説明

センサモジュール固定装置、生体成分測定装置及び人工膵臓装置

【課題】生体成分測定装置に取り付けたセンサを簡単に交換することのできるセンサ固定装置2の提供、およびこのセンサ固定装置2を備えた、ほとんど測定を中断する必要のない生体成分測定装置の提供。
【解決手段】生体成分測定装置本体の一部として設けられ、センサを生体成分測定装置本体に着脱可能に固定するセンサ固定装置であって、
センサの流体出入り口に、生体成分測定装置本体に配設されている流路の開口端部を着脱可能に装着するコネクタと、生体成分測定装置本体側の電極端子と電気的に接続する電極端子を有するセンサを、センサの流体出入り口と流路の開口端部とを密着させて前記生体成分測定装置本体に固定する押圧手段とを備えたセンサ固定装置及びこれを装備する生体成分測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センサモジュール固定装置、生体成分測定装置及び人工膵臓装置に関し、詳しくは、ワンタッチでセンサモジュールを装着・脱着することができるセンサモジュール固定装置と、このセンサモジュール固定装置を備えた生体成分測定装置及び人工膵臓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療現場等で使用される生体成分測定装置、例えば血液中の血糖値を測定するグルコース測定装置は多くの人に代わる代わる使用していた。このような場合の生体成分測定装置は、衛生上の観点から、生体成分測定装置の操作者や被測定者が他人の体液に直接接触しないような管理が必要であった。また、生体成分測定装置を長期間使用する場合には、センサの劣化による測定値のばらつきが相対的に大きくなるなどの問題点もあった。例えば、医療支援装置の一例である人工膵臓のように連続的あるいは間欠的に血液中のグルコース等の体液成分を測定し、その測定結果に応じて所定量のグルコースやインスリンなどの薬液を体内に注入し、患者の状態をコントロールするクローズドループ制御を行う装置では、長時間の使用でも正確に安全に運転できるということが重要である。実際、人工膵臓の場合は4時間から一週間程度にわたる長時間、正確に測定値が得られることが重要であるとされている。正確な測定を行うためには定期的にセンサの較正を行い、常に正確な測定値が得られるようにしておいて、正確な薬液注入必要量を算出することが、人工膵臓装置の安全性を保持する上で非常に重要である。そこで、生体成分の測定中に定期的に測定を中断してセンサの較正を行っている。通常、センサの較正には較正液を準備しておき、サンプル流路のセンサ入口付近で血液等の体液を含む測定用のサンプルに替えて較正液をセンサに供給し、センサの出力と較正液の濃度等とからセンサ感度を較正する。
【0003】
上述のような生体成分測定装置として、例えば特許文献1には、血液中の成分を連続測定するための血中物質モニター装置の発明が開示されている。この発明によれば、血管留置カニューレから血液を連続的に採取し、血中物質をセンサにより測定しており、血液の採取を中断することなく、センサ供給液をセンサのすぐ上流で血液サンプルから較正液に切り替えてセンサを較正して、その後すぐに元に戻して測定を再開している。較正している間は短時間なので採取した血液サンプルは廃棄ラインから廃棄されている。特許文献2には、グルコース測定装置用等のセンサの較正方法の発明が開示されている。この発明においても、較正液は血液サンプルの流路の送液ポンプより下流のセンサに近い部位で切り替えて導入されることを前提にしている。その他の関連発明として、特許文献3には、血液サンプル等を複数の希釈率で希釈しながら測定する体液中の特定成分の測定方法の発明が開示され、特許文献4〜6には、連続的な血糖値測定から特定の方法によるインスリンの注入量制御による血糖値制御装置や人工膵臓装置の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−152537号公報
【特許文献2】特開昭52−135795号公報
【特許文献3】特開昭58−198351号公報
【特許文献4】特開昭54−82885号公報
【特許文献5】特開昭55−21905号公報
【特許文献6】特開昭56−28765号公報 上述のような生体成分測定装置においては、センサの較正の迅速性、簡便性という観点からの利用ができる。しかし、センサの較正には、較正に要する時間を短くしたとしても時間がかかり、その間の測定の中断はやむを得ないと考えられていた。生体成分の測定は緊急を要する場合もあり、できるだけ測定中断をなくすことが生体成分測定装置及びこのような生体成分測定装置を備えた人工膵臓装置において要望されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、このような従来の問題点を解消し、センサに被測定液を導入する流路とそれに接続する生体成分測定装置における流路との接続を短時間の内に正確に行うことができ、センサを内蔵するセンサモジュールを短時間に装着することができる故に較正時間を短縮することができ、しかも院内感染を起こさずに清潔な操作を行うことのできるセンサモジュール固定装置を提供することを課題とする。この発明の他の課題は、このようなセンサモジュール固定装置を装備することにより、院内感染がなく、センサ交換を短時間に行うことができることにより較正時間を短縮することのできる生体成分測定装置及び人工膵臓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明者らは、上記課題を解決するために、センサを内蔵するセンサモジュールを生体成分測定装置本体にワンタッチで脱着でき、装着したセンサに測定用流体(被測定液と称されることがある。)を直ちに供給することができるセンサモジュール固定装置を発明した。
【0007】
上記課題を解決するための手段として、
請求項1は、
生体成分を含有する生体成分含有液を導入する生体成分含有液導入口、導入された生体成分含有液中の生体成分を測定するセンサ、及び生体成分含有液を導出する生体成分含有液導出口を備えたセンサモジュールを、生体成分含有液を送り出す生体成分含有液送出口と前記生体成分含有液導入口とを結合し、かつ、生体成分含有液を迎え入れる生体成分含有液受容口と前記生体成分含有液導出口とが結合するように、押圧力により固定する固定手段を備えて成ることを特徴とするセンサモジュール固定装置であり、
請求項2は、
前記センサモジュールは、前記生体成分含有液導入口及び生体成分含有液導出口を同一面において開口する開口面部を有し、前記固定手段が、前記センサモジュールにおける前記開口面部とは反対側に位置する後端部に前記センサモジュールを前進可能にする押圧力を加える押圧力付加部材を有して成る前記請求項1に記載のセンサモジュール固定装置であり、
請求項3は、
前記押圧力付加部材は、押圧力を発揮する弾性体を有して成る前記請求項2に記載のセンサモジュール固定装置であり、
請求項4は、
前記押圧力付加部材は、前記開口面部とは反対側の後端部を押圧する押圧部材と、前記押圧部材によるセンサモジュールに対する押圧動作を解除する押圧力解除部材とを備えて成る前記請求項2に記載のセンサモジュール固定装置であり、
請求項5は、
前記センサモジュールは、前記生体成分含有液導入口及び生体成分含有液導出口を一面に開口する開口面部を有し、前記固定手段が、前記生体成分含有液送出口と前記生体成分含有液受容口とを同一面に開口するとともに前後進可能に形成された流路開口面部を、前記センサモジュールの前記開口面部に向って前進可能にする押圧弾性部材を有することを特徴とする前記請求項1に記載のセンサモジュール固定装置であり、
請求項6は、
前記固定手段で前記センサモジュールを固定したときに、前記センサモジュールに設けられるとともにセンサから出力される信号を取り出すセンサ側端子に接触する接続端子を備えて成る前記請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサモジュール固定装置であり、
請求項7は、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のセンサモジュール固定装置を備えた生体成分測定装置であり、
請求項8は、請求項7に記載の生体成分測定装置を備えた人工膵臓装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るセンサモジュール固定装置は、生体成分測定装置の一部として成り立つ。この発明に係るセンサモジュール固定装置にあっては、センサモジュールをワンタッチでセンサモジュール固定装置に装着することができ、装着完了と同時にセンサモジュールにおける生体成分含有液導入口と生体成分含有液を送りだす生体成分含有液送出液とを接続することができるとともに、センサモジュールにおける生体成分含有液送出口と生体成分測定装置側の生体成分含有液受容口とを接続することができる。さらには、このセンサモジュールをセンサモジュール固定装置に固定すると、センサモジュールに設けられているセンサ側端子と生体成分測定装置側の接続端子とが電気的に接触して接続される。
【0009】
したがって、この発明のセンサモジュール固定装置を備えた生体成分測定装置は、生体成分の測定前にあらかじめ較正をしておいたセンサを内蔵するセンサモジュールをワンタッチで装着した後には、直ちに生体成分測定が可能になる。また、それまで使用していてセンサの精度が落ちてきた場合には、精度の低下したセンサを内蔵するセンサモジュールを、既に較正済みの新しいセンサモジュールに簡単に取り替えることができるので、生体成分測定装置による生体成分の測定及び人工膵臓装置の作動をほとんど中断することなく続けさせることができる。
【0010】
また、この発明の生体成分測定装置によれば、それまで使用していたセンサモジュールにおけるセンサと異なった測定項目を持つセンサを内蔵するセンサモジュールと交換することもでき、生体成分中の異なった測定項目をも容易に測定することができ、緊急を要する場合でもひとつの生体成分測定装置で複数の測定項目を簡単に測定することができる。また、この発明において利用されるセンサモジュールは、較正済みであれ未較正であれ、生体成分測定装置からワンタッチで脱着できるので、生体成分測定装置及びこれを用いた人工膵臓装置の操作者や被測定者等はセンサモジュールや生体成分測定装置及び人工膵臓装置の流路中の体液等に触れることがなく、センサモジュールの交換を非常に衛生的で安全にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、この発明に係るセンサモジュール固定装置にセンサモジュールを固定した状態の斜視図である。
