説明

センサ情報管理システム、センサ情報管理方法、センサ情報管理プログラム

【課題】複数のセンサが接続されたネットワーク全体において、複数のセンサにより提供されるデータを効率よく利用することができるセンサ情報管理システムを提供する。
【解決手段】センサ10a〜10eと、サービス実行部を備えるコンピュータ8a、8bとを含むネットワークに接続されたセンサ情報管理システム1は、センサ10a〜10eのセンサプロファイル情報が記録されたセンサプロファイル情報記録部2と、サービス実行部80a、80bによるサービスのセンサ要求情報を記録するセンサ要求情報記録部3と、センサプロファイル情報とセンサ要求情報から、サービスとそのサービスの要求に合うセンサとの組を抽出する検索部4と、抽出された組について、当該サービスに必要な当該センサの動作を示すシナリオデータを生成するシナリオ生成部5と、シナリオデータに基づいて、センサ10a〜10eへ向けて制御信号を送信するシナリオ管理部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサと、複数のセンサの少なくとも1つで提供されるデータを用いたサービスを提供するコンピュータとを含むネットワークにおいて、センサとサービスを運用するためのシステム、方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークに接続されたセンサから提供されるデータを用いたコンピュータによる分析サービスが行われている。例えば、複数の店舗に設置されたカメラからのデータを用いて、それらの店舗における顧客の動線の傾向をコンピュータにより分析するサービスを提供するシステムがある。このようなシステムを構築すると、センサの設置、システムの設定やメンテナンス等により運用コストがかかる。
【0003】
従来、新たに分析サービスを提供するシステムを構築する場合、新たなセンサの設置が必要となっていた。そこで、1台のセンサをあたかも複数台のセンサであるかのように論理的に分割し、それぞれを別のプロセスに割り当てて動作させるシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、1台のセンサを複数の分析サービスで効率良く利用できる。
【0004】
しかしながら、上記システムは、1台のセンサを効率的に利用するための動的構成にとどまる。すなわち、複数のセンサが接続されたネットワーク全体において、複数のセンサそれぞれの設置場所や、利用可能な時間等を考慮した効率的なセンサの利用はできない。
【特許文献1】特開2006−304280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、複数のセンサが接続されたネットワーク全体において、複数のセンサにより提供されるデータを効率よく利用することができるセンサ情報管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるセンサ情報管理システムは、複数のセンサと、前記複数のセンサの少なくとも1つで提供されるデータを用いたサービスを提供するサービス実行部を備えるコンピュータとを含むネットワークに接続されたセンサ情報管理システムであって、前記複数のセンサそれぞれに関する情報を、所定の項目ごとに分けて表したセンサプロファイル情報が記録されたセンサプロファイル情報記録部と、前記サービス実行部が前記サービスを提供するためにセンサに要求するデータに関する情報を、所定の項目ごとに分けて表したセンサ要求情報を記録するセンサ要求情報記録部と、前記複数のセンサの少なくとも一部のセンサの動作を示すシナリオデータを記録するシナリオ記録部と、前記センサプロファイル情報記録部に記録された前記センサプロファイル情報の項目の少なくとも一部について、前記センサ要求情報記録部に記録された前記センサ要求情報の対応する項目と比較することによって、サービスと、そのサービスを提供するために要求されるデータを提供するセンサとの組を表すデータを抽出する検索部と、前記検索部が抽出したデータが表すサービスとセンサの組について、当該サービスを提供するために要求されるデータを当該センサが提供するための動作を、前記センサプロファイル情報および前記センサ要求情報に基づいて決定し、当該センサの動作を示すシナリオデータに含めて前記シナリオ記録部に記録するシナリオ生成部と、前記シナリオ記録部に記録されたシナリオデータで示される各センサの動作を、当該各センサそれぞれに実行させるための制御信号を生成し、前記各センサに対して送信するシナリオ管理部とを備える。
【0007】
上記構成において、センサ情報管理システムは、ネットワークに接続された複数のセンサそれぞれに関するセンサプロファイル情報を記録するセンサプロファイル情報記録部と、サービス実行部がセンサに要求するデータに関するセンサ要求情報を記録するセンサ要求情報記録部とを備える。そのため、検索部は、センサプロファイル情報の項目の少なくとも一部と、サービスのセンサ要求情報の対応する項目とを比較することにより、サービスとそれに適したセンサとの組を表すデータを抽出することができる。シナリオ生成部は、検索部で抽出されたデータが表す組について、そのサービスを提供するために必要な情報が得られるようなセンサの動作を決定し、シナリオデータに含めてシナリオ記録部に記録する。そのため、複数のセンサそれぞれの動作をシナリオデータとしてシナリオ記録部にまとめて記録することが可能になる。シナリオ管理部は、このようなシナリオデータで示される各センサの動作を、各センサにそれぞれ実行させるための制御信号を生成し、各センサへ対して送信する。これにより、センサ要求情報で示されるサービスで必要となるデータを効率よく提供するために適切なセンサが適切な動作を実行することが可能になる。すなわち、検索部において、サービスと、そのサービスにデータを提供するのに適したセンサが抽出され、シナリオ生成部において、そのセンサの適切な動作が決定される。このようにして決定される各センサの動作は、シナリオデータとしてシナリオ記録部にまとめて記録されるので、シナリオ管理部は、シナリオデータに基づいて、各センサが適切な動作を行うよう制御信号を生成し、各センサに送信することができる。その結果、複数のセンサが接続されたネットワーク全体において、複数のセンサにより提供されるデータを効率よく利用することが可能になる。
【0008】
本発明にかかるセンサ情報管理システムにおいて、前記センサプロファイル情報の項目は、センサの場所、センサの利用できる時間、センサが提供するデータに関する情報のうち、少なくとも1つを含み、前記センサ要求情報の項目は、センサの場所、センサを利用したい時間、センサから取得したいデータに関する情報のうち、少なくとも1つを含み、前記検索部は、前記センサプロファイル情報のセンサの場所と前記センサ要求情報のセンサの場所、前記センサプロファイル情報のセンサの利用できる時間と前記センサ要求情報のセンサを利用したい時間、および、前記センサプロファイル情報のセンサが提供するデータに関する情報と前記センサ要求情報のセンサが提供するデータに関する情報のうち少なくとも1つについて照合することにより、前記センサと前記サービスの組を抽出する態様とすることができる。
