説明

センサ取付構造及び投写型映像表示装置

【課題】センサ取付壁の貫通孔を挟む空間における空気の圧力差が大きくなったときであっても、風量センサの構成及び貫通孔の大きさを変更せずに、貫通孔に流れる空気の流量を精度良く検出することが可能なセンサ取付構造及び投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】貫通孔32Aが形成されているセンサ取付壁であるダクト32は、第1空間S1と第2空間S2とを仕切る。第1空間S1に設けられる風量センサ40は、第1空間S1から空気が流入する流入口41と、流入口41から空気が流出する流出口42とを有し、流入口41に流入した空気の流量を検出する。流出口42と貫通孔32Aとの間には隙間Cが空くように風量センサ40が設けられ、空間S1,S2において空気の圧力差が発生したときに、これに応じて流出口42及び隙間Cの双方から貫通孔32Aに空気が流入するように、流出口42が貫通孔32Aから間隔を空けて設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通孔が形成されているセンサ取付壁に対して、貫通孔に流れる空気の流量を検出するための風量センサが取り付けられたセンサ取付構造、及びこれを備える投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投写型映像表示装置である液晶プロジェクタにおいて、エアフィルタの目詰まりを検出するために風量センサを利用することが知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の風量センサは、検出対象風が流入する流入口と、反対面に開口する流出口を有し、冷却ファンの取付壁の内側に風量センサの流出口が、大きさが調節された調節孔に対応するように取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−298957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、風量センサは、所定の流速範囲内の流速で流入口に流入した空気の流量を精度良く検出することができるものの、流速範囲を超える大きな流速で流入口に流入した空気の流量は精度良く検出することができない。従って、貫通孔を挟む空間における空気の圧力差が大きくなると、貫通孔に流入するために風量センサの流入口に流入する空気の流速が大きくなるため、風量センサを用いて貫通孔に流れる空気の流量を精度良く検出することができなくなるおそれがある。
【0005】
上記特許文献1に記載のセンサ取付構造においては、センサ取付壁の貫通孔である調節孔を挟む空間における空気の圧力差が大きくなったときに、調節孔に流れる空気の流量を精度良く検出できないおそれがある。調節孔の大きさ(径)を小さくすれば、風量センサの流入口に流入する空気の流速を小さくすることができるものの、調節孔を成型する金型のピンが折れる等の不都合がある。また、風量センサの構成を変更して、流量を精度良く検出可能な流速範囲を広げることもできるが、風量センサの大型化及びコストの増加等の不都合がある。
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、センサ取付壁の貫通孔を挟む空間における空気の圧力差が大きくなったときであっても、風量センサの構成及び貫通孔の大きさを変更せずに、貫通孔に流れる空気の流量を精度良く検出することが可能なセンサ取付構造及び投写型映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、貫通孔が形成されているセンサ取付壁に対して、前記貫通孔に流れる空気の流量を検出するための風量センサが取り付けられたセンサ取付構造であって、前記センサ取付壁は、前記貫通孔を挟む第1空間と第2空間とを仕切るとともに、前記第1空間において前記センサが設けられ、前記風量センサは、前記第1空間から空気が流入する流入口と、この流入口から同風量センサに流入した空気が流出する流出口とを有するとともに、前記流入口に流入した空気の流量を検出し、前記流出口と前記貫通孔との間に隙間が空くように前記風量センサが設けられるとともに、前記隙間により前記第1空間と前記貫通孔とが連通し、前記第1空間と前記第2空間とにおいて空気の圧力差が発生したときに、この圧力差に応じて前記流出口及び前記隙間の双方から前記貫通孔に空気が流入するように、前記流出口が前記貫通孔から間隔を空けて設けられていることを特徴とする。なお、風量センサとは、空気の流量を検出するセンサであって、所定時間当たりの空気の流量を検出する風速センサも含む。
