説明

セルロース基体のための新規な白化剤

【課題】 セルロース基体のための新規な白化剤を提供すること。
【解決手段】 チオフェン着色剤を含有する少なくとも1種の発色団成分及び少なくとも1種のポリマー成分を含むセルロース基体のための白化剤。適切な発色団成分は、紫外線を照射すると、青色、赤色、紫色、又はパープル色の蛍光を発し、又は光を吸収してそれらと同じ色合いを反射する。この白化剤は、更に、約17MPa0.5より低いか又は等しいハンセン溶解度パラメータの分散成分値を有することを特徴とする。本発明はまた、これらに限定されないが、液体及び/又は粉末の洗濯洗剤組成物及びすすぎ用に添加された繊維柔軟剤(RAFS)組成物を含む、洗濯ケア組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース基体のための新規な白化剤に関する。この白化剤は、少なくとも1種の発色団成分と少なくとも1種のポリマー成分の、少なくとも2種の成分を含む。適切な発色団成分は、一般に、紫外線を照射されたときに青色、赤色、バイオレット色、又はパープル色の蛍光を発するか、又は光を吸収してこれらの同じ色合いを反射する。この白化剤は、更に、約17MPa0.5より低いか又は等しいハンセン溶解度パラメータの分散成分値を有することにより特徴づけられる。それらの白化剤は、これらに限定されないが、液体及び/又は粉末の洗濯洗剤組成物及びすすぎ用に添加された繊維柔軟剤(RAFS)組成物を含む、洗濯ケア組成物への使用に理想的である。
【背景技術】
【0002】
織物の用途において、光学的増白剤又は青味剤のいずれかの白化剤の使用は従来技術において周知である。織物基体が古くなると、光、空気、土壌にさらされるため、及び基体を含む繊維の自然の劣化のため、その色はあせるか、又は黄ばむ傾向となる。このように、白化剤の目的は、一般に、これらの織物基体を視覚的に増白し、基体の色あせ及び黄ばみを阻止することである。典型的には、白化剤は、洗濯用洗剤、繊維柔軟剤、又はすすぎ助剤にみられ、そのため洗濯プロセス中に織物基体に適用される。しかし、白化剤が、織物基体の不所望な汚れを生ずることなく、処理された織物基体を増白するように機能することは重要である。
【0003】
特にセルロース基体は、光、空気、及び/又は土壌汚れにさらされた後、黄色い色合いを示す。この黄ばみは、通常の洗濯手順により除去することは困難である。その結果、セルロース基体が老化することにより示される黄ばみを除去し得る改良された白化剤に対する必要性が存在する。そのような改良された白化剤を用いることにより、衣料品、テーブルライナー等のような織物基体の寿命が拡張される。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、約17MPa0.5より低いか又は等しいハンセン溶解度パラメータを有し、セルロース基体の黄ばみを中和するために、紫外線を照射されて青、赤、バイオレット、パープル又はその組合せの範囲の波長の光を発する(又は同じ色合いを生ずる光を吸収する)化合物を利用するので、米国特許第4,137,243号、第5,039,782号、及び米国特許出願公報第2005/0288206号に対する利点を提供する。これらの化合物は、セルロース基体のための白化剤として理想的に機能し、洗濯プロセス中に消費者による使用のための洗濯用洗浄剤に含めることが出来る。
【0005】
本発明は、セルロース基体のための新規な白化剤に関する。この白化剤は、少なくとも1種の発色団成分と少なくとも1種のポリマー成分の、少なくとも2種の成分を含む。適切な発色団成分は、一般に、紫外線を照射されたときに青色、赤色、バイオレット色、又はパープル色の蛍光を発するか、又は光を吸収してこれらの同じ色合いを反射する。この白化剤は、更に、約17MPa0.5より低いか又は等しいハンセン溶解度パラメータの分散成分値を有することにより特徴づけられる。本発明はまた、これらに限定されないが、液体及び/又は粉末の洗濯洗剤組成物及びすすぎ用に添加された繊維柔軟剤(RAFS)組成物を含む、洗濯ケア組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】一回のすすぎサイクル後の様々な白化剤のための、CIELab b*に対するハンセン溶解度パラメータの分散成分値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用されている「セルロース基体」なる語は、少なくともセルロース重量が大部分を含む基体を意味する。セルロースは、木材、木綿、繊維、リネン、ジュート、及び麻に見られる。セルロース基体は、粉末、繊維、パルプの形、及び粉末、繊維及びパルプから形成された製品の形にある。セルロース基体は、これらに限定されないが、木綿、レーヨン(再生セルロース)、アセテート(セルロースアセテート)、トリアセテート(セルローストリアセテート)、及びその混合物を含む。セルロースファイバーから形成された製品は、布のような織物製品を含む。パルプから形成された製品は、紙を含む。
【0008】
本明細書で使用されている「洗濯ケア組成物」は、特に断らない限り、粒状、粉末状、液状、ゲル状、ペースト状、棒状、及び/又はフレーク状の洗浄剤、及び/又は織物処理組成物を含む。
【0009】
本明細書で使用されている「織物処理組成物」なる語は、特に断らない限り、織物柔軟組成物、織物強化組成物、織物フレッシュ剤、及びその組合せを含む。そのような組成物は、すすぎ添加組成物であってもよいが、そうである必要はない。
【0010】
本明細書で使用されている製品は、請求の範囲で用いられるときには、1つ又はそれ以上のものを意味するものと理解されるべきである。
【0011】
本明細書で使用されている「含む」なる語は、非限定的であることを意味する。
【0012】
本明細書における「テスト方法」の項で記載されているテスト方法は、本願発明のパラメーターのそれぞれの値を決定するために使用されるべきである。
【0013】
特に断らない限り、すべての成分又は組成物のレベルは、その成分又は組成物の活性部分を指しており、そのような成分又は組成物の市販品中に存在する、例えば、残留溶媒又は副生物のような不純物を含まない。
【0014】
すべてのパーセント及び比は、特に断らない限り、重量により計算される。すべてのパーセント及び比は、特に断らない限り、トータルの組成物を基準に計算される。
【0015】
本明細書を通して与えられているすべての数値限定の最大値は、明示されているかのように、下限を含むものと理解されるべきである。本明細書を通して与えられているすべての数値限定の最小値は、明示されているかのように、上限を含むものと理解されるべきである。本明細書を通して与えられているすべての数値範囲は、そのようなより狭い数値範囲が明示されているかのように、そのようなより広い数値範囲の範囲内のより狭い数値範囲を含むであろう。
【0016】
引用により本明細書内に含むものとされているすべての文献は、本発明に関し従来技術であると認めるものではない。
【0017】
本発明の白化剤は、発色団成分及びポリマー成分を含む染料、顔料、又はポリマー着色剤とすることが出来る。発色団成分は、光を照射されたときに、青色、赤色、バイオレット色、パープル色、又はその組合せの範囲の波長を発するか、又は吸収することにおいて特徴づけられる。好ましくは、発色団成分は、水中で約520ナノメーター〜約640ナノメーターの吸収スペクトル値、より好ましくは、水中で約570ナノメーター〜約610ナノメーターの吸収スペクトル値を示す。好ましくは、発色団成分は、水中で約400ナノメーター〜約480ナノメーターの発光スペクトル値を示す。
【0018】
適切なポリマー成分の例は、多くの繰り返し単位を有するポリオキシアルキレン鎖を含む。好ましくは、ポリマー成分は、約2〜約20の繰り返し単位、より好ましくは約2〜約10の繰り返し単位、又は約4〜約6の繰り返し単位を有するポリオキシアルキレン鎖を含む。ポリオキシアルキレン鎖の限定的でない例は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシドールオキシド、ブチレンオキシド、及びその混合物である。
【0019】
本発明の白化剤は、以下の構造により特徴づけられる。
【化1】

【0020】
式中、R及びRは、それぞれ独立に以下のものから選択される。
【0021】
a)〔(CHCR’HO)(CHCR”HO)H〕
式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、R”は、H、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、x+y≦5、y≧1、及びz=0〜5である。
【0022】
b)Rは、アルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基であり、Rは、〔(CHCR’HO)(CHCR”HO)H〕である。
【0023】
式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、R”は、H、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、x+y≦10、y≧1、及びz=0〜5である。
【0024】
c)R=〔CHCH(OR)CHOR〕及びR=〔CHCH(OR)CHOR
式中、Rは、H、(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、z=0〜10であり、Rは、(C−C16)アルキル基、アリール基、及びその混合物からなる群から選択される。
【0025】
d)式中、R及びRは、それぞれ独立に、スチレンオキシドのアミノ付加物、グリシジルメチルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、及びグリシジルヘキサデシルエーテルであって、1〜10のアルキレンオキシド単位が付加されるものから選択される。
【0026】
本発明の好ましい白化剤は、次の構造により特徴づけられる。
【化2】

