説明

セルロースアセテートおよび他の有機エステルの製造に使用するために苛性前処理による木パルプの製造方法

本発明は、木パルプを前処理する工程を含むセルロースアセテートまたは他のセルロースエステルの製造方法であって、前記前処理は、さらに、木パルプを苛性溶液に混合する工程、前記溶液からパルプを分離してケーキを形成する工程、前記ケーキを酢酸で洗浄して前処理された木パルプを得る工程、および前記前処理された木パルプをアセチル化またはエステル化してセルロースアセテートまたは他のセルロースエステルを得る工程を含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセチル化またはエステル化の前に木パルプを前処理するセルロースアセテートまたはセルロースエステルの製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
セルロースアセテートは、セルロースの有機酸エステルである。セルロースアセテートは、衣類およびたばこのフィルターのための繊維材料のような多様な目的に使用される。セルロースアセテートおよびセルロースの他の有機エステルの製造は、その目的マーケット内での重要な産業である。
【0003】
セルロースアセテートおよび他のセルロースエステルの製造方法は、高品質のセルロース供給原料の供給を必要とする。高品質供給原料源の1つは、綿リンターであるが、この原料はコスト高であり、量的にも限界がある。豊富な供給原料源は木パルプであり、綿リンターよりコストが高くない。しかしながら、木パルプから得られるセルロース供給原料の品質は大きくばらつき、より高品質の供給原料は低品質の供給原料に比べコスト高である。
【0004】
木パルプから導かれるセルロースエステルおよび他のセルロースエステルの製造において、最も良好な木パルプ供給原料は低い半セルロース含有量および低いレベルの有機溶媒抽出物(樹脂とも呼ばれる)並びにリグニンを有する。1ないし2%の半セルロース含有量を有する硬質木パルプが好ましい。しかしながら、最大3%までの半セルロース含有量を有する軟質木パルプも使用することができる。従来、3%を超える半セルロース含有量を有する木パルプ供給原料は、標準のビスコース木パルプのように問題があることがわかった。紙の製造に従来から使用される木パルプ供給原料は、15〜20%の半セルロース含有量を有し、コスト安であるが、セルロースアセテートおよび他のセルロースエステルの製造のためにはあまり良くない選択であることがわかった。
【0005】
セルロースエステルの製造において、セルロースと対応するアニドライド間のエステル化は、触媒として使用される無機酸の少量と共に有機酸溶媒の存在下で行われる。例としては、触媒として使用されるスルホン酸と共に、酢酸の存在下でセルロースと無水酢酸の反応がある。このエステル化反応から製造される他のセルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースバレレート、セルロースフォーメートがあげられる。アセテート−プロピオネートまたはブチレートまたはバレレートまたはフォーメートのコポリマーは対応する酸無水物の混合物を使用して製造される。
【0006】
セルロースアセテートの場合、最初に形成される反応生成物は、セルロースの全ての3つの水素基がアセチル化される第一級セルロースアセテートである。すなわち、置換度は(D.S)は3.0である。この生成物は分離されていないが、加水分解によって第2級アセテート(D.S.=名目上2.4)に変換される。これは、酸触媒の部分的中性化の後の反応混合物の制御された加熱によってなされる。第2級アセトンは、相対的に非毒性で容易に回復されるアセトン溶媒に溶解性なので有益な材料である。第一級セルロースアセテートまたはセルローストリアセテートは薄膜の製造に有益であり、LCD(液晶ディスプレイ)または繊維の製造に利用される。同様の反応プロセスは、セルロースプロピネート、セルロースブチレートおよびアセテートコポリマーのような他のセルロースエステルの製造に使用することができる。
【特許文献1】米国特許6,057,438号明細書
【特許文献2】国際公開WO2004/067572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
米国特許6,057,438は、昇温された温度での苛性処理、ついで酵素処理、次いで昇温された温度での他の苛性処理を使用する品質のよいパルプの溶解のためのクラフト処理によって紙質硬質木パルプの上質化のためのプロセスを論じている。この文献とは異なって、本発明の苛性処理は室温で行われ、酵素工程は必要とされない。この文献においては昇温での2階の化成処理を必要とするが、本発明は、1つの苛性処理のみを必要とする。また、本発明は、クラフトプロセスまたは亜硫酸塩プロセスによって製造される硬質木および軟質パルプの両者に利用することができる。
