説明

ソケット/プラグアセンブリ

【課題】ソケット/プラグアセンブリにおけるソケットの長さを短くする。
【解決手段】ソケットは、プラグ受入孔を備える筒状本体26と、挿入されるプラグを固定する固定子28と、該固定子を操作するためのスリーブ30と、該スリーブを固定子に押圧係合させる位置に向けて付勢するための圧縮コイルバネ32とを有する。筒状本体26は、小径部34と大径部36とを有し、スリーブは小径部上で摺動可能とされている摺動部30−1と、該摺動部よりも内径が大きくされて筒状本体の大径部に向けて延びているカバー部30−2とを有する。圧縮コイルバネは、筒状本体の大径部36とスリーブの摺動部30−1との間に設定され、その周りには、筒状のバネカバー42が設けられる。スリーブが摺動するときに、そのカバー部30−2がバネカバー42に重なった状態を維持するようにされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケットと、該ソケットに挿入されて連結されるプラグとからなるソケット/プラグアセンブリに係り、特に、隣接する物品を相互連結するのに適したソケット/プラグアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ソケットを壁に固定し、該ソケットにプラグを挿入固定することにより、該プラグに予め取り付けた照明器具のカバーなどの所要の物品を、当該壁に取り付けるようにした連結具が知られている。そして、そのような連結具では、連結される物品同士がガタが無く確実に連結されるように、プラグの先端頭部の後面を後方に向うに従い半径方向内側に傾斜する傾斜面とし、その傾斜面にソケットに設けられた固定子を半径方向内向きに弾性力をもって押圧し、それによって、プラグを前方へ付勢させる(すなわち、ソケット内に引き込む)ようにしたものがある(特許文献1参照)。しかし、このような形式の連結具では、プラグに過剰な引抜き力が加わると、プラグの上記傾斜面が固定子を半径方向外側に変位させるように作用し、該プラグがソケットから抜け出てしまう虞がある。
【0003】
本願出願人は、このような欠点を解消する手段を備えたソケット/プラグアセンブリに関する特許出願をしている(特許文献2参照)。すなわち、この出願に係るソケット/プラグアセンブリは、ソケットが、プラグを受け入れる筒状のソケット本体を有する。該ソケットの外周面上にはその長さ方向(軸線方向)で摺動可能としたスリーブが設けられる。該スリーブの内面に軸線方向において傾斜するテーパ面を設け、該テーパ面が上記固定子におけるソケット本体の外周面から外側に延出する部分に係合するようにする。そして、同じくソケット本体の外周面を取り巻くように設けられる圧縮コイルバネによって、該スリーブをそのテーパ面が固定子に押圧されるように軸線方向で付勢し、それによって、該固定子に半径方向内向きの弾性力を与える。該テーパ面にはその軸線方向中間部分に軸線方向と平行な部分を設け、プラグに過大な引抜力がかかって固定子が半径方向外側に押圧され、スリーブが(圧縮コイルバネによる付勢方向とは反対方向で)軸線方向に動かされた場合でも、該スリーブのテーパ面における上記軸線方向と平行な部分が固定子に係合された時点で、該固定子からスリーブに対する上記軸線方向での力が加わらないようにすることにより、固定子の半径方向外向の変位を阻止し、それによってプラグがソケットから抜け出るのを防止している。
【特許文献1】特開2001−182726号公報
【特許文献2】特願2004−171883
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に開示されたようなソケット/プラグアセンブリにおいて、ソケット本体の外周面に圧縮コイルバネが設定されており、該コイルバネの機能を保全する上でも、外部に露出しないようにすることが望まれるが、このソケット/プラグアセンブリでは、スリーブの軸線方向での長さを長くすることにより、該スリーブが軸線方向で動かされてどのような位置にあっても、該コイルバネをカバーすることができるようにしている。このため、ソケット全体の長さが長くなってしまうという欠点を有していた。
本発明は、このような点に鑑み、ソケットの長さをできるだけ短いものとすることができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、
ソケットと、該ソケットに挿入されて連結されるプラグとからなるソケット/プラグアセンブリであって、