【0027】
式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、R”は、H、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、x+y≦5、y≧1、及びz=0〜5である。
【0028】
本発明の白化剤の他の特徴は、セルロース物質に対する親和性である。親和性は、ハンセン溶解度パラメータの分散力成分を用いることから定量的に決定される。ハンセン溶解度パラメータは、分散力成分(δ)、水素結合成分(δ)、及び極性成分(δ)を含む3つの成分測定系である。ハンセン溶解度パラメータ“δ”は、すべての凝集結合を破壊するに必要なエネルギーである全凝集エネルギーが、以下の式による、分散力(d)、分子双極子力(p)、及び水素結合力(h)の組合せであるという事実から導き出される。
【0029】
δ2=δ + δ + δ(1)
分散力は、非極性分子間の弱い引力である。これらの力の大きさは、分子の分極率、及び分散ハンセン溶解度パラメータδに依存し、典型的には分子の体積(サイズ)が増加するに従い増加し、他の特性はほぼ等しい。パラメータ“δ”は、分子の極性が増加するに従い増加する。
【0030】
ハンセン溶解度パラメータは、ハンセンによる実験により得られた溶媒について、「Hndbook of Solubility Parameters and Other Parameters、Allan F.M. Barton著、CRCプレス1983年発行」において刊行されている値に基づく、非刊行の独占的アルゴリズムを用いるChemSW‘s Molecular Modeling Pro V.6.1.9 ソフトウエアパッケージにより、25℃で計算されている。本明細書で報告されているすべてのハンセン溶解度パラメータは、単位がMPa0.5(メガパスカルの平方根)である。ハンセンは、初めてポリマー溶液の溶媒の溶解度パラメータを決定した。ハンセン溶解度パラメータの計算は、生物材料の溶解度、顔料、充填材、及びファイバーの特性決定のような広範囲の用途に適用されて成功したが、これまでポリマー着色剤には適用されなかった。
【0031】
このように、本発明の有効な白化剤について、ハンセン溶解度パラメータの分散力成分δは、約17に等しいか又はそれ未満であり、より好ましくは約15に等しいか又はそれ未満である。ハンセン溶解度パラメータの分散力成分δは、約12〜約17、より好ましくは約12〜約15であることもまた望ましい。
【0032】
セルロース物質への白化剤の親和性は、ハンセン溶解度の分散力成分とよく相関するように見えるが、本発明は、δの使用に限定されない。例えば、溶媒に接近可能な表面領域に示される部分的原子電荷に基づく、分極率、回転半径、分子体積、及びジャー(Jur)記述子のような、δに直接又は間接的に関係する他の分子の記述子もまた、考慮される。しかし、これらの記述子との親和性の一変量の相関の良好な適合は、δについては良好ではない。
【0033】
理論に結びつくことなく、セルロース基体への白化剤の親和性は、相互に近接する電気的に中性の粒子間に存在する引力である、ファンデルワールス力に帰せられる。セルロース基体が気孔質領域を含む場合には、白化剤又はその部分は、気孔の径に比較しての分子のサイズに応じて、セルロースの気孔内に物理的に捕捉されることもまた、仮定される。
【0034】
この物理的な捕捉は、洗濯やすすぎにより白化剤がセルロース基体から容易に除去されるのを防御する、あるレベルの持続性を提供する。
【0035】
本明細書に記載されている白化剤は、これに限定されるものではないが、洗濯用洗浄剤及び布ケア組成物を含む洗濯ケア組成物に組みいれられる。そのような組成物は、前記白化剤の1種またはそれ以上、及び洗濯ケア成分を含む。この白化剤は、様々な適用技術を用いてセルロース基体に添加される。セルロース含有織物基体への適用のためには、白化剤は、好ましくは選択用洗剤に添加剤として含められる。このように、セルロース含有織物基体への適用は、実際には消費者が選択用洗剤を洗濯機に加える際に生ずる。同様に、RAFS組成物は、典型的な洗濯プロセスでは、洗浄剤溶液が使用された後にすすぎ溶液と置換される、すすぎサイクルに添加される。セルロース紙基体への適用のためには、白化剤は、最終紙製品の形成前に、紙パルプ混合物に加えられる。
【0036】
洗濯用洗浄剤を含む洗濯ケア組成物は、固形又は液状であり、ゲル状を含む。洗濯用洗浄剤組成物は、所望の洗浄特性を提供するに充分な量の界面活性剤を含む。
【0037】
白化剤は、洗濯用洗浄剤組成物中に組成物重量の約0.0001%〜約10%、より好ましくは約0.0001%〜約5%、更により好ましくは、約0.0001%〜約1%の量で存在する。
【0038】
洗濯用洗浄剤組成物は、所望の洗浄特性を提供するに充分な量の界面活性剤を含む。1つの態様では、洗濯用洗浄剤組成物は、重量で約5%〜約90%、特に約5%〜約70%、更には約5%〜約40%の界面活性剤を含む。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、及び/又は両性の界面活性剤を含む。より特定の態様では、洗浄剤組成物は、アニオン性、非イオン性の界面活性剤又はその混合物を含む。
【0039】
本発明で有用な適切な界面活性剤は、典型的には液体洗浄剤製品に使用されている型の任意の通常のアニオン性界面活性剤を含み得る。これらは、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、並びにアルコキシル化又は非アルコキシル化のアルキルサルフェート材料を含む。
【0040】
アニオン性界面活性剤の例として、置換基C10−16のアルキルベンゼンスルホン酸、好ましくは置換基C11−14のアルキルベンゼンスルホン酸がある。好ましくは、アルキル基は線状であり、そのような線状アルキルベンゼンスルホン酸は、”LAS”として知られている。アルキルベンゼンスルホン酸、特に”LAS”は、この技術分野において周知である。そのような界面活性剤及びその製造は、例えば、米国特許第2,220,099号及び第2,477,383号に記載されている。特に好ましいものは、アルキル基の平均炭素原子数が約11〜14である線状直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びカリウムである。C11−C14ナトリウム、例えばC12LASは、そのような界面活性剤の特定の例である。
【0041】
アニオン性界面活性剤の他の例は、エトキシル化されたアルキルサルフェート界面活性剤である。アルキルエーテルサルフェート又はアルキルポリエトキシレートサルフェートとしても知られているそのような物質は、式R’−−O−−(CO)−−SOMに相当するものであり、式中、R’はC−C20アルキル基であり、nは約1〜20であり、Mは塩形成カチオンである。特定の態様では、R’はC10−C18アルキル基であり、nは約1〜15であり、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム、又はアルカノールアンモニウムである。より特定の態様では、R’はC12−C16アルキル基であり、nは約1〜6であり、Mはナトリウムである。
【0042】
アルキルエーテルサルフェートは、一般に、変化するR’鎖長及び変化するエトキシル化の程度のものを含む混合物の形で用いられる。しばしば、そのような混合物は、不可避的に、ある程度の非エトキシル化アルキルサルフェート物質、即ち、n=0である上記エトキシル化アルキルサルフェートの式の界面活性剤をも含んでいる。非エトキシル化アルキルサルフェートはまた、本発明の組成物に別途添加されてもよく、また存在し得るアニオン性界面活性剤として、又はその中に用いられてもよい。非アルコキシル化、例えば非エトキシル化アルキルエーテルサルフェート界面活性剤の特定の例は、より高級のC−C20脂肪族アルコールのサルフェーションにより製造されたものである。通常の第1級アルキルサルフェート界面活性剤は、一般式ROSO−Mを有し、式中、Rは、典型的には線状C−C20炭化水素基であり、それは直鎖又は分枝鎖であり、Mはアルキル金属であり、特にRはC12−C14であり、Mはナトリウムである。
【0043】
本発明に有用なアニオン性界面活性剤の、特定のかつ非限定的な例として、a)C11−C18アルキルベンゼンスルフォネート(LAS);b)C10−C20の第1級分枝鎖のランダムアルキルサルフェート(AS);c)式(I)及び(II)を有するC10−C18の第2級(2,3)アルキルサルフェートであり、式(I)及び(II)において、Mは水素又は電荷を中性にするカチオンであり、すべてのMユニットは、界面活性剤又は補助成分と組み合わされるかどうかにかかわらず、水素原子、又は研究者によって単離された形若しくはその化合物が使用される系の相対的pHに応じたカチオンであり、好ましいカチオンの非限定的例は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、及びその混合であり、xは少なくとも約7、好ましくは少なくとも約9の整数であり、yは少なくとも8、好ましくは少なくとも約9の整数である;d)C10−C18のアルキルアルコキシサルフェート(AE.sub.xS)であり、好ましくはxは1−30;e)好ましくは1−5エトキシユニットを含むC10−C18のアルキルアルコキシカルボキシレート;f)米国特許第6,020,303号及び米国特許第6,060,443号において議論されている中央側鎖アルキルアルコキシサルフェート;g)米国特許第6,008,181号及び米国特許第6,020,303号において議論されている中央側鎖アルキルアルコキシサルフェート;h)WO99/05243、WO99/05242、WO99/05244、WO99/05082、WO99/05084、WO99/05241、WO99/07656、WO00/23549、及びWO00/23549において議論されている変性アルキルベンゼンスルホネート;メチルエステルスルホネート(MES);及びj)アルファ−オレフィンスルホネート(AOS)がある。
【0044】
本発明で有用なノニオン界面活性剤の適切なものは、液体洗浄剤製品に典型的に使用されている通常のノニオン界面活性剤の型のものとすることが出来る。これらには、アルコキシル化された脂肪族アルコール及びアミンオキシド界面活性剤がある。液体洗浄剤製品に好ましく使用されるものは、通常は液状であるノニオン界面活性剤である。
【0045】
本発明で適切に使用されるノニオン界面活性剤として、アルコールアルコキシレート界面活性剤がある。アルコールアルコキシレートは、一般式R(C2mO)OH(式中、RはC−C16アルキル基、mは2〜4、nは約2〜12)に相当する物質である。好ましくは、Rは、約9〜15の炭素数、より好ましくは約10〜14の炭素数を含む、第1又は第2アルキル基である。1つの実施形態において、アルコキシル化された脂肪族アルコールは、1分子当り約2〜12個の酸化エチレン、より好ましくは1分子当り約3〜10個の酸化エチレンを含むエトキシル化された物質でもあるであろう。
【0046】
本発明における液体洗浄剤組成物において結うようなアルコキシル化された脂肪族アルコールは、しばしば約3〜17の親水性―親油性バランス(HLB)を有するであろう。より好ましくは、この物質のHLBは、約6〜15、最も好ましくは約8〜15であろう。アルコキシル化された脂肪族アルコールの界面活性剤は、シェル化学社により、商標(Neeodol and Dobanol)の下で市販されている。
【0047】
本発明に有用な他の適切な型のノニオン界面活性剤は、アミンオキシド界面活性剤を含む。アミンオキシドは、この具術分野において、「半極性」非イオン性物質としばしば呼ばれている。アミンオキシドは、式R(EO)(PO)(BO)N(O)(CHR’)qHOを有する。この式では、Rは、飽和又は不飽和であり、また直鎖又は側鎖である比較的長鎖のヒドロカルビル部分であり、8〜20、好ましくは10〜16の炭素数を含み、より好ましくはC12−C16第1アルキルである。R’は、短鎖部分であり、好ましくは水素、メチル基、及び−−CHOHから選ばれたものである。x+y+zが0ではないとき、EOはエトレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、BOはブチレンオキシ基である。アミンオキシド界面活性剤は、C12−14アルキルジメチルアミンオキシドにより表される。
【0048】
ノニオン界面活性剤の非限定的な例として、シェル社からのNEODOL(登録商標)ノニオン界面活性剤のようなC12−C18アルキルエトキシレート;b)アルコキシレート単位がエチレンオキシ単位とプロピレンオキシ単位の混合であるC−C12アルキルフェノールアルコキシレート;c)BASF社からのPluronic(登録商標)のような、酸化エチレン/酸化プロピレンブロックポリマーを含むC12−C18アルコール及びC−C12アルキルフェノール縮合体;d)米国特許第6,150,322号において議論されているような、C14−C22中央側鎖アルコール、BA;e)米国特許第6,153,577号、第6,020,303号、第6,093,856号において議論されているような、xが1−30であるC14−C22中央側鎖アルキルアルコキシレート、BAE;f)1986年1月26日にLlenadoに対し発行された米国特許第4,565,647号において議論されているようなアルキル多糖類、特に、米国特許第4,483,780号及び第4,483,779号において議論されているようなアルキルポリグルコシド;g)米国特許第5,332,528号、WO92/06162、WO93/19146、WO93/19038、及びWO94/09099において議論されているようなポリヒドロキシ脂肪酸アミド;及びh)米国特許第6,482,994号及びWO01/42408において議論されているような、エーテルでキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコールがある。
【0049】
本発明における洗濯用洗浄剤組成物では、洗浄界面活性剤成分は、アニオン及びノニオン界面活性剤物質の組合せを含む。この場合、ノニオンに対するアニオンの重量比は、10:90〜90:10、より好ましくは30:70〜70:30である。
【0050】
カチオン界面活性剤は、この技術分野で周知であり、これらの非限定的な例として、26までの炭素原子を有し得る第4級アンモニウム界面活性剤がある。追加の例として、a)米国特許第6,136,769号において議論されているようなアルコキシレート第4級アンモニウム(AQA)界面活性剤;b)米国特許第6,004,922号において議論されているようなジメチルヒドロキシエチル第4級アンモニウム;c)WO98/35002、WO98/35003、WO98/35004、WO98/35005、及びWO99/35006において議論されているようなポリアミンカチオン界面活性剤;d)米国特許第4,228,042号、第4,239,660号、第4,260,529号、及び第6,022,844号において議論されているようなカチオンエステル界面活性剤;及びe)米国特許第6,221,825号及びWO00/47708において議論されているようなアミノ界面活性剤、特にアミドプロピルジメチルアミン(APA)がある。
【0051】
双性イオン界面活性剤の非限定的な例として、第2及び第3アミンの誘導体、複素環式第2及び第3アミンの誘導体、又は第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム、又は第3級スルホニウム化合物の誘導体がある。1975年12月30日にLaughlinらに対し発行された米国特許第3,929,678号の第19欄38行〜第22欄48行を参照すると、双性界面活性剤の例につき、アルキルジメチルベタイン、及びココジメチルアミノプロピルベタイン、C−C18(好ましくはC12−C18)アミンオキシド、及びアルキル基がC−C18好ましくはC10−C14であり得るN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネートのようなスルホ及びヒドロキシベタインを含むベタインが記載されている。
【0052】
両性イオン界面活性剤の非限定的な例として、脂肪族ラジカルが直鎖又は側鎖である、第2又は第3アミンの脂肪族誘導体、又は複素環式第2及び第3アミンの脂肪族誘導体がある。脂肪置換基の1つは、少なくとも約8の炭素原子、典型的には約8〜約18の炭素原子を含み、少なくとも1つは、アニオン性水溶性基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェートである。両性界面活性剤の例として、1975年12月30日にLaughlinらに対し発行された米国特許第3,929,678号の第19欄18−35行を参照のこと。
【0053】
なお、その組成物は、これらに限定されないが、粒子、フレーク等を含むタブレット状又は粒状のいずれかの形の固体状とすることが出来、又は組成物は、液状であってもよい。この液体洗浄剤組成物は、水性の、非表面活性の液体キャリアを含む。一般に、本発明における組成物に採用される水性の、非表面活性の液体キャリアは、組成物の成分を溶解、懸濁、又は分散するのに効果的であろう。例えば、この組成物は、重量%で約5%〜約90%、特に約10%〜約70%、とりわけ約20%〜約70%の水性の、非表面活性の液体キャリアを含み得る。
【0054】
もちろん、水性の、非表面活性の液体キャリアの最もコストが有効なタイプのものは水自体である。従って、水性の、非表面活性の液体キャリアは、一般に、多くの場合、すべてではないが、水を含む。アルカノール、ジオール、他のポリオール、エーテル、アミン等の他の型の水混和性液体は、本発明の目的に対し、共溶媒又は安定化剤として液体洗浄剤組成物に、通常、添加されてきたが、そのような水混和性液体の使用は、組成物のコストを抑制するために少なくすべきである。従って、本発明の液体洗浄剤製品の水性液体キャリア成分は、液体組成物重量の約5〜約9%、より好ましくは約20〜約70%の濃度で存在する水を含むであろう。
【0055】