【0008】
国際公開WO2004/067572号公報は、木パルプが苛性溶液で処理され、次いで、アルコール抽出薬剤による洗浄処理について述べている。この文献においては、苛性溶液はプロセスの間でリサイクルされる。本発明は、アルコール抽出薬剤を使用せず、水および酢酸洗浄を使用する点でこのプロセスと異なる。この文献は、セルロースキサントゲナトまたはビスコースに関するもので、セルロースアセテートの製造については述べていない。
【0009】
アセチル化またはエステル化の前に木パルプを前処理するセルロースアセテートまたはセルロースエステルの製造プロセスが開示されている。木パルプの前処理は、木パルプを苛性溶液に混合させて木パルプの懸濁液を形成することを含む。木パルプの懸濁液は、苛性溶液から分離されてケーキを形成する。ケーキは酸によって洗浄され、酸およびセルロースのケーキを得る。次いで、酸およびセルロースのケーキは、アセチル化されるかまたはエステル化されてセルロースエステルまたは他のセルロースエステルを形成する。このケーキは、酸で洗浄される前に、他の実施態様では水で洗浄される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、セルロースアセテートを製造するプロセスまたはアセチル化またはエステル化の前に木パルプを前処理するセルロースアセテートまたはセルロースエステルの製造プロセスに関するものである。木パルプの前処理は木パルプを苛性溶液に混合して木パルプの懸濁液を形成することを含む。木パルプの最初の形は、ベール、シートまたはロールであり得る。均一性、密度および湿気の含有量のような物理的なパルプシート特性は重要なファクターではない。
【0011】
前処理後、木パルプの懸濁液は苛性溶液から分離されてケーキを形成する。本発明の1つの実施態様において、ケーキは酢酸で洗浄され、酢酸およびセルロースのケーキを得る。次いで、酢酸およびセルロースのケーキはアセチル化されてセルロースアセテートを形成する。
【0012】
このプロセスで使用される苛性溶液は1重量%ないし50重量%の苛性物を有する。本発明の他の実施態様では、このプロセスに使用される苛性溶液は1重量%ないし18重量%の苛性物を有する。強アルカリ材料を含む任意の苛性溶液を使用することができる。苛性溶液の例は、苛性ソーダまたは水酸化ナトリウムである。
【0013】
木パルプの広範囲の品質にこのプロセスが適用されると、セルロースアセテートの製造において、第1級値はアルファセルロース含有量96%以下を有する木パルプのためのものである。しかしながら、アルファセルロース含有量98%以下を有する高品質木パルプもパルプ特性を増強しこれによって優れた特性を有するセルロースアセテートを生む化成処理による恩恵を受ける。木パルプは異なる木の種類または硬質木もしくは軟質木の組合せから構成されることができる。硬質木の例としては、かし、ガム、ヒッコリー、かえで、ぶな、かばのき、アスペンおよびユーカリなどを挙げることができる。軟質木の例としては、松、トウヒ、ファー、カラマツおよびドクニンジンなどを挙げることができる。木パルプは、加水分解クラフト処理、クラフト処理、硫化処理または他のパルプ化処理により製造することができる。
【0014】
上記のセルロースアセテートを製造するためのプロセスは、洗浄されたセルロースのケーキを得るためにケーキを水で洗浄する工程を含む。次いで、この水で洗浄されたセルロースのケーキは、酢酸で洗浄されて、アセチル化の前に酢酸およびセルロースのケーキを得る。
【0015】
1つの実施態様におけるセルロースアセテートを製造するためのプロセスにおいて、前処理において酵素は使用されない。
【0016】
このプロセスは、最初の木パルプと最終的な目的に依存して冷温プロセスから昇温されたプロセスまで操業することができる。通常、苛性溶液は、苛性溶液の凍結温度から180℃の温度の範囲で加えられる。本発明の他の実施態様においては、苛性溶液は0℃〜100℃の範囲の温度で加えられる。苛性溶液は室温で加えることができる。室温は、20℃〜25℃の範囲の環境温度で定義される。2℃〜10℃の範囲の温度における苛性溶液の添加は、高い半セルロース含有量を有するが、樹脂およびリグニンなどの抽出物は低含有量である木パルプによく作用する。苛性溶液がこの範囲の低い限界であり、反応温度が100℃以上である場合に、過剰な加圧雰囲気中の圧力における加圧反応容器で行われることができる。加圧反応容器は、過剰な加圧雰囲気中での圧力の使用を導入して全反応範囲にわたって使用される。
【0017】
