説明

センサ付き運搬容器,測定装置、運搬容器の環境条件監視システム,およびそれらを用いた運搬方法

【課題】運搬物の振動または温度などの環境条件を測定し,そのデータを随時遠隔地で参照する手段を提供する.さらに,車載運搬時だけでなく,車載運搬の前後で起こる可能性がある手持ち運搬時も含めて一貫で環境条件を測定し,そのデータを随時遠隔地で参照する手段を提供する.
【解決手段】手持ちまたは肩掛け用の保持具を付けた運搬容器に,振動または温度を測定するセンサ,記憶手段,複数種類のデータ送信手段を設け,測定したデータをサーバ装置へ送信し,サーバ装置でデータを配信する.

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬物の振動または運搬物の内外部の温度などの環境条件を測定して、それらの環境条件を遠隔地より監視するための装置,方法あるいは遠隔地より環境条件を監視しながら運搬物を運搬する方法に関するものである.特に,車両で付近地まで運搬し,その前段階またはその後段階で手作業による運搬を行う一貫運搬作業において,運搬物の振動または温度などの環境条件を測定する装置,方法あるいは運搬方法に関する.
【背景技術】
【0002】
運搬物が過剰な衝撃や適切な温度範囲を外れた場合に障害を起こす場合があり,これまで運搬物の衝撃や温度を測定する装置や方法が利用されてきた.
もっとも一般的な方法は,運搬物と同梱した装置で衝撃や温度を測定し,そのデータをメモリに記録しておいて,運搬後、そのデータを取り出して運搬中の状態を確認する方法である.この方法では,出荷から着荷まで全工程における状態を測定して把握することができる.
ところがこの方法では,運搬が完了しないと状態を確認することができないという問題がある.また,遠隔地にいる人が状況を把握することはできない.
また,特許文献1には,運搬時の携帯型電子機器装置の機能や性能、および寿命などを保証するために、その携帯型電子機器装置の使用環境データとして、衝撃力あるいはひずみ力を測定することに加え,測定値が許容範囲を外れた場合に,警告を出したり,稼働中の装置を停止させたりする方法が開示されている.この方法でも,運搬途中に遠隔地で状況を把握することはできない.
また,特許文献2には,運搬物を車載して運搬するときに,車載の情報処理装置によって運搬物に加わる振動を測定しそのデータを処理する方法が開示されている.振動とともにGPSを用いて位置を検出し,当該位置の周辺施設に関する情報を得る方法も開示されている.また,外部への通信装置を用いて外部へデータを配信し,外部でデータを参照する方法も開示されている.しかし,トンネルや建物などが障害となって無線などの通信が途絶える場合の対策方法は開示されていない.
【特許文献1】特開平8−43425号公報
【特許文献2】特開2003−232888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明で解決しようとする課題は,運搬物の振動または温度などの環境条件を測定し,そのデータを随時遠隔地で観察することを支援する手段を提供することである.
さらに,車載運搬時だけでなく,車載運搬の前後で起こる可能性がある手持ち運搬時も含めて一貫で環境条件を測定し,そのデータを随時遠隔地で観察することを支援する手段を提供することである.
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の代表的なものの一例を示せば以下の通りである。即ち、運搬物を運搬するための運搬容器に,振動または温度を測定するセンサと,該センサで測定した測定データをメモリに記録する記憶手段と,該記憶手段に記録したデータを読み出してそのまま,または加工したデータを転送先装置へ複数種のデータ通信方法で送受信するデータ送受信手段と,手持ちまたは肩掛け用の保持手段と,を付与することによって解決される.
また,運搬容器に設置した振動または温度を測定するセンサと,該センサで測定した測定データをメモリに記録する記憶手段と,該記憶手段に記録したデータを読み出してそのまま,または加工したデータを転送先装置へ複数のデータ通信方法で送受信するデータ送受信手段と,該データ送受信手段によって送信されたデータを受信する第2のデータ送受信手段と,該第2のデータ送受信手段で受信したデータをメモリに記録する第2の記憶手段と,該第2の記憶手段に記録したデータを読み出してそのまま,または加工したデータをネットワークへ配信する配信手段とを備えた運搬容器の環境条件監視システムによって解決される。
【0005】
また,車両で付近地まで運搬し,その前段階またはその後段階で手作業による運搬を行う一貫運搬作業において,車両による運搬時に運搬物または運搬容器の振動または温度を継続的に測定し,転送先装置へ送信するステップと,手作業による運搬時に運搬物または運搬容器の振動または温度を継続的に測定し,転送先装置へ送信するステップと、によって運搬を行うことによって解決される.
