ[例えばHOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ]、アシル[例えば(環状脂肪族)カルボニル、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、(アリール脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロアリール脂肪族)カルボニル]、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホニル[例えばアルキル−SO−およびアリール−SO−]、スルフィニル[例えばアルキル−S(O)−]、スルファニル[例えばアルキル−S−]、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルで置換され得る。
【0032】
本明細書にて使用される場合、「環状部分」とは環状脂肪族、ヘテロ環状脂肪族、アリール、またはヘテロアリールを含み、それぞれはすでに定義されている。
【0033】
本明細書にて使用される場合、「ヘテロ環状脂肪族」という用語は、ヘテロシクロアルキル基およびヘテロシクロアルケニル基を包含し、それぞれは以下に示すように、所望により置換されている。
【0034】
本明細書にて使用される場合、「ヘテロシクロアルキル」基は、1個以上の環原子がヘテロ原子(例えば、N、O、S、またはその組合わせ)である、3〜10員の単環式または二環式(縮合または架橋)(例えば、5員ないし10員の単環式または二環式)飽和環構造をいう。ヘテロシクロアルキル基の例は、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、1,4−ジオキソラニル、1,4−ジチアニル、1,3−ジオキソラニル、オキサゾリジル、イソオキサゾリジル、モルホリニル、チオモルホリル、オクタヒドロベンゾフリル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロチオクロメニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロピリンジニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロベンゾ[b]チオフェニル、2−オキサ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03.7]ノニルを含む。単環式ヘテロシクロアルキル基はフェニル部分と縮合し得、例えばテトラヒドロイソキノリンである。「ヘテロシクロアルケニル」基は、本明細書にて使用される場合、1個以上の環原子がヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)である、1つ以上の二重結合を有する単環式または二環式(例えば、5員ないし10員の単環式または二環式)非芳香族環構造をいう。単環式および二環式へテロ脂肪族は、標準的化学命名法に従って番号を付す。
【0035】
ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル基は、所望により1個以上の置換基、例えば、脂肪族基[例えばアルキル、アルケニル、またはアルキニル]、環状脂肪族基、(環状脂肪族)脂肪族基、ヘテロ環状脂肪族基、(ヘテロ環状脂肪族)脂肪族基、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(環状脂肪族)オキシ、(ヘテロ環状脂肪族)オキシ、アリールオキシ、へテロアリールオキシ、(アリール脂肪族)オキシ、(ヘテロアリール脂肪族)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、アミド[例えば(脂肪族)カルボニルアミノ、(環状脂肪族)カルボニルアミノ、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(アリール脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロアリール脂肪族)カルボニルアミノ]、ニトロ、カルボキシ[例えばHOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ]、アシル[例えば(環状脂肪族)カルボニル、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、(アリール脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロアリール脂肪族)カルボニル]、ニトロ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホニル[例えばアルキルスルホニルまたはアリールスルホニル]、スルフィニル[例えばアルキルスルフィニル]、スルファニル[例えばアルキルスルファニル]、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルで置換され得る。
【0036】
「ヘテロアリール」基は、本明細書にて使用される場合、1個以上の環原子がヘテロ原子(例えば、N、O、S、またはその組合わせ)であって、単環式環系が芳香族であるか、または二環式もしくは三環式環系中の少なくとも1つの環が芳香族である、4ないし15個の環原子を有する単環式、二環式、または三環式環系をいう。ヘテロアリール基は2つないし3つの環を有するベンゾ縮合環を含む。例えば、ベンゾ縮合基は1個または2個の4員ないし8員のヘテロ環状脂肪族部分(例えばインドリジル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニル、またはイソキノリニル)と縮合したベンゾを含む。ヘテロアリールの一部の例は、アゼチジニル、ピリジル、1H−インダゾリル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフリル、イソキノリニル、ベンズチアゾリル、キサンテン、チオキサンテン、フェノチアジン、ジヒドロインドール、ベンゾ[1,3]ジオキソール、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリル、シンノリル、キノリル、キナゾリル、シンノリル、フタラジル、キナゾリル、キノキサリル、イソキノリル、4H−キノリジル、ベンゾ−1,2,5−チアジアゾリル、または1,8−ナフチリジルである。
【0037】
限定するものではないが、単環式へテロアリールは、フリル、チオフェニル、2H−ピロリル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ピリジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラゾリル、ピラジル、または1,3,5−トリアジルを含む。単環式へテロアリールは、標準的化学命名法に従って番号を付す。
【0038】
限定するものではないが、二環式へテロアリールは、インドリジル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリジル、イソインドリル、インドリル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ(bexo)[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリジル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、フタラジル、キナゾリル、キノキサリル、1,8−ナフチリジルまたはプテリジルを含む。二環式ヘテロアリールは、標準的化学命名法に従って番号を付す。
【0039】
ヘテロアリールは所望により1個以上の置換基、例えば、脂肪族基[例えばアルキル、アルケニル、またはアルキニル];環状脂肪族基;(環状脂肪族)脂肪族基;ヘテロ環状脂肪族基;(ヘテロ環状脂肪族)脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(環状脂肪族)オキシ;(ヘテロ環状脂肪族)オキシ;アリールオキシ;へテロアリールオキシ;(アリール脂肪族)オキシ;(ヘテロアリール脂肪族)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;オキソ(二環式または三環式へテロアリールの非芳香族炭素環状またはヘテロ環状環上);カルボキシ;アミド;アシル[例えば脂肪族カルボニル、(環状脂肪族)カルボニル、((環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、(アリール脂肪族)カルボニル、(ヘテロ環状脂肪族)カルボニル、((ヘテロ環状脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロアリール脂肪族)カルボニル];スルホニル[例えば脂肪族スルホニルまたはアミノスルホニル];スルフィニル[例えば脂肪族スルフィニル];スルファニル[例えば脂肪族スルファニル];ニトロ;シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホキシ;ウレア;チオウレア;スルファモイル;スルファミド;またはカルバモイルで置換されている。あるいは、ヘテロアリールは非置換であり得る。
【0040】
置換されているヘテロアリールの非限定な例は、(ハロ)ヘテロアリール[例えばモノ−およびジ−(ハロ)ヘテロアリール];(カルボキシ)ヘテロアリール[例えば(アルコキシカルボニル)ヘテロアリール];シアノヘテロアリール;アミノヘテロアリール[例えば((アルキルスルホニル)アミノ)ヘテロアリールおよび((ジアルキル)アミノ)ヘテロアリール];(アミド)ヘテロアリール[例えばアミノカルボニルヘテロアリール、((アルキルカルボニル)アミノ)ヘテロアリール、((((アルキル)アミノ)アルキル)アミノカルボニル)ヘテロアリール、(((ヘテロアリール)アミノ)カルボニル)ヘテロアリール、((ヘテロ環状脂肪族)カルボニル)ヘテロアリール、および((アルキルカルボニル)アミノ)ヘテロアリール];(シアノアルキル)ヘテロアリール;(アルコキシ)ヘテロアリール;(スルファモイル)ヘテロアリール[例えば(アミノスルホニル)ヘテロアリール];(スルホニル)ヘテロアリール[例えば(アルキルスルホニル)ヘテロアリール];(ヒドロキシアルキル)ヘテロアリール;(アルコキシアルキル)ヘテロアリール;(ヒドロキシ)ヘテロアリール;((カルボキシ)アルキル)ヘテロアリール;(((ジアルキル)アミノ)アルキル)ヘテロアリール;(ヘテロ環状脂肪族)ヘテロアリール;(環状脂肪族)ヘテロアリール;(ニトロアルキル)ヘテロアリール;(((アルキルスルホニル)アミノ)アルキル)ヘテロアリール;((アルキルスルホニル)アルキル)ヘテロアリール;(シアノアルキル)ヘテロアリール;(アシル)ヘテロアリール[例えば(アルキルカルボニル)ヘテロアリール];(アルキル)ヘテロアリール、および(ハロアルキル)ヘテロアリール[例えばトリハロアルキルヘテロアリール]を含む。
【0041】
ヘテロアリール脂肪族基(例えばヘテロアラルキル基)は、本明細書にて使用される場合、ヘテロアリール基で置換された脂肪族基(例えば、C1−4アルキル基)をいう。「脂肪族基」、「アルキル」、および「ヘテロアリール」は、上で定義されている。
【0042】
「ヘテロアラルキル」基は、本明細書にて使用される場合、ヘテロアリール基で置換されたアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)をいう。「アルキル」および「ヘテロアリール」は、共に上で定義されている。ヘテロアラルキルは、所望により1個以上の置換基、例えば、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびトリフルオロメチルなどのハロアルキルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、へテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、へテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、へテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、へテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、へテロアラルキルオキシ、アロイル、へテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、へテロアリールカルボニルアミノ、へテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルで置換されている。
【0043】
本明細書にて使用される場合、「アシル」基は、ホルミル基またはR−C(O)−(例えばアルキル−C(O)−;「アルキルカルボニル」ともいう)をいう(ここで、Rおよび「アルキル」はすでに定義されている)。アセチルおよびピバロイルが、アシル基の例である。
【0044】
本明細書にて使用される場合、「アロイル」または「ヘテロアロイル」は、アリール−C(O)−またはヘテロアリール−C(O)−をいう。アロイルまたはヘテロアロイルのアリールおよびヘテロアリール部分は、すでに定義されているように、所望により置換されている。
【0045】
本明細書にて使用される場合、「アルコキシ」基はアルキル−O−基をいう(ここで、「アルキル」はすでに定義されている)。
【0046】
本明細書にて使用される場合、「カルバモイル」基は構造−O−CO−NRまたは−NR−CO−O−Rを有する基をいう(ここで、RおよびRは上で定義されており;そしてRは脂肪族基、アリール、アリール脂肪族基、ヘテロ環状脂肪族基、ヘテロアリール、またはヘテロアリール脂肪族基であり得る)。
【0047】
本明細書にて使用される場合、「カルボキシ」基は、末端基として使用される場合には−COOH、−COOR、−OC(O)H、−OC(O)Rをいい、または内部基として使用される場合には−OC(O)−または−C(O)O−をいう。
【0048】
本明細書にて使用される場合、「ハロ脂肪族」基は1〜3個のハロゲンで置換されている脂肪族基をいう。例えば、用語ハロアルキルは基−CFを含む。
【0049】
本明細書にて使用される場合、「メルカプト」基は−SHをいう。
本明細書にて使用される場合、「スルホ」基は、末端基として使用される場合には−SOHまたは−SOをいい、または内部基として使用される場合には、−S(O)−をいう。
【0050】
本明細書にて使用される場合、「スルファミド」基は、末端基として使用される場合には構造−NR−S(O)−NRをいい、また、内部基として使用される場合には−NR−S(O)−NR−をいう(ここで、R、RおよびRは上で定義されている)。
【0051】
本明細書にて使用される場合、「スルホンアミド」基は、末端基として使用される場合には構造−S(O)−NRまたは−NR−S(O)−Rをいい、また内部基として使用される場合には−S(O)−NR−または−NR−S(O)−をいう(ここで、R、RおよびRは上で定義されている)。
【0052】
本明細書にて使用される場合、「スルファニル」基は、末端基として使用される場合には−S−Rをいい、また内部基として使用される場合には−S−をいう(ここで、Rは上で定義されている)。スルファニルの例は、脂肪族−S−、環状脂肪族−S−、アリール−S−などを含む。
【0053】
本明細書にて使用される場合、「スルフィニル」基は、末端基として使用される場合には−S(O)−Rをいい、また内部基として使用される場合には−S(O)−をいう(ここで、Rは上で定義されている)。例示としてのスルフィニル基は、脂肪族−S(O)−、アリール−S(O)−、(環状脂肪族(脂肪族))−S(O)−、シクロアルキル−S(O)−、ヘテロ環状脂肪族−S(O)−、ヘテロアリール−S(O)−などを含む。
【0054】
本明細書にて使用される場合、「スルホニル」基は、末端基として使用される場合には−S(O)−Rをいい、内部基として使用される場合には−S(O)−をいう(ここで、Rは上で定義されている)。例示としてのスルホニル基は脂肪族−S(O)−、アリール−S(O)−、(環状脂肪族(脂肪族))−S(O)−、環状脂肪族−S(O)−、ヘテロ環状脂肪族−S(O)−、ヘテロアリール−S(O)−、(環状脂肪族(アミド(脂肪族)))−S(O)−などを含む。
【0055】
本明細書にて使用される場合、「スルホニル」基は、末端基として使用される場合には−O−S(O)−Rまたは−S(O)−O−Rをいい、また、内部基として使用される場合には−O−S(O)−または−S(O)−O−をいう(ここでRは上で定義されている)。
【0056】
本明細書にて使用される場合、「ハロゲン」または「ハロ」基は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう。
【0057】
本明細書にて使用される場合、「アルコキシカルボニル」は用語カルボキシに包含され、また単独で、または別の基と組合わせて使用されるものであり、アルキル−O−C(O)−などの基をいう。
【0058】
本明細書にて使用される場合、「アルコキシアルキル」はアルキル−O−アルキル−などのアルキルをいう(ここで、アルキルは上で定義されている)。
【0059】
本明細書にて使用される場合、「カルボニル」は−C(O)−をいう。
本明細書にて使用される場合、「オキソ」とは=Oをいう。
本明細書にて使用される場合、「アミノアルキル」は、構造 (R)N−アルキルをいう。
本明細書にて使用される場合、「シアノアルキル」は、構造 (NC)−アルキル−をいう。
【0060】
本明細書にて使用される場合、「ウレア」は構造−NR−CO−NRをいい、また「チオウレア」は、末端基として使用される場合には、構造−NR−CS−NRをいい、内部基として使用される場合には−NR−CO−NR−または−NR−CS−NR−をいう(ここで、R、RおよびRは上で定義されている)。
【0061】
本明細書にて使用される場合、「グアニジン」基は、構造−N=C(N(R))N(R)または−NR−C(=NR)NRをいう(ここで、RおよびRは上で定義されている)。
【0062】
本明細書にて使用される場合、「アミジノ」基という用語は構造−C=(NR)N(R)をいう(ここで、RおよびRは上で定義されている)。
【0063】
一般に、「ビシナル」という用語は、2個以上の炭素原子を含む基上に複数の置換基が配置されていて、該置換基が隣接する炭素原子に結合していることをいう。
【0064】
一般に、「ジェミナル」という用語は、2個以上の炭素原子を含む基上に複数の置換基が配置されていて、該置換基が同一の炭素原子に結合していることをいう。
【0065】
「末端基として」および「内部基として」という用語は、置換基内の基の所在位置をいう。化学構造の残りの部分に置換基がさらに結合していない末端に基が存在する場合にその基は末端に存在する。カルボキシアルキル、すなわち、RO(O)C−アルキルは末端基として使用されるカルボキシの例である。化学構造の残りの部分に結合する置換基の中間部から末端までに基が存在する場合、その基は内部基として存在する。アルキルカルボキシ(例えば、アルキル−C(O)O−またはアルキル−OC(O)−)およびアルキルカルボキシアリール(例えば、アルキル−C(O)−アリール−またはアルキル−OC(O)−アリール−)は、内部基として使用されるカルボキシ基の例である。
【0066】
本明細書にて使用される場合、「環状基」は、単環式、二環式、および三環式の環系であって、環状脂肪族、ヘテロ環状脂肪族、アリール、またはヘテロアリールを包含し、それぞれはすでに定義されている。
【0067】
本明細書にて使用される場合、「架橋二環式環系」は、環に架橋を有する二環式へテロ環状脂肪族環系または二環式環状脂肪族環系をいう。架橋二環式環系の例は、限定されるものではないが、アダマンタニル、ノルボルニル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.2.3]ノニル、2−オキサビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03.7]ノニルを含む。架橋二環式環系は、所望により1個以上の置換基、例えば、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびトリフルオロメチルなどのハロアルキルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、へテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、へテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、へテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、へテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、へテロアラルキルオキシ、アロイル、へテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、へテロアリールカルボニルアミノ、へテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルで置換され得る。
【0068】
本明細書にて使用される場合、「脂肪族鎖」は分枝または直鎖の脂肪族基(例えばアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基)をいう。直鎖脂肪族鎖は−[CH]−の構造(ここで、vは1〜6である)を有する。分枝脂肪族鎖は1個以上の脂肪族基で置換された直鎖脂肪族鎖である。分枝脂肪族鎖は−[CHQ]−の構造(ここで、Qは水素または脂肪族基である;ここで、Qは少なくともこの一例においては脂肪族であるべきである)を有する。脂肪族鎖という用語は、アルキル鎖、アルケニル鎖、およびアルキニル鎖を含み、アルキル、アルケニル、およびアルキニルは上で定義されている。
【0069】
「三環式縮合環系」という用語は、3つの環を含む環状脂肪族、ヘテロ環状脂肪族、アリールまたはヘテロアリール系をいい、各環は少なくとも2個の共通原子を少なくとも1つの他の環と共有している。三環式縮合環系の非限定的な例は、アントラセン、キサンテン、1H−フェナレン、テトラデカヒドロフェナントレン、アクリジンおよびフェノチアジンを含む。
【0070】
「所望により置換されている」という文言は、「置換されているか、または非置換である」という文言と互換性のあるものとして使用される。本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、上記で一般的に説明されるように、または本発明の特定のクラス、サブクラス、および種類によって例示されるように、所望により1個以上の置換基で置換され得る。本明細書に記載されるように、式(I)における可変記号、例えば、R、R、およびR、並びにそこに含まれる他の可変記号は、アルキルおよびアリールなどの特定の基を包含する。他に断りのない限り、可変記号、R、R、およびR、並びにそこに含まれる他の可変記号についての特定の基のそれぞれは、所望により本明細書に記載された1個以上の置換基で置換され得る。特定の基の置換基はそれぞれ、さらに、所望により1個ないし3個のハロ、シアノ、オキソ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、ハロアルキル、およびアルキルで置換されている。例えば、アルキル基はアルキルスルファニルで置換され得、そのアルキルスルファニルは所望により1個ないし3個のハロ、シアノ、オキソ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、ハロアルキル、およびアルキルで置換され得る。さらなる例として、(シクロアルキル)カルボニルアミノのシクロアルキル部分は、所望により1個ないし3個のハロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロアルキル、およびアルキルで置換され得る。2つのアルコキシ基が同一の原子または隣接する原子に結合する場合、2つのアルコキシ基は、それらが結合している原子と一体となって環を形成し得る。
【0071】
一般に、「置換されている」という用語は、「所望により」という用語が先行するか否かにかかわらず、所定の構造における水素遊離基と、特定の置換基の遊離基とが置き換わることをいう。具体的な置換基については、その定義において上で記載され、また化合物の説明とその例示中で下に記載されている。特に断りのない限り、所望により置換されている基は、該基の各置換可能な位置に置換基を有し得る;また所定の構造中の1ヶ所を超える位置が特定の基から選択される1個以上の置換基により置換され得る場合、該置換基はそれぞれの位置で同一であっても、異なっていてもよい。ヘテロシクロアルキルなどの環置換基は、シクロアルキルなどの別の環に結合して、スピロ二環式環系、例えば、両方の環が1個の共通の原子を共有する環系を形成することが可能である。当業者が認めるように、本発明により想定される置換基の組合わせは、安定なまたは化学的に可能な化合物を形成するに至る。
【0072】
「安定なまたは化学的に可能な」という文言は、本明細書にて使用される場合、化合物がそれらの製造、検出、および好ましくはそれらの回収、精製、および本明細書に開示した1つ以上の目的のための使用を可能とする条件に付した場合に、実質的に変化しない化合物をいう。一部の実施態様において、安定な化合物または化学的に可能な化合物は、40℃以下の温度で、湿気または他の化学的に反応性のものがない条件下で維持した場合に、少なくとも1週間、実質的に変化しない化合物である。
【0073】
本明細書にて使用される場合、有効量とは、処置される患者に対し治療効果を与えるために要する量と定義され、また典型的には患者の年齢、表面積、体重、および症状に基づき決定される。動物とヒトに対する投与量の相互関連性については(体表面平方メートルあたりのミリグラムに基づく)、Freireich et al., Cancer Chemother. Rep., 50: 219 (1966)に記載されている。体表面積は患者の身長と体重から近似的に決定され得る。参照例:Scientific Tables, Geigy Pharmaceuticals, Ardsley, New York, 537 (1970)。本明細書にて使用される場合、「患者」とはヒトを含む哺乳動物をいう。
【0074】
特に他に断りのない限り、本明細書に描出した構造は、その構造の異性体形態(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何異性体(または立体配座異性体))を含むことをも意味する;例えば、各不斉中心に対するRおよびS配置、(Z)および(E)の二重結合異性体、および(Z)および(E)の立体配座異性体である。それ故、本化合物の単一の立体化学異性体並びにエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または立体配座)異性体の混合物は、本発明の範囲内である。特に他に断りのない限り、本発明化合物のすべての互変異性体形態が本発明の範囲内にある。さらに、他に断りのない限り、本明細書に描出した構造は、1種以上の同位体濃厚原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素が重水素またはトリチウムと置き換わっていること以外、または炭素が13Cまたは14C豊富炭素と置き換わっていること以外、本来の構造を有する化合物は本発明の範囲内である。かかる化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析手段またはプローブとして有用である。
【0075】
本来酸性である式(I)の化合物(例えば、カルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物)は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、または金の塩などの医薬的に許容される塩を形成し得る。また、本発明の範囲内には、アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、およびN−メチルグリカミンなどの医薬的に許容されるアミンと形成される塩がある。式(I)で示される化合物は酸で処理し、酸付加塩を形成することができる。かかる酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、アスコルビン酸、マレイン酸、酢酸、およびその他の当業者周知の鉱酸および有機酸を含む。酸付加塩は遊離塩基の形態の式(I)で示される化合物を十分な量の酸(例えば塩酸)により処理して酸付加塩(例えば塩酸塩)とすることにより製造され得る。該酸付加塩は適切な希釈塩基性水溶液(例えば、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、またはアンモニア)でその塩を処理することにより、その遊離塩基の形態に戻すことができる。式(I)で示される化合物は、例えば、アキラル化合物、ラセミ混合物、光学活性化合物、純ジアステレオマー、またはジアステレオマーの混合物の形態であってもよい。
【0076】
「R異性体50%以下」という用語は「S異性体50%以上」と相互に置き換えて使用される。
【0077】
以下の略号は以下の意味を有する。略号の定義のない場合、一般的に受け容れられている意味を有する。
BEMP=2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリン
Boc=t−ブトキシカルボニル
BOP=ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム
bd=幅広いダブレット
bs=幅広いシングレット
d=ダブレット
dd=二重のダブレット
DIC=ジイソプロピルカルボジイミド
DMF=ジメチルホルムアミド
DMAP=ジメチルアミノピリジン
DMSO=ジメチルスルホキシド
EDC=エチル−1−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
eq. =当量
EtOAc=酢酸エチル
g=グラム
HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
DIPEA=ヒューニッヒ塩基=ジイソプロピルエチルアミン
L=リットル
m=マルチプレット
M=モル濃度
max=最大値
meq=ミリ当量
mg=ミリグラム
mL=ミリリットル
mm=ミリメートル
mmol=ミリモル
MOC=メトキシオキシカルボニル
N=規定
ng=ナノグラム
nm=ナノメートル
OD=吸光度
PEPC=1−(3−(1−ピロリジニル)プロピル)−3−エチルカルボジイミド
PP−HOBT=ピペリジン−ピペリジン−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
psi=平方インチあたりのポンド
Ph=フェニル
q=カルテット
quin.=クインテット
rpm=1分あたりの回転数
s=シングレット
t=トリプレット
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
tlc=薄層クロマトグラフィー
μL=マイクロリットル
UV=紫外線
【0078】
II.化合物
本発明化合物は、C位置でのR異性体が混合物の50%(例えば、約60%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約98%)を超える場合に、それらがより大きなバイオアベイラビリティーを有することが観察されたことから、望ましい治療処置を提供する。予期しないことに、C位置でのR異性体は、C位置でのS異性体よりも約2倍バイオアベイラビリティーが高い。さらに、C位置でのR異性体は、インビボで、C位置でのSよりもより高い割合でC位置でのS異性体に変換する。これらの性質は、C型肝炎ウイルスNS3−NS4Aプロテアーゼの活性を阻害するなど、セリンプロテアーゼ活性のインヒビターとして、50%を超えるC位置でのR異性体を含有する式(I)の化合物の治療効果を高める。例えば、Cでの50%を超えるR異性体である本発明の一部の態様では、3μM未満のKi(app)(例えば、約2μM、約1.5μM、または約1.190μM)、約0.9μM未満のIC50(例えば、約0.883μM)、および100μMを超えるCC50を測定値として示した。
【0079】
高いバイオアベイラビリティーとC位置での好適な異性体変換性は、C位置でのS異性体が50%を超える化合物と比較して、本発明化合物、例えば(1S,3aR,6aS)−2−[(2S)−2−[[(2S)−2−シクロヘキシル−1−オキソ−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]エチル]アミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−N−[(1R)−1−[2−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソエチル]ブチル]オクタヒドロ−シクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキサミドの治療効果を高める働きがある。
【0080】
本発明は、式(I):
【化2】

