説明

ソケット

【課題】常圧用のプラグおよび高圧用のプラグの双方を接続することが可能なソケットを提供する。
【解決手段】一端にプラグを挿入可能なプラグ接続口20を有する略円筒状を有し、プラグ接続口20の内周面には、プラグ接続口20からソケット1内に挿入されるプラグ10の基端部12Aの外周面に形成された凹部15に嵌合可能なロックボール54を径方向に出し入れ可能な貫通溝53が形成されている。さらに、プラグ接続口20側の内周面には、プラグ10の挿入時に、プラグ10の基端部12Aの凹部15に隣接しかつプラグ接続口20の内径とほぼ同じ外径を有している大径部分17と対向する位置に、環状溝65が形成されており、環状溝65には、プラグ10の大径部分17の外周面に密接するOリング55が嵌め込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常圧域の圧縮空気によって駆動する常圧用空気工具に取り付けられる常圧用プラグおよび常圧域の圧力よりも高い高圧域の圧縮空気によって駆動する高圧用空気工具に取り付けられる高圧用プラグの双方のプラグを接続することが可能なソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮空気により駆動する空気工具へ圧縮空気を供給するためのエアコンプレッサの空気供給口には、ソケットが設けられており、この空気供給口のソケットに接続されるエアホースの一端部にはプラグが設けられている。また、エアホースの他端部にはソケットが設けられており、空気工具に取り付けられたプラグをこのソケットに着脱可能に連結することにより、エアコンプレッサの空気供給口からエアホース内を通って圧縮空気を空気工具へ供給することができるようになっている。これらソケットおよびプラグは継手と呼ばれており、この種のソケットおよびプラグは、例えば特開2000−55272号公報(特許文献1)などに記載されている。
【0003】
空気工具は、駆動力である圧縮空気の圧力によって常圧用と高圧用とに分類される。一般に、常圧用空気工具は約1.5MPa以下の圧力で駆動されるのに対し、高圧用空気工具は約3MPa以下の圧力で駆動される。これらの常圧用および高圧用の各空気工具に圧縮空気を供給するために用いられる継手は、一般的には、高圧用および低圧用のそれぞれ専用のものが使用されており、誤接続を防止するために、互換性のない異なる形状に形成されているため、高圧用のソケットには高圧用のプラグのみが、常圧用のソケットには常圧用のプラグのみが、それぞれ接続可能となっている。よって、作業現場において、常圧用空気工具と高圧用空気工具とを併用する場合には、エアコンプレッサに、常圧域の圧縮空気の空気供給口に加えて高圧域の圧縮空気の空気供給口を設け、各空気供給口に接続した2本のエアホースに、それぞれ常圧用空気工具(常圧用プラグ)用のソケットおよび高圧用空気工具(高圧用プラグ)用のソケットを取り付けておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−55272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、常圧用および高圧用の二種類の空気供給口から高圧用と常圧用の2本のエアホースをそれぞれ作業現場に配線するようにしたのでは、種類の異なるエアホースを設ける必要があるため、費用を要するとともに作業現場の配線が複雑化するうえ、これらを判別して使用する煩わしさがあるために、使用者に負担となって作業効率も低下するおそれもある。
【0006】
このため、作業現場では、使用する工具に応じて常圧用の空気供給口あるいは高圧用の空気供給口に高圧用および常圧用共有のエアホースを、順次付け替えることによって、1本のエアホースにより各空気工具に所望の圧縮空気を供給することが一般的に行われている。また、作業現場に、高圧域の圧縮空気を出力する空気供給口のみを有するエアコンプレッサを設け、常圧用空気工具を使用するときには、減圧弁を用いて高圧域の圧縮空気を常圧域まで減圧し、これにより得られる常圧域の圧縮空気を1本のエアホースによって常圧用空気工具に供給することが一般的に行われている。
【0007】
しかしながら、上記した場合においても、常圧用空気工具と高圧用空気工具とを併用する場合には、エアホースに設けるソケットを、常圧用空気工具を使用する場合には、常圧用のプラグを接続可能な常圧用のソケットに、また、高圧用空気工具を使用する場合には、高圧用のプラグを接続可能な高圧用のソケットに、それぞれ付け替える必要があるため、使い勝手が悪く不便である、という問題がある。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたもので、常圧用のプラグや高圧用のプラグなど、形状の異なる種々のプラグを接続することが可能なソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、工具またはホースに取り付けられたプラグを着脱可能に接続して工具またはホースに圧縮空気を供給可能なソケットであって、一端に前記プラグを挿入可能な開口を有する略円筒状を有し、前記開口側の内周面には、前記プラグの前記開口から該ソケット内に挿入される挿入部の前記開口の内径とほぼ同じ外径を有している基端部分の外周面に形成された凹部に嵌合可能なロックボールを径方向に出し入れ可能な溝部が形成されており、さらに、前記開口側の内周面には、前記プラグの挿入時に、前記プラグの前記基端部分の凹部に隣接しかつ前記開口の内径とほぼ同じ外径を有している大径部分と対向する位置に、環状溝が形成されており、前記環状溝には、前記プラグの挿入時に、前記プラグの大径部分の外周面に密接するOリングが嵌め込まれているソケットによって達成される。
【0010】
本発明の好ましい一実施態様においては、上記した構成のソケットに接続可能な高圧用のプラグを備えており、前記高圧用プラグは、基部と、基部に一体形成された挿入部とからなり、前記挿入部は、前記ソケットの該プラグを挿入可能な開口の内径とほぼ同じ外径を有する基端部分と、前記基端部分よりも外径が小さい先端部分とを備えており、前記基端部分の外周面には、前記ソケットのロックボールが嵌まり込むことが可能な凹部と、前記凹部に隣接する位置に、前記ソケットのOリングが密接する大径部分とが設けられており、前記凹部は、前記先端部分側の角部が、段差を介して前記基端部分の外周面と接続されていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明のさらに好ましい実施態様においては、上記した構成の高圧用のプラグを接続可能な変換ジョイントを備えており、前記変換ジョイントは、一端部にソケットに接続可能なプラグ部と、他端部に前記高圧用のプラグを接続可能なソケット部とを備えるとともに、内部に前記プラグ部と前記ソケット部とを連通する圧縮空気の流路を備えており、 前記流路は、その径が前記高圧用のプラグの内部に形成された圧縮空気の流路の径よりも大きく形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のソケットによると、常圧用のプラグや高圧用のプラグなど、形状の異なる種々のプラグを接続することが可能である。また、変換ジョイントによると、プラグを高圧用から常圧用のものに付け替えなくても、変換ジョイントをエアホースの端部に取り付けられた高圧用プラグに接続するだけで、簡単にエアホースをエアコンプレッサの高圧用空気供給口から常圧用空気供給口に付け替えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態であるソケットの一部断面図である。