【発明の効果】
【0006】
本発明の運搬容器,測定装置,データ処理装置,運搬方法を利用すると,運搬中の振動,衝撃,温度変化などの継続的な把握が容易になる.特に,手持ちで運搬する工程も含めて,遠隔地でも随時把握可能になるという利点がある.
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は,本発明を実施する好ましいシステムの構成図である.図1を用いて,本発明を実施する装置の概要を説明する.
運搬容器(100)は,運搬物を入れて運搬するための容器である.容器には,少なくとも振動や衝撃を測定するための加速度センサ,温度を測定する温度センサ(101,102)と,センサで測定したデータを処理する処理装置1(105)が備えられている.センサは,容器の内側および外側に装着することによって,運搬物が置かれている温度、振動、または衝撃などの環境を測定する.容器が断熱性を有している場合,運搬物の温度を測定するため容器の内側にセンサを装着する.また断熱性を確認するためには,内側だけでなく,外側にも装着するのが好ましいが,本発明は装着位置を限定するものではない.
センサによる測定値は,たとえば図6,図7のようになる.図6は,振動測定のための加速度を測定したデータを模擬したものである.加速度の値は,両側に振れるので,正負を行き来する値となる.図7は,温度を測定したデータを模擬したものである.温度は,絶対値は大きくは変わらず,比較的緩やかな動きとなる.
運搬容器は,車両などで運搬するときは荷台などに固定するのが好ましい.また,車両による運搬の前後で手持ちで運搬するときには,取っ手や肩掛けを装着するのが好ましい.容器に取っ手類を装着することが困難な場合,容器を多重にして外側の容器に装着する方法もある.この場合,外側の容器は布などの薄い素材で作成した袋状のものが好ましい.また容器をひもやロープで固縛し,手持ち部分を作成するのも現実的な方法である.
手持ち手段について言及したのは,手持ちの運搬については注意が必要なためである.振動や温度に敏感な運搬物を運搬する場合,運搬車へ搭載しているとき以上に,手持ちで運搬しているときに,落下,衝突などを起こしやすいし,衝撃でふたが開いて温度変化が大きくなるなどのことが起こりやすい.
処理装置1(105)の詳細は後述するが,センサで測定されたデータを処理し,サーバ装置(110)中の処理装置2(115)へそのデータを送信する.このデータ転送は,無線方式で行うことが好ましいが,距離が離れた場合,建物の影になった場合,トンネルなどを通過する場合など,通信が途絶える可能性があるので,後述するように複数種類の通信方式を完備している.
サーバ装置(110)は,運搬車両上,または地上に設置された装置であり,処理装置2(115)を有している.処理装置2(115)は,処理装置1(105)から送信されるデータを受信し,そのデータをそのまま,または加工してネットワーク網(130)へ配信する.ネットワーク網との接続方法は特に限定することはなく,無線方式でも有線方式でもかまわない.
処理装置4(140),処理装置5(150)は,運搬物の発送者,受領予定者,運搬者などの下に設置されており,ネットワーク網(130)へ配信されたデータを受信して,出力するものである.ここでもネットワーク網との接続方法は特に限定することはなく,無線方式でも有線方式でもかまわない.
これらの装置によって,センサで測定されたデータが,処理装置4(140),処理装置5(150)で随時参照できる.
図3は,運搬容器(100)の処理装置1(105)の詳細構成を示す図である.センサ1(101)で測定されたデータは,処理装置1(105)中の測定装置1(1051)で受信され,処理装置11(1053)へ送信される.測定装置1(1051)では,センサの種類によっては,アナログデータをデジタルデータに変換する処理,比例関係のない特性のデータを比例関係に正規化するといった処理を行うことがある.処理装置11(1053)では,受信されたデータをそのまま,または加工して記憶装置1(1054)へ記録する.