[式中、
はジアステレオマー炭素原子を表す;そして
位置でのR異性体はS異性体に比較して、混合物の50%を超える;
は、RW−、P−、またはP−L−P−である;
Rは、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているアリール基、または所望により置換されているヘテロアリール基である;
Wは結合、−NR−、−O−、または−S−である;
は、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているアリール基、または所望により置換されているヘテロアリール基である;
【0081】
−は
【化3】

である;
Tは、−C(O)−、−OC(O)−、−NHC(O)−、−C(O)C(O)−、または−SO−である;
およびR'はそれぞれ独立して、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているフェニル、または所望により置換されているヘテロアリール基である;
は、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されているヘテロアリール基、所望により置換されているフェニルである;または
およびRは、それらが結合している原子と一体となって、5員ないし7員の所望により置換されている単環式へテロ環状脂肪族基、または6員ないし12員の所望により置換されている二環式へテロ環状脂肪族基を形成してもよく、各へテロ環状脂肪族環は所望により−O−、−S−または−NR50−から選択されるさらなるヘテロ原子を含む;
【0082】
50は、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されているヘテロアリール基、または所望により置換されているフェニルである;
−L−P
【化4】

である;
およびR'はそれぞれ独立して、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているフェニル、または所望により置換されているヘテロアリール基である;または、
およびR'は、それらが結合している原子と一体となって、3員ないし7員の環状脂肪族またはヘテロ環状脂肪族環を形成してもよい;または、
およびRは、それらが結合している原子と一体となって、5員ないし7員の所望により置換されている単環式へテロ環状脂肪族基、5員ないし7員の所望により置換されている単環式へテロアリール基、6員ないし12員の所望により置換されている二環式へテロ環状脂肪族基、または6員ないし12員の所望により置換されている二環式へテロアリール基を形成してもよく、各へテロ環状脂肪族またはヘテロアリール環は、所望により−O−、−S−または−NR50−から選択されるさらなるヘテロ原子を含む;または、RおよびRが、それらが結合している原子と一体となって環を形成し得る場合、RおよびRとRにより形成される環系は、8員ないし14員の所望により置換されている二環式縮合環系を形成してもよく、ここで、該二環式縮合環系は、さらに所望により置換されているフェニルと縮合して、所望により置換されている10員ないし16員の三環式縮合環系を形成してもよい;
はHまたは保護基である;
【0083】
は所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロアリール基、または所望により置換されているフェニルである;
は、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているアリール基、または所望により置換されているヘテロアリール基である;
Lは結合、−CF−、−C(O)−、または−SO−である;
、J、J'、およびJはそれぞれ独立して、ハロゲン、−OR'、−OC(O)N(R')、−NO、−CN、−CF、−OCF、−R'、オキソ、チオキソ、−N(R')、−SR'、−COR'、−SOR'、−SON(R')、−SOR'、−C(O)R'、−C(O)C(O)R'、−C(O)CHC(O)R'、−C(S)R'、−C(O)OR'、−OC(O)R'、−C(O)N(R')、−OC(O)N(R')、−C(S)N(R')、−(CH)0−2NHC(O)R'、−N(R')N(R')COR'、−N(R')N(R')C(O)OR'、−N(R')N(R')CON(R')、−N(R')SOR'、−N(R')SON(R')、−N(R')C(O)OR'、−N(R')C(O)R'、−N(R')C(S)R'、−N(R')C(O)N(R')、−N(R')C(S)N(R')、−N(COR')COR'、−N(OR')R'、−C(=NH)N(R')、−C(O)N(OR')R'、−C(=NOR')R'、−OP(O)(OR')、−P(O)(R')、−P(O)(OR')、または−P(O)(H)(OR')であるか、またはJおよびJ'から選択される1つがHであり、
ここで、2つのR'基は、それらが結合している原子と一体となって、N、O、またはSから独立して選択される3個までのヘテロ原子を有する3員ないし10員の芳香族または非芳香族環系を形成してもよく、該環は所望によりC−C10アリール、C−C10ヘテロアリール、C−C10シクロアルキル、またはC−C10ヘテロ環状脂肪族基に縮合しており、そして全ての環がそれぞれ独立してJから選択される3個までの置換基を有するか、またはJまたはJ'の1つが水素である;
各R'は独立して、H、C−C12脂肪族基、C−C10シクロアルキル、またはC−C10シクロアルケニル、C−C10シクロアルキル−C−C12脂肪族基、C−C10シクロアルケニル−C−C12脂肪族基、C−C10アリール基、C−C10アリール−C−C12脂肪族基、3員ないし10員のヘテロ環状脂肪族基、6員ないし10員のヘテロ環状脂肪族−C−C12脂肪族基、5員ないし10員のヘテロアリール基、または5員ないし10員のヘテロアリール−C−C12脂肪族基から選択され、ここで、R'はそれぞれ独立してJから選択される3個までの置換基を有する]
で示される化合物、または医薬的に許容されるその塩またはそれらの混合物を提供する。
【0084】
幾つかの実施態様において、JおよびJは、それらが結合している原子と一体となって、CないしC12の所望により置換されている二環式環を形成してもよい。
【0085】
幾つかの実施態様において、JおよびJは、それらが結合している原子と一体となって、CないしC12の所望により置換されている二環式環を形成してもよい。
【0086】
幾つかの実施態様において、JおよびJ'は、それらが結合している原子と一体となって、所望により置換されている5〜10員の環状脂肪族基、または所望により置換されている5〜10員のヘテロ環状脂肪族環を形成してもよい。
【0087】
幾つかの実施態様において、JおよびJは、それらが結合している原子と一体となって、CないしC12の所望により置換されている二環式環を形成してもよい。
【0088】
本発明化合物は1つ以上の不斉中心を含み得る。これらの不斉中心は独立して、RまたはS配置のいずれかにあり得る。本発明の特定の化合物は幾何異性をも示し得る。本発明は本発明による化合物の個々の幾何異性体と立体異性体およびラセミ化合物を含むその混合物をも包含する。
【0089】
幾つかの実施態様において、本発明化合物は構造部分:
【化5】