ソケットは、
一端にプラグが挿入されるプラグ挿入開口を備え、該開口から他端に向けて軸線方向で延びるプラグ受入孔を有する筒状本体と、
該筒状本体のプラグ受入孔内に挿入されたプラグを同孔内に固定する固定子と、
筒状本体の外周面上に摺動可能に取り付けられ、上記プラグ受入孔内に挿入されたプラグに固定子を係合固定させるための固定位置と、同固定子がプラグから係合解除されるのを許容する固定解除位置との間で軸線方向に変位可能なスリーブと、
該スリーブを上記固定位置に付勢するための圧縮コイルバネと、
を備え、
筒状本体は、その外周面に上記一端側から他端側に向けて順次設けられた小径部と大径部とを有し、
上記スリーブは小径部上で摺動可能とされている摺動部と、該摺動部よりも大径とされて筒状本体の上記大径部に向けて延びているカバー部とを有し、
上記圧縮コイルバネは、筒状本体の小径部の周りで、筒状本体の大径部とスリーブの摺動部との間に設定され、該スリーブを上記固定位置に向けて付勢しており、
当該ソケット/プラグアセンブリは、スリーブのカバー部よりも小径で、該カバー部と圧縮コイルバネとの間に設定され、筒状本体の小径部において大径部側からスリーブの摺動部の方向に向かって所定長さだけ延びる筒状のバネカバーを有し、
上記スリーブのカバー部は、当該スリーブが上記固定位置と固定解除位置との間を摺動するときに、バネカバーに重なった状態で軸線方向に変位するようにされていることを特徴とするソケット/プラグアセンブリを提供する。
【0006】
従来の上記の如きソケット/プラグ形式の管継手においては、スリーブが固定位置と固定解除位置との間を動くときに、圧縮コイルバネが外部に露呈しないようにスリーブのカバー部を長くするようにしていたため、ソケット全体の長さが長くなってしまうが、本発明に係る上記ソケット/プラグアセンブリでは、上記の如きバネカバーを設けるようにしたために、スリーブの長さを長くすることが無く、そのため、ソケット自体の長さを短くすることが可能となる。
【0007】
具体的には、バネカバーが、筒状本体の大径部の小径部に隣接した端部に接するよう半径方向内方へ延びるフランジ部分を有し、該フランジ部分は大径部の上記端部と圧縮コイルバネとの間に位置するようにする。
バネカバーはこのようにすることにより、スリーブ上の所定の位置に保持されることになる。
【0008】
より具体的には、
筒状本体が、その半径方向で延びる貫通孔を有し、上記固定子が該貫通孔内に設けられ、プラグ受入孔内に挿入されたプラグに係合して該プラグをプラグ受入孔に固定する半径方向内側位置と、該プラグから離れて該プラグのプラグ受入孔への固定を解除する半径方向外側位置との間で半径方向で変位可能とされており、
スリーブは、その小径部の内周面に半径方向内側位置にある固定子に係合する第1部位と、該第1部位から上記圧縮コイルバネの付勢方向に向けて径が次第に拡大する傾斜部と、該傾斜部から上記付勢方向に離れた位置で上記半径方向外側位置にある固定子を受け入れる第2部位と、第1部位と第2部位との間に位置し、固定子から半径方向外方への力を受けても該スリーブに上記付勢方向の逆の方向への力が生じないようにする第3部位とを有し、
プラグは、先端の頭部と、上記半径方向内側位置の固定子を受け入れる固定子係合凹部とを有し、該固定子係合凹部は、先端の端部に続き後方に向かいに従って次第に径が小さくなる傾斜面を有しており、当該固定子係合凹部に受け入れる固定子が該傾斜面に係合するようにしてあり、固定子から該傾斜面に加えられる半径方向内方へ押圧力により当該プラグをプラグ受入孔内に引込むようにすることが好ましい。
【0009】
具体的には、上記第3部位が、スリーブの軸線に平行に延びる面とすることができる。
【0010】
より具体的には、
ソケットが更に、
プラグ受入孔内に設けられ、固定子と係合して固定子を上記半径方向外側位置に保持する固定子保持位置と、該位置よりもプラグ受入孔内に押込まれて固定子から外れ、該固定子が上記半径方向内側位置となるのを許容する固定子解放位置との間の軸線方向で変位可能とされた固定子支持体と、
プラグ受入孔内で固定子支持体よりも奥に設定されて、固定子支持体を上記固定子保持位置に向けて付勢するバネと
を有し、
プラグ受入孔は小径部を有し、
固定子支持体は、外周面に環状溝を備え、該環状溝内にスプリットリング状のストップリングが設けられ、