記憶装置1(1054)の容量に余裕があればすべてのデータを記録して置くのが好ましいが,容量が不足しそうになったら,以下のような対処を行う.第1の方法は,古いデータから順次削除する方法である.第2の方法は,サーバ装置(110)中の処理装置2(115)へ送信済みのデータを削除する方法である.第3の方法は,記録済みのデータを加工し,平均値,最大値,最小値などの代表値だけ残すとか,サンプルデータだけ残すといった方法である.また,これらの方法を組合わせる方法もある.
センサ2(102)で測定されたデータも,同様に処理装置1(105)中の測定装置2(1052)で受信され,処理装置11(1053)へ送信される.測定装置2(1052)の処理は,測定装置1(1051)と同一のものでも良いし,異なっても良い.処理装置11(1053)の処理は上述の通りである.
この処理の手順を,図11で説明する.まず測定が開始(301)されると,測定装置1(1051)でデータの測定(302)が行われる.次に処理装置11(1053)でデータの処理(303)が行われる.次に記憶装置1(1054)へ記録される(304).ここでスイッチが切られるなど測定が完了すると,処理手順が完了(306)するが,そうでないと,以上の処理を繰り返す(305).
記憶装置1(1054)へ記録されたデータは,処理装置12(1055)によって読み出せれ,そのまま、または加工されて,送受信装置1(1057){送受信装置は、送信装置と受信装置より構成される。送信装置によってデータを送信した後、受信装置によって、相手側より受信完了信号などを受信する。}によって送信される.仮に電波が届かない,接続線が切れているなどの原因で相手先の送受信装置が受信できない場合,処理装置12(1055)は,相手先からの受信完了信号が受信されて通信が可能になるまで、同一送信データの送信を繰り返す。そして、相手先からの受信完了信号が受信されると、次の送信データ処理を続行する.
同様に,記憶装置1(1054)へ記録されたデータは,処理装置13(1056)によって読み出せれ,そのまま、または加工されて,送受信装置2(1058)によって送信される.仮に電波が届かない,接続線が切れているなどの原因で相手先の送受信装置が受信できない場合,処理装置13(1056)は,同様に、相手先からの受信完了信号が受信されて通信が可能になるまで、同一送信データの送信を繰り返して,データ処理を続行する.
この処理の手順を図12で説明する.まず送信が開始される(401)と,記憶装置1(1054)に記録されたデータの最初のデータを指定(i=1)して(402)、記憶装置1(1054)から送信データD(i)が取り出される(403).次にそのデータを送受信装置1(1057)で送信する(404).送受信装置1(1057)から送信結果のデータを取り出し,正常に送信されたかどうか、即ち、相手先から受信完了信号が受信されたかを判定し(406),相手先より受信完了信号が受信されなかったときは再度試行を行う.正しく送信が行われた場合は,送信が完了した位置(i)を記憶装置1(1054)に記録しておく(407).スイッチが切られるなど処理が完了すると,処理手順が完了(409)するが,そうでない場合は次の送信データD(i+1)の送信処理を繰り返す.記憶装置1(1054)に送信するべきデータがなくなったときは,送信データ取り出し(403)のステップでデータを取り出すことができないので,このステップで新たなデータが記録されるのを待つ.
2組の処理装置および送受信装置は,同様の処理を行うが,本発明では,処理装置におけるデータの加工方法またはデータの通信方式に違いを持たせるのが好ましい.たとえば一方の処理装置ではそのままのデータを転送することとし,もう一方の処理装置ではサンプルデータだけを転送するといった具合である.また,一方の送受信装置では携帯電話に接続してW-CDMA方式で通信し,もう一方の送受信装置ではIEEE802.11シリーズに基づいた無線LANを用いて通信するといった具合である.さらに有線方式などの通信も利用して3組以上で構成しても良い.
