説明

セルロースの分解方法

【課題】セルロース系バイオマスの分解方法において、迅速に分解を行うことが可能なバイオマス加水分解装置を提供する。
【解決手段】本発明のセルロース系バイオマスの分解方法は、原料となるセルロース系バイオマスを、ハロゲン系イミダゾリウム塩等のイオン液体中において反応させるものであり、固体酸触媒として、有機物を炭化処理してなるカーボンをスルホン化処理して得られるスルホン化カーボンを用いることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン液体を反応溶媒として用いたセルロースの分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油代替燃料としてバイオ燃料が注目され、サトウキビやとうもろこし等をバイオマスを原料としたバイオエタノールの生産が実用化されている。しかし、食料品をバイオエタノールの原料とした場合、食料品との競合によって価格が大きく変動する等の問題が生ずる。このため、木材、草、稲わらなど非食料品であるセルロース系バイオマスを原料としたバイオ燃料の生産が望まれている。
【0003】
ところが、強固なセルロースを糖に加水分解するのは容易ではない。硫酸等の液体の強酸を用いてセルロースを糖化する手法が古くから知られているが、強酸によって装置が腐食したり、強酸の中和処理した場合、石膏等が廃棄物として大量に発生したりするなどの問題があり、実用化に至っていない。
【0004】
こうした状況下、近年、イオン液体がセルロースを可溶化することが見出され(例えば特許文献1、2)、さらには、イオン液体に溶解したセルロースを酸触媒の存在下で加水分解する技術が開発されている。
【0005】
例えば、特許文献3では、イオン液体にセルロースを溶解し、さらにトリフルオロ酢酸やp−トルエンスルホン酸を加えて加水分解反応を行っている。
【0006】
また、特許文献4では、イオン液体にセルロース系バイオマスを溶解し、さらに硫酸を加えて加水分解反応をさせることにより、グルコースやオリゴ糖などを得る技術が記載されている。
【0007】
イオン液体を用いる上記セルロースの分解反応によれば、イオン液体に溶解しないリグニン等を、糖類から容易に分離することができるという利点がある。
【0008】
さらに、非特許文献1では、固体酸触媒としてイオン交換樹脂の存在下、イオン液体中でセルロース系バイオマスを処理し、グルコースやエタノールを合成することに成功している。この方法によれば、上記のリグニンを容易に分離することができるという利点の他、反応後にろ過等によって容易に固体酸触媒を分離することができるという利点がある。
【0009】
一方、セルロースの分解に用いられる固体酸触媒として、スルホン化カーボンが開発されている(非特許文献2)。このスルホン化カーボン触媒は、セルロースやデンプン等の安価な原料を300℃以上に加熱して炭化させ、微小なカーボンシートとした後、これをスルホン化処理することにより得られるものであり、セルロースの分解反応に対して、高い触媒活性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2005−506401号公報
【特許文献2】特開2006−137677号公報
【特許文献3】特表2009−531024号公報
【特許文献4】特開2010−83850号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】神奈川県環境技術センター調査研究結果32号122ページ
【非特許文献2】M.Hara,et.al Nature,438,(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記従来のイオン液体を用いるセルロース分解方法では、さらに、迅速な分解方法が求められていた。
【0013】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、イオン液体中においてセルロースの分解を迅速に行うことが可能なセルロース分解方法を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
セルロースやデンプン等の有機物原料を加熱して炭化させて微小なカーボンシートとした後、これをスルホン化処理することにより得られたスルホン化カーボンは、セルロースの分解反応に対して、高い触媒活性を有することが見出されている(非特許文献2)。
さらに、本発明者らは、セルロースの分解反応において、極めて高い触媒活性を有するスルホン化カーボンについて、すでに特許出願を行なっている(特願2010−065431)。
【0015】
本発明者らは、セルロースの分解反応に対して高い触媒活性を有するスルホン化カーボンは、イオン液体中においても優れた固体酸触媒として機能するのではないかと考えた。そして、さらに鋭意研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明のセルロース系バイオマスの分解方法は、セルロースと固体酸触媒とをイオン液体中において反応させるセルロースの分解方法であって、前記固体酸触媒には有機物を炭化処理してなるカーボンをスルホン化処理して得られるスルホン化カーボンを用いることを特徴とする。
【0017】
本発明のセルロースの分解方法では、セルロースをイオン液体中で溶解させた状態で、スルホン化カーボンの固体酸触媒機能により反応を行う。このため、セルロースが溶解していない水系で反応させた場合に比べて、セルロースとスルホン化カーボンとの接触頻度が高められ、分解反応が促進される。
また、スルホン化カーボンはスルホン酸基が高い密度で結合しており、大量の親水性分子をそのバルク内に取り込むことができる。このため、バルク内を反応場とすることができ、親水性分子を反応基質とした酸触媒反応、あるいは親水性分子を溶媒とした酸触媒反応に高い触媒活性を示す。このため、ニオブ酸等の無機固体酸触媒や、ナフィオン(登録商標)、カチオン交換樹脂等の高分子固体酸触媒と比較して、きわめて優れた触媒活性を有する。
【0018】
したがって、本発明のセルロースの分解方法によれば、セルロースを迅速に分解することができる。
【0019】
本発明に用いるイオン液体としては、セルロースを溶解することのできるイオン液体であれば用いることができる。特に好ましいイオン液体は、ハロゲン系のイミダゾリウム塩である。本発明者らは、イオン液体としてハロゲン系のイミダゾリウム塩を用いることにより、セルロースの分解を迅速に行うことができることを確認している。
【0020】
また、スルホン化カーボンとしては、有機物を炭化処理してなるカーボンであれば用いることができる。その中でも、多孔性のカーボンをスルホン化処理して得られた多孔性スルホン化カーボンであることが特に好ましい。発明者らの試験結果によれば、多孔性のカーボンをスルホン化処理して得られた多孔性スルホン化カーボンを用いることにより、セルロースの加水分解反応の速度が特に速くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1において用いた多孔性スルホン化カーボンの製造方法を示す工程図である。
【図2】セルロースの加水分解試験におけるグルコース生成速度を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のセルロース系バイオマスの分解方法で原料となるのは、セルロースを含む植物系の原料であり、セルロースの他に、でん粉、ヘミセルロース、ペクチンなど、セルロース以外の多糖を含むものであっても用いることができる。
具体的には、稲わら、麦わら、バガス等の草類、竹、笹などの間伐材、おがくず、チップ、端材などの木材加工木屑、街路樹剪定材、木質建築廃材、樹皮、流木等の木質系バイオマス、古紙等のセルロース製品からのバイオマス等が挙げられる。また、セルロースを原料として使用可能な程度含むものであれば、汚泥、畜糞、農業廃棄物、都市ゴミ等も用いることができる。
【0023】
