説明

ソーラーパネルの表面上に画像を表示するための光学システム

本発明は画像が太陽光の妨害にならず、ソーラーパネル面に画像を表示する光学システムに関する。本発明は、ソーラーパネル(SP)と、リニアレンズから形成されるレンチキュラ面(LS)と、透明なフィルム(F)とから構成される。透明フィルム上には、画像(I)が印刷されているが、前記画像から直線帯(前記レンズの縦軸(X)に平行な)が除去されている。所定の視野角では、観察者(OB)は画像帯(BN)しか見えないが、他の入射角では、太陽光は透明帯(BT)を通過し、ソーラーセンサの活性化面に到達する。本発明は特にソーラーパネルの美的な建築的構成及び、表面の視覚的情報を普及するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はソーラーパネルの表面に画像を表示するための光学システムに関する。
【0002】
ここでは、「ソーラーパネル」は、平面又は曲面のどのようなタイプの表面であってもよい。その機能は太陽エネルギーを熱又は電気に変換することである。
【背景技術】
【0003】
高効率のアイソレーションを得るために、ソーラーパネルは、設けられる地理上の位置において、太陽の位置を考慮して方向付けされねばならない。一般的に、ソーラーパネルは南に向かって、その位置の緯度に等しい角度だけ傾斜される。しかし、ソーラーパネルの製造コストが低減してきている。特に薄膜フィルムシリコンを使ったタイプの光電池の製造コストが削減されているが、ソーラーパネルの方向付けは必要でなくなっている。何故なら、それによる効率の低下は、費用的に大きな差はなく、表面積を増大させることで補償されるからである。これにより、例えば、ソーラーパネルの垂直配置が促進されるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソーラーパネルの色は、取り付ける基板の色と対照的に、一般的に暗色または真黒である。それらは美的な又は建築的構成と調和しない。
【0005】
本発明の1つの目的はソーラーパネルの表面に画像を表示することである。この画像は直接太陽光に対し、部分的に妨害物を形成するだけである。ソーラーパネルは日照の最小損失で動作させ、選ばれた画像の視覚的特徴から恩恵を受けるものである。この画像と色を表示することにより、ソーラーパネルを美的に構成することができる。又、この画像は、その内容を使って、情報を与え、通報し、広告する等の通信手段となる。本発明の、光学システムを備えたソーラーパネルを、以下“イメージャ ソーラーパネル(imager solar panel)”と呼ぶ。
【課題を解決するための手段】
【0006】
用語“周囲光(ambient light)”はここでは、ソーラーセンサにより受け取られる全光と定義する。周囲光は直接太陽光と周囲からの拡散光から構成される。
【0007】
本発明はレンチキュラ面、画像、ソーラーパネルから構成される。これら各々の構成要素の相対的配置により、所定の視野角度の下で、ソーラーパネル面を見ることなく、問題となる画像を見ることができ、上記視野角度とは異なる入射角度を持つ直接太陽光線はソーラーパネルの活性化面に到達することができる。従って、レンチキュラ面と画像は部分的に周囲の拡散光に対する障害になるが、直接太陽光に対する障害物となるものではない。
【0008】
本発明の“イメージャ ソーラーパネル”は透明なフィルムから構成されている。フィルムの上には画像が印刷されている。レクティリニアで、平行で等距離の画像帯は除去されている。用語“画像帯(band image)”は、除去されなかった画像が残っている帯(バンド)であると定義される。フィルムはソーラーパネルの活性化部分とレンチキュラ面との間に設けられている。レンチキュラ面は、同一のレクティリニアレンズ、平凸タイプを重畳させたものから構成されている。その幅は画像帯幅と透明帯幅との和である。透明フィルムはレンチキュラ面の平面側で、レンズのフォーカルプレーン(焦点面)に配置されている。このため、画像帯と透明帯はレンズの縦軸に平行である。画像帯と透明帯の幅を計算するためには、視野角の所定範囲内で観察者が画像帯だけ(従って画像自身)しか見えないようにし、他方、視野角の別の範囲では光が透明帯を透過し、従って、ソーラーセンサの活性化表面に到達するようにする。実際、レクティリニアレンズは光(即ち、像)をフォーカルプレーンの領域上に収束させる。このフォーカルプレーンの位置はレンズ面への光の入射角に依存する。光は種々の入射角を持つレンチキュラ表面の波型面に当たる。この入射角は、前記波型面に対し垂直な軸に対して測定され、45°と−45°との間の値を取る。レンズのフォーカル面のゾーンZ1とZ2は入射角範囲〔A1、A2〕と〔A2、A3〕に対応する。画像帯と画像の透明帯をそれぞれゾーンZ1とZ2の面に適当に配置するとき、観察者の視野角がA1とA2の間にある時、観察者はゾーンZ1にある画像帯(つまり画像自身)を見ることになる。他方、A2とA3との間に入射角を持つ光はゾーンZ2に収束し、透明帯を通過しソーラーセンサ面に到達する。レンチキュラ面に対する画像の位置は観察者の種々の位置と天空における太陽の種々の位置に従って変わる。勿論、これら異なる角度位置は、画像帯と透明帯が取る領域ゾーンZ1、Z2を決定する。