ここで、W-CDMA (Wideband Code Division Multiple Access)方式とは第三世代携帯電話の無線アクセス方式の一つであり、広い周波数帯域 (1.25,5 MHz) を使用した、FDD-CDMAの無線インターフェースを採用している。使用される周波数帯は、日本をはじめとする欧州やアジアなど各国は2100MHz帯である。W-CDMAの特徴は、その名のとおり広い帯域を使用することで、データ転送速度や通話音質を高めるというメリットがられる。原理的にCDMA方式では、一度に使用する帯域(拡散帯域幅)を広くとるほどデータ転送速度も高めやすい。
【0009】
また、IEEE 802.11は、1997年にIEEEで最初に規格統一された無線LAN規格。物理レイヤ規格とMACレイヤ規格から主に構成され、一つのMACレイヤ規格で複数の物理レイヤ規格をサポートするのが特徴である。2.4GHz帯の無線だけでなく、赤外線の物理レイヤもサポートする規格。伝送速度は1〜2Mbpsで、伝送距離は100m程度。基本的にはデータ伝送に用いる媒体としてケーブルのかわりに電波を用いるという違いがあるだけで、物理層より上の層は有線LANと同じプロトコルを用いることができる。しかし、有線に比べて無線の伝送効率ははるかに低いため、有線LANと異なったCSMA/CAというアクセス制御が用いられ、ビット誤り率の低いスペクトラム拡散方式が用いられる。IEEE802.11では、「ダイレクトシーケンススペクトラム拡散(DSSS)方式」と「周波数ホッピングスペクトラム拡散(FHSS)方式」の2つの変調方式が用意されている。
【0010】
このように特性の異なる方式で送信を行うと,基本的な構成が同一でも,それぞれが異なる挙動を生じることになる.たとえば比較的遠距離でも通信できるが通信速度が遅い方式でサンプルデータの送信を行い,比較的近い距離しか通信できないが通信速度が速い方式で生データの送信を行うと,以下のような挙動が起こる.送信装置と受信装置が近いときは,サンプルデータ,生データともに送信される.送信装置と受信装置が離れると,後者の通信ができなくなり,サンプルデータは送信されるが,生データは送信されなくなる.さらに送信装置と受信装置が離れると,両方のデータともに送信されなくなる.再び送信装置と受信装置を近づけると,サンプルデータだけが送信される状態になる.このときは,送信できずに記憶装置1(1054)に記録されていたデータが加工されて,一気に送信され,しばらくすると受信装置にはすべてのサンプルデータが受信されることになる.さらに送信装置と受信装置を近づけると,もう一方の通信も可能になり,生データが送信される.このときは,送信できずに記憶装置1(1054)に記録されていたデータがそのまま,一気に送信され,しばらくすると受信装置にはすべての生データが受信されることになる.
上記の挙動を,図8,9,10の模式図で説明する.これらの図は,横軸が時刻を表している.上部の小さな円の部分(801,901,1001)は,センサで測定した時点におけるデータを表している.センサで測定されたデータは,斜め下へ下がる矢印(802,902,1002)のように,処理装置1(105)から処理装置2(115)へ送信される.また下部の円の部分(803,903,1003)は,受信装置に届いた時点のデータを表している.
図8では,測定されたすべてのデータ,すなわち生データが随時送信され,4つのデータが転送されたところで通信が途絶えて送信できなくなり,途中で再び通信が可能になって,記録されていたデータが順次送信され,最後に,最初と同様に測定されたデータが順次送信されている,ということを表している.図8,9,10の各図中で縦線にて表す参照時刻(805)の時点で見ると,ハッチングを付けた時点のデータのみが送信されたことになる.図9では,送信自体は図8の場合と同様であるが,処理装置12(1055)または処理装置13(1056)によってデータがサンプリングされ,測定2回に1回のデータだけが送信されている.この図でも,途中に通信切断時間(904)があって,通信が可能になった段階で,記録されていたデータが順次送信されていることを表している.参照時刻(805)の時点で見ると,ハッチングをつけた時点のデータのみが送信されたことになる.図10は,図8,図9の2種類のデータ送信が同時に行われた状態を足し合わせた模式図である.まず,両方の通信が可能な最初の状態では,図8の生データの方がデータが充実している.その後,生データを送信している図8の方が先に通信が途絶えると,図9に示すサンプリングデータだけが送信される.そして,両方の通信が途絶えると,データの送信は行われない.その後図9のサンプリングデータの送信が再開され,縦線が表す参照時刻(805)になった状態では,測定時点(1001)のうち,ハッチングをした時点のデータだけが送信されている.このように,複数種類の送信手段を利用すると,1種類による送信よりも,多くのデータを送信することができ,より実態に近いデータを参照することができることになる.