洗浄剤組成物はまた、漂白剤を含んでいてもよい。適切な漂白剤として、例えば、本明細書に含められる、Kirk Othmer’s Emcyyyclopedoa of Chemical Technology, 4th Ed (19992, John Wiley & Sons), Vol. 4, pp 271-300 “Bleaching Agents (Survey)に詳細に記載されているような、過酸化水素源がある。これらの過酸化水素源は、これらの化合物の様々な被覆され、変性された形を含む、過ホウ酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムを含む。
【0056】
本発明に使用される好ましい過酸化水素源としては、過酸化水素自体を含む通常のものを用いることが出来る。例えば、過ホウ酸物、例えば過ホウ酸ナトリウム(水和物であるが、好ましくはモノー又はテトラ水和物)、炭酸ナトリウムのペルオキシ水和物又はそれに相当する過炭酸塩、ピロ燐酸ナトリウムのペルオキシ水和物、尿素のペルオキシ水和物、又は過酸化ナトリウムを用いることが出来る。過硫酸塩漂白剤のような入手可能な酸素源(例えば、デュポン社により製造されたOXONE)もまた有用である。過ホウ酸ナトリウムモノ水和物及び過炭酸ナトリウムは特に好ましい。通常の過酸化水素源の混合物もまた使用可能である。
【0057】
適切な過炭酸物漂白剤は、約500ミクロン〜約1000ミクロンの平均粒子径を有する乾燥粒子を含み、この粒子の約10重量%以下は、約200ミクロンより小さく、この粒子の約10重量%以下は、約1250ミクロンより大きい。任意には、この過炭酸物は、珪酸塩、硼酸塩又は水溶性界面活性剤により被覆することが出来る。この過炭酸物は、FMC, Solvay and Tokai Dennkaのような様々な供給元から入手可能である。
【0058】
本発明の組成物はまた、漂白剤として塩素型漂白物質を含む。そのような漂白剤は、この技術分野で周知であり、例えば、ジクロロイソシアヌレートナトリウム(“NaDCC”)を含む。しかし、塩素型漂白剤は、酵素を含む組成物にはそれほど好ましくない。
【0059】
(a)漂白活性剤
好ましくは、この組成物の過酸素漂白成分には、活性剤(過酸前駆体)が配合される。この活性剤は、組成物重量の約0.01から、好ましくは約0.5%から、より好ましくは約1%から、約15%まで、好ましくは約10%まで、より好ましくは約8%までのレベルで存在する。本発明に使用される漂白活性剤は、過酸化水素に源とともに使用されるときに、漂白活性剤に対応する過酸の現場製造に導く化合物である。活性剤の様々な非限定的な例は、米国特許第5,576,282号、第4,915,854号、及び第4,412,934号に記載されている。また、本発明に有用な他の典型的漂白剤及び活性剤として、国特許第4,634,551号を参照のこと。
【0060】
好ましい活性剤は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、ベンゾイルカプロラクタム(BzCL)、4−ニトロベンゾイルカプロラクタム、3−クロロベンゾイルカプロラクタム、ベンゾイルオキシベンゼンスルホネート(BOBS)、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)、フェニルベンゾエート(PhBz)、デカノイルオキシベンゼンスルホネート(C10−OBS)、ベンゾイルバレロラクタム(BZVL)、オクタノイウルオキシベンゼンスルホネート(C−OBS)、ペル加水分解性エステル及びその混合物からなる群から選択され、最も好ましくはベンゾイルカプロラクタム及びベンゾイルバレロラクタムである。約8〜約11のpH範囲の特に好ましい漂白活性剤は、OBS又はVL残基を有するものから選択される。好ましい疎水性漂白活性剤としては、これらに限定されないが、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)、その例が米国特許第5,523,434号に記載されている4−[N−(ノナノイル)アミノヘキサノイルオキシ]−ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(NACA−OBS)、10−ウンデセノイルオキシベンゼンスルホネート(10の位置に不飽和を有するUDOBS又はC11−OBS)、及びデカノイルオキシ安息香酸(DOBA)がある。
【0061】
好ましい漂白活性剤は、Burns et alに付与された米国特許第5,998,350号、Christie et alに付与された米国特許第5,698,504号、Christie et alに付与された米国特許第5,695,679号、Willey et alに付与された米国特許第5,686,401号、Hartshorn et alに付与された米国特許第5,686,014号、Willey et alに付与された米国特許第5,405,412号、Willey et alに付与された米国特許第5,405,413号、Mitchel.et alに付与された米国特許第5,130,045号、Chung et alに付与された米国特許第4,412,934号、及び米国出願第08/064,564号に記載されているものであり、これら文献はすべてここに引用することにより本明細書に含まれるものとする。
【0062】
本発明において、過酸素源(AvOとして)と漂白活性剤のモル比は、一般に、少なくとも1:1、好ましくは約20:1以上、より好ましくは約10:1〜約1:1、好ましくは約3:1以下である。
【0063】
第4級置換漂白活性剤もまた含んでいてもよい。本発明の洗濯用組成物は、好ましくは第4級置換漂白活性剤(QSBA)又は第4級置換過酸(QSP、好ましくは第4級置換過カルボン酸又は第4級置換ペルオキシイミド酸)であり、好ましくは前者である。好ましいQSBA構造は、Willey et alに付与された米国特許第5,686,015号、Taylor et alに付与された米国特許第5,654,421号、Gosslink et alに付与された米国特許第5,460,747号、Miracle et alに付与された米国特許第5,584,888号、Tatlor et alに付与された米国特許第5,578,136号に記載されており、これら文献はすべてここに引用することにより本明細書に含まれるものとする。
【0064】
本発明に有用な非常に好ましい漂白活性剤は、米国特許第5,698,504号、第5,695,679号、第5,686,014号に記載されているアミド置換のものであり、これら文献は上で挙げられているものである。そのような漂白活性剤の好ましい例として、(6−オクタンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、(6−ノナンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、、(6−デカンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート及びその混合物がある。
【0065】
他の有用な活性剤は、米国特許第5,698,504号、第5,695,679号、第5,686,014号に記載されているアミド置換のものであり、これら文献は上で挙げられているものである。これらの活性剤としては、1,2の位置に−C(CO)OC(R1)=N−が融合されているCリングのようなベンズオキサジン型活性剤がある。
【0066】
アセトニトリル及び/又はアンモニウムニトリル及び他の第4級窒素含有ニトリルのようなニトリルが、本発明に有用である。そのようなニトリル漂白活性剤の非限定的例は、米国特許第6,133,216号、第3,986,972号、第6,063,750号、第6,017,464号、第5,958,289号、第5,877,315号、第5,741,437号、第5,739,327号、第5,004,558号、及びEP第790244、第1017773号、第1017776号、及びWO99/14302、WO99/14296、WO96/40661に記載されており、これらはここに引用することにより、本明細書に含まれるものとする。
【0067】
活性剤及びその用途に応じて、約6乃至約13、好ましくは約9.0乃至約10.5の使用pHを有する漂白系から得ることが出来る。典型的には、たとえば、電子引き抜き部分を有する活性剤が、ほぼ中性又は準中性のpH範囲で使用される。そのようなpH範囲を確実にするために、アルカリ及びバッファー剤を用いることが出来る。
【0068】
いずれも上述した米国特許第5,698,504号、第5,695,679号、及び第5,686,014号に記載されているアシルラクタム活性剤、特にアシルカプロラクタム(例えば、WO94−28102A参照)及びアシルバレロラクタム(Willey et alに付与された米国特許第5,503,639号参照のこと。なお、この米国特許は、ここに引用されることにより本明細書に含まれるものとする。)が、本発明において、非常に有用である。
【0069】
(b)有機過酸化物、特にジアシルペルオキシド
これらは、Kirk Othmer’s Emcyyyclopedoa of Chemical Technology, Vol.17, John Wiley & Sons, 1982, pp 27-90 特にpp 63-72に広く記載されている。この文献は、ここに引用されることにより本明細書に含まれるものとする。ジアシルペルオキシドが使用される場合には、それは、好ましいことに、色のケアを含む繊維のケアへの最小の悪影響を与えるものであろう。
【0070】
(c)金属含有漂白触媒
本発明の組成物及び方法は、任意に、金属含有漂白触媒、好ましくはマンガン及びコバルト含有触媒を含むことが出来る。
【0071】
金属含有漂白触媒の1つの型は、(銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンカチオンのような)明確な漂白触媒活性を有する遷移金属カチオン、(亜鉛又はアルミニウムカチオンのような)殆ど又は全く漂白活性を有していない補助金属カチオン、及び触媒及び補助金属カチオンのための安定性定数を有する金属封鎖剤、特にエチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレン燐酸)及びその水溶性塩を含む触媒系である。そのような触媒は、Braggに付与された米国特許第4,430,243号に記載されている。
【0072】
マンガン金属錯体
必要ならば、本発明における組成物は、マンガン化合物により触媒作用を施される。そのような化合物及び使用のレベルは、この技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号、第5,246,621号、第5,244,594号、第5,194,416号、及び第5,114,606号、欧州特許出願公開549,271A1、549,272A1、544,440A2、及び544,490A1に記載のマンガンベースの触媒を含む。これらの触媒の好ましい例は、MnIV(u−O)(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)(PF、MnIII(u−O)(u−OAc)(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)(ClO、MnIV(u−O)(1,4,7−トリアザシクロノナン)(ClO、MnIIIMnIV(u−O)(u−OAc)(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)(ClO、MnIV(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)−(OCH(PF、及びその混合物を含む。他の金属ベースの漂白触媒として、米国特許第4,430,243号及び第5,114,611号に開示されているものがある。漂白性を促進するための様々な錯体配位子を有するマンガンの使用は、米国特許第4,728,455号、第5,284,944号、第5,246,612号、第5,256,779号、第5,280,117号、第5,274,147号、第5,153,161号、及び第5,227,084号にも報告されている。
【0073】
コバルト金属錯体
本発明に有用なコバルト漂白触媒が知られており、例えば、米国特許第5,597,936号、第5,595,967号、及び第5,703,030号、及びM. L. Tobe, “Base Hydrolysis of Transition-Metal Complexes”, Adv. Inorg. Bioinorg. Mech., (1983), 2, pp 1-94に記載されている。本発明に有用な最も好ましいコバルト触媒は、式[Co(NHOAc]Ty(式中、OAcは、アセテート部分を示し、Tyはアニオンを示す)を有するコバルトペンタアミン酢酸塩、特にコバルトペンタアミンアセテートクロライド、即ち[Co(NHOAc]Cl、また[Co(NHOAc](OAc)、[Co(NHOAc](PF、[Co(NHOAc](SO)、[Co(NHOAc](BF、[Co(NHOAc](NO(本明細書では“PAC”とする)である。
【0074】
これらのコバルト触媒は、例えば、米国特許第6,302,921号、第6,287,580号、第6,140,294号、第5,597,936号、第5,595,967号、及び第5,703,030号、上記Tobe文献並びにそこに引用された文献、米国特許第4,810,410号、J. Chem. Ed. (1989), 66 (12), 1043-45; The Synthesis and Characteerization of Inorganic Compounds, W.L. Jolly (Prentice-Hall; 1970), pp.461-3; Inorg. Chem., 18, 1497-1502 (1979); Inorg. Chem., 21, 2881-2885 (1982); Inorg. Chem., 18, 2023-2025 (1979); Inorg. Synthesis, 173-176 (1960); Journal of Physical Chemistry, 56, 22-25 (1952)に示されているような公知の手順により容易に製造される。
【0075】
マクロ多環式剛性配位子の遷移金属錯体
本発明における組成物はまた、適切には、マクロ多環式剛性配位子の遷移金属錯体を含んでいてもよい。使用量は、触媒として有効な量であり、約1ppb又はそれ以上、例えば、約99.9%まで、より典型的には約0.001ppm又はそれ以上、好ましくは約0.005ppm〜約500ppm(ppbは、10億重量部当りの重量部であり、ppmは、100万重量部当りの重量部である。)が適切である。
【0076】
本発明の組成物に用いるのに適切なマクロ多環式剛性配位子の遷移金属漂白触媒は、一般に、本明細書における定義に従う公知の化合物、並びに好ましくは、洗濯又は洗濯用途用に明白に設計された多くの新規化合物を含み、また以下に非限定的に示されている。
【0077】
ジクロロ−5,12−ジメチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)
ジクロロ−5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)
ジアクオ−5,12−ジメチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)ヘキサフルオロホスフェート
ジアクオ−5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)ヘキサフルオロホスフェート
アクオ−ヒドロキシ−5,12−ジメチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)ヘキサフルオロホスフェート
ジアクオ−5,12−ジメチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)テトラフルオロボーレート
ジクロロ−5,12−ジメチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)ヘキサフルオロホスフェート
ジクロロ−5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)ヘキサフルオロホスフェート
ジクロロ−5,12−ジ−n−ブチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)
ジクロロ−5,12−ジベンジル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)
ジクロロ−5−n−ブチル−12メチル−1,5,8,12−テトラアザ−ビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)
ジクロロ−5−n−オクチル−12メチル−1,5,8,12−テトラアザ−ビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)
ジクロロ−5−n−ブチル−12メチル−1,5,8,12−テトラアザ−ビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)
実用上、これに限定されないが、本発明における組成物及び方法は、親油性流体及び漂白系を含む組成物中に活性漂白触媒種を少なくとも1千万分の1のオーダーで提供するように調整され、好ましくは親油性流体及び漂白系を含む組成物中に活性漂白触媒種を約0.01ppmないし約25ppm、より好ましくは約0.05〜約10ppm、及び最も好ましくは約0.1〜約5ppmを提供するであろう。
【0078】
(d)漂白増強化合物
本発明における組成物は、1種又はそれ以上の漂白増強化合物を含んでいてもよい。漂白増強化合物は、低温の用途において、増加した漂白効果を提供する。漂白増強剤は、増加した漂白効果を提供するため、通常の過酸素漂白源と共に作用する。このことは、通常、ジオキシラン、オキサジリジン、又はオキサジリジニウムのような活性酸素輸送剤のその場での形成により達成される。或いは、予め形成されたジオキシラン、オキサジリジン、又はオキサジリジニウムを用いてもよい。
【0079】
本発明により使用されるための適切な漂白増強化合物の中には、カチオン性イミン、両イオン性イミン、アニオン性イミン、および/または約+3〜約−3の正味の電荷を有する多イオン性イミン、及びその混合物がある。本発明のこれらのイミン漂白増強化合物は、下記一般式のものを含む。
【化3】

