説明

セルフシーリング特性を有するインフレータブル物品用のエラストマー組成物

少なくとも下記をベースとする、特にインフレータブル物品におけるパンク防止層として使用することのできるセルフシーリング特性を有するエラストマー組成物(phrは固形エラストマー100質量部当りの質量部を意味する):
・固形不飽和ジエンエラストマー;
・30phrと90phrの間の量の炭化水素樹脂;
・0から30phr未満までの充填剤;
・0.5phrと15phrの間の量のチウラムポリスルフィド。
本発明に従う組成物を含むパンク防止層を備えた、タイヤのようなインフレータブル物品;上記パンク防止層は、有利には、例えばブチルゴムまたはTPSエラストマーをベースとする気密層と組合せて使用して、インフレータブル物品における、気密性でパンク防止性のラミネートを形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフシーリング特性を有する組成物(セルフシーリング組成物)、および任意のタイプの“インフレータブル”物品、即ち、定義によれば、空気によって膨張させたときにその使用可能な形状となる任意の物品におけるパンク防止層としてのその使用に関する。
本発明は、さらに詳細には、インフレータブル物品における、特に、タイヤにおける稼動中の開孔によって生じ得る穴を密封するためのそのような組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
数年に亘って、特に、タイヤ製造業者は、膨張タイプのタイヤを装着した車輪の極めて初期の使用にさかのぼる問題、即ち、車両が1本以上のタイヤの著しいまたは完全な圧力減にもかかわらず走行し続けるのを如何にして可能にするかという問題に対する新規な解決策を開発するのに著しい努力を払っている。数十年間、スペア車輪が唯一且つ一般的な解決法であるとみなされていた。その後、最近になって、車輪の取外しに関して著しい利点が出現している。“エクステンデッド・モビリティ(extended mobility)”の概念が開発された。その関連技術は、パンクまたは圧力低下後も、観察されるある種の制約に従って、同じタイヤで走行することを可能にしている。このことは、例えば、多くの場合危険な状況下に停止してスペア車輪を装着する必要なしに、救難地点まで運転することを可能にする。
【0003】
そのような目的を達成することを可能にし、定義にすれば、クギのような異物により開孔した場合のタイヤの気密性を自動的に、即ち、何らの外的介入なしで確保することのできるセルフシーリング組成物は、開発するが特に困難である。
使用可能であるためには、セルフシーリング層は、物理的および化学的性質の多くの条件を満たさなければならない。特に、セルフシーリング層は、極めて広い操作温度範囲に亘って有効でなければならない;このことは、タイヤの寿命全体に亘ってそのとおりである。セルフシーリング層は、穿刺物体がその場に残存している場合にはその穴を密封し得なければならない;穿刺物体が除かれている場合は、セルフシーリング層は、その孔を充たしてタイヤに気密性を付与し得なければならない。
【0004】
多くの解決策が、考案されてはいるものの、特に、経時的な安定性或いは極端な操作温度条件下での有効性に欠くために、或いは、これらのセルフシーリング組成物の製造および/または使用における困難性故に、車両タイヤにおいては真に開発され得ていない。
【0005】
従って、良好な高温有効性を維持するのに寄与するために、文献US‐A‐4 113 799号(またはFR‐A‐2 318 042号)は、セルフシーリング層として、必要に応じて小割合の熱可塑性スチレンエラストマーの存在下に部分的に架橋させた、高分子量および低分子量を有するブチルゴムの組合せを含む組成物を提案している。
【0006】
文献US‐A‐4 228 839号は、セルフシーリング層として、照射したとき分解する第1のポリマー材料、例えば、ポリイソブチレンと、照射したとき架橋する第2のポリマー材料、好ましくはブチルゴムとを含むゴム混合物を提案している。
また、文献US‐A‐4 426 468号は、一例として、極めて高い分子量を有する架橋ブチルゴムをベースとするタイヤセルフシーリング組成物を提案している。
【0007】
ブチルゴムの既知の欠点は、ブチルゴムが有意のヒステリシス損失(高tanδレベル)を広い温度範囲に亘って示すことであり、この欠点は、強力なヒステリシスの増大およびタイヤの転がり抵抗性の有意の悪化でもって、セルフシーリング組成物それ自体に対して影響を有する。
また、不飽和ジエンエラストマー(天然ゴム)をベースとするセルフシーリング組成物も、特に特許US‐A‐4 913 209号、US‐A‐5 085 942号およびUS‐A‐5 295 525号において、同じタイプの用途について説明されている。
【0008】
これらの組成物は、固形エラストマー100質量部当り常に100質量部よりも多い高含有量の粘着付与剤(tackifying agent (“tackifier”))としての炭化水素樹脂と大量の液体状態のエラストマー(イソプレン)の組合せた存在に特徴を有する。ところで、そのような高い樹脂含有量は、その混入にエラストマーマトリックスの極めて長時間の混錬を必要とするという事実は別として、ヒステリシスに対して、ひいては、タイヤの転がり抵抗性に対しても有害となり得る。さらに、大量の液体エラストマーは上記組成物に高い流動性を与え、この高流動性は、他の欠点の、特に、ある種のタイヤを使用する場合にしばしば直面する、比較的高温(典型的には60℃よりも高い)で使用するときのセルフシーリング組成物のクリーピングのリスクの源である。
【発明の概要】
【0009】
調査研究の続行中、本出願法人は、ブチルゴムも、有意量の炭化水素樹脂と液体エラストマーも必要としない、セルフシーリング特性を有する新規な組成物を見出した。この組成物は、インフレータブル物品において、従来技術のセルフシーリング組成物と比較して改良されたパンク防止性能を示す。
【0010】
従って、第1の主題によれば、本発明は、特にインフレータブル物品におけるパンク防止層として使用することのできる、セルフシーリング特性を有するエラストマー組成物に関し、該組成物は、少なくとも下記をベースとすることを特徴とする(phrは固形エラストマー100質量部当りの質量部を意味する):
・不飽和ジエンエラストマー;
・30phrと90phrの間の量の炭化水素樹脂;
・0から30phr未満までの充填剤;
・0.5phrと15phrの間の量のチウラムポリスルフィド。
【0011】
もう1つの主題によれば、本発明は、本発明に従う組成物を含むパンク防止層を備えた、生状態(即ち、架橋していない状態)および硬化状態(即ち、架橋または加硫状態)のインフレータブル物品に関する。
好ましくは、本発明のインフレータブル物品、特に、タイヤは、上記パンク防止層と組合せたときに気密・パンク防止ラミネートを構成する気密層も含み、このラミネートは、例えば、このラミネートを上記物品またはタイヤの内壁上に配置したときに特に有利である。
【0012】
本発明は、特に、GTサルーンのような乗用車タイプの車両;SUV車(スポーツ用多目的車);二輪車(特に自転車またはオートバイ);航空機;バン類、重量物運搬車(即ち、地下鉄列車、バス、重量道路輸送車(トラック、トラクター、トレーラー)、農業用車両または地ならし機のような道路外車両)或いは他の輸送または作業用車両から選ばれる産業用車両に装着することを意図するタイヤに関する。
【0013】
本発明およびその利点は、以下の説明および実施例並びにこれらの実施例に関連する図1および2を考慮すれば容易に理解し得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】半径断面における、本発明に従うセルフシーリング特性を有する組成物を使用したタイヤの例を単純に略図的に示す(特定の縮尺で描いてない)。
【図2】本発明に従う組成物を製造するのに使用することのできる配合用押出機の例を単純に略図的に示す(特定の縮尺で描いてない)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
I. 発明の詳細な説明
I‐1. 定義
本説明においては、他に断らない限り、示す全ての百分率(%)は質量%である。
さらにまた、“aとbの間”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、“a”よりも大きく“b”よりも小さい値の範囲を示し(即ち、限界値aとbを除く)、一方、“a〜b”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、“a”から“b”までの範囲の値の範囲を意味する(即ち、厳格な限定値“a”および“b”を含む)。
略記“phr”は、固体状態のエラストマー(数種の固形エラストマーが存在する場合は、固形エラストマーの総計)の100質量部当りの質量部を示す。
【0016】
“ベースとする”組成物なる表現は、一般に、その各種構成成分の混合物および/または反応生成物を含む組成物を意味するものと理解すべきである;これら成分の幾つかは、上記組成物の種々の製造段階において、特に、その最終架橋または加硫(硬化)中に、少なくとも部分的に互いに反応し得るようにすることが(実際には反応するように意図することさえも)可能である。
【0017】
“ジエン”タイプのエラストマー(または“ゴム”;2つの用語は同義とみなす)は、知られている通り、ジエンモノマー(即ち、二個の炭素‐炭素二重結合を担持するモノマー、共役型または非共役型のいずれか)に少なくとも一部由来するエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味するものと理解すべきである。
【0018】
これらのジエンエラストマーは、2つのカテゴリー、即ち、飽和または不飽和に分類し得る。本特許出願においては、“不飽和”ジエンエラストマーは、共役ジエンモノマーに少なくとも一部由来し且つ30%(モル%)よりも多い共役ジエン由来の単位含有量を有するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。従って、ブチルゴムまたはEPDMタイプのジエンとα‐オレフィンとのコポリマーのようなジエンエラストマーは、その低減されたジエン起原単位含有量(常に15%未満)故に“飽和”のジエンエラストマーとして説明し得、上記の定義からは除外される。不飽和タイプの最も一般的なジエンエラストマーは、ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびそのようなエラストマーの混合物からなる群から選ばれるジエンエラストマーである。
【0019】
I‐2. 測定法
I‐2‐A. ムーニー粘度
