説明

ソフトスイッチング用駆動回路およびその製造方法

【課題】メインスイッチSmのオン状態への切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によってオン状態への切り替えがソフトスイッチングとされるものにあって、メインスイッチSmに対するオン状態への切り替え指令と実際のスイッチング状態の切り替わりとの時間差のばらつきによってソフトスイッチングの制御性が低下すること。
【解決手段】メインスイッチSmのゲートには、充電用抵抗体94、および充電用スイッチング素子92を介して電源90が接続されている。充電用スイッチング素子92のゲートは、抵抗体102を介してバッファ回路100に接続されている。上記時間差の誤差を低減すべく、抵抗体102の抵抗値が調節される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換回路を構成する電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされる電力変換回路に適用され、前記電力変換回路を構成するスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とし、前記駆動対象スイッチング素子をオン状態とするための電荷の供給手段と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続する充電用電気経路を開閉する充電用スイッチング素子と、前記電荷を放電するための放電用電気経路を開閉する放電用スイッチング素子とを備えて前記駆動対象スイッチング素子を駆動するソフトスイッチング用駆動回路およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトスイッチングを可能とする電力変換回路として、昇圧チョッパ回路の主スイッチング素子にコンデンサを並列接続するとともに、補助スイッチや補助インダクタ等を設けるものが提案されている(特許文献1、非特許文献1)。具体的には、補助スイッチング素子のオン状態への切り替えタイミングに対する主スイッチング素子のオン状態への切り替えタイミングの遅延時間を制御することで、主スイッチング素子に並列接続されたコンデンサの電荷がゼロとなったタイミングで主スイッチング素子をオン状態に切り替え、ひいてはオン状態への切り替えをゼロ電圧スイッチング(ZVS)とすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−283815号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“次世代クリーンエネルギ応用分野における電力変換器を対象としたソフトスイッチング回路方式に関する研究”,[online]、[平成22年6月8日検索]、インターネット<URL:http://www.kawalab.dnj.ynu.ac.jp/research/power_electronics/Chopper/Chopper1.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、上記ソフトスイッチングを行なうに際しては、上記遅延時間を高精度に制御することが要求される。したがって、補助スイッチング素子や主スイッチング素子に対するオン操作指令と実際にオン状態に切り替わるタイミングとの間に個体差等に起因したずれが生じる場合には、ソフトスイッチングを適切に行なうことができなくなるおそれがある。そしてこうした事態は、従来のハードスイッチングを行なう電力変換回路の駆動系を用いることで実際に生じることが発明者らによって見出されている。
【0006】
ここで、従来のハードスイッチングを行なう電力変換回路の場合、遅延時間の調節が必要とされるのは、相補的に駆動される一対のスイッチング素子の双方をオフとするためのデッドタイムの設定に限られていた。デッドタイムの設定は、双方がオン状態となる期間の発生を確実に回避することができるものであればよいため、十分なマージンが設けられることが常であった。そして、こうしたマージン設定による制御への影響は、周知のデッドタイム補償等のスイッチング素子の操作信号の補正によって比較的容易に補償することができる。これに対し、上記遅延時間が短くても長くてもソフトスイッチングの効果は低減されるため、上記マージン設定のような手法を用いることができない。
【0007】
なお、上記電力変換回路に限らず、電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされるものにあっては、ソフトスイッチングを適切に行なうことができなくなるおそれのあるこうした実情も概ね共通したものとなっている。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、スイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされるものにあって、スイッチング状態の切り替え指令と実際のスイッチング状態の切り替わりとの時間差のばらつきによるソフトスイッチングの制御性の低下を好適に抑制することのできるソフトスイッチング用駆動回路およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
【0010】
請求項1記載の発明は、電力変換回路を構成する電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされる電力変換回路に適用され、前記電力変換回路を構成するスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とし、前記駆動対象スイッチング素子をオン状態とするための電荷の供給手段と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続する充電用電気経路を開閉する充電用スイッチング素子と、前記電荷を放電するための放電用電気経路を開閉する放電用スイッチング素子とを備えて前記駆動対象スイッチング素子を駆動するソフトスイッチング用駆動回路について、該ソフトスイッチング用駆動回路を製造するソフトスイッチング用駆動回路の製造方法において、前記スイッチング状態の切り替え指令を前記駆動対象スイッチング素子側に伝達させることで前記遅延時間の誤差を検出する検出工程と、該検出される遅延時間の誤差を低減すべく、前記駆動回路の回路特性を調節して前記駆動対象スイッチング素子のスイッチング状態の切替指令に対する前記充電用スイッチング素子および前記放電用スイッチング素子の少なくとも一方の応答速度を調節する調節工程とを有することを特徴とする。
【0011】
上記遅延時間の誤差を低減すべく充電用電気経路や放電用電気経路の回路特性を調節する場合、駆動対象スイッチング素子のスイッチング状態の切替速度が変化しやすい。このため、上記遅延時間の誤差の低減とスイッチング状態の切替速度の設定との干渉が生じるおそれがある。この点、上記発明では、駆動回路のうち充電用スイッチング素子および前記放電用スイッチング素子の少なくとも一方の応答速度を調節することで上記干渉を好適に抑制することができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記調節工程において、前記駆動回路が前記切替指令の論理値を識別するための閾値を変更することを特徴とする。
【0013】