【0008】
上記発明によれば、第1空間と第2空間とにおいて空気の圧力差が発生したときに、この圧力差に応じて、風量センサの流出口と貫通孔との間に形成された隙間を通って第1空間から貫通孔に空気が流入するとともに、風量センサの流入口及び流出口を通って第1空間から貫通孔に空気が流入する。このとき、貫通孔に流れる空気の流速が大きくなるほど、風量センサの流出口と貫通孔との間に形成された隙間を通る空気の流速も、風量センサの流入口及び流出口を通る空気の流速も大きくなり、上記隙間を通る空気の流量と上記流入口及び流出口を通る空気の流量とは一定の関係を有する。従って、流入口から流入した空気の流量を検出する風量センサを用いて、この風量センサが検出する流入口から流入した空気の流量と、これに応じた隙間を通る空気の流量とに基づいて、貫通孔に流れる空気の流量を検出することができる。
【0009】
また、貫通孔を挟む空間における空気の圧力差が大きくなった場合であっても、貫通孔に流入する空気の全てが風量センサに流入する構成ではなくなるため、風量センサの流出口と貫通孔とが隙間無く設けられる構成と比べて、風量センサの流入口に流入する空気の流速を小さくすることができる。よって、センサ取付壁の貫通孔を挟む空間における空気の圧力差が大きくなったときであっても、風量センサの構成及び貫通孔の大きさを変更せずに、貫通孔に流れる空気の流量を精度良く検出することが可能である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のセンサ取付構造において、前記貫通孔が前記センサ取付壁を貫通する方向に延びる直線上において、前記流出口と前記貫通孔とが向かい合っていることを特徴とする。
【0011】
上記発明によれば、貫通孔がセンサ取付壁を貫通する方向に延びる直線上において、流出口と貫通孔とが向かい合っているため、風量センサの流入口及び流出口を通って貫通孔に流入する空気の流れを円滑にすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のセンサ取付構造において、前記風量センサは、熱を発する発熱部と、この発熱部の周囲に設けられたサーモパイルとを有するとともに、このサーモパイルが出力する電圧に基づいて、前記流入口に流入した空気の流量を検出することを特徴とする。
【0013】
上記発明によれば、風量センサは、発熱部の周囲に設けられたサーモパイルが出力する電圧に基づいて、風量センサの流入口に流入した空気の流量を検出する。このような構成の風量センサは、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)を利用して構成することができる。従って、上記センサ取付構造を備える装置において、装置の小型化または風量センサの設置スペースの削減を図ることが可能である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセンサ取付構造と、空気の流路を形成するダクトとを備え、前記ダクトにより前記センサ取付壁が形成され、空気の流れる前記ダクトの内部空間が前記第2空間であって、前記ダクトの外部に前記風量センサが設けられていることを特徴とする。
【0015】
上記発明によれば、ダクトに対して取り付けられた風量センサにより、ダクトの貫通孔に流れる空気の流量を検出して、ダクトの内部空間における空気の圧力の変動を検出することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の投写型映像表示装置において、前記貫通孔よりも空気の流れの上流側に位置するエアフィルタを備えていることを特徴とする。
上記発明によれば、投写型映像表示装置は、ダクトの貫通孔よりも空気の流れの上流側に位置するエアフィルタを備えている。このような構成によれば、貫通孔に流れる空気の流量を検出するための風量センサにより、ダクトの内部空間における空気の圧力の変動を検出して、エアフィルタの目詰まりの度合いを判断することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、センサ取付壁の貫通孔を挟む空間における空気の圧力差が大きくなったときであっても、風量センサの構成及び貫通孔の大きさを変更せずに、貫通孔に流れる空気の流量を精度良く検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る投写型映像表示装置の外観を示す斜視図。