ムーニー粘度または可塑度は、知られている通り、固形物質を特性決定する。規格ASTM D1646 (1999年)に記載されているような振動(oscillating)稠度計を使用する。ムーニー可塑度測定は、次の原理に従って実施する:生状態(即ち、硬化前)において分析するサンプルを、所定温度(例えば、35℃または100℃)に加熱した円筒状のチャンバー内で成形(形成)する。1分間の予熱後、ローターが試験標本中で2回転/分にて回転し、この運動を維持するための仕事トルクを4分間の回転後に測定する。ムーニー粘度(ML 1 + 4)は、“ムーニー単位”(MU、1MU = 0.83ニュートン.メートル)で表す。
【0020】
I‐2‐B. ブルックフィールド粘度
ブルックフィールド粘度は、知られている通り、液体物質を特性決定する。ブルックフィールド法に従う見掛け粘度は、ヨーロッパおよび国際規格EN ISO 2555 (1999年)に従って、所定の温度において(例えば、65℃において)測定する。例えば、Aタイプ(例えばRVTモデル)またはBタイプ(例えば、HATモデル)の粘度計を、好ましくは10または20min-1に等しい回転数において、測定する粘度範囲(規格EN ISO 2555のAppendix Aに従う)に適するスピンドル番号(1〜7)でもって使用する。
【0021】
I‐2‐C. エラストマーのマクロ構造
エラストマーのマクロ構造(Mw、MnおよびPI)およびモル質量分布は、液体状態または固体状態のいずれであれ、当業者にとって既知の、特にエラストマーの供給元から入手し得る、さらにまた、GPC (ゲル透過クロマトグラフィー)またはSEC (サイズ排除クロマトグラフィー)のような通常の方法によっても測定することのできる特性である。
【0022】
要約するに、SEC分析は、例えば、溶液中の高分子を、多孔質ゲルを充填したカラムによって、そのサイズに従って分離することからなる;分子はその流体力学的容積に従って分離し、最も嵩だかの分子が最初に溶出する。分析すべきサンプルを、単純に、適切な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中に、約1g/リットルの濃度で前以って溶解する。その後、溶液を、例えば0.45μmの有孔度を有するフィルター上で、装置への注入前に濾過する。使用する装置は、例えば、“Waters Alliance”クロマトグラフ系である。溶出溶媒は、例えば、テトラヒドロフランであり、流量は0.7ml/分であり、系の温度は35℃である。例えば、直列の4本の“Waters”カラムセット(品名“Styragel HMW7”、“Styragel HMW6E”および2本の“Styragel HT6E”)を使用する。ポリマーサンプル溶液の注入容量は、例えば、100μlである。検出器は、示差屈折計(例えば“Waters 2410”)であり、データを使用するための関連ソフトウェア(例えば、“Waters Millennium”)を備え得る。ムーア(Moore)較正を、分析すべき質量の範囲に亘る既知のモル質量を有する1連の低PIを有する市販のポリスチレン標準によって実施する。質量平均モル質量(Mw)、数平均モル質量(Mn)および多分散性指数(PI= Mw/Mn)を、記録したデータ(モル質量の質量による分布曲線)から推定する。
【0023】
I‐2‐D. 炭化水素樹脂のマクロ構造
マクロ構造(Mw、MnおよびPI)は、エラストマーにおいて上記で示したようなSECによって測定する:溶媒 テトラヒドロフラン、温度 35℃、濃度 1g/リットル、流量 1ml/分、注入前に0.45μmの有孔度を有するフィルターにより濾過した溶液;ポリスチレン標準によるムーア較正;直列の3本の“Waters”カラムセット(“Styragel HR4E”、“Styragel HR1”および“Styragel HR0.5”)、操作ソフトウェア(例えば、“Waters Millennium”)を備え得る示差屈折計(例えば“Waters 2410”)による検出。
【0024】
従って、本出願において示すモル質量における値は、全て、ポリスチレン標準によって描いた較正曲線と対比している。ガラス転移温度(“Tg”)における値は、全て、規格ASTM D3418 (1999年)に従うDSC (示差走査熱量測定法)による既知の方法で測定する。
【0025】
I‐3. 本発明の組成物
従って、本発明に従うセルフシーリング特性を有する組成物は、生状態(即ち、架橋していない状態)および硬化状態(即ち、架橋または加硫状態)において、少なくとも以下をベースとするエラストマー組成物である:少なくとも1種(即ち、1種以上)の不飽和ジエンエラストマー;30phrと90phrの間の量の固形可塑剤としての炭化水素樹脂;および0.5phrと15phrの量の架橋剤としてのチウラムポリスルフィド。上記組成物は、充填剤を含まないか或いはせいぜい30phrよりも少ないそのような任意成分としての充填剤を含むとういう他の本質的な特徴を有する。
【0026】
I‐3‐A. 固形不飽和ジエンエラストマー
“不飽和ジエンエラストマー”は、勿論、単独の不飽和ジエンエラストマーまたは不飽和ジエンエラストマーの混合物を意味するものと理解すべきである。
好ましくは、ポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー(例えば、ブタジエン/スチレンコポリマー即ちSBR)、イソプレンコポリマー(ブチルゴム以外の)、およびそのようなエラストマーの混合物からなる群から選ばれるジエンエラストマーを使用する。さらに好ましくは、本発明の組成物のこの不飽和ジエンエラストマーは、ポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマーおよびそのようなエラストマーの混合物からなる群から選ばれるジエンエラストマーである。
【0027】
ポリブタジエンとしては、特に、4%と80%の間の1,2‐単位含有量を有するポリブタジエンまたは80%よりも多いシス‐1,4‐含有量を有するポリブタジエンを挙げることができる。ブタジエン/スチレンコポリマーとしては、特に、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、ブタジエン/イソプレンコポリマー(BIR)またはスチレン/ブタジエン/イソプレンコポリマー(SBIR)を挙げることができる。5質量%と50質量%の間、特に20質量%と40質量%の間のスチレン含有量、4%と65%の間のブタジエン成分1,2‐結合含有量および20%と80%の間のトランス‐1,4‐結合含有量を有するSBRコポリマー;5質量%と90質量%の間のイソプレン含有量および−40℃〜−80℃のTgを有するBIRコポリマー;5質量%と50質量%の間、特に10質量%と40質量%の間のスチレン含有量、15質量%と60質量%の間、特に20質量%と50質量%の間のイソプレン含有量、5質量%と50質量%の間、特に20質量%と40質量%の間のブタジエン含有量、4%と85%の間のブタジエン成分1,2‐単位含有量、6%と80%の間のブタジエン成分トランス‐1,4‐単位含有量、5%と70%の間のイソプレン成分1,2‐+3,4‐単位含有量および10%と50%の間のイソプレン成分トランス‐1,4‐単位含有量を有するSBIRコポリマー;および、さらに一般的には、−20℃と−70℃の間のTgを有する任意のSBIRコポリマーが特に適している。
【0028】
第1の特に好ましい実施態様によれば、上記固形不飽和ジエンエラストマーは、イソプレンエラストマーである。イソプレンエラストマーは、イソプレンホモポリマーまたはコポリマー、換言すれば、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエン/イソプレンコポリマー(BIR)、スチレン/イソプレンコポリマー(SIR)、スチレン/ブタジエン/イソプレンコポリマー(SBIR)およびこれらのエラストマーのブレンドからなる群から選ばれる不飽和ジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。さらに好ましくは、天然ゴムまたは合成シス‐1,4‐ポリイソプレンを、単独で、或いは、少なくとも1種の上述したような不飽和ジエンエラストマーとのブレンド(混合物)として、例えば、NR/BR、NR/SBR、IR/BRまたはIR/SBRブレンドの形で、特に、NR/BRブレンドの形で使用する。
【0029】
もう1つの特に好ましい実施態様によれば、上記固形不飽和ジエンエラストマーは、ブタジエンホモポリマーまたはコポリマー、より好ましくはブタジエンホモポリマー、換言すれば、ポリブタジエンである;好ましくは、このポリブタジエンは、90%よりも多い、より好ましくは95%よりも多いシス‐1,4‐結合含有量(モル%)を有する。ポリブタジエンは、単独で或いは少なくとも1種の上述したような不飽和ジエンエラストマーとのブレンド(混合物)として使用し得る。
【0030】
上記エラストマーは、例えば、ブロック、ランダム、序列または微細序列エラストマーであり得、分散液中または溶液中で調製し得る;これらのエラストマーは、例えば、カップリング剤および/または星型枝分れ化剤(star‐branching agent)或いは官能化剤によってカップリングしおよび/または星型枝分れさせおよび/または枝分れさせ或いは官能化し得る。カーボンブラックとカップリングさせるには、例えば、C‐Sn結合を含む官能基または、例えば、ベンゾフェノンのようなアミノ化官能基を挙げることができる;シリカのような補強用無機充填剤とカップリングさせるには、例えば、シラノール官能基またはシラノール末端を有するポリシロキサン官能基(例えば、US 6 013 718号に記載されているような)、アルコキシシラン基(例えば、US 5 977 238号に記載されているような)、カルボキシル基(例えば、US 6 815 473号またはUS 2006/0089445号に記載されているような)、或いはポリエーテル基(例えば、US 6 503 973号に記載されているような)を挙げることができる。また、他の官能化エラストマーの例としては、エポキシ化タイプのエラストマー(SBR、BR、NRまたはIRのような)も挙げることができる。
【0031】
本発明の組成物の不飽和ジエンエラストマーは、定義によれば、固体である。液体とは対照的に、固体とは、単に重力の作用下に且つ周囲温度(23℃)において、少なくとも24時間後に、固体が存在する容器の形を最終的に装う能力を有していない任意の物質を意味するものと理解されたい。
【0032】