上記発明では、切替指令の論理値を識別するための閾値を調節要素とするために、上記遅延時間の誤差の低減とスイッチング状態の切替速度との干渉を確実に回避することができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記充電用スイッチング素子および前記放電用スイッチング素子のいずれかが電圧制御形のスイッチング素子であり、前記調節工程において、前記いずれかをオンするための電荷を前記いずれかの導通制御端子に充電する速度を調節することを特徴とする。
【0015】
上記発明では、充電用スイッチング素子や放電用スイッチング素子の導通制御端子の充電速度を調節要素とすることで、上記遅延時間の誤差の低減とスイッチング状態の切替速度との干渉を好適に抑制することができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記いずれかの導通制御端子に抵抗体を接続する工程を有し、前記調節工程において、前記抵抗体の抵抗値を調節することを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記いずれかの導通制御端子にキャパシタを接続する工程を有し、前記調節工程において、前記キャパシタの静電容量を調節することを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記調節工程において、前記いずれかの導通制御端子に印加する電圧を調節することを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記検出工程は、前記電力変換回路の実際の使用時において想定される温度のうちの高温側の温度において行われることを特徴とする。
【0020】
スイッチング状態の切り替え指令の伝達経路の回路特性や電力変換回路の回路特性は温度に応じて変化しうる。一方、電力変換回路は過度の高温となることでその信頼性が低下する懸念がある。上記発明では、この点に鑑み、高温において検出を行なうことで、高温時においてソフトスイッチングを確実に行なうことができるようになる。このため、高温時における電力損失を低減することができ、ひいては過度の温度上昇を回避することができる。
【0021】
請求項8記載の発明は、電力変換回路を構成する電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされる電力変換回路に適用され、前記電力変換回路を構成するスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とし、前記駆動対象スイッチング素子をオン状態とするための電荷の供給手段と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続する充電用電気経路を開閉する充電用スイッチング素子と、前記電荷を放電するための放電用電気経路を開閉する放電用スイッチング素子とを備えて前記駆動対象スイッチング素子を駆動するソフトスイッチング用駆動回路において、前記駆動回路に入力される前記駆動対象スイッチング素子のスイッチング状態の切替指令に対する前記充電用スイッチング素子および前記放電用スイッチング素子の少なくとも一方の応答速度を調節する調節手段を備えることを特徴とする。
【0022】
上記遅延時間の誤差を低減すべく充電用電気経路や放電用電気経路の回路特性を調節する場合、駆動対象スイッチング素子のスイッチング状態の切替速度が変化しやすい。このため、上記遅延時間の誤差の低減とスイッチング状態の切替速度との干渉が生じるおそれがある。この点、上記発明では、調節手段を調節することで上記干渉を好適に抑制することができる。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記調節手段は、当該駆動回路の製造時において前記切替指令の論理値を識別するための閾値を変更可能な閾値変更手段を備えることを特徴とする。
【0024】
上記発明では、切替指令の論理値を識別するための閾値を調節要素とするために、上記遅延時間の誤差の低減とスイッチング状態の切替速度との干渉を確実に回避することができる。
【0025】
請求項10記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記充電用スイッチング素子および前記放電用スイッチング素子のいずれかが電圧制御形のスイッチング素子であり、前記調節手段は、前記いずれかをオンするための電荷を前記いずれかの導通制御端子に充電する速度を調節する速度調節手段を備えることを特徴とする。
【0026】
上記発明では、充電用スイッチング素子や放電用スイッチング素子の導通制御端子の充電速度を調節要素とすることで、上記遅延時間の誤差の低減とスイッチング状態の切替速度との干渉を好適に抑制することができる。なお、上記発明において、充電用スイッチング素子および放電用スイッチング素子の双方が電圧制御形のものであってもよい。
【0027】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記速度調節手段は、前記いずれかの導通制御端子に接続された抵抗体を備えることを特徴とする。
【0028】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の発明において、当該駆動回路の製造時において前記抵抗体の抵抗値を変更可能な抵抗値変更手段をさらに備えることを特徴とする。
【0029】
上記発明では、抵抗値変更手段を備えることで、製造時において抵抗値を容易に変更することができる。
【0030】
請求項13記載の発明は、請求項10〜12のいずれか1項に記載の発明において、前記速度調節手段は、前記いずれかの導通制御端子に接続されたキャパシタを備えることを特徴とする。
【0031】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の発明において、当該駆動回路の製造時において前記キャパシタの静電容量を変更可能な静電容量変更手段をさらに備えることを特徴とする。
【0032】
上記発明では、静電容量変更手段を備えることで、製造時において静電容量を容易に変更することができる。
【0033】
請求項15記載の発明は、請求項10〜14のいずれか1項に記載の発明において、前記充電用スイッチング素子および前記放電用スイッチング素子の双方が電圧制御形のスイッチング素子であり、前記速度調節手段は、前記充電用スイッチング素子の導通制御端子に電圧を印加するための第1電源と、前記放電用スイッチング素子の導通制御端子に電圧を印加するための第2電源とを別電源とすることを特徴とする。
【0034】
請求項16記載の発明は、請求項8〜15のいずれか1項に記載の発明において、前記電力変換回路は、これを構成するスイッチング素子の入力端子および出力端子間に並列接続されるキャパシタと、インダクタとを備え、前記ソフトスイッチングは、前記キャパシタと前記インダクタとの共振現象を利用して前記キャパシタを放電させた状態で前記並列接続されるスイッチング素子をオン操作するものであることを特徴とする。
【0035】
請求項17記載の発明は、請求項8〜16のいずれか1項に記載の発明において、前記電力変換回路は、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を備え、
前記ソフトスイッチングは、前記第1スイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングと前記第2スイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングとの時間差を制御することでなされるものであり、前記駆動対象スイッチング素子は、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子の少なくとも一方であることを特徴とする。
