センサの運動方向に垂直な表面変動を検出するための非振動式接触電位差測定の較正
非振動式接触電位差プローブおよび振動式接触電位差プローブを使用して、ウエハ表面の接触電位差を決定するための方法およびシステムが提供される。この方法およびシステムは、非振動式接触電位差センサを用いてウエハ表面を走査するステップと、得られたデータを積分およびスケーリングするステップと、積分およびスケーリングされたデータを振動式接触電位差センサを使用して行われた測定に整合させるために、データの個々のトラックにオフセットを適用するステップと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2008年5月2日に出願された米国特許出願第12/151,054に関し、かつ、当該米国特許出願に基づき優先権を主張するものであり、当該米国特許出願の内容は、本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体表面および半導体材料を含む表面および材料の検査に関する方法およびシステムを対象とする。より詳細には、本発明は、表面全体にわたって正確に任意の非均一性の存在を確立するように、接触電位差センサを振動モードおよび非振動モードの両方で使用して、表面またはサブ表面の非均一性および/または変化を検出および測定するための方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイスの機能、信頼性および性能は、清浄かつ均一な半導体の材料および表面の使用に依存する。数十億ドルもの費用および数え切れないほどの労力が、半導体材料を製造および処理するためのシステムおよびプロセスを開発し、特徴づけ、最適化するために費やされてきた。この活動は、ウエハ全体にわたって、極めて清浄で、均一なまたは非均一に変化する所定のかつ所望の特性を有する材料および表面を製造することを主な目的としてきた。これらのプロセスおよび得られる材料を特徴づけ、最適化するためには、表面またはバルクの清浄度および非均一性を検査および測定できることが必要である。実時間プロセス制御のためには、表面全体にわたって高速で多くの測定を行い、また、半導体表面を損傷または汚染しないような方法でそれらの測定を行うことができなければならない。
【0004】
表面を検査および測定する1つの方法は、非振動式接触電位差センサを利用する。非振動式接触電位差センサは、表面に近接して配置され、その表面に電気的に接続される導電性プローブで構成される。プローブおよび表面は、キャパシタを形成する。2つの材料の仕事関数または表面電位における差に起因して、プローブ先端と表面との間に電位が形成される。この電位は、2つの表面の間の接触電位差または表面電位差と呼ばれる。プローブ先端は表面と平行に平行移動し、あるいは、表面はプローブの下で平行移動する。表面における異なる複数の点の仕事関数または表面電位における変化は、表面とプローブ先端との間の接触電位差における変化を結果としてもたらす。電位におけるこれらの変化により、電流が、センサプローブ先端へ、あるいは、センサプローブ先端から流れるようになる。この電流を増幅し、電圧に変換し、サンプリングして、測定される表面全体にわたる電位の変化を表す連続するデータストリームが形成される。非振動式接触電位差センサは、1秒あたり100,000サンプルを超える速度で、連続するデータストリームを提供することができる。データ取得速度が高いことにより、半導体ウエハ全体の高解像度の画像をほんの数分で取得できるようになる。
【0005】
非振動式接触電位差センサは、測定される表面の2つの特徴(仕事関数における変化および表面高さにおける変化)の組合せである信号を生成する。プローブ先端の電荷は、以下のように決定される。
Q=CV (1)
ここで、Qはプローブ先端の電荷であり、Cはプローブ先端と測定される表面との間の静電容量であり、Vはプローブ先端と表面の間の接触電位差である。
【0006】
プローブ先端へと流れる電流iは、プローブ先端の電荷から派生したものであり、以下の数式により求められる。
【数1】
【0007】
電流iは、dV/dt項とdC/dt項の2つの項の和である。dV/dt項は、プローブ先端とウエハ表面の間の電圧の変化を表し、dC/dt項は、プローブ先端とウエハ表面の間の静電容量の変化を表す。プローブ先端の電位は、走査動作中は固定されるので、測定される表面全体にわたる電位の変化に起因して、dV/dt項における変化が生じる。dC/dt項に変化は、プローブ先端とウエハ表面に間の距離の変化の結果としてもたらされる、ウエハ表面の高さの変化の結果としてもたらされることが最も多い。ほとんどのウエハ表面走査アプリケーションでは、静電容量の変化からの信号は、ウエハ表面の上のプローブ先端の高さを制御することによって最小化され、ウエハ表面高さの変動を最小化し、および/または、DCバイアス電圧の印加を通じてプローブ先端とウエハ表面の間の平均電圧を最小化する。その結果、静電容量信号は、ごくわずかとなり、考慮しなくてもよい。
【0008】
非振動式接触電位差センサの重要な特徴は、微分であるデータを生成することである。つまり、測定される表面全体にわたって、表面電位または仕事関数における微分または変化を表すデータを発生させるということである。センサの出力は、表面に対するセンサプローブ先端の移動方向における表面電位の変化を表す。センサ出力は、センサプローブ先端の移動方向に垂直つまり直交方向における表面電位の変化に関する任意のデータを含まない。また、センサ出力は、プローブ先端と測定される表面の間の任意の点における絶対的な接触電位差に関するデータも提供しない。センサ出力は、表面電位における変化に関する情報しか含まない。
【0009】
非振動式接触電位差センサは、プローブ先端と測定される表面の間の相対運動に依拠して、信号を発生させる。ウエハ表面と平行にセンサプローブ先端を移動させて信号を発生させる動作は、走査と呼ばれる。プローブ先端とウエハ表面の間の走査運動を発生させるための選択肢は数多くある。たとえば、ウエハを固定して保持することができ、プローブ先端をウエハ表面の上で前後に移動させて、データの線形「トラック」を生成することができる。ここで、トラックとは、連続する一連のシーケンシャルデータサンプルである。複数の線形トラックを統合して、走査された表面の画像を生成することができる。代替的には、プローブを固定して保持することができ、ウエハをセンサプローブ先端の下で前後に移動させることができる。センサまたはウエハのいずれかを前後に移動させて、一連の平行な線形走査を生成するこのタイプの走査は、しばしば、ラスタ走査と呼ばれる。走査運動を発生させるための別の選択肢は、ウエハをセンサプローブ先端の下で回転させ、かつ、センサまたはウエハをウエハの半径に沿って移動させて、ウエハの中心から異なる半径で一連の同心円トラックを取得することである。次いで、これらの同心のトラックを統合して、走査された表面の画像を生成することができる。このタイプの走査動作はしばしば、プローブ先端をウエハの半径に沿って移動させるので、ラジアル走査と呼ばれる。
【0010】
ラジアル走査では、ウエハのスピン運動は、ラスタ走査動作が必要とする高い加速および減速なしに、プローブ先端と測定される表面の間の相対運動を提供する。ラスタ走査は、所要の走査速度までプローブまたはウエハを加速し、データの単一のトラックを取得し、次いで、プローブまたはウエハを反対方向に減速および再加速しなければならない。ラジアル走査では、ウエハを固定された速度またはゆっくりと変化する速度でスピンさせることができ、センサを1つの半径方向トラックから次の半径方向トラックまでわずかな距離だけ、低加速で移動させることができる。その結果、ウエハ表面を、ラスタ走査に比べてより小さな振動および低い消費電力で、より短い時間周期で走査することができる。
【0011】
非振動式接触電位差センサ信号の微分の性質とは、表面電位がある場所から別の場所へ変化するウエハ表面の一部分にわたってプローブが移動するときにのみ信号を発生させることを意味する。センサが、1つの表面電位値を有する領域から別の表面電位値を有する領域へと移動する場合には、2つの領域の間の移行部分(エッジ)でのみ信号が発生させる。微分センサ信号は、プローブの運動方向に沿った表面電位の変化に比例する。しかしながら、この微分信号は、センサ信号を積分することによって、相対的な表面電位の一次関数である新たな信号に変換することができる。積分は、連続するサンプルの累積和を計算することによって達成される。積分信号は、プローブの運動方向における相対的な表面電位に関する情報は提供するが、運動方向に垂直な表面の変動に関する任意の情報を提供するものでも、接触電位差の絶対値の測定を提供するものでもない。走査運動の結果、任意の直交変動は、その変動を決定するための追加の測定が存在しないと検出できない。ラスタ走査の場合には、走査動作を、2つの直交方向のそれぞれにおいて1回ずつ、2回実行することによって、直交変動に関するデータを取得することができる。しかしながら、この動作は、表面を2回走査する必要があり、走査回数が2倍になる。ラジアル走査の場合には、走査メカニクスは、ウエハ表面上のそれぞれの点を2つの直交方向で走査するために容易に役立つものではない。その結果、ウエハ表面に対するプローブの円形運動は、半径方向に変化する表面の非均一性を検出するのに効果的ではない。接触電位差におけるこれらのタイプの半径方向変動は、様々なウエハ処理ステップから生じる可能性がある。たとえば、単一のウエハ清浄オペレーションまたはプラズマ処理オペレーションによって生じる誘電体帯電は、ラジアル走査方法を使用する非振動式接触電位差センサでは検出することができない半径方向の電荷パターンを生成することができる。
【0012】
上述のように、非振動式接触電位差センサは、表面全体にわたる相対的な接触電位差値を表すデータを生成するために積分することができる微分データを生成する。また、振動式接触電位差測定を使用して、積分された非振動式接触電位差のデータを較正することもできる。振動式接触電位差センサはしばしば、ケルビンプローブまたはケルビン−ジスマンプローブと呼ばれる。このタイプのセンサは、プローブ先端と測定される表面上の特定の点の間の絶対的な接触電位差の測定値をボルト単位で生成する。しかしながら、振動式接触電位差測定は、非振動式接触電位差測定と比べて非常に低速であり、この技法は、複数の生成速度でのウエハ全体の画像ングには適合しない。複数の点におけるケルビンプローブ測定と測定される表面上の同じ点における積分された非振動式接触電位差値の間の線形変換を算出することによって、絶対的な接触電位差値を提供するために、積分された非振動式接触電位差測定を変換することができる。最も適合する一次変換は、最小二乗直線フィッティングなどのような技法を用いて算出することができる。最も適合する一次変換が算出されると、積分された非振動式接触電位差画像の全ての点に適用される。この技法は、全ての走査された点に関する絶対的な接触電位差値の推定を提供し、振動式接触電位差センサを使用してウエハ表面全体を測定する技法に比べて、はるかに高速である。しかしながら、積分された非振動データは、依然として、プローブ先端の運動方向に垂直な表面電位の変動に関する任意の情報を含まない。その結果、積分および変換されたデータは、走査プローブの運動方向に垂直な表面電位の変動に関する情報を含まなくなり、この方向に有意な表面電位変化がある場合には、得られたデータは正確性に欠ける。表面電位におけるこのタイプの直交変動は、半径方向に走査されたウエハについては一般的であるが、これは、上述のように、表面電位における有意な半径方向変動が、一般的な半導体製造プロセスから生じ得るからである。有意な半径方向変動が存在する場合、積分された非振動式接触電位差画像は、表面電位におけるこの有意な半径方向変動を含まないので、振動式ケルビンプローブ測定と積分された半径方向に走査された非振動式接触電位差のデータの間の相関係数が低くなる。
【発明の概要】
【0013】
本発明に記載されるシステムおよび方法は、表面の迅速なイメージングならびに非振動式(走査)プローブの運動方向および非振動式プローブの運動方向に垂直な方向の両方における表面電位の非均一性の検出を可能にする振動式と非振動式を組み合わせた接触電位差検査システムの拡張された応用例を提供する。この機能は、ラジアル走査システムを使用する非振動式プローブを用いて走査された表面上の半径方向の非均一性の検出に関して、特に有用である。以下、本明細書に記載されるシステムによる検査に対して感受性がある材料を、一般に「ウエハ」と定義する。従来のシリコン単結晶ウエハの評価に関するものなど、好ましい応用例において、異なる処理状態が適用される4つの異なるウエハについて、本明細書では様々な例が記載される。本発明は、振動式接触電位差測定機能および非振動式接触電位差測定機能の両方を含む。振動式接触電位差測定機能は、プローブ先端とウエハ表面上の様々な点の間の絶対的な接触電位差に関するデータを提供し、一方、非振動式接触電位差測定機能は、ウエハ表面全体にわたる接触電位差の変化に関するデータを提供する。この装置は、振動式接触電位差測定および非振動式電位差測定の両方が可能な1つまたは複数のセンサの相関システムと、ウエハを機械的に固定するためのシステムと、ウエハ表面の上方の固定された距離にセンサを位置決めし、センサプローブ先端がウエハ表面と平行に移動するようにプローブ先端とウエハ表面の間の相対運動を発生させるためのシステムと、センサプローブ先端またはウエハ表面のいずれかにバイアス電圧を印加するためのシステムと、ウエハ表面と垂直にセンサプローブ先端を振動させるためのシステムと、ウエハ非均一性を識別および分類するために、1つまたは複数のセンサ出力信号を取得し、それを処理するためのシステムとで構成される。
【0014】
このシステムはさらに、プローブ先端とウエハの間の電位を修正するために、センサプローブ先端またはウエハ表面のいずれかにバイアス電圧を印加する機能を含む。この場合、数式(2)のdC/dt項は、以下の式に示されるようなバイアス電圧を含む。
【数2】
【0015】
数式(3)において、VCPDは、単にプローブ先端とウエハ表面と電気的に接続した結果から生じるプローブ先端とウエハ表面の間の電圧である。この電圧は、表面電位差または接触電位差とよばれ、しばしば、CPDと略される。Vbiasは、ウエハの非均一性の検出および分類を容易にするために、検査システムによってプローブ先端またはウエハに印加される追加の電圧である。走査動作の間、Vbiasが一定である場合には、dVbias/dt=0なので、その後dV/dt項に影響しない。
【0016】