【0009】
上記のようにセンサプロファイル情報の項目とセンサ要求情報の項目が設定されると、検索部は、ネットワークに接続された複数のセンサそれぞれの場所、利用可能な時間、およびセンサが提供するデータのうち少なくとも1つを考慮して、サービスで要求されるデータを提供するのに適したセンサを抽出することができる。そのため、ネットワークにおいて、複数のセンサのうち、適切なデータを提供するセンサを、センサの場所、利用時間、センサが提供するデータに関する情報のうち少なくとも1つを考慮して決定することが可能になる。
【0010】
本発明にかかるセンサ情報管理システムは、前記検索部が抽出したサービスとセンサの組について、センサが提供するデータを、当該サービスで要求されるデータに変換するデータ変換部をさらに備え、前記センサプロファイル情報の項目は、センサが提供するデータに関する情報を含み、前記センサ要求情報の項目は、センサから取得したいデータに関する情報を含み、前記シナリオ生成部は、前記検索部が抽出したサービスとセンサの組について、前記センサプロファイル情報で示される前記センサが提供するデータと、前記センサ要求情報で示されるセンサから取得したいデータとが一致しない場合に、前記センサが提供するデータを、当該サービスで要求されるデータに変換する動作を示すデータを前記データ変換部の動作を示すデータとして前記シナリオデータに含めて前記シナリオ記録部へ記録する態様とすることができる。
【0011】
上記構成により、検索部が抽出したサービスとセンサの組について、前記センサプロファイル情報で示される前記センサが提供するデータと、前記センサ要求情報で示されるセンサから取得したいデータとが一致しない場合であっても、データ変換部により、センサで提供されるデータが、サービスで要求されるデータに適するように変換される。その結果、1つのサービスにデータを提供できるセンサの選択肢が広がることになる。
【0012】
本発明にかかるセンサ情報管理方法は、複数のセンサと、前記複数のセンサの少なくとも1つで提供されるデータを用いたサービスを提供するサービス実行部を備えるコンピュータとを含むネットワークに接続され、前記複数のセンサそれぞれに関する情報を、所定の項目ごとに分けて表したセンサプロファイル情報が記録されたセンサプロファイル情報記録部と、前記サービス実行部が前記サービスを提供するためにセンサに要求するデータに関する情報を、所定の項目ごとに分けて表したセンサ要求情報を記録するセンサ要求情報記録部と、前記複数のセンサの少なくとも一部のセンサの動作を示すシナリオデータを記録するシナリオ記録部とを備えるコンピュータが実行するセンサ情報管理方法である。前記センサ情報管理方法は、前記コンピュータの検索部が、前記センサプロファイル情報記録部に記録された前記センサプロファイル情報の項目の少なくとも一部について、前記センサ要求情報記録部に記録された前記センサ要求情報の対応する項目と比較することによって、サービスと、そのサービスを提供するために要求されるデータを提供するセンサとの組を表すデータを抽出する検索ステップと、前記検索部が抽出したデータが表すサービスとセンサの組について、前記コンピュータのシナリオ生成部が、当該サービスを提供するために要求されるデータを当該センサが提供するための動作を、前記センサプロファイル情報および前記センサ要求情報に基づいて決定し、当該センサの動作を示すシナリオデータに含めて前記シナリオ記録部に記録するシナリオ生成ステップと、前記コンピュータのシナリオ管理部が、前記シナリオ記録部に記録されたシナリオデータで示される各センサの動作を、当該各センサそれぞれに実行させるための制御信号を生成し、前記各センサに対して送信するシナリオ管理ステップとを含む。
【0013】
本発明にかかるセンサ情報管理プログラムは、複数のセンサと、前記複数のセンサの少なくとも1つで提供されるデータを用いたサービスを提供するサービス実行部を備えるコンピュータとを含むネットワークに接続され、前記複数のセンサそれぞれに関する情報を、所定の項目ごとに分けて表したセンサプロファイル情報が記録されたセンサプロファイル情報記録部と、前記サービス実行部が前記サービスを提供するためにセンサに要求するデータに関する情報を、所定の項目ごとに分けて表したセンサ要求情報を記録するセンサ要求情報記録部と、前記複数のセンサの少なくとも一部のセンサの動作を示すシナリオデータを記録するシナリオ記録部とを備えるコンピュータに処理を実行させるセンサ情報管理プログラムである。前記センサ情報管理プログラムは、前記センサプロファイル情報記録部に記録された前記センサプロファイル情報の項目の少なくとも一部について、前記センサ要求情報記録部に記録された前記センサ要求情報の対応する項目と比較することによって、サービスと、そのサービスを提供するために要求されるデータを提供するセンサとの組を表すデータを抽出する検索処理と、前記検索処理で抽出されたデータが表すサービスとセンサの組について、当該サービスを提供するために要求されるデータを当該センサが提供するための動作を、前記センサプロファイル情報および前記センサ要求情報に基づいて決定し、当該センサの動作を示すシナリオデータに含めて前記シナリオ記録部に記録するシナリオ生成処理と、前記シナリオ記録部に記録されたシナリオデータで示される各センサの動作を、当該各センサそれぞれに実行させるための制御信号を生成し、前記各センサに対して送信するシナリオ管理処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のセンサが接続されたネットワーク全体において、複数のセンサにより提供されるデータを効率よく利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明のより具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(センサ情報管理システム1の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るセンサ情報管理システムの構成を、これを含むシステム全体の構成と共に示す機能ブロック図である。図1に示すセンサ情報管理システム1は、ネットワーク11に接続されている。本実施形態では、一例としてネットワーク11がインターネットである場合について説明するが、ネットワークの種類は特に限定するものではなく、LANその他のコンピュータネットワークでもよい。
【0017】