【0036】
請求項18記載の発明は、請求項17記載の発明において、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子のそれぞれの駆動回路は、同一半導体基板に形成された集積回路を備えることを特徴とする。
【0037】
上記発明では、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とのそれぞれの駆動回路の少なくとも一部が同一半導体基板に形成されているため、これら駆動回路の特性のばらつきを低減することができ、ひいてはこれらのばらつきが上記遅延時間に与える影響を好適に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1の実施形態にかかるシステム構成図。
【図2】同実施形態にかかるソフトスイッチング処理を示すタイムチャート。
【図3】同実施形態にかかるソフトスイッチング処理を示すタイムチャート。
【図4】同実施形態にかかるインターフェースおよびドライブユニットの回路構成を示す回路図。
【図5】同実施形態にかかる信号伝達時間の検出工程および調節工程を示す図。
【図6】第2の実施形態にかかるドライブユニットの構成を示す回路図。
【図7】第3の実施形態にかかるドライブユニットの構成を示す回路図。
【図8】第4の実施形態にかかるドライブユニットの構成を示す回路図。
【図9】第5の実施形態にかかるドライブユニットの構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかるソフトスイッチング用信号伝達装置を車載主機との間の電力の授受を司る電力変換回路に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0040】
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
【0041】
図示されるモータジェネレータ10は、車載主機であり、その回転軸(回転子)は、駆動輪に機械的に連結されている。モータジェネレータ10は、インバータ12およびコンバータCVを介して高電圧バッテリ14およびコンデンサ16に接続されている。ここで、高電圧バッテリ14は、その端子電圧が百V以上となる高電圧の2次電池である。
【0042】
上記コンバータCVは、基本的には、メインスイッチSmがオン状態とされることで高電圧バッテリ14からの電力をインダクタ20,22に蓄え、メインスイッチSmがオフされることでインダクタ20,22の充填エネルギをダイオード24を介して出力端子側(コンデンサ26)に出力する周知の昇圧チョッパ回路である。ただし本実施形態では、上記メインスイッチSmを絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)としていることから、これにダイオードDmを逆並列に接続している。なお、高電圧バッテリ14への電力の回生を可能とするうえでは、ダイオード24にさらにスイッチング素子を並列接続し昇降圧チョッパ回路とすることが望ましいが、以下の内容と直接関係しないためこれについての記載を省略している。
【0043】
上記コンバータCVは、上記昇圧チョッパ回路に加えて、ソフトスイッチングを行なうための補助回路を備えている。すなわち、メインスイッチSmには、ダイオード28およびコンデンサ30の直列接続体が並列接続されている。そして、これらダイオード28とコンデンサ30との接続点(ダイオード28のカソード)には、ダイオードDsを介してIGBT(サブスイッチSs)の入力端子が接続され、サブスイッチSsの出力端子は、インダクタ20,22の接続点に接続されている。
【0044】
上記メインスイッチSmやサブスイッチSsのゲートには、ドライブユニットDUが接続されている。ドライブユニットDUは、駆動対象となるスイッチング素子のゲート電圧を操作してこれを駆動する。また、ドライブユニットDUは、メインスイッチSmやサブスイッチSsの備えるセンス端子Stから出力される微少電流に基づき、メインスイッチSmやサブスイッチSsを流れる電流が閾値電流以上であるか否かを判断し、閾値電流以上であると判断される場合にこれを強制的に停止する機能を有する。
【0045】
上記モータジェネレータ10やインバータ12、コンバータCV、高電圧バッテリ14等は、車載低電圧システムから絶縁された車載高電圧システムを構成している。一方、車載低電圧システムには、高電圧バッテリ14と比較して低い端子電圧(例えば数V〜十数V)を有する低電圧バッテリ50を電源とする制御装置52が備えられている。制御装置52は、モータジェネレータ10の制御量を制御すべくインバータ12やコンバータCVを操作する。詳しくは、モータジェネレータ10の制御量を制御する上で適切な電圧となるようにコンバータCVの出力電圧を制御する。この出力電圧の制御のために、制御装置52は、メインスイッチSmの操作信号gmとサブスイッチSsの操作信号gsとを生成してインターフェース40を介してドライブユニットDUに出力する。ドライブユニットDUでは、操作信号gm、gsに応じてメインスイッチSmやサブスイッチSsを操作する。
【0046】
なお、上記インターフェース40は、基本的には、低電圧システムと高電圧システムとを絶縁するものであるが、その1次側には、ドライブユニットDUにおいて閾値電流以上である旨判断された場合にコンバータCVやインバータ12をシャットダウンするフェール処理部42等をさらに備えている。ここで、フェール処理部42は、例えば特開2009−60358号公報に記載されたもの等によって構成すればよい。
【0047】
次に、図2及び図3に基づき、本実施形態にかかるソフトスイッチング制御について説明する。ここで、図2および図3に記載したタイムチャートは、いずれも同じものであり、タイムチャート上方のモード1〜4についての電流の流れが等が図2に、またモード5〜8についての電流の流れ等が図3にそれぞれ記載されている。上記タイムチャートにおいて、(a)は、メインスイッチSmの状態を示し、(b)は、サブスイッチSsの状態を示し、(c)は、インダクタ22の電流iLと、サブスイッチSsを流れる電流との推移を示し、(d)は、メインスイッチSmの入出力端子間電圧(コレクタエミッタ間電圧Vce)と、これを流れる電流との推移を示す。以下、モード1〜モード8について、順次説明する。
「モード1」
メインスイッチSmおよびサブスイッチSsの双方がオフ状態となる状態である。高電圧バッテリ14からの電流がインダクタ20,22、ダイオード24を介してコンデンサ26に流入する。ここで、インダクタ20,22を流れる電流は、高電圧バッテリ14の端子電圧である入力電圧VinとコンバータCVの出力電圧Voutとの差に比例した速度で漸減する。なお、コンデンサ30の充電電圧は、出力電圧Vout相当となっているため、ダイオードDsはオフ状態となっている。
「モード2」
メインスイッチSmをオフ状態としたままサブスイッチSsをオン状態とする状態である。これにより、インダクタ20およびインダクタ22の接続点がコンデンサ30の正極と短絡されるため、接続点の電圧は、出力電圧Vout相当となる。このため、インダクタ22の両端には電圧が印加されなくなり、インダクタ22には、モード2への切り替え時の電流が継続して流れようとする。一方、インダクタ20の両端に印加される電圧の絶対値は、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差に増大し、これにより、インダクタ20を流れる電流の漸減速度が増大する。インダクタ20を流れる電流の減少量がサブスイッチSsを流れる電流の増加量となる。これにより、サブスイッチSs、インダクタ22、およびダイオードDsを備えるループ回路に電流が流れ、この電流は漸増する。この電流は、サブスイッチSsがオン状態となった後、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差をインダクタ20のインダクタンスによって除算した値に比例して増大するため、サブスイッチSsをオン状態に切り替える際にこれに流れる電流は基本的にゼロとなる。このため、サブスイッチSsのオン状態への切り替えは、ゼロ電流スイッチング(ZCS)となる。