【0080】
式中、R〜Rは、水素、又はフェニル、アリール、複素環、アルキル、及びシクロアルキル基からなる群から選ばれた未置換又は置換のラジカルである。
【0081】
好ましい漂白増強化合物の中に両イオン性漂白増強化合物があり、それは米国特許第5,576,282号及び第5,718,614号に記載されている。他の漂白増強化合物として、米国特許第5,360,569号、第5,442,066号、第5,478,357号、第5,370,826号、第5,482,515号、第5,550,256号、及びWO95/13351、WO95/13352、及びWO95/13353に記載されているカチオン性漂白増強剤がある。
【0082】
過酸素源は周知であり、本発明に用いられる過酸素源は、過酸素並びに消費者の使用条件の下で有効量の過酸素をその場で提供する化合物を含む、これら周知の過酸素源を含む。過酸素源は、過酸化水素源、過酸化水素源と漂白活性剤との反応によりその場で形成された過酸アニオン、予め形成された過酸化合物又は適切な過酸素源の混合物を含む。もちろん、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の過酸素源を用いてもよいことを認識するであろう。存在する場合には、漂白増強化合物が、本発明の漂白系において、過酸素源と組み合わせて用いることが好ましい。
【0083】
(e)予め形成された過酸
また、漂白剤として適切なものは、予め形成された過酸である。本発明に使用される 予め形成された過酸化合物は、安定であり、消費者の使用条件の下で有効量の過酸素をその場で提供する通常の化合物である。予め形成された過酸化合物は、過カルボン酸並びに塩、過炭酸並びに塩、過イミド酸並びに塩、ペルオキシモノスルホン酸並びに塩、及びその混合物からなる群から選択してもよい。これらの化合物の例は、Miracle et alに付与された米国特許5,576,282号に記載されている。
【0084】
適切な有機ペルオキシカルボン酸の1つのクラスは、下記一般式を有する。
【化4】