本発明の組成物において液体可塑剤として必要に応じて使用し得る液体タイプのエラストマーとは対照的に、この固形不飽和ジエンエラストマーは、極めて高い粘度に特徴を有する;生状態(即ち、架橋されていない状態)におけるそのムーニー粘度ML (1+4)は、100℃で測定して、好ましくは20よりも高く、より好ましくは30よりも高く、特に30と130の間である。
【0033】
もう1つの可能性ある定義によれば、固形エラストマーは、高モル質量を有する、即ち、100 000g/モルよりも高い数平均モル質量(Mn)を典型的に示すエラストマーを意味するものとも理解されたい;好ましくは、そのような固形エラストマーにおいては、モル質量の分布領域(SECで測定した)の少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%が、100 000g/モルよりも高い状況にある。
【0034】
好ましくは、上記不飽和ジエンエラストマーの数平均モル質量(Mn)は、100 000g/モルと5 000 000g/モルの間、より好ましくは150 000g/モルと4 000 000g/モルの間である;特に、上記数平均モル質量は、200 000g/モルと3 000 000g/モルの間、時に200 000g/モルと1 500 000g/モルの間である。好ましくは、その多分散性指数PI (Mw/Mn)は、ポリブタジエンまたはブタジエンコポリマーに関しては1.0と10.0の間に、特に1.0と3.0の間、天然ゴムまたは合成ポリイソプレンに関しては3.0と8.0の間にある。
【0035】
当業者であれば、本説明に照らして、また、本発明の組成物において目標とする特定の用途の関数として、エラストマーAおよびBの平均モル質量および/またはモル質量分布を如何にして調整するかは承知していることであろう。本発明の特定の実施態様によれば、当業者であれば、例えば、広いモル質量分布を選択し得るであろう。当業者であれば、セルフシーリング組成物の流動性を好ましいと思う場合、むしろ低モル質量の割合を優先し得るであろう。上記の実施態様と組合せてもまたは組合せなくてもよいもう1つの特定の実施態様によれば、当業者であれば、むしろ上記組成物のセルフシーリング(充填)役割を最適化する目的においては中間のモル質量の割合を優先し得るであろう。もう1つの特定の実施態様によれば、当業者であれば、セルフシーリング組成物の機械的強度を増進させる目的においては高モル質量の割合をむしろ優先させ得るであろう。
【0036】
これらの種々のモル質量分布は、例えば、種々の出発ジエンエラストマーを配合することによって得ることができる。
好ましい実施態様によれば、上記固形不飽和ジエンエラストマーは、本発明のセルフシーリング組成物中に存在する単独の固形エラストマーを構成する、即ち、この固形エラストマーの上記組成物中の含有量は、その場合、100phrである。
【0037】
本発明のもう1つの特定の実施態様によれば、他のタイプ(不飽和ジエンエラストマー以外)の固形エラストマーとの混合物として使用する場合、上記固形不飽和ジエンエラストマーは、好ましくは、本発明の組成物中で質量による主要固形エラストマーを構成する;より好ましくは、その含有量は、50phrよりも多く、さらにより好ましくは70phrよりも多く、特に80phrよりも多い。
【0038】
従って、本発明の特定の実施態様によれば、上記固形不飽和ジエンエラストマーは、飽和ジエンエラストマー(例えば、ブチルエラストマー)或いはジエンエラストマー以外のエラストマー、例えば、例えばスチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/ブタジエン/イソプレン/スチレン(SBIS)、スチレン/イソブチレン/スチレン(SIBS)、スチレン/エチレン‐ブチレン/スチレン(SEBS)、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン(SEPS)およびスチレン/エチレン/エチレン/プロピレン/スチレン(SEEPS)の各ブロックコポリマー、並びにこれらのコポリマーの混合物からなる群から選ばれる熱可塑性スチレンエラストマー(“TPS”と称する)いずれかの、質量による小量成分である他の(固形)エラストマーと組合せ得る。
【0039】
驚くべきことに、充填していない(または極めて低い充填剤含有量を有する)この不飽和ジエンエラストマーは、熱可塑性炭化水素樹脂を推奨の狭い範囲で添加した後に、本明細書の続きにおいて詳細に説明するように、有効なセルフシーリング組成物の機能を満たし得ることが判明している。
【0040】
I‐3‐B. 炭化水素樹脂
上記セルフシーリング組成物の第2の本質的構成成分は、炭化水素樹脂である。
名称“樹脂”は、本特許出願においては、当業者にとっては既知の定義によれば、オイルのような液体可塑剤化合物とは対照的に、室温(23℃)で固体である化合物に対して使用される。
【0041】
炭化水素樹脂は、炭素と水素を本質的にベースとする、当業者にとって周知のポリマーであり、特に、ポリマーマトリックス中で可塑剤または粘着付与剤として使用し得る。炭化水素樹脂は、使用する含有量において、意図するポリマー組成物と本来混和性(即ち、相溶性)であって、真の希釈剤として作用する。炭化水素樹脂は、例えば、R. Mildenberg、M. ZanderおよびG. Collin (New York, VCH, 1997, ISBN 3‐527‐28617‐9)による“Hydrocarbon Resins”と題した著作物に記載されており、その第5章は、炭化水素樹脂の特にゴムタイヤの用途に当てられている(5.5. "Rubber Tires and Mechanical Goods")。炭化水素樹脂は、脂肪族、脂環式、芳香族、水素化芳香族であり得、或いは脂肪族/芳香族タイプ、即ち、脂肪族および/または芳香族モノマーをベースとし得る。炭化水素樹脂は、石油系(その場合、石油樹脂の名称で知られている)または石油系でない天然または合成樹脂であり得る。炭化水素樹脂のTgは、好ましくは0℃よりも高く、特に20℃よりも高い(一般に30℃と95℃の間)。
【0042】
また、知られているとおり、これらの炭化水素樹脂は、これらの樹脂が加熱時に軟化し、従って、成形することができる点で、熱可塑性樹脂とも称し得る。また、炭化水素樹脂は、例えば、軟化点または軟化温度によっても定義し得、この温度において、例えば粉末形の製品は一緒に粘着する;このデータは、概してかなり不十分に定義されている樹脂の融点と置き換わる傾向にある。炭化水素樹脂の軟化点は、一般に、Tg値よりも約50〜60℃高い。
本発明の組成物においては、上記樹脂の軟化温度は、好ましくは40℃よりも高く(特に40℃と140℃との間)、より好ましくは50℃よりも高い(特に50℃と135℃の間)。
【0043】
上記樹脂は、30phrと90phrの間の質量による含有量で使用する。30phrよりも低いと、パンク防止性能が、組成物の過剰の剛性のために不十分であることが判明しており、一方、90phrよりも高いと、上記材料の不適切な機械的強度への暴露が存在し、しかも、その性能が高温(典型的には70℃よりも高い)において劣化するというリスクを伴う。これらの理由により、上記樹脂の含有量は、好ましくは40phrと80phrの間の、さらに好ましくは少なくとも45phrに等しい、特に45〜75phrの範囲内の量である。
【0044】
本発明の好ましい実施態様によれば、上記炭化水素樹脂は、下記の特徴の少なくとも任意の1つ、さら好ましくは全てを有する:
・25℃よりも高いTg;
・50℃よりも高い(特に50℃と135℃の間の)軟化点;
・400g/モルと2000g/モルの間の数平均モル質量(Mn);および、
・3よりも低い多分散性指数(PI) (注記:PI = Mw/Mw、Mwは質量平均モル質量である)。
【0045】
さら好ましくは、この炭化水素樹脂は、下記の特徴の少なくとも任意の1つ、より好ましくは全てを有する:
・25℃と100℃の間(特に30℃と90℃の間)のTg;
・60℃よりも高い、特に60℃と135℃の間の軟化点;
・500g/モルと1500g/モルの間の平均質量Mn;および、
・2よりも低い多分散性指数PI。
【0046】
軟化点は、規格ISO4625 (“RingおよびBall”の方法)に従って測定する。マクロ構造(Mw、MnおよびPI)は、本特許出願への導入部において述べているような立体排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定する。
【0047】
そのような炭化水素樹脂の例としては、シクロペンタジエン(CPDと略記する)またはジシクロペンタジエン(DCPDと略記する)のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、テルペンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、テルペン/フェノールのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C5留分のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C9留分のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、α‐メチルスチレンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選ばれる炭化水素樹脂を挙げることができる。上記のコポリマー樹脂のうちでは、さらに詳細には、(D)CPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂、(D)CPD/テルペンコポリマー樹脂、(D)CPD/C5留分コポリマー樹脂、(D)CPD/C9留分コポリマー樹脂、テルペン/ビニル芳香族コポリマー樹脂、テルペン/フェノールコポリマー樹脂、C5留分/ビニル芳香族コポリマー樹脂、およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選ばれるコポリマーを挙げることができる。
【0048】
用語“テルペン”は、この場合、知られている通り、α‐ピネンモノマー、β‐ピネンモノマーおよびリモネンモノマーを包含する。好ましくは、リモネンモノマーを使用する;この化合物は、知られている通り、3種の可能性ある異性体の形で存在する:L‐リモネン(左旋性鏡像体)、D‐リモネン(右旋性鏡像体)或いはジペンテン、即ち、右旋性鏡像体と左旋性鏡像体のラセミ体。ビニル芳香族モノマーとして適切なのは、例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、オルソ‐メチルスチレン、メタ‐メチルスチレン、パラ‐メチルスチレン、ビニルトルエン、パラ‐(tert‐ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンまたはC9留分に(または、より一般的にはC8〜C10留分に)由来する任意のビニル芳香族モノマーである。
