説明

ソフトウェアアップデート用プログラム

【課題】複数台のソフトウェアアップデート可能機器(プリンタ等)をより簡単にアップデートできるソフトウェアアップデート用プログラムを提供する。
【解決手段】ソフトウェアアップデート用プログラムによりソフトウェアがアップデートされるソフトウェアアップデート可能機器に同一のパスワードを設定しておくと共に、ソフトウェアアップデート用プログラムを、各ソフトウェアアップデート可能機器(ステップS103)に対して、同内容のソフトウェアアップデート処理(ステップS105〜S109)を繰り返す機能を有するプログラムとしておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ等のソフトウェアアップデート可能機器のソフトウェアをアップデートするためのソフトウェアアップデート用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年の一般的なプリンタは、それに接続されているPCを操作することにより、ファームウェアのアップデートや、設定データのアップデート(内容更新/変更)を行える装置となっているが、一般的なプリンタは、ファームウェアや設定データのアップデート時にパスワードを入力しなければならない装置ともなっている。
【0003】
このため、オフィス/大学等の多数台のプリンタが使用されている場所のプリンタ管理者は、全プリンタのファームウェアのアップデートを行う場合や、全プリンタの設定を変更する場合、プリンタの台数分、パスワードの入力を含むアップデート用の作業を繰り返すといった煩雑な作業を行わなければならなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の課題は、プリンタ等の複数台のソフトウェアアップデート可能機器のソフトウェアをより簡単にアップデートできるソフトウェアアップデート用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では、パスワードと更新すべきソフトウェアとが送信されてきた際に、送信されてきたパスワードが自身に設定されているものと一致し,送信されてきたソフトウェアが自身用のものであるという条件が満たされているか否かを判断し,当該条件が満たされていた場合に限り,自装置内のソフトウェアを実際にアップデートする複数台のソフトウェアアップデート可能機器に接続されているコンピュータ上で実行されるソフトウェアアップデート用プログラムを、『自身が実行されたコンピュータを、ユーザに,複数台のソフトウェアアップデート可能機器の中から,ソフトウェアのアップデート対象とする機器を,複数台,選択させる機能と、ユーザに,パスワードを入力させる機能と,ユーザに、更新すべきソフトウェアに関するアップデート用ファイルを指定させる機能とを有するユーザインタフェース手段と、ユーザインタフェースを利用することによりユーザが選択,入力及び指定したソフトウェアアップデート可能機器,パスワード及びアップデート用ファイルを示す各種情報を記憶しておくための情報記憶手段と、情報記憶手段に記憶されている各種情報に基づき、ユーザが選択した各ソフトウェアアップデート可能機器に対して、ユーザが入力したパスワードとユーザが指定したアップデート等ファイル内のソフトウェアとを送信するアップデート用処理を,順次,行う一括アップデート手段とを備える装置として動作させる』ことが出来るものとして作成(プログラミング)しておく。
【0006】
すなわち、本発明のソフトウェアアップデート用プログラムは、各ソフトウェアアップデート可能機器に同一のパスワードを設定してさえすれば、“ソフトウェアのアップデート対象とする機器の選択し、パスワードを入力し、アップデート用ファイルを指定するといった作業”を、一回、行うだけで、複数台のソフトウェアアップデート可能機器のソフトウェアを一括してアップデートできるようになるプログラムとなっている。従って、このソフトウェアアップデート用プログラムは、プリンタ等の複数台のソフトウェアアップデート可能機器のソフトウェアをより簡単にアップデートできるものとなっていると言うことが出来る。
【0007】
ソフトウェアのアップデートは、パスワードが間違っていた場合には行われない処理である。また、ソフトウェアのアップデートは、失敗することもある処理であるため、本発明のソフトウェアアップデート用プログラムを実現(プログラミング)する際には、一括アップデート手段が、各ソフトウェアアップデート可能機器に対するアップデート用処理が成功したか否かを示す情報を出力する手段となるようにしておくことが望ましい。
【0008】
また、本発明のソフトウェアアップデート用プログラムを実現する際には、一括アップデート手段が、各ソフトウェアアップデート可能機器に対するアップデート用処理を実際に開始する前に、ユーザに当該アップデート用処理を行うか否かを問い合わせ、ユーザが当該アップデート用処理を行うことを指示した場合には、当該アップデート用処理を開始し、ユーザが当該アップデート用処理を行わないことを指示した場合には、当該アップデート用処理を実行しない手段となるようにしておくことも出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態に係るソフトウェアアップデート用プログラム10の概要(用途及び使用環境)を,説明する。