システムはまた、ウエハの1点の上方にセンサを位置決めし、バイアス電圧を調節しながら、ウエハ表面に垂直にセンサを振動させるための機構を含む。ウエハ表面に垂直にプローブ先端を振動させることにより、プローブ先端とウエハ表面の間の静電容量の変化が起こり、その結果、数式(2)および数式(3)におけるVdC/dt項に起因して信号が生じる。この信号は、プローブ先端とウエハ表面の間の接触電位差(V)に比例する。可変のバイアス電圧は、接触電位差に加えられ、プローブ先端およびウエハ表面の間の電圧を修正する。このバイアス電圧を調節し、振動式センサ信号をゼロさせるバイアス電圧が決定される。この電圧は、プローブ先端とウエハ表面の接触電位差の負の値である。バイアス電圧を調節し、振動式プローブからのゼロ信号を生じさせる電圧を決定した後に、このバイアス電圧から接触電位差が算出される。接触電位差を測定するためのこのタイプのシステムは、ケルビンプローブまたはケルビン−ジスマンプローブとして知られている。
【0017】
本発明はまた、振動式接触電位差センサおよび非振動式接触電位差センサの両方により発生したデータに基づいて、様々なタイプの表面非均一性を検出し、それらを区別するために、得られたデータを処理するためのシステムおよび方法を含む。
【0018】
非振動式接触電位差センサは、表面電位の変化の全体のウエハ画像をほんの数分で取得できるように、比較的迅速にデータを取得することができる。振動式接触電位差センサは、プローブ先端とウエハの間の絶対的な接触電位差の測定を提供するが、比較的緩慢である。たとえば、非振動式センサは、1秒あたり100,000個を超えるサンプルを取得できるが、振動式プローブは、1秒あたり、多くても2〜3個のサンプルしか取得できない。複数の高解像度の非振動式接触電位差画像を比較的緩慢な低解像度の振動式センサデータと組み合わせることにより、ウエハ表面全体の絶対的な接触電位差に関するデータを、非振動式センサの速度に匹敵するスピードで取得することができる。
【0019】
ウエハ表面のあらゆる点における実際の接触電位差に対応するように非振動式データを変換するためには、非振動式接触電位差データは、まず、積分される。これを行うための最も単純な方法は、各トラックで取得された第1のサンプルから開始し、そのトラックのそれぞれの後続のサンプルにおける累積和を計算することである。数値積分のその他の方法を同様に使用してもよい。積分データは、トラックに沿った表面電位の変化に比例する。しかしながら、データのそれぞれの積分されたトラックに、スケーリング因子を乗算し、次いで、そのトラックをそれぞれの点における正確な絶対的な接触電位差を取得するために定数でオフセットしなければならない。積分データとそれぞれの点における実際の接触電位差値の間の適当なスケーリング因子(勾配)およびオフセット(積分定数)は分からないが、振動式ケルビンプローブを使用してウエハ表面上の2つ以上の点における実際の接触電位差を測定し、次いで、ケルビンプローブ値を表面上の同じ点における積分された非振動式電位差測定と比較することによって、そのスケーリング因子(勾配)およびオフセット(積分定数)を決定することができる。
【0020】
測定されるウエハが、走査プローブの運動方向に垂直な最小表面電位変動を有する場合、次いで、積分された非振動式接触電位差データを、ウエハ表面全体に関する実際の接触電位差値の一次関数として近似する。数学的アルゴリズムによって複数の振動式電位差測定を整合するために、これらのデータを変換することができる。
【0021】
1つの好ましい実施形態において、振動式測定は、ウエハ全体のいくつかの場所において得られる(2つの場所の最小数)。複数の点における振動式電位差測定をウエハ表面上の同じ点における積分された非振動式データに最もよくフィットさせる一次関数が算出される。これらの一次変換は次いで、積分された非振動式測定の全てに適用される。積分された非振動式測定の得られた線形スケーリングは、ウエハ表面上のそれぞれの場所における接触電位差値の近似値を提供する。しかしながら、得られた画像データは、非振動式プローブの運動方向に垂直な接触電位差変動に関する情報を1つも含まない。得られた一次変換は、スケーリング因子およびオフセットで構成される。オフセットは、ウエハ表面全体の平均の絶対的な接触電位差を表す。スケーリング因子は、積分された非振動式接触電位差センサ値を相対的な表面電位値へと変換する。このスケーリング因子は、非振動式接触電位差データを取得するために使用されるセンサおよび走査パラメータの特徴を表す。このスケーリング因子が特定のセンサおよび走査方法に対して決定されると、前記積分データを相対的な表面電位値へと変換するために、スケーリング因子を同じセンサおよびパラメータを使用して取得される後続の積分された非振動式接触電位差データに適用することができる。この方法によって取得されたスケーリング因子は、以下に記載される方法で使用される。
【0022】
本発明の別の好ましい実施形態では、ウエハは、非振動式接触電位差センサを用いて走査され、得られたデータは積分され、積分データを相対的な表面電位値へと変換するために、そのデータに適当なスケーリング因子が乗算される。スケーリング因子は、上述の方法を使用して決定される。複数の振動式電位差測定は次いで、非振動式センサの運動方向に垂直な直線に沿って得られる。各振動式測定に対応する点におけるスケーリングされ、積分された非振動式接触電位差値は、積分された非振動式測定がその点における振動式接触電位差測定に整合するように、オフセットによって変更される。この同じオフセットは次いで、積分され、スケーリングされた非振動式データの対応するトラックの全てのデータ点に適用される。対応する振動式測定を有さないトラックの場合、振動式測定を含む最も近いトラックについて算出されたオフセットを内挿または外挿することによって、適当なオフセットが計算される。内挿または外挿は、他項適合、スプライン、または、いくつかのその他の適当な従来の数学技法を使用して達成される。代替的な実施形態では、振動式測定は、走査プローブの運動方向に垂直な複数の直線に沿って得られる。それぞれの振動式測定ポイントにおける振動式測定および非振動式測定の間のオフセットが計算される。2つ以上の振動式測定が、非振動式データにおける同じトラックに対応する場合、次いで、振動式測定に対応するトラック上のそれぞれの点におけるオフセットが算出され、次いで、そのオフセットを、そのトラック全体について使用されるべき単一のオフセットを算出するために、統計学的に組み合わせる。たとえば、トラックのオフセットを、個々の点のオフセットの平均またはメジアンとして算出することができる。従前のように、対応する振動式測定を有さないトラックは、近くのトラックに関する算出されたオフセットを内挿または外挿することによって決定されたオフセットを与えられる。複数の測定が、直線内に配置されなければならないウエハ上の様々な場所において得られる場合には、これらの最後の2つの実施形態を両方とも使用することができる。
【0023】
代替的な実施形態において、ウエハは、データのトラックを生成するために非振動式接触電位差センサを用いて走査され、トラックのこの第1のセットは積分され、積分データを相対的な表面電位値に変換するために、適当なスケーリング因子で乗算される。スケーリング因子は、上述の方法を使用して決定される。非振動式接触電位差センサはまた、第1の走査動作中に、運動方向に垂直にセンサを移動させることによって、データの1つまたは複数のトラックを取得するために使用される。また、この第2の走査された1つまたは複数のトラックは、前記積分データを相対的な表面電位値に変換するために、積分およびスケーリングされる。1つまたは複数の振動式電位差測定は次いで、トラックの第2のセットのそれぞれの上で行われる。オフセットは、振動式電位差測定とトラックの第2のセットの対応する点の間で算出され、得られたオフセットは次いで、トラックの第2のセットのそれぞれの全ての点に適用される。この操作の結果、トラックの第2のセットは、各トラックに沿った実際の接触電位差値を表す。次いで、トラックのこの第2のセット上の値とトラックの第1のセット上の対応する点の間の差が算出される。これらの差は、トラックの第1のセットのそれぞれのトラックに関するオフセットを算出するために使用される。第1のセットの各トラックについて算出されたオフセットは、そのトラックの全ての点に適用される。この場合、振動式電位差測定は、トラックの第2のセットデータを絶対的な接触電位差値に変形するために使用される。これらの絶対的な接触電位差値は次いで、トラックの第1のセットに関するオフセットを算出するために使用される。この方法では、第1のセットの多数のトラックが、第2のセットのより少数のトラックに関して算出された接触電位差値を使用して較正される。非振動式センサをトラックの第1のセットを取得するために使用された走査の方法に垂直な方向に移動させることによって、トラックの第2のセットが取得される。トラックの第2のセットは、1つまたは複数の振動式電位差測定を使用して較正される。一実施形態では、トラックの第2のセットは、単一の振動式電位差測定を使用して較正される単一のトラックで構成される。
【0024】
別の好ましい実施形態では、非振動式接触電位差センサは、データの同心のトラックを形成するために、半径方向に走査される。各トラックは積分され、各トラックに沿った相対的な接触電位差値に変換するために、適当なスケーリング因子で乗算される。次いで、ウエハの半径に沿って、離散点振動式測定が行われる。各振動式測定と対応する積分されスケーリングされた非振動式データ点の間の差が算出され、その点を含む円形トラック全体に適用される。振動式測定に対応しないトラックに関するオフセットは、振動式測定に対応する2つ以上の最も近いトラックのオフセットを内挿または外挿することによって算出される。この方法は、各トラックに関する一意のオフセットを算出する。オフセットは、振動式電位差測定によって決定されるような半径方向における接触電位差の変動に関する情報を提供する。帯電または半径を変更させるその他の表面効果が存在する場合には、計算されたオフセットは、それぞれのトラックについて異なるものとなる。たとえば、単一のウエハの清浄およびプラズマ処理走査によって引き起こされる誘電体帯電は、半径方向の表面電位パターンを表すことが多い。このタイプの帯電は、結果として異なるトラック半径については異なるオフセットとなり、このタイプの帯電を、得られた積分され、スケーリングされ、かつ、変形された画像で検出および測定することができる。
【0025】
別の好ましい実施形態では、ウエハ表面は、非振動式接触電位差センサを用いて半径方向に走査され、得られたデータは積分され、相対的な表面電位値に変換するためにスケーリングされる。振動式接触電位差センサ測定は次いで、複数の測定を同じ半径で得ることができるウエハ表面上のいくつかの異なる場所で行われる。複数の振動式電位差測定が同じトラックで行われる場合、そのトラックに関するオフセットは、平均またはメジアンのような統計値を使用して、複数のオフセットから算出される。従前のように、単一のオフセット値が、振動式電位差測定に対応するそれぞれの半径方向トラックについて計算された後に、振動式測定を含まないトラックに関するオフセットを算出するために、得られたオフセット値が内挿または外挿される。オフセットを積分およびスケーリングされた非振動式接触電位差センサ画像の各トラックに適用することにより得られる画像は、走査される表面のそれぞれの点における接触電位差を表し、表面電位または接触電位差の半径方向変動に関する情報を含む。
【0026】
本発明に関するこれらのまたはその他の目的、利点および特徴は、その構成および動作様式とともに、添付図面と併せて読むと、以下の詳細な説明により明らかになろう。図面中、同様の要素は、記載されたいくつかの図面にわたって同様の参照符号を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ウエハを固定し回転させるためのシステムと、ウエハの上方にセンサを位置決めするためのシステムと、接触電位差センサと、ウエハ表面と垂直に接触電位差センサを振動させるためのシステムと、センサからのデータを処理するためのコンポーネントを有するウエハ検査システムの図である。
【図2】ラジアル走査システムの動作を示す図である。
【図3】非振動式接触電位差センサを用いて、図2に示されるように、ウエハを半径方向に走査することによって生成されるサンプル画像を示す図である。
【図4A】本発明の包括的な方法の機能ブロックのフロー図を示す。
【図4B】本発明の代替的な方法を示す。
【図4C(i)】本発明の好ましい実施形態を示す。
【図4C(ii)】本発明の好ましい実施形態を示す。
【図5】非振動式接触電位差センサを用いてウエハを半径方向に走査することによって生成される画像を示し、次いで、その画像の選択された特定の場所で振動式ケルビンプローブ測定が実行される。
【図6】図5に示された同一のウエハ画像の振動式ケルビンプローブ測定に対する最小二乗誤差直線フィットの積分および算出後の画像を示し、その画像は、積分され走査された値を絶対的な接触電位差値に変換する一次変換について算出された勾配値およびオフセット値を示す。
【図7】第1のウエハの非振動式接触電位差走査された画像を、ウエハの直径に沿った複数のデータポイントで識別された振動式ケルビンプローブ測定とともに示す。
【図8】積分およびスケーリングの後の図7からの画像(接触式プローブ測定は全く含まれない)を示し、表面電位または仕事関数の最小の半径方向変動がこの画像から分かる。
【図9】トラック上または近くのトラック上で行われた振動式ケルビンプローブ測定に基づいて、オフセットが算出され、そのオフセットを各トラックに適用するように、振動式ケルビンプローブ測定に基づいて各トラックをオフセットした後の、図7からの画像を示す。
【図10】図8のウエハ画像データについて、1つの半径に沿って得られた画像値から得られる一次グラフを示す。
【図11】図9に示されたウエハ画像データ内の半径に沿った画像値から得られる一次グラフを示す。
【図12】積分およびスケーリング後の2のウエハの非振動式接触電位差走査された画像(接触式プローブ測定は全くない)を示し、表面電位または仕事関数の最小の半径方向変動がこの画像から分かる。
【図13】各トラック上でまたは近くのトラック上で行われた振動式ケルビンプローブ測定に基づいて、オフセットを算出し、そのオフセットを各トラックに適用するように、振動式ケルビンプローブ測定に基づいて各トラックをオフセットした後の、図12からの画像を示す。
【図14】図12の半径に沿って得られた画像値の一次グラフを示す。
【図15】図13の画像に関する半径に沿って得られた画像値の一次グラフを示す。