「モード3」
インダクタ20を流れる電流が漸減してゼロとなった時点である。このときには、ダイオード24から出力される電流もゼロとなり、インダクタ22、ダイオードDsおよびサブスイッチSsを備えるループ回路に電流が流れる。
「モード4」
コンデンサ30の充電電圧が高電圧バッテリ14の端子電圧(Vin)よりも高いために、コンデンサ30がインダクタ20を介して高電圧バッテリ14に放電する状態である。
「モード5」
コンデンサ30の充電電荷がゼロとなり、インダクタ20を流れる電流がゼロとなった状態である。なお、コンデンサ30の充電電荷がゼロとなるためには、出力電圧Voutが入力電圧Vinの定数倍だけ大きくなる必要があるが、定数倍未満の場合についての説明はここでは省略する。
「モード6」
メインスイッチSmをオン状態に切り替えた状態である。ここで、コンデンサ30の充電電圧がゼロであるときには、メインスイッチSmの入出力端子間の電圧がゼロであるため、このときにメインスイッチSmをオン状態に切り替えると、オン状態への切り替えをゼロ電圧スイッチング(ZVS)とすることができる。メインスイッチSmのオン状態への切り替えにより、高電圧バッテリ14、インダクタ20,22およびメインスイッチSmを備えるループ回路に電流が流れ、インダクタ20,22にエネルギが蓄積される。この際、インダクタ20を流れる電流が漸増し、インダクタ20を流れる電流の増加量だけサブスイッチSsを流れる電流が減少する。
「モード7」
サブスイッチSsを流れる電流がゼロとなった状態である。この状態となることに同期してサブスイッチSsをオフ状態に切り替える。この場合、サブスイッチSsに電流が流れていないことから、オフ状態への切り替えは、ゼロ電流スイッチング(ZCS)となる。
「モード8」
メインスイッチSmをオフ状態に切り替えた状態である。ここで、メインスイッチSmのオフ状態への切り替えによってメインスイッチSmの入出力端子間の電圧は上昇するが、この上昇速度はコンデンサ30の充電速度によって制限される。このため、メインスイッチSmのオフ状態への切り替えは、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)となる。メインスイッチSmがオフ状態に切り替えられコンデンサ30の充電電圧が出力電圧Vout程度となることで、高電圧バッテリ14からインダクタ20、22、ダイオード24を介して電流が出力される。
【0048】
このように、本実施形態では、メインスイッチSmおよびサブスイッチSsのスイッチング状態の切り替えを全てソフトスイッチングとすることができる。ところで、例えばコンデンサ30が完全に放電される前にメインスイッチSmをオン状態に切り替える場合には、オン状態への切り替えが良好なZVSとならないことから、スイッチング損失が増加する。また、コンデンサ30が完全に放電されたタイミング(モード5となるタイミング)よりも遅れたタイミングでメインスイッチSmをオン状態に切り替える場合には、ダイオード28を介したコンデンサ30の充電が開始された後にオン状態への切り替えを行なうこととなる。このため、この場合にも、オン状態への切り替えが良好なZVSとならず、スイッチング損失が増加する。
【0049】
ここで、本実施形態では、メインスイッチSmをオン状態に切り替えるために、コンデンサ30の充電電圧がゼロとなることを直接検出することはしない。代わりに、サブスイッチSsのオン状態への切り替えタイミングを基準タイミングとし、このタイミングからメインスイッチSmのオン状態への切り替えタイミングまでの遅延時間を、コンデンサ30の充電電圧がゼロとなると想定される時間に制御する。このため、ソフトスイッチングを行なうためには、上記遅延時間を正確に制御することが望まれる。ただし、制御装置52からの操作信号gm、gsの出力タイミングと、これらに応じてメインスイッチSmやサブスイッチSsのスイッチング状態が切り替わるタイミングとの間の時間差は、インターフェース40やドライブユニットDUの個体差等によってばらつくおそれがある。そして、このばらつきは、上記遅延時間の誤差を生じさせる要因となる。
【0050】
そこで本実施形態では、制御システムの製造時において上記遅延時間の誤差を検出し、これを低減する処理を行なう。以下、これについて説明する。
【0051】
図4に、メインスイッチSmに関するインターフェース40およびドライブユニットDUの回路構成を示す。インターフェース40は、低電圧システム側から高電圧システム側へと信号を伝達するための絶縁手段としてフォトカプラ60を備えている。フォトカプラ60のフォトダイオードのアノードには、電源62の電圧が印加されており、フォトダイオードのカソードは、抵抗体64およびNチャネルMOSトランジスタ(スイッチング素子66)を介して接地されている。スイッチング素子66の導通制御端子(ゲート)には、操作信号gmが印加される。なお、フォトダイオードには抵抗体68が並列接続され、フォトダイオード、抵抗体64およびスイッチング素子66には、コンデンサ70が並列接続されている。
【0052】
フォトカプラ60のフォトトランジスタの入力端子(コレクタ)には、抵抗体76を介して電源72の電圧が印加されており、フォトトランジスタの出力端子(エミッタ)は、メインスイッチSmの出力端子(エミッタ)に接続されている。また、フォトトランジスタと抵抗体76とには、コンデンサ74が並列接続されている。上記フォトトランジスタには、さらに、コンデンサ80が並列接続されている。
【0053】
コンデンサ80の充電電圧は、メインスイッチSmのスイッチング状態の指令信号として、ドライブユニットDU内の集積回路(ドライブIC110)に入力される。ドライブIC110は、メインスイッチSmをオン状態とするための電荷を供給する供給手段(電源90)を備える。電源90は、PチャネルMOSトランジスタ(充電用スイッチング素子92)を介して、ドライブIC110に対して外付けされた充電用抵抗体94に接続されており、充電用抵抗体94は、メインスイッチSmのゲートに接続されている。メインスイッチSmのゲートは、放電用抵抗体96を介してドライブIC110が備えるNチャネルMOSトランジスタ(放電用スイッチング素子98)に接続されており、放電用スイッチング素子98の出力端子は、メインスイッチSmの出力端子に接続されている。
【0054】
ドライブIC110は、さらに、CMOS回路等を備えて構成されるバッファ回路100を備え、コンデンサ80の充電電圧に応じて充電用スイッチング素子92や放電用スイッチング素子98を操作する。これは、例えば、コンデンサ80の電圧が閾値以上である場合と閾値未満である場合とで、充電用スイッチング素子92のゲートを充電して且つ放電用スイッチング素子98のゲートを放電するか、充電用スイッチング素子92のゲートを放電して且つ放電用スイッチング素子98のゲートを充電するかする操作となる。
【0055】