【0011】
図1に模式的に示してあるように、本発明の一実施形態に係るソフトウェアアップデート用プログラム10は、複数台のプリンタ20と接続(ネットワーク接続/直接接続)されているPC(パーソナルコンピュータ)50上で実行されるプログラムである。
【0012】
本実施形態に係るソフトウェアアップデート用プログラム10は、複数台のプリンタ20内の各種ファームウェア(プログラム)や設定データ(操作パネルの操作等により設定可能な名種項目に関する設定値)の更新を容易に行えるようにするために開発したプログラムである。
【0013】
このソフトウェアアップデート用プログラム10により、そのソフトウェア(ファームウェアや設定データ)を更新できるプリンタ20は、具体的な構成や機能が異なるさまざまな機種の装置である。
【0014】
ただし、いずれのプリンタ20も、パスワードと更新すべきソフトウェア(ファームウェア,設定データ)とを含む所定形式のアップデート要求情報を受信した際、“その情報中のパスワードが自身に設定されているものと一致し,その情報中のソフトウェアが自身用のものである”という条件が満たされているか否かを判断し、当該条件が満たされていた場合には、自装置内のソフトウェアを実際にアップデートしてから、アップデートが正常に終了した旨の処理結果情報(場合によっては、アップデートに失敗した旨の処理結果情報)をアップデート要求の送信元機器に返送し、当該条件が満たされていなかった場合には、ソフトウェアのアップデートを行うことなく、パスワードが誤っている旨の処理結果情報や、自身用のソフトウェアでない旨の処理結果情報をアップデート要求の送信元機器に返送する装置となっている。また、各プリンタ20は、所定内容のブロードキャスト要求(アドレスがブロードキャストアドレスとなっている所定内容の要求)を送信した機器へ、自身のIPアドレス,MACアドレス等を含めた情報を返送する機能や、自身が管理している情報〔各種ソフトウェアのバージョン情報,設定データの設定(更新)日時等〕を,それを要求した機器に送信する機能も有する装置となっている。
【0015】
さらに、各プリンタ20は、それと接続されているPC(Webブラウザ)の操作により各種設定を行える装置であると共に、各種設定値に関するファイル(テキストエディタで同じものを作成できるファイル)をPC内に保存できる装置ともなっている。
【0016】
次に、本実施形態に係るソフトウェアアップデート用プログラム10の機能を説明する。
【0017】
ソフトウェアアップデート用プログラム10は、起動(実行)されると、ファームウェアアップデート用ファイル或いは設定データアップデート用ファイルの選択画面をPC50のディスプレイ上に表示するプログラムとなっている。ここで、ファームウェアアップデート用ファイルとは、更新すべきファームウェアのファイル(所定のWEBサイトからダウンロードできるファイル)のことであり、設定データアップデート用ファイルとは、Webブラウザにて或る印刷装置20にアクセスすることにより作成しておいたファイル(或いは、テキストエディタで作成しておいたファイル)のことである。
【0018】
ソフトウェアアップデート用プログラム10は、或るファームウェアアップデート用ファイル(以下、指定アップデート用ファイルと表記する)が選択された場合には、自PCにネットワーク/直接接続されている全てのプリンタ20を把握すると共に,各プリンタ20内の,指定アップデート用ファイルにより更新されることになるファームウェアのバージョン情報を把握する処理を行う。すなわち、ソフトウェアアップデート用プログラム10は、ブロードキャスト要求の送信により,その存在を把握したプリンタ20からバージョン情報を取得する処理や、プリンタ20が接続されているポートを探し、そのポートに接続されていることプリンタ20からバージョン情報を取得する処理を行う。
【0019】
その後、ソフトウェアアップデート用プログラム10は、把握した情報を利用することにより、図2に示した構成のアップデート対象機器選択画面をPC50のディスプレイ上に表示する。なお、このアップデート対象機器選択画面上のプリンタ選択欄31は、PC50に接続されている各プリンタ20について、操作可能なチェックボックスと,IPアドレス及びMACアドレス(値が表示されるのは、経路が“LAN”である場合のみ)と,経路(LAN,USB等)と、指定アップデート用ファイルによるファームウェアのアップデートがバージョンアップとなるか否かに関する情報(図では、“バージョンアップ”)が示される領域である。また、アップデート対象機器選択画面上の“すべて選択”ボタン32は、プリンタ選択欄31内の全てのチェックボックスをチェックしたい場合に操作者が操作すべきボタンであり、“開始”ボタン33は、チェックボックスをチェックした何台かのプリンタ20に対するファームウェアアップデート用処理をソフトウェアアップデート用プログラム10に開始させる際に操作者が操作すべきボタンである。
