説明

セルラー・ネットワークにおける協調通信(cooperativecommunications)

第1の伝送技術を使用して少なくとも1つの基地局(BS1、BS2)とのワイヤレス通信を実行するようになっている複数の移動局(MS1からMS3)を備えるセルラー・ネットワーク(1)における通信のための方法が提供され、本方法は、2つ以上の移動局(MS1、MS2)を備える協調クラスタ(C)を形成するステップと、好ましくは、干渉の抑制と、キャンセルとのうちの少なくとも一方についてMIMO技法を使用することにより、特にアップリンク伝送のための送信プリコーディングと、ダウンリンク受信のための受信アンテナ重み付けとのうちの少なくとも一方を使用することにより、クラスタ(C)のうちの少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)について、基地局(BS)とのワイヤレス通信の性能を改善するための、第1の伝送技術とは異なる第2の伝送技術を使用して協調クラスタ(C)の移動局(MS1、MS2)の間の短距離通信を実行するステップとを備える。協調クラスタ(C)を形成するための移動局(MS1、MS2)、少なくとも1つのそのような移動局(MS1、MS2)を備える協調クラスタ(C)、およびセルラー・ネットワーク(1)も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信の分野に関し、より詳細には、少なくとも1つの基地局とのワイヤレス通信を実行するようになっている移動局の間の協調通信に関する。
【背景技術】
【0002】
本節は、本発明のよりよい理解を容易にする際に助けとなり得る態様を紹介するものである。したがって、本節の記述は、この観点から読まれるべきであり、また何が先行技術であるか、または何が先行技術でないかについての承認として理解されるべきではない。
【0003】
協調通信の基本概念は、2つ以上のノード、例えば、モバイル端末が、データを相互に中継することができるということであり、モバイル端末の間の協調通信は、一般的に、エア・インターフェース・リレー(air interface relay)に基づいている。中継ノードから受信されるデータは、まるで別の基地局から送信されているかのように解釈される可能性がある。しかしながら、協調通信は、一般的に、協調するモバイル端末の間にパートナーシップの制約が存在しないことが仮定されるので、セキュリティ問題を引き起こす可能性がある。さらに、1つの移動局が、別の移動局についての中継ノードとしての機能を果たすときに、ワイヤレス・システムは、一般的に、リソースを2回割り付ける必要があり、すなわち1回目は、移動局(単数または複数)との基地局の通信のためであり、また2回目は、移動局の間の通信のためである。それゆえに、協調通信は、リソースの高い占有を犠牲にして動作する。
【0004】
さらに、セルラー・モバイル通信システムにおけるスペクトル効率と、セル境界スループットと、セルの範囲とは、基地局と移動局との間のワイヤレス・リンクの両端におけるアンテナの数に依存する。リンクの中のより多くのアンテナは、有用な信号の品質を高める際に、また望ましくない信号(干渉)を抑制する際において、よりよい能力を可能にする。しかしながら、モバイル端末のアンテナの数は、フォーム・ファクタ、RFチェーンのコストなどに起因して制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記で述べられる1つまたは複数の問題の影響に対処することを対象としている。以下は、本発明のいくつかの態様についての基本的な理解を提供するために本発明の簡略化された概要を提示している。この概要は、本発明の網羅的な概説ではない。本発明の主要な、または重大な要素を識別すること、または本発明の範囲を詳しく説明することは、意図されていない。その唯一の目的は、後で論じられるより詳細な説明に対する前置きとしていくつかの概念を簡略化された形式で提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第1の伝送技術を使用して少なくとも1つの基地局とのワイヤレス通信を実行するようになっている複数の移動局を備えるセルラー・ネットワークにおける通信のための方法に関するものであり、本方法は、2つ以上の移動局を備える協調クラスタ(cooperating cluster)を形成するステップと、好ましくは、干渉の抑制と、キャンセルとのうちの少なくとも一方についてMIMO技法を使用することにより、特にアップリンク伝送のための送信プリコーディングと、ダウンリンク受信のための受信アンテナ重み付けとのうちの少なくとも一方を使用して、クラスタのうちの少なくとも1つの移動局について、基地局とのワイヤレス通信の性能を改善するための、第1の伝送技術とは異なる第2の伝送技術を使用して協調クラスタの移動局の間の短距離通信を実行するステップとを備える。
【0007】
本発明者等は、基地局との移動局の通信の性能を改善するために、今日のモバイル・デバイスのうちのいくつかについてのビルトイン機能を使用して、基地局と通信するための伝送技術とは異なる伝送技術を使用した短距離通信を実行することを提案する。この目的のために、第1の伝送技術によって提供される必要がある追加のリソースを割り付ける必要なしに、クラスタの移動局の間で、データ、ならびにチャネル状態情報を交換することを可能にする、移動局の協調クラスタが、形成される。さらに、MIMO技法、特に(線形)プリコーディングおよび空間多重化を使用するときに、限られた数だけのアンテナが、単一の移動局において展開され得るという問題が、軽減されることが可能である。特に、全体の協調クラスタを多数のアンテナを有する1つの仮想移動局として取り扱うことが、可能になり得る。
【0008】