本発明の他の実施態様においては、アセチル化の前に木パルプを前処理するセルロースアセテートを製造するプロセスが提供される。木パルプの前処理は、木パルプを苛性溶液に混合して木パルプの懸濁液を形成することを含む。木パルプの懸濁液は苛性溶液から分離されてケーキを形成する。次いで、このケーキは水で洗浄され、洗浄されたセルロースのケーキを得る。洗浄されたセルロースのケーキは、酢酸で洗浄されて酢酸とセルロースのケーキを得る。次いで、酢酸とセルロースのケーキはアセチル化されてセルロースアセテートを形成する。
【0018】
本発明の他の実施態様において、アセチル化の前に木パルプを前処理するセルロースアセテートの製造プロセスが提供される。木パルプは、96%以下のアルファセルロースレベルを有する。木パルプの前処理は、木パルプを苛性溶液に混合して木パルプの懸濁液を形成することを含む。木パルプは苛性溶液から分離されてケーキを形成する。次いで、このケーキは水で洗浄されて洗浄されたセルロースのケーキを得る。洗浄されたセルロースのケーキは、酢酸で洗浄されて酢酸とセルロースのケーキを得る。次いで、酢酸とセルロースのケーキはセルロースアセテートを形成するためにアセチル化される。
【0019】
上記の実施態様において、溶液からパルプを分離する工程は任意の手段でなされることができる。例えば、分離工程は、ろ過、遠心分離または固体−液体分離の他の任意の手段で行うことができる。ろ過は真空ろ過または加圧ろ過であることができる。分離は、機械的圧搾および加圧または他の個体−液体分離技術によって達成することができる。
【0020】
記載される実施態様において、木パルプを苛性溶液に混合後、木パルプの第1の懸濁液が得られる。通常、苛性物中の木パルプの懸濁液は苛性溶液中重量%で1%ないし18%の木パルプからなる。この懸濁液が分離工程を行うとき、ケーキを得る。このケーキは重量で10ないし70%のセルロースおよび90ないし30%の苛性溶液を含む。本発明の他の実施態様においては、このケーキは20ないし60重量%のセルロースおよび80ないし40%の苛性溶液を含む。このケーキは苛性溶液に取って代わって水の洗浄にさらされる。この水の洗浄は、10ないし95重量%のセルロースおよび90ないし5重量%の水を含む洗浄されたケーキを生成する。本発明の1つの実施態様において、このケーキは20ないし60重量%のセルロースおよび80ないし40重量%の水を含むことができる。ケーキまたは洗浄されたケーキは再度酢酸で洗浄され、酢酸とセルロースのケーキを生成する。この酢酸およびセルロースのケーキは、10ないし70重量%のセルロース、0ないし8重量%の水および90ないし22重量%の酢酸を含むことができる。本発明の1つの実施態様において、このケーキは20ないし60重量%のセルロース、0ないし7重量%の水および80ないし33重量%の酢酸を含むことができる。
【0021】
セルロースアセテートを生成するこのプロセスにおいて、前処理において酵素は使用されない。
【0022】
通常、苛性溶液の凍結温度から180℃の温度範囲において苛性溶液が加えられる。苛性溶液は室温で加えることができる。室温は、20℃ないし25℃の環境温度範囲で定義される。
【0023】
この発明は、セルロースアセテートの製造に使用されるセルロースの中間ケーキを提供する。このセルロースのケーキは次の工程で製造される。木パルプを前処理する工程であって、この前処理は、苛性溶液に木パルプが混入される工程、パルプが溶液から分離されてケーキを形成する工程、およびケーキが酢酸で洗浄されて酢酸およびセルロースのケーキを得る工程を含む。このケーキは、10ないし70重量%のセルロースおよび90ないし30重量%の酢酸を含む。
【0024】
この発明の他の実施態様において、この中間ケーキは、次の更なる工程によって製造されることができる。ケーキを取って水で洗浄し洗浄されたセルロースのケーキを得る工程。洗浄されたセルロースのケーキは10ないし95重量%のセルロースおよび90ないし5重量%の水を含む。次いで、洗浄されたセルロースのケーキは、酢酸で洗浄されて酢酸およびセルロースのケーキを得る。酢酸およびセルロースのケーキは、10ないし70重量%のセルロース、0ないし8重量%の水および90ないし22重量%の酢酸を含む。
【0025】
次いで、このプロセスで得られたセルロースのケーキは、アセチル化されて第1級セルロースアセテートを形成する。アセチル化プロセスは、セルロースのケーキと酢酸を少量の硫酸のような強無機酸と酢酸中で無水酢酸と反応させる工程を含む。次いで、第1級セルロースアセテートは加水分解されて、加水分解混合物中で第2級セルロースアセテートを形成する。次いで、水中または水無しで、酢酸は第2級セルロースアセテートに加えられ、攪拌によって加水分解混合物は「フレーク」と呼ばれる固体ポリーマーを形成する。次いで、このフレークは、繊維、フィルタートウ、薄膜またはプラスチックのような成型されたセルロースアセテートを製造するために使用される。フレークを製造するためのこの前処理の使用によって、1つの利点は、前処理されていない同じ等級の木パルプからせ遺贈されるフレークに対して、14.1kg力/cm2(200psi)による9%のアセトン溶液中で少なくとも15%のプラグ値で代表される充填性が増加することである。他方、溶液色、かすみ、半セルロースアセテート含有量などのような他の特性は、苛性溶液で前処理されていない木パルプから製造されるアセテートフレークに比較して低下している。