【図2】図1のソケットの分解断面図である。
【図3】バルブ部材の往動時のソケットの内部構成を示す断面図である。
【図4】バルブ部材の復動時のソケットの内部構成を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態であるソケットの一部断面図である。
【図6】図5のソケットの分解断面図である。
【図7】バルブ部材の往動時のソケットの内部構成を示す断面図である。
【図8】バルブ部材の復動時のソケットの内部構成を示す断面図である。
【図9】従来の高圧用プラグの一部断面図である。
【図10】従来の常圧用プラグの一部断面図である。
【図11】高圧用プラグの一部断面図である。
【図12】図11の高圧用プラグの断面図である。
【図13】施錠凹部を拡大して示す説明図である。
【図14】変換ジョイントの断面図である。
【図15】図11の高圧プラグに変換ジョイントを接続した時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係るソケットの一実施形態であるソケット1の外観構成および内部構成を、図2は、このソケット1の分解図を、それぞれ示している。本実施形態のソケット1は、圧縮空気で駆動される空気工具(以下、単に「工具」という。)に取り付けられたプラグを接続して、工具に圧縮空気を供給するために用いるものである。工具は、駆動力である圧縮空気の圧力によって常圧用と高圧用とに分類されており、一般的に、常圧用の工具は約1.5MPa以下の圧力で駆動される一方、高圧用の工具は約3MPa以下の圧力で駆動される。高圧用の工具には、高圧専用の高圧用プラグが取り付けられているのに対し、常圧用の工具には、常圧専用の常圧用プラグが取り付けられている。高圧用プラグおよび常圧用プラグは、互換性のない異なる形状に形成されているために、従来においては、高圧用プラグは高圧用のソケットに、常圧用プラグは常圧用のソケットにのみ、それぞれ接続可能となっているところ、本実施形態のソケット1は、高圧用プラグおよび常圧用プラグの双方を接続可能となっている。
【0015】
図9は、従来からある一般的な高圧用プラグ100の外観構成および内部構成を、図10は、従来からある一般的な常圧用プラグ200の外観構成および内部構成を、それぞれ示している。各プラグ100,200は、図9および図10に示すように、両端に開口を有する略円筒状のものであり、基部101,201と、基部101,201に一体形成された挿入部102,202とにより構成されている。挿入部102,202は、基部101,201よりも外径が小さく形成されており、プラグ100,200をソケット1に接続する時には、基部101,201がソケット1の端面に対して突き当たる一方、挿入部102,202は後述するプラグ接続口20からソケット1内に挿入可能となっている。
【0016】
基部101,201および挿入部102,202の内部には、圧縮空気を流すことが可能な流路103,203が形成されており、ソケット1から送られる圧縮空気は、挿入部側の開口104A,204Aから流路103,203に流入し、基部側の開口104B,204Bを通って工具に供給されるようになっている。
【0017】
挿入部102,202の基部101,201と隣接する部分(以下、「基端部」という。)102A,202Aの外周面には、後述するソケット1の各ロックボール54が嵌まり込むことが可能な施錠凹部105,205が一周にわたって形成されている。挿入部102,202の基端部102A,202Aは、ソケット1内に挿入可能なように、その外径がプラグ接続口20の内径とほぼ同じ大きさに形成されていて、どんな種類のプラグでもほぼ同じ大きさを有しているのが一般的である。これに対して、挿入部102,202の先端部102B,202Bは、高圧用プラグ100の流路103が常圧用プラグ200の流路203よりも径が小さく形成されていることなどから、高圧用プラグ100の先端部102Bの方が常圧用プラグ200の先端部202Bと比べて外径が小さく形成されているなど、プラグにより異なる形状に形成されている。
【0018】
なお、図9中、106は、高圧用プラグ100の先端部102Aの外周面に複数形成されている流入口である。各流入口106は、プラグ内部の流路103と連通しており、図示例の高圧用プラグ100では、ソケット1から供給される圧縮空気が各流入口106からも流路103に流入可能になっている。
【0019】
本実施形態のソケット1は、図1および図2に示すように、基本的には、両端が開口した略円筒状のソケット本体2と、一端が開口した略円筒状のバルブ部材3と、ソケット本体2とバルブ部材3との間に介在するシール部材4とにより構成されている。
【0020】
ソケット本体2は、一端部に工具のプラグ100,200を着脱自在に接続可能なプラグ接続口20を有するとともに、他端部にバルブ部材3を軸方向に往復動自在に装着可能なバルブ装着口21を有している。ソケット本体2の内部には、プラグ接続口20とバルブ装着口21とを連通して、エアコンプレッサなどの圧縮空気供給源からバルブ部材3に供給される圧縮空気をプラグへと導く圧縮空気の空気通路22が形成されている。本実施形態のソケット本体2は、図2に示すように、一端部にプラグ接続口20を備える本体部5と、シール部材4を本体部5内に保持させる保持具6とにより構成されており、保持具6の一端部がバルブ装着口21を備えた構成になっている。
【0021】
本体部5は、両端に開口を有する筒状体50と、筒状体50の先端側の外周面に嵌合するスリーブ51と、筒状体50とスリーブ51との間に設けられたコイルバネ52(図1に示す)と、筒状体50の筒壁に径方向に貫通するように形成された複数の貫通溝53内に径方向に出没可能に設けられた複数の球状のロックボール54(図1に示す)とで構成されている。
【0022】