ネットワーク11には、ノードコンピュータ8a、8bと、センサ制御部9a〜9eをそれぞれ備えるセンサ10a〜10eが接続されている。ノードコンピュータ8a、8bは、サービス実行部80a、80bをそれぞれ備える。それぞれのサービス実行部80a、80bは、センサ10a〜10eのうち少なくとも1つのセンサが提供するデータを用いた情報処理を行うことにより、分析サービスを提供する。例えば、サービス実行部80aは、センサ10aが提供する店舗Aの画像データをリアルタイムで解析し、店舗Aを訪問する顧客の傾向を示すデータを提供する処理を実行することにより、店舗Aにおける顧客の行動を分析するサービスを提供することができる。
【0018】
なお、図1では、説明の簡略化のために、2台のノードコンピュータ8a、8bと5台のセンサ10a〜10eが存在する場合を図示したが、ネットワーク11に接続されるノードコンピュータおよびセンサの数は任意である。また、ネットワーク11には、センサ情報管理システム1、センサ10a〜10eおよびノードコンピュータ8a、8bの他に、例えば、WWWサーバ、DNSサーバ、ユーザ端末等の任意のノードコンピュータが存在していても良い。そして、このようなノードコンピュータにもセンサを使ったサービスを提供するサービス実行部が備えられる構成であってもよい。
【0019】
センサ10a〜10eは、物理量(光、圧力、変位、温度、湿度等)の情報、化学量(ガス、イオン、生体物質等)の情報または、情報処理において生成される情報(各種ログデータ、POSレジ情報、通信パケット解析情報)等を検出して、後の処理に都合のよい信号として提供するデバイスである。本実施形態では、一例として、センサ10a、10bは店舗A、B(図示せず)にそれぞれ備えられたビデオカメラ、センサ10cはスキャナ、センサ10dは店舗C(図示せず)におけるレジのバーコードリーダ、センサ10eはWebサーバ(図示せず)のWebログ等を解析することによりBlogの評判情報を提供するCGM(Consumer Generated Media)センサである場合について説明する。
【0020】
このように、本発明が対象とするセンサには、物理的または化学的な情報を検出して、後の処理に都合のよい信号に変換するものだけでなく、コンピュータの情報処理において生成される種々のデータを検出して、後の処理に都合のよい信号に変換する機能を持つものも含まれる。また、センサは、有線によりネットワーク11に接続されてもよいし、無線によりネットワーク11に接続されてもよい。
【0021】
センサ情報管理システム1は、ネットワーク11に接続されたセンサ10a〜10eが提供するデータを、ノードコンピュータ8a、8bのサービス実行部80a、80bのサービスに効率よく割り当てる機能を持つ情報処理システムである。センサ情報管理システム1は、センサプロファイル情報記録部2、センサ要求情報記録部3、検索部4、シナリオ生成部5、シナリオ管理部6およびデータ変換部7、シナリオ記録部12を備える。
【0022】
センサ情報管理システム1は、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバマシン等の汎用コンピュータにより構成することができる。検索部4、シナリオ生成部5、シナリオ管理部6、データ変換部7の各部は、コンピュータのCPUが所定のプログラムを実行することによって実現される。また、センサ情報管理システム1は、コンピュータが備える記録装置または、コンピュータからアクセス可能な記録装置の一部を、センサプロファイル情報記録部2、センサ要求情報記録部3およびシナリオ記録部12として利用する。
【0023】
センサプロファイル情報記録部2には、ネットワーク11に接続されたセンサ10a〜10eそれぞれによって提供されるデータに関するセンサプロファイル情報が記録されている。センサプロファイル情報記録部2には、センサ10a〜10eに関する情報が、例えば、センサの場所、センサを利用できる時間、センサで提供されるデータに関する情報その他センサに関する情報等の所定の項目ごとに分けて記録される。センサで提供されるデータに関する情報の例として、センサで提供されるデータの種類や属性等を表す情報が挙げられる。このように、センサプロファイル情報には、センサがどのような場所で、どのようなデータを、どのようなスペックで提供するのかを示す情報が含まれる。
【0024】
センサ10a〜10eそれぞれのセンサプロファイル情報は、例えば、センサ10a〜10eそれぞれが備えるメモリ等の記録媒体に予め設定されていてもよいし、センサがユーザインタフェースを備える場合には、ユーザからの入力に基づいて設定されてもよい。また、例えば、GPS機能による位置情報を取得等のようにセンサが自動的に周囲の環境に関する情報を取得し、センサに記録されたセンサプロファイル情報に含めてもよい。
【0025】
各センサ10a〜10eで記録されたセンサプロファイル情報は、ネットワーク11を介して、センサプロファイル情報記録部2へ送られ、記録される。この場合、各センサ10a〜10eでは、センサに関する情報を、例えば、設置場所、利用可能な時間、提供されるデータに関する情報等のように所定の項目ごとに設定することが好ましい。なお、各センサ10a〜10eのセンサプロファイル情報は、必ずしも各センサ10a〜10eにおいて設定される必要はなく、例えば、ネットワーク11を介して接続された他の端末(図示せず)で設定され、プロファイル情報記録部2へ送信されてもよい。
【0026】
センサ要求情報記録部3は、ノードコンピュータ8a、8bから送られてくるセンサ要求情報を記録する。センサ要求情報は、ノードコンピュータ8a、8bのサービス実行部80a、80bがサービスを提供するために、センサに対して要求するデータに関する情報を所定の項目ごとに表したデータである。センサ要求情報の項目には、例えば、サービス実行部80a、80bが要求するセンサの場所、サービス実行部80a、80bがセンサを利用すべき時間、サービス実行部80a、80bがセンサから取得したいデータに関する情報が含まれる。またセンサ要求情報は、サービス実行部80a、80bで提供されるサービスごとに記録されることが好ましい。このように、センサ要求情報には、センサから取得したいデータに関する条件を示す情報が含まれる。
【0027】
サービス実行部80a、80bで提供される各サービスについてのセンサ要求情報は、例えば、ノードコンピュータにおいて、ユーザからの入力されたデータに基づいて生成され、センサ要求情報記録部3へ送られ、記録される。
【0028】
ここで、センサプロファイル情報とセンサ要求情報のデータ構造の例について説明する。図2は、1つのセンサについてのセンサプロファイル情報、および1つのサービスについてのセンサ要求情報のスキーマの一例を示す図である。
【0029】
図2に示すスキーマは、センサプロファイル情報とセンサ要求情報の両方に用いられる。このように、センサプロファイル情報およびセンサ要求情報に同様のスキーマを用いることにより、例えば、後述する検索部4の処理を簡単にすることができる。図2に示すスキーマにおいて、センサプロファイル情報/センサ要求情報は、階層構造になっており、1つのセンサあるいはサービスについてのセンサプロファイル情報/センサ要求情報の下層に、設置場所、利用時刻、データ種、動作属性のデータが含まれる。