【0026】
実施例
苛性前処理
異なる濃度を有する苛性溶液の選択された量がビーカーに加えられ、次いで、木パルプの選択された量が加えられた。次いで、懸濁液は15分間攪拌され、続いて真空下でBuchner漏斗によってろ過される。得られたケーキは、水によりビーカー中で3回洗浄され、続いて酢酸で3回洗浄される。次いで、このセルロース酸ケーキは標準のベンチアセチル化法によってアセチル化される。
【0027】
ベンチアセチル化
ベンチアセチル化は、酢酸中のセルローストリアセテートとして完成される等温実験室のアセチル化である。アセチル化速度およびアセチル化の完成度は酢酸溶液のにごりの測定によって決められる。溶液の透明度等級は溶液の質の測定である。
【0028】
定義
Tp=ピークに至るまでの時間、または急落するまでの時間。Tpは、アセチルにごり曲線における急落までの時間(分)によって決められるアセチル化速度である。通常、厚い壁を有し、大きな繊維(軟質木)および低純度パルプほどベンチアセチル化および商業的プロセスにおいてより長いアセチル化時間を要する。
【0029】
=Tp10分後の酸溶液のHaze。Hは、アセチル化Tpに10分の透明化時間を加えたものである。低いHazeは、にごりが少ない溶液を意味し、通常好ましいと考えられる。Hazeはアセチル化反応の質および半セルロース含有量のレベルおよび種類によって影響される。
【0030】
=試料Hの一日後のHazeに等しい。また、それぞれ特定のパルプは独自のHazeを有している。(H−H)は、1日の放置および冷却によって酢酸溶液からどれだけ材料が除去されるかを表す。冷却によって溶液から除去される材料は粘着性である。低いほうが良い。
【0031】
ICは、遠心分離後に残留するにごりに等しい。HICは、半セルロースアセテートが1つの主要な要因となっている溶解性の酸と試料の小さいゲル状の相を示す。低い数ほど良い。
【0032】
ΔHIC=デルタHIC=(H−HIC)は、1日の試料から遠心分離される材料の量に等しい。ΔHICは、通常プラグ値に比例する。低いほうが良い。
【0033】
低級アセテートパルプのベンチアセチル化の結果
【表1】

【0034】
標準粘度パルプのベンチアセチル化の結果
【表2】

【0035】
実験室のベンチ反応器プロセス
実験室のアセチル化ベンチ反応器プロセスは商業的セルロースアセテート製造の擬似のために使用された。生成物はセルロースジアセテートまたはアセテートフレークである。アセテートフレークの主要な特性は、限定されずに次のものを含む。
【0036】
200psiでの9%アセトン溶液中のアセテートフレークのプラグ値。200ポンド力/平方インチ(psi)=14.06kg力/平方センチ。これは溶液のろ過性を示す。PV数が高いほど、生成物の特性は良好である。
Haze1:アセテート/水溶液中のアセテートフレークのにごり。低いほうが良い。
Haze2:ジクロロメタン/メタノール溶液中のアセテートフレークのにごり。低いほうが良い。
YI:黄色指標。これは、フレークの色に関係する。低い数は良好な結果を表す。
GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)prehump1値:これはアセテートフレーク中の半セルロースアセテートの含有量に関係する。低いほうが良い。
【0037】
異なる木パルプの実験室ベンチ反応器の結果
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
木パルプを前処理する工程を含むセルロースアセテートまたは他のセルロースエステルの製造方法であって、
前記前処理は、さらに、
木パルプを苛性溶液に混合する工程、
前記溶液からパルプを分離してケーキを形成する工程、
前記ケーキを酢酸で洗浄して前処理された木パルプを得る工程、および
前記前処理された木パルプをアセチル化またはエステル化してセルロースアセテートまたは他のセルロースエステルを得る工程を含む方法。
【請求項2】
前記木パルプはアルファセルロース含有量98%以下である請求項1に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項3】