筒状体50の先端部(本体部5の一端部)側の開口は、プラグ接続口20を構成しており、その内部には、プラグ挿入部102,202を挿入可能な大きさの空洞部66が形成されている。空洞部66(プラグ接続口20)の内径は、プラグ挿入部102,202の基端部102A,202Aの外径とほぼ同じ大きさに形成されており、また、空洞部66の奥行きは、挿入部102,202の先端部102A,202Aがすっぽりと納まる寸法に形成されている。空洞部66は空気通路22を介して筒状体50の基端部側と連通している。
【0023】
スリーブ51は、筒状体50の先端部側の外周面上に、回転自在かつ軸方向に往復動自在に取り付けられており、コイルバネ52のバネ力によって常時、外側(図1では右方向)へと付勢されている。スリーブ51の内周面には、筒状体50の外周面上を摺動して各ロックボール54を貫通溝53へ向けて押し込む押込面51Aが形成されており、その外方には各ロックボール54が嵌り込むことが可能な凹部51Bが全周にわたって形成されている。
【0024】
図3および図4を参照して、プラグ100,200をソケット1の本体部5に接続する方法を説明する。なお、図3および図4に示されているプラグ10は、詳細は後述するが、本願の発明者らにより開発された新規な高圧用プラグである。この高圧用プラグ10の基本的な構成は、上記した従来のプラグ100,200と同様であり、ここでは、プラグ100,200については、対応する構成の符号を括弧書きで明示している。
【0025】
コイルバネ52のバネ力に抗してスリーブ51を内側(図1では左方向)に向けて移動させた状態で、プラグ10(100,200)をプラグ接続口20から挿入させると、プラグ挿入部12(102,202)の基端部12A(102A,202B)の外周面により各ロックボール54が貫通溝53の外側に押し出されて、スリーブ51の凹部51Bに嵌まり込む。プラグ10(100,200)の挿入後、スリーブ51を元の位置まで移動させると、スリーブ51の押圧面51Aにより各ロックボール54が内側に押される結果、各ロックボール54がプラグ挿入部12(102,202)の基端部12A(102A,202B)に形成された施錠凹部15(105,205)に嵌入するとともに、スリーブ51の押圧面51Aによって施錠凹部15(105,205)内に各ロックボール54が保持される。これにより、プラグ10(100,200)は、本体部5(ソケット本体2)から抜け出るのが阻止されるようになっている。
【0026】
ここで、図3および図4を参照して、筒状体50の内周面には、貫通溝53の内側(図3および図4では左側)に隣接する部分に環状溝65が形成されており、この環状溝65には、ゴムなどの弾性部材からなるOリング55が嵌め込まれている。環状溝65は、プラグ挿入時に、プラグ挿入部12(102,202)の基端部12A(102A,202A)の施錠凹部15(105,205)に隣接した部分17(107,207)に対向する位置に形成されている。この施錠凹部15(105,205)に隣接した部分17(107,207)は、上記したように、高圧用プラグ100あるいは常圧用プラグ200であっても、一般的にはプラグ接続口20の内径とほぼ同じ大きさの外径を有している部分であり、例えプラグの種類が異なっても、各プラグが共通してほぼ同じ外径を有している部分である。以下、このプラグ基端部12A(102A,202A)の施錠凹部15(105,205)に隣接した部分17(107,207)を「大径部分」という。
【0027】
また、Oリング55の内径は、プラグ挿入部12(102,202)の基端部12A(102A,202A)の外径よりも多少小さく形成されており、プラグ挿入時には、上記したプラグ基端部12A(102A,202A)の大径部分17(107,207)がOリング55内に隙間なく嵌まり込むようになっている。このように、プラグ挿入時に、Oリング55の内周面が、上記したプラグ基端部12A(102A,202A)の大径部分17(107,207)の外周面と密接して、このOリング55が、プラグ基端部12A(102A,202A)の外周面と筒状体50の内周面との隙間を塞ぐことで、プラグ10(100,200)と筒状体50との気密性を高めて圧縮空気が漏れないようになっている。
【0028】
従来のソケットでは、より圧縮空気の流入部に近いプラグ先端部102B,202Bの外周面にOリングを密着させていたため、各プラグ先端部102B,202Bの外径が異なる結果、Oリングの形状も異なり、よって、高圧用プラグ100は専用の高圧用ソケットに、また、常圧用プラグ200は専用の常圧用ソケットにのみしかそれぞれ接続させることができなかった。しかし、本実施形態のソケット1では、上記のとおり、高圧用プラグ100または常圧用プラグ200のいずれにおいても、ほぼ同じ外径を有しているプラグ基端部102A,202Aに、詳しくは、施錠凹部105,205に隣接する大径部分107,207にOリング55が密着するように、筒状体50の内周面に環状溝65を設けてOリング55を収容している。よって、本実施形態のソケット1は、高圧用プラグ100および常圧用プラグ200の双方のプラグを接続しても、プラグ100,200を筒状体50内に気密に接続でき、圧縮空気の漏れを防止できるようになっている。
【0029】
このプラグ挿入状態から、スリーブ51をコイルバネ52のバネ力に抗して内方(図3および図4では左方向)に向けて移動させると、各ロックボール54は、貫通溝53の外側へ移動可能となる。その結果、各ロックボール54は、プラグ10(100,200)の施錠凹部15(105,205)から抜け出してスリーブ51の凹部51Bに嵌まり込むようになるので、プラグ10(100,200)は本体部5(ソケット本体2)から引き抜きが可能な状態となる。
【0030】
なお、図示例(図1〜図4)のソケット1では、本体部5のプラグ接続構造が、いわゆるツータッチ式接続構造に形成されているが、本発明に係るソケットは、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、プラグを差し込むだけで両者の連結が可能な、いわゆる公知のワンプッシュ式接続構造を採用することも可能である。ソケットのプラグ接続構造を、公知のワンプッシュ式接続構造に形成した場合でも、上記したツータッチ式接続構造の場合と同様に、ソケット(筒状体)のプラグが挿入される側の内周面のロックボールが嵌め込まれる貫通溝と隣接する部分に、Oリングを収容可能な環状溝を形成する。これにより、ワンプッシュ式接続構造においても、プラグ挿入時には、図9および図10に示すプラグ基端部102A,202Aの施錠凹部105,205と隣接する大径部分107,207に、Oリングが密着するようになるので、高圧用プラグ100および常圧用プラグ200の双方のプラグを気密に接続できる。このように、本発明に係るソケットは、プラグ接続構造がツータッチ式接続構造あるいはワンプッシュ式接続構造に関係なく、形状の異なる種々のプラグを接続することが可能である。