図4は,サーバ装置(110)中の処理装置2(115)の詳細構成を表す図である.送受信装置3(1151)は,送受信装置1(1057)から送信されたデータを受信し,記憶装置2(1153)へ記録する.同様に,送受信装置4(1152)は,送受信装置2(1058)から送信されたデータを受信し,記憶装置2(1153)へ記録する.処理装置31(1154)は,記憶装置2(1153)に記録されたデータを読み込み,そのデータをそのまま,または加工して,配信装置31(1155)へ転送する.記憶装置2(1153)には,たとえばサンプルデータと生データというように,複数種類のデータが記録されている可能性があるが,どちらをどの範囲で配信するかは,別途指示が行われる.最も好ましい実施例では,配信装置31(1155)がWEB方式で外部ネットワークへ接続されていて,接続先の処理装置4(140)や処理装置5(150)から入力される指示データに基づいて,データの選択,データの範囲指定,加工処理などを行って,その結果のデータが配信される.ただし,本発明はこの方式に限定するものではない.
ここでは,運搬に限定して実施例を説明したが,機器の稼動情報や保守情報の収集など,測定データを送信する必要があり,切断する可能性のある通信手段でそのデータを送信する場合には同様の処理装置の構成が利用できる.機器を移送させて利用する場合に限らず,固定されていても電波の通信条件が悪い場合など,挙動は同一になる.
【実施例2】
【0011】
第2の実施例は,図2に示すように,第1の実施例に付加する形で,運搬容器(100)とサーバ装置(110)の間に,処理装置3(125)を有するバッファ装置(120)を設けるものである.この実施例は,サーバ装置(110)を地上の建物中などに設置し,バッファ装置(120)を運搬車両中に設置しておいて,運搬容器で測定したデータを運搬車両中のバッファ装置(120)を介して地上のサーバ装置(110)へ送信する方式を意図している.
この方式だと,運搬容器(100)が運搬車両中にある場合はバッファ装置(120)と近いため,比較的高速な通信が可能になる.そして,運搬容器(100)を手持ちで運搬して配達先へ移動すると,途中で通信が途絶える可能性はあるが,運搬容器中の運搬物を配達先で下ろして,運搬容器(100)を運搬車両まで持ち帰ると,実施例1と同様な挙動で,運搬車両から配達先までの往復の間の運搬容器の振動や温度の変化のデータがバッファ装置(120)へ送信される.
同様に,運搬車両中に設置したバッファ装置(120)中の処理装置3(125)から地上に設置したサーバ装置(110)中の処理装置2(115)へのデータ送信も,通信状況によって途中で通信が途絶える可能性はあるが,通信が回復した段階ですべてのデータが送信される.
実施例2の詳細な構成を説明する.図3の運搬容器(100)中の処理装置1(105)中の送受信装置1(1057)からはデータが図2中のバッファ装置(120)中の処理装置3(125)中の図5の送受信装置5(1251)に送信される.同様に,図3の運搬容器(100)中の処理装置1(105)中の送受信装置2(1058)からはデータが図2中のバッファ装置(120)中の処理装置3(125)中の図5の送受信装置6(1252)に送信される.このときにデータ送信の挙動は,実施例1の場合と同様である.
図5に示す処理装置3(125)では,送受信装置5(1251)で受信したデータは記憶装置3(1253)へ記録される.同様に,送受信装置6(1252)で受信したデータは記憶装置3(1253)へ記録される.また,記憶装置3(1253)に記録されたデータは,処理装置21(1254)によって読み出され,そのまままたは加工されて,送受信装置7(1256)から送信される.同様に,記憶装置3(1253)に記録されたデータは,処理装置22(1255)によって読み出され,そのまままたは加工されて,送受信装置8(1257)から送信される.
さらに,送受信装置7(1256)からはデータが図2中のサーバ(110)中の処理装置2(115)中の図4の送受信装置3(1151)に送信される.同様に,送受信装置8(1257)からはデータが図2中のサーバ装置(110)中の処理装置2(115)中の図4の送受信装置4(1152)に送信される.
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明の運搬容器に運搬物を入れて運搬すると,運搬時の振動,温度などの環境条件が測定され,サーバ装置に送信され,ネットワーク接続された各地の処理装置からそのデータが参照でき,運搬作業の状況把握に適用できる.また,機器の稼動状況など,測定したデータを遠隔地で随時参照する場合に適用できる.
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1のシステムの全体構成を示した図である.
【図2】本発明の実施例2のシステムの全体構成を示した図である.
【図3】運搬容器および処理装置1の詳細構成を示した図である.
【図4】サーバ装置中の処理装置2の詳細構成を示した図である.