また、本発明のセルロース系バイオマスの分解方法では、有機物を炭化処理してなるカーボンをスルホン化処理して得られるスルホン化カーボンを固体酸触媒として用いる。炭化処理方法としては特に制限はないが、例えば、有機物を不活性ガスや窒素ガス中で加熱処理するなどの方法によって行うことができる。また、スルホン化処理の方法についても特に制限はないが、例えば、有機物を炭化処理した炭化物に、硫酸や発煙硫酸を加えて加熱して行うことができる。なお、炭化処理における加熱時に硫酸や発煙硫酸を同時に存在させて、炭化処理とスルホン化処理を同時に行ってもよい。
【0024】
以下にスルホン化カーボンの製造方法についての具体例を挙げる。
(1)レゾルシノールとホルムアルデヒドとの重合物を加熱により炭化処理して炭素多孔体とした後、発煙流酸によってスルホン化処理することにより、多孔性のスルホン化カーボンが得られる。
(2)メソポーラスシリカにグルコース水溶液を加えて乾燥後、加熱によって炭化処理し、さらに硫酸あるいは発煙硫酸でスルホン化処理することにより、メソポーラスシリカ上にスルホン酸基導入無定形炭素を共存させた、多孔性のスルホン化カーボンが得られる。
(3)グルコース等の糖類や、セルロースやデンプン等の多糖類を加熱によって炭化処理し、これをスルホン化処理することにより、スルホン化カーボンが得られる。
(4)活性炭を発煙流酸によってスルホン化処理することにより、多孔性のスルホン化カーボンが得られる。
【0025】
本発明のセルロース系バイオマスの分解方法では、固体酸触媒としてスルホン化カーボンの存在下、イオン液体中で反応が行われる。こうして行われる反応は、セルロースの加水分解によるブドウ糖やオリゴ糖の生成のみならず、さらに脱水や複雑な分解反応が生じ、さらに分解反応が進んで炭素数が6以下の物質も生成する。
【0026】
イオン液体としては、セルロースを溶解するものであれば、特に限定はない。より好ましくは疎水性のイオン液体でかつセルロースを溶解するものであれば、特に限定することなく用いることができる。
例えば、特許文献3に記載されている以下のイオン液体を用いることができる。
すなわち、
(A)下記一般式(I)で示される塩。
[A]n[Y]n− ・・・・・(I)
(式(I)中、nは1、2、3または4であり、[A]は、第四級アンモニウム陽イオン、オキソニウム陽イオン、スルホニウム陽イオンまたはホスホニウム陽イオンであり、[Y]n−は、一価、二価、三価または四価の陰イオンである。)
(B)下記一般式(IIa)〜(IIc)のいずれかで示される塩。
[A1][A2][Y] n−・・・・・・・・(IIa)、式中、n=2
[A1][A2][A3]+[Y] n− ・・・・・(IIb)、式中、n=3
[A1][A2][A3]+ [A4]+ [Y] n−・・・(IIc)、式中、n=4
(式(IIa)〜(IIc)中、[A1]、[A2]、[A3]+及び[A4]+は、独立して[A]で特定された基から選択され、[Y] n−は、一価、二価、三価または四価の陰イオンである。)
【0027】
イオン液体は、180℃以下の融点を有することが好ましい。特に、融点は、−50℃〜150℃、特に−20℃〜120℃およびとりわけ100℃以下が好ましい。
【0028】
イオン液体の陽イオン[A]を形成するのに適切な化合物は、例えば、ドイツ国特許出願公開第102 02 838(A1)号から公知である。従って、このような化合物は、酸素、リン、硫黄、または特に窒素原子、例えば、少なくとも1個の窒素原子、好ましくは1〜10個の窒素原子、特に好ましくは1〜5個の窒素原子、非常に特に好ましくは1〜3個の窒素原子および特に1個または2個の窒素原子を含むことができる。場合により、酸素、硫黄またはリン原子などのさらなるヘテロ原子も含むことができる。窒素原子は、イオン液体の陽イオンとしての適切な正電荷の担体であり、この中で電気的中性分子を生成するためにプロトンまたはアルキル基を陰イオンに平衡に移動することができる。
【0029】
また、窒素原子がイオン液体の陽イオンとしての正電荷の担体である場合、例えば、イオン液体の合成において、アミンまたは窒素複素環の窒素原子を四級化することにより、陽イオンを生成することができる。窒素原子のアルキル化により、四級化を行うことができる。使用されるアルキル化試薬に応じて、様々な陰イオンを有する塩が得られる。四級化において所望の陰イオンを形成できない場合、合成のさらなるステップにおいて、これを行うことができる。例えば、ハロゲン化アンモニウムから出発し、ハロゲン化物をルイス酸と反応させ、ハロゲン化物およびルイス酸から錯陰イオンを形成することができる。それの可能な代替例は、所望の陰イオンによるハロゲン化物イオンの置き換えである。これは、イオン交換器により、または強酸(ハロゲン化水素の遊離)によるハロゲン化物イオンの置換により、金属塩を添加し、形成された金属ハロゲン化物を析出することにより実現することができる。適切な方法は、例えば、Angew.Chem.2000,112,pp.3926−3945およびその中で引用された参考文献に記載される。
【0030】
アミンまたは窒素複素環の窒素原子を例えば、四級化することができる適切なアルキル基は、炭素数が1〜18のアルキル基、好ましくは1〜10のアルキル基、特に好ましくは1〜6のアルキル基、および非常に特に好ましくはメチルである。アルキル基を非置換し、または1個もしくは複数個の同一もしくは異なる置換基を有することができる。
【0031】
少なくとも1個の5または6員の複素環、特に5員の複素環を含む化合物が好ましく、これは、少なくとも1個の窒素原子およびさらに、場合により、酸素または硫黄原子を有する。同様に、少なくとも1個の5または6員の複素環を含む化合物が好ましく、これは、窒素原子1個、2個または3個および硫黄原子または酸素原子を有し、非常に特に好ましくは、窒素原子2個を有するものを含む。さらに、芳香族複素環が好ましい。
【0032】
特に好ましい化合物は、1000g/mol以下、非常に特に好ましくは500g/mol以下および特に350g/mol以下の分子量を有するものである。
【0033】
さらに、下記に示す式(IIIa)〜(IIIw)の化合物およびこれらの構造を含むオリゴマーから選択される陽イオンが好ましい。
【化1】

【0034】
【化2】

【0035】
【化3】

【0036】
さらに適切な陽イオンは、一般式(IIIx)および(IIIy)の化合物およびさらにこれらの構造式を含むオリゴマーである。
【化4】

【0037】
また、上記式(IIIa)〜(IIIy)において、R基は、水素または炭素原子1個〜20個を有する、炭素含有有機の、飽和または不飽和の、非環状または環状、脂肪族、芳香族または芳香脂肪族基であり、非置換、あるいはヘテロ原子または官能基1〜5個により置換されることができ、R1〜R9基は、それぞれ互いに独立して、水素、スルホ基または炭素原子1〜20個を有する、炭素含有有機の、飽和または不飽和の、非環状または環状、脂肪族、芳香族または芳香脂肪族基であり、非置換、あるいは1〜5個のヘテロ原子または官能基より置換されることができ、この場合、上述の式(III)の炭素原子に結合する(およびヘテロ原子に結合しない)R1〜R9基は、さらにハロゲンまたは官能基であってよく、またはR1〜R9からなる群由来の2個の隣接基はともに、炭素原子1〜30個を有する、二価の、炭素含有有機の、飽和または不飽和、非環状または環状、脂肪族、芳香族または芳香脂肪族基も形成し、非置換、あるいは1〜5個のヘテロ原子または官能基により置換されることができる。
【0038】
また、RおよびR1〜R9基の定義において、可能なヘテロ原子は、おもに−CH2−基、−CH=基、−C≡基または=C=基を正式に置き換えることができる全てのヘテロ原子である。炭素含有基がヘテロ原子を含む場合、この時、酸素、窒素、硫黄、リンおよびケイ素が好ましい。好ましい基は、特に、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR´−、−N=、−PR´−、−PR´3−、および−SiR´2−であり、この場合、R´基は、炭素含有基の残りの部分である。R1〜R9基が上述の式(I)の炭素原子に結合する(およびヘテロ原子ではない)場合、これらまた、ヘテロ原子を介して直接結合することができる。
【0039】