前記木パルプは、異なる木の種類、あるいは硬質木または軟質木の種の組合せから構成され、
硬質木は、かし、ガム、ヒッコリー、かえで、ぶな、かばのき、アスペンおよびユーカリかなる群より選択され、
軟質木は、松、トウヒ、ファー、カラマツおよびドクニンジンからなる群より選択される請求項1に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項4】
前記木パルプは、加水分解クラフト処理、クラフト処理または硫化処理からなる群から選択されるプロセスによって製造される請求項1に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項5】
前記苛性溶液は1ないし50重量%の苛性物を含む請求項1に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項6】
前記ケーキを水で洗浄して洗浄されたセルロースのケーキを得る工程、およびアセチル化の前に前記洗浄されたケーキを酢酸で洗浄して酢酸およびセルロースのケーキを得る工程をさらに含む請求項1に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項7】
前記前処理において酵素が使用されない請求項1に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項8】
前記苛性溶液は、苛性溶液の氷結点ないし180℃の温度範囲において加えられる請求項1に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項9】
前記苛性溶液は、室温において加えられる請求項8に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項10】
前記苛性溶液は0℃ないし10℃の温度範囲で加えられる請求項8に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項11】
木パルプを前処理する工程を含むセルロースアセテートまたは他のセルロースエステルの製造方法であって、
前記前処理は、さらに、
木パルプを苛性溶液に混合する工程、
前記溶液から前記パルプを分離してケーキを形成する工程、
前記ケーキを水で洗浄して洗浄されたセルロースのケーキ得る工程、
前記洗浄されたセルロースのケーキを酢酸または他の対応する酸で洗浄して前処理された木パルプを得る工程、および
前記前処理された木パルプをアセチル化またはエステル化してセルロースアセテートまたは他のセルロースエステルを得る工程を含む方法。
【請求項12】
前記木パルプは96%以下のアルファセルロース含有量を有する請求項11に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項13】
前記苛性溶液は1ないし50重量%の苛性物を含む請求項11に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項14】
前記前処理において酵素が使用されない請求項11に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項15】
前記苛性溶液は、苛性溶液の氷結点ないし180℃の温度範囲において加えられる請求項11に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項16】
前記苛性溶液は、室温において加えられる請求項15に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項17】
前記苛性溶液は2℃ないし10℃の温度範囲で加えられる請求項15に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項18】
パルプを前処理する工程を含む木パルプからセルロースアセテートまたは他のセルロースエステルの製造方法であって、
前記前処理は、さらに、
木パルプを苛性溶液に混合する工程であって、前記木パルプは98重量%以下のアルファセルロース含有量を有する工程、
前記溶液から前記パルプを分離してケーキを形成する工程、
前記ケーキを水で洗浄して洗浄されたセルロースのケーキ得る工程、
前記洗浄されたセルロースのケーキを酢酸または他の対応する酸で洗浄して前処理された木パルプを得る工程、および
前記前処理された木パルプをアセチル化またはエステル化してセルロースアセテートまたは他のセルロースエステルを得る工程を含む方法。
【請求項19】
前記苛性溶液は1ないし50重量%の苛性物を含む請求項11に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項20】
