説明

センサ及びセンサの製造方法

【課題】センサ素子の先端の検出部を覆う保護層が熱衝撃等で剥がれることを防止できるセンサを提供する。
【解決手段】軸方向に延び先端に検出部10aを有する板状のセンサ素子10と、センサ素子の外周面を囲み、該センサ素子を挿通する挿通孔21aを有する保持部材21と、保持部材を係止する係止部9が形成されセンサ素子と保持部材とを内部に収容する筒状の主体金具2と、を備えたセンサ1であって、検出部の少なくとも対向する2面が無機繊維シート51で覆われ、かつ該無機繊維シートの後端側51eは保持部材とセンサ素子との間に挿入され、さらに無機繊維シートの上から前記検出部を覆う保護層40を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ素子の先端の検出部を保護層で覆ったセンサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジン等の内燃機関の燃費向上や燃焼制御を行うガスセンサとして、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサや空燃比センサが知られている。これらの(ガス)センサは、特定ガスの濃度検出を行う細長い板状のセンサ素子を、セラミック製の保持部材及び粉末充填材に挿通し、これら保持部材及び粉末充填材を筒状の主体金具の内部に収容してセンサ素子を固定している。
又、センサ素子の先端には被測定ガス中の特定ガス成分を検出するための検出部が設けられている。そして、検出部に直接被水して熱衝撃が加わることや、検出部に被毒物質が付着することを防止するため、アルミナ等の多孔性の保護層で検出部を被覆することが行われている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−94576号公報
【特許文献2】特開2006−250537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、保護層が被覆される検出部の表面は比較的に平滑であるため、保護層が熱衝撃や振動等により検出部から剥離や欠けが起こり易い形状となっている。特に、保護層を厚くするほど検出部の被水による熱衝撃を緩和する効果があるが、保護層が厚くなると保護層が重くなってさらに検出部から剥がれ易くなる。
本発明は、センサ素子の先端の検出部を覆う保護層が熱衝撃や振動等で剥がれることを防止したセンサ及びセンサの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のセンサは、軸方向に延び先端に検出部を有する板状のセンサ素子と、前記センサ素子の外周面を囲み該センサ素子を挿通する挿通孔を有する保持部材と、前記保持部材を係止する係止部が形成され前記センサ素子と前記保持部材とを内部に収容する筒状の主体金具と、を備えたセンサであって、前記検出部の少なくとも対向する2面が無機繊維シートで覆われ、かつ該無機繊維シートの後端側は前記保持部材と前記センサ素子との間に挿入され、さらに前記無機繊維シートの上から前記検出部を覆う保護層を有する。
このセンサによれば、緩衝部材である無機繊維シートの間に保護層が含浸して無機繊維シートに担持されるので、熱衝撃等により保護層が検出部から剥がれることが防止される。
さらに、センサ製造時にセンサ素子が保持部材に対して偏心して両者が強く接触すると破損のおそれがある。そこで、無機繊維シートの後端側が保持部材の内面に介在することで、センサ素子が偏心しても無機繊維シートが衝撃を緩和し破損を防止する。又、無機繊維シートが保持部材の孔を狭めるので、センサ素子を保持部材に挿通した際に偏心が少なくなる。
【0006】
又、本発明のセンサは、前記保持部材の後端側に配置され前記センサ素子の外周面と前記主体金具の内周面との間に圧縮充填される粉末充填材をさらに備え、前記無機繊維シートの最後端は前記センサ素子の径方向に延びつつ、前記保持部材の後端面と前記粉末充填材の先端面との間に挟持されていてもよい。
このように、無機繊維シートの最後端はセンサ素子の径方向に延びつつ、保持部材の後端面と粉末充填材の先端面との間に挟持されていると、無機繊維シートがセンサ素子側に確実に保持されるため、好ましい。
【0007】
又、本発明のセンサは、前記保持部材の後端側に配置され前記センサ素子の外周面と前記主体金具の内周面との間に圧縮充填される粉末充填材をさらに備え、前記無機繊維シートの最後端は前記センサ素子の軸方向に延びつつ、前記センサ素子の側面と前記粉末充填材の側面との間に挟持されていてもよい。
このように、無機繊維シートの最後端はセンサ素子の軸方向に延びつつ、センサ素子の側面と粉末充填材の側面との間に挟持されていると、無機繊維シートがセンサ素子側に確実に保持されるため、好ましい。
【0008】