適切な官能基は、おもに炭素原子またはヘテロ原子に結合することができる全ての官能基である。適切な例は、−OH(ヒドロキシ)、=O(特にカルボニル基として)、−NH2(アミノ)、−NHR´、−NR2´、=NH(イミノ)、NR´(イミノ)、−COOH(カルボキシ)、−CONH2(カルボキサミド)、−SO3H(スルホ)および−CN(シアノ)である。官能基およびヘテロ原子もまた、直接隣接することができ、そのため、複数の隣接原子、例えば−O−(エーテル)、−S−(チオエーテル)、−COO−(エステル)、−CONH−(第二級アミド)または−CONR´−(第三級アミド)の結合もまた、例えば、ジ−(アルキル)アミノ)(アルキル基の炭素数が1〜4)、アルコキシカルボニル(アルコキシ基の炭素数が1〜4)または炭素数が1〜4のアルキルオキシを含む。R´は、炭素含有基の残留部である。
【0040】
また、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素がある。
【0041】
また、R基は、1個または複数個のヒドロキシ、ハロゲン、フェニル、シアノ、炭素数が1〜6のアルコキシカルボニルおよび/またはSO3Hにより非置換または置換され、合計1〜20個の炭素原子を有することができる非分岐または分岐鎖(炭素数が1〜18)のアルキル、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−テトラデシル、1−ヘキサデシル、1−オクタデシル、2−ヒドロキシエチル、ベンジル、3−フェニルプロピル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、ノナフルオロブチル、ノナフルオロイソブチル、ウンデシルフルオロペンチル、ウンデシルフルオロイソペンチル、6−ヒドロキシヘキシルおよびプロピルスホン酸、グリコール、ブチレングリコールおよび1〜100単位を有するそのオリゴマーならびに末端基として水素または炭素数が1〜8のアルキル、例えば、RAO−(CHRB−CH2−O)m−CHRB−CH2または
AO−(CH2CH2CH2CH2O)m−CH2CH2CH2CH2O−[式中、RAおよびRBは、それぞれ水素、メチルまたはエチルが好ましく、mは、0〜3が好ましい。]、特に、3−オキサブチル、3−オキサペンチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシルおよび3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル、ビニル、1−プロペン−1−イル、1−プロペン−2−イルおよび1−プロペン−3−イルならびにN,N−ジメチルアミノおよびN,N−ジエチルアミノなどのN,N−ジアルキルアミノ(ただしアルキル基の炭素数が1〜6)が好ましい。
【0042】
R基は、非分岐および非置換アルキル(ただしアルキル基の炭素数が1〜18)、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−デシル、1−ドデシル、1−テトラデシル、1−ヘキサデシル、1−オクタデシル、1−プロペン−3−イル、特に、メチル、エチル、1−ブチルおよび1−オクチルまたはCH3O−(CH2CH2O)m−CH2CH2−およびCH3CH2O−(CH2CH2O)m−CH2CH2−[式中、mは0〜3である。]が特に好ましい。
【0043】
また、R1〜R9基は、それぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、官能基、場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換され、かつ/または1個または複数個の酸素および/または硫黄原子ならびに/あるいは1個または複数個の置換または非置換イミノ基により中断されることができる炭素数が1〜18のアルキル、場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換され、かつ/または1個または複数個の酸素および/または硫黄原子ならびに/あるいは1個または複数個の置換または非置換イミノ基により中断されることができる炭素数が2〜18のアルケニル、場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができる炭素数が6〜12のアリール、場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができる炭素数が5〜12のシクロアルキル、場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができる炭素数が5〜12のシクロアルケニルまたは場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができる5または6員の酸素、窒素および/または硫黄含有複素環が好ましく、または2個の隣接基とともに、場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができ、場合により1個または複数個の酸素および/または硫黄原子ならびに/あるいは1個または複数個の置換または非置換イミノ基により中断されることができる不飽和、飽和または芳香族環を形成する。
【0044】
場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができる炭素数1〜18のアルキルは、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1,1,3,3−テトラ−メチルブチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−トリデシル、1−テトラデシル、1−ペンタデシル、1−ヘキサデシル、1−ヘプタデシル、1−オクタデシル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、ベンジル(フェニルメチル)、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル)、トリフェニルメチル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、α,α−ジメチルベンジル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニル−エチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)エチル、メトキシ、エトキシ、ホルミル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、6−エトキシヘキシル、アセチル、Cm2(m-a)+(1-b)2a+b[式中、mは、1〜30、0≦a≦mおよびb=0または1である(例えば、CF3、C25、CH2CH2−C(m-2)2(m-2)+1、C613、C817、C1021、C1225)]、クロロメチル、2−クロロエチル、トリクロロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、メトキシメチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、2−メトキシイソプロピル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシ−カルボニル)エチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−ヒドロキシ−4−オキサヘプチル、11−ヒドロキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−ヒドロキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−ヒドロキシ−5−オキサノニル、14−ヒドロキシ−5,10−ジオキサテトラデシル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オキサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−ジオキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサノニルまたは14−エトキシ−5,10−オキサテトラデシルが好ましい。