【0031】
スリーブ51の内周面には、図1および図2に示すように、スリーブ51の基端部から先端部に向けて所定幅延びる第1の凹溝59Aと、第1の凹溝59Aと連通し、第1の凹溝59Aの基端部からスリーブ51の周方向に向けて延びる第2の凹溝59Bとが形成されている。第2の凹溝59Bは、スリーブ51の内周の約1/6程度にわたって形成されている。一方、筒状体50の基端部側の外周面には、所定位置に凸部59Cが形成されている。この凸部59Cは、第2の凹溝59B内を摺動可能に配置されており、これにより、スリーブ51は、凸部59Cが第2の凹溝59B内を摺動する範囲内において、筒状体50に対して正逆方向に回転するように規制されている。
【0032】
また、凸部59Cが第2の凹溝59B内に位置している間は、スリーブ51は筒状体50に対する軸方向への往復動が規制される。これに対し、スリーブ51の回転により、凸部59Cが第2の凹溝59Bから第1の凹溝59A内に移動し、第1の凹溝59A内を摺動可能となることによって、スリーブ51が筒状体50上を軸方向に往復動して、プラグの抜き差しができるようになっている。
【0033】
一方、図1および図2に示すように、筒状体50の基端部(本体部5の他端部)側の開口(保持具接続口)56は、シール部材4を挿入可能な大きさに形成されており、その内部には、シール部材4のサイズ(径、高さ)と略同一のサイズを有していて、シール部材4を保持可能な保持部57が設けられている。保持部57に隣接する筒状体50の保持具接続口56側の内周面には、後述する保持具6の外周面に形成された雄ネジ部60に螺合する雌ネジ部58が形成されている。
【0034】
また、筒状体50(本体部5)の内部には、プラグ接続口20(空洞部66)と保持具接続口56(保持部57)とを連通して、保持具接続口56側から送られる圧縮空気をプラグに供給する前記空気通路22が設けられている。
【0035】
保持具6は、両端に開口を有する略円筒状のものであり、その内部は、バルブ部材3の先端部側を挿入可能な大きさの空洞が形成されている。保持具6の一端部側の外周面には、雄ネジ部60が形成されている。シール部材4を本体部5(筒状体50)内の保持部57に挿入した状態で、保持具6を本体部5(筒状体50)の保持具接続口56に挿入して、両ネジ部58,60を介して接続することにより、シール部材4をソケット本体2内に保持することが可能になっている。なお、保持具6の一端部には、外径が小さく形成された突起部61が設けられており、この突起部61は、後述するシール部材4の凹部42に嵌合可能となっている。
【0036】
保持具6の他端部側の開口は、バルブ部材3を軸方向に往復動可能に装着可能なバルブ装着口21を構成している。保持具6のバルブ装着口21側の内周面には、後述するバルブ部材3の外周面に形成された雄ネジ部33に螺合する雌ネジ部62が形成されており、バルブ部材3を保持具6のバルブ装着口21から挿入して、両ネジ部33,62を螺合することにより、バルブ部材3を保持具6に装着することが可能となっている。また、バルブ部材3を保持具6に対して正逆各方向に回転させることにより、バルブ部材3が保持具6(つまりは、ソケット本体2)に対して軸方向に往復動させることが可能となっている。
【0037】
シール部材4は、例えばゴムなどの弾性を有する弾性材料により形成されており、中心部に貫通孔41を有する厚い肉厚の筒状体40により構成されている。貫通孔41は、本体部5内の空気通路22とほぼ同じ外径を有しており、シール部材4が本体部5内の保持部57に挿入されたときに、貫通孔41が空気通路22に連結されるようになっている。これにより、バルブ装着口21に装着されたバルブ部材3から送られる圧縮空気は、保持具6の一端部側の開口63を通って、シール部材4の貫通孔41および本体部5内の空気通路22に流入し、プラグへと供給される。
【0038】
シール部材4の保持具6と対向する側の端面には、保持具6の突起部61が嵌合可能な凹部42が形成されている。保持具6の突起部61がシール部材4の凹部42に嵌合することにより、保持具6とシール部材4との気密性が高められている。なお、図3中、64は、保持具6の内周面に嵌め込まれたOリングである。このOリング64が、バルブ部材3を保持具6に装着したときに、バルブ部材3の外周面と保持具6の内周面との隙間を塞ぐことで、バルブ部材3と保持具6との気密性を高めて圧縮空気が漏れないようになっている。
【0039】
バルブ部材3は、基端部(一端部)が開口した略円筒状のものであり、先端部(他端部)は閉塞している。バルブ部材3の開口は、圧縮空気の供給口30として機能するものであり、エアコンプレッサの空気供給口やエアコンプレッサの空気供給口に接続されたホースを接続することで、バルブ部材3内に圧縮空気の供給が可能となっている。バルブ部材3の内部には圧縮空気の流路31が形成されている。バルブ部材3の先端部側の外周面には、筒壁を径方向に貫通するように形成された複数(本実施形態では4つ)の流出口32が等角度位置に形成されている。各流出口32は、バルブ部材3内部の流路31と連通しており、バルブ部材3内に供給された圧縮空気は、流路31から各流出口32を介してソケット本体2内に供給されるようになっている。
【0040】
また、バルブ部材3の外周面には、雄ネジ部33が形成されている。この雄ネジ部33は、保持具6の内周面に形成された雌ネジ部62に螺合可能であり、バルブ部材3をソケット本体2(保持具6)のバルブ装着口21から挿入し、両ネジ部33,62を螺合させた状態で、バルブ部材3をソケット本体2(保持具6)に対して正逆方向に回転させて、雄ネジ部33を雌ネジ部62に緩めたり締め付けたりすることにより、バルブ部材3がソケット本体2(保持具6)に対して軸方向に往復動するようになっている。
【0041】
バルブ部材3の先端部の端面には、中央部に円錐状の突起34が形成されているとともに、突起34周縁の残りの部分は平坦面35となっている。突起34の外径は、筒状体40(シール部材4)の中央部に形成されている貫通孔41の径よりも小さく形成されており、図3に示すように、バルブ部材3がソケット本体2(保持具6)の先端方向に往動して、バルブ部材3の先端部が筒状体40(シール部材4)の端面に突き合わされる状態では、バルブ部材3の突起34が筒状体40(シール部材4)の貫通孔41内に挿入されるとともに、突起34周縁の平坦面35が筒状体40(シール部材4)の貫通孔41周縁の平面部と密に面接触する。これにより、筒状体40(シール部材4)の貫通孔41は、バルブ部材3の先端部により完全に塞がれた状態となるので、このバルブ部材3の往動時には、バルブ部材3の流路31とソケット本体2(本体部5)の空気通路22との連通が遮断されるために、プラグ8側への圧縮空気の供給が一時ストップした状態となる。