【図2】図2は、図1における紙面に平行な切断面での断面図である。
【図3】図3は、図2の状態において、この発明に係るセンサモジュール固定装置にセンサモジュールを固定しようとしている状態、又はセンサモジュール固定装置からセンサモジュールを取り外そうとしている状態の断面図である。
【図4】図4は、図1〜3におけるセンサモジュールの斜視図である。
【図5】図5は、この発明に係る他の態様のセンサモジュール固定装置にセンサモジュールを固定した状態の断面図である。
【図6】図6は、電極端子を備えた弾性体の正面図である。
【図7】図7は、図5におけるセンサモジュールの斜視図である。
【図8】図8は、この発明に係る他の態様のセンサモジュール固定装置にセンサモジュールを固定した状態の断面図である。
【図9】図9は、この発明に係る他の態様のセンサモジュール固定装置にセンサモジュールを固定した状態の断面図である。
【図10】図10は、この発明に係るさらに他の態様のセンサモジュール固定装置の構造説明図である。
【図11】図11は、図10におけるセンサモジュール固定装置の構造説明図である。
【図12】図12は、図10に示すセンサモジュール固定装置の変形例の構造説明図である。
【図13】図13は、図12に示すセンサモジュール固定装置におけるセンサモジュールの斜視図である。
【図14】図14は、この発明に係る他の態様のセンサモジュール固定装置にセンサモジュールを固定した状態の断面図である。
【図15】図15は、図14に示すセンサモジュール固定装置のセンサカバーを開けた状態の断面図である。
【図16】図16は、図14に示すセンサモジュール固定装置の変形例の断面図である。
【図17】図17は、図14〜16に示すセンサモジュール固定装置におけるセンサモジュールの斜視図である。
【図18】図18は、この発明に係る他の態様のセンサモジュール固定装置にセンサモジュールを固定した状態の断面図である。
【図19】図19は、図18に係るセンサモジュール固定装置において、センサモジュールを固定しようとしている状態、又はセンサモジュールを取り外そうとしている状態の断面図である。
【図20】図20は、この発明の生体成分測定装置を備えた人工膵臓装置の実施形態の概略説明図である。
【図21】図21は、この発明の生体成分測定装置の他の例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明に係る生体成分測定装置としては、生体中に含まれる体液例えば血液、リンパ液、尿、汗等に含まれる成分を特定し、及び/又はその成分の濃度を測定することができる限り各種の装置を挙げることができ、例えば透析を行う人工透析装置、生体の体液中に含まれる尿素の濃度を測定する尿素濃度計、生体の体液中に含まれる尿酸の濃度を測定する尿酸濃度計、生体の体液中に含まれる糖分例えば乳糖、蔗糖、ラクテート等を測定する糖分測定装置、血液中の糖分を測定する血糖値測定装置、生体中のグルタミン酸濃度を測定するグルタミン酸濃度計、体液中のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度計、体液中のクレアチニンの濃度を測定するクレアチニン濃度計等を挙げることができる。
【0013】
これら各種の生体成分測定装置は、医療行為を的確に行う上で有用であり、この発明は、このような生体成分測定装置にセンサモジュールを着脱自在に装着することができ、生体成分測定装置を効率的かつ衛生的に稼働するためのセンサモジュール固定装置に関する。この場合、センサモジュールに内蔵されるところの生体成分を測定するセンサとしては、生体成分の種類に応じた各種のセンサを挙げることができる。このセンサとして、例えば、酵素を用いた酵素センサ、微生物を用いた微生物センサ、酵素と微生物を用いたハイブリッド型センサ等が挙げられる(以下においてこれらを「バイオセンサ」と称することがある。)。
【0014】
このようなバイオセンサにおいて固定化される酵素又は微生物は、測定される被測定対象物つまり生体成分に応じて選択される。例えば、被測定対象物がグルコースであるときにはβ−D−グルコースオキシダーゼ、シュードモナスフルオレッセンス(Pseudomonas fluorecens)、被測定対象物が尿素であるときにはウレアーゼ、被測定対象物が尿酸であるときにはウリカーゼ、被測定対象物がラクテートであるときにはラクテートオキシダーゼ、被測定対象物が乳糖であるときにはラクターゼ又はβ−ガラクトシダーゼ、被測定対象物がエタノールであるときにはアルコールオキシダーゼ、トリコスポロンブラシカエス(Trichosporon brassicaes)、被測定対象物がグルタミン酸であるときにはグルタメートデヒドロゲナーゼ、エシェリキア コリ(Escherichia coli)、被測定対象物がアンモニアであるときには硝化細菌等が選択される。
【0015】
この発明に係る生体成分測定装置においては、測定対象とするサンプルとしては、生体から採取したままの体液例えば血液、尿、リンパ液、髄液等が挙げられ、さらに生体から採取した前記体液と他の液体例えば生理食塩水、希釈液、凝血防止液等との混合液が挙げられる。また、測定対象とするサンプル中の測定すべき測定項目は一種であっても二種以上であってもよい。測定項目が二種以上であるときには、センサモジュール固定装置に装着するセンサモジュールを取り替えてそれぞれの測定項目を順次に測定することができる。また、生体成分測定装置には生体から採取した体液又はこの体液を希釈した被測定液を移送する流路が設けてあるところ、前記流路の途中にこの発明に係る複数のセンサモジュール固定装置を設け、それぞれのセンサモジュール固定装置に各種の生体成分を測定することのできる各種のセンサを装着して複数の測定項目を同時に測定することもできる。上記ふたつの測定方法を組合せれば、サンプル中のさらに多くの測定項目を測定することもできる。
【0016】
生体成分測定装置により定性分析又は定量分析をする対象としてのサンプル中の生体成分としては、例えばグルコース、尿素、尿酸、乳糖、ショ糖、ラクテート(乳酸)、エタノール、グルタミン酸、アンモニア、クレアチニン、酵素等が挙げられる。この発明においては、生体成分測定装置による生体成分の測定としては、生体成分を構成する成分の量や濃度を測定するだけでなく、生体成分を含むサンプル全体や個々の生体成分の性質や物性を測定することも含んでいる。したがって、この発明では、例えば、測定しようとしている生体成分を含むサンプルのpH値、酸素濃度を測定することも、生体成分の測定である。
【0017】
この発明のセンサモジュール固定装置は、生体成分測定装置の一部となって組み込まれている。この発明における生体成分測定装置は、生体成分測定装置本体と、この生体成分測定装置本体に着脱自在に装着される基板とを有する。なお、この基板としては、剛性を有する、又は柔軟性を有する一枚のシート状物に限らず、複数のパーツにより形成されるところの、剛性又は柔軟性を有する一枚のシート状物を挙げることができる。
【0018】
前記基板は、生体成分測定装置に装備される各種の配管が手作業によって汚染されること、及び手作業により配管内に存在する体液が操作者の皮膚に触れることによる感染を防止することを目的とする。この基板には、生体成分測定装置本体に装備されている流体移送手段と協働して流体を一方向に流通させる複数の流路を搭載することができる。この複数の流路としては、
(1)体液採取手段例えばカテーテル、又は留置針等で採取された体液例えば血液を体液希釈液例えば生理食塩水で希釈されて成る試料液を導出する試料液導出流路と着脱自在に形成され、導出された試料液をこの発明におけるセンサに移送する試料液移送流路を少なくとも含み、
その他の流路として、必要に応じて設けられるところの、
(2)前記体液採取手段で採取された体液を希釈する体液希釈液を体液希釈液貯留タンクから導出する体液希釈液導出流路と着脱自在に形成され、体液希釈液を前記体液採取手段に導入する体液希釈液導入流路とも着脱自在に形成され、これら体液希釈液導出流路から移送されて来た体液希釈液を前記前記体液希釈液導入流路に移送する体液希釈液移送流路と、
(3)希釈液を貯留する希釈液貯留タンクから希釈液を導出する希釈液導出流路と着脱自在に形成され、導出された前記希釈液を移送して前記試料液移送流路中を流通する試料液に混合させる希釈液移送流路とを有する。また、
(4)必要に応じて較正液を移送する較正液移送流路、センサから排出される測定済みの液を移送する排液移送流路を、この基板に搭載することもある。
【0019】
なお、前記試料液は、この発明における「生体成分を含有する生体成分含有液」の一態様である。
【0020】
この基板と、基板上に搭載される各種の移送流路と、基板上に搭載されるその他の必要な器具とを合わせて生体成分測定ユニットと称することがある。
【0021】
この発明に係るセンサモジュール固定装置は、通常の場合、生体成分測定装置本体に装着されているが、前記生体成分測定装置本体に着脱自在に装着される前記基板に取り付けられるようにしてもよい。
【0022】
このセンサモジュール固定装置は、生体成分を含有する生体成分含有液を導入する生体成分含有液導入口、導入された生体成分含有液中の生体成分を測定するセンサ、及び生体成分含有液を導出する生体成分含有液導出口を備えたセンサモジュールを、生体成分含有液を送り出す生体成分含有液送出口と前記生体成分含有液導入口とを結合し、かつ、生体成分含有液を迎え入れる生体成分含有液受容口と前記生体成分含有液導出口とが結合するように、押圧力により固定する固定手段を備えて成る。
【0023】
さらに、好適なセンサモジュール固定装置は、前記固定手段で前記センサモジュールを固定したときに、前記センサモジュールに設けられるとともにセンサから出力される信号を取り出すセンサ側端子に接触する接続端子を備えて成る。
【0024】
センサモジュールを製造する際の便宜、取扱いの便宜等を考慮すると、センサモジュールの形状が実質的に直方体、立方体、又は円筒体のように単純形状であるのが好ましい。もっとも、このセンサの形状は、直方体、立方体及び円筒体に限定されることはなく、生体成分測定装置の形状及びその構造、生体成分測定装置本体の形状及びその構造等を考慮して適宜に決定される。
【0025】
前記固定手段は、センサモジュールを押圧することにより、センサモジュールにおける生体成分含有液導入口と生体成分測定装置又は生体成分測定装置本体側にある生体成分含有液送出口とを密着させ、かつ、センサモジュールにおける生体成分含有液導出口と生体成分測定装置又は生体成分測定装置本体側にある生体成分含有液受容口とを密着させる機能を有する。