【0045】
場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換され、かつ/または1個または複数個の酸素および/または硫黄原子ならびに/あるいは1個または複数個の置換または非置換イミノ基により中断されることができる炭素数2〜18のアルケニルは、ビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、cis−2−ブテニル、trans−2−ブテニルまたはCm2(m-a)-(1-b)2a-b[式中、m≦30、0≦a≦mおよびb=0または1]が好ましい。
【0046】
場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができる炭素数6〜12のアリールは、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニルイル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル、エトキシメチルフェニル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニルまたはtert−ブチルチオフェニルあるいはC6(5-a)a[式中、0≦a≦5]が好ましい。
【0047】
場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができる炭素数5〜12のシクロアルキルは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、Cm2(m-a)-(1-b)2a-b[式中、m≦30、0≦a≦mおよびb=0または1]または飽和もしくは不飽和二環状系、例えばノルボルニルまたはノルボルネニルが好ましい。
【0048】
場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができる炭素数5〜12のシクロアルケニルは、3−シクロペンテニル、2−シクヘキセニル、3−シクヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニルまたはCn2(m-a)-3(1-b)2a-3b[式中、m≦30、0≦a≦mおよびb=0または1]が好ましい。
【0049】
場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができる5または6員の、酸素、窒素および/硫黄含有複素環は、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジルまたはジフルオロピリジルが好ましい。
【0050】
2個の隣接基がともに、場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができ、場合により1個または複数個の酸素および/または硫黄原子ならびに/あるいは1個または複数個の置換または非置換イミノ基により中断されることができる不飽和、飽和または芳香族環を形成する場合、これらは、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロピレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロペニレン、3−オキサ−1,5−ペンチレン、1−アザ−1,3−プロペニレン、1−C1−C4−アルキル−1−アザ−1,3−プロペニレン、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、1−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンまたは2−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンを形成することが好ましい。
【0051】
上述の基が、酸素および/または硫黄原子ならびに/あるいは置換または非置換イミノ基を含む場合、酸素および/または硫黄原子ならびに/あるいはイミノ基の数は、少しの制限もされない。一般に、基は、5個以下、好ましくは4個以下および非常に特に好ましくは3個以下であろう。
【0052】
上述の基がヘテロ原子を含む場合、一般に、いずれか2個のヘテロ原子間に少なくとも1個の炭素原子、好ましくは少なくとも2個の炭素原子がある。
1〜R9基は、それぞれ互いに独立して、
水素、1個または複数個のヒドロキシ、ハロゲン、フェニル、シアノ、炭素数1〜6のアルキルカルボニルおよび/またはSO3Hにより非置換または置換され、合計1〜20個の炭素原子、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−テトラデシル、1−ヘキサデシル、1−オクタデシル、2−ヒドロキシエチル、ベンジル、3−フェニルプロピル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、ノナフルオロブチル、ノナフルオロイソブチル、ウンデシルフルオロペンチル、ウンデシルフルオロイソペンチル、6−ヒドロキシヘキシルおよびプロピルスホン酸を有することができる非分岐または分岐鎖C1−C18−アルキル、グリコール、ブチレングリコールおよび1〜100単位を有するそのオリゴマーならびに末端基として水素または炭素数1〜8のアルキル、例えば、RAO−(CHRB−CH2−O)m−CHRB−CH2またはRAO−(CH2CH2CH2CH2O)m−CH2CH2CH2CH2−[式中、RAおよびRBは、それぞれ水素、メチルまたはエチルが好ましく、nは、0〜3が好ましい。]、特に、3−オキサブチル、3−オキサペンチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシルおよび3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル、ビニル、1−プロペン−1−イル、1−プロペン−2−イルおよび1−プロペン−3−イルならびに、N,N−ジメチルアミノおよびN,N−ジエチルアミノなどのN,N−ジ−C1−C6−アルキルアミノが特に好ましい。
【0053】
1〜R9基は、それぞれ互いに独立して、水素または炭素数1〜18アルキル、例えばメチル、エチル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−オクチル、フェニル、2−ヒドロキシエチル、2−シアノエチル、2−(メトキシ−カルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、塩素またはCH3O−(CH2CH2O)m−CH2CH2−およびCH3CH2O−(CH2CH2O)m−CH2CH2−[式中、mは0〜3である]であることが非常に特に好ましい。
【0054】
さらに特に好ましいピリジニウムイオン(IIIa)は、R1〜R5基の1個がメチル、エチルまたは塩素であり、残りのR1〜R5基がそれぞれ水素であり、R3がジメチルアミノであり、残りのR1、R2、R4およびR5基がそれぞれ水素であり、R1〜R5基全てが水素であり、R2がカルボキシまたはカルボキサミドであり、残りのR1、R2、R4およびR5基がそれぞれ水素であり、またはR1およびR2またはR2およびR3がともに、1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであり、残りのR1、R2、R4およびR5基がそれぞれ水素であるもの、および特に、R1〜R5がそれぞれ水素であり、またはR1〜R5基の1個がメチルまたはエチルであり、残りのR1〜R5基がそれぞれ水素であるものである。
【0055】