短距離通信のための伝送技術は、ワイヤレス技術、またはワイヤ・ライン(wire−line)技術(ケーブル布線)とすることができる。ワイヤレス技術が、使用されるときに、通信は、帯域外の周波数範囲を使用して、すなわち、基地局との通信のために使用される周波数範囲とは異なる周波数範囲において実行されることが可能である。この場合には、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(Wireless Local Area Network)(WLAN 802.11x)技術やブルートゥース(Bluetooth)技術などの技術が、使用されることが可能である。しかしながら、超広帯域技術など、基地局との通信のために使用される周波数帯域をカバーすることができるある種のオーバーレイ技術を使用することも可能である。
【0009】
協調クラスタを形成するための一変形においては、少なくとも1つの移動局は、少なくとも1つのさらなる移動局との協調を要求し(すなわち、協調要求を送信し)、さらなる移動局は、好ましくは、さらなる移動局のユーザの承認もしくは不承認、さらなる移動局のバッテリ状態、またはさらなる移動局の速度のうちの少なくとも1つに基づいて、その要求を受け入れ、または拒絶する。
【0010】
セキュリティが、課題であるので、移動局のユーザが、彼らがクラスタに参加したいと思うか否かを選択することが、可能であるべきであり、このようにして信頼できるパートナーにクラスタの中の通信を制限する。クラスタ化オプションをオンにしているユーザは、クラスタからのそれ自体のデータの送信/受信について利益を得ることができるが、またクラスタ内の通信を支援することにより、他のユーザを助ける必要もある。
【0011】
したがって、送信すべきデータを有さない移動局はまた、クラスタの他の移動局を支援しており、またこれにより他の移動局のためにそれらのバッテリ・パワーを使用している。低バッテリ状態を有する移動局のユーザについての問題が起こらない可能性があることを確認するために、クラスタが、形成されるときに、バッテリ状態はまた、チェックされ、また低バッテリ状態を有する(またはバッテリ容量のある種のしきい値より下の)「ヘルパー」モバイルは、クラスタに参加しないことが、示唆される。バッテリの消費電力を低減させるためのさらなるステップは、必要とされる最小限度までだけモバイルを支援する処理を低減させることとすることができる。これは、それらが処理のために「目を覚ます」必要があるときに、短距離通信を経由してクラスタの中の支援するモバイルに通知することにより行うことができる。
【0012】
また、移動局は、その間ずっと移動しているので、それらは、クラスタの中のモバイルの数が、急激に変化することができるように、クラスタの他の移動局との短距離伝送が可能である範囲を比較的急速に離れることができる。したがって、クラスタの中の移動局の堅牢な協調を維持するために、ある種のレベルを超過する速度を有する移動局は、一般的に、クラスタに参加することを許可されるべきではない。
【0013】
一般的に、短距離通信は、クラスタのうちの1つの移動局をマスター局として、またクラスタのうちの少なくとも1つのさらなる移動局をスレーブ局として定義する協調プロトコルを使用して実行されることが可能である。割り当てマスター/スレーブは、クラスタの中で送信されるコンテンツに依存し得ることが、理解されるであろう。例えば、複数のモバイルTVチャネルを配信するためのマルチメディア・ブロードキャスト・マルチキャスト・サービス(Multimedia Broadcast Multicast Services)(MBMS)などのアプリケーションにおいては、1つの移動局は、ある種のチャネルではマスター局とすることができ、また別のチャネルでは、同じ移動局は、スレーブ局とすることができる。マスター/スレーブ局の間の通信を協調させるために、専用の協調プロトコルは、例えば、スレーブ端末の物理レイヤを、特に、受信されるリソース・ブロックと、変調符号化スキーム(Modulation and Coding Schemes)(MCS)とを構成するために使用されることが可能である。
【0014】
2つの移動局の間だけで短距離通信を実行するときでさえ、一般に容量が、2倍にされ得るように、受信されたSNRが、マルチ・パス・チャネルにおいて数dBだけ改善することができるように、利点が、かなりあり、これによって通信をスピードアップすることが可能になる。これは、長距離通信のために有利に使用されることも可能である(おそらくかなりのカバレッジ拡張をもたらす)。さらに、セル・エッジにおける移動局は、スケーラブルなコーデックが使用されるときに、拡張されたレイヤの(高精細)モバイルTVを受信することができるようになる。特に、第2の伝送技術が、同じトランシーバ(例えば、UWBなどのオーバーレイ技術が使用されるときの)またはケーブル布線を使用して実施されるときに、移動局は、1つのトランシーバだけを必要とするが、デュアル・レシーバの性能を享受する。さらに、アンテナの配置のために制約された空間に起因して、複数本の、例えば、2本または4本のアンテナを有する単一の移動局を装備するときに、アンテナは、チャネル容量を弱体化させる可能性のある何らかの相互関係を有する可能性がある。受信のための異なる移動局のアンテナを使用する1つの利点は、アンテナが、相互に関連しなくなるように、アンテナの相互の距離が、波長の少なくとも数十倍になることである。
【0015】
一変形においては、短距離通信は、クラスタの少なくとも1つの移動局からクラスタの少なくとも1つのさらなる移動局へのデータと、チャネル状態情報と、アンテナ重み付けとのうちの少なくとも1つを送信するために実行され、データは、タイム・ドメインのIQサンプル、周波数ドメインのIQサンプル、ソフト・ビット、または復号されたデータの形態で送信されることが好ましい。
【0016】