【0085】
式中、Rは、1〜約22の炭素数を含むアルキレン若しくは置換アルキレン基、又はフェニレン若しくは置換フェニレン基であり、Yは水素、ハロゲン、アルキル、アリール、−C(O)OH、又は−C(O)OOHである。
【0086】
本発明に使用するのに適切な有機ペルオキシ酸は、1つ又は2つのペルオキシ基を含み、脂肪族又は芳香族であり得る。有機ペルオキシカルボン酸が脂肪族である場合、未置換の過酸は、下記一般式を有する。
【化5】

【0087】
式中、Yは、例えばH、CH、CHCl、C(O)OH、又はC(O)OOHであり、nは0〜20の整数である。
【0088】
有機ペルオキシカルボン酸が芳香族である場合、未置換の過酸は、下記一般式を有する。
【化6】

【0089】
式中、Yは、例えば水素、アルキル、アルキルハロゲン、ハロゲン、C(O)OH、又はC(O)OOHである。
【0090】
本発明に有用な典型的モノペルオキシ酸は、下記のようなアルキル及びアリールペルオキシ酸を含む。
【0091】
(i)ペルオキシ安息香酸及び環置換ペルオキシ安息香酸、例えばペルオキシ−a−ナフテン酸、モノペルオキシフタル酸(マグネシウム塩6水和物)及びo−カルボキシベンズアミドペルオキシヘキサン酸(ナトリウム塩);
(ii)脂肪族、置換脂肪族のアリールアルキルモノペルオキシ酸、例えばペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、N−ノナノイルアミノペルオキシカプロン酸(NAPCA)、N,N−(3−オクチルスクシノイル)アミノペルオキシカプロン酸(SAPA)、及びN,N−フタロイルアミノペルオキシカプロン酸(PAP);
(iii)アミノペルオキシ酸、例えばペルオキシスクシン酸(NAPSA)又はペルオキシアジピン酸(NAPAA)。
【0092】
本発明に有用な典型的ジペルオキシ酸は、下記のようなアルキルジペルオキシ酸及びアリールジペルオキシ酸を含む。
【0093】
(i)1,12−ジペルオキシドデカン二酸;
(ii)1,9−ジペルオキシアゼライン酸;
(iii)ジペルオキシブラシル酸;ジペルオキシセバシン酸及びジペルオキシイソフタル酸;
(iv)2−デシルジペルオキシブタン−1,4−二酸;
(v)4,4’−スルホニルビスペルオキシ安息香酸
そのような漂白剤は、Hartmanに付与された米国特許第4,483,781号、Burns et alに付与された米国特許第4,634,551号、Banks et alに付与された欧州特許出願0,133,354号、Chung et alに付与された米国特許第4,412,934号に記載されている。源としてはまた、Burns et alに付与された米国特許第4,634,551号に記載されている6−ノニルアミノ−6−オキソペルオキシカプロン酸がある。例えば、ウィルミントン市のE.I.DuPont de Nemoursにより製造されたOZONEのような過硫酸塩化合物もまた、ペルオキシモノ硫酸の適切な源として用いることが出来る。PAPは、例えば、米国特許第5,487,818号、第5,310,934号、第5,246,620号、第5,279,757号、及び第5,132,431号に開示されている。
【0094】
(f)光漂白剤
本発明の処理組成物に使用するのに適切な光漂白剤としては、これらに限定されるものではないが、米国特許第4,217,105号及び第5,916,481号に記載されている光漂白剤がある。
【0095】
(g)酵素漂白剤
漂白剤として酵素系を用いてもよい。洗浄及び/又はすすぎプロセスの始め又はプロセス中に過酸化水素を発生し得る酵素系(即ち、酵素及び基体)を加えることによっても、過酸化水素が存在する。そのような酵素系は、1991年10月9日に出願された欧州特許出願4,217,105に開示されている。
【0096】
本発明の組成物及び方法は、オゾン、二酸化塩素等のような別の漂白系を用いてもよい。オゾンによる漂白は、約20〜約300g/m3のオゾン含量を有するオゾン含有ガスを、布と接触する溶液中に導入することにより行うことが出来る。溶液中のガス:液の比は、約1:2.5〜約1:6に維持されるべきである。米国特許第5,346,588号には、通常の漂白系に対する別の技術としてオゾンを使用するプロセスが記載されており、この特許は、ここに引用することにより、本明細書に含まれるものとする。
【0097】
本発明の洗浄剤組成物はまた、任意の数の追加の任意成分を含んでいてもよい。これらは、非色味染料、洗浄ビルダー、酵素、(プロピレングリコール、硼酸及び/またはホウ砂のような)酵素安定剤、泡抑制剤、汚れ懸濁剤、汚れ放出剤、他の布ケア剤、pH調整剤、キレート剤、スメクタイトクレイ、溶剤、ヒドロトロープ、及び相安定剤、構造材、染料転写防止剤、隠蔽剤、光沢剤、香料、及び着色剤を含む。組成物中に存在するならば、様々な任意の洗浄組成物成分は、その組成物又は洗濯操作へ所望の寄与をもたらすために通常用いられる濃度で用いられるべきである。しばしば、そのような任意の洗浄組成物成分のトータルの量は、組成物重量の約0.01%〜約50%、より好ましくは約0.1%〜約30%とすることが出来る。
【0098】
液体洗浄剤組成物は、界面活性剤、白化剤、及び所定の他の任意成分の水溶液、又は均一な分散液若しくは懸濁液の形にあり、これら成分の幾つかは固体状であり、非イオン性液体アルコールエトキシレート、水性液体キャリア、及び他の通常は液体の任意成分と組合わされている。そのような溶液、分散液又は懸濁液は、許容し得る相安定性を有し、典型的には約100〜600cps、より好ましくは約150〜400cpsの粘度を有するであろう。本発明の目的に対し、粘度は、#21スピンドルを用いるブルックフィールドLVDV−II+粘度計により測定される。
【0099】
本発明における液体洗浄剤組成物は、通常の順番で成分を配合し、得られた成分配合物を混合例えば攪拌し、相安定液体洗浄剤組成物を形成することにより製造することが出来る。そのような組成物を製造する好ましいプロセスでは、液体成分、例えば非イオン性界面活性剤、非界面活性液体キャリア、及び他の任意液体成分の少なくとも主要部分、好ましくは実質的にすべてを含む液体マトリクスが形成される。これら液体成分は、この液体配合物にせん断攪拌を加えることにより全体として混合される。例えば、機械的攪拌器による急速攪拌を有利に採用することが出来る。せん断攪拌が維持される間、実質的にすべてのアニオン界面活性剤及び固体成分を加えることが出来る。混合物の攪拌が続行され、必要ならばこの時点で攪拌が増加され、溶液又は液相内の不溶固相粒子の均一な分散液が形成される。この攪拌混合物に固体物質の或る程度又はすべてが加えられた後、含められるべき酵素物質の粒子、例えば酵素粒が加えられる。以上説明した組成物製造手順の変形例として、攪拌された混合物に、1種又はそれ以上の固体成分を、1種又はそれ以上の液体成分の少量と予備混合された溶液又はスラリーとして加えてもよい。組成物成分のすべての添加後に、必要な粘度及び相安定特性を有する組成物を形成するのに充分な時間、混合物の攪拌が続行される。攪拌は、しばしば、約30〜60分の期間であろう。
【0100】
液体洗浄剤組成物を形成する他の形態では、最初に白化剤が1種又はそれ以上の液体成分と混合されて、白化剤予備混合物を形成し、この白化剤予備混合物は、洗濯用洗浄剤組成物の残りの成分の実質的部分、例えば50重量%を越える、特に70重量%を越える、更には90重量%を越える部分を含む配合物に加えられる。例えば、上述の方法では、白化剤予備混合物と酵素成分の両方が添加の最終段階で加えられる。更に他の形態では、白化剤は洗浄剤組成物への添加前にカプセル化され、カプセル化された白化剤は構成された液体に懸濁され、この懸濁液は、洗濯用洗浄剤組成物の残りの成分の実質的部分を含む配合物に加えられる。
【0101】
上述したように、洗浄剤組成物は固体状である。適切な固体の形は、錠剤型、粒状、例えば粒子状又はフレーク状である。そのような固体の形に洗浄剤組成物を形成するための様々な方法は、周知であり、本発明において使用してもよい。1つの形態では、例えば、組成物が粒子状であるとき、洗濯用洗浄剤組成物のすべての成分ではない追加の成分を任意に含む白化剤が、粒状で提供される。白化剤粒子は、洗濯用洗浄剤組成物の残りの成分を含む1種又はそれ以上の追加の粒子と混ぜ合わされる。更に、洗濯用洗浄剤組成物のすべての成分ではない追加の成分を任意に含む白化剤は、カプセル化された形で提供され、この白化剤カプセルは、洗濯用洗浄剤組成物の実質的残りを含む粒子と混ぜ合わされる。
【0102】
上述のように製造された本発明の組成物は、布の洗濯に使用されるための洗浄水溶液を形成するために使用することが出来る。一般に、そのような組成物の有効量が、好ましくは通常の自動布洗濯機内の水に加えられ、洗濯水溶液を形成する。そのように形成された洗濯水溶液は、次いで、好ましくは攪拌下で、それにより洗濯されるべき布と接触される。本発明において、洗濯水溶液を形成するために水に加えられた有効量の液体洗浄剤組成物は、洗浄水溶液中に組成物の約500〜7000ppmを形成するに十分な量を含むことが出来る。より好ましくは、洗浄剤組成物の約1000〜3000ppmが洗浄水溶液中に提供されるであろう。
【0103】
布ケア組成物/リンスを添加した布柔軟組成物
他の特定の形態では、本発明の白化剤には、布ケア組成物が含まれていてもよい。布ケア組成物は、少なくとも1種の白化剤とリンスを添加した布柔軟組成物(“RAFS”、リンスを添加した布処理組成物としても知られている)を含むことが出来る。典型的なリンスを添加した布柔軟組成物は、2004年10月8日に出願された米国仮特許出願60/687582に見ることが出来る。本発明のリンスを添加した布柔軟組成物は、(a)布柔軟活性剤及び(b)チアゾリウム染料を含むことが出来る。リンスを添加した布柔軟組成物は、FSAの約1重量%〜約90重量%、より好ましくはFSAの約5重量%〜約50重量%を含むことが出来る。白化剤は、リンスを添加した布柔軟組成物中に、約0.5ppb〜約50ppm、より好ましくは約0.5ppm〜30ppmの量、存在することが出来る。
【0104】
本発明の1つの形態では、布柔軟活性剤(以下、“FSA”)は、リンス工程において布を柔軟にするのに適切な第4級アンモニウム化合物である。1つの形態では、FSAは、脂肪酸とアミノアルコールの反応生成物から形成され、モノエステル、ジエステル、及び1つの形態では、トリエステル化合物の混合物が得られる。他の形態では、FSAは、これらに限定されないが、モノアルキル第4級アンモニウム化合物、ジアミド第4級アンモニウム化合物、及びジエステル第4級アンモニウム化合物、又はその組合せを含む。
【0105】
本発明の1態様では、FSAは、ジエステル第4級アンモニウム塩(以下、“DQA”)化合物組成物を含む。本発明のある形態では、DQA化合物組成物は、ジアミドFSAs及び混合したアミド並びにエステル結合及び上述したジエステル結合を有するFSAsを含む。
【0106】
本発明のCFSCにおけるFSAとして適切な第1の型のDQA(“DQA(1)”)は、下記の式を有する化合物である。
【0107】
{R4−m−N[(CH−Y−R}X
式中、それぞれのR置換基は、水素、短鎖C−C、好ましくはC−Cアルキル又はヒドロキシアルキル基、例えば、メチル(最も好ましい)、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル等、ポリ(C2−3アルコキシ)、好ましくはポリエトキシ基、ベンジル、又はその混合であり、それぞれのmは、2又は3であり、それぞれのnは、1〜約4、好ましくは2であり、それぞれのYは、−O−(O)C−、−C(O)−O−、−NR−C(O)−、又は−C(O)−NR−であり、それぞれのYは同一又は異なっており、Yが−O−(O)C−又は−NR−C(O)−であるとき、それぞれのRプラス1の合計は、C12−C22、好ましくはC14−C20であり、それぞれのRは、ヒドロカルビル、又は置換ヒドロカルビル基であり、Rは不飽和又は飽和、側鎖又は直鎖、好ましくは直鎖であり、同一又は異なっており、好ましくは同一であり、Xは、柔軟剤と適合するアニオン、好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸メチルイオン、硫酸エチルイオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオンであり、より好ましくは塩化物イオン、臭化物イオンである。好ましいDQA化合物は、典型的には、MDEA(メチルジエタノールアミン)及びTEA(トリエタノールアミン)のようなアルカノールアミンと脂肪酸とを反応させることにより作られる。典型的にそのような反応から生ずる物質として、N,N−ジ(アシル−オキシエチル)N,N−ジメチルアンモニウムクロリド又はN,N−ジ(アシル−オキシエチル)N,N−メチルヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェートがあり、アシル基は、動物の脂肪、不飽和及びポリ不飽和の脂肪酸、例えば獣脂、硬化獣脂、オレイン酸、及び/又は部分的に水素化された脂肪酸から誘導され、またキャノーラ油、ひまわり油、ピーナッツ油、ベニバナ油、コーン油、大豆油、タル油、米糠油、パーム油等の植物油、及び又は部分的に硬化した植物油から誘導される。
【0108】
適切な脂肪酸の非限定的な例は、米国特許第5,759,990号、第4欄、45−66行に列挙されている。1つの形態では、FSAは、DQA(1)又はDQAに加え、他の活性剤を含む。更に他の形態では、FSAは、DQA(1)又はDQAのみを含む。DQAは、他の第4級アンモニウム化合物又は他の活性剤を含まないか、又は実質的に含まない。更に他の形態では、FSAは、DQAの製造に用いられるアミン前駆体を含む。
【0109】
本発明の他の態様では、FSAは、下記式を含むDTTMACとして名付けられる化合物を含む。
【0110】
[R4−m−N−R]A
式中、それぞれのmは、2又は3であり、それぞれのRは、C−C22、好ましくはC14−C20であり、1つ以下は約C12であり、他は少なくとも約16、ヒドロカルビル、又は置換されたヒドロカルビル置換基、好ましくはC10−C20アルキル又はアルケニル(ときに“アルケン”とも呼ばれる、ポリ不飽和アルキルを含む)不飽和アルキル、最も好ましくはC12−C18アルキル又はアルケニル、及び枝分れした又は枝分れしていないものである。1つの形態では、FSAのヨウ素価(IV)は約1〜70であり、それぞれのRは、H又は短鎖C−C、好ましくはC−Cアルキル又はヒドロキシアルキル基、例えば、メチル(最も好ましい)、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル等、ポリ(C2−3アルコキシ)、好ましくはポリエトキシ基、ベンジル、又は(RO)2−4H(式中、それぞれのRはC1−6アルアルキレン基であり、Aは柔軟剤適合アニオン、好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸メチルイオン、硫酸エチルイオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオンであり、より好ましくは塩化物イオン、臭化物イオンである。