【0009】
光がレンチキュラ面からフィルムへ、及びフィルムからソーラーセンサ面へ通過するとき複数反射を避けるために、種々の要素は、接触する光学部材と同一の屈折率を持つ透明な接着剤を使って接着することができる。又は、表面を反射防止処理してもよい。精度を高め、接着処理をせずに済ますために、画像をレンチキュラ面に直接印刷してもよい。一実施例によると、イメージャソーラーパネルは上記実施例の特徴をもっている。しかし、今度は、レンチキュラ面は外側に向う平面を持つ。そして、平行面を持つ透明平面板がレンチキュラ面と画像との間に挿入されている。この透明平面板はその表面に対し垂直に、直線的に、規則的な間隔を以って切断され、レンズの縦軸に平行で、レンズの各結合の前に位置する薄い空気層を構成する。前記のものに対する光学面の利点は、視野角と太陽光線の入射角−70°と+70°の間の値を取ることが出来ることである。実際、入射角が45°より大きい光は、レンズを透過した後、屈折率の変化の原理により、前記平板内部で屈折し、空気層面で反射し、ゾーンZ1又はZ2の内部に方向変更される。
【0010】
特定の実施例によれば、視野角を90°まで高めるために、先行する実施例で使われた平凸リニアレンズは、両凸リニアレンズで置換される。
【0011】
別の実施例において、イメージャ ソーラーセンサに関係する画像は、例えば、液晶表示を使って遠隔から変更可能である。もし画像が迅速に変化するならば、アニメを見ることができる。
【0012】
他の実施例によれば(図示しないが)、画像又はアニメ画像は変更され、ソーラーセンサ面と同一色のゾーンは消去され透明になる。従って、画像表現は変更されることはない。何故ならば、これらゾーンは後にあるソーラーパネルの色をとるからである。画像を通過する光はソーラーセンサに到達し、センサにより既に受光した光に追加される。
【0013】
別の実施例によると、画像帯は薄膜ソーラーセンサ帯に置換され、ソーラーパネルは固定画像又はアニメ画像により置換される。これらソーラセンサ帯はレンチキュラ面に対して、太陽の直接光を受光するように配置される。これに対し、透明帯は別の視野角の下に位置する観察者がソーラーパネルを通して画像又はアニメ画像を見ることを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図を参照すると、本システムはソーラーパネル(SP)、画像(I)が印刷された透明フィルム(F)及びレンチキュラ面(SL)から構成されている。画像(I)は、並行で等距離の直線の透明帯(BT)により部分的に削除されている。画像は不透明で並行な画像帯(BN)と透明で平行な画像帯(BT)で構成されている。レンチキュラ面は同一レクティリニアレンズ、平凸部分で構成されており、画像帯幅と透明帯幅の和に等しい幅で相互に平行で重畳して構成されている。
透明フィルム(F)はレンズのフォーカル面で、ソーラーパネル(SP)とレンチキュラ面(SL)との間にある。レンチキュラの波打つ面はシステムの外側に向かっている。レンズに対して画像帯(BN)と透明帯(BT)を配置する際には、これらバンド(BN,BT)がレンズの縦軸に平行であるように配置されている。その結果、範囲〔A1、A2〕の角度で見るとき、観察者(OB)は画像帯(BN)しか見えない。これに対して、角度範囲〔A2、A3〕の視野角の下では、太陽光線は画像の透明帯を透過し、ソーラーセンサ(SP)面に到達する。両バンド(BN)、(BT)はゾーンZ1とZ2に面して配置される。ゾーンZ1とZ2はレクティリニアレンズのフォーカル面のゾーンを表す。これらゾーンは、それぞれ〔A1、A2〕及び〔A2、A3〕の範囲の入射角の光線に照射される。凸屈折が半円柱である(図2)レンズの場合、A1とA3は45°の限界値を取る。これら角度はY軸に対して計測される。Y軸はレンズの縦軸(X)に対して垂直であり、同時にレンチキュラ面に対して垂直である。
【0015】
外側が平面である平凸レンチキュラ面で実装する場合(図3)、入射光はレンズの凸屈折を通過し収束し、次に透明面(PT)の第1面を通過するときに屈折する。光線の一部は直接ゾーンZ1,Z2に達するが、他のより大きい角度の光線(R1,R2)はゾーンZ1,Z2に達する前に空気板面(Lm)で反射する。
【0016】
寄生的反射を減らすために、レンチキュラ面の種々の面、平行面を持つプレート及びソーラーセンサに対し反射防止処理を施すか、又はフィルムを透明な接着剤(C)(この反射係数が接触する光学部分の反射係数と同一とする)で接着することができる。
【0017】