該ストップリングが環状溝内で縮径された状態でプラグ受入孔の上記小径部を通過され、拡径された状態で、上記プラグ受入孔の小径部に軸線方向で係合して、当該固定子支持体がプラグ受入孔から抜け出るのを防止するようにすることができる。
【0011】
この場合、筒状本体が、その上記他端においてプラグ受入孔を閉じるよう一体成形された閉止部を有し、該閉止部に所要の物品との連結具を取付けることができるようにすることが好ましい。すなわち、固定子保持部材をそれがプラグ受入孔から抜け出ないように設定するためには、筒状本体の上記他端側の開口から固定子保持部材を挿入した後、該他端を閉止部材をネジ係合するなどして取り付けるのが一般的であるが、上記スプリットリング状のストップリングを用いて、固定子保持部材をプラグ挿入開口から挿入することができるようにしておき、他端開口を閉じる閉止部材を筒状本体と一体成形するものとすることにより、ネジ係合のためのネジ部分を設ける必要が無いので、筒状本体全体の長さを短くすることができる。
【0012】
更に本発明は、
ソケットと、該ソケットに挿入されて連結されるプラグとからなるソケット/プラグアセンブリであって、
ソケットは、
一端にプラグが挿入されるプラグ挿入開口を備え、該開口から他端に向けて軸線方向で延びるプラグ受入孔を有する筒状本体と、
該筒状本体のプラグ受入孔内に挿入されたプラグに係合して、該プラグを当該ソケットに対して固定する固定子と、
筒状本体の外周面上に摺動可能に取り付けられ、上記プラグ受入孔内に挿入されたプラグに固定子を係合固定させるための固定位置と、同固定子がプラグから係合解除されるのを許容する固定解除位置との間で軸線方向に変位可能なスリーブと、
該スリーブを上記固定位置に向けて付勢するための圧縮コイルバネと、
を備え、
筒状本体が、その半径方向で延びる貫通孔を有し、上記固定子が該貫通孔内に設けられ、プラグ受入孔内に挿入されたプラグに係合して該プラグをプラグ受入孔に固定する半径方向内側位置と、該プラグから離れて該プラグのプラグ受入孔への固定を解除する半径方向外側位置との間で半径方向で変位可能とされており、
ソケットが更に、プラグ受入孔内に設けられ、固定子と係合して固定子を上記半径方向外側位置に保持する固定子保持位置と、該位置よりもプラグ受入孔内に押込まれて固定子から外れ、該固定子が上記半径方向内側位置となるのを許容する固定子解放位置との間の軸線方向で変位可能とされた固定子支持体を有し、
スリーブは、その小径部の内周面に半径方向内側位置にある固定子に係合する第1部位と、該第1部位から上記圧縮コイルバネの付勢方向に向けて径が次第に拡大する傾斜部と、該傾斜部よりも上記付勢方向側に位置し上記半径方向外側位置にある固定子を受け入れる第2部位と、第1部位と第2部位との間に位置し、固定子から半径方向外方への力を受けても該プラグに上記付勢方向の逆の方向への力が生じないようにする第3部位とを有し、
プラグは、先端の頭部と、上記半径方向内側位置の固定子を受け入れる固定子係合凹部とを有し、該固定子係合凹部は、先端の頭部に続き後方に向かうに従って次第に径が小さくなる傾斜面を有しており、当該固定子係合凹部に受け入れる固定子が該傾斜面に係合するようにしてあり、固定子から該傾斜面に加えられる半径方向内方へ押圧力により当該プラグをプラグ受入孔内に引込むようにしてある
ことを特徴とするソケット/プラグアセンブリを提供する。
【0013】
具体的には、上記第3部位は、スリーブの軸線に平行に延びる面とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、バネカバーを設けることにより、スリーブの長さを短くすることができ、ソケットを短くすることが可能となる。また、筒状本体の他端開口を閉じる閉止部材を筒状部材と一体成形するようにすることによっても、ソケットを短くすることが可能となる。更に本発明では、スリーブの内周面に設けた傾斜面によって、固定子を半径方向内側位置に押圧するようにしているが、上記傾斜面に設けたソケットの軸線に平行な部分などによって作られる第3部位を設けることにより、ソケットからのプラグに過大な引抜力が加わって固定子に対して半径方向外向きの力が加わっても、固定子からソケットへの軸線方向での力がかからないようにすることができ、これによりプラグがソケットから抜け出してしまうようなことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1−4を参照して、本発明にもとづくソケット/プラグアセンブリの実施形態について説明する。図1はプラグ/ソケットアセンブリ10の実施形態を示し、ソケットとプラグが連結されていない状態を示す縦断面図、図2は該プラグ/ソケットアセンブリ10のソケット及びプラグが連結された状態を示す縦断面図、図3は図2の状態のソケット/プラグアセンブリのプラグに引抜き力が加わった状態を示す縦断面図動作説明図、図4はスリーブの要部の縦断面図である。