【図5】バッファ装置中の処理装置3の詳細構成を示した図である.
【図6】測定データを模式化した図である.
【図7】測定データを模式化した図である.
【図8】測定データの送信の挙動を示した模式図である.
【図9】測定データの送信の挙動を示した模式図である.
【図10】測定データの送信の挙動を示した模式図である.
【図11】処理装置1のデータ測定に関する部分の処理手順を示した図である.
【図12】処理装置1のデータ送信に関する部分の処理手順を示した図である.
【符号の説明】
【0014】
100…運搬容器、 101…センサ1、 102…センサ2、 105…処理装置1、
110…サーバ装置、 115…処理装置2、 130…ネットワーク、
140…処理装置4、 150…処理装置5、 120…バッファ装置、 125…処理装置125、 1051…測定装置1、 1052…測定装置2、 1053…処理装置11、 1054…記憶装置1、 1055…処理装置12、 1056…処理装置13、
1057…送受信装置1、 1058…送受信装置2、 1151…送受信装置3、
1152…送受信装置4、 1153…記憶装置2、 1154…処理装置31、
1155…配信装置31、 1251…送受信装置5、 1252…送受信装置6、
1253…記憶装置3、 1254…処理装置21、 1255…処理装置22、
1256…送受信装置7、 1257…送受信装置8、 801…センサで測定した時点、
802…データの送信を表す矢印、 803…受信装置に届いたデータの時点、 804…通信切断時間、 805…参照時刻、 902…センサで測定した時点、 802…データの送信を表す矢印、 903…受信装置に届いたデータの時点、 904…通信切断時間、
1001…センサで測定した時点、 1002…データの送信を表す矢印、 1003…受信装置に届いたデータの時点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬物を運搬するための運搬容器であって,
少なくとも振動または温度を測定するセンサと,
該センサで測定した測定データをメモリに記録する記憶手段と,
該記憶手段に記録したデータを読み出してそのまま,または加工したデータを転送先装置へ複数種の通信方法で送信するデータ通信手段と,
手持ちまたは肩掛け用の保持手段と,
を有することを特徴とする運搬容器.
【請求項2】
請求項1に記載の運搬容器において,
前記データ通信手段による通信方法のうち,少なくとも1つが無線通信方式であることを特徴とする運搬容器.
【請求項3】
少なくとも振動または温度を測定する測定装置であって,
少なくとも振動または温度を測定するセンサと,
該センサで測定した測定データをメモリに記録する記憶手段と,
概記憶手段に記録したデータを読み出してそのまま,または加工したデータを転送先装置へ複数種の通信方法で送信するデータ通信手段と,
を有することを特徴とする測定装置.
【請求項4】
請求項3に記載の測定装置において,
前記データ通信手段による通信方法のうち,少なくとも1つが無線通信方式であることを特徴とする測定装置.
【請求項5】
運搬容器に設置した少なくとも振動または温度を測定するセンサと,
該センサで測定した測定データをメモリに記録する記憶手段と,
該記憶手段に記録したデータを読み出してそのまま,または加工したデータを転送先装置へ複数種の通信方法で送信するデータ送信手段と,
該データ送信手段によって送信されたデータを受信するデータ受信手段と,
該データ受信手段で受信したデータをメモリに記録する第2の記憶手段と,
該第2の記憶手段に記録したデータを読み出してそのまま,または加工したデータをネットワークへ配信する配信手段と
を備えたことを特徴とする運搬容器の環境条件監視システム.
【請求項6】
請求項5に記載の運搬容器の環境条件監視システムにおいて,
前記データ送信手段による通信方法のうち,少なくとも1つが無線通信方式であることを特徴とする運搬容器の環境条件監視システム.
【請求項7】
運搬物を手持ちまたは肩掛け用の保持手段の付いた運搬容器に入れて,手持ちまたは肩掛けして運搬する方法であって,
運搬の途中の容器または運搬物の振動または温度を前記運搬容器に設置したセンサによって測定するステップと,
該センサで測定した測定データを記憶装置に記録するステップと,
該記憶装置に記録したデータを読み出してそのまま,または加工して,複数種の通信方式によってデータ送受信装置から運搬容器の環境条件監視装置へ送信するステップと,
を有することを特徴とする運搬方法.

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−51538(P2009−51538A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220495(P2007−220495)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】