ダウンリンク受信では、1つの移動局のために意図されるすべてのデータは、全クラスタにより、すなわちクラスタのうちのすべての移動局によって収集されることが可能である。次いで、この情報は、対象とされる移動局に対して短距離のモバイル・ツー・モバイル・通信を経由して移送される必要がある。対象とされた移動局は、ちょうど余分なアンテナ・ブランチを有すること、チャネル推定を行うこと、シンボルを復調すること、オプションとして逐次的な干渉のキャンセルを伴うMIMO受信アルゴリズム、例えば、最小平均2乗誤差(Minimum Mean−Square Error)(MMSE)受信を使用してアンテナを組み合わせること、および受信データについて復号することとしてこの情報を取り扱うことができる。
【0017】
通信のフォーマットについては、異なる可能性が存在しており、すなわち、すべてのクラスタの近隣に対してタイム・ドメインのIQサンプルを転送することは、短距離モバイル・ツー・モバイル・リンクのために非常に大きな帯域幅を消費することになる。周波数ドメインのIQサンプルを転送するときには、帯域幅は、対象とされるクラスタのモバイルのためのスケジュールされたデータを含む周波数領域(リソース・ブロック)をちょうど転送することにより、低減されることが可能である。データ伝送のフォーマットに関するさらなるオプションは、ソフト・ビットまたは復号されたデータの転送を含んでいる。
【0018】
チャネル状態情報を有していないアップリンク・データ伝送では、オープン・ループMIMO技法が、使用されてもよい(例えば、空間−時間−周波数−ブロック符号化、またはBLAST)。よりよい性能のためには、チャネル状態情報を使用したMIMO技法が、推奨される。例えば、時分割デュプレックス(Time Division Duplex)、TDDを使用したネットワークにおいては、ダウンリンク・パイロット・シンボルをリッスンする(listening)クラスタの移動局は、それらのクラスタ・パートナーに対してチャネル状態情報を転送すべきであり、これは、アップリンクにおける送信重みの計算のためにチャネル相互関係(channel reciprocity)を活用することができる。
【0019】
モバイルが、アップリンク・データを送信したいと望むときに、それは、データに加えた線形プリコーディング送信重みをその隣に対して配信することができる。この場合にも、ダウンリンクにおけると同様に、これを如何に行うべきかについてのいくつかのオプションが存在しており、すなわち、タイム・ドメインのIQサンプル、周波数ドメインのIQサンプル、データ・シンボルに加えた重み、データ・ビットに加えた重みなどを使用することである。
【0020】
クラスタの送信アンテナの大きな数に起因して、線形プリコーダ(linear precoder)の設計は、今やいくつかの目的をすぐに果たすことができ、例えば、隣接セルにおける干渉を最小にしながら、望ましいサービング・セル(serving cell)における総受信パワーを最大にする。例えば、線形プリコーディングを使用した12個の単一トランシーバ・アンテナのモバイルのクラスタは、各受信アンテナにおける4−アンテナの基地局セクタの受信パワーを最大にし、またさらに2つの隣接セル(各々が4本のレシーバ・アンテナを有する)における干渉をゼロにする(または抑制する)ことができる。
【0021】
さらなる一変形においては、クラスタの移動局は、短距離通信を使用して、基地局との協調ワイヤレス通信を実行して、単一の仮想移動局としての機能を果たす。アップリンク・パイロット・シンボルが、データと同じ重みを用いてプリコードされる(precoded)ときに(上記を参照)、クラスタは、基地局に対してトランスペアレントに見えることができ、1つの仮想モバイルとしての機能を果たす。
【0022】
さらなる一変形においては、クラスタの移動局は、好ましくは時刻同期プロトコル、特に高精度時間プロトコル(Pecision Time Protocol)、PTP(IEEE1588)と、全地球測位システム(Global Positioning System)、GPSと、第1および/または第2の伝送技術に固有の同期メカニズムとのうちの少なくとも1つを使用して、時刻同期される。協調通信では、専用の時刻同期プロトコルが、使用されてもよく、または第1/第2の伝送技術に固有の同期メカニズム/プロトコルが、採用されてもよい。また、例えば、GPSシステムによって提供される共通の時間基準が、使用されてもよい。一般に、クラスタのすべての移動局は、セルラー・ネットワークに同期化される必要があり、またそれゆえに、チャネル状態を測定するためにパイロット・シンボルをリッスンする必要があることが、理解されるであろう。このようにして、クラスタのうちのいくつかの移動局が、送信すべきデータを有していないときに、それらは、クラスタのうちの他の移動局のためのデータ伝送を支援することができ、また移動局の適切な時刻同期は、依然として保証されることが可能である。
【0023】
本発明のさらなる一態様は、第1の伝送技術を使用してセルラー・ネットワークの少なくとも1つの基地局とのワイヤレス通信を実行するようになっており、またさらに、第1の伝送技術とは異なる第2の伝送技術を使用して移動局の協調クラスタのうちの他の移動局との短距離通信を実行するようになっている移動局に関するものであり、短距離通信は、好ましくは、干渉の抑制と、キャンセルとのうちの少なくとも一方についてMIMO技法を使用することにより、特にアップリンク伝送のための送信プリコーディングと、ダウンリンク受信のための受信アンテナ重み付けとのうちの少なくとも一方を使用して、基地局との移動局のワイヤレス通信の性能を改善するために使用される。基地局と通信するために使用される伝送技術とは異なる伝送技術を使用して短距離通信を実行する今日の移動局のうちのいくつかのビルトイン機能は、第1の伝送システムによって提供される必要があるリソースを頼りにする必要なしに、それぞれ基地局によって協調通信を実行するために使用されることが可能である。
【0024】
一実施形態においては、短距離通信のための伝送技術は、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク技術、ブルートゥース技術、超広帯域技術、およびワイヤ・ライン技術から成る群から選択される。これら、および他の短距離通信技法は、協調クラスタを形成するために使用されることが可能である。