【0030】
設置場所は、センサの設置場所に関する情報である。1つのセンサのセンサプロファイル情報に含まれる設置場所としては、そのセンサがどこにあるかを示すデータが記録され、1つサービスのセンサ要求情報に含まれる設置場所としては、そのサービスを提供するためにどこにあるセンサが必要なのかを示すデータが記録される。具体的には、センサの配置された店舗を識別するデータ、GPSで使用可能な緯度経度データ等が設置場所として記録される。
【0031】
利用時間は、センサの稼働時間に関する情報である。1つのセンサのセンサプロファイル情報に含まれる利用時間としては、そのセンサが稼動している時間、すなわち、そのセンサを利用可能な時間が利用時間として記録される。1つのサービスのセンサ要求情報に含まれる利用時間としては、そのサービスを提供するためにセンサを利用すべき時間が利用時間として記録される。
【0032】
データ種は、センサが提供するデータの種類に関する情報である。1つのセンサのセンサプロファイル情報に含まれるデータ種としては、そのセンサが提供するデータは何であるかを示す情報がデータ種として記録される。1つのサービスのセンサ要求情報に含まれるデータ種としては、そのサービスを提供するためにセンサから取得する必要のあるデータは何かを示す情報がデータ種として記録される。具体的には、例えば、画像情報、音声情報、入退出情報、位置情報、POSレジ情報、Webアクセス数、加速度、圧力、温度、電圧、電流等がデータ種として記録される。
【0033】
動作属性は、センサが提供するデータの属性を表す情報である。データ属性としてどのような情報が記録されるかは、データ種に依存することが多い。例えば、データ種が画像情報の場合、動作属性として図2に示すようにサンプリング周波数、画素数が記録されうる。また他の例として、データ種が速度の場合、例えば、誤差精度、単位(km/h、m/sec)等が記録されうる。また、例えば、センサの識別情報(センサID)等のセンサ自体の属性を示す情報も動作属性として記録されてもよい。
【0034】
図2に示したように階層構造のスキーマを持つデータは、例えば、XML形式で記録することができるが、データ形式は特に限定されない。また、センサプロファイル情報およびセンサ要求情報のスキーマも上記例に限定されない。
【0035】
検索部4は、センサプロファイル情報記録部2に記録されたセンサ10a〜10eそれぞれについてのセンサプロファイル情報と、センサ要求情報記録部3に記録されたサービス実行部80a、80bで実行されるサービスそれぞれについてのセンサ要求情報とを各項目で比較することにより、サービスと、そのサービスを提供するために利用されるセンサとの組を表すデータを抽出する。例えば、センサプロファイル情報とセンサ要求情報が、図2に示した構造である場合、検索部4は、ある1つのセンサのセンサプロファイル情報と、ある1つのサービスのセンサ要求情報について、設置場所、利用時間、データ種、動作属性それぞれについて一致するか否かを判断する。その結果、検索部4は、例えば、全てにおいて一致している場合、そのセンサプロファイル情報とセンサ要求情報の組を抽
出することができる。抽出したデータは、シナリオ生成部5に通知される。
【0036】
シナリオ生成部5は、検索部4から通知されたデータが示すサービスとセンサの組について、そのサービスを提供するために必要となるそのセンサの動作を決定し、そのセンサの動作を示すシナリオデータに含めてシナリオ記録部12に記録する。その際、シナリオ生成部5は、そのセンサのセンサプロファイル情報およびそのサービスのセンサ要求情報に基づいてセンサの動作を決定することができる。シナリオ記録部12には、シナリオ生成部5により、各センサ10a〜10eのうち少なくとも一部のセンサの動作を示すシナリオデータが記録される。
【0037】
シナリオ管理部6は、シナリオ記録部12に記録されたシナリオデータで示される各センサの動作を、各センサそれぞれに実行させるための制御信号を生成し、各センサに対して送信する。本実施形態では、シナリオ管理部6は、各センサ10a〜10eが備えるセンサ制御部9a〜9eに対して動作命令を送信することにより、各センサ10a〜10eをシナリオデータの通りに動作させる。シナリオデータの詳細については後述する。
【0038】
以上説明したように、図1に示すシステム構成においてセンサ情報管理システム1は、センサプロファイル情報とセンサ要求情報とを用いて、ネットワーク11に接続されたセンサ10a〜10eと、ノードコンピュータで実行されるサービスとを動的に結びつけるゲートウェイ(gateway)の役割を果たす。
【0039】
(センサ情報管理システム1の動作例)
次に、センサ情報管理システム1の動作例について説明する。図3は、センサ情報管理システムの処理の流れを示すフローチャートである。図3に示す処理は、一例として、ノードコンピュータ8aのサービス実行部80aが新規に分析サービスを開始する際に、センサ情報管理システムが、その分析サービスに適したセンサを割り当てる処理である。
【0040】
まず、サービス実行部80aは、新規に始めようとする分析サービス(以下、分析サービスBと称する)についてのセンサ要求情報を、センサ要求情報記録部3に追加する(Op1)。分析サービスBのセンサ要求情報は、例えば、ノードコンピュータ8aにおいて、ユーザが入力するデータに基づいて生成される。ノードコンピュータ8aのサービス実行部80aは、生成されたセンサ要求情報を、ネットワーク11を介してセンサ情報管理システム1へ送信し、センサ要求情報記録部3へ記録する。
【0041】
ここでは、一例として、分析サービスBは、店舗Aのカメラの画像を使って店舗Aに来る顧客の動向を分析するサービスであるとする。下記(表1)は、分析サービスBのセンサ要求情報の内容の一例を示す表である。下記(表1)のデータ項目「設置場所」「利用時間」「データ種」「動作属性」は図2に示した「設置場所」「利用時間」「データ種」「動作属性」にそれぞれ対応する。データ内容は、それぞれのデータ項目のデータとして記録されるデータの内容である。例えば、設置場所として、店名「店舗A」とGPS緯度経度情報「(141.41,45.24)」が記録されている。
【0042】
【表1】

【0043】