前記溶液からの前記パルプの分離は、ろ過もしくは遠心分離、機械的圧搾および加圧、または他の個体−液体分離法によって達成される請求項18に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項21】
木パルプを苛性溶液に混合後、前記化成溶液中1重量%ないし18重量の木パルプの第1の木パルプ懸濁液が得られる請求項18に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項22】
前記ケーキは、10ないし70重量%のセルロースおよび90ないし30重量%の苛性溶液を含む請求項18に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項23】
前記ケーキは、20ないし50重量%のセルロースおよび80ないし50重量%の苛性溶液を含む請求項22に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項24】
前記洗浄されたケーキは、10ないし95重量%のセルロースおよび90ないし5重量%の水を含む請求項18に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項25】
前記洗浄されたケーキは、20ないし50重量%のセルロースおよび80ないし50重量%の水を含む請求項18に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項26】
前記予備処理された木パルプは、10ないし70重量%のセルロース、0ないし8重量%の水および90ないし22重量%の酢酸を含む請求項18に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項27】
前記予備処理された木パルプは、20ないし60重量%のセルロース、0ないし7重量%の水および80ないし33重量%の酢酸を含む請求項26に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項28】
前記前処理において酵素が使用されない請求項18に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項29】
前記苛性溶液は、苛性溶液の氷結点ないし180℃の温度範囲において加えられる請求項18に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項30】
前記苛性溶液は、室温において加えられる請求項29に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項31】
木パルプを前処理する工程を含む方法によって製造されるセルロースアセテートまたは他のセルロースエステルに使用されるセルロースのケーキであって、
前記前処理は、さらに、
木パルプを苛性溶液に混合する工程、
前記溶液から前記パルプを分離してケーキを形成する工程、
前記ケーキを酢酸または他の対応の酸で洗浄して酸−セルロースのケーキを得る工程を含むことを特徴とするセルロースのケーキ。
【請求項32】
前記ケーキは、10ないし70重量%のセルロース、0ないし8重量%の水および90ないし22重量%の酢酸を含む請求項31に記載のセルロースのケーキ。
【請求項33】
前記ケーキは、20ないし60重量%のセルロース、0ないし7重量%の水および80ないし33重量%の酢酸を含む請求項32に記載のセルロースのケーキ。
【請求項34】
さらに、前記ケーキを水で洗浄して洗浄されたセルロースのケーキ得る工程、および
前記洗浄されたセルロースのケーキを酢酸または他の対応する酸で洗浄して酸−セルロースのケーキを得る工程によって製造されるセルロースアセテートまたは他のセルロースエステルに使用される請求項31に記載のセルロースのケーキ。
【請求項35】
前記洗浄されたセルロースのケーキは、10ないし95重量%のセルロースおよび90ないし5重量%の水を含む請求項34に記載のセルロースのケーキ。
【請求項36】
前記酢酸およびセルロースのケーキは、10ないし70重量%のセルロース、0ないし8重量%の水および90ないし22重量%の酢酸を含む請求項34に記載のセルロースのケーキ。
【請求項37】
次の工程を有する方法によって製造されるセルロースアセテート製品の製造に使用されるセルロースアセテートのフレークであって、
前記工程は、
木パルプを苛性溶液に混合する工程、
前記溶液からパルプを分離してケーキを形成する工程、
前記ケーキを酢酸または他の対応の酸で洗浄して酢酸およびセルロースのケーキを得る工程、
前記酢酸およびセルロースのケーキをアセチル化して第1級セルロースアセテートを形成する工程、
前記第1級セルロースアセテートを加水分解して加水分解混合物中の第2級セルロースアセテートを形成する工程、