【0025】
さらなる実施形態においては、移動局は、クラスタの少なくとも1つのさらなる移動局へと/から、データと、チャネル状態情報と、アンテナ重み付けとのうちの少なくとも1つを送信する/受信するための短距離通信を実行するようになっており、データは、タイム・ドメインのIQサンプル、周波数ドメインのIQサンプル、ソフト・ビット、または復号されたデータの形態で送信されることが好ましい。アンテナ重み付けは、クラスタ化された移動局と、基地局との間のMIMO通信を実行するために交換されることが可能である。
【0026】
本発明のさらなる一態様は、上記に説明されるような少なくとも2つの移動局を備える、セルラー・ネットワークのための協調クラスタに関する。そのマルチ・アンテナ機能に起因して、モバイル端末のそのようなクラスタは、同じ時間−周波数リソースを使用してすぐにいくつかのデータ・ストリームを送信することができ、すなわち、MIMO空間多重化を行う。現在のLTE規格は、1本の送信アンテナ(将来のリリースではおそらく2本)をサポートするにすぎず、それゆえに、より多数の空間ストリームが、アップリンクにおいてサポートされる必要があるときには、拡張される必要がある。
【0027】
ダウンリンクにおいては、使用可能なマルチ・アンテナ機能を用いて、移動局のクラスタは、隣接セルからの干渉を抑制することができる(例えば、最適組合せ(optimum combining)/干渉拒絶の組合せ(interference rejection combining)/MMSEなどを使用することにより)。アップリンクにおいては、隣接セルに対する干渉は、クラスタの送信重みの適切な設計により空間的に抑制されることが可能である。2つ以上のセルの境界の近くに形成されるクラスタは、同時に複数のセルに対して送信することもでき、これによって協調マルチ・ポイント伝送(COMP)のための大きな機会を生成する。
【0028】
一実施形態においては、協調クラスタのうちの移動局は、1つの移動局をマスター局として、また少なくとも1つのさらなる移動局をスレーブ局として定義する協調プロトコルを使用して、短距離通信を実行するようになっている。協調プロトコルは、特に、スレーブ局からマスター局への転送のためのデータ・フォーマットを構成することができ、またそのパートナーからの応答が存在することを端末に対してアクティブにする/示すことができる。協調プロトコルはまた、協調レベルを、例えば、浮動小数データ、または整数データが転送される必要があるかどうかを構成することもできる。さらに、協調プロトコルは、1つの移動局の、別の移動局に対する協調のための要求を生成する/処理するために使用されることが可能である。
【0029】
別の実施形態においては、移動局は、好ましくは時刻同期プロトコル、特に高精度時間プロトコル、PTPと、全地球測位システム、GPSと、第1および/または第2の伝送技術に固有の同期メカニズムとのうちの少なくとも1つを使用して時刻同期される。上記で説明されているように、クラスタの移動局の間の、また基地局と移動局との間の適切な同期化が、必要であり、また上記で説明される1つまたは複数の同期メカニズムを使用して実施されることが可能である。
【0030】
別の実施形態においては、移動局は、短距離通信を使用して、基地局との協調ワイヤレス通信を実行して、単一の仮想移動局としての機能を果たすようになっている。上記で示されるように、クラスタのうちの移動局のアップリンク・パイロット・シンボルが、データと同じ重みを用いてプリコードされるときに、クラスタは、基地局に対してトランスペアレントに見えることができ、クラスタは、1つの仮想モバイルとしての機能を果たす。
【0031】
本発明の最後の一態様は、上記で説明されるタイプの少なくとも1つの協調クラスタを備えるセルラー・ネットワークにおいて実施される。クラスタの基地局と、移動局との間の通信の性能は、短距離通信を使用することにより高められることが可能であり、全般的なネットワーク性能の改善をもたらす。特にビーム形成や線形プリコーディングなどのMIMO技法を使用するときに、サービング・セルの受信信号強度は、最大にされることが可能であり、また同時に、隣接セルに対する干渉が、抑制されることが可能である。
【0032】
さらなる特徴および利点は、図面の各図を参照して、重要な詳細を示す例示の実施形態についての以下の説明の中で述べられ、また特許請求の範囲によって定義される。個々の特徴は、それら自体によって個別に実施されることが可能であり、あるいはそれらのうちのいくつかは、望ましい任意の組合せの形で実施されることが可能である。
【0033】
例示の実施形態は、線図で示され、また下記の説明の中で説明される。以下の図が、示されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ダウンリンク伝送を実行する協調クラスタを有するセルラー・ネットワークの一実施形態についての概略図である。
【図2】アップリンク伝送を実行する協調クラスタを有するセルラー・ネットワークの一実施形態についての概略図である。
【図3】クラスタの2つの移動局の間の協調プロトコルを使用したデータ転送プロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