【図16】積分およびスケーリング後の第3のウエハの非振動式接触電位差走査された画像(接触式プローブ測定は全くない)を示し、表面電位または仕事関数の最小の半径方向変動がこの画像から分かる。
【図17】各トラック上でまたは近くのトラック上で行われた振動式ケルビンプローブ測定に基づいて、オフセットを算出し、そのオフセットを各トラックに適用するように、振動式ケルビンプローブ測定に基づいて各トラックをオフセットした後の、図16からのサンプル画像を示す。
【図18】図16の画像データの半径に沿って得られた画像値の一次グラフを示す。
【図19】図17の半径に沿って得られた画像値の一次グラフを示し、最大半径方向変動が示される。
【図20】第4のサンプルウエハの非振動式接触電位差走査された画像を、ウエハの直径に沿ったデータポイントにおいて識別された振動式ケルビンプローブ測定をともに示す。
【図21】積分およびスケーリング後の図20の画像(接触式プローブ測定は全く含まれない)を示し、表面電位または仕事関数の最小の半径方向変動がこの画像から分かる。
【図22】各トラック上でまたは近くのトラック上で行われた振動式ケルビンプローブ測定に基づいて、オフセットを算出し、各トラックに適用するように、振動式ケルビンプローブ測定に基づいて各トラックをオフセットした後の、図20からの画像を示す。
【図23】図21の画像データの1つの半径に沿った画像値からの一次グラフを示す。
【図24】図22に示されたウエハ画像データに関する半径に沿った画像値から得られる画像値の一次グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
1つの好ましい実施形態によると、ラジアル走査装置100が図1に示される。装置100は、接触電位差センサ101と、ウエハ105を機械的に固定し、プローブ先端102がウエハ表面106と平行に移動するようにプローブ先端102とウエハ表面106の間の相対運動を発生させるために、ウエハ105をスピンさせるためのシステム103と、センサ101をウエハ表面106の上方の規定された距離に位置決めするためのシステム107と、ウエハ表面と垂直にプローブ先端を振動させるためのシステム104と、ウエハ105の非均一性を識別および分類するために、センサ101から出力信号を取得し、それを処理するためのシステム110とで構成される。この好ましい実施形態では、接触電位差センサ101を非振動式接触電位差センサとして動作させて、ウエハ表面106を走査し、ウエハ表面106全体にわたる接触電位差の変化に関するデータを発生させることができ、あるいは、接触電位差センサ101を振動式接触電位差センサとして動作させて、センサプローブ先端102とウエハ表面106上の1つまたは複数の点との間の絶対的な接触電位差の測定値を発生させることができる。代替的な実施形態では、2つ以上の異なるセンサを、非振動式測定および振動式測定のために使用してもよい。
【0029】
1つの好ましい実施形態では、半導体ウエハ105は、導電性のウエハ固定具103上に配置される。これは、手動で、または、限定的ではないがウエハハンドリングロボットなどの自動プロセスを使用して行うことができる。ウエハ105は、吸引機を使用することなどによって、定位置に保持される。ウエハ105を保持する代替的な方法としては、静電力およびエッジグリッピングが含まれるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、固定具103は、スピンドルに装着され、このスピンドルの中心を中心としてウエハ105を回転させることができる。非振動式接触電位差センサ101は、位置決めシステム107に取り付けられるが、このシステム107は、ウエハ表面106の上のセンサ101の高さを調節でき、かつ、少なくともウエハ105の中心からウエハ105の1つのエッジへと半径方向にセンサ101を移動させることができる。接触電位差センサ101は、導電性のウエハ固定具103を介して、ウエハ表面106に電気的に接続される。一実施形態では、接触電位差センサプローブ先端102の高さに較正された高さセンサ109を、接触電位差センサ101として同一の位置決めシステム107上に装着することもできる。
【0030】
ウエハ表面106に垂直に接触電位差センサ101を振動させるためのシステム104は、接触電位差センサ101に取り付けられる。このシステム104は、プローブ先端102とウエハ表面106の間の接触電位差の振動式ケルビンプローブ測定を行うために使用される。
【0031】
ウエハ105が固定具103に固定された後、高さセンサ111は、ウエハ表面106上の1つまたは複数の点の上方に位置決めされ、ウエハ表面106の高さが、適当と思われる時に測定される。これらのウエハ高さ測定を使用して、プローブ先端102とウエハ表面106の間に所望の距離を生成することになる接触電位差センサ101の位置が算出される。この情報を使用して、ウエハ表面の上方の規定された高さに、プローブ先端102が位置決めされる。プローブ先端102は次いで、位置決めシステム107を使用して、ウエハ105の外側エッジの上方の1点おいて所望の高さまで移動される。
【0032】
たとえば図1に示されるように、プローブ101は固定して保持され、ウエハ105はウエハ固定具103上で回転し、それにより、プローブ先端102は、ウエハ105の中心を中心とする円形経路に沿って、ウエハ105と相対的に移動する。ウエハ105が一回転する間にデータが取得される。この場合、プローブ101は、非振動式接触電位差感知モードで動作しており、ウエハ105の表面全体にわたる接触電位差の変化を表すデータを発生させる。次いでセンサ101を、ウエハ105の半径に沿ってウエハの中心に向かって、プログラム可能な距離だけ移動させる。もう1回転のデータは、この新たな半径で取得される。プローブ先端102は、プローブがウエハ105の中心に到達するまで、ウエハ105の複数の同心の円形領域を1つずつ進み、それらを走査し続ける。得られたデータは次いで、たとえば図3に示されるように、ウエハ105の画像中に統合される。代替的には、ウエハ105のそれぞれ同心の円形領域を複数回走査してもよく、得られたデータを平均化して、ランダムノイズの影響を低減させることもできる。一実施形態では、この画像を処理し、非均一性を識別および分類するこの処理は、多くの形態をとることができる。
【0033】
微分センサデータを積分して、それぞれ異なる表面電位値を有する複数の領域を表す画像を発生させる。積分は、微分データの各トラックにおける値の逐次和を算出することによって実行される。次いで、積分されたトラックデータにスケーリング因子を乗算して、積分データを近似する相対的な接触電位値に変換する。このスケーリング因子は、ウエハ表面上の同じ点において複数の振動式ケルビンプローブ測定と積分された非振動式接触電位差のデータ値の間で最小二乗線形フィットを実行することによって、特定の走査方法について算出される。スケーリング因子が特定の走査センサおよび方法について算出されると、そのスケーリング因子を後続のウエハ上で求められた積分された非振動式接触電位差のデータに適用して、データを相対的な表面電位値に変換する。スケーリング因子を算出および適用するためのさらなる方法が存在する。たとえば、まずテストまたは較正ウエハを使用して、スケーリング因子を算出し、次いで全ての後続のウエハにそのスケーリング因子を適用することができ、あるいは、積分された非振動式接触電位差のデータおよびウエハの表面上の振動式ケルビンプローブ測定のいくつかのセットを使用して、各ウエハの検査中にスケーリング因子を算出することができる。
【0034】
図4A〜図4Cのフローチャートによって示された好ましい一実施形態において、複数の振動式ケルビンプローブ測定は、ウエハの中心から異なる半径で得られる。各振動式ケルビンプローブ測定について、同じ点のおける振動式ケルビンプローブ値と積分およびスケーリングされた非振動式接触電位差データの値の間の差が算出される。この差つまりオフセットは、次いで、その積分およびスケーリングされたデータの特定の円形トラック内のそれぞれの点に加算される。2つ以上の振動式ケルビンプローブの点が同じトラック上にある場合、そのトラックのオフセットは、その特定のトラック上にある振動式ケルビンプローブ測定の全てに関する全オフセットの平均またはメジアンとして算出される。トラックが振動式ケルビンプローブ測定を1つも含まない場合には、そのトラックに関するオフセットは、トラックのどちらかの側にある2つ以上の最も近接するトラックに関するオフセット値を内挿することによって算出される。振動式ケルビンプローブ測定を有する2つのトラックの間にないトラックが場合には、そのトラックに関するオフセットは、振動式ケルビンプローブ測定を有する2つ以上の最も近接するトラックに関するオフセットを外挿することによって算出される。この方法を使用して、オフセットが算出され、積分およびスケーリングされたデータのそれぞれの円形トラックにそのオフセットが適用される。得られた画像は、走査された表面全体に関する接触電位差値を表す。この画像は、接触電位差における半径方向変動を含むが、これは、異なる半径における振動式ケルビンプローブ測定から算出されたオフセットの結果として、これらの半径差を表すトラックオフセットが生じるからである。
【0035】
図2は、本発明の1つの好ましい実施形態のラジアル走査方法に関する図を示す。接触電位差センサプローブ先端102は、ウエハ105のエッジの近くにある点「A」に位置決めされる。ウエハ105をウエハ固定具103上で回転させ、データの円形トラックが走査される。プローブ先端102を、ウエハ105の中心に向かって点「B」までプログラム可能な距離だけ移動させ、データの第2の円形トラックのデータが走査される。プローブ先端102がウエハ105の中心に到達するまで、このプロセスが繰り返される。得られたデータを組み合わせて、ウエハ表面106全体にわたる接触電位差の変化を表す画像を生成する。この場合、センサは、非振動式接触電位差センサとして操作される。この走査方法を使用して取得されたサンプルウエハの画像が図3に示される(このサンプルまたはその他のサンプルは、既製品の、市販のグレードのシリコン単結晶ウエハである)。明るい領域および暗い領域は、ウエハの表面上の材料変化に起因する接触電位差の増減を表す。
【0036】
微分非振動式接触電位差センサ信号を積分およびスケーリングして、相対的な表面電位を表す信号を生成することができる。図5および図6は、積分および走査されたデータを相対的な表面電位値へと変換するための適当なスケーリング因子を算出するプロセスを示す。図5は、非振動式接触電位差センサを用いてウエハを走査することによって生成された微分データを示す。図5はまた、振動式接触電位差測定の場所および値も示すこれらの振動式接触電位差測定は、ミリボルトの単位である。図6は、図5の画像を積分することによって生じる画像を示す。この画像は、相対的な表面電位の領域を示す。図6はまた、同じ点のおける振動式接触電位差値と積分された非振動式接触電位差のデータの間の最小二乗フィットを算出した結果も示す。後続の画像に適用することができるスケーリング因子が算出される。このスケーリング因子は、8.997816e−2、つまり約0.09の勾配として示される。積分された非振動式接触電位差測定および振動式接触電位差測定の相関係数も、画像上に示される。この場合、相関係数は0.984であり、2つのセットのデータの間の良好なフィットを示す。
【0037】
図7は、第1のウエハ105の微分非振動式接触電位差画像を、半径方向の振動式接触電位差測定の場所および結果とともに示す。図7〜図19のウエハサンプルはまず、表面上に約1000オングストロームの厚い熱酸化コーティングを形成することによって、調整された。ウエハは次いで、回転させながら、ウエハの中心に適用される脱イオン水を用いて清浄され、濯がれた。この特定のウエハは、第1の従来のシステムツールおよび第1のタイプの脱イオン水伝導を使用して、所与のスピン速度および温度上昇/下降率で処理された。図8は、積分およびスケーリング後の図7の画像を示す。図8は、相対的な接触電位差値を示すデータを示すが、接触電位差の半径方向変動に関する情報は1つも含まれない。図9は、個々のトラックのオフセットが算出され、画像データが同じ点における振動式接触電位差のデータと適宜整合するように積分およびスケーリングされた接触電位差データに適用された後の、図8と同じウエハ画像を示す。これらのステップが完了すると、プロットおよび/または分析することができる信頼できる接触電位差値を決定ために、ウエハ105の任意の半径において測定が実行される。積分され、スケーリングされ、かつオフセットされたこれらのデータは、接触電位差における最大半径方向変動を示すが、この変動は図7および図8に示された微分画像または積分画像では明らかではない。
【0038】
図10は、図8に示された画像の1つの半径に沿った画像値のグラフを示す。このグラフには、明らかな最大半径方向変動は全くない。図11は、図9に示された画像の同じ半径に沿った画像値のグラフを示す。この場合、実質的な半径方向変動は、信号において明らかである。本発明を使用すると、全ての点におけるプローブ先端とウエハ表面の間の接触電位差を表し、非振動データのみからでは取得できない接触電位差の半径方向変動に関する情報を含むウエハ画像が提供される。
【0039】
図12は、非振動式接触電位差プローブを使用してラジアル走査が行われた第2のウエハ105の積分画像の別の例である。このウエハには、使用された従来のツールが異なるものであり、異なる水状態(主に導電率が異なる)およびツールスピン状態であることを除いて、図7のウエハと同じ一般的な処理が施された。図13は、積分およびスケーリング操作の後の、図12のウエハからのサンプル画像を示すが、前述の振動プローブ測定を使用している。第2のウエハ105の任意の半径に沿った接触電位差値を決定するために、第1のウエハ105に対して行われたように、詳細な測定および分析が再度ここで実行される。
【0040】
図14は、最小の半径方向変動を示す図12の例示的な半径に沿った画像値の一次グラフを示す。少量の半径方向変動がウエハのエッジの近くで明らかであるが、これは、ウエハのエッジの近くの積分プロセスおよび大きな信号値のアーチファクトであり、表面電位における半径方向変動を正確に表すものではない。図15は、図14と同様の一次グラフを示し、図13の半径に沿った画像値に関するものではないが、大幅で実質的かつ正確な半径方向変動を示すものである。
【0041】
図16は、非振動型接触電位差プローブを使用してラジアル走査が行われた第3のウエハ105の積分画像の第3の例である。さらに再び、異なる標準的なツール、異なる水状態および異なるスピン状態を使用してそのウエハを処理した。図17は、積分およびスケーリング操作の後の図16のウエハからのサンプル画像を示すが、上述の振動プローブ測定を使用している。