分析サービスBのセンサ要求情報がセンサ要求情報記録部3に追加されると、検索部4は、追加された分析サービスBのセンサ要求情報を、センサ要求情報記録部3から読み出す(Op2)。そして、検索部4は、分析サービスBのセンサ要求情報に基づいて、分析サービスBに合うセンサのセンサプロファイル情報をセンサプロファイル情報記録部2から検索する(Op3)。検索部4は、例えば、センサ10a〜10eそれぞれのセンサプロファイル情報について、分析サービスBのセンサ要求情報と比較する。その際、設置場所、利用時間、データ種、動作属性それぞれについて比較することができる。そして、分析サービスBのセンサ要求情報の内容が、例えば、全てのデータ項目においてセンサプロファイル情報の内容に該当する場合、そのセンサプロファイル情報をセンサプロファイル情報記録部2から抽出する。なお、検索部4は、全てのデータ項目に限らず、一部のデータ項目において、センサ要求情報の内容がセンサプロファイル情報の内容に該当する場合に、そのセンサプロファイル情報を抽出してもよい。
【0044】
例えば、センサ10aおよびセンサ10dのセンサプロファイル情報の内容がそれぞれ下記(表2)および(表3)に示すような内容であった場合の検索部4の処理例について説明する。
【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
検索部4は、上記(表3)に示す内容のセンサ10dのセンサプロファイル情報と、上記(表1)に示す内容の分析サービスBのセンサ要求情報とを比較すると、利用時間は一致するが、それ以外の設置場所、データ種、動作属性それぞれにおいて互いに異なっていると判断する。
【0048】
一方、検索部4は、下記(表2)に示す内容のセンサ10aのセンサプロファイル情報と、上記(表1)に示す内容の分析サービスBのセンサ要求情報とを比較すると、設置場所、利用時間、データ種、動作属性それぞれにおいて、分析サービスBのセンサ要求情報の内容がセンサ10aのセンサプロファイル情報の内容に該当していると判断できる。そこで、検索部4は、センサ10aのセンサプロファイル情報を、分析サービスBのセンサ要求情報に対応するセンサ10aのセンサプロファイル情報として抽出する。
【0049】
これにより、分析サービスBに適したセンサのセンサプロファイル情報が抽出される。すなわち、本実施形態では、ネットワーク11上のセンサ10a〜10eそれぞれのセンサプロファイル情報が集められて記録されたセンサプロファイル情報記録部2と、ネットワーク11上のサービス実行部80a、80bそれぞれのセンサ要求情報が集められて記録されたセンサ要求情報記録部3の双方に対して、検索部4がアクセスすることにより、サービスとセンサとの最適な組み合わせを抽出する構成となっている。その結果、例えば、サービス実行部80a、80bで実行されるサービスに対して適切なセンサをネットワーク11から抽出し、その機能を動的に割り当てることが可能になる。ここでは、一例としてセンサ10aのカメラのセンサプロファイル情報が抽出された場合について以下に説明する。なお、上記のセンサプロファイル情報の抽出処理は一例であり、これに限られない。
【0050】
検索部4は、このようにして検索したセンサ10aのセンサプロファイル情報と分析サービスBのセンサ要求情報とをシナリオ生成部5に通知する。シナリオ生成部5は、通知されたセンサプロファイル情報とセンサ要求情報に基づいて、分析サービスBにデータを提供するためのセンサ10aの動作を決定し、シナリオ記録部12に記録されたセンサ10aのシナリオデータに決定した動作を含めるように、シナリオデータを更新する(Op4)。シナリオ管理部6は、記録されたシナリオデータが示す動作を実行するように、該当するセンサのセンサ制御部に動作命令を送信する(Op5)。
【0051】
(シナリオ生成処理の一例)
ここで、Op4のシナリオデータ更新処理の詳細について説明する。図4は、シナリオ生成部5が、シナリオを生成する処理を示すフローチャートである。ここでは、一例として、センサ10aがすでにサービス実行部80aが実行する別のサービス(以下、サービスAと称する)のために動作している場合に、その動作に加えて、上記の分析サービスBのための動作もセンサ10aにさせる場合について説明する。下記(表4)に、サービスAのセンサ要求情報のデータ内容を示す。
【0052】
【表4】

【0053】
このような場合、シナリオ記録部12には、サービスAのためのセンサ10aの動作を示すシナリオデータが記録されている。そこで、シナリオ生成部5は、すでに記録されているセンサ10aの動作を示すシナリオデータに対して、分析サービスBのためのセンサ10aの動作を示すデータを追加することになる。
【0054】
図5は、シナリオデータが示すセンサ10aの動作スケジュールと、サービスA、分析サービスBの処理スケジュールとの関係を説明するための図である。図5において矢印は時間軸を示している。図5に示すように、サービスAは、8:00から12:00において、センサ10aから提供される100FPSの画像データを利用する。これに伴い、センサ10aは8:00から12:00において、100FPSで画像を提供するように動作することが図5で示されている。この場合、すでに記録されているセンサ10aのシナリオデータには、例えば、動作開始時間(8:00)および動作終了時間(12:00)を表すデータと、センサ10aの動作パラメータ(100FPS)とが含まれることになる。ここで、動作パラメータは、センサ10aの動作を制御するためのパラメータである。本実施形態では、一例として、センサ10aの動作パラメータは、画像のサンプリング周波数である場合について説明する。
【0055】
そして、新規に追加される分析サービスBがセンサ10aで提供されるデータを利用する時間は、10:00〜18:00である(図5の点線部分参照)。この場合、シナリオ生成部5は、まず、センサ要求情報に基づいて、センサ10aの動作時間に複数の区分を設定する(図4のOp41)。分析サービスBがセンサ10aのデータを利用する時間は、10:00〜18:00なので、現在のセンサ10aの動作開始時刻8:00および終了時刻12:00と、分析サービスBの利用開始時刻10:00および終了時刻18:00とを境とした区分を設定する。その結果、図6に示すように、センサ10aの動作時間に対して、区分K1(8:00〜10:00)、K2(10:00〜12:00)、K3(12:00〜18:00)が設定される。具体的には、シナリオ生成部5は、センサ10aのシナリオデータに区分K1、K2、K3を示す情報を追加する。なお、図6は、分析サービスBが追加された場合のセンサ10aとデータ変換部7の動作スケジュールを説明するための図である。
【0056】
シナリオ生成部5は、区分を設定すると、区分ごとにセンサ10aの動作を決定する。(図4のOp42)。具体的には、シナリオ生成部5は、各区分について、サービスAおよび分析サービスBのセンサ要求情報、並びにセンサ10aのセンサプロファイル情報を参照し、区分ごとにセンサ10aの動作を示す動作パラメータを生成し、センサ10aのシナリオデータに追加する。
【0057】