又、本発明のセンサにおいて、前記無機繊維シートは、少なくとも前記保持部材から先端側に露出した前記検出部の全面を覆うとよい。
このように、無機繊維シートが検出部の全面を覆うと、無機繊維シートによるセンサ素子の被覆面積がより一層大きくなり、保護層が検出部から剥がれることがさらに有効に防止される。
【0009】
又、本発明のセンサの製造方法は、軸方向に延び先端に検出部を有する板状のセンサ素子の少なくとも対向する2面を、無機繊維シートで覆い、前記センサ素子を挿通する挿通孔を有する保持部材を、前記保持部材が前記センサ素子の先端側になるように前記センサ素子に挿通し、その際に前記保持部材と前記センサ素子との間に前記無機繊維シートの後端側を挟み、前記保持部材の後端側に前記第1粉末充填材を配置して前記センサ素子の軸方向に圧縮することで、前記保持部材、前記粉末充填材、前記センサ素子及び前記無機繊維シートからなるユニットを形成し、前記無機繊維シートの上から前記検出部を覆うように保護層を被覆し、前記ユニットの前記第1粉末充填材側に、前記センサ素子の挿通孔を有するスリーブを挿通し、前記保持部材を係止する係止部が形成された筒状の主体金具の内部に、前記ユニット及び前記スリーブを収容して前記主体金具の後端部で前記スリーブを先端側に押圧し、前記センサ素子の外周面と前記主体金具の内周面との間に前記第2粉末充填材を圧縮充填する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、センサ素子の先端の検出部を覆う保護層が熱衝撃等で剥がれることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るセンサの長手方向に沿う断面図である。
【図2】保持部材にセンサ素子及び無機繊維シートを挿通する状態を示す斜視図である。
【図3】センサを製造する工程を示す図である。
【図4】無機繊維シートの変形例を示す図である。
【図5】四角柱状の無機繊維シートを製造する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るセンサ(酸素センサ)1の長手方向に沿う断面図を示す。なお、図1の下側(センサ素子10の検出部10aに位置する先端側)を「先端側」と称し、上側を「後端側」と称する。
センサ(酸素センサ)1は、センサ素子10を組み付けたアッセンブリである。センサ1は、軸方向(図1の上下方向)に延びる板状のセンサ素子10と、自動車エンジンの排気管に固定される主体金具2とを備えている。主体金具2は略円筒状をなし、排気管に固定されるためのねじ部24が外表面に形成される一方、内面25を有し、内面25の径方向内側に突出する係止部(棚部)9を先端側に有している。そして、主体金具2はセンサ素子10を内面25に収容し、センサ素子10の先端側(検出部10a)を主体金具2から突出させた状態で、センサ素子10を保持している。内面25とセンサ素子10の外周面との間には、センサ素子10の外周面を囲む環状セラミック製の保持部材21、粉末充填材(滑石リング)22、23、およびセラミック製のスリーブ30がこの順に検出部10a側から積層されつつ、センサ素子10に挿通されている。
なお、区別のため、粉末充填材22を「第1粉末充填材」と称し、粉末充填材23を「第2粉末充填材」と称する。
【0013】
そして主体金具2の後端部2aを加締めてスリーブ30を先端側に押し付けることにより、保持部材21が棚部9に係止されつつ滑石リング22,23が圧縮され、滑石リング22,23が押し潰れて内面25とセンサ素子10との隙間に充填され、センサ素子10が主体金具2内の所定位置にしっかりと固定される。
なお、保持部材21及び滑石リング22は金属カップ20を介して主体金具2の内面25に収容されている。
【0014】
検出部10aの対向する2面(図1の左右の面)は、アルミナメッシュシートからなる可撓性の無機繊維シート51で覆われている。無機繊維シート51は検出部10aの2面に沿って後端に延び、無機繊維シート51の後端側51eが保持部材21とセンサ素子10との間に挿入されている。さらに、無機繊維シート51の最後端51exは保持部材21の後端角部で約90度に折り返されてセンサ素子10の径方向に延びつつ、保持部材21の後端面と第1粉末充填材22の先端面との間に挟持されている。なお、無機繊維シート51は検出部10aの先端にて、検出部10aの2面(図1の左右の面)を繋ぐようにコ字状に折り返されている。
【0015】
さらに、多孔質アルミナからなる保護層40が無機繊維シート51の上から検出部10aを覆っている。なお、保護層40は、無機繊維シート51で覆われていない検出部10aの2面(図1の紙面に直交する面)をも覆っている。ここで、保護層40の形成領域は、少なくとも検出部10aのすべてを含む必要がある。又、後述するように、センサ素子10は、固体電解質層表面に一対の電極を配置したセルを1以上有しており、1つのセルの領域は、一対の電極と、該一対の電極がそれぞれ形成された固体電解質層表面とを包含する部分をいう。そして、検出部10aとは、これらセルの領域をすべて含んだ領域をいう。