【0049】
さら詳細には、(D)CPDホモポリマー樹脂、(D)CPD/スチレンコポリマー樹脂、ポリリモネン樹脂、リモネン/スチレンコポリマー樹脂、リモネン/D(CPD)コポリマー樹脂、C5留分/スチレンコポリマー樹脂、C5留分/C9留分コポリマー樹脂、およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選ばれる樹脂を挙げることができる。
【0050】
上記樹脂は、全て当業者にとって周知であって商業的に入手可能であり、例えば、ポリリモネン樹脂に関しては、DRT社から品名“Dercolyte”として;C5留分/スチレン樹脂またはC5留分/C9留分樹脂に関しては、Neville Chemical Company社から品名“Super Nevtac”として、Kolon社から品名“Hikorez”として、またはExxon Mobil社から品名“Escorez”として;或いは、Struktol社から品名“40 MS”または“40 NS”(芳香族および/または脂肪族樹脂の混合物)として販売されている。
【0051】
I‐3‐C. 充填剤
本発明の組成物は、充填剤を含まないかまたは極めて少量の充填剤しか含まない、即ち、0から30phr未満までの少なくとも1種(即ち、1種以上)のそのような任意構成成分としての充填剤を含むという他の本質的特性を有する。
【0052】
充填剤とは、この場合、補強用(好ましくは500nmよりも小さい、特に20nmと200nmの間の質量平均粒度を有するナノ粒子を典型的に含む)または非補強用即ち不活性(1μmよりも大きい、例えば、2μmと200μmの間の質量平均粒度を有するマイクロメートル粒子を典型的に含む)のいずれかである任意のタイプの充填剤を意味するものと理解されたい。
【0053】
これらの補強用または非補強用充填剤は、本質的には、最終の組成物に寸法安定性、即ち、最低限の機械的強度を付与するために存在するだけである。充填剤が、エラストマー、特に、天然ゴムまたはポリブタジエンのようなジエンエラストマーに対して補強性であることが分かっているときは、好ましくは、上記組成物中で、割合において少なめの充填剤を使用する。
多過ぎる、特に30phrよりも多い量は、もはや、最低限必要とする可撓性、変形性およびクリーピング能力を達成することを不可能にする。これらの理由により、本発明の組成物は、好ましくは0から20phr未満まで、より好ましくは0から10phr未満までの充填剤を含む。
【0054】
補強用として当業者に知られている充填剤の例としては、特に、カーボンブラックまたはシリカのような補強用無機充填剤またはこれら2つのタイプの充填剤のブレンドを挙げることができる。
全てのカーボンブラック類、例えば、タイヤにおいて一般的に使用されるブラック類が、カーボンブラックとして適している。後者のうちでは、300、600、700または900級(ASTM) (例えば、N326、N330、N347、N375、N683、N772またはN990)のカーボンブラック類が挙げられる。特に補強用無機充填剤として適切なのは、シリカ(SiO2)タイプの高分散性鉱質充填剤、特に、450m2/g未満、好ましくは30〜400m2/gのBET比表面積を有する沈降または焼成シリカである。
【0055】
非補強用または不活性として当業者に知られている充填剤の例としては、特に、灰分(即ち、燃焼残渣);天然炭酸カルシウム(チョーク)または合成炭酸カルシウム、合成または天然ケイ酸塩(例えば、カオリン、タルクまたは雲母)、粉砕シリカ、酸化チタン、アルミナまたはアルミノケイ酸塩の各マイクロ粒子が挙げられる。また、層状充填剤の例としては、グラファイト粒子を挙げることができる。着色用充填剤または例えば顔料によって着色した充填剤は、上記組成物を所望の色合に応じて着色するのに有利に使用し得る。
【0056】
充填剤の物理的状態は、重要ではない;充填剤は、粉末、ミクロスフィア、顆粒またはビーズ、或いは任意の他の適切な濃密形の形状であり得る。勿論、充填剤は、種々の補強用および/または非補強用充填剤の混合物も意味することも理解されたい。
当業者であれば、本説明に照らして、本発明の組成物の充填剤の含有量を調整して所望の特性レベルを達成することおよびその配合を意図する特定の用途に対して調整することは可能であろう。
【0057】
本発明の1つの特定の有利な実施態様によれば、補強用充填剤が本発明の組成物中に存在する場合、その含有量は、好ましくは5phr未満(即ち、0phrと5phrの間)、特に2phr未満(即ち、0phrと2phrの間)である。そのような含有量は、本発明の組成物の製造方法にとって特に有益であると共に、本発明の組成物に優れたセルフシーリング性能を付与することが判明している。さらに好ましくは、0.5phrと2phrの間の含有量は、特にカーボンブラックが関連している場合に使用する。
【0058】
I‐3‐D. チウラムポリスルフィド
本発明の組成物は、さらに、上記固形不飽和ジエンエラストマー用の架橋剤として、0.5phrと15phrの間の量のチウラムポリスルフィドを含むという本質的な特徴を有する。
硬化後、そのような架橋剤は、上記組成物に真の架橋をもたらすことなく、上記組成物に十分な固着力を付与していることが判明している:当業者にとって既知の通常のインフレーション法によって測定し得るその架橋は、実際に検出閾値に近い。好ましくは、チウラムポリスルフィドの含有量は0.5phrと10phrの間の量、より好ましくは1〜5phrの範囲内である。
【0059】
チウラムポリスルフィドは、イオウ供与体および加硫促進剤として知られており、下記の一般式(I)を有することを思い起すべきである:
【化1】


(式中、
・xは、2以上の、好ましくは2〜8の範囲内の数(整数、ポリスルフィド混合物の場合は小数)であり;
・R1およびR2は、同一または異なるものであって、好ましくは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、5〜7個の炭素原子を有するシクロアルキル、または6〜10個の炭素原子を有するアリール、アラルキルもしくはアルカリールから選ばれる炭化水素基を示す)。
【0060】
上記式(I)において、R1およびR2は、4〜7個の炭素原子を含む2価の炭化水素基を形成し得る。
そのようなチウラムポリスルフィドは、好ましくは、テトラベンジルチウラムジスルフィド("TBzTD")、テトラメチルチウラムジスルフィド("TMTD")、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド("DPTT")、およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる;これらのポリスルフィドは、下記の拡大した式を有することを思い起すべきである:
【化2】

【0061】
好ましくは、R1およびR2がベンジルを示し、そして、xが2に等しい式(I)のTBzTDを使用する。
上記固形不飽和ジエンエラストマーの架橋は、他の架橋剤の存在も、イオウも、或いは他のさらなる加硫剤(イオウ供与体、加硫活性化剤または促進剤)も必要としない。従って、本発明の組成物は、有利なことにイオウまたはそのようなさらなる加硫剤を省き得、或いはこれらを1phr未満、好ましくは0.5phr未満、より好ましくは0.2phr未満のほんの僅かな量しか含まなくてよい。また、もう1つの有利な実施態様によれば、本発明の組成物は、亜鉛または酸化亜鉛(これらは加硫活性化剤として知られている)も省き得、或いはこれらを1phr未満、好ましくは0.5phr未満、より好ましくは0.2phr未満のほんの僅かな量しか含まなくてよい。
【0062】
I‐3‐E. 各種添加剤
上記のベース構成成分、即ち、固形不飽和ジエンエラストマー、可塑化用炭化水素樹脂、任意構成成分としての充填剤およびチウラムポリスルフィドは、それら自体のみで、上記セルフシーリング組成物が、上記セルフシーリング組成物を使用するインフレータブル物品に関してそのパンク防止機能を完全に満たすのに十分である。
【0063】
特に、上記セルフシーリング組成物は、液体エラストマーのような液体可塑剤の存在を必要としない;液体可塑剤は、本説明への導入部において既に述べているように、そのような可塑剤を大量に使用するときに、流動特性に対して有害であり得、従って、比較的高温で使用するときの組成物の過度のクリーピングのリスクをもたらし得る。
【0064】
しかしながら、本発明の特定の実施態様によれば、ある場合には、目的とする特定の用途に応じて、少量で、好ましくは60phr未満の含有量で、“低Tg”可塑剤と称する液体可塑剤を使用することは有用であり得、この可塑剤の役割は、特に、上記ジエンエラストマーマトリックスと上記炭化水素樹脂を希釈することによってマトリックスを軟質化させ、それによって、特に、“低温”セルフシーリング性能(即ち、典型的には0℃よりも低い温度における)を改良することである;そのTgは、定義によれば、−20℃よりも低く、好ましくは−40℃よりも低い。
【0065】
任意の液体エラストマー或いは芳香族性または非芳香族性いずれかの任意の増量剤オイル、より一般的には、エラストマー、特にジエンエラストマーに対するその可塑化特性について知られている任意の液体可塑剤を使用し得る。周囲温度(23℃)で、これらの可塑剤またはこれらのオイル類は、多かれ少なかれ粘稠であり、特に本質的に室温で固体である炭化水素樹脂とは対照的に液体である。
要するに、固体とは対照的に、液体とは、単に重力の作用下に且つ周囲温度(23℃)において、少なくとも24時間後に、液体が存在する容器の形を最終的に装う能力を有する任意の物質を意味するものと理解されたい。
【0066】
固形エラストマーとは対照的に、液体可塑剤および液体エラストマー(即ち、低モル質量を有する)は、極めて低い粘度に特徴を有する:好ましくは、そのブルックフィールド粘度は、65℃で測定して、2 000 000cP よりも低く(cPはセンチポイズを意味する;1cPは1mPa.sに等しい)、より好ましくは1 500 000cPよりも低い;この粘度は、特に200cPと1 000 000cPの間、典型的には、液体エラストマーに関しては、2000cPと1 000 000cPの間である。
【0067】
また、もう1つの可能性ある定義によれば、液体エラストマーは、数平均モル質量(Mn)が100 000g/モルよりも低いエラストマーを意味するものと理解されたい;好ましくは、そのような液体エラストマーにおいては、上記モル質量の分布領域の少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%(SECで測定した)は、100 000g/モルよりも低い状況にある。