【0026】
前記固定手段がその機能を好適に発揮するために、センサモジュールが例えば直方体に近い形状をしている場合には、そのひとつの面と反対側の面とのいずれかを固定部に接触させ、その固定部にセンサモジュールにおける一つの面又はその反対側の面を固定手段により押さえつけることができるように、固定部と固定手段とを相対向して設けるのが好ましい。この固定部は、センサモジュールをセンサ固定部分に装着するときの位置決めの機能及びセンサモジュールの安定的固定という機能をも発揮することができる。位置決めの機能及び安定的固定という機能をさらに増進させるには、上記のひとつの面と反対側の面とを、例えば右側面及び左側面とすると、センサの下面、正面、背面に対応する固定部を配置するのが好ましく、かくしてセンサモジュールを装着する際の位置決めが容易になり、しかもセンサモジュールの固定がより完全なものになって好ましい。
【0027】
図1〜図19に、この発明に係るセンサモジュール固定装置の具体例を示す。なお、以下に示すいくつかの具体例及びその図面において、互いに共通し又は対応する部分には互いに同一の符号を付して示すことにする。また、各図面はこの発明の具体例を説明するための概略図であって、その構造等を必ずしも正式の機械製図方に準拠して表わしているわけではない。
【0028】
図1及び図2に示すように、センサモジュール固定装置2は、生体成分測定装置又は生体成分測定装置本体における基板上に固定部4、4A、4B、4Cが結合されており、固定部4には、押圧部材の一例である弾性体5が設けられている。固定部4Aとセンサモジュール1との間には、基板3に配設されている流路6の開口端部と接続されているコネクタ7が配置されている。センサモジュール1は、基板3上の固定部4に取り付けられた弾性体5とコネクタ7との間にあり、弾性体5の弾性力により押圧されて基板3上に安定的に固定されている。この図1に示した形態では、弾性体5として板バネが採用されているが、センサモジュール1をコネクタ7に向かって付勢することができる限り、弾性力を有する他の材質で形成され、又他の構造を有する弾性体でもよいし、図1に示した以外の他の形状を有する板バネでもよい。弾性体5としては、コイルスプリング、ゴム、プラスチック板、金属板などでもよく、センサモジュール1を弾性体5とコネクタ7との間にはめ込んだときにセンサモジュール1をコネクタ7に向かって押圧してセンサモジュール1を固定することができればよい。また、このセンサモジュール固定装置2においては、固定部として、前記弾性体5の付勢力によりセンサモジュール1が図1における正面側への移動を規制する固定部4Bと、前記弾性体5の付勢力によりセンサモジュール1が付勢方向に移動するのを規制する固定部4Aと、図1で僅かに見えている、センサモジュール1の図1における背面側にあり、固定部4Bと平行に設置され、弾性体5の付勢力によりセンサモジュール1の背面側への移動を規制している固定部4Cとを更に備えることが好ましい。
【0029】
この態様のセンサモジュール固定装置の構造及び機能につき図2〜4を参照にしながら説明する。図2は、図1において流路6の軸線に沿って、センサモジュール固定装置2及びセンサモジュール1を垂直に切断した断面図である。図3は、図2の状態においてセンサモジュール固定装置2からセンサモジュール1を取り外そうとし、又は取り付けようとしている状態、又は装着しようとしている状態を示している断面図である。図4は一例としてのセンサモジュール固定装置2に装着しているセンサモジュール1を裏返して電極端子9が見えるようにした状態を示す斜視図である。
【0030】
図1〜図4に示した形態におけるセンサモジュール1は、図4に示したように、ほぼ直方体で右側面1Bには流体出入口8が2箇所ある。流体出入口8における一方は、生体成分含有液導入口であり、他方は生体成分含有液導出口である。生体成分含有液導入口と生体成分含有液導出口とはセンサモジュール1の内部に形成された部屋即ちセル13と連通しており、このセル13内には、生体物質を検出するセンサ(図示せず)が設けられている。なお、センサモジュール1の種類と個数とにより流体出入口8は、3箇所以上あってもよい。また、図4に示したように、裏面1Aの左側面付近にはセンサモジュール1内のセンサから出力される電気信号を取り出したり、センサモジュール1に電流を供給したりするための電極端子9が設けられている。電極端子9の個数は1個でもよいし、複数個でもよく、センサモジュール1の機能上必要な個数であればよい。図2〜4に示したセンサモジュール固定装置2における弾性体5は、直方体をなすセンサモジュール1の一端面を押圧して固定部4とコネクタ7との間に固定する。したがって。この弾性体5はこの発明における固定手段であり、押圧力付加部材である。
【0031】
図3に示すように、一端が固定部4に固定されている板状の弾性体5の固定されていない部分は、固定部4から離れた状態にあり、押圧力により弾性変形可能となっている。そして、押圧力を開放すれば、弾性体5の固定されていない部分は弾性力によって元へ戻る。図3の状態から図2の状態のようにセンサモジュール1をセンサモジュール固定装置2に装着すると、弾性体5の弾性変形可能な部分は、センサモジュール1の左側面により固定部4の方向へ押された状態となる。この状態では、センサモジュール1は弾性体5の弾性力により図中の右側に押圧されている。一方、センサモジュール1の右側面は、固定部4Aにより固定されており流路6を備えたコネクタ7、及び流路6の開口端部6Aにより右側への移動が規制されている。このため、センサモジュール1は弾性体5と流路6の開口端部6Aを備えたコネクタ7とにより押圧されて固定されている。
【0032】
また、流路6の開口端部6Aとセンサモジュール1の流体出入口8とは流体の出入り可能に接続されており、弾性体5の押圧力により密着して、流路6の開口端部6Aとセンサモジュール1の流体出入口8との接合部の液密性を保持している。図2に示す形態では、流路6の開口端部6Aとセンサモジュール1の流体出入口8との間に弾性部材例えばOリング10を配置して密着性をさらに高めている。Oリング10を配置しない場合には、流路6の開口端部6Aにゴムチューブや軟質プラスチックチューブのような弾力性のある素材を、コネクタ7の平面よりセンサモジュール1側に1〜10mm程度突き出すように装着することが、好ましい。このようにすれば、開口端部6Aにおける、この突き出した弾力性のある素材がOリングの機能を持ち、これによって密着性を保つことができる。図2に示すようにセンサモジュール1がセンサモジュール固定装置2に固定されると、センサモジュール1の電極端子9は基板3に取り付けられている電極端子11と接触し、センサモジュール1からの測定信号を生体成分測定装置に伝達できるようになっている。また、この電極端子9と電極端子11との電気的結合によって、生体成分測定装置からセンサモジュール1に必要な電力を供給することもできる。電極端子11の電極端子9との電気的結合部分を金属片のような弾性体で作製し、センサモジュール1がセンサモジュール固定装置2に固定されていないときは、図3に示すように電極端子11の電極端子9との電気的結合部分が基板3から浮き上がっており、図2に示したようにセンサモジュール1をセンサモジュール固定装置2に固定した際には、電極端子11が電極端子9により基板3側に押し付けられた状態になっていることが好ましい。このようにすれば、センサモジュール1をセンサモジュール固定装置2に固定した時には、電極端子11と電極端子9とのあいだに確実な電流の電気的導通が得られやすい。
【0033】
図5は、この発明の別の態様であるセンサモジュール固定装置2を示す。このセンサモジュール固定装置2が図1〜3に示したセンサモジュール固定装置2と相違するところは、図1〜3における固定部4に弾性体5が装着されずに、図5に示したように、押圧手段として電極付き弾性体11Aが装着されることである。この電極付き弾性体11Aは、図6に示すように、電極端子11を備えている。この電極付き弾性体11Aは絶縁性で弾性力を有する素材例えば合成樹脂で形成された板状基材の表面に一つ又は複数の電極端子11が形成されて成る。これに伴って、センサモジュール1の形状も上述の図4に示した形状とは相違し、図7に示したように、センサモジュール1の電極端子9がセンサモジュール1の左側面1Cに配置されている。図5に示したセンサモジュール固定装置2にあっては、図3に示したように、電極端子11と電極端子9とを電気的に確実に接続するために電極端子11に弾性を付与する必要がなくなり、電極付き弾性体11Aがセンサモジュール1をコネクタ7に向かって押圧することにより、センサモジュール1を固定的に装着することができるのみならず、図6に示した電極端子11と電極端子9とを電気的に確実に接続することができる。
【0034】
図8は、この発明のさらに別の例であるセンサモジュール固定装置の説明図である。図8に示したセンサモジュール固定装置2は固定部4Aとコネクタ7との間に押圧手段として弾性体14を備えている。この態様のセンサモジュール固定装置2は固定部4Aに接続している弾性体14がコネクタ7をセンサモジュール1側に押し付けており、この押圧力によりコネクタ7及びコネクタ7に結合している流路6の開口端部6Aがセンサモジュール1の図中の右側面を押圧している。センサモジュール1の図中の左側面は固定部4により、図の左側への移動が規制されているので、センサモジュール1は弾性体14及びコネクタ7の押圧力により固定されている。図8におけるセンサモジュール固定装置2における電極端子9は導電性材料でセンサモジュール1の表面に形成することができ、また、電極端子11は、基板3の表面に密着形成した導電性材料例えば金属板、金属箔等で形成することができる。基板3の表面に密着形成された電極端子11はそれ自体弾性力を発揮しないので、基板3の表面に密着形成された電極端子11とセンサモジュール1に設けられている電極端子9との電気的結合を確実にするために、図9に示した構造を採用することもできる。図9に示したセンサモジュール固定装置2においては、固定部4に挿入雌型傾斜面30が形成され、センサモジュール1に挿入雄形傾斜面31を形成したほかは、図8に示したセンサモジュール固定装置2と同様の構造を有する。すなわち、固定部4の基板3側に向かって斜めに切り込まれることにより形成された挿入雌型傾斜面30が固定部4に形成され、センサモジュール1はその端部に前記挿入雌型傾斜面30における傾斜面と同じ傾斜角をもって傾斜する挿入雄型傾斜面31を形成して成る。そして、このセンサモジュール1をセンサモジュール固定装置2に装着すると、前記挿入雌型傾斜面30に前記挿入雄型傾斜面31が接触し、弾性体14がセンサモジュール1を固定部4側に押圧することにより、センサモジュール1における電極端子9が基板3に形成されている電極端子11に押し付けられることになり、これによって電極端子9と電極端子11との電気的結合が確実に成る。もっとも、図8に示した電極端子11を、図3に示したような、一端を基板3に結合すると共に他端を自由端にしてなる、弾力性のある金属板で、形成することもできる。また、図8に示した電極11の代わりに、図5に示したような電極端子11を有して成る電極端子付き弾性体11Aを固定部4に設けてもよい。