保護層40は、アルミナ等のセラミックを多孔質に成膜して得られ、具体的には、セラミック粒子を焼失性の有機粒子等と混合したペースト(スラリー)を塗布後に焼成したり、セラミック粒子を溶射法で吹き付ける方法、その他ディップコートやスプレーコート等が挙げられる。
【0016】
又、主体金具2後端には外筒80が接続され、センサ素子10の電極に接続されたリード線68が外筒80の後端からグロメット77を介して引き出されている。リード線68の一端には端子金具60が接続され、ガスセンサ素子10の後端に設けられた電極端子(図示せず)と電気的に接続されている。
一方、主体金具2の先端側外周には、センサ素子10の検出部10aを覆う金属製の外部プロテクタ4および内部プロテクタ3が取り付けられている。
【0017】
滑石リング22,23としては、滑石(セラミック粉末)、ガラス(ケイ酸ガラスまたはケイ酸塩ガラス等のケイ酸化合物)を挙げることができる。又、保持部材21やスリーブ30の内面と外面に上記滑石やガラス等を配してもよい。
無機繊維シート51としては、セラミック繊維のメッシュや不織布、ガラス繊維のメッシュや不織布を用いることができ、セラミックやガラスを繊維状にすることで可撓性が付与される。特に、高温の排気ガスに曝されることから、耐熱性の観点でアルミナ等のセラミックを用いるのがよい。
【0018】
なお、この例ではセンサ素子10は、酸素濃淡電池セルと酸素ポンプセルとを有する酸素センサ素子であるが、酸素センサの構成は公知のものを用いることができる。つまり、酸素センサの酸素濃淡電池セルと酸素ポンプセルは、それぞれ固体電解質層表面に一対の電極を配置した構成になっていて、又、固体電解質層を保護したり、ヒータを積層するために固体電解質層を覆って絶縁層(アルミナ等)が積層されている。このため、センサ素子10の少なくとも表面はセラミックからなる。
【0019】
次に、無機繊維シートについて説明する。
図2に示すように、保持部材21の中心にはセンサ素子10の矩形状断面よりやや大きな矩形の孔21aが貫通し、孔21aにセンサ素子10を挿通するようになっている。又、保持部材21の孔21aには、長尺シート状の無機繊維シート51が挿入されている。ここで、センサ素子10の外面のうち長辺側をなす広幅の2面を符号10Lで表し、面10Lに対向する孔21aの内面を符号21Lで表し、保持部材21の後端面を符号21tで表す。
上記したように、無機繊維シート51は、検出部10aの2面10Lを覆いつつ、検出部10aの先端にて2面10Lを繋ぐようにコ字状の折り返し部51aが設けられた1枚のシートである。又、無機繊維シート51は検出部10aの2面10Lに沿って後端に延び、無機繊維シート51の後端側51eが保持部材21に挿入されて保持部材21(内面21L)とセンサ素子10との間に挿入されている。さらに、無機繊維シート51の最後端51exが保持部材21の後端角部で約90度に折り返されてフラップ状にセンサ素子10の径方向に延び、保持部材21の後端面21t上に載置されている。そして、図3に示すように、保持部材21の後端側に図示しない第1粉末充填材22を配置し、保持部材21及び第1粉末充填材22をセンサ素子10の軸方向に圧縮することで、無機繊維シート51の最後端51exが保持部材21の後端面21tと第1粉末充填材22の先端面との間に挟持されるようになっている。
その後、無機繊維シート51の上から検出部10aが保護層40で覆われる。
【0020】
このように、無機繊維シート51の上から保護層40を被覆することで、無機繊維シート51の無機繊維の間に保護層40が含浸して無機繊維シート51に担持されるので、熱衝撃等により保護層40が検出部10aから剥離や欠けが防止される。さらに、保護層40が検出部10aから剥がれ難いことから、保護層40の厚みを厚くして検出部10aの被水による熱衝撃をより一層緩和することが可能となる。
さらに、センサ製造時にセンサ素子10が保持部材21に対して偏心して両者が強く接触すると破損のおそれがある。特に、センサ素子10及び保持部材21は一般にいずれもセラミック製であるので、破損がし易い。そこで、無機繊維シート51の後端側51eが保持部材21の内面に介在することで、センサ素子10が偏心しても無機繊維シート51が衝撃を緩和し破損を防止する。又、無機繊維シート51が孔21aを狭めるので、センサ素子10を保持部材21に挿通した際に偏心が少なくなる。
【0021】
ここで、この実施形態においては、検出部10aの2面10Lと直交する2面が無機繊維シート51で覆われていないが、この2面を含む検出部10a全体に保護層40を被覆した際、2面10Lでは保護層40が無機繊維シート51にしっかりと担持されるので、無機繊維シート51で被覆されていない部分の保護層40も剥離し難くなる。