ここで、本実施形態では、コンデンサ80の充電電圧の変化に対する充電用スイッチング素子92や放電用スイッチング素子98の応答速度に関する回路特性を調節することで、上記遅延時間の誤差を低減する。特にこの部分の回路特性を選択したのは次の理由による。すなわち、ドライブIC110とメインスイッチSmのゲートとの間の回路特性については、メインスイッチSmのスイッチング状態の切替速度を変化させる要因となるため、上記遅延時間の誤差を低減する処理と、スイッチング状態の切替速度の調節とが干渉するおそれがある。また、低電圧システム側については、上記のようにフェール処理部42が備えられており、回路特性の調節によってフェール処理部42の動作特性に影響を及ぼすことが懸念される。
【0056】
具体的には、充電用抵抗体94のゲートに抵抗体102を接続するとともに放電用スイッチング素子98のゲートに抵抗体104を接続し、これら抵抗体102、104の抵抗値を調節要素とした。ここで、これら抵抗体102,104は通常は設けられないものである。これは、抵抗体102,104を設けることはバッファ回路100の出力信号の伝播遅延につながるためである。本実施形態では、敢えて抵抗体102,104を備えることで、これらの抵抗値を調節要素として利用する。
【0057】
図5に、本実施形態にかかる抵抗体102,104の抵抗値の調節処理を示す。ここでは、まず図5(a)に示すように、メインスイッチSmのオン状態への切り替え指令の遅延時間を計測する。これは、半導体基板120上に、先の図4に示した回路を形成した状態で行なう。詳しくは、本実施形態では、制御装置52を接続する以前に計測を行なうため、スイッチング素子66に、オン状態への切り替え指令を示すテスト信号tsを印加する。そしてこの際のメインスイッチSmの入出力端子間の電圧dsを電圧センサ124によって検出することで、メインスイッチSmが実際にオン状態に切り替わるタイミングを計測する。なお、コンバータCVが実際に動作している場合には、メインスイッチSmにコンデンサ30が並列接続されるためオン状態に切り替わるタイミングを入出力端子間の電圧によって検出することは困難である。このため、本実施形態では、検出工程用にメインスイッチSmに電源と抵抗体とを直列接続することで、電圧の検出によって上記切り替わるタイミングを検出する。ちなみに、上記遅延時間の計測には、サブスイッチSsのオン状態への切り替えタイミングが要求されるため、メインスイッチSmの上記計測と同時に、上記と同様の手法でサブスイッチSsがオン状態に切り替わるまでの信号の伝達時間を計測する。これにより、サブスイッチSsがオン状態に切り替わるタイミングからメインスイッチSmがオン状態に切り替わるタイミングまでの遅延時間は、サブスイッチSsのオン状態への切り替え指令に対するメインスイッチSmの切り替え指令の遅延時間を、上記計測された一対の伝達時間の差によって補正することで計測される。もっとも、これに代えて、サブスイッチSsとメインスイッチSmとのそれぞれが実際にオン状態に切り替わるタイミングの差(遅延時間)を直接計測してもよい。
【0058】
なお、この検出工程は、ヒータ122による加熱処理によって、半導体基板120やメインスイッチSmの温度を、コンバータCVが車両に搭載されて実際に稼動する際の温度として想定される温度の上限温度(図では、「80〜90°C」と例示)に設定して行われる。これは、ソフトスイッチングによってメインスイッチSmの発熱量を低減する要求が最も大きいときにおける上記遅延時間の誤差を最も低減するための設定である。
【0059】
こうして検出工程が終了すると、図5(b)に示すように、抵抗体102,104の抵抗値を調節する。ここで、抵抗体102,104は、レーザトリミングが可能な薄膜導体として半導体基板120上に形成されている。このため、レーザによって抵抗体102,104の電流の流路面積を低減することで、抵抗値を増大補正することができる。
【0060】
なお、上記遅延時間の誤差を低減するためには、抵抗体102,104の抵抗値のいずれか一方のみを調節要素とすれば足りるが、本実施形態では、調節後においてオン状態の継続時間が変化することがないよう双方を調節要素としている。
【0061】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0062】
(1)サブスイッチSsがオン状態となってからメインスイッチSmがオン状態となるまでの遅延時間の誤差を検出し、これに基づき、メインスイッチSmのドライブユニットDU内の充電用スイッチング素子92や放電用スイッチング素子98のゲートに接続された抵抗体102,104の抵抗値を調節した。これにより、メインスイッチSmのスイッチング状態の切替速度の設定との干渉を回避しつつ、上記遅延時間の誤差を低減することができる。
【0063】
(2)抵抗体102,104を、レーザトリミングが可能な薄膜導体にて構成した。これにより、製造時において抵抗値を容易に変更することができる。
【0064】
(3)コンデンサ30とインダクタ20との共振現象を利用してコンデンサ30の充電電圧が極小値となるタイミングでメインスイッチSmをオン状態に切り替えた。この場合、上記遅延時間の誤差を低減することが必要となるため、抵抗体102,104の抵抗値を調節するメリットが特に大きい。
【0065】
(4)検出工程を、コンバータCVの実際の使用時において想定される温度のうちの高温側の温度において行なった。これにより、高温時における電力損失を低減することができ、ひいてはコンバータCVの過度の温度上昇を回避することができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0066】
図6に、本実施形態にかかるドライブユニットDUの回路構成を示す。なお、図6において、先の図4に示した部材と対応する部材については便宜上同一の符号を付している。
【0067】
図示されるように、本実施形態では、充電用スイッチング素子92の入力端子およびゲート端子間に、コンデンサ130を接続する。詳しくは、このコンデンサ130は、複数のコンデンサからなり、これらのうち充電用スイッチング素子92のゲートに接続されるものの種類および数が制御端子Tcの印加電圧に応じて選択回路132によって選択される。制御端子Tcの印加電圧は、電源90の電圧を抵抗体138および抵抗体140によって分圧したものである。ここで、抵抗体140はドライブIC110に対して外付けされており、レーザトリミングが可能な薄膜導体にて構成されている。
【0068】
一方、放電用スイッチング素子98のゲートおよび出力端子間に、コンデンサ134を接続する。詳しくは、このコンデンサ134は、複数のコンデンサからなり、これらのうち充電用スイッチング素子92の出力端子に接続されるものの種類および数が制御端子Tcの印加電圧に応じて選択回路136によって選択される。選択回路136の制御端子Tcの印加電圧は、電源90の電圧を抵抗体142および抵抗体146によって分圧したものである。ここで、抵抗体146はドライブIC110に対して外付けされており、レーザトリミングが可能な薄膜導体にて構成されている。
【0069】
これにより、調節工程において、抵抗体140,146の抵抗値をレーザトリミングによって変更することで、上記遅延時間の誤差を低減することができる。
【0070】
以上説明した本実施形態では、上記第1の実施形態の上記(3)、(4)に加えて、さらに以下の効果が得られるようになる。
【0071】