【0042】
図18は、異なるエッジ部分を除いて最小の半径方向変動を示す図16の例示的な半径に沿った画像値の一次グラフを示す。図19は、実質的な半径方向変動を示す図17の半径に沿った画像値の同様の一次グラフを示す。
【0043】
図20は、第4のサンプルウエハ105の微分非振動式接触電位差画像を、半径方向の振動式接触電位差測定の場所および結果とともに示す(第4のウエハ105の直径にわたって付されたデータ値を参照されたい)。図21は、相対的な接触電位差値を表すデータを示すが、接触電位差半径方向変動に関する情報は1つも含まれない。図22は、画像データが同じ点において振動式接触電位差のデータとおおよそ整合するように、個々のトラックオフセットが算出され、そのオフセットを積分およびスケーリングされた非振動式接触電位差のデータに適用した後の、図21と同じウエハ画像を示す。積分され、スケーリングされ、オフセットされたデータは、図20および図21に示された積分画像または積分画像において明らかでない接触電位差における有意な半径方向変動を示す。さらに再び、これらのステップを実行した後に、第4のウエハ105の任意の半径に沿って、接触電位差値を識別し、プロットし、および/または分析することができる。図20〜図24のウエハには、図7〜図19のその他のウエハとは異なる清浄プロセスを施されていることに留意されたい。脱イオン水を用いてウエハを1回清浄し、濯ぐのではなく、ウエハは、従来のよく知られるプラズマ処理方法によって清浄された。
【0044】
図23は、図21の例示的な半径に沿った画像値の一次グラフを示し、本方法の通常のアーチファクトである異なるエッジ部分を除いて、最小の半径方向変動を示す。図24は、図22の半径に沿った画像値の一次グラフを示し、実質的な半径方向変動を示す。
【0045】
本発明の方法は、表面的には「同じ」方法を用いて半導体ウエハを「清浄する」あるいは処理することについて、境界内で起こり得る劇的な効果をはっきりと示す。脱イオン水を用いた清浄および濯ぎの基本的な方法は、複数の異なる従来の清浄ツールによって実施することができるが、このような清浄ツールには、ウエハの中心に脱イオン水を与え、ウエハを支持するツールのスピン速度を上昇させて、ウエハ全体に脱イオン水を分散させ、それによってウエハを清浄し、次いで、指示ツールのスピン速度を低下させる方法が含まれる。本発明の検査および分析方法により、複数の異なる望ましくない清浄パラメトリック品質状態および望ましい清浄パラメトリック品質状態を識別できるように、得られた「清浄された」ウエハの品質に関する広範囲の特徴的な違いの識別が可能になった。たとえば、特定の清浄ツールおよび/または脱イオン水のタイプ(導電性など)が与えられる場合、所望の清浄なウエハ表面を達成するように、処理条件を予め選択することができる。さらに、所望のウエハ品質結果を達成するように、支持ツール自体の操作条件を最適化したり、変更したり、あるいは予め選択したりすることができる。したがって、本発明の方法の感度により、ウエハ表面の高度に具体的に特徴づけることができるようになり、さらなる処理のために、所望の最終製品ウエハを製造するための経路を高度に効率的にし、それによって、所望のおよび/または最高の品質に確実にし、また、歩留まりが大幅に改良される。この方法はまた、半導体ウエハのような材料に関する予め定義された表面品質を確実に生成するために使用できる相関データの累積を可能にするために、任意のタイプの化学的または物理的処理の特徴付けを可能にする。
【0046】
上述の諸実施形態と同じ結果をもたらす多くの代替的な機械的構造および走査動作が存在する。たとえば、接触電位差センサ101、高さセンサ109およびセンサを振動させるためのシステム104は全て、固定された場所に装着することができ、ウエハ105を、これらの固定された要素の下で移動および回転させることができる。1つ半径から次の半径まで1つずつ進む代わりに、ウエハ105の表面全体にわたってらせん状になる連続するデータストリームを生成するためにウエハ105がスピンしている間に、ウエハ105の半径に沿って連続的に接触電位差センサ101を移動させることができる。また、上述のラジアル走査動作の代わりに、ウエハ表面106全体を走査するために、非振動式接触電位差センサ101を前後にウエハ105全体にわたって線形に移動させることができ、あるいは、回転の中心がウエハ105の中心でない場合には、ウエハ105を回転装置の上に設置することができる。また、複数の測定値を同時に取得して、ウエハを測定するために必要とされる時間を低減させるために、複数の非振動式接触電位差センサおよび振動式接触電位差センサを使用することができる。それに加えて、当業者には理解されるように、記載された様々な方法のステップのうちいくつかは、容易に交換することができる。たとえば、全ての走査された振動式CPDデータは、積分およびスケーリングなどの任意の後続のデータ処理の前に収集することができる。また、ウエハ表面の高さは、各振動式CPD測定の前に、測定することができる。
【0047】
本発明は、誘電体帯電を含む表面およびサブ表面の非均一性を検出するために、振動式接触電位差センサおよび非振動式接触電位差センサの両方を使用する拡張された検査システムと、ウエハ上の全ての点における接触電位差を正確に定量化し表示するために、センサからのデータを処理するためのシステムとを提供する。本発明は、半導体または半導体ウエハの検査に限定されるものではなく、さまざまな表面で使用することができる。
【0048】
本発明の諸実施形態の前出の記載は、例示および説明を目的として提示されたものである。本発明を網羅する、または、本発明を開示された詳細な形態に限定することを意図するものでなく、修正形態および変形形態が、上述の教示に照らして可能であり、あるいは、本発明の実施から修正形態および変形形態を取得することができる。本発明の原理およびその実務的な適用形態を説明して、当業者が、企図された特定の使用に適合するよう様々な修正形態とともに、様々な諸実施形態で本発明を利用できるようにするために、諸実施形態を選択し、記載した。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2008年5月2日に出願された米国特許出願第12/151,054に関し、かつ、当該米国特許出願に基づき優先権を主張するものであり、当該米国特許出願の内容は、本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体表面および半導体材料を含む表面および材料の検査に関する方法およびシステムを対象とする。より詳細には、本発明は、表面全体にわたって正確に任意の非均一性の存在を確立するように、接触電位差センサを振動モードおよび非振動モードの両方で使用して、表面またはサブ表面の非均一性および/または変化を検出および測定するための方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイスの機能、信頼性および性能は、清浄かつ均一な半導体の材料および表面の使用に依存する。数十億ドルもの費用および数え切れないほどの労力が、半導体材料を製造および処理するためのシステムおよびプロセスを開発し、特徴づけ、最適化するために費やされてきた。この活動は、ウエハ全体にわたって、極めて清浄で、均一なまたは非均一に変化する所定のかつ所望の特性を有する材料および表面を製造することを主な目的としてきた。これらのプロセスおよび得られる材料を特徴づけ、最適化するためには、表面またはバルクの清浄度および非均一性を検査および測定できることが必要である。実時間プロセス制御のためには、表面全体にわたって高速で多くの測定を行い、また、半導体表面を損傷または汚染しないような方法でそれらの測定を行うことができなければならない。
【0004】
表面を検査および測定する1つの方法は、非振動式接触電位差センサを利用する。非振動式接触電位差センサは、表面に近接して配置され、その表面に電気的に接続される導電性プローブで構成される。プローブおよび表面は、キャパシタを形成する。2つの材料の仕事関数または表面電位における差に起因して、プローブ先端と表面との間に電位が形成される。この電位は、2つの表面の間の接触電位差または表面電位差と呼ばれる。プローブ先端は表面と平行に平行移動し、あるいは、表面はプローブの下で平行移動する。表面における異なる複数の点の仕事関数または表面電位における変化は、表面とプローブ先端との間の接触電位差における変化を結果としてもたらす。電位におけるこれらの変化により、電流が、センサプローブ先端へ、あるいは、センサプローブ先端から流れるようになる。この電流を増幅し、電圧に変換し、サンプリングして、測定される表面全体にわたる電位の変化を表す連続するデータストリームが形成される。非振動式接触電位差センサは、1秒あたり100,000サンプルを超える速度で、連続するデータストリームを提供することができる。データ取得速度が高いことにより、半導体ウエハ全体の高解像度の画像をほんの数分で取得できるようになる。
【0005】
非振動式接触電位差センサは、測定される表面の2つの特徴(仕事関数における変化および表面高さにおける変化)の組合せである信号を生成する。プローブ先端の電荷は、以下のように決定される。
Q=CV (1)
ここで、Qはプローブ先端の電荷であり、Cはプローブ先端と測定される表面との間の静電容量であり、Vはプローブ先端と表面の間の接触電位差である。
【0006】
プローブ先端へと流れる電流iは、プローブ先端の電荷から派生したものであり、以下の数式により求められる。
【数1】
【0007】
電流iは、dV/dt項とdC/dt項の2つの項の和である。dV/dt項は、プローブ先端とウエハ表面の間の電圧の変化を表し、dC/dt項は、プローブ先端とウエハ表面の間の静電容量の変化を表す。プローブ先端の電位は、走査動作中は固定されるので、測定される表面全体にわたる電位の変化に起因して、dV/dt項における変化が生じる。dC/dt項に変化は、プローブ先端とウエハ表面に間の距離の変化の結果としてもたらされる、ウエハ表面の高さの変化の結果としてもたらされることが最も多い。ほとんどのウエハ表面走査アプリケーションでは、静電容量の変化からの信号は、ウエハ表面の上のプローブ先端の高さを制御することによって最小化され、ウエハ表面高さの変動を最小化し、および/または、DCバイアス電圧の印加を通じてプローブ先端とウエハ表面の間の平均電圧を最小化する。その結果、静電容量信号は、ごくわずかとなり、考慮しなくてもよい。
【0008】
非振動式接触電位差センサの重要な特徴は、微分であるデータを生成することである。つまり、測定される表面全体にわたって、表面電位または仕事関数における微分または変化を表すデータを発生させるということである。センサの出力は、表面に対するセンサプローブ先端の移動方向における表面電位の変化を表す。センサ出力は、センサプローブ先端の移動方向に垂直つまり直交方向における表面電位の変化に関する任意のデータを含まない。また、センサ出力は、プローブ先端と測定される表面の間の任意の点における絶対的な接触電位差に関するデータも提供しない。センサ出力は、表面電位における変化に関する情報しか含まない。
【0009】
非振動式接触電位差センサは、プローブ先端と測定される表面の間の相対運動に依拠して、信号を発生させる。ウエハ表面と平行にセンサプローブ先端を移動させて信号を発生させる動作は、走査と呼ばれる。プローブ先端とウエハ表面の間の走査運動を発生させるための選択肢は数多くある。たとえば、ウエハを固定して保持することができ、プローブ先端をウエハ表面の上で前後に移動させて、データの線形「トラック」を生成することができる。ここで、トラックとは、連続する一連のシーケンシャルデータサンプルである。複数の線形トラックを統合して、走査された表面の画像を生成することができる。代替的には、プローブを固定して保持することができ、ウエハをセンサプローブ先端の下で前後に移動させることができる。センサまたはウエハのいずれかを前後に移動させて、一連の平行な線形走査を生成するこのタイプの走査は、しばしば、ラスタ走査と呼ばれる。走査運動を発生させるための別の選択肢は、ウエハをセンサプローブ先端の下で回転させ、かつ、センサまたはウエハをウエハの半径に沿って移動させて、ウエハの中心から異なる半径で一連の同心円トラックを取得することである。次いで、これらの同心のトラックを統合して、走査された表面の画像を生成することができる。このタイプの走査動作はしばしば、プローブ先端をウエハの半径に沿って移動させるので、ラジアル走査と呼ばれる。
【0010】
ラジアル走査では、ウエハのスピン運動は、ラスタ走査動作が必要とする高い加速および減速なしに、プローブ先端と測定される表面の間の相対運動を提供する。ラスタ走査は、所要の走査速度までプローブまたはウエハを加速し、データの単一のトラックを取得し、次いで、プローブまたはウエハを反対方向に減速および再加速しなければならない。ラジアル走査では、ウエハを固定された速度またはゆっくりと変化する速度でスピンさせることができ、センサを1つの半径方向トラックから次の半径方向トラックまでわずかな距離だけ、低加速で移動させることができる。その結果、ウエハ表面を、ラスタ走査に比べてより小さな振動および低い消費電力で、より短い時間周期で走査することができる。
【0011】
非振動式接触電位差センサ信号の微分の性質とは、表面電位がある場所から別の場所へ変化するウエハ表面の一部分にわたってプローブが移動するときにのみ信号を発生させることを意味する。センサが、1つの表面電位値を有する領域から別の表面電位値を有する領域へと移動する場合には、2つの領域の間の移行部分(エッジ)でのみ信号が発生させる。微分センサ信号は、プローブの運動方向に沿った表面電位の変化に比例する。しかしながら、この微分信号は、センサ信号を積分することによって、相対的な表面電位の一次関数である新たな信号に変換することができる。積分は、連続するサンプルの累積和を計算することによって達成される。積分信号は、プローブの運動方向における相対的な表面電位に関する情報は提供するが、運動方向に垂直な表面の変動に関する任意の情報を提供するものでも、接触電位差の絶対値の測定を提供するものでもない。走査運動の結果、任意の直交変動は、その変動を決定するための追加の測定が存在しないと検出できない。ラスタ走査の場合には、走査動作を、2つの直交方向のそれぞれにおいて1回ずつ、2回実行することによって、直交変動に関するデータを取得することができる。しかしながら、この動作は、表面を2回走査する必要があり、走査回数が2倍になる。ラジアル走査の場合には、走査メカニクスは、ウエハ表面上のそれぞれの点を2つの直交方向で走査するために容易に役立つものではない。その結果、ウエハ表面に対するプローブの円形運動は、半径方向に変化する表面の非均一性を検出するのに効果的ではない。接触電位差におけるこれらのタイプの半径方向変動は、様々なウエハ処理ステップから生じる可能性がある。たとえば、単一のウエハ清浄オペレーションまたはプラズマ処理オペレーションによって生じる誘電体帯電は、ラジアル走査方法を使用する非振動式接触電位差センサでは検出することができない半径方向の電荷パターンを生成することができる。