【0016】
図1に示すように、ソケット/プラグアセンブリ10は、ソケット12と、該ソケットに挿入されて連結されるプラグ14とからなる。
ソケット12は、一端にプラグ14が挿入されるプラグ挿入開口22を備え、該プラグ挿入開口22から他端に向けて軸線方向で延びるプラグ受入孔24を有する筒状本体26と、該筒状本体のプラグ受入孔24内に挿入されたプラグ14に係合して、該プラグ14を当該ソケット12に対して固定する固定子28と、筒状本体26の外周面上に摺動可能に取り付けられ、プラグ受入孔24内に挿入されたプラグ14に固定子28を係合固定させるための固定位置(図2)と、同固定子28がプラグ14から係合解除されるのを許容する固定解除位置(図1)との間で軸線方向に変位可能なスリーブ30と、該スリーブ30を固定位置(図2)に向けて付勢するための圧縮コイルバネ32とを備える。
【0017】
筒状本体26は、その外周面にプラグ挿入開口22のある端部から他端側に向けて順次設けられた小径部34と大径部36とを有する。スリーブ30は小径部34上で摺動可能とされている摺動部30−1と、該摺動部30−1よりも大径とされて筒状本体26の大径部36に向けて延びているカバー部30−2とを有し、圧縮コイルバネ32は、筒状本体26の小径部34の周りで、筒状本体26の大径部36とスリーブ30の摺動部30−1との間に設定され、該スリーブ30を図で見て右方に向けて付勢している。
【0018】
当該ソケット/プラグアセンブリ10は、更に、スリーブ30のカバー部30−2よりも小径で、該カバー部30−2と圧縮コイルバネ32との間に設定され、筒状本体26の大径部36側からスリーブ30の摺動部30−1の方向に向かって所定長さだけ延びる筒状のバネカバー42を有し、カバー部30−2は、当該スリーブ30が固定位置(図2)と固定解除位置(図1)との間を摺動するときに、バネカバー42に重なった状態で軸線方向に変位するようにされている。バネカバー42は、図示の例では、筒状本体26の大径部36の小径部34に隣接した端部に接するよう半径方向内方へ延びるフランジ部分42−1を有し、該フランジ部分は大径部36と圧縮コイルバネ32との間に挟まれている。
【0019】
筒状本体26は、そのプラグ受入孔24を閉じる閉止部26−1と、該閉止部26−1から上記軸線方向に延びて所要の部材に連結される連結部26−3とを有し、該閉止部26−1及び連結部26−3が筒状本体26に一体成形されている。
【0020】
筒状本体26は、その半径方向で延びる貫通孔44を有し、固定子28は該貫通孔44内に設定されており、プラグ14に係合固定される半径方向内側位置(図2)と、プラグ14から係合解除される半径方向外側位置(図1)との間で半径方向で変位可能とされている。図示の例では、プラグ受入孔24内に固定子支持体46設けられ、該固定子支持体46が、図1に示すように、固定子28と係合して固定子28を半径方向外側位置に保持する固定子保持位置と、プラグ14によってプラグ受入孔24内に押込まれ、固定子28から外れ、該固定子28が半径方向内側位置(図2)となるのを許容する固定子解放位置との間の軸線方向で変位可能とされている。プラグ受入孔24の奥には圧縮コイルバネ48が設定され、固定子支持体46を図で見て右方に付勢している。
【0021】
プラグ受入孔24は小径部(図示の例では、環状の突起)24−1を有する。これに対して、固定子支持体46は、その外周面に環状溝46−1を備え、該環状溝46−1内にスプリットリング状のストップリング50が設けられ、該ストップリング50を環状溝46−1内で縮径した状態でプラグ受入孔24の小径部24−1を通過させてプラグ受入孔24の奥に入れ、拡径させている。拡径されたストップリング50は、プラグ受入孔24の小径部24−1に軸線方向で係合して、当該固定子支持体46がプラグ受入孔24から抜け出るのを防止するようになっている。
【0022】