【0042】
一方、図4に示すように、バルブ部材3がソケット本体2(保持具6)の基端方向に復動し、バルブ部材3の先端部が筒状体40(シール部材4)の端面から離れると、筒状体40(シール部材4)の貫通孔41は開放される。よって、このバルブ部材3の復動時には、バルブ部材3の流路31がソケット本体2(本体部5)の空気通路22と再び連通するために、プラグ8側に圧縮空気を供給可能な状態となる。
【0043】
なお、図2中、7は、バルブ部材3の一端部側の外周面に取り付けられた摘みである。摘み7は、バルブ部材3よりも大きな外径を有するリング状に形成されており、内周面には、バルブ部材3の一端部側の外周面に形成された雄ネジ部36に螺合する雌ネジ部70が形成されている。この摘み7は、両ネジ部36,70の螺合によりバルブ部材3に固定されており、バルブ部材3をソケット本体2(保持具6)に対して回転動作させるとき、この摘み7を摘まんで回転させることで、バルブ部材3の回転動作を容易にしている。
【0044】
本実施形態に係るソケット1は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその作用並びに効果について説明する。まず、ソケット本体2のプラグ接続口20に、作業において使用する工具のプラグを接続して、工具をソケット1と連結する。このとき、プラグ接続口20に接続されるプラグは、高圧用プラグ100または常圧用プラグ200のいずれであっても、Oリング55が、プラグ基端部102A,202Aの大径部分107,207と密接して、プラグ基端部102A,202Aの外周面と筒状体50の内周面との隙間を塞ぐので、圧縮空気が漏れることなく両者を接続することが可能になっている。
【0045】
次に、バルブ部材3の供給口に、エアコンプレッサの空気供給口やエアコンプレッサの空気供給口に接続されたホースを接続する。なお、このとき、バルブ部材3をソケット本体2に対して正方向に回転させることで、バルブ部材3をソケット本体2の先端側に移動(往動)させて、ソケット本体2の空気通路22とバルブ部材3の流路31との連通を遮断しておくことが好ましい。
【0046】
そして、接続完了後に、バルブ部材3をソケット本体2に対して、上記とは逆方向に回転させることで、バルブ部材3をソケット本体2の基端側に移動(復動)させる。これにより、バルブ部材3の流路31がソケット本体2の空気通路22と連通するため、バルブ部材3に供給された圧縮空気が、筒状体40(シール部材4)の貫通孔41およびソケット本体2の空気通路22を介してプラグに供給される結果、工具の使用が可能になる。
【0047】
その後、作業において、使用中の工具を他の工具に変更したい場合、例えば、工具を常圧用工具から高圧用工具に交換したい場合には、バルブ部材3をソケット本体2に対して正方向に回転させて、バルブ部材3をソケット本体2の先端側に移動(往動)させることにより、ソケット本体2の空気通路22とバルブ部材3の流路31との連通を遮断する。これにより、圧縮空気の供給が一時ストップした状態となる。
【0048】
この状態で、ソケット本体2のプラグ接続口20に接続された現在使用中の常圧用工具のプラグ200をプラグ接続口20から取り外し、これから使用する高圧用工具のプラグ100をソケット本体2のプラグ接続口20に接続する。そして、バルブ部材3をソケット本体2に対して、逆方向に回転させて、バルブ部材3をソケット本体2の基端側に移動(復動)させることにより、バルブ部材3に供給された圧縮空気をプラグ100に供給することが可能になり、高圧用工具の使用が可能になる。
【0049】
上記した構成のソケット1によると、作業において使用する工具を、例えば常圧用工具から高圧用工具に交換したい場合(その逆でも可)に、わざわざソケットを常圧用のものから高圧用のものに交換しなくても、高圧用プラグ100および常圧用プラグ200の双方のプラグを接続可能であるので、ただ単に、工具を付け替えるだけで、工具の交換をすることができる。よって、工具の交換作業を効率よく行うことが可能である。
【0050】
なお、工具の交換時には、わざわざエアコンプレッサからの圧縮空気の供給を止めなくても、バルブ部材3をソケット本体2に対して回転させるだけで、ソケット1からの圧縮空気の供給を一時的にストップすることができる。よって、ソケット1からの圧縮空気に邪魔されることなく、交換する工具のプラグをソケット1に難なく簡単に装着することができるとともに、工具の交換時にソケット1からの圧縮空気の噴出によって作業者が負傷したりするおそれもない。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は、上記実施形態に限定されるものではない。図5および図6は、本発明の他の実施形態に係るソケット8の構成を示している。図示例のソケット8も、両端が開口した略円筒状のソケット本体2と、一端が開口した略円筒状のバルブ部材3と、ソケット本体2とバルブ部材3との間に介在するシール部材4とにより構成されている。なお、本実施形態のソケット8において、上記した実施形態のソケット1の構成と対応する構成には、同一の符号を付することで説明を省略する。
【0052】
ソケット本体2は、一端部に工具のプラグ)を着脱自在に接続可能なプラグ接続口20を有するとともに、他端部にバルブ部材3を軸方向に往復動自在に装着可能なバルブ装着口21を有している。ソケット本体2の内部には、プラグ接続口20とバルブ装着口21とを連通して、エアコンプレッサなどの圧縮空気供給源からバルブ部材3に供給される圧縮空気をプラグへと導く圧縮空気の空気通路22が形成されている。
【0053】
本実施形態のソケット本体2は、図6に示すように、一端部にプラグ接続口20を、他端部にバルブ装着口21を、内部に空気通路22を、それぞれ備える略円筒状の筒状体9と、筒状体9の先端側の外周面上に回転自在かつ軸方向に往復動自在に取り付けられたスリーブ51と、筒状体9とスリーブ51との間に設けられたコイルバネ52(図5に示す)と、筒状体9の筒壁に径方向に貫通するように形成された複数の貫通溝53内に径方向に出没可能に設けられた複数の球状のロックボール54(図5に示す)とで構成されている。
【0054】
本実施形態においても、筒状体9の先端部側の開口が、プラグ接続口20を構成しており、その内部には、プラグ挿入部102,202を挿入可能な大きさの空洞部66が形成されている。空洞部66(プラグ接続口20)の内径は、プラグ挿入部102,202の基端部102A,202Aの外径とほぼ同じ大きさに形成されており、また、空洞部66の奥行きは、挿入部102,202の先端部102A,202Aがすっぽりと納まる寸法に形成されている。
【0055】