「プロセッサ」としてラベル付けされる任意の機能ブロックを含めて、図に示される様々な要素の機能は、専用のハードウェア、ならびに適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通して提供され得る。プロセッサによって提供されるときに、機能は、単一の専用のプロセッサにより、単一の共用のプロセッサにより、または複数の個別プロセッサにより提供されることが可能であり、これらのプロセッサのうちのいくつかは、共用されてもよい。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアだけを排他的に意味するようには解釈されるべきではなく、また限定することなく、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)(DSP)ハードウェアと、ネットワーク・プロセッサと、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit)(ASIC)と、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field programmable gate array)(FPGA)と、ソフトウェアを記憶するためのリード・オンリー・メモリ(read only memory)(ROM)と、ランダム・アクセス・メモリ(random access memory)(RAM)と、不揮発性ストレージとを暗黙のうちに含むことができる。他のハードウェア、従来のもの、および/またはカスタムもまた、含まれていてもよい。同様に、図に示される任意のスイッチは、概念的なものにすぎない。それらの機能は、プログラム・ロジックのオペレーションを通して、専用のロジックを通して、プログラム制御と、専用のロジックとの相互作用を通して、あるいは手動的にさえも、実行されてもよく、特定の技法は、文脈から、より詳細に理解されるように、実施者により選択可能である。
【0036】
図1は、ロング・ターム・エボリューション(Long−Term Evolution)、LTE、規格と準拠している本例の中のセルラー・ネットワーク1のセルの簡略化された一例を示すものであり、LTEセルは、無線カバレッジのエリア(図示されず)に広がる単一の基地局BSを有する。3つの移動局MS1からMS3は、LTEセルの基地局BSによってサーブされる。第1および第2の移動局MS1、MS2は、協調クラスタCを形成するのに対して、第3の移動局MS3は、クラスタCに参加してはいない。基地局BSに対する移動局MS1、MS2の通信は、LTE規格に応じて実行されるのに対して、移動局MS1、MS2の間の通信は、異なるワイヤレス技術を、本場合においては、基地局BSとの通信のために使用される周波数帯域の外にあるWLAN技術を使用した短距離通信である。
【0037】
当業者は、他の伝送技術もまた、例えば(それだけには限定されないが)、ブルートゥース技術、超広帯域技術、またはワイヤ・ライン技術(ケーブル布線)もまた、クラスタCの移動局MS1、MS2の間の通信のために使用され得ることを理解するであろう。
【0038】
協調クラスタCを形成するために、本例においては、第1の移動局MS1は、第2の移動局MS2のユーザによって受け入れられている、第2の移動局MS2に対する協調要求を送信している。第1の移動局MS1はまた、第3の移動局MS3に対しても協調要求を送信しているが、後者は、クラスタCに参加してはいない。本場合においては、これは、第3の移動局MS3のユーザによるクラスタへの参加の未承認に起因している。移動局がクラスタCに参加できない他の原因は、(それだけには限定されないが):a)低バッテリ、参加するモバイルのパワーの一部が、データを送信する際にクラスタの他のモバイルを支援するために使用されるので、b)第3の移動局が、短距離WLAN伝送の範囲外にあること、またはc)移動局のあまりにも高すぎる速度とすることができる。もちろん、ユーザの代わりに、第2/第3の移動局MS2、MS3それら自体(例えば、その上で実施される適切なソフトウェアまたはハードウェア)は、ある種のユーザの設定に基づいて、協調要求を自動的に受け入れ、または拒絶することができる。例えば、それらの設定は、ある種の「共同体」の一部であるすべてのユーザが、上記で(a)、b)、c)の下で)述べられるハードルのような追加のハードルが存在する場合を除いて、識別プロセスに基づいて自動的に受け入れられることになるようなものである。
【0039】
図1の例においては、第1の移動局MS1は、基地局BSからのデータを受信したいと思い、また第2の移動局MS2は、支援している。この目的のために、第2の移動局MS2は、基地局BSに同期化され、また第1の移動局MS1のために意図されたリソース・ブロックを見出すために制御チャネルを読み取る。この目的のために、第2の移動局MS2は、タイム・ドメインのIQサンプルを受信し、高速フーリエ変換(Fast−Fourier−Transform)FFTを実行し、また巡回プレフィックス(cyclic prefix)、CPを除去する。次いで、第2の移動局MS2は、第1の移動局MS1を対象とする複合周波数ドメイン・リソース・エレメント・シンボル(complex frequency domain resource element symbols)を選択する。次いで、第2の移動局MS2は、WLANを経由して第1の移動局MS1に対してこれらのシンボルを送信する。
【0040】
第1の移動局MS1はまた、基地局BSから受信されるデータのFFTとCP除去とを実行し、またこれによってそれ自体の周波数ドメイン・リソース・エレメント・シンボルを取得する。これらのシンボルは、第2の移動局MS2から受信されるシンボルと一緒に、今や、まるで第1の移動局MS1が、2本の代わりに4本の受信アンテナを有するかのように取り扱われることが可能である。次いで、チャネル推定と、受信の組合せおよび等化とが、4本の受信アンテナについて実行され、またデータは、第1の移動局MS1の2本のレシーバ・アンテナだけが使用される場合に比べて、より高い品質(それゆえに、より低いブロック・エラー・レート)で復号されることが可能である。
【0041】
クラスタCが、その受信の信号対干渉雑音比(Signal−to−Interference−Noise−Ratio)、SINRを改善することになることを知っている第1の移動局MS1は、今や、より高くサポートされた変調および符号化のスキーム(modulation and coding schemes)(MCS)を基地局BSに対して報告することもできる。これは、第1の移動局MS1のための、またそれゆえに全体のLTEセルについての、スループットを改善することになる。
