説明

センサ体

【課題】タンクや容器の形状にあわせた複雑な形状の電極の製作が容易であり、小型軽量化が図れると共に製造コストが安くなるような、タンクや容器内の液体や粉体等の貯蔵レベル等を計測するのに最適な静電容量式又は電気導電度式のセンサ体を提供する。
【解決手段】テフロン(登録商標)樹脂(商品名)膜等の絶縁材料からなる2枚のフィルム状体3a、3bの間に、銅箔等からなる導電性を有する電極体2a、2bを所要の間隔で配置し、これら2枚の電極体2a、2bに各々リード線4a、4bを接続すると共に前記2枚のフィルム状体3a、3bを互いに密着してフレキシブルな静電容量式センサ体1を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体または粉体等の入っているタンク容器等の貯蔵レベルや貯蔵量を計測するためのセンサ体に関する。
【背景技術】
【0002】
タンク等の容器に入っている液体、粉体、粒体などのレベル、容積、量などの測定には、物質の比誘電率や電気導電度を利用したセンサ体が用いられている。
【0003】
比誘電率を利用したセンサ体としては、静電容量を計測する方式のものとして、金属の棒を絶縁材料で被覆した電極、金属のワイヤを絶縁材料で被覆した電極、又はこれら絶縁された金属電極の外側に筒状の金属パイプを配置したものなどが、タンク内の液体や粉体のレベル計測などに用いられている。
【0004】
このようなセンサ体の例として、例えば特許文献1がある。
【特許文献1】特開2003−57093号公報(図1乃至図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のこの種のセンサ体は、一般に直線状の金属棒からなり、その構造から形状が限られること、小型軽量化が困難なこと、タンク形状にあわせた複雑な形状の電極を製作することが困難なこと、製造コストが高いこと等の問題点があった。
【0006】
本発明はこれらの問題点を解消し、タンク形状にあわせた複雑な形状の電極の製作が容易であり、小型軽量化が図れると共に製造コストが安くなるような、タンク内の液体や粉体の貯蔵レベル等を計測するのに最適な静電容量式のセンサ体及び電気導電度式のセンサ体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の目的を達成すべく、静電容量式のセンサ体として絶縁材料からなる2枚のフィルム状体の間に、膜状の2枚の電極体を互いに間隔を存して配置し、これら2枚の電極体に各々リード線を接続すると共に前記2枚のフィルム状体を互いに密着させて形成されており、又電気導電度式のセンサ体として絶縁材料からなる1枚のフィルム状体の片方の面に、膜状の2枚の電極体を互いに間隔を存して前記フィルム状体に密着させて形成し、これら2枚の電極体に各々リード線を接続して形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、センサ体をフィルム状として可撓性を持たせたので、複雑な形状のタンクの内面や狭い場所などに合わせてセンサ体を曲線状に配置し、該タンク内容物の貯蔵レベルや貯蔵量等を精度良く計測することができ、又、電極体を膜状として、フィルム状体の上に貼り付け、印刷、蒸着、又はめっき等の方法により形成するようにしたので、用途に合った複雑な形状の電極体からなるセンサ体を精度良く安価に大量生産することができると共に、電極体の形状を所要のパターンに形成することによって信号処理電気回路部の簡素化を行なうことができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を実施するための最良の形態の実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0010】
本発明の実施例1を図1乃至図4により説明する。
【0011】
図1は本発明のフレキシブルな静電容量式のセンサ体1の斜視図であり、一部をカットして示した。
【0012】
2a及び2bは膜状の電極体で、例えば銅箔などの導電体からなり、本実施例においては各々縦長の長方形に形成され、所要の間隔Aを存して配置されている。
【0013】
3a及び3bは絶縁材料例えばポリテトラフロロエチレン[商品名テフロン(登録商標)]又はポリエチレンテレフタレート[商品名マイラ]又は芳香族ポリイミド又は芳香族ポリアミドのフィルム状体で、可撓性を有している。
【0014】
前記電極体2a、2bはこれらフィルム状体3a、3b間に挟まれて貼着されており、外部との電気的絶縁が施されている。
【0015】
尚、これら電極体2a、2bには、それぞれリード線4a又は4bが接続されていて、信号増幅器等の電気回路に接続している。
【0016】
このように静電容量式のセンサ体1は可撓性を有し、フレキシブルに形成されている。
【0017】
図2は静電容量式のセンサ体1を変形容器5の外周部に密着させて設置した例を示す。
【0018】
即ち、変形容量5内の被測定物のレベル上昇に伴う静電容量の増加を静電容量式のセンサ体1にて計測する。
【0019】
図3は静電容量式のセンサ体1を丸めて細口のガラスビン6に挿入して設置する例を示す。
【0020】
このようにフレキシブルな静電容量式のセンサ体1は、従来は困難であった各種形状のタンクや容器のレベルセンサに適用することができる。
【0021】
尚、図4に示す如く、フレキシブルな静電容量式のセンサ体1の電極体2a、2bの1部リード線とリード線4a、4bとの間に可撓性を有する信号処理電気回路部7を介在させて接続し、フレキシブルな静電容量式のセンサ体1´を形成し、該センサ体1´において検出信号を信号処理をするようにしてもよい。
【実施例2】
【0022】
本発明の実施例2を図5乃至図7により説明する。
【0023】
図5は本発明のフレキシブルな電気導電度式のセンサ体11の斜視図である。
【0024】
12a及び12bは膜状の電極で、例えば銅箔などの導電体からなり、絶縁材料例えばポリテトラフロロエチレン[商品名テフロン(登録商標)]又はポリエチレンテレフタレート[商品名マイラ]又は芳香族ポリイミド又は芳香族ポリアミドのフィルム状体13aの片方の面に密着して形成されている。
【0025】
尚、前記電極体12a、12bは、該フィルム状体13aの上面に貼り付け、印刷、蒸着、又はメッキにより形成される。
【0026】
これら電極体12a、12bには、それぞれリード線14a又は14bが接続されている。
【0027】
このように電気導電度式のセンサ体11も可撓性を有し、フレキシブルに形成されている。
【0028】
電気導電度式のセンサ体11は、導電性を有する液体等のレベルセンサとして使用する。
【0029】
図6及び図7に、電気導電度式のセンサ体11を流量計測用三角せきの流量計測に用いた例を示す。
【0030】
本実施例では、電極体12b´の形状を放物線状として、指示計17が流量に比例した指示をするように形成した。
【0031】
即ち、三角せきを用いた流量計の場合、せきをこえる水の高さhに対し流量Qは式(1)で表わされる。
Q=α×h2.5 …式(1)
【0032】
従来は、式(1)を用いて流量を求めるために、複雑な電気回路やマイクロコンピュータによる演算回路等を用いていたが、本発明のセンサ体のように電極12b´の形状を適切に形成することによって、簡単な電気回路のみで流量Qを知ることができる。
【0033】
尚、16は増幅回路を示す。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、複雑な形状のタンクや容器内の流体又は粉体等のレベルを計測するセンサに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例1の静電容量式センサ体の斜視図である。
【図2】同上静電容量式センサ体の使用例の説明図である。
【図3】同上静電容量式センサ体の他の使用例の説明図である。
【図4】同上静電容量式センサ体の又他の例の斜視図である。
【図5】実施例2の電気導電度式センサ体の斜視図である。
【図6】同上電気導電度式センサ体の使用例の説明図である。
【図7】同上電気導電度式センサ体の構造の説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1、1´ 静電容量式センサ体
2a、2b、12a、12b、12b´ 電極体
3a、3b、13a フィルム状体
4a、4b、14a、14b リード線
7、16 信号処理電気回路部
11 電気導電度式センサ体