筒状体9の内周面には、貫通溝53と隣接する部分に環状溝65が形成されており、環状溝65には、Oリング55が嵌め込まれている。この環状溝65は、図7および図8に示すように、プラグ挿入時には、プラグ挿入部12(102,202)の基端部12A(102A,202A)の施錠凹部15(105,205)に隣接する大径部分17(107,207)に対向するような位置に形成されており、プラグ挿入時には、上記したプラグ基端部12A(102A,202A)の大径部分17(107,207)がOリング55内に隙間なく嵌まり込むようになっている。このように、プラグ挿入時に、Oリング55の内周面が、上記したプラグ基端部12A(102A,202A)の大径部分17(107,207)の外周面と密接して、このOリング55が、プラグ基端部12A(102A,202A)の外周面と筒状体9の内周面との隙間を塞ぐことで、プラグ10(100,200)と筒状体9とが気密に接続されて、圧縮空気が漏れないようになっている。
【0056】
上記のとおり、本実施形態のソケット8においても、高圧用プラグ100または常圧用プラグ200のいずれにおいても、ほぼ同じ外径を有しているプラグ基端部102A,202Aに、詳しくは、施錠凹部105,205に隣接する大径部分107,207にOリング55が密着するように、筒状体9の内周面に環状溝65を設けてOリング55を収容している。よって、本実施形態のソケット8も、高圧用プラグ100および常圧用プラグ200の双方のプラグを接続しても、プラグ100,200を筒状体9内に気密に接続でき、圧縮空気の漏れを防止できるようになっている。
【0057】
一方、筒状体9のバルブ装着口21側の内部には、バルブ部材3の先端部(他端部)を挿入可能な大きさの空洞が形成されており、その一部の内周面には、バルブ部材3の外周面に形成された雄ネジ部33に螺合する雌ネジ部90が形成されている。バルブ部材3を筒状体9のバルブ装着口21から挿入することにより、両ネジ部33,90を介してバルブ部材3を筒状体9に装着することが可能となっている。また、バルブ部材3を筒状体9に対して正逆各方向に回転させることにより、バルブ部材3を筒状体9(つまりは、ソケット本体2)に対して軸方向に往復動させることが可能となっている。
【0058】
バルブ部材3は、両端部に開口を有する略円筒状の本体部38と、本体部38の先端部に取り付けられて、本体部38の先端開口を閉塞している突起体39とにより構成されている。本体部38の基端部(バルブ部材3の一端部)側の開口は、圧縮空気の供給口30として機能するものであり、エアコンプレッサの空気供給口やエアコンプレッサの空気供給口に接続されたホースを接続することで、バルブ部材3内に圧縮空気の供給が可能となっている。本体部38の内部には圧縮空気の流路31が形成されている。
【0059】
本体部38の先端部側の外周面には、筒壁を径方向に貫通するように形成された複数(本実施形態では4つ)の流出口32が等角度位置に形成されている。各流出口32は、本体部38内部の流路31と連通しており、供給口30から供給された圧縮空気は、流路31から各流出口32を介してソケット本体2内に供給されるようになっている。
【0060】
また、本体部38の外周面には、雄ネジ部33が形成されている。この雄ネジ部33は、筒状体9の内周面に形成された雌ネジ部90に螺合可能であり、本体部38(バルブ部材3)を筒状体9(ソケット本体2)のバルブ装着口21から挿入し、両ネジ部33,90を螺合させた状態で、本体部38(バルブ部材3)を筒状体9(ソケット本体2)に対して正逆方向に回転させて、雄ネジ部33を雌ネジ部90に緩めたり締め付けたりすることにより、本体部38(バルブ部材3)が筒状体9(ソケット本体2)に対して軸方向に往復動するようになっている。
【0061】
突起体39は、円錐状の突起39Aと、突起39Aの端面に一体に設けられたネジ軸39Bとを備えている。ネジ軸39Bを、本体部38の先端部の内周面に形成されたネジ穴39Cに螺合することにより、突起体39は、本体部38の先端開口に着脱自在に取り付けられる。なお、突起39Aの外径は、筒状体9内の空気通路22の径よりも小さく形成されており、バルブ部材3がソケット本体2の先端方向に往動して、バルブ部材3の先端部がソケット本体2内の空気通路22に到達した状態では、突起39Aが空気通路22内に挿入されるようになっている。
【0062】
シール部材4は、本実施形態では、例えばゴムなどの弾性を有する弾性材料により形成されたリング部材43により構成されている。リング部材43の内径は、バルブ部材3の本体部38の先端部の内径とほぼ同じ大きさに形成されており、本体部38の先端部と突起体39との間にリング部材43を介在させた状態で、本体部38の先端開口に突起体39を締め付け固定することにより、リング部材43はバルブ部材3に取り付け固定される。
【0063】
リング部材43の外径は、筒状体9内の空気通路22の径よりも大きく形成されている。これにより、図7に示すように、バルブ部材3が筒状体9の先端方向に往動して、バルブ部材3の先端部が筒状体9内の空気通路22に到達した状態では、バルブ部材3の突起体39が空気通路22内に挿入される一方、リング部材43が筒状体9の内壁91と密に接触して、バルブ部材3の先端部と筒状体9の空気通部22との隙間を完全にシールする。よって、バルブ部材3の流路31とソケット本体2の空気通路22との連通が遮断される結果、プラグ8側への圧縮空気の供給が一時ストップした状態となる。
【0064】
一方、図8に示すように、バルブ部材3がソケット本体2の基端方向に復動し、バルブ部材3の先端部が空気通路22から離れると、空気通路22は開放される。よって、このバルブ部材3の復動時には、バルブ部材3の流路31がソケット本体2の空気通路22と再び連通するために、プラグに圧縮空気を供給可能な状態となる。
【0065】
上記した構成のソケット8においても、作業において使用する工具を、例えば常圧用工具から高圧用工具に交換したい場合(その逆でも可)には、わざわざソケットを常圧用のものから高圧用のものに交換しなくても、ただ単に、工具を付け替えるだけで、工具の交換をすることができる。よって、工具の交換作業を効率よく行うことが可能である。
【0066】
なお、工具の交換時には、わざわざエアコンプレッサからの圧縮空気の供給を止めなくても、バルブ部材3をソケット本体2に対して回転させるだけで、ソケット8からの圧縮空気の供給を一時的にストップすることができる。よって、ソケット8からの圧縮空気に邪魔されることなく、交換する工具のプラグをソケット8に難なく簡単に装着することができるとともに、工具の交換時にソケット8からの圧縮空気の噴出によって作業者が負傷したりするおそれもない。
【0067】