図4には、スリーブ30における摺動部30−1の内周面に形成された固定子係合部30−3を示している。該固定子係合部30−3は、固定子28がプラグ14に係合固定される半径方向内側位置(図2)にあるときに該固定子28に係合押圧する固定子押圧部位30−4と、固定子28がプラグ14から係合解除される半径方向外側位置(図1)にあるときに該固定子28に係合する固定子解放部位30−5とを有し、固定子押圧部位30−4から固定子解放部位30−5に向けて次第に径が拡大する傾斜面30−6とされており、該傾斜面30−6には、固定子解放部位30−5に隣接した位置で傾斜が零となる、すなわち、軸線方向に平行になるスリーブ停止部位30−7が設けられている。
【0023】
プラグ14は、その先端頭部60の後部に固定子係合溝62が形成されている。該プラグ14がソケット12のソケット受入孔24内に挿入されるときは、先端頭部60が固定子支持部材46と係合してプラグ受入孔24内に押し込んで固定子28から外し同プラグ受入孔24内に進められる。固定子係合溝62が半径方向で固定子28に整合した状態になると、該固定子28が固定子係合溝62内に嵌合する。スリーブ30はそれまでは、その内周面の固定子開放部位30−5が、固定子支持部材46によって半径方向外側位置に支持された固定子28に係合して図1に示す固定解除位置とされている。固定子28がプラグ14の固定子係合溝62に半径方向で整合されると、スリーブ30が圧縮コイルバネ32の付勢力によって図で見て右方へ変位され、該スリーブ30の内周面における傾斜面30−6が固定子28を半径方向内方へ変位させ、固定子押圧部位30−4が固定子28に係合する位置になると、該固定子28は固定子係合溝62内に押圧係合された状態となる。このとき固定子28は、固定子係合溝62の前方傾斜面すなわち、先端頭部60から後方に向けて縮径している傾斜面62−1に係合し、それにより、プラグ14を前方(図で見て左方)へ引き付ける。このようにすることにより、筒状本体26の先端面26−2とプラグ14に設けられている六角部のソケット側端面14−1とが図示のように衝き合わせ状態とされ、ソケット12及びプラグ14間のガタツキが無いようにしたり、または、ソケット12及びプラグ14にそれぞれ連結された物品A,Bが相互に引き付けられ衝き合わされるようにして、物品相互の連結を確実なものとすることができる。なお、図示の例では、ソケット12の筒状本体26の連結部26−3はオネジが形成されており、また、プラグ14にも同様の連結部64が設けられている。
【0024】
ソケット12とプラグ14とが上記のように連結されているときに、プラグ14をソケット12から引き抜く方向で過大な力が加わったときには、固定子係合溝62の前方傾斜面62−1が固定子28を半径方向外方へ押圧し、該固定子28がスリーブ30における内周面の傾斜面30−5に押圧する。このため、スリーブ30は、図で見て左方へ変位され、固定子28が固定子係合溝62から外れる半径方向外側位置まで変位する虞が生じるが、本発明においては、傾斜面30−5にスリーブ30の軸線に平行に設けられたスリーブ停止部位30−6が設けられているために、該スリーブ停止部位30−6が固定子28と係合する位置まで、スリーブ30が変位すると、該スリーブ30を変位させる固定子28からの力はなくなり、スリーブ30はその位置で停止する(図3)。
【0025】
以上、本発明に係るソケット/プラグアセンブリ10の実施形態につき説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スリーブ30の内周面に形成されるスリーブ停止部位30−6は、スリーブ軸線に対して平行なものに限られず、例えば、傾斜面30−5と逆向きに傾斜した面とすることが可能である。また、固定子支持体46がなく、プラグ14が挿入されていない状態では固定子28がプラグ受入孔24内に部分的に突入しており、プラグ14の挿入に伴って半径方向外方へ変位され、それに応じてスリーブ30が軸線方向で変位するようなものとすることも可能である。連結部26−3,64も図示のものに限らず、例えばソケット12における筒状本体26の閉止部26−1の中心に軸線方向で貫通する開口を設け、該開口を通して固定用ボルトを通して、所要物品に固定するようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】プラグ/ソケットアセンブリの実施形態を示し、ソケットとプラグが連結されていない状態を示す縦断面図である。
【図2】図1のプラグ/ソケットアセンブリ10のソケット及びプラグが連結された状態を示す縦断面図である。