【0035】
センサの流体出入口8と流路6の開口端部6Aとの接合部に付いても、図1〜図4の態様で説明した構造と同じくすることができる。この図8の態様においては、この接合部には弾性部材としてのOリング(10)がなく、開口端部6Aがコネクタ7から突出しており、この突出した開口端部6Aが弾性部材で形成されて成る。この弾性部材としては、ゴムチューブや軟質プラスチックチューブのような弾力性のある素材で形成することができる。このようにすることにより、センサモジュール1をセンサモジュール固定装置2に固定すると弾性部材で形成されている開口端部6Aが変形して接合部(装着部とも称される。)における密着性が実現されてセンサの流体出入口8と流路6の開口端部6Aとの接合部の流体の漏れが防止できる。なお、この態様においても、この接合部にOリングを設けても全く差し支えはない。図9においては、0リングが装着された状態を示している。
【0036】
この発明のセンサモジュール固定装置の他の態様を図10に示す。図10に示したセンサモジュール固定装置2における押圧手段は、操作部15A、押圧片16B、支持軸17A〜17Cを有する。
【0037】
この操作部15Aは、生体成分測定装置本体の基板3に固定されている固定部4Cに形成された溝にはまり込むように配置される操作レバー15と、固定部4B(図1を参照)に形成された溝にはまり込むように配置されるところの、前記操作レバー15と同形の操作レバー(図示せず)と、これら操作レバーを一体化するように連結する連結部材(図示せず)とを具えて成る。前記支持軸17Aは、前記固定部4C及び固定部4Bに結合される。この支持軸17Aによって、この操作部15Aは、前記支持軸17Aを中心にして、基板3に対して回動可能となる。
【0038】
操作レバー15ともう一つの操作レバーとの間には、これらを一体的に結合する支持軸17Bが設けられる。この支持軸17Bには、操作レバー15よりに配置される押圧片16Bと、他の操作レバー寄りに、前記押圧片16Bと対向するように配置される他方の押圧片(図示せず。)とが、支持軸17Bに対してこれら押圧片16Bが回動可能になるように、取り付けられる。
【0039】
押圧片16Bと他方の押圧片とは同じ形状を有する。押圧片16Bは、前記固定部4Cに形成された案内長孔18及び前記固定部4Bに形成された前記案内長孔18と同じ形状の案内長孔(図示せず)を挿通する支持軸17Cに、回動可能に装着される。
【0040】
この操作レバー15及び他方の操作レバーを前記支持軸17Aを中心にしてたとえば基板3から離れるように回動させると、支持軸17Bも基板3から離れるように回動し、この支持軸17Bの回動によって押圧片16Bの支持軸17B側の端部が基板3の上方へと持ち上がる一方、押圧片16Bの支持軸17Cが案内長孔18に沿って移動することができるようになっている。
【0041】
図10に示したセンサモジュール固定装置2におけるコネクタ7及び固定部4Aは、基板3の上面に立設され、前記図1に示したコネクタ7及び固定部4A、及び前記図8に示したコネクタ7及び固定部4Aと同じ構造にすることができる。なお、図10において11で示したのは基板3の上面に形成された電極端子であり、9で示したのはセンサモジュール1の下面に形成された電極端子である。
【0042】
図10に示したこのセンサモジュール固定装置2においては、センサモジュール1がこのセンサモジュール固定装置2に装着されているときは、移動軸17Cが案内長孔18の一端側、つまり図10における右側、すなわちセンサモジュール1に最も近い位置に移動しており、センサモジュール1はその図10中の左側面がこの押圧片16Bの先端部16Dにより押圧されている。なお、この場合、センサモジュール1は図4に示す形状を有し、かつ図4に示す電極端子9を有するセンサモジュール1が装着されている。センサモジュール1の図10中の右側面はコネクタ7から突出する流路6の開口端部6Aによって図10中の右側への移動が規制されており、また、Oリングにより接合部における液密性が実現されている。そしてセンサモジュール1は押圧片16Bの先端部16Dとコネクタ7から突出する流路6の開口端部6Aとにより挟みつけられることにより、センサモジュール固定装置2に固定されている。このような固定状態から、操作レバー15を支持軸17Aを中心にして図10における反時計回りに回動させると、図11に示したように、支持軸17Bが上方に移動し、同時に押圧片16Bの先端部16D及び支持軸17C及び他方の移動軸が案内長孔18及び固定部4Bに形成された案内長孔(図示せず。)に沿って移動し、前記先端部16Dがセンサモジュール1から離れるように後退する。押圧片16Bの先端部16Dが後退してセンサモジュール1から離れると、センサモジュール1は取り外しが可能になる。この押圧手段は操作レバー15を有するので、この操作レバー15を操作することにより操作部15Aを容易に回動させることができる。この操作レバー15はその先端部に把手15Bを備えることによりさらに操作性の良いものとなる。
【0043】
次に、センサモジュール1のセンサモジュール固定装置2への装着について説明する。センサモジュール固定装置2にセンサモジュール1を装着する前は、図11に示すようにセンサモジュール固定装置2の操作レバー15を引き上げて押圧片16Bの先端部16Dを案内長孔18の左側の支持軸17Aに近いほうに後退させておく。これにより、センサモジュール1は基板3のセンサ固定位置に容易に配置することができる。センサモジュール1をセンサモジュール固定装置2に固定的に装着するには、センサモジュール1の流体出入口8とコネクタに配置された流路6の開口端部6AとがOリングを介して接合されるようにセンサモジュール1を配置しておき、支持軸17Aを中心にして操作レバー15を図11における時計方向へ回動するように下へ押し込むと、押圧片16Bの先端部16D及び支持軸17Cが案内長孔18に沿ってセンサモジュール1側へ前進していき、センサモジュール1の図11中の左側面に接してセンサモジュール1を押圧する。図11には示していないが図10から容易に理解できるように、センサモジュール1は、その右側面に備えた流体出入口8がコネクタ7により、これ以上図中の右側に移動できないように接合されているので、押圧片16Bが押圧することによりセンサモジュール1が固定される。そして、この押圧力により、流体出入口8と流路6の開口端部6AとはOリングを介して密着される。
【0044】
ところで、このセンサモジュール1が基板3に固定された状態において、図10に示したように側面から見て、支持軸17Bは、その中心が支持軸17Aと軸17Cの中心を結ぶ線分よりも若干基板3側に位置するように設定されている。この設定に基づき、固定状態においてセンサモジュール1側から作用する反力は、押圧片16Bを介して支持軸17Bを基板3の側へ押圧する力、すなわち操作部15Aを図で時計方向に回動させるような作用力が生じるのであり、これにより操作部15Aがいわゆるセルフロック状態となるのでセンサモジュール1は振動等の作用に関わらずしっかりと基板3に装着された状態に保たれる。
【0045】
なお、センサモジュール1に備えられている電極端子9と生体成分測定装置本体に備えられている電極端子11とはすでに説明した電気的な接続方法と同じように接続されていればよい。電極端子同士の接続に関する他の態様を図12に例示する。
【0046】
図12に示した押圧手段は、センサモジュール1をセンサモジュール固定装置2に固定する機能と、センサに備えられた電極端子とセンサモジュール固定装置側の電極端子とを電気的に接続する機能とを合わせ持つ。図12に示した押圧手段における、センサモジュール1をセンサモジュール固定装置2に固定する機能は、図10及び図11に示した押圧手段と同様である。図12に示した態様のセンサモジュール固定装置2に対応するセンサモジュール1は、図13に示すように電極端子9がセンサモジュール1の表側面における図13中の左側に設けた段差部1Dに配置されている。そして、図12に示したように、生体成分測定装置本体における各種の回路に接続されている電極端子11は、電極端子9と電気的に接続するように操作レバー15の裏面に配置されており、操作レバー15が回動してセンサモジュール1が固定されるとともに電極端子11と電極端子9とが電気的に接続される。電極端子11は、銅製の板バネのような導電性弾性体とすることが好ましく、このようにすることにより電気的接続を確実にすることができる。
【0047】
また、基板3に対しセンサモジュール1の電極端子9を上位に配置することにより、シール不良換言すると液密不良によって万一に流路開口端部6Aからの液漏れが発生するとした場合にあっても、電極端子9に漏れた液が接触することを防止することができる。
【0048】
このように、センサモジュール固定装置において、センサの流体出入口と生体成分測定装置本体に配設されている流路の開口端部と装着可能にするコネクタの配設位置が、センサにおける生体成分測定装置本体側の電極端子と電気的に接続する電極端子の配設位置よりも低い位置にあると、センサの流体出入口と流路の開口端部とから万一流体が漏出することがあっても、電極端子にまで漏出流体が浸潤することがない。したがって、電極端子における漏出流体の浸潤による腐蝕が防止される。
【0049】
さらに図13に示すセンサモジュール1は、平板状のプリント基板を使用したセンサを、塩化ビニル、ポリプロピレン等の樹脂で形成されたケースで覆う形状となっていることが好ましい。センサとして平面状のプリント基板を使用することにより、同じパターンのセンサ回路を一度に大量に生産できる印刷技術でセンサを製造することができ、センサの生産性を向上させることが可能となる。
【0050】
さらに図14〜16に例示するセンサモジュール固定装置2について説明する。
【0051】