【0068】
特に適切なのは、例えば、上述の特許文献US 4 913 209号、US 5 085 942号およびUS 5 295 525号に記載されているような、数平均モル質量(Mn)が、例えば、液体BR、液体SBR、液体IRまたは液体解重合天然ゴムの形において、400g/モルと90 000g/モルの間、より好ましくは800g/モルと90 000g/モルの間にある液体エラストマーである。液体ジエンエラストマー(例えば、液体NR、液体IRまたは液体BR)を可塑剤として使用する場合、その液体エラストマーは、必要に応じて、現場において、即ち、本発明の組成物の実際の製造中に、例えば、出発固形エラストマー(1種以上)の適切な(熱)機械加工(鎖切断による解重合)によって生成させ得る。また、そのような液体エラストマーと以下で説明するようなオイル類との混合物も使用し得る。
【0069】
増量剤オイル、特に、ポリオレフィンオイル(即ち、例えば、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールタイプの、オレフィン、モノオレフィンまたはジオレフィンの重合によって得られる)、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル(低または高粘度を有する、水素化されているまたは水素化されていない)、芳香族またはDAE(蒸留芳香族抽出物)オイル、MES (中度抽出溶媒和物(medium extracted solvate))オイル、TDAE(処理留出物芳香族系抽出物(treated distillate aromatic extract))オイル、鉱油、植物油(およびそのオリゴマー、例えば、ヤシ油、ナタネ油、ダイズ油、またはヒマワリ油)およびこれらのオイルの混合物からなる群から選ばれる増量剤オイルも適している。
【0070】
特定の実施態様によれば、例えば、ポリブテンタイプのオイル、特にポリイソブチレン(“PIB”と略記する)オイルを使用する;このオイルは、試験した他のオイル、特に、パラフィンタイプの通常のオイルと比較して、諸性質の優れた妥協点を示している。例えば、PIBオイルは、特に、Univar社から品名“Dynapak Poly”(例えば、“Dynapak Poly 190”)として、さらに、BASF社から品名“Glissopal”(例えば、“Glissopal 1000”)または“Oppanol”(例えば、“Oppanol B12”)として販売されている;パラフィン系オイルは、例えば、Exxon社から品名“Telura 618”として、またはRepsol社から品名“Extensol 51”として販売されている。
【0071】
また、液体可塑剤としては、エーテル可塑剤、エステル可塑剤、ホスフェート可塑剤またはスルホネート可塑剤、特に、エステルおよびホスフェートから選ばれる可塑剤も適している。好ましいホスフェート可塑剤としては、例えば、12個と30個の間の炭素原子を含有するリン酸可塑剤、例えば、リン酸トリオクチルを挙げることができる。好ましいエステル可塑剤の例としては、特に、トリメリテート、ピロメリテート、フタレート、1,2‐シクロヘキサンジカルボキシレート、アジペート、アゼレート、セバケート、グリセリントリエステルおよびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる化合物を挙げることができる。上記トリエステルのうちでは、好ましいグリセリントリエステルとしては、不飽和C18脂肪酸、即ち、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびこれらの酸の混合物からなる群から選ばれる脂肪酸から主として(50質量%よりも多く、より好ましくは80質量%よりも多くにおいて)なるグリセリントリエステルを挙げることができる。さらに好ましくは、合成起原または天然起原(この場合は、例えば、ヒマワリまたはナタネ植物油)のいずれであれ、使用する脂肪酸は、50質量%よりも多くの、さらにより好ましくは80質量%よりも多くのオレイン酸からなる。高含有量のオレイン酸を含むそのようなトリエステル(トリオレアート)は周知である;例えば、そのようなトリエステルは、出願WO 02/088238号(またはUA 2004/0127617号)に、タイヤ用のトレッド中の可塑化剤として記載されている。
【0072】
液体エラストマー以外の液体可塑剤の数平均モル質量(Mn)は、好ましくは400g/モルと25 000g/モルの間、より好ましくは800g/モルと10 000g/モルの間である(炭化水素樹脂について上記で説明したように、SECによって測定)。過度に低いMn質量においては、その可塑剤の組成物の外側への移行のリスクが存在し得、一方、過度の高い質量は組成物の過度の剛性化をもたらし得る。1000g/モルと4000g/モルの間のMn質量は、目的とする用途、特に、タイヤにおける使用において優れた妥協点を構成している。
【0073】
要するに、液体可塑剤は、好ましくは、液体エラストマー、ポリオレフィンオイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、DAEオイル、MESオイル、TDAEオイル、鉱油、植物油、エーテル可塑剤、エステル可塑剤、ホスフェート可塑剤、スルホネート可塑剤およびこれら化合物の混合物からなる群から選ばれる。さらに好ましくは、この液体可塑剤は、液体エラストマー、ポリオレフィンオイル、植物油およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる。
【0074】
当業者であれば、以下の説明および実施例に照らして、液体可塑剤の量を液体可塑剤の性質および本発明の組成物、特に、本発明の組成物を、使用することを意図するインフレータブル物品の特定の使用条件の関数として、調整することは可能であろう。
【0075】
好ましくは、液体可塑剤の含有量は、5〜40phrの範囲内、より好ましくは10〜30phrの範囲内である。上記の最低値よりも低いと、上記エラストマー組成物がある種の用途においては高過ぎる剛性を示すリスクが存在し、一方、推奨する最高値よりも高いと、組成物の不十分な固着力およびセルフシーリング特性の悪化のリスクが生じる。
【0076】
例えば、UV安定剤、酸化防止剤またはオゾン劣化防止剤、各種他の安定剤のような保護剤;または、本発明の組成物を着色するのに有利に使用することのできる着色剤のような各種他の添加剤を、上記の各成分に、典型的には少量で(好ましくは20phr未満、より好ましくは15phr未満の含有量でもって)添加し得る。目的とする用途次第では、短繊維またはスラリーの形の繊維を必要に応じて添加して、上記セルフシーリング組成物により大きな固着力を付与することもできる。
【0077】
また、上述した固形エラストマー以外に、本発明の組成物は、好ましくは上記固形不飽和ジエンエラストマーに対して少質量画分として、例えば、熱可塑性ポリマーのようなエラストマー以外の固形ポリマーも含み得る。
【0078】
I‐4, セルフシーリング組成物の製造
上述した組成物は、任意の適切な手段によって、例えば、ブレードミキサー、開放ミルまたは配合用スクリュー押出機内で、組成物の各種成分の緊密且つ均質な混合物が得られるまで配合および/または混錬することによって製造し得る。
【0079】
しかしながら、以下の製造上の問題が存在し得る:充填剤の不存在または最低限の有意の充填剤量においては、本発明の組成物は、弱い凝集性を示す。この凝集性の欠如は、組成物の接着性が、さらに比較的高含有量の炭化水素樹脂の存在のために、補われず、有効に作用しないようであり得る;このことは、その場合、使用する配合器具への望ましくない粘着のリスクをもたらし、工業的操作条件下においては許容し得ない可能性がある。
【0080】
上記問題を克服するために、本発明の組成物は、架橋系を含む場合、好ましくは、下記の段階を含む方法に従って製造し得る:
a) 第1工程において、上記固形不飽和ジエンエラストマーおよび30phrと90phrの間の量の炭化水素樹脂を含むマスターバッチを、これらの各種成分を、ミキサー内で、上記炭化水素樹脂の軟化点よりも高い“高温配合温度”と称する温度においてまたはこの温度までで混合することによって製造する段階;および、
b) その後、第2工程において、全てのまたは少なくとも50質量%のチウラムポリスルフィドを、そのようにして製造したマスターバッチ中に混入し、全てを同じミキサーまたは異なるミキサー内で混合する段階。
上記高温配合温度は、勿論、現場において測定可能なマスターバッチの温度であって、ミキサー自体の設定温度ではない。
【0081】
“マスターバッチ”または“中間組成物”とは、少なくともエラストマーマトリックス(この場合、固形不飽和ジエンエラストマー)と炭化水素樹脂との混合物、即ち、最終の即使用可能なセルフシーリング組成物のプレカーサー混合物を意味するものと理解すべきである。各種添加剤を必要に応じてこのマスターバッチに混入し得るが、これら添加剤が、マスターバッチにおいて意図するのが適切であるか(例えば、安定剤、着色剤、UV安定剤、酸化防止剤等)、或いはマスターバッチの使用を意図する最終セルフシーリング組成物において意図するのが適切であるかによる。
【0082】
上記マスターバッチは、任意の配合用装置において、特に、その各種成分を、これら成分の均質で緊密な混合物が得られるまで十分に混合または混練することのできるブレードミキサー、開放ミル、押出機または任意のミキサー内で製造し得る。好ましくは、一定ピッチを有するかまたは有さない、製造する混合物(少なくともジエンエラストマーと樹脂)の有意の剪断処理を既知の方法で導入することのできる配合用スクリュー押出機を使用する。
【0083】
初期状態においては、即ち、固形エラストマーと接触させる前では、炭化水素樹脂は、固形状態または液体状態で存在し得る。固形エラストマーと炭化水素樹脂を接触させる操作中は、炭化水素樹脂は、固体状態であり得、或いは、より好ましい実施態様によれば、既に液体状態にあり得る;このためには、上記樹脂をその軟化温度よりも高い温度に加熱することで十分である。
使用する炭化水素樹脂のタイプに従って、最高高温配合温度は、好ましくは70℃よりも高い、より好ましくは80℃よりも高い、例えば、100℃と150℃の間の温度である。
【0084】
マスターバッチの最適の配合のためには、炭化水素樹脂は、好ましくは、液体状態で、圧力下に、ミキサー内に導入する。もう1つの実施態様によれば、上記と組合せてまたは組合せないで、高温配合段階(a)を、酸素を排除して実施する。樹脂を完全に溶融させる温度での、圧力下の樹脂の導入は、ミキサーの配合チャンバー内に、機械的および化学的により安定である脱ガス樹脂を導入するという利点を有する。