【0042】
図2は、各々が2本の送信および受信のアンテナ(例えば、LTE−高度システムにおける場合のように)を有する2つの移動局MS1、MS2の協調クラスタCを有する通信ネットワーク1の第2の例を示すものである。2つの移動局MS1、MS2は、通信ネットワーク1の第1の基地局BS1によってサーブされ、移動局MS1、MS2をサーブしていない第2の基地局BS2も、通信ネットワーク1の中に存在している。
【0043】
本例においては、第1の移動局MS1は、アップリンク・データを送信したいと思っており、第2の移動局MS2は、支援している。第1の移動局MS1と第2の移動局MS2との両方は、ダウンリンク(DL)参照シンボルに基づいて、第1の基地局BS1に対するチャネルを測定する。さらに、第1および第2の移動局MS1、MS2はまた、隣接セルに広がる基地局BS2のチャネルをリッスンする。第2の移動局MS2は、短距離通信(WLAN)を使用してそのチャネル知識を第1の移動局MS1へと転送する。時分割デュプレックス(TDD)モードを使用するときのチャネル相互関係に起因して(移動局MS1、MS2のための高速度が、回避される限り)、これらのダウンリンク測定値は、アップリンク・チャネル知識/推定として使用されることが可能である。
【0044】
それゆえに、第1の移動局MS1は、クラスタCの測定されたジョイント・チャネルの関数である、クラスタCについてのジョイント・プリコーディング・ベクトルを計算することができる。アンテナ重みW11およびW12の第1の組は、第1の移動局MS1の2本の送信アンテナのために使用される。重みW21およびW22は、第2の移動局MS2のために意図されており、また第1の移動局MS1と、第2の移動局MS2との間のWLANリンクを経由してデータ・シンボルと一緒に第2の移動局MS2へと転送される。
【0045】
一般的に、短距離伝送技術の、本場合においてはWLAN技術のレイテンシー(latency)は、第1の移動局MS1と、第2の移動局MS2とが、第1の基地局BS1のスケジュールする認可に同時に反応することができるように十分に小さい必要がある。これが、与えられた短距離伝送技術を使用して達成することが難しい場合、データは、前もって第1の移動局MS1に既に転送されている可能性があり、その結果、重みだけが、間に合うように転送される必要がある。しかしながら、重みが、前もって転送されている可能性があり、例えば、第1の移動局MS1が、その割り当てられたリソース・ブロックを知らないときでさえ、それは、すべての可能性のあるリソース・ブロックについての重みの組を機先を制して、計算し、また正確なスケジュールされたリソースを知る前に、それらを第2の移動局MS2へと転送することができる。このアプローチは、低いモビリティを有する移動局MS1、MS2の場合に最も良く機能することが、理解されるであろう。両方の移動局MS1、MS2は、今や、アンテナ当たりの個々のプリコーディング重みを用いて同じデータ・シンボルを送信することができる。
【0046】
協調通信を実行するときに移動局MS1、MS2の適切な時刻同期化を保証するために、専用の時刻同期プロトコルが、使用されてもよく、あるいは第1/第2の伝送技術に固有の同期メカニズム/プロトコルが、採用されてもよい。また、例えば、GPSシステムによって提供される共通の時間基準が、使用されてもよい。一般に、クラスタCのすべての移動局MS1、MS2は、セルラー・ネットワーク1に同期される必要があり、またそれゆえに、チャネル状態を測定するためにパイロット・シンボルをリッスンする必要があることが、理解されるであろう。このようにして、クラスタのうちのいくつかの移動局が、送信すべきデータを有していないときでさえ、それらは、クラスタCの他の移動局のためのデータ伝送を支援することができる。
【0047】
4本の送信アンテナが、プリコーディング設計についての4つの空間自由度を提供するので、第1の移動局MS1と、第2の移動局MS2とについてのジョイント・プリコーディング・ベクトルは、今や、第2の基地局BS2の2本のレシーバ・アンテナにおいて引き起こされる干渉を空間的に抑制することを、また第1の基地局BS1における受信信号のコヒーレントな重ね合わせをさらに最大にすることを、考慮に入れることもできる。アップリンク・パイロット・シンボルが、データと同じ重みを用いてプリコードされるときに、クラスタCは、第1の基地局BS1に対してトランスペアレントに見えることができ、単一の仮想移動局としての機能を果たすことも理解されるであろう。クラスタCが、2つのセルの間の境界の近くにあるときに、図2の場合のように、クラスタのうちの移動局MS1、MS2は、第2の基地局BS2と通信することもでき、これにより協調マルチ・ポイント伝送(COMP)を実行することができるようになる。
【0048】
図3は、直交周波数分割多重化(Orthogonal Frequency Division Multiplex)、OFDM、変調および符号化のスキームを使用した、協調クラスタCの第1の移動局MS1と、第2の移動局MS2との間のデータ転送についての一例を示すものである。図1および図2の場合のように、第1の移動局MS1は、対象とされた(マスター)局であり、第2の移動局MS2は、支援しており、スレーブ局としての機能を果たす。スレーブ端末/局MS2は、OFDMトランシーバにおいてOFDMサンプルを受信し、FFTを行い、またCPを除去する。スレーブ端末MS2は、もしかするとチャネル推定情報および/またはMIMO検出情報と共にOFDMシンボルを転送することを選択することができる。もちろん、スレーブ局MS2は、復号されたビットを転送することを選択することもできる。一般的に、スレーブ局MS2は、OFDMシンボルが、複素浮動小数であるので、再サンプリングにより受信OFDMシンボルを第1の(マスター)局MS1へと転送する。
【0049】