非制限的な実施例として、ソーラーパネルは一様な薄膜シリコンコーティングの光起電タイプであってよい。ソーラーパネル、透明フィルム及びレンチキュラ面は幅60cm、高さ100cmの大きさの長方形とすることができる。パネルは北向きに垂直に対し22°傾斜される。活性化面は南向きにされる。透明フィルム上には色のついた画像がシルクスクリーンで印刷される。前記画像では、0.5mmの同一幅の透明及び不透明の水平帯が交互に並んでいる。レンチキュラ面は、厚さ1.2mm、直径1mmのレクティリニアレンズで構成されている。1.2mmは各レンズの焦点距離に等しい。レンズの縦軸は水平であるように(即ち、画像帯に平行)レンチキュラ面が配置される。透明フィルムは、透明な接着剤でレンチキュラ面の平面上に接着される。正確な位置に置かれるために、各画像帯は各レンズのフォーカル面の半分上に配置される。各透明帯は各レンズのフォーカル面の半分下に配置される。イメージャ ソーラーパネルの高さにいる観察者にとって、視野角はー22°に相当する。これにより画像帯を見ることができる。緯度45°で子午線を通る太陽は四季に従って、南水平線に対し22°と68°の間で変化する高さを取る。従って、太陽光線はソーラーパネルに対して入射角0°と46°を取る。全ての太陽光線は透明帯を通過し、ソーラーセンサの表面に達する。
【0018】
本発明は特にソーラーパネルの美的な建築学的な構成に適合するものであり、また、その面に視覚的情報の提供に適合するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】イメージャソーラーパネルを構成する種々の構成要素を離間して示した図である。
【図2】イメージャソーラーパネルの原理を説明する断面図であり、概略図である。図の一方に観察者が見る画像が、他方に、ソーラーセンサの表面に到達する太陽光の光路が示されている。
【図3】1つの特別な実施例を示す概略図である。視野角を増大するために、屈折率差による反射の原理に基づいて平凸レンチキュラ面及び光線の方向変更を使う。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に画像を表示するための光学システムに関係するソーラーパネルであって、
ソーラーパネルと、
その表面に画像(当該画像から‘同一幅の、相互に等距離離間した一連の平行な直線状帯体’が消去されている)が印刷された透明フィルムと、
同一の平凸リニアレンズの重ね合わせから構成されているレンチキュラ面とを有し、
その幅は透明帯幅と画像帯幅との和であり、その平板面は画像に向いており、
レンズの縦軸は画像帯と平行であり、前記透明帯及び画像帯はソーラーパネル表面とレンチキュラー面との間に、レンズのフォーカルプレーンに設けられ、観察者は画像帯又はソーラーパネル面しか見えず、この繰返しはレンチキュラ面が観察される視野角に依存することを特徴とするソーラーパネル。
【請求項2】
レンチキュラー面の平面は外部に向いており、平行な面を持つ透明な平板がレンチキュラー表面とフィルムとの間に挿入されており、前記平板は、直線状に規則的な間隔を以ってその表面で垂直に切断されており、レンズの縦軸に平行な、レンズの各接合面に位置する薄膜平面状空気層を出現させることを特徴とする請求項1に記載された光学システムに関係するソーラーパネル。
【請求項3】
レンズは両凸タイプであることを特徴とする請求項1又は2に記載された光学システムに関係するソーラーパネル。
【請求項4】
種々の光学的表面は反射防止被膜を有することを特徴とする請求項1,2又は3に記載された光学システムに関係するソーラーパネル。
【請求項5】
前記フィルムは種々の光学的表面に透明な接着剤で貼付されており、前記接着剤の反射率は接触している光学的部分の表面の反射率と同一であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載された光学システムに関係するソーラーパネル。
【請求項6】
ソーラーパネル面と同一の色である画像領域は透明になるように除去されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載された光学システムに関係するソーラーパネル。
【請求項7】
画像帯はソーラーセンサ帯により置換され、ソーラーパネルは画像により置換されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載された光学システムに関係するソーラーパネル。
【請求項8】
固定画像はアニメ画像で置換されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載された光学システムに関係するソーラーパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−524794(P2009−524794A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551818(P2008−551818)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000122
【国際公開番号】WO2007/085721
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】