【0085】
チウラムポリスルフィドの全てまたは1部を混入する段階(b)は、先行する段階(a)のミキサーと同じミキサー、好ましくは、配合用スクリュー押出機において、或いは他のタイプのミキサー、例えば、もう1つの配合用スクリュー押出機または2本ロール開放ミルタイプの開放ミキサーにおいて実施し得る。
【0086】
好ましい実施態様によれば、特に、2本ロール開放ミルタイプの開放ミキサーを使用する場合、段階(b)は、上記樹脂の軟化温度よりも低い温度に保っている最高温度においてまたはこの最高温度までで実施して、配合用装置へのマスターバッチの過度の望ましくない粘着するリスクを抑制する。従って、使用する炭化水素樹脂のタイプにより、段階(b)の配合温度は、好ましくは50℃よりも低く、より好ましくは20℃と40℃の間であり得る。
【0087】
もう1つの特定の実施態様によれば、上記樹脂の軟化温度とは無関係に、段階(b)において使用する配合装置が何でもよい場合であるが、段階(b)を、130℃よりも低く、好ましくは100℃よりも低く、特に80℃よりも低く保っている最高温度においてまたはこの最高温度までで実施する。
【0088】
必要に応じて、マスターバッチを冷却する中間段階を上記の段階(a)と(b)の間に加えて、チウラムポリスルフィドを上記前以って製造したマスターバッチに導入する(段階(b))の前に、マスターバッチ温度を、上記樹脂の軟化温度よりも低い目標温度または無関係の130℃よりも低い、好ましくは100℃よりも低い、特に80℃よりも低い目標温度のいずれかの段階(b)を開始する前の所望値にする。
【0089】
カーボンブラックのような充填剤を使用する場合、その充填剤は、段階(a)において、即ち、固形不飽和ジエンエラストマーおよび炭化水素樹脂と同時に、或いは、段階(b)において、即ち、架橋剤(チウラムポリスルフィド)の全てまたは1部と同時に導入し得る。好ましくは0.5phrと2phrの間の極めて小割合のカーボンブラックは、上記組成物の配合処理および製造並びに上記組成物の最終押出加工性をさらに改良していることが判明している。
【0090】
任意構成成分としての液体可塑剤は、任意の時点で、すべてまたは1部を、上記方法の各段階のいずれか1つの段階において、特に、“高温”(即ち、上記樹脂の軟化温度よりも高い温度)または低めの温度においてのマスターバッチ自体の製造の段階(a)において(この場合、ジエンエラストマー中への炭化水素樹脂の混入前、混入中または混入後)、或いは、例えば、マスターバッチの製造後に(この場合、架橋剤の添加前、添加中または添加後、実際には本発明の組成物の最終成形(押出加工)中でさえも)混入し得る。
【0091】
特定の実施態様によれば、液体可塑剤は、例えば、少なくとも1部を、マスターバッチ製造の段階(a)において、より好ましくは、この場合、炭化水素樹脂と同時または炭化水素樹脂の導入後のいずれかに導入する。有利な実施態様によれば、炭化水素樹脂と液体可塑剤の混合物を、固形エラストマーマトリックス中への混入前に調製し得る。
もう1つの特定の実施態様によれば、液体可塑剤は、例えば、少なくとも1部を、架橋剤チウラムポリスルフィドの全てまたは1部を混入する段階(b)において導入する。
【0092】
もう1つの特定の実施態様によれば、液体可塑剤は、全てまたは1部を、段階(b)の後の段階(c)において、即ち、チウラムポリスルフィドの導入後に、例えば、配合用スクリュー押出機または2本ロール開放ミルタイプの開放ミキサーいずれかの段階(b)のミキサーと同じミキサーまたは異なるミキサー内で混入し得る。この混入は同じ開放ミキサーにおいて可能であるが、配合用スクリュー押出機を使用して、この押出機に、先ず段階(b)から得られる混合物を、次いで、液体可塑剤を導入することが有利であり得る;そのような配合用スクリュー押出機は、強力な剪断処理を適用する領域を備えており、従って、最終セルフシーリング組成物の良好な均質化を可能にする。
【0093】
もう1つの特定の実施態様によれば、全部ではない架橋剤(0.5phrと15phrの間の全体含有量のチウラムポリスルフィド)を段階(b)において導入する場合、この架橋剤の残りは、例えば、段階(a)または上述の追加の段階(c)において導入し得る。
また、本発明の組成物の全ての製造段階を、1つの装置、即ち、配合チャンバーに沿ってオフセット方式で配置した各種構成成分の導入および計量用の手段を備え、適切な均質化領域および製造した半製品に合せたダイを有する配合用スクリュー押出機によって連続して実施することも可能である。
【0094】
段階(b)からまたは必要に応じての上述の段階(c)から出た時点で、本発明の組成物の製造は終了する;本発明の組成物は、それ自体既知の方法で、選定した半製品、例えば、比較的広いゴム層、狭いストリップまたはタイヤブランクの組立てにおいて直接使用することのできる形状要素、さらにまた、後で押出装置において再使用することのできるストリップに合せた寸法を有するダイによる押出加工によって寸法的に成形する。
【0095】
そのような方法は、本発明に従う組成物の工業的見地から許容し得る処理条件下での迅速製造に特に良好に適合していることが判明しており、この組成物が、特に液体状態のエラストマーの可塑剤としての使用を必要としないで比較的高含有量の炭化水素樹脂を含むことを可能にしている。
マスターバッチ製造の段階(a)は、好ましくは、例えば、図2において単純な形で概略的に示しているように配合用スクリュー押出機内で実施する。
【0096】
図2は、押出スクリュー(例えば、シングルスクリュー) (21)と、不飽和ジエンエラストマー(固形)用の第1定量ポンプ(22)と、樹脂(固形または液体である)および任意構成成分としての液体可塑剤用の第2定量ポンプ(23)を本質的に含む配合用スクリュー押出機(20)を示す。炭化水素樹脂と任意構成成分としての液体可塑剤は、これらの成分を予め既に混合している場合には1つの定量ポンプによって導入し得、或いは2つの別個の定量ポンプによって別々に導入し得る(図2に示しているのは1つだけ)。定量ポンプ(22、23)は、材料の定量および初期特性の制御、定量機能(エラストマーと樹脂)および配合機能の切離しを保持すると共に良好なプロセス制御を提供しながら圧力を上昇させることを可能にしている。
【0097】
上記押出スクリューによって押し進められる生成物は、スクリュー回転によってもたらされる極めて強い剪断下に緊密に混合され、そのようにしてミキサーを通って、例えば、“チョッパー・ホモジナイザー(chopper‐homogenizer)”部分(24)まで前進し、このゾーンの出口において、そのようにして得られたマスターバッチ(25)は、矢印方向(F)に進行し、最後に、生成物を所望寸法に押出加工するのを可能にするダイ(26)によって押出される。特定の実施態様によれば、上記“チョッパー・ホモジナイザー部分を上記押出スクリューの温度よりも低い温度、例えば、40℃と60℃の間の温度に保持することが有利であり得る;これは、マスターバッチの接着性を抑制し、ひいてはマスターバッチの機械的加工性および均質性を改良するために行う。
【0098】
例えば、そのように押出加工されたマスターバッチは、即使用可能であり、その後、架橋剤および任意構成成分としての充填剤を導入するための、例えば、2本ロール開放ミルタイプの開放ミキサーに移し、冷却する;この2本ロール開放ミルタイプ開放ミキサー内の温度は、好ましくは上記樹脂の軟化温度よりも低く、さらに好ましくは100℃よりも低く、特に80℃よりも低く保つ。有利には、上記開放ミルのロールを、例えば、循環水によって40℃よりも低い、好ましくは30℃よりも低い温度に冷却して、上記組成物のミキサー壁へのあり得る望ましくない粘着を阻止または抑制する。
【0099】
マスターバッチを押出装置(20)の出口においてを直接形成させて、マスターバッチの輸送および/または上記開放ミキサー上へのマスターバッチの配置を容易にすることは可能である。また、2本ロール開放ミルタイプの開放ミキサーの連続供給を使用することも可能である。
上述した好ましい特定の装置および好ましい方法によって、本発明の組成物は、満足し得る工業的条件下に、組成物のミキサー壁への望ましくない過度の粘着によって器具を汚染するリスクを犯すことなく製造することが可能である。
【0100】
I‐5. 上記セルフシーリング組成物のパンク防止層としての使用
上記で説明したセルフシーリング特性を有する組成物または材料は、固形組成物(23℃において)であり、特に、その特定の配合により、極めて大きい可撓性と高変形性に特徴を有する。生状態(即ち、硬化前)において35℃で測定したそのムーニー粘度は、その特定の配合および目的とする用途に従って、特に、液体可塑剤の存在または不存在に従って、好ましくは20よりも高く、より好ましくは20と80の間にある。
【0101】
上記組成物は、任意のタイプの“インフレータブル”物品、即ち、定義によれば、空気によって膨張させたときにその使用可能な形状を有する任意の物品におけるパンク防止層として使用し得る。そのようなインフレータブル物品の例としては、ゴムボートおよび競技またはスポーツにおいて使用するボールを挙げることができる。
【0102】
上記組成物は、ゴム製のインフレータブル物品、最終製品または半製品における、特に、二輪車、乗用または産業用タイプのような自動車用或いは自転車のような自動車以外の車両用のタイヤにおけるパンク防止層として使用するのに特に良好に適している。
【0103】
そのようなパンク防止層は、好ましくは、インフレータブル物品の内壁上に配置されて内壁を完全にまたは少なくとも部分的に覆っているが、そのような層は、インフレータブル物品の内部構造体に完全に合体させてもよい。
上記パンク防止層の厚さは、好ましくは0.3mmよりも厚く、より好ましくは0.5mmと10mmの間(特に1mmと5mmの間)である。
【0104】
本発明の実施態様が特定の用途範囲および寸法および関与する圧力に従って変化し、上記パンク防止層は、その場合、幾つかの好ましい範囲の厚さを有することは、容易に理解し得るであろう。即ち、例えば、乗用車タイプのタイヤにおいては、このパンク防止層は、少なくとも0.5mm、好ましくは1mmと5mmの間の厚さを有し得る。もう1つの例によれば、重量物運搬または農業用車両用のタイヤにおいては、好ましい厚さは、1mmと6mmの間にあり得る。もう1つの例によれば、土木機械分野におけるまたは航空機用の車両タイヤにおいては、好ましい厚さは、2mmと10mmの間であり得る。最後に、もう1つの例によれば、自転車タイヤにおいては、好ましい厚さは、0.4mmと2mmの間であり得る。
【0105】