が、
【化6】

[式中、nは0または1である;ZおよびZ'はそれぞれ独立して、−CR'R'−、−S−、または−O−である]
から選択されるものを含む。
【0090】
幾つかの実施態様において、式(I)で示される化合物は、JおよびJが、それらが結合している原子と一体となって、所望により置換されている単環式または二環式環を形成し、その構造部分:
【化7】

が、
【化8】

である構造を含む。
【0091】
幾つかの実施態様において、式(I)で示される化合物は、JおよびJが、それらが結合している原子と一体となって、所望により置換されている単環式または二環式環を形成し、その構造部分:
【化9】

が、次に掲げる構造を含む。
【化10】

【化11】

【0092】
幾つかの実施態様において、JおよびJが、それらが結合している原子と一体となって、所望により置換されている単環式環を形成し、その構造部分:
【化12】

が、
【化13】

である。
【0093】
幾つかの実施態様において、JおよびJが、それらが結合している原子と一体となって、単環式環を形成し、構造部分:
【化14】

が、
【化15】

である構造を含む。
【0094】
幾つかの実施態様において、Lは−C(O)−である。
【0095】
幾つかの実施態様において、RはRW−である。例えば、RはRW−であり、Rは所望により置換されているアリールまたは所望により置換されているヘテロアリールであり、Wは−O−である。他の実施態様において、Rは所望により置換されている脂肪族基または所望により置換されている環状脂肪族基である。例えば、Rは所望により置換されているアラルキルまたは所望により置換されているヘテロアラルキルである。
【0096】
幾つかの実施態様において、R
【化16】

である。
【0097】
幾つかの実施態様において、RはRW−である。
【0098】
幾つかの実施態様において、Rは所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているアリール、または所望により置換されているヘテロアリールであり;Wは、結合、−O−、−S−、または−NR−である。
【0099】
幾つかの実施態様において、Rは所望により置換されている脂肪族基または所望により置換されている環状脂肪族基である。
【0100】
幾つかの実施態様において、Rは所望により置換されているアラルキルまたは所望により置換されているヘテロアラルキルである。
【0101】
一部の実施態様において、Rは
【化17】

である。
【0102】
他の実施態様において、Rは、
【化18】

[式中、
10は独立して、H、(C−C12)−脂肪族基、(C−C10)−アリール、(C−C10)−アリール−(C−C12)脂肪族基、(C−C10)−シクロアルキルもしくは−シクロアルケニル、[(C−C10)−シクロアルキルもしくは−シクロアルケニル]−(C−C12)−脂肪族基、(3員ないし10員)−へテロ環状脂肪族−、(6員ないし10員)−へテロ環状脂肪族−(C−C12)脂肪族−、(5員ないし10員)−ヘテロアリール−、または(5員ないし10員)−へテロアリール−(C−C12)−脂肪族−である;
各Kは、結合、(C−C12)−脂肪族基、−O−、−S−、−NR−、−C(O)−、または−C(O)NR−である(ここで、Rは水素または(C−C12)−脂肪族基である);そして
mは1〜3である]
である。
【0103】
一部の実施態様において、Rは、
【化19】

である。
【0104】
さらなる実施態様において、Rは、
【化20】

[式中、
は独立して、O、S、NR10、またはC(R10)である;
各R10は水素、(C−C12)−脂肪族基、(C−C10)−アリール、(C−C10)−アリール−(C−C12)脂肪族基、(C−C10)−シクロアルキルもしくは−シクロアルケニル、[(C−C10)−シクロアルキルもしくは−シクロアルケニル]−(C−C12)−脂肪族基、(3員ないし10員)−へテロ環状脂肪族−、(6員ないし10員)−へテロ環状脂肪族−(C−C12)脂肪族−、(5員ないし10員)−ヘテロアリール−、または(5員ないし10員)−へテロアリール−(C−C12)−脂肪族−である;
pは独立して1または2である;そして
----- は独立して単結合または二重結合である]
である。
【0105】
幾つかの実施態様において、RW−は、
【化21】

である。
【0106】
幾つかの実施態様において、RはPであり、P
【化22】

である;RおよびR'はそれぞれ独立して、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているアリール基、または所望により置換されているヘテロアリール基である;Rは所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されているヘテロアリール、所望により置換されているフェニルであるか、またはRおよびRは、それらが結合している原子と一体となって、5員ないし7員の所望により置換されている単環式へテロ環または6員ないし12員の所望により置換されている二環式へテロ環を形成し、各へテロ環は所望により−O−、−S−または−NR50−から選択されるさらなるヘテロ原子を含む;そして、Tは−C(O)−、−OC(O)−、−NHC(O)−、−C(O)C(O))−または−SO−である。
【0107】
幾つかの実施態様において、Tは−C(O)−である。
幾つかの実施態様において、Tは−OC(O)−である。
幾つかの実施態様において、Tは−NHC(O)−である。
【0108】
幾つかの実施態様において、Tは−C(O)C(O)−である。
幾つかの実施態様において、Tは−S(O)−である。
【0109】
がP−L−P−であり、P−L−P
【化23】

[式中、
およびR'はそれぞれ独立して、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されているヘテロアリール基、または所望により置換されているフェニルである;または
およびR'は、それらが結合している原子と一体となって、3員ないし7員の環状脂肪族またはヘテロ環状脂肪族環を形成してもよい;または
およびRは、それらが結合している原子と一体となって、5員ないし7員の所望により置換されている単環式へテロ環状脂肪族基、5員ないし7員の所望により置換されている単環式へテロアリール基、6員ないし12員の所望により置換されている二環式へテロ環状脂肪族基、または6員ないし12員の所望により置換されている二環式へテロアリール基を形成してもよく、各へテロ環状脂肪族またはヘテロアリール環は、所望により−O−、−S−または−NR50−から選択されるさらなるヘテロ原子を含む;または
およびRが、それらが結合している原子と一体となって環を形成し得る場合、RおよびRとRにより形成される環系は、8員ないし14員の所望により置換されている二環式縮合環系を形成してもよく、ここで、該二環式縮合環系は、さらに所望により置換されているフェニルと縮合して、所望により置換されている10員ないし16員の三環式縮合環系を形成してもよい;
はHまたは保護基である;
50は、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されているヘテロアリール基、または所望により置換されているフェニルである]
である上記のジアステレオマー化合物の混合物。
【0110】
幾つかの実施態様においては、R'がHであり;そしてRがC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルキル−C−C12アルキル、C−C10アリール、C−C10アリール−C−Cアルキル、3員ないし10員のヘテロ環状脂肪族基、6員ないし10員のヘテロ環状脂肪族−C−C12アルキル、5員ないし10員のヘテロアリール、または5員ないし10員のヘテロアリール−C−C12アルキルである。
【0111】
が、
【化24】

である上記のジアステレオマー化合物の混合物。
【0112】
幾つかの実施態様においては、RおよびR'は、それらが結合している原子と一体となって、3員ないし7員の所望により置換されている環状脂肪族環を形成する。
【0113】
幾つかの実施態様において、RおよびR'は、それらが結合している原子と一体となって、
【化25】

を形成する。
【0114】
一部の実施態様において、Rは
【化26】

である。
【0115】
幾つかの実施態様において、式(I)で示される化合物は、Rが所望により置換されている脂肪族基(例えば、所望により置換されている(C−C)−アルキル)、所望により置換されている環状脂肪族基(例えば、所望により置換されている(C−C)−シクロアルキル)、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているアリール、または所望により置換されているヘテロアリールである構造を含む。
【0116】
一部の実施態様において、Rは所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されているフェニル、所望により置換されている環状脂肪族基、または所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基である。
【0117】
一部の実施態様において、Rは所望により置換されている脂肪族基または所望により置換されているフェニルである。
【0118】
他の実施態様において、Rは所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、または所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基である。
【0119】
一部の実施態様において、Rは、
【化27】

である。
【0120】
幾つかの実施態様において、Rはn−プロピルである。
幾つかの実施態様において、Rは所望により置換されている(C−C)−アルキルまたは所望により置換されている(C−C)−シクロアルキルである。
【0121】
幾つかの実施態様において、式(I)で示される化合物は、Rが所望により置換されている(C−C)脂肪族基(例えば、所望により置換されている(C−C)−アルキル)、所望により置換されている(C−C)環状脂肪族基(例えば、所望により置換されている(C−C)−シクロアルキル)、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているアリール基、または所望により置換されているヘテロアリール基である構造を含む。
【0122】
一部の実施態様において、Rは所望により置換されている(C−C)脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているアリール基または所望により置換されているヘテロアリール基である。
【0123】
一部の実施態様において、Rは、
【化28】

である。
幾つかの実施態様において、Rはシクロプロピルである。
【0124】
幾つかの実施態様においては、Tが結合であり、Rが所望により置換されている(ヘテロ環状脂肪族)脂肪族基である。他の例において、Tは結合であり、Rは所望により置換されているアリール基または所望により置換されているヘテロアリール基である。
【0125】
幾つかの実施態様において、Tは−C(O)−であり、Rは所望により置換されているヘテロアリール基、所望により置換されているアリール基である。
【0126】
幾つかの実施態様において、式(I)で示される化合物は
【化29】

[式中、CはRおよびS異性体の混合物を表す;ここで、R異性体は少なくとも混合物の50%である]
を含む。
【0127】
幾つかの実施態様において、混合物中のR異性体の割合は60%を超える(例えば、70%を超える;80%を超える;90%を超える;95%を超える;98%を超える;または99%を超える)。
【0128】
幾つかの実施態様において、CでのR異性体とS異性体の比が60対40を超える。
幾つかの実施態様において、CでのR異性体とS異性体の比が70対30を超える。
【0129】
幾つかの実施態様において、CでのR異性体とS異性体の比が80対20を超える。
幾つかの実施態様において、CでのR異性体とS異性体の比が90対10を超える。
【0130】
幾つかの実施態様において、CでのR異性体とS異性体の比が95対5を超える。
幾つかの実施態様において、CでのR異性体とS異性体の比が98対2を超える。
幾つかの実施態様において、CでのR異性体とS異性体の比が99対1を超える。
【0131】
本発明は、RおよびRがセリンプロテアーゼ・インヒビターの構造要素を含む化合物を含むことを意図している。セリンプロテアーゼ・インヒビターの構造要素を有する化合物は、限定されるものではないが、以下の公開公報に記載された化合物を包含する:WO 97/43310、US 20020016294、WO 01/81325、WO 02/08198、WO 01/77113、WO 02/08187、WO 02/08256、WO 02/08244、WO 03/006490、WO 01/74768、WO 99/50230、WO 98/17679、WO 02/48157、US 20020177725、WO 02/060926、US 20030008828、WO 02/48116、WO 01/64678、WO 01/07407、WO 98/46630、WO 00/59929、WO 99/07733、WO 00/09588、US 20020016442、WO 00/09543、WO 99/07734、US 6,018,020、US 6,265,380、US 6,608,027、US 20020032175、US 20050080017、WO 98/22496、US 5,866,684、WO 02/079234、WO 00/31129、WO 99/38888、WO 99/64442、WO 2004072243、およびWO 02/18369;言及することによりこれらを本明細書の一部とする。
【0132】
本発明化合物の非限定的な例は、(1S,3aR,6aS)−2−[(2S)−2−[[(2S)−2−シクロヘキシル−1−オキソ−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]エチル]アミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−N−[(1R)−1−[2−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソエチル]ブチル]オクタヒドロ−シクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキサミドを含む。
【0133】
本発明の幾つかの実施態様において、C位置でのR異性体は混合物の50%を超えて存在し、その混合物は、本明細書に記載されるように、2日間(48時間)のHCVレプリコン・インキュベーションアッセイを用いて測定した場合、1.5μM未満のKi(app)を有する。
【0134】
幾つかの実施態様において、C位置でのR異性体は混合物の50%を超えて存在し、その混合物は、2日間(48時間)のHCVレプリコン・インキュベーションアッセイを用いて測定した場合、1μM未満のIC50と90μMを超えるCC50を有する。
【0135】
幾つかの実施態様において、C位置でのR異性体は混合物の50%を超えて存在し、その混合物は、2日間(48時間)のHCVレプリコン・インキュベーションアッセイを用いて測定すると、約1.190μMのKi(app)、約0.833μMのIC50、および100μMを超えるCC50を含む。
【0136】
幾つかの実施態様において、50%を超えたC位置でのR異性体を含有する混合物は、C位置でのR異性体が50%以下である混合物よりも高いバイオアベイラビリティーを有する。
【0137】
幾つかの実施態様において、C位置でのR異性体が混合物の50%を超えて存在し、その混合物は90%を超えるバイオアベイラビリティーを有する。
【0138】
幾つかの実施態様において、C位置でのR異性体は、C位置でのS異性体の約2倍のバイオアベイラビリティーを示す。
【0139】
幾つかの実施態様において、C位置でのR異性体は混合物の50%を超えて存在し、その混合物は、C位置でのR異性体を50%以下含む混合物よりも容易に吸収される。
【0140】
幾つかの実施態様において、C位置でのR異性体は混合物の50%を超えて存在し、その混合物は、C位置でのR異性体が50%以下である混合物よりも長い半減期を有する。
【0141】
III.合成スキーム
本発明化合物は既知の方法により製造され得る。かかる方法の一例をスキーム1にて説明する。
スキーム1
【化30】