さらに特に好ましいピリジニウムイオン(IIIa)として、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−(1−ブチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ドデシル)ピリジニウム、1−(1−テトラデシル)ピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)ピリジニウム、1,2−ジ−メチルピリジニウム、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチルピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1,2−ジエチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−エチルピリジニウム、1,2−ジメチル−5−エチルピリジニウム、1,5−ジエチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウムおよび1−(1−オクチル)−2−メチル−3−エチル−ピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウムおよび1−(1−ヘキサデシル)−2−メチル−3−エチル−ピリジニウムがある。
【0056】
さらに、特に好ましいピリジニウムイオン(IIIb)は、R1〜R4がそれぞれ水素であり、またはR1〜R4基の1個がメチルまたはエチルであり、残りのR1〜R4基がそれぞれ水素であるものである。
【0057】
さらに、特に好ましいピリジニウムイオン(IIIc)は、R1が水素、メチルまたはエチルであり、R2〜R4がそれぞれ互いに独立して、水素またはメチルであり、またはR1が水素、メチルまたはエチルであり、R2およびR4がそれぞれメチルであり、R3が水素であるものである。
【0058】
さらに、特に好ましいピリジニウムイオン(IIId)は、R1が水素、メチルまたはエチルであり、R2〜R4がそれぞれ互いに独立して、水素またはメチルであり、R1が水素、メチルまたはエチルであり、R2およびR4がそれぞれメチルであり、R3が水素であり、R1〜R4がそれぞれメチルであり、またはR1〜R4がそれぞれメチルまたは水素であるものである。
【0059】
さらに、特に好ましいイミダゾリウムイオン(IIIe)は、R1が、水素、メチル、エチル、1−プロピル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−オクチル、1−プロペン−3−イル、2−ヒドロキシエチルまたは2−シアノエチルであり、R2〜R4がそれぞれ互いに独立して、水素、メチルまたはエチルであるものである。
【0060】
さらに、特に好ましいイミダゾリウムイオン(IIIe)として、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)イミダゾリウム、1−(1−オクチル)イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)イミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)イミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−メチル−イミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−ブチル−イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−ブチル−イミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、3−ブチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチル−イミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−エチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−ブチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−オクチルイミダゾリウムおよび1−(プロパ−1−エン−3−イル)−3−メチルイミダゾリウムがありうる。
【0061】
非常に特に好ましいピラゾリウムイオン(IIIf)、(IIIg)および(IIIg´)は、R1が水素、メチルまたはエチルであり、R2〜R4がそれぞれ互いに独立して、水素またはメチルであるものである。
【0062】
さらに、特に好ましいピラゾリウムイオン(IIIh)は、R1〜R4がそれぞれ互いに独立して、水素またはメチルであるものである。
【0063】
さらに、特に好ましい1−ピラゾリニウムイオン(IIIi)は、R1〜R6がそれぞれ互いに独立して、水素またはメチルであるものである。
【0064】
さらに、特に好ましい2−ピラゾリニウムイオン(IIIj)および(IIIj´)は、R1が水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R2〜R6がそれぞれ互いに独立して、水素またはメチルのものである。
【0065】
さらに、特に好ましい3−ピラゾリニウムイオン(IIIk)および(IIIk´)は、R1およびR2がそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R3〜R6がそれぞれ互いに独立して、水素またはメチルであるものである。
【0066】
さらに、特に好ましいイミダゾリニウムイオン(IIIl)は、R1およびR2がそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチル、1−ブチルまたはフェニルであり、R3およびR4がそれぞれ互いに独立して、水素、メチルまたはエチルであり、R5およびR6がそれぞれ互いに独立して、水素またはメチルであるものである。
【0067】
さらに、特に好ましいイミダゾリニウムイオン(IIIm)および(IIIm´)は、R1およびR2がそれぞれ互いに独立して、水素、メチルまたはエチルであり、R3〜R6がそれぞれ互いに独立して、水素またはメチルであるものである。
【0068】
さらに、特に好ましいイミダゾリニウムイオン(IIIn)および(IIIn´)は、R1〜R3がそれぞれ互いに独立して、水素、メチルまたはエチルであり、R4〜R6がそれぞれ互い独立して、水素またはメチルであるものである。
【0069】
さらに、特に好ましいチアゾリウムイオン(IIIo)および(IIIo´)ならびにオキサゾリウムイオン(IIIp)は、R1が水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R2およびR3がそれぞれ互いに独立して、水素またはメチルであるものである。
【0070】
さらに、特に好ましい1,2,4−トリアゾリウムイオン(IIIq)、(IIIq´)および(IIIq´´)は、R1およびR2がそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R3が水素、メチルまたはフェニルであるものである。
【0071】
さらに、特に好ましい1,2,3−トリアゾリウムイオン(IIIr)、(IIIr´)および(IIIr´´)は、R1が水素、メチルまたはエチルであり、R2およびR3がそれぞれ互いに独立して、水素またはメチルであり、またはR2およびR3がともに、1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであるものである。
【0072】
さらに、特に好ましいピロリジニウムイオン(IIIs)は、R1が水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R2〜R9がそれぞれ互いに独立して、水素またはメチルであるものである。
【0073】
さらに、特に好ましいイミダゾリジニウムイオン(IIIt)は、R1およびR4がそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R2およびR3ならびにさらにR5〜R8がそれぞれ互いに独立して、水素またはメチルであるものである。