(5)サブスイッチSsがオン状態となってからメインスイッチSmがオン状態となるまでの遅延時間を計測し、これに基づき、メインスイッチSmのドライブユニットDU内の充電用スイッチング素子92や放電用スイッチング素子98のゲートに接続されたコンデンサ130,134の静電容量を調節した。これにより、メインスイッチSmのスイッチング状態の切替速度の設定との干渉を回避しつつ、上記遅延時間の誤差を低減することができる。なお、コンデンサ130,134を備えることで、ドライブIC110の電力損失は増大するため、従来のハードスイッチングを行なうものにおいては、ドライブIC110がコンデンサ130,134を備えない。しかし、本実施形態のようにソフトスイッチング制御を行なう場合、コンデンサ130,134を設けることによるドライブIC110内での電力損失の増大は、ソフトスイッチング制御の制御性が低下することに起因した電力損失の増大よりも十分に小さいため、コンデンサ130,134を設けることは有意義である。
【0072】
(6)コンデンサ130,134の静電容量を、ドライブIC110に対して外付けされた抵抗体140,146の抵抗値によって調節可能とした。これにより、製造時において静電容量を容易に変更することができる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0073】
図7に、本実施形態にかかるドライブユニットDUの回路構成を示す。なお、図7において、先の図4に示した部材と対応する部材については便宜上同一の符号を付している。
【0074】
本実施形態では、充電用スイッチング素子92や放電用スイッチング素子98のゲートに印加する電圧を調節要素とする。すなわち、充電用スイッチング素子92のゲート印加電圧用の電源は、ドライブIC110内の電源であるレギュレータ150の出力電圧を、抵抗体152および抵抗体154によって分圧したものとする。ここで、抵抗体154はドライブIC110に対して外付けされており、レーザトリミングが可能な薄膜導体にて構成されている。一方、放電用スイッチング素子98のゲート印加電圧用の電源は、レギュレータ150の出力電圧を、抵抗体156および抵抗体158によって分圧したものとする。ここで、抵抗体158はドライブIC110に対して外付けされており、レーザトリミングが可能な薄膜導体にて構成されている。
【0075】
これにより、調節工程において、抵抗体154,158の抵抗値をレーザトリミングによって変更することで、上記遅延時間の誤差を低減することができる。
【0076】
以上説明した本実施形態では、上記第1の実施形態の上記(3)、(4)に加えて、さらに以下の効果が得られるようになる。
【0077】
(7)サブスイッチSsがオン状態となってからメインスイッチSmがオン状態となるまでの遅延時間を計測し、これに基づき、メインスイッチSmのドライブユニットDU内の充電用スイッチング素子92や放電用スイッチング素子98のゲートの印加電圧を調節した。これにより、メインスイッチSmのスイッチング状態の切替速度の設定との干渉を回避しつつ、上記遅延時間の誤差を低減することができる。
【0078】
(8)充電用スイッチング素子92や放電用スイッチング素子98のゲートの印加電圧を、ドライブIC110に対して外付けされた抵抗体154,158の抵抗値によって調節可能とした。これにより、製造時において静電容量を容易に変更することができる。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0079】
図8に、本実施形態にかかるドライブユニットDUの回路構成を示す。なお、図8において、先の図4に示した部材と対応する部材については便宜上同一の符号を付している。
【0080】
本実施形態では、コンデンサ80の充電電圧に基づきメインスイッチSmのオン操作指令とオフ操作指令とを識別する閾値を調節要素とする。すなわち、ドライブIC110は、コンデンサ80の充電電圧が印加されるコンパレータ160を備え、コンパレータ160では、コンデンサ80の充電電圧と閾値電圧との大小比較に基づき、充電用スイッチング素子92をオン状態として且つ放電用スイッチング素子98をオフ状態とするか、充電用スイッチング素子92をオフ状態として且つ放電用スイッチング素子98をオン状態とするかを切り替える。これは、コンパレータ160の出力信号とその論理反転信号とを、充電用スイッチング素子92のゲートと放電用スイッチング素子98のゲートとに割り振ることで実現することができる。
【0081】
ここで本実施形態では、閾値電圧を、電源162の電圧を、抵抗体164と抵抗体166によって分圧したものとする。ここで、抵抗体166はドライブIC110に対して外付けされており、レーザトリミングが可能な薄膜導体にて構成されている。
【0082】
これにより、調節工程において、抵抗体166の抵抗値をレーザトリミングによって変更することで、オン状態への切り替え指令の伝達時間のばらつきを低減することができる。
【0083】
以上説明した本実施形態では、上記第1の実施形態の上記(3)、(4)に加えて、さらに以下の効果が得られるようになる。
【0084】
(9)サブスイッチSsがオン状態となってからメインスイッチSmがオン状態となるまでの遅延時間を計測し、これに基づき、コンデンサ80の充電電圧がメインスイッチSmのオン操作指令に対応するかオフ操作指令に対応するかを識別する閾値電圧を調節した。これにより、メインスイッチSmのスイッチング状態の切替速度の設定との干渉を回避しつつ、上記遅延時間の誤差を低減することができる。
【0085】
(10)上記閾値電圧を、ドライブIC110に対して外付けされた抵抗体166の抵抗値によって調節可能とした。これにより、製造時において閾値電圧を容易に変更することができる。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0086】
図9に、本実施形態にかかるドライブユニットDUの回路構成を示す。なお、図9において、先の図4に示した部材と対応する部材については便宜上同一の符号を付している。
【0087】
図示されるように、本実施形態では、メインスイッチSmのドライブICとサブスイッチSsのドライブICとを高耐圧の集積回路(HVIC)であるドライブIC170によって一体的に形成する。これにより、メインスイッチSmとサブスイッチSsとで駆動回路の特性のばらつきを低減することができ、ひいてはこれらのばらつきが上記遅延時間に与える影響を好適に低減することができる。
【0088】
ちなみに、メインスイッチSmとサブスイッチSsとは、出力端子の電位を共通にしないものであるため、ドライブIC170には、例えば特開2000−252809号公報に記載のレベルシフト回路を備えるようにすることが望ましい。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
「検出工程について」
メインスイッチSmやサブスイッチSsのスイッチング状態が切り替わることを検出する手法としては、上記メインスイッチSmやサブスイッチSsの入力端子および出力端子間の電圧の変化に基づき検出するものに限らない。例えば、メインスイッチSmやサブスイッチSsのゲート電圧の変化に基づき検出するものであってもよい。
【0089】
また、スイッチング状態の切り替え指令が絶縁手段の1次側からメインスイッチSmやサブスイッチSsまで伝達する時間の計測手法としては、半導体基板120に形成された最上流の部材にテスト信号tsを出力することで行なうものに限らない。例えば、半導体基板120に制御装置52を接続し、制御装置52が切り替え指令を出力することで行なってもよい。
【0090】
ちなみに、こうした場合において、コンバータCVを構成したものについて、メインスイッチSmやサブスイッチSsへの信号の伝達の有無を検出してもよい。
【0091】
さらに、メインスイッチSmやサブスイッチSsまで伝達したことを検出するものにも限らず、例えばドライブユニットDUについてはその信号の伝達時間のばらつきが非常に小さくなると考えることができる状況下等にあっては、コンデンサ80の電圧が変化するまでの時間を伝達時間として計測し、これに応じて回路特性を調節してもよい。