【0142】
スキーム1に従って説明すると、式(1)のピロリジン酸を、例えば、EDCおよびHOBtなどのカップリング試薬の存在下に、式(2)のアミノアルコールと反応させ、対応する式(3)のアミドを得る。アミド(3)を酸化し、式(I)で示される化合物を得る。適当な酸化剤は、例えば、デス−マーチン・ペルヨージナンおよびTEMPO存在下の次亜塩素酸ナトリウムを含む。スキーム1で使用される式(1)のピロリジン酸は、WO 03/006490およびWO 02/18369に記載された方法により製造され得る。Lが−C(O)−である式(2)のアミノ−アルコールは、WO 02/18369に記載された方法により製造され得る。式(I)において、R'はN−保護基を表し、既知方法によりR'をさらに合成するために除去され得る。あるいは、R'はRを表す。従って、式(2)のアミノ−アルコールの結合は、R部分の合成の前または後で達成され得る。
【0143】
本発明のC位置でのRおよびS異性体の混合物は、既知技法により処理され得る。かかる技法の一例は、純RまたはS異性体(C位置での)を適当な量のSまたはR異性体で、それぞれ希釈することを含む。かかる技法の別の例は、既知比率のRとS(C位置での異性体)の混合物を、適切な量のCの純R異性体で、またはある量のCの純S異性体で、またはある量の既知比率のRおよびS異性体(Cでの)の混合物で希釈することを含む。別の技法では、CのR異性体とCのS異性体との望ましい比率を与える合成経路を実施することを含む。
【0144】
でのR異性体またはS異性体の製造については、WO 02/18369に記載されており、またスキーム2により説明される。
スキーム2
【化31】

【0145】
スキーム2に従って説明すると、式(4)のBoc−ノルバリンの光学異性体を先ずCDIの存在下に、ジメチルヒドロキシルアミンと反応させることにより、式(5)で示される対応するN−メチル(メトキシ)アミドに変換する。アミド(5)を水素化アルミニウムリチウムで還元すると、式(6)で示されるノルバリナールが得られる。式(7)のシアノヒドリンは、ノルバリナール(6)を重亜硫酸付加複合体(図示せず)へ変換し、次いでシアン化カリウムと反応させることにより得られる。式(7)のシアノヒドリンと濃塩酸との反応は、シアノ基の加水分解と脱保護を起こし、式(8)で示されるアミノ−ヒドロキシ酸を生じる。得られたアミノ−ヒドロキシ酸(8)とN−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミドとの反応は、式(9)のCbz誘導体を生じ、これをさらにカップリング試薬PyBOPとHOBTの存在下、アミンRNHとの反応により式(10)で示されるアミドに変換し得る。アミド(10)を10%Pd/Cで水素化して、式(2)で示されるアミンを得る。
【0146】
式(I)で示される化合物の混合物は、所望により、例えばクロマトグラフィー分離法によりその構成分の立体異性体に分離され得る。表1および2参照。
【表1】

【0147】
式:
【化32】

[式中、CはRおよびS異性体の混合物を表す]
で示される化合物のRおよびS異性体を含む混合物の特異的分離は、表1に従って実施した。保持時間は、表2に示すように、CでのR異性体の場合、8分27秒であり、CでのS異性体の場合、6分35秒と測定された。
【表2】

【0148】
表2で説明した分離法を用いて測定した保持時間は、C位置でのR異性体の場合、3.6分であり、C位置でのS異性体の場合、4.0分であった。
【0149】
IV.製剤、用途、および投与
本発明化合物は、それらがC位置でのR異性体が混合物の50%(例えば、約60%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%)を超える場合に、より高いバイオアベイラビリティーを有することが観察されたことから、望ましい治療薬であり得る。C位置でのR異性体が50%を超える混合物では、C位置でのS異性体よりも約2倍バイオアベイラビリティーが高い。具体的には、総計バイオアベイラビリティーは、2つの異性体を組合わせて投与されることによって示される場合に、経口投与したCでのR異性体について約98%であり、経口投与したCでのS異性体について50%であった。さらに、経口投与後、C位置でのR異性体からC位置でのS異性体への変換は、CでのS異性体からCでのR異性体への変換よりも顕著であった。相互変換は、IV投与後に比較して、経口投与後により広範に起こった。
【0150】
本発明化合物はセリンプロテアーゼ活性、とりわけ、C型肝炎ウイルスNS3−NS4Aプロテアーゼの活性を阻害するので、HCV感染の治療処置に有用であり得る。50%を超えるCでのR異性体である本発明の一部の態様では、3μM未満のKi(app)(例えば、約2μM、約1.5μM、または約1.190μM)、約0.9μM未満のIC50(例えば、約0.883μM)、および100μMを超えるCC50を測定値として示した。
【0151】
本発明はHCVの処置のために、式(I)で示される化合物の混合物を投与する方法であって、該混合物が50%を超えるC位置でのR異性体を含有する方法を含む。
【0152】
本発明の一実施態様では、式(I)で示される化合物、または医薬的に許容されるその塩もしくは混合物を含有してなる医薬組成物を提供する。別の実施態様によると、式(I)で示される化合物は、サンプルにおける、または患者におけるウイルス負荷を低下させるのに有効な量で、医薬的に許容される担体と共に存在する;ここで、当該ウイルスはそのウイルスのライフサイクルに必要なセリンプロテアーゼをエンコードする。
【0153】
本発明化合物の医薬的に許容される塩がこれらの組成物に利用される場合、これらの塩は好ましくは、無機または有機の酸および塩基から誘導される。かかる酸塩の中には、次に掲げるものが包含される:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳硫酸塩、シクロペンタン−プロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩。塩基塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン塩などの有機塩基との塩、およびアルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩、などを包含する。
【0154】
また、塩基性窒素含有基は、ハロゲン化低級アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;硫酸ジアルキル、例えばジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルのスルフェート;長鎖ハロゲン化物、例えばデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;ハロゲン化アラルキル、例えばベンジルおよびフェネチルの臭化物およびその他により四級化され得る。それにより、水または油に可溶性または分散性の生成物が得られる。
【0155】
本発明の組成物および方法に利用される化合物は、選択的生物学的性質を上昇させるために、適切な官能性を付加することにより修飾され得る。かかる修飾は当該技術上既知であり、それらは所定の生物学的系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増大させ、経口利用能を上昇させ、注射による投与を可能とするために溶解度を上昇させ、代謝を変え、そして排出速度を変える修飾を含む。
【0156】
これらの組成物に使用され得る医薬的に許容される担体は、限定されるものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(ヒト血清アルブミンなど)、緩衝性物質(リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなど)、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム)、ポリビニルピロリドン、セルロースをベースとした物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレンポリオキシプロピレン・ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含む。
【0157】
別の実施態様によると、本発明の組成物は哺乳動物への医薬投与用に製剤化され得る。一実施態様において、当該哺乳動物はヒトである。
【0158】
本発明のかかる医薬組成物は、経口、非経腸、吸入スプレー、局所的、直腸、経鼻的、頬側、膣内または埋め込まれたリザーバー経由で投与され得る。本明細書にて使用される場合、「非経腸」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病巣内および頭蓋内注射または注入技法を含む。好ましくは、該組成物は経口または静脈内に投与される。
【0159】
本発明組成物の滅菌注射用形態は、水性または油性懸濁液でもよい。これらの懸濁液は適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当該技術上既知の技法に従って製剤化され得る。滅菌注射用製剤は、非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオールの溶液などであり得る。とりわけ、採用され得る許容されるビークルおよび溶媒は、水、リンゲル溶液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌した不揮発油は溶媒または懸濁化媒体として簡便に使用され得る。この目的のためには、合成モノまたはジグリセリドを含む無刺激性の不揮発油を使用し得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は注射剤の調製に有用であり、これらは天然の医薬的に許容される油、例えばオリーブ油またはひまし油、とりわけそのポリオキシエチル化体である。これらの油溶液または懸濁液は、エマルジョンおよび懸濁液を含む医薬的に許容される投与形態の製剤化に一般に使用されるカルボキシメチルセルロースもしくは同様の分散剤などの、長鎖アルコール希釈剤または分散剤をも含み得る。医薬的に許容される固体、液体、または他の投与形態の製造に一般的に使用される他の一般に使用される界面活性剤(例えばトゥイーン、スパン)および他の乳化剤またはバイオアベイラビリティー増強剤が、製剤化の目的で使用され得る。
【0160】
一実施態様において、本明細書に記載のプロテアーゼインヒビター化合物の1日あたりの投与量レベルは、約0.01ないし約100mg/kg(体重)が、抗ウイルス性、特に、抗−HIV媒介疾患の予防および処置のための単剤治療に有用である。別の実施態様において、本明細書に記載のプロテアーゼインヒビター化合物の1日あたりの投与量レベルは、約0.5ないし約75mg/kg(体重)が、抗ウイルス性、特に、抗−HIV媒介疾患の予防および処置のための単剤治療に有用である。典型的には、本発明の医薬組成物は、1日あたり約1回ないし約5回投与されるか、または別法として連続注入される。かかる投与は慢性または急性の治療法として使用され得る。単回投与形態を製造するために担体物質と組合わせ得る活性成分の量は、処置すべき宿主により、また特定の投与様式により変わる。典型的な製剤は約5%ないし約95%の活性化合物(w/w)を含有する。一実施態様において、かかる製剤は約20%ないし約80%の活性化合物を含有する。
【0161】
本発明の組成物が式(I)で示される化合物と1種以上の治療剤または予防剤との組合わせを含む場合、該化合物と該追加の薬剤は、単剤治療投与計画において通常投与される投与量の約10ないし100%の投与量レベルで存在すべきである。別の実施態様においては、追加の薬剤は単剤治療投与計画において通常投与される投与量の約10ないし80%の投与量レベルで存在すべきである。本発明の医薬組成物は、限定されるものではないがカプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液を含む、経口的に許容される投与形態で経口投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、一般に使用される担体は、ラクトースおよびコーンスターチを含む。滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムも典型的に添加される。カプセル形態での経口投与のために有用な希釈剤は、ラクトースおよびコーンスターチを含む。経口使用のために水性懸濁液が必要とされる場合、有効成分は乳化剤および懸濁剤と組合わせられる。所望によりある種の甘味剤、芳香剤または着色剤を加えてもよい。
【0162】
別法として、本発明の医薬組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらは、薬剤を、室温では固体であるが直腸温度では液状であり、従って直腸内で融解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することにより製造され得る。かかる物質はカカオ脂、蜜蝋およびポリエチレングリコールを含む。
【0163】
本発明の医薬組成物はまた、とりわけ、処置の標的が、眼、皮膚または下部腸管を含む局所適用により容易に接近し得る領域または臓器を含む場合に、局所的に投与され得る。適切な局所用製剤はそれらの領域または臓器のそれぞれについて、容易に製造される。
【0164】
下部腸管に対しての局所適用は、直腸坐剤製剤(上記参照)で、または適切な浣腸剤で行われ得る。局所的経皮パッチも使用され得る。
【0165】
局所適用のために、医薬組成物は、1種以上の担体に懸濁または溶解した有効成分を含有する適当な軟膏剤に製剤化され得る。本発明化合物の局所適用のための担体は、限定されるものではないが、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋および水を含む。あるいは、該医薬組成物は、1種以上の医薬的に許容される担体に懸濁または溶解した有効成分を含有する適切なローションまたはクリームに製剤化され得る。適切な担体は、限定されるものではないが、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を含む。
【0166】
眼科用途の医薬組成物は、等張性のpH調整滅菌食塩水中の微小化懸濁液として、または、好ましくは等張性のpH調整滅菌食塩水中の溶液として、塩化ベンジルアルコニウムなどの存在下または非存在下に製剤化され得る。あるいは、眼科用途の医薬組成物は、ワセリンなどの軟膏剤として製剤化され得る。
【0167】
本発明の医薬組成物は、鼻エーロゾルまたは吸入によっても投与され得る。かかる組成物は医薬製剤技術上周知の技法に従って製造可能であり、またベンジルアルコールもしくはその他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを向上させる吸収促進剤、フッ素化炭素、および/または他の常套の可溶化剤もしくは分散剤を使用して製造され得る。
【0168】
一実施態様において、該医薬組成物は経口投与用に製剤化される。
【0169】
別の実施態様において、本発明の組成物は、さらに別の抗ウイルス剤、好ましくは、抗−HCV剤を含有してなる。かかる抗ウイルス剤は、限定されるものではないが、免疫調節剤、例えば、α−、β−、およびγ−インターフェロン、ペグ誘導化インターフェロンα化合物、およびチモシン;他の抗ウイルス剤、例えば、リバビリン、アマンタジン、およびテルビブジン;他のC型肝炎プロテアーゼインヒビター(NS2−NS3インヒビターおよびNS3−NS4Aインヒビター);ヘリカーゼおよびポリメラーゼインヒビターを含むHCVライフサイクルにおける他の標的のインヒビター;内部リボソーム進入のインヒビター;広域性ウイルスインヒビター、例えば、IMPDHインヒビター(例えば米国特許第5,807,876号、第6,498,178号、第6,344,465号、第6,054,472号、WO 97/40028、WO 98/40381、WO 00/56331に記載の化合物、ミコフェノール酸とその誘導体、および例えば、限定されるものではないが、化合物XXを含む;または上記のいずれかの組合わせである。以下も参照:W. Markland et al., Antimicrobial & Antiviral Chemotherapy, 44, p. 859 (2000) および米国特許第6,541,496号。
【化33】