【0012】
上述のように、非振動式接触電位差センサは、表面全体にわたる相対的な接触電位差値を表すデータを生成するために積分することができる微分データを生成する。また、振動式接触電位差測定を使用して、積分された非振動式接触電位差のデータを較正することもできる。振動式接触電位差センサはしばしば、ケルビンプローブまたはケルビン−ジスマンプローブと呼ばれる。このタイプのセンサは、プローブ先端と測定される表面上の特定の点の間の絶対的な接触電位差の測定値をボルト単位で生成する。しかしながら、振動式接触電位差測定は、非振動式接触電位差測定と比べて非常に低速であり、この技法は、複数の生成速度でのウエハ全体の画像ングには適合しない。複数の点におけるケルビンプローブ測定と測定される表面上の同じ点における積分された非振動式接触電位差値の間の線形変換を算出することによって、絶対的な接触電位差値を提供するために、積分された非振動式接触電位差測定を変換することができる。最も適合する一次変換は、最小二乗直線フィッティングなどのような技法を用いて算出することができる。最も適合する一次変換が算出されると、積分された非振動式接触電位差画像の全ての点に適用される。この技法は、全ての走査された点に関する絶対的な接触電位差値の推定を提供し、振動式接触電位差センサを使用してウエハ表面全体を測定する技法に比べて、はるかに高速である。しかしながら、積分された非振動データは、依然として、プローブ先端の運動方向に垂直な表面電位の変動に関する任意の情報を含まない。その結果、積分および変換されたデータは、走査プローブの運動方向に垂直な表面電位の変動に関する情報を含まなくなり、この方向に有意な表面電位変化がある場合には、得られたデータは正確性に欠ける。表面電位におけるこのタイプの直交変動は、半径方向に走査されたウエハについては一般的であるが、これは、上述のように、表面電位における有意な半径方向変動が、一般的な半導体製造プロセスから生じ得るからである。有意な半径方向変動が存在する場合、積分された非振動式接触電位差画像は、表面電位におけるこの有意な半径方向変動を含まないので、振動式ケルビンプローブ測定と積分された半径方向に走査された非振動式接触電位差のデータの間の相関係数が低くなる。
【発明の概要】
【0013】
本発明に記載されるシステムおよび方法は、表面の迅速なイメージングならびに非振動式(走査)プローブの運動方向および非振動式プローブの運動方向に垂直な方向の両方における表面電位の非均一性の検出を可能にする振動式と非振動式を組み合わせた接触電位差検査システムの拡張された応用例を提供する。この機能は、ラジアル走査システムを使用する非振動式プローブを用いて走査された表面上の半径方向の非均一性の検出に関して、特に有用である。以下、本明細書に記載されるシステムによる検査に対して感受性がある材料を、一般に「ウエハ」と定義する。従来のシリコン単結晶ウエハの評価に関するものなど、好ましい応用例において、異なる処理状態が適用される4つの異なるウエハについて、本明細書では様々な例が記載される。本発明は、振動式接触電位差測定機能および非振動式接触電位差測定機能の両方を含む。振動式接触電位差測定機能は、プローブ先端とウエハ表面上の様々な点の間の絶対的な接触電位差に関するデータを提供し、一方、非振動式接触電位差測定機能は、ウエハ表面全体にわたる接触電位差の変化に関するデータを提供する。この装置は、振動式接触電位差測定および非振動式電位差測定の両方が可能な1つまたは複数のセンサの相関システムと、ウエハを機械的に固定するためのシステムと、ウエハ表面の上方の固定された距離にセンサを位置決めし、センサプローブ先端がウエハ表面と平行に移動するようにプローブ先端とウエハ表面の間の相対運動を発生させるためのシステムと、センサプローブ先端またはウエハ表面のいずれかにバイアス電圧を印加するためのシステムと、ウエハ表面と垂直にセンサプローブ先端を振動させるためのシステムと、ウエハ非均一性を識別および分類するために、1つまたは複数のセンサ出力信号を取得し、それを処理するためのシステムとで構成される。
【0014】
このシステムはさらに、プローブ先端とウエハの間の電位を修正するために、センサプローブ先端またはウエハ表面のいずれかにバイアス電圧を印加する機能を含む。この場合、数式(2)のdC/dt項は、以下の式に示されるようなバイアス電圧を含む。
【数2】
【0015】
数式(3)において、VCPDは、単にプローブ先端とウエハ表面と電気的に接続した結果から生じるプローブ先端とウエハ表面の間の電圧である。この電圧は、表面電位差または接触電位差とよばれ、しばしば、CPDと略される。Vbiasは、ウエハの非均一性の検出および分類を容易にするために、検査システムによってプローブ先端またはウエハに印加される追加の電圧である。走査動作の間、Vbiasが一定である場合には、dVbias/dt=0なので、その後dV/dt項に影響しない。
【0016】
システムはまた、ウエハの1点の上方にセンサを位置決めし、バイアス電圧を調節しながら、ウエハ表面に垂直にセンサを振動させるための機構を含む。ウエハ表面に垂直にプローブ先端を振動させることにより、プローブ先端とウエハ表面の間の静電容量の変化が起こり、その結果、数式(2)および数式(3)におけるVdC/dt項に起因して信号が生じる。この信号は、プローブ先端とウエハ表面の間の接触電位差(V)に比例する。可変のバイアス電圧は、接触電位差に加えられ、プローブ先端およびウエハ表面の間の電圧を修正する。このバイアス電圧を調節し、振動式センサ信号をゼロさせるバイアス電圧が決定される。この電圧は、プローブ先端とウエハ表面の接触電位差の負の値である。バイアス電圧を調節し、振動式プローブからのゼロ信号を生じさせる電圧を決定した後に、このバイアス電圧から接触電位差が算出される。接触電位差を測定するためのこのタイプのシステムは、ケルビンプローブまたはケルビン−ジスマンプローブとして知られている。
【0017】
本発明はまた、振動式接触電位差センサおよび非振動式接触電位差センサの両方により発生したデータに基づいて、様々なタイプの表面非均一性を検出し、それらを区別するために、得られたデータを処理するためのシステムおよび方法を含む。
【0018】
非振動式接触電位差センサは、表面電位の変化の全体のウエハ画像をほんの数分で取得できるように、比較的迅速にデータを取得することができる。振動式接触電位差センサは、プローブ先端とウエハの間の絶対的な接触電位差の測定を提供するが、比較的緩慢である。たとえば、非振動式センサは、1秒あたり100,000個を超えるサンプルを取得できるが、振動式プローブは、1秒あたり、多くても2〜3個のサンプルしか取得できない。複数の高解像度の非振動式接触電位差画像を比較的緩慢な低解像度の振動式センサデータと組み合わせることにより、ウエハ表面全体の絶対的な接触電位差に関するデータを、非振動式センサの速度に匹敵するスピードで取得することができる。
【0019】
ウエハ表面のあらゆる点における実際の接触電位差に対応するように非振動式データを変換するためには、非振動式接触電位差データは、まず、積分される。これを行うための最も単純な方法は、各トラックで取得された第1のサンプルから開始し、そのトラックのそれぞれの後続のサンプルにおける累積和を計算することである。数値積分のその他の方法を同様に使用してもよい。積分データは、トラックに沿った表面電位の変化に比例する。しかしながら、データのそれぞれの積分されたトラックに、スケーリング因子を乗算し、次いで、そのトラックをそれぞれの点における正確な絶対的な接触電位差を取得するために定数でオフセットしなければならない。積分データとそれぞれの点における実際の接触電位差値の間の適当なスケーリング因子(勾配)およびオフセット(積分定数)は分からないが、振動式ケルビンプローブを使用してウエハ表面上の2つ以上の点における実際の接触電位差を測定し、次いで、ケルビンプローブ値を表面上の同じ点における積分された非振動式電位差測定と比較することによって、そのスケーリング因子(勾配)およびオフセット(積分定数)を決定することができる。
【0020】
測定されるウエハが、走査プローブの運動方向に垂直な最小表面電位変動を有する場合、次いで、積分された非振動式接触電位差データを、ウエハ表面全体に関する実際の接触電位差値の一次関数として近似する。数学的アルゴリズムによって複数の振動式電位差測定を整合するために、これらのデータを変換することができる。
【0021】
1つの好ましい実施形態において、振動式測定は、ウエハ全体のいくつかの場所において得られる(2つの場所の最小数)。複数の点における振動式電位差測定をウエハ表面上の同じ点における積分された非振動式データに最もよくフィットさせる一次関数が算出される。これらの一次変換は次いで、積分された非振動式測定の全てに適用される。積分された非振動式測定の得られた線形スケーリングは、ウエハ表面上のそれぞれの場所における接触電位差値の近似値を提供する。しかしながら、得られた画像データは、非振動式プローブの運動方向に垂直な接触電位差変動に関する情報を1つも含まない。得られた一次変換は、スケーリング因子およびオフセットで構成される。オフセットは、ウエハ表面全体の平均の絶対的な接触電位差を表す。スケーリング因子は、積分された非振動式接触電位差センサ値を相対的な表面電位値へと変換する。このスケーリング因子は、非振動式接触電位差データを取得するために使用されるセンサおよび走査パラメータの特徴を表す。このスケーリング因子が特定のセンサおよび走査方法に対して決定されると、前記積分データを相対的な表面電位値へと変換するために、スケーリング因子を同じセンサおよびパラメータを使用して取得される後続の積分された非振動式接触電位差データに適用することができる。この方法によって取得されたスケーリング因子は、以下に記載される方法で使用される。
【0022】
本発明の別の好ましい実施形態では、ウエハは、非振動式接触電位差センサを用いて走査され、得られたデータは積分され、積分データを相対的な表面電位値へと変換するために、そのデータに適当なスケーリング因子が乗算される。スケーリング因子は、上述の方法を使用して決定される。複数の振動式電位差測定は次いで、非振動式センサの運動方向に垂直な直線に沿って得られる。各振動式測定に対応する点におけるスケーリングされ、積分された非振動式接触電位差値は、積分された非振動式測定がその点における振動式接触電位差測定に整合するように、オフセットによって変更される。この同じオフセットは次いで、積分され、スケーリングされた非振動式データの対応するトラックの全てのデータ点に適用される。対応する振動式測定を有さないトラックの場合、振動式測定を含む最も近いトラックについて算出されたオフセットを内挿または外挿することによって、適当なオフセットが計算される。内挿または外挿は、他項適合、スプライン、または、いくつかのその他の適当な従来の数学技法を使用して達成される。代替的な実施形態では、振動式測定は、走査プローブの運動方向に垂直な複数の直線に沿って得られる。それぞれの振動式測定ポイントにおける振動式測定および非振動式測定の間のオフセットが計算される。2つ以上の振動式測定が、非振動式データにおける同じトラックに対応する場合、次いで、振動式測定に対応するトラック上のそれぞれの点におけるオフセットが算出され、次いで、そのオフセットを、そのトラック全体について使用されるべき単一のオフセットを算出するために、統計学的に組み合わせる。たとえば、トラックのオフセットを、個々の点のオフセットの平均またはメジアンとして算出することができる。従前のように、対応する振動式測定を有さないトラックは、近くのトラックに関する算出されたオフセットを内挿または外挿することによって決定されたオフセットを与えられる。複数の測定が、直線内に配置されなければならないウエハ上の様々な場所において得られる場合には、これらの最後の2つの実施形態を両方とも使用することができる。
【0023】
代替的な実施形態において、ウエハは、データのトラックを生成するために非振動式接触電位差センサを用いて走査され、トラックのこの第1のセットは積分され、積分データを相対的な表面電位値に変換するために、適当なスケーリング因子で乗算される。スケーリング因子は、上述の方法を使用して決定される。非振動式接触電位差センサはまた、第1の走査動作中に、運動方向に垂直にセンサを移動させることによって、データの1つまたは複数のトラックを取得するために使用される。また、この第2の走査された1つまたは複数のトラックは、前記積分データを相対的な表面電位値に変換するために、積分およびスケーリングされる。1つまたは複数の振動式電位差測定は次いで、トラックの第2のセットのそれぞれの上で行われる。オフセットは、振動式電位差測定とトラックの第2のセットの対応する点の間で算出され、得られたオフセットは次いで、トラックの第2のセットのそれぞれの全ての点に適用される。この操作の結果、トラックの第2のセットは、各トラックに沿った実際の接触電位差値を表す。次いで、トラックのこの第2のセット上の値とトラックの第1のセット上の対応する点の間の差が算出される。これらの差は、トラックの第1のセットのそれぞれのトラックに関するオフセットを算出するために使用される。第1のセットの各トラックについて算出されたオフセットは、そのトラックの全ての点に適用される。この場合、振動式電位差測定は、トラックの第2のセットデータを絶対的な接触電位差値に変形するために使用される。これらの絶対的な接触電位差値は次いで、トラックの第1のセットに関するオフセットを算出するために使用される。この方法では、第1のセットの多数のトラックが、第2のセットのより少数のトラックに関して算出された接触電位差値を使用して較正される。非振動式センサをトラックの第1のセットを取得するために使用された走査の方法に垂直な方向に移動させることによって、トラックの第2のセットが取得される。トラックの第2のセットは、1つまたは複数の振動式電位差測定を使用して較正される。一実施形態では、トラックの第2のセットは、単一の振動式電位差測定を使用して較正される単一のトラックで構成される。
【0024】