【0020】
そして、本実施形態に係るソフトウェアアップデート用プログラム10は、“開始”ボタン33の操作時に開始するファームウェアアップデート用処理として、図3に示した手順のものを実行するプログラムとなっている。
【0021】
すなわち、“開始”ボタン33が操作されたため、ファームウェアアップデート用処理を開始したソフトウェアアップデート用プログラム10は、まず、パスワードの入力が可能な画面をディスプレイ上に表示することにより、操作者に,全ての(或いは、大部分の)プリンタ20に共通して設定されているパスワードを入力させる処理であるパスワード画面表示処理(ステップS101)を行う。
【0022】
その後、ソフトウェアアップデート用プログラム10は、図4に示した構成の処理状況・結果通知用画面をディスプレイ上に表示する処理状況・結果通知用画面表示処理(ステップS102)を行ってから、ファームウェアアップデート用処理の対象として選択されているプリンタ20(アップデート対象機器選択画面上のチェックボックスがチェックされたプリンタ20)の中の一台のプリンタ20(未処理のもの)をアップデート対象プリンタ20として特定する処理(ステップS103)を行う。
【0023】
アップデート対象プリンタ20が特定できた場合(ステップS103;YES)、ソフトウェアアップデート用プログラム10は、図5に示した構成の問い合わせ画面をディスプレイ上に表示する(ステップS105)。そして、ソフトウェアアップデート用プログラム10は、この問い合わせ画面上のOKボタンが操作された場合(ステップS106;YES)には、ステップS107にて、既に説明したアップデート要求情報をアップデート対象プリンタ20へ送信した後,既に説明した処理結果情報がそのアップデート対象プリンタ20から送信されてくるのを待機する処理(図では、アップデート対象プリンタに対するFWアップデート処理)を行う。なお、このステップS107の処理は、初回実行時には、図6に示した構成の進捗状況画面を表示する処理と、この進捗状況画面の内容を更新する処理(プログレスバー部分の表示内容を進捗状況に応じて更新する処理)とが行われる処理であると共に、2回目以降の実行時には、既に表示されている進捗状況画面(図6)の内容を更新する処理が行われる処理となっている。
【0024】
そして、ソフトウェアアップデート用プログラム10は、ステップS107の処理が完了した場合(処理結果情報がアップデート対象プリンタ20から送信されてきた場合)には、図7に示したように、その処理結果情報を表す処理結果提示図形を、処理状況・結果通知用画面上に示されているアップデート対象プリンタ20に関する情報(IPアドレス等)の左側に表示する処理(ステップS108)を行う。なお、処理結果提示図形とは、図7(及び図4)の右下に,その意味と共に示してある4図形〔アップデート済み(アップデート成功)を示すための図形,ユーザによりアップデートがキャンセルされたことを示すための図形,アップデートが失敗したことを示すための図形,パスワードが誤っていたことを示すための図形〕のことであり、図7に示してある処理状況・結果通知用画面は、図3のファームウェアアップデート用処理が全て終了したときのものとなっている。
【0025】
また、ソフトウェアアップデート用プログラム10は、図5に示した構成の問い合わせ画面上のキャンセルボタンが操作された場合(ステップS106;NO)には、ユーザによってアップデートがキャンセルされたことを示す処理結果提示図形を、処理状況・結果通知用画面上に示されているアップデート対象プリンタ20に関する情報の左側に表示する処理(ステップS109)を行う。
【0026】
そして、ステップS108或いはS109の処理を終えたソフトウェアアップデート用プログラム10は、ステップS103に戻って、次のプリンタ20に対する処理を開始し、アップデート対象として選択されている全てのプリンタ20に対する処理が完了したとき(ステップS104;NO)に、このファームウェアアップデート用処理を終了する。
【0027】
或る設定データアップデート用ファイルが選択された場合にソフトウェアアップデート用プログラム10が実行する処理も、上記したものと同様のものである。ただし、設定データアップデート用ファイルが選択された場合にソフトウェアアップデート用プログラム10が実行する処理は、アップデート対象機器選択画面(図2参照)として、図2のアップデート対象機器選択画面ではバージョンアップと示されている部分に、設定データの設定日時(いずれかの項目値の設定が変更された最新日時)が示される画面を表示するものとなっている。