【0022】
なお、この実施形態において、センサ素子10との接触面積が大きい2面10L側を無機繊維シート51で覆うことで、無機繊維シート51によるセンサ素子10の被覆面積が大きくなる。又、無機繊維シート51は、最後端51exにおいても保持部材21と第1粉末充填材22との間に挟持されるので、無機繊維シート51がセンサ素子10側に確実に保持される。
【0023】
次に、図3を参照し、センサを製造する工程を説明する。
まず、センサ素子10を倒立させ(検出部10aを上向きにし)、第1粉末充填材22、無機繊維シート51、保持部材21、金属カップ20がこの順に下になるようセンサ素子10に挿通する(図3(a))。ここで、無機繊維シート51がコ字状の折り返し部51aを有しているので、折り返し部51aを検出部10aの先端に載置するだけで、無機繊維シート51が検出部10aから抜け落ちるのを防止することができる。又、無機繊維シート51の最後端51exがフラップ状に折り返されているので、最後端51exを第1粉末充填材22上に載置するだけで無機繊維シート51が第1粉末充填材22に係止され、同様に抜け落ちを防止する。
次に、センサ素子10の後端にプレスピン200を挿通し、金属カップ20側を上押え201で押さえつつ、プレスピン200を上方に押圧(プレス)する事で、第1粉末充填材22を押し潰し圧縮充填し、センサ素子10と金属カップ20をユニット化する(図3(b))。
次に、無機繊維シート51の上から検出部10aを保護層40で覆う(図3(c))。保護層40は、アルミナ粒子を焼失性の有機粒子等と混合したスラリーを検出部10aにディップし、乾燥後に1000℃程度で焼成して形成することができる。
【0024】
次に、ユニット化したセンサ素子10を正立方向に引っくり返し(検出部10aを下向きにし)、滑石リング22の上に、第2粉末充填材23、スリーブ30をこの順にセンサ素子10に挿通する(図3(d))。このユニットを主体金具2へ挿入し、スリーブ30の上に金属パッキンを載置し、さらにスリーブ30の上からセンサ素子10の後端にプレスピン300を挿通し、第2粉末充填材23をプレスし、圧縮充填する(図3(e))。
そして、主体金具2の後端部2aを加締めてスリーブ30を先端側に押し付け、下部構造とした物を、電機接点部を備えた上部構造に挿入し一体化させ、図1に示すセンサ1を製造する。
【0025】
なお、本発明の製造方法において、「粉末充填材」という場合、無機繊維シート51を含む構成をセンサ素子の軸方向に圧縮して上記ユニットを製造する際の粉末充填材(図3の例では第1粉末充填材22)が相当する。
又、検出部10aを保護層40で覆う工程は、上記したように図3(b)のユニット化の直後でもよく、ユニットを主体金具に収容した図3(d)の後でもよい。
【0026】
図4は、保持部材21とセンサ素子10との間に介装される無機繊維シート52の変形例を示す。無機繊維シート52は、図5に示すように無機繊維材料を押出装置から連続押出しして四角柱状に製造された無機繊維シート素材52Lを所定長さに切断し、その一端の4隅に切れ込みSを入れ、約90度に折り返してフラップ状の最後端52ex1、52ex2を形成したものである。なお、1対の最後端52ex1が、保持部材21の孔21aの広幅の内面21Lに対向する。
【0027】
無機繊維シート52はセンサ素子10の検出部10aの全面を覆うので、無機繊維シート52によるセンサ素子10の被覆面積がより一層大きくなり、保護層40が検出部10aから剥がれることがさらに有効に防止される。
又、無機繊維シート52は、最後端52ex1、52ex2においても保持部材21と第1粉末充填材22(図示せず)との間に挟持されるので、無機繊維シート52がセンサ素子10側により確実に保持される。
なお、検出部10aの先端向き面は無機繊維シート52で覆われていないが、検出部10a全体に保護層40を被覆した際、検出部10aの全面では保護層40が無機繊維シート52にしっかりと担持されるので、無機繊維シート52で被覆されていない部分の保護層40も剥離し難くなる。
【0028】
又、無機繊維シート52の最後端52ex1、52ex2がフラップ状に折り返されているので、図3(a)に示すのと同様、センサ製造時に最後端52ex1、52ex2を第1粉末充填材22上に載置するだけで無機繊維シート52が第1粉末充填材22に係止され、無機繊維シート52が検出部10aから抜け落ちるのを防止することができる。