例えば、区分K1(8:00〜10:00)についての判断においては、この区分は、分析サービスBのセンサ要求情報の利用時間(10:00〜18:00;上記表1参照)には含まれておらず、サービスAのセンサ要求情報の利用時間(8:00〜12:00;表4参照)にのみ含まれていると判断される。そのため、区分K1の動作パラメータとして、サービスAのセンサ要求情報の動作属性「100FPS」が生成される。
【0058】
また、区分K2(10:00〜12:00)は、サービスAのセンサ要求情報の利用時間(8:00〜12:00)および分析サービスBのセンサ要求情報の利用時間(10:00〜18:00)の双方が重なっている。そして、サービスAが要求する動作属性は「100FPS」、分析サービスBが要求する動作属性は「300FPS」である。この場合、シナリオ生成部5は、スペックが高い方を優先し、区分K2の動作パラメータを「300FPS」とすることができる。
【0059】
また、区分K3(12:00〜18:00)は、分析サービスBのセンサ要求情報の利用時間のみとなる。分析サービスBが要求する動作属性は、「300FPS」であるので、シナリオ生成部5は、区分K2に引き続き、区分K3の動作パラメータを「300FPS」とする。
【0060】
このように、シナリオ生成部5は、各区分において最もスペックの高い要求に合わせて動作を決定することで、サービス側の要求を的確に満たすことができる。また、シナリオ生成部5は、センサ10aのセンサプロファイル情報の動作属性「500FPS以下」(表2参照)に該当する範囲で動作パラメータを生成する。
【0061】
このようにして、各区分の動作が決定すると、次に、シナリオ生成部5は、センサ10aが提供するデータの属性と、サービスが利用するデータの属性が異なる区分について、センサ10aが提供するデータをサービスで利用されるデータに変換する処理を示すデータを生成する(Op43)。この処理は、データ変換部7が実行する処理である。例えば、区分K2では、センサ10aが提供する画像データのサンプリング周波数は「300FPS」であるのに対して、サービスAが要求する画像データは、「100FPS」である。そのため、シナリオ生成部5は、区分K2において、センサ10aがサービスAに対して提供した画像データを「300FPS」から「100FPS」に変換する処理を示すデータを生成する。生成したデータは、例えば、センサ10aのシナリオデータに追加される。
【0062】
以上の処理(Op41〜Op43)により、センサ10aのシナリオデータが示す、データ変換部7およびセンサ10aの動作スケジュールは図6に示すようになる。すなわち、センサ10aは、区分K1でサンプリング周波数「100FPS」の画像データをサービスAに提供、区分K2でサンプリング周波数「300FPS」の画像データをサービスAと分析サービスBに提供、区分K3でサンプリング周波数「100FPS」の画像データをサービスAに提供するように動作する。そしてデータ変換部7は、区分K2でセンサ10aが提供する画像データのサンプリング周波数を「300FPS」から「100FPS」に変換してサービスAへ提供する。
【0063】
図7は、上記のOp41〜Op43の処理により生成されたセンサ10aのシナリオデータが示す処理の流れを示すフローチャートである。すなわち、シナリオ管理部6は、上記Op41〜Op42の処理で生成されたシナリオデータを基に、図7に示す処理を実行することになる。これにより、図6に示したスケジュールでセンサ10a、データ変換部7が動作する。
【0064】
なお、上記例では、データ変換部7の処理として、サンプリング周波数を変換する処理
について説明したが、データ変換処理はこれに限られない。データ変換処理には、例えば、センサで提供されるデータとサービスで要求されるデータとの間で、データフォーマット、単位等が異なる場合に、これらを一致させるように変換する処理が含まれる。データ変換部7による処理の他の例として、サンプリング周期の変更、画質や音質の変換、移動平均による平滑化の変更等が挙げられる。
【0065】
また、図7に示す処理を表すシナリオデータは、例えば、シナリオ管理部6が実行すべき処理と実行時刻と示すデータを含むスクリプトの形式でシナリオ記録部12に記録されてもよいし、また、例えば、任意のプログラム言語のソースコード、XML形式、オブジェクトコードまたはバイナリデータ等の形式で記録されてもよい。すなわち、シナリオデータは、シナリオ管理部6が読み込むことができ、それに基づいて図7に示す処理を実行できるもののであれば、その表現形式は限定されない。
【0066】
(シナリオ管理部6の動作例)
ここで、シナリオ管理部6が、シナリオデータに基づいて、図7に示す処理を実行する場合の動作例を説明する。図7に示す処理では、まず、シナリオ管理部6は、現在時刻を取得する(Op101)。現在時刻が「8:00」であれば(Op102でYes)、シナリオ管理部6は、センサ10aのセンサ制御部9aに対して、サンプリング周波数「100FPS」の画像データを提供する動作を開始する命令を送信する(Op103)。この命令において、シナリオ管理部6は、画像データの提供先として、サービスAを実行するサービス実行部80aを指定してもよいし、提供先をシナリオ管理部6に指定してもよい。提供先をシナリオ管理部6に指定した場合は、シナリオ管理部6が画像データをサービス実行部80aへ転送する必要がある。
【0067】
現在時刻が「10:00」であれば(Op104でYes)、シナリオ管理部6は、センサ10aのセンサ制御部9aに対して、サンプリング周波数「300FPS」の画像データを提供する動作を開始する命令を送信する(Op105)。さらに、シナリオ管理部6は、データ変換部7に対して、センサ10aが提供した画像データのサンプリング周波数を「300FPS」から「100FPS」に変換しサービスAを実行するサービス実行部80aに送信する命令を出す(Op106)。
【0068】
現在時刻が「12:00」であれば(Op107でYes)、シナリオ管理部6は、データ変換部7に対して、変換処理を停止する命令を送信する(Op108)。
【0069】
現在時刻が「18:00」であれば(Op109でYes)、シナリオ管理部6は、センサ10aのセンサ制御部9aに対して、画像データを提供する動作を停止する命令を送信する(Op110)。
【0070】
シナリオ管理部6は、上記処理を、Op103、Op105、Op106、Op108、Op110の全ての処理が終了する(Op111でYesと判断される)まで、繰り返す。これにより、センサ10aは、サービス実行部80aが実行するサービスAおよび分析サービスBで用いられる画像データを適切なタイミングで効率よく提供することになる。
【0071】
(センサ情報管理システムの他の動作例)
次に、シナリオ生成部5が、シナリオを生成する処理の他の例について説明する。ここでは、センサ10bがすでにノードコンピュータ8bのサービス実行部80bが実行する別のサービス(以下、サービスDと称する)のために動作している場合に、その動作に加えて、ノードコンピュータ8aのサービス実行部80aが新たに開始するサービス(以下、サービスCと称する)のための動作をセンサ10bおよびセンサ10eにさせる場合に