【0074】
さらに、特に好ましいアンモニウムイオン(IIIu)は、R1〜R3がそれぞれ互いに独立して、C1−C18−アルキル、またはR1およびR2がともに、1,5−ペンチレンまたは3−オキサ−1,5−ペンチレンおよびR3がC1−C18−アルキル、2−ヒドロキシエチルまたは2−シアノエチルであるものである。
【0075】
さらに、特に好ましいアンモニウムイオン(IIIu)は、メチルトリ(1−ブチル)アンモニウム、N,N−ジメチルピペリジニウムおよびN,N−ジメチルモルホリニウムである。
【0076】
上述のR基による四級化により得られることができる一般式(IIIu)の第四級アンモニウムイオン由来の第三級アミンの例は、ジエチル−n−ブチルアミン、ジエチル−tert−ブチルアミン、ジエチル−n−ペンチルアミン、ジエチル−ヘキシルアミン、ジエチルオクチルアミン、ジエチル−(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−n−プロピルブチルアミン、ジ−n−プロピル−n−ペンチルアミン、ジ−n−プロピルヘキシルアミン、ジ−n−プロピルオクチルアミン、ジ−n−プロピル−(2−エチルヘキシル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピル−n−プロピルアミン、ジイソプロピルブチルアミン、ジイソプロピルペンチルアミン、ジイソプロピルヘキシルアミン、ジイソプロピルオクチルアミン、ジイソプロピル(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−n−ブチルエチルアミン、ジ−n−ブチル−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミン、ジ−n−ブチルヘキシルアミン、ジ−n−ブチルオクチルアミン、ジ−n−ブチル(2−エチルヘキシル)アミン、N−n−ブチル−ピロリジン、N−sec−ブチルピロリジン、N−tert−ブチルピロリジン、N−n−ペンチルピロリジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジ−n−ブチルシクロヘキシルアミン、N−n−プロピルピペリジン、N−イソプロピルピペリジン、N−n−ブチルピペリジン、N−sec−ブチルピペリジン、N−tert−ブチルピペリジン、N−n−ペンチルピペリジン、N−n−ブチルモルホリン、N−sec−ブチルモルホリン、N−tert−ブチルモルホリン、N−n−ペンチルモルホリン、N−ベンジル−N−エチルアニリン、N−ベンジル−N−n−プロピルアニリン、N−ベンジル−N−イソプロピルアニリン、N−ベンジル−N−n−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジ−n−ブチル−p−トルイジン、ジエチルベンジルアミン、ジ−n−プロピルベンジルアミン、ジ−n−ブチルベンジルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジ−n−プロピルフェニルアミンおよびジ−n−ブチルフェニルアミンである。
【0077】
好ましい第三級アミン(IIIu)は、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチル−tert−ブチルアミン、ジ−イソプロピルブチルアミン、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミン、N,N−ジ−n−ブチルシクロヘキシルアミンおよびさらにペンチル異性体由来の第三級アミンである。
特に好ましい第三級アミンは、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミンおよびペンチル異性体由来の第三級アミンである。3個の同一の基を有するさらに好ましい第三級アミンは、トリアリルアミンである。
【0078】
さらに、特に好ましいグアニジニウムイオン(IIIv)は、
1〜R5が、それぞれメチルであるものである。
【0079】
さらに、特に好ましいグアニジニウムイオン(IIIv)は、N,N,N´,N´,N´´,N´´−ヘキサメチルグアニジニウムである。
【0080】
非常に特に好ましいクロリニウムイオン(IIIw)は、R1およびR2がそれぞれ互いに独立して、メチル、エチル、1−ブチルまたは1−オクチルであり、R3が水素、メチル、エチル、アセチル、−SO2OH−または−PO(OH)2であり、R1がメチル、エチル、1−ブチルまたは1−オクチルであり、R2が−CH2−CH2−OR4基であり、R3およびR4がそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチル、アセチル、−SO2OHまたは−PO(OH)2であり、またはR1が−CH2−CH2−OR4基であり、R2が−CH2−CH2−OR5基であり、R3〜R5がそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチル、アセチル、−SO2OHまたは−PO(OH)2であるものである。
【0081】
特に好ましいクロリニウムイオン(IIIw)は、R3が水素、メチル、エチル、アセチル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサ−オクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オキサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサノニルまたは14−エトキシ−5,10−オキサ−テトラデシルから選択されるものである。
【0082】
さらに、非常に特に好ましいホスホニウムイオン(IIIx)は、R1〜R3がそれぞれ互いに独立して、C1−C18−アルキル、特にブチル、イソブチル、1−ヘキシルまたは1−オクチルであるものである。
【0083】
上述の複素環陽イオンのうち、ピリジニウムイオン、ピラゾリニウムイオン、ピラゾリウムイオンおよびイミダゾリニウムイオンならびにイミダゾリウムイオンが好ましい。さらにアンモニウムイオンが好ましい。
【0084】
1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ドデシル)ピリジニウム、1−(1−テトラデシル)ピリジニウム、1−(1−ヘキサ−デシル)ピリジニウム、1,2−ジメチルピリジニウム、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチルピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1,2−ジエチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−エチルピリジニウム、1,2−ジメチル−5−エチルピリジニウム、1,5−ジエチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−イミダゾリウム、1−(1−オクチル)−イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−イミダゾリウム、1−(1−テトラドデシル)イミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムおよび1−(1−オクチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、3−ブチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−エチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−ブチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−オクチルイミダゾリウムならびに1−(プロパ−1−エン−3−イル)−3−メチルイミダゾリウムが特に好ましい。