別の好ましい実施形態では、非振動式接触電位差センサは、データの同心のトラックを形成するために、半径方向に走査される。各トラックは積分され、各トラックに沿った相対的な接触電位差値に変換するために、適当なスケーリング因子で乗算される。次いで、ウエハの半径に沿って、離散点振動式測定が行われる。各振動式測定と対応する積分されスケーリングされた非振動式データ点の間の差が算出され、その点を含む円形トラック全体に適用される。振動式測定に対応しないトラックに関するオフセットは、振動式測定に対応する2つ以上の最も近いトラックのオフセットを内挿または外挿することによって算出される。この方法は、各トラックに関する一意のオフセットを算出する。オフセットは、振動式電位差測定によって決定されるような半径方向における接触電位差の変動に関する情報を提供する。帯電または半径を変更させるその他の表面効果が存在する場合には、計算されたオフセットは、それぞれのトラックについて異なるものとなる。たとえば、単一のウエハの清浄およびプラズマ処理走査によって引き起こされる誘電体帯電は、半径方向の表面電位パターンを表すことが多い。このタイプの帯電は、結果として異なるトラック半径については異なるオフセットとなり、このタイプの帯電を、得られた積分され、スケーリングされ、かつ、変形された画像で検出および測定することができる。
【0025】
別の好ましい実施形態では、ウエハ表面は、非振動式接触電位差センサを用いて半径方向に走査され、得られたデータは積分され、相対的な表面電位値に変換するためにスケーリングされる。振動式接触電位差センサ測定は次いで、複数の測定を同じ半径で得ることができるウエハ表面上のいくつかの異なる場所で行われる。複数の振動式電位差測定が同じトラックで行われる場合、そのトラックに関するオフセットは、平均またはメジアンのような統計値を使用して、複数のオフセットから算出される。従前のように、単一のオフセット値が、振動式電位差測定に対応するそれぞれの半径方向トラックについて計算された後に、振動式測定を含まないトラックに関するオフセットを算出するために、得られたオフセット値が内挿または外挿される。オフセットを積分およびスケーリングされた非振動式接触電位差センサ画像の各トラックに適用することにより得られる画像は、走査される表面のそれぞれの点における接触電位差を表し、表面電位または接触電位差の半径方向変動に関する情報を含む。
【0026】
本発明に関するこれらのまたはその他の目的、利点および特徴は、その構成および動作様式とともに、添付図面と併せて読むと、以下の詳細な説明により明らかになろう。図面中、同様の要素は、記載されたいくつかの図面にわたって同様の参照符号を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ウエハを固定し回転させるためのシステムと、ウエハの上方にセンサを位置決めするためのシステムと、接触電位差センサと、ウエハ表面と垂直に接触電位差センサを振動させるためのシステムと、センサからのデータを処理するためのコンポーネントを有するウエハ検査システムの図である。
【図2】ラジアル走査システムの動作を示す図である。
【図3】非振動式接触電位差センサを用いて、図2に示されるように、ウエハを半径方向に走査することによって生成されるサンプル画像を示す図である。
【図4A】本発明の包括的な方法の機能ブロックのフロー図を示す。
【図4B】本発明の代替的な方法を示す。
【図4C(i)】本発明の好ましい実施形態を示す。
【図4C(ii)】本発明の好ましい実施形態を示す。
【図5】非振動式接触電位差センサを用いてウエハを半径方向に走査することによって生成される画像を示し、次いで、その画像の選択された特定の場所で振動式ケルビンプローブ測定が実行される。
【図6】図5に示された同一のウエハ画像の振動式ケルビンプローブ測定に対する最小二乗誤差直線フィットの積分および算出後の画像を示し、その画像は、積分され走査された値を絶対的な接触電位差値に変換する一次変換について算出された勾配値およびオフセット値を示す。
【図7】第1のウエハの非振動式接触電位差走査された画像を、ウエハの直径に沿った複数のデータポイントで識別された振動式ケルビンプローブ測定とともに示す。
【図8】積分およびスケーリングの後の図7からの画像(接触式プローブ測定は全く含まれない)を示し、表面電位または仕事関数の最小の半径方向変動がこの画像から分かる。
【図9】トラック上または近くのトラック上で行われた振動式ケルビンプローブ測定に基づいて、オフセットが算出され、そのオフセットを各トラックに適用するように、振動式ケルビンプローブ測定に基づいて各トラックをオフセットした後の、図7からの画像を示す。
【図10】図8のウエハ画像データについて、1つの半径に沿って得られた画像値から得られる一次グラフを示す。
【図11】図9に示されたウエハ画像データ内の半径に沿った画像値から得られる一次グラフを示す。
【図12】積分およびスケーリング後の2のウエハの非振動式接触電位差走査された画像(接触式プローブ測定は全くない)を示し、表面電位または仕事関数の最小の半径方向変動がこの画像から分かる。
【図13】各トラック上でまたは近くのトラック上で行われた振動式ケルビンプローブ測定に基づいて、オフセットを算出し、そのオフセットを各トラックに適用するように、振動式ケルビンプローブ測定に基づいて各トラックをオフセットした後の、図12からの画像を示す。
【図14】図12の半径に沿って得られた画像値の一次グラフを示す。
【図15】図13の画像に関する半径に沿って得られた画像値の一次グラフを示す。
【図16】積分およびスケーリング後の第3のウエハの非振動式接触電位差走査された画像(接触式プローブ測定は全くない)を示し、表面電位または仕事関数の最小の半径方向変動がこの画像から分かる。
【図17】各トラック上でまたは近くのトラック上で行われた振動式ケルビンプローブ測定に基づいて、オフセットを算出し、そのオフセットを各トラックに適用するように、振動式ケルビンプローブ測定に基づいて各トラックをオフセットした後の、図16からのサンプル画像を示す。
【図18】図16の画像データの半径に沿って得られた画像値の一次グラフを示す。
【図19】図17の半径に沿って得られた画像値の一次グラフを示し、最大半径方向変動が示される。
【図20】第4のサンプルウエハの非振動式接触電位差走査された画像を、ウエハの直径に沿ったデータポイントにおいて識別された振動式ケルビンプローブ測定をともに示す。
【図21】積分およびスケーリング後の図20の画像(接触式プローブ測定は全く含まれない)を示し、表面電位または仕事関数の最小の半径方向変動がこの画像から分かる。
【図22】各トラック上でまたは近くのトラック上で行われた振動式ケルビンプローブ測定に基づいて、オフセットを算出し、各トラックに適用するように、振動式ケルビンプローブ測定に基づいて各トラックをオフセットした後の、図20からの画像を示す。
【図23】図21の画像データの1つの半径に沿った画像値からの一次グラフを示す。
【図24】図22に示されたウエハ画像データに関する半径に沿った画像値から得られる画像値の一次グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
1つの好ましい実施形態によると、ラジアル走査装置100が図1に示される。装置100は、接触電位差センサ101と、ウエハ105を機械的に固定し、プローブ先端102がウエハ表面106と平行に移動するようにプローブ先端102とウエハ表面106の間の相対運動を発生させるために、ウエハ105をスピンさせるためのシステム103と、センサ101をウエハ表面106の上方の規定された距離に位置決めするためのシステム107と、ウエハ表面と垂直にプローブ先端を振動させるためのシステム104と、ウエハ105の非均一性を識別および分類するために、センサ101から出力信号を取得し、それを処理するためのシステム110とで構成される。この好ましい実施形態では、接触電位差センサ101を非振動式接触電位差センサとして動作させて、ウエハ表面106を走査し、ウエハ表面106全体にわたる接触電位差の変化に関するデータを発生させることができ、あるいは、接触電位差センサ101を振動式接触電位差センサとして動作させて、センサプローブ先端102とウエハ表面106上の1つまたは複数の点との間の絶対的な接触電位差の測定値を発生させることができる。代替的な実施形態では、2つ以上の異なるセンサを、非振動式測定および振動式測定のために使用してもよい。
【0029】
1つの好ましい実施形態では、半導体ウエハ105は、導電性のウエハ固定具103上に配置される。これは、手動で、または、限定的ではないがウエハハンドリングロボットなどの自動プロセスを使用して行うことができる。ウエハ105は、吸引機を使用することなどによって、定位置に保持される。ウエハ105を保持する代替的な方法としては、静電力およびエッジグリッピングが含まれるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、固定具103は、スピンドルに装着され、このスピンドルの中心を中心としてウエハ105を回転させることができる。非振動式接触電位差センサ101は、位置決めシステム107に取り付けられるが、このシステム107は、ウエハ表面106の上のセンサ101の高さを調節でき、かつ、少なくともウエハ105の中心からウエハ105の1つのエッジへと半径方向にセンサ101を移動させることができる。接触電位差センサ101は、導電性のウエハ固定具103を介して、ウエハ表面106に電気的に接続される。一実施形態では、接触電位差センサプローブ先端102の高さに較正された高さセンサ109を、接触電位差センサ101として同一の位置決めシステム107上に装着することもできる。
【0030】
ウエハ表面106に垂直に接触電位差センサ101を振動させるためのシステム104は、接触電位差センサ101に取り付けられる。このシステム104は、プローブ先端102とウエハ表面106の間の接触電位差の振動式ケルビンプローブ測定を行うために使用される。
【0031】
ウエハ105が固定具103に固定された後、高さセンサ111は、ウエハ表面106上の1つまたは複数の点の上方に位置決めされ、ウエハ表面106の高さが、適当と思われる時に測定される。これらのウエハ高さ測定を使用して、プローブ先端102とウエハ表面106の間に所望の距離を生成することになる接触電位差センサ101の位置が算出される。この情報を使用して、ウエハ表面の上方の規定された高さに、プローブ先端102が位置決めされる。プローブ先端102は次いで、位置決めシステム107を使用して、ウエハ105の外側エッジの上方の1点おいて所望の高さまで移動される。
【0032】
たとえば図1に示されるように、プローブ101は固定して保持され、ウエハ105はウエハ固定具103上で回転し、それにより、プローブ先端102は、ウエハ105の中心を中心とする円形経路に沿って、ウエハ105と相対的に移動する。ウエハ105が一回転する間にデータが取得される。この場合、プローブ101は、非振動式接触電位差感知モードで動作しており、ウエハ105の表面全体にわたる接触電位差の変化を表すデータを発生させる。次いでセンサ101を、ウエハ105の半径に沿ってウエハの中心に向かって、プログラム可能な距離だけ移動させる。もう1回転のデータは、この新たな半径で取得される。プローブ先端102は、プローブがウエハ105の中心に到達するまで、ウエハ105の複数の同心の円形領域を1つずつ進み、それらを走査し続ける。得られたデータは次いで、たとえば図3に示されるように、ウエハ105の画像中に統合される。代替的には、ウエハ105のそれぞれ同心の円形領域を複数回走査してもよく、得られたデータを平均化して、ランダムノイズの影響を低減させることもできる。一実施形態では、この画像を処理し、非均一性を識別および分類するこの処理は、多くの形態をとることができる。
【0033】
微分センサデータを積分して、それぞれ異なる表面電位値を有する複数の領域を表す画像を発生させる。積分は、微分データの各トラックにおける値の逐次和を算出することによって実行される。次いで、積分されたトラックデータにスケーリング因子を乗算して、積分データを近似する相対的な接触電位値に変換する。このスケーリング因子は、ウエハ表面上の同じ点において複数の振動式ケルビンプローブ測定と積分された非振動式接触電位差のデータ値の間で最小二乗線形フィットを実行することによって、特定の走査方法について算出される。スケーリング因子が特定の走査センサおよび方法について算出されると、そのスケーリング因子を後続のウエハ上で求められた積分された非振動式接触電位差のデータに適用して、データを相対的な表面電位値に変換する。スケーリング因子を算出および適用するためのさらなる方法が存在する。たとえば、まずテストまたは較正ウエハを使用して、スケーリング因子を算出し、次いで全ての後続のウエハにそのスケーリング因子を適用することができ、あるいは、積分された非振動式接触電位差のデータおよびウエハの表面上の振動式ケルビンプローブ測定のいくつかのセットを使用して、各ウエハの検査中にスケーリング因子を算出することができる。
【0034】
図4A〜図4Cのフローチャートによって示された好ましい一実施形態において、複数の振動式ケルビンプローブ測定は、ウエハの中心から異なる半径で得られる。各振動式ケルビンプローブ測定について、同じ点のおける振動式ケルビンプローブ値と積分およびスケーリングされた非振動式接触電位差データの値の間の差が算出される。この差つまりオフセットは、次いで、その積分およびスケーリングされたデータの特定の円形トラック内のそれぞれの点に加算される。2つ以上の振動式ケルビンプローブの点が同じトラック上にある場合、そのトラックのオフセットは、その特定のトラック上にある振動式ケルビンプローブ測定の全てに関する全オフセットの平均またはメジアンとして算出される。トラックが振動式ケルビンプローブ測定を1つも含まない場合には、そのトラックに関するオフセットは、トラックのどちらかの側にある2つ以上の最も近接するトラックに関するオフセット値を内挿することによって算出される。振動式ケルビンプローブ測定を有する2つのトラックの間にないトラックが場合には、そのトラックに関するオフセットは、振動式ケルビンプローブ測定を有する2つ以上の最も近接するトラックに関するオフセットを外挿することによって算出される。この方法を使用して、オフセットが算出され、積分およびスケーリングされたデータのそれぞれの円形トラックにそのオフセットが適用される。得られた画像は、走査された表面全体に関する接触電位差値を表す。この画像は、接触電位差における半径方向変動を含むが、これは、異なる半径における振動式ケルビンプローブ測定から算出されたオフセットの結果として、これらの半径差を表すトラックオフセットが生じるからである。