【0029】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。例えば、センサ素子10の断面の形状や、保持部材21の孔の形状、無機繊維シートの形状等は上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態では各無機繊維シート51,52がそれぞれフラップ状の最後端51ex1、最後端52ex1を有しているが、これら最後端51ex1、最後端52ex1を形成せず、検出部10aに沿って後端側51e、52eのみを有していてもよい。但し、無機繊維シート51の場合は、図3(a)に示す製造時に折り返し部51aが検出部10aの先端に係止され、無機繊維シート51が検出部10aから抜け落ちるのを防止することができるが、四角筒状の無機繊維シート52の場合は検出部10aの先端に係止される部分が存在しない。このため、無機繊維シート52の場合は、フラップ状の最後端52ex1(又は最後端52ex2)を設けることが好ましい。
又、無機繊維シートの最後端の個数は限定されず、最低限1個の最後端があれば、センサを製造する際に第1粉末充填材22に係止され、無機繊維シート52の検出部10aからの抜け落ちを防止することができる。
なお、保護層40は、無機繊維シートの繊維間に含浸させることが好ましく、無機繊維シートの厚みを超えてさらに保護層40を厚く形成してもよい。但し、通気性を確保するため、無機繊維シートの繊維間に多少の空隙が残っても差し支えない。
【符号の説明】
【0030】
1 センサ
2 主体金具
9 係止部
10 センサ素子
10a 検出部
10L 検出部の対向する2面
21 保持部材
21a 保持部材の挿通孔
21t 保持部材の後端面
22、23 粉末充填材(滑石リング)
30 スリーブ
40 保護層
51、52 無機繊維シート
51e、52e 無機繊維シートの後端側
51ex、52ex1、52ex2 無機繊維シートの最後端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延び先端に検出部を有する板状のセンサ素子と、
前記センサ素子の外周面を囲み、該センサ素子を挿通する挿通孔を有する保持部材と、
前記保持部材を係止する係止部が形成され前記センサ素子と前記保持部材とを内部に収容する筒状の主体金具と、
を備えたセンサであって、
前記検出部の少なくとも対向する2面が無機繊維シートで覆われ、かつ該無機繊維シートの後端側は前記保持部材と前記センサ素子との間に挿入され、
さらに前記無機繊維シートの上から前記検出部を覆う保護層を有するセンサ。
【請求項2】
前記保持部材の後端側に配置され前記センサ素子の外周面と前記主体金具の内周面との間に圧縮充填される粉末充填材をさらに備え、前記無機繊維シートの最後端は前記センサ素子の径方向に延びつつ、前記保持部材の後端面と前記粉末充填材の先端面との間に挟持されている請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
前記保持部材の後端側に配置され前記センサ素子の外周面と前記主体金具の内周面との間に圧縮充填される粉末充填材をさらに備え、前記無機繊維シートの最後端は前記センサ素子の軸方向に延びつつ、前記センサ素子の側面と前記粉末充填材の側面との間に挟持されている請求項1記載のセンサ。
【請求項4】
前記無機繊維シートは、少なくとも前記保持部材から先端側に露出した前記検出部の全面を覆う請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項5】
軸方向に延び先端に検出部を有する板状のセンサ素子の少なくとも対向する2面を、無機繊維シートで覆い、
前記センサ素子を挿通する挿通孔を有する保持部材を、前記保持部材が前記センサ素子の先端側になるように前記センサ素子に挿通し、その際に前記保持部材と前記センサ素子との間に前記無機繊維シートの後端側を挟み、
前記保持部材の後端側に第1粉末充填材を配置して前記センサ素子の軸方向に圧縮することで、前記保持部材、前記第1粉末充填材、前記センサ素子及び前記無機繊維シートからなるユニットを形成し、
前記無機繊維シートの上から前記検出部を覆うように保護層を被覆し、
前記ユニットの前記第1粉末充填材側に、第2粉末充填材及び前記センサ素子の挿通孔を有するスリーブを挿通し、
前記保持部材を係止する係止部が形成された筒状の主体金具の内部に、前記ユニット及び前記スリーブを収容して前記主体金具の後端部で前記スリーブを先端側に押圧し、前記センサ素子の外周面と前記主体金具の内周面との間に前記第2粉末充填材を圧縮充填する、センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−64605(P2013−64605A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201849(P2011−201849)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】