【0111】
これらのFSAの例として、ジタロウジメチルアンモニウム及びジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェートのようなジアルキルジメチルアンモニウム塩及びジアルキレンジメチルアンモニウム塩がある。本発明に使用可能な市販されているジアルキレンジメチルアンモニウム塩の例は、Degussa社からAdogen 442(登録商標)及びAdogen 470(登録商標)の商品名で市販されているジ−水素化タロウジメチルアンモニウムクロリド及びジタロウジメチルアンモニウムクロリドである。1つの形態では、FSAは、DTTMACに加え、他の活性剤を含む。更に他の形態では、FSAは、DTTMACの化合物のみを含み、他の第4級アンモニウム化合物又は他の活性剤を含まないか、又は実質的に含まない。
【0112】
1つの形態では、FSAは、Colona et alに対し2004年10月14日に公開されている米国特許公開No.2004/0204337のパラグラフ30−79に記載されているFSAを含む。他の形態では、FSAは、Smith et alに対し2005年11月18日に公開されている米国特許公開No.2004/0229769のパラグラフ26−31又は米国特許第6,494,920号の第1欄51行以下に詳細に記載されている”esterquat”又は第4級化された脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩である。
【0113】
1つの形態では、以下のものの少なくとも1つから選ばれる。即ち、ジタロウイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロリド、ジ−水素化タロウイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロリド、ジタロウジメチルアンモニウムクロリド、ジタロウイルオキシエチルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ジ−水素化タロウイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロリド、ジ−水素化タロウイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロリド、又はその組合せである。
【0114】
1つの形態では、FSAはまた、アミド含有化合物組成物を含む。ジアミド含有化合物の例は、これに限定されるものではないが、メチル−ビス(タロウアミドエチル)−2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート(Degussa社からVarisoft 110 及びVarisoft 222の商品名で市販)である。アミドエステル含有化合物の例は、N−[3−(ステアロイルアミノ)プロピル]−N−[2−(ステアロイルオキシ)エトキシエチル]−N−メチルアミンである。
【0115】
本発明の他の特定の形態は、更にカチオン性スターチを含む、リンスを添加した布柔軟組成物を提供する。カチオン性スターチは、US2004/0204337 A1に開示されている。1つの形態では、リンスを添加した布柔軟組成物は、布柔軟組成物重量の約0.1%〜約7%のカチオン性スターチを含む。1つの形態では、カチオン性スターチは、ナショナルスターチ社からのHCP401である。
【0116】
適切な洗濯ケア成分
本発明の目的には必須ではないが、以下に示す洗濯ケア成分の非限定的なリストが、洗濯ケア組成物に使用するのに適切であり、例えば性能を助け又は促進するため、清浄化させるべき基体を処理するため、又は香料、着色剤等を含む場合に組成物の美観を修正するため、本発明の所定の形態に組み込まれるのが望ましい。そのような成分は、所定の態様のために予めリストに挙げられた成分に加えて用いるものであることが理解される。そのような添加物のトータルの量は、洗濯ケア成分重量の約0.1%〜約50%、又は約1%〜約30%とすることが出来る。
【0117】
これらの追加成分の正確な性状及びその含有レベルは、組成物の物理的形態及び用いられるべき操作の性質に依存するであろう。適切な洗濯ケア成分は、それに限定されないが、ポリマー、例えばカチオン性ポリマー、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、染料転写防止剤、分散剤、酵素、及び酵素安定剤、カチオン性物質、漂白活性剤、ポリマー分散剤、クレー及び汚れ除去/再沈積防止剤、光沢剤、泡抑制剤、染料、追加香料及び香料放出系、構造弾性剤、繊維柔軟材、キャリア、ヒドロトロープ、処理助剤、及び/又は顔料を含む。以下の開示に加え、そのような他の添加物の適切な例及び使用のレベルは、米国特許第5,576,282号、第6,306,812B1号、及び第6,326,348B1号に見出され、これらはここに引用することにより、本明細書に含まれるものとする。
【0118】
上述したように、洗濯ケア成分は、本発明の洗濯ケア組成物に必須のものではない。このように、本発明の洗濯ケア組成物の所定の形態は、次の添加物の1種又はそれ以上を含まない。それは、漂白活性剤、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、染料転写防止剤、分散剤、酵素、及び酵素安定剤、カチオン性金属錯体、ポリマー分散剤、クレー及び汚れ除去/再沈積防止剤、光沢剤、泡抑制剤、染料、追加香料及び香料放出系、構造弾性剤、繊維柔軟材、キャリア、ヒドロトロープ、処理助剤、及び/又は顔料である。しかし、添加物の1種又はそれ以上が存在するとき、そのような1種又はそれ以上は、以下に詳細に示すものである。
【0119】
界面活性剤
本発明の組成物は、非イオン性及び/又はアニオン性及び/又は両性及び/又は双性及び/又半極性非イオン性から選択される、界面活性剤又は界面活性剤系を含むことが出来る。界面活性剤は、典型的には、洗浄組成物重量の約0.1%から、約1%から、又は約5%から、約99.9%まで、約80%まで、約35%まで、又は約30%まで存在する。
【0120】
ビルダー
本発明の組成物は、1種又はそれ以上の洗浄剤ビルダー又はビルダー系を含むことが出来る。ビルダーが存在するとき、組成物は、重量%で少なくとも約1%、又は約5%又は10%から、約80%、50%、又は30%までのビルダーを含むであろう。ビルダーとしては、これらに限定されるものではないが、ポリホスフェートのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属シリケート、アルカリ土類又はアルカリ金属カーボネート、アルミノシリケートビルダー、ポリカルボキシレート化合物、ヒドロキシルポリカルボン酸エーテル、マレイン酸無水物とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチル−オキシスクシン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸及びニトリロトリ酢酸のようなポリ酢酸の様々なアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩、及び、エリットさん、スクシン酸、オキシスクシン酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシスクシン酸のようなポリカルボキシレート、及びそのようか可能な塩がある。
【0121】
キレート剤
本発明の組成物は、任意に、1種又はそれ以上の銅、鉄及び/又はマンガンキレト剤を含んでもよい。使用される場合、キレート剤は、一般に、組成物重量の約0.1%〜約15%、又は約3.0%〜約15%を含むであろう。
【0122】
染料転写防止剤
本発明の組成物は、1種又はそれ以上の染料転写防止剤を含んでもよい。適切なポリマー染料転写防止剤としては、これらに限定されるものではないが、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、及びポリビニルイミダゾール、又はその混合物がある。本発明の組成物中に存在するとき、染料転写防止剤は、洗浄剤組成物重量の約0.0001%から、約0.01%から、又は約0.05%から、約10%まで、約2%まで、又は約1%まで存在する。
【0123】
分散剤
本発明の組成物はまた、分散剤を含有することが出来る。適切な水溶性有機物質は、ホモポリマー又はコポリマーの酸であり、この場合、ポリカルボン酸は、2個以下の炭素原子により相互に分離された少なくとも2つのカルボキシルラジカルを含む。
【0124】
酵素
本発明の組成物は、洗浄性能及び/又は布ケア効果を提供する1種又はそれ以上の洗浄剤酵素を含有することが出来る。適切な酵素の例としては、これらに限定されるものではないが、ヘミセルロース、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、hosuhoripaゼ、ステラーゼ、カチナーゼ、ペクチナーゼ、カラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フォノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リギリナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニナーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカ−ゼ、及びアミラーゼ、又はその混合物がある。典型的な組合せは、アミラーゼとの組合せにおける、プロテアーゼ、リパーゼ、カチナーゼ、及び/又はセルラーゼのような通常の適用可能な酵素のカクテルである。
【0125】
酵素安定剤
組成物、例えば洗浄剤に用いられる酵素は、様々な方法により安定化され得る。本発明に採用された酵素は、最終組成物中のカルシウム及び/又はマグネシウムイオンの水溶性源の存在により安定化され得る。そのような水溶性源は、酵素にそのようなイオンを提供する。
【0126】
触媒金属錯体
本発明の組成物は、触媒金属錯体を含む。1つのタイプの金属含有漂白触媒は、銅、鉄チタン、ルテニウム、タンングステン、モリブデン、又はマンガンカチオンのような明白な漂白触媒活性の遷移金属カチオン、亜鉛又はアルミニウムカチオンのような殆ど又は全く漂白触媒活性を示さない補助金属カチオン、及び触媒カチオン及び補助金属カチオンのための明白な安定定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチル−エン燐酸)、及びその水溶性塩である。そのような触媒は、米国特許第4,430,243号に開示されている。
【0127】
望むならば、本発明の組成物は、マンガン化合物により触媒作用を施される。そのような化合物及び使用のレベルは周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号に開示されているマンガン系触媒である。
【0128】
本発明に有用なコバルト漂白触媒は公知であり、例えば、米国特許第5,597,936号及び第5,595,967号に記載されている。そのようなコバルト触媒は、例えば米国特許第5,597,936号及び第5,595,967号に示されている公知の手順により容易に製造される。
【0129】
本発明の組成物はまた、“MRL”と短縮されるマクロ多環式剛性配位子の遷移金属錯体を含むのが適切である。実用上の問題として、これに限定されるものではないが、本発明の組成物及び洗浄プロセスは、水性洗浄媒体中の有効剤MRLの少なくとも1千万分の1のオーダーで提供するように調整することが出来、洗浄液中に、約0.005ppmないし約25ppm、約0.05ppmないし10ppm、又は約0.1なし約5ppmのMRLを提供する。
【0130】
この遷移金属漂白触媒の好ましい遷移金属は、マンガン、鉄、及びクロムである。本発明において好ましいMRLは、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビスシクロ[6.6.2]ヘキサデカンのようなクロス架橋した、特別の型のウルトラ剛性配位子である。
【0131】
適切な遷移金属MRLは、例えばWO 00/32601及び米国特許第6,225,464号に示されている公知の手順により容易に製造される。
【0132】
実施例
以下の実施例は、本発明の新規な白化剤を更に示すように提供される。しかし、それらは、特許請求の範囲に定義された発明を限定するようには構成されない。事実、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、本発明に様々な修正や変更がされ得ることは、当業者に明らかであろう。これらの実施例における部及び%はすべて、特に断らない限り、重量部及び重量%である。本明細書に示すハンセン溶解度パラメータのすべての値は、MPA0.5の単位である。
【0133】
サンプルの調製及びテスト方法
A.サンプルの調製
0.5gの白化剤(セルロース基体重量の0.1%)を3gの粉末洗濯用洗浄剤(AATCC粉末洗濯用洗浄剤)と500mLの室温水を含む溶液に加えることにより、それぞれのサンプルが調製される。等量の色彩単位を保証する吸光度のために、それぞれの着色剤の負荷が修正される。次いで、配合物に50gのセルロース粉末(アルドリッチから入手)が加えられ、この混合物が10分間攪拌される。混合物は、次いで、濾過されて液体からセルロース粒子が分離され、セルロース粒子は空気乾燥される。セルロース粒子と液体の双方が、上述したように、Gretag Macbeth Color Eye 7000A分光光度計を用いて、色彩について測定される。
【0134】
セルロース粒子は、次いで、500mLの水道水を収容する容器内に導入され、10分間攪拌される。この混合物が濾過されて、液体からセルロース粒子が分離され、セルロース粒子は再び空気乾燥される。セルロース粒子と液体の双方が、再び、Gretag Macbeth Color Eye 7000A分光光度計を用いて、色彩について測定される。未処理のセルロース粒子と液体の双方が、上述したように、Gretag Macbeth Color Eye 7000A分光光度計を用いて、色彩について測定される。
【0135】
表1A及び1Bに示す白化剤が本明細書に記載されているように調製され、様々なパラメーターについてテストされる。すべての紫着色剤が、Kluger et alに付与された米国特許第4,912,203号に開示されている手順に従って合成される。酸化エチレン、酸化プロピレン、及び酸化ブチレンは、それぞれ「EO」、「PO」、及び「BO」の表示で以下に示されている。表1A及び1Bに示す白化剤のポリマー成分の平均長さ及び組成は、式(ブロック1+ブロック2+ブロック3)/(鎖数)から得られる。例えば、バイオレットチオフェン_5EOは、1つは3EOに等しく、1つは2EOに等しい2つの鎖を窒素上に有するチオフェン発色団からなる。すべてのポリマー成分には鎖のキャップが存在する。
【表1】