なお、上記した実施形態のソケット1,8は、バルブ部材3を備えており、このバルブ部材3をソケット本体2に対して回転させることで、ソケット1,8からの圧縮空気の供給を一時的にストップすることができるように構成されているが、本発明に係るソケットは、必ずしもこのバルブ部材3を備えている必要はなく、バルブ部材3を備えない構成に設計変更することも可能である。つまり、バルブ部材3の構成に関係なく、形状の異なる種々のプラグを接続可能である。
【0068】
図11は、上記した構成のソケット1,8に接続することが可能な新規な高圧用プラグ10の外観構成および内部構成を、図12の高圧用プラグ10の内部構成を、それぞれ示している。図示例の高圧用プラグ10は、一端に開口を有する略円筒状のものであり、基部11と、基部11に一体形成された挿入部12とにより構成されている。挿入部12は、基部11よりも外径が小さく形成されており、プラグ10をソケット1,8に接続する時には、基部11がソケット1,8の端面に対して突き当たる一方、挿入部12はプラグ接続口20からソケット1,8内に挿入可能となっている。
【0069】
基部11および挿入部12の内部には、圧縮空気を流すことが可能な流路13が形成されている。流路13の径は、約4mm程度になっている。
【0070】
挿入部12の基部側に位置する部分(以下、「基端部」という。)12Aの外周面には、ソケット1,8の各ロックボール54が嵌まり込むことが可能な施錠凹部15が一周にわたって形成されている。挿入部12の基端部12Aは、その外径がソケット1,8のプラグ接続口20および空洞66の内径とほぼ同じ大きさに形成されている。これに対して、挿入部12の先端部12Bは、基端部12Aと比べて外径が小さく形成されている。
【0071】
挿入部12の先端部12Bには、その端部において、筒壁が対向する2箇所を除いて切り欠かれることにより、筒壁を貫通する貫通孔16が外周面に形成されている。この貫通孔16は,プラグ10内部の流路13と連通しており、ソケット1,8から供給される圧縮空気は、この貫通孔16から流路13に流入し、基部側の開口14を通って工具に供給されるようになっている。
【0072】
プラグ基端部12Aの施錠凹部15は、図13に示すように、両端に下方に向けて傾斜する傾斜面17A,17Bを備えるとともに、各傾斜面17A,17Bの下端同士が平坦な底面17Cにより接続された構成になっている。基部11側の一方の傾斜面17Aは、上端が基端部12Aの外周面に直接接続されており、施錠凹部15の一方の角部15Aが形成されている。一方、先端部12B側の他方の傾斜面17Bは、段部18を介して基端部12Aの外周面に接続されている。段部18は、基端部12Aの外周面から垂下する鉛直面18Aと、鉛直面18Aの下端から延びる水平面18Bとで構成されており、水平面18Bに傾斜面17Bの上端が接続されることにより、施錠凹部15の他方の角部15Bが形成されている。
【0073】
ここで、ソケット1,8から高圧域の圧縮空気が高圧用プラグ100(図9に示す)に供給されると、圧縮空気の圧力が高いために、高圧用プラグ100にはソケット1,8から外れる方向(図9では右側方向)に大きな荷重がかかる。これにより、圧縮空気の供給時には、施錠凹部105の収容されている各ロックボール54が施錠凹部105内で、施錠凹部105の一方(先端部102B側)の角部105Bと衝突を繰り返すようになり、その結果、施錠凹部105の前記角部105Bがロックボール54との衝突によって磨耗して、へたってしまう。施錠凹部105の前記角部105Bがへたってしまうと、施錠凹部105の高さが低くなるために、ロックボール54が施錠凹部105内にしっかりと保持されなくなる結果、施錠凹部105から容易に抜け出てしまうなどの問題が生じる。
【0074】
本実施形態の高圧用プラグ10では、上記した問題を解決するために、施錠凹部15の一方(先端部12B側)の角部15Bと、基端部12Aの外周面との間に段部18を介在させている。この段部18の存在により、圧縮空気の供給時に、施錠凹部15の前記角部15Bがロックボール54との衝突によって磨耗して、へたってしまっても、段部18により、施錠凹部105からロックボール54が抜け出るのを防止している。
【0075】
なお、本実施形態の高圧用プラグ10を本実施形態のソケット1,8に接続する方法については上述したとおりであり、ここでは、その説明は省略するが、本実施形態の高圧用プラグ10を本実施形態のソケット1,8に接続した場合においても、外部に圧縮空気を漏らすことなく、高圧用プラグ10に圧縮空気を供給することができる。
【0076】
図14は、上記した構成の高圧用プラグ10に接続することが可能な変換ジョイント80の内部構成を示している。この変換ジョイント80は、上記した高圧用プラグ10を取り付けることにより、高圧用プラグ10を常圧用プラグに変換できるものである。
【0077】
作業現場においては、使用する工具に応じて、エアコンプレッサの常圧用の空気供給口あるいは高圧用の空気供給口に高圧用および常圧用共有のエアホースを、順次付け替えることによって、1本のエアホースにより各空気工具に所望の圧縮空気を供給することが一般的に行われている。このエアホースを、エアコンプレッサの常圧用空気供給口あるいは高圧用空気供給口に接続する際には、エアホースの端部には、エアホースを常圧用空気供給口に接続する場合には常圧用のプラグを、エアホースを高圧用空気供給口に接続する場合には高圧用のプラグを、それぞれ取り付ける必要がある。そのため、エアホースを常圧用空気供給口あるいは高圧用空気供給口に付け替える際には、エアホースに取り付けるプラグを、いちいち高圧用あるいは常圧用のものに付け替える必要があるため、使い勝手が悪い、という問題がある。
【0078】
本実施形態の変換ジョイント80は、上記した問題を解決するものであり、エアホースの端部に本実施形態の高圧用プラグ10を取り付けておき、エアホースを高圧用空気供給口に接続する場合には、高圧用空気供給口の高圧用ソケットにそのまま高圧用プラグ10を接続する一方、エアホースを常圧用空気供給口に接続する場合には、高圧用プラグ10に変換ジョイント80を取り付けることで、常圧用空気供給口の常圧用ソケットにエアホースを接続することが可能になっている。
【0079】
この変換ジョイント80は、両端に開口92,93を有する略円筒状のものであり、一端部側に設けられたソケット部81と、他端部側に設けられたプラグ部82が一体化された構成になっている。変換ジョイント80の内部は、一端開口92と他端開口93とを連通する圧縮空気の流路83が形成されている。流路83の内径は、約7.5mm程度と、一般的な常圧用プラグ200(図10に示す)の流路203の内径とほぼ同じ大きさに形成されていて、上記した高圧用プラグ10の流路13の径よりも大きくなっている。
【0080】