【0085】
陰イオンとしては、特に限定はない。
イオン液体の陰イオン[Y]n−は、例えば、
式:F-、Cl-、Br-、I-、BF4-、PF6-、CF3SO3-、(CF3SO32-、CF3CO2-、CCl3CO2-、CN-、SCN-、OCN-のハロゲン化物およびハロゲン含有化合物の群
一般式:
SO42-、HSO4-、SO32-、HSO3-、RaOSO3-、RaSO3-
の硫酸、亜硫酸およびスルホン酸の群
一般式:
PO43-、HPO42-、H2PO4-、RaPO42-、HRaPO4-、RabPO4-
のリン酸の群
一般式:
aHPO3-、RabPO2-、RabPO3-
のホスホン酸およびホスフィン酸の群
一般式:
PO33-、HPO32-、H2PO3-、RaPO32-、RaHPO3-、RabPO3-
の亜リン酸の群
一般式:
abPO2-、RaHPO2-、RabPO-、RaHPO-
のホスホナイトおよびホスフィナイトの群
一般式:
aCOO-
のカルボン酸の群
一般式:
BO33-、HBO32-、H2BO3-、RabBO3-、RaHBO3-、RaBO32-、B(ORa)(ORb)(ORc)(ORd-、B(HSO4-、B(RaSO4-
のホウ酸の群
一般式:
aBO22-、RabBO-
のボロン酸の群
一般式:
SiO44-、HSiO43-、H2SiO42-、H3SiO4-、RaSiO43-、RabSiO42-、RabcSiO4-、HRaSiO42-、H2aSiO4-、HRabSiO4-
のケイ酸およびケイ酸エステルの群
一般式:
aSiO33-、RabSiO22-、RabcSiO-、RabcSiO3-、RabcSiO2-、RabSiO32-
のアルキルシランおよびアリールシラン塩の群
一般式:
【化5】

のカルボン酸イミド、ビス(スルホニル)イミドおよびスルホニルイミドの群
一般式:
【化6】

のメチドの群
[式中、Ra、Rb、RcおよびRdはそれぞれ互いに独立して、水素、C1−C30−アルキル、場合により1個または複数個の隣接しない酸素および/または硫黄原子ならびに/あるいは1個または複数個の置換または非置換イミノ基により中断されることができるC2−C18−アルキル、C6−C14−アリール、C5−C12−シクロアルキルあるいは5または6員の、酸素、窒素および/または硫黄含有複素環であり、この場合、これらのうち2個はともに、場合により1個または複数個の酸素および/または硫黄原子ならびに/あるいは1個または複数個の非置換または置換イミノ基により中断されることができる不飽和、飽和または芳香族環を形成することができ、この場合、上記の基はそれぞれ、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環によりさらに置換されることができる。]
から選択される。
【0086】
本明細書において、場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができるC1−C18−アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘタデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチル−オキシエチル、クロロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシ−プロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチルまたは6−エトキシヘキシルである。
【0087】
場合により1個または複数個の隣接しない酸素および/または硫黄原子ならびに/あるいは1個または複数個の置換または非置換イミノ基により中断されることができる炭素数2〜18のアルキルは、例えば、5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−ヒドロキシ−4−オキサヘプチル、11−ヒドロキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−ヒドロキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−ヒドロキシ−5−オキサノニル、14−ヒドロキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オキサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサノニルまたは14−エトキシ−5,10−オキサテトラデシルである。
【0088】
2個の基が環を形成する場合、これらの基はともに、縮合構成要素として、例えば1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロピレン、2−オキサ−1,3−プロペニレン、1−アザ−1,3−プロペニレン、1−C1−C4−アルキル−1−アザ−1,3−プロペニレン、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、1−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンまたは2−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンを形成することができる。
【0089】
隣接しない酸素および/または硫黄原子ならびに/あるいはイミノ基の数はおもに、少しの制限もされず、または基もしくは環状構成要素の大きさにより自動的に制限される。一般に、各基は、5個以下、好ましくは4個以下および非常に特に好ましくは3個以下であるだろう。さらに、一般に、いずれかの2個のヘテロ原子間に、少なくとも1個の炭素原子、好ましくは少なくとも2個の炭素原子がある。
【0090】
置換および非置換イミノ基は、例えば、イミノ、メチルイミノ、イソプロピルイミノ、n−ブチルイミノまたはtert−ブチルイミノであってよい。
【0091】
本発明において、「官能基」という語句は、例えば以下を指す:カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ジアルキルアミノ(アルキル基の炭素数は1〜4)、アルキルオキシカルボニル(アルキル基の炭素数は1〜4)、シアノまたは炭素数は1〜4のアルコキシ。
【0092】
場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができる炭素数が6〜14のアリールは、例えば、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2もしくは4−ニトロフェニル、2,4−もしくは2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニルまたはエトキシメチルフェニルである。
【0093】
場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されることができる炭素数5〜12のシクロアルキルは、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチルまたは飽和もしくは不飽和二環状系、例えば、ノルボルニルまたはノルボルネニルである。
【0094】
5または6員の、酸素、窒素および/または硫黄含有複素環は、例えば、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、べンズイミダゾリル、べンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニルまたはtert−ブチルチオフェニルである。
【0095】
好ましい陰イオンは、ハロゲン化物およびハロゲン含有化合物の群、カルボン酸の群、硫酸、亜硫酸およびスルホン酸の群ならびにリン酸の群、特にハロゲン化物およびハロゲン含有化合物の群、カルボン酸の群、SO42-、SO32-、RaOSO3-およびRaSO3-からなる群ならびにPO43-およびRabPO4-からなる群から選択される。
【0096】