マスター側(MS1)において、第2の移動局MS2からの入力データは、チャネル推定モジュールへと、またそこからMIMO検出モジュールへと送信されることになる。チャネル推定情報を使用して、第2の移動局MS2からのOFDMシンボルの入力ストリームは、第1の(マスター)局MS1それ自体のOFDMトランシーバにおいて受信されるデータと一緒に処理されることになる。レシーバ・ダイバーシティ・シナリオ(receiver diversity scenario)においては、マスター局MS1は、MIMO検出モジュールの中でMRCを行うことになる。次いで、MIMO検出モジュールからのデータは、多重化され、復号され、またさらなる処理のために上位レイヤに転送される。移動局MS1、MS2は同一の構造であるので、第2の移動局MS2は、マスター局として同等によく動作させられることが可能であり、第1の移動局MS1は、スレーブとして使用されることが理解されよう。
【0050】
移動局MS1、MS2の間のデータの転送を実行するために、協調プロトコル(Cooperation protocol)(CooP)が導入されており、図3を参照されたい。CooPプロトコルは、少なくとも次の機能:1つの移動局/端末は、CooPを通しての別の移動局からの協調を要求することができる機能を有する。マスター局は、スレーブ端末の物理レイヤ、例えば、受信すべきリソース・ブロックと、CooPを使用したMCSとを構成することができる。また、CooPは、そのパートナーからの応答が存在することをモバイル端末に示すことができる。CooPは、スレーブ端末からマスター端末へのデータ転送のためのデータ・フォーマットを構成することもできる。最後に、CooPは、協調レベル、例えば、浮動小数データ、整数データなどを転送することを構成することができる。
【0051】
要約すれば、本明細書において説明されるような協調通信を使用することにより、局所的な協調クラスタが、提供されることが可能であり、これは、基地局の支援を必要としない。クラスタリングはまた、静的な局/端末に有利に適用され得るので、本明細書において説明されるような移動局は、必ずしも移動オブジェクトであるとは限らないことが、理解されるであろう。
【0052】
また、MIMO技法/MIMO伝送スキームを使用することにより、より高いスペクトル効率が、達成され、複数のアンテナのSINR利得によって引き起こされることが可能であり、単一モバイルのアップリンク送信パワー制限は、クラスタによって克服されることが可能であり、またプリコーディングは、その上部において追加のアレイの利得と、ダイバーシティ利得とを与えるので、さらに、より高いセル境界スループットと、より高いセル範囲とをもたらす。さらに、線形プリコーディングは、干渉を空間的に抑制することができるので、近隣セルにおける低減されたアップリンクの干渉が、提供されることが可能である。マルチ・アンテナの受信の組合せ(例えば、MMSE)を使用して、望まれていない信号を抑制することができるので、隣接セルからの低減されたダウンリンク干渉を得ることもできる。
【0053】
本明細書における任意のブロック図は、本発明の原理を実施する例示の回路の概念図を表すことを、当業者は理解すべきである。同様に、任意のフロー・チャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータ読取り可能媒体の形で実質的に表され、またそのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されていようとなかろうと、コンピュータまたはプロセッサによってそのように実行され得る様々なプロセスを表すことが、理解されるであろう。
【0054】
また、説明および図面は、単に本発明の原理を示すものにすぎない。したがって、当業者は、本明細書において明示的に説明され、または示されてはいないが、本発明の原理を実施し、またその範囲内に含まれる様々な構成を工夫することができるようになることが、理解されるであろう。さらに、本明細書において列挙されるすべての例は、主として本発明の原理と、当技術をさらに進めることに対して本発明者(単数または複数)が寄与する概念とを理解する際に読者の助けとなる教育上の目的のためにすぎないように明示的に意図され、またそのように特に列挙された例および状態だけに限定するものでないように解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態を列挙している本明細書の中のすべての記述、ならびにその特定の例は、その同等物を包含するように意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の伝送技術を使用して少なくとも1つの基地局(BS、BS1、BS2)とのワイヤレス通信を実行するようになっている複数の移動局(MS1からMS3)を備えるセルラー・ネットワーク(1)における通信のための方法であって、
2つ以上の前記移動局(MS1、MS2)を備える協調クラスタ(C)を形成するステップと、
好ましくは、干渉の抑制と、キャンセルとのうちの少なくとも一方についてMIMO技法を使用することにより、特にアップリンク伝送のための送信プリコーディングと、ダウンリンク受信のための受信アンテナ重み付けとのうちの少なくとも一方を使用することにより、前記クラスタ(C)のうちの少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)について、前記基地局(BS)との前記ワイヤレス通信の性能を改善するための、前記第1の伝送技術とは異なる第2の伝送技術を使用して前記協調クラスタ(C)の前記移動局(MS1、MS2)の間の短距離通信を実行するステップと
を備える方法。
【請求項2】