【0170】
本明細書においては、以下の定義を用いる(商標は本出願の出願日時点で入手可能な製品について記載)。
【0171】
「ペグ−イントロン」(PEG-INTRON;登録商標)は、シェリング・コーポレーション(ケニルウオース、ニュージャージー)から入手し得るペグインターフェロン・アルファ−2bを意味する;
【0172】
「イントロン」は、シェリング・コーポレーション(ケニルウオース、ニュージャージー)から入手し得るINTRON-A(登録商標)、インターフェロン・アルファ−2bを意味する;
【0173】
「リバビリン」は、ICNファーマシューティカルス・インク(コスタメサ、カリフォルニア)から入手し得るリバビリン(1−ベータ−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミドを意味する;メルク・インデックス、登録番号8365、12版に記載;シェリング・コーポレーション(ケニルウオース、ニュージャージー)から入手し得るレベトロール(REBETROL)(登録商標)としても、またはホフマン−ラ・ロシュ(ナットレイ、ニュージャージー)からコペガサス(COPEGASUS)(登録商標)としても入手可能;
【0174】
「パガシス」は、ホフマン−ラ・ロシュ(ナットレイ、ニュージャージー)から入手し得るPEGASYS(登録商標)、ペグインターフェロン・アルファ−2aを意味する;
「レフェロン」は、ホフマン−ラ・ロシュ(ナットレイ、ニュージャージー)から入手し得るROFERON(登録商標)、組換えインターフェロン・アルファ−2aを意味する;
【0175】
「ベレフォア」は、ベーリンガー・インゲルハイム・ファーマシュティカル・インク(リッジフィールド、コネチカット)から入手し得るBEREFOR(登録商標)、インターフェロン・アルファ−2を意味する;
【0176】
スミフェロン(SUMIFERON;登録商標)は、住友(日本)から入手し得るスミフェロンなどの天然のアルファ・インターフェロンの精製ブレンドである;
ウエルフェロン(WELLFERON;登録商標)は、グラクソ・ウエルカム(株)(英国)から入手し得るインターフェロン・アルファn1である;
【0177】
アルフェロン(ALFERON;登録商標)は、インターフェロン・サイエンスにより作製された天然アルファ・インターフェロンの混合物であり、プルドゥ・フレデリック(株)(コネチカット)から入手し得る;
【0178】
「インターフェロン」という用語は、本明細書にて使用される場合、高度に相同性の種特異的タンパク質ファミリーの1メンバーを意味し、インターフェロン・アルファ、インターフェロン・ベータ、またはインターフェロン・ガンマなど、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し、免疫応答を調節するタンパク質である。メルク・インデックス、登録番号5015、12版
【0179】
本発明の一実施態様において、インターフェロンとはα−インターフェロンである。別の実施態様において、本発明の治療上の組合わせでは天然のアルファ・インターフェロン2aを利用する。または本発明の治療上の組合わせでは天然のアルファ・インターフェロン2bを利用する。別の実施態様において、本発明の治療上の組合わせでは組換えアルファ・インターフェロン2aもしくは2bを利用する。さらに別の実施態様において、インターフェロンはペグ化アルファ・インターフェロン2aまたは2bである。本発明に適するインターフェロンは次に掲げるものを含む:
(a) イントロン(INTRON-A;登録商標)(インターフェロン−アルファ2B、シェリング・プラウ)、
(b) ペグ−イントロン(PEG-INTRON;登録商標)、
(c) ペガシス(PEGASYS;登録商標)、
(d) ロフェロン(ROFERON;登録商標)、
(e) ベレフォア(BEREFOR;登録商標)、
(f) スミフェロン(SUMIFERON;登録商標)、
(g) ウエルフェロン(WELLFERON;登録商標)、
(h) コンセンサス・アルファ・インターフェロン、アムジェン・インク(ニューバリー・パーク、カリフォルニア)から入手可能、
(i) アルフェロン(ALFERON;登録商標)、
(j) ビラフェロン(VIRAFERON;登録商標)、
(k) インフェグレン(INFERGEN;登録商標)および
(l) アルブフェロン(ALBUFERON;商標)。
【0180】
熟練者も認識するように、プロテアーゼインヒビターは、好ましくは経口投与する。インターフェロンは一般的に経口投与されない。それにも関わらず、具体的な投与形態または投与計画に対して本発明の方法または組合わせを本明細書にて一切制限しない。従って、本発明による組合わせの各成分は、別々に、一緒に、またはそのいずれかの組合わせで投与され得る。
【0181】
一実施態様において、プロテアーゼおよびインターフェロンは別個の投与形態で投与される。一実施態様において、追加の薬剤はプロテアーゼインヒビターと共に単一の投与形態の一部として、または個別の投与形態として投与される。本発明は化合物の組合わせを含むので、個々の化合物の具体的な量は、その組合わせにおける互いの化合物の具体的な量に左右される。熟練者が認めるように、インターフェロンの投与量は一般にIU単位(例えば、約400万IUないし約1200万IU)で測定される。
【0182】
従って、本発明化合物と組合わせて使用され得る薬剤(免疫調節剤として作用するか、他の作用であるかにかかわらず)は、限定されるものではないが、アルブフェロン(Albuferon;商標)(アルブミン−インターフェロン・アルファ、ヒューマン・ゲノム・サイエンスから入手し得る);インターフェロン−アルファ2B(INTRON-A;登録商標)(シェリング・プラウ):レベトロン(REBETRON;登録商標)(シェリング・プラウ:インターフェロン−アルファ2B+リバビリン);ペグ化インターフェロン・アルファ (Reddy, K.R. et al. “慢性C型肝炎の非硬変患者におけるインターフェロン・アルファ−2aと比較したペグ化(40−kd)インターフェロン・アルファ−2aの有効性と安全性”, Hepatology, 33, pp. 433-438 (2001));コンセンサス・インターフェロン (Kao, J.H., et al., “慢性肝炎の処置におけるコンセンサス・インターフェロンの効力”J. Gastroenterol. Hepatol. 15, pp. 1418-1423 (2000), インターフェロン-アルファ2A (ロフェロンA;ロシュ), リンパ芽球または“天然”インターフェロン;インターフェロン・タウ (Clayette, P. et al., “IFN−タウ、抗レトロウイルス活性を有する新規インターフェロンI型”Pathol. Biol. (Paris) 47, pp. 553-559 (1999);インターロイキン2 (Davis, G.L. et al.,“C型肝炎管理の将来的選択肢”、Seminars in Liver Disease(肝疾患セミナー), 19, pp. 103-112 (1999);インターロイキン6 (Davis et al. “C型肝炎管理の将来的選択肢”Seminars in Liver Disease 19, pp. 103-112 (1999);インターロイキン12 (Davis, G.L. et al.,“C型肝炎管理の将来的選択肢”Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103-112 (1999);リバビリン;および1型ヘルパーT細胞応答の発生を強める化合物 (Davis et al., “C型肝炎管理の将来的選択肢”Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103-112 (1999)を含む。インターフェロンは直接的に抗ウイルス作用を及ぼすことによりおよび/または感染に対して免疫応答を改変することによりウイルス感染を寛解し得る。インターフェロンの抗ウイルス作用は、しばしば、ウイルス浸透または脱外被、ウイルスRNAの合成、ウイルスタンパク質の翻訳、および/またはウイルスの集合と放出の阻害により媒介される。
【0183】
細胞中のインターフェロンの合成を促進する化合物 (Tazulakhova, E.B. et al.,“新規インターフェロン誘発物質のスクリーニング、分析、および臨床適用におけるロシアの経験”J. Interferon Cytokine Res., 21 pp. 65-73) は、限定されるものではないが、二本鎖RNA単独またはトブラマイシンとの組合わせ、およびイミキモッド(Imiquimod)(3Mファーマシュティカルス;Sauder, D.N.“イミキモッドの免疫調節性と薬理学的性質”J. Am. Acad. Dermatol., 43 pp. S6-11 (2000))を含む。
【0184】
他の非免疫調節性または免疫調節性化合物は、本発明の化合物と組合わせて使用されることが可能であり、限定されるものではないがWO 02/18369に特定されている化合物を含む;言及することによりこの出願を本明細書の一部とする (例えば273頁9〜22行および274頁第4行から276頁第11行参照)。
【0185】
本発明はシトクロムP450モノオキシゲナーゼ・インヒビターを投与することをも含む。CYPインヒビターはCYPにより阻害される化合物の肝臓濃度上昇および/または血中レベルの上昇に有用であり得る。
【0186】
本発明の実施態様がCYPインヒビターを含む場合、関連するNS3/4Aプロテアーゼの薬物動態を改善するCYPインヒビターは、本発明の方法に使用され得る。これらのCYPインヒビターは、限定されるものではないが、リトナビル(WO 94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インディナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、フォサンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944、および化合物XXを含む。好適なCYPインヒビターは、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、およびクロメチアゾールを含む。リトナビルの好適な投与形態については、米国特許第6,037,157号、およびその引用文献;米国特許第5,484,801号、米国特許出願第08/402,690号;および国際特許出願WO 95/07696およびWO 95/09614を参照されたい。
【0187】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ活性を阻害する化合物の能力を測定する方法は既知である(参照:米国特許第6,037,157号および Yun, et al. Drug Metabolism & Disposition(薬物代謝と性質), vol. 21, pp. 403-407 (1993))。
【0188】
患者の症状の改善にもとづき、本発明の化合物、組成物または組合わせの維持量は、必要により投与され得る。続いて、投与の用量または回数、またはその両方は、症候の関数として、改善された症状が維持されるレベルまで低減させることができ、その症候が望ましいレベルまで緩和された場合には、処置を終了すべきである。しかし、患者は疾患症候の再発にもとづき、長期間の断続的処置を必要とすることもある。
【0189】
また、特定の患者に対しての具体的投与量および処置投薬方法は、使用された特定化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食餌、投与時間、排出速度、薬物の組合わせ、および担当医師の判断、および処置すべき特定の疾患の重篤度を含む多様な因子に依存することを理解すべきである。有効成分の量もまた組成物中の特定の記載された化合物および追加の抗ウイルス剤の存在または非存在およびその性質に依存する。
【0190】
別の実施態様によると、本発明はウイルスのライフサイクルにとって必要な、ウイルスがエンコードするセリンプロテアーゼにより特徴づけられるウイルスに感染した患者の処置方法であって、本発明の医薬的に許容される組成物を当該患者に投与することにより処置する方法を提供する。一実施態様において、本発明の方法はHCV感染に罹患する患者を処置するために使用される。かかる処置はウイルス感染を完全に根絶するか、またはその重篤度を低下させ得る。別の実施態様において、患者はヒトである。
【0191】
替わりの実施態様において、本発明はさらに当該患者に抗ウイルス剤、好ましくは抗−HCV剤を投与するステップを含む。かかる抗ウイルス剤は、限定されるものではないが、免疫調節剤、例えば、α−、β−もしくはγ−インターフェロン、ペグ誘導化インターフェロン−α化合物、およびチモシン;他の抗ウイルス剤、例えば、リバビジン、アマンタジン、およびテルビブジン;他のC型肝炎プロテアーゼのインヒビター(NS2−NS3インヒビターおよびNS3−NS4Aインヒビター);限定されるものではないがヘリカーゼとポリメラーゼのインヒビターを含むHCVライフサイクルにおける他の標的のインヒビター;内部リボソームエントリーのインヒビター;広域性ウイルスインヒビター、例えば、IMPDHインヒビター(例:化合物XXおよび米国特許第5,807,876号および第6,498,178号に開示されている他のIMPDHインヒビター、ミコフェノール酸とその誘導体);シトクロムP−450のインヒビター、例えばリトナビル、または上記のいずれかの組合わせを含む。
【0192】
追加の薬剤は、本発明化合物と追加の抗ウイルス剤の両方を含有してなる単一の投与形態の一部として、患者に投与され得る。別法として、追加の薬剤は本発明の化合物とは別に、多剤投与形態の一部として投与され得る;ここで、当該追加の薬剤は、本発明化合物を含有してなる組成物の前に、または一緒に、またはその後に投与される。
【0193】
さらに別の実施態様において、本発明は本発明化合物を含有してなる医薬的に許容される組成物と当該生体物質を接触させるステップを含む、患者への投与を意図した生体物質の前処理方法を提供する。かかる生体物質は、限定されるものではないが、血液とその成分、例えば、血漿、血小板、血液細胞の亜集団など;臓器、例えば、腎臓、肝臓、心臓、肺など;精子および卵子;骨髄およびその成分、および食塩水、デキストロースなどの患者に注入される他の液体を含む。
【0194】
別の実施態様によると、本発明は、ウイルスのライフサイクルにとって必要なウイルスがエンコードするセリンプロテアーゼにより特徴づけられるウイルスと接触する可能性がある物質を処理する方法を提供する。本方法は本発明による化合物と当該物質とを接触させるステップを含んでなる。かかる物質は、限定されるものではないが、手術器具および手術着(例:衣服、手袋、エプロン、ガウン、マスク、めがね、履物など);実験用機器および実験着(例:衣服、手袋、エプロン、ガウン、マスク、めがね、履物など);血液採集用具および材料;および侵襲型機器、例えばシャントおよびステントを含む。
【0195】
別の実施態様において、本発明化合物はウイルスがエンコードするセリンプロテアーゼの単離を介助する実験室手段として使用され得る。本方法は、固形支持体に結合させた本発明化合物を提供するステップ;当該固形支持体とウイルス性セリンプロテアーゼとを、当該プロテアーゼが当該固形支持体に結合させる条件下で接触させるステップ;および当該固形支持体から当該セリンプロテアーゼを溶離するステップからなる。一実施態様において、本方法により単離されるウイルスセリンプロテアーゼは、HCV NS3−NS4Aプロテアーゼである。
【実施例】
【0196】
V.アッセイ
実施例1:式(I)で示される化合物のC位置でのRおよびS異性体のバイオアベイラビリティー
オスのスプラーグ・ドーレーラット(n=6〜7/1群)3群に、式(I)で示される化合物(ここで、混合物はC位置でのR異性体約92%およびC位置でのS異性体約8%からなる);C位置でのR異性体約7%およびC位置でのS異性体約93%からなる混合物;または式(I)で示される化合物(ここで、混合物はC位置でのR異性体約54%およびC位置でのS異性体約45%からなる)を名目30mg/kgで経口投与した。投与後24時間まで、連続血液サンプルを収集した。誘導した血漿サンプル(100μL)はインビトロでの相互変換を防止するために、ギ酸5μLを加えることにより酸性とした。
【0197】
血漿中および投与溶液中のC位置でのR異性体およびS異性体両方の濃度の決定は、キラル液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS/MS、例:LC/縦列質量分析)を用いて実施した。ラットに経口投与した化合物は表3に掲載した化合物である。
【表3】

【0198】
10%のR:S混合物、R異性体、またはS異性体を含有する固体分散体の製剤を表4に従い製造した。
【表4】

PVPは10%の水を含有。重量は水について補正した。
【0199】
各製剤のためには、有効成分を丸底蒸発フラスコ中、総量の無水エタノールに溶かし、次いで40℃に加熱し、溶解するまで約5〜6分間、超音波処理した。薬物溶液を容れたフラスコに、ラウリル硫酸ナトリウムおよびPVPを加え、次いで溶解するまで混合した。混合物はロト−バップ下で約15分間乾燥した。
【0200】
乾燥粉末を得た後、固形物をフラスコから掻き出し、ガラス容器に移した。真空オーブン中、窒素を放出しながら固形物を55℃で24時間乾燥した。次いで、乾燥固形物を乳鉢と乳棒で挽き、密栓したバイアル中に保存した。ラットに投与する前に、水30ミリリットル(mL)を乾燥固形物に加え、3mg/mLのCでのR異性体、CでのS異性体、またはCでのR:S混合物を得た。
【0201】
本研究には、オスのスプラーグ・ドーレーラット(チャールス・リバー・ラボラトリーズ;キングストン、ロードアイランド;n=6〜7匹/1群)を使用した。投与前に、血液サンプルを集めるために、頚動脈にカニューレを装着した。各ラットに名目用量30mg/mLのCでのR異性体、CでのS異性体、またはCでのR:S混合物を経口投与した。本実験では表5に記載するように、6種の別個の単回投与研究として、平行研究のデザインを実施した。
【表5】