ついて説明する。
【0072】
ここで、一例として、センサ10bは店舗Bに設けられたカメラであり、撮影した画像データから店舗B内の人の動きを動線情報として提供する機能を備えるものとする。また、センサ10eは、Webサーバ(図示せず)のWebログを解析することにより店舗Bの評判情報を生成して提供するCGMセンサである場合について説明する。
【0073】
また、本例において、すでに実行されているサービスDのセンサ要求情報は、下記表5に示すとおりである。すなわち、サービスDは、センサ10bの提供する店舗Bの動線情報を8:00〜18:00に利用している。
【0074】
【表5】

【0075】
また、新規に追加されようとしているサービスCのセンサ要求情報は、下記表6に示すとおりである。すなわち、サービスCのセンサ要求情報には、店舗Bの動線情報を要求するためのデータ「要求1」と、店舗Bの評判情報を要求するためのデータ「要求2」が含まれる。すなわち、サービスCは、10:00〜15:00における店舗Bの動線情報と、店舗Bの評判情報とを必要としていることを示している。サービスCは、センサ10bから店舗Bにおける顧客の動線情報を取得し、センサ10eから店舗BのWebにおける評判情報を取得し、両者の関係を分析することで、Webにおける情報と実際の店舗での顧客の振る舞いとの関係について分析するサービスである。
【0076】
【表6】

【0077】
ここで、検索部4は、例えば、上記表6の内容のセンサ要求情報に合うセンサのセンサプロファイル情報を検索する際、要求1および要求2それぞれについてセンサプロファイル情報を抽出する。これにより、例えば、検索部4は、要求1について、下記表7に示す内容のセンサ10bのセンサプロファイル情報を抽出し、さらに、要求2について、下記表8に示す内容のセンサ10eのセンサプロファイル情報を抽出することができる。この場合、サービスCに適するセンサのセンサプロファイル情報として、センサ10bのセンサプロファイル情報とセンサ10eのセンサプロファイル情報の双方が抽出されることになる。
【0078】
【表7】

【0079】
【表8】

【0080】
このように、検索部4は、1つのサービスについて複数のセンサのセンサプロファイル情報を抽出することができる。これにより、複数のセンサで提供されるデータを扱うサービスについても、適切な複数センサの機能を割り当てることができる。
【0081】
図8は、サービスCが追加される前のセンサ10bの動作スケジュールと、サービスC、Dの処理スケジュールとの関係を説明するための図である。図8において矢印は時間軸を示している。図8に示すように、サービスDは、8:00から18:00までセンサ10bから提供される動線情報を利用する。この場合、シナリオ記録部12には、センサ10bのシナリオデータが記録されており、そのセンサ10bのシナリオデータには、例えば、動作開始時間(8:00)および動作終了時間(18:00)を表すデータ、センサ10bの動作パラメータ「動線情報」が含まれることになる。新規に追加されようとしているサービスCがセンサ10bで提供されるデータとセンサ10eで提供されるデータとを利用する時間は、10:00〜15:00である(図8の点線部分参照)。
【0082】
シナリオ生成部5は、まず、8:00、10:00、15:00および18:00を境にした区分をセンサ10bおよびセンサ10eそれぞれの動作時間について設定する。
【0083】
シナリオ生成部5は、図9に示すように、センサ10eの動作時間として区分K1−1、区分K2−1、区分K3−1を設定し、センサ10bの動作時間として区分K1−2、区分K2−2、区分K3−2を設定する。なお、図9は、サービスCが追加された後のセンサ10b、センサ10e、データ変換部7の動作スケジュールを説明するための図である。
【0084】
そして、シナリオ生成部5は、それぞれの区分で、センサ10bまたはセンサ10eの動作を決定する。具体的には、シナリオ生成部5は、センサ10eの区分K1−1、K2−1、K3−1については、サービスCのセンサ要求情報中の「要求2」の内容、およびセンサ10eのセンサプロファイル情報を参照することにより、区分ごとにセンサ10eの動作を示す動作パラメータを生成し、センサ10aのシナリオデータに追加する。
【0085】
例えば、区分K1−1の時間(8:00〜10:00)および区分K3−1の時間(15:00〜18:00)は、サービスCのセンサ要求情報の利用時間(10:00〜15:00;上記表6参照)に含まれていないので、「動作なし」を示す動作パラメータが生成される。
【0086】
区分K2−1(10:00〜15:00)については、シナリオ生成部5は、サービスCのセンサ要求情報中の「要求2」のデータ種および動作属性が示すデータ「評判情報」「店舗B」を動作パラメータとして生成することができる。
【0087】
また、区分K1−2、K2−2、K2−3については、シナリオ生成部5は、サービスDのセンサ要求情報およびサービスCのセンサ要求情報中の「要求1」の内容、並びにセンサ10eのセンサプロファイル情報を参照し、区分ごとにセンサ10bの動作を決定することができる。例えば、区分K2−2について、サービスDのセンサ要求情報のデータ種およびサービスCのセンサ要求情報「要求1」のデータ種を参照することにより、双方の内容「動線情報」を示す動作パラメータを生成して、センサ10bのシナリオデータに追加する。
【0088】
さらに、シナリオ生成部5は、センサ10bにより提供されるデータ(動線情報)が、サービスDおよびサービスCの両方で利用される区分K2−2について、センサ10aが提供する動線情報をサービスCのために複製する処理を示すデータを生成する。生成したデータは、データ変換部7に実行させる処理としてシナリオデータに追加される。これにより、センサ10eのシナリオデータは、図9に示す動作スケジュールを実行するため情報を含むデータとなる。
【0089】
図10は、上記の処理により生成されたセンサ10bのシナリオデータが示す処理の流れを示すフローチャートである。すなわち、シナリオ管理部6は、上記のシナリオ生成部5の処理で生成されたシナリオデータを基に、図10に示す処理を実行することになる。これにより、図9に示す動作スケジュールのとおり、センサ10b、センサ10eおよびデータ変換部7が動作することになる。
【0090】
(シナリオ管理部6の他の動作例)
ここで、シナリオ管理部6が、シナリオデータに基づいて、図10に示す処理を実行する場合の動作例を説明する。まず、シナリオ管理部6は、現在時刻を取得する(Op201)。現在時刻が「8:00」であれば(Op202でYes)、シナリオ管理部6は、センサ10bのセンサ制御部9bに対して、「動線情報」を提供する動作を開始する命令を送信する(Op203)。
【0091】