【0028】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係るソフトウェアアップデート用プログラム10は、オフィス等で使用している全てのプリンタ20に同一のパスワードを設定しておきさえすれば、全てのプリンタ20に対するファームウェアのアップデートを一括して行えるプログラム(プリンタ20毎に、ファームウェアをアップデートするための作業を行わなくても済むプログラム)となっている。また、ソフトウェアアップデート用プログラム10は、設定データアップデート用ファイルによる複数台のプリンタ20の設定の変更も行えるプログラムともなっている。このため、このソフトウェアアップデート用プログラム10を用いておけば、オフィス等に使用されている多数のプリンタ20の管理(ファームウェアを最新のものとすることや、設定を同一のものとすること)を極めて容易に行えることになる。
【0029】
《変形形態》
上記したソフトウェアアップデート用プログラム10は、各種の変形を行うことが出来る。例えば、ソフトウェアアップデート用プログラム10を、図5に示した問い合わせ画面を表示しないプログラム(ステップS106,S107を実行しないプログラム)に変形することが出来る。また、ソフトウェアアップデート用プログラム10を、ファームウェアのみのアップデートが行えるプログラムや、各種画面として,上記したものとは具体的な構成が異なるものを表示するプログラムや、プリンタ20以外の機器のソフトウェアをアップデートするためのプログラムに変形しても良いことなどは、当然のことである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態に係るソフトウェアアップデート用プログラムの使用形態の説明図。
【図2】ソフトウェアアップデート用プログラムがディスプレイ上に表示するアップデート対象機器選択画面の説明図。
【図3】ソフトウェアアップデート用プログラムが実行するファームウェアアップデート用処理の説明図。
【図4】ソフトウェアアップデート用プログラムがディスプレイ上に表示する処理状況・結果通知用画面の説明図。
【図5】ソフトウェアアップデート用プログラムがディスプレイ上に表示する問い合わせ画面の説明図。
【図6】ソフトウェアアップデート用プログラムがディスプレイ上に表示する進捗状況画面の説明図。
【図7】ソフトウェアアップデート用プログラムがディスプレイ上に表示する処理状況・結果通知用画面の説明図。
【符号の説明】
【0031】
10 ソフトウェアアップデート用プログラム、 20 プリンタ
31 プリンタ選択欄、 32 “すべて選択”ボタン
33 “開始”ボタン、50 PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パスワードと更新すべきソフトウェアとが送信されてきた際に、送信されてきたパスワードが自身に設定されているものと一致し,送信されてきたソフトウェアが自身用のものであるという条件が満たされているか否かを判断し,当該条件が満たされていた場合に限り,自装置内のソフトウェアを実際にアップデートする複数台のソフトウェアアップデート可能機器に接続されているコンピュータ上で実行されるソフトウェアアップデート用プログラムであって、
自身が実行されたコンピュータを、
ユーザに,前記複数台のソフトウェアアップデート可能機器の中から,ソフトウェアのアップデート対象とする機器を,複数台,選択させる機能と、ユーザに,パスワードを入力させる機能と,ユーザに、更新すべきソフトウェアに関するアップデート用ファイルを指定させる機能とを有するユーザインタフェース手段と、
前記ユーザインタフェースを利用することによりユーザが選択,入力及び指定したソフトウェアアップデート可能機器,パスワード及びアップデート用ファイルを示す各種情報を記憶しておくための情報記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている各種情報に基づき、ユーザが選択した各ソフトウェアアップデート可能機器に対して、ユーザが入力したパスワードとユーザが指定したアップデート等ファイル内のソフトウェアとを送信するアップデート用処理を,順次,行う一括アップデート手段と
を備える装置として動作させる
ことを特徴とするソフトウェアアップデート用プログラム。
【請求項2】
前記一括アップデート手段が、
各ソフトウェアアップデート可能機器に対する前記アップデート用処理が成功したか否かを示す情報を出力する手段である
ことを特徴とする請求項1記載のソフトウェアアップデート用プログラム。
【請求項3】
前記一括アップデート手段が、
各ソフトウェアアップデート可能機器に対する前記アップデート用処理を実際に開始する前に、ユーザに当該アップデート用処理を行うか否かを問い合わせ、ユーザが当該アップデート用処理を行うことを指示した場合には、当該アップデート用処理を開始し、ユーザが当該アップデート用処理を行わないことを指示した場合には、当該アップデート用処理を実行しない手段である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のソフトウェアアップデート用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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