本発明の組成物は、タイヤにおける極めて広い操作温度範囲において、そのようなセルフシーリング層を含まないタイヤと比較して、転がり抵抗性に関して不利益を実質的に示さないという利点を有する。通常のセルフシーリング組成物と比較して、比較的高い温度(典型的には60℃よりも高い)、即ち、ある種のタイヤを使用する場合にしばしば遭遇する温度で使用中の過度のクリーピングのリスクは、著しく低下する。また、そのセルフシーリング特性も、低温(典型的には0℃よりも低い)での使用中に、特に上記固形不飽和ジエンエラストマーが天然ゴムとポリブタジエンの混合物を含むときに改良されている。
【0106】
勿論、本発明は、上記で定義した本発明の組成物を、生状態(即ち、未架橋状態)および硬化状態(即ち、架橋または加硫させた状態)において、気密層と必ずしも組合せていないタイヤまたは任意の他のインフレータブル物品において使用する場合にも当てはまる。
しかしながら、本発明の特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも1つの気密層と組合せて使用して、特にタイヤのようなインフレータブル物品の内壁として使用することのできる多層、即ち、セルフシーリング性で且つ気密性のラミネート型製品を製造する。
上記ラミネートの第2層は、空気気密性フィルム(airtight) (または、より一般的には気密性(gastight)フィルム)の役割を果すことのできる任意のタイプの材料を含み得、その材料は、例えば、金属材料またはポリマー材料のいずれかである。好ましくは、この気密層は、0.05mmよりも厚く、より好ましくは0.05mmと6mmの間(例えば、0.1〜2mm)の厚さを有する。
【0107】
好ましい実施態様によれば、この第2の気密層は、ブチルゴム組成物を含む。ブチルゴムは、知られている通り、イソブチレン/イソプレンコポリマー(IIRと略記する)、さらにまた、このタイプのコポリマーのハロゲン化形、好ましくは塩素化または臭素化形を意味するものと理解すべきである。好ましくは、ブチルゴムは、ハロゲン化ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルと非ハロゲン化ブチルとのブレンドである。ブチルゴムは、それ自体で、或いは、1種以上の他のエラストマー、特に、例えば、天然ゴムまたは合成ポリイソプレンのようなジエンエラストマーと組合せて使用し得る。
【0108】
もう1つの好ましい実施態様によれば、この第2の気密層は、例えば、特許出願WO 2008/145276号、WO 2008/145277号およびWO 2009/007064号に記載されているような、好ましくはポリスチレンとポリイソブチレンブロックを含む熱可塑性スチレンエラストマー(TPS)組成物を含む。
【0109】
さらにまた、上記気密組成物は、当業者にとって既知の気密層において通常存在する各種添加剤、例えば、カーボンブラックのような補強用充填剤;機密性を改良する層状充填剤(例えば、カオリン、タルク、雲母、クレーまたは変性クレー(“オルガノクレー”)のようなフィロケイ酸塩);酸化防止剤またはオゾン劣化防止剤のような保護剤;架橋系(例えば、イオウ系または過酸化物をベースとする);各種加工助剤または他の安定剤も含有する。
【0110】
上記ラミネートの2つの層は、任意の適切な手段によって、例えば、種々の接着剤を使用しての、好ましくは加圧下での単純な熱処理(例えば、16バール下に150℃で数分間)によって或いは上記他の2つの層の一体化をもたらす第3の接着剤層を挿入することによって一緒に結合させ得る。
【実施例】
【0111】
II. 本発明の実施例
セルフシーリング特性を有する本発明の組成物および上述の多層ラミネートは、全てのタイプの車両用のタイヤにおいて、特に、極めて高速で走行することのできる乗用車用のタイヤまたは特に高内部温度条件下に走行および操作することのできる重量物運搬車のような重量産業用車両用のタイヤにおいて有利に使用し得る。
【0112】
例えば、添付図面1は、本発明に従うタイヤの半径断面を極めて略図的に示している(特定縮尺に準じていない)。
このタイヤ1は、クラウン補強材即ちベルト6によって補強されたクラウン2、2つの側壁3および2つのビード4を有し、これらのビード4の各々は、ビードワイヤー5によって補強されている。クラウン2は、トレッド(この略図には示していない)が取付けられている。カーカス補強材7は、各ビード4内の2本のビードワイヤー5の周りに巻付けられており、この補強材7の上返し8は、例えば、タイヤ1の外側に向って位置しており、この場合、車輪リム9上に取付けて示している。カーカス補強材7は、それ自体知られている通り、例えば繊維または金属の“ラジアル”ケーブルとして知られているケーブルによって補強されている少なくとも1枚のプライからなる、即ち、これらのケーブルは、実際上、互いに平行に配置されて一方のビードから他方のビードに延びて円周正中面(2つのビード4の中間に位置しクラウン補強材6の中央を通るタイヤの回転軸に対して垂直の面)と80°と90°の間の角度をなしている。
【0113】
タイヤ1は、その内壁が、少なくとも2つの層(10a、10b)を含む多層ラミネート(10)を含み、このラミネートが、その第1層(10a)のためにセルフシーリング性であり、その第2層(10b)のために気密性であることに特徴を有する。
【0114】
本発明の好ましい実施態様によれば、2つの層(10a、10b)は、上記タイヤの実質的に内壁全体を覆い、一方の側壁から他方の側壁に、上記タイヤが装着位置にあるときの少なくともリムフランジのレベルまで延びている。しかしながら、他の可能性ある実施態様によれば、層10aは、気密領域(層10b)の部分のみ、例えば、上記タイヤのクラウン領域のみを覆い得るか、或いは、少なくともクラウン領域から上記タイヤのショルダーまでまたは側壁の中心点(赤道)まで延び得る。
【0115】
もう1つの好ましい実施態様によれば、上記ラミネートは、第1のセルフシーリング層(10a)が、添付図面1に概略示しているように、他の層(10b)に対してタイヤ内のこれら2つの層のうちの半径方向最内層であるような形で位置付けする。換言すれば、セルフシーリング層(10a)は、タイヤ1の内部空洞11の側面上の気密層(10b)を覆っている。もう1つの可能性ある実施態様は、この層(10a)が、これら2つの層のうちの半径方向最外層であり、その場合、気密層(10b)とタイヤ1の残余の構造体との間に位置する実施態様である。
【0116】
この例においては、層10b (0.7〜0.8mmの厚さを有する)は、ブチルゴムをベースとし、内部ライナー用の通常の配合を示し、通常、一般的なタイヤにおいて、そのタイヤの半径方向内面を形成している。従って、この気密層10bは、タイヤ1を膨張させ圧力下に保つのを可能にしている。その気密特性は、比較的遅い圧力低下速度を担保するのを可能にしており、膨張させたタイヤを、正常な操作状態において、十分な時間、通常は数週間または数ヶ月間保つのを可能にしている。
【0117】
層10aは、1例として、この実施例においては、固形不飽和ジエンエラストマー(50phrの固形NRと50phrの固形BRとのブレンド;最終組成物中で約270 000g/モルに等しいエラストマーブレンドの数平均モル質量)、約50phrの質量による含有量でのExxon Mobil社からの炭化水素樹脂“Escorez 2101”(約44℃に等しいTg、約90℃に等しい軟化点、約800g/モルに等しいMn、約2.1に等しいPI)、約15phrの液体ポリブタジエンエラストマー(Sartomer Cray Valley社からの“Ricon 154”;約−20℃に等しいTg、約5000g/モルに等しいMn、約1.4に等しいPI)、および3phrのTBzTDを含む本発明に従うセルフシーリング組成物からなる;さらに、層10aは、極めて少量(約1phr)のカーボンブラック(N772)および約3phrの酸化防止剤も含む。
【0118】
上記2つの出発エラストマーBRおよびNRの100℃におけるムーニー粘度ML (1+4)は、それぞれ、約45および約85に等しい、2つのエラストマーの各々において、モル質量の分布領域(SECによって測定)の80%よりも多くが100 000g/モルよりも高い状況にある。
【0119】
上記セルフシーリング組成物は、図2に略図的に示しているようなシングルスクリュー押出機(40L/D) (既に上記で説明している)を使用して製造した;上記ベース構成成分(BR、NR、樹脂)の混合は、樹脂の軟化点よりも高い温度(100℃と130℃の間)で実施した。使用した押出機は、3つの異なる供給口(ホッパー) (BR、NR、樹脂)および樹脂用の加圧液体注入ポンプ(約100〜110℃で注入)を有していた。エラストマーと樹脂をそのようにして緊密に混合したとき、上記組成物の望ましくない粘着性は極めて有意に低下していることが判明した。
【0120】
上記押出機は、上記マスターバッチを所望寸法(例えば、ストリップの形)に押出加工して、他の構成成分、即ち、全て(3phr)の架橋剤(TBzTD)、カーボンブラックおよび酸化防止剤の最終混入のための、+30℃よりも低い値に維持した(ロールを循環水で冷却することにより)低温の2本ロール開放ミルタイプの開放ミキサー内に入れるためのダイを備えていた。任意構成成分としての液体可塑剤は、本例においては、2本ロール開放ミルタイプの開放ミキサーにおいての架橋剤混入の段階(b)の後に、段階(c)において導入した。この段階(c)は、80℃と130℃の間の温度で、段階(a)において使用したのと同じタイプの配合用スクリュー押出機に通し混合することによって実施した。
【0121】
例えば、図1において、図1の層10bとタイヤの空洞11との間に置かれた層10aは、偶発的開孔による圧力減に対する有効な保護を、これらの開孔の自動的シーリングを可能にすることによってタイヤに付与することを可能にしている。
【0122】
クギのような異物がインフレータブル物品の構造体、例えば、タイヤ1の側壁3のような壁またはクラウン6を貫通する場合、セルフシーリング層として機能する本発明の組成物は、種々の応力を受ける。これらの応力に反応して、また、その有利な変形性および弾力特性のために、上記組成物は、異物の周り全体に機密性接触領域を産み出す。上記異物の輪郭または外形が均一または規則的であるかどうかは殆ど重要ではなく、上記セルフシーリング組成物の可撓性が微細な大きさの開口中に浸透するのを可能にする。上記セルフシーリング組成物と異物とのこの相互作用により、異物が侵襲した領域に機密性を付与する。
【0123】
異物が、偶発的であれ或いは意図的であれ、除去された場合、開孔は残存する:開孔は、開孔の大きさに従って、多かれ少なかれ有意性のある漏れを発生させ得る。静水圧の作用を受けた本発明のセルフシーリング組成物は、十分に可撓性で且つ変形性であり、変形することによって開孔を閉鎖して、膨張ガスが漏出するのを防止する。特にタイヤの場合、本発明のセルフシーリング組成物の可撓性は、荷重タイヤが走行時に変形する段階においてさえも、周囲壁の歪みに何の問題もなく耐えることを可能にしていることが判明している。