現在時刻が「10:00」であれば(Op204でYes)、シナリオ管理部6は、センサ10eのセンサ制御部9eに対して、「店舗B」の「評判情報」を提供する動作を開始する命令を送信する(Op205)。さらに、シナリオ管理部6は、データ変換部7に対して、センサ10bが提供した動線情報を複製し、サービスCを実行するサービス実行部80aに送信する命令を出す(Op206)。
【0092】
現在時刻が「15:00」であれば(Op207でYes)、センサ10eのセンサ制御部9eに対して、「評判情報」を提供する動作を停止する命令を送信する(Op208)。さらに、シナリオ管理部6は、データ変換部7に対して、複製処理を停止する命令を送信する(Op209)。
【0093】
現在時刻が「18:00」であれば(Op210でYes)、シナリオ管理部6は、センサ10bのセンサ制御部9bに対して、「動線情報」を提供する動作を停止する命令を送信する(Op211)。
【0094】
シナリオ管理部6は、上記処理を、Op203、Op205、Op206、Op208、Op209、Op211が全て終了する(Op212でYesと判断される)まで、繰り返す。これにより、センサ10bは、サービス実行部80aが実行するサービスCおよびサービスDで用いられる動線情報を、センサ10eは、サービスCで用いられる評判情報を、適切なタイミングで効率よく提供することになる。また、上記の動作例により、店舗に設けられたカメラと店舗に関する情報が集まるWebサーバの双方からデータを用いる分析サービスが容易に実現される。すなわち、物理的または化学的な現象を検出するセンサから得られるデータと、情報処理において生成される情報で示される現象を検出するセンサから得られるデータとを取得することが容易になる。その結果、高度な分析サービスを提供することが可能になる。
【0095】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の適用範囲は、上記実施形態に限られない。また、物理的または化学的な現象を検出するセンサで提供されるデータの他の例として、生体計測により得られるデータ(眼球運動を表すデータ、床反力系、筋電図等)、モーションキャプチャリングデータ、加速度データ、CPU負荷、GPSデータ等が挙げられる。情報処理において生成される情報で示される現象を検出するセンサで提供されるデータの他の例として、Webアクセスのパターンを表すデータ、Webサイトの広告効果を示すデータ、ユーザによる入力操作の傾向を示すデータ、通信パケット量、トランザクション数等が挙げられる。
【0096】
また、本発明が対象とする、センサを使ったサービスは、上記のサービスA、分析サービスB、サービスC、サービスDに限られず、例えば、センサの設置場所の状況を監視するサービス、センサを介して種々の情報を伝達する通信サービス等の他、任意のサービスが含まれる。
【0097】
なお、上記の実施形態では、センサ情報管理システム1をコンピュータにより実施する例を示したが、センサ情報管理システム1の機能をコンピュータで実現させるためのプログラムまたはこれを記録した記録媒体も、本発明の実施の一形態である。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、本発明は、ネットワークに接続されたセンサを効率よく利用することを可能にするセンサ情報管理システムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】センサ情報管理システムを含むシステムの構成と共に示す機能ブロック図
【図2】センサプロファイル情報およびセンサ要求情報のスキーマの一例を示す図
【図3】センサ情報管理システムの処理の流れを示すフローチャート
【図4】シナリオを生成する処理を示すフローチャート
【図5】センサの動作スケジュールと、サービスA、分析サービスBの処理スケジュールとの関係を説明するための図
【図6】分析サービスBが追加された後のセンサおよびデータ変換部の動作スケジュールを説明するための図
【図7】シナリオデータが示す処理の流れを示すフローチャート
【図8】サービスCが追加される前のセンサの動作スケジュールと、サービスC、Dの処理スケジュールとの関係を説明するための図
【図9】サービスCが追加された後のセンサ、データ変換部の動作スケジュールを説明するための図
【図10】シナリオデータが示す処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
【0100】
1 センサ情報管理システム
2 センサプロファイル情報記録部
3 センサ要求情報記録部
4 検索部
5 シナリオ生成部
6 シナリオ管理部
7 データ変換部
8a、8b ノードコンピュータ
9a-9e センサ制御部
10a-10e センサ
11 ネットワーク
12 シナリオ記録部
80a、80b サービス実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
ネットワークに接続された複数のセンサの中から、サービスの提供に用いられるデータを出力するセンサを少なくとも1つ決定し、
前記決定した少なくとも1つのセンサにデータの取得を指示する、
センサ管理方法。
【請求項2】
コンピュータに、
ネットワークに接続された1以上のセンサが出力するデータを用いて提供するサービスに用いられるセンサについての要求情報と、該ネットワークに接続された複数のセンサの情報に基づいて、前記要求情報を満足するために使用する1以上のセンサを決定し、
使用が決定された前記1以上のセンサに対して制御を行う、
センサ管理方法。
【請求項3】
ネットワークに接続された複数のセンサの中から、サービスの提供に用いられるデータを出力するセンサを少なくとも1つ決定する手段と、
前記決定した少なくとも1つのセンサにデータの取得を指示する手段と、
を備えるセンサ管理装置。
【請求項4】
ネットワークに接続された1以上のセンサが出力するデータを用いて提供するサービスに用いられるセンサについての要求情報と、該ネットワークに接続された複数のセンサの情報に基づいて、前記要求情報を満足するために使用する1以上のセンサを決定する手段と、
使用が決定された前記1以上のセンサに対して制御を行う手段と、
を備えるセンサ管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−23747(P2012−23747A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180738(P2011−180738)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【分割の表示】特願2007−82142(P2007−82142)の分割
【原出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】