【0035】
図2は、本発明の1つの好ましい実施形態のラジアル走査方法に関する図を示す。接触電位差センサプローブ先端102は、ウエハ105のエッジの近くにある点「A」に位置決めされる。ウエハ105をウエハ固定具103上で回転させ、データの円形トラックが走査される。プローブ先端102を、ウエハ105の中心に向かって点「B」までプログラム可能な距離だけ移動させ、データの第2の円形トラックのデータが走査される。プローブ先端102がウエハ105の中心に到達するまで、このプロセスが繰り返される。得られたデータを組み合わせて、ウエハ表面106全体にわたる接触電位差の変化を表す画像を生成する。この場合、センサは、非振動式接触電位差センサとして操作される。この走査方法を使用して取得されたサンプルウエハの画像が図3に示される(このサンプルまたはその他のサンプルは、既製品の、市販のグレードのシリコン単結晶ウエハである)。明るい領域および暗い領域は、ウエハの表面上の材料変化に起因する接触電位差の増減を表す。
【0036】
微分非振動式接触電位差センサ信号を積分およびスケーリングして、相対的な表面電位を表す信号を生成することができる。図5および図6は、積分および走査されたデータを相対的な表面電位値へと変換するための適当なスケーリング因子を算出するプロセスを示す。図5は、非振動式接触電位差センサを用いてウエハを走査することによって生成された微分データを示す。図5はまた、振動式接触電位差測定の場所および値も示すこれらの振動式接触電位差測定は、ミリボルトの単位である。図6は、図5の画像を積分することによって生じる画像を示す。この画像は、相対的な表面電位の領域を示す。図6はまた、同じ点のおける振動式接触電位差値と積分された非振動式接触電位差のデータの間の最小二乗フィットを算出した結果も示す。後続の画像に適用することができるスケーリング因子が算出される。このスケーリング因子は、8.997816e−2、つまり約0.09の勾配として示される。積分された非振動式接触電位差測定および振動式接触電位差測定の相関係数も、画像上に示される。この場合、相関係数は0.984であり、2つのセットのデータの間の良好なフィットを示す。
【0037】
図7は、第1のウエハ105の微分非振動式接触電位差画像を、半径方向の振動式接触電位差測定の場所および結果とともに示す。図7〜図19のウエハサンプルはまず、表面上に約1000オングストロームの厚い熱酸化コーティングを形成することによって、調整された。ウエハは次いで、回転させながら、ウエハの中心に適用される脱イオン水を用いて清浄され、濯がれた。この特定のウエハは、第1の従来のシステムツールおよび第1のタイプの脱イオン水伝導を使用して、所与のスピン速度および温度上昇/下降率で処理された。図8は、積分およびスケーリング後の図7の画像を示す。図8は、相対的な接触電位差値を示すデータを示すが、接触電位差の半径方向変動に関する情報は1つも含まれない。図9は、個々のトラックのオフセットが算出され、画像データが同じ点における振動式接触電位差のデータと適宜整合するように積分およびスケーリングされた接触電位差データに適用された後の、図8と同じウエハ画像を示す。これらのステップが完了すると、プロットおよび/または分析することができる信頼できる接触電位差値を決定ために、ウエハ105の任意の半径において測定が実行される。積分され、スケーリングされ、かつオフセットされたこれらのデータは、接触電位差における最大半径方向変動を示すが、この変動は図7および図8に示された微分画像または積分画像では明らかではない。
【0038】
図10は、図8に示された画像の1つの半径に沿った画像値のグラフを示す。このグラフには、明らかな最大半径方向変動は全くない。図11は、図9に示された画像の同じ半径に沿った画像値のグラフを示す。この場合、実質的な半径方向変動は、信号において明らかである。本発明を使用すると、全ての点におけるプローブ先端とウエハ表面の間の接触電位差を表し、非振動データのみからでは取得できない接触電位差の半径方向変動に関する情報を含むウエハ画像が提供される。
【0039】
図12は、非振動式接触電位差プローブを使用してラジアル走査が行われた第2のウエハ105の積分画像の別の例である。このウエハには、使用された従来のツールが異なるものであり、異なる水状態(主に導電率が異なる)およびツールスピン状態であることを除いて、図7のウエハと同じ一般的な処理が施された。図13は、積分およびスケーリング操作の後の、図12のウエハからのサンプル画像を示すが、前述の振動プローブ測定を使用している。第2のウエハ105の任意の半径に沿った接触電位差値を決定するために、第1のウエハ105に対して行われたように、詳細な測定および分析が再度ここで実行される。
【0040】
図14は、最小の半径方向変動を示す図12の例示的な半径に沿った画像値の一次グラフを示す。少量の半径方向変動がウエハのエッジの近くで明らかであるが、これは、ウエハのエッジの近くの積分プロセスおよび大きな信号値のアーチファクトであり、表面電位における半径方向変動を正確に表すものではない。図15は、図14と同様の一次グラフを示し、図13の半径に沿った画像値に関するものではないが、大幅で実質的かつ正確な半径方向変動を示すものである。
【0041】
図16は、非振動型接触電位差プローブを使用してラジアル走査が行われた第3のウエハ105の積分画像の第3の例である。さらに再び、異なる標準的なツール、異なる水状態および異なるスピン状態を使用してそのウエハを処理した。図17は、積分およびスケーリング操作の後の図16のウエハからのサンプル画像を示すが、上述の振動プローブ測定を使用している。
【0042】
図18は、異なるエッジ部分を除いて最小の半径方向変動を示す図16の例示的な半径に沿った画像値の一次グラフを示す。図19は、実質的な半径方向変動を示す図17の半径に沿った画像値の同様の一次グラフを示す。
【0043】
図20は、第4のサンプルウエハ105の微分非振動式接触電位差画像を、半径方向の振動式接触電位差測定の場所および結果とともに示す(第4のウエハ105の直径にわたって付されたデータ値を参照されたい)。図21は、相対的な接触電位差値を表すデータを示すが、接触電位差半径方向変動に関する情報は1つも含まれない。図22は、画像データが同じ点において振動式接触電位差のデータとおおよそ整合するように、個々のトラックオフセットが算出され、そのオフセットを積分およびスケーリングされた非振動式接触電位差のデータに適用した後の、図21と同じウエハ画像を示す。積分され、スケーリングされ、オフセットされたデータは、図20および図21に示された積分画像または積分画像において明らかでない接触電位差における有意な半径方向変動を示す。さらに再び、これらのステップを実行した後に、第4のウエハ105の任意の半径に沿って、接触電位差値を識別し、プロットし、および/または分析することができる。図20〜図24のウエハには、図7〜図19のその他のウエハとは異なる清浄プロセスを施されていることに留意されたい。脱イオン水を用いてウエハを1回清浄し、濯ぐのではなく、ウエハは、従来のよく知られるプラズマ処理方法によって清浄された。
【0044】
図23は、図21の例示的な半径に沿った画像値の一次グラフを示し、本方法の通常のアーチファクトである異なるエッジ部分を除いて、最小の半径方向変動を示す。図24は、図22の半径に沿った画像値の一次グラフを示し、実質的な半径方向変動を示す。
【0045】
本発明の方法は、表面的には「同じ」方法を用いて半導体ウエハを「清浄する」あるいは処理することについて、境界内で起こり得る劇的な効果をはっきりと示す。脱イオン水を用いた清浄および濯ぎの基本的な方法は、複数の異なる従来の清浄ツールによって実施することができるが、このような清浄ツールには、ウエハの中心に脱イオン水を与え、ウエハを支持するツールのスピン速度を上昇させて、ウエハ全体に脱イオン水を分散させ、それによってウエハを清浄し、次いで、指示ツールのスピン速度を低下させる方法が含まれる。本発明の検査および分析方法により、複数の異なる望ましくない清浄パラメトリック品質状態および望ましい清浄パラメトリック品質状態を識別できるように、得られた「清浄された」ウエハの品質に関する広範囲の特徴的な違いの識別が可能になった。たとえば、特定の清浄ツールおよび/または脱イオン水のタイプ(導電性など)が与えられる場合、所望の清浄なウエハ表面を達成するように、処理条件を予め選択することができる。さらに、所望のウエハ品質結果を達成するように、支持ツール自体の操作条件を最適化したり、変更したり、あるいは予め選択したりすることができる。したがって、本発明の方法の感度により、ウエハ表面の高度に具体的に特徴づけることができるようになり、さらなる処理のために、所望の最終製品ウエハを製造するための経路を高度に効率的にし、それによって、所望のおよび/または最高の品質に確実にし、また、歩留まりが大幅に改良される。この方法はまた、半導体ウエハのような材料に関する予め定義された表面品質を確実に生成するために使用できる相関データの累積を可能にするために、任意のタイプの化学的または物理的処理の特徴付けを可能にする。
【0046】
上述の諸実施形態と同じ結果をもたらす多くの代替的な機械的構造および走査動作が存在する。たとえば、接触電位差センサ101、高さセンサ109およびセンサを振動させるためのシステム104は全て、固定された場所に装着することができ、ウエハ105を、これらの固定された要素の下で移動および回転させることができる。1つ半径から次の半径まで1つずつ進む代わりに、ウエハ105の表面全体にわたってらせん状になる連続するデータストリームを生成するためにウエハ105がスピンしている間に、ウエハ105の半径に沿って連続的に接触電位差センサ101を移動させることができる。また、上述のラジアル走査動作の代わりに、ウエハ表面106全体を走査するために、非振動式接触電位差センサ101を前後にウエハ105全体にわたって線形に移動させることができ、あるいは、回転の中心がウエハ105の中心でない場合には、ウエハ105を回転装置の上に設置することができる。また、複数の測定値を同時に取得して、ウエハを測定するために必要とされる時間を低減させるために、複数の非振動式接触電位差センサおよび振動式接触電位差センサを使用することができる。それに加えて、当業者には理解されるように、記載された様々な方法のステップのうちいくつかは、容易に交換することができる。たとえば、全ての走査された振動式CPDデータは、積分およびスケーリングなどの任意の後続のデータ処理の前に収集することができる。また、ウエハ表面の高さは、各振動式CPD測定の前に、測定することができる。
【0047】
本発明は、誘電体帯電を含む表面およびサブ表面の非均一性を検出するために、振動式接触電位差センサおよび非振動式接触電位差センサの両方を使用する拡張された検査システムと、ウエハ上の全ての点における接触電位差を正確に定量化し表示するために、センサからのデータを処理するためのシステムとを提供する。本発明は、半導体または半導体ウエハの検査に限定されるものではなく、さまざまな表面で使用することができる。
【0048】
本発明の諸実施形態の前出の記載は、例示および説明を目的として提示されたものである。本発明を網羅する、または、本発明を開示された詳細な形態に限定することを意図するものでなく、修正形態および変形形態が、上述の教示に照らして可能であり、あるいは、本発明の実施から修正形態および変形形態を取得することができる。本発明の原理およびその実務的な適用形態を説明して、当業者が、企図された特定の使用に適合するよう様々な修正形態とともに、様々な諸実施形態で本発明を利用できるようにするために、諸実施形態を選択し、記載した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の表面の特性を特徴づけるために、当該表面の接触電位差を決定する方法であって、
材料の表面を提供するステップと、
センサプローブ先端を有する接触電位差センサを提供するステップと、
前記表面および接触電位差センサを互いに対して相対的に走査するステップと、
前記センサプローブ先端が、前記材料の前記表面に対して水平に走査する際に、前記センサプローブ先端と前記材料の前記表面の間の接触電位差の変化を表す水平に走査されたセンサデータを発生させるステップと、
相対的な接触電位差値を提供するために、前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップと、
前記水平に走査された表面の絶対的な接触電位差の少なくとも1つの測定を行うために、振動式接触電位差センサを使用するステップと、
前記相対的な接触電位値に加えられるオフセットを算出して、前記センサプローブ先端と前記水平に走査された表面の全ての点の間の前記接触電位差を表す特徴的なデータを発生させ、それにより、前記材料の前記表面の特性を特徴づけるために、前記絶対的な接触電位差データを使用するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップが、積分データを生成するために、前記水平に走査されたセンサデータを積分するステップを含む、請求項1に記載される方法。
【請求項3】
前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップが、前記水平に走査されたセンサデータを前記相対的な接触電位差値に変換するために、前記積分データにスケーリング因子を乗算するステップを含む、請求項2に記載される方法。
【請求項4】
前記水平方向の走査動作を、前記ウエハを回転させることによって発生させる、請求項1に記載される方法。
【請求項5】
前記水平に走査されたセンサデータが、同心の円形トラックデータとして提供される、請求項1に記載される方法。
【請求項6】
振動式接触電位差測定を行うステップが、複数の異なるトラックに関するデータを累積するステップを含む、請求項1に記載される方法。
【請求項7】
走査中に、前記プローブ先端の移動方向に垂直な表面接触電位差における変動を決定するために、前記特徴的なデータを分析するステップをさらに含む、請求項1に記載される方法。
【請求項8】
前記材料の前記表面に複数の異なる処理を施すステップと、前記異なる処理のそれぞれに関連付けられる相関データを累積して、前記材料に関する予め定義された表面品質を生成できるようにするために、前記材料の前記表面を特徴づけるステップとをさらに含む、請求項1に記載される方法。
【請求項9】
前記相関データはさらに、複数のタイプの前記予め定義された表面品質を有する前記材料の生産を予めプログラムするために使用される、請求項8に記載される方法。
【請求項10】