前記第2級セルロースアセテートおよび加水分解混合物に、酢酸と共にまたは酢酸無しで水を加えてセルロースアセテートのフレークを生成する工程を含むことを特徴とするセルロースアセテートのフレーク。
【請求項38】
さらに、前記ケーキを水で洗浄して洗浄されたセルロースのケーキ得る工程、および
前記洗浄されたセルロースのケーキを酢酸で洗浄して酢酸およびセルロースのケーキを得る工程を含む方法によって製造されるセルロースアセテートの製造に使用される請求項37に記載のセルロースアセテートのフレーク。
【請求項39】
14.06kg力/平方センチ(200psi)での9%アセトン溶液中のアセテートフレークのプラグ値が少なくとも15%改良されているセルロースアセテートの製造に使用される請求項37に記載のセルロースアセテートのフレーク。
【請求項40】
溶液の色、にごり、半セルロースアセテートおよびこれらの組合せからなる群より選択される他の特性が改良されているセルロースアセテートの製造に使用される請求項39に記載のセルロースアセテートのフレーク。
【請求項41】
セルロースアセテートの製造に使用されるセルロースアセテートのフレークの特性の改良に使用される処理法であって、
前記処理法は、
木パルプを苛性溶液に混合する工程、
前記溶液から前記パルプを分離してケーキを形成する工程、
前記ケーキを酢酸で洗浄して酢酸およびセルロースのケーキを得る工程、
前記酢酸およびセルロースのケーキをアセチル化して第1級セルロースアセテートを形成する工程、
前記第1級セルロースアセテートを加水分解して加水分解混合物中の第2級セルロースアセテートを形成する工程、
前記第2級セルロースアセテートおよび加水分解混合物に、酢酸と共にまたは酢酸無しで水を加えてセルロースアセテートのフレークを形成する工程を含み、
14.06kg力/平方センチ(200psi)での9%アセトン溶液中のアセテートフレークのプラグ値が少なくとも15%改良されていることを特徴とする処理法。
【請求項42】
溶液の色、にごり、半セルロースアセテートおよびこれらの組合せからなる群より選択される他の特性が改良されている請求項41に記載の処理法。
【請求項43】
次の工程を有する方法によって製造される、セルローストリアセテート製品の製造に使用されるセルローストリアセテテートであって、
前記工程は、
木パルプを苛性溶液に混合する工程、
前記溶液から前記木パルプを分離してケーキを形成する工程、
前記ケーキを水で洗浄して洗浄されたセルロースのケーキを得る任意の工程、および
前記ケーキまたは前記洗浄されたセルロースのケーキを酢酸で洗浄して酢酸およびセルロースのケーキを得る工程、
前記酢酸およびセルロースのケーキをアセチル化してセルローストリアセテートを形成する工程を含むセルローストリアセテート。
【請求項44】
セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースブチレートのコポリマー、セルロースアセテート、セルロースアセテートのコポリマー、セルロースバレレート、セルロースバレレートのコポリマー、セルロースフォーメート、セルロースフォーメートのコポリマー、またはこれらの組合せからなる群から選ばれるセルロースエステルであって、
木パルプを苛性溶液に混合する工程、
前記溶液から前記パルプを分離してケーキを形成する工程、
前記ケーキを水で洗浄して洗浄されたセルロースのケーキを得る任意の工程、
前記ケーキまたは前記洗浄されたセルロースのケーキを有機酸で洗浄して有機酸およびセルロースのケーキを得る工程、
前記有機酸およびセルロースのケーキをエステル化して第1級のセルロースエステルを形成する工程、
前記第1級セルロースアセテートを加水分解して加水分解混合物中の第2級セルロースエステルを形成する工程、
前記第1級セルロースアセテートに有機酸を加える任意の工程、
前記第1級セルロースエステルに水を加えてセルロースエステルのフレークを形成する工程を有する方法によって製造されるセルロースエステル製品の製造に使用されるセルロースエステル。
















【公表番号】特表2009−507937(P2009−507937A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516939(P2008−516939)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/022062
【国際公開番号】WO2006/138125
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(506099834)セラニーズ アセテート,エルエルシー (21)
【Fターム(参考)】