【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料からなる2枚のフィルム状体の間に、膜状の2枚の電極体を互いに間隔を存して配置し、これら2枚の電極体に各々リード線を接続すると共に前記2枚のフィルム状体を互いに密着させて形成したフレキシブルな静電容量式のセンサ体。
【請求項2】
絶縁材料からなる1枚のフィルム状体の片方の面に、膜状の2枚の電極体を互いに間隔を存して前記フィルム状体に密着させて形成し、これら2枚の電極体に各々リード線を接続して形成したフレキシブルな電気導電度式のセンサ体。
【請求項3】
前記電極体と前記リード線との間に、膜状の可撓性を有する信号処理電気回路部を介在して接続させた請求項1又は請求項2に記載のセンサ体。
【請求項4】
前記電極体は銅等の導電性を有する膜状体からなり、該膜状体を前記フィルム状体に貼り付けて形成されている請求項1又は請求項2に記載のセンサ体。
【請求項5】
前記電極体は銅等の導電性を有する膜状体からなり、該膜状体は前記フィルム状体に印刷又は蒸着又はめっきにより形成されている請求項1又は請求項2に記載のセンサ体。
【請求項6】
前記フィルム状体は、ポリテトラフロロエチレン、又はポリエチレンテレフタレート、又は芳香族ポリイミド又は芳香族ポリアミドからなる請求項1乃至請求項5のいずれか1に記載のセンサ体。




























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−303982(P2007−303982A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133332(P2006−133332)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(591131774)株式会社工技研究所 (1)
【出願人】(506161555)マイテック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】