このセンサモジュール固定装置2に装着するセンサモジュール1は図17に示した。このセンサモジュール1は、センサモジュール固定装置2に装着されるときには基板3に面する面すなわち裏面1Aの中央部付近に流体出入口8が配置されており、電極端子9は同じ面の左端の段差部1Dに配置されている。図14は、図17に示したセンサモジュール1がセンサモジュール固定装置2に装着されて固定された状態を示す。図14に示したように、センサモジュール1の流体出入口8は基板3に配置されているコネクタ7に備えられた流路6の開口端部6AとをOリング10を介装して液密に接合している。この接合部には弾性部材としてOリング10の代わりにパッキンを配置して、内部流体が漏れないように、密着性を向上させることもできる。あるいは、すでに説明したように、開口端部6Aを例えばゴムチューブのような弾性部材で形成し、コネクタ7の表面から適宜の長さ、例えば数mm程を突出させておき、開口端部6A自体にOリング10やパッキン等の弾性部材の機能を持たせてもよい。この態様のセンサモジュール固定装置2はセンサモジュール1の周りを囲うように基板3に固定された固定部4,4A,4B,4Cが配置されていることが好ましい。このようにすると、センサモジュール1をセンサモジュール固定装置2に装着する際も、装着された後も、センサモジュール1が基板3上を平行移動する等してその固定位置をずらすことがなく、流体出入口8と開口端部6Aとがずれることなく確実に液密に接合できる。
【0052】
図14に示したセンサモジュール固定装置2における押圧手段は、センサモジュール1を上部から押圧する蓋部材19と、この蓋部材19を係合するストッパ20とを備えて成る。この蓋部材19は、例えば、センサモジュール1をはめ込むセンサ装着部を形成するように基板3の表面に立設された固定部4に、支持軸17C例えばピンにより回動自在に装着される。蓋部材19を装着した固定部4に対してセンサモジュール1を介して反対側に位置する固定部4Aには、蓋部材19が閉じてセンサモジュール1を覆蓋しているときに、蓋部材19を固定するためのストッパ20が、回動可能に取り付けられている。なお、固定部4Aは固定部4と別体に形成されていても一体に形成されていてもよい。要するに、固定部は、センサモジュール1を位置決めしてセンサモジュール1を固定することができるように形成されていればよい。また、蓋部材19は、センサモジュール1の上面全体を覆う必要はなく、センサモジュール1の上面の一部を覆っていてもよい。蓋部材19は、センサモジュール1を覆蓋したときにセンサモジュール1を押しつける方向に対して弾性力を有していることが好ましい。例えば、蓋部材19自身が弾力性のある金属やプラスチック製の蓋部材であったり、蓋部材19の内側にゴムやばねなどの弾性体を具備する蓋部材であったりすることができる。電極端子9と電極端子11との接合は、図2に示す態様等で説明した接続構造と同じである。図15は、図14の状態からストッパ20を外して、蓋部材19を引き上げた状態を示している。このような状態にしてセンサモジュール1を取り出したり、取り替えたりすることができる。
【0053】
図16においては、固定部4Aに回動自在に取り付けたストッパ20の支点を形成する支持軸17Dは、スプレング21を備えており、ストッパ20は、外力がかからない状態では、このスプリング21の張力により、閉じた蓋部材19を開かないように固定する位置に配置されている。図16で説明すれば、ストッパ20は、垂直よりも少し固定部4側に傾いた状態で固定部4Aの上部に立っている状態である。そして、ストッパ20のフック20Aは、図16に示すように略三角形の断面をしており、蓋部材19を固定する面が蓋部材19を固定したときに、ほぼ水平になる形状とすることが好ましい。このような構造とすることで、センサモジュール1を装着する際に蓋部材19を閉めると、ストッパ20は特に操作しなくても、蓋部材19がストッパ20により自動的に固定され、センサモジュール1のセンサモジュール固定装置2への装着が完了する。なお、蓋部材19を開く際には、ストッパ20をスプリング21の応力に抗して時計回り方向に回転してやれば、フック27が蓋部材19から外れて蓋部材19は開くことができる。
【0054】
さらに図18、図19に例示するセンサモジュール固定装置2について説明する。
【0055】
このセンサモジュール固定装置2に装着するセンサモジュール1は図13に示したものと同様の構成を有する。図18は、このセンサモジュール1がセンサモジュール固定装置2に装着されて固定された状態を示す。図18に示したように、センサモジュール1の流体出入口8と、基板3に配置されているストッパ20に備えられた流路6の開口端部6Aとは、Oリング10を介して液密に接合している。
【0056】
図18及び図19に示したセンサモジュール固定装置2は、固定部4Aと、この固定部4Aに対して流路6の長手方向に沿って進退可能に支持されたストッパ20との間に、押圧手段としてのコイル状のスプリング21を備えている。この態様のセンサモジュール固定装置2は、図18に示した装着状態においては固定部4Aに接続しているスプリング20がストッパ20をセンサモジュール1側に押し付けており、この押圧力によりストッパ21及びストッパ20に結合している流路6の開口端部6AがOリング10を介してセンサモジュール1の図中の右側面を押圧している。センサモジュール1の図中の左側面は固定部4により、図の左側への移動が規制されているので、センサモジュール1はスプリング21及びストッパ20の押圧力により固定されている。生体成分測定装置本体における各種の回路に接続される電極端子11は、センサモジュール1の段差部を挟んで基板3と相対するように固定部4の近傍に設けられており、センサモジュール1の装着状態では、その弾性により電極端子9と電気的に接続する。
【0057】
基板3には、センサモジュール1の底面と対向する位置にピン61が進退自由に保持されている。このピン61は、図19に示したように、自由状態ではコイルスプリング62の張力により基板3の表面上に突出している。図18に示したように、ピン61は、センサモジュール1の装着状態にあってはセンサモジュール1の底面に押圧されて下方に退避した状態にある。このときセンサモジュール1はその図中右側の上端部がストッパ20のフック20Aに係止されているので、ピン61を突出させようとするコイルスプリング62の張力に関わらず基板3に固定された状態に保たれる。
【0058】
図18に示した装着状態からセンサモジュール1を取り外すには、スプリング21の張力に抗してストッパ20を図中右方向に移動させる。この操作によりフック20Aがセンサモジュール1の上端部から外れる位置までストッパ20を移動させると、ピン61を介して作用するコイルスプリング62の付勢力によりセンサモジュール1が基板3面から浮き上がる。したがってそのままセンサモジュール1の図中右端部を持ち上げるようにして基板3から引き上げれば、センサモジュール1を容易に取り外すことができる。
【0059】
一方、センサモジュール1を基板3に装着するには、図19に示したように、まずセンサモジュール1の図中左側の端部を、固定部4上の電極端子11の下をくぐらせるようにして挿入し、次いでセンサモジュール1の図中右側の部分を基板3に向かって押し込んでゆく。このとき、センサモジュール1の図中右側の下端部を、ストッパ20のフック20Aを形成する傾斜面に押し当てながら押し込むと、この傾斜面に沿ってセンサモジュール1を押し込むにしたがってストッパ20が図中右方向に後退し、センサモジュール1をより下方に押し込むことができる。センサモジュール1の底面が基板3にある程度近接すると前記ピン61に当接する。その状態からピン61を付勢するコイルスプリング62の張力に抗して、その底面が基板3に接するところまでさらにセンサモジュール1を押し込むと、ストッパ20が図の左方向に前進しながらそのフック20Aをセンサモジュール1の上端部に係合させ、これにより図18に示したようにセンサモジュール1は基板3に固定された状態となる。
【0060】
なお、装着開始時のセンサモジュール1の挿入操作をより容易にするために、図19に想像線で示したように、基板3の固定部4の付近に凹部63を形成してもよい。あるいは、センサモジュール1の図中左側の下端部を面取形状としてもよい(前記面取形状は図示していない)。
【0061】
この発明のセンサモジュール固定装置を備えた生体成分測定装置を組み込んでなる人工膵臓装置22Aの実施形態を図20に示す。
【0062】
この人工膵臓装置22Aは、人工膵臓装置本体(図示せず。)とこの人工膵臓装置本体に着脱自在に形成された基板3とを備える。
【0063】
この基板3は、この発明に係るセンサモジュール固定装置2と、人工膵臓装置22Aを機能させるための各種の流路と、混合器40と、気液分離器41とを搭載する。
【0064】
前記基板3は、軟質の合成樹脂で形成されている。この軟質の合成樹脂に直接にセンサモジュール固定装置を取り付けるにはこの軟質の合成樹脂製の基板3は剛性が不足するので、硬質の合成樹脂又は金属等で形成された補助基板(図示せず。)を特に取り付けて、この補助基板にセンサモジュール固定装置2が取り付けられている。
【0065】
前記各種の流路として、この基板3に、(1)試料液移送流路42と、(2)体液希釈液移送流路である血液希釈液移送流路44と、(3)希釈液移送流路48と、(4)較正液移送流路53と、(5)排液移送流路55と、(6)溢流液移送流路とが、搭載される。
【0066】
図20に示したように、前記(1)試料液移送流路42は、体液採取装置であるカテーテル23に結合され、前記カテーテル23で採取された体液を含む液体を試料液として前記カテーテル23から導出する試料液導出流路23Aの先端に取り付けられたコネクタ43Aと着脱自在に取り付けられ、かつ混合器40に前記試料液を移送する試料液移送第1流路42Aと、前記混合器40から気液分離器41に試料液を移送する試料液移送第2流路42Bと、気液分離器41からセンサモジュール1へ試料液を移送する試料液移送第3流路42Cとを備える。前記試料液移送第1流路42Aは、人工膵臓装置本体に取り付けられた回転ローラ(図示せず。)によりしごかれ、この試料液移送第1流路42Aがしごかれることによってこの試料液移送第1流路42A内にある試料液が混合器40に移送される。なお、この試料液移送第1流路42Aと前記回転ローラとで、試料液移送第1流路42A内の液を移送するポンプが形成される。このようなポンプは、ペリスタルティックポンプ、しごきポンプ、ローラポンプ等であるとこの技術分野において言い慣わされている。
【0067】