【図2】同実施形態の投写型映像表示装置について、その内部構成を模式的に示す断面図。
【図3】同実施形態の投写型映像表示装置が備えるセンサ取付構造の構成を模式的に示す構成図。
【図4】同実施形態の投写型映像表示装置が備える風量センサにより構成されるシステムを模式的に示すブロック図。
【図5】比較例のセンサ取付構造の構成を模式的に示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図中における一点鎖線の矢印は空気の流れを示している。
図1に示すように、映像をスクリーンまたは壁等の平面に投写して表示可能な本実施形態の投写型映像表示装置は、映像信号に基づいて映像を表示するビデオプロジェクタ1(以下、「プロジェクタ1」)である。
【0020】
プロジェクタ1は、光学部品及び電子部品等を収納する筐体10を備えている。プロジェクタ1は、筐体10に設けられた開口部11から、映像の光を投射レンズ21で投射することにより、プロジェクタ1に対向する映像表示面(不図示)に映像を表示する。
【0021】
筐体10には、プロジェクタ1の外部から内部に空気を吸入するための吸気口12と、プロジェクタ1の内部から外部に空気を排出するための排気口(不図示)とが設けられている。吸気口12には、大きな異物がプロジェクタ1の内部に入ることを防止する格子部材13が設けられている。
【0022】
プロジェクタ1は、空冷により冷却される冷却対象部品として、例えば放電ランプ(図示略)等の光学部品を備えている。冷却対象部品には、プロジェクタ1に吸い込まれた空気が冷却風として送風される。
【0023】
また、筐体10には、報知動作を行う報知部22が設けられている。報知部22は、発光する発光部であって、例えばLED(Light Emitting Diode)により構成されている。報知部22は、吸気口12を通してプロジェクタ1に吸入される空気の流量が低下したときに、その旨を発光することによって報知する。
【0024】
図2を参照して、プロジェクタ1の内部構成について説明する。
プロジェクタ1の内部には、空気中の塵埃を捕捉するエアフィルタ31と、冷却対象部品へ流れる冷却風の流路を形成するダクト32と、冷却対象部品に冷却風を送風する冷却ファン33とが設けられている。
【0025】
エアフィルタ31は、格子部材13及びダクト32の開口を覆うように設けられている。ダクト32は、プロジェクタ1の内部の空間、即ち筐体10の内部の空間を仕切る。ダクト32によって仕切られる空間のうち、ダクト32の外部空間を第1空間S1とし、ダクト32の内部空間を第2空間S2とする。冷却ファン33は、ダクト32を通してプロジェクタ1の外部から空気を吸い込む。
【0026】
冷却ファン33が駆動することにより、第2空間S2がプロジェクタ1の外部よりも圧力が下がるため、エアフィルタ31を通してプロジェクタ1の内部に空気が吸い込まれ、第2空間に空気が流れる。このとき、空気中に含まれる塵埃はエアフィルタ31に捕捉される。プロジェクタ1の内部に吸い込まれた空気はダクト32により冷却ファン33に導かれる。そして、冷却ファン33から送風された冷却風は、他のダクト(不図示)を通って冷却対象部品に導かれる。
【0027】
ダクト32には、第1空間S1と第2空間S2とを連通する貫通孔32Aが形成されている。冷却ファン33が駆動することにより、第2空間S2は、第1空間S1よりも圧力が下がるため、貫通孔32Aを通して第1空間S1から第2空間S2に空気が吸い込まれる。
【0028】
センサ取付壁であるダクト32に対しては、貫通孔32Aに流れる空気の流量を検出するための風量センサ40が取り付けられている。以下、図3を参照しながら、プロジェクタ1が備えるセンサ取付構造を説明する。
【0029】
ダクト32に対して風量センサ40が取り付けられたセンサ取付構造において、風量センサ40は、ダクト32の外部の空間である第1空間S1に設けられている。風量センサ40は、貫通孔32Aの近傍に設けられたセンサ取付部32Bに密着させられるとともに、ねじ(図示略)を用いてダクト32に固定されている。
【0030】
風量センサ40は、第1空間S1から空気が流入する流入口41と、この流入口41から風量センサ40に流入した空気が流出する流出口42とを有している。風量センサ40は、同風量センサ40に流入した空気、即ち流入口41に流入した空気の流量を検出する。流出口42から流出した空気は貫通孔32Aに流入する。