【0092】
また、検出工程としては、切り替え指令の伝達時間の計測に基づき遅延時間の誤差を検出するものに限らない。例えばコンバータCVを構成した状態でメインスイッチSmのオン状態への切り替え時の電力損失を遅延時間の誤差と相関を有するパラメータとしてこれを検出してもよい。
【0093】
なお、検出工程としては、コンバータCVの実際の使用時において想定される温度のうちの高温側の温度において行われるものに限らない。
「抵抗値変更手段について」
抵抗値変更手段としては、抵抗体102,104等をレーザトリミングが可能な薄膜導体とすることで構成されるものに限らない。例えば、複数の抵抗体を並列接続可能に設けた手段であってもよい。すなわちこの場合、調節工程においてそのうちのいくつを用いるかを選択し、それらを充電用スイッチング素子92や放電用スイッチング素子98に接続すればよい。また例えば、抵抗体102,104等を抵抗値を操作するつまみのついた可変抵抗器としてもよい。
「静電容量変更手段について」
複数のキャパシタをいくつ並列接続するかを選択する選択手段に対する指令を、抵抗体の抵抗値によって決定するものとしては、レーザトリミング可能な薄膜の導体を備えて構成するものに限らず、任意の抵抗値変更手段を備えて構成するものであってもよい。
【0094】
また、複数のキャパシタをいくつ並列接続するかを選択する選択手段に代えて、複数のキャパシタをいくつ直列接続するかを選択する選択手段を用いてもよい。
【0095】
さらに、複数のキャパシタをいくつ利用するかを選択する選択手段に対する指令を、抵抗体の抵抗値によって決定するものにも限らない。例えば、複数のキャパシタのそれぞれと充電用スイッチング素子92や放電用スイッチング素子98のゲートとを接続する配線をレーザによって切断可能な手段であってもよい。
「充電用スイッチング素子92や放電用スイッチング素子98のゲート電圧調整手法について」
レギュレータ150の電圧を分圧する抵抗体を、レーザトリミング可能な薄膜の導体にて構成するものに限らず、任意の抵抗値変更手段を備えて構成するものであってもよい。
【0096】
また、充電用スイッチング素子92と放電用スイッチング素子98とで、レギュレータ150の出力電圧をそれぞれ別の抵抗体にて分圧する手段に限らない。例えば、充電用スイッチング素子92と放電用スイッチング素子98とで、各別のレギュレータを備え、その出力電圧をドライブIC110の外部から操作できるようにしてもよい。
【0097】
また、ドライブIC110の電源入力端子として、充電用スイッチング素子92用と放電用スイッチング素子98用とを各別に備え、これらの端子に印加する電圧を変更可能な手段であってもよい。この際、印加電圧は、抵抗体の抵抗値によって変更するものに限らず、例えば、ドライブIC110の外部の電源と電源入力端子とを接続する経路を複数並列して備え、これらにそれぞれ数の相違するダイオードを直列接続しておくものであってもよい。この場合、電源電圧を適切に降圧する数のダイオードを備える経路以外の経路と電源入力端子との接続経路をレーザ等によって切断すればよい。
「速度調節手段について」
速度調節手段は、抵抗体102、104やコンデンサ130,134に限らない。例えば、充電用スイッチング素子92のゲートや放電用スイッチング素子98のゲートにインダクタを接続することで構成してもよい。
「閾値変更手段について」
閾値変更手段としては、コンパレータ160に入力される閾値電圧を生成する電源をドライブIC110の内部電源とするものに限らない。また、コンパレータ160をヒステリシスコンパレータに代えてもよい。さらに、コンパレータを備えて構成されるものにも限らず、例えばコンデンサ80の入力電圧に応じて出力電圧を変更するバッファの特性を可変とする手段であってもよい。
「調節工程について」
調節工程における抵抗値等の調節は、上記各変更手段を用いて行なうものに限らず、例えば、抵抗体を抵抗値等の相違するものに取り替えるなどすることで行ってもよい。
「遅延時間の誤差を低減するための調節対象駆動回路について」
上記各実施形態では、メインスイッチSmのオン状態への切り替えタイミングの遅延時間の誤差を低減するために、メインスイッチSmの駆動回路を調節対象としたが、これに限らない。例えばサブスイッチSsの駆動回路を調節対象としてもよい。
「ソフトスイッチングを行なう電力変換回路について」
ソフトスイッチングを行なう電力変換回路としては、先の図1等に例示したものに限らない。例えば、特開2009−213215号公報に記載のものであってもよい。この公報では、電流がゼロとなった時点でスイッチング状態をオフ状態からオン状態へと切り替える旨記載されているが、高速でスイッチングをする場合には、電流がゼロとなった時点を遅延なく検出することは困難である。このため、電流が漸減してゼロとなり逆方向に流れる電流の極値を検出し、この検出タイミングからの遅延時間に基づきスイッチング状態をオン状態に切り替えるようソフトスイッチング手法を変更することも考えられる。そして、この場合、検出タイミング(基準タイミング)からの遅延時間を高精度に制御する上で本発明の適用は有効である。
「絶縁手段について」
2次側に出力用スイッチング素子を備えて出力用スイッチング素子のオン状態およびオフ状態に応じてメインスイッチSmやサブスイッチSsのスイッチング状態の切り替え指令を出力する絶縁手段としては、フォトカプラ60に限らない。例えばフォトMOSリレー等であってもよい。また、絶縁手段としては、光絶縁素子に限らず、例えばトランス等の磁気絶縁素子であってもよい。この場合、トランスの出力電圧を、スイッチング状態の切り替え指令信号として、ドライブIC110に直接印加することも可能である。ただし、上記第4の実施形態において、トランス等を用いる場合、ドライブIC110の外部か内部にトランスの出力電圧が印加されるコンデンサを備えることが望ましい。もっとも、これに代えて、トランスの1次側にコンデンサを備え、操作信号gmに応じてコンデンサが充放電されるようにしてもよい。このように、コンデンサの1次側および2次側の少なくとも一方に操作信号gmに応じて充放電されるコンデンサを備えるなら、オン操作指令とオフ操作指令とを識別する閾値電圧を適切に調節要素として採用することができる。
「そのほか」
・上記実施形態では、サブスイッチSsのオン状態への切り替えタイミングを基準タイミングとし、メインスイッチSmのオン状態への切り替えタイミングの遅延時間を制御したがこれに限らない。例えばコンデンサ30の電圧を検出する手段を備え、コンデンサ30の電圧が規定電圧(>0)まで低下したタイミングを基準タイミングとして、メインスイッチSmのオン状態への切り替えタイミングの遅延時間を制御してもよい。
【0098】
・駆動対象スイッチング素子としては、IGBTに限らず、例えばパワーMOS型電界効果トランジスタ等の電界効果トランジスタであってもよい。
【0099】
・電力変換回路としては、車載主機に電力を供給するためのものに限らない。例えば車載パワーステアリングに搭載される電動機に電力を供給するためのものであってもよい。
【符号の説明】
【0100】