前記(2)血液希釈液移送流路44は、前記カテーテル23で採取される血液を所定倍率に希釈する血液希釈液を前記カテーテル23に送液するように、基板3に搭載される流路であり、図20に示したように、一端開口部にコネクタ43Bを有するとともに他端開口部にコネクタ43Cを備え、血液希釈液貯留槽45に貯留されている血液希釈液を導出する血液液希釈液導出流路46に前記コネクタ43Bを介して着脱自在に接続され、また前記カテーテル23に血液希釈液を導入する血液希釈液導入流路47に前記コネクタ43Cを介して着脱自在に接続されるように形成された、血液希釈液を流通させる流路である。この血液希釈液移送流路44は、人工膵臓装置本体に取り付けられた回転ローラ(図示せず。)によりしごかれ、この血液希釈液移送流路44がしごかれることによって、前記血液希釈液貯留槽45内の血液希釈液を、血液希釈液導出流路46、血液希釈液移送流路44、及び血液希釈液導入路47へと移送する。ここで、前記血液希釈液は、カテーテル23において血液の凝固が発生しないようにすることを主たる目的とする。この目的を達成することができる血液希釈液として、生理食塩水、ヘパリンを含有する生理食塩水、純水及び蒸留水等を挙げることができる。
【0068】
前記(3)希釈液移送流路48は、前記混合器40に希釈液を移送する機能を有し、図20に示したように、希釈液貯留槽26に貯留されている希釈液を希釈液貯留槽26から導出する希釈液導出流路49にコネクタ43Dを介して着脱自在に接続される一端、及び前記混合器40に結合された他端とを有し、前記希釈液貯留槽26内に貯留されている希釈液を前記混合器40に向かって移送する流路である。希釈液移送流路48は、人工膵臓装置本体に取り付けられた回転ローラ(図示せず。)によりしごかれ、この希釈液移送流路48がしごかれることによって、前記希釈液貯留槽26内の希釈液を、希釈液導出流路49、希釈液移送流路48、及び混合器40へと移送する。ここで、希釈液としては、生理食塩水、純水、蒸留水等が挙げられる。
【0069】
この希釈液貯留槽26内に貯留されている希釈液は、洗浄水として使用することもできる。希釈液を洗浄水として使用するためには、この基板3には、洗浄水移送流路50が搭載される。
【0070】
この洗浄水移送流路50は、前記希釈液貯留槽26内の希釈液をこの希釈液貯留槽26から導出する希釈液導出第2流路49Aに、コネクタ43Eを介して着脱自在に接続される一端を有し、他端を第1三方弁51Aに結合する第1流路52Aと、この第1三方弁51Aと試料液移送第3流路42Cの途中に介装された第2三方弁51Bとを結合し、第1三方弁51Aから第2三方弁51Bに向かって流体を流通させる第2流路52Bとを有する。この洗浄水移送流路50は、前記希釈液貯留槽26内の希釈液を、第1流路52A、第2流路52B、前記第2三方弁51Bからセンサモジュール1までの試料液移槽第3流路42Cを通じて、センサモジュール1に希釈液を送り込むことができる。
【0071】
前記(4)較正液移送流路53は、センサモジュール1内に較正液を送り込む流路であり、図20に示したように、較正液貯留槽54内に貯留されている較正液をこの較正液貯留槽54から導出する較正液導出流路54Aに、コネクタ43Fを介して着脱自在に接続される一端を有し、他端を第1三方弁51Aに結合する較正液第1流路53Aと、前記第2流路52Bと、前記第2三方弁51Bからセンサモジュール1までの試料液移槽第3流路42Cとで、形成される。
【0072】
前記(5)排液移送流路55は、センサモジュール1内に送り込まれた流体例えば試料液、希釈液、又は較正液を排液貯留槽56に移送する流路である。この排液移送流路55は、センサモジュール1に一端が結合されるとともに他端が、排液貯留槽56に排液を導入する排液導入流路57にコネクタ43Gを介して着脱自在に接続される。この排液移送流路55は、その途中において、人工膵臓装置本体に取り付けられた回転ローラ(図示せず。)によりしごかれ、この排液移送流路55がしごかれることによって、センサモジュール1内に存在する流体を排液貯留槽562排出する。この排液移送流路55と前記回転ローラとで形成されるポンプは、第1三方弁51A及び第2三方弁51Bの切り替えにより、希釈液貯留槽26内に貯留されている希釈液を、洗浄水として、洗浄水移送流路50に吸出してセンサモジュール1に送り込み、また、較正液貯留槽54に貯留されている較正液を較正液移送流路53に吸い出してセンサモジュール1に送り込むように、動作する。
【0073】
この基板3には、試料液移送第1流路42Aから送液されて来る試料液と希釈液移送流路48から送液されて来る希釈液とを前記混合器40内で均一に混合することを目的として、この混合器40に気体例えば空気を送り込む気体流路58が、搭載される。更に、この基板3には、気液分離器41から分岐して、前記試料液と希釈液との均一混合液における余剰液を前記排液貯留槽56に送液する余剰液移送流路59が、搭載される。この余剰液移送流路59は、排液貯留槽56に排液を導入する排液導入流路60と、コネクタ43Hにより着脱自在に接続される。
【0074】
前記基板3に搭載されているセンサモジュール固定装置2に装着されたセンサモジュール1から出力される生体成分測定値に対応する電気信号は、センサ信号処理装置28に出力されるようになっている。このセンサ信号処理装置28は、前記生体成分測定値を電気信号から算出する演算装置を内蔵する。
【0075】
この基板3を人工膵臓装置本体に着脱自在とする仕組みは、人工心臓装置本体における、基板3に搭載された各種の流路と協働してポンプ例えばしごきポンプ、ローラポンプ、ペリスタルティックポンプ等の機能を発揮することができるように、しかもワンタッチで簡易に基板を人工膵臓装置本体に装着することができる限り、特に制限がなく様々の技術的様式を採用することができる。例えば、人工膵臓装置本体における基板を装着する装着面が例えば長方形である場合に、その基板の平面形状もまた長方形にしておき、前記装着面の四隅に係止部材例えばピンを設け、前記ピンを挿入することのできる挿通孔を前記基板に形成しておくと、基板における挿通孔に前記ピンを挿入することにより、基板を前記装着面に簡単な操作で装着することができる。
【0076】
この発明に係る前記人工膵臓装置の作用について、以下に説明する。
【0077】
人工膵臓装置本体における装着面にこの基板3が装着される。基板3に搭載されている各種の流路と、人工膵臓装置本体側の流路とが、コネクタにより接続される。例えば、血液希釈液導出流路46と血液希釈液移送流路44とをコネクタ43Bを介して接続し、血液希釈液移槽流路44と血液希釈液導入流路47とをコネクタ43Cを介して接続する。前記試料液導出流路23Aと試料液移送第1流路42Aとをコネクタ9aを介して一体に接続する。同様に、試料液導出流路23Aと試料液移送第1流路42Aとをコネクタ43Aを介して一体に接続し、希釈液導出流路49と希釈液移送流路48とをコネクタ43Dを介して一体に接続し、較正液導出流路54Aと較正液第1流路53Aとをコネクタ43Fを介して一体に接続し、排液移送流路55と排液導入流路57とがコネクタ43Gを介して一体に接続する。また、センサモジュール固定装置2にセンサモジュール1を装着する。このようにして、人工膵臓装置本体に基板3を一体に装着することにより人工膵臓装置を可動する準備が完了する。
【0078】
上記の準備操作についての説明から明らかなように、この発明における人工膵臓装置においては、基板3の人工膵臓装置本体への装着、基板3に搭載されている各流路と基板3の外部に存在する流路との結合、センサモジュール固定装置2へのセンサモジュール1の装着がワンタッチ操作であり、しかも流路の開口端を手指で汚染させることもない。
【0079】
第2三方弁51Bにおいては、第2流路52B側を閉状態にして、気液分離器41からセンサモジュール1までの試料液移送第3流路42Cを流通状態にしておく。カテーテル23を患者の血管に装着する。
【0080】
ポンプにおける回転ローラを回転させることにより、血液希釈液移槽流路44、試料液移送第1流路42A、気体流路58、希釈液移送流路48、及び排液移送流路55をしごくと、前記血液希釈液貯留槽45内の血液希釈液が、血液希釈液導出流路46、血液希釈液移送流路44、及び血液希釈液導入路47へと移送させ、カテーテル23に送り込まれる。カテーテル23では患者から採取された血液が、移送されてきた血液希釈液により一定の倍率に希釈されると共に、この血液希釈液によりカテーテル23内での血液の凝固が防止される。カテーテル23内で血液が血液希釈液により希釈された希釈血液が試料液として、試料液移送第1流路42Aが回転ローラでしごかれることにより、試料液移送第1流路42A中を移送されて混合器40に到る。混合器40には、希釈液移送流路48が回転ローラでしごかれることにより、希釈液貯留槽26内に貯留されている希釈液が希釈液移送流路48中を移送されて来る。また、混合器40には、回転ローラでしごかれた気体流路58を通じて気体が、気泡状態となって供給される。
【0081】
混合器40では、試料液と希釈液とが気泡により撹乱混合され、均一に混合された液が希釈試料液として試料液移送第2流路42B中を移送され、気液分離器41で気体が分離され、気体を含まない希釈試料液が試料液移送第3流路42Cを通じてセンサモジュール1に送りこまれる。
【0082】
センサモジュール1では、送り込まれてきた希釈試料液中の体液成分の濃度を測定する。この例では、体液成分測定装置が人工膵臓装置であるからセンサモジュール1はグルコースセンサとされる。グルコースセンサモジュール1としては、酵素をグルタルアルデヒドのような架橋材を用いて固定化してなるバイオセンサを挙げることができる。
【0083】
気液分離器41において溢流した希釈試料液は、余剰液移送流路59を通じて排液貯留槽56に排出される。センサモジュール1で測定を終えた希釈試料液は、排液として、排液移送流路55を通じて排液貯留槽56に排出される。
【0084】
センサモジュール1から出力され電気信号はセンサ信号処理装置28に出力され、センサ信号処理装置28にて血液中のグルコース濃度が算出される。算出されたグルコース濃度に基づき、この人工膵臓装置は、患者に投与するべきインスリン量を算定し、必要に応じて患者に算定されたインスリンが投与される。
【0085】
以上に説明した生体成分測定装置及び人工膵臓装置について一般的な説明をすると以下のとおりである。
【0086】