前記異なる処理が、清浄プロセス、化学処理プロセスおよび物理処理プロセスの群から選択される、請求項8に記載される方法。
【請求項11】
前記清浄プロセスが、脱イオン洗浄を適用することによって、および、プラズマ処理ステップを適応することによって、清浄するステップの群から選択される、請求項10に記載される方法。
【請求項12】
材料の表面の特性を特徴づけるために、当該表面の接触電位差を決定する方法であって、
材料の表面を提供するステップと、
センサプローブ先端を有する接触電位差センサを提供するステップと、
前記表面および接触電位差センサを互いに対して相対的に走査するステップと、
前記センサプローブ先端が、前記材料の前記表面に対して水平に走査する際に、前記センサプローブ先端と前記材料の前記表面の間の接触電位差の変化を表す水平に走査されたセンサデータの第1のセットを発生させるステップと、
前記材料の前記表面全体にわたる接触電位差の変化を表す水平に走査されたセンサデータの第2のセットを発生させるステップであって、前記センサデータの第1のセットを水平に走査する方向に垂直に前記接触電位差センサを移動させることによって、前記センサデータの第2のセットを発生させるステップと、
相対的な接触電位差値を決定するために、前記センサデータの第1および第2のセットを処理するステップと、
振動式接触電位差センサを使用して、前記水平に走査された表面の絶対的な接触電位差の少なくとも1つの測定を行うために、振動式接触電位差センサを使用するステップと、
前記積分され、スケーリングされた非振動式相対的な接触電位差データ値に加えられるオフセットを算出して、前記センサプローブ先端と前記水平に走査された表面の全ての点の間の前記接触電位差を表す特徴的なデータを発生させ、それにより、前記材料の前記表面の特性を特徴づけるために、前記絶対的な接触電位差データを使用するステップと、を含む方法。
【請求項13】
前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップが、積分データを生成するために、前記水平に走査されたセンサデータを積分するステップを含む、請求項12に記載される方法。
【請求項14】
前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップが、前記水平に走査されたセンサデータを前記相対的な接触電位差値に変換するために、前記積分データにスケーリング因子を乗算するステップを含む、請求項12に記載される方法。
【請求項15】
電子コンポーネント内で使用するために調整された半導体ウエハであって、前記処理方法のうち少なくとも1つが、
表面を有する半導体ウエハを提供するステップと、
センサプローブ先端を有する接触電位差センサを提供するステップと、
前記半導体ウエハの前記表面および接触電位差センサを互いに対して相対的に走査するステップと、
前記センサプローブ先端が、前記半導体ウエハの前記表面に対して水平に走査する際に、前記センサプローブ先端と前記半導体ウエハの前記表面の間の接触電位差の変化を表す水平に走査されたセンサデータを発生させるステップと、
相対的な接触電位差値を提供するための、前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップと、
前記水平に走査された表面の前記絶対的な接触電位差の少なくとも1つの測定を行うために、振動式接触電位差センサを使用するステップと、
前記相対的な接触電位値に加えられるオフセットを算出して、前記センサプローブ先端と前記水平に走査された表面の全ての点の間の前記接触電位差を表す特徴的なデータを発生させ、それにより、前記半導体ウエハの前記表面の特性を特徴づけるために、前記絶対的な接触電位差データを使用するステップと、を含む方法。
【請求項16】
前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップが、積分データを生成するために、前記水平に走査されたセンサデータを積分するステップを含む、請求項15に記載される方法。
【請求項17】
前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップが、前記水平に走査されたセンサデータを前記相対的な接触電位差値に変換するために、前記積分データにスケーリング因子を乗算するステップを含む、請求項16に記載される方法。
【請求項18】
走査中に、前記プローブ先端の移動方向に垂直な表面接触電位差における変動を決定するために、前記特徴的なデータを分析するステップをさらに含む、請求項15に記載される方法。
【請求項19】
前記半導体ウエハの前記表面に複数の異なる処理を施すステップと、前記異なる処理のそれぞれに関連付けられる相関データを累積して、前記半導体ウエハに関する予め定義された表面品質を生成できるようにするために、前記材料の前記表面を特徴づけるステップとをさらに含む、請求項15に記載される方法。
【請求項20】
前記相関データはさらに、複数のタイプの前記予め定義された表面品質を有する前記半導体ウエハの生産を予めプログラムするために使用される、請求項19に記載される方法。
【請求項1】
材料の表面の特性を特徴づけるために、当該表面の接触電位差を決定する方法であって、
材料の表面を提供するステップと、
センサプローブ先端を有する接触電位差センサを提供するステップと、
前記表面および接触電位差センサを互いに対して相対的に走査するステップと、
前記センサプローブ先端が、前記材料の前記表面に対して水平に走査する際に、前記センサプローブ先端と前記材料の前記表面の間の接触電位差の変化を表す水平に走査されたセンサデータを発生させるステップと、
相対的な接触電位差値を提供するために、前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップと、
前記水平に走査された表面の絶対的な接触電位差の少なくとも1つの測定を行うために、振動式接触電位差センサを使用するステップと、
前記相対的な接触電位値に加えられるオフセットを算出して、前記センサプローブ先端と前記水平に走査された表面の全ての点の間の前記接触電位差を表す特徴的なデータを発生させ、それにより、前記材料の前記表面の特性を特徴づけるために、前記絶対的な接触電位差データを使用するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップが、積分データを生成するために、前記水平に走査されたセンサデータを積分するステップを含む、請求項1に記載される方法。
【請求項3】
前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップが、前記水平に走査されたセンサデータを前記相対的な接触電位差値に変換するために、前記積分データにスケーリング因子を乗算するステップを含む、請求項2に記載される方法。
【請求項4】
前記水平方向の走査動作を、前記ウエハを回転させることによって発生させる、請求項1に記載される方法。
【請求項5】
前記水平に走査されたセンサデータが、同心の円形トラックデータとして提供される、請求項1に記載される方法。
【請求項6】
振動式接触電位差測定を行うステップが、複数の異なるトラックに関するデータを累積するステップを含む、請求項1に記載される方法。
【請求項7】
走査中に、前記プローブ先端の移動方向に垂直な表面接触電位差における変動を決定するために、前記特徴的なデータを分析するステップをさらに含む、請求項1に記載される方法。
【請求項8】
前記材料の前記表面に複数の異なる処理を施すステップと、前記異なる処理のそれぞれに関連付けられる相関データを累積して、前記材料に関する予め定義された表面品質を生成できるようにするために、前記材料の前記表面を特徴づけるステップとをさらに含む、請求項1に記載される方法。
【請求項9】
前記相関データはさらに、複数のタイプの前記予め定義された表面品質を有する前記材料の生産を予めプログラムするために使用される、請求項8に記載される方法。
【請求項10】
前記異なる処理が、清浄プロセス、化学処理プロセスおよび物理処理プロセスの群から選択される、請求項8に記載される方法。
【請求項11】
前記清浄プロセスが、脱イオン洗浄を適用することによって、および、プラズマ処理ステップを適応することによって、清浄するステップの群から選択される、請求項10に記載される方法。
【請求項12】
材料の表面の特性を特徴づけるために、当該表面の接触電位差を決定する方法であって、
材料の表面を提供するステップと、
センサプローブ先端を有する接触電位差センサを提供するステップと、
前記表面および接触電位差センサを互いに対して相対的に走査するステップと、
前記センサプローブ先端が、前記材料の前記表面に対して水平に走査する際に、前記センサプローブ先端と前記材料の前記表面の間の接触電位差の変化を表す水平に走査されたセンサデータの第1のセットを発生させるステップと、
前記材料の前記表面全体にわたる接触電位差の変化を表す水平に走査されたセンサデータの第2のセットを発生させるステップであって、前記センサデータの第1のセットを水平に走査する方向に垂直に前記接触電位差センサを移動させることによって、前記センサデータの第2のセットを発生させるステップと、
相対的な接触電位差値を決定するために、前記センサデータの第1および第2のセットを処理するステップと、
振動式接触電位差センサを使用して、前記水平に走査された表面の絶対的な接触電位差の少なくとも1つの測定を行うために、振動式接触電位差センサを使用するステップと、
前記積分され、スケーリングされた非振動式相対的な接触電位差データ値に加えられるオフセットを算出して、前記センサプローブ先端と前記水平に走査された表面の全ての点の間の前記接触電位差を表す特徴的なデータを発生させ、それにより、前記材料の前記表面の特性を特徴づけるために、前記絶対的な接触電位差データを使用するステップと、を含む方法。
【請求項13】
前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップが、積分データを生成するために、前記水平に走査されたセンサデータを積分するステップを含む、請求項12に記載される方法。
【請求項14】
前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップが、前記水平に走査されたセンサデータを前記相対的な接触電位差値に変換するために、前記積分データにスケーリング因子を乗算するステップを含む、請求項12に記載される方法。
【請求項15】
電子コンポーネント内で使用するために調整された半導体ウエハであって、前記処理方法のうち少なくとも1つが、
表面を有する半導体ウエハを提供するステップと、
センサプローブ先端を有する接触電位差センサを提供するステップと、
前記半導体ウエハの前記表面および接触電位差センサを互いに対して相対的に走査するステップと、
前記センサプローブ先端が、前記半導体ウエハの前記表面に対して水平に走査する際に、前記センサプローブ先端と前記半導体ウエハの前記表面の間の接触電位差の変化を表す水平に走査されたセンサデータを発生させるステップと、
相対的な接触電位差値を提供するための、前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップと、
前記水平に走査された表面の前記絶対的な接触電位差の少なくとも1つの測定を行うために、振動式接触電位差センサを使用するステップと、
前記相対的な接触電位値に加えられるオフセットを算出して、前記センサプローブ先端と前記水平に走査された表面の全ての点の間の前記接触電位差を表す特徴的なデータを発生させ、それにより、前記半導体ウエハの前記表面の特性を特徴づけるために、前記絶対的な接触電位差データを使用するステップと、を含む方法。
【請求項16】
前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップが、積分データを生成するために、前記水平に走査されたセンサデータを積分するステップを含む、請求項15に記載される方法。
【請求項17】
前記水平に走査されたセンサデータを処理するステップが、前記水平に走査されたセンサデータを前記相対的な接触電位差値に変換するために、前記積分データにスケーリング因子を乗算するステップを含む、請求項16に記載される方法。
【請求項18】
走査中に、前記プローブ先端の移動方向に垂直な表面接触電位差における変動を決定するために、前記特徴的なデータを分析するステップをさらに含む、請求項15に記載される方法。
【請求項19】
前記半導体ウエハの前記表面に複数の異なる処理を施すステップと、前記異なる処理のそれぞれに関連付けられる相関データを累積して、前記半導体ウエハに関する予め定義された表面品質を生成できるようにするために、前記材料の前記表面を特徴づけるステップとをさらに含む、請求項15に記載される方法。
【請求項20】
前記相関データはさらに、複数のタイプの前記予め定義された表面品質を有する前記半導体ウエハの生産を予めプログラムするために使用される、請求項19に記載される方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C(i)】
【図4C(ii)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C(i)】
【図4C(ii)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2011−523038(P2011−523038A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507577(P2011−507577)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/041948
【国際公開番号】WO2009/134778
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510287452)キューセプト テクノロジーズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/041948
【国際公開番号】WO2009/134778
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510287452)キューセプト テクノロジーズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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