【0202】
IV注射と経口投与に続き、連続採取する血液サンプルは、投与前、および投与後の0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、および24時間目に採取した。血液サンプルはEDTAカリウムを容れた管に採取し、採取の15分以内に血漿に遠心分離した。ギ酸の希釈溶液はギ酸1mLを水9mLで希釈することにより調製した。この希釈したギ酸5マイクロリットル(μL)全量を、各血漿管に入れた。血漿の一部(1管あたり100μL)を適当にラベルを貼ったギ酸入りの管に入れ、酸性化した血漿を−70℃に凍結し、分析時まで保存した。酸性化はインビトロでの相互変換を防止するために実施した。
【0203】
表6を参照すると、可逆的な代謝を受ける化合物についての数種のバイオアベイラビリティーのパラメータが以下の説明により評価できよう。すべての記号は測定した実体を表す下付文字と投与実体を表す上付き文字を含む:
【0204】
FRRはCでのR異性体投与後のCでのR異性体のバイオアベイラビリティーを表す;
FSSはCでのS異性体投与後のCでのS異性体のバイオアベイラビリティーを表す;
FR+SRはR異性体投与後の(C位置での)RおよびS異性体に対する組合わせ接触にもとづく予測される合計のバイオアベイラビリティーを表す;
【0205】
FR+SSはS異性体投与後の(C位置での)RおよびS異性体に対する組合わせ接触にもとづく予測される合計のバイオアベイラビリティーを表す;
FSRはCでのR異性体投与後のCでのS異性体のバイオアベイラビリティーを表す;これはR異性体経口投与後の用量−標準化AUCSと、対するR異性体のIV投与後のAUCSとの相対比である;そして
【0206】
FRSはCでのS異性体投与後のCでのR異性体のバイオアベイラビリティーを表す;これはS異性体経口投与後の用量−標準化AUCRと、対するS異性体のIV投与後のものとの相対比である。
【表6】

N/A=適用不可
【0207】
図1A−B、2A−B、および3A−Bを参照すると、FRR値がFSS値よりも大きく、またFR+SR値はFR+SS値よりも大きい(約2倍)ため、CでのR異性体は、CでのS異性体よりもより容易に吸収された。図1A、2A、および3Aは、C位置でのR異性体が50%を超える式(I)の化合物およびC位置でのR異性体が50%以下の化合物の血漿濃度を、該化合物の経口投与後、経時的に直線的にプロットしたものである。図1B、2B、および3Bは、C位置でのR異性体が50%を超える式(I)の化合物およびC位置でのR異性体が50%以下の化合物の血漿濃度を、該化合物の経口投与後、経時的に対数直線的にプロットしたものである。図1Aおよび1Bにおける血漿濃度は、ラットにおいて、名目投与量30mg/kg(CでのR異性体)を経口投与後に測定した。図2Aおよび2Bにおける血漿濃度は、ラットにおいて、名目投与量30mg/kg(CでのS異性体)を経口投与後に測定した。図3Aおよび3Bにおける血漿濃度は、ラットにおいて、名目投与量30mg/kg(C位置でのR:S混合物)を経口投与後に測定した。
【0208】
位置でのRからSへの変換は、CでのR異性体の経口投与後に観察され、C位置でのSからRへの変換は、CでのS異性体の経口投与後に観察された。R異性体投与後の合計のバイオアベイラビリティーに対するS異性体の寄与は、FR+SRとFRRとの差により評価した;その差は15.76%であった。同様に、S異性体投与後の合計のバイオアベイラビリティーに対するR異性体の寄与は、FR+SSとFRSとの差により評価した;その差は6.35%であった。
【0209】
位置でのRからSへの変換の程度は、CでのR異性体の静脈内投与量と比較して、CでのR異性体の経口投与量の場合により多かった。ESRの値は139.99%であった;これは経口投与後に観察されるS異性体のAUCINF(投与時点から無限大までの曲線下の面積)が、同じ用量を静脈内投与した後に観察される面積の1.39倍であったことを意味する。同様に、FRS値は157.88%であったが、これはC位置でのSからRへの変換が、静脈内投与したS異性体の場合よりも、経口投与したS異性体の場合により大きい(約1.57倍)ことを示している。
【0210】
位置でのRからSへの変換は、C位置でのSからRへの変換よりも、より顕著であった。CでのR異性体用量からのCでのS異性体のDN_AUCINF(用量−標準化AUCINF)は、CでのS異性体の用量からよりも高かった(約10倍)。同様の傾向はCのR異性体の接触の場合にも観察されるが、CのS異性体用量からのCでのR異性体のDN_AUCINFは、表6に示すように、CのR異性体用量からよりも高かった(2倍)。
【表7】

n=2、残りのラットではAUCINFが評価できず。
【0211】
表8を参照すると、C位置のS異性体の同様の接触は、C位置のR異性体の用量またはCのS異性体の用量いずれかの投与により実施し得る。CのS異性体のDN_AUCINFは、CのR異性体用量中のCのS異性体の存在(合計8%)がCのS異性体の全体としての接触への寄与を無視し得るとの仮定にもとづくと、同様であった(0.13hr*μg/mL対0.14hr*μg/mL)。CのS異性体用量は、CのR異性体用量よりもCのR異性体の接触を大幅に低下させた(約7分の1)。
【表8】

用量標準化AUCINFを計算するために使用した用量値。
n=2、残りのラットではAUCINFが評価できず。
注記:より少ないジアステレオマーのAUCINFへの寄与は無視し得ると仮定した。
【0212】
のR:S混合物の投与後、CでのRからSへの変換は、CでのSからRへの変換よりも多かった。S異性体のDN_AUCINFの値(0.30hr*μg/mL)は、S異性体の単回投与量の場合に予測されるよりも高かった(0.14hr*μg/mL)。さらに、0.30hr*μg/mLのDN_AUCINF値は、S異性体投与量からのDN_AUCINF値とR異性体投与量からのDN_AUCINF値の合計に近似する。
【0213】
R:S混合物経口投与からのR異性体のDN_AUCINF値は、R異性体の経口投与後に観察される値と異なるようには見えなかった。
【0214】
R異性体とS異性体が最大濃度に達するまでに観察される時間には、高い可変性があった。平均(±SD)Tmaxは、R異性体、S異性体、およびR:S混合物の経口投与後のR異性体について、それぞれ2.11(±1.24)時間、3.39(±2.38)時間、および4.88(±3.53)時間であった。対応するS異性についての平均(±SD)Tmax値は、2.27(±1.44)時間、2.52(±2.19)時間、および4.88(±3.53)時間であった。
【0215】
R異性体経口投与後の調和平均t1/2値は、R異性体について2.18時間であり、この値はIVのt1/2値0.75時間よりも大きかった。S異性体経口投与後の調和平均t1/2値は、S異性体について3.60時間であり、この値はIVのt1/2値1.73時間よりも大きかった。
【0216】
それ故、ラットにおけるC位置でのR異性体のバイオアベイラビリティーは、C位置のS異性体の約2倍であった。合計のバイオアベイラビリティーは、2つの異性体の組合わせ接触により表される場合、経口投与したC位置のR異性体については約98%であり、経口投与したC位置のS異性体については約50%であった。さらに、経口投与後のCのRからCのSへの変換は、CのSからCのRへの変換よりも、より顕著であった。IV投与後と比較した場合、相互の変換は経口投与後により広い範囲で起こった。
【0217】
実施例2:HCV酵素アッセイ・プロトコール
5AB基質と生成物の分離のためのHPLCミクロボア法
基質:
NH2-Glu-Asp-Val-Val-(アルファ)Abu-Cys-Ser-Met-Ser-Tyr-COOH
20mM5ABの保存液は、DMSOw/0.2M−DTTで調製した。これを分割して−20℃で保存した。
【0218】
緩衝液:
50mM HEPES、pH7.8;20%グリセロール;100mM NaCl
【0219】
合計アッセイ容量は100μLであった。
【表9】

【0220】
緩衝液、KK4A、DTT、およびtNS3を組合わせた;96ウェル・プレートのウェルに78μLずつ分配した。これを約5〜10分間30℃でインキュベートした。
適切な濃度の試験化合物2.5μLをDMSO(対照についてはDMSOのみ)に溶かし、各ウェルに加えた。これを室温で15分間インキュベートした。
250μM−5AB基質(25μM濃度は5ABのKmに等価であるか、またはそれよりわずかに低い)20μLを添加して反応を開始した。
30℃で20分間インキュベートした。
10%TFA25μLを加えて反応を終結させた。
120μ部分をHPLCバイアルに移した。
【0221】
基質とKK4Aから以下の方法によりSMSY生成物を分離した:
ミクロボア分離法:
機器化:エイジレント1100
脱気装置G1322A
二進ポンプG1312A
自動試料採取器G1313A
カラム恒温化チャンバーG1316A
ダイオードアレイ検出器
カラム:フェノメネックス・ジュピター;5ミクロンC18;300Å;150×2mm;P/O00F−4053−B0
カラム恒温器:40℃
注入容量:100μL
【0222】
溶媒A=HPLC等級水+0.1%TFA
溶媒B=HPLC等級アセトニトリル+0.1%TFA
【表10】