【図3】図2の状態のソケット/プラグアセンブリのプラグに引抜き力が加わった状態を示す縦断面図である。
【図4】スリーブの要部の縦断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 プラグ/ソケットアセンブリ
12 ソケット
14 プラグ
14−1 ソケット側端面
22 プラグ挿入開口
24 プラグ受入孔
24−1 小径部
26 筒状本体
26−1 閉止部
26−2 先端面
26−3 連結部
28 固定子
30 スリーブ
30−1 摺動部
30−2 カバー部
30−3 固定子係合部
30−4 固定子押圧部位 (第1部位)
30−5 固定子解放部位 (第2部位)
30−6 傾斜面 (傾斜部)
30−7 スリーブ停止部位(第3部位)
32 圧縮コイルバネ
34 小径部
36 大径部
42 バネカバー
42−1 フランジ部分
44 貫通孔
46 固定子支持体
46−1 環状溝
48 圧縮コイルバネ
50 ストップリング
60 先端頭部
62 固定子係合溝
62−1 傾斜面
64 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと、該ソケットに挿入されて連結されるプラグとからなるソケット/プラグアセンブリであって、
ソケットは、
一端にプラグが挿入されるプラグ挿入開口を備え、該開口から他端に向けて軸線方向で延びるプラグ受入孔を有する筒状本体と、
該筒状本体のプラグ受入孔内に挿入されたプラグに係合して、該プラグを当該ソケットに対して固定する固定子と、
筒状本体の外周面上に摺動可能に取り付けられ、上記プラグ受入孔内に挿入されたプラグに固定子を係合固定させるための固定位置と、同固定子がプラグから係合解除されるのを許容する固定解除位置との間で軸線方向に変位可能なスリーブと、
該スリーブを上記固定位置に向けて付勢するための圧縮コイルバネと、
を備え、
筒状本体は、その外周面に上記一端側から他端側に向けて順次設けられた小径部と大径部とを有し、
上記スリーブは小径部上で摺動可能とされている摺動部と、該摺動部よりも大径とされて筒状本体の上記大径部に向けて延びているカバー部とを有し、
上記圧縮コイルバネは、筒状本体の小径部の周りで、筒状本体の大径部とスリーブの摺動部との間に設定され、該スリーブを上記固定位置に向けて付勢しており、
当該ソケット/プラグアセンブリは、更に、スリーブのカバー部よりも小径で、該カバー部と圧縮コイルバネとの間に設定され、筒状本体の小径部において大径部側からスリーブの摺動部の方向に向かって所定長さだけ延びる筒状のバネカバーを有し、
上記スリーブのカバー部は、当該スリーブが上記固定位置と固定解除位置との間を摺動するときに、バネカバーに重なった状態で軸線方向に変位するようにされていることを特徴とするソケット/プラグアセンブリ。
【請求項2】
上記バネカバーが、上記筒状本体の大径部の小径部に隣接した端部に接するよう半径方向内方へ延びる部分を有し、該部分は大径部の上記端部と圧縮コイルバネとの間に位置するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のソケット/プラグアセンブリ。
【請求項3】
筒状本体が、その半径方向で延びる貫通孔を有し、上記固定子が該貫通孔内に設けられ、プラグ受入孔内に挿入されたプラグに係合して該プラグをプラグ受入孔に固定する半径方向内側位置と、該プラグから離れて該プラグのプラグ受入孔への固定を解除する半径方向外側位置との間で半径方向で変位可能とされており、
スリーブは、その小径部の内周面に半径方向内側位置にある固定子に係合する第1部位と、該第1部位から上記圧縮コイルバネの付勢方向に向けて径が次第に拡大する傾斜部と、該傾斜部よりも上記付勢方向側に位置し上記半径方向外側位置にある固定子を受け入れる第2部位と、第1部位と第2部位との間で上記傾斜部に位置し、固定子からは半径方向外方への力を受けても該スリーブに上記付勢方向の逆の方向への力が生じないようにする第3部位とを有し、
プラグは、先端の頭部と、上記半径方向内側位置の固定子を受け入れる固定子係合凹部とを有し、該固定子係合凹部は、先端の頭部に続き後方に向かうに従って次第に径が小さくなる傾斜面を有しており、当該固定子係合凹部に受け入れる固定子が該傾斜面に係合するようにしてあり、固定子から該傾斜面に加えられる半径方向内方へ押圧力により当該プラグをプラグ受入孔内に引込むようにしてある
ことを特徴とする請求項1若しくは2に記載のソケット/プラグアセンブリ。