【表2】

【0136】
B.白度の計算:CIELab b及びガンツ(Ganz)及びCIE白度インデックス
白度インデックス(“WI”)は、色測定の3成分、即ち、色相、彩度、明度を含む式により計算され、次いで標準白値にインデックス化される色の品質評価である。幾つかの白度の式が、セルロースをベースとする基体の白度を測定するために使用され得る。2つの一般的な式が、ガンツの白度インデックスとCIE白度である。ガンツの白度インデックスは、式WI=(DY)+(Px)+(Qy)+C(式中、Y、x及びyは、比色値であり、D、P、Q及びCは、式パラメータである。)により表される。CIE白度は、式WI=Y−(800x)−(1700y)+813.7(式中、Y、x及びyは、比色値である。)更に他の情報が、Rolf Griesser, Ciba-Geigy Ltd, “Whiteness and Tint”, 1993年6月に記載されている。
【0137】
製品の表面色が、分光光度計を用いてサンプルを測定することにより得た一連の測定値、L、a、及びbを用いて定量化され得る。このテストに用いた装置は、Gretag Macbeth Color Eye 7000A分光光度計である。使用したソフトウエアプログラムは、”Color imatch”である。“L”は、サンプルの白又は黒の量の測定値であり、“L”値が高いほど、より明るい色彩のサンプルを示す。サンプルの赤又は緑の量の測定値は、a値により決定される。サンプルの青又は黄色の量の測定値は、b値により決定され、b値が低いほど(より負であるほど)、サンプルがより青であることを示す。
【0138】
基体の相対色の更に他の測定値は、DE CMCである。DE CMCは、すべての均一な色空間についての全色差の測定値であり、DE CMC値は、1つの色と対照(この場合、純白標準)との間の相違の大きさを示す。DE CMC値が高いほど、色差は顕著になる。換言すると、DE CMC値が小さいほど、色はしろに近づく。Gretag Macbeth Color Eye 7000A分光光度計は、それぞれのサンプルについての波長及び反射率に基づきDE CMC値を計算する。
【0139】
C.分子特性の計算
本発明のそれぞれの白化剤の平均的構造は、マテリアルスタジオモレキュールモデリングソフトウエア(Accelrys社から市販)を用いて描かれる。それぞれの幾何学的構造は、半経験的ユニバーサル力場及びQeq電荷割り当てシステムを用いたフォーサイト(Forcite)モジュールによりそのエネルギーを最小にすることにより最適化される。ジアゾ着色剤のN=N結合は、平均的なN=N結合距離1.25オングストロームに対し、〜1.270−1.275と計算される。これらの値は、Liu Jun-na et alにより報告された値より少し短い。なお、Liu Jun-na et alにより報告された値は、〜1.3オングストロームであり、それは、Gaussian 98ソフトウエアパッケージ及びB3LYP/6-311G法(Liu Jun-na, Chen Zhi-rong, and Yuan Shen-feng, Journal of Zhejiand University Science, 6B(6), 2005, pp.584-589)により、ジフェニルジアゾ染料について計算されたものである。
【0140】
すべての構造の幾何学的最適化の後、様々なディスクリプターが計算される。ディスクリプターは、以下のカテゴリー、即ち、1.構造、2.機能、3.エネルギー、4.トポロジー、5.立体、6.熱力学において分類される。
【0141】
すべてのディスクリプターは、発色団のEO基及びPO基のトータル数、ハンセン溶解度パラメータ(溶解度_パラメータ)、及び親水親油バランス数(MW_HLB)を除いて、マテリアルスタジオソフトウエアのQSARモジュールを用いて計算される。後者の2つのパラメータは、ChemSW’s Molecular Modeling Pro softwareを用いて計算される。ディスクリプターは、セルロース基体への白化剤の親和性の潜在的予測値として選別される。表2は、本発明の白化剤を特徴づけるために使用される幾つかのテストパラメータをまとめたものである。
【表3】

【0142】
テスト結果
テスト1:CIELab b
及びガンツ白度インデックス
実施例1〜17が、CIELab b値及びガンツ白度インデックス(”Ganz MI”)値を決定するために、白度についてテストされる。テスト結果を表3に示す。CIELab b値が低いほど(より負であるほど)、またGanz WIが高く正であるほど、処理されたセルロース基体は、より青色又は白色効果が示される。
【表4】

【0143】
テスト結果は、5つの酸化エチレン繰り返し単位を含む実施例2及びグリシドール単位を含む実施例12が、これらのテスト条件の下で最良の性能を発揮することを示している。このデータは、CIELab b色値及びガンツWI値の間の相対的線形の関係を示している。すべてのデータポイントについての線形回帰適合は、R=0.988の回帰値を有している。
【0144】
テスト2:CIELab b値と
ハンセン溶解度パラメータの分散成分値の測定
実施例1〜17が、CIELab b値及びハンセン溶解度パラメータの分散成分値を決定するためにテストされる。なお、実施例1〜14は、バイオレットチオフェン発色団を含み、実施例15〜17は、チオフェニルメタン発色団を含む。実施例18〜25は、ハンセン溶解度パラメータの分散成分値を決定するためにテストされる。
【0145】
テスト結果を表4に示す。CIELab b値が大きく負であるほど、処理されたセルロース基体は、より青色又は白色効果が示される。“N/A”は、データが入手できないことを示す。
【表5】