停止時間:17分
実験操作後時間:10分。
【0223】
1μM以下のKi値をもつ化合物をAと命名した。1μMないし5μMの範囲のKi値をもつ化合物をBと命名した。5μMを超えるKi値をもつ化合物をCと命名した。表2は本発明の一部の化合物についての質量分析、HPLC、1H−NMR、およびKiデータを示す。「ND」はデータなしを意味する。1H−NMRスペクトルはブルーカーAMX500装置により500MHzで記録した。
【0224】
15分のインキュベーション時間において、S異性体はカテゴリーAのKiを示し、R異性体はカテゴリーBのKiを示した。KiはHCV NS3プロテアーゼ用の蛍光ペプチド開裂アッセイおよび実施例3および4に記載したHCV NS3セリンプロテアーゼ用のHPLCにもとづくペプチド開裂アッセイにより決定する。
【0225】
薬物動態アッセイ:
実施例3:HCV NS3プロテアーゼ用蛍光ペプチド開裂アッセイ
式(I)で示される幾つかの化合物の定常状態阻害定数Kiは、Taliani, M., E. Bianchi, F. Narjes, M. Fossatelli, A. Rubani, C. Steinkuhler, R. De Francesco, and A. Pessi. 1996. A Continuous Assay of Hepatitis C Virus Protease Based on Resonance Energy Transfer Depsipeptide Substrates(共鳴エネルギー転移デプシペプチド基質に基づくC型肝炎ウイルスプロテアーゼの連続アッセイ). Anal. Biochem. 240:60-67 (言及することにより本明細書の一部とする)に記載された蛍光ペプチド開裂アッセイを少し改変したアッセイ法により決定した。
【0226】
本アッセイは50mM−HEPES(pH7.8)、100mM−NaCl、20%グリセロール、および5mMジチオスレイトールを含む緩衝液(バッファーA)中、RET−S1蛍光ペプチドを基質として用い、実施した。反応は、30℃の恒温としたfマックス・マイクロタイタープレートリーダー(モレキュラー・ディバイス;サニーバレー、カリフォルニア)を用い、励起および発光フィルターをそれぞれ355nmおよび495nmとして、連続的にモニターした。バッファーA中、25μM−KK4Aペプチドを含有するHCV NS3プロテアーゼの保存溶液を室温で10分間、前インキュベートし、次いで、30℃にてさらに10分間インキュベートした。100%ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かしたR異性体が50%以下である式(I)の化合物の一部を、25μM−KK4Aペプチドを含有するバッファーA中のRET−S1溶液に加え、30℃で10分間、前インキュベートした。反応は、NS3プロテアーゼ/KK4A保存液の一部を、化合物/RET−S1/KK4A/バッファーA混合物に加え開始させ、最終濃度、12μM−RET−S1、2%(v/v)DMSO、25μM−KK4Aペプチド、および0.5−1.0nM−HCV NS3プロテアーゼとした。定常状態の反応速度は、4時間の反応時間で5分のウインドウから得られた時間データポイントに対する蛍光の直線回帰から決定した。該化合物のKiは活性対インヒビター濃度データを、タイト結合酵素阻害のためのモリソン等式に適合させることにより決定した。参照:Morrison, J. F. 1969. Kinetics of the reversible inhibition of enzyme-catalyzed reactions by tight-binding inhibitors(強力結合阻害による酵素触媒反応の可逆的阻害の速度論). Biochim. Biophys. Acta 185:269-86; 言及することにより本明細書の一部とする。
【0227】
HCV NS3プロテアーゼと化合物との複合体の解離速度定数は、RET−S1基質を用いて以下のように決定した。25μM−KK4Aペプチドを含有するバッファーA中のHCV NS3プロテアーゼの保存溶液は上記のように調製した。100%DMSOに溶かしたR異性体が50%以下である100μMの式(I)の化合物の1μL部を、予め加温した酵素保存液49μLに加え、320nM酵素と2μMの化合物との混合物を得た;これを次いで4時間30℃でインキュベートし、酵素−インヒビターの複合体形成を平衡に至らしめた。解離反応は、8μL部の酵素−インヒビター混合物を、25μM−KK4Aペプチドと2%DMSO(v/v)とを含有するバッファーA192μLに、次いで25μM−KK4Aペプチドと2%DMSO(v/v)とを含有するバッファーA中のRET−S1の192μLに段階希釈して開始させた;両者は予め30℃に加温した。最終濃度は、0.5nMのHCV NS3プロテアーゼ、25μMのKK4Aペプチド、12μMのRET−S1、および3nMの(1S.3aR.6aS)−2−[(2S)−2−[[(2S)−2−シクロへキシル−1−オキソ−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]エチル]アミノ]−3.3−ジメチル−1−オキソブチル]−N−[(1R)−1−[2−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソエチル]ブチル]オクタヒドロ−シクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキサミドであった。蛍光の変化は4時間のウインドウでモニターし、経時的蛍光データを非線形回帰により次の等式に適合させた:
F(t)=Vs×t+(Vi−Vs)×(1−exp(-kobs×t))/kobs+C
対照の割合は正味のDMSOを含む反応から決定した。これらの実験条件下、kobsはkoffの20%内である。複合体の半減期(t1/2)は次の等式:t1/2=0.693/koffから計算した。
【0228】
実施例4:HCV NS3セリンプロテアーゼについてのHPLCにもとづくペプチド開裂アッセイ:
本アッセイ法は、Landro, J. A., S. A. Raybuck, Y. P. Luong, E. T. O'Malley, S. L. Harbeson, K. A. Morgenstern, G. Rao, and D. J. Livingston. 1997. Mechanistic Role of an NS4A Peptide Cofactor with the Truncated NS3 Protease of Hepatitis C Virus: Elucidation of the NS4A Stimulatory Effect via Kinetic Analysis and Inhibitor Mapping(C型肝炎ウイルスの末端切除NS3プロテアーゼによるNS4Aペプチド補助因子の機構的役割;速度論的分析およびインヒビターマッピングを解してのNS4A刺激作用の解明) Biochemistry 36:9340-9348 (言及することにより本明細書の一部とする)に記載された方法のわずかに改変した方法である。
【0229】
NS3プロテアーゼ(10−25nM)および25μMのKK−4Aを、50mM−HEPES(pH7.8)、100mM−NaCl、20%グリセロールおよび5mMジチオスレイトールを含有する緩衝液中で、5分間、室温で前インキュベートした。DMSOに溶かしたHCVプロテアーゼインヒビターを、DMSO最終濃度2%(v/v)の酵素混合物に加え、室温で15分間インキュベートした。タンパク分解反応はNS5A/NS5B基質をそのKm(25μM)に等しい濃度で加えることにより開始し、30℃で15分間インキュベートした。4分の1容量の10%トリフルオロ酢酸を添加して反応を停止させ、逆相HPLCカラムで分析した。サンプルの分析は反応終結の24時間以内に完結した。HCVプロテアーゼインヒビターの見かけ上の阻害定数Ki(app)は、強力結合競合的阻害のためのモリソンの等式にもとづき、非直線回帰の最小二乗適合法により計算した。モリソンら(Morrison, et al.)参照。
【0230】
実施例5:HCVレプリコン細胞におけるIC50決定:
式(I)で示される数種の化合物は、レプリコン細胞においてHCV RNAレベルを50%(IC50)もしくは90%(IC90)低下させるか、または細胞生存度を50%(CC50)低下させる濃度を有し、その濃度は4パラメータ曲線フィッティング(ソフトマックス・プロ)を用いて、HCV Con1サブゲノム・レプリコン細胞にて決定した (Lohmann, V., F. Korner, J. Koch, U. Herian, L. Theilmann, and R. Bartenschlager. 1999. Replication of subgenomic hepatitis C virus RNAs in a hepatoma cell line(肝細胞癌細胞株におけるサブゲノムC型肝炎ウイルスRNAのレプリコン)、Science 285:110-3.16; 言及することにより本明細書の一部とする)。簡単に説明すると、レプリコン細胞は2%ウシ胎児血清(FBS)および0.5%DMSOを含有する培地に希釈した化合物と、37℃でインキュベートした。全細胞性RNAをRNイージー−96キット(キアゲン、バレンシア、カリフォルニア)で抽出し、HCV RNAのコピー数を定量的実時間多重逆転写−PCR(QRT−PCRまたはタックマン(Taqman))アッセイにより決定した。HCVレプリコン細胞における化合物の細胞毒性は、すでに記載したテトラゾリウムによる細胞生存度アッセイ法を用いて、同じ実験設定条件下に測定した。参照:Lin, C., K. Lin, Y. P. Luong, B. G. Rao, Y. Y. Wei, D. L. Brennan, J. R. Fulghum, H. M. Hsiao, S. Ma, J. P. Maxwell, K. M. Cottrell, R. B. Perni, C. A. Gates, and A. D. Kwong. 2004。C型肝炎ウイルス・セリンプロテアーゼ・インヒビター、(1S,3aR,6aS)−2−[(2S)−2−[[(2S)−2−シクロヘキシル−1−オキソ−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]エチル]アミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−N−[(1R)−1−[2−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソエチル]ブチル]オクタヒドロ−シクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキサミドのインビトロ耐性研究。
【0231】
実施例6:動物における薬物動態研究:
式(I)で示される化合物の静脈内薬物動態は、ラットおよびイヌにおいて評価した。体重250〜300gの3匹のオス・スプラグ−ドーリー系ラット1群に、15%エタノール、10%ジメチルイソソルビド、35%PEG400および40%D5W(5%デキストロース/水)からなるビークル中、式(I)のS−ジアステレオマー0.95mg/kgの静脈内ボーラス用量を投与した。連続血液サンプルは、ヘパリン添加チューブ中に、0時(投与前)、投与処置後、0.083、0.167、0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、および8時間後に採取した。3頭のオス・ビーグル犬(8〜12kg;チャールス・リバー、マサチューセッツ)の1群に、10%エタノール、40%PEG400および50%D5W中、該ジアステレオマー3.5mg/kgの静脈内ボーラス用量を投与した。連続血液サンプルは、ヘパリン添加チューブ中に、投与前、および投与処置後、0.083、0.167、0.25、0.5、1、1.5、2、4、6、8、12および24時間後に採取した。ラットおよびイヌでの経口研究のために、式(I)で示されるS−ジアステレオマー化合物をポリビニルピロリドン(PVP)K30プラス2%ラウリル硫酸ナトリウム中で製剤化し、次いで経口チューブにより投与した。3匹のオス・スプラグ−ドーリー系ラット(250〜300g、ハーラン、メリーランド)1群に、該化合物40mg/kgを経口投与し、また3頭のオス・ビーグル犬(10.9〜12.0kg;チャールス・リバー、マサチューセッツ)の1群に、該化合物13.2mg/kgの経口用量を投与した。両方の経口研究において、血液サンプルは、投与前、および投与処置後、0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12および24時間後に採取した。静脈内および経口研究の両方において、血漿サンプルは遠心分離により入手し、分析時まで、−70℃に保存した。ラットの静脈内研究から得られたサンプルは、キラル液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS/MS)分析に付し、一方、他のすべての研究のサンプルは、非キラルLC/MS/MS法を用いて分析した。標準的技法を用いて、データの非区画分析を実施した;その際、以下の薬物動態パラメータ、すなわち、CmaxまたはCminまたはCavg(それぞれ血清中薬物の最大または最小または平均濃度)、AUCO-8またはAUCO-inf(それぞれ0ないし8時間または0ないし無限時間からの濃度曲線下の合計面積)、t1/2(除去の半減期)、CL(合計体クリアランス)、およびVss(定常状態での分布容量)などの計算のために、ウインノンリン・エンタープライズ/プロ(WinNonlin Enterprise/Pro)バージョン4.0.1(ファーサイト・コーポレーション、マウンテンビュー、カリフォルニア)を使用した。
【0232】
実施例7:ラットにおける数種の式(I)の化合物の肝臓対血漿の比の評価
式(I)の化合物のジアステレオマーの肝臓/血漿比は、ラットにおいて、プロピレングリコール中の化合物の溶液を経口投与した後に評価した。オスのフィッシャーラット6群(1群3匹)に、式(I)の化合物のジアステレオマーの名目用量30mg/kgを経口投与した。投与処置後、0時(投与前)、0.5、1、2、4または8時間目に、1群3匹の動物を各時点ごとに殺し、1匹は血液を、また対応する肝臓サンプルは各動物から得た。血漿は血液サンプルを遠心分離することにより得た。全肝臓を動物から取り出し、正常食塩水で灌流して微量の血液を除去した。重量測定した後、肝臓を小片に切断し、等容量の水でホモジネートとした。血漿および肝臓サンプルは、非キラルLC/MS/MS法を用いる分析時まで、−70℃で保存した。
【0233】
実施例8:HCV NS3−4Aセリンプロテアーゼのマウスモデル:
HCV NS3−4Aセリンプロテアーゼについてのこのマウスモデルの詳細は別に記載する。このモデルの簡単な説明をここに示す。開始Metコドン、His-tag(SHHHHHHAM)、HCV NS3タンパク質の全長631個のアミノ酸、HCV NS4Aタンパク質の全長54残基、およびHCV NS4Bタンパク質のN−末端の6個(ASHLPY)のアミノ酸をエンコードするHCV cDNAフラグメントを、pYes2-NS3-4Aプラスミドおよび pSEAP2(クロンテック、パロアルト、カリフォルニア)からの重複PCRによる全長分泌型胎盤アルカリホスファターゼ(SEAP)遺伝子に融合し、次いで、アデノウイルス発現ベクター、pアデノウイルス(クロンテック)にサブクローンし、pAd-WT-HCVpro-SEAPを生成させた。HCV NS3−4Aセリンプロテアーゼの活性三つ組み構造における触媒的Ser−139のAla置換をもつこの融合遺伝子の対応するバージョン、pAd-MT-HCVpro-SEAPは、Ser139のAlaへの突然変異を含むpYes2/NS3-4Aを用いる同様の重複PCRとサブクローニング法により生成させた。アデノウイルスは、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)の存在下、PacI−直線化pアデノウイルスプラスミド、pAd-WT-HCVpro-SEAPまたはpAd-MT-HCVpro-SEAPにより、HEK293細胞(ATCC、ロックビル、メリーランド)のトランスフェクションにより詰め込んだ。組換えアデノウイルスは、塩化セシウム密度勾配遠心分離により精製し、セントリプレップYM−50フィルター(ミリポア、レッドフォード、マサチューセッツ)でのダイアフィルトレーションにより脱塩した。アデノウイルス・ラピッドタイターキット(クロンテック)を用い、組換えアデノウイルス保存株の感染単位(IFU)の量を定量した。6週令のSCIDマウス(≒20g、チャールス・リバー、ウイルミントン、マサチューセッツ)に、経口強制チューブにより、R異性体が50%以下である式(I)の化合物またはビークルのみを投与した。投与2時間後、組換えアデノウイルス、Ad-WT-HCVpro-SEAPまたはAd-MT-HCVpro-SEAPをマウスの側尾部血管に注射した。
【0234】
実験基準は予期されるものとして、注射が不完全であった動物はデータ解析に含めないということにした。マウスをイソフルオランで麻酔し、血液サンプルを注射後の異なる時点で、眼窩後の眼出血、または最終時点で心臓穿刺により採取した。マウス血清を蒸留水で5倍に希釈し、血清中のSEAP活性をホスファ−ライト検出システム(アップライド・バイオシステムズ、フォスターシティ、カリフォルニア)およびトロピックスTR717マイクロプレート発光計(トロピックス、ベッドフォード、マサチューセッツ)を用いて測定した。薬物動態解析のために、血漿サンプルを分析前に−80℃で保存した。マウスの肝臓サンプルは2Mギ酸2容量部(v/w)と混合し、ホモジネート化し、分析前−80℃で保存した。サンプルはキラルLC/MS/MSシステムを用いて分析した。
【0235】
実施例9:医薬組成物
本発明のジアステレオマー化合物の混合物は、該化合物の混合物の治療有効量を被験対象(例:哺乳動物)に送達するために、適当な方法で製剤化することができる。一部の実施態様において、式(I)で示されるジアステレオマー化合物の混合物は、ポリビニルピロリドン(PVP)K−30とラウリル硫酸ナトリウム(SLS)にて製剤化することができる。
ジアステレオマー化合物の混合物:49.5%
PVP K30:49.5%
SLS:1%
【0236】
該組成物はジアステレオマー化合物の混合物、PVP K30、および懸濁SLSをメタノール:塩化メチレンなどの溶媒に溶かし、次に、スプレイ−ドライイングにより、溶媒を除去することにより、調製し得る。他の医薬組成物は異なる量の式(I)で示されるジアステレオマー化合物の混合物(49%)、PVP K30(49%)、および懸濁SLS(2%)を含有する。
【0237】
式(I)で示されるジアステレオマー化合物の医薬組成物のさらなる例は、WO 2005/123076(言及することによりその全文をそっくりそのまま本明細書の一部とする)に記載された組成物と同様に製剤化され得る。
【0238】
VI.その他の実施態様
本発明について、その詳細な説明と関連して記載してきたが、前記の説明は説明を意図するものであって、本発明の範囲を限定するものではないこと、その範囲は別添の請求項の範囲により限定されるものであることを理解すべきである。その他の側面、有益性、および改変は請求項の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1A】図1A−Bは、C位置でのR異性体が50%を超える式(I)の化合物と、C位置でのR異性体が50%以下である化合物との平均(±SD)血漿濃度を、該化合物の経口投与後に経時的にプロットしたものである。
【図1B】図1A−Bは、C位置でのR異性体が50%を超える式(I)の化合物と、C位置でのR異性体が50%以下である化合物との平均(±SD)血漿濃度を、該化合物の経口投与後に経時的にプロットしたものである。
【図2A】図2A−Bは、C位置でのR異性体が50%を超える式(I)の化合物と、C位置でのR異性体が50%以下である化合物との平均(±SD)血漿濃度を、該化合物の経口投与後に経時的にプロットしたものである。
【図2B】図2A−Bは、C位置でのR異性体が50%を超える式(I)の化合物と、C位置でのR異性体が50%以下である化合物との平均(±SD)血漿濃度を、該化合物の経口投与後に経時的にプロットしたものである。
【図3A】図3A−Bは、C位置でのR異性体が50%を超える式(I)の化合物と、C位置でのR異性体が50%以下である化合物との平均(±SD)血漿濃度を、該化合物の経口投与後に経時的にプロットしたものである。
【図3B】図3A−Bは、C位置でのR異性体が50%を超える式(I)の化合物と、C位置でのR異性体が50%以下である化合物との平均(±SD)血漿濃度を、該化合物の経口投与後に経時的にプロットしたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
はジアステレオマー炭素原子を表す;そして
位置でのR異性体はS異性体に比較して、混合物の50%を超える;
は、RW−、P−、またはP−L−P−である;
Rは所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているアリール基、または所望により置換されているヘテロアリール基である;
Wは結合、−NR−、−O−、または−S−である;
は、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているアリール基、または所望により置換されているヘテロアリール基である;
−は
【化2】

である;
Tは、−C(O)−、−OC(O)−、−NHC(O)−、−C(O)C(O)−、または−SO−である;
およびR'はそれぞれ独立して、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているフェニル、または所望により置換されているヘテロアリール基である;
は、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されているヘテロアリール基、所望により置換されているフェニルである;または
およびRは、それらが結合している原子と一体となって、5員ないし7員の所望により置換されている単環式へテロ環状脂肪族基、または6員ないし12員の所望により置換されている二環式へテロ環状脂肪族基を形成してもよく、各へテロ環状脂肪族環は所望により−O−、−S−または−NR50−から選択されるさらなるヘテロ原子を含む;
50は、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されているヘテロアリール基、または所望により置換されているフェニルである;
−L−P
【化3】