【0124】
上述したようなパンク防止層(10a)を備えたタイヤは、加硫(または硬化)前または後に製造し得る。
第1の場合(即ち、タイヤを硬化させる前)においては、本発明のセルフシーリング組成物を所望の位置に通常の方法で単純に適用して、層10aを形成させる。その後、加硫操作を通常通りに実施する。
タイヤ製造技術の熟練者にとって有利な製造方法の変法は、例えば最初の段階において、上記セルフシーリング組成物を、タイヤ構築用ドラム上に、適切な厚さ(例えば、2〜6mm)を有するスキムの形で、このドラムを気密層およびその後のタイヤの残りの構造体で覆う前に、当業者にとって周知の製造方法に従って直接平坦に付着させることからなる。さらに、このタイプの方法は、気密層10bが半径方向の最内部にある第2の実施態様を容易に実施することも可能にする。
【0125】
第2の場合(即ち、タイヤを硬化させた後)においては、上記セルフシーリング組成物を、硬化させたタイヤの内側に、任意の適切な方法によって、例えば、適切な厚さのフィルムを接着接合させる、スプレーするまたは押出加工およびブロー成形することによって適用する。
【0126】
試験においては、205/55R16サイズを有し“Michelin、Energy 3 ブランド”の乗用車タイプのタイヤを試験した。タイヤの内壁(気密層(10b)を既に含む)を、上記のセルフシーリング層(10a)で3mmの厚さでもって被覆し、その後、タイヤを加硫した。
【0127】
その後、4個の直径5mmの開孔を、装着して膨張させたときのタイヤの1本に、ポンチを使用して、トレッドとクラウンブロックを貫通して生じさせた;ポンチは直ちに取除いた。
予期に反して、このタイヤは、400kgの公称荷重下150km/時での回転ドラム上での走行に、圧力を低下させることなく1500kmよりも長く耐えていた;この距離以降は、走行を中止した。
セルフシーリング組成物を有してなく、上記と同じ条件下では、そのようにして開孔させたタイヤは、1分未満内でその圧力を喪失し、走行するのに完全に不適切となった。
【0128】
−20℃の温度の回転装置上で今回実施した低温性能試験は、本発明の組成物における優れたセルフシーリング特性を確証していた。
【符号の説明】
【0129】
1 空気式タイヤ
2 クラウン
3 側壁
4 ビード
5 ビードワイヤー
6 クラウン補強材(ベルト)
7 カーカス補強材
8 カーカス補強材の上返し
9 車輪リム
10 気密パンク防止ラミネート
10a パンク防止層
10b 気密層
11 内部空洞
20 配合用スクリュー押出機
21 押出スクリュー
22 第1定量ポンプ
23 第2定量ポンプ
24 チョッパー・ホモジナイザー
25 マスターバッチ
26 ダイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記をベースとする、特にインフレータブル物品におけるパンク防止層として使用することのできるセルフシーリング特性を有するエラストマー組成物(phrは固形エラストマー100質量部当りの質量部を意味する):
・固形不飽和ジエンエラストマー;
・30phrと90phrの間の量の炭化水素樹脂;
・0から30phr未満の充填剤;
・0.5phrと15phrの間の量のチウラムポリスルフィド。
【請求項2】
前記固形ジエンエラストマーが、ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマーおよびそのようなエラストマーの混合物からなる群から選ばれる、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記固形ジエンエラストマーが、ポリブタジエン、天然ゴムおよびそのようなエラストマーの混合物からなる群から選ばれる、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記固形ジエンエラストマーが、前記組成物の唯一の固形エラストマーを構成する、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記固形ジエンエラストマーが、前記組成物の質量による主要固形エラストマーを構成する、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
前記固形ジエンエラストマーの数平均モル質量が、100 000g/モルと5 000 000g/モルの間である、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
炭化水素樹脂の含有量が、45〜75phrの範囲内にある、請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
前記炭化水素樹脂が、0℃よりも高い、好ましくは+20℃よりも高いガラス転移温度(Tg)を示す、請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
前記炭化水素樹脂が、+25℃と+100℃の間のTgを示す、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
前記炭化水素樹脂の数平均モル質量Mnが、400g/モルと2000g/モルの間である、請求項1〜9のいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
前記炭化水素樹脂が、シクロペンタジエンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、ジシクロペンタジエンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、テルペンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、テルペン フェノールのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C5留分のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C9留分のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、α‐メチルスチレンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
0から20phr未満、好ましくは0から10phr未満の充填剤を含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の組成物。
【請求項13】
カーボンブラックを充填剤として含む、請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
5phr未満、好ましくは2phr未満のカーボンブラックを含む、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
0.5phrと2phrの間の量のカーボンブラックを含む、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
ガラス転移温度(Tg)が−20℃よりも低い液体可塑剤をさらに含む、請求項1〜15のいずれか1項記載の組成物。
【請求項17】
液体可塑剤の含有量が、60phrよりも少ない、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
液体可塑剤の含有量が、5〜40phr、好ましくは10〜30phrの範囲内にある、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
前記液体可塑剤が、液体エラストマー、ポリオレフィンオイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、DAEオイル、MESオイル、TDAEオイル、鉱油、植物油、エーテル可塑剤、エステル可塑剤、ホスフェート可塑剤、スルホネート可塑剤およびこれら化合物の混合物からなる群から選ばれる、請求項16〜18のいずれか1項記載の組成物。
【請求項20】
前記液体可塑剤が、液体エラストマー、ポリオレフィンオイル、植物油およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記液体可塑剤の数平均モル質量Mnが、400g/モルと90 000g/モルの間である、請求項16〜20のいずれか1項記載の組成物。
【請求項22】
チウラムポリスルフィドの含有量が、0.5phrと10phrの間の量、好ましくは1〜5phrの範囲内にある、請求項1〜21のいずれか1項記載の組成物。
【請求項23】
パンク防止層を備え、この層が請求項1〜22のいずれか1項記載の組成物を含むインフレータブル物品。
【請求項24】
前記層が、0.3mmよりも大きい厚さを有する、請求項23記載の物品。
【請求項25】
前記層が、0.5mmと10mmの間の厚さを有する、請求項24記載の物品。
【請求項26】
前記層が、前記インフレータブル物品の内壁上に付着されている、請求項23〜25のいずれか1項記載の物品。
【請求項27】
前記インフレータブル物品が、ゴム製の物品である、請求項23〜26のいずれか1項記載の物品。
【請求項28】
前記インフレータブル物品が、タイヤである、請求項27記載の物品。
【請求項29】
前記層を気密層と組合せて使用し、それによってセルフシーリングかつ気密なラミネートを形成させる、請求項23〜28のいずれか1項記載の物品。
【請求項30】
前記気密層が、ブチルゴムまたは熱可塑性スチレンエラストマーをベースとする、請求項29記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−518158(P2013−518158A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550401(P2012−550401)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050858
【国際公開番号】WO2011/092124
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(512068547)コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン (169)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】