【0146】
テスト結果は、CIELab b値及びハンセン溶解度パラメータの分散成分値の間の相対的線形の関係を示している。
【0147】
δが減少するに従って、色値bがリニアに減少する(即ち、青性能が増加する)。
【0148】
すべてのデータポイントについての線形回帰適合は、R=0.763の回帰値を有している。回帰線は、以下の式を有する。
【0149】
b_青味=0.9704δ−22.468 (2)
テスト3:ハンセン溶解度パラメータの分散成分値に基づく
CIELab b値の予測
実施例1〜10及び15〜17は、ハンセン溶解度パラメータの分散成分値に基づくモデルを整えるために最初に使用される。以下に示す式3を用いて、これらの実施例について、CIELab b値が計算される。なお、式3は、1リンスサイクルの後に得られた分散成分値を利用する。
【0150】
b_青味=1.0014δ−23.02 (3)
この式は、式2に非常に類似しており、すべての実施例を用いて誘導される。式3により示されたモデルは、実施例11〜14におけるテスト化合物により正当化される。式3は、実施例11〜14における分子が合成され、白度効率についてテストされる前に、実施例11〜14における分子(テスト分子)のCIELab b値についての予測を行うために使用される。式3から得られた予測されたCIELab b値は、Gretag Macbeth Color Eye 7000A分光光度計から予め得られた測定値と比較される。測定sれたb色値と予測されたb色値のパーセント差もまた決定される。
【0151】
分散成分値及び予測されたCIELab b値もまた、比較例1及び2について決定される。比較例1は、Farmerに付与された米国特許第4,127,243号の実施例IIIに記載されている青色ポリマーアントラキノン染料である。比較例2は、Sadlowski et alによる米国特許出願公開No.2005/0288206に記載されている塩基性バイオレット3である。
【0152】
テスト結果を表5及び図1に示す。“N/A”は、データが入手できないことを示す。
【表6】

【0153】
実施例11(バイオレットチオフェン_5EO_COCH3)及び実施例12(バイオレットチオフェン_グリシドール)が合成され、このモデルがポリマー鎖の末端キャップの機能の効果を説明することが出来ることを証明するためにテストされる。実施例12は、4つのヒドロキシル基を有しており、一方、EO又はPO末端基を有する白化剤は、2つのみのヒドロキシル基を有している。実施例11は、実施例12とほぼ同じサイズであるが、アセテートキャップは、OH基よりも少ない極性である。
【0154】
図1は、データをグラフに表したものである。図1では、“バイオレットチオフェン”は、“バイオレット”として示され、“トリフェニルメタン”は、“TPM”として示されている。データポイントは、測定されたCIELab b色値を示す。実線は、式3を示し、それは予測されたデータである。色値bとδとの間のリニアな関係は、分子が小さいほどセルロース粉末への堆積が強いことを示唆している。白化剤化合物のサイズは、セルロース粉末の気孔に近づき、その中に拡散する能力に影響を与える。加えて、分子の鎖上により極性のキャップを有する白化剤、又はより多数の極性末端基を有する白化剤は、より大きな青味効率を示した。計算はまた、チオフェニルメタン含有白化剤が好ましい白化剤であることを示している。
【0155】
例示的洗浄剤配合物
配合物1a―1l:液体洗浄剤配合物
表6A及び6Bは、本発明の少なくとも1つを含む液体洗浄剤配合物の例を示す。表6Aでは配合物1a〜1fが、表6Bでは配合物1g〜1lが示されている。
【表7】

【表8】

【0156】
配合物1a−1lについての脚注
ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ナトリウム塩
ジエチレントリアミンペンタキスメチレン燐酸、ナトリウム塩
エチレンジアミンテトラ酢酸、ナトリウム塩
配合色を調整するために使用される無色染料
ポリビニルアルコール膜中に統合された充填量としてパッケージ化されたコンパクトな配合
色相効率>10及び洗浄除去30−85%を示すアルコキシル化されたアントラキノン着色剤
色相効率>10及び洗浄除去30−85%を示すアルコキシル化されたチオフェン着色剤
色相効率>10及び洗浄除去30−85%を示すアルコキシル化されたトリフェニルメタン着色剤
Acusol OP301
配合物2a−2e:粒状洗浄剤配合物
表7は、本発明の少なくとも1種の白化剤を含む粒状洗浄剤配合物の例を示す。表7に示す配合物は、配合物2a〜2eである。
【表9】

【0157】
例示的布ケア組成物
配合物3a−3d:液体布ケア組成物
表8は、本発明の少なくとも1種の白化剤を含む液体布ケア組成物の例を示す。表8に示す配合物は、配合物3a〜2dである。
【表10】

【0158】
N,N−ジ(タロウオイロキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド
25%〜95%のアミロース及び0.02〜0.09の置換度を含み、50〜84の値を有する水流動性として測定された粘度を有する、一般のとうもろこしスターチ又はポテトスターチに基づくカチオン性スターチ
米国特許第5,574,179号第15欄1−5行に記載された式を有する酸化エチレンとテレフタレートのコポリマーであり、それぞれのXhaメチルであり、それぞれのnは40であり、uは4であり、それぞれのRは基本的に1,4−フェニレン部分であり、それぞれのRは基本的にエチレン、1,2−プロピレン部分、又はその混合物である。
【0159】
ジエチレントリアミンペンタ酢酸
ロームアンドハス社から市販されているKATHON(登録商標)
商品名DC2310の名でダウコーニング社から市販されているシリコーン消泡剤
チバスペシャルティーケミカル社から市販されているジナトリウム4,4−ビス−(2−スルホスチリル)ビフェニル
アクゾノーベル社から市販されているココメチルエトキシル化[15]アンモニウムクロリド
従って、本発明は、チオフェン又はトリフェニルメタンを含有する少なくとも1種の発色団、及び少なくとも1種のポリマー成分を含むセルロース基体のための白化剤であって、約17MPa0.5より低いか又は等しいハンセン溶解度パラメータの分散成分値を有する白化剤を提供する。そのような白化剤を含む洗濯用洗浄剤もまた、本発明が意図するものである。
【0160】
本発明の白化剤は、チオフェンを含有する少なくとも1種の発色団成分、及び少なくとも1種のポリマー成分を含むセルロース基体のための白化剤であって、以下の構造を有することを特徴とする。
【化7】

【0161】
式中、R及びRは、それぞれ独立に以下のものから選択される。
【0162】
a)〔(CHCR’HO)(CHCR”HO)H〕
式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、R”は、H、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、x+y≦5、y≧1、及びz=0〜5である。
【0163】
b)Rは、アルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基であり、Rは、〔(CHCR’HO)(CHCR”HO)H〕である。
【0164】
式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、R”は、H、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、x+y≦10、y≧1、及びz=0〜5である。
【0165】
c)R=〔CHCH(OR)CHOR〕及びR=〔CHCH(OR)CHOR
式中、Rは、H、(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、z=0〜10であり、Rは、(C−C16)アルキル基、アリール基、及びその混合物からなる群から選択される。
【0166】
d)式中、R及びRは、それぞれ独立に、スチレンオキシドのアミノ付加物、グリシジルメチルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、及びグリシジルヘキサデシルエーテルであって、1〜10のアルキレンオキシド単位が付加されるものから選択される。
【0167】
本発明の潜在的に好ましい白化剤は、チオフェンを含有する少なくとも1種の発色団成分、及び少なくとも1種のポリマー成分を含むセルロース基体のための白化剤であって、以下の構造を有することを特徴とする。
【化8】

【0168】
式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、R”は、H、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、x+y≦5、y≧1、及びz=0〜5である。
【0169】
なお、本発明は、CIELab b値とハンセン溶解度パラメータの分散成分値δにより特徴づけられ、b及びδは、相互に式b=1.00(δ)−23に従うほぼリニアな関係を示す白化剤を提供する。
【0170】
このように、白化剤として理想的に適合する発色団含有化合物の選択を助ける予測モデルを採用することは、本発明の利点であるものと考えられる。本明細書において提供されたテスト結果は、白化剤のセルロース粉末への堆積が、少なくとも部分的に、白化剤化合物のサイズ及びその鎖キャップ官能価により制御され得ることを示している。このテスト結果はまた、より大きい分子がセルロース粉末の気孔中へ拡散するには大き過ぎて、多数回の洗浄及び/又はすすぎサイクル後の白化効果を減少させることもまた示唆している。
【0171】
以上、本発明の特定の形態について示し、記載したが、本発明は、その概念及び範囲を逸脱することなく、様々な変形及び修正が可能であることは、当業者において明らかであろう。そのため、本発明の範囲内にあるそのような変形及び修正は、請求の範囲においてカバーされるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)チオフェン着色剤を含有する少なくとも1種の発色団成分、及び
(b)少なくとも1種のポリマー成分
を含むセルロース基体のための白化剤であって、下記の構造を有することを特徴とするセルロース基体のための白化剤。
【化1】

式中、R及びRは、それぞれ独立に以下のものから選択される。
a)〔(CHCR’HO)(CHCR”HO)H〕
(式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、R”は、H、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、x+y≦5、y≧1、及びz=0〜5である。)
b)Rは、アルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基であり、Rは、〔(CHCR’HO)(CHCR”HO)H〕である。
(式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、R”は、H、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、x+y≦10、y≧1、及びz=0〜5である。)
c)R=〔CHCH(OR)CHOR〕及びR=〔CHCH(OR)CHOR
(式中、Rは、H、(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、z=0〜10であり、Rは、(C−C16)アルキル基、アリール基、及びその混合物からなる群から選択される。)
d)R及びRは、それぞれ独立に、スチレンオキシドのアミノ付加物、グリシジルメチルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、及びグリシジルヘキサデシルエーテルであって、1〜10のアルキレンオキシド単位が付加されるものから選択される。
【請求項2】
2〜約20の繰り返し単位を有するポリオキシアルキレン鎖を含む請求項1に記載の白化剤。
【請求項3】
少なくとも2つのヒドロキシル基を含む請求項1に記載の白化剤。
【請求項4】
前記ヒドロキシル基は、主要なヒドロキシル部分である請求項3に記載の白化剤。
【請求項5】
アルコキシル化されたチオフェンポリマー着色剤を含む請求項1に記載の白化剤。
【請求項6】
約17MPa0.5より低いか又は等しいハンセン溶解度パラメータの分散成分値を有する請求項1に記載の白化剤。
【請求項7】
約12〜約17MPa0.5のハンセン溶解度パラメータの分散成分値を有する請求項6に記載の白化剤。
【請求項8】
白化剤の発色団が約520ナノメータ〜約640ナノメータの水中における吸収スペクトルを示す請求項1に記載の白化剤。
【請求項9】
白化剤の発色団が約400ナノメータ〜約480ナノメータの水中における発光スペクトルを示す請求項1に記載の白化剤。
【請求項10】
(a)チオフェン着色剤を含有する少なくとも1種の発色団成分、及び
(b)少なくとも1種のポリマー成分
を含むセルロース基体のための白化剤であって、下記の構造を有することを特徴とするセルロース基体のための白化剤。
【化2】

(式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、R”は、H、CHO(CHCHO)H及びその混合物からなる群から選択され、x+y≦5、y≧1、及びz=0〜5である。)

【図1】
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【公表番号】特表2010−516907(P2010−516907A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546422(P2009−546422)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/000614
【国際公開番号】WO2008/091524
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】