である;
およびR'はそれぞれ独立して、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているフェニル、または所望により置換されているヘテロアリール基である;または
およびR'は、それらが結合している原子と一体となって、3員ないし7員の環状脂肪族またはヘテロ環状脂肪族環を形成してもよい;または
およびRは、それらが結合している原子と一体となって、5員ないし7員の所望により置換されている単環式へテロ環状脂肪族基、5員ないし7員の所望により置換されている単環式へテロアリール基、6員ないし12員の所望により置換されている二環式へテロ環状脂肪族基、または6員ないし12員の所望により置換されている二環式へテロアリール基を形成してもよく、各へテロ環状脂肪族またはヘテロアリール環は、所望により−O−、−S−または−NR50−から選択されるさらなるヘテロ原子を含む;または
およびRが、それらが結合している原子と一体となって環を形成し得る場合、RおよびRとRにより形成される環系は、8員ないし14員の所望により置換されている二環式縮合環系を形成してもよく、ここで、該二環式縮合環系は、さらに所望により置換されているフェニルと縮合して、所望により置換されている10員ないし16員の三環式縮合環系を形成してもよい;
はHまたは保護基である;そして
は所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロアリール基、または所望により置換されているフェニルである;
は、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているアリール、または所望により置換されているヘテロアリール基である;
Lは結合、−CF−、C(O)−、または−SO−である;
、J、J'、およびJはそれぞれ独立して、ハロゲン、−OR'、−OC(O)N(R')、−NO、−CN、−CF、−OCF、−R'、オキソ、チオキソ、−N(R')、−SR'、−COR'、−SOR'、−SON(R')、−SOR'、−C(O)R'、−C(O)C(O)R'、−C(O)CHC(O)R'、−C(S)R'、−C(O)OR'、−OC(O)R'、−C(O)N(R')、−OC(O)N(R')、−C(S)N(R')、−(CH)0−2NHC(O)R'、−N(R')N(R')COR'、−N(R')N(R')C(O)OR'、−N(R')N(R')CON(R')、−N(R')SOR'、−N(R')SON(R')、−N(R')C(O)OR'、−N(R')C(O)R'、−N(R')C(S)R'、−N(R')C(O)N(R')、−N(R')C(S)N(R')、−N(COR')COR'、−N(OR')R'、−C(=NH)N(R')、−C(O)N(OR')R'、−C(=NOR')R'、−OP(O)(OR')、−P(O)(R')、−P(O)(OR')、または−P(O)(H)(OR')であるか、またはJおよびJ'の1つはHであり、
ここで、2つのR'基は、それらが結合している原子と一体となって、N、O、またはSから独立して選択される3個までのヘテロ原子を有する3員ないし10員の芳香族または非芳香族環系を形成してもよく、該環は所望によりC−C10アリール、C−C10ヘテロアリール、C−C10シクロアルキル、またはC−C10ヘテロ環状脂肪族基に縮合しており、そして全ての環がそれぞれ独立してJから選択される3個までの置換基を有する;
各R'は独立して、H、C−C12脂肪族基、C−C10シクロアルキル基、またはC−C10シクロアルケニル基、C−C10シクロアルキル−C−C12脂肪族基、C−C10シクロアルケニル−C−C12脂肪族基、C−C10アリール基、C−C10アリール−C−C12脂肪族基、3員ないし10員のヘテロ環状脂肪族基、6員ないし10員のヘテロ環状脂肪族−C−C12脂肪族基、5員ないし10員のヘテロアリール基、または5員ないし10員のヘテロアリール−C−C12脂肪族基から選択され、ここで、R'はそれぞれ独立してJから選択される3個までの置換基を有する;または
およびJは、それらが結合している原子と一体となって、CないしC12の所望により置換されている二環式環を形成してもよい;
およびJは、それらが結合している原子と一体となって、CないしC12の所望により置換されている二環式環を形成してもよい;
およびJ'は、それらが結合している原子と一体となって、所望により置換されている5〜10員の環状脂肪族基、または所望により置換されている5〜10員のヘテロ環状脂肪族環を形成してもよい;または
およびJは、それらが結合している原子と一体となって、CないしC12の所望により置換されている二環式環を形成してもよい]
で示されるジアステレオマー化合物の混合物または医薬的に許容されるその塩またはそれらの混合物。
【請求項2】
構造部分:
【化4】

が、
【化5】

[式中、nは0または1である;ZおよびZ'はそれぞれ独立して、−CR'R'−、S、またはOである]
である請求項1記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項3】
およびJが、それらが結合している原子と一体となって、所望により置換されている単環式または二環式環を形成し、その構造部分:
【化6】

が、
【化7】

である請求項1記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項4】
およびJが、それらが結合している原子と一体となって、所望により置換されている単環式または二環式環を形成し、その構造部分:
【化8】

が、
【化9】

【化10】

である請求項1記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項5】
およびJが、それらが結合している原子と一体となって、所望により置換されている単環式脂肪族環を形成し、その構造部分:
【化11】

が、
【化12】

である請求項1記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項6】
およびJが、それらが結合している原子と一体となって、単環式環を形成し、その構造部分:
【化13】

が、
【化14】

である請求項1記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項7】
Lが−C(O)−である請求項6記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項8】

【化15】

である請求項7記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項9】
がRWである請求項1記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項10】
Rが所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているアリール基、または所望により置換されているヘテロアリール基であり、Wが結合、−O−、−S−、または−NR−である請求項9記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項11】
Rが所望により置換されているアリール基または所望により置換されているヘテロアリール基であり、Wが−O−である請求項10記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項12】
Rが所望により置換されている脂肪族基または所望により置換されている環状脂肪族基である請求項10記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項13】
Rが所望により置換されているアリールアルキルまたは所望により置換されているヘテロアリールアルキルである請求項12記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項14】
RW−が、
【化16】

である請求項10記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項15】
がPであり、P
【化17】

であり、RおよびR'がそれぞれ独立して、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基、所望により置換されているアリール基、または所望により置換されているヘテロアリール基であり;
が所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているヘテロアリール基、所望により置換されているフェニルであるか;または
およびRが、それらが結合している原子と一体となって、5員ないし7員の所望により置換されている単環式へテロ環状基、または6員ないし12員の所望により置換されている二環式へテロ環状基を形成してもよく、ここで、へテロ環状環はそれぞれ、所望により−O−、−S−または−NR50−から選択されるさらなるヘテロ原子を含む;そして
Tが−C(O)−、−OC(O)−、−NHC(O)−、−C(O)C(O)−、または−SO−である、
請求項6記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項16】
Tが−C(O)−である請求項15記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項17】
Tが−OC(O)−である請求項15記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項18】
Tが−NHC(O)−である請求項15記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項19】
Tが−C(O)C(O)−である請求項15記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項20】
Tが−SO−である請求項15記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項21】
がP−L−P−であり、P−L−P
【化18】

[式中、
およびR'はそれぞれ独立して、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されているヘテロアリール基、または所望により置換されているフェニルである;または
およびR'は、それらが結合している原子と一体となって、3員ないし7員の環状脂肪族またはヘテロ環状脂肪族環を形成してもよい;または
およびRは、それらが結合している原子と一体となって、5員ないし7員の所望により置換されている単環式へテロ環状脂肪族基、5員ないし7員の所望により置換されている単環式へテロアリール基、6員ないし12員の所望により置換されている二環式へテロ環状脂肪族基、または6員ないし12員の所望により置換されている二環式へテロアリール基を形成してもよく、各へテロ環状脂肪族またはヘテロアリール環は、所望により−O−、−S−または−NR50−から選択されるさらなるヘテロ原子を含む;または
およびRが、それらが結合している原子と一体となって環を形成し得る場合、RおよびRとRにより形成される環系は、8員ないし14員の所望により置換されている二環式縮合環系を形成してもよく、ここで、該二環式縮合環系は、さらに所望により置換されているフェニルと縮合して、所望により置換されている10員ないし16員の三環式縮合環系を形成してもよい;
はHまたは保護基である;
50は、H、所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されているヘテロアリール基、または所望により置換されているフェニルである]
である請求項6記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項22】
'がHであり;RがC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルキル−C−C12アルキル、C−C10アリール、C−C10アリール−C−Cアルキル、3員ないし10員のヘテロ環状脂肪族基、6員ないし10員のヘテロ環状脂肪族−C−C12アルキル、5員ないし10員のヘテロアリール、または5員ないし10員のヘテロアリール−C−C12アルキルである請求項21記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項23】
が、
【化19】

である請求項22記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項24】
およびR'が、それらが結合している原子と一体となって、3員ないし7員の所望により置換されている環状脂肪族環を形成する請求項21記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項25】
およびR'が、それらが結合している原子と一体となって、
【化20】

を形成する請求項24記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項26】
Rが
【化21】

である請求項22記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項27】
Rが
【化22】

である請求項22記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項28】
Rが、
【化23】

[式中、
10はH、C1−12脂肪族基、C6−10アリール、C6−10アリール−C1−12脂肪族基、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルケニル、C3−10シクロアルキル−C1−12脂肪族基、C3−10シクロアルケニル−C1−12脂肪族基、3員ないし10員のヘテロ環状脂肪族基、6員ないし10員のヘテロ環状脂肪族−C1−12脂肪族基、5員ないし10員のヘテロアリール、または5員ないし10員のヘテロアリール−C1−12脂肪族基である;
Kは結合、C1−12脂肪族基、−O−、−S−、−NR−、−C(O)−、または−C(O)NR−である(ここで、RはHまたはC1−12脂肪族基である);そして
mは1、2、または3である]
である請求項22記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項29】
Rが、
【化24】

である請求項22記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項30】
Rが、
【化25】

[式中、
はO、S、NR10、またはC(R10)である;
10はそれぞれ独立して、H、C1−12脂肪族基、C6−10アリール、C6−10アリール−C1−12脂肪族基、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルケニル、C3−10シクロアルキル−C1−12脂肪族基、C3−10シクロアルケニル−C1−12脂肪族基、3員ないし10員のヘテロ環状脂肪族基、6員ないし10員のヘテロ環状脂肪族−C1−12脂肪族基、5員ないし10員のヘテロアリール、または5員ないし10員のヘテロアリール−C1−12脂肪族基である;
pは1または2である;そして
----- は単結合または二重結合である]
である請求項22記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項31】
Tが結合であり、Rが所望により置換されている(ヘテロ環状脂肪族)脂肪族基である請求項21記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項32】
Tが結合であり、Rが所望により置換されているアリールまたは所望により置換されているヘテロアリールである請求項21記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項33】
Tが−C(O)−であり、Rが−NR−である請求項21記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項34】
が所望により置換されている脂肪族基、所望により置換されているフェニル、所望により置換されている環状脂肪族基、または所望により置換されているヘテロ環状脂肪族基である請求項1記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項35】
が、
【化26】

である請求項34記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項36】
がn−プロピルである請求項34記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項37】
が所望により置換されているC−C脂肪族基、所望により置換されている環状脂肪族基、所望により置換されているアリール、または所望により置換されているヘテロアリールである請求項1記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項38】
が所望により置換されているC−Cアルキルまたは所望により置換されているC−Cシクロアルキルである請求項37記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項39】
が、
【化27】

である請求項38記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項40】
がシクロプロピルである請求項39記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項41】
ジアステレオマー化合物の混合物であって、
【化28】

[式中、CはRおよびS異性体の混合物を表す;そしてC位置でのR異性体はS異性体に比較して、混合物の50%を超える]
または医薬的に許容されるその塩またはそれらの混合物を含有してなる混合物。
【請求項42】
該混合物中のR異性体の割合が60%を超えるものである請求項41記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項43】
該混合物中のR異性体の割合が70%を超えるものである請求項42記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項44】
該混合物中のR異性体の割合が80%を超えるものである請求項43記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項45】
該混合物中のR異性体の割合が90%を超えるものである請求項44記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項46】
該混合物中のR異性体の割合が95%を超えるものである請求項45記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項47】
該混合物中のR異性体の割合が98%を超えるものである請求項46記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項48】
該混合物中のR異性体の割合が99%を超えるものである請求項47記載のジアステレオマー化合物の混合物。
【請求項49】
セリンプロテアーゼを阻害するのに有効な量の請求項1に記載のジアステレオマー化合物の混合物と、許容される担体、アジュバントまたはビークルとを含有してなる医薬組成物。
【請求項50】
セリンプロテアーゼを阻害するのに有効な量の請求項41に記載のジアステレオマー化合物の混合物と、許容される担体、アジュバントまたはビークルとを含有してなる医薬組成物。
【請求項51】
当該組成物が患者に投与するために製剤化したものである請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
免疫調節剤、抗ウイルス剤、HCVプロテアーゼの第二インヒビター、HCVライフサイクルにおける別の標的のインヒビター、およびシトクロームP−450インヒビター、またはそのいずれかの組合わせをさらに含有してなる請求項50に記載の組成物。
【請求項53】
当該免疫調節剤がα−、β−、もしくはγ−インターフェロンまたはチモシンであり;当該抗ウイルス剤がリバビリン、アマンタジン、またはテルビブジンであり;または当該HCVライフサイクルにおける別の標的のインヒビターがHCVヘリカーゼ、ポリメラーゼ、またはメタロプロテアーゼのインヒビターである請求項51に記載の組成物。
【請求項54】
当該シトクロームP−450インヒビターがリトナビルである請求項52に記載の組成物。
【請求項55】
セリンプロテアーゼの活性を阻害する方法であって、当該セリンプロテアーゼと、請求項1に記載のジアステレオマー化合物の混合物または請求項49に記載の組成物の医薬的に有効な量とを接触させるステップを含む方法。
【請求項56】
セリンプロテアーゼの活性を阻害する方法であって、当該セリンプロテアーゼと、請求項41に記載のジアステレオマー化合物の混合物または請求項50に記載の組成物の医薬的に有効な量とを接触させるステップを含む方法。
【請求項57】
当該セリンプロテアーゼがHCV NS3プロテアーゼである請求項56に記載の方法。
【請求項58】
患者のHCV感染を処置する方法であって、請求項1に記載のジアステレオマー化合物の混合物または請求項49に記載の組成物の医薬的に有効な量を当該患者に投与するステップを含む方法。
【請求項59】
患者のHCV感染を処置する方法であって、請求項41に記載のジアステレオマー化合物の混合物または請求項50に記載の組成物の医薬的に有効な量を当該患者に投与するステップを含む方法。
【請求項60】
さらに、免疫調節剤、抗ウイルス剤、HCVプロテアーゼの第二インヒビター、HCVライフサイクルにおける別の標的のインヒビター、またはその組合わせから選択されるさらなる薬剤を当該患者に投与するさらなるステップ(ここで、当該さらなる薬剤を請求項49に記載の当該組成物の一部として、または別個の投与形態として当該患者に投与する)を含む請求項59に記載の方法。
【請求項61】
当該免疫調節剤がα−、β−、もしくはγ−インターフェロンまたはチモシンであり;当該抗ウイルス剤がリバビリンまたはアマンタジンであり;または当該HCVライフサイクルにおける別の標的のインヒビターがHCVヘリカーゼ、ポリメラーゼ、またはメタロプロテアーゼのインヒビターである請求項60に記載の方法。
【請求項62】
生体サンプルまたは医療用もしくは実験用機器のHCV汚染を除去または低減する方法であって、当該生体サンプルまたは医療用もしくは実験用機器を、請求項1に記載のジアステレオマー化合物の混合物または請求項49に記載の組成物と接触させるステップを含む方法。
【請求項63】
生体サンプルまたは医療用もしくは実験用機器のHCV汚染を除去または低減する方法であって、当該生体サンプルまたは医療用もしくは実験用機器を、請求項41に記載のジアステレオマー化合物の混合物または請求項50に記載の組成物と接触させるステップを含む方法。
【請求項64】
当該サンプルまたは器具が、血液、他の体液、生体組織、手術器具、手術着、実験用機器、実験着、血液または他の体液の収集用具、血液または他の体液の貯蔵用具から選択されるものである請求項63に記載の方法。
【請求項65】
当該体液が血液である請求項64に記載の方法。
【請求項66】
化合物 (1S,3aR,6aS)−2−[(2S)−2−[[(2S)−2−シクロヘキシル−1−オキソ−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]エチル]アミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−N−[(1R)−1−[2−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソエチル]ブチル]オクタヒドロ−シクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキサミド。
【請求項67】
セリンプロテアーゼを阻害するのに有効な量の請求項66に記載の化合物、および許容される担体、アジュバントまたはビークルを含有してなる医薬組成物。
【請求項68】
セリンプロテアーゼの活性を阻害する方法であって、当該セリンプロテアーゼと、請求項66に記載の化合物または請求項67に記載の組成物とを接触させるステップを含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2009−505966(P2009−505966A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525128(P2008−525128)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/029988
【国際公開番号】WO2007/016589
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】