体液採取手段は生体成分例えば血液を採取する装置であり、例えばカテーテル、カニューレ、注射器などを用いて形成することができる。ポンプは、基板に搭載されている各種の流路と協働して、流路内で流体を流通させる機能を有し、たとえば体液を導入し、希釈液を体液の流路に供給したり、測定後の排液を排液貯留槽25に排出したりする機能を持っている。このため、ポンプは、流路の機能に応じて複数個設けられることがある。簡単な装置構成にしてコンパクトな構造の生体成分測定装置を指向するのであれば、ポンプは、部品の取り替えの容易なチューブポンプをしごくペリスタルティックポンプ、しごきポンプ、ローラポンプ等と称されるポンプが採用される。流路は、体液をはじめ、希釈液、較正液、排液などを流通させる部品であり、通常はゴム又はプラスチック製のチューブが用いられる。これらのチューブは、測定精度や衛生上の観点から、容易に取り替えができるようにされていることが好ましい。希釈液は、採取した体液例えば血液の凝固や性状変化を防止するため、採取した体液に混合することが多い。既述したように、センサモジュール固定装置は、生体成分測定装置の一部として設けられており、センサを生体成分測定装置本体に着脱可能に固定することができる。なお、生体成分測定装置は生体成分測定装置本体にセンサを装着して完成した状態となる。チューブと同様、センサも測定精度や衛生上の観点から容易に取り替えができるようにされていることが好ましい。この点、この発明の生体成分測定装置は、センサモジュール固定装置によりセンサが容易に着脱でき、自由に取り替えができる。
【0087】
この生体成分測定装置は、上述したほかにも各種の体液等の流体と接することのある付属品を備えることができる。付属品として、例えば生理食塩水槽、その生理食塩水から生理食塩水を導出する生理食塩水導出流路、生理食塩水導出流路から導出される生理食塩水をカテーテルに導入する流路、採取した体液に、必要に応じて添加する各種の添加液、例えば緩衝液を貯留する貯留槽、添加液収容槽から添加液を導出する添加液導出流路、センサを較正する較正液を貯留する較正液収容槽、較正液収容槽から較正液を導出する較正液導出パイプ、較正液をセンサに供給する較正液移送パイプ、その他の流体と接することのある器具等を挙げることができる。チューブやセンサと同様、これらの流体と接することのある付属品も測定の迅速性や衛生上の観点から容易に取り替えができるようにされていることが好ましい。
【0088】
この発明の生体成分測定装置は医療支援装置に装備することができる。すでに説明したように、例えば、生体成分測定装置の一例である血糖値測定装置を装備した医療支援装置の一例である人工膵臓装置を挙げることができる。人工膵臓装置については既に詳述したとおりである。
【0089】
この発明の生体成分測定装置の一例である血糖値測定装置は、医療支援装置の一例である人工膵臓装置に取り付けられる。人工膵臓装置における取り付け位置は、操作者が人工膵臓装置の装架台の前に立ったときに、操作者がかがむことなく立ったままで手による操作をし易い位置であることが望ましい。そして操作者が立ったままで手による操作をする場合には、この装架台は、操作者側から人工膵臓装置の正面に向かって斜め上方に向かって傾斜する装架面(搭載面とも称される。)を有することが好ましい。この装架面の形状については特に限定があるわけではないが、通常は矩形が好ましい。この装架面の水平に対する傾斜角θは、60度以上80度以下に設定するのが好ましい。このような傾斜角θをもって装架面が形成されていると、この装架面に装架した基板に装着する各種の流路内に存在する気泡を流路内の上方へと容易に移行させることができ、気泡分離を容易に行うことができるとともに、操作者から見易すく、操作もし易くなる。なお、背丈の相違する操作者のいずれにおいても操作に支障を生じないようにすることができるのであれば、例えば昇降装置によりこの装架台を上下動可能に形成することができるのであれば、人工膵臓装置の正面における操作者の目の高さ位置、又は手で操作するのに支障のない位置に前記血糖値測定ユニット2を垂直に装架することもできる。
【0090】
この装架台には、図21に示すように例えばグルコース測定装置として、流路6を装着した基板29、センサモジュール1を備えたセンサモジュール固定装置2、センサ信号処理装置28、カテーテル等の吸入装置23、希釈液貯留槽26や排液貯留槽25などの付属品とが装着されている。そして、上記の部品の内、流路6を装着したままの基板29、センサモジュール1、吸入装置23、希釈液貯留槽26や排液貯留槽25などの付属品は、装架台から容易に脱着でき、新しいものと交換ができることが好ましい。この発明においては、センサモジュール1は装架台に固定されたセンサモジュール固定装置2により容易に装着・脱着が可能である。また、カテーテルや付属品としての各種の貯留槽(タンクとも称される。)は交換可能となっているのが普通である。流路6は基板29上にまとめて装備し、基板29ごと交換可能としておくことが好都合である。このようにしておくと、この人工膵臓装置の操作者が、血液等の体液に触れる心配なく、短時間に、容易に流路6やセンサモジュール1を交換できる。結果として、人工膵臓装置をほとんど停止することなく連続的に使用することができる。
【0091】
この発明に係る例としての血糖値測定装置を装架台に装着し、流路6を基板29上に装着しておいたときに、流路6と協働して、流路内に存在する流体を一方向に移送することができるポンプ、例えばチューブポンプを採用することができる。一例を挙げると、流路内の流体例えば血液、希釈液、緩衝液、排液等を所定の部位に向けて移送するように、例えば血液移送用の流路6を形成する柔軟なパイプをしごくローラを備え、流路6に対してしごき作用を有する回転しごきポンプを挙げることができる。なお、流体例えば柔軟パイプとこの柔軟パイプをしごくローラと回転軸との組み合わせを有する回転しごきポンプはローラポンプとかチューブポンプとも称される。
【0092】
上述のチューブポンプは、流体を移送すべき流路としてのチューブを平行に並べておき、一本の回転軸に、この回転軸の軸線に平行な軸線を有する長尺の複数本のローラが、軸支されていて、この長尺のローラと垂直に並べられたチューブに対するしごき運動により、流体を移送する必要のある全ての流路内の流体が移送されることができるようにすることができる。このようなチューブポンプの集合体をマルチポンプと呼ぶ。なお、流路内を移送される流体の単位時間あたりの流量は、チューブをしごく体積すなわちチューブの断面積及びローラの回転速度、換言すると単位時間あたりのチューブをしごく長さにより決定される。つまり、このマルチポンプで流体を移送するときの流量は、それぞれの流路の内径を調整することにより、適宜に決定することができる。
【0093】
基板29は、各種の流路を装着することができる限りその材質に特に制限がなく、この実施形態においては、硬質の合成樹脂製であり、場合によっては軟質で柔軟な軟質合成樹脂製であってもよい。基板29は、例えば装架台の装架面の適宜の位置に立設形成された固定ピンを挿通する固定用孔を設けて装着すればよい。そうすれば、簡単にワンタッチで装架台にこの基板29を装架することができる。この基板29には、グルコース測定流路、較正液送液流路、希釈液送液流路及び排液流路などに他に流路切り替えバルブや液体混合装置が装着されていてもよい。基板29には、配設された各種の流路をチューブポンプのローラがチューブをしごくことができるように、チューブしごき部を設けておくとよい。
【0094】
血糖値測定装置の場合、流路6に結合されるグルコースセンサモジュール1は、酵素溶液を塗布し、グルタルアルデヒドのような架橋材を用いて、固定化してなるバイオセンサを挙げることができる。
【0095】
図21に示すように、希釈液は、希釈液貯留槽26から流路6により移送されカテーテル等の血液の体液採取装置(吸入装置とも称される。)23に導かれ、血液を希釈することができ、更に好ましくは、グルコースセンサモジュール1に供給される試料液のpHを一定に維持することのできる液であればよく、例えばリン酸緩衝液を例示することができる。リン酸緩衝液のような液は単に緩衝液とも称される。したがって、この実施形態における希釈液は緩衝液であるとも言える。希釈液として緩衝液を使用すると、緩衝液により試料液のpHが一定に維持されるので、pHに対する感度の鋭敏なグルコースセンサモジュール1で安定した血糖値測定を行うことができる。希釈液貯留槽にヘパリン含有の生理食塩水を準備して、ヘパリン含有の生理食塩水を、希釈液の代わりに、あるいは希釈液と同時に吸入装置23に移送して試料液を希釈してもよい。血液はヘパリン含有生理食塩水を加えることにより凝血を防止することができる。
【0096】
この発明の血糖値測定装置22においては、図20に示すように較正液タンクを必要としない。この血糖値測定装置22はセンサモジュール1の精度が保てなくなったらすぐにセンサモジュール1を交換することを前提としているからである。しかし、場合によっては、生体成分測定装置用のセンサモジュール1が高価であったり、取り替えることができない場合もある。そのような場合は、図19に示すように、流路6中に切り替えバルブを設け、較正液タンク27を設け較正液と測定用資料液とを切り替えて、センサモジュール1に較正液を供給できるようにしておくことが好ましい。
【0097】
以下に、この発明の生体成分測定装置の例としてセンサモジュール固定装置を備えた血糖値測定装置の作動について、図21を参照にしながら説明する。
(1)グルコースを測定する際の作動
まず、測定前にこの発明のセンサモジュール固定装置2を備えた生体成分測定装置22の例として血糖値測定装置22の本体である装荷台に基板29及び希釈液貯留槽などの必要な付属品を取り付ける。次に、血糖値測定装置22のセンサモジュール固定装置2に較正済みのセンサモジュール1を取り付ける。センサモジュール1は、上述した方法でセンサモジュール固定装置2にワンタッチで取り付けることができる。次いで、基板29の各流路の端部を、それぞれ、付属品であるタンク類、吸入装置23などに接続し、各流路が漏れないように接続されていることを確認する。流路6とセンサモジュール1とは、センサモジュール1をセンサモジュール固定装置2に装着したときに接続されている。他の流路の接続は、それぞれワンタッチコネクタを用いれば好適である。このようにして、血糖値測定装置22の運転準備は完了する。血糖値測定装置22が人工膵臓装置に配置されている場合は、これで、人工膵臓装置の配管接続作業が終了する。このように各部品をユニット化しておくと、各流路をそれぞれ個別に配管する必要がなく、配管等の作業を簡略化でき、作業性を向上させることができるうえ、例えば、配管等の汚れが原因となる不衛生な操作をすることが少なくなる。また、各流路を血糖値測定装置22の装架台に備えられた前記チューブポンプに容易に一度にセットすることができる。