プラグ部82は、略円筒の筒状体により構成されており、その外周面には、ソケットの各ロックボールが嵌まり込むことが可能な施錠凹部84が一周にわたって形成されている。プラグ部82の先端部に設けられた開口92から圧縮空気が供給される。
【0081】
また、ソケット部81は、筒状体85と、筒状体85の先端側の外周面に嵌合するスリーブ86と、筒状体85とスリーブ86との間に設けられたコイルバネ87と、筒状体85の筒壁に径方向に貫通するように形成された複数の貫通溝88内に径方向に出没可能に設けられた複数の球状のロックボール89とで構成されている。
【0082】
筒状体85の先端部に設けられた開口93は、高圧用プラグ10の接続口として機能するものであり、その内部には、高圧用プラグ10の挿入部12(基端部12A)を挿入可能な大きさの空洞94が形成されている。この空洞94(開口93)の内径は、プラグ挿入部12の基端部12Aの外径とほぼ同じ大きさに形成されており、また、空洞の奥行きは、この基端部12Aがすっぽりと納まる寸法に形成されている。
【0083】
スリーブ86は、筒状体85の先端部側の外周面上に、回転自在かつ軸方向に往復動自在に取り付けられており、コイルバネ87のバネ力によって常時、先端方向へと付勢されている。スリーブ86の内周面には、筒状体85の外周面上を摺動して各ロックボール89を貫通溝88へ向けて押し込む押込面86Aが形成されており、その外方には各ロックボール89が嵌り込むことが可能な凹部86Bが全周にわたって形成されている。
【0084】
筒状体85の内周面には、流路83が位置する部分に環状溝95が形成されており、この環状溝95には、ゴムなどの弾性部材からなるOリング96が嵌め込まれている。図15に示すように、Oリング96が、プラグ挿入時に、プラグ挿入部12の先端部12Bの外周面に密接して、高圧用プラグ10の外周面と筒状体85の内周面との隙間を塞ぐことで、高圧用プラグ10と筒状体85との気密性が高められて圧縮空気が漏れないようになっている。
【0085】
次に、図15を参照して、この変換ジョイント80と高圧用プラグ10の接続方法について説明する。コイルバネ87のバネ力に抗してスリーブ86を内側(図15では左方向)に向けて移動させた状態で、高圧用プラグ10を筒状体85の開口93から挿入させると、高圧用プラグ10の基端部12Aの外周面により各ロックボール89が貫通溝95の外側に押し出されて、スリーブ86の凹部86Bに嵌まり込む。高圧用プラグ10の挿入後、スリーブ86を元の位置まで移動させると、スリーブ86の押圧面86Aにより各ロックボール89が内側に押される結果、各ロックボール89が高圧用プラグ10の基端部12Aの外周面に形成された施錠凹部15に嵌入するとともに、スリーブ86の押圧面86Aによって施錠凹部15内に各ロックボール89が保持される。その結果、高圧用プラグ10は筒状体85から抜け出るのが阻止される。
【0086】
一方、この状態から、スリーブ86をコイルバネ87のバネ力に抗して内側(図15では左方向)に向けて移動させると、各ロックボール89は、貫通溝88の外側へ移動可能となり、高圧用プラグ10の施錠凹部15から抜け出してスリーブ86の凹部86Bに嵌まり込むようになる。その結果、高圧用プラグ10は筒状体85からの引き抜きが可能な状態となる。
【0087】
上記した構成の変換ジョイント80によると、エアホースの端部に取り付けられた高圧用プラグ10を変換ジョイント80に接続するだけで、エアコンプレッサの常圧用空気供給口のソケットにエアホースを接続することが可能であるので、例えばエアホースをエアコンプレッサの高圧用空気供給口から常圧用空気供給口に付け替える際に、付け替え作業を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0088】
1 ソケット
10 高圧用プラグ
11 基部
12 挿入部
12A 基端部
12B 先端部
15 施錠凹部
15A,15B 角部
17 大径部分
18 段部
20 プラグ接続口
53 貫通溝
54 ロックボール
55 Oリング
65 環状溝
80 変換ジョイント
81 ソケット部
82 プラグ部
83 流路
100 高圧用プラグ
102 挿入部
102A 基端部
102B 先端部
105 施錠凹部
107 大径部分
200 常圧用プラグ
202 挿入部
202A 基端部
202B 先端部
205 施錠凹部
207 大径部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具またはホースに取り付けられたプラグを着脱可能に接続して工具またはホースに圧縮空気を供給可能なソケットであって、
一端に前記プラグを挿入可能な開口を有する略円筒状を有し、前記開口側の内周面には、前記プラグの前記開口から該ソケット内に挿入される挿入部の前記開口の内径とほぼ同じ外径を有している基端部分の外周面に形成された凹部に嵌合可能なロックボールを径方向に出し入れ可能な溝部が形成されており、
さらに、前記開口側の内周面には、前記プラグの挿入時に、前記プラグの前記基端部分の凹部に隣接しかつ前記開口の内径とほぼ同じ外径を有している大径部分と対向する位置に、環状溝が形成されており、前記環状溝には、前記プラグの挿入時に、前記プラグの大径部分の外周面に密接するOリングが嵌め込まれているソケット。
【請求項2】
請求項1に記載のソケットに接続可能な高圧用のプラグであって、
基部と、基部に一体形成された挿入部とからなり、前記挿入部は、前記ソケットの該プラグを挿入可能な開口の内径とほぼ同じ外径を有する基端部分と、前記基端部分よりも外径が小さい先端部分とを備えており、前記基端部分の外周面には、前記ソケットのロックボールが嵌まり込むことが可能な凹部と、前記凹部に隣接する位置に、前記ソケットのOリングが密接する大径部分とが設けられており、
前記凹部は、前記先端部分側の角部が、段差を介して前記基端部分の外周面と接続されている高圧用のプラグ。
【請求項3】
請求項2に記載の高圧用のプラグを接続可能な変換ジョイントであって、
一端部にソケットに接続可能なプラグ部と、他端部に前記高圧用のプラグを接続可能なソケット部とを備えるとともに、内部に前記プラグ部と前記ソケット部とを連通する圧縮空気の流路を備えており、
前記流路は、その径が前記高圧用のプラグの内部に形成された圧縮空気の流路の径よりも大きく形成されている変換ジョイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−112406(P2012−112406A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259960(P2010−259960)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(509196925)有限会社ヤマトエンジニアリング (3)
【Fターム(参考)】