【0031】
風量センサ40の内部には、温度センサを含むフローセンサ素子(図示略)が設けられている。フローセンサ素子は、基台にヒータ及びサーモパイルを挟む絶縁薄膜が設けられている微細な機械構造を含む集積回路である。サーモパイルは、熱を発するヒータの周囲に設けられている。フローセンサ素子の絶縁薄膜の近傍を空気が流れることにより変化する温度分布に応じて、サーモパイルが出力する電圧が変化する。風量センサ40は、サーモパイルが出力する電圧に基づいて、流入口41にした空気の流量を検出する。
【0032】
風量センサ40が設けられるセンサ取付部32Bは、ダクト32の一部を、第1空間S1へ向けて、即ちダクト32の外部に向けて突出させた部位である。従って、貫通孔32Aが形成されているダクト32の外部側表面と、センサ取付部32Bにおけるダクト32の外部側表面との間には、段差が形成されている。
【0033】
ダクト32の外部に設けられた風量センサ40は、流出口42と貫通孔32Aとの間に隙間Cが空くように設けられている。本実施形態においては、貫通孔32Aがダクト32を貫通する方向に延びる直線上において、流出口42と貫通孔32Aとが間隔を空けて向かい合っている。風量センサ40によって貫通孔32Aは完全に覆われず、隙間Cにより第1空間S1と貫通孔32Aとが連通している。隙間Cは、第1空間S1と第2空間S2において空気の圧力差が発生したときに、隙間Cを通って貫通孔32Aに空気が流入する程度の空間である。
【0034】
以上のように、第1空間S1と第2空間S2において空気の圧力差が発生したときに、この圧力差に応じて流出口42及び隙間Cの双方から貫通孔32Aに空気が流入するように、流出口42が貫通孔32Aから間隔を空けて設けられている。プロジェクタ1は、上記センサ取付構造における風量センサ40を用いて、エアフィルタ31の目詰まりの度合いを判断する。
【0035】
図4を参照して、風量センサ40を用いたプロジェクタ1のシステム構成を説明する。
プロジェクタ1は、報知部22を制御する制御部51と、制御部51が実行するプログラム等の情報を記憶する記憶部52とを備えている。
【0036】
制御部51は集積回路により構成されている。制御部51には、風量センサ40によって出力された風量検出結果が入力される。風量検出結果として、制御部51には、風量センサ40を構成するサーモパイルが出力される電圧が入力される。この電圧に基づいて、制御部51は、風量センサ40の流入口41及び流出口42を通って第1空間S1から貫通孔32Aに流入する空気の流量を判断する。
【0037】
記憶部52は読み書き可能な不揮発性のメモリにより構成されている。記憶部52には、流出口42を通って貫通孔32Aに流入する空気の流量に応じた、隙間Cに流れる空気の流量の情報が記憶されている。貫通孔32Aに流れる空気の流速が大きくなるほど、風量センサ40の流出口42と貫通孔32Aとの間に形成された隙間Cを通る空気の流速も、風量センサ40の流入口41及び流出口42を通る空気の流速も大きくなり、隙間Cを通る空気の流量と流入口41及び流出口42を通る空気の流量とは一定の関係を有している。従って、流出口42を通って貫通孔32Aに流入する空気の流量と、隙間Cを通って貫通孔32Aに流入する空気の流量との関連を示す情報が記憶されている。このような情報は実験により得ることができ、実験により得られた情報が記憶部52に予め記憶されている。
【0038】
本実施形態の制御部51は、記憶部52に記憶されている上記情報に基づいて、風量センサ40の流出口42と貫通孔32Aとの間に形成された隙間Cを通って第1空間S1から貫通孔32Aに流入する空気の流量を判断する。即ち、制御部51は、第1空間S1から貫通孔32Aに流入する空気の流量と、この空気の流量に応じて隙間Cに流れる空気の流量の情報とに基づいて、貫通孔32Aに流れる空気の流量を検出する。
【0039】
制御部51は、検出された貫通孔32Aに流れる空気の流量が所定以上のときには、貫通孔32Aよりも空気の流れの上流側に位置するエアフィルタ31の目詰まりの度合いが大きいと判断する。貫通孔32Aに流れる空気の流量が所定以上であるときは、エアフィルタ31の目詰まりの度合いが大きく、吸気口12を通してプロジェクタ1に吸入される空気の流量が低下したときである。従って、制御部51は、貫通孔32Aに流れる空気の流量が所定以上であるとき、即ち吸気口12を通してプロジェクタ1に吸入される空気の流量が低下したときに、エアフィルタ31の交換または掃除を促すために、報知部22に報知動作を行わせる。