好ましい陰イオンは、塩素、臭素、ヨウ素、SCN-、OCN-、CN-、酢酸、炭素数が1〜4のアルキル基を有するアルキル硫酸、Ra−COO-、RaSO3-、RabPO4-、メタンスルホン酸、トシル酸または炭素数が1〜4のアルキル基を有するジアルキルリン酸である。
【0097】
特に好ましい陰イオンは、Cl-、CH3COO-、C25COO-、C65COO-、CH3SO3-、(CH3O)2PO2-または(C25O)2PO2-である。
【0098】
さらに好ましい実施形態において、式I
[式中、
[A]n+は、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)イミダゾリウム、1−(1−オクチル)−イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)イミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)イミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−ブチル−イミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−オクチル−イミダゾリウム、1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−エチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−ブチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−オクチルイミダゾリウムまたは1−(プロパ−1−エン−3−イル)−3−メチルイミダゾリウムであり、
[Y]n+は、Cl-、CH3COO-、C25COO-、C65COO-、CH3SO3-、(CH3O)2PO2-または(C25O)2PO2-である。]
のイオン液体を使用する。
【0099】
本発明の方法において、式Iのイオン液体または式Iのイオン液体の混合物を使用し、式Iのイオン液体を使用することが好ましい。
【0100】
本発明のさらなる実施形態において、式IIのイオン液体または式IIのイオン液体の混合物を使用することが可能であり、式IIのイオン液体を使用することが好ましい。
【0101】
本発明のさらなる実施形態において、式IおよびIIのイオン液体の混合物を使用することが可能である。
【実施例】
【0102】
以下、本発明を具体化した実施例1、2について、比較例1及び比較例2と比較しつつ詳述する。
【0103】
(実施例1)
実施例1では、図1に示す工程によって多孔性スルホン化カーボンを調製した。
<多孔性スルホン化カーボンの調製>
・重合工程S1
図1に示すように、重合工程S1としてレゾルシノール4gとホルムアルデヒド37%水溶液5.5mlと水16mlと炭酸ナトリウム99.5%粉末0.019gとを混合し、3時間撹拌を行った後、25°Cで24時間、50°Cで24時間、90°Cで72時間エージングすることにより、有機湿潤ゲルを得た。
【0104】
・溶媒置換工程S2
そして、溶媒置換工程S2として、上記有機湿潤ゲルをアセトンで5回洗浄した後、スラリーをケーキ層型とした。
【0105】
・超臨界乾燥工程S3
さらに、超臨界乾燥工程S3として、溶媒置換されたゲル粉末をステンレス製の圧力容器に入れ、COを導入し、超臨界状態となるよう圧力と温度を調節し、その後ゆっくりとCOを排出させることによって、COを気相条件へ移行させて超臨界乾燥を行い多孔性重合物を得た。
【0106】
・熱分解工程S4
そして、熱分解工程S4として、上記多孔性重合物を電気炉内に入れ、窒素雰囲気下、400℃で4時間の加熱を行った後、冷却して多孔性炭化物を得た。
【0107】
・スルホン化工程S5
そして、スルホン化工程S5として、上記多孔性炭化物をビーカーに入れ、発煙硫酸を加え、80℃で10時間のスルホン化処理を行う。
【0108】
・洗浄・乾燥工程S6
最後に、洗浄・乾燥工程S6として、吸引ろ過し、熱水で充分に洗浄した後、乾燥させて、多孔性スルホン化カーボンを得た。
【0109】
<セルロースの加水分解試験>
セルロースを溶解するイオン液体として、塩化1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム2gを秤り取り、セルロース粉末(Merck製、商品名:アビセル)100mgを入れて100℃に昇温して溶解した後、温度を120℃に昇温させ、多孔性スルホン化カーボン50mg、及び水50mgを添加し、1h反応させた。反応終了後、生成物を水で抽出し、高速液体クロマトグラフィーによりグルコースの生成量を分析した。
【0110】
(実施例2)
実施例2では、結晶性セルロース(Merck社製 商品名:アビセル)を原料とし、上記と同様の熱分解工程S4、スルホン化工程S5及び洗浄・乾燥工程S6の各工程を行って、スルホン酸カーボンを得た。
そして、さらに実施例1と同様の方法によりセルロースの加水分解試験を行った。
【0111】
(比較例1)
比較例1では、ダウケミカル製イオン交換樹脂(商品名:DOWEX-50W)を固体酸触媒として用い、実施例1と同様の方法によりセルロースの加水分解試験を行った。
【0112】
(比較例2)
比較例2では、実施例1で用いた多孔性スルホン化カーボンを固体酸触媒として用い、水系においてセルロースの加水分解試験を行った。
すなわち、セルロース100mg、多孔性スルホン化カーボン50mg、および水50mgを混合し120℃で3h攪拌しながら反応させた。反応後、生成物を水で抽出し、高速液体クロマトグラフィーによりグルコース生成量を分析した。
【0113】
−評 価−
実施例1,2及び比較例1,2のセルロースの加水分解試験の結果を図2に示す。この図から、固体酸触媒として多孔性スルホン化カーボンを用い、イオン液体中で反応を行った実施例1では、同じ多孔性スルホン化カーボンを用い、水系で反応を行った比較例2に比べて、グルコースの生成速度が飛躍的に速くなることが分かった。
また、同じイオン液体中で反応を行った場合において、スルホン化カーボンを固体酸触媒として用いてセルロースの分解反応を行った実施例1及び実施例2では、イオン交換樹脂を固体酸触媒として用いた比較例1よりもグルコース生成速度が2倍以上速いことが分かった。
さらには、スルホン化カーボンの中でも多孔性スルホン化カーボンを用いた実施例1は、単なるスルホン化カーボンを用いた実施例2と比較して、グルコース生成速度が速いことが分かった。
【0114】
この発明は、上記発明の実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
S1…重合工程
S2…溶媒置換工程
S3…超臨界乾燥工程
S4…熱分解工程
S5…スルホン化工程
S6…洗浄・乾燥工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースと固体酸触媒とをイオン液体中において反応させるセルロースの分解方法であって、
前記固体酸触媒には有機物を炭化処理してなるカーボンをスルホン化処理して得られるスルホン化カーボンを用いることを特徴とするセルロースの分解方法。
【請求項2】
前記イオン液体は、前記セルロース溶解能を有することを特徴とする請求項1記載のセルロースの分解方法。
【請求項3】
前記イオン液体は、ハロゲン系イミダゾリウム塩であることを特徴とする請求項1又は2記載のセルロースの分解方法。
【請求項4】
前記スルホン化カーボンは、多孔性のカーボンをスルホン化処理して得られた多孔性スルホン化カーボンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセルロースの分解方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−5384(P2012−5384A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142272(P2010−142272)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】