【請求項4】
上記第3部位が、スリーブの軸線に平行に延びる面とされていることを特徴とする請求項3に記載のソケット/プラグアセンブリ。
【請求項5】
ソケットが更に、
プラグ受入孔内に設けられ、固定子と係合して固定子を上記半径方向外側位置に保持する固定子保持位置と、該位置よりもプラグ受入孔内に押込まれて固定子から外れ、該固定子が上記半径方向内側位置となるのを許容する固定子解放位置との間の軸線方向で変位可能とされた固定子支持体と、
プラグ受入孔内で固定子支持体よりも奥に設定されて、固定子支持体を上記固定子保持位置に向けて付勢するバネと
を有し、
プラグ受入孔は小径部を有し、
固定子支持体は、外周面に環状溝を備え、該環状溝内にスプリットリング状のストップリングが設けられ、
該ストップリングが環状溝内で縮径された状態でプラグ受入孔の上記小径部を通過され、拡径された状態で、上記プラグ受入孔の小径部に軸線方向で係合して、当該固定子支持体がプラグ受入孔から抜け出るのを防止するようにしている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のソケット/プラグアセンブリ。
【請求項6】
筒状本体が、その上記他端においてプラグ受入孔を閉じるよう一体成形された閉止部を有し、該閉止部に当該ソケットを所要の物品に連結するための連結具を形成できるようにしていることを特徴とする請求項5に記載のソケット/プラグアセンブリ。
【請求項7】
ソケットと、該ソケットに挿入されて連結されるプラグとからなるソケット/プラグアセンブリであって、
ソケットは、
一端にプラグが挿入されるプラグ挿入開口を備え、該開口から他端に向けて軸線方向で延びるプラグ受入孔を有する筒状本体と、
該筒状本体のプラグ受入孔内に挿入されたプラグに係合して、該プラグを当該ソケットに対して固定する固定子と、
筒状本体の外周面上に摺動可能に取り付けられ、上記プラグ受入孔内に挿入されたプラグに固定子を係合固定させるための固定位置と、同固定子がプラグから係合解除されるのを許容する固定解除位置との間で軸線方向に変位可能なスリーブと、
該スリーブを上記固定位置に向けて付勢するための圧縮コイルバネと、
を備え、
筒状本体が、その半径方向で延びる貫通孔を有し、上記固定子が該貫通孔内に設けられ、プラグ受入孔内に挿入されたプラグに係合して該プラグをプラグ受入孔に固定する半径方向内側位置と、該プラグから離れて該プラグのプラグ受入孔への固定を解除する半径方向外側位置との間で半径方向で変位可能とされており、
ソケットが更に、プラグ受入孔内に設けられ、固定子と係合して固定子を上記半径方向外側位置に保持する固定子保持位置と、該位置よりもプラグ受入孔内に押込まれて固定子から外れ、該固定子が上記半径方向内側位置となるのを許容する固定子解放位置との間の軸線方向で変位可能とされた固定子支持体を有し、
スリーブは、その小径部の内周面に半径方向内側位置にある固定子に係合する第1部位と、該第1部位から上記圧縮コイルバネの付勢方向に向けて径が次第に拡大する傾斜部と、該傾斜部よりも上記付勢方向側に位置し上記半径方向外側位置にある固定子を受け入れる第2部位と、第1部位と第2部位との間に位置し、固定子から半径方向外方への力を受けても該プラグに上記付勢方向の逆の方向への力が生じないようにする第3部位とを有し、
プラグは、先端の頭部と、上記半径方向内側位置の固定子を受け入れる固定子係合凹部とを有し、該固定子係合凹部は、先端の頭部に続き後方に向かいに従って次第に径が小さくなる傾斜面を有しており、当該固定子係合凹部に受け入れる固定子が該傾斜面に係合するようにしてあり、固定子から該傾斜面に加えられる半径方向内方へ押圧力により当該プラグをプラグ受入孔内に引込むようにしてある
ことを特徴とするソケット/プラグアセンブリ。
【請求項8】
上記第3部位が、スリーブの軸線に平行に延びる面とされていることを特徴とする請求項7に記載のソケット/プラグアセンブリ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−90401(P2006−90401A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275582(P2004−275582)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000227386)日東工器株式会社 (158)
【Fターム(参考)】