10…モータジェネレータ、12…インバータ、14…高電圧バッテリ、20、22…インダクタ、30…コンデンサ、40…インターフェース、52…制御装置、60…フォトカプラ、92…充電用スイッチング素子、98…放電用スイッチング素子、110…ドライブIC、Sm…メインスイッチ、Ss…サブスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換回路を構成する電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされる電力変換回路に適用され、前記電力変換回路を構成するスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とし、前記駆動対象スイッチング素子をオン状態とするための電荷の供給手段と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続する充電用電気経路を開閉する充電用スイッチング素子と、前記電荷を放電するための放電用電気経路を開閉する放電用スイッチング素子とを備えて前記駆動対象スイッチング素子を駆動するソフトスイッチング用駆動回路について、該ソフトスイッチング用駆動回路を製造するソフトスイッチング用駆動回路の製造方法において、
前記スイッチング状態の切り替え指令を前記駆動対象スイッチング素子側に伝達させることで前記遅延時間の誤差を検出する検出工程と、
該検出される遅延時間の誤差を低減すべく、前記駆動回路の回路特性を調節して前記駆動対象スイッチング素子のスイッチング状態の切替指令に対する前記充電用スイッチング素子および前記放電用スイッチング素子の少なくとも一方の応答速度を調節する調節工程とを有することを特徴とするソフトスイッチング用駆動回路の製造方法。
【請求項2】
前記調節工程において、前記駆動回路が前記切替指令の論理値を識別するための閾値を変更することを特徴とする請求項1記載のソフトスイッチング用駆動回路の製造方法。
【請求項3】
前記充電用スイッチング素子および前記放電用スイッチング素子のいずれかが電圧制御形のスイッチング素子であり、
前記調節工程において、前記いずれかをオンするための電荷を前記いずれかの導通制御端子に充電する速度を調節することを特徴とする請求項1記載のソフトスイッチング用駆動回路の製造方法。
【請求項4】
前記いずれかの導通制御端子に抵抗体を接続する工程を有し、
前記調節工程において、前記抵抗体の抵抗値を調節することを特徴とする請求項3記載のソフトスイッチング用駆動回路の製造方法。
【請求項5】
前記いずれかの導通制御端子にキャパシタを接続する工程を有し、
前記調節工程において、前記キャパシタの静電容量を調節することを特徴とする請求項3記載のソフトスイッチング用駆動回路の製造方法。
【請求項6】
前記調節工程において、前記いずれかの導通制御端子に印加する電圧を調節することを特徴とする請求項3記載のソフトスイッチング用駆動回路の製造方法。
【請求項7】
前記検出工程は、前記電力変換回路の実際の使用時において想定される温度のうちの高温側の温度において行われることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路の製造方法。
【請求項8】
電力変換回路を構成する電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされる電力変換回路に適用され、前記電力変換回路を構成するスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とし、前記駆動対象スイッチング素子をオン状態とするための電荷の供給手段と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続する充電用電気経路を開閉する充電用スイッチング素子と、前記電荷を放電するための放電用電気経路を開閉する放電用スイッチング素子とを備えて前記駆動対象スイッチング素子を駆動するソフトスイッチング用駆動回路において、
前記駆動回路に入力される前記駆動対象スイッチング素子のスイッチング状態の切替指令に対する前記充電用スイッチング素子および前記放電用スイッチング素子の少なくとも一方の応答速度を調節する調節手段を備えることを特徴とするソフトスイッチング用駆動回路。
【請求項9】
前記調節手段は、当該駆動回路の製造時において前記切替指令の論理値を識別するための閾値を変更可能な閾値変更手段を備えることを特徴とする請求項8記載のソフトスイッチング用駆動回路。
【請求項10】
前記充電用スイッチング素子および前記放電用スイッチング素子のいずれかが電圧制御形のスイッチング素子であり、
前記調節手段は、前記いずれかをオンするための電荷を前記いずれかの導通制御端子に充電する速度を調節する速度調節手段を備えることを特徴とする請求項8記載のソフトスイッチング用駆動回路。
【請求項11】
前記速度調節手段は、前記いずれかの導通制御端子に接続された抵抗体を備えることを特徴とする請求項10記載のソフトスイッチング用駆動回路。
【請求項12】
当該駆動回路の製造時において前記抵抗体の抵抗値を変更可能な抵抗値変更手段をさらに備えることを特徴とする請求項11記載のソフトスイッチング用駆動回路。
【請求項13】
前記速度調節手段は、前記いずれかの導通制御端子に接続されたキャパシタを備えることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路。
【請求項14】
当該駆動回路の製造時において前記キャパシタの静電容量を変更可能な静電容量変更手段をさらに備えることを特徴とする請求項13記載のソフトスイッチング用駆動回路。
【請求項15】
前記充電用スイッチング素子および前記放電用スイッチング素子の双方が電圧制御形のスイッチング素子であり、
前記速度調節手段は、前記充電用スイッチング素子の導通制御端子に電圧を印加するための第1電源と、前記放電用スイッチング素子の導通制御端子に電圧を印加するための第2電源とを別電源とすることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路。
【請求項16】
前記電力変換回路は、これを構成するスイッチング素子の入力端子および出力端子間に並列接続されるキャパシタと、インダクタとを備え、
前記ソフトスイッチングは、前記キャパシタと前記インダクタとの共振現象を利用して前記キャパシタを放電させた状態で前記並列接続されるスイッチング素子をオン操作するものであることを特徴とする請求項8〜15のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路。
【請求項17】
前記電力変換回路は、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を備え、
前記ソフトスイッチングは、前記第1スイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングと前記第2スイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングとの時間差を制御することでなされるものであり、
前記駆動対象スイッチング素子は、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子の少なくとも一方であることを特徴とする請求項8〜16のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路。
【請求項18】
前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子のそれぞれの駆動回路は、同一半導体基板に形成された集積回路を備えることを特徴とする請求項17記載のソフトスイッチング用駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−16144(P2012−16144A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149148(P2010−149148)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】