【0040】
本発明の作用について説明する。
エアフィルタ31の目詰まりの度合いが大きくなり、第1空間S1と第2空間S2とにおいて空気の圧力差が発生したときに、この圧力差に応じて、隙間Cを通って第1空間S1から貫通孔32Aに空気が流入するとともに、流入口41及び流出口42を通って第1空間S1から貫通孔32Aに空気が流入する。このとき、制御部51により、風量センサ40から入力される風量検出結果と、記憶部52に記憶されている情報とに基づいて、貫通孔32Aに流れる空気の流量が検出される。そして、貫通孔32Aに流れる空気の流量に基づいて、エアフィルタ31を通過する空気の流量が検出される。
【0041】
本実施形態によれば、以下の作用効果を得ることができる。
(1)流入口41から流入した空気の流量を検出する風量センサ40を用いて、風量センサ40が検出する流入口41から流入した空気の流量と、これに応じた隙間Cを通る空気の流量とに基づいて、貫通孔32Aに流れる空気の流量を検出することができる。また、貫通孔32Aを挟む空間S1,S2における空気の圧力差が大きくなった場合であっても、貫通孔32Aに流入する空気の全てが風量センサ40に流入する構成ではなくなるため、風量センサ40の流出口42と貫通孔32Aとが隙間無く設けられる構成と比べて、風量センサ40の流入口41に流入する空気の流速を小さくすることができる。よって、ダクト32の貫通孔32Aを挟む空間S1,S2における空気の圧力差が大きくなったときであっても、風量センサ40の構成及び貫通孔32Aの大きさを変更せずに、貫通孔32Aに流れる空気の流量を精度良く検出することが可能である。
【0042】
図5に、本発明と対比すべき比較例のセンサ取付構造を示す。図5に示すセンサ取付構造においては、風量センサ40が密着するセンサ取付部32Bに貫通孔32Aが形成され、風量センサ40によって貫通孔32Aが覆われているため、図3に示す隙間Cが、第1空間S1と貫通孔32Aとの間に形成されていない。従って、図3及び図5に示す貫通孔32Aに流れる空気の流量が同じであっても、図5に示す流入口41に流入する空気の流量及び流速は大きく、図5に示す貫通孔32Aに流れる空気の流量は精度良く検出できないおそれがある。なお、第1空間S1と第2空間S2とにおける空気の圧力差が小さい部位に風量センサ40を設けることによって、図5に示すセンサ取付構造で空気の流量を精度良く検出することもできるが、第1空間S1と第2空間S2とにおける空気の圧力差が小さい部位を見つけ出すことは手間がかかる。
【0043】
(2)貫通孔32Aがダクト32を貫通する方向に延びる直線上において、流出口42と貫通孔32Aとが向かい合っているため、風量センサ40の流入口41及び流出口42を通って貫通孔32Aに流入する空気の流れを円滑にすることができる。
【0044】
(3)風量センサ40は、発熱部であるヒータの周囲に設けられたサーモパイルが出力する電圧に基づいて、風量センサ40の流入口41に流入した空気の流量を検出する。このような構成の風量センサ40は、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)を利用して構成することができる。従って、上記センサ取付構造を備える装置であるプロジェクタ1において、プロジェクタ1の小型化または風量センサ40の設置スペースの削減を図ることが可能である。
【0045】
(4)ダクト32に対して取り付けられた風量センサ40により、ダクト32の貫通孔32Aに流れる空気の流量を検出して、ダクト32の内部空間である第2空間S2における空気の圧力の変動を検出することができる。
【0046】
(5)プロジェクタ1は、ダクト32の貫通孔32Aよりも冷却風の流れの上流側に位置するエアフィルタ31を備えている。このような構成によれば、貫通孔32Aに流れる空気の流量を検出するための風量センサ40により、第2空間S2における空気の圧力の変動を検出して、エアフィルタ31の目詰まりの度合いを判断することが可能である。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、本発明の趣旨に基づいて種々の設計変更をすることが可能であって、それらを本発明の範囲から除外するものではない。例えば、上記実施形態を以下のように変更してもよく、以下の変更を組み合わせて実施してもよい。
【0048】