前記短距離通信のための前記伝送技術は、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク技術と、ブルートゥース技術と、超広帯域技術と、ワイヤ・ライン技術とから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記協調クラスタ(C)を形成するために、少なくとも1つの移動局(MS1)は、少なくとも1つのさらなる移動局(MS2)との協調を要求し、前記さらなる移動局(MS2)は、好ましくは、前記さらなる移動局(MS2)のユーザの承認もしくは不承認、前記さらなる移動局(MS2)のバッテリ状態、または前記さらなる移動局(MS2)の速度のうちの少なくとも1つに基づいて、前記要求を受け入れ、または拒絶する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記短距離通信は、前記クラスタ(C)の1つの移動局(MS1)をマスター局として、また前記クラスタ(C)の少なくとも1つのさらなる移動局(MS2)をスレーブ局として定義する協調プロトコルを使用して実行される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記短距離通信は、前記クラスタ(C)の少なくとも1つの移動局(MS2)から前記クラスタ(C)の少なくとも1つのさらなる移動局(MS1)へと、データと、チャネル状態情報と、アンテナ重みとのうちの少なくとも1つを送信するために実行され、前記データは、タイム・ドメインのIQサンプル、周波数ドメインのIQサンプル、ソフト・ビット、または復号されたデータの形態で送信されることが好ましい、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記クラスタ(C)の前記移動局(MS1、MS2)は、前記短距離通信を使用して、前記基地局(BS)との協調ワイヤレス通信を実行して、単一仮想移動局としての機能を果たす、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記クラスタ(C)の前記移動局(MS1からMS3)は、好ましくは時刻同期プロトコル、特に高精度時間プロトコル、PTPと、全地球測位システム、GPSと、前記第1および/または前記第2の伝送技術に固有の同期メカニズムとのうちの少なくとも1つを使用して時刻同期される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第1の伝送技術を使用してセルラー・ネットワーク(1)の少なくとも1つの基地局(BS、BS1、BS2)とのワイヤレス通信を実行するようになっており、またさらに、前記第1の伝送技術とは異なる第2の伝送技術を使用して移動局(MS1、MS2)の協調クラスタ(C)のうちの他の移動局(MS2)との短距離通信を実行するようになっている移動局(MS1)であって、前記短距離通信は、好ましくは、干渉の抑制と、キャンセルとのうちの少なくとも一方についてMIMO技法を使用することにより、特にアップリンク伝送のための送信プリコーディングと、ダウンリンク受信のための受信アンテナ重み付けとのうちの少なくとも一方を使用して、前記基地局(BS、BS1、BS2)との前記移動局(MS1)の前記ワイヤレス通信の性能を改善するために使用される、移動局(MS1)。
【請求項9】
前記短距離通信のための前記伝送技術は、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク技術と、ブルートゥース技術と、超広帯域技術と、ワイヤ・ライン技術とから成る群から選択される、請求項8に記載の移動局。
【請求項10】
前記クラスタ(C)の少なくとも1つのさらなる移動局(MS2)へと/から、データと、チャネル状態情報と、アンテナ重みとのうちの少なくとも1つを送信する/受信するための前記短距離通信を実行するようになっており、前記データは、タイム・ドメインのIQサンプル、周波数ドメインのIQサンプル、ソフト・ビット、または復号されたデータの形態で送信されることが好ましい、請求項8または9に記載の移動局。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか1項に記載の少なくとも2つの移動局(MS1、MS2)を備える、セルラー・ネットワーク(1)のための協調クラスタ(C)。
【請求項12】
前記移動局(MS1、MS2)は、1つの移動局(MS1)をマスター局として、また少なくとも1つのさらなる移動局(MS2)をスレーブ局として定義する協調プロトコルを使用して短距離通信を実行するようになっている、請求項11に記載の協調クラスタ。
【請求項13】
前記移動局(MS1、MS2)は、好ましくは時刻同期プロトコル、特に高精度時間プロトコル、PTPと、全地球測位システム、GPSと、前記第1および/または前記第2の伝送技術に固有の同期メカニズムとのうちの少なくとも1つを使用して、時刻同期される、請求項11または12に記載の協調クラスタ。
【請求項14】
前記移動局(MS1、MS2)は、前記短距離通信を使用して、前記基地局(BS、BS1、BS2)との協調ワイヤレス通信を実行して、単一の仮想移動局としての機能を果たすようになっている、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の協調クラスタ。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれか1項に記載の少なくとも1つの協調クラスタ(C)を備える、セルラー・ネットワーク(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−511933(P2013−511933A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540251(P2012−540251)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/CN2009/075082
【国際公開番号】WO2011/060589
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】