【0098】
このようにして構成された血糖値測定装置22の測定を開始するため、カテーテルを患者の体内に留置する。次いで、図20に示したように、希釈液貯留槽26からダブルルーメンカテーテルであるカテーテル(吸入装置)23へとヘパリン含有生理食塩水が送液される。また、このカテーテル23により採血された血液は、カテーテル23内でヘパリン含有生理食塩水と血液とが混合される。カテーテル23内のヘパリン含有血液が試料液として、チューブポンプ24により流路6内を移送されセンサモジュール1に導かれる。試料液は、グルコースセンサモジュール1内で、グルコース濃度が測定される。なお、測定されたグルコースの量のデータは、センサモジュール1から発信される信号としてセンサ信号処理装置28により処理され、表示、記録等がなされる。一方、測定の終わった試料液は、グルコースセンサモジュール1外へ排出される。排出された試料液は、排液移送用の流路6内を移送される。移送された試料液は、排液貯留槽25に達し貯留される。
【0099】
したがって、この実施形態においては、血糖値測定装置22は、基板29と、グルコースセンサモジュール1と付属品とを取り付けるだけで、各流路6をそれぞれ個別に配管する必要がなく、配管等の作業を簡略化でき、作業性を向上させることができる。また、配管等の作業が簡略化されるので、例えば、配管等の汚れが原因となる不衛生な操作をすることが少なくなる。したがって、作業性を向上させることができ、衛生的に操作して血糖値を測定することのできる血糖値測定装置22を提供することができる。
【0100】
このようにして、患者のグルコース測定が終了したら、体内に留置されたカテーテル23を取り出し、必要により、前記カテーテル23及び各流路6に存在する患者の血液を前記排液貯留槽25に排出した後、基板29の各流路6を、それぞれ、カテーテル23、希釈液貯留槽26、較正液タンク27及び排液貯留槽25から取り外す。このあと、血糖値測定装置22から基板29を取り外し、測定終了作業が終了する。
(2)グルコースセンサモジュール1を取り付ける際の動作
血糖値測定装置22本体にセンサモジュール1を取り付けるのは、3つの場合がある。まず、第一は、上述のように血糖値測定装置22の測定を開始するための準備としての取付けである。第二は、測定中にセンサモジュール1の精度が落ちたりして使用不能となった場合の、センサモジュール1交換のための取り外し、及び取付けである。最後は、体液のサンプルの測定対象項目などを変更するための別の種類のセンサモジュール1への交換である。第一のセンサ取付けはすでに説明した。第二のセンサ交換のためのセンサモジュール1の取り外し、取付けは、従来の血糖値測定装置においては実施していない操作である。従来の血糖値測定装置の操作においては、測定中にセンサモジュール1の精度が落ちたりして使用不能となった場合は、測定を中断して較正液を用いてセンサを較正してから測定を再開していた。しかし、このような較正操作は、熟練と時間を要し、満足な連続測定ができない場合があった。この発明の血糖値測定装置は、センサモジュール1をワンタッチで取り外し、取付けが可能であるので、血糖値測定装置22は一時的に短時間測定停止するだけですぐに測定を再開できる。このため、この発明の血糖値測定装置はほとんど連続的に測定を続けることができる。また、特に熟練を要する操作でもない。
さらに、第三のセンサ交換のケースとして、この発明の血糖値測定装置特有の効果が期待できる。この発明の血糖値測定装置においては、センサモジュール1の形状を同じにしておけば、異なった種類の測定項目のセンサ同士でも簡単に交換ができる。このため、ひとつの血糖値測定装置で、グルコース濃度だけでなく、試料液のpHや塩分濃度、酸素濃度などさまざまな測定ができる。すなわち、この場合は、血糖値測定装置22ではなく、生体成分測定装置22と呼ぶにふさわしい。この生体成分測定装置22においては、ひとつの試料液について各種の成分や物性が測定できるだけでなく、異なった試料液に対しても各種の測定項目を測定できる。
【0101】
なお、衛生面の基準が厳しい医療現場等で使用する際には、上記センサモジュール1や流路6を配置した基板29は、使用段階までは、包装材例えば袋により内外遮断状態にして包装して包装体として輸送、取扱い等をすることが好ましい。これらの包装体は、包装体中に収納する前に例えばエチレンオキサイドで滅菌されてもよく、包装体中に収納してから包装体ごと滅菌されてもよく、あるいは、加熱、紫外線照射等の通常の滅菌方法等によって、滅菌されてもよい。前記包装材は、センサモジュール1や基板29を収納することができればよく、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂製の袋等が挙げられる。
【0102】
このような包装体によれば、収納されているセンサモジュール1や基板29が滅菌されているので、包装体に内包されているセンサモジュール1や基板29を取り出して生体成分測定装置本体に装着することにより生体成分測定装置を稼動させることができ、また、生体成分測定装置の稼動終了後には使用済みのセンサモジュール1や基板29を生体成分測定装置本体から取り外して、廃棄するので、操作性が良好で、衛生的で、操作者が患者の血液等の体液に接触する機会も少なくなり、安全な生体成分測定装置が提供される。
【0103】
ここで説明した実施形態における生体成分測定装置は、血液中のグルコースを測定しているが、グルコースを測定することができる血液以外の体液を測定してもよい。このような体液としては、例えば、尿、汗、細胞間質液等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0104】
1:センサモジュール
1A:裏面
1B:右側面
1C:左側面
1D:段差部
2:センサモジュール固定装置
3:基板
4,4A,4B,4C:固定部
5:弾性体
5A:電極端子を備えた弾性体
6:流路
6A:開口端部
7:コネクタ
8:流体出入口
9:電極端子
10:Oリング
11:電極端子
12:リード線
13:セル
14:弾性体
15:操作レバー
15A:操作部
15B:把手
16B:押圧片
16C:支持部材
16D:先端部
17A:支持軸
17B:支持軸
17C:支持軸
17D:支持軸
18:案内長孔
19:蓋部材
20:ストッパ
20A:フック
21:スプリング
22:生体成分測定装置
22A:人工膵臓装置
23:生体採取手段
23A:試料液導出流路
24:ポンプ
25:排液貯留槽
26:希釈液貯留槽
28:センサ信号処理装置
30:挿入雌型傾斜面
31:挿入雄形傾斜面
40:混合器
41:気液分離器
42:試料液移送流路
42A:試料液移送第1流路
42B:試料液移送第2流路
42C:試料液移送第3流路
43A、43B、43C、43D、43E、43F、43G、43H:コネクタ
44:血液希釈液移送流路
45:血液希釈液貯留槽
46:血液希釈液導出流路
47:血液希釈液導入路47
48:希釈液移送流路
49:希釈液導出流路
49A:希釈液導出第2流路
50:洗浄水移送流路
51A:第1三方弁
51B:第2三方弁
52A:第1流路
52B:第2流路
53:較正液移送流路
53A:較正液第1流路
54:較正液貯留槽
54A:較正液導出流路
55:排液移送流路
56:排液貯留槽
57:排液導入流路
58:気体流路
59:溢流液移送流路
60:排液導入流路
61:ピン
62:コイルスプリング
63:凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体成分を含有する生体成分含有液を導入する生体成分含有液導入口、導入された生体成分含有液中の生体成分を測定するセンサ、及び生体成分含有液を導出する生体成分含有液導出口を備えたセンサモジュールを、生体成分含有液を送り出す生体成分含有液送出口と前記生体成分含有液導入口とを結合し、かつ、生体成分含有液を迎え入れる生体成分含有液受容口と前記生体成分含有液導出口とが結合するように、押圧力により固定する固定手段を備えて成ることを特徴とするセンサモジュール固定装置。
【請求項2】
前記センサモジュールは、前記生体成分含有液導入口及び生体成分含有液導出口を同一面において開口する開口面部を有し、前記固定手段が、前記センサモジュールにおける前記開口面部とは反対側に位置する後端部に前記センサモジュールを前進可能にする押圧力を加える押圧力付加部材を有して成る前記請求項1に記載のセンサモジュール固定装置。
【請求項3】
前記押圧力付加部材は、押圧力を発揮する弾性体を有して成る前記請求項2に記載のセンサモジュール固定装置。
【請求項4】
前記押圧力付加部材は、前記開口面部とは反対側の後端部を押圧する押圧部材と、前記押圧部材によるセンサモジュールに対する押圧動作を解除する押圧力解除部材とを備えて成る前記請求項2に記載のセンサモジュール固定装置。
【請求項5】
前記センサモジュールは、前記生体成分含有液導入口及び生体成分含有液導出口を一面に開口する開口面部を有し、前記固定手段が、前記生体成分含有液送出口と前記生体成分含有液受容口とを同一面に開口するとともに前後進可能に形成された流路開口面部を、前記センサモジュールの前記開口面部に向って前進可能にする押圧弾性部材を有することを特徴とする前記請求項1に記載のセンサモジュール固定装置。
【請求項6】
前記固定手段で前記センサモジュールを固定したときに、前記センサモジュールに設けられるとともにセンサから出力される信号を取り出すセンサ側端子に接触する接続端子を備えて成る前記請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサモジュール固定装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のセンサモジュール固定装置を備えた生体成分測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の生体成分測定装置を備えたことを特徴とする人工膵臓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−240311(P2010−240311A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95195(P2009−95195)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】