・上記実施形態では、風量センサ40は、発熱部の周囲に設けられたサーモパイルが出力する電圧に基づいて空気の流量を検出する構成であるが、これ以外の方法により空気の流量を検出する風量センサを用いることもできる。即ち、風量センサ40はヒータとサーモパイルとを有する微細な機械構造を含む集積回路であるが、これ以外の構成を有する風量センサを用いることもできる。また、所定時間当たりの空気の流量を検出する風量センサを用いることもできる。このような風量センサは、所定時間当たりの空気の流量が風速を示すため、風速センサと一般的によばれている。
【0049】
・上記実施形態では、貫通孔32Aがダクト32を貫通する方向に延びる直線上において、流出口42と貫通孔32Aとが向かい合っているが、貫通孔32Aがダクト32を貫通する方向に延びる直線上において流出口42と貫通孔32Aの位置をずらすこともできる。
【0050】
・上記実施形態では、ダクト32によりセンサ取付壁が形成されているが、センサ取付壁としてダクト32以外の部品を使用することもできる。即ち、センサ取付壁の用途は、空気の流路を形成する用途に限られない。また、風量センサを設ける位置を変更することもできる。
【0051】
・上記実施形態のセンサ取付構造は、プロジェクタ1が備える構成であるが、プロジェクタ1以外の装置が上記センサ取付構造を備えることもできる。例えば、空気清浄機または空調機器が上記センサ取付構造を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
S1…第1空間、S2…第2空間、C…隙間、1…ビデオプロジェクタ(投写型映像表示装置)、10…筐体、11…開口部、12…吸気口、13…格子部材、21…投射レンズ、22…報知部、31…エアフィルタ、32…ダクト(センサ取付壁)、32A…貫通孔、32B…センサ取付部、33…冷却ファン、40…風量センサ、41…流入口、42…流出口、51…制御部、52…記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成されているセンサ取付壁に対して、前記貫通孔に流れる空気の流量を検出するための風量センサが取り付けられたセンサ取付構造であって、
前記センサ取付壁は、前記貫通孔を挟む第1空間と第2空間とを仕切るとともに、前記第1空間において前記センサが設けられ、
前記風量センサは、前記第1空間から空気が流入する流入口と、この流入口から同風量センサに流入した空気が流出する流出口とを有するとともに、前記流入口に流入した空気の流量を検出し、
前記流出口と前記貫通孔との間に隙間が空くように前記風量センサが設けられるとともに、前記隙間により前記第1空間と前記貫通孔とが連通し、
前記第1空間と前記第2空間とにおいて空気の圧力差が発生したときに、この圧力差に応じて前記流出口及び前記隙間の双方から前記貫通孔に空気が流入するように、前記流出口が前記貫通孔から間隔を空けて設けられている
ことを特徴とするセンサ取付構造。
【請求項2】
前記貫通孔が前記センサ取付壁を貫通する方向に延びる直線上において、前記流出口と前記貫通孔とが向かい合っている
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ取付構造。
【請求項3】
前記風量センサは、熱を発する発熱部と、この発熱部の周囲に設けられたサーモパイルとを有するとともに、このサーモパイルが出力する電圧に基づいて、前記流入口に流入した空気の流量を検出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ取付構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のセンサ取付構造と、空気の流路を形成するダクトとを備え、
前記ダクトにより前記センサ取付壁が形成され、
空気の流れる前記ダクトの内部空間が前記第2空間であって、前記ダクトの外部に前記風量センサが設けられている
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記貫通孔よりも空気の流れの上流側に位置するエアフィルタを備えている
ことを特徴とする請求項4に記載の投写型映像表示装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−15372(P2013